説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、現像ローラに対して2つの供給ローラを配置する構成のものがあったが、記録用紙の搬送方向の前部と後部において、印刷濃度に差が発生する場合があった。
【解決手段】感光体ドラム1に接して配置され、感光体ドラム1に形成された静電潜像を現像する現像ローラ4と、この現像ローラ4の周面に接して配置され、トナー14を供給する第1供給ローラ7と、第1供給ローラ7よりも、現像ローラ4の回転方向の上流側で現像ローラ4の周面に接して配置され、現像ローラ4にトナー14を供給する第2供給ローラ8とを備え、第1供給ローラ7の周速度を第2供給ローラ8の周速度より大きく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式のプリンタや複写機等の画像形成装置に関し、特に現像部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の現像部おいて、感光体ドラムに接して、感光体ドラムに形成された静電潜像を現像する現像ローラに現像トナーを供給するため、2つの供給ローラを、それぞれ現像ローラに接して配置した構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−39628号公報(第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高濃度画像を印刷する場合などに、2つの供給ローラを配置した場合であっても、記録用紙の搬送方向の前部と後部において、印刷濃度に差が発生する場合があった。本発明の目的は、上記問題点を解消し、2つの供給ローラを配置することによって、高品位の印刷を行うことのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による画像形成装置は、
静電潜像担持体に接して配置され、前記静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像するローラ状の現像剤担持体と、前記静電潜像担持体と前記現像剤担持体との接触部よりも、前記現像剤担持体の回転方向の上流側で前記現像剤担持体の周面に接して配置され、前記現像剤担持体に現像剤を供給するローラ状の第1の供給部材と、前記第1の供給部材よりも前記現像剤担持体の回転方向の上流側、且つ前記接触部よりも前記現像剤担持体の回転方向の下流側で、前記現像剤担持体の周面に接して配置され、前記現像剤担持体に現像剤を供給するローラ状の第2の供給部材とを備え、
前記第1の供給部材の周速度を前記際2の供給部材の周速度より大きく設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、記録用紙のページ内における、用紙搬送方向の前端部と後端部間での印刷濃度差の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明による実施の形態1の画像形成装置の要部構成を説明するための概略構成図である。
【図2】転写ベルト、転写ローラ、記録用紙と共に、ブラック(K)の画像形成部を模式的に示す概略構成図である。
【図3】現像ローラと、第1或いは第2の供給ローラの相対的な位置関係についての説明に供する図である。
【図4】実施の形態1の画像形成装置の制御系のうち、本発明とかかわる部分の要部構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態1において、画像形成装置が行う濃度設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】現像ローラと第1供給ローラとの当接部の部分拡大図である。
【図7】第2供給ローラが省かれた構成において、現像ローラに対する第1供給ローラの周速度比と現像ローラ上へのトナーの付着量の関係を測定した試験結果を示すグラフである。
【図8】第2供給ローラが省かれた構成において、現像ローラに対する第1供給ローラの周速度比と印刷されたA4の記録用紙の印刷濃度の関係を測定した試験結果を示すグラフである。
【図9】(a)は、現像ローラの周速度に対する第1供給ローラの周速度比を0.7とし、第2供給ローラの周速度比を0.1から1.2までの範囲で変えて測定した現像ローラ上へのトナーの付着量を示すグラフであり、(b)は、同様にして測定した印刷濃度を示すグラフである。
【図10】(a)は、現像ローラの周速度に対する第2供給ローラの周速度比を0.6とし、第1供給ローラの周速度比を0.1から1.3までの範囲で変えて測定した現像ローラ上へのトナーの付着量を示すグラフであり、(b)は、同様にして測定した印刷濃度を示すグラフである。
【図11】実施の形態2の画像形成装置の制御系のうち、本発明とかかわる部分の要部構成を示すブロック図である。
【図12】実施の形態2において、画像形成装置が行う濃度設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】第1供給ローラの経時に伴う、トナー供給能力及びトナー掻き取り能力の変化についての説明に供する図である。
【図14】第2供給ローラ8が省かれた構成において、現像ローラに対する第1供給ローラの周速度比と現像ローラ上へのトナーの付着量の関係を測定した試験結果を示すグラフである。
【図15】第2供給ローラ8が省かれた構成において、現像ローラに対する第1供給ローラの周速度比と印刷されたA4の記録用紙の印刷濃度の関係を測定した試験結果を示すグラフである。
【図16】(a)は、現像ローラの周速度に対する第1供給ローラの周速度比を0.7とし、第2供給ローラの周速度比を0.1から1.2までの範囲で変えて測定した現像ローラ上へのトナーの付着量を示すグラフであり、(b)は、同様にして測定した印刷濃度を示すグラフである。
【図17】1つの供給ローラで構成された現像部を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明による実施の形態1の画像形成装置の要部構成を説明するための概略構成図である。
【0009】
同図において、画像形成装置100は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色を印刷可能なカラー用電子写真式プリンタとしての構成を備えている。用紙搬送路には、転写ベルト23とベルト従動ローラ22とベルト駆動ローラ21とを有し、図示しない用紙カセットから繰り出された記録用紙19を静電効果により転写ベルト23に付着させて矢印A方向に搬送する転写ユニット25、及びトナー画像を記録用紙19に定着させる定着器30が設けられている。
【0010】
転写ユニット25とによって、転写ベルト23に付着して搬送される記録用紙19を挟む位置に、記録用紙19の搬送方向上流側より順にブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のトナーを収容する画像形成部40K,40Y,40M,40C(区別する必要のない場合は画像形成部40と称す)が一列に配列されている。本実施の形態においては、これらの画像形成部40K,40Y,40M,40Cの構成は同一であり、収容されているトナーの色のみが異なるため、ここではブラック(K)の画像形成部40Kを例にとり、その内部構造を以下に説明する。
【0011】
図2は、転写ベルト23、転写ローラ20K、記録用紙19と共に、ブラック(K)の画像形成部40Kを模式的に示す概略構成図である。
【0012】
同図に示すように、画像形成部40Kには、静電潜像担持体としての感光体ドラム1が矢印方向に回転可能に配置され、この感光体ドラム1の周囲には、その回転方向上流側から順に、感光体ドラム1の表面に一定の圧力で接触して電荷を供給し、帯電させる帯電部としての帯電ローラ2、帯電された感光体ドラム1の表面に、光源による光を照射して静電潜像を形成する露光部としてのLED3が配設される。
【0013】
更に、静電潜像が形成された感光体ドラム1の表面に、所定色(ここではブラック)のトナーを付着させて現像を発生させる現像部15、感光体ドラム1上のトナー現像を記録用紙19に転写した際に残留した転写残トナーを除去し、廃トナー収集部6に落下させるクリーニングブレード5が配設されている。このためクリーニングブレード5は弾性体で形成され、そのエッジ部が感光体ドラム1の表面に一定の圧力で接触するように配置されている。尚、これら各装置に用いられている回転体は、図示しない駆動源からギアなどを経由して動力が伝達され回転する。
【0014】
現像部15は、現像剤としてのトナー14を収容し、その下部に形成されたトナー供給口10からトナー14を供給するトナー供給部9、トナー供給部9から供給されたトナー14を貯蔵するトナー貯蔵部11、感光体ドラム1の周面に接して配置された現像剤担持体としての現像ローラ4、この現像ローラ4にトナー14を供給する第1の供給部材としての第1供給ローラ7及び第2の供給部材としての第2供給ローラ8、現像ローラ4上のトナー14を薄層化する層形成部材としての層形成ブレード12を有し、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像を、現像ローラ4上の薄層化されたトナー14によって顕像化、即ち現像する。
【0015】
現像ローラ4と第1と第2の供給ローラ7,8とは、一定の圧力で当接するように、互いに平行に配置され、それぞれ同図に示される矢印C,D,Eの方向(同方向)に回転する。また、層形成ブレード12と現像ローラ4とは、同図に示すように、例えば層形成ブレード12の折り曲げ部分が現像ローラ4の周面に一定の圧力で接触するように、互いに平行に配置される。尚、これら各装置に用いられている回転体は、図示しない駆動源からギアなどを経由して動力が伝達され回転する。
【0016】
トナー14、現像ローラ4、及び第1と第2の供給ローラ7,8の構成について更に説明する。尚、図3は、現像ローラ4と、第1或いは第2の供給ローラ7,8の相対的な位置関係についての説明に供する図である。
【0017】
トナー14は、ポリエステル樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤で構成され、外添剤(疎水性シリカ)が添加されており、粉砕法により得られた粉砕形状の平均粒径8μmの現像剤を利用する。
現像ローラ4は、金属製のシャフトとその外周に形成された弾性体とで構成される。例えば直径10mmの金属製のシャフト4a上に、弾性体として肉厚3mm、ゴム硬度70°(アスカーC)の半導電性のウレタンゴム4bを形成している。
第1と第2の供給ローラ7,8は、ここでは同じ構成であり、金属製のシャフト7a(8a)とその外周に形成された発泡体7b(8b)で構成され、例えば、直径6mmの金属製シャフト7a(8a)の上に、厚さ3.5mm、硬度50°(アスカーF)のシリコーン発泡体を成形している。
【0018】
図3に示すように、ここでは、現像ローラ4と第1或いは第2の供給ローラ7,8との軸間距離Lを13.5mmとし、供給ローラ7(8)と現像ローラ4とは、1.0mm接触している。ここで接触している幅1.0mmを、以後接触幅αと称す。従って、接触幅αは、現像ローラ4の半径をr1、第1或いは第2の供給ローラ7,8の半径をr2、現像ローラ4の回転軸と各供給ローラ7,8の回転軸との距離をLとするときに、
接触幅α=(r1十r2)−L
となる。即ち接触幅αは、現像ローラ4と各供給ローラ7,8とが圧接する際の圧縮量を示している。
【0019】
図1に示すように、上記した4つの画像形成部40の各感光体ドラム1に対向する位置には、転写ユニット25に属し、それぞれ導電性のゴム等によって形成された転写ローラ20K,20Y,20M,20C(区別する必要のない場合は転写ローラ20と称す)が、記録用紙19(図2)を静電吸収して搬送する転写ベルト23を介して圧接された状態で配設されている。これらの転写ローラ20は、それぞれ対向する感光体ドラム1上のトナー現像を記録用紙19に転写するが、この転写時に、各感光体ドラム1の表面電位と、対向する転写ローラ20の表面電位の間に電位差を持たせるための電圧が印加される。
【0020】
転写ベルト用クリーニングブレード26は、転写ベルト23に付着するトナーを掻き取り、廃トナー収集部27に落下させる。ベルト駆動ローラ21の、転写ベルト23の移動方向下流側における近傍には、後述するように転写ベルト23上に印刷されたパターンの濃度を読み取るための濃度センサ28が配置されている。
【0021】
定着器30は、内部に加熱ローラ31とバックアップローラ32とを有し、記録用紙19上に転写された転写済みトナーを加圧・加熱することによって定着する。ここで定着された記録用紙19は、図示しない後段の用紙搬送手段によって、図示しない記録用紙のスタッカに搬送される。
【0022】
図4は、本実施の形態の画像形成装置100の制御系のうち、本発明とかかわる部分の要部構成を示すブロック図である。以下、図1、図2を参照しながらこの制御系について説明する。
【0023】
同図に示すように本実施の形態の画像形成装置100は、印刷制御部50により制御される。情報入力手段としての上位装置51からの印刷データを受信するインタフェイス部52と操作入力部53が印刷制御部50に接続されている。メモリ54内には、図示せぬ各ローラの電圧テーブル等が格納されたROM55と動作に必要なデータを逐次メモリするRAM56が設けられ、共に印刷制御部50に接続されている。
【0024】
また、CPU57、記録用紙19を検出する各種センサ58、画像形成部40以外の各ローラに印加する電圧制御を行うプロセス制御部60が、印刷制御部50に接続されている。4つの画像形成部40の各現像部15(図2)の、現像ローラ4の印加電圧は現像電圧制御部61によって電圧制御され、第1供給ローラ7及び第2供給ローラ8の印加電圧は電圧印加手段に相当する供給電圧制御部62によって電圧制御され、層形成ブレード12の印加電圧は層形成電圧制御部63によって電圧制御される。また4つの画像形成部40の、各帯電ローラ20の印加電圧は帯電電圧制御部64によって電圧制御され、各LED3は露光制御部65により発光制御される。
【0025】
また4つの画像形成部40の各感光体ドラム1を、それぞれ図2の矢印B方向に回転駆動する感光体ドラムモータ70はモータ制御部66によって回転制御される。各画像形成部40において、感光体ドラム1、現像ローラ4、及び第1供給ローラ7、第2供給ローラ8間には片端部に図示せぬギアが配置され、これらのギアが噛み合うことにより、現像ローラ4、及び第1供給ローラ7、第2供給ローラ8が、感光体ドラム1の回転に伴ってそれぞれ矢印C,D,E方向に所定の周速度で回転する。転写ベルト23上の濃度を検出する濃度センサ28は、濃度センサ制御部67に制御され、印刷制御部50に接続されている。
【0026】
尚、図4では、4つの画像形成部40K,40Y,40M,40Cの各現像部15、帯電ローラ2、LED3、感光体ドラムモータ70を、省略してそれぞれ1つのブロックで表している。
【0027】
以上の構成において、先ず、図1、図2、図4を参照しながら画像形成装置100の全体の印刷動作について説明する。
【0028】
各画像形成部40の感光体ドラム1の表面は、帯電電圧制御部64により電圧が印加された帯電ローラ2により帯電される。続いて、感光体ドラム1が矢印B方向に回転することによって、帯電された感光体ドラム1表面がLED3の付近に到達すると、露光制御部65によって発光制御されるLED3によって露光され、感光体ドラム1の表面に、印刷データに基づく静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像部15により現像され、感光体ドラム1の表面にトナー画像が形成される。
【0029】
一方、図示しない用紙カセットから繰り出された記録用紙19は、転写ベルト23により、転写ローラ20Kの付近に搬送される。そして、画像形成部40Kの感光体ドラム1が回転することによって、現像によって得られた感光体ドラム1の表面上のトナー画像が転写ローラ20K及び転写ベルト23と対向する位置に到達すると、プロセス制御部60により電圧が印加されている転写ローラ20Kと転写ベルト23によって、画像形成部40Kの感光体ドラム1の表面上のトナー画像が記録用紙19上に転写される。以上のトナー画像の記録用紙19上への転写が、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)のトナー画像を形成する画像形成部40K,40Y,40M,40Cを通過する過程で順次重ねて行われ、記録用紙19上に各色のトナーによるカラー画像が形成される。
【0030】
続いて、表面に各色のトナーによるカラー画像が形成された記録用紙19は、転写ベルト23によって定着器30に搬送される。記録用紙19上のトナー画像は、定着器30によって加圧及び加熱されて溶融し、記録用紙19上に固定される。更に記録用紙19は、図図示しない後段の用紙搬送手段によって、図示しない記録用紙のスタッカに搬送されて印刷動作が終了する。この間、記録用紙19を分離した後の転写ベルト23は、転写ベルト23上に残留したトナーやその他の異物を除去するクリーニングブレード26により清掃される。
【0031】
上記の印刷動作を開始する前に、画像形成装置100が行う濃度設定処理について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。尚、図5のフローは各画像形成部40で行われるが、基本動作が同じであるため、ここでは図2に示すブラック(K)の画像形成部40Kを例にして説明する。
【0032】
まず、印刷制御部50は、画像形成装置100本体の電源投入を検出し(ステップS101)、モータ制御部66に感光体ドラムモータ70を所定の回転速度で駆動するように指示する(ステップS102)。例えば、感光体ドラム1の線速が130mm/sとなるように駆動し、これにより、現像ローラ4の周速度が156mm/sに、第1供給ローラ7の周速度が109mm/sに、そして第2供給ローラ8の周速度が93mm/sになるように回転を伝達する各ローラのギア比が設定されている。即ち、ここでは、現像ローラ4kに対する第1供給ローラ7の周速度比が0.7に、また現像ローラ4kに対する第2供給ローラ8の周速度比が0.6となるように構成されている。
【0033】
次に印刷制御部50は、帯電電圧制御部64、現像電圧制御部61、及び供給電圧制御部62に指示して、帯電ローラ2、現像ローラ4、及び第1と第2の供給ローラ7,8に基準電圧を印加する。ここでは、帯電ローラ2には−1150Vを、現像ローラには−200Vを、第1と第2の供給ローラ7,8には−300V電圧をそれぞれ印加する(ステップS103)。
【0034】
印刷制御部50は、濃度補正を行い、X−Rite社の分光濃度計528での濃度評価において、O.D(Optical Density)=1.5に相当する濃度となるように調整する(ステップS104)。
【0035】
ここでの濃度調整は、以下のようにして行われる。先ず、目標濃度をO.D=1.5に予め設定し、ステップS103で各ローラに印加した基準電圧によって、図示せぬ印刷面積100%の濃度パッチを画像形成部40で形成して転写ベルト23上に転写し、濃度センサ28を用いて、濃度パッチの濃度を読み取る。例えば、読み取った濃度がO.D=1.4に相当する場合、目標濃度O.D=1.5より濃度差O.D=0.1だけ薄いので、現像効率を上げるため、ステップS103で各ローラに印加した基準電圧を補正する。この場合、ROM55に格納される図示せぬ補正テーブルより、濃度差O.D=0.1だけ濃くするための変更バイアスを読み出し、帯電ローラ2に−1180Vを、現像ローラ4に−230Vを、第1と第2の供給ローラ7,8には−330V電圧をそれぞれ印加して、印刷濃度がO.D=1.5となるように補正する。尚、このステップS104の濃度補正では、帯電ローラ2、現像ローラ4、及び第1と第2の供給ローラ7,8の相互の電圧差は不変のまま、印加電圧調整が行われる。
【0036】
以上のように、ROM55の補正テーブルには、補正前に濃度センサ28で検出した濃度パッチの検出値に基づいて、補正後の印刷濃度が、X−Rite社の分光濃度計528での濃度評価でO.D=1.5となるような補正データが格納されている。従って、ステップS104の濃度補正は、実際にX−Rite社の分光濃度計528を用いて濃度補正を行うものではない。
【0037】
上記した濃度補正が行われた後、上位装置51より、印刷データがインタフェイス部52を介して印刷制御部50に送られ(ステップS105)、以後、画像形成装置100による前記した通常の印刷動作を実行する。
【0038】
次に、現像ローラ4に対する第1供給ローラ7の周速度比と、現像ローラ4に対する第2供給ローラ8の周速度比の関係について説明する。
【0039】
ここで、第1供給ローラ7から現像ローラ4へトナー14が供給される仕組みについて説明する。図6は、現像ローラ4と第1供給ローラ7との当接部の部分拡大図である。
【0040】
現像ローラ4と第1供給ローラ7は、図6に示すようにそれぞれ矢印C、D方向(同方向)に回転する。第1供給ローラ7は、矢印D方向に回転することで、周囲のトナー14を現像ローラ4と接触する当接部16まで搬送して現像ローラ4にトナー14を供給し、さらに掻き取り部17において、現像後に残留した現像ローラ4上の残留トナー14´を掻き取る。掻き取り部17は、現像ローラ4と第1供給ローラ7との接触幅α(図3参照)が1.0mmの場合、5.56mmである。残留トナー14´を掻き取るには、掻き取り部17が4mm以上必要であり、この場合、第1供給ローラ7と現像ローラ4の接触幅αは0.6mm以上必要になる。逆に、掻き取り部17が7mm以上になると、回転負荷トルクが増加してギアの歯飛び等の問題が発生するため、現像ローラ4と第1供給ローラ7との接触幅αを1.4mm以下に設定する必要がある。
【0041】
次に、現像ローラ4に対する第1及び第2供給ローラ7,8の周速度比と、現像ローラ4上へのトナーの付着量、或いは印刷濃度との関係を測定した試験結果について説明する。
【0042】
尚、試験は、以下の試験条件の下で行った。
・例えば前記した図5のフローのステップS104でのべた濃度補正方法により、予めベタ黒上の濃度を目標濃度0.D=1.5狙いに調整する。この濃度補正時の、現像ローラ4に対する第1供給ローラ7の周速度比は0.7、現像ローラ4に対する第2供給ローラ8の周速度比は0.6とする。
・ここでは、高品質な印字を得るための目安を、初期でのベタ黒上の目標濃度がO.D=1.5に保たれ、且つベタ黒上下の濃度差がO.D=0.1以下であることとする。
・この試験に用いた装置は、第1供給ローラ7及び第2供給ローラ8の各周速度が、任意に調整できるように構成されたものである。
【0043】
先ず参考例として、参考図17に示すように第2供給ローラ8が省かれた構成において、現像ローラ4に対する第1供給ローラ7の周速度比と現像ローラ4上へのトナーの付着量の関係を測定した試験結果について、試験結果を示す図7のグラフを参照しながらで説明する。
【0044】
ここでは、現像ローラ4の周速度を一定(例えば156mm/s)とし、これに対する第1供給ローラ7の周速度比を0.1から1.2までの範囲で変えて測定した。また図7のグラフの「ベタ黒上」の付着量とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙上部(搬送方向前部)の画像を現像する際の現像ローラ4のトナー付着量(mg/cm)であり、図7のグラフの「ベタ黒下」の付着量とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙下部(搬送方向後部)の画像を現像する際の現像ローラ4のトナー付着量(mg/cm)である。ここでは、A4を横置き印刷する際に現像ローラ4は約4回転するため、「ベタ黒上」の付着量は1回転目のトナー付着量を測定し、「ベタ黒下」の付着量は4回転目のトナー付着量を測定している。
【0045】
同図に示すように、ベタ黒下の付着量は、周速度比が0.1から1.2までの範囲で増加するにつれて増加している。このベタ黒下の付着量の増加は、第1供給ローラ7の周速度が増加するにつれて、当接部16(図6)に搬送するトナー搬送量が増えたためである。
【0046】
また、ベタ黒上とベタ黒下の付着量差は、周速度比が0.1から1.2までの範囲で増加するにつれて増加している。この増加は、掻き取り部17(図6)において、第1供給ローラ7の周速度が増加するにつれて、第1供給ローラ7が現像ローラ4と反発して掻き取り部17の接触幅が少なくなり、現像ローラ4上のトナー掻き取り量が減少するためである。
【0047】
以上のように、第1供給ローラ7のみでトナー供給した場合、その周速度比を増加させると、トナー掻き取り量が低下してトナー供給量が増加して現像ローラ4への付着量が増加する一方で、ベタ黒上下の付着量差が増加してしまい、逆に、周速度比を減少させるとトナー掻き取り量が増加してベタ黒上下の付着量差が減少する一方で、トナー供給量が減少して現像ローラ4への付着量も減少してしまう、という相反する課題が生じる。
【0048】
次に参考例として、参考図17に示すように第2供給ローラ8が省かれた構成において、現像ローラ4に対する第1供給ローラ7の周速度比と印刷されたA4の記録用紙の印刷濃度の関係を測定した試験結果について、試験結果を示す図8のグラフを参照しながら説明する。
【0049】
ここでは、現像ローラ4の周速度を一定(例えば156mm/s)とし、これに対する第1供給ローラ7の周速度比を0.1から1.2までの範囲で変えて測定した。また図8のグラフの「ベタ黒上」の濃度とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙上部(搬送方向前部)の印刷濃度(O.D)であり、図8のグラフの「ベタ黒下」の濃度とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙下部(搬送方向後部)の印刷濃度(O.D)である。
【0050】
同図に示すように、ベタ黒上下の濃度差は、周速度比が小さくなるにつれて減少し、約O.D=0.20まで縮まるが目標の0.1より小さくできない。また、ベタ黒上の濃度は周速度比0.6より小さくなると濃度O.D=1.5より薄くなる。これは、図7に示すように周速度比0.6以下はベタ黒上の付着量が0.60mgより少なくなり、現像電圧を上げて現像効率を増加させても、濃度が濃くならないことを示している。
【0051】
以上の試験結果から、参照図17に示すように第1供給ローラ7のみを使用した場合には、周速度比を調整しても、ベタ黒上の濃度をO.D=1.5に保ち、且つベタ黒上下の濃度差をO.D=0.1以下に調整することはできないことが判明した。
【0052】
次に、第1供給ローラ7と第2供給ローラ8とを使用して行った、現像ローラ4に対する第1及び第2供給ローラ7,8の各周速度比と、現像ローラ4上へのトナーの付着量、或いは印刷濃度との関係を測定した試験結果について説明する。
【0053】
図9(a)、(b)のグラフは、現像ローラ4の周速度(例えば156mm/s)に対する第1供給ローラ7の周速度比を0.7(109mm/sec)とし、第2供給ローラ8の周速度比(対現像ローラ4)を0.1から1.2までの範囲で変えて測定した現像ローラ4上へのトナーの付着量及び印刷濃度の測定結果を示す。
【0054】
図9(a)のグラフの「ベタ黒上」の付着量とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙上部(搬送方向前部)の画像を現像する際の現像ローラ4のトナー付着量(mg/cm)であり、図9(a)のグラフの「ベタ黒下」の付着量とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙下部(搬送方向後部)の画像を現像する際の現像ローラ4のトナー付着量(mg/cm)である。ここでは、A4を横置き印刷する際に現像ローラ4は約4回転するため、「ベタ黒上」の付着量は1回転目のトナー付着量を測定し、「ベタ黒下」の付着量は4回転目のトナー付着量を測定している。
【0055】
図2に示すように、第1供給ローラ7でトナー14を供給しているので、第2供給ローラ8の周速度を0.1まで遅くしてとしても、図9(a)に示すように、ベタ黒下の付着量を0.55mg以上に保つことができる。また第1と第2の2つの供給ローラ7,8で、現像ローラ4からの残留トナー14´の掻き取りを行っているため、ベタ黒上下の付着量差を0.05mg以下に抑えることができる。
【0056】
一方、図9(b)のグラフの「ベタ黒上」の濃度とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙上部(搬送方向前部)の印刷濃度(O.D)であり、図9(b)のグラフの「ベタ黒下」の濃度とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙下部(搬送方向後部)の印刷濃度(O.D)である。
【0057】
図9(b)に示すように、第1供給ローラ7の周速度比が0.7である場合、第2供給ローラ8の周速度比が0.1〜0.6の範囲であれば、ベタ黒上の印刷濃度をO.D=1.5に保ち、且つ、ベタ黒上下の濃度差をO.D=0.1以下に抑制することができる。このように、ベタ黒上下の濃度差をO.D=0.1以下に抑制できたのは、第2供給ローラ8の周速度比を0.1〜0.6の範囲に小さくすることによって第2供給ローラ8によるトナーの掻き取り量が増加したためと考えられる。
【0058】
図10(a)、(b)のグラフは、現像ローラ4の周速度(例えば156mm/s)に対する第2供給ローラ8の周速度比を0.6(93mm/sec)とし、第1供給ローラ7の周速度比(対現像ローラ4)を0.1から1.3までの範囲で変えて測定した現像ローラ4上へのトナーの付着量及び印刷濃度の測定結果を示す。尚、図10(a)のグラフの「ベタ黒上」、「ベタ黒下」の付着量は前記した図9(a)の場合と同様であり、図10(b)の「ベタ黒上」、「ベタ黒下」の濃度は前記した図9(b)の場合と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0059】
図10(b)に示すように、第2供給ローラ8の周速度比が0.6である場合、第1供給ローラ7の周速度比(対現像ローラ4)が0.7〜1.3の範囲であれば、ベタ黒上の印刷濃度をO.D=1.5に保ち、且つ、ベタ黒上下の濃度差をO.D=0.1以下に抑制することができる。
【0060】
前記したように、ここではベタ黒上の印刷濃度がO.D=1.5以上、且つベタ黒上下の濃度差がO.D=0.1以下のときに印刷が良好であり、ベタ黒上の印刷濃度がO.D=1.5未満、又はベタ黒上下の濃度差がO.D=0.1より大きいとき印刷が良好でないものとする。従って、以上の試験結果から、現像ローラ4の回転方向の上流側の第2供給ローラ8の周速度比(対現像ローラ4)が、下流側の第1供給ローラ7の周速度比(対現像ローラ4)よりも小さく設定された場合、良好な印刷結果が得られることがわかる。
【0061】
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、現像ローラに対して2つの供給ローラを配置し、現像ローラの回転方向の上流側の供給ローラの周速度を下流側の供給ローラの周速度より小さく設定することによって、現像ローラに対するトナーの供給、及び残留トナーの掻き取りが十分に行えるため、ページ内における濃度差を抑制して高画質な印刷画像を得ることが可能となる。
【0062】
実施の形態2.
図11は、本発明に基づく実施の形態2の画像形成装置200の制御系のうち、本発明とかかわる部分の要部構成を示すブロック図である。
【0063】
この画像形成装置200の制御系が、前記した図4に示す実施の形態1の画像形成装置100の制御系と主に異なる点は、カウンタ計測部201が追加された点と、この追加に伴う印刷処理の内容である。従って、この画像形成装置200の制御系が、前記した実施の形態1の画像形成装置100の制御系と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置200の要部構成は、図1及び図2に示す実施の形態1の画像形成装置100の要部構成と共通するため、必要に応じて図1及び図2を参照する。
【0064】
カウンタ計測部201は、印刷処理により実行した印刷枚数を積算し、その累積印刷枚数iをRAM56に保存し、逐次更新する。尚、カウンタ計測部201とRAM56がカウント手段に相当する。
【0065】
図12は、印刷動作を開始する前に、画像形成装置200が行う濃度設定処理の流れを示すフローチャートである。同図のフローチャートを参照しながら画像形成装置200が行う濃度設定処理について説明する。尚、図12のフローは各画像形成部40で行われるが、基本動作が同じであるため、ここでは図2に示すブラック(K)の画像形成部40Kを例にして説明する。
【0066】
まず、印刷制御部50は、画像形成装置200本体の電源投入を検出し(ステップS201)、モータ制御部66に感光体ドラムモータ70を所定の回転速度で駆動するように指示する(ステップS202)。例えば、感光体ドラム1の線速が130mm/sとなるように駆動し、これにより、現像ローラ4の周速度が156mm/sに、第1供給ローラ7の周速度が109mm/sに、そして第2供給ローラ8の周速度が93mm/sになるように回転を伝達する各ローラのギア比が設定されている。即ち、ここでは、現像ローラ4kに対する第1供給ローラ7の周速度比が0.7に、また現像ローラ4kに対する第2供給ローラ8の周速度比が0.6となるように構成されている。
【0067】
次に、印刷制御部50は、RAM56から累積印刷枚数iを読み出し(ステップS203)、累積印刷枚数iが10000枚未満か否かを判定する(ステップS204)。
【0068】
i<10000枚の場合(ステップ204、Yes)、印刷制御部50は、表1に示すROM35内の供給ローラ電圧テーブルを読み出し、第1供給ローラ7と第2供給ローラ8に、共にNo.1の電圧−300Vを印加し(ステップS205)。一方、i≧10000枚の場合(ステップ204、No)、印刷制御部50は、表1に示すROM35内の供給ローラ電圧テーブルを読み出し、第1供給ローラ7と第2供給ローラ8に、共にNo.2の電圧−400Vを印加する(ステップS206)。尚、ステップS205及びステップS206において、帯電ローラ2には−1150Vが、現像ローラには−200Vが印加される。
【0069】
【表1】

【0070】
次に、印刷制御部50は、前記した実施の形態1でのフローチャート(図5)のステップS104と同様にして濃度補正を行い、印刷濃度がO.D=1.5となるように補正する(ステップS207)。尚、このステップS207の濃度補正では、帯電ローラ2、現像ローラ4、及び第1と第2の供給ローラ7,8の相互の電圧差は不変のまま、印加電圧調整が行われる。
【0071】
上記した濃度補正が行われた後、上位装置51より、印刷データがインタフェイス部52を介して印刷制御部50に送られ(ステップS208)、以後、画像形成装置200による前記した通常の印刷動作を実行する。
【0072】
ここで、第1供給ローラ7の経時に伴う、トナー供給能力及びトナー掻き取り能力の変化について説明する。図13は、この説明に供する説明図である。
【0073】
経時に伴って外周部の発泡体が磨耗すると、図13に示すように外径が小さくなり、外周の表面積が減ってトナー供給量が低下する共に、現像ローラ4と当接する掻き取り部17の接触幅αが減り、現像ローラ4上の残留トナー14´を掻き取る能力も低下する。従って、一般に供給ローラの周速度が速いほど摩擦による磨耗が激しくなり、経時に伴うトナー供給量の低下及び掻き取り能力の低下が著しくなる。
【0074】
次に、経時に伴って、ここでは累積印刷枚数iが10000枚となった時点で、第1、第2供給ローラ7、8に印加する印加電圧Vsを−300Vから−400Vに変えた場合の、現像ローラ4に対する第1及び第2供給ローラ7,8の周速度比と、現像ローラ4上へのトナーの付着量、或いは印刷濃度との関係を測定した試験結果について説明する。
【0075】
尚、ここでの試験では、第1、第2供給ローラ7、8に印加する印加電圧Vsを−300V又は−400Vに設定するが、この設定は、図12のフローチャートのステップS205又はステップS206の処理に相当し、この時、帯電ローラ2は−1150Vに、又現像ローラは−200Vに設定されているものとする。その上で更に、例えば前記したステップ207の濃度補正方法により、ベタ黒上の濃度を目標濃度0.D=1.5狙いに調整するが、この濃度調整時には、帯電ローラ2、現像ローラ4、及び第1と第2の供給ローラ7,8の相互の電圧差は不変のまま、印加電圧調整が行われる。
【0076】
また、この濃度補正時の、現像ローラ4に対する第1供給ローラ7の周速度比は0.7、現像ローラ4に対する第2供給ローラ8の周速度比は0.6とする。更にここでの高品質な印字を得るための目安を、初期でのベタ黒上の目標濃度がO.D=1.5に保たれ、且つベタ黒上下の目標濃度差がO.D=0.1以下であることとする。また、この試験に用いた装置は、第1供給ローラ7及び第2供給ローラ8の各周速度が、任意に調整できるように構成されたものである。
【0077】
先ず参考例として、参考図17に示すように第2供給ローラ8が省かれた構成において、現像ローラ4に対する第1供給ローラ7の周速度比と現像ローラ4上へのトナーの付着量の関係を測定した試験結果について、試験結果を示す図14のグラフを参照しながらで説明する。
【0078】
ここでは、現像ローラ4の周速度を一定(例えば156mm/s)とし、これに対する第1供給ローラ7の周速度比を0.1から1.2までの範囲で変えて測定した。また図14のグラフの「ベタ黒上」の付着量とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙上部(搬送方向前部)の画像を現像する際の現像ローラ4のトナー付着量(mg/cm)であり、図14のグラフの「ベタ黒下」の付着量とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙下部(搬送方向後部)の画像を現像する際の現像ローラ4のトナー付着量(mg/cm)である。ここでは、A4を横置き印刷する際に現像ローラ4は約4回転するため、「ベタ黒上」の付着量は1回転目のトナー付着量を測定し、「ベタ黒下」の付着量は4回転目のトナー付着量を測定している。
【0079】
同図に示すように、10000枚印刷した時点で、第1供給ローラ7への供給電圧を−300Vから−400Vに変えると、変える前に比べて、ベタ黒上下の付着量が共に増加し、その増加量は、周速度比が小さくなるほど大きい結果となったが、第1供給ローラ7のみでトナー供給した場合、依然として前記した実施の形態1での図7の試験結果と同様の課題が生じる。
【0080】
次に参考例として、参考図17に示すように第2供給ローラ8が省かれた構成において、現像ローラ4に対する第1供給ローラ7の周速度比と印刷されたA4の記録用紙の印刷濃度の関係を測定した試験結果について、試験結果を示す図15のグラフを参照しながら説明する。
【0081】
ここでは、現像ローラ4の周速度を一定(例えば156mm/s)とし、これに対する第1供給ローラ7の周速度比を0.1から1.2までの範囲で変えて測定した。また図15のグラフの「ベタ黒上」の濃度とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙上部(搬送方向前部)の印刷濃度(O.D)であり、図15のグラフの「ベタ黒下」の濃度とは、A4の記録用紙をベタ黒印刷した時の用紙下部(搬送方向後部)の印刷濃度(O.D)である。
【0082】
同図に示すように、10000枚印刷した時点で、第1供給ローラ7への供給電圧を−300Vから−400Vに変えると、周速度比が0.9以下のときに、ベタ黒上下で印刷濃度を増加することが出来るが、第1供給ローラ7のみを使用した場合には、周速度比を調整しても、ベタ黒上の濃度をO.D=1.5に保ち、且つベタ黒上下の濃度差をO.D=0.1以下に調整することはできないことが判明した。
【0083】
次に、第1供給ローラ7と第2供給ローラ8とを使用して行った、現像ローラ4に対する第1及び第2供給ローラ7,8の各周速度比と、現像ローラ4上へのトナーの付着量、或いは印刷濃度との関係を測定した試験結果について説明する。
【0084】
図16(a)、(b)のグラフは、現像ローラ4の周速度(例えば156mm/s)に対する第1供給ローラ7の周速度比を0.7(109mm/sec)とし、第2供給ローラ8の周速度比(対現像ローラ4)を0.1から1.2までの範囲で変えて測定した現像ローラ4上へのトナーの付着量及び印刷濃度の測定結果を示す。尚、図16(a)のグラフの「ベタ黒上」、「ベタ黒下」の付着量は前記した図14の場合と同様であり、図16(b)の「ベタ黒上」、「ベタ黒下」の濃度は前記した図15の場合と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0085】
図16(a)に示すように、10000枚印刷した時点で、第1供給ローラ7への供給電圧を−300Vから−400Vに変えると、変える前に比べて、ベタ黒上下の付着量が共に増加し、ベタ黒下では、その増加量は、周速度比が小さくなるほど大きく、ベタ黒上下の付着量差が少なくなる結果を示している。これは、周速度比を遅くした第2供給ローラ8を追加すると磨耗が少ないので、経時での掻き取り量の減少が抑えられ、供給量の低下も抑えられることによる。
【0086】
また図16(b)に示すように、10000枚印刷した時点で、第1供給ローラ7への供給電圧を−300Vから−400Vに変えると、周速度比が小さいほど、ベタ黒上下で印刷濃度を増加することができ、第2供給ローラ8の周速度比が0.1〜0.6の範囲であれば、ベタ黒上の印刷濃度をO.D=1.5に保ち、且つ、ベタ黒上下の濃度差をO.D=0.1以下に抑制することができる。このように、ベタ黒上下の濃度差をO.D=0.1以下に抑制できたのは、第2供給ローラ8の周速度比を0.1〜0.6の範囲に小さくすることによって第2供給ローラ8による残留トナー14´の掻き取り量が増加したためと考えられる。
【0087】
以上のように、本実施の形態の画像形成装置によれば、経時に伴って供給ローラの発泡体が磨耗した場合でも、現像ローラに対して2つの供給ローラを配置し、現像ローラの回転方向の上流側の供給ローラの周速度を下流側の供給ローラの周速度より小さく設定することによって、現像ローラに対するトナーの供給、及び残留トナーの掻き取りが十分に行えるため、ページ内における濃度差を抑制して高画質な印刷画像を得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
前記した各実施の形態では、タンデム方式の画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、単色の画像形成部をもつモノクロ機や像担持体が1つである4サイクルの画像形成装置、更にはファクシミリ装置、複写機、MFP(Multifunction Peripheral)等の複合機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 感光体ドラム、 2 帯電ローラ、 3 LED、 4 現像ローラ、 4a シャフト、 4b ウレタンゴム、 5 クリーニングブレード、 6 廃トナー収集部、 7 第1供給ローラ、 7a シャフト、 7b 発泡体、 8 第2供給ローラ、 8a シャフト、 8b 発泡体、 9 トナー供給部、 10 トナー供給口、 11 トナー貯蔵部、 12 層形成ブレード、 14 トナー、 14´ 残留トナー、 15 現像部、 16 当接部、 17 掻き取り部、 19 記録用紙、 20 転写ローラ、 21 ベルト駆動ローラ、 22 ベルト従動ローラ、 23 転写ベルト、 25 転写ユニット、 26 転写ベルト用クリーニングブレード、 27 廃トナー収集部、 28 濃度センサ、 30 定着器、 31 加熱ローラ、 32 バックアップローラ、 40 画像形成部、 50 印刷制御部、 51 上位装置、 52 インタフェイス部、 53 操作入力部、 54 メモリ、 55 ROM、 56 RAM、 57 CPU、 58 センサ、 60 プロセス制御部、 61 現像電圧制御部、 62 供給電圧制御部、 63 層形成電圧制御部、 64 帯電電圧制御部、 65 露光制御部、 66 モータ制御部、 67 濃度センサ制御部、 70 感光体ドラムモータ、 100 画像形成装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体に接して配置され、前記静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像するローラ状の現像剤担持体と、
前記静電潜像担持体と前記現像剤担持体との接触部よりも、前記現像剤担持体の回転方向の上流側で前記現像剤担持体の周面に接して配置され、前記現像剤担持体に現像剤を供給するローラ状の第1の供給部材と、
前記第1の供給部材よりも前記現像剤担持体の回転方向の上流側、且つ前記接触部よりも前記現像剤担持体の回転方向の下流側で、前記現像剤担持体の周面に接して配置され、前記現像剤担持体に現像剤を供給するローラ状の第2の供給部材と
を備え、
前記第1の供給部材の周速度を前記第2の供給部材の周速度より大きく設定したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体の周速度に対する前記第1の供給部材の周速度比が0.7以上であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤担持体の周速度に対する前記第2の供給部材の周速度比が0.6以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤担持体の半径をr1、前記第1供給部材の半径をr2、前記現像剤担持体と前記第1供給部材との軸間距離をLとしたとき、前記現像剤担持体と前記第1供給部材との接触幅α(α=(r1+r2)−L)を
0.6mm≦α≦1.4mm
としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
装置全体を制御する印刷制御部と、
累積印刷枚数をカウントするカウント手段と、
前記第1の供給部材及び前記第2の供給部材に電圧を印加する電圧印加手段と
を備え、前記印刷制御部は、前記カウント手段がカウントする前記累積印刷枚数が所定枚数に達した際に、前記電圧印加手段による印加電圧値を高くすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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