説明

画像形成装置

【課題】シートのサイズに関らず、安定的にシートを搬送することができる画像形成装置を提供することが課題である。
【解決手段】シートが取り出されるための開口部を備えるストッカと、シートを前記ストッカから取り出し、搬送する搬送部と、シート上に画像を形成する画像形成部と、を備え、ストッカは、第1のシート束を収容する第1収容部と、第2のシート束を収容する第2収容部と、着脱自在な仕切板と、シート束を支持する支持面を備える第1トレイ及び第2トレイと、第1トレイ及び第2トレイを移動させる駆動源と、第1トレイ又は第2トレイのいずれか一方の位置を検出するとともに検出信号を出力するセンサと、第1トレイ又は第2トレイのいずれか他方の支持面を、一方の支持面により定義される平面に近づけるように、駆動源を制御する制御部と、を含むことを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きなサイズのシートと小さなサイズのシートとを選択的に収容できるストッカを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの機能を備える複合機等の画像形成装置は、多くの場合、コピー用紙等のシートを収容するための複数のシート収容部を備える。複数のシート収容部には、一般的に、異なるサイズのシートが収容される。これにより、異なるサイズのシートの中から所望のサイズのシートを選択し、選択されたシート上に画像を形成することができる。
【0003】
多くの場合、画像形成装置の使用環境に応じて、使用頻度の高いサイズのシートと使用頻度の低いサイズのシートが生ずる。使用頻度の低いサイズのシート専用のシート収容部を設けることは、画像形成装置の小型化、軽量化或いは製造コストの低廉化の面から好ましくない。
【0004】
特許文献1は、シートを収容する一のストッカと、このストッカの内部空間を2つの空間に仕切る仕切板とを備える画像形成装置を開示する。特許文献1の開示発明は、仕切板を必要に応じて着脱することにより、2つの異なるサイズの用紙を選択的に収容可能となる。
【0005】
ストッカ内には、2つの可動トレイが配設される。仕切板により、ストッカの内部空間が2つの空間に仕切られたとき、これら可動トレイは、各空間内に収容された小さなサイズのシート束を支持するとともに、ストッカ上方に配設された搬送部までシート束を押し上げる役割を担う。仕切板がストッカから除去されたとき、これら可動トレイは、大きなサイズの1つのシート束を部分的に支持するとともに互いに協働して搬送部まで大きなサイズのシート束を押し上げる役割を担う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−37468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される画像形成装置の2つの可動トレイは、それぞれ独立に制御され、大きなサイズのシート束を押し上げる。例えば、コンピュータを用いて、2つの可動トレイの高さ位置が互いに等しくなるように制御することを試みたとしても、特許文献1に開示されるような独立した制御では、一方の可動トレイが他方の可動トレイに対して、意図せず高い位置に移動する可能性がある。特に、ストッカは、シートの補給のために人の手による操作がなされるため、2つの可動トレイの初期の高さ位置が等しくないことがある。一方で、搬送されるシートの厚さは、2つの可動トレイの初期の高さ位置の差と比べて、非常に小さく、薄いシートの搬送を好適に行なうための可動トレイの高さ位置に対する許容差は非常に小さい。したがって、特許文献1に開示される画像形成装置は、シートを、収容部から搬送部へ好適に受け渡すことはできない。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、シートのサイズに関らず、安定的にシートを搬送することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成する本発明の一局面に係る画像形成装置は、複数のシートを含む第1のシート束と第2のシート束とを収容可能に形成されるとともに、前記シートが取り出されるための開口部を備えるストッカと、前記ストッカの前記開口部近傍に配設されるとともに前記シートを前記ストッカから取り出し、搬送する搬送部と、該搬送部により搬送される前記シート上に画像を形成する画像形成部と、を備え、前記ストッカは、前記第1のシート束を収容する第1収容部と、該第1の収容部に隣接して配設されるとともに前記第2のシート束を収容する第2収容部と、前記第1収容部と前記第2収容部との間に着脱自在に配設される仕切板と、前記第1のシート束を支持する支持面を備える第1トレイと、前記第2のシート束を支持する支持面を備える第2トレイと、前記第1トレイ及び前記第2トレイを前記搬送部に向けて移動させる駆動源と、前記仕切板が前記第1収容部と前記第2収容部との間から除去された後に前記第1トレイ又は前記第2トレイのいずれか一方の位置を検出するとともに検出信号を出力するセンサと、前記検出信号に基づき、前記第1トレイ又は前記第2トレイのいずれか他方の支持面を、前記第1トレイ又は前記第2トレイのいずれか一方の支持面により定義される平面に近づけるように、前記駆動源を制御する制御部と、を含むことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
上記構成によれば、ストッカは、第1のシート束と第2のシート束とを収容することができる。第1のシート束及び第2のシート束を構成するシートそれぞれは、第1トレイ及び第2トレイそれぞれによって、搬送部まで運ばれる。搬送部は、ストッカの開口部を介して第1のシート束又は第2のシート束からシートを取り出し、画像形成部までシートを搬送する。画像形成部は、シート上に画像を形成する。第1収容部と第2収容部との間に配設される仕切板は着脱自在であり、仕切板が除去されると、ストッカは、第1のシート束及び/又は第2のシート束よりも大きなサイズのシートを含むシート束を収容可能となる。大きなサイズのシート束は、第1トレイと第2トレイとにより支持され、搬送部まで運ばれる。仕切板が除去された後、センサは第1トレイと第2トレイのうち一方の位置を検出することができる。制御部は、第1トレイと第2トレイのうち他方の支持面を一方の支持面により定義される平面に近づけるように駆動源を制御する。したがって、第1トレイの位置と第2トレイの位置とが互いに関連付けられて制御されることとなり、第1トレイの支持面と第2トレイの支持面との間の位置の差が所定範囲内で収められることとなる。かくして、上記構成は、シートのサイズに関らず、安定的にシートを搬送することができる画像形成装置を提供することができる。
【0011】
上記構成において、前記第1収容部及び前記第2収容部は、前記搬送部が前記ストッカから前記シートを取り出し、搬送するときの前記シートの進行方向に沿って整列し、前記シートの前記進行方向において、前記第2収容部は前記第1収容部の下流側に位置し、前記駆動源は、前記第1トレイを移動させる第1の駆動源と、前記第2トレイを移動させる第2の駆動源とを含み、前記制御部は、前記第2トレイを前記搬送部に向けて移動させる前記第2の駆動源に対する制御を開始した後に、前記第2トレイの支持面により定義される前記平面に、前記第1トレイの前記支持面が近づくように前記第1の駆動源を制御することが好ましい(請求項2)。
【0012】
上記構成によれば、第2収容部は第1収容部に対してシートの進行方向の下流側に位置しているので、仕切板が除去されるとき、第2トレイは搬送されるシートの前端領域を支持することになる。制御部は、第2トレイを移動させる第2の駆動源の制御を、第1トレイを移動させる第1の駆動源の制御より先に開始するので、第2トレイにより支持されるシートの前端領域は、第1トレイにより支持されるシートの後端領域よりも先に搬送部に近づくことになる。したがって、シートの前端領域が、後端領域より先に搬送部により取り出され搬送されることになる。したがって、ストッカから搬送部へのシートの受渡が好適に行なわれることとなる。
【0013】
上記構成において、前記センサは、互いに対向する前記第1トレイの内縁面と前記第2トレイの内縁面との間に第1の光路を形成する第1の光センサを含み、該第1の光センサは第1の受光素子を含み、前記検出信号は、前記第1の受光素子により受光された前記第1の光路に沿って進行する光の量に関する第1の情報を含み、前記制御部は、前記第1の情報に基づき前記第1の駆動源を制御することが好ましい(請求項3)。
【0014】
上記構成によれば、第2トレイに対する第1トレイの相対位置に応じて、第1の受光素子により受光される光の量は変動する。したがって、第1の受光素子により受光される光の量に基づき、第1の駆動源を制御することにより、第2トレイの支持面により定義される平面に第1トレイの支持面を適切に近づけることが可能となる。
【0015】
上記構成において、前記センサは、互いに対向する前記第1トレイの前記内縁面と前記第2トレイの前記内縁面との間に第2の光路を形成する第2の光センサを更に含み、該第2の光センサは第2の受光素子を含み、前記検出信号は、前記第2の受光素子により受光された前記第2の光路に沿って進行する光の量に関する第2の情報を含み、前記第1の受光素子が前記第1の光路に沿って進行する前記光を受光する第1位置に前記第1トレイがあるとき、前記第2の受光素子は受光せず、前記第2の受光素子が前記第2の光路に沿って進行する前記光を受光するとともに前記第1位置とは異なる前記第2トレイに対する第1トレイの相対位置である第2位置に前記第1トレイがあるとき、前記第1の受光素子は受光せず、前記制御部は、前記第2の情報に基づき、前記第2のトレイの移動に対して、前記第1のトレイの移動が先行しているか否かを判定する判定部を含むことが好ましい(請求項4)。
【0016】
上記構成によれば、第1の光センサ及び第2の光センサは、一方の受光素子が受光している間、他方の受光素子が受光しないように配設される。したがって、第1トレイの支持面が、第2トレイの支持面により定められる平面から意図せず所定距離だけずれたときに、第2の光センサからの第2の情報を含む検出信号に基づいて、制御部は、第1のトレイの移動が、第2トレイの移動に対して先行しているのか否かを判定することができる。これにより、第1トレイの相対位置の修正方向を適切に判定できるため、第1トレイの支持面を第2トレイの支持面により定められる平面に近づけることができる。
【0017】
上記構成において、前記第1の光センサ及び前記第2の光センサのうち一方が、前記第1トレイの前記内縁面に取り付けられる第1の反射型光センサであり、他方が前記第2トレイの前記内縁面に取り付けられる第2の反射型光センサであることが好ましい(請求項5)。
【0018】
上記構成によれば、第1の反射型光センサと第2の反射型光センサとが、第1トレイと第2トレイとにそれぞれ分けて配設されることにより、第1トレイと第2トレイとを比較的薄く形成することが可能となる。
【0019】
上記構成において、前記第2トレイの前記内縁面に取り付けられる第1の反射板を更に備え、該第1の反射板及び前記第1の反射型センサは、前記第1の光路及び前記第2の光路のうちいずれか一方を形成することが好ましい(請求項6)。
【0020】
上記構成によれば、第1の反射板の形状或いは寸法を変更することにより、第1の反射型光センサの受光範囲を簡単に調整することが可能となる。
【0021】
上記構成において、前記第1トレイの前記内縁面に取り付けられる第2の反射板を更に備え、該第2の反射板及び前記第2の反射型センサは、前記第1の光路及び前記第2の光路のうち他方を形成することが好ましい(請求項7)。
【0022】
上記構成によれば、第2の反射板の形状或いは寸法を変更することにより、第2の反射型光センサの受光範囲を簡単に調整することが可能となる。
【0023】
上記構成において、前記第1トレイ及び前記第2トレイのうち少なくとも一方の位置情報を含むトリガ信号を出力するトリガ装置を更に備え、前記トリガ信号に基づき、前記検出信号に基づく制御を開始するか否かの判定を行なう判定部を備えることが好ましい(請求項8)。
【0024】
上記構成によれば、第1トレイと第2トレイとを関連付けて制御する必要があるときのみ、検出信号に基づく制御を行なうことができる。したがって、搬送部に向かうシートの移動速度を向上させることができる。
【0025】
上記構成において、前記第1の駆動源は、パルスモータであり、前記トリガ信号は、前記第1の駆動源から出力されるパルス信号であり、前記制御部は、前記第1の駆動源からのパルス信号に対する第1の閾値を記憶する記憶部を更に含み、前記判定部は、前記パルス信号と前記第1の閾値とを比較するとともに該比較の結果に基づき、前記検出信号に基づく制御を開始するか否かの判定を行なうことが好ましい(請求項9)。
【0026】
上記構成によれば、第1の駆動源の信号に基づき、第1トレイの位置を割り出し、第1トレイが所定位置に達したときから、第1トレイの支持面を第2トレイの支持面により定められる平面に近づける制御を開始することができる。
【0027】
上記構成において、前記第2の駆動源は、パルスモータであり、前記トリガ信号は、前記第2の駆動源から出力されるパルス信号であり、前記制御部は、前記第2の駆動源からのパルス信号に対する第2の閾値を記憶する記憶部を更に含み、前記判定部は、前記パルス信号と前記第2の閾値とを比較するとともに該比較の結果に基づき、前記検出信号に基づく制御を開始するか否かの判定を行なうことが好ましい(請求項10)。
【0028】
上記構成によれば、第2の駆動源の信号に基づき、第2トレイの位置を割り出し、第2トレイが所定位置に達したときから、第1トレイの支持面を第2トレイの支持面により定められる平面に近づける制御を開始することができる。
【0029】
上記構成において、前記トリガ装置は、前記開口部を通じて前記シートに接触するとともに該シートの位置に応じて姿勢変更する作動部と、該作動部の姿勢を検出する姿勢センサとを含み、前記トリガ信号は、前記姿勢センサの出力信号であり、前記制御部は、前記姿勢センサの前記出力信号に対する第3の閾値を記憶する記憶部を更に含み、前記判定部は、前記姿勢信号と前記第3の閾値とを比較するとともに該比較の結果に基づき、前記検出信号に基づく制御を開始するか否かの判定を行なう判定部とを含むことが好ましい(請求項11)。
【0030】
上記構成によれば、開口部にシートが近づいたときに、作動部はシートに接触する。シートが搬送部に近づくように移動すると、作動部の姿勢が変化する。姿勢センサは、作動部の姿勢を検出する。姿勢センサの出力に応じて、制御部は、第1トレイの支持面を第2トレイの支持面により定められる平面に近づける制御を開始するか否かを判定するので、シートがストッカの開口部近傍に達するまでの移動時間を短縮することが可能となる。
【0031】
上記構成において、前記トリガ装置は、前記第1収容部及び前記第2収容部のうち少なくとも一方を横切る光路を形成する光センサであり、前記制御部は、前記光センサからの信号に基づき、前記光路が遮断されたときに前記検出信号に基づく制御を開始することが好ましい(請求項12)。
【0032】
上記構成によれば、光センサの配設位置を変更することにより、第1トレイの支持面を第2トレイの支持面により定められる平面に近づける制御の開始地点を簡便に変更することが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
上述の如く、本発明に係る画像形成装置は、シートのサイズに関らず、安定的にシートを搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示される画像形成装置のストッカのトレイを昇降させる機構の一例を説明する図である。
【図3】図1に示される画像形成装置のストッカからシートを取り出すとともに搬送する搬送部を示す図である。
【図4】図1に示されるストッカから仕切板が除去された画像形成装置を示す図である。
【図5】図1に示されるストッカの第1トレイと第2トレイに取り付けられた光センサの配置を示す図である。
【図6】図1に示されるストッカの第1トレイと第2トレイの移動を説明する図である。
【図7】図5に示される光センサの出力の一例を示す図である。
【図8】図5に示される光センサの出力パターンの一例を示す図である。
【図9】図2に示される画像形成装置の制御部の機能構成図である。
【図10】図5に示される光線センサを用いた制御を開始させるためのトリガ装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施例について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。更に、以下の説明で用いられる「シート」との用語は、コピー用紙、トレーシングペーパ、厚紙、OHPシートや画像を形成することが可能な他のシートを意味する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を主に示す。尚、図1に示される画像形成装置は、デジタル複写機であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、プリンタ、ファクシミリ或いは画像形成機能を含む複数の機能を有する複合機等とすることもできる。
【0037】
デジタル複写機1は、略直方体に形成された筐体2と、筐体2の内部空間下部に配設されるとともにシートSが蓄えられる貯留部3と、貯留部3からシートSを取り出すとともに搬送する搬送部4と、搬送途中のシートSの面にトナー画像を形成する画像形成部5と、シート上に形成されたトナー画像をシートSの面上に定着させる定着部6と、トナー画像が定着されたシートSを筐体2外に排出する排出部7とを備える。筐体2の上部には、原稿の画像を読み取るための原稿読取部8が配設される。原稿読取部8は、原稿の画像を読み取り、電子データ化する。
【0038】
貯留部3は、少量のシートSを含むシート束Tを収容する第1カートリッジ31及び第2カートリッジ32を含む。第2カートリッジ32は、第1カートリッジ31の上方に配設される。貯留部3は、第1カートリッジ31及び第2カートリッジ32が収容可能な枚数以上のシートSを含むシート束Tを収容可能に形成されるストッカ33を更に含む。ストッカ33は、第2カートリッジ32の上方に配設される。
【0039】
ストッカ33は、略矩形板状の底部331と、底部331の周縁から上方に向かって延出する周壁部332とを含む。周壁部332の上縁は、ストッカ33の開口部を形成する。底部331と周壁部332とで定められるストッカ33の内部空間に収容されたシートSは、ストッカ33の上部に形成される開口部を通じて、搬送部4により取り出され、画像形成部5に向けて搬送される。第1カートリッジ31、第2カートリッジ32及びストッカ33は、筐体2内部から引き出し可能であることが好ましい。
【0040】
ストッカ33は、ストッカ33の内部空間を横切って配設される仕切板333を更に含む。仕切板333は、底部331から上方に延出し、図1中において、ストッカ33の内部空間を左右に互いに隣接する小空間に仕切る。左方に形成される小空間を第1収容部と便宜的に称し、右方に形成される小空間を第2収容部と便宜的に称する。第1収容部には、第1トレイ334が配設され、第2収容部には第2トレイ335が配設される。第1収容部に配設されるシート束Tを第1のシート束T1と便宜的に称し、第2収容部に配設されるシート束Tを第2シート束T2と便宜的に称する。第1トレイ334は、第1のシート束T1を支持する支持面を備える。第2トレイ335は、第2のシート束T2を支持する支持面を備える。仕切板333は、第1のシート束T1と第2のシート束T2との間で立設され、第1のシート束T1及び/又は第2のシート束T2が崩れそうになったときにおいて、第1のシート束T1及び/又は第2のシート束T2を側方から支持することができる。仕切板333は、ストッカ33の底部332に対して着脱自在である。
【0041】
図2は、第1トレイ334及び第2トレイ335を上下動させるための昇降機構の一例を示す。図2と併せて、図1を参照しつつ、昇降機構について説明する。尚、図2に示される昇降機構は、単に、一例に過ぎず、第1トレイ334及び第2トレイ335を上下動させることが可能な任意の機構を昇降機構として用いてもよい。
【0042】
昇降機構34は、第1トレイ334及び第2トレイ335に一端部が接続される複数本のワイヤ341と、第1トレイ334に接続されるワイヤ341の他端部が巻回される第1ドラム342と、第2トレイ335に接続されるワイヤ341の他端部が巻回される第2ドラム343と、第1トレイ334と第1ドラム342とを結ぶワイヤ341の経路及び第2トレイ335と第2ドラム343とを結ぶワイヤ341の経路途中に配設される複数のプーリ345とを含む。
【0043】
第1ドラム342は、第1の駆動源346に接続される。第2ドラム343は、第2の駆動源347に接続される。第1の駆動源346及び第2の駆動源347は、制御回路等の制御部348に電気的に接続される。第1の駆動源346及び第2の駆動源347は、制御部348の制御下で、第1ドラム342及び第2ドラム343をそれぞれ駆動する。尚、制御部348は、デジタル複写機1(図1参照)全体の制御を司ることができる。尚、本実施形態において、第1の駆動源346及び第2の駆動源347として、パルスモータやエンコーダ付のモータ等を用いることができるが、第1ドラム342及び第2ドラム343を回転駆動することができる他の装置を用いることも可能である。更に、本実施形態において、第1ドラム342及び第2ドラム343を回転させることにより、ワイヤ341を第1ドラム342及び第2ドラム343に巻きつけて第1トレイ334及び第2トレイ335を上昇させる構造が採用されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、回転ドラム342,343並びにこれらに接続する駆動源346,347に代えて、ピストンシリンダを用いることも可能である。ピストンシリンダのロッド先端にワイヤ341の端部を接続し、ロッドをシリンダ本体内に出没させることにより、本実施形態と同様に、第1トレイ334及び第2トレイ335を移動させることができる。
【0044】
仕切板333が、ストッカ33の底部331に取り付けられている間、制御部348は、第1の駆動源346と第2の駆動源347とを独立に制御することができ、例えば、第1の駆動源346及び第2の駆動源347のうち一方のみを動作させることにより、第1トレイ334及び第2トレイ335のうち一方のみを上昇させ、搬送部4へ向けて移動させることができる。したがって、仕切板333が底部331に取り付けられているか否かを検出することができるセンサ装置が用いられてもよい。例えば、このようなセンサ装置として、ストッカ33の底部331に仕切板333が取り付けられたときに仕切板333によって遮られる光路を形成する光センサ等を用いることができる。
【0045】
第1ドラム342及び/又は第2ドラム343が、図2中、矢印で示される方向に回転すると、ワイヤ341が第1ドラム342及び/又は第2ドラム343に巻き付けられ、第1トレイ334及び/又は第2トレイ335が上昇する。第1トレイ334及び/又は第2トレイ335上にシート束Tが配設されると、シート束Tの自重により、第1トレイ334及び/又は第2トレイ335は下降することができる。尚、昇降機構34は、必要に応じて、第1トレイ334及び/又は第2トレイ335の高さ位置を制御するためのセンサを含むことができる。
【0046】
搬送部4は、ストッカ33の上部に形成される開口部近傍に配設される給送装置41を含む。昇降機構34は、第1トレイ334及び/又は第2トレイ335を上昇させ、第1トレイ334及び/又は第2トレイ335上のシート束Tを給送装置41まで運ぶ。
【0047】
図3は、給送装置41の概略図である。図3と併せて、図1を参照しつつ、給送装置41について説明する。尚、図3は、ストッカ33の第2収容部周囲の構造を併せて示している。
【0048】
上述の如く、ストッカ33の第2収容部内には、第2トレイ335が配設され、第2トレイ335の上面には、第2のシート束T2が載置される。図1及び図3中、右側に位置するストッカ33の周壁部332に近接して、ダクト411が配設される。ダクト411は、第2トレイ335により押し上げられた第2のシート束T2の側縁面に空気を吹き付ける。
【0049】
給送装置41は、ダクト411上に配設される第1端部と第2トレイ335上のシート束T2の中央部分の上方に配設される第2端部とを含むベルト装置412と、第2トレイ335上のシート束T2の左上面の上方に配設される第2ローラ装置414とを含む。図1に示されるように、給送装置41は、更に、ストッカ33の第1収容部内の第1シート束T1を取り出すための第1ローラ装置413を含む。第1ローラ装置413は、第1シート束の右上面の上方に配設される。第1ローラ装置413及び第2ローラ装置414は互いに略同様の構造をなすことができる。図3には、第2ローラ装置414を駆動するためのモータ415が示されている。
【0050】
第2トレイ335の上面の右縁に沿って、下方に向けて傾斜する傾斜面336が形成され、第2トレイ335の右縁の厚さ寸法は、第2トレイ335の他の部分の厚さ寸法と比べて小さい。第2トレイ335上の第2のシート束T2の右縁は、傾斜面336に沿って湾曲する。
【0051】
ベルト装置412は、ダクト411の上方に配設されるとともにベルト装置412の一端部を形成する駆動ローラ416と、ベルト装置412の他端部を形成するとともに駆動ローラ416の駆動力により従動回転する従動ローラ417と、駆動ローラ416と従動ローラ417とに巻回されるベルト418と、駆動ローラ416と従動ローラ417との間に配設される吸引ダクト419とを含む。尚、図3には、駆動モータ416を駆動するためのモータ421が示されている。吸引ダクト419は、ブロア等の真空源(図示せず)と、真空源に接続される断面矩形状の管路426とを含む。管路426の底壁には、複数の貫通穴427が形成される。貫通穴427を通じて、真空源からの吸引力が周囲に伝達される。
【0052】
第2ローラ装置414は、第2シート束T2の最上位置に存するシートS上で転動する送りローラ422と、送りローラ422を回転可能に支持する支持部423とを含む。送りローラ422は、送りローラ422の中央に位置する回転シャフト424周りに回転する。支持部423は、支持シャフト425により軸支され、支持シャフト425周りに回動可能である。第2ローラ装置414は更に、支持部423に取り付けられたフォトインタラプタセンサ426を備える。フォトインタラプタセンサ426は、支持部423の姿勢を検知する。図2に関連して説明された昇降機構34が第2トレイ335を上昇させると、第2トレイ335上の第2のシート束T2の上面が送りローラ422に当接し、支持部423が支持シャフト425周りに回転する。フォトインタラプタセンサ426は、支持部423が所定の姿勢(傾斜角度)となったことを検知すると、制御装置(図示せず)に検知信号を送信する。制御装置は、この検知信号に基づき、第2トレイ335の上昇動作を停止させる。モータ415と送りローラ422との間には、ギア機構(図示せず)が構築される。ギア機構は、支持部423の回動を許容しつつ、送りローラ422に駆動力を伝達する。
【0053】
フォトインタラプタセンサ426の検知信号に基づき、第2シート束T2を搬送部4へ搬送するための第2トレイ335の上昇が停止されると、第2のシート束T2の右縁面にダクトから空気が吹きかけられる。これにより、第2のシート束T2を構成するシートS間に空気が導入されることとなり、シートS間の分離が促される。モータ415は、送りローラ422を回転させ、第2のシート束T2の最上位置に存するシートSを左方へ所定距離だけ移動させる。この結果、第2のシート束T2の最上位置に存するシートSの右縁は、ベルト装置412の吸引ダクト419の下方に位置することとなる。吸引ダクト419からの吸引力は、ベルト418を介して、左方に移動されたシートSの右縁に伝達される。これにより、左方に移動されたシートSの右縁は、ベルト418に吸着され、シートSがストッカ33から取り出されることとなる。その後、モータ421及び/又はモータ415は、ベルト418及び/又は送りローラ422を反時計回りに回転させ、ベルト418に吸着されたシートSを下流へ送り出す。
【0054】
第2収容部内の第2シート束T2を用いて、ストッカ33からのシートSの取り出しについて説明してきたが、上記されたシートSの取り出しの原理及びシートSを取り出すための構造は、第1収容部内の第1のシート束T1に対しても、適用することが可能である。
【0055】
図1を再度参照する。搬送部4は、貯留部3の右側で上下方向に延びる搬送路43を含む。ベルト装置412によりストッカ33から取り出されたシートSは、搬送路43に沿って下流へ搬送される。搬送部4は更に、第1カートリッジ31及び第2カートリッジ32の右上部角隅部近傍に配設されるピックアップローラ44及びピックアップローラ44の近傍下流に配設される分離・給紙ローラ45を含む。ピックアップローラ44及び分離・給紙ローラ45は、第1カートリッジ31及び/又は第2カートリッジ32から1枚ずつシートSを取り出し、搬送路43へ搬送する。搬送部4は更に、搬送路43に沿って配設される複数の搬送ローラ46を含む。搬送ローラ46は、ストッカ33、第1カートリッジ31又は第2カートリッジ32から送り出されたシートSを、搬送路43に沿って、画像形成部5へ搬送する。
【0056】
画像形成部5は、筐体2に回転可能に支持される略円筒形状の感光体ドラム51と、感光体ドラム51の上方に配設される帯電器52とを含む。感光体ドラム51は、図1中、時計回りに回転する。帯電器52は、感光体ドラム51に電荷を付与し、感光体ドラム51周面を一様に帯電させる。画像形成部5は更に、露光装置53を備える。露光装置53は、原稿読取部8が原稿の画像を読み取ることにより得られた画像データに基づき、レーザ光を感光体ドラム51の帯電された周面に照射する。この結果、レーザ光は感光体ドラム51上の電荷を消失させるため、感光体ドラム51上には画像データに一致する静電潜像が形成されることとなる。画像形成部5は更に、現像装置54を備える。現像装置54は、トナーを収容するトナーコンテナ55を備え、トナーコンテナ55から静電潜像が形成された感光体ドラム51の周面にトナーを供給する。この結果、感光体ドラム51の周面に、静電潜像に一致するトナー像が形成されることになる。
【0057】
画像形成部5は更に、感光体ドラム51の下方に配設される転写ベルト56を含む。搬送路43を通じて、シートSは、感光体ドラム51と転写ベルト56との間に送り込まれる。感光体ドラム51と転写ベルト56との間をシートSが通過するとき、感光体ドラム51の周面に形成されたトナー像は、トナーの帯電と逆の極性の逆バイアスの印加によりシートSに転写されることとなる。
【0058】
画像形成部5は更に、シートSへトナー像を転写した後の感光体ドラム51の周面上に残留するトナーを除去するクリーニング装置57と、残留トナーの除去がなされた感光体ドラム51の周面から残留電荷を除去する除電装置58とを含む。
【0059】
画像形成部5にて、トナー像の転写がなされたシートSは、定着部6へ送られる。定着部6は、定着ローラ61と、定着ローラ61に圧接される加圧ローラ62とを含む。定着ローラ61の内部には熱源63が配設され、定着ローラ61と加圧ローラ62との間を通過するシートS上のトナーが溶融されるとともに、加圧ローラ62からの圧力によりシートS上にトナーが定着される。これにより、シートS上へのトナー像の定着がなされることとなる。
【0060】
排出機構7は、定着部6の下流に配設されるとともに筐体2の内壁面近傍に取り付けられる排出ローラ71と、排出ローラ71から筐体2外に排出されたシートSを受け止める排出トレイ72とを含む。
【0061】
図1に示されるデジタル複写機1は、ストッカ33と画像形成部5/定着部6との間に両面印刷用の搬送路47を備える。排出ローラ71は、スイッチバック方式で搬送路47へシートSを送り出すことも可能である。搬送路47は、搬送路43途中部に配設されたレジストローラ48の直前で合流する。搬送路47を通過したシートSは、レジストローラ48により画像形成部5へ送り出され、画像形成部5内でトナー像が定着されていない面にトナー像の転写がなされる。その後、定着ユニット6により新たに転写されたトナー像のシートSへの定着がなされる。最後に、シートSは排出ローラ71により排紙トレイ72上に排紙されることとなる。
【0062】
図4は、図1に示されるストッカ33から仕切板333が除去されたデジタル複写機1を示す。図4に示される如く、仕切板333が除去されたとき、ストッカ33は、大きなサイズのシートSからなるシート束T3を収容することができる。例えば、図1に示されるストッカ33内のシートSがA4サイズのシートである場合には、図4に示されるストッカ33内のシートSをA3サイズのシートとすることができる。図1及び図3に関連して説明されたベルト装置412及び第2ローラ装置414は、大きなサイズのシートSも、小さなサイズのシートSと同様に1枚ずつ搬送路43へ送り出すことができる。
【0063】
図1及び図4を参照すると、第1トレイ334が配された第1収容部と第2トレイ335が配された第2収容部とは、搬送部4によりストッカ33から取り出され、搬送されるシートSの進行方向に整列していることがわかる。第2収容部は、第1収容部に対して、シートSの搬送方向の下流側に位置する。したがって、第2トレイ335は、大きなサイズのシートSの前端領域(進行方向先頭側に位置する半面領域)を支持し、第1トレイ334は、大きなサイズのシートSの後端領域(進行方向後ろ側に位置する半面領域)を支持することになる。
【0064】
図5は、第1トレイ334と第2トレイ335とを連動させて移動させる制御に用いられるセンサの配置を示す。図5(a)は、第1トレイ334と第2トレイ335の平面図であり、図5(b)は、図5(a)に示されるA−A線における断面図であり、図5(c)は、図5(c)に示されるB−B線における断面図である。尚、図5に示される第1トレイ334の支持面901と、第2トレイの支持面902とは、同一水平面に含まれ、互いに面一に配されている。尚、以下の説明において、図5に示される第1トレイ334と第2トレイ335との間の位置関係を便宜的に「基準位置」と称する。
【0065】
第1トレイ334及び第2トレイ335の上面が同一水平面上に存するように第1トレイ334と第2トレイ335とが併設されたとき、第1トレイ334及び第2トレイ335は、互いに対向する内縁面903,904を備える。
【0066】
第1トレイ334の内縁面903の正面側端部近傍に収容穴905が形成され、収容穴905内に第1の反射型光センサ906が配設される。第2トレイ335の内縁面904上には、第1の反射型センサ906に対向して、第1の反射板907が帖着される。第1の反射型光センサ906の内部には、第1の発光素子と第1の受光素子とが組み込まれる。第1トレイ334と第2トレイ335とが基準位置に存するとき、第1の発光素子から照射された光線が、第1の反射板907により反射される。これにより、互いに対抗する一対の内縁面903,904の間に第1の光路P1が形成される。第1の反射板907からの反射光は、第1の受光素子により受光される。
【0067】
第2トレイ335の内縁面904の背面側端部近傍に収容穴908が形成され、収容穴908内に第2の反射型光センサ909が配設される。第1トレイ334の内縁面903上において、第2の反射型センサ909に対向する位置より上方に、第2の反射板910が帖着される。第2の反射型光センサ909の内部には、第2の発光素子と第2の受光素子とが組み込まれる。第1トレイ334と第2トレイ335とが基準位置に存するとき、第2の発光素子から照射された光線は、第1の内縁面903に向かう。これにより、互いに対抗する一対の内縁面903,904の間に光路P2が形成される。しかしながら、第2の発光素子から照射された光線は、基準位置において、第2の反射板910の下方の内縁面903に到達するため、第2の反射板910により反射されない。したがって、第2の受光素子は、受光しない。図5に示されるように、第1トレイ334と第2トレイ335とを基準位置に配設したとき、第1反射板907、第2反射板910及び第1の反射型光センサ906を第1トレイ334の支持面901及び/又は第2トレイ335の支持面902に対して平行な線上に整列させる一方で、第2の反射型光センサ909を、第1反射板907、第2反射板910及び第1の反射型光センサ906より上の高さ位置に排泄することにより、一方の反射型光センサが受光している間、他方の反射型光センサが受光しない状態を作り出すことができる。
【0068】
図6は、第2トレイ335に対して、相対移動している第1トレイ334を示す。図6(a)乃至図6(d)は、第2トレイ335の下方位置に存する第1トレイ334が徐々に上方に向けて移動しているときの図5に示されるA−A線断面における第1トレイ334と第2トレイ335の断面を示している。図6(e)乃至図6(h)は、第2トレイ335の下方位置に存する第1トレイ334が徐々に上方に向けて移動しているときの図5に示されるB−B線断面における第1トレイ334と第2トレイ335の断面を示している。
【0069】
図7は、図6に示されるように第1トレイ334を第2トレイ335に対して相対移動させている間の第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909の出力信号を示すグラフである。図7(a)は、第1の反射型光センサ906の出力信号を示すグラフであり、図7(b)は、第2の反射型光センサ909の出力信号を示すグラフである。図7に示されるグラフの横軸は、第2トレイ334に対する第1トレイの相対移動量を示し、図7に示されるグラフの縦軸は、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909の信号電圧である。尚、第2トレイ334に対する第1トレイの相対移動量は、例えば、図2に示される第1の駆動源346及び第2の駆動源347にパルスモータを適用した場合には、第1の駆動源346及び第2の駆動源347から制御部348へ送られるパルス信号の差分演算により算出される。
【0070】
図6(a)及び図6(e)に示される如く、例えば、第1トレイ334の支持面901が第2トレイ335の下面より下に位置するとき、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909から照射された光線それぞれは、第1の反射板907及び第2の反射板910に到達せず、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909は反射光を受光しない。図7に示される相対移動量上の点線Aは、図6(a)及び図6(e)に示される第1トレイ334の位置に対応するが、このとき、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909はともに、低い信号電圧を出力する。
【0071】
その後、例えば、図2に示される制御部348が第1の駆動源346を制御し、第1トレイ334の支持面901を第2トレイの支持面902により定められる平面H(支持面902を拡張して得られる仮想平面)に近づけると、図6(b)及び図6(f)に示される第1トレイ334と第2トレイ335との位置関係を得ることができる。このとき、第1の反射型光センサ906から照射された光線は、第1の反射板907によって、反射光となって第1の反射型光センサ906に戻るが、第2の反射型光センサ909から照射された光線は、第2の反射板910に到達せず、第2の反射型光センサ909は反射光を受光しない。図7に示される相対移動量上の点線Bは、図6(b)及び図6(f)に示される第1トレイ334の位置に対応するが、このとき、第1の反射型光センサ906は高い信号電圧を出力する一方で、第2の反射型光センサ909は、低い信号電圧を出力する。
【0072】
更に、第1トレイ334を上昇させると、図6(c)及び図6(g)に示される第1トレイ334と第2トレイ335との位置関係を得ることができる。このとき、第2の反射型光センサ909から照射された光線は、第2の反射板910によって、反射光となって第2の反射型光センサ909に戻るが、第1の反射型光センサ906から照射された光線は、第1の反射板907に到達せず、第1の反射型光センサ906は反射光を受光しない。図7に示される相対移動量上の点線Cは、図6(c)及び図6(g)に示される第1トレイ334の位置に対応するが、このとき、第2の反射型光センサ909は高い信号電圧を出力する一方で、第1の反射型光センサ906は、低い信号電圧を出力する。
【0073】
図6(d)及び図6(h)に示される如く、更に、第1トレイ334を上昇させ、例えば、第2トレイ335の支持面902が第1トレイ334の下面より下に位置するとき、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909から照射された光線それぞれは、第1の反射板907及び第2の反射板910に到達せず、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909は反射光を受光しない。図7に示される相対移動量上の点線Dは、図6(d)及び図6(h)に示される第1トレイ334の位置に対応するが、このとき、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909はともに、低い信号電圧を出力する。
【0074】
図6及び図7に関連して説明したように、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909は、光路P1,P2に沿って進行する光の量に関する情報(第1の情報及び第2の情報)を含む信号を出力し、これら信号それぞれは、第2トレイ335又は第1トレイ334に対する第1トレイ334又は第2トレイ335の相対位置を検出する検出信号となる。尚、図5乃至図7に関連して説明した実施形態において、第1の反射型光センサ906及び第1の反射板907と、第2の反射型光センサ909及び第2の反射板910とを入れ替えてもよい。更に、図5乃至図7に関連して説明した実施形態において、反射型センサを光センサとして用いたが、透過型光センサを光センサとして用いてもよい。この場合には、例えば、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909に代えて、透過型光センサを構成する発光素子を用い、第1の反射板907及び第2の反射板910に代えて、透過型光センサを構成する受光素子を用いることができる。或いは、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909に代えて、透過型光センサを構成する受光素子を用い、第1の反射板907及び第2の反射板910に代えて、透過型光センサを構成する発光素子を用いることができる。
【0075】
図8は、図2に示される制御部348に向けて送信された第1の反射型光センサ906と第2の反射型光センサ909の検出信号の例を示す。図8(a)は、図7に関連して説明された信号と同一の信号であり、第1トレイ334が第2トレイ335を追い越したときに得られる信号を示す。一方、図8(b)は、図7に示された第1トレイ334の移動とは逆に、第1トレイ334が第2トレイ335に追い越されたときに得られる信号を示す。図8から明らかな如く、第1の反射型光センサ906からの高い出力信号が、第2の反射型光センサ909からの高い出力信号より先に制御部348へ送信されるときは、第1トレイ334が第2トレイ335を追い越したと判断することができる。一方、第1の反射型光センサ906からの高い出力信号が、第2の反射型光センサ909からの高い出力信号より後に制御部348へ送信されるときは、第1トレイ334が第2トレイ335を追い越されたと判断することができる。したがって、制御部348は、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909からの出力信号の組み合わせに基づき、第1トレイ334及び第2トレイ335のうちいずれのトレイが先行しているかを判断することができる。
【0076】
図9は、制御部348の機能構成を表すブロック図である。制御部348は、例えば、デジタル複写機(図1参照)の制御全般を司る制御回路として構成される。制御部348は、判定部481と記憶部482とを含む。判定部481は、例えば、上述された先行しているトレイの判定を行なうことができる。判定部481は、例えば、制御回路に含まれるCPUとして構成される。記憶部482は、例えば、制御回路に含まれるROMやRAM等のメモリデバイスとして構成される。
【0077】
制御部348は、第1の反射型光センサ906、第2の反射型光センサ909、第1の駆動源346及び第2の駆動源347に電気的に接続される。制御部348は、第1の反射型光センサ906及び第2の反射型光センサ909の出力信号を受信し、これら出力信号に基づき、第1の駆動源346及び第2の駆動源347を制御するための制御信号を送信する。第1の駆動源346及び第2の駆動源347は、パルスモータの回転数に対応するパルス信号を制御部348に送信する。例えば、制御部348は、第2の駆動源347を制御し、第2トレイ335を所定の速度で上昇させる。その後、制御部348は、第1の反射型光センサ906及び/又は第2の反射型光線センサ909からの検出信号並びに第1の駆動源346及び第2の駆動源347からのパルス信号に基づき、第1トレイ334が第2トレイの上昇移動に追随するように、第1の駆動源346を制御し、第1トレイ334の支持面901が第2トレイ335の支持面902により定義される平面Hを超えないように、第1トレイ334を上昇させる(図6(a)及び図6(e)参照)。意図せず、第1トレイ334が第2トレイ335を追い抜いてしまった場合や第2トレイ335に対する第1トレイ334の位置が不明となった場合には、図8に関連して説明された第1の反射型光センサ906と第2の反射型光センサ907との出力信号の関係を用いた判定により、第2トレイ335に対する第1トレイ334の追随関係を復帰させることが可能となる。これにより、第2トレイ335が支持するシートSの前端領域が、後端領域よりも先にベルト装置412に吸着されることとなり、ストッカ33からのシートSの取り出し並びに搬送を好適に実行することができる(図4参照)。
【0078】
第1の駆動源346及び/又は第2の駆動源347を、第1の反射型光センサ906及び/又は第2の反射型光センサ906の検出信号を用いた制御を開始するためのトリガ信号を送信するトリガ装置として用いることも可能である。このとき、第1の駆動源346及び/又は第2の駆動源347が送信するパルス信号は、トリガ信号として用いられる。例えば、第1の駆動源346及び/又は第2の駆動源347のパルス信号に基づき、第1トレイ334及び/又は第2トレイ335の高さ位置を割り出すことができる。記憶部482は、第1トレイ334及び/又は第2トレイ335のパルス信号に対する閾値(第1の閾値及び/又は第2の閾値)を格納する。判定部481は、記憶部からパルス信号に対する閾値を読み出すとともに、読み出された閾値と第1の駆動源346及び/又は第2の駆動源347から受信したパルス信号とを比較する。読み出された閾値と第1の駆動源346及び/又は第2の駆動源347から受信したパルス信号の値が同値になった場合或いは第1の駆動源346及び/又は第2の駆動源347から受信したパルス信号の値が閾値を超えた場合又は下回った場合に、制御部348は、上述された第1の反射型光センサ906及び/又は第2の反射型光センサ906の検出信号を用いた制御を開始し、例えば、第2トレイ335に対して第1トレイ334を追随させることができる。この結果、記憶部482に記憶されたパルス信号に対する閾値によって定められる所定の高さ位置に、第1トレイ334及び/又は第2トレイ335が到達した後に、第1トレイ334の追随動作が開始することとなる。したがって、上述の高さ位置に達するまでは、第1トレイ334と第2トレイ335が独立して制御されるため、第1トレイ334及び第2トレイ335の上昇移動を比較的速くすることが可能となる。
【0079】
第1トレイ334及び/又は第2トレイ335の位置情報を含むトリガ信号を出力するトリガ装置として、第1駆動源346及び第2駆動源347に代えて、図3に関連して説明された給送装置41のローラ装置414を用いることができる。このとき、給送装置41の送りローラ422及び支持部423は、ストッカ33の開口部を通じて、ストッカ33中のシートSと接触して、シートSの上昇に伴い姿勢を変更するため、トリガ装置の作動部として用いることができる。また、図3に関連して説明された如く、支持部423にはフォトインタラプタセンサ426は、支持部423の姿勢を検出するとともに支持部423の姿勢に応じた信号を出力する姿勢センサとして用いられる。記憶部482は、フォトインタラプタセンサ426の出力信号に対する閾値(第3の閾値)を記憶している。判定部481は、フォトインタラプタセンサ426の出力信号と記憶部482に記憶された閾値とを比較し、上述された第1の反射型光センサ906及び/又は第2の反射型光センサ906の検出信号を用いた制御を開始し、例えば、第2トレイ335に対して第1トレイ334を追随させることができる。これにより、ストッカ33内における第1トレイ334及び第2トレイ335の上昇行程の大部分において、第1駆動部346及び第2駆動部347は互いに独立して制御されることができるため、第1トレイ334及び第2トレイの上昇速度を増加させることが可能となる。
【0080】
図10は、トリガ装置の更に他の一例を示す。第1トレイ334及び第2トレイ335が所定の高さ位置を検出するために、ストッカ33の周壁部332の互いに対向する内面に光センサ911を配設してもよい。光センサ911は、図9に関連して説明された制御部384に電気的に接続される。光センサ911の光路P3が、ストッカ33内の第1収容部及び/又は第2収容部を横切るように光センサ911を配設することにより、大きなサイズのシートSを含むシート束T3が光路を横切ったとき、第1トレイ334及び/又は第2トレイ335がストッカ33内の所定の高さ位置に達したことを検知することができる。光路T3がシート束T3により遮断されたとき、判定部481は、上述された第1の反射型光センサ906及び/又は第2の反射型光センサ906の検出信号を用いた制御を開始し、例えば、第2トレイ335に対して第1トレイ334を追随させることができる。図10に示される光センサ911を用いた場合には、シート束T3が光路P3を遮るまで、第1駆動部346及び第2駆動部347は互いに独立して制御されることができるため、第1トレイ334及び第2トレイの上昇速度を増加させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、カラープリンタ、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機などの各種の画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1・・・・・デジタル複写機
33・・・・ストッカ
333・・・仕切板
334・・・第1トレイ
335・・・第2トレイ
346・・・第1の駆動源
347・・・第2の駆動源
348・・・制御部
4・・・・・搬送部
422・・・送りローラ
423・・・支持部
426・・・フォトインタラプタセンサ
5・・・・・画像形成部
901・・・第1トレイの支持面
902・・・第2トレイの支持面
903・・・第1トレイの内縁面
904・・・第2トレイの内縁面
906・・・第1の反射型光センサ
907・・・第1の反射板
909・・・第2の反射型光センサ
910・・・第2の反射板
911・・・光センサ
H・・・・・第2のトレイの支持面により定められる平面
P1・・・・第1の光路
P2・・・・第2の光路
P3・・・・光センサの光路
S・・・・・シート
T・・・・・シート束
T1・・・・第1のシート束
T2・・・・第2のシート束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートを含む第1のシート束と第2のシート束とを収容可能に形成されるとともに、前記シートが取り出されるための開口部を備えるストッカと、
前記ストッカの前記開口部近傍に配設されるとともに前記シートを前記ストッカから取り出し、搬送する搬送部と、
該搬送部により搬送される前記シート上に画像を形成する画像形成部と、を備え、
前記ストッカは、前記第1のシート束を収容する第1収容部と、
該第1の収容部に隣接して配設されるとともに前記第2のシート束を収容する第2収容部と、
前記第1収容部と前記第2収容部との間に着脱自在に配設される仕切板と、
前記第1のシート束を支持する支持面を備える第1トレイと、
前記第2のシート束を支持する支持面を備える第2トレイと、
前記第1トレイ及び前記第2トレイを前記搬送部に向けて移動させる駆動源と、
前記仕切板が前記第1収容部と前記第2収容部との間から除去された後に前記第1トレイ又は前記第2トレイのいずれか一方の位置を検出するとともに検出信号を出力するセンサと、
前記検出信号に基づき、前記第1トレイ又は前記第2トレイのいずれか他方の支持面を、前記第1トレイ又は前記第2トレイのいずれか一方の支持面により定義される平面に近づけるように、前記駆動源を制御する制御部と、を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1収容部及び前記第2収容部は、前記搬送部が前記ストッカから前記シートを取り出し、搬送するときの前記シートの進行方向に沿って整列し、
前記シートの前記進行方向において、前記第2収容部は前記第1収容部の下流側に位置し、
前記駆動源は、前記第1トレイを移動させる第1の駆動源と、前記第2トレイを移動させる第2の駆動源とを含み、
前記制御部は、前記第2トレイを前記搬送部に向けて移動させる前記第2の駆動源に対する制御を開始した後に、前記第2トレイの支持面により定義される前記平面に、前記第1トレイの前記支持面が近づくように前記第1の駆動源を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記センサは、互いに対向する前記第1トレイの内縁面と前記第2トレイの内縁面との間に第1の光路を形成する第1の光センサを含み、
該第1の光センサは第1の受光素子を含み、
前記検出信号は、前記第1の受光素子により受光された前記第1の光路に沿って進行する光の量に関する第1の情報を含み、
前記制御部は、前記第1の情報に基づき前記第1の駆動源を制御することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記センサは、互いに対向する前記第1トレイの前記内縁面と前記第2トレイの前記内縁面との間に第2の光路を形成する第2の光センサを更に含み、
該第2の光センサは第2の受光素子を含み、
前記検出信号は、前記第2の受光素子により受光された前記第2の光路に沿って進行する光の量に関する第2の情報を含み、
前記第1の受光素子が前記第1の光路に沿って進行する前記光を受光する第1位置に前記第1トレイがあるとき、前記第2の受光素子は受光せず、
前記第2の受光素子が前記第2の光路に沿って進行する前記光を受光するとともに前記第1位置とは異なる前記第2トレイに対する第1トレイの相対位置である第2位置に前記第1トレイがあるとき、前記第1の受光素子は受光せず、
前記制御部は、前記第2の情報に基づき、前記第2のトレイの移動に対して、前記第1のトレイの移動が先行しているか否かを判定する判定部を含むことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の光センサ及び前記第2の光センサのうち一方が、前記第1トレイの前記内縁面に取り付けられる第1の反射型光センサであり、他方が前記第2トレイの前記内縁面に取り付けられる第2の反射型光センサであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2トレイの前記内縁面に取り付けられる第1の反射板を更に備え、
該第1の反射板及び前記第1の反射型センサは、前記第1の光路及び前記第2の光路のうちいずれか一方を形成することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1トレイの前記内縁面に取り付けられる第2の反射板を更に備え、
該第2の反射板及び前記第2の反射型センサは、前記第1の光路及び前記第2の光路のうち他方を形成することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1トレイ及び前記第2トレイのうち少なくとも一方の位置情報を含むトリガ信号を出力するトリガ装置を更に備え、
前記トリガ信号に基づき、前記検出信号に基づく制御を開始するか否かの判定を行なう判定部を備えることを特徴とする請求項2乃至7いずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1の駆動源は、パルスモータであり、
前記トリガ信号は、前記第1の駆動源から出力されるパルス信号であり、
前記制御部は、前記第1の駆動源からのパルス信号に対する第1の閾値を記憶する記憶部を更に含み、
前記判定部は、前記パルス信号と前記第1の閾値とを比較するとともに該比較の結果に基づき、前記検出信号に基づく制御を開始するか否かの判定を行なうことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2の駆動源は、パルスモータであり、
前記トリガ信号は、前記第2の駆動源から出力されるパルス信号であり、
前記制御部は、前記第2の駆動源からのパルス信号に対する第2の閾値を記憶する記憶部を更に含み、
前記判定部は、前記パルス信号と前記第2の閾値とを比較するとともに該比較の結果に基づき、前記検出信号に基づく制御を開始するか否かの判定を行なうことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記トリガ装置は、前記開口部を通じて前記シートに接触するとともに該シートの位置に応じて姿勢変更する作動部と、該作動部の姿勢を検出する姿勢センサとを含み、
前記トリガ信号は、前記姿勢センサの出力信号であり、
前記制御部は、前記姿勢センサの前記出力信号に対する第3の閾値を記憶する記憶部を更に含み、
前記判定部は、前記姿勢信号と前記第3の閾値とを比較するとともに該比較の結果に基づき、前記検出信号に基づく制御を開始するか否かの判定を行なう判定部とを含むことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記トリガ装置は、前記第1収容部及び前記第2収容部のうち少なくとも一方を横切る光路を形成する光センサであり、
前記制御部は、前記光センサからの信号に基づき、前記光路が遮断されたときに前記検出信号に基づく制御を開始することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−42494(P2011−42494A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193434(P2009−193434)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】