説明

画像形成装置

【課題】ハウジング内に設けられた転写機構、定着機構、用紙搬送機構等の点検、修理または異常状態の回復等を行うために、ハウジングに設けられたカバー体を回動させて開口部の開閉を繰り返しても、カバー体の回動を規制する規制部材、および当該規制部材をカバー体とハウジングとの間に取り付ける部材が破損するのを抑制し、これを単純な構造により低コストで実現する。
【解決手段】規制部材31、32とカバー体23との取付部分、および規制部材31、32と本体ハウジング2の左側側面2Aとの取付部分に弾性部材41ないし44を設け、これら弾性部材41ないし44の弾性変形により、カバー体23、搬送ユニット28および搬送ユニット29が所定角度αの位置、すなわち規制部材31、32が張った位置で停止した瞬間の衝撃により生じる力の一部を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、コピー機、プリンタ、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コピー機、プリンタ、複合機等の画像形成装置は、略直方体状のハウジングを有し、このハウジング内には、原稿から光学的に読み取られ、または外部機器から通信手段を介して入力された原稿データに対応する画像を感光体ドラム上に形成する現像部と、現像部により感光体ドラム上に形成された画像を用紙に転写し、定着させる印刷部とが設けられている。そして、印刷部には、給紙カセットに収容された用紙を転写機構および定着機構に順次搬送するための用紙搬送通路が設けられ、この用紙搬送通路には複数対の搬送ローラが設けられている。
【0003】
また、このような画像形成装置は、ハウジングの側板に開口部が形成され、ユーザ等が、この開口部に手を入れて、用紙搬送通路に詰まった用紙を除去する等のジャム処理、あるいは印刷部の点検、修理等の作業を行うことができるように構成されている。
【0004】
さらに、画像形成装置のハウジングには、上記開口部を閉塞するための板状のカバー体が取り付けられている。このカバー体は、その下側部位がハウジングの開口部の下側縁部近傍に軸支され、この軸支された下側部位を軸にしてハウジングに対して外向きに突出するように回動する。このカバー体は、ハウジングの側板と平行に立ち上がった状態で開口部を閉塞する。カバー体およびハウジングには、このようにカバー体が立ち上がった状態を維持するために、カバー体の一部をハウジングに着脱可能に係止めする係止部材が設けられている。開口部を開放させるときには、係止部材を外し、カバー体をハウジングに対して外向きに回動させる。
【0005】
さらに、画像形成装置には、開口部の開放時におけるカバー体の回動角度を所定角度に規制するための規制部材(ストッパ)が設けられている。この規制部材は、例えば所定の長さを有する紐であり、一端部がカバー体にビス等の取付部材により取り付けられ、他端部がハウジングにビス等の取付部材により取り付けられている(特許文献1参照)。また、規制部材として紐でなく、ダンパを用いたものもある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−141020号公報
【特許文献2】特開2001−142271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カバー体の規制部材として紐を用いた場合、開口部の開放時にカバー体が所定角度まで回動し、規制部材である紐が張った状態になったときに、規制部材をカバー体に取り付けている取付部材、規制部材をハウジングに取り付けている取付部材、または規制部材に大きな力が作用する。このため、カバー体の開閉を繰り返しているうちに、上記取付部材または規制部材が破損するおそれがある。
【0008】
この点、特許文献1に記載の従来技術では、規制部材である紐を、カバー体上に設けられた搬送ローラ軸に掛けることにより、開口部の開放時に、規制部材や、規制部材とハウジングとの取付部分に作用する力を軽減するようにしている。しかし、この従来技術では、規制部材の取付構造が複雑化するという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の従来技術では、規制部材としてダンパを用いている。ダンパの伸張方向のばね特性を適切に設定すれば、規制部材とカバー体との取付部分、規制部材とハウジングとの取付部分等に作用する力を軽減することができる。しかし、この従来技術では、紐等と比較して高価なダンパを規制部材として用いるため、画像形成装置の製造コストが上昇するという問題がある。
【0010】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、ハウジング内に設けられた印刷部等の点検、修理または異常状態の回復等を行うために、ハウジングに設けられたカバー体を回動させて開口部の開閉を繰り返しても、カバー体の回動を規制する規制部材、および当該規制部材をカバー体とハウジングとの間に取り付ける部材が破損するのを抑制することができ、かつ装置構造の複雑化および製造コストの上昇を抑えることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、原稿から光学的に読み取られ、または外部機器から通信手段を介して入力された原稿データに対応する画像を用紙に印刷して出力する画像形成装置であって、略直方体状のハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、前記原稿データに対応する画像を感光体上に形成する現像部と、前記ハウジング内に設けられ、前記現像部により前記感光体上に形成された画像を用紙に転写し、定着させる印刷部と、前記現像部または前記印刷部の点検、修理または異常状態の回復を行うために、前記ハウジングの一の側板において前記現像部または前記印刷部に近接する位置に形成された開口部と、下側部位が前記ハウジングの前記開口部の下側縁部近傍に軸支され、前記ハウジングの前記側板と平行に立ち上がった状態で前記開口部を閉塞し、軸支された前記下側部位を軸として前記ハウジングから外向きに突出するように回動させることにより前記開口部を開放させるカバー体と、前記開口部の開放時における前記カバー体の回動角度を所定角度に規制するために、長尺状に形成され、一端部が前記カバー体に第1の取付部材により取り付けられ、他端部が前記ハウジングの側板に第2の取付部材により取り付けられた規制部材とを備え、前記規制部材の一端部と前記第1の取付部材との間および前記規制部材の他端部と前記第2の取付部材との間のうちの少なくとも一方には前記カバー体が前記所定角度まで回動したときに変形する弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、上述した本発明において、前記弾性部材はスポンジであることが望ましい。
【0013】
また、上述した本発明において、前記弾性部材はばねでもよい。
【0014】
さらに、上述した本発明において、前記印刷部の一部が前記カバー体の回動と共に移動可能であり、前記開口部の開放時に前記カバー体上に前記印刷部の一部を移動させたとき、当該印刷部の一部の重さにより前記弾性部材が弾性変形する構成とすることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明によれば、ハウジング内に設けられた印刷部等の点検、修理または異常状態の回復等を行うために、ハウジングに設けられたカバー体を回動させて開口部の開閉を繰り返しても、カバー体の回動を規制する規制部材、および当該規制部材をカバー体とハウジングとの間に取り付ける部材が破損するのを抑制することができ、かつ装置構造の複雑化および製造コストの上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態による画像形成装置を示す一部破断の正面図である。
【図2】図1中の画像形成装置の左側に位置する開口部とその周辺を示す拡大図である。
【図3】図1中の画像形成装置において開口部がカバー体により閉塞された状態を示す斜視図である。
【図4】図1中の画像形成装置において開口部が開放された状態を示す斜視図である。
【図5】規制部材とカバー体との取付部分を拡大して示す斜視図である。
【図6】規制部材とカバー体との取付部分を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による画像形成装置における規制部材とカバー体との取付部分を分解して示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による画像形成装置における規制部材とカバー体との取付部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。まず、本発明の第1の実施形態について図1ないし図6を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明の第1の実施形態である画像形成装置を示している。なお、図1では、説明の便宜上、画像形成装置を、本体ハウジングの一部を破断して内部が部分的に見える状態で示している。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置1は、原稿から光学的に読み取られ、または外部機器から通信手段を介して入力された原稿データに対応する画像を用紙に印刷して出力する装置であり、例えばコピー機、プリンタ、ファクシミリ送受信機、複合機等である。また、外部機器とは例えばパーソナルコンピュータであり、通信手段とは例えばコンピュータネットワークである。
【0020】
画像形成装置1は、略直方体状の本体ハウジング2を有し、本体ハウジング2内には、原稿データに対応する画像を感光体ドラム3上に形成する現像部と、現像部により感光体ドラム3上に形成された画像を用紙Pに転写し、そして定着させる印刷部とが設けられている。
【0021】
現像部は、感光体ドラム3、感光体ドラム3の表面を帯電させる帯電装置4、帯電した感光体ドラム3にビーム光を照射して原稿データに対応する画像の静電潜像を当該感光体ドラム3上に形成するレーザ露光ユニット(図示せず)、および静電潜像が形成された感光体ドラム3上にトナーを吸着させて当該感光体ドラム3上にトナー像を形成する現像装置5等を備えている。
【0022】
また、印刷部は、感光体ドラム3上に形成されたトナー像を用紙Pに転写する転写ローラ6(転写機構)、および転写ローラ6により用紙Pに転写されたトナー像を定着させる熱ローラ7Aおよび加圧ローラ7Bからなる定着装置7(定着機構)を備えている。
【0023】
さらに、印刷部には、図1中の矢印で示すように、用紙Pを、まず感光体ドラム3と転写ローラ6との間に導き、続いて熱ローラ7Aと加圧ローラ7Bとの間に導き、続いて排出トレイ21に排出するための用紙搬送通路8が設けられている。そして、用紙搬送通路8には、用紙Pを感光体ドラム3と転写ローラ6との間に搬送する複数の搬送ローラ対9、および用紙Pを排出トレイ21に排出する排出ローラ対10が設けられている。各搬送ローラ対9は互いに向き合うように配置された搬送ローラ9Aおよび搬送ローラ9Bを備えている。
【0024】
さらに、印刷部には、図1中の矢印で示す通り、両面印刷を行うときに、用紙Pを反転させるための用紙反転通路11が設けられている。この用紙反転通路11には用紙Pを用紙反転通路11に搬入する搬入ローラ対12、および用紙反転通路11に搬入された用紙Pを搬送する複数の搬送ローラ対13が設けられている。搬入ローラ対12は互いに向き合うように配置された搬入ローラ12Aおよび搬入ローラ12Bを備えている。
【0025】
また、本体ハウジング2内の下部には、複数の給紙カセット14が取り付けられ、各給紙カセット14内には用紙Pが収容されている。さらに、本体ハウジング2内の下部には、各給紙カセット14内に収容された用紙Pを用紙搬送通路8に導くための給紙通路15が設けられ、給紙通路15には用紙Pを搬送する複数の給紙ローラ対16が設けられている。
【0026】
一方、本体ハウジング2上には上側ハウジング17が設けられ、上側ハウジング17には、透明なガラス板を備えた原稿載置台(図示せず)、原稿載置台の下側に設けられ、原稿載置台に載置された原稿を光学的に読み取り、原稿データを生成する光電変換モジュール(図示せず)、および操作パネル18が設けられている。さらに、上側ハウジング17の上側には、原稿載置台に載置された原稿を押さえる原稿押さえ19、および原稿載置台に原稿を搬送する原稿搬送装置20が設けられている。
【0027】
また、本体ハウジング2と上側ハウジング17との間には、用紙搬送通路8を経てトナー像(原稿データに対応する画像)が印刷された用紙Pが排出されたとき、この排出された用紙Pを保持する排出トレイ21が設けられている。
【0028】
図2は画像形成装置1の開口部およびその周辺を拡大して示し、図3は開口部がカバー体により閉塞された状態を示し、図4は開口部が開放された状態を示している。
【0029】
図2に示すように、画像形成装置1の正面に立って画像形成装置1を見たとき、本体ハウジング2の左側に位置する側板2Aにおいて印刷部に近接する位置には、印刷部、現像部または画像形成装置1内の他の部分の点検、修理または異常状態の回復を行うための開口部22が形成されている。異常状態の回復とは、例えば、用紙搬送通路8、用紙反転通路11または給紙通路15に詰まった用紙を除去するジャム処理である。開口部22は、ユーザ等が開口部22に手を入れてジャム処理、点検、修理等を行うことができる程度の大きさを有している。
【0030】
また、図3に示すように、本体ハウジング2の左側側板2Aには、開口部22を閉塞する板状のカバー体23が設けられている。本体ハウジング2の左側側板2Aの正面に立って左側側板2Aを見たとき、カバー体23の下側左縁部および下側右縁部には、カバー体23の内側面から突出し、貫通孔を有する連結部23A、23Bがそれぞれ形成されている。カバー体23は、これら連結部23A、23Bの貫通孔に回動軸24を貫通させつつ、この回動軸24を本体ハウジング2の開口部22の下側縁部近傍に固定することにより、本体ハウジング2の左側側板2Aに軸支されている。
【0031】
そして、カバー本体23は、図3に示すように、本体ハウジング2の左側側板2Aと平行に立ち上がった状態で開口部22を閉塞する。一方、図4中の矢印で示すように、回動軸24を軸として本体ハウジング2の左側側板2Aから外向きに突出するようにカバー体23を回動させることにより、開口部22を開放させることができる。
【0032】
カバー体23および本体ハウジング2には、開口部22の閉塞時においてカバー体23が立ち上がった状態を維持するために、カバー体23の一部を本体ハウジング2に着脱可能に係止めする係止部材25(一部のみ図示)が設けられている。開口部22を開放させるときには、係止部材25を外し、カバー体23を本体ハウジング2に対して外向きに回動させる。
【0033】
また、カバー体23の内側面には後述する規制部材31、32の一端部を取り付けるための取付板26、27が設けられている(図5参照)。
【0034】
さらに、カバー体23の内側面には印刷部の一部が固定されている。具体的には、カバー体23の内側面には、用紙反転通路11上部の用紙搬入部分(搬入ローラ12Bを含む)と用紙反転通路11の左側壁部とを構成する搬送ユニット28が固定されている。このため、図2中の点線で示すように、開口部22を開放させるためにカバー本体23を回動させると、カバー本体23の回動と共に搬送ユニット28が、本体ハウジング2の外側に移動する。
【0035】
また、開口部22の開放時には、カバー体23上に印刷部の一部を載置することができる。具体的には、用紙反転通路11の右側壁部(搬送ローラ対13を含む)と用紙搬送通路8の左側壁部(転写ローラ6、搬送ローラ9Bを含む)とを構成する搬送ユニット29は、その下部を軸として回動する構造となっており、図2中の点線で示すように、開口部22を開放させるためにカバー本体23を回動させたときには、搬送ユニット29を本体ハウジング2の外向きに突出するように回動させ、搬送ユニット29をカバー本体23に固定された搬送ユニット28上に載置することができる。
【0036】
このように、開口部22の開放時に印刷部の一部、すなわち搬送ユニット28、29をカバー体23上に移動させることにより、印刷部、現像部または画像形成装置1内の他の部分の点検、修理または異常状態の回復作業(ジャム処理)が容易になる。
【0037】
また、本体ハウジング2の左側側板2Aとカバー体23との間には、開口部22の開放時におけるカバー体23の回動角度を所定角度α(例えばおよそ60度ないし90度)に規制するための2つの規制部材31、32が取り付けられている。各規制部材31、32は、所定の長さ寸法を有する長尺状または紐状の湾曲または屈曲可能な柔らかい部材であり、例えばナイロンテープにより形成されている。
【0038】
本体ハウジング2の左側側板2Aの正面に立って左側側板2Aを見たとき、一方の規制部材31は、図4に示すように、その一端部がカバー体23の右側縁部に固定された取付板26にねじ33等により取り付けられ、他端部が本体ハウジング2の左側側板2Aにおいて開口部22の右側縁部にねじ34等により取り付けられている。また、本体ハウジング2の左側側板2Aの正面に立って左側側板2Aを見たとき、他方の規制部材32は、一端部がカバー体23の左側縁部に固定された取付板27にねじ35(図5参照)により取り付けられ、他端部が本体ハウジング2の左側側板2Aにおいて開口部22の左側縁部にねじ36等により取り付けられている。
【0039】
開口部22の開放時には、図4に示すように、規制部材31、32がそれぞれ張った状態になり、これによりカバー体23の回動が角度αで規制される。一方、開口部22の閉塞時には、図3に示すように、規制部材31、32がそれぞれ2つに折り曲げられ、カバー体23と本体ハウジング2の左側側面2Aとの間に挟まれた状態で本体ハウジング2内に収容される。
【0040】
図5および図6は規制部材31とカバー体23との取付部分をそれぞれ示している。図6に示すように、規制部材31の一端部には挿通孔31Aが形成され、カバー体23に固定された取付板26にはねじ孔26Aが形成されている。規制部材31の一端部は、ねじ33にワッシャ37および弾性部材41を順に装着しつつ、このねじ33を規制部材31の挿通孔31Aに挿通させ、続いて、このねじ33をねじ孔26Aに締着させることにより、カバー体23に取り付けられている。
【0041】
ワッシャ37と規制部材31の一端部との間に設けられた弾性部材41は、弾性変形可能なリング状の板材であり、例えば高密度スポンジにより形成されている。また、ワッシャ37は弾性部材41よりも硬質な金属または樹脂により形成されている。
【0042】
規制部材31の他端部と本体ハウジング2の左側側板2Aとの取付部分も、規制部材31とカバー体23との取付部分とほぼ同様に構成されている。すなわち、図4に示すように、規制部材31の他端部は、ねじ34にワッシャ38、および例えば高密度スポンジにより形成されたリング状の板材である弾性部材42を装着しつつ、このねじ34を、規制部材31の他端部に形成された挿通孔(図示せず)に挿通させ、さらに、このねじ34を、本体ハウジング2の左側側板2Aに形成されたねじ孔(図示せず)に締着させることにより、本体ハウジング2の左側側板2Aに取り付けられている。
【0043】
規制部材32の一端部とカバー体23との取付部分も、規制部材31とカバー体23との取付部分とほぼ同様に、挿通孔32A、ねじ孔27A、ねじ35、ワッシャ39、および例えば高密度スポンジにより形成されたリング状の板材である弾性部材43により構成されている(図5および図6参照)。また、規制部材32の他端部と本体ハウジング2の左側側板2Aとの取付部分も、規制部材31の他端部と本体ハウジング2の左側側板2Aとの取付部分とほぼ同様に、挿通孔(図示せず)、ねじ孔(図示せず)、ねじ36、ワッシャ40、例えば高密度スポンジにより形成されたリング状の板材である弾性部材44により構成されている(図4参照)。
【0044】
このような構成を有する画像形成装置1において、開口部22を開放させるために、図2中の矢印で示すようにカバー体23を回動させると、図2中の点線で示すように、カバー体23と共に搬送ユニット28が本体ハウジング2の外側に移動する。さらに、図2中の矢印で示すように、搬送ユニット29を回動させることにより、搬送ユニット29を本体ハウジング2の外側に移動させ、搬送ユニット29をカバー体23と共に本体ハウジング2の外側に移動した搬送ユニット28上に載置することができる。このとき、規制部材31、32が張った状態になり、これによりカバー体23の回動角度が角度αに規制される。
【0045】
さらに、このとき、規制部材31、32とカバー体23との取付部分および規制部材31、32と本体ハウジング2の左側側板2Aとの取付部分に設けられた弾性部材41ないし44が変形する。弾性部材41ないし44の変形により、カバー体23、搬送ユニット28および搬送ユニット29の移動が規制部材31、32の張りにより停止した瞬間の衝撃に起因して生じる力が吸収される。これにより、カバー体23、搬送ユニット28および搬送ユニット29の移動が規制部材31、32の張りにより停止した瞬間の衝撃に起因して、取付板26、27、規制部材31、32、ねじ33ないし36、およびワッシャ37ないし40に作用する力を小さくすることができる。
【0046】
特に、搬送ユニット29は、カバー体23および搬送ユニット28に比べて重いため、搬送ユニット29を移動させて搬送ユニット28上に載置した瞬間の衝撃により生じる力は非常に大きくなる。しかし、この力は、弾性部材41ないし44の変形により弱められるので、このような大きな力が、取付板26、27、規制部材31、32、ねじ33ないし36、およびワッシャ37ないし40に作用するのを防ぐことができる。
【0047】
また、ユーザ等が開口部22を開放してジャム処理等を行っているときに、ユーザ等が所定角度αの位置にあるカバー体23を押し下げるように力を加えてしまう場合がある。この場合、すでに張った状態にある規制部材31、32をさらに引っ張るような力が生じる。このとき、弾性部材41ないし44が変形し、この力を分散する。これにより、ユーザ等が所定角度αの位置にあるカバー体23を押し下げるように力を加えたときに、取付板26、27、規制部材31、32、ねじ33ないし36、およびワッシャ37ないし40に作用する力を小さくすることができる。
【0048】
以上説明した通り、本発明の第1の実施形態による画像形成装置1によれば、弾性部材41ないし44の弾性変形により、取付板26、27、規制部材31、32、ねじ33ないし36、およびワッシャ37ないし40に作用する力を弱めることができる。これにより、開口部22の開閉を繰り返し、ジャム処理、点検、修理等の作業を何度も行ったことにより、取付板26、27、規制部材31、32、ねじ33ないし36、およびワッシャ37ないし40が破損してしまうといった事態を抑制することができ、画像形成装置1の耐久性を高め、その寿命を長くすることができる。
【0049】
しかも、規制部材31、32の一端部とカバー体23との取付部分および規制部材31、32の他端部と本体ハウジング2の左側側板2Aとの取付部分に高密度スポンジにより形成された弾性部材41ないし44を設けるといった簡単な構造であるため、画像形成装置1の構造の複雑化および製造コストの上昇を抑えながら、上述したような画像形成装置1の耐久性の向上および長寿命化を図ることができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態について図7および図8を参照しながら説明する。第2実施形態による画像形成装置の特徴は、規制部材31、32の一端部とカバー体23との取付部分および規制部材31、32の他端部と本体ハウジング2の左側側板2Aとの取付部分に設ける弾性部材として、ばね51を用いた点にある。
【0051】
すなわち、図7に示すように、第2の実施形態による画像形成装置において、規制部材31の一端部は、ねじ33にワッシャ37およびばね51を順に装着しつつ、このねじ33を規制部材31の挿通孔31Aに挿通させ、続いて、このねじ33を、カバー体23に固定された取付板26のねじ孔26Aに締着させることにより、カバー体23に取り付けられている。ばね51は、図8に示すように、ワッシャ37と規制部材31の一端部との間に弾性変形しつつも、さらに弾性変形可能な状態で狭持されている。
【0052】
規制部材31の他端部と本体ハウジング2の左側側板2Aとの取付部分、規制部材32の一端部とカバー体23との取付部分、および規制部材32の他端部と本体ハウジング2の左側側板2Aとの取付部分についても、規制部材31の一端部とカバー体23との取付部分とほぼ同様にばね51を用いて構成されている。
【0053】
このような構成を有する第2の実施形態による画像形成装置によっても、上述した第1の実施形態による画像形成装置1とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
なお、上述した第1の実施形態では、弾性部材41ないし44を高密度スポンジにより形成する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。弾性部材41ないし44をゴムまたはボロン等により形成してもよい。
【0055】
また、上述した第1の実施形態では、規制部材31、32をナイロンテープにより形成したが、綿、麻、化学繊維等を織った紐、あるいは金属、樹脂等により形成された鎖により規制部材31、32を形成してもよい。また、規制部材31、32をカバー体23および本体ハウジング2の左側側板2Aに取り付ける取付部材として、ねじ33ないし36に代えてヘッダピン等の他の部材を用いてもよい。
【0056】
また、上述した各実施形態では、規制部材31、32とカバー体23との取付部分および規制部材31、32と本体ハウジング2の左側側面2Aとの取付部分に弾性部材41ないし44(ばね51)をそれぞれ設けたが、本発明はこれに限らない。規制部材31、32とカバー体23との取付部分のみ、または規制部材31、32と本体ハウジング2の左側側面2Aとの取付部分のみに弾性部材(ばね)を設ける構成としてもよい。また、カバー体23等、開口部22を開放させるために回動させる部品が軽い場合には、規制部材を1つとしてもよく、この場合には、弾性部材(ばね)を、規制部材とカバー体23との取付部分および規制部材と本体ハウジング2の左側側面2Aとの取付部分の双方にそれぞれ設けてもよいし、いずれか一方のみに設けてもよい。
【0057】
また、上述した各実施形態では、開口部22の開放時に、カバー本体23の回動と共に搬送ユニット28および29が移動する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。開口部22の開放時にカバー本体23の回動と共に移動する部品の種類、態様、重さ等は、画像形成装置の具体的な構造によって変わり得る。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
2 本体ハウジング(ハウジング)
2A 左側側板(一の側板)
3 感光体ドラム(感光体)
4 帯電装置(現像部)
5 現像装置(現像部)
6 転写ローラ(転写機構)
7 定着装置(定着機構)
8 用紙搬送通路(搬送機構)
9 搬送ローラ対(搬送機構)
9A、9B 搬送ローラ(搬送機構)
10 排出ローラ対(搬送機構)
11 用紙反転通路(搬送機構)
12 搬入ローラ対(搬送機構)
12A、12B 搬入ローラ(搬送機構)
13 搬送ローラ対(搬送機構)
14 給紙カセット(用紙収容機構)
22 開口部
23 カバー体
23A、23B 連結部(下側部位)
26、27 取付板
28、29 搬送ユニット(印刷部の一部)
31、32 規制部材
33、34、35、36 ねじ(取付部材)
37、38、39、40 ワッシャ(取付部材)
41、42、43、44 弾性部材
51 ばね(弾性部材)
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿から光学的に読み取られ、または外部機器から通信手段を介して入力された原稿データに対応する画像を用紙に印刷して出力する画像形成装置であって、
略直方体状のハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、前記原稿データに対応する画像を感光体上に形成する現像部と、
前記ハウジング内に設けられ、前記現像部により前記感光体上に形成された画像を用紙に転写し、定着させる印刷部と、
前記現像部または前記印刷部の点検、修理または異常状態の回復を行うために、前記ハウジングの一の側板において前記現像部または前記印刷部に近接する位置に形成された開口部と、
下側部位が前記ハウジングの前記開口部の下側縁部近傍に軸支され、前記ハウジングの前記側板と平行に立ち上がった状態で前記開口部を閉塞し、軸支された前記下側部位を軸として前記ハウジングから外向きに突出するように回動させることにより前記開口部を開放させる板状のカバー体と、
前記開口部の開放時における前記カバー体の回動角度を所定角度に規制するために、長尺状に形成され、一端部が前記カバー体に第1の取付部材により取り付けられ、他端部が前記ハウジングの前記側板に第2の取付部材により取り付けられた規制部材とを備え、
前記規制部材の一端部と前記第1の取付部材との間および前記規制部材の他端部と前記第2の取付部材との間のうちの少なくとも一方には前記カバー体が前記所定角度まで回動したときに変形する弾性部材が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記弾性部材はスポンジであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記弾性部材はばねであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷部の一部が前記カバー体の回動と共に移動可能であり、前記開口部の開放時に前記カバー体上に前記印刷部の一部を移動させたとき、当該印刷部の一部の重さにより前記弾性部材が弾性変形することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−2505(P2011−2505A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143463(P2009−143463)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】