説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、3点支持方式の歪防止機能を失うことなく、装置本体とオプションパーツとを、搬送に耐えられるように結合することを目的とする。
【解決手段】本体部Aの自らの重量を支える支持点の数及び配置が当該本体部への捩れを抑制するように設定され、前記オプションパーツBを前記本体部に取り付ける場合に、前記支持点に合致する位置で前記本体部と前記オプションパーツとを連結部材3a,3b,3cにて連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、装置本体内に画像形成のための高精度の光学機器類が収容されている。この光学機器類は、感光体ドラムに対して静電潜像書き込み用のビーム光の出力を行うレーザ光出力装置、そのビーム光を感光体ドラムに導く偏向ミラー、ビーム光のfθ補正を行なうfθレンズ、ビーム光を感光体ドラムの軸方向に走査させるポリゴンミラー等の光学系の機器類で構成されていて、これら機器類は、筐体内に高精度で位置決めされて収容されている。
【0003】
ところで、装置本体の下面の四隅に脚部を設けて装置を床面に設置した場合において、脚部の着地する床面に高低差のあるときは、4箇所の脚部が着地する高低差により装置本体側のフレームに歪みが生じてしまう。装置本体側のフレームに歪みが発生すると、その装置本体内に収容されている光学系の機器類の位置決め精度が悪化し、生成される画像の品質が低下するという問題点が生じてしまう。
【0004】
上述の問題点を解決するために、特許文献1では、装置本体が高低差のあるような歪んだ箇所に設置された場合であっても、3点支持方式によってフレームに生ずる歪みを小さくすることが提案されている。この3点支持方式による設置の場合は、フレームに生ずる歪みを小さくすることができるからである。なぜならば、設置する床面に高低差のあるとき、装置本体の下面の四隅に脚部を設けて4点で支持した場合は、4点で囲まれる面に捩じり撓みの歪みを生じさせないと4個全部の脚部が床面に着地できないが、これを3点で支持した場合、3点で囲まれる面に歪を生じないで床面に着地させることができるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−142736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像形成装置を適用した装置が複写機やプリンタなどの場合、用紙の収容能力を高めるために、画像形成装置本体と別体のオプションカセットデッキが組み合わせられることがある。このオプションカセットデッキは、複写機本体の下部部分に設けられている給紙部に連結するために、画像形成装置本体を上部に載置する形で組み合わせられる。
【0007】
画像形成装置本体とオプションカセットデッキとを組み合わせた状態で両者を強固に結合したときは、画像形成装置本体に組み込まれている3点支持方式の歪防止機能が失われてしまう。このため、オプションカセットデッキと組み合わされた画像形成装置が高低差のあるような歪んだ箇所に設置された場合は、光学系の機器類の位置決め精度が悪化し、生成される画像の品質が低下するという問題点が生じてしまう。
【0008】
このような問題点を解決するために、画像形成装置本体とオプションカセットデッキとの結合を画像形成装置本体に組み込まれている3点支持方式の歪防止機能が損なわれない緩い結合状態にすることも考えられるが、このような緩い結合状態としたときは、振動による転倒などの安全性や輸送に耐えることができないという新たな問題点が生じる。
【0009】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、画像形成装置において、3点支持方式の歪防止機能を失うことなく、装置本体とオプション装置とを、振動や輸送に耐えられるように結合することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0011】
第1の発明は、画像形成ユニットを備える本体部の下部に対して、オプション装置が取付可能とされた画像形成装置であって、上記本体部の底面には、上記本体部の自らの重量を支えるための複数の支持点が当該本体部への捩れを抑制する位置に設定され、上記オプション装置を上記本体部に取り付ける場合に、上記支持点に合致する位置で上記本体部と上記オプション装置とを連結部材にて連結するという構成を採用する。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記オプション装置の底面には、自らの重量を支えるための第2の支持点が複数設けられており、前記第2の支持点の数は前記本体部の前記支持点の数以上の数に設定されているという構成を採用する。
【0013】
第3の発明は、上記第1または2の発明において、上記本体部の支持点は、三角形の頂点位置あるいは台形の頂点位置に設定されているという構成を採用する。

第4の発明は、上記第3の発明において、前記画像形成ユニットには、レーザ光により静電潜像を形成して各色のトナー像を形成するための複数の感光体ドラムが平行に設けられており、前記三角形の一辺あるいは台形の上底・下底の距離の長い方が前記感光体ドラムの軸方向に平行であるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、本体部とオプションパーツとを連結部材が、本体部の自らの重量を支える支持点が当該本体部への捩れを抑制するように設定されており、該支持点に合致するように設けられているので、当該連結部材を搬送に耐えられるように強固に固定しても、オプション装置で捩じりを吸収し、本体部部分に捩じりを発生させることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機の右側面図である。
【図3】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機の左側面図である。
【図4】図1のX−X線断面図である。
【図5】本発明の一実施形態における画像形成装置を適用した複写機の底面図である。
【図6】連結部材の他の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の説明においては、本発明の画像形成装置の一例として複写機を挙げて説明する。
【0017】
図1は、本実施形態の電子写真方式からなる複写機Pの正面図、図2は、その複写機Pの右側面図、図3は、その複写機Pの左側面図、図4は、図1のX−X線断面図、図5は、複写機Pの底面を下方側から見た底面図である。
【0018】
この複写機Pは、複写機本体A(本体部)、オプションカセットデッキB(オプションパーツ)及び連結部材3a,3b,3cから構成されている。複写機本体Aの匡体内には、周知の複写機本体と同様に、画像読取部A1、画像形成部(画像形成ユニット)A2、定着部A3及び給紙部A4が設けられている。
【0019】
画像読取部A1は、原稿ガラス面上に載置された原稿の画像に光を照射し、その反射光を受光することによって原稿の画像を画像データとして読み取るものであり、原稿ガラス面と平行に設けられたガイドレールに沿って往復動するキャリッジを有している。このキャリッジ内には、原稿ガラス面上に載置された原稿の表面に光を照射するためのLEDやキセノンランプ等の各種ランプからなる光源と、その原稿からの反射光を順次反射して集光レンズに導くミラー群と、集光レンズによって集められた光を電気信号に変換するCCDやCMOS等のイメージセンサとを含んで構成されていて、多くの光学系の機器類を含んで構成されている。
【0020】
画像形成部A2は、複写機Pがカラー複写機の場合、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色にそれぞれ対応した感光体(ドラム)A21を有し、各感光体ドラムA21には、静電潜像書き込み用のビーム光の出力を行うレーザ光出力装置、そのビーム光を感光体ドラムA21に導く偏向ミラー、ビーム光のfθ補正を行なうfθレンズ、ビーム光を感光体ドラムA21の軸方向(図1において紙面に垂直方向)に走査させるポリゴンミラー等の多くの光学系の機器類で構成されるレーザスキャニングユニット(光走査装置)がそれぞれ設けられていると共に、帯電器、クリーニング装置及び除電装置等がそれぞれ設けられている。
【0021】
定着部は、加熱ローラを含んで構成され、感光体ドラムA21上に形成されたトナー像を転写ベルト等に転写し、その転写されたトナー像を記録紙に定着させることができるように構成されている。
【0022】
給紙部は、給紙カセットと給紙トレイとを含んで構成されている。給紙カセットは、複写機本体Aに対して着脱自在のカセットに用紙を積層し、その積層されている用紙中から一枚ずつ定着部に供給できるように構成されている。また、給紙トレイは、複写機本体Aの側面の一部分に設けられている開閉トレイに用紙を収容し、その収容されている用紙中から一枚ずつ定着部に供給できるように構成されている。
【0023】
そして、本実施形態の複写機Pにおいて複写機本体Aの自らの重量を支える支持点の数は、連結部材3a,3b,3cが固定された3点とされている。この支持点は、複写機本体Aへの捩れを抑制する位置に設定されている。また、この3つの支持点により形成される三角形の一辺は、感光体ドラムA21の軸方向に平行な方向に設定されている。これにより、複写機本体Aの捩れによる各感光体ドラムA21の軸方向における相対的なズレが抑制され、画像ずれなどを低減できる。
【0024】
オプションカセットデッキBは、本発明のオプション装置に相当し、複写機本体Aの下方に設けられていて、複写機本体Aを載置する台の役目も果たしている。そして、このオプションカセットデッキBの形状は、図1の正面図において、横方向の長さ及び奥行きの長さは複写機本体Aのそれらと一致し、高さは、このオプションカセットデッキB内に収容される用紙の量によって決められている。すなわち、オプションカセットデッキBの高さは、このオプションカセットデッキB内に装着される給紙カセットの数によって決められている。
【0025】
このオプションカセットデッキBに装着される給紙カセット内の用紙は、複写機本体A内のカセットに収容されている用紙と同様に、カセットに積層されている用紙中から一枚ずつ定着部に供給できるように構成されている。
【0026】
オプションカセットデッキBの底面の四隅には、キャスター1a,1b,1c,1d(図5の2dを1dに修正)及び支持部2a,2b,2c,2dがそれぞれ設けられている。キャスター1a,1b,1c,1dは、周知のキャスターと同様に、ローラから構成されていて、複写機Pの移動を容易にするために用いられる。また、支持部2a,2b,2c,2dは、ネジ棒からなり、オプションカセットデッキBを持ち上げて複写機Pがキャスター1a,1b,1c,1dで移動することなく床面に載置できるようにするために用いられる。また、支持部2a,2b,2c,2dを設ける代わりに、キャスター1a,1b,1c,1dの少なくとも1つに、ローラの回転を禁止する状態に切換え可能なロック機構を設けて、キャスター1a,1b,1c,1dでオプションカセットデッキBを支持してもよい。
【0027】
そして、本実施形態の複写機PにおいてオプションカセットデッキBの自らの重量を支える支持点である支持部2a,2b,2c,2d又はキャスター1a,1b,1c,1dの数及び配置は、オプションカセットデッキBのバランスを安定させるように、複写機本体Aの自らの重量を支える支持点の数以上に設定されている。
【0028】
連結部材3a,3b,3cは、矩形状の金属製の板材からなり、上下方向に所定の間隔を保って設けられる平行線上に複数のビス用の孔を設けて構成されている。
【0029】
連結部材3aは、図2に示されるように、複写機本体Aの右側面の中央部で、かつ、複写機本体A及びオプションカセットデッキBを跨ぐように設けられている。そして、連結部材3aは、複写機本体A及びオプションカセットデッキB間に少しの間隙を保ってビス4,4…を用いて複写機本体A及びオプションカセットデッキBにそれぞれ取り付けられている。
【0030】
連結部材3b,3cは、図3に示されるように、複写機本体Aの左側面の両端部側で、かつ、複写機本体A及びオプションカセットデッキBを跨ぐように設けられている。そして、これら連結部材3b,3cは、複写機本体A及びオプションカセットデッキB間に少しの間隙を保ってビス4,4…を用いて複写機本体A及びオプションカセットデッキBにそれぞれ取り付けられている。
【0031】
図4の一点鎖線は、各連結部材3a,3b,3cの設置位置を結んで画かれる三角形を示している。したがって、これら連結部材3a,3b,3cは、オプションカセットデッキBが複写機本体Aを3点支持方式で支持していることを現している。
【0032】
そして、本実施形態の複写機Pにおいては、複写機本体Aの支持点に合致する位置で複写機本体AとオプションカセットデッキBとが連結部材3a,3b,3cにて強固に連結されている。
【0033】
上述のように、上記構成からなる複写機Pは、複写機本体A及びオプションカセットデッキB間に少しの間隙を保って連結部材3a,3b,3cで連結されているので、捩れをオプションカセットデッキBで吸収し、3点支持方式の歪防止機能を失うことなく複写機本体Aを支持することができる。
また、複写機本体A及びオプションカセットデッキBとは、連結部材3a,3b,3cによって強固に連結されているため、安全に輸送を行うことができる。また、オプションデッキBはバランス自らの重量を支える支持点である
したがって、複写機本体AとオプションカセットデッキBとを組み合わせた状態で工場から出荷する場合でも、3点支持方式の歪防止機能を失うことなく、安全に輸送を行うことができる。
【0034】
また、捩れを抑制する複写機本体Aの支持点は、必ずしも三角形の頂点であるとは限らない。例えば、複写機本体Aの支持点が、台形の頂点とされる場合もある。このような場合には、図6に示すように、連結部材3aを二個の連結部材3a1,3a2に分割して台形の頂点に配置する。これによっても、上記実施形態のように、複写機本体AとオプションカセットデッキBとを組み合わせた状態で工場から出荷する場合でも、3点支持方式の歪防止機能を失うことなく、安全に輸送を行うことができる。
【0035】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0036】
例えば、上述の例では、画像形成装置を複写機としたが、プリンタ、ファクシミリ装置又はこれらの機能を備えた複合機とすることもできる。
【符号の説明】
【0037】
P……複写機(画像形成装置)、A……複写機本体(本体部)、B……オプションカセットデッキ(オプションパーツ)、1a,1b,1c,1d……キャスター、2a,2b,2c,2d……支持部、3a,3a1,3a2,3b,3c……連結部材、4……ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成ユニットを備える本体部の下部に対して、オプション装置が取付可能な画像形成装置であって、
前記本体部の底面には、前記本体部の自らの重量を支えるための複数の支持点が当該本体部への捩れを抑制する位置に設定され、前記オプションパーツを前記本体部に取り付ける場合に、前記支持点に合致する位置で前記本体部と前記オプションパーツとを連結部材にて連結することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記オプション装置の底面には、自らの重量を支えるための第2の支持点が複数設けられており、前記第2の支持点の数は前記本体部の前記支持点の数以上の数に設定されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記本体部の支持点は、三角形の頂点位置あるいは台形の頂点位置に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成ユニットには、レーザ光により静電潜像を形成して各色のトナー像を形成するための複数の感光体ドラムが平行に設けられており、前記三角形の一辺あるいは台形の上底・下底の距離の長い方が前記感光体ドラムの軸方向に平行であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−224986(P2011−224986A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74267(P2011−74267)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】