説明

画像形成装置

【課題】像担持体として中間転写体、転写搬送体または感光体ベルトが用いられる画像形成装置において、ベルトに傷が付いたり、裏当て部材(対向手段・対向部材)がベルトに貼り付いたりする問題を改善し、ひいては高信頼かつ容易で正確な濃度制御や位置制御等が可能となる画像形成装置を提供する。
【解決手段】センサ対向部材49と中間転写ベルト10の裏面とを互いに接離自在とする対向手段接離手段としてのセンサ対向部材接離機構50を有する。センサ対向部材接離機構50は、センサ対向軸48と、センサ対向軸48の一端部に連結された駆動源としての駆動モータ51と、センサ対向部材49のホームポジションを検知する図示しないホームポジションセンサとから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、プロッタ等またはそれら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置に関し、さらに詳しくは、像担持体として中間転写体、転写搬送体または感光体ベルトを用いる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を使用した複写機等で画像を形成するときは、シアン(C)像、マゼンタ(M)像、イエロー(Y)像、好ましくはブラック(K)像の各色のトナー像をそれぞれの像担持体に形成し、各像担持体の転写位置にてシート材に各色のトナー像を重ねて転写することによりフルカラー画像を形成する。電子写真方式を使用した画像形成プロセスにおいては、感光体や現像剤の特性は経時的に変化するとともに使用環境においても変化する。また、トナー像の位置ずれも発生する。
すなわち、感光体および現像器の画像形成枚数による特性変動や製造時のばらつきや使用環境により、画像濃度が変動しやすく、同様に各種ローラ類の径の変動から作像速度に変動が生じ、画像の位置ずれの問題が起こるため、通常の画像形成に先立って濃度制御、位置制御が行われる。特に、上述のカラーの画像形成装置では、微妙なカラーバランスを保つことが要求されるため、M、C、Y、Kのそれぞれについてより正確な濃度、位置制御が求められている。
【0003】
このようなトナー像の濃度変化や位置ずれ防止のために、広義の像担持体(中間転写体)としてのベルト表面に光学センサを対向配置している。トナー像の変化を調べるために、通常、予め基準となるトナー像補正パターンを描画し、複数の光学センサによってトナー像補正パターンを検出し、その結果からトナー像の補正を行う。
【0004】
しかし、実際の中間転写ベルトには主走査方向、副走査方向(シート材の移動方向)に凸凹が生じてしまい、正確にトナー像補正パターンを検出できない不具合があった。この不具合を解決するために、例えば、ベルト変形を矯正できる簡易な構造の裏当て部材を用いて、精度良くトナー像検出を可能にする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、裏当て部材が回転するベルトに対して常に接触・摺動することにより、ベルトに傷が付いたり、裏当て部材がベルトに貼り付いたりするため、ひいては正確なトナー像の濃度制御、位置制御ができないという問題がある。
上述した問題は、中間転写体を用いる画像形成装置の他に、広義の像担持体として転写搬送体または感光体ベルトを用いる画像形成装置においても同様に存在する。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、特には像担持体として中間転写体、転写搬送体または感光体ベルトが用いられる画像形成装置において、ベルトに傷が付いたり、裏当て部材(対向手段・対向部材)がベルトに貼り付いたりする問題を改善し、ひいては高信頼かつ容易で正確な濃度制御や位置制御等が可能となる画像形成装置を実現し提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、トナー像を担持する無端ベルト状の像担持体と、該像担持体上のトナー像をシート状記録媒体に転写する転写手段と、前記像担持体に対向して配置され前記像担持体上のトナー像を検知する少なくとも1つのトナー像検知手段と、前記像担持体を挟んで前記トナー像検知手段に対向して該像担持体に接するように配置された少なくとも1つの対向手段とを具備する画像形成装置において、前記対向手段と前記像担持体とを接離自在とする対向手段接離手段を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記トナー像検知手段を清掃する清掃手段を有し、前記対向手段接離手段を駆動する駆動源は、前記清掃手段を駆動する駆動源と同一であることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記対向手段は、前記トナー像検知手段によるトナー像検知時にのみ、前記像担持体に接することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記対向手段は、前記像担持体を介して前記トナー像検知手段に対向する箇所にのみ配設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記トナー像検知手段および前記対向手段は、前記転写手段よりも前記像担持体の移動方向における上流側に配置されることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記転写手段と前記像担持体とを接離自在とする転写手段接離手段を有し、前記対向手段接離手段を駆動する駆動源は、前記転写手段接離手段を駆動する駆動源と同一であることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は、中間転写体であることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は、転写搬送体であることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は、感光体ベルトであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記課題を解決して新規な画像形成装置を実現し提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば、以下のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、対向手段接離手段により、対向手段と無端ベルト状の像担持体とを接離自在とすることにより、無端ベルト状の像担持体への傷付きや、貼り付きを防止できるため、ひいては高信頼かつ容易で正確な濃度制御や、位置制御を行うことが可能となる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、前記構成により、対向手段接離手段と同期・連動して清掃手段を駆動することが可能となるため、トナー像検知手段の汚染が常に無い状態で検知できるとともに、それらの駆動源を一つに減らすことができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、対向手段接離手段を介して、対向手段は、トナー像検知手段によるトナー像検知時にのみ無端ベルト状の像担持体に接することにより、無端ベルト状の像担持体への対向手段の接触時間を最小限にすることが可能となるため、無端ベルト状の像担持体への傷付きや、貼り付きをより確実に防止できるため、ひいてはより高信頼かつ容易で正確な濃度制御や、位置制御を行うことが可能となる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、対向手段は、無端ベルト状の像担持体を介してトナー像検知手段に対向する箇所にのみ配設されていることにより、トナー像検知手段で検知すべき無端ベルト状の像担持体箇所のみの凹凸等を補正することが可能となり、無端ベルト状の像担持体への対向手段の接触箇所を最小限にすることが可能となるので、無端ベルト状の像担持体への傷付きや、貼り付きをより確実に防止できるため、ひいてはより高信頼かつ容易で正確な濃度制御や、位置制御を行うことが可能となる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、対向手段接離手段によって、対向手段と無端ベルト状の像担持体とが接離自在となっているので、通常作像時の画像が乱されることがなくなるため、トナー像検知手段および対向手段が、転写手段よりも無端ベルト状の像担持体の移動方向における上流側に配置されていても、請求項1ないし4の何れか一つに記載の発明の効果を奏する。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、前記構成により、トナー像検知手段によるトナー像検知時にのみ無端ベルト状の像担持体に対向手段を接する状態にいておけば良く、対向手段接離手段と同期・連動して転写手段接離手段を駆動することが可能となるとともに、それらの駆動源を一つに減らすことができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし6の何れか一つに記載の発明の効果を、像担持体が中間転写体である画像形成装置で得られる。
請求項8記載の発明によれば、請求項1ないし4の何れか一つに記載の発明の効果を、像担持体が転写搬送体である画像形成装置で得られる。
請求項9記載の発明によれば、請求項1ないし6の何れか一つに記載の発明の効果を、像担持体が感光体ベルトである画像形成装置で得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態1を示す画像形成装置の概略的な正断面図である。
【図2】実施形態1におけるセンサ対向部材接離機構の要部の斜視図である。
【図3】センサ対向部材の形状・寸法を説明する側面図である。
【図4】本実施形態の画像形成装置で用いるトナーの形状係数SF−1を説明する図である。
【図5】本実施形態の画像形成装置で用いるトナーの形状係数SF−2を説明する図である。
【図6】実施形態1の変形例1を示す要部の斜視図である。
【図7】実施形態1の変形例2を示す要部の簡略的な正面図である。
【図8】実施形態2を示す画像形成装置の概略的な正断面図である。
【図9】実施形態3を示す画像形成装置の概略的な正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の実施形態等はこの発明における最良の実施形態の一例であって、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0025】
(実施形態1)
図1を参照して、本発明の実施形態1を説明する。同図は、実施形態1におけるカラー画像形成装置を示す概略的な構成図である。本実施形態においては、トナー像を担持する無端ベルト状の像担持体を中間転写体とし、さら具体的には中間転写体として中間転写ベルト10を用いた例で説明する。中間転写体としての中間転写ベルト10は、トナー像を担持するので広義の像担持体である。
図1に示すカラー画像形成装置は、同図における左側から右にこの順に、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーでそれぞれ画像形成を行う4つの画像形成手段(もしくは画像形成部)が中間転写ベルト10の下方に並んで配置されたタンデム・中間転写方式のカラー画像形成装置である。
同図において、イエロートナーに係る画像形成手段回りの構成要素を符号添え字「a」を付すことで、マゼンタトナーに係る画像形成手段回りの構成要素を符号添え字「b」を付すことで、シアントナーに係る画像形成手段回りの構成要素を符号添え字「c」を付すことで、ブラックトナーに係る画像形成手段回りの構成要素を符号添え字「d」を付すことでそれぞれ区別して表している。以下、各画像形成手段回りの構成要素は、トナー色等が異なるのみで同様の構成であるため、説明の簡明化を図るために、現像手段を除き、上記符号添え字を省略したアラビア数字の符号で総括的に説明するものとする(以下、各実施形態の画像形成装置でも同じ)。
【0026】
図1に示すように、本実施形態における画像形成装置は、感光体1を有し、この感光体1の周りには、清掃手段としてのクリーニングブレード3を備えた感光体クリーニングユニット2、図示しない除電手段、帯電手段としての帯電器4、露光手段5、後述する現像手段、中間転写ベルト10などが配置されている。露光手段5は、後述する中間転写ベルト10の抵抗の検知情報を元に、光量を調整する。現像手段は、イエロー現像器6、マゼンタ現像器7、シアン現像器8、ブラック現像器9の4個の現像器から構成される。
【0027】
フルカラー画像形成時は、図示しない除電手段により残留電荷を除去された感光体1の表面は帯電器4により一様に帯電される。次いで、露光手段5により画像情報に基づいてレーザ等の露光光が照射され、一様に帯電された感光体1の表面に静電潜像が形成される。この感光体1上に形成された静電潜像は、イエロー現像器6、マゼンタ現像器7、シアン現像器8、ブラック現像器9によって順に、各色のトナーが供給され現像されることで可視像(トナー像)を形成し、1次転写電流印加手段101および電源手段(図示せず)を介して1次転写バイアスが1次転写手段としての1次転写バイアスローラ11に印加されることにより、各色の可視像が図1中矢印方向に走行する中間転写ベルト10上に順次重ね合わせて転写されることでフルカラー画像(トナー像)が形成される。
【0028】
シート状記録媒体としての転写紙25は、シート給送装置31に配設されているシート給送手段としての給紙ローラ26および図示しない分離手段によって、1枚ずつ分離されて転写紙搬送ローラ27を経由して給送され、レジストローラ28のニップ部によって、その先端が一旦停止されて斜めずれなど修正された後、中間転写ベルト10面の4色重ね画像の先端部が2次転写位置に到達するタイミングに合わせてレジストローラ28から給紙される。中間転写ベルト10上の4色重ね画像は、2次転写位置、すなわち図示しない電源および2次転写電流印加手段102を介して所定の電圧が印加された、2次転写手段としての2次転写ローラ21によって、転写紙25に一括転写される。
転写紙25に転写された4色重ね画像は、図示しない除電手段によって除電された後に定着入口ガイド44に沿って定着手段30へ搬送され、定着手段30で加熱・加圧されて定着された後、排紙ローラ32によって図示しない排紙トレイに排紙される。
【0029】
以下、本実施形態の構成についてさらに詳述する。中間転写ベルト10は、1次転写バイアスローラ11、2次転写対向ローラ12、従動ローラ14、従動ローラ15、ベルトクリーニング対向ローラ13に掛け渡され、かつ、張架されている。ベルトクリーニング対向ローラ13の図示しない軸受けには、中間転写ベルト10に所定の張力を付与するための圧縮バネ13の一端が係止されていて、同ローラ13は図において左方に向かって常に付勢されている。各1次転写バイアスローラ11は、圧縮バネ等からなるローラ加圧手段29によって、中間転写ベルト10の裏面に当接し、かつ、中間転写ベルト10を介して中間転写ベルト10の表面が感光体1に接触・押圧する向きに付勢されている。
2次転写対向ローラ12は、中間転写ベルト10の駆動ローラを兼ねていて、ギヤ列等の駆動力伝達手段を介して図示しない駆動モータに連結されている。中間転写ベルト10は、上記図示しない駆動モータによって、そのプロセス速度が150mm/secで走行・駆動するように調整・設定されている。
2次転写対向ローラ12を始めとして、上記各ローラ11,13,14,15は図示しない中間転写ベルトユニット側板によって中間転写ベルト10の両側より回転可能に軸支・支持されている。
【0030】
1次転写バイアスローラ11は、画像形成手段ごとに配設されている感光体1と対向する中間転写ベルト10との接触部に配置されており、該1次転写バイアスローラ11には図示しない電源および1次転写電流印加手段101を介して、所定の転写バイアスが印加される。本実施形態例では、+1800Vが印加されるように設定されている。
【0031】
中間転写ベルト10は、PVDF(ポリフッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PC(ポリカーボネート)等の樹脂を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を10〜1012Ωcm、かつ、表面抵抗率を10〜1013Ω/□の範囲となるよう調整・設定されている。なお、必要に応じ該中間転写ベルト10の表面に離型層をコートしても良い。コートに用いる材料としては、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニルデン)、PEA(パ−フルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これに限定されるものではない。
中間転写ベルト10の製造方法は、注型法、遠心成形法等があり、必要に応じてその表面を研磨しても良い。
【0032】
中間転写ベルト10の体積抵抗率が上述した範囲を超えると、転写に必要なバイアスが高くなるため、電源コストの増大を招くため好ましくない。また、転写工程、転写紙剥離工程などで中間転写ベルト10の帯電電位が高くなり、かつ自己放電が困難になるため除電手段を設ける必要が生じる。また、体積抵抗率および表面抵抗率が上記範囲を下回ると、帯電電位の減衰が早くなるため自己放電による除電には有利となるが、転写時の電流が面方向に流れるためトナー飛び散りが発生してしまう。したがって、本実施形態における中間転写ベルト10の体積抵抗率および表面抵抗率は、上記範囲内であることが好ましい。
【0033】
体積抵抗率および表面抵抗率の測定は高抵抗抵抗率計(三菱化学社製:ハイレスタIP)にHRSプローブ(内側電極直径5.9mm、リング電極内径11mm)を接続し、体積抵抗率の測定の場合には中間転写ベルト10の表裏に100Vの電圧を、表面抵抗率の測定の場合には中間転写ベルト10の表裏に500Vの電圧を、それぞれ印加して10秒後の測定値を用いた。
【0034】
図1〜図3を参照して、本実施形態の特徴部について説明する。
図1および図2に示すように、中間転写ベルト10に形成されるトナー像の濃度を補正するため、もしくは位置ずれを補正するために、中間転写ベルト10上のトナー像を検知するトナー像検知手段としてのトナー像検知センサ46が、中間転写ベルト10の幅方向に相当する主走査方向Yの異なる箇所に主走査方向Yに沿って平行に配置されている。図2において、中間転写ベルト10を二点鎖線で示す。
図2に拡大して示すように、本実施形態では、複数個(本実施形態例では説明の簡明化のため3個)のトナー像検知センサ46が主走査方向Yに沿って延在する基板47の上端に固設されていて、光学センサユニット45を構成している。光学センサユニット45は、中間転写ベルト10の下側走行領域のベルト表面に対して鉛直方向下方に対向配置されている。基板47における図において左右の両端部は、装置本体の不動部材である一対の側板(図示せず)に固定されている。
【0035】
本実施形態の画像形成装置では、トナー像補正パターンを中間転写ベルト10に作像し、それぞれのトナー像検知センサ46にてトナー像を検知する。すなわち、本実施形態の画像形成装置は、例えば特許文献1と同様に、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーでそれぞれ画像形成を行う4つの画像形成手段に所定のレジストパターンを形成させるため、上記露光手段にレジストパターンを発生させるレジストパターン発生手段と、上記各画像形成手段で形成され、中間転写ベルト10上に転写されたレジストパターンを検出するためのパターン検出手段としての光学センサユニット45と、この光学センサユニット45で検出された結果に基づき位置ずれを補正する位置ずれ補正手段を備えている。このうち、レジストパターン発生手段および位置ずれ補正手段としては公知の種々の構成を採用できる。
【0036】
トナー像検知センサ46は、発光素子と受光素子とを備えた反射型の光学センサからなり、図において上部にレンズ面46aを有してユニット化された周知のものである。さらに具体的には、本実施形態例では説明の簡明化のためトナー像検知センサ46を3個備えた光学センサユニット45としているが、そのうち例えば主走査方向Yの両端のセンサ46は上記レジストパターンを検出するために使用され、これらの間に位置するセンサ46はトナー濃度制御用のパターンを検出するために使用される。トナー像検知センサ46は、発送素子として例えばLED(発光ダイオード)を、受光素子として例えばPD(フォトダイオード)あるいはフォトトランジスタを用いている。そして、発光素子から照射されて中間転写ベルト10の表面で正反射した反射光を受光素子で受光するように構成されている。発光素子の光軸と受光素子の光軸とを含む平面は、ベルトの幅方向と平行になるように配置されている。
【0037】
中間転写ベルト10を挟んでトナー像検知センサ46に対向する位置には、対向手段としての複数個(本実施形態例ではトナー像検知センサ46に対応して3個)のセンサ対向部材49が配置されている。各センサ対向部材49は、主走査方向Yと平行に配置されたセンサ対向軸48に位相を同じくして固定されている。センサ対向軸48の両端部は、上記図示しない側板対に配設された軸受(図示せず)に回転可能に支持されている。センサ対向部材49は、中間転写ベルト10の裏面と当接すべくセンサ対向軸48からの突出量が相対的に大きい大径部であるセンサ対向当接部49aと、これと位相を180度変えた反対側に形成され、中間転写ベルト10の裏面と当接しない小径部である非当接部49bとからなり、ほぼ三角形のカム形状をなす。
【0038】
上述のとおり、センサ対向部材49は、中間転写ベルト10を挟んで各トナー像検知センサ46に対向する箇所にのみ、主走査方向Yの異なる3箇所に断続的に、中間転写ベルト10の裏面と摺動する部分であるセンサ対向当接部49aを最小限にすべく配設されている。また、図1に示すように、センサ対向部材49および光学センサユニット45は、2次転写手段である2次転写ローラ21よりも中間転写ベルト10の図中矢印移動方向における上流側に配置されている。
【0039】
図2において、50は、センサ対向部材49と中間転写ベルト10の裏面とを互いに接離自在とする対向手段接離手段としてのセンサ対向部材接離機構を示す。センサ対向部材接離機構50は、センサ対向軸48と、センサ対向軸48の一端部に連結された駆動源としての駆動モータ51と、センサ対向部材49のホームポジションを検知する図示しないホームポジションセンサとから構成されている。
駆動モータ51は、例えばステッピングモータからなり、上記図示しない側板に固定されている。上記図示しないホームポジションセンサは、センサ対向部材49の位相を検知するものであり、センサ対向軸48の一端部または他端部に遠心方向に突出するように形成された遮光板(図示せず)と、この遮光板を挟むように配設された透過型の光学センサからなり、例えばセンサ対向部材49の非当接部49bが中間転写ベルト10の裏面に対向した位置を占めたときをホームポジションとして検知するように構成されている。
【0040】
本実施形態の制御構成について簡単に説明する。各トナー像検知センサ46および上記図示しないホームポジションは、それぞれ図示しないCPU、ROM、RAM、内部タイマ等を有する周知のマイクロコンピュータを具備した制御手段の入力側に接続されており、駆動モータ51は上記制御手段の出力側に接続されている。上記制御手段のCPUは、各トナー像検知センサ46および上記図示しないホームポジションからの検知信号および上記制御手段のROMから呼び出された動作プログラム等に基づいて、駆動モータ51の作動を制御する。
【0041】
次に、センサ対向部材接離機構50の動作について簡単に説明する。センサ対向軸48が駆動モータ51によって回転することで、センサ対向軸48と一体であるセンサ対向当接部49aが中間転写ベルト10の裏面に対して接離可能となる。すなわち、上記制御手段からの指令により、所定のパルス数が図示しないモータドライバを介して駆動モータ51に付与されることによって、駆動モータ51が回転駆動され、これによりセンサ対向軸48が回転してセンサ対向部材49のセンサ対向当接部49aが中間転写ベルト10の裏面に当接して当接位置を占める。さらに所定のパルス数または逆転用パルス数が駆動モータ51に付与されることで、センサ対向軸48がさらに回転または逆転してセンサ対向部材49の非当接部49bが中間転写ベルト10の裏面から離間した非当接位置を占めることとなる。
【0042】
センサ対向当接部49aと中間転写ベルト10の裏面とが接触した状態で中間転写ベルト10が回転されると、センサ対向当接部49aと中間転写ベルト10との摺動・摩擦により、センサ対向当接部49aが帯電する場合がある。そうすると、中間転写ベルト10上に担持されるトナー画像が帯電したセンサ対向当接部49aの上を通過するため、該トナー画像が乱される虞がある。本実施形態のように2次転写位置の上流に光学センサユニット45(センサ検知部)がある場合は、転写紙に転写するトナー画像が乱されて、画像不良となる。
また、電子写真方式の画像形成装置においては、低画像面積の画像を連続して作像した場合、トナーが劣化するため、劣化したトナーを吐き出す必要がある。この場合、転写手段である2次転写ローラ21を中間転写ベルト10に当接したままでは2次転写ローラ21が吐き出したトナーで汚染されるため、後述する図7に示す変形例2のように2次転写ローラ21を中間転写ベルト10から離間状態にする。2次転写ローラ21の中間転写ベルト10への接離駆動と、センサ対向部材49の中間転写ベルト10裏面への接離駆動を同一にする場合、2次転写ローラ21が離間状態になると、センサ対向部材49が中間転写ベルト10裏面へ当接状態になるため、その分、中間転写ベルト10の傷付きや、貼り付きが起こりやすくなる問題がある。
以上のことから、センサ対向部材49の中間転写ベルト10裏面への当接は、トナー像補正中や位置ずれ補正中のみ、すなわちトナー像検知センサ46によるトナー像検知時のみにすることが望ましい。
【0043】
以下、センサ対向軸48およびセンサ対向部材49の実施例について補説する。センサ対向軸48、センサ対向部材49の材質としては、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリアセタール樹脂(POM)等の一般樹脂材料、あるいはSUS、SUM等の快削鋼が挙げられる。好ましくは、センサ対向軸48としてSUM(快削鋼)を採用し、これにセンサ対向部材49としてABS樹脂を採用して固定する方法が良い。また、中間転写ベルト10の裏面と接する面であるセンサ対向当接部49aの外周面には、摺動性の良好な、例えばナイロン等を植毛すると良い。
【0044】
中間転写ベルト10の裏面と接してセンサ検知面を形成するセンサ対向当接部49aは、高硬度かつ高精度にする必要がある。しかしながら、センサ対向軸48とともにセンサ対向部材49の全体を、SUM(快削鋼)で作製すると、工数とともにコストも掛かってしまう。そこで、高硬度のSUM(快削鋼)をセンサ対向軸48とし、中間転写ベルト10の裏面と接する部分であるセンサ対向当接部49aは簡単に精度が出やすく割合安価なABS樹脂を使用することとした。また、中間転写ベルト10の裏面とセンサ対向当接部49a外周面とは、接して摺動することから、中間転写ベルト10の裏面に傷が付き、画像を乱す虞があるため、摺動性の良好なナイロン等を植毛する。
【0045】
図3を参照して、センサ対向軸48およびセンサ対向部材49の細部について説明する。なお、図3においては、説明および図の簡明化のため、センサ対向部材49を主走査方向Yに沿って連続的に存在するよう簡略的に図示している。
センサ対向軸48の直径はφ6mm程度、センサ対向当接部49aの外周径はφ9mm程度がよい。センサ対向当接部49aのトナー像検知センサ46に対向するセンサ検知面には、主走査方向Yと直交する中間転写ベルト10の移動方向に沿って6mm程度の平面を設ける。センサ対向軸48の両端部に位置するセンサ対向部材49の主走査方向Yに沿う幅寸法は300mm程度、センサ対向軸48の幅方向には、下記式(3)に示すように、主走査方向Yの中央に向かうほど図において上側に突出した形状となるような「タイコ」形状をつけると良い。
H=4.75−(0.25/1561.5)×|L−167.3|1.5・・・(3)
ここで、Hはセンサ対向軸48の中心からセンサ対向部材49の非当接部49b外周面までの距離を、Lはセンサ対向軸48の一端部からの主走査方向Yに沿う距離を示す。
【0046】
強度が必要なことから、センサ対向軸48の直径はφ6mm程度、センサ対向当接部49aの外周径はφ9mm程度とした。またセンサ検知面の広さは、平面で中間転写ベルト10が安定するための余裕が必要なので、6mm程度とした。
センサ対向軸48の幅方向(主走査方向Y)の長さは、できるだけ長い方が中間転写ベルト10が安定するが、中間転写ベルト10の幅の長さよりも短くする必要がある。また、センサ対向軸48が自重によって中央部が撓んでしまうため、その撓みを吸収し補正するために「タイコ」形状にする方が良い。
【0047】
図1において、19は、中間転写ベルト10をクリーニングするベルトクリーニングユニットである。ベルトクリーニングユニット19には、清掃手段としてのウレタンゴムよりなるクリーニングブレード20が配置されており、クリーニングブレード20の先端を中間転写ベルト10の表面に押し当てて、トナーを堰き止めて清掃する構成となっている。
【0048】
中間転写ベルト10をクリーニングしやすくするために、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)とを含む原料で成型された固形潤滑剤155を、潤滑剤塗布手段としての潤滑剤塗布部材152により中間転写ベルト10に塗布または付着させる工程を行う。
脂肪酸金属塩(A)とは直鎖状の炭化水素構造を持ち、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸から選択される少なくとも1種以上の脂肪酸を含有し、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウムから選択される少なくとも1種以上の金属を含有する脂肪酸金属塩が挙げられる。取り分けその中でもステアリン酸亜鉛は、工業的規模で生産され、かつ、多方面での使用実績があることから、コストと品質安定性と信頼性とで、最も好ましい材料である。ただし、一般に工業的に使われている高級脂肪酸金属塩は、その名称の化合物単体組成ではなく、多かれ少なかれ類似の他の脂肪酸金属塩、金属酸化物、および遊離脂肪酸を含むものであり、本実施形態での脂肪酸金属塩もその例外ではない。
【0049】
無機潤滑剤(B)とは、自身が劈開して潤滑する、或いは内部滑りを起こす無機化合物のことを指す。具体的な物質例としては、タルク・マイカ・窒化ホウ素・二硫化モリブデン・二硫化タングステン・カオリン・スメクタイト・ハイドロタルサイト化合物・フッ化カルシウム・グラファイト・板状アルミナ・セリサイト・合成マイカなどがあるがこれに限るものではない。中でも窒化ホウ素は、原子がしっかりと組み合った六角網面が広い間隔で重なり、層間に働く力は弱いファンデルワールス力のみであるため、容易に劈開、潤滑することから、本実施形態においては最も好ましく用いられる。なお、これらの無機潤滑剤は疎水性付与等の目的で、必要に応じて表面処理がなされていても良い。
【0050】
これらの潤滑剤は微量ずつ、粉体の形態で中間転写ベルト10の表面に供給されるのであるが、その具体的な方法としては、ブラシなどの潤滑剤塗布部材152によりブロック(塊)状に固形成型された潤滑剤を削り取って塗布する方法や、トナーに外添して供給する方法等がある。ただし、トナーに外添して潤滑剤を供給する場合、その供給量が出力する画像面積に依存し、常に中間転写ベルト表面全面に供給することはできないため、簡易な装置構成で、かつ、中間転写ベルト表面全面に安定して潤滑剤を供給しようとした場合、本実施形態例のように固形潤滑剤155をブラシ状の潤滑剤塗布部材152で削り取って塗布する方法が良い。
【0051】
固形潤滑剤155をブラシ状の潤滑剤塗布部材152で削り取るために、スプリングのような弾性体である潤滑剤加圧手段153により、固形潤滑剤155を1〜4Nの力でブラシ状の潤滑剤塗布部材152に圧接する。固形潤滑剤155の幅(紙面に垂直な感光体1の軸方向の寸法ないし中間転写ベルト10の幅方向の寸法でもある)は、画像幅よりも広く設定する必要があるため、304mm以上とする。ブラシ状の潤滑剤塗布部材152の幅は、固形潤滑剤155を均一に削り取るために、固形潤滑剤155の幅よりも大きくとる必要がある。
【0052】
2次転写ローラ21は、SUS等の金属製芯金上に、導電性材料によって10〜1010Ωの抵抗値に調整されたウレタン等の弾性体を被覆することで構成されている。ここで、2次転写ローラ21の抵抗値が上記範囲を超えると電流が流れ難くなるため、必要な転写性を得るためにはより高電圧を印加しなければならなくなり、電源コストの増大を招く。また、高電圧を印加することにより転写部ニップ前後の空隙にて放電が起こるため、ハーフトーン画像上に放電による白ポチ抜けが発生する。逆に、2次転写ローラ21の抵抗値が上記範囲を下回ると同一画像上に存在する複数色画像部(例えば3色重ね像)と単色画像部との転写性が両立できなくなる。これは、2次転写ローラ21の抵抗値が低いと、比較的低電圧で単色画像部を転写するのに十分な電流が流れるが、複数色画像部を転写するには単色画像部に最適な電圧よりも高い電圧値が必要となるため、複数色画像部を転写できる電圧に設定すると単色画像では転写電流過剰となり転写効率の低減を招くからである。
なお、2次転写ローラ21の抵抗値測定は、導電性の金属製板に2次転写ローラ21を設置し、芯金両端部に片側4.9N(両側で合計9.8N)の荷重を掛けた状態にて、芯金と前記金属製板との間に1000Vの電圧を印加した時に流れる電流値から算出した。
また、2次転写ローラ21は駆動ギヤ(図示せず)によって駆動力が与えられており、その周速度は中間転写ベルト10の周速度に対して、略同一となるよう調整・設定されている。
【0053】
2次転写ローラ21には、図示しない電源および2次転写電流印加手段102を介して所定の電圧が印加されている。2次転写は、定電流で制御され、本実施形態例ではその設定値を+30μAとした。
【0054】
本実施形態で用いたトナーは、重合法によって生成された重合トナーであり、その形状係数SF−1が100〜180、形状係数SF−2が100〜180の範囲にある重合トナーを用いることが好ましい。
図4は形状係数SF−1を、図5は形状係数SF−2をそれぞれ説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合、トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0055】
形状係数SF−2は、トナー形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合、トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0056】
形状係数SF−1、SF−2の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1、SF−2の何れかが180を超えると、転写率が低下するとともに転写手段に付着した場合のクリーニング性も低下するため好ましくない。
また、トナー粒径は体積平均粒径で4〜10μmの範囲であることが望ましい。これよりも小粒径の場合には、現像時に地汚れの原因となったり、流動性が悪化し、さらに凝集しやすくなるので中抜けが発生しやすくなる。逆にこれよりも大粒径の場合には、トナー飛び散りや、解像度悪化により高精細な画像を得ることができない。本実施形態例では、トナー粒径の体積平均粒径が4〜10μmの範囲内の6.5μmのものを用いた。
【0057】
本実施形態によれば、上記構成および動作のとおり、これに対応した請求項1、3〜5、7に係る上述した効果を奏することは無論である。
【0058】
(実施形態1の変形例1)
図2に示した実施形態1のように、センサ対向部材49を中間転写ベルト10に当接状態にした場合、中間転写ベルト10とトナー像検知センサ46との距離が近くなることにより、トナー像検知センサ46がトナー飛散の影響を受けやすくなり、トナー像検知センサ46の検知面であるレンズ面46aがトナー付着で汚れてしまい、トナー像補正パターンやレジストパターン等のトナー像の検知・読み取りが正確にできなくなる問題がある。また、この問題を解決すべく、清掃手段を付加して自動的に駆動することを考えた場合、新たな駆動源が必要になってしまう。そこで、これらの問題を解決すべく実施形態1の変形例1を創作した。
【0059】
図6を参照して、変形例1を説明する。同図において、中間転写ベルト10の図示は省略されている。
変形例1は、図1〜図3に示した実施形態1と比較して、図6に示すように、トナー像検知センサ46のレンズ面46aを清掃する清掃ブラシ54aを備えた清掃手段としての清掃部材54(本実施形態例では3箇所のトナー像検知センサ46に対応して3個配置)を新たに用いる点、駆動モータ51を備えた対向部材駆動機構50(対向手段接離手段)に代えて、後述するように清掃部材54を主走査方向Yに往復移動させるための清掃手段の駆動源としての駆動モータ57を備え、清掃部材54の駆動動作と同期・連動して対向部材49を中間転写ベルト10に接離動作させる駆動力伝達機構56を用いる点が主に相違する。
この相違点以外の変形例1の構成は、実施形態1と同様である。換言すれば、駆動力伝達機構56は、対向手段接離手段の駆動力伝達手段としての対向部材接離機構56とも読み替え可能な機能・構成を有する。
つまり、変形例1は、清掃部材54の駆動源としての駆動モータ57を用いて、中間転写ベルト10の裏面に対してセンサ対向部材49を接離駆動する構成であり、対向手段接離手段の駆動源と清掃手段の駆動源とが同一であることを特徴としている。
【0060】
清掃部材54は、その先端下端部に設けられた清掃ブラシ54aがトナー像検知センサ46の上方において、レンズ面46aに当接可能に設置されている。清掃ブラシ54aは、ポリエステル系の原糸を織った基布により構成されている。3個の清掃部材54は、上記図示しない側板間に設けられたガイド部材(図示せず)によって主走査方向Yに往復移動可能に支持されている可動板55の上部に固設されていて、可動板55とともに主走査方向Yに往復移動可能な清掃ユニット53を構成している。可動板55の図において右奥側端部は、同図において奥側の上記図示しない側板に固着された不動部材との間に介装された圧縮バネ55Aによって、可動板55の圧接部55aが図において左手前側に常に移動する向き、すなわちカム58の輪郭周面に圧接する向きに付勢されている。
【0061】
駆動モータ57は、例えばステッピングモータからなる。駆動モータ57の出力軸には、大径部および小径部を備えたほぼ三角板状のカム58が固設されている。カム58の輪郭周面には、圧縮バネ55Aによって図において手前側に常に移動する向きに付勢された可動板55の圧接部55aが摺接している。
対向部材接離機構56は、駆動モータ57の出力軸と同軸に固設されたギヤ59と、このギヤ59と噛み合うギヤ60と、このギヤ60のギヤ軸60aに固設されセンサ対向軸48の一端部に固設された互いに噛み合うベベルギヤ61とから構成されている。ギヤ59およびギヤ60は平歯車、ベベルギヤ61は直歯傘歯車である。
【0062】
本変形例の制御構成について簡単に説明する。各トナー像検知センサ46および上記図示しないホームポジションは、実施形態1と同様構成のマイクロコンピュータを具備した制御手段の入力側に接続されており、駆動モータ57は上記制御手段の出力側に接続されている。上記制御手段のCPUは、各トナー像検知センサ46および上記図示しないホームポジションからの検知信号および上記制御手段のROMから呼び出された動作プログラム等に基づいて、駆動モータ57の作動を制御する。
【0063】
次に、変形例1の要部の動作について簡単に説明する。実施形態1と同様に、所定のパルス数が駆動モータ57に付与されることによって、圧縮バネ55Aの付勢力に抗してカム58が回転する。カム58の回転により、図6に示すようにカム58の大径部、小径部周面が順次圧接部55aと摺接することによって、清掃ユニット53は主走査方向Yに往復運動することとなり、これにより各トナー像検知センサ46のレンズ面46aが清掃ブラシ54aで清掃される。
一方、上記清掃動作と同期・連動して、駆動モータ57の回転駆動力が対向部材接離機構56を介して、センサ対向軸48に伝達されることで、センサ対向軸48と一体であるセンサ対向当接部49aが中間転写ベルト10の裏面に対して接離可能となる。すなわち、実施形態1と同様に、上記図示しないホームポジションからの出力信号に基づいて、上記図示しない制御手段のCPUによって駆動モータ57が制御されることで、センサ対向軸48が回転してセンサ対向部材49のセンサ対向当接部49aが中間転写ベルト10の裏面に当接して当接位置を占める。さらに所定のパルス数が駆動モータ57に付与されることで、センサ対向軸48がさらに回転してセンサ対向部材49の非当接部49bが中間転写ベルト10の裏面から離間した非当接位置を占めることとなる。
【0064】
変形例1によれば、上記構成および動作のとおり、これに対応した請求項2、7に係る上述した効果を奏することは無論である。
【0065】
(実施形態1の変形例2)
トナー像検知センサ46によるトナー像検知時(トナー像調整時)には、通紙を行わないことにより、転写手段がトナー像補正パターン等のトナー像調整用の画像により汚染される問題がある。そのため、図1の画像形成装置は、トナー像調整中では2次転写ローラ21(2次転写手段)が中間転写ベルト10(像担持体)から離間した状態に動作させる転写手段接離手段を有していることが一般的である。本変形例は、上記転写手段接離手段を利用して、対向手段接離手段の駆動力伝達手段を構成するものである。
【0066】
図7を参照して、変形例2を説明する。
変形例2は、実施形態1と比較して、2次転写ローラ21(転写手段)と中間転写ベルト10(像担持体)とを互いに接離自在とする転写手段接離手段としての転写ローラ接離機構70を新たに用いる点、駆動源としての駆動モータ51を備えたセンサ対向部材接離機構50に代えて、転写ローラ接離機構70の駆動源としての駆動モータ71を備え、転写ローラ接離機構70の接離動作と同期・連動して対向部材49を中間転写ベルト10に接離動作させる駆動力伝達機構76を用いる点が主に相違する。
この相違点以外の変形例2の構成は、実施形態1と同様である。換言すれば、駆動力伝達機構76は、対向手段接離手段の駆動力伝達手段としての対向部材接離機構76とも読み替え可能な機能・構成を有する。
つまり、変形例2は、転写ローラ接離機構70の駆動モータ71を用いて、駆動力伝達機構76を介して中間転写ベルト10の裏面に対してセンサ対向部材49を接離駆動する構成であり、対向手段接離手段の駆動源と転写手段接離手段の駆動源とが同一であることを特徴としている。
【0067】
転写ローラ接離機構70は、駆動モータ71、接離カム72、接離レバー73、支軸74、引張バネ75から主に構成されている。
駆動モータ71は、例えばステッピングモータからなる。駆動モータ71の出力軸には、大径部および小径部を備えたほぼ三角板状の接離カム72が固設されている。2次転写ローラ21は、自身の軸21aの軸受部にその一端が係止された圧縮バネ(図示せず)によって、中間転写ベルト10を介して2次転写対向ローラ12に圧接する向きに付勢されている。上記図示しない側板対には、2次転写ローラ21の軸21aの両端部を、中間転写ベルト10を介して2次転写対向ローラ12に対して接離する際の移動動作を可能とする案内溝が形成されている。支軸74は、直定規状の接離レバー73を揺動可能に支持すべく、上記図示しない側板間に揺動可能に支持されている。接離カム72の輪郭周面には、上記図示しない側板と接離レバー73中央部との間に係止された引張バネ75によって、支軸74を中心として図において常に反時計回りに揺動するよう付勢された接離レバー73の一端部73aが摺接している。
【0068】
駆動力伝達機構76は、駆動モータ71の出力軸に固設されたギヤ71Aと、このギヤ71Aと噛み合う第1アイドラギヤ77と、この第1アイドラギヤ77と噛み合う第2アイドラギヤ78と、この第2アイドラギヤ78と噛み合う対向部材駆動ギヤ79とから構成されている。ギヤ71A、第1アイドラギヤ77、第2アイドラギヤ78、対向部材駆動ギヤ79は平歯車である。ギヤ71Aは、接離カム72の軸と同軸である駆動モータ71の出力軸に固設されている。対向部材駆動ギヤ79は、センサ対向軸48に固設されている。
図7ではギヤ71A、第1アイドラギヤ77、第2アイドラギヤ78、対向部材駆動ギヤ79を簡略的に示しているが、これらギヤ列の歯数比は、センサ対向部材49のセンサ対向当接部49aが中間転写ベルトの裏面から離間した離間位置を占めたとき、2次転写ローラ21が中間転写ベルト10を介して2次転写対向ローラ12に圧接する位置を常に占めるように、またこれと反対に2次転写ローラ21が中間転写ベルト10を介して2次転写対向ローラ12から離間した位置を占めたとき、センサ対向当接部49aが中間転写ベルトの裏面に当接する当接位置を占めるように設定されている。
【0069】
本変形例の制御構成は、実施形態1のそれと比較して、駆動モータ57に代えた駆動モータ71を用いる制御であり、当業者であれば実施形態1および変形例1から容易に理解して実施できるからこれ以上の説明を省略する。
【0070】
次に、変形例2の要部の動作について説明する。実施形態1と同様に、所定のパルス数が駆動モータ71に付与されることによって、転写ローラ接離機構70が作動する。駆動モータ71の回転駆動により、引張バネ75の付勢力に抗して接離カム72が回転する。この接離カム72の回転により、接離カム72の大径部が接離レバー73の一端部73aを持ち上げると、接離レバー73が支軸74を中心として図において時計回りに揺動されることで、接離レバー73の他端部73bが上記図示しない圧縮バネの付勢力に抗して2次転写ローラ21の軸21aを押し動かすことで、2次転写ローラ21は2次転写対向ローラ12から離れて離間した位置を占める。
この際同時に、上記転写ローラ接離機構70による2次転写ローラ21の離間動作と同期・連動して、駆動モータ71の回転駆動力が駆動力伝達機構76を介して、センサ対向軸48に伝達されることで、センサ対向部材49のセンサ対向当接部49aが中間転写ベルト10の裏面に当接することにより、センサ対向部材49は当接位置を占めることとなる。
【0071】
一方、さらに所定のパルス数または逆転用のパルス数が駆動モータ71に付与されることによって、図7に示すように接離カム72が回転してその小径部が接離レバー73の一端部73aに摺接すると、引張バネ75の付勢力により、接離レバー73が支軸74を中心として図において反時計回りに揺動されることで、接離レバー73の他端部73bが2次転写ローラ21の軸21aから離れることで、2次転写ローラ21は図示しない圧縮バネの付勢力によって中間転写ベルト10を介して2次転写対向ローラ12に当接した位置を占める。
この際同時に、上記転写ローラ接離機構70による2次転写ローラ21の当接動作と同期・連動して、駆動モータ71の回転駆動力が駆動力伝達機構76を介して、センサ対向軸48に伝達されることで、センサ対向部材49の非当接部49bが中間転写ベルト10の裏面から離れることにより、センサ対向部材49は離間位置を占めることとなる。
【0072】
上述したとおり、通常の通紙時は、センサ対向部材49と中間転写ベルト10とが当接していると、ベルトへの傷付き・磨耗、振動、異音等の問題が発生するため、センサ対向部材49と中間転写ベルト10とを離間させた方が良い。
一方、トナー像検知時は通紙されないことにより、トナー像が2次転写ローラ21に付着し、直後の通紙時に転写紙を汚してしまう問題があるため、中間転写ベルト10と2次転写ローラ21とを離間させた方が良い。
上記2点より、2次転写ローラ21の接離駆動と、センサ対向部材49の接離駆動とを同期・連動させた方が良い。これにより、駆動源を同一・共通にすることで、駆動源を一つ減らすことができる。
変形例2によれば、上記構成および動作のとおり、これに対応した請求項6、7に係る上述した効果を奏することは無論である。
【0073】
(実施形態2)
図8を参照して、本発明の実施形態2を説明する。図8に示す画像形成装置においても、上述した実施形態1、変形例1と同様の技術思想によるものであるため、多少の機能上の相違はあっても本質的に同様の機能を発揮する構成要素は、混同の虞がない限り実施形態1および変形例1で用いたと同じ符号で簡明に説明する。同図は、実施形態2におけるカラー画像形成装置を示す概略的な構成図である。本実施形態においては、像担持体を転写搬送体とし、さら具体的には転写搬送体として無端状の転写搬送ベルト18を用いた例で説明する。転写搬送ベルト18は、トナー像を担持したシート状記録媒体を担持しつつ画像形成を行うので、広義の像担持体である。
図8に示すカラー画像形成装置は、同図における右側から左にこの順に、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーでそれぞれ画像形成を行う4つの画像形成手段(もしくは画像形成部)が転写搬送ベルト18の上方に並んで配置されたタンデム・直接転写方式のカラー画像形成装置である。
本実施形態2は、実施形態1と比較して、後述するように、中間転写ベルト10を用いたタンデム・間接転写方式のカラー画像形成装置に代えて、転写搬送ベルト18を用いたタンデム・直接転写方式のカラー画像形成装置である点で大きく相違する。
【0074】
図8に示すように、本実施形態における画像形成装置は、感光体1を有し、この感光体1の周りには、図1に示したと同様に、クリーニングブレード3を備えた感光体クリーニングユニット2、図示しない除電手段、帯電器4、露光手段5、現像手段(イエロー現像器6、マゼンタ現像器7、シアン現像器8、ブラック現像器9)、転写搬送ベルト18などが配置されている。
フルカラー画像形成時は、図示しない除電手段により残留電荷を除去された感光体1の表面は帯電器4により一様に帯電される。次いで、露光手段5により画像情報に基づいてレーザ等の露光光が照射され、一様に帯電された感光体1の表面に静電潜像が形成される。この感光体1上に形成された静電潜像は、イエロー現像器6、マゼンタ現像器7、シアン現像器8、ブラック現像器9によって順に、各色のトナーが供給され現像されることで可視像(トナー像)を形成し、各画像形成部におけるトナー像転写部において、電源手段(図示せず)および転写電流印加手段103を介して転写バイアスが転写手段としての転写バイアスローラ23に印加されることにより、各色の可視像が図8中矢印方向に走行する転写搬送ベルト18上に吸着されて搬送される転写紙上に順次重ねて転写されることでフルカラー画像(トナー像)が形成される。
【0075】
転写紙25は、シート給送装置31の給紙ローラ26および図示しない分離手段によって、1枚ずつ分離されて転写紙搬送ローラ27を経由して給送され、レジストローラ28のニップ部によって、その先端が一旦停止されて斜めずれなど修正された後、所定のタイミングでレジストローラ28から転写搬送ベルト18と入口ローラ17とのニップ部に向けて給紙される。
転写紙25に転写された4色重ね画像は、図示しない除電手段によって除電された後に定着入口ガイド44に沿って定着手段30へ搬送され、定着手段30で加熱・加圧されて定着された後、排紙ローラ32によって図示しない排紙トレイに排紙される。
【0076】
以下、本実施形態の構成についてさらに詳述する。転写搬送ベルト18は、ベルトクリーニング対向ローラ13、従動ローラ14、従動ローラ15、従動ローラ16に掛け渡され、かつ、張架されている。各転写バイアスローラ23は、圧縮バネ等からなるローラ加圧手段29によって、転写搬送ベルト18の裏面に当接し、かつ、転写搬送ベルト18を介して転写搬送ベルト18の表面が感光体1に接触・押圧する向きに付勢されている。
ベルトクリーニング対向ローラ13は、転写搬送ベルト18の駆動ローラを兼ねていて、ギヤ列等の駆動力伝達手段を介して図示しない駆動モータに連結されている。転写搬送ベルト18は、上記図示しない駆動モータによって、そのプロセス速度が150mm/secで走行・駆動するように調整・設定されている。
上記各ローラ13,14,15,16,23は図示しない転写搬送ベルトユニット側板によって転写搬送ベルト18の両側より回転可能に軸支・支持されている。
【0077】
転写バイアスローラ23は、画像形成手段ごとに配設されている感光体1と対向する転写搬送ベルト18との接触部に配置されており、該転写バイアスローラ23には図示しない電源および転写電流印加手段103を介して、所定の転写バイアスが印加される。
【0078】
転写搬送ベルト18は、実施形態1等の中間転写ベルト10と同様の材料、すなわち、PVDF(ポリフッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PC(ポリカーボネート)等の樹脂を単層または複数層に構成し、カーボンブラック等の導電性材料を分散させ、その体積抵抗率を10〜1012Ωcm、かつ、表面抵抗率を10〜1013Ω/□の範囲となるよう調整・設定されている。なお、必要に応じ該転写搬送ベルト18の表面に離型層をコートしても良いことや、転写搬送ベルト18の製造方法は、実施形態1等の中間転写ベルト10の場合と同様である。
【0079】
ベルトクリーニングローラ13に対向する転写搬送ベルト18近傍には、転写搬送ベルト18をクリーニングする、実施形態1等と同様構成のベルトクリーニングユニット19が配置されていて、クリーニングブレード20の先端を転写搬送ベルト18の表面に押し当てて、トナーや紙粉等を堰き止めて清掃する構成となっている。
【0080】
転写搬送ベルト18をクリーニングしやすくするために、実施形態1等と同様構成の、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)とを含む原料で成型された固形潤滑剤155を潤滑剤塗布部材152により転写搬送ベルト18に塗布または付着させる工程を行う。また、本実施形態でも、実施形態1等と同様の重合法によって生成された重合トナーを用いる。
【0081】
実施形態2の画像形成装置でも、実施形態1と同様に、トナー像補正パターンを転写搬送ベルト18に作像し、それぞれのトナー像検知センサ46にてトナー像を検知する。すなわち、実施形態2の画像形成装置でも、実施形態1と同様に、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーでそれぞれ画像形成を行う4つの画像形成手段に所定のレジストパターンを形成させるため、上記露光手段にレジストパターンを発生させるレジストパターン発生手段と、上記各画像形成手段で形成され、転写搬送ベルト18上に転写されたレジストパターンを検出するためのパターン検出手段としての光学センサユニット45と、この光学センサユニット45で検出された結果に基づき位置ずれを補正する位置ずれ補正手段を備えている。このうち、レジストパターン発生手段および位置ずれ補正手段としては公知の種々の構成を採用できる。
【0082】
本実施形態例でも、図2に示したとほぼ同様に、中間転写ベルト10に代えた転写搬送ベルト18を挟んで光学センサユニット45のトナー像検知センサ46に対向する位置には、センサ対向部材49が配置されているとともに、センサ対向部材49と転写搬送ベルト18の裏面とを互いに接離自在とする対向手段接離手段としてのセンサ対向部材接離機構50が配置されている。本実施形態におけるセンサ対向部材接離機構50の制御を含む構成および動作等は、実施形態1で説明した「中間転写ベルト10」を、「転写搬送ベルト18」に読み替えれば、当業者であれば容易に理解して実施できるからこれ以上の説明を省略する。
但し、本実施形態では、実施形態1におけるセンサ対向部材49、光学センサユニット45およびセンサ対向部材接離機構50の配置位置と比較して、画像形成手段ごとに転写手段としての転写バイアスローラ23を用いるため、各転写バイアスローラ23よりも転写搬送ベルト18の図中矢印移動方向における最下流側に配置されている点が異なる。
【0083】
実施形態2において図2および図3に示したとほぼ同様の構成を採用した場合には、これに対応した請求項1、3、8に係る上述した効果を奏することは無論である。
【0084】
また、実施形態2の画像形成装置でも、図6に示した変形例1とほぼ同様の構成を採用することができる(以下、これを便宜的に「変形例3という)。本実施形態で図6に示した変形例1とほぼ同様構成の変形例3を採用した場合の制御を含む構成および動作等は、変形例1で説明した「中間転写ベルト10」を、変形例3において「転写搬送ベルト18」に読み替えれば、当業者であれば容易に理解して実施できるからこれ以上の説明を省略する。実施形態2において変形例3を採用した場合には、これに対応した請求項2、8に係る上述した効果を奏することは無論である。
【0085】
(実施形態3)
図9を参照して、本発明の実施形態6を説明する。図9に示す画像形成装置においても、上述した実施形態1、変形例1および2、実施形態2等と同様の技術思想によるものであるため、多少の機能上の相違はあっても本質的に同様の機能を発揮する構成要素は、混同の虞がない限り上記実施形態等で用いたと同じ符号で簡明に説明する。同図は、実施形態3におけるカラー画像形成装置を示す概略的な構成図である。本実施形態においては、像担持体として無端状の感光体ベルト1を用いた例で説明する。
図9に示すカラー画像形成装置は、同図における左側から右にこの順に、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーでそれぞれ画像形成を行う4つの画像形成手段(もしくは画像形成部)が感光体ベルト1の下方に並んで配置されたタンデム方式のカラー画像形成装置である。
【0086】
図9に示すように、本実施形態における画像形成装置は、無端ベルトからなる感光体ベルト1を有し、この感光体ベルト1の周りには、クリーニングブレード3を備えたクリーニング手段としての感光体クリーニングユニット2、帯電手段としての帯電器4a,4b,4c,4d、露光手段5、現像手段(イエロー現像器6、マゼンタ現像器7、シアン現像器8、ブラック現像器9)などが配置されている。
【0087】
フルカラー画像形成時は、感光体ベルト1の表面は帯電器4a,4b,4c,4dにより一様に帯電される。次いで、露光手段5により画像情報に基づいてレーザ等の露光光が照射され、一様に帯電された感光体ベルト1の表面に静電潜像が形成される。この感光体ベルト1上に形成された静電潜像は、イエロー現像器6、マゼンタ現像器7、シアン現像器8、ブラック現像器9によって順に、各色のトナーが供給され現像されることで可視像(トナー像)を形成し、各画像形成部におけるトナー像転写部において、電源手段(図示せず)および1次転写電流印加手段201を介して1次転写バイアスが1次転写手段としての非接触式の1次転写電極24に印加されることにより、各色の可視像が図9中矢印方向に走行する感光体ベルト1上に順次重ねて転写されることでフルカラー画像(トナー像)が形成される。
【0088】
転写紙25は、シート給送装置31の給紙ローラ26および図示しない分離手段によって、1枚ずつ分離されて転写紙搬送ローラ27を経由して給送され、レジストローラ28のニップ部によって、その先端が一旦停止されて斜めずれなど修正された後、感光体ベルト1上の4色重ね画像の先端部が2次転写位置に到達するタイミングに合わせてレジストローラ28から給紙される。感光体ベルト1上の4色重ね画像は、2次転写位置、すなわち図示しない電源および2次転写電流印加手段202を介して所定の電圧が印加された、2次転写手段としての2次転写ローラ21によって、転写紙25に一括転写される。
転写紙25に転写された4色重ね画像は、図示しない除電手段によって除電された後に定着入口ガイド44に沿って定着手段30へ搬送され、定着手段30で加熱・加圧されて定着された後、排紙ローラ32によって図示しない排紙トレイに排紙される。
【0089】
以下、本実施形態の構成についてさらに詳述する。感光体ベルト1は、2次転写対向ローラ12、ベルトクリーニング対向ローラ13、従動ローラ14、従動ローラ15に掛け渡され、かつ、張架されている。
2次転写対向ローラ12は、感光体ベルト1の駆動ローラを兼ねていて、感光体ベルト1を駆動する図示しない駆動モータに、ギヤ列等の駆動力伝達手段を介して連結されている。感光体ベルト1は、上記図示しない駆動モータによって、そのプロセス速度が150mm/secで走行・駆動するように調整・設定されている。
上記各ローラ12,13,14,15は図示しない感光体ベルトユニット側板によって感光体ベルト1の両側より回転可能に軸支・支持されている。
【0090】
各1次転写電極24は、感光体ベルト1を挟んで画像形成手段ごとに配設されているイエロー現像器6、マゼンタ現像器7、シアン現像器8、ブラック現像器9と対向する感光体ベルト1の裏面側に非接触で配置されている。1次転写電極24には図示しない電源および1次転写電流印加手段201を介して、所定の転写バイアスが印加される。
感光体ベルト1は、PET(ポリエチレン・テレフタレート)等の表面に導電層を設け、その上に感光剤を塗布して形成されている。
【0091】
ベルトクリーニングローラ13に対向する感光体ベルト1近傍には、感光体ベルト1をクリーニングする、実施形態1等と同様構成の感光体クリーニングユニット3が配置されている。感光体クリーニングユニット3には、ウレタンゴムよりなるクリーニングブレード3が配置されており、クリーニングブレード3の先端を感光体ベルト1の表面に押し当てて、トナーを堰き止めて清掃する構成となっている。
【0092】
感光体ベルト1をクリーニングしやすくするために、実施形態1等と同様構成の、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)とを含む原料で成型された固形潤滑剤155を潤滑剤塗布部材152により感光体ベルト1に塗布または付着させる工程を行う。また、本実施形態でも、実施形態1等と同様の重合法によって生成された重合トナーを用いる。
【0093】
実施形態3の画像形成装置でも、実施形態1と同様に、トナー像補正パターンを感光体ベルト1に作像し、それぞれのトナー像検知センサ46にてトナー像を検知する。すなわち、実施形態3の画像形成装置でも、実施形態1と同様に、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーでそれぞれ画像形成を行う4つの画像形成手段に所定のレジストパターンを形成させるため、上記露光手段にレジストパターンを発生させるレジストパターン発生手段と、上記各画像形成手段で形成され、感光体ベルト1上に転写されたレジストパターンを検出するためのパターン検出手段としての光学センサユニット45と、この光学センサユニット45で検出された結果に基づき位置ずれを補正する位置ずれ補正手段を備えている。このうち、レジストパターン発生手段および位置ずれ補正手段としては公知の種々の構成を採用できる。
【0094】
本実施形態例でも、図2に示したと同様に、中間転写ベルト10に代えた感光体ベルト1を挟んで光学センサユニット45のトナー像検知センサ46に対向する位置には、センサ対向部材49が配置されているとともに、センサ対向部材49と感光体ベルト1の裏面とを互いに接離自在とする対向手段接離手段としてのセンサ対向部材接離機構50が配置されている。本実施形態におけるセンサ対向部材接離機構50の制御を含む構成および動作等は、実施形態1で説明した「中間転写ベルト10」を、「感光体ベルト1」に読み替えれば、当業者であれば容易に理解して実施できるからこれ以上の説明を省略する。
【0095】
実施形態3において図2および図3に示した構成を採用した場合には、これに対応した請求項1、3〜5、9に係る上述した効果を奏することは無論である。
【0096】
また、実施形態3の画像形成装置でも、図6に示した変形例1とほぼ同様の構成を採用することができる(以下、これを便宜的に「変形例4」という)。本実施形態で図6に示した変形例1とほぼ同様の変形例4を採用した場合の制御を含む構成および動作等は、変形例1で説明した「中間転写ベルト10」を、変形例4において「感光体ベルト1」に読み替えれば、当業者であれば容易に理解して実施できるからこれ以上の説明を省略する。実施形態3において変形例4を採用した場合には、これに対応した請求項2、9に係る上述した効果を奏することは無論である。
【0097】
また、実施形態3の画像形成装置でも、図7に示した変形例2とほぼ同様の構成を採用することができる(以下、これを便宜的に「変形例5」という)。本実施形態で図7に示したとほぼ同様の変形例5を採用した場合の制御を含む構成および動作等は、変形例2で説明した「中間転写ベルト10」を、変形例5において「感光体ベルト1」に読み替えれば、当業者であれば容易に理解して実施できるからこれ以上の説明を省略する。実施形態3において変形例5を採用した場合には、これに対応した請求項6、9に係る上述した効果を奏することは無論である。
【0098】
以上説明したとおり、本発明を特定の実施形態や変形例等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態や変形例あるいは実施例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0099】
例えば、実施形態1〜3において、トナー像検知手段としてのトナー像検知センサ46は、これと均等な全ての公知の検知センサを含み、またその配置個数はその機能を発揮可能であれば少なくとも1つあれば良い。同様に、対向手段としての対向部材49は、これと均等な全ての公知の部材を含み、またその配置個数はその機能を発揮可能であれば少なくとも1つあれば良い。
同様に、対向手段接離手段としてのセンサ対向部材接離機構50も、これに限らず、センサ対向部材接離機構50を構成する駆動源としての駆動モータ51に代えて、例えばソレノイドを採用しバネと組み合わせたりしても良く、対向手段接離手段としての機能を発揮するものであれば良い。対向手段接離手段の駆動力伝達手段としての機能を兼ね備えた図6の駆動力伝達機構56や、図7の駆動力伝達機構76も一例に過ぎず、これらと均等な他の駆動力伝達手段でも良い。
【符号の説明】
【0100】
1 感光体ベルト(像担持体)
2、2a〜2d 感光体クリーニングユニット(クリーニング手段)
4a〜4d 帯電器(帯電手段)
5a〜5d 露光手段
6 イエロー現像器(現像手段)
7 マゼンタ現像器(現像手段)
8 シアン現像器(現像手段)
9 ブラック現像器(現像手段)
10 中間転写ベルト(像担持体、中間転写体)
11a〜11d 1次転写バイアスローラ(1次転写手段)
18 転写搬送ベルト(像担持体、転写搬送体)
19 ベルトクリーニングユニット
21 2次転写ローラ(転写手段、2次転写手段)
23 転写バイアスローラ(転写手段)
24a〜24d 1次転写電極(1次転写手段)
25 転写紙、転写材(シート状記録媒体)
30 定着手段
45 光学センサユニット
46 トナー像検知センサ(トナー像検知手段)
48 センサ対向軸
49 センサ対向部材(対向手段、対向部材)
49a センサ対向当接部
49b 非当接部
50 センサ対向部材接離機構(対向手段接離手段)
51 駆動モータ(対向手段接離手段の駆動源)
53 清掃ユニット
54 清掃部材(清掃手段)
54a 清掃ブラシ(清掃手段を構成)
56 駆動力伝達機構(対向手段接離手段の駆動力伝達手段)
57 駆動モータ(清掃手段の駆動源)
70 転写ローラ接離機構(転写手段接離手段)
71 駆動モータ(転写手段接離手段の駆動源)
76 駆動力伝達機構(対向手段接離手段の駆動力伝達手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【特許文献1】特開2007−148197号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する無端ベルト状の像担持体と、該像担持体上のトナー像をシート状記録媒体に転写する転写手段と、前記像担持体に対向して配置され前記像担持体上のトナー像を検知する少なくとも1つのトナー像検知手段と、前記像担持体を挟んで前記トナー像検知手段に対向して該像担持体に接するように配置された少なくとも1つの対向手段とを具備する画像形成装置において、
前記対向手段と前記像担持体とを接離自在とする対向手段接離手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記トナー像検知手段を清掃する清掃手段を有し、
前記対向手段接離手段を駆動する駆動源は、前記清掃手段を駆動する駆動源と同一であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像形成装置において、
前記対向手段は、前記トナー像検知手段によるトナー像検知時にのみ、前記像担持体に接することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記対向手段は、前記像担持体を介して前記トナー像検知手段に対向する箇所にのみ配設されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記トナー像検知手段および前記対向手段は、前記転写手段よりも前記像担持体の移動方向における上流側に配置されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記転写手段と前記像担持体とを接離自在とする転写手段接離手段を有し、
前記対向手段接離手段を駆動する駆動源は、前記転写手段接離手段を駆動する駆動源と同一であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし4の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、転写搬送体であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし6の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体は、感光体ベルトであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−59190(P2011−59190A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206118(P2009−206118)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】