説明

画像形成装置

【課題】 複数の感光ドラム上に形成された各トナー像を中間転写体上あるいは転写材上に順次重ね合わせて画像を形成する画像形成装置において、感光ドラムの異常帯電を抑制し、低コスト化、小型化を図れるようにする。
【解決手段】 中間転写ベルト8は導電性を備え、2次転写部によって供給された電流が中間転写ベルト8の周方向に流れることで、複数の1次転写部で感光ドラムから中間転写ベルト8にトナー像を1次転写することができる。さらに、中間転写ベルト8の周方向に電流が流れる時は、帯電ローラ2に電圧を印加することで異常帯電を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラー画像形成装置では、高速に印刷するために、各色の画像形成部を独立して有し、各色の画像形成部から順次中間転写ベルトに画像を転写し、更に中間転写ベルトから転写材に一括して画像を転写する構成が知られている。
【0003】
各色の画像形成部は、それぞれ像担持体としての感光ドラムを有している。さらに、各画像形成部は、感光ドラムを帯電する帯電部材、感光ドラムにトナー像を現像する現像装置、を有している。各画像形成部の帯電部材は、それぞれ感光ドラムに所定の圧接力で接触し、帯電用の電圧電源(不図示)から印加される帯電電圧によって各感光ドラムの表面を所定の極性、電位に均一に帯電する。
【0004】
各画像形成部の現像装置は、それぞれ感光ドラム上に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像(可視像化)する。
【0005】
各画像形成部の感光ドラムに現像されたトナー像は、各感光ドラムに中間転写ベルトを介して対向する1次転写部材である1次転写ローラによって、中間転写ベルトに1次転写される。各1次転写ローラは、それぞれ1次転写専用の電圧電源を有している。
【0006】
中間転写ベルトに1次転写されたトナー像は、2次転写部材によって転写材に2次転写される。2次転写部材である2次転写ローラには、2次転写専用の電圧電源が接続されている。
【0007】
特許文献1には、4つの1次転写ローラにそれぞれ1次転写専用の電圧電源を接続し、1次転写専用の電圧電源を4つ有する構成が開示されている。また、特許文献2には、それぞれの1次転写ローラに印加する転写電圧を、画像形成動作の前に、中間転写ベルトおよび1次転写ローラの通紙耐久や環境変動による抵抗変動が応じて変更する制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−35986号公報
【特許文献2】特開2001−125338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来から知られている1次転写の電圧設定には、以下の課題があった。適正な1次転写電圧を各画像形成部で設定する必要があるので、複数の電圧電源を必要とし、画像形成装置の大型化、高圧電源増によるコストアップを招いていた。また、1次転写部材によって感光ドラムが過剰に帯電されると、感光ドラムの表面が正極性の電位になり、その後の帯電部材による帯電や、露光では正極性の電位を解消できない場合があった。感光ドラムの正極性の電位が解消できない状態で1次転写を行うと、1次転写性が低下する場合があった。また、1次転写部材の抵抗変動を考慮して、画像形成前に適正な1次転写電圧を算出するので、画像形成を開始するまでに時間がかかる場合があった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、1次転写部材に電圧を印加するための電圧電源数を減らしつつ、適正な1次転写性、2次転写性を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するために、本願発明は以下の構成を備える。
(1) トナー像を担持する複数の像担持体と、前記複数の像担持体を帯電する複数の帯電部材と、前記複数の帯電部材に電圧を印加する第1の電圧印加手段と、回転可能な無端状の中間転写ベルトと、を備え、前記複数の像担持体上のトナー像を前記複数の像担持体に対応した複数の1次転写部で前記中間転写ベルトに1次転写し、前記中間転写ベルト上のトナー像を一括して転写材上へ2次転写する2次転写部を有する画像形成装置において、
前記中間転写ベルトの外面に接触して前記2次転写部を形成する転写部材と、前記転写部材に電圧を印加する第2の電圧印加手段と、を有し、前記中間転写ベルトは導電性を備え、前記第2の電圧印加手段によって電圧が印加された前記転写部材から供給された電流が前記中間転写ベルトの周方向に流れることで、複数の前記1次転写部で前記像担持体から前記中間転写ベルトにトナー像を1次転写し、前記第1の電圧印加手段は、前記第2の電圧印加手段が前記転写部材に電圧を印加する前に前記複数の帯電部材に電圧を印加し、前記第2の電圧印加手段が前記転写部材に電圧を印加することを停止した後に前記複数の帯電部材に電圧を印加することを停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
転写部材から中間転写ベルトの周方向に電流を供給することによって、複数の1次転写部材に各電圧電源を備える必要がなくなり、一つの転写部材で、1次転写と2次転写を行うことが可能になる。さらに、中間転写ベルトの周方向に電流が流れている場合は、帯電部材によって像担持体が帯電されているので、周方向に流れる電流による像担持体の過剰な帯電が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略断面図。
【図2】各画像形成部に1次転写専用の転写電源を有する画像形成装置を示す概略断面図。
【図3】本発明の実施例1に係る中間転写ベルトの周方向抵抗測定方法を説明する図。
【図4】本発明の実施例1に係る中間転写ベルトの周方向抵抗測定結果を説明する説明図。
【図5】本発明の実施例1に係る中間転写ベルトの電位測定方法を説明する説明図。
【図6】本発明の実施例1に係る中間転写ベルトの電位測定結果と印加電圧の関係を説明する説明図。
【図7】本発明の実施例1に係る1次転写を説明する説明図。
【図8】本発明の実施例1に係る中間転写ベルトの電位測定結果と2次転写電圧の関係を説明する説明図。
【図9】本発明の実施例1に各画像形成部の電圧印加タイミングを説明する図。
【図10】本発明に適用できる別の構成の画像形成装置を示す概略断面図。
【図11】本発明に適用できる別の構成の画像形成装置を示す概略断面図。
【図12】本発明に適用できる別の構成の画像形成装置を示す概略断面図。
【図13】本発明に適用できる別の構成の画像形成装置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
図1は、インライン方式(4ドラム系)のカラー画像形成装置の構成図である。画像形成装置は、イエロー色の画像を形成する画像形成部1aと、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部1bと、シアン色の画像を形成する画像形成部1cと、ブラック色の画像を形成する画像形成部1dの4つの画像形成部(画像形成ユニット)を備えている。これらの4つの画像形成部は一定の間隔をおいて一列に配置されている。
【0016】
各画像形成部1a、1b、1c、1dには、それぞれ像担持体である感光ドラム2a、2b、2c、2dが配置されている。複数の感光ドラム2a、2b、2c、2dは、本実施例では負帯電の有機感光体でアルミニウム等のドラム基体(不図示)上に感光層(不図示)を有しており、駆動装置(不図示)によって所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0017】
各感光ドラム2a、2b、2c、2dの周囲には、複数の帯電部材である帯電ローラ3a、3b、3c、3d、現像装置4a、4b、4c、4dがそれぞれ配置されている。帯電部材である帯電ローラ3a、3b、3c、3dは、第1の電圧印加手段である電源(不図示)が接続されている。さらに、各感光ドラム2a、2b、2c、2dの周囲には、ドラムクリーニング装置6a、6b、6c、6dがそれぞれ設置されている。さらに、各感光ドラム2a、2b、2c、2dの上方には、露光装置7a、7b、7c、7dがそれぞれ設置されている。各現像装置4a、4b、4c、4dには、それぞれイエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、ブラックトナーが収納されている。
【0018】
各画像形成部の対向する位置に、中間転写体であって、回転可能な無端状の中間転写ベルト8が設置されている。中間転写ベルト8は、駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13によって張架されている(以上の3本のローラを、「張架部材」とする。)モータ(不図示)が接続された駆動ローラ11の駆動によって、中間転写ベルト8は、矢印方向(反時計方向)に回転(移動)される。以下、中間転写ベルト8の回転方向を中間転写ベルト8の周方向とする。駆動ローラ11は、中間転写ベルト8を駆動するために表層に高摩擦のゴム層を設け、ゴム層を体積抵抗率が10Ωcm以下の導電性を有する。2次転写対向ローラ12は、中間転写ベルト8を介して転写部材である2次転写ローラ15と2次転写部を形成している。2次転写対向ローラ12は、表層にゴム層を設け、ゴム層を体積抵抗率が10Ωcm以下の導電性とした。テンションローラ13は、金属ローラからなり、総圧約60Nの張力を中間転写ベルト8に付与し、中間転写ベルト8に従動して回転する。
【0019】
駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13は、各々同じ抵抗値の電気的な抵抗部材(抵抗素子)を介して接地している。本実施例では、抵抗部材の抵抗値は1GΩ、100MΩ、10MΩと3種類を使用している。駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12の各ゴム層の抵抗は、1GΩ、100MΩ、10MΩに比べて十分小さいため、電気的影響を無視することができる。
【0020】
中間転写ベルト8の外面に接触する2次転写ローラ15としては、体積抵抗率が10〜10Ωcm、ゴム硬度が30°(アスカーC硬度計)の弾性ローラを用いた。又、2次転写ローラ15は、中間転写ベルト8を介して2次転写対向ローラ12に対し、総圧約39.2Nで押圧される。又、2次転写ローラ15は、中間転写ベルト8の回転に伴い、従動して回転する。更に、2次転写ローラ15には、電圧電源19から、−2.0〜7.0kVの電圧の印加が可能となっている。この電圧電源19は、2次転写ローラに電圧を印加する第2の電圧印加手段である。
【0021】
中間転写ベルト8の外側には、中間転写ベルト8表面に残った転写残トナーを除去して回収するベルトクリーニング装置75が設置されている。また、中間転写ベルト8の回転方向において、2次転写対向ローラ12と2次転写ローラ15とが当接する2次転写部の下流側には、定着ローラ17aと加圧ローラ17bを有する定着装置17が設置されている。
【0022】
次に、画像形成動作について説明する。
コントローラから画像形成動作を開始するための開始信号が発せられると、カセット(不図示)から転写材(記録媒体)が一枚ずつ送り出され、レジストローラ(不図示)まで搬送される。その時、レジストローラ(不図示)は停止されており、転写材の先端は2次転写部の直前で待機している。一方、各画像形成部1a、1b、1c、1dでは、開始信号が発せられると、各感光ドラム2a、2b、2c、2dが、所定のプロセススピードで回転し始める。各感光ドラム2a、2b、2c、2dは、それぞれ帯電ローラ3a、3b、3c、3dによって一様に、本実施例では負極性に帯電される。そして、露光装置7a、7b、7c、7dは、レーザ光を各感光ドラム2a、2b、2c、2d上にそれぞれ走査露光して静電潜像を形成する。
【0023】
そして、先ず感光ドラム2a上に形成された静電潜像に、感光ドラム2aの帯電極性(負極性)と同極性である現像電圧が印加された現像装置4aによりイエローのトナーを付着させて、トナー像として可視像化する。感光ドラムの電位は、帯電ローラにより帯電された後の電位が―500V、露光装置により露光された後の電位(画像部)が―100Vとなるよう帯電量、露光量を調整し、現像バイアスを―300Vとしている。また、プロセススピードを250mm/secとする。搬送方向(回転方向)と垂直方向の長さである画像形成幅は215mm、トナー帯電量は―40μC/g、画像ベタ部の感光ドラム上(像担持体上)のトナー量は0.4mg/cmとなるよう設定している。
【0024】
このイエローのトナー像は、回転している中間転写ベルト8上に1次転写される。本実施例におけるイエローのトナー像を中間転写ベルト8上に1次転写するための構成については、後述する。尚、図1では中間転写ベルト8を介して、各画像形成部の対向する位置に対向部材5a、5b、5c、5dを有する。対向部材5a、5b、5c、5dによってニップを形成することで、ニップ幅を広く安定させることが可能である。本実施例では対向部材5a、5b、5c、5dは、1次転写専用の電圧電源に接続される被印加部材ではない。
【0025】
イエローのトナー像が転写された領域は、中間転写ベルト8の回転によって画像形成部1b側に移動する。そして、画像形成部1bにおいても、同様にして感光ドラム2bに形成されたマゼンタのトナー像が、中間転写ベルト8上のイエローのトナー像上に重ね合わせて転写される。以下、同様にして中間転写ベルト8上に重畳転写されたイエロー、マゼンタのトナー像上に、画像形成部1c、1dの感光ドラム2c、2dで形成されたシアン、ブラックのトナー像を、順次重ね合わせてフルカラーのトナー像を中間転写ベルト8上に形成する。
【0026】
そして、中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像先端が2次転写部に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ(不図示)により転写材をこの2次転写部に搬送する。中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像が、2次転写電圧(トナーと逆極性(正極性)の電圧)が印加された2次転写ローラ15により転写材に一括して2次転写される。フルカラーのトナー像が形成された転写材は定着装置17に搬送される。定着ローラ17aと加圧ローラ17bによって形成される定着ニップ部で、フルカラーのトナー像は加熱加圧され、転写材P表面に熱定着された後に外部に排出される。
【0027】
本実施例は、各感光ドラム2a、2b、2c、2dから中間転写ベルト8にトナー像を転写する1次転写を、図2で示すように1次転写ローラ55a、55b、55c、55dに電圧を印加して行わないことを特徴とする。以下に、本実施例の特徴を説明するために、中間転写ベルト8の体積抵抗率、表面抵抗率、周方向抵抗について説明する。尚、周方向抵抗の定義と測定方法については後述する。
【0028】
[本実施例で使用される中間転写ベルト8の体積抵抗率、表面抵抗率]
本実施例の中間転写ベルト8は、厚み100μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂にカーボンを分散させて電気抵抗を調整したものを基層としている。尚、使用される樹脂は、ポリイミド(PI)、PVdF、ナイロン、PET、PBT、ポリカーボネート、PEEK、PEN等でもよい。さらに、中間転写ベルト8は多層構成である。具体的には基層の外面には、厚み0.5〜3μmで高抵抗のアクリル樹脂の表層を設けている。表層の高抵抗層は、2次転写部の長手方向で通紙域と非通紙領域の電流差を少なくして小サイズ紙の2次転写性が良化する効果を得るためである。
【0029】
次にベルトの製造方法について説明する。本実施例では、インフレーション成形法による製造方法を用いている。基材となるPPSと、導電体粉であるカーボンブラックなどの配合成分を二軸混練機により溶融混練する。得られた混練物を環状ダイスによって押出し成形することによりベルトを製造している。
【0030】
表面コート層は、成形したエンドレスベルトの表面に紫外線硬化樹脂をスプレーコーティングし、乾燥後、紫外線照射により硬化させて形成している。コート層は厚すぎると、割れやすくなるため0.5〜3μmの範囲となるよう塗布量を調整している。
【0031】
本実施例では、導電体粉としてカーボンブラックを用いている。中間転写ベルト8の電気抵抗値を調節するために混合する添加剤は特に制限されるものではない。導電性フィラーとしてはカーボンブラックや各種の導電性金属酸化物等がある。非フィラー系抵抗調整剤としては各種金属塩やグリコール類等の低分子量のイオン導電材やエーテル結合や水酸基等を分子内に含んだ帯電防止樹脂または電子導電性を示す有機高分子化合物等である。
【0032】
添加するカーボン量を増やすとベルトは低抵抗化するが、増やしすぎるとベルト自体の強度が不足し、割れやすくなってくる。本実施例では、ベルト強度が画像形成装置に使用できる範囲内に収まる範囲内で、ベルトを低抵抗化している。本実施例の中間転写ベルトのヤング率は3000MPa程度である。ヤング率E測定は、JIS−K7127の引張弾性率測定方法に準拠し、測定試料の厚みは100μmとした。
【0033】
表1に、基体に対するカーボン量の相対比率を変更したベルトを示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1には、添加したカーボン量と表層コート層の有無を示している。例えば、ベルトBはベルトAに対してカーボン量が1.5倍、ベルトCはベルトAに対してカーボン量が2倍であることを示している。また、ベルトA、ベルトB、ベルトCには表層を設けており、ベルトD、ベルトEは単層のベルトである。ベルトBとベルトDのカーボン量の相対比率は同じで、ベルトCとベルトEのカーボン量の相対比率も同じである。
【0036】
また比較用のベルトとしてカーボン量の相対比率を変えて、抵抗調整したポリイミドの比較例ベルトを製法した。比較例ベルトは、カーボン量の相対比率が0.5であり、体積抵抗率も1010〜1011Ωcmである。この比較例ベルトは、中間転写ベルトに採用されるベルトとしては一般的な抵抗値を有するベルトである。
【0037】
以下に、比較例ベルトと、ベルトA〜Eの体積抵抗率、表面抵抗率の測定結果を示す。
まず、前述の比較例ベルトおよびベルトA〜Eに対して、株式会社三菱化学アナリテック製の抵抗率計ハイレスタUP(MCP−HT450)を用いて測定した。測定した体積抵抗率、表面抵抗率(ベルトの外側表面)を表2に示す。測定方法は、JIS−K6911に準拠し、導電性ゴムを電極とすることで電極とベルトの表面の良好な接触性を得た上で測定した。測定条件は、印加時間を30秒間で、印加電圧を10V、100Vとしている。
【0038】
【表2】

【0039】
比較例ベルトは、印加電圧は100Vを印加した場合に、体積抵抗率が1.0×1010Ωcm、表面抵抗率が1.0×1010Ω/□である。しかしながら、比較例ベルトは印加電圧を10Vにすると流れる電流が小さすぎて体積抵抗率を測定できず、「over」と表示される。
【0040】
一方、ベルトB、C、Dは100V印加では、ベルトの抵抗が低いため流れる電流値が大きすぎて、体積抵抗率の測定不能を表すunderが表示される。ベルトBは、100V印加で表面抵抗率は2.0×10Ω/□であったが、ベルトC、Dは、100V印加した場合は、underと表示された。
【0041】
表2中で、ベルトAの印加電圧10Vの各体積抵抗率、表面抵抗率は測定不能である。また、100Vを印加した場合のベルトAと比較例ベルトの表面抵抗率を比較すると、ベルトAの方が高い。これはコート層の影響によるもので、高抵抗の表層コートを有するベルトAのほうが、表層コートを有していない比較例ベルトより抵抗が高いことが分かる。
【0042】
また、ベルトBとベルトD、ベルトCとベルトEを比較することで、コート層があることで、抵抗値が高くなっていることがわかる。また、ベルトBとベルトC、ベルトDとベルトEを比較することで、カーボン量を増やすと、抵抗値が低くなっていることがわかる。ベルトEでは抵抗が低すぎて、全ての項目が測定不能となっている。
【0043】
本実施例では、表2でunderと表示される範囲の中間転写ベルトを使用する必要がある。そこで、上記体積抵抗率、表面抵抗率以外で規定される中間転写ベルトの抵抗を測定した。その別の規定による中間転写ベルト8の抵抗が、上述の中間転写ベルトの周方向の電気抵抗である。
【0044】
[中間転写ベルトの周方向抵抗の求め方]
本実施例では、低抵抗化したベルトの抵抗値を図3で示す方法で測定している。図3(a)では、電圧電源19から外面ローラ15Mに一定電圧の印加電圧を印加した時に、画像形成部1dの感光ドラム2dMに繋いだ電流計へ流れる電流を検知する。この検知した電流値から、外面ローラ15Mが接触する位置から感光ドラム2dMが接触する位置の間の中間転写ベルト8の電気抵抗を求める方法を用いている。即ち、この方法によって中間転写ベルト8の周方向(回転方向)に流れる電流を測定することで、ベルトの抵抗を算出している。このとき中間転写ベルト以外の抵抗の影響を無くすため、外面ローラ15M、感光ドラム2dMは金属のみからなるものを用い、金属ローラであることを示すために符号にM(Metal)を付加している。本実施例では、外面ローラ15Mの当接部−感光ドラム2dM間の距離は中間転写ベルト上面側が370mm、中間転写ベルト下面側が420mmである。
【0045】
以上の測定方法で、印加電圧を変更してベルトA〜Eを測定した結果が図4(a)である。この測定方法では中間転写ベルトの回転方向である周方向の抵抗を測定している。よって、本実施例では、この測定方法で測定した中間転写ベルトの抵抗を周方向抵抗[Ω]と称している。
【0046】
全てのベルトで印加電圧を上げていくと抵抗が少しずつ低下していく傾向があるが、これは樹脂にカーボンを分散したベルトの特徴である。
【0047】
尚、図3(b)は図3(a)に対して、電流計の位置のみを変えただけである。この時の抵抗測定結果は、図4とほぼ同じ結果であり、本実施例の測定方法は、電流計の位置によって変動しない。
【0048】
ベルトA〜Eでは、図3で示す方法で抵抗測定できるが、比較例ベルトでは抵抗測定できなかった。この理由は、比較例ベルトは、図2で示すような各1次転写ローラ55a、55b、55c、55dに夫々電圧電源が接続された構成の画像形成装置で使用されるベルトであるからである。
【0049】
図2の構成の画像形成装置では、隣り合う電圧電源が中間転写ベルトを介してお互いに電流が流れ込んで影響を受けないように(干渉しないように)、中間転写ベルトの体積抵抗、表面抵抗は高く設計されている。比較例ベルトは、各1次転写ローラ55a、55b、55c、55に電圧を印加しても各1次転写部間で干渉しない程度の抵抗を持つベルトであり、周方向に電流が流れにくい性能を持つベルトとして設計されている。比較例ベルトのようなベルトを高抵抗ベルト、ベルトA〜Eのような周方向に電流が流れるベルトを導電性ベルトと定義する。
【0050】
図4(b)は、図3(a)の測定方法で測定した電流をそのままプロットしたものである。前述の図4(a)の縦軸(抵抗[Ω])は、図4(b)の測定された電流値を印加電圧で割ることで換算した値である。
【0051】
図4(b)のように、比較例ベルトでは2000V印加しても周方向に電流は流れなかった。しかしながら、図3(b)に示すように、ベルトA〜Eでは、500v以下で50μA以上流れていることがわかる。本実施例で、中間転写ベルトとして使用するベルトは、上記周方向抵抗で10〜10Ωである。
【0052】
次に、上記周方向抵抗が10〜10Ωである中間転写ベルト8のベルト表面電位について説明する。図5(a),(b)にベルト表面電位の測定方法を示している。図中では4つの表面電位計で、4箇所の電位測定をしている。尚、図中の5dM、5aMは測定用の金属ローラである。
【0053】
表面電位計37aおよび測定プローブ38aは画像形成部1aの1次転写ローラ5aM(金属ローラ)の電位を測定している。測定器はトレック・ジャパン株式会社製表面電位計MODEL344を使用した。金属ローラは中間転写ベルト内面と同電位となるため、本方法で中間転写ベルト内面電位を測定することができる。同じく、表面電位計37dおよび測定プローブ38dは画像形成部1dの1次転写ローラ5dM(金属ローラ)の電位により中間転写ベルト内面の電位を測定している。
【0054】
また、表面電位計37eおよび測定プローブ38eは駆動ローラ11Mを対向にして中間転写ベルト外面電位を測定しており、表面電位計37fおよび測定プローブ38fはテンションローラ13を対向にして中間転写ベルト外面電位を測定している。また、駆動ローラ11M、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13には各々電気的な抵抗部材(抵抗素子)であるRe、Rf、Rgを接続している。
【0055】
本測定方法で中間転写ベルトの電位を測定したところ、測定箇所による差はほぼ無く、ベルト電位は中間転写ベルト内でほぼ同電位であることがわかった。つまり本実施例で用いたベルトは、ある程度抵抗値を持つものの、導電性を有するベルトと考えて差し支えない。
【0056】
図6に中間転写ベルト電位の測定結果を示す。図6(a)はRe=Rf=Rg=1GΩの抵抗素子を用いた場合の結果である。横軸は転写用の電圧電源19に印加した電圧、縦軸は中間転写ベルトの電位であり、ベルトA〜Eでの結果を示している。
【0057】
また同様に、図6(b)はRe=Rf=Rg=100MΩ、図6(c)はRe=Rf=Rg=10MΩの場合の結果を示している。
【0058】
どのベルトも印加電圧を上げていくと、ベルト電位も上昇する。また、抵抗値を1GΩ、100MΩ、10MΩと下げていくと、ベルト電位は下降する。ここではRe、Rf、Rgの抵抗値を全て同じにしているが、どれか1つの抵抗値を下げると、その抵抗に従ってベルト電位が下がることが分かっている。
【0059】
また、比較例ベルトのように周方向に電流が流れない抵抗値の中間転写ベルトでは、上述のような方法でベルト電位を測定することはできない。図2で示すような各1次転写ローラに専用の転写電源9により電圧を印加する構成では、電位測定プローブを配置することができない。またベルト周方向の位置で電位が異なるため、張架ローラを対向にして電位測定プローブを配置して測定しても意味が無いからである。
【0060】
次に、図7に基づき本実施例の構成で、感光ドラムから中間転写ベルトにトナー像を転写することができる理由を説明する。図7(a)は、1次転写部の電位関係を説明した図である。感光ドラムの電位は、トナー部(画像部)で―100V、中間転写ベルトの表面電位として+200Vの例を示している。感光ドラム上に現像された帯電量qをもつトナーは、感光ドラム電位と中間転写ベルト電位とにより形成された電界Eにより、中間転写ベルト方向の力Fを受けて1次転写される。
【0061】
次に、図7(b)は多重転写を説明した図である。多重転写とは、1度中間転写ベルト上に1次転写されたトナーの上に、さらに他色のトナーを重ねて1次転写することである。図7(b)では、トナーはマイナスに帯電されており、この1度転写されたトナーによりトナー表面の電位が+150Vとなっている例を示している。この場合、感光ドラム上のトナーは、感光ドラム電位とトナー表面電位とにより形成された電界E’により、中間転写ベルト方向の力F’を受けて1次転写される。
【0062】
図7(c)は、多重転写が終了したことを示している。このように、トナーを1次転写するにはトナーの帯電量と、感光ドラムと中間転写ベルトの電位差が関係しており、1次転写性を確保するには中間転写ベルト電位が一定以上必要であることがわかる。
【0063】
本実施例の前述の条件で、感光ドラム上に現像されたトナーを1次転写するのに必要な中間転写ベルト電位を検討すると、200V以上必要であることがわかった。
【0064】
図7(d)は、横軸に中間転写ベルト電位、縦軸に転写効率をプロットしたグラフである。転写効率とは、感光ドラム上に現像されたトナーが何%中間転写ベルト上に転写されたかを示す転写性の指標であり、通常95%以上あれば問題無く転写できていると判断する。図は中間転写ベルト電位200V以上で98%以上の良好な転写をしていることを示している。
【0065】
このとき、各画像形成部1a、1b、1c、1dでの感光ドラムと中間転写ベルトの電位差は全て同じである。つまり、感光ドラム電位―100Vと中間転写ベルト電位+200Vの電位差300Vが、各画像形成部1a、1b、1c、1dの1次転写部に形成されている。この電位差は、上記トナー3色分(単色ベタを100%として300%分)の多重転写に必要な電位差であり、従来の1次転写構成で各1次転写ローラに各々1次転写電圧を印加した場合とほぼ同等である。通常の画像形成装置は4色備えていても400%の画像形成することは無く、最大トナー量として、210〜280%程度で十分なフルカラー画像形成を行うことができている。
【0066】
よって、本実施例では、中間転写ベルトの表面電位が所定電位になるように中間転写ベルトの周方向に電流を流すことで、1次転写を可能としている。本実施例では、2次転写部材である2次転写ローラ15を、中間転写ベルト8の周方向に電流を供給するための転写部材(電流供給部材)として使用している。転写部材に電圧を印加する電圧電源19は、1次転写と2次転写を行うための共通の電源部である。
【0067】
2次転写は、中間転写ベルト8上に1次転写されたトナーを、1次転写と同様にクーロン力によって転写材上へ移動させることである。本実施例の条件で、転写材として上質紙(坪量75g/m)を用い、2次転写するのに必要な2次転写電圧は2kV以上である。
【0068】
図8(a)(b)(c)は、図6の中間転写ベルト電位に1次転写と2次転写の成立の条件を付加したものである。図8(a)は抵抗部材に1GΩ、図8(b)は抵抗部材に100MΩ、図8(c)は抵抗部材に10MΩの抵抗素子を使用した場合の結果を示す。図8の点線Aは、1次転写するのに必要な中間転写ベルト電位のラインである。図8のBは、2次転写設定範囲を示す。図8(a)、(b)のように、1GΩ、100MΩの場合は、一定以上の2次転写電圧を印加することで、1次転写、2次転写がOKとなっている。図8(c)のように、10MΩの場合は、より多くの2次転写電圧が必要となることがわかる。10MΩでも2次転写電圧を上げれば、2次転写OKとなるが、実際は張架ローラに電流を流しているので、より大容量の電源が必要となってしまう。また、2次転写部に転写材が有る場合は、無い場合に比べて、中間転写ベルトの表面電位が下がる傾向にある。転写材が有る場合の表面電位の測定方法は、図5(b)に示す。よって、2次転写部に転写材がある場合に合わせて印加電圧の大きさを決定すれば、中間転写ベルト8の表面電位を1次転写が可能な電位(ここでは、200V以上)にすることが可能である。
【0069】
また、1次転写部と2次転写部が十分離れている場合、必要であれば1次転写時は1次転写に最適な電圧を転写部材である2次転写ローラ15に印加する。1次転写が終了し2次転写のタイミングになったら2次転写に最適な電圧に切り替えることも可能である。
【0070】
次に、転写部材である2次転写ローラに対する電圧印加タイミングと、感光ドラム2を帯電する帯電部材である帯電ローラ3に対する電圧印加タイミングについて説明する。尚、帯電ローラ3a、3b、3c、3dには不図示の電源から感光ドラム2の帯電極性と同極性(負極性)の電圧が夫々印加されている。図9に、帯電部材3、現像装置4、転写部材15に対する各電源の電圧印加タイミングを示す。ここで、図9(a)は、図2で説明する高抵抗ベルトを使用する画像形成装置の電圧印加タイミングを示し、図9(b)は、本実施例の導電性ベルトを使用する画像形成装置の電圧印加タイミングを示している。図中のオンは、電圧を印加していること、オフは電圧の印加を停止していることを示す。ここでは、コントローラから、2枚の転写材に対する連続した画像形成動作を開始するための開始信号を受けた場合で説明している。
【0071】
図9(a)では、画像形成を開始すると、まず帯電電圧が印加される、即ち帯電電圧がオンになり、その後、現像電圧がオンになっている。1次転写電圧、2次転写電圧は、感光ドラム2に現像されたトナー像が、1次転写部、2次転写部に到達するタイミングに合わせてオンされている。1次転写、2次転写が終了するとそれぞれオフになっている。図9(a)では、帯電電圧は二枚目の転写材に対する1次転写電圧がオフになるまで、ずっとオンにしているが、一枚目の転写材と二枚目の転写材の間で電圧をオフしても良い。
【0072】
図9(a)に示すように、従来の高抵抗ベルトを使用する場合は帯電電圧のオフのタイミングは、2次転写電圧のオフのタイミングに関係していない。図9(a)のタイミングで帯電電圧をオフすると、本実施例の導電性ベルトを使用する場合に、感光ドラムの過剰な帯電が生じる。導電性ベルトは周方向に電流が流れるため、1次転写が終了して2次転写を行うタイミングでも1次転写部に電流が流れており、この電流によって感光ドラムが正極性に帯電されてしまう。
【0073】
本実施例で使用する感光ドラムは負極性に帯電し、画像部に対応する表面が露光される。また、1次転写後の感光ドラムの残留電荷を除去し電位を均一にするために、1次転写後、帯電前に感光ドラム全面を露光装置により露光する場合がある。このように負極性に帯電した感光ドラムは、露光によってドラムの電位を所定の電位範囲に収めることが可能である。しかしながら、正極性に感光ドラムが帯電してしまうと露光したとしても所定の電位範囲に収めることができず、次の画像形成をする際に帯電部材で負極性に帯電しようとしても十分に負極性に帯電できず、画像不良の要因となる。
【0074】
そこで、本実施例では、図9(b)に示すように転写部材に電圧を印加するタイミングよりも前のタイミングで帯電電圧をオンし、転写部材に電圧をオンしている間は、帯電電圧をオンし続ける。転写部材に対する電圧オンの状態が終了すると帯電電圧をオフする。尚、図9(b)は、電圧オンオフのタイミングのみを示す図であるが、実際に帯電部材に印加する電圧の大きさは画像形成のために印加する電圧と、画像形成以外で感光ドラム2の正極性の帯電を抑制するために印加する電圧とで変更してもよい。図9(a)と図9(b)を比較すると、2次転写が終了するタイミングまで転写部材に電圧を印加しているので、帯電部材に対して電圧オンをしているタイミングは図9(b)の場合のほうが長い。
【0075】
本実施例では、抵抗部材として100MΩ〜1GΩの抵抗値を有する抵抗素子を使用しているが、抵抗素子の代わりにツェナーダイオードまたはバリスタを接続して接地してもよい。抵抗素子の場合は、2次転写電圧を大きくするとベルト電位も上昇していた。しかし、ツェナーダイオードまたはバリスタの場合、ツェナー電位またはバリスタ電位を超えると電流が流れて、ツェナー電位またはバリスタ電位を保つ特性を持つ。このため、2次転写電圧を上げても、ツェナー電位またはバリスタ電位以上にベルト電位が上昇することはない。このため、ベルト電位を一定に保つことができ、1次転写性を安定させることができる。また、2次転写電圧は設定範囲が広くなり、2次転写電圧設定の自由度が大きくなる。
【0076】
本実施例では、ツェナー電位またはバリスタの電位を環境の影響を考慮して220vとすれば良い。このように構成することで、1次転写性を安定させつつ、2次転写設定を1次転写と独立に最適化することができる。(ツェナー電位又はバリスタ電位で1次転写のための中間転写ベルトの表面電位を決定できるので、2次転写電圧の設定の幅が広がるためである。)このように実施例の構成によれば、導電性の中間転写ベルトを用い、抵抗部材に所定値以上の抵抗素子、所定電位以上を維持するツェナーダイオードまたはバリスタを繋ぎ、電圧電源から電圧を印加する。この構成により、転写材の抵抗に関わらず、中間転写ベルトの表面電位を所定電位以上に保つことが可能である。
【0077】
以上説明した実施例1、中間転写ベルト8を張架する張架ローラを、二本にして本体をさらに小型化することも可能である。さらに、図10〜13のように中間転写ベルト8を介して、各感光ドラムと1次転写部を形成する対向部材5a〜5dを無くすことも可能である。1次転写部を対向部材5a〜5d以外で形成する他の例として、図10のように中間転写ベルト内の各感光ドラムの間に1次転写コロ40a、40b、40cを配置し、中間転写ベルトを感光ドラム側へ押し上げる構成とすることもできる。また、図11のように画像形成部1b、1c間に1つの1次転写コロ40dのみを配置することも可能である。
【0078】
さらに、図12のように中間転写ベルトのテンションのみで感光ドラムに接触させることも可能である。この場合、2次転写対向ローラと駆動ローラの成す1次転写側のベルト面に対して、各画像形成部1a、1b、1c、1dを少し下側へ侵入させることで1次転写コロを無くすことも可能である。画像形成部1a、1dの侵入量よりも画像形成部1b、1cの侵入量を多くすることでより確実に各感光ドラムと中間転写ベルトを接触させることができる場合もある。
【0079】
図13は、画像形成部1c、1dを中間転写ベルトの下面に配置したものである。この場合、画像形成部1a、1bを中間転写ベルト面より下側へ侵入させ、画像形成部1c、1dを中間転写ベルト面より上側へ侵入させると良い。このように各画像形成部を配置することで、さらに画像形成装置本体を小型化できる場合もある。
【0080】
また、2次転写ローラ15に供給する電圧は、1次転写、2次転写性能が十分発揮できるのであれば、定電圧制御、定電流制御および両制御の併用のどれを用いても良い。
【0081】
また、感光ドラム電位、トナー帯電量、中間転写ベルト電位、プロセススピード、ツェナー電位またはバリスタの電位等は、これに限るものではない。導電性の中間転写ベルトを用い、張架ローラに繋いだ抵抗等でベルト電位を所定値以上とすることで、他の条件でも成り立たせることができる。
【0082】
さらに、中間転写ベルトは、PPSにカーボンを添加して導電性を持たせているが、これに限るものではなく、他の樹脂や金属等でも本例と同等の導電性があれば同様の効果を期待することができる。また、単層および2層の中間転写ベルトを用いたが、弾性層を設けるなどした3層以上のベルトでも前記周方向抵抗であれば、同様の効果を期待することができる。
【0083】
2層の中間転写ベルトは、基層を成形したあとコートすることで製造しているが、一体成型する等、抵抗値が前述の条件を満たしていれば製造方法はこれに限るものではない。
【符号の説明】
【0084】
1a〜1d 画像形成部
2a〜2d 感光ドラム(像担持体)
5a〜5d 対向部材
8 中間転写ベルト
9a〜9d 1次転写専用の電圧電源
12 2次転写対向ローラ
15 電流供給部材
19 転写用の電圧電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する複数の像担持体と、前記複数の像担持体を帯電する複数の帯電部材と、前記複数の帯電部材に電圧を印加する第1の電圧印加手段と、回転可能な無端状の中間転写ベルトと、を備え、前記複数の像担持体上のトナー像を前記複数の像担持体に対応した複数の1次転写部で前記中間転写ベルトに1次転写し、前記中間転写ベルト上のトナー像を一括して転写材上へ2次転写する2次転写部を有する画像形成装置において、
前記中間転写ベルトの外面に接触して前記2次転写部を形成する転写部材と、前記転写部材に電圧を印加する第2の電圧印加手段と、を有し、前記中間転写ベルトは導電性を備え、前記第2の電圧印加手段によって電圧が印加された前記転写部材から供給された電流が前記中間転写ベルトの周方向に流れることで、複数の前記1次転写部で前記像担持体から前記中間転写ベルトにトナー像を1次転写し、前記第1の電圧印加手段は、前記第2の電圧印加手段が前記転写部材に電圧を印加する前に前記複数の帯電部材に電圧を印加し、前記第2の電圧印加手段が前記転写部材に電圧を印加することを停止した後に前記複数の帯電部材に電圧を印加することを停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中間転写ベルトは、多層構成であり、表層の抵抗が他の層の抵抗よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の電圧印加手段が印加する電圧の極性は、前記第2の電圧印加手段が印加する電圧の極性に対して逆極性であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写ベルトを張架する張架部材を有し、前記張架部材は、前記中間転写ベルトの表面電位を所定電位以上に維持するための抵抗素子が接続されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中間転写ベルトを張架する張架部材を有し、前記張架部材は、前記中間転写ベルトの表面電位を所定電位以上に維持するためのツェナーダイオードが接続されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記中間転写ベルトを張架する張架部材を有し、前記張架部材は、前記中間転写ベルトの表面電位を所定電位以上に維持するためのバリスタが接続されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−128363(P2012−128363A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282228(P2010−282228)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】