説明

画像形成装置

【課題】ユーザが必要としない画像データの処理を適切に回避することにより、無駄を削減しつつユーザの要求を満足させる。
【解決手段】画像形成装置の制御部は、新規のデータを受信して(S1000にてYES)待ち行列にデータがあると(S1010にてYES)、データ置換条件を判定するステップ(S1020)と、先の処理要求を最新の処理要求に置き換える条件が一致していると判定されると(S1030にてYES)、置換対象データの待ち行列内の位置を記憶するステップ(S1040)と、置換対象データを待ち行列から削除するステップ(S1050)と、新規のデータを置換対象データの待ち行列内の位置に配置するステップ(S1080)と、出力準備が完了すると(S1100にてYES)、待ち行列の先頭からデータを出力するステップ(S1110)とを含むプログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式等を使用した複写機能(コピー機能)、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能等を備えた画像形成装置に関し、特に、類似する画像データの処理を適切に回避することにより、無駄を削減しつつユーザの要求を満足させることのできる、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機能またはプリンタ機能を備えた画像形成装置は、普通紙またはOHP等の記録媒体上に画像を形成する。この画像形成装置は、画像形成の高速性、画像品質およびコストなどから電子写真方式が採用されることが多い。また、このような画像形成装置においては、通信機能をさらに備え、スキャンした画像データを他の装置へ送信する機能を備えるものもある。
【0003】
画像形成装置のプリンタ機能を使用して、複数ページから構成される印刷データを修正しながら印刷する場合、2回目以降の印刷においては、利用者により指定された印刷ページのみの印刷が行なわれるか、または、全ページの印刷が行なわれることになる。
【0004】
このとき、印刷ページをユーザが指定する場合には、修正したページであるのか修正していないページであるのかがユーザがわからないと、印刷ページを指定することができないという問題が発生し得る。また、全ページを印刷する場合には、修正をしていないページであって前回印刷されたページと同じページが印刷されるため、記録用紙およびトナー等の消耗品を余計に使うため、ランニングコストのアップにつながるという問題がある。
【0005】
特開2002−225353号公報(特許文献1)は、このような問題点に鑑み、印刷データを検知して、既に印刷されているデータの場合には、印刷を行なわないことにより、トナーおよび記録用紙等の消耗品を節約し、コスト低減を図ることが可能なプリンタ装置を開示する。
【0006】
この特許文献1に開示されたプリンタ装置は、前回の印刷データを保存する印刷データ保存部と、今回の印刷データが前回の印刷データと同じか否かを検知する印刷データ検知部と、両印刷データが同じ場合に印刷を禁止するように制御する制御部とを備える。このプリンタ装置によると、前回印刷済みの印刷データと、今回の印刷前の印刷データが同じ場合は、今回の印刷データを印刷しないようにすることで、同じ印刷データの用紙を出力することがなくなるため、記録用紙およびトナーの節約を可能としたり、プリンタの寿命を長くしたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−225353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した画像形成装置がネットワーク対応のプリンタ機能を備えている場合、1台の画像形成装置と、複数のパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」を記載する。)とがネットワーク回線を介して接続されて、多くのユーザにより、1台の画像形成装置が共用されることになる。
【0009】
このような使用環境の下で、パソコンにおいて、ユーザが文書作成アプリケーションを起動させて文書データを作成する。文書の作成が完了してユーザにより印刷要求コマンドが発行されると、パソコンから画像形成装置へネットワーク回線を介して画像データが転送されて、画像形成装置の内部メモリに記憶されて、画像データに基づく画像が記録用紙に形成される。
【0010】
このような状況において、一度に多くの印刷要求コマンドが発行されると、印刷要求が画像形成装置の待ち行列に貯められる。パソコンにおいて、文書の作成が完了してユーザが印刷要求コマンドを発行した後に(この印刷要求は待ち行列に入るものとする)、文書作成アプリケーションにより同じ文書を修正してユーザにより印刷要求コマンドが再度発行されると、相似する(類似する)2つの文書が印刷されることになる。ユーザは、後から印刷要求コマンドを発行した、修正された文書のみを印刷したいにもかかわらず、先に印刷要求コマンドを発行した、修正されていない文書も印刷されてしまう。
【0011】
このような場合に、特許文献1に開示されたプリンタ装置を適用したところで、今回の印刷データが前回の印刷データと同じか否かを検知して、同じであれば印刷しないものに過ぎないため、ユーザにとっては不要である、修正されていない文書も、やはり印刷されてしまう。これでは、無駄な文書を印刷することを回避できず、記録用紙およびトナーの節約を可能としたり、プリンタの寿命を長くしたりすることはできない。
【0012】
したがって、本発明の目的は、ユーザが必要としない画像データの処理を適切に回避することにより、無駄を削減しつつユーザの要求を満足させることのできる、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のある局面に係る画像形成装置は、複数の処理を受け付けると待ち行列に処理対象のデータを記憶して、待ち行列における順番を用いて要求された処理を順次行なう。この画像形成装置は、処理対象のデータを受け付けるための受付手段と、待ち行列に処理対象のデータを記憶するための記憶手段と、受け付けた処理対象の第2のデータと、待ち行列に記憶された処理対象の第1のデータとの関係を判定するための判定手段と、判定された結果、第1のデータと第2のデータとが予め定められた条件を満足すると、第1のデータに代えて第2のデータを、待ち行列に記憶するための制御手段とを含む。
【0014】
この画像形成装置によると、新規に受け付けた処理対象の第2のデータと同じであると認められる第1のデータが待ち行列に記憶されていると(第1のデータと第2のデータとが予め定められた条件を満足すると)、第1のデータに代えて第2のデータが待ち行列に記憶される。このため、先に処理要求して処理待ちの状態で待ち行列に記憶された先行処理データ(第1のデータ)に対して置き換えられた最新の第2のデータに基づく処理のみを行なうことができる。この結果、先に要求された処理は実行されないので、無駄を削減しつつユーザの要求を満足させることができる。
【0015】
制御手段は、第1のデータと第2のデータとの差が予め定められた範囲内であると、第1のデータに代えて第2のデータを、待ち行列に記憶するための手段を含むように構成することができる。
【0016】
このようにすると、第1のデータと第2のデータとの差が予め定められた範囲内で同じであると認められるときには、第1のデータよりもより新たに処理が要求された第2のデータを用いて、要求された処理が行なわれる。先に要求された処理は実行されないで、最新に要求された処理のみを実行させることができる。
【0017】
制御手段は、第1のデータを作成したユーザと第2のデータを作成したユーザとが一致し、第1のデータの名称と第2のデータの名称とが一致していると、第1のデータに代えて第2のデータを、待ち行列に記憶するための手段を含むように構成することができる。
【0018】
通常、ユーザがデータを修正して画像形成装置に印刷処理を要求する場合は、同じファイル名(データの名称)のままで修正が行なわれることが多い。たとえば、誤字を修正して再度印刷処理を要求する場合である。このような場合であっても、先に要求された処理(誤字を含む文書の印刷処理)は行なわれないので、記録用紙およびトナー等の消耗品の無駄を削減することができる。なお、同じユーザが短時間で同じファイル名を印刷しなおす理由は、このような誤字の修正の場合が殆どであるので、特に、有効である。
【0019】
画像形成装置は、第1のデータと第2のデータとが類似している類似度合いを算出するための算出手段をさらに含み、制御手段は、類似度合いが予め定められた度合い以上であると、第1のデータに代えて第2のデータを、待ち行列に記憶するための手段を含むように構成することができる。
【0020】
データの名称(ファイル名)またはユーザ名が違っても、似ている処理データについては、先に要求された処理は行なわれないで、後から要求された処理のみが行なわれる。このため、記録用紙およびトナー等の消耗品の無駄を削減することができる。
【0021】
待ち行列には、2以上の第1のデータが記憶される場合には、算出手段は、各第1のデータと第2のデータとが類似している類似度合いを算出して、第2のデータと最も類似する第1のデータの類似度合いを選定するための手段を含み、制御手段は、選定された類似度合いが予め定められた度合い以上であると、最も類似する第1のデータに代えて第2のデータを、待ち行列に記憶するための手段を含むように構成することができる。
【0022】
待ち行列に記憶されたデータの中で最も類似するデータが、予め定められた度合い以上に受け付けたデータに類似するときには、先に要求された処理は行なわれないで後から要求された処理のみが行なわれる。このため、記録用紙およびトナー等の消耗品の無駄を削減することができる。
【0023】
制御手段は、第1のデータに代えて第2のデータを、待ち行列における第1のデータの位置に記憶するための手段を含むように構成することができる。
【0024】
複数のユーザから複数の処理が画像形成装置へ要求されていた場合に、新しい処理が一番最後の処理として実行されるようにすると、印刷要求したユーザは、画像形成装置の排紙トレイを見て、自分の要求が処理されていないと判断して、再度印刷を要求する可能性がある。これを防ぐために、待ち行列を置き換えることでユーザの待ち時間を置き換える前の待ち時間と同じようにして、ユーザが同じ処理を再度要求することを回避できる。無駄に印刷する記録用紙を減らすことよりも、時間を優先したいユーザの要求に応じることができる。
【0025】
制御手段は、第1のデータに代えて第2のデータを、待ち行列において最後に処理される位置に記憶するための手段を含むように構成することができる。
【0026】
待ち行列において最後に処理される位置に第2のデータを配置することにより、さらなる要求処理に適切に対応することができる。処理を要求してから処理が完了するまでの時間が長くなるので、再々要求にも対応することができる。これにより、無駄に印刷する記録用紙を減らしたいユーザの要求に応じることができる。
【0027】
画像形成装置は、第1のデータを待ち行列から削除するための手段をさらに含むように構成することができる。
【0028】
たとえば、誤字を含むようなデータであって印刷しても無駄になる第1のデータが削除されるので、無駄な印刷を回避することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る画像形成装置によると、ユーザが必要とする最新の画像データ処理要求のみを実行するようにしたので、ユーザが必要としない画像データの処理を適切に回避することにより、無駄を削減しつつユーザの要求を満足させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る制御部のブロック図である。
【図3】図2の制御部で実行される待ち行列データ置換プログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る制御部において実行される条件判定処理の詳細な制御構造を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る制御部のブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る制御部において実行される条件判定処理の詳細な制御構造を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の説明および図面では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの機能および名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。以下においては、本発明の実施の形態に係る画像形成装置をタンデム形式のフルカラータイプとして説明するが、他の形式(たとえば4サイクル)のフルカラータイプでもよく、モノクロタイプであっても構わない。
【0032】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。この画像形成装置100は、後述する待ち行列データ置換処理を実行する点が特徴である。なお、後述するように、本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置は同じ待ち行列データ置換処理において異なる条件判定処理を行なう点のみが異なり、基本的な画像形成機能はこの画像形成装置100と同じである。この画像形成装置100は、いわゆる複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であって、コピー機能(コピーモード)、ファクシミリ送受信機能(ファクシミリモード)、プリンタ機能(プリンタモード)およびスキャナ機能(スキャナモード)を有する。以下において、図1を参照して、記録用紙に画像を形成する機能(コピーモード、ファクシミリ受信モードおよびプリンタモードにおいて使用)について説明する。
【0033】
[画像形成装置の構造]
この画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色の画像または単色の画像を形成するもので、大略的には、画像形成装置100の本体部110と、自動原稿処理装置120とにより構成されている。本体部110には、画像形成部が、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等により構成されている。
【0034】
本体部110の上部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の上側には自動原稿処理装置120が取り付けられている。自動原稿処理装置120は、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。また、自動原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。原稿載置台92に載置された原稿は、原稿読取部(スキャナ部)により画像データとして読取られる。
【0035】
この画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に対応するデータである。従って、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4つの画像ステーションが構成されている。
【0036】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるために機能する。露光ユニット1には、レーザー出射部および反射ミラー等を備えたレーザースキャニングユニット(LSU:Laser Scannig Unit)として構成される。露光ユニット1は、レーザー光を走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザー光を感光体ドラム3に導くためのレンズおよびミラー等の光学要素が配置されている。
【0037】
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を、入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を、4色(Y、M、C、K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーナユニット4は、現像および画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去および回収する。
【0038】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、および中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、Y、M、C、Kの各色に対応して4本設けられている。中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、および中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
【0039】
中間転写ベルト61は、4つの感光体ドラム3に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写ベルト61は、たとえば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0040】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行なわれる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8mm〜10mmの金属(たとえばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(たとえばエチレン−プロピレン−ジエンゴム、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では転写電極としてローラ形状の電極を使用しているが、それ以外にブラシ形状の電極等を用いることが可能である。
【0041】
上述のように、各感光体ドラム3上で各色に応じて顕像化された静電潜像は中間転写ベルト61で積層される。このように、積層された画像情報は中間転写ベルト61の回転によって、後述の記録用紙と中間転写ベルト61の接触位置に配置される転写ローラ10によって記録用紙上に転写される。
【0042】
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10は所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10にはトナーを記録用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ10は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10または中間転写ベルト駆動ローラ62のいずれか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)としたものが用いられる。
【0043】
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナーまたは転写ローラ10によって記録用紙上に転写が行なわれず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去および回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する、たとえば、クリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0044】
給紙カセット81は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、本体部110の露光ユニット1の下側に設けられている。手差し給紙カセット82にも画像形成に使用するシートを載置することができる。本体部110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
【0045】
本体部110には、給紙カセット81および手差し給紙カセット82のシートを転写ローラ10および定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送出するための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット81または手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a、ピックアップローラ11b、複数の搬送ローラ12a〜搬送ローラ12d、レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
【0046】
搬送ローラ12a〜搬送ローラ12dは、シートの搬送を促進および補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。また、同様にして、ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0047】
レジストローラ13は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端とシートの先端を合わせるタイミングでシートを転写ローラ10に搬送する機能を有している。
【0048】
定着ユニット7は、ヒートローラ71および加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71および加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて、画像形成装置100の全体を制御または画像形成部を制御する制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融、混合および圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。
【0049】
この定着ユニット7には、ヒートローラ71を加熱するためのヒータ(ハロゲンヒータ等)が備えられている。
【0050】
次に、シート搬送経路を詳細に説明する。上述のように、画像形成装置100には予めシートを収納する給紙カセット81および手差し給紙カセット82が設けられている。これらの給紙カセット81または手差し給紙カセット82からシートを給紙するために、ピックアップローラ11aまたはピックアップローラ11bが配置され、シートを1枚ずつ用紙搬送路Sに導くようになっている。
【0051】
給紙カセット81または手差し給紙カセット82から搬送されるシートは、用紙搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、シートの先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、シート上に画像情報が書き込まれる。その後、シートは定着ユニット7を通過することによってシート上の未定着トナーが熱で溶融および固着されて、その後に配置された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
【0052】
上記の搬送経路は、シートに対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求の時は、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過したシートの後端が最終の搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによってシートを搬送ローラ12c、12dに導く。その後、レジストローラ13を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙トレイ91に排出される。
【0053】
この画像形成装置100には、画像形成についての要求がユーザにより入力される操作ボタン(操作キー)であるハードウェアキーが板状の操作パネル90に備えられる。このテンキーはマトリクス状に配置され、キーマトリクス回路により、押下されたキーを検出する。なお、このような操作パネル90には、この画像形成装置100の状態またはジョブの処理状況等が表示される表示パネルが設けられる。マトリクス状に配置されたキーを押下すると、キーマトリクス回路により検出されたキーに対応する数字がこの表示パネルに表示される。
【0054】
[画像形成装置の動作モード]
本実施の形態に係る画像形成装置100は、その動作モードとして、コピーモード、ファクシミリ送受信モード、プリンタモードおよびスキャナモードを備える。以下においては、これらの動作モードを説明する。
【0055】
−コピーモード−
以下において、コピーモードの動作説明を行なう。このコピーモードにおいては、主として、本体部110が動作することにより、コピー機能が実現される。なお、原稿を自動送りする場合には、自動原稿処理装置120が動作する。
【0056】
画像形成装置100においては、原稿載置台92に置かれた原稿が画像データとして読取られ、読取られた画像データが制御部へ入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施される。上述した構成を備える画像形成部は、この画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
【0057】
−ファクシミリモード−
以下において、ファクシミリモードの動作説明を行なう。このファクシミリモードにおいては、主として、送信動作は原稿読取部(スキャナ部)およびFAX通信部が動作することにより、受信動作はFAX通信部および画像形成部が動作することにより、ファクシミリ機能が実現される。
【0058】
・送信動作
画像形成装置100においては、ファクシミリモードを指定して、原稿載置台92に置かれた原稿が原稿読取部により画像データとして読取られ、読取られた画像データが制御部に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データがFAX通信部へと出力される。
【0059】
送信側の画像形成装置100のFAX通信部は、指定された送信側の回線を指定された送信先に接続して、画像データをファクシミリ通信規格に合致した通信データへ変換して、受信側のファクシミリ装置(たとえばファクシミリ機能を備えた画像形成装置100)へ送信する。
【0060】
・通信動作
回線が接続されると、受信側の画像形成装置100のFAX通信部は、送信側の画像形成装置100のFAX通信部からの通信要求信号を検出して、応答信号を送信する。その後、たとえば、FAX通信部は、送信側および受信側で互いに実装されている能力情報の受渡しを行ない利用可能な最大能力での通信速度および画像データの符号化・符号訂正方式などを決定してモデムの通信方式を設定する。この通信方式にあわせた画像信号形式を用いて、送信側の画像形成装置100のFAX通信部から受信側の画像形成装置100のFAX通信部へデータを送信する。送信が終了すると回線が切断される。
【0061】
・受信動作
受信側の画像形成装置100のFAX通信部は、受信したデータを画像データに変換して、画像形成部へ送る。なお、受信したデータを画像データへ変換するのは画像形成部であっても構わない。画像形成部は、上述したコピーモードにおける動作と同じように、受信したデータから変換された画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
【0062】
−プリンタモード−
以下において、プリンタモードの動作説明を行なう。このプリンタモードにおいては、主として、画像形成部が動作することにより、プリント機能が実現される。
【0063】
ネットワークインターフェイスを介してコンピュータからプリントデータを受信すると、受信したプリントデータを画像データに変換して、画像形成部へ送る。なお、プリントデータを画像データへ変換するのは画像形成部であっても構わない。画像形成部は、上述したコピーモードにおける動作と同じように、プリントデータから変換された画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
【0064】
−スキャナモード−
以下において、スキャナモードの動作説明を行なう。このスキャナモードにおいては、主として、原稿読取部(スキャナ部)が動作することにより、スキャナ機能が実現される。
【0065】
画像形成装置100においては、原稿載置台92に置かれた原稿が原稿読取部により画像データとして読取られ、読取られた画像データが制御部に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データが画像形成装置100の記憶装置(ハードディスク)に記憶されたり(ドキュメントファイリング)、ネットワークに接続されたコンピュータへネットワークインターフェイスを介して送信されたり(スキャンtoフォルダ)、電子メールの添付ファイルとしてネットワークインターフェイスを介して送信されたり(スキャンtoメール)する。
【0066】
[画像形成装置における待ち行列]
上述したような機能を備えた画像形成装置100においては、各モードを動作させて、ユーザからの複数の処理を順次行なうにあたり、処理を順番に実行するために、待ち行列に処理要求を貯める。
【0067】
たとえば、プリンタモードであれば、ネットワークインターフェイスを介してパソコンからプリントデータを受信すると、先に処理しているプリントデータがあると、受信した受信したプリントデータは印刷要求として待ち行列の最後尾に記憶される。ユーザからのキャンセル要求がない限り、待ち行列に記憶された印刷要求が先入れ先出しの形式で、順次、画像形成部へ送られる。上述したように、画像形成部は、コピーモードにおける動作と同じように、プリントデータから変換された画像データによって示される画像を記録用紙に印刷する。その他のモードであっても、先の処理が実行中であると一旦待ち行列に記憶されて、順次処理が実行されることになる。
【0068】
このような待ち行列に記憶されている状態の印刷要求は、ユーザからのキャンセル要求により破棄することが可能である。本実施の形態においては、新たに受信した印刷要求の画像データが、先に受信して待ち行列に記憶されている印刷要求の画像データと同じである場合、先に受信した印刷要求を後から受信した(最新の)印刷要求に置換する。このようにすることにより、先の印刷要求に基づく処理は行われないようにして、最新の印刷要求に基づく処理のみを実行することができる。
【0069】
さらに、印刷要求に対する処理は、画像データに基づく画像が記録用紙に正常に形成されて、待ち行列から削除される。このため、画像データが画像形成部へ送られた後、画像形成装置100の外部へ記録用紙が排出されるまでは前の印刷要求が処理中であるとして、次の印刷要求に基づく処理を行なわないようにされる。このため、基本的には、画像形成装置100から記録用紙を外に排出するという指令信号を出力するまでは、先の印刷要求を最新の印刷要求に置き換えることができる。
【0070】
さらに、具体的には、記録用紙へ画像を形成する場合であれば(上述したコピーモードおよびプリンタモードが該当)、画像データ処理の最終の処理として、LSUを作動させてLSUへ画像データを転送する。そのLSUへの転送処理を始める前までは、先の印刷要求を最新の印刷要求に置き換えることができる。このため、たとえば2値化等の画像処理を実行している途中であれば、印刷要求の置き換えの対象となる。
【0071】
このように、印刷要求の置き換えの対象は、システム的に後戻りができない処理を含む場合(画像処理に入ってしまうと元画像の情報が消去される処理を含む場合)は、後戻りができる最終の処理までである。
【0072】
さらに、印刷要求以外における要求の置き換えの対象は、たとえば、スキャナモードにおけるスキャンtoメール要求であれば、スキャンした画像データに、指定された宛先アドレスを付加して、ネットワークインターフェイス(LANポート)にスキャン送信指令を出力する直前までになる。ファクシミリモードにおけるFAX送信要求であれば、スキャンした画像データに、指定された宛先FAX電話番号を付加して、FAX通信部にFAX送信指令を出力する直前までになる。
【0073】
なお、ドキュメントファイリング(ドキュメントスキャン)は、画像形成装置100の外部へ、画像を形成した記録用紙が排出されるわけでもなく、画像データが送出されるわけでもないため、本実施の形態においては説明しない。
【0074】
[制御部の構造]
本実施の形態に係る画像形成装置100は、図2に示す制御部300を備える。以下、この図2に示す制御部300のブロック図を用いて、制御部300について説明する。なお、図2に示す制御部300は、画像形成装置としての一般的機能を実現する制御ブロックを備えるが、それらの制御ブロックは、本発明の本質的部分である、先の処理要求を最新の処理要求に置き換える処理とは直接関係するものではないので、その詳細についてはここでは説明しない。さらに、図2においては、処理要求は印刷要求であるものとして説明する。
【0075】
図2に示す制御部300は、新規の印刷要求に伴い受信する新規の処理データを受信する新規データ受信部310と、既に受信して処理待ち中の画像データを新規に受信した画像データと置き換える条件が成立しているか否かを判定する条件判定部320と、画像データを置き換える場合に、新規に受信した画像データを待ち行列のどの位置で置き換えるのかを決定する置換位置決定部330と、処理待ちの1以上の先行処理データが記憶される待ち行列バッファ340と、待ち行列バッファ340における先行処理データを削除したり配置したりする(これらを組合わせると置換することになる。)待ち行列調整部350とを含む。
【0076】
待ち行列バッファ340の最先(最も先に記憶)のデータは、画像形成部400における前の印刷要求についての処理が完了すると、出力制御部360を介して、画像形成部400へ出力される。
【0077】
出力制御部360は、ユーザから要求された処理を待ち行列バッファ340における行列内の順番に従い、先頭から画像形成部400へ出力するために、待ち行列バッファ340および画像形成部400を制御する。
【0078】
待ち行列バッファ340は、ユーザから要求された処理が、出力制御部360に引渡しされるまでの間に、一時的に処理の順番を付与して、記憶(保存、保持)しておくための記憶エリアである。
【0079】
待ち行列バッファ340においては、通常、新規に受信した要求は、待ち行列の一番最後(最後尾)に配置され、一番先頭の先行処理データは、出力制御部360に引渡された時点または正常に印刷処理が干渉した時点で、待ち行列バッファ340から削除される。なお、図2においては、待ち行列バッファ340には、先行処理データ(1)342、先行処理データ(2)344、先行処理データ(3)346、先行処理データ(4)348、・・・が記憶されている。本実施の形態においては、処理データは、たとえばユーザ名とファイル名とが付与された文書データであるとする。
【0080】
条件判定部320は、ユーザ名とファイル名とに基づいて、待ち行列の中に、受信した新規データのユーザ名と同じユーザ名かつ受信した新規データのファイル名と同じファイル名の、先行処理データがあるか否かを判定する。条件判定部320は、この判定に基づいて、既に受信して処理待ち中の画像データ(ここでは文書データ)を新規に受信した画像データ(ここでも文書データ)と置き換える条件が成立しているか否かを判定する。
【0081】
置換位置決定部330は、条件判定部320において、既に受信して処理待ち中の画像データを新規に受信した画像データと置き換える条件が成立していると判定された場合に、新規に受信した処理データを、先行処理データと置き換えるのか、待ち行列の最後尾に配置するのかを決定する。置換位置決定部330には、新規に受信した処理データの位置として、先行処理データの位置および待ち行列の最後尾の位置のいずれかが設定されている。
【0082】
待ち行列調整部350は、置換位置決定部330による決定に従い、待ち行列バッファ340に記憶された、指定された先行処理データを削除して、新規に受信した処理データを、先行処理データの位置または待ち行列の最後尾の位置に配置する。
【0083】
[制御部のソフトウェア構造]
図2に示す制御部300は、この画像形成装置100において、先の処理要求を最新の処理要求に置き換える動作を、以下に示すソフトウェア構成を備えたプログラムを実行することにより、実現する。
【0084】
図3は、画像形成装置100の制御部300で実行される、待ち行列データ置換プログラムの制御構造を示すフローチャートである。なお、画像形成装置100の全体を制御する制御部は、このようなプログラムと並行して、画像形成装置としての一般的機能を実現するプログラムを実行する。しかしながら、そのプログラムは、本発明の本質的部分とは直接関係するものではないので、その詳細についてはここでは説明しない。
【0085】
図3を参照して、ステップ(以下、ステップをSと記載する。)1000にて、画像形成装置100の制御部(以下、単に制御部と記載する。)300は、新規データを受信したか否かを判定する。このとき、制御部300は、新規データ受信部310が、パソコンから新規の印刷要求についての処理データを受信したか否かを基づいて、判定する。なお、コピーモードの場合には、処理データは、原稿読取部から受信した画像データになる。新規データを受信したと判定されると(S1000にてYES)、処理はS1010へ移される。もしそうでないと(S1000にてNO)、この処理はS1130へ移される。
【0086】
S1010にて、制御部300は、待ち行列にデータがあるか否かを判定する。このとき、制御部300は、待ち行列バッファ340に1以上の先行処理データが記憶されていると、待ち行列にデータがあると判定する。待ち行列にデータがあると判定されると(S1010にてYES)、処理はS1020へ移される。もしそうでないと(S1010にてNO)、この処理はS1080へ移される。
【0087】
S1020にて、制御部300は、先の処理要求を最新の処理要求に置き換える条件が満足されているか否かを判定する。なお、この処理は、条件判定部320で実行される。その詳細については後述する。
【0088】
S1030にて、制御部300は、データ置換条件(先の処理要求を最新の処理要求に置き換える条件)が一致しているか否かを判定する。データ置換条件が一致していると判定されると(S1030にてYES)、処理はS1040へ移される。もしそうでないと(S1030にてNO)、この処理はS1080へ移される。
【0089】
S1040にて、制御部300は、置換対象データ(先の処理要求の先行処理データ)の待ち行列内における位置を記憶する。S1050にて、制御部300は、置換対象データを待ち行列から削除する。これらの処理(S1040、S1050)は、待ち行列調整部350により実行される。
【0090】
S1060にて、制御部300は、新規データ(最新の処理要求データ)の位置が、置換対象データの待ち行列内での位置であるのか、待ち行列の最後尾であるのかを判定する。このとき、制御部300は、置換位置決定部330に予め設定された置換位置に基づいて、新規データの待ち行列内での位置を決定する。新規データの位置が、置換対象データの待ち行列内での位置であると判定されると(S1060にて置換対象データの位置)、処理はS1070へ移される。新規データの位置が、待ち行列の最後尾の位置であると判定されると(S1060にて待ち行列の最後尾)、処理はS1080へ移される。
【0091】
S1070にて、制御部300は、新規データの配置先を、置換対象データの待ち行列内の位置に設定する。その後、この処理はS1090へ移される。
【0092】
S1080にて、制御部300は、新規データの配置先を、待ち行列内の最後尾の位置に設定する。その後、この処理はS1090へ移される。
【0093】
S1090にて、制御部300は、設定した配置先に新規データを配置する。この処理(S1090)は、待ち行列調整部350により実行される。
【0094】
S1100にて、制御部300は、出力準備が完了したか否かを判定する。このとき、制御部300は、画像形成部400において前の処理が終了したことを出力制御部360が検出すると、出力準備が完了したと判定する。出力準備が完了したと判定されると(S1100にてYES)、処理はS1110へ移される。もしそうでないと(S1100にてNO)、この処理はS1000へ戻される。
【0095】
S1110にて、待ち行列バッファ340における待ち行列の先頭の先行処理データを出力制御部360を介して画像形成部400へ出力する。S1120にて、制御部300は、待ち行列バッファ340における待ち行列の全てを出力したか否かを判定する。待ち行列にある先行処理データの全てを出力したと判定されると(S1120にてYES)、処理は終了する。もしそうでないと(S1120にてNO)、この処理は、S1000へ戻される。
【0096】
S1130にて、制御部300は、S1010と同様にして、待ち行列にデータがあるか否かを判定する。待ち行列にデータがあると判定されると(S1130にてYES)、処理はS1100へ移される。もしそうでないと(S1130にてNO)、この処理はS1120へ移される。
【0097】
図4を参照して、図3のS1020の条件判定処理について説明する。この条件判定処理は、条件判定部320で実行される。
【0098】
S1500にて、制御部300は、受信した新規データのユーザ名を取得する。S1510にて、制御部300は、待ち行列バッファ340に記憶された待ち行列の中に、受信した新規データのユーザ名と同じユーザ名の先行処理データがあるか否かを判定する。待ち行列の中に、受信した新規データのユーザ名と同じユーザ名の先行処理データがあると判定されると(S1510にてYES)、処理はS1520へ移される。もしそうでないと(S1510にてNO)、この処理はS1550へ移される。
【0099】
S1520にて、制御部300は、受信した新規データのファイル名を取得する。S1530にて、制御部300は、待ち行列バッファ340に記憶された待ち行列の中に、受信した新規データのファイル名と同じファイル名の先行処理データがあるか否かを判定する。待ち行列の中に、受信した新規データのファイル名と同じファイル名の先行処理データがあると判定されると(S1530にてYES)、処理はS1540へ移される。もしそうでないと(S1530にてNO)、この処理はS1550へ移される。
【0100】
S1540にて、制御部300は、待ち行列のデータを削除して新規データに置換するデータ置換条件に一致していると判定する。S1550にて、制御部300は、待ち行列のデータを削除して新規データに置換するデータ置換条件に一致していいないと判定する。その後、処理は図3のS1030へ移される。
【0101】
[画像形成装置の動作]
以上のような構造およびフローチャートに基づく画像形成装置100の動作について説明する。なお、以下においては、先行処理データと置換される新規データ(最新の処理要求データ)の位置は、置換対象データの待ち行列内での位置であると設定されているものとする。
【0102】
また、以下においては、新規に受信した処理データのユーザ名およびファイル名と同じ先行処理データが待ち行列バッファ340に記憶されていた場合の画像形成装置の動作について説明する。たとえば、図2に示す待ち行列バッファ340には、
先行処理データ(1)342として、「ユーザ名:yamada−ichirou」、「ファイル名:test.doc」
先行処理データ(2)344として、「ユーザ名:suzuki−jirou」、「ファイル名:admin.doc」
先行処理データ(3)346として、「ユーザ名:tanaka−saburou」、「ファイル名:cont.doc」
先行処理データ(4)348として、「ユーザ名:suzuki−jirou」、「ファイル名:text.doc」
が記憶されていて、
新規の処理データとして、「ユーザ名:suzuki−jirou」、「ファイル名:admin.doc」を受信した場合である。
【0103】
新規の処理データを受信して(S1000にてYES)、待ち行列バッファ340に先行処理データがあるので(S1010にてYES)、条件判定処理が実行される(S1020)。
【0104】
新規に受信した処理データのユーザ名が「suzuki−jirou」として取得される(S1500)。このユーザ名「suzuki−jirou」と同じユーザ名の先行処理データが待ち行列バッファ340に先行処理データ(2)344および先行処理データ(4)348として記憶されている(S1510にてYES)。
【0105】
新規に受信した処理データのファイル名が「admin.doc」として取得される(S1520)。このファイル名「admin.doc」と同じファイル名の先行処理データが待ち行列バッファ340に先行処理データ(2)344として記憶されている(S1530にてYES)。
【0106】
新規に受信した処理データと同じユーザ名かつ同じファイル名の先行処理データが待ち行列バッファ340に記憶されていることから、待ち行列のデータを削除して新規データに置換するデータ置換条件に一致していると判定される(S1540、S1030にてYES)。
【0107】
置換対象データである先行処理データ(2)344の待ち行列内の位置が、先頭から2番目と記憶されて(S1040)、先行処理データ(2)344が削除される(S1050)。新規の処理データの位置は置換対象データの待ち行列内での位置であると設定されているので(S1060にて置換対象データの位置)、新規に受信した処理データの配置先を待ち行列バッファ340における置換対象データである先行処理データ(2)344の位置(先頭から2番目)に設定される(S1070)。
【0108】
設定された配置先に新規に受信した処理データが配置される(S1090)。これにより、待ち行列バッファ340には、
先行処理データ(1)342として、「ユーザ名:yamada−ichirou」、「ファイル名:test.doc」
先行処理データ(2)として、置き換えられた「ユーザ名:suzuki−jirou」、「ファイル名:admin.doc」
先行処理データ(3)346として、「ユーザ名:tanaka−saburou」、「ファイル名:cont.doc」
先行処理データ(4)348として、「ユーザ名:suzuki−jirou」、「ファイル名:text.doc」
が記憶されることになる。
【0109】
この状態で、画像形成部400が前の処理を完了すると出力準備が完了したと判定されて(S1100にてYES)、待ち行列の先頭の処理データから待ち行列の全ての処理データが出力されるまで(S1120にてYES)、順次、出力制御部360を介して画像形成部400へ出力される(S1110)。
【0110】
以上のようにして、本実施の形態に係る画像形成装置によると、受信した新規の処理データと同じユーザ名および同じファイル名の先行処理データが待ち行列バッファに記憶されていると、先行処理データを削除して、その削除した先行処理データの位置または待ち行列の最後尾へ新規の処理データを配置する。このため、先に処理要求して処理待ちの状態である先行処理データに置き換えられた最新の処理データに基づく処理を行なうことができる。この結果、先に要求された処理は実行されないので、無駄を削減しつつユーザの要求を満足させることができる。
【0111】
なお、処理対象データのユーザ名およびファイル名に加えて、処理対象データが作成された日時を記憶しておいて、新規に受信した処理データと同じユーザ名かつ同じファイル名の先行処理データが待ち行列バッファ340に記憶されて、さらに、新規に受信した処理データを作成した日時がより新しいことから、待ち行列のデータを削除して新規データに置換するデータ置換条件に一致していると判定するようにしても構わない。
【0112】
<第2の実施の形態>
以下に、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置は、第1の実施の形態と異なる構造を備えた処理データに対して、異なる条件判定処理を実行する。これら以外の画像形成装置100(図1)の構成については上述した第1の実施の形態と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
【0113】
図5に、本実施の形態に係る画像形成装置の制御部600の制御ブロック図を示す。この図5は、第1の実施の形態における図2に対応する。
【0114】
本実施の形態に係る制御部600の構成は、第1の実施の形態に係る制御部300の構成と比較して、条件判定部320に代えて条件判定部620を備える点と、待ち行列バッファ340に異なるデータ構造の先行処理データが記憶される点とが異なり、その他の制御部600の構造は、制御部300の構造と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
【0115】
図5に示すように、制御部600は、既に受信して処理待ち中の画像データを新規に受信した画像データと置き換える条件が成立しているか否かを判定する条件判定部620を含む。
【0116】
図5においては、待ち行列バッファ340には、先行処理データ(1)642、先行処理データ(2)644、先行処理データ(3)646、先行処理データ(4)648、・・・が記憶されている。本実施の形態においては、処理データは、たとえば画像データ(文書等のテキストデータではない)であるとする。
【0117】
条件判定部620は、画像データに基づいて、待ち行列の中に、受信した処理データと同じと認められる(以下、「同じと認められる」ことを「類似」または「相似」と記載する場合がある。)先行処理データがあるか否かを判定する。条件判定部620は、この判定に基づいて、既に受信して処理待ち中の画像データを新規に受信した画像データと置き換える条件が成立しているか否かを判定する。
【0118】
以下に、プリントモードにおける条件判定部620の機能について説明する。なお、コピーモードの場合には、スキャンした画像データについて角度変換、明度変換および色補正等の処理がさらに必要となる。
【0119】
条件判定部620は、たとえば、先行画像Aと新規に受信した画像Bとが同じであるか否かを以下のように簡易的に判定する。
【0120】
条件判定部620は、画像Aと画像Bとにおいて、画素ごとに両画像の差分を算出して、その差分の絶対値の総和を算出して、その総和としきい値とを比較して、総和がしきい値以下であると画像Aと画像Bとが同じであると判定する。
【0121】
条件判定部620は、以下のようにして、さらに詳細に、画像Aと画像Bとが同じであると判定するようにしてもよい。
【0122】
条件判定部620は、画像Aおよび画像Bを「絵領域」、「写真領域」、「文章領域」というような領域を判別する。さらに、「絵領域」に属する要素を「絵(1)」、「絵(2)」、・・・と、「写真領域」に属する要素を「写真(1)」、「写真(2)」、・・・と、「文章領域」に属する要素を「文章(1)」、「文章(2)」、・・・とラベル付けする。各要素の位置的な相関関係を示すベクトル方向およびベクトル量を取得する。
【0123】
画像Bにおいて、「絵(1)」の位置をスキャンして、さらに「絵(1)」についての画像Aと画像Bとの相似度合い(たとえば上述した簡易的な判定により算出される相似度合い)を算出する。その後、「絵(2)」、「写真(1)」、・・・についても、同じように要素ごとに、画像Aと画像Bとの相似度合いを算出する。
【0124】
画像Bにおけるベクトル方向およびベクトル量を同じように取得する。このベクトルについても同じように画像Aと画像Bとの差分を算出して、相似度合いを判別する。その各要素の相似度合いおよびベクトル量の相似度合いの総計を、画像Aと画像Bとの相似度合いとする。このようにすると、行空間が空けられただけだったり、絵が少し移動されただけだったりする場合に、同じと画像データであると判定できる点で有効である。
【0125】
図6を参照して、図3のS1020の条件判定処理について説明する。この条件判定処理は、条件判定部620で実行される。なお、この図6は、第1の実施の形態における図4に対応するものであって、同じ処理には同じステップ番号を付してある。それらの処理の内容も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0126】
S2500にて、制御部300は、待ち行列バッファ中の先行処理データの数Kを取得する。S2510にて、制御部300は、変数NにKを代入する。S2520にて、制御部300は、変数Nが1よりも小さいか否かを判定する。N<1であると判定されると(S2520にてYES)、処理はS2550へ移される。もしそうでないと(S2520にてNO)、この処理はS2530へ移される。
【0127】
S2530にて、制御部300は、新規に受信した処理データと待ち行列バッファ340に記憶された先行処理データ(N)との相似度合いSOUJI(N)を算出する。S2540にて、制御部300は、変数Nから1を減算する(N=N−1)。その後、処理はS2520へ戻される。
【0128】
S2550にて、制御部300は、K個の相似度合いSOUJI(N)(1≦N≦KでNは整数)の中で、最も似ている相似度合いSOUJI(M)を選定する(1≦M≦KでMは整数)。
【0129】
S2560にて、制御部300は、最も似ている相似度合いSOUJI(M)がしきい値以上であるか否かを判定する。このしきい値は、予め設定されているものとする。相似度合いSOUJI(M)≧しきい値であると判定されると(S2560にてYES)、処理はS1540へ移される。もしそうでないと(S2560にてNO)、この処理はS1550へ移される。
【0130】
以上のような構造およびフローチャートに基づく画像形成装置100の動作について説明する。なお、以下においては、第1の実施の形態における動作と異なる条件判定動作についてのみ説明する。
【0131】
また、以下においては、新規に受信した処理データ(画像B)と同じであると認められる先行処理データ(先行画像A(3))が待ち行列バッファ340に記憶されていた場合の画像形成装置の動作について説明する。たとえば、図5に示す待ち行列バッファ340には、先行処理データ(1)642として先行画像A(1)、先行処理データ(2)644として先行画像A(2)、先行処理データ(3)646として先行画像A(3)、先行処理データ(4)648として先行画像A(4)が記憶されていて、新規の処理データとして画像Bを受信した場合である
新規の処理データを受信して(S1000にてYES)、待ち行列バッファ340に先行処理データがあるので(S1010にてYES)、条件判定処理が実行される(S1020)。
【0132】
待ち行列バッファ中の先行処理データの数Kが取得される(S2500)。ここでは、K=4となる。変数NにK(=4)が代入される(S2510)。
【0133】
先行処理データ(4)648として待ち行列バッファ340に記憶された先行画像A(4)と新規の処理データである画像Bとの相似度合いが算出されて(ここでは算出された相似度合いをX4とする。)、SOUJI(4)にX4が格納される(S2530)。
【0134】
N=N−1としてN=3となり(S2540、S2520にてNO)、さらに、先行処理データ(3)646として待ち行列バッファ340に記憶された先行画像A(3)と新規の処理データである画像Bとの相似度合いが算出されて(ここでは算出された相似度合いをX3とする。)、SOUJI(3)にX3が格納される(S2530)。
【0135】
N=N−1としてN=2となり(S2540、S2520にてNO)、さらに、先行処理データ(2)644として待ち行列バッファ340に記憶された先行画像A(2)と新規の処理データである画像Bとの相似度合いが算出されて(ここでは算出された相似度合いをX2とする。)、SOUJI(2)にX2が格納される(S2530)。
【0136】
N=N−1としてN=1となり(S2540、S2520にてNO)、さらに、先行処理データ(1)642として待ち行列バッファ340に記憶された先行画像A(1)と新規の処理データである画像Bとの相似度合いが算出されて(ここでは算出された相似度合いをX1とする。)、SOUJI(1)にX1が格納される(S2530)。
【0137】
N=N−1としてN=0となり(S2540、S2520にてYES)、相似度合い算出ループが終了する。
【0138】
SOUJI(1)に格納されたX1、SOUJI(2)に格納されたX2、SOUJI(3)に格納されたX3、SOUJI(4)に格納されたX4の各値から、最大の相似度合いがX3であるとすると、最も似ている相似度合いSOUJI(M)はX3と選定される(S2550)。このX3が予め定められたしきい値(たとえば95%)以上であるか否かが判定される(S2560)。
【0139】
X3≧95%であるとすると(S2560にてYES)、新規に受信した処理データと同じと認められる先行処理データが待ち行列バッファ340に記憶されていることから、待ち行列のデータを削除して新規データに置換するデータ置換条件に一致していると判定される(S1540、S1030にてYES)。
【0140】
置換対象データである先行処理データ(3)646の待ち行列内の位置が、先頭から3番目と記憶されて(S1040)、先行処理データ(3)646が削除される(S1050)。新規の処理データの位置は置換対象データの待ち行列内での位置であると設定されているので(S1060にて置換対象データの位置)、新規に受信した処理データの配置先を待ち行列バッファ340における置換対象データである先行処理データ(3)646の位置(先頭から3番目)に設定される(S1070)。
【0141】
設定された配置先に新規に受信した処理データが配置される(S1090)。これにより、待ち行列バッファ340には、先行処理データ(1)642として先行画像A(1)先行処理データ(2)644として先行画像A(2)、先行処理データ(3)として置き換えられた画像B、先行処理データ(4)648として先行画像A(4)、が記憶されることになる。
【0142】
以上のようにして、本実施の形態に係る画像形成装置によると、受信した新規の処理データと同じと認められる先行処理データが待ち行列バッファに記憶されていると、先行処理データを削除して、その削除した先行処理データの位置または待ち行列の最後尾へ新規の処理データを配置する。このため、ユーザ名またはファイル名が異なっていても、先に処理要求して処理待ちの状態である先行処理データに置き換えられた最新の処理データに基づく処理を行なうことができる。この結果、先に要求された処理は実行されないので、無駄を削減しつつユーザの要求を満足させることができる。
【0143】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0144】
100 画像形成装置
300、600 制御部
310 新規データ受信部
320 条件判定部
330 置換位置決定部
340 待ち行列バッファ
350 待ち行列調整部
360 出力制御部
400 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理を受け付けると待ち行列に処理対象のデータを記憶して、前記待ち行列における順番を用いて要求された処理を順次行なう画像形成装置であって、
処理対象のデータを受け付けるための受付手段と、
前記待ち行列に処理対象のデータを記憶するための記憶手段と、
受け付けた処理対象の第2のデータと、前記待ち行列に記憶された処理対象の第1のデータとの関係を判定するための判定手段と、
前記判定された結果、前記第1のデータと前記第2のデータとが予め定められた条件を満足すると、前記第1のデータに代えて前記第2のデータを、前記待ち行列に記憶するための制御手段とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1のデータと前記第2のデータとの差が予め定められた範囲内であると、前記第1のデータに代えて前記第2のデータを、前記待ち行列に記憶するための手段を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1のデータを作成したユーザと前記第2のデータを作成したユーザとが一致し、前記第1のデータの名称と前記第2のデータの名称とが一致していると、前記第1のデータに代えて前記第2のデータを、前記待ち行列に記憶するための手段を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記第1のデータと前記第2のデータとが類似している類似度合いを算出するための算出手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記類似度合いが予め定められた度合い以上であると、前記第1のデータに代えて前記第2のデータを、前記待ち行列に記憶するための手段を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記待ち行列には、2以上の第1のデータが記憶され、
前記算出手段は、各前記第1のデータと前記第2のデータとが類似している類似度合いを算出して、前記第2のデータと最も類似する第1のデータの類似度合いを選定するための手段を含み、
前記制御手段は、前記選定された類似度合いが予め定められた度合い以上であると、前記最も類似する第1のデータに代えて前記第2のデータを、前記待ち行列に記憶するための手段を含む、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1のデータに代えて前記第2のデータを、前記待ち行列における前記第1のデータの位置に記憶するための手段を含む、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1のデータに代えて前記第2のデータを、前記待ち行列において最後に処理される位置に記憶するための手段を含む、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置は、前記第1のデータを前記待ち行列から削除するための手段をさらに含む、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−29741(P2011−29741A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170765(P2009−170765)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】