説明

画像形成装置

【課題】 発光部と受光部とを有し、ホッパーユニット内のトナーの有無を検知するセンサにおいて、ホッパーユニット内のトナーが密度の小さい状態で蓄積されており、且つ、受光部の受光光量が低下した場合であっても、精度良くトナーの有無を検出することができる発光部の発光光量を特定する。
【解決手段】 ホッパーユニットと、ホッパーユニット内へ光を照射するLEDと、LEDから照射され、ホッパーユニット内を透過した光を受光するフォトダイオードを有し、フォトダイオードで受光される受光光量がトナー無し状態を示す値である場合に、LEDの発光光量を減少させ、フォトダイオードに受光される受光光量トナー有り状態を示す値に切り替わった際の発光光量から、トナーの残量を検知する際にLEDに入力する電流値を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置において、光学式のトナー残量検知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、現像器内のトナーは、現像器内で撹拌されることによって帯電した後、像担持体上の静電潜像をトナー像として顕像化する際に消費される。また、この現像器内のトナーが所定量より減少した場合、トナーを収容した容器からトナーが補給されることで、現像器内のトナーが常に一定となるように制御されている。
【0003】
現像器に補給されるトナーは、画像形成装置本体に着脱可能なトナーボトルから、装置本体内に設けられたホッパーユニットを介して供給される。このホッパーユニットは、トナーボトルから補給されるトナーを一時的に蓄積するバッファ部としての役割を担っている。また、この構成とすることで、トナーボトル内のトナーが空になった場合にも、ホッパーユニット内のトナーを用いて画像形成を続けることが可能となる。なお、ホッパーユニット内のトナーの量が所定量より減少した場合にも、トナーボトルからトナーが補給され、ホッパーユニット内のトナーが所定量以上となるように制御される。
【0004】
ところで、ホッパーユニット内のトナーの量が所定量以上であることを検出する方法としては、発光素子と受光素子とを有する光学式センサを用いるものがある(例えば、特許文献1)。特許文献1では、ホッパーユニットの一部が光を透過する検知窓となっており、発光素子が検知窓を介してホッパーユニットへ光を照射し、受光素子がホッパーユニット内を透過した光の受光光量を検知する構成となっている。なお、ホッパーユニット内のトナーは所定量蓄積されると、検知窓を覆うため、発光素子から照射される光を遮蔽し、受光素子の受光光量を減少させる。そのため、受光素子の受光光量と基準値とを比較し、受光光量が基準値以下であれば、ホッパーユニット内のトナーが所定量以上蓄積されていると判定する構成となっている。ホッパーユニット内のトナーが所定量以上蓄積されていると判定された場合、ホッパーユニット内のトナーの量が目標値よりも減少したことを検出したタイミングで、ホッパーユニットから現像器へトナーを補給する。
【0005】
一方、受光素子の受光光量が基準値よりも大きい場合、ホッパーユニット内のトナーが不足していると判定される。これは、ホッパーユニット内のトナーの量が所定量よりも少ない場合、ホッパーユニット内のトナーが検知窓を覆うほど蓄積されていない状態となり、受光素子により受光される受光光量が基準値よりも大きくなるためである。ホッパーユニット内のトナーが不足していると判定された場合、ホッパーユニット内のトナーの量が所定量以上となるまで、トナーボトルからホッパーユニットへトナーを補給する。
【0006】
ところで、ホッパーユニットの検知窓には、トナーボトルから補給されるトナーが付着してしまうことがある。検知窓にトナーが付着してしまうと、検知窓を介して照射される光が、検知窓に付着しているトナーによって遮られるため、受光素子に受光される受光光量が基準値以下となる虞がある。つまり、ホッパーユニット内のトナーの量が不足しているにも拘わらず、検知窓にトナーが付着している状態であると、ホッパーユニット内に所定量以上のトナーが蓄積されていると誤検知される場合がある。そのため、発光素子は、検知窓にトナーが付着しても受光素子に受光される光量が基準値以下とならないような光量の光を照射するように、その発光光量が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−27593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、発光素子から照射される光量を前述のような光量に設定した画像形成装置では、ホッパーユニット内のトナーの量が所定量以上ある状態でも、受光素子に受光される光量が基準値よりも大きくなり、トナーが不足していると誤検知する場合がある。
【0009】
これは、ホッパーユニット内に補給されたトナーが空気と混合されることによって、この蓄積されたトナー中の空気の量が多くなり、発光素子から照射される光が透過しやすくなる。そのため、発光素子からホッパーユニット内に光を照射すると、受光素子により受光される受光光量の値が基準値よりも大きくなり、ホッパーユニット内に所定量以上のトナーが蓄積されていても、トナーが不足していると誤検知してしまう。特に、トナーボトル内のトナーをホッパーユニット内へ自由落下させて補給する構成において、ホッパーユニット内に蓄積されるトナー中の空気の量が多くなり易く、この誤検知が発生しやすい。
【0010】
そこで、本発明は、トナーを蓄積する容器に設けられた受光部の受光光量が低下した場合であっても、光を透過しやすい状態で蓄積されているトナーの有無を精度良く検出することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成装置は、トナーを蓄積するトナー蓄積手段と、前記トナー蓄積手段のトナーが蓄積される領域に向けて光を照射する発光部と、前記発光部に供給する電流値を変化させることにより、前記発光部の発光光量を制御する制御手段と、前記発光部から照射され、前記トナー蓄積手段の前記領域を透過した光を受光することにより、受光光量に応じた出力値を出力する受光部と、を有し、前記受光部から出力される出力値が閾値以下の場合、前記トナー蓄積手段にトナーが蓄積されていることを検知する画像形成装置であって、前記制御手段は、前記受光部から出力される出力値が前記閾値よりも大きい場合、前記発光部に供給する電流値を変化させ、電流値の変化に応じて前記受光部から出力される出力値が前記閾値より大きい値から前記閾値以下の値へと切り替わるときの電流値に基づき、前記発光部に供給するべき電流値を決定することを特徴とする。
【0012】
また、他の請求項に記載の画像形成装置は、トナーを蓄積するトナー蓄積手段と、前記トナー蓄積手段のトナーが蓄積される領域に向けて光を照射する発光部と、前記発光部に供給する電流値を変化させることにより、前記発光部の発光光量を制御する制御手段と、前記発光部から照射され、前記トナー蓄積手段の前記領域を透過した光を受光することにより、受光光量に応じた出力値を出力する受光部と、を有し、前記受光部から出力される出力値が閾値以下の場合、前記トナー蓄積手段にトナーが蓄積されていることを検知する画像形成装置であって、前記制御手段は、前記受光部から出力される出力値が前記閾値よりも大きい場合、前記発光部に供給する電流値を、前記出力値が前記閾値以下となる値から変化させ、電流値の変化に応じて前記受光部から出力される出力値が前記閾値以下の値から前記閾値よりも大きい値へと切り替わるときの電流値に基づき、前記発光部に供給するべき電流値を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、トナーを蓄積する容器に設けられた受光部の受光光量が低下した場合であっても、光を透過しやすい状態で蓄積されているトナーの有無を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置を示す概略断面図
【図2】第1の実施形態のトナーボトルとホッパーユニットを示す要部断面図
【図3】第1の実施形態のホッパーユニットを示す要部断面図
【図4】センサ出力の閾値とLEDに供給するLED電流値の変化を示す概略図
【図5】第1の実施形態の画像形成装置の制御ブロック図
【図6】第1の実施形態のトナーの補給処理を表すフローチャート図
【図7】第2の実施形態のトナーの補給処理を表すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
図1は本実施形態の画像形成装置の概略断面図である。本実施形態の画像形成装置100は画像読取部1Rで原稿画像を光学的に読み取り、色成分毎の画像信号を画像出力部1Pに送信する。
【0016】
画像出力部1Pには4つの像形成部10a、10b、10c、10dが一列に配列されている。像形成部10aはブラックのトナー像を形成し、像形成部10bはシアンのトナー像を形成し、像形成部10cはマゼンタのトナー像を形成し、像形成部10dはイエローのトナー像を形成する。
【0017】
像形成部10aは、ブラックのトナー像を担持する感光ドラム11aの周りに、帯電器12a、露光装置13a、現像器14a、一次転写ブレード35a及びドラムクリーナ15aを有している。ここで、帯電器12aは感光ドラム11aを帯電する。また、露光装置13aは感光ドラム11aにブラックの色成分に対応した静電潜像を形成するため、この感光ドラム11aを露光する。また、現像器14aは感光ドラム11a上に形成された静電潜像をトナーを有する現像剤を用いてトナー像として顕像化する。また、一次転写ブレード35aは感光ドラム11aに担持されたブラックの色成分のトナー像を後述の中間転写ベルト30に転写する。また、ドラムクリーナ15aは感光ドラム11aに残留したトナーを除去する。なお、像形成部10b、10c、10dは、像形成部10aと同様の構成を有しているため、ここではその説明を省略する。
【0018】
前述の中間転写ベルト30は、トナー像が担持される像担持体であり、各像形成部10a、10b、10c、10dで形成された各色成分のトナー像を重ねて担持することでフルカラーのトナー像が形成される。また、中間転写ベルト30は、この中間転写ベルト30を回転駆動させる駆動ローラ32と、従動ローラ33と、後述の二次転写対向ローラ34に掛け回されており、駆動ローラ32の回転により、図の矢印B方向へと回転駆動される。
【0019】
なお、一次転写ブレード35aが中間転写ベルト30を介して感光ドラム11aを押圧する部分を一次転写ニップ部Taとする。また、一次転写ブレード35bが中間転写ベルト30を介して感光ドラム11bを押圧する部分を一次転写ニップ部Tbとする。また、一次転写ブレード35cが中間転写ベルト30を介して感光ドラム11cを押圧する部分を一次転写ニップ部Tcとする。また、一次転写ブレード35dが中間転写ベルト30を介して感光ドラム11dを押圧する部分を一次転写ニップ部Tdとする。
【0020】
中間転写ベルト30の周囲には、この中間転写ベルト30上のトナー像を紙などの記録材Pへ転写するための二次転写ローラ36が配設されている。なお、二次転写ローラ36が中間転写ベルト30を介して二次転写対向ローラ34を押圧する部分を二次転写ニップ部Teとする。また、この中間転写ベルト30から記録材Pへと転写されずに残留したトナーを除去するベルトクリーナ50が配設されている。
【0021】
次に、本実施形態の画像形成装置100が、画像読取部1Rや不図示のPC等から入力される画像信号に応じた画像を出力する画像形成動作について説明する。
【0022】
各像形成部10a、10b、10c、10dにおいて、先ず、帯電器12a、12b、12c、12dが各感光ドラム11a、11b、11c、11dを一様に帯電する。次いで、露光装置13a、13b、13c、13dが各感光ドラム11a、11b、11c、11dに各色成分の画像信号に応じた露光光を照射することで、各色成分の画像信号に対応する静電潜像が形成される。その後、各感光ドラム11a、11b、11c、11d上の静電潜像は現像器14a、14b、14c、14dによって各色成分のトナー像として顕像化される。
【0023】
感光ドラム11a、11b、11c、11d上の各色成分のトナー像は、この各感光ドラム11a、11b、11c、11dの回転に伴い一次転写ニップ部Ta、Tb、Tc、Tdへと搬送される。一次転写ニップ部Ta、Tb、Tc、Tdにおいて、感光ドラム11a、11b、11c、11d上の各色成分のトナー像は一次転写ブレード35a、35b、35c、35dから一次転写電圧が印加され、中間転写ベルト30上に順次重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト30上にはフルカラーのトナー像が形成される。また、感光ドラム11a、11b、11c、11dに残留したトナーは、ドラムクリーナ15a、15b、15c、15dによって除去される。
【0024】
中間転写ベルト30に転写されたトナー像は、この中間転写ベルト30の矢印B方向への回転に伴い、二次転写ニップ部Teに搬送される。一方、記録材Pはタイミングを調整されてフルカラーのトナー像と接触するように二次転写ニップ部Teへと搬送されると、二次転写電圧が印加された二次転写ローラ36により、中間転写ベルト30上のフルカラーのトナー像が記録材P上に転写される。また、二次転写ニップ部Teで記録材P上に転写されずに中間転写ベルト30に残留したトナーは、ベルトクリーナ50によって除去される。
【0025】
トナー像を担持した記録材Pは排紙ガイド26によって定着器40へと搬送される。定着器40は、定着ローラ対41a、41bはトナー像と記録材Pを挟持し、搬送しながら、定着ローラ41a内に設けられた不図示のヒータにより加熱することで、トナー像を記録材Pへと定着する。
【0026】
次に、図2と図3を用いて、図1の各現像器14a、14b、14c、14dに供給する各色のトナーTを一旦蓄積しているトナー蓄積手段としてのホッパーユニット200内のトナーの残量を検知する方法について説明する。なお、ホッパーユニット200は、現像器14a、14b、14c、14d毎に設けられている。
【0027】
図2は、図1の現像器14a、14b、14c、14dの1つ(以後、簡略化のため現像器14と称す。)に配設された補給用のトナーTを蓄積するためのホッパーユニット200と、画像形成装置100に装着されたトナーボトル300の概略断面図である。現像器14内のトナーTが減少すると、トナーボトル300から画像形成に使用される補給用のトナーTが、ホッパーユニット200へ補給される構成となっている。
【0028】
トナーボトル300は、ホッパーユニット200への補給用のトナーTを収容しており、その内側面にトナーTを搬送するらせん状の案内溝が形成されている。トナーボトル300がトナーボトル駆動モータ301によって回転駆動されることで、このトナーボトル300内のトナーTが開口部からホッパーユニット200へと補給される。
【0029】
ホッパーユニット200は、その壁面に検知窓202を有し、この検知窓202を介してホッパーユニット200内へ光を照射するLED203と、この検知窓202を介してホッパーユニット200を透過した光を受光するフォトダイオード204とを有する。なお、LED203は、ホッパーユニット200内のトナーが蓄積される領域へと光を照射する発光部である。さらに、LED203は、印加されるLED電流値を大きくすると発光光量が増加する。また、フォトダイオード204は、LED203から照射され、ホッパーユニット200内のトナーが蓄積される領域を透過した光を受光する受光部である。さらに、フォトダイオード204は、受光光量に応じた電流値をセンサ出力として出力する。また、LED203とフォトダイオード204は、ホッパーユニット200を間に挟むように、ホッパーユニット200の外側に配置されている。なお、フォトダイオード204からのセンサ出力に応じて、ホッパーユニット200内に所定量以上のトナーが蓄積されているか否かが検出される。この検出方法の詳細は後述する。
【0030】
搬送路205内に設けられた搬送スクリュー206は、スクリューモータ207によって所定回数回転駆動されることで、所定の量のトナーTをホッパーユニット200から現像器14へと補給することができる。また、搬送スクリュー206を回転駆動する軸の近傍には、この軸に一体に形成された遮蔽部材と、フォトインタラプタ208が設けられており、フォトインタラプタの光を遮蔽部材が遮ることにより、搬送スクリュー206の回転数が検出される構成となっている。
【0031】
図3は、トナーの量が検知窓を覆う程蓄積されている状態でのホッパーユニット200の概略断面図(図3a)と、トナーの量が検知窓を覆う程蓄積されていない状態でのホッパーユニット200の概略断面図(図3b)である。
【0032】
図3aのようにトナーの量が検知窓を覆うほど蓄積されている場合、LED203から照射される光がホッパーユニット200内のトナーTによって遮られるため、フォトダイオード204により受光される光量が閾値以下となる。
【0033】
一方、図3bのようにトナーの量が検知窓を覆うほど蓄積されていない場合、LED203からの光がホッパーユニット200内を透過し、フォトダイオード204により受光されるため、フォトダイオード204により受光される光量が閾値より大きい値となる。
【0034】
後述のCPU400(図5)は、フォトダイオード204により受光された光量が閾値以下の場合、ホッパーユニット200内のトナーTの界面が検知窓202よりも鉛直方向上方に位置しており、トナーの量が所定量以上蓄積されている状態であることを検出する。また、CPU400(図5)は、フォトダイオード204により受光された光量が閾値よりも大きい場合、ホッパーユニット200内のトナーTの界面が検知窓202を覆うほど蓄積されておらず、トナーの量が所定量よりも少ない状態であることを検出する。
【0035】
ここで、前述の図2で説明したように、ホッパーユニット200から現像器14へのトナーの供給と、トナーボトル300からホッパーユニット200へのトナーの補給を繰り返していると、検知窓202にはトナーが付着してしまう。検知窓202に付着するトナーの量が増加していくと、ホッパーユニット200内のトナーTの界面が検知窓202を覆うほど蓄積していない場合であっても、フォトダイオード204により受光された光量が閾値以下に低下してしまう。つまり、CPU400(図5)は、ホッパーユニット200内のトナーが検知窓202を覆うほど蓄積されていないにも拘わらず、トナーの量が所定量以上蓄積されている状態であることを検出してしまう。
【0036】
そのため、LED203には、検知窓202にトナーが付着した状態であっても、フォトダイオード204により受光される光量が閾値よりも大きい値となるLED電流値を印加する必要がある。なお、本実施形態では、LED203に供給するLED電流値の最大値を75[mA]としている。
【0037】
しかし、LED電流値を最大値(75[mA])とした場合、ホッパーユニット200内のトナーの密度が小さい状態では、この蓄積されたトナーが所定量以上蓄積されているにも拘わらず、フォトダイオード204のセンサ出力が閾値以下とならないことがある。なお、トナーの密度が小さい状態とは、ホッパーユニット200内に蓄積されているトナーが空気と混合されることにより、光を透過しやすい状態となっていることをいう。これにより、トナーボトル300からホッパーユニット200内にトナーが過剰に補給されてしまい、ホッパーユニット200からトナーが溢れる虞がある。
【0038】
そこで、本実施形態では、検知窓202に付着したトナーによって、フォトダイオード204の受光光量がどの程度低下したのかを検知する構成とする。
【0039】
図4は、本実施形態のLED203へ印加するLED電流値とフォトダイオード204としてのフォトダイオードから出力されるセンサ出力との対応関係を示した図である。また、図4(a)中のセンサ出力Cは、本実施形態のセンサ出力の閾値であり、フォトダイオード204から出力される出力値がセンサ出力C以下である場合、トナーの量が所定量以上蓄積されていると判定される。
【0040】
本実施形態では、図4(a)のように、LED203に印加するLED電流値を変化させ、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下となるLED電流値の最大値を特定する。次いで、この特定されたLED電流値から、ホッパーユニット200内のトナーが所定量以上蓄積されているか否かを検出する際にLED203に印加するLED電流値を決定する構成となっている。
【0041】
また、表1は、本発明者達が実験により求めたセンサ出力が閾値C以下となるときのLED電流値と、蓄積されるトナーの密度が小さい状態であってもホッパーユニットのトナーの残量を検出できるLED電流値との対応関係を示したデータである。
【0042】
【表1】

【0043】
次に、図5は、本実施形態の画像形成装置の制御ブロック図である。また、図6はホッパーユニット200から現像器14へトナーを補給するために、CPUがホッパーユニット200内のトナーの残量を検出する動作を説明するフローチャートである。
【0044】
図5において、CPU400は画像形成装置全体を制御する制御回路である。ROM401には、画像形成装置で実行する各種処理を制御するための制御プログラムが格納されている。また、ROM401には、表1のセンサ出力が閾値C以下となるときのLED電流値と、蓄積されるトナーの密度が小さい状態であってもホッパーユニットのトナーの残量を検出できるLED電流値との対応関係を示したデータが予め記録されている。また、RAM402は、CPU400が処理のために使用するシステムワークメモリである。
【0045】
LED203は、CPU400から所定のLED電流値が供給されると、ホッパーユニット200内へ光を照射する。
【0046】
フォトダイオード204は、ホッパーユニット200内を透過した光を受光すると、受光光量に応じたセンサ出力(電流)をCPU400に出力する。
【0047】
スクリューモータ207は、ホッパーユニット200(図2)内のトナーを現像器14(図1)へと補給する搬送スクリュー206(図2)を回転駆動させるモータである。CPU400から補給量に応じた信号が入力されると、補給量分のトナーを現像器14(図1)へと補給させる。
【0048】
トナーボトル駆動モータ301は、トナーボトル300(図2)内のトナーをホッパーユニット200(図2)へと補給する際に、トナーボトル300(図2)を回転駆動させるモータである。CPU400からホッパーユニット200(図2)のトナーの量が所定量よりも少ないと判定された場合、トナーボトル300(図2)を所定時間回転させることで、このトナーボトル300からホッパーユニット200へとトナーを補給させる。
【0049】
透磁率センサ500は、現像器14(図1)内の現像剤の透磁率を測定することで、現像器14内のトナーの量に応じた出力値をCPU400へ出力する。なお、透磁率センサ500の出力値は、現像器14内のトナーの量が減少することにより大きくなり、また、現像器14内のトナーの量が増加することにより小さくなる。CPU400は、透磁率センサ500の出力値から、現像器14内のトナーの量と、トナー量の目標値とから、現像器14に補給するトナーの量を算出する。また、CPU400は、透磁率センサ500の出力値が所定値よりも小さくなった場合、現像器14内のトナーの量が所定量よりも少なくなったと判定し、ホッパーユニット200から現像器14へトナーの補給を開始する。
【0050】
図6は、トナーの補給処理を表すフローチャートである。なお、このフローチャートの処理はCPU400がROM401に格納されたプログラムを読み出すことにより実行される。
【0051】
CPU400は、透磁率センサ500の出力値が所定値よりも小さくなった場合に図6のフローチャートに示す制御を実行する。なお、透磁率センサ500の出力値を検出するタイミングは、所定回数の画像形成を実行した後とする。また、本実施形態では、透磁率センサ500の出力値を検出するタイミングを、所定回数の画像形成を実行した後としたが、画像形成装置の主電源がオンされた後であってもよい。
【0052】
以下、本実施形態の画像形成装置が実施する現像器14へのトナーの補給処理を図6に表すフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、本実施形態におけるホッパーユニット200内のトナーの残量を検出する処理も、現像器14へのトナーの補給処理に含まれている。
【0053】
先ず、CPU400は、LED203を発光させ、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下であるか否かを判定する(S100)。ここで、センサ出力が閾値C以下の場合、CPU400は、ホッパーユニット200内のトナーが所定量以上蓄積されている状態(トナー有り状態)であると判定する。なお、LED203に供給される初期のLED電流値は50[mA]に設定されており、2回目以降に供給されるLED電流値は前回決定されたLED電流値である。
【0054】
ステップS100において、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下であると判定した場合、スクリューモータ207を駆動させ、ホッパーユニット200から現像器14へとトナーを補給させる(S101)。ステップS101において、CPU400は、透磁率センサ500の出力値から、現像器14内の不足分のトナーの量を算出する。次いで、この算出結果から、搬送スクリュー206が不足分のトナーを補給するために必要な回転数を求め、この回転数分、スクリューモータ207により搬送スクリュー206を回転させる。なお、搬送スクリュー206が1回転する際に補給されるトナーの量は予め決まっている。また、搬送スクリュー206の回転数は、フォトインタラプタ208(図2)を用いてカウントする構成とする。
【0055】
ステップS101において、CPU400は、現像器14内の不足分のトナーをホッパーユニット200から補給した後、現像器14へのトナーの補給処理と、ホッパーユニット200内のトナーの残量を検出する処理を終了させる。
【0056】
一方、ステップS100において、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値Cよりも大きい値であると判定した場合、LED203に供給するLED電流値を2[mA]減少させる(S102)。つまり、CPU400は、LED電流値を所定量減少させることにより、LED203の発光光量を減少させる。
【0057】
次いで、CPU400は、ステップS102により2[mA]減少させたLED電流値でLED203を発光させ、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下であるか否かを判定する(S103)。
【0058】
ステップS103において、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値Cより大きい値であると判定された場合、ステップS102へ移行し、LED電流値をさらに2[mA]減少させる。次いで、CPU400は、再びステップS103へ移行し、前回よりもさらに2[mA]減少させたLED電流値でLED203を発光させ、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下であるか否かを判定する。つまり、CPU400は、ステップS102とステップS103を繰り返すことにより、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下となるまでLED電流値を2[mA]ずつ段階的に減少させている。これにより、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下となるLED電流値の内、最大となる値を特定することができる。
【0059】
次いで、CPU400は、ステップS103により特定されたLED電流値から、表1を参照することで、ホッパーユニット200内のトナーが所定量以上蓄積されているか否かを精度良く判定するためのLED電流値を決定する(S104)。例えば、CPU400は、ステップS103においてフォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下となったときのLED電流値が12[mA]である場合、LED203に供給するLED電流値を60[mA]とする。
【0060】
また、CPU400は、ステップS104により決定されたLED電流値をRAM402に記録する。このLED電流値は、次に現像器14へのトナーの補給処理が開始されたときに、ステップS100においてLED203に供給されるLED電流値となる。
【0061】
次いで、CPU400は、トナーボトル駆動モータ301を所定時間回転することにより、トナーボトル300からホッパーユニット200へトナーを補給させる(S105)。
【0062】
次いで、CPU400は、ステップS104で求めたLED電流値でLED203を発光させ、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下であるか否かを判定する(S106)。
【0063】
ステップS106において、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値Cよりも大きい値である場合、ステップS105へ移行し、トナーボトルを所定時間だけ回転させ、ホッパーユニット200にトナーの補給を行う。つまり、ステップS105とステップS106を繰り返すことにより、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下となるまで、トナーボトル300からホッパーユニット200にトナーが補給される。
【0064】
一方、ステップS106において、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下である場合、ステップS101へ移行し、ホッパーユニット200から現像器14にトナーを補給し、現像器14へのトナーの補給処理を終了する。
【0065】
本実施形態によれば、フォトダイオード204からのセンサ出力が閾値Cよりも大きい場合、LED203に印加するLED電流値を徐々に低下させ、センサ出力が閾値C未満となったときのLED電流値から、トナーの有無を検出する際のLED電流値を特定する。そのため、ホッパーユニット200の検知窓202にトナーが付着することで、フォトダイオード204に受光される光量が低下する場合であっても、光を透過しやすい状態で蓄積されるトナーの有無を精度良く検出するためのLED電流値を特定することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
本実施形態は、前述した第1の実施形態に対して下記に示す点において相違する。本実施形態のその他の要素は、前述の第1の実施形態に対応するものと同一なので説明を省略する。
【0067】
第1の実施形態では、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値Cより大きい場合、LED203に供給するLED電流値を所定量(2[mA])ずつ段階的に減少させ、センサ出力が閾値C以下となったときのLED電流値を特定する。この特定したLED電流値から、センサ出力が閾値C以下となるときのLED電流値に基づき、ホッパーユニット200内のトナーが所定量以上蓄積されているか否かを精度良く判定するためにLED203に供給するLED電流値を特定する構成とした。
【0068】
本実施形態では、図4(b)に示すように、センサ出力が閾値Cより大きい場合、LED電流値を予め決められた値(5[mA])まで減少させた後、所定量(2[mA])ずつ増加させ、センサ出力が閾値Cより大きい値となる直前のLED電流値を特定する。この特定したLED電流値に基づき、ホッパーユニット200内のトナーが所定量以上蓄積されているか否かを精度良く判定するためにLED203に供給するLED電流値を特定する構成とする。
【0069】
以下、本実施形態の画像形成装置が実施する現像器14へのトナーの補給処理を図7に表すフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、本実施形態のホッパーユニット200内のトナーの残量を検出する処理は、図7の現像器14へのトナーの補給処理に含まれている。
【0070】
先ず、CPU400は、LED203を発光させ、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下であるか否かを判定する(S200)。なお、LED203に供給される初期のLED電流値は50[mA]に設定されている。
【0071】
ステップS200において、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下であると判定した場合、スクリューモータ207を駆動させ、ホッパーユニット200から現像器14へとトナーを補給させる(S201)。
【0072】
本実施形態のステップS201のホッパーユニット200から現像器14へのトナーの補給は、前述の第1の実施形態のステップS101と同様なので詳細な説明を省略する。
【0073】
一方、ステップS200において、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値Cよりも大きい値であると判定した場合、LED203に供給するLED電流値を5[mA]に変更する(S202)。
【0074】
次いで、CPU400は、LED203を5[mA]で発光させ、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下であるか否かを判定する(S203)。
【0075】
ステップS203において、CPU400は、フォトダイオードから出力されるセンサ出力が閾値C以下である場合、LED電流値を2[mA]増加させ(S204)、ステップS203へ移行する。つまり、CPU400は、LED電流値を所定量増加させることにより、LED203の発光光量を増加させる。
【0076】
CPU400は、ステップS203とステップS204を繰り返すことにより、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値Cよりも大きい値となるまでLED電流値を2[mA]ずつ段階的に増加させている。これにより、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C未満から閾値C以上となるときのLED電流値を、ホッパーユニット200に蓄積されるトナーの有無を検出する際にLED203に印加するLED電流値として特定できる。
【0077】
ステップS203において、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値Cよりも大きい値となった場合、ホッパーユニット200内のトナーが所定量以上蓄積されているか否かを精度良く判定するためのLED電流値を求める。このとき、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下となるLED電流値の最大の値から、表1を参照することで、前述のLED電流値を決定する(S205)。例えば、CPU400は、ステップS203とステップS204の繰り返しにより、LED電流値が25[mA]のときにセンサ出力が閾値Cよりも大きい値となった場合、LED203に供給するLED電流値を70[mA]とする。
【0078】
また、CPU400は、ステップS205により決定されたLED電流値をRAM402に記録する。このLED電流値は、次に現像器14へのトナーの補給処理が開始されるときに、ステップS200においてLED203に供給されるLED電流値となる。
【0079】
次いで、CPU400は、トナーボトル駆動モータ301を所定時間回転することにより、トナーボトル300からホッパーユニット200へトナーを補給させる(S206)。
【0080】
次いで、CPU400は、ステップS205で求めたLED電流値でLED203を発光させ、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下であるか否かを判定する(S207)。
【0081】
ステップS207において、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値Cよりも大きい値である場合、ステップS206へ移行し、トナーボトルを所定時間だけ回転させ、ホッパーユニット200にトナーの補給を行う。つまり、ステップS206とステップS207を繰り返すことにより、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下となるまで、トナーボトル300からホッパーユニット200にトナーが補給される。
【0082】
一方、ステップS207において、CPU400は、フォトダイオード204から出力されるセンサ出力が閾値C以下である場合、ステップS201へ移行し、ホッパーユニット200から現像器14にトナーを補給し、現像器14へのトナーの補給処理を終了する。
【0083】
本実施形態によれば、フォトダイオード204からのセンサ出力が閾値Cよりも大きい場合、LED203に印加するLED電流値を印加可能な最小値から、センサ出力が閾値Cよりも大きい値となるまで徐々に増加させる。次いで、センサ出力が閾値C未満の値から閾値Cよりも大きい値となるときのLED電流値に基づき、トナーの有無を検出する際のLED電流値を特定する。そのため、ホッパーユニット200の検知窓202にトナーが付着することで、フォトダイオード204に受光される光量が低下する場合であっても、光を透過しやすい状態で蓄積されるトナーの有無を精度良く検出するためのLED電流値を特定することができる。
【符号の説明】
【0084】
100 画像形成装置
200 ホッパーユニット
203 LED
204 フォトダイオード
400 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを蓄積するトナー蓄積手段と、
前記トナー蓄積手段のトナーが蓄積される領域に向けて光を照射する発光部と、
前記発光部に供給する電流値を変化させることにより、前記発光部の発光光量を制御する制御手段と、
前記発光部から照射され、前記トナー蓄積手段の前記領域を透過した光を受光することにより、受光光量に応じた出力値を出力する受光部と、を有し、
前記受光部から出力される出力値が閾値以下の場合、前記トナー蓄積手段にトナーが蓄積されていることを検知する画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記受光部から出力される出力値が前記閾値よりも大きい場合、前記発光部に供給する電流値を変化させ、電流値の変化に応じて前記受光部から出力される出力値が前記閾値より大きい値から前記閾値以下の値へと切り替わるときの電流値に基づき、前記発光部に供給するべき電流値を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記受光部から出力される出力値が前記閾値よりも大きい場合、前記発光部に供給する電流値を所定量減少させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
トナーを蓄積するトナー蓄積手段と、
前記トナー蓄積手段のトナーが蓄積される領域に向けて光を照射する発光部と、
前記発光部に供給する電流値を変化させることにより、前記発光部の発光光量を制御する制御手段と、
前記発光部から照射され、前記トナー蓄積手段の前記領域を透過した光を受光することにより、受光光量に応じた出力値を出力する受光部と、を有し、
前記受光部から出力される出力値が閾値以下の場合、前記トナー蓄積手段にトナーが蓄積されていることを検知する画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記受光部から出力される出力値が前記閾値よりも大きい場合、前記発光部に供給する電流値を、前記出力値が前記閾値以下となる値から変化させ、電流値の変化に応じて前記受光部から出力される出力値が前記閾値以下の値から前記閾値よりも大きい値へと切り替わるときの電流値に基づき、前記発光部に供給するべき電流値を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記受光部から出力される出力値が前記閾値よりも大きい場合、前記発光部に供給する電流値を、前記出力値が前記閾値以下となる電流値から所定量増加させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−128362(P2012−128362A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282227(P2010−282227)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】