説明

画像形成装置

【課題】ダウンタイムを最小限に抑え、キャリアによるITB傷起因の問題の発生を防止できるようにする。
【解決手段】感光体と中間転写体を離間する機構を有し、温湿度又は現像器の回転時間に応じて、上記の離間機構の制御を変更する。上流規制ローラ58と一次転写ローラ53a、53b、53cとは、それぞれの回転軸が共通のリトラクトフレーム581に固定される。上流規制ローラ58は接地電位に接続されている。一次転写ローラは、リトラクトフレーム581から絶縁されて、それぞれ独立した一次転写バイアス電圧を印加可能にしてある。リトラクトフレーム581は、回転軸584を中心に回動するカム582と、回転軸585を中心に回転するカム583とを並列に回動することにより、平行を保ったままに上下に移動する。リトラクトフレーム581の昇降に伴う中間転写ベルト51のたるみは、テンションローラ55の移動によって吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファックス等の電子写真方式を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感光ドラムに形成した分解色ごとのトナー像を中間転写ベルトに重ねて転写してフルカラー画像を画像形成する画像形成装置が実用化されている。記録材搬送ベルトに吸着搬送させた記録材に異なる分解色のトナー像を重ねて転写してフルカラー画像を画像形成する画像形成装置も実用化されている。ブラックのトナー像を形成する感光ドラムを最も下流側に配置し、白黒画像を形成する場合には、ブラックのトナー像を形成する感光ドラムだけを用いるフルカラー画像形成装置も実用化されている。
【0003】
特許文献1乃至3には、ブラック以外の分解色のトナー像を形成する像担持体からベルト部材を離間させて、最も下流側の感光ドラムにより白黒画像を形成する画像形成装置が示される。ベルト部材を離間させて関係の無い感光ドラムや帯電装置を停止させることにより、不必要な機械的磨耗や電力消費を節約している。
【0004】
特許文献1には、ベルト部材の内側面を支持する3つの転写ローラを偏心カムを用いて一体に移動させるベルト部材の当接/離間機構が示される。特許文献3には、支持ローラの回転軸を中心にして回動される板材に、複数の感光ドラムの転写ローラを軸支させたベルト部材の当接/離間機構が示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−249519号公報
【特許文献2】特開2004−117426号公報
【特許文献3】特開2005−62642号公報
【特許文献4】特開2000−298408号公報
【特許文献5】特開2006−119508号公報
【特許文献6】特開2004−317915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から複数の画像形成部を備え、各画像形成部でそれぞれ色の異なるトナー像を形成し、そのトナー像を同一記録材上に順次重ね合わせて転写して、カラー画像を形成する画像形成装置が種々提案されている。
【0007】
図1は、画像形成装置の全体概略図である。タンデム方式で、かつ中間転写方式の画像形成装置を用いて説明する。この画像形成装置は、被受像部材である中間転写体としての中間転写ベルトの平面部に沿って、異なる色に対応した各画像形成ユニットを連続して配置した構成をとる。本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックのトナー用の各画像形成ユニットUY、UM、UC、UBkを配置し、基本的に同じ構成のものとした。したがって、以降に述べる画像形成ユニットの説明は、イエロー用画像形成ユニットUYについてのみ行うこととする。
【0008】
図1中のイエロー用画像形成ユニットUYにおいて、感光ドラム1yは円筒形の感光ドラムであり、矢印a方向へ回転駆動される。感光ドラム1yの表面には、帯電手段2yが圧接されている。帯電手段2yは感光ドラム1yの回転とともに回転し、電圧が印加され、感光ドラム1y表面を所望の電位に帯電する。
【0009】
次いで、感光ドラム1yは、潜像手段3yによって、記録される画像情報に応じて露光される。露光はレーザビームスキャナ・LEDなどにより行われる。
【0010】
現像手段4yは、現像剤としてのトナーを感光ドラム1y表面に搬送する現像ローラ4y1、現像ローラ4y1の表面へトナーを再塗布するための現像剤供給ローラ4y2、および、現像ローラ4y1上のトナーのコート量を規制するための現像剤規制ブレード4y3などで構成されている。
【0011】
現像剤規制ブレード4y3によって表面をトナーで均一にコートされた現像ローラ4y1は、感光ドラム1yに軽圧接され、順方向に回転し、さらに電圧を印加することにより、感光ドラム1y上の潜像をトナー像として顕像化する。
【0012】
感光ドラム1y上に形成されたトナー像は、感光ドラム1yの回転にしたがって中間転写ベルト5と感光ドラム1y間で形成される一次転写部へ搬送される。
【0013】
中間転写ベルト5は無端シートベルト状である。本実施形態では、中間転写ベルト5は、駆動ローラ6と、張架ローラ7a、7bで張架され、駆動ローラ6から与えられる駆動によって矢印c方向に駆動されるものとした。
【0014】
感光ドラム1yは、中間転写ベルト5を介して、一次転写手段としての一次転写ローラ8yと圧接され、一次転写部を形成する。なお、本実施例では、一次転写ローラ8yとして、金属芯金の上に弾性ゴム層を有するローラ形状のものを用いているが、シート、ブレード、あるいはブラシ形状にしたものでも使用可能である。
【0015】
感光ドラム1y上に形成されたトナー像は、感光ドラム1yの回転にしたがって中間転写ベルト5と感光ドラム1y間で形成される一次転写部へ搬送される。そこで、一次転写ローラ8yに印加される一次転写電圧によって、中間転写ベルト5表面に転写される。
【0016】
中間転写ベルト5上に形成されたフルカラートナー画像は、二次転写手段である二次転写ローラ9と中間転写ベルト5で形成される二次転写部に搬送される。これにタイミングを合わせて、給紙部10から転写材Pが給紙され、同時に二次転写ローラ9に所定の電圧を印加してトナー像を転写材Pに転移する。
【0017】
フルカラートナー画像を転写された転写材Pは、定着手段11に搬送され、熱や圧力の作用により転写紙P上にトナー像を定着されて機外へと排紙される。
【0018】
なお、本実施形態の画像形成装置は、一次転写後の感光ドラムの残留電位を除電するための除電用露光手段を各感光ドラムに対して具備する。除電用露光手段としての除電用LED16yは、一次転写後の感光ドラム1yの表面を照射する位置にそれぞれ配置する。本実施形態では除電用露光手段としてLEDを用いたが、レーザー光や、ハロゲンランプのようなアナログ光、アナログ光をフィルターや回折格子などを使って単色光とした光などを照射する構成としてもよい。
【0019】
また、一次転写終了後の転写残トナーは、感光ドラムクリーナ13yによってクリーニングされ、二次転写後の中間転写体上の残トナーは、中間転写ベルトクリーナ12によって除去される。
【0020】
現像器1a〜1dで使用する現像剤について説明する。
【0021】
現像器は、現像剤担持体である現像スリーブ上に乾式の現像剤を担持し、現像スリーブの回転により現像剤を感光ドラムの表面近傍に搬送し、現像スリーブと感光ドラムとの間に交番電界を印加しながら、搬送された現像剤で感光ドラム上の静電潜像を可視化する方法がよく知られている。
【0022】
現像方法としては、たとえば、内側に磁石を配置した現像スリーブの表面に、磁力によりキャリア粒子とトナー粒子からなる2成分現像剤の磁気ブラシを形成させ、この磁気ブラシを現像スリーブと微少な間隔を保持して対向させた感光ドラムに摺擦または近接させ、現像スリーブと感光ドラム間(SD間隙)に交番電界を印加することにより、現像スリーブ上の磁気ブラシからトナーを感光ドラムに対し転移および逆転移を繰り返して行わせる現像を行う、いわゆる磁気ブラシ現像法が知られている(たとえば特開昭55−3206082、特開昭59−165082号を参照)。
【0023】
また簡易なカラー現像や多重現像を目的とした2成分現像剤を用いた非接触方式の交番電界現像法も知られている(たとえば特開昭56−14268号、特開昭58−68051号、特開昭56−144452号、特開昭59−181362号、特開昭60−176069号参照)。
【0024】
ところで、上記の2成分現像剤に用いられる磁性キャリア粒子には、従来から、磁性金属酸化物が多く用いられている。理想的には、これらキャリア粒子はトナー粒子と混合され、現像スリーブ上で磁気ブラシを形成し、現像電界の作用でトナー粒子のみが感光ドラム上に転移するべきであるが、実際にはごく微量ながらキャリア粒子も感光ドラム上に転移する。
【0025】
ところで、キャリア付着は、感光ドラム1上の非画像部において、かぶり取り電位(現像スリーブ21に印加する直流バイアスと感光ドラム1の表面電位(非画像部電位)間の電位差)による静電気力が磁気力に勝るため生じる。なお、かぶり取り電位は、かぶりトナーを感光ドラム1から現像スリーブ21に引き戻す方向の電界であり、トナーと逆極性のキャリアは、逆に感光ドラム1の方向に引き付ける方向の電界となる。図2にその関係を示す。通常、かぶり取り電位はかぶり取り電位設定領域の範囲のように、両者が最適値となる値に設定される。つまり、通常のかぶり取り電位においても、実際には少量のかぶりトナーとキャリア付着が発生していることとなる。
【0026】
ところで、感光ドラム上のクリーニングブレードでは、一般に、ゴムブレードが使用されているが、このようなクリーニングブレードを有するクリーニング装置においては、クリーニングブレードによって掻き落とされてエッジ部近傍に滞留している転写残トナーが介在することにより、摩擦力を低減し、これによりクリーニングブレードの捲れなどのない安定した良好なクリーニング性能を得るようにしている。
【0027】
すなわち、少量のかぶりトナーは、非画像領域においても存在する為、上述の潤滑材としての役割を担っている。
【0028】
停止時や起動時のキャリア付着の量を軽減する為に、特開2001−092197においては、装置の停止時において、キャリア付着の量を抑制する目的で、帯電バイアス、及び現像バイアスを切断する際、かぶり取り電位を一定に保ったまま、スロープ上に帯電バイアスと現像バイアスを減少させていく構成が開示されているが、上記のように少量のキャリア付着は発生してしまう。
【0029】
この現象は、現像剤(磁性キャリア)が存在する幅全てで発生する可能性があり、すなわち通常現像有効幅は画像幅よりも十分大きく設計してあることから、中間転写ベルト130の幅のほぼ全域に発生する。
【0030】
ところで、感光ドラムに転移した磁性キャリアは、転写部で転写ベルトとの摺擦により樹脂シート製の搬送ベルト130に摺擦傷をつくることがある。
【0031】
この現象は、回転起動時及び停止時により顕著に発生する。
【0032】
通常、感光ドラムと搬送ベルトは周速差のない状態で回転されるが、起動時や停止時には各々の立ち上がり速度や立下り速度の差により、通常よりも大きな周速差が生じる。
【0033】
これは、上記のように、正常に停止した場合においても、かぶり取り電位によって、装置停止時に感光ドラム上に付着した少量のキャリアが、転写ニップ内に挟み込まれて存在する。その為、起動時に転写ニップ部にてキャリアとドラムが摺擦され、傷が発生する。
【0034】
中間転写ベルトの摺擦傷は、その大きさ、深さにもよるが、中間転写ベルトのクリーニング不良による画像の裏汚れや転写不良を引き起こすことがある。
【0035】
本発明の目的は、2成分現像剤中の磁性キャリアによる起動・停止時のや中間転写ベルトの摺擦傷を抑制して、これらベルトのクリーニング不良による画像の裏汚れ等や転写不良を防止し、良好な品質の画像を得ることを可能とした画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
静電潜像が形成される複数の第1の像担持体と、
前記静電潜像を色の異なる現像剤像として現像する複数の現像手段と、
前記複数の第1の像担持体上に形成された色の異なる現像剤像が転写される第2の像担持体と、
前記第2の像担持体を帯電させる1次転写手段と、
前記第2の像担持体上に重ねて転写された現像剤像を記録媒体に一括して転写するための2次転写手段と、
第2の像担持体と第1の像担持体とを離間させる離間手段を有し、且つ、上記現像手段の回転時間を検知・記録する記録手段と、
外気の温湿度を検知する温湿度検知手段を有する画像形成装置において、
上記温湿度検知手段又は現像手段の回転時間に応じて、JOB開始時における、上記離間手段の動作タイミングを変更することを特徴とする。
【0037】
上記離間手段変更時に、JOB終了時の離間動作を併せて変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
上記のように構成することで、ダウンタイムを最小限に抑え、キャリアによるITB傷起因の問題の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】画像形成装置の全体概略図
【図2】かぶりトナー量・キャリア付着量とかぶり取り電位との関係を表す図
【図3】実施系で使用したタンデム型フルカラー画像形成装置の構成を示す説明図
【図4】図3のタンデム型フルカラー画像形成装置の各分解色の画像形成部の構成を示す説明図
【図5】中間転写ベルトおよび支持ローラの着脱機構の説明図
【図6】制御フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の一実施形態であるフルカラー画像形成装置について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の画像形成装置は、以下に説明する実施形態の限定的な構成には限定されない。感光ドラムの下流側で支持ローラを離間させて中間転写ベルト等への電気的な影響を回避する限りにおいて、各実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実現可能である。
【0041】
本実施形態では、中間転写ベルト51に沿って4つの感光ドラム1a、1b、1c、1dを配置したタンデム型画像形成装置を説明する。しかし、本発明の画像形成装置は、記録材搬送ベルトに沿って中間色を含む4つ以上の感光ドラムを配置した画像形成装置としてもよく、感光ドラム1つのモノクロ仕様でもよい。すなわち、本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の画像を形成する装置において、ブラック単色モードにおける動作の詳細を説明する。しかし、本構成は、前記4色以外の色を用いた画像形成装置や、淡色トナーを用いた画像形成装置に適用することも可能である。
【0042】
本発明の画像形成装置は、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途に対応させて実施できる。
【0043】
なお、特許文献1乃至6に示される画像形成装置の構成、搭載された各電源、装置機器の詳細構造、制御等については、繰り返しの煩雑を回避すべく、図示を省略して詳細な説明も省略する。
【0044】
<画像形成装置>
図3は本実施系で使用したタンデム型フルカラー画像形成装置の構成を示す説明図、図4は各分解色の画像形成部の構成を示す説明図である。図4に示すように、画像形成装置100は、ユニット化された画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdを中間転写ベルト51に沿って配列させた中間転写方式タンデム型フルカラー画像形成装置である。画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdは、それぞれ感光ドラム1a、1b、1c、1dを有して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各分解色のトナー像を電子写真プロセスにより形成する。
【0045】
画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdは、現像装置4a、4b、4c、4dに充填される現像剤(トナー)の色が異なる以外は共通に構成されている。従って、画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdの詳細な構造については、添え字a、b、c、dを除いて総括的に図示した図3を参照して共通に説明する。
【0046】
図3に示すように、画像形成部S(Sa、Sb、Sc、Sd)は、それぞれ像担持体としての感光ドラム1(1a、1b、1c、1d)を有する。矢印R1方向に回転する感光ドラム1を囲んで、一次帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、一次転写ローラ53、クリーニング装置6が矢印R1方向に順次配設されている。
【0047】
感光ドラム1は、アルミニウム等の導電性基体11の外周に光導電層12を形成した円筒状の電子写真感光体であって、表面の帯電極性は負極性である。感光ドラム1は、中心の支軸13によって回転自在に支持され、不図示の駆動源によって回転駆動される。
【0048】
一次帯電ローラ2は、帯電バイアス電源24によって帯電バイアス電圧を印加された状態で感光ドラム1に圧接して矢印R2方向へ従動回転することにより、感光ドラム1の表面を負極性の所定電位に帯電させる。一次帯電ローラ2は、導電性発泡材料の低抵抗導電層22の中心に導電性の芯金21を配置して回転軸とし、外周に中抵抗導電層23を被せて全体としてローラ状に構成されている。芯金21の両端部は、不図示の軸受部材によって回転自在に支持され、不図示の押圧ばねによって感光ドラム1に向けて付勢されているので、一次帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面に所定の押圧力で圧接される。
【0049】
露光装置3は、画像データを走査線に沿って展開した画像信号によってパルス変調されたレーザービームを不図示のポリゴンミラーにより走査して、感光ドラム1の表面を走査露光する。一様に帯電していた感光ドラム1の表面には、露光の走査線に沿って画素濃度に応じた電位が書き込まれ、感光ドラム1の表面に静電潜像が形成される。
【0050】
現像装置4は、感光ドラム1の表面の静電潜像に現像剤を付着させてトナー像に現像する。現像容器41には、非磁性トナー粒子(トナー)と磁性キャリア粒子(キャリア)とを混合した2成分系現像剤が収容される。現像容器41は、現像室45と撹拌室46とに区画され、撹拌室46の上方には補給用のトナーを収容した補給室47が接続されている。
【0051】
感光ドラム1に面した現像容器41の開口部に現像スリーブ42が回転自在に設置され、現像スリーブ42の内側にマグネットローラ43が非回転に固定配置されている。マグネットローラ43の磁界によって現像スリーブ42に担持された2成分現像剤は、現像スリーブ42の回転に伴って、規制ブレード44で薄層に規制され、感光ドラム1の表面に対向する現像領域に供給される。現像領域では、マグネットローラ43の磁界によって2成分現像剤が穂立ちして磁気ブラシを形成し、磁気ブラシによって感光ドラム1の表面が摺擦される。現像スリーブ42には、現像バイアス電源48によって現像バイアス電圧が印加されているので、磁気ブラシの穂を構成するキャリアに付着しているトナーが感光ドラム1の静電潜像に静電気的に移動して付着する。ここでは、感光ドラム1の表面の露光によって負極性の電位が減衰した部分に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(負極性)に帯電させたトナーを付着させる反転現像によってトナー像を形成する。
【0052】
感光ドラム1の表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ53を用いて帯電させた中間転写ベルト51に一次転写される。一次転写ローラ53は、回転軸を兼ねた芯金531の外周面に円筒状の導電層532を被せてある。回転自在に支持された芯金531の両端部を不図示のばね部材によって付勢することにより、導電層532が中間転写ベルト51を介して所定の押圧力で感光ドラム1に圧接される。一次転写ローラ53は、中間転写ベルト51の内側面に圧接しており、中間転写ベルト51の移動に伴って従動回転する。
【0053】
一次転写ローラ53は、芯金531に一次転写バイアス電源54を接続して一次転写バイアス電圧を印加することにより、中間転写ベルト51と感光ドラム1との間に一次転写部N1を形成する。トナー像を一次転写する際の一次転写ローラ53には、トナーの正規の帯電極性(負極性)とは逆極性(正極性)の一次転写バイアス電圧が印加される。一次転写ローラ53と感光ドラム1との間には、感光ドラム1の表面の負極性に帯電したトナー粒子を中間転写ベルト51に向かって付勢する電界が形成され、電界に応答したトナー粒子が感光ドラム1から中間転写ベルト51へ移動する。
【0054】
一次転写部N1で一次転写されなかった転写残トナー等は、クリーニング装置6により除去して、感光ドラム1の表面を、次回の一次帯電〜一次転写のプロセスに備えさせる。クリーニング装置6は、柔軟な弾性体材料のクリーニングブレード61を感光ドラム1の表面に摺擦させて、感光ドラム1の表面の付着物をドラムクリーナハウジング63に掻き落とす。ドラムクリーナハウジング63に堆積した廃トナーは、搬送スクリュー62によって軸方向に搬送して、不図示の廃トナー収容部に貯留される。
【0055】
図3に示すように、画像形成部Sa、Sb、Sc、Sdに共通に圧接させて中間転写ベルト51が配置される。感光ドラム1a、1b、1c、1dで形成された4つの分解色のトナー像は、中間転写ベルト51に重ねて一次転写されて二次転写部N2に搬送され、二次転写部N2で記録材Pに一括して二次転写される。
【0056】
中間転写ベルト51は、駆動ローラ52、従動ローラ55、二次転写内ローラ56、上流規制ローラ58に掛け渡して支持された状態で中間転写ユニット5にまとめられている。中間転写ベルト51は、不図示の駆動源に接続された駆動ローラ52に駆動されて矢印R3方向に循環し、圧接された感光ドラム1a、1b、1c、1dを従動回転させる。中間転写ベルト51は、一次転写ローラ53a、53b、53c、53dによって内側面を押圧されることにより、外側面を感光ドラム1a、1b、1c、1dに圧接して一次転写部N1a、N1b、N1c、N1dを形成する。
【0057】
中間転写ベルト51を挟んで二次転写内ローラ56に対向する二次転写外ローラ57は、中間転写ベルト51に圧接して二次転写部N2を形成する。記録材供給部8は、中間転写ベルト51上のトナー像に同期したタイミングで二次転写部N2に記録材Pを供給する。すなわち、記録材Pを貯留したカセット81からピックアップローラ82によって記録材Pを1枚ずつ取り出してレジストローラ83で待機させる。そして、中間転写ベルト51上のトナー像の先頭にタイミングを合わせてレジストローラ83を作動させて記録材Pを二次転写部N2に受け渡す。記録材Pは、中間転写ベルト51の循環速度と等しい速度で二次転写部N2を通過して、中間転写ベルト51上のトナー像を二次転写される。
【0058】
二次転写外ローラ57には、二次転写バイアス電源60が接続され、トナー像の二次転写に際しては、トナーの正規の帯電極性(負極性)とは逆極性(正極性)の二次転写バイアス電圧が印加される。これにより、接地電位に接続された二次転写内ローラ56と、二次転写バイアス電圧を印加された二次転写外ローラ57との間には、中間転写ベルト51上の負極性のトナー粒子を記録材Pに向かって付勢する電界が形成される。電界に応答したトナー粒子が中間転写ベルト51から記録材Pへ移動することにより、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各分解色のトナー像が一括して記録材Pに二次転写される。
【0059】
二次転写部N2を通過してフルカラーのトナー像が二次転写された記録材Pは、定着装置7へ搬送される。定着装置7は、回転自在に配設された定着ローラ71と、定着ローラ71に圧接しながら回転する加圧ローラ72とを有する。定着ローラ71の内部には、ハロゲンランプヒータ73が配設され、ヒータ73へ供給する電力を制御して、定着ローラ71の表面の温度調節が行われている。定着装置7に搬送された記録材Pは、一定速度で回転する定着ローラ71と加圧ローラ72との加圧ニップを通過する過程で表裏両面からほぼ一定の圧力と温度とで加圧加熱される。これにより、記録材Pの表面の未定着トナー像は、溶融して記録材Pに定着されてフルカラー画像が形成される。
【0060】
二次転写部N2で記録材Pに二次転写されずに中間転写ベルト51に残った転写残トナーは、中間転写ベルト51の循環に伴ってベルトクリーニング装置59に搬送されて除去、回収される。ベルトクリーニング装置59は、クリーニング装置6と同様に、クリーニングブレードを用いて転写残トナーをドラムクリーナハウジングに掻き落とし、搬送スクリューによって搬送して廃トナー収容部に貯留する。
【0061】
本実施形態におけるプロセス速度、すなわち感光ドラム1及び中間転写ベルト51の周速度は、100mm/secである。中間転写ベルト51は、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)のような誘電体樹脂によって構成できる。本実施形態では、表面抵抗率1012Ω/□(JIS−K6911法準拠プローブを使用、印加電圧100V、印加時間60sec、23℃/50%RH)、厚み100μmのPI(ポリイミド)樹脂で形成されたものを用いた。しかし、これに限定されるものではなく、他の材料、体積抵抗率、及び厚みのものでも構わない。
【0062】
一次転写ローラ53は、外径8mmの芯金531と、厚さ4mmの導電性ウレタンスポンジ層532とによって構成され、一次転写ローラ53の電気抵抗値は、約105Ω(23℃/50%RH)である。一次転写ローラ53の電気抵抗値は、500g重の荷重の下で接地された金属ローラに当接させた一次転写ローラ53を50mm/secの周速で回転させ、芯金531に100Vの電圧を印加して測定された電流値から求めた。
【0063】
二次転写内ローラ56は、外径18mmの芯金561と、厚さ2mmの導電性のシリコンゴムのソリッド層562とによって構成され、二次転写内ローラ56の電気抵抗値は、一次転写ローラ53と同様に測定して約104Ωである。
【0064】
二次転写外ローラ57は、外径20mmの芯金571と、厚さ4mmの導電性のEPDMゴムのスポンジ層572とによって構成され、二次転写外ローラ57の電気抵抗値は、一次転写ローラ53と同様に測定して約108Ωである。ただし、測定時の印加電圧は2000Vとした。
【0065】
<第1実施形態>
図5は中間転写ベルトおよび支持ローラの着脱機構の説明図である。
【0066】
図5に示すように、上流規制ローラ58は、上昇位置58aと下降位置58bとの間を移動して中間転写ベルト51を昇降させることにより、感光ドラム1a、1b、1cと中間転写ベルト51との圧接/離間を制御する。上流規制ローラ58は、上昇位置58aで中間転写ベルト51の内側面を支持して、駆動ローラ52との間に中間転写ベルト51の直線部を形成して、感光ドラム1aと中間転写ベルト51との接触状態および接触位置を一定に確保する。
【0067】
規制ローラ90は、中間転写ベルト51が下降して感光ドラム1a、1b、1cから離間すると、上昇位置90bで中間転写ベルト51の内側面を支持して、感光ドラム1dと中間転写ベルト51との接触状態および接触位置を一定に確保する。しかし、中間転写ベルト51が感光ドラム1a、1b、1cに圧接されると、下降位置90aへ移動して中間転写ベルト51から離間する。
【0068】
図4に示すように、上流規制ローラ58と一次転写ローラ53a、53b、53cとは、それぞれの回転軸が共通のリトラクトフレーム581に固定される。上流規制ローラ58は接地電位に接続されている。しかし、一次転写ローラ53a、53b、53c、は、リトラクトフレーム581から絶縁されて、それぞれ独立した一次転写バイアス電圧を印加可能にしてある。
【0069】
リトラクトフレーム581は、回転軸584を中心に回動するカム582と、回転軸585を中心に回転するカム583とを並列に回動することにより、平行を保ったままに上下に移動する。リトラクトフレーム581の昇降に伴う中間転写ベルト51のたるみは、テンションローラ55の移動によって吸収される。ベルトクリーニング装置59は、テンションローラ55に位置関係を固定されているので、テンションローラ55が移動しても、ベルトクリーニング装置59と中間転写ベルト51との関係は一定に保たれる。
【0070】
回転軸584、585、904は、モータ905によって駆動される不図示の連動機構によって並列に回転駆動される。連動機構は、回転軸584、585を図中右回り方向に回転して上流規制ローラ58を上昇位置58aに停止させる過程で、回転軸904を反対方向に回転して規制ローラ90を下降位置90aへ停止させる。連動機構は、回転軸584、585を図中左回り方向に回転して上流規制ローラ58を下降位置58bに停止させる過程で、回転軸904を反対方向に回転して規制ローラ90を上昇位置90bへ停止させる。
【0071】
一方で、53a、53b、53cに連動して、1次転写ローラ53dを単独で離間する機構を併せ持っている。(全離間モード)。
【0072】
本実施例では、作像動作における、1次転写の全離間モードの動作条件を下記2つの構成を持つ
(1)ITB、ドラム駆動開始前に1次転写ローラを着状態、その際、JOB終了時は着状態にて保持
(2)ITB、ドラム駆動開始前に1次転写ローラの全離間モードを動作させ、駆動開始後に1次転写ローラを着状態にさせる。
【0073】
ドラム上キャリア付着が顕著に多い以下の条件下に、起動時のキャリア傷を回避する為に、(2)の構成を動作する。
【0074】
これにより、停止時にドラム-ITBのニップ部に挟まれたキャリアによるキャリア傷を防止する。
【0075】
通常、キャリア付着量は、CRG耐久が初期であるとき、また高温高湿環境下であるときに増加することが知られている。これは、CRG初期には、キャリアに含まれる微径成分が排出されやすい為であり、また帯電量の少ない高温高湿化においてもキャリア付着が発生しやすい為である。
【0076】
そこで、本実施例においては、(1)、(2)の切り替えを下記条件下にて行った。
・CRG通紙枚数が5K枚以下であるとき→(2)
・機外環境が高温高湿化であるとき→(2)
・それ以外→(1)
制御フローを図6に示す。
【0077】
JOBスタート時に上記の条件を判定し、(1)、(2)の制御を選択し作像動作を開始する。
【0078】
つまり、キャリア付着が多く、摺擦傷が発生しやすい条件下では、駆動開始時に1次転写ローラ及び中間転写ベルトとドラムとを非接触状態にすることで、摺擦傷を防止する。
【0079】
以上のような動作手順により、キャリア付着が多い条件下においては、ドラム、ベルトの駆動時の周速差によるキャリアの摺擦傷を防止することができる。
【符号の説明】
【0080】
画像形成部 S(Sa、Sb、Sc、Sd)
感光ドラム 1(1a、1b、1c、1d)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される複数の第1の像担持体と、
前記静電潜像を色の異なる現像剤像として現像する複数の現像手段と、
前記複数の第1の像担持体上に形成された色の異なる現像剤像が転写される第2の像担持体と、
前記第2の像担持体を帯電させる1次転写手段と、
前記第2の像担持体上に重ねて転写された現像剤像を記録媒体に一括して転写するための2次転写手段と、
第2の像担持体と第1の像担持体とを離間させる離間手段を有し、且つ、上記現像手段の回転時間を検知・記録する記録手段と、外気の温湿度を検知する温湿度検知手段を有する画像形成装置において、
上記温湿度検知手段又は現像手段の回転時間に応じて、JOB開始時における、上記離間手段の動作タイミングを変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記離間手段変更時に、JOB終了時の離間動作を併せて変更することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−123281(P2012−123281A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275265(P2010−275265)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】