説明

画像形成装置

【課題】被保持部と被駆動歯車が取付けられる軸部と回転体を備えた作像過程部品を、装置本体の装着部にその回転体の軸方向に沿って移動させることで着脱自在に装着して使用するとき、その装着の際に作像過程部品における軸部が装着部の保持される部分に無駄に接触して磨耗することにより軸部が装着部の保持される部分に正常に保持されなくなることを防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】作像過程部品をその着脱のときに移動する体勢を規制して案内する案内手段と、作像過程部品の被駆動歯車と噛み合った駆動歯車が駆動したときに生じる力により作像過程部品が、保持部材の保持部に保持された被保持部を中心にして回転体の軸方向と交差する方向に回転することを許容する許容部と、駆動歯車が駆動しているときには作像過程部品が許容部で回転して作像過程部品における軸部の周面が接触し、駆動していないときには接触しない保持部材の接触部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像を形成する過程で関与する部品(作像過程部品)を装置本体の装着部に着脱自在に装着して使用する場合、その作像過程部品を装置本体の装着部に簡易な構成で精度よく位置決めできるように構成した画像形成装置があり、例えば以下のものが知られている。
【0003】
少なくとも、像担持体と、像担持体に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像器とを有したプロセスカートリッジが、着脱可能なプロセスカートリッジ装着部と、その装着されたプロセスカートリッジの画像形成装置に対する位置決めを行う位置決め部と、前記像担持体に対して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、を有する画像形成装置において、前記像担持体を回転するための駆動力を前記プロセスカートリッジに設けられた像担持体駆動入力部に伝達する像担持体駆動出力部と、前記現像器を駆動するための駆動力を前記プロセスカートリッジに設けられた現像駆動入力部に伝達する現像駆動出力部と、前記像担持体駆動出力部と前記像担持体駆動入力部とは、駆動伝達時においてプロセスカートリッジ着脱方向に対し遊びを持って係合するよう構成され、前記現像駆動出力部から前記現像駆動入力部への駆動伝達時において、前記現像駆動出力部と前記現像駆動入力部との係合部において生じる力により前記位置決め部に対して前記プロセスカートリッジの一部を当接することで位置決めがなされるようにした画像形成装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−133497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、装着するときに保持される被保持部と被駆動歯車が取付けられる軸部と前記被駆動歯車からの動力で回転する回転体を備えた作像過程部品を、装置本体の装着部にその回転体の軸方向に沿って移動させることで着脱自在に装着して使用するとき、その装着の際に作像過程部品における軸部が装着部の保持される部分に無駄に接触して磨耗することにより当該軸部が装着部の保持される部分に正常に保持されなくなることを簡単かつ確実に防止することができる画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(A1)の画像形成装置は、
装着するときに保持される被保持部と被駆動歯車が取付けられる軸部と前記被駆動歯車からの動力で回転する回転体を備えた作像過程部品と、
前記作像過程部品が前記回転体の軸方向に沿って移動させられることで着脱自在に装着される装着部を備えた装置本体と、
前記装置本体の装着部と前記作像過程部品に割り当てて設けられ、当該作像過程部品をその着脱のときに移動する体勢を規制して案内する案内手段と、
前記装着部の一部を構成し、前記案内手段で案内されて当該装着部に装着されるときに前記作像過程部品の被保持部が保持される保持部を備えた保持部材と、
前記装置本体に設けられ、前記作像過程部品が前記装着部に装着されるときに当該作像過程部品の前記被駆動歯車と噛み合う駆動歯車と、
前記案内手段に設けられ、前記作像過程部品の被駆動歯車と噛み合った前記駆動歯車が駆動したときに生じる力により当該作像過程部品が、前記保持部材の保持部に保持された前記被保持部を中心にして前記回転体の軸方向と交差する方向に回転することを許容する許容部と、
前記保持部材に設けられ、前記駆動歯車が駆動しているときには前記作像過程部品が前記許容部で回転することにより当該作像過程部品における前記軸部の周面が接触し続け、前記駆動歯車が駆動していないときには当該作像過程部品における軸部の周面が接触しない接触部と
を有するものである。
【0007】
この発明(A2)の画像形成装置は、上記発明A1の画像形成装置において、前記駆動歯車の駆動で生じる力により前記作像過程部品が前記被保持部を中心にして回転する方向が、当該作像過程部品が自重により前記被保持部を中心にして回転する方向と反対の方向になるよう設定されているものである。
【0008】
この発明(A3)の画像形成装置は、上記発明A1の画像形成装置において、前記保持部材の接触部は、前記作像過程部品における軸部の周面の接触する部分が平面状の形状で形成されているものである。
【0009】
この発明(A4)の画像形成装置は、上記発明A3の画像形成装置において、前記接触部の平面状の形状で形成されている部分が、前記駆動歯車の駆動で生じる力の方向とほぼ直交する方向に沿って延びる状態で形成されているものである。
【0010】
この発明(A5)の画像形成装置は、上記発明A1の画像形成装置において、前記保持部材の接触部は、前記駆動歯車が駆動していないときに前記作像過程部品における軸部の周面が接触する部分が存在しない形状で形成されているものである。
【0011】
この発明(A6)の画像形成装置は、上記発明A6の画像形成装置において、前記案内手段が、前記作像過程部品の着脱の際に移動する方向に沿って一列に配置される複数の案内突起と、当該作像過程部品の着脱の際に移動する方向に沿って直線状に形成され、前記複数の案内突起が入り込んで移動する案内溝とで構成されているものである。
【0012】
この発明(A7)の画像形成装置は、上記発明A5の画像形成装置において、前記許容部が、前記案内手段の案内溝の一部に、前記複数の案内突起が当該案内溝の案内方向とほぼ直交する方向に移動し得る空間を有する移動空間部として形成されているものである。
【0013】
この発明(A8)の画像形成装置は、上記発明A1からA7のいずれかの画像形成装置において、前記作像過程部品における被保持部が、回転体の軸を支持する軸受部材で構成されているものである。
【0014】
この発明(A9)の画像形成装置は、上記発明A8の画像形成装置において、前記作像過程部品における被保持部が感光体ドラムの軸の軸受部材であり、当該作像過程部品における回転体が現像ロールであるものである。
【発明の効果】
【0015】
上記発明A1の画像形成装置によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、装着するときに保持される被保持部と被駆動歯車が取付けられる軸部と前記被駆動歯車からの動力で回転する回転体を備えた作像過程部品を、装置本体の装着部にその回転体の軸方向に沿って移動させることで着脱自在に装着して使用するとき、その装着の際に作像過程部品における軸部が装着部の保持される部分に無駄に接触して磨耗することにより当該軸部が装着部の保持される部分に正常に保持されなくなることを簡単かつ確実に防止することができる。
【0016】
上記発明A2の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、駆動歯車が駆動していないときに作像過程部品における軸部の周面が保持部材の保持部から確実に離れた状態になる。
【0017】
上記発明A3の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、駆動歯車が駆動しているときに作像過程部品における軸部の周面が保持部材の接触部に安定した状態で接触し続ける。
【0018】
上記発明A4の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、駆動歯車が駆動しているときに作像過程部品における軸部の周面が保持部材の接触部により一層安定した状態で接触し続ける。
【0019】
上記発明A5の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、作像過程部品を着脱するために移動する際に作像過程部品における軸部の周面が保持部材の接触部に接触せず磨耗するおそれがなくなる。
【0020】
上記発明A6の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、作像過程部品の着脱の際における移動する体勢が簡易な構成で保持される。
【0021】
上記発明A7の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、作像過程部品の回転体の軸方向と交差する方向への移動が簡易な構成で実現される。
【0022】
上記発明A8の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、作像過程部品は、その被保持部としての回転体の軸受部材が保持部材の保持部で保持されることに加え、被駆動歯車を取り付けた軸部の周面が保持部材の接触部に接触することによって最終的に位置決めされることになる。
【0023】
上記発明A9の画像形成装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、感光体ドラム及び現像ロールを備えた作像過程部品の全体が正常な位置に装着されて当該作像過程部品の動作を含めた作像動作が正常に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の外観の状態を示す斜視図である。
【図2】図1の画像形成装置の内部の構成を示す概略図である。
【図3】図1の画像形成装置における装着部の配置を示す説明図である。
【図4】図1の画像形成装置における装着部の構成の一部を示す斜視図である。
【図5】図1の画像形成装置における内側扉に設ける装着部の構成の一部を示す斜視図である。
【図6】作像ユニットの外観の状態を示す斜視図である。
【図7】作像ユニットの取り付け方向下流側となる端部の構成を示す斜視図である。
【図8】装着部の一部を構成する保持板等の部品を示す説明図である。
【図9】作像ユニット(の案内溝)と案内ピンの関係を示す説明図である。
【図10】作像ユニット(の案内溝)の装着の際に移動させるときの状態を示す説明図である。
【図11】作像ユニットが装着されて保持板に保持されている状態を示す斜視図である。
【図12】図11の作像ユニットが装着されて保持板に保持されている状態を示す説明図である。
【図13】装着されたときの作像ユニット(の案内溝)と案内ピンの関係を示す説明図である。
【図14】作像ユニットが装着されて保持板に保持されているとともに駆動ギアが駆動しているときの状態を示す説明図である。
【図15】図14の作像ユニットの装着状態において発生している各種力の状態を示す説明図である。
【図16】作像ユニットの一部(軸部)を変更した構成例の要部(取り付け方向下流側となる端部)を示す斜視図である。
【図17】図16の作像ユニットが装着されて保持板に保持されている状態を示す説明図である。
【図18】実施の形態に係る画像形成装置の一部を変更した構成例の要部を示す概念図である。
【図19】図18の画像形成装置における内側扉に取り付ける保持板の構成を示す説明図である。
【図20】図18の画像形成装置において作像ユニットを装着するときの一過程における状態を示す説明図である。
【図21】図18の画像形成装置において作像ユニットを装着したときの状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は実施の形態1に係る画像形成装置の外観の状態を示し、図2はその画像形成装置の内部の構成を示している。
【0027】
画像形成装置は、装置本体としての筐体1を有し、その筐体1の内部におけるほぼ中央位置にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色の現像剤(トナー)像をそれぞれ形成する4つの作像ユニット2Y,2M,2C,2Kが、所要の同じ間隔で直列状に並べられた状態で配置されている。
【0028】
筐体1は、複数の骨格部材、板材、外装材等の構成部材で構成されており、その外観が箱形状に似た形状(箱状)で形成されている。筐体1は、その上面部に画像が形成された記録媒体を収容する排出部11が形成されており、またその一側面部に開閉可能な外側扉12が設けられている。
【0029】
4つの作像ユニット2(Y,M,C,K)はいずれも感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23、ドラム清掃装置24等をそれぞれ備えている。また、4つの作像ユニット2(Y,M,C,K)はいずれも感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23及びドラム清掃装置24を一体にした着脱ユニットとして構成されており、後述するように筐体1(の装着部)に対して着脱自在に装着して使用できるように構成されている。
【0030】
筐体1内部の作像ユニット2(Y,M,C,K)の下方側の位置には、帯電された感光体ドラム21の表面に各色成分の画像信号に対応した光L(LY,LM,LC,LK)を照射して静電潜像を形成する露光装置25が配置されている。露光装置25は、例えば、筐体の内部に、半導体レーザ等の光源と、その光源から画像信号に応じて発せられる光をポリゴンミラー、レンズ等の光学部品を通して感光体ドラム21の表面に走査して露光する光走査機器とを配置して構成されている。露光装置25の筐体には、光Lを各感光体ドラム21にむけてそれぞれ出射する出光窓が設けられている。また、露光装置25には、図示しない画像処理装置(画像入力装置を含む)から画像信号が送信される。
【0031】
各作像ユニット2(Y,M,C,K)では、画像形成の要求を受けると、図示しない駆動装置からの動力が伝えられて回転する感光体ドラム21の表面を帯電ロール22により所要の電位に帯電した後、その帯電された感光体ドラム21の表面に露光装置25から各色成分の画像信号に対応した光L(LY,LM,LC,LK)を照射して各色成分の静電潜像を形成する。続いて、各感光体ドラム21の表面に形成された各色成分の静電潜像は、対応する現像装置23(Y,M,C,K)において前記4色(Y,M,C,K)のいずれかの色の現像剤で現像することにより当該4色のトナー像としてそれぞれ形成する。
【0032】
現像装置23は、収容する色の現像剤(例えば二成分現像剤)を攪拌搬送部材で攪拌して摩擦帯電させた後に現像ロール26に保持させ、その現像ロール26により現像剤を感光体ドラム21と対向する現像領域を通過させるように搬送する。現像ロール26には、図示しない給電装置から現像電圧が印加される。また、現像装置23(Y,M,C,K)には、筐体10内部の上部の位置に着脱自在に装着されるカートリッジ式の現像剤収納容器48(Y,M,C,K)にそれぞれ収容されている上記4色の現像剤が、図示しない補給搬送装置を通して個別に補給されるようになっている。
【0033】
また、筐体1内部の作像ユニット2(Y,M,C,K)の上方側の位置には、各作像ユニット20で形成されるトナー像を一次転写した後に記録媒体としての記録紙Pに二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置3が配置されている。中間転写装置3は、トナー像を静電的作用により保持し得る無端状の中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31の内側に配置され、各作像ユニット2(Y,M,C,K)の各トナー像を中間転写ベルト31の外周面に一次転写させる一次転写ロール32と、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像を記録紙Pに二次転写する二次転写ロール33とを備えている。中間転写装置3は、後述するように筐体1(の装着部)に対して着脱自在に装着されている。
【0034】
中間転写ベルト31は、中間転写ベルト31に回転力を伝える駆動ロール34、中間転写ベルト31に張力を付与する張力付与ロール35、中間転写ベルト31を挟んで二次転写ロール33と対向して配置されるバックアップロール36等の支持ロールに掛け回されており、矢印で示す方向に回転する。一次転写ロール32は、各作像ユニット2(Y,M,C,K)の感光体ドラム21(Y,M,C,K)と中間転写ベルト31を挟んで対向して配置されており、また図示しない給電装置から所要の一次転写電圧が印加される。二次転写ロール33は、図示しない給電装置から所要の二次転写電圧が印加される。図2中の符号37は、中間転写ベルト31に付着残留するトナー等の付着物を除去するベルト清掃装置である。
【0035】
中間転写装置3では、画像形成時において、作像ユニット2(Y,M,C,K)でそれぞれ形成される各色のトナー像が一次転写ロール32により中間転写ベルト31の外周面に位置合わせされた状態で順次一次転写される。中間転写ベルト31は、一次転写されたトナー像を二次転写ロール33が対向する二次転写位置まで搬送する。このとき作像ユニット2(Y,M,C,K)では、一次転写後の感光体ドラム21の表面がドラム清掃装置24により清掃される。
【0036】
また、筐体1内部の露光装置25の下方の位置には、記録紙Pが収容された給紙装置40が配置されている。給紙装置40は、筐体10に対して引出し自在に取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録紙Pを積載した状態で収容する用紙収容体41と、用紙収容体41から記録紙Pを1枚ずつ送り出す送出装置42を備えている。給紙装置40では、画像形成時になると、所要の記録紙Pを用紙収容体41から送出装置42により1枚ずつ送り出す。
【0037】
給紙装置40から送り出された記録紙Pは、用紙搬送ロール対43、搬送ガイド等で構成される搬送路Rt1を通して中間転写装置3における二次転写位置に向け、所要のタイミングで搬送されて送り込まれる。二次転写位置では、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像が記録紙Pに二次転写される。このとき中間転写装置3では、二次転写後の中間転写ベルト31の表面がベルト清掃装置37により清掃される。
【0038】
さらに、筐体1内部の二次転写ロール33の上方の位置には、定着装置45が配置されている。定着装置45は、筐体の内部に、所要の方向に回転駆動するとともに表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱して保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体46と、この加熱回転体46の回転軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動して回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体47等を設置して構成されている。
【0039】
前記二次転写位置でトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置45の加熱回転体46と加圧回転体47の間に送り込まれて加熱及び加圧されることにより、そのトナー像が記録紙Pに定着される。定着後の記録紙Pは、用紙搬送ロール対44、搬送ガイド等で構成される搬送路Rt2を通して筐体1外部に搬出され、最終的に排出部11に排出されて収容される。
【0040】
この画像形成装置では、作像ユニット2(Y,M,C,K)の全部又は一部を選択して作動させることによりY、M、C及びKの4色の現像剤の全部又は一部を組み合わせて構成されるカラー画像を形成することができる。この他にも、例えばブラック等の1色の現像剤で構成される単色画像を形成することもできる。
【0041】
次に、この画像形成装置は、4つの作像ユニット2(Y,M,C,K)と中間転写装置3が筐体1に対して着脱自在に装着されるようになっており、そのため筐体1には、図3や図4に示すように4つの作像ユニット2(Y,M,C,K)と中間転写装置3を着脱自在にそれぞれ装着する装着部5(Y,M,C,K)及び装着部50が設けられている。
【0042】
画像形成装置では、作像ユニット2及び中間転写装置3をはじめ現像剤収納容器48等の一部の部品が着脱自在な装着構造を採用している関係から、図1に示すように筐体1の外側扉12を開放すると、現像剤収納容器48(Y,M,C,K)の一端部が外部に露出することに加え、作像ユニット2(Y,M,C,K)及び中間転写装置3の着脱作業を行うときに通過させる開口部13を開閉する内側扉14が外部に露出するように形成されている。内側扉14は、開閉操作レバー14aを操作することにより下部に配置したヒンジ14bを中心に揺動して開閉動するように構成されている。図1、図3等における符号15は筐体1の一部を構成する仕切り板であり、その一部に上記開口部13が形成されている。
【0043】
作像ユニット2のための装着部5(Y,M,C,K)は、図4に示すように各作像ユニット2(Y,M,C,K)を支持する支持板51を備えている。この実施の形態における支持板51は、各作像ユニット2(Y,M,C,K)をそれぞれ専用に支持する4つの支持板51(Y,M,C,K)を、その各作像ユニット2の配置状態に対応させて上下方向(矢印Yに沿う方向)の高さが順次異なる階段状に並べた状態に配置した構成になっている。作像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、この順番で高い位置の支持板51Yから次第に低い位置の支持板51M,51C,51Kに装着される。図4では、作像ユニット2Yを装着している状態を示しているため、その作像ユニット2Yを支持する支持板51Yが当該作像ユニット2Yに隠れて見えず図中に現われていない。また、図4では、便宜上、作像ユニット2Yの隣りの位置に装着する作像ユニット2Mにおける現像装置23Mのみを切り離して装着した状態を示している。
【0044】
また、装着部5の各支持板51(Y,M,C,K)には、図4に示すように、その上面から上方に突出する案内ピン52を設けている。案内ピン52は、複数本(例えば3本)で構成されるものであり、作像ユニット2の着脱の際に移動する方向(両矢印Aで示す方向)に沿って一列に並べた状態で配置される。作像ユニット2の着脱の際における移動方向Aは、その感光体ドラム21の軸方向にほぼ沿うものである。この実施の形態では、3本の案内ピン52を、作像ユニット2の取り付け方向(A1)手前側(開口部13に近い側)から1本目の案内ピン52aと2本目の案内ピン52Bの間隔が2本目の案内ピン52bと3本目の案内ピン52cとの間隔よりも狭くなる条件で配置している。図4における符号501は、作像ユニット2が装着されるときに所要の時期(ベアリング27が後記する保持板の保持溝53に嵌め入れられる直前)に作像ユニット2を支持板51の表面から浮いた状態に弾性的に持ち上げた状態にするための上下方向に変位可能な突起である。
【0045】
また、装着部5は、図4に示すように、作像ユニット2の取り付け方向A1の下流側となる装置奥側に上下方向に沿った状態で設置される筐体1の仕切板16に、各作像ユニット2(Y,M,C,K)の装置奥側となる端部に配置された被保持部としての後述するベアリング(軸受部材)をそれぞれ保持するV字形状の保持溝53(Y,M,C,K)が形成された保持板54を取り付けている。保持溝53は、装着した際の作像ユニット2どうしの間隔と等しい間隔で配置されるように形成されている。また、保持溝53は、装着部5の支持板51上に装着された状態にあるときの作像ユニット2の被保持部を保持すべき高さを維持する位置に設定される。また、仕切板16には、保持板54の各保持溝53に嵌め入れられる各作像ユニット2の被保持部をそれぞれ各保持溝53にむけて押し付ける板ばね等で構成される押付け部材55が4つ取り付けられている。
【0046】
さらに、装着部5は、図5に示すように、内側扉14の内面側に、作像ユニット2の取り付け方向A1の上流側(取り外し方向A2の下流側)となる装置手前側の端部に配置された被保持部としての後述するベアリング(軸受部材)をそれぞれ保持するV字形状の保持溝部56aを有する保持孔56(Y,M,C,K)を形成した保持板57を取り付けている。保持溝部56aは、装着した際の作像ユニット2どうしの間隔と等しい間隔で配置されるように形成されている。保持溝部56aは、保持板57と一体に形成したもの、別の部材で形成したもののいずれでもよい。図5において符号501は、内側扉14を閉じたときに、中間転写装置3におけるバックアップロール36の一端部(軸受部)が嵌め入れられる保持孔である。
【0047】
一方、装着部5(Y,M,C,K)に装着する作像ユニット2(Y,M,C,K)は、図6、図7等に示すように、感光体ドラム21の軸21aを回転自在に支持する円環状のベアリング(軸受部材)27を、作像ユニットの取り付け方向A1の下流側(装置奥側)となる端部(ユニットハウジング端部)20aと引き出し方向A2の下流側(装置手前側)となる端部20bとから外部にそれぞれ突出した状態で取り付けている。ベアリング27は、その外周面(最外周面)部分27aが円筒の外周面として形成されている。また、その外周面部分27aの外側端部(角部)27bは傾斜面として形成されている。
【0048】
また、各作像ユニット2の底部を構成する底面材(ユニットハウジングの底面部)20cには、作像ユニット2の移動方向Aに沿って直線状に延びる案内溝58が形成されている。案内溝58は、底面材20cから下方にむけて突出する状態で形成された一対の板材(所要の間隔をあけて対向する板材)によって囲まれる間の空間として形成される。溝58の幅は、例えば案内ピン52の外観寸法(溝の幅に相当する部分の寸法)よりも1〜2mm程度広い寸法に設定される。案内溝58は、作像ユニット2を着脱する際に、装着部5の支持板51における案内ピン52が入り込み、その案内ピン52に案内される。また、案内溝58は、案内ピン52を誘い込むように溝の幅を広げた形状にした導入部58aを設けている。図6等において符号20dは、作像ユニット2の着脱作業の際に操作者が把持する取っ手部を示す。
【0049】
案内溝59には、作像ユニット2が取り付け方向A1に移動して装着部5の支持板51に支持されてベアリング27が保持板54,57の保持溝53及び保持孔56にそれぞれ保持された段階で、案内溝58が3つの案内ピン52の規制から解除されて作像ユニット2の移動方向Aとほぼ直交する方向に変位自在となるように溝の壁面を切り欠いて移動空間部を確保した複数(例えば3つ)の切り欠き部59が設けられている。切り欠き部59は、3つの案内ピン52と同じ間隔をあけた位置関係で形成されている。これにより、作像ユニット2は、保持溝53及び保持孔56にそれぞれ保持されたベアリング27を中心して矢印B1で示す方向(図11、図12等を参照)に回転して移動することが許容される。
【0050】
さらに、各作像ユニット2には、図7に示すように、現像装置23における現像ロール26に回転動力を伝達する被駆動ギア29が取り付けられた軸28(の一端部)が、その作像ユニットの取り付け方向A1の下流側となる端部から外部に突出した状態で取り付けられている。軸28は、所要の外径で形成された円柱形の本体部28aの先端部28bが丸みを帯びた先細り形状で形成されている。被駆動ギア29は、作像ユニットの取付け方向A1の下流側となる端部20aから一部が突出した状態になっている。図7等において符号201は、感光体ドラム21の軸21aを図示しない回転駆動装置の駆動軸に取り付けられた連結具(カップリング)と連結させるための連結具である。また、符号23dは現像剤収容容器48から補給される現像剤を受ける入れる受け口であり、符号23eは作像ユニット2の着脱動作に伴って移動させられて受け口23dを開閉するための開閉蓋である。
【0051】
ちなみに、各作像ユニット2はいずれも、その重心Gの位置がおおむね感光体ドラム21と現像装置23の境界付近になっており(図15参照)、少なくとも感光体ドラム21の軸(21a)を通る上下方向(矢印Yに沿う方向:重力方向)の直線上には存在せず、それからずれた位置になっている。
【0052】
また、前記保持板54は、図8等に示すように、各保持溝53(Y,M,C,K)のほぼ下方側となる端部に、各作像ユニット2(Y,M,C,K)における現像ロール26の軸28(の周面部)を駆動中において接触させる接触辺部61aを有する切り欠き溝61を形成している。
【0053】
切り欠き溝61は、保持板55の下方にむけて開放されたV字状の溝形状になっている。接触辺部61aは、V字状溝の片側の辺部で構成されており、直線のように延びる平面状の形状で形成されている。この切り欠き溝61は、例えば、保持溝53と合わせて金型刃でプレス切断することで形成される。図8において符号54a、54bは保持板54の上限端部をそれぞれ同じ方向に折り曲げた折り曲げ部、符号54cは開口部である。また、符号65は、前記軸28に取り付けられた被駆動ギア29と噛み合って回転動力を伝える駆動ギアである。駆動ギア65は、保持板54とは別の保持板66に形成された軸孔66aに回転自在に取り付けられており、図示しない回転駆動装置からの回転動力を受けて矢印Cで示す方向に回転駆動する。
【0054】
次に、作像ユニット2(Y,M,C,K)の装着部5に対する装着動作について説明する。
【0055】
まず、図3に示すように筐体1の内側扉14を開けて、作像ユニット2の装着部5(Y,M,C,K)をその開口部13を通して外部に露出させた状態にする。次いで、図9に示すように、作像ユニット2を、その取り付け方向A1の下流側となる端部20aを先頭にした状態で持ち、装着すべき装着部5の所定の支持板51(Y,M,C,K)上を矢印A1の方向(取り付け方向)に移動させるように押し込む。
【0056】
この際、作像ユニット2は、図10に示すように、その底面材20cにある案内溝59に対して支持板51上の3本の案内ピン52a〜52cがこの順番で入り込む。これにより、案内溝59が移動方向Aに沿って一列に並ぶ3本の案内ピン52a〜52cに規制されつつ誘導されるので、作像ユニット2の全体が支持板52上を感光体ドラム21の軸方向に沿うように移動する。このとき作像ユニット2は、その底面板20cが支持板51に接触した状態になり、また案内溝58が3本の案内ピン52により進行方向が規制された状態になり、この結果、移動するときの姿勢(体勢)がほぼ一定した状態に保たれる。
【0057】
続いて、支持板51上を取り付け方向A1に移動させられた作像ユニット2は、図11や図12に示すように、最終的に、感光体ドラム21の円環状のベアリング27が、その外周面部分27aをV字状の保持溝53における対向する傾斜辺部の間に侵入させることで、保持溝53に2点(2つの傾斜辺部の一地点53a,53b)で接した状態で保持される。また、保持溝53に保持されるときのベアリング27は、その上端部において押付け部材55により下方の方向(重力方向)にむけて所要の圧力で押圧される。さらに、現像ロール26の被駆動ギア29が保持板66にある駆動ギア65と噛み合う。この他、感光体ドラム21の連結具201が回転駆動装置側の連結具と連結した状態になる。
【0058】
ここで、作像ユニット2は、取り付け方向A1に移動させられる際に、支持板51上に突出した状態で設置されている突起501に装置奥側の底面部20cが乗り上げることで上方に持ち上げられ、さらにその状態で移動させられるときにベアリング27が保持板54の保持溝53の間(少し上方の位置)に良好に侵入する。しかる後、ベアリング27が押付け部材55により下方の方向に押圧されることで、突起501が下方に弾性的に下がるとともに、ベアリング27が保持溝53に2点に接した状態になる(図12参照)。また、ベアリング27が保持溝53に保持される時期と被駆動ギア29が駆動ギア65に噛み合う時期は、ほぼ同じ時期となるように当該各部品の位置関係などの条件を設定している。さらに、作像ユニット2は、その装置奥側の端部(ユニットハウジング端部)20aが保持板54の一部に突き当たることによって取り付け方向A1への移動が停止させられる。その停止した位置が装着部5における作像ユニット2の装着位置となる。
【0059】
このとき作像ユニット2は、まずベアリング27が保持板54の保持溝53に乗り上げた状態で保持されることで少し上方(矢印Y方向)に持ち上げられた状態となり、この結果、図12に示すように、その底面材20cが支持板51から離れた状態になる。
【0060】
またこのとき、被駆動ギア29が取り付けられた軸28の周面(軸本体部)は、保持板54における切り欠き溝61の接触辺部61aとは離れた状態におかれる。軸28の周面が切り欠き溝61の接触辺部61aに接触していないのは、作像ユニット2の重心Gの位置が保持溝53に保持されているベアリング27の中心となる感光体ドラム21の軸21aを通る上下方向の直線上の位置になく軸28に近い方の側となるずれた位置にあるため、重力の力(Fg)を受けて作像ユニット2がベアリング27(感光体ドラム21の軸21a)を中心にして矢印B2の方向に回転しようとする状態におかれているためである。ただし、この状態にあるときの作像ユニット2は、装着部5に対する正常な位置決めが完了していない。
【0061】
さらにこのとき、図13に示すように、作像ユニット2は、その案内溝58における3つの切り欠き部59に3本の案内ピン52a〜52cが対峙した状態になる。これにより、作像ユニット2は、保持溝53に保持されているベアリング27を中心にして移動方向Aとほぼ直交する方向(矢印B1,B2で示す方向)に回転し得る状態になる。
【0062】
一方、作像ユニット2が装着部5の装着位置まで押し込まれて上記した各状態になって停止した後に、内側扉14を閉じる。
【0063】
これにより、内側扉14の内面側に取り付けられた保持板57の保持孔56が作像ユニット2の引出し方向A2の下流側の端部20bにおけるベアリング27に接近し、最終的に、そのベアリング27が保持板57の保持孔56に差し込まれ、保持孔56のV字状の保持溝部56aに保持される。
【0064】
以上の操作により、作像ユニット2が装着部5に装着された状態となる。なお、内側扉14を閉じた後に外側扉12を閉じる。これにより、画像形成装置は稼動可能な状態に移行することできる。
【0065】
次いで、作像ユニット2は、画像形成装置による画像形成のための動作等が開始され、駆動ギア65等が回転すると、図14に示すように、その駆動ギア65と噛み合う被駆動ギア29の軸28の周面が保持板54の切り欠き溝61の接触辺部61aに接触した状態となる。この結果、作像ユニット2は、装着部5に対して正式に位置決めされた状態になる。
【0066】
詳しくは、図14や図15に示すように、駆動ギア65が矢印Cの方向に回転駆動することにより生じる力(圧力角方向の作用力:噛み合うギアのピッチ円接線方向の分力がギア伝達トルクを生じる作用線方向(パッチ円接線方向に対して圧力角だけ傾いた方向)における作用力)Fdが被駆動ギア28に加わることにより、被駆動ギア28が当該力Fdの向く方向に押された状態となる。これにより、作像ユニット2は、保持板54の保持溝53に保持されているベアリング27を中心にして矢印B1で示す方向に回転する。この結果、軸28の周面が矢印B1の方向に変位し、その前方に存在する切り欠き溝61の接触辺部61aに突き当たるようにして接触する。このときの作像ユニット2の矢印B1方向への回転は、作像ユニット2の底部(底面材20c)が保持溝53に保持された状態で支持板51から離れて少し浮いた状態に保たれること(図12参照)に加え、案内溝58が切り欠き部59において案内ピン52の規制から開放されて矢印B1の方向への回転が許容されていること(図13参照)によって実現される。
【0067】
図15は、作像ユニット2が正常な位置に装着された状態にあるときに発生(存在)している主な力の様子について示している。図中において符号Fd1は、駆動ギア65の駆動により生じる力Fdを軸28が接触する平面状の接触辺部61aの面の垂直方向に合わせて分けたときの分力を示す。符号Fd2は、力Fdの分力Fd1と直交する方向における分力を示す。符号Fgは作像ユニット2の重心Gに加わる重力を示す。符号Fpは押付け部材55によりベアリング27に加わる圧力を示す。力Fdは、駆動ギア65と被駆動ギア29の噛みあい点(各ギアの軸心間を結ぶ直線上に存在する接触点)から発生しているものとする。
【0068】
ここで、軸28の周面は、接触辺部61aが平面状に形成されているため、その接触辺部61aに対して位置ずれすることなく安定した状態で接触し続ける。しかも、その接触辺部61aが駆動ギア65の駆動により生じる力Fdとほぼ直交する方向(例えば交差角度が80°〜100°の範囲で交差する方向)に延びる状態で形成されているため、力Fdにより軸28が接触辺部61a上をずれる方向へ押されるような作用を受けることが少なくなり接触辺部61aに効率よく押し付けられた状態になり、この結果、軸28の周面が接触辺部61aに対してより安定して接触するようになる。
【0069】
また、作像ユニット2は、その軸28が前記したとおり力Fdによって接触辺部61aに接触するが、そのとき力Fdの分力Fd1が軸28の接触辺部61aとの接触で受ける反力によって相殺されるので、力Fdの残りの分力Fd2の作用によってユニット全体が接触辺部61aの面に沿って引き込まれて移動するような力を受ける。なお、このときの分力Fd2は、最終的に感光体ドラム21のベアリング27(外周面)が保持板54の保持溝53から受ける反力によって相殺される。このように保持板54の接触辺部61aの平面部は、分力Fd2が軸28を保持溝53から離れる方向(この例では図15中の右下の方向)に作用するよう形成される。
【0070】
ちなみに、接触辺部61aの平面部について、その分力Fd2が軸28を保持溝53に接近する方向(この例では例えば左上の方向)に作用するように形成した場合には、作像ユニット2の全体はその分力Fd2が作用する方向に移動する力を受けることとなる。その結果、感光体ドラム21のベアリング27が保持溝53の対向する傾斜辺部53a、53bから離れて浮いた状態になってしまい、感光体ドラム27はもとよりユニット2全体の正常な位置決めがなされなくなる。
【0071】
そして、作像ユニット2は、駆動ギア65が回転している間は被駆動ギア29の軸28の周面が保持板54の切り欠き溝の接触辺部61aに接触し続ける状態に保たれることになるので、装着部5に対し正常な位置決めがされた状態で保持される。これにより、作像ユニット2が装置部5に対して正常な位置関係に置かれることになるので、その作像ユニット2によりトナー像の形成(作像)が正常になされるとともに、そのトナー像の中間転写ベルト31への一次転写も正常になされるようになり、この結果、作像ユニット2の異常な装着状態に起因した画質不良等の不具合が発生することが防止される。
【0072】
また、作像ユニット2は、駆動ギア65の回転駆動が停止すると、駆動ギア65の駆動により生じる力Fd(これは、矢印B1の方向に回転させようとする力とも言える)を受けなくなり、それに代わって重心Gにおける重力Fg(これは、自重による力とも言える)を受けることになるので、ベアリング27を中心にして矢印B2の方向に自然に回転する。この結果、現像ロール26の軸28の周面が、切り欠き溝61の接触辺部61aから離された状態になる(図12)。これにより、例えば、作像ユニット2を装着部5から取り外す際に引き出し方向B2に移動させる場合、軸28の周面が切り欠き溝61の接触辺部61aに触れた状態にあることで摩擦抵抗の要素として存在し、その引き出し操作に対する負荷になるおそれがない。
【0073】
そしてまた、作像ユニット2は、その装着部5に対して取り付け方向A1に移動させて装着する際、案内溝58が案内ピン52で規制されて安定した姿勢で移動するので、その軸28の周面が保持板54の切り欠き溝61の接触辺部61aに接触するおそれが少ない。また、軸28の先端部が先細り形状になっていることからも、接触辺部61aに接触するおそれが少ない。しかも、作像ユニット2は、被駆動軸29が駆動ギア65に噛み合い始めることで軸28が接触辺部61aに不用意に接近する挙動もしにくくなり、これによっても軸28の周面が接触辺部61aに接触するおそれが少なくなる。この他にも、切り欠き溝61が下方に開放された溝形状(特に作像ユニット2が自重で矢印B2の方向に回転する場合、その矢印B2の下流側に接触する部分がない形状)であるため、例えば軸28が接触辺部61aと対向する部分に接触した反動で接触辺部61aに不用意に接触してしまうおそれもない。
【0074】
以上により、作像ユニット2の着脱に際して、軸28が切り欠き溝61の接触辺部61aに無駄(不用意)に接触することがなく、これにより磨耗するおそれがない。この結果、軸28は磨耗して接触辺部61aとの接触したときに、軸28が接触辺部61aに正常な状態で保持されることとなり、例えば、その軸28と駆動ギア65の軸等との距離(軸間距離)が正常に維持される。これに対して軸28が接触辺部61aに無駄に接触することで磨耗した場合には、その軸28が磨耗により接触辺部61aに正常な状態で保持されなくなり、駆動ギア65の軸等との軸間の距離の異なってしまうおそれがある。この他にも、軸28が切り欠き溝61の接触辺部61aに無駄に接触して引っ掛かった状態となることで、ベアリング27が保持板54の保持溝53に正常な状態で保持されなくなる状態が発生するおそれが殆どない。
【0075】
[他の実施の形態]
なお、前記した画像形成装置においては、作像ユニット2における軸28の周面を保持板24の切り欠き溝61に直接、接触させる構成を採用したが、この他にも、例えば、図16及び図17に示すように、軸28を覆う円筒状の軸受カバー(軸部)202の周囲を保持板24の切り欠き溝61の接触辺部61aに(駆動ギア65が駆動するときに)接触させるように構成してもよい。
【0076】
この場合、軸受カバー202は、例えば作像ユニット2のハウジング20の一部に、軸28と同心円となる円筒状に形成する。また、軸受けカバー202の先端部は、先細り形状となる傾斜面202aとして形成する。このように軸受カバー202の周面を切り欠き溝61に接触させるように構成した場合には、軸28が保持板24の切り欠き溝61に無駄に接触して磨耗することを防止することができるほか、例えば、金属製の軸28が金属製の保持板54の切り欠き溝61(の接触辺部61a)に直接触れることによる静電気による障害の発生を防止することができる。
【0077】
また、前記した画像形成装置は、例えば、図18等に模式的に示すように、作像ユニット2における現像ロールの軸28を、装置手前側に内側扉14の取り付ける保持板57に形成する切り欠き溝61の接触辺部61aに接触させ、これにより作像ユニット2の位置決めをするように変更することができる。
【0078】
図18に示す画像形成装置では、作像ユニット2として、現像ロールの軸28を作像ユニット2の引き出し方向A2の下流側となる端部20bに突出させた状態で設けたものを使用する。また、現像ロール26の被駆動ギア29に噛み合う駆動ギア65について、装着部5の装置手前側の端部に配置している。さらに、内側扉14の内面側に取り付ける保持板57には、図18や図19に示すように、上記作像ユニット2における軸28を接触させる接触辺部61aを備えたV字状の切り欠き溝61を形成している。保持板57には、感光体ドラム21のベアリング26を保持するV字状の保持溝図16において符号202は、作像ユニット2における感光体ドラム21の回転軸21aに取り付けた連結具(201)を連結させる回転駆動装置側の連結具である。
【0079】
この画像形成装置における作像ユニット5の装着部5に対する装着は、次のように行われる。
【0080】
まず、図18に示すように、作像ユニット2を、その取り付け方向A1の下流側となる端部20aを先頭にした状態で持ち、装着部5にむけて矢印A1の方向に移動させるように押し込む。この際、作像ユニット2は、前述したようにその底面材にある案内溝(59)に3本の案内ピン52が順に入り込むため、感光体ドラム21の軸方向に沿う方向(矢印Aに沿う方向)に規制された状態で移動する。
【0081】
次いで、作像ユニット2を装着部5の装着位置まで移動させると、感光体ドラムの軸21aの連結具(201)が筐体1側にある連結具202と連結する。また、図20に示すように、作像ユニット2における現像ロールの軸28に固定されている被駆動ギア29が筐体1側の駆動ギア65と噛み合う。
【0082】
最後に、内側扉14を閉じる。これにより、装着部5に装着された作像ユニット2における感光体ドラムのベアリング27は、図21に示すように、内側扉14の内面側に取り付けた保持板57における保持溝56aがベアリング27の下方側から接近してベアリング27の下部側に入り込んで保持する。この段階では、作像ユニット2における軸28は、保持板57における切り欠き溝61の接触辺部61aから離れた状態にあって接触していない。図21では、内側扉14の一部を便宜上切り欠き、内側扉14の内側の状態について図示している。
【0083】
そして、作像ユニット2は、画像形成動作等のために駆動ギア65等が回転すると、前述したように、その駆動ギア65と噛み合う被駆動ギア29の軸28の周面が保持板57の切り欠き溝61の接触辺部61aに接触した状態となる。この結果、作像ユニット2は、装着部5に対して正式に位置決めされた状態になる。
【0084】
詳しくは、駆動ギア65が矢印Cの方向に回転駆動することにより生じる力Fdが被駆動ギア28に加わることにより、被駆動ギア28が当該力Fdの向く方向に押された状態となる。これにより、作像ユニット2は、保持板57の保持溝56aに保持されているベアリング27を中心にして矢印B1で示す方向に回転する。この結果、軸28の周面が矢印B1の方向に変位し、その前方に存在する接触辺部61aに接触することになる。
【0085】
また、前記した画像形成装置においては、保持板54,57における保持溝53又は保持孔56に保持させる作像ユニット2の被保持部として、感光体ドラム21の軸受部材であるベアリングに代えて、例えば、ユニット2の両端部の側面に突出して形成される円柱状等の位置決め突起部を適用することもできる。つまり、作像ユニット2の被保持部は、保持溝53又は保持孔56に保持されて位置決めのための基準位置となり、駆動ギア65が回転駆動したときに、その保持溝53又は保持孔56に保持された被保持部を中心に作像ユニット2が前記した矢印B1の方向に回転して変位する動作が得られるものであれば、特に制約されるものではない。一方の保持溝56等についても、V字形状のものでなくとも構わない。
【0086】
また、前記した画像形成装置においては、作像ユニット2が1つだけの構成のものであっても、或いは、4つ以外の複数のものを使用する構成のものであっても構わない。また、作像ユニット2に搭載する部品は、前記した感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23及びドラム清掃装置24の組合わせに限らず、少なくとも軸に被駆動ギアが取り付けられた1以上の回転体を含む組合わせであれば、他の組合わせであっても構わない。
【0087】
さらに、作像ユニット2において保持板24の切り欠き溝61の接触辺部61aに駆動ギア65が回転するときに接触させる軸は、前記軸28以外の軸であってもよい。また、作像ユニット2の装着部5における案内手段としての案内ピン52及び案内溝58は、案内ピンを作像ユニット2側に設け、案内溝を装着部5の支持板51に設けるように構成してもよい。
【0088】
この他、本発明が適用される画像形成装置は、カラー画像を形成することが可能な画像形成装置とする場合、中間転写装置3を使用しない方式(いわゆる記録紙Pを各作像ユニット2における各一次転写位置を通過させるように搬送してトナー像を記録紙に直接に転写させる直接転写形式)を採用するものであってもよい。また、本発明が適用される画像形成装置としては、例えば、プリンタ、コピー機、ファクシミリ等の画像形成装置をはじめ、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ機能(画像入出力送受信機能)等に代表される各機能を複合させた画像形成装置が挙げられる。
【符号の説明】
【0089】
1 …筐体(装置本体)
2 …作像ユニット(作像過程部品)
5 …装着部
21…感光体ドラム(回転体)
26…現像ロール(回転体)
27…ベアリング(軸受部材)
28…軸(軸部)
29…被駆動ギア
52…案内ピン(案内手段の一部)
53…保持溝(保持部)
54…保持板(保持部材)
56a…保持溝(保持部)
57…保持板(保持部材)
58…案内溝(案内手段の一部)
59…切り欠き部(許容部)
61a…接触辺部(接触部)
202…軸受カバー(軸部)
A …移動方向(軸方向)
B …軸方向と交差する方向
B1…駆動ギアの駆動で生じる力により被保持部を中心にして回転する方向
B2…自重により被保持部を中心にして回転する方向
C …駆動ギアの回転駆動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着するときに保持される被保持部と被駆動歯車が取付けられる軸部と前記被駆動歯車からの動力で回転する回転体を備えた作像過程部品と、
前記作像過程部品が前記回転体の軸方向に沿って移動させられることで着脱自在に装着される装着部を備えた装置本体と、
前記装置本体の装着部と前記作像過程部品に割り当てて設けられ、当該作像過程部品をその着脱のときに移動する体勢を規制して案内する案内手段と、
前記装着部の一部を構成し、前記案内手段で案内されて当該装着部に装着されるときに前記作像過程部品の被保持部が保持される保持部を備えた保持部材と、
前記装置本体に設けられ、前記作像過程部品が前記装着部に装着されるときに当該作像過程部品の前記被駆動歯車と噛み合う駆動歯車と、
前記案内手段に設けられ、前記作像過程部品の被駆動歯車と噛み合った前記駆動歯車が駆動したときに生じる力により当該作像過程部品が、前記保持部材の保持部に保持された前記被保持部を中心にして前記回転体の軸方向と交差する方向に回転することを許容する許容部と、
前記保持部材に設けられ、前記駆動歯車が駆動しているときには前記作像過程部品が前記許容部で回転することにより当該作像過程部品における前記軸部の周面が接触し続け、前記駆動歯車が駆動していないときには当該作像過程部品における軸部の周面が接触しない接触部と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動歯車の駆動で生じる力により前記作像過程部品が前記被保持部を中心にして回転する方向が、当該作像過程部品が自重により前記被保持部を中心にして回転する方向と反対の方向になるよう設定されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記保持部材の接触部は、前記作像過程部品における軸部の周面の接触する部分が平面状の形状で形成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記接触部の平面状の形状で形成されている部分が、前記駆動歯車の駆動で生じる力の方向とほぼ直交する方向に沿って延びる状態で形成されている請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記保持部材の接触部は、前記駆動歯車が駆動していないときに前記作像過程部品における軸部の周面が接触する部分が存在しない形状で形成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記案内手段は、前記作像過程部品の着脱の際に移動する方向に沿って一列に配置される複数の案内突起と、当該作像過程部品の着脱の際に移動する方向に沿って直線状に形成され、前記複数の案内突起が入り込んで移動する案内溝とで構成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記許容部は、前記案内手段の案内溝の一部に、前記複数の案内突起が当該案内溝の案内方向とほぼ直交する方向に移動し得る空間を有する移動空間部として形成されている請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記作像過程部品における被保持部が、回転体の軸を支持する軸受部材で構成されている請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記作像過程部品における被保持部が感光体ドラムの軸の軸受部材であり、当該作像過程部品における回転体が現像ロールである請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−65029(P2011−65029A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217104(P2009−217104)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】