説明

画像形成装置

【課題】現像器からトナーを強制消費する構成において装置の小型化を図ることが可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】非画像形成時に感光体ドラム11上に高濃度ベタのトナーパターンPを形成し、形成されたトナーパターンPの先端Psが感光体ドラムとこれに圧接される転写ローラとの間により確保される転写ニップに到達してから(時点T1)、トナーパターンPの後端Peが転写ニップを抜ける(時点T2)までの間には転写ローラに転写バイアスとしてトナーと同極性のマイナスの直流電圧TB1を供給し、トナーパターンPの後端Peが転写ニップを抜けると(時点T2以降)、交流電圧TB2に切り替える制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上の静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成装置に関し、特に現像器内のトナーを強制消費する技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置として、特許文献1には、感光体ドラムと、感光体ドラムの表面を帯電させる帯電器と、帯電された感光体ドラム表面を露光走査して静電潜像を書き込む露光装置と、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを供給して静電潜像を顕像化する現像器と、感光体ドラムに転写位置で圧接されることにより感光体ドラムとの間で転写ニップを確保し、その転写ニップを通過する記録紙に感光体ドラム上のトナー像を静電転写させる転写ローラと、転写後の感光体ドラム上における残留トナーを回収するクリーナとが配置され、記録紙に転写して出力するための画像を形成する画像形成時以外の非画像形成時に強制トナー消費を実行する構成が開示されている。
【0003】
この強制トナー消費は、感光体ドラム上に高濃度のベタのトナーパターンを形成し、転写ローラを感光体ドラム表面から離間させつつ記録紙を通紙させることなく、感光体ドラム上のトナーパターンを転写位置を通過させてクリーナで除去する動作のことである。
強制トナー消費の実行により、現像器内の現像性の低下したトナーを強制的に現像器から排出することができる。また、転写ローラを感光体ドラム表面から離間させることにより、感光体ドラム上のトナーパターンが転写位置で転写ローラ表面に接することがなく、トナーパターンが転写ローラ表面に付着しないので、トナーパターンを構成する大量のトナー粒子が転写ローラ表面に付着するとした場合にその転写ローラ表面に付着したトナー粒子が強制トナー消費終了後の次のプリント時に転写ニップを通過する記録紙の裏面に付着して、その記録紙がトナーで汚れるといったことが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−70497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようにトナー強制消費の動作時に転写ローラを感光体ドラム表面から離間させる構成をとると、転写ローラが感光体ドラム表面に圧接する圧接位置と感光体ドラムから離間する離間位置との間を移動するための移動スペースおよび圧接位置と離間位置とを切り替えるための切替機構を装置内に設ける必要が生じる。
画像形成装置は、感光体ドラムを中心にして感光体ドラムの周囲に帯電器、露光装置、現像器などの画像形成のための機能部品が配置される構成を前提に、装置の小型化が要請されており、転写ローラの移動スペースや切替機構を設けるためのスペースを装置内に確保する分、装置を小型化できなくなるという問題が生じる。
【0006】
このような問題は、上記の劣化トナーを強制消費する画像形成装置に限られず、感光体ドラム表面にその転写位置で転写ローラなどの転写部材が接する構成であり、現像器内のトナーを強制消費する動作を実行可能な画像形成装置一般に生じ得る。
例えば、トナーとキャリアを含む二成分現像剤が現像器に収容されている画像形成装置において、現像剤の交換時期に達したときに、トナー強制消費動作によって現像剤のうちトナーだけを消費してクリーナで回収した後、一時的に蓄積し、現像器内に残ったキャリアだけを新規のものに交換し、その交換後に、蓄積されているトナーを現像器に戻すといった動作を行う場合が考えられる。
【0007】
この動作では、現像器内に収容されている現像剤のトナーとキャリアのうち、劣化しているキャリアが新規のものに交換され、トナーは再利用されるが、トナー強制消費により感光体ドラム上に形成されたトナーパターンが転写位置を通過してクリーナに回収されることに変わりはないので、上記と同様の問題が生じることになる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、現像器からトナーを強制消費する構成において装置の小型化を図ることが可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、像担持体に形成された静電潜像に現像器のトナーを供給して顕像化し、顕像化されたトナー像を、像担持体とこれに接触する転写部材との間で確保される転写ニップを通過するシートに静電転写して画像形成を行う画像形成装置であって、転写部材に転写バイアス電圧を出力する電源部と、画像形成以外の非画像形成時に、シートを通紙させない状態で、像担持体上に特定パターンの静電潜像を形成した後、その特定パターンの静電潜像に現像器のトナーを供給してトナーパターンを形成することにより、現像器内のトナーを強制的に消費するトナー強制消費動作を実行する実行手段と、トナー強制消費動作において、像担持体上のトナーパターンが転写ニップを通過する間にはトナーと同極性の転写バイアス電圧を出力し、転写ニップを通過しない間には交流の転写バイアス電圧を出力するように電源部を制御する電源制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記実行手段は、複数のトナーパターンを、それぞれが前記像担持体の回転方向に第1の幅を有し、当該像担持体の回転方向に第2の幅からなりトナーパターンが形成されない非画像領域を介して隣り合うように形成することを特徴とする。
さらに、前記転写部材は、転写ローラであり、前記第1の幅は、転写ローラの周長以下であり、前記第2の幅は、転写ローラの周長よりも長いことを特徴とする。
【0010】
また、前記第1の幅と第2の幅とが等しいことを特徴とする。
また、前記転写ローラは、前記像担持体の回転に伴って前記転写ニップにおいて前記像担持体の回転方向と同方向になるように回転し、前記実行手段は、前記転写ローラが1回転するのに要する時間をte、隣り合う2つのトナーパターンの一方が転写ニップを通過してから他方が転写ニップに到達するまでの間の時間をtβとしたとき、前記時間tβが時間teの2倍以上になるように、それぞれのトナーパターンの形成を実行し、前記電源制御手段は、1周期tzが前記時間tβ以下であり、1周期tzにおけるマイナス電圧の出力時間txとプラス電圧の出力時間tyとがそれぞれ前記時間te以上の関係を満たす交流電圧を、前記交流の転写バイアス電圧として、前記時間tβの間に出力させることを特徴とする。
【0011】
さらに、現像器内に現に存在するトナー量を指標する値を検出する検出手段を備え、前記実行手段は、前記検出手段の検出値が第1の閾値Daよりも大きい場合には、第1の幅がLaになり、前記検出値が第1の閾値Da以下かつ、第1の閾値Daよりも小さい第2の閾値Dbよりも大きい場合には、第1の幅がLaよりも大きいLa1になるようにトナーパターンを形成することを特徴とする。
【0012】
ここで、前記実行手段は、前記検出手段の検出値が第1の閾値Daよりも大きい場合には、第2の幅がLbになり、前記検出値が第1の閾値Da以下かつ第2の閾値Dbよりも大きい場合には、第2の幅がLbよりも小さいLb1になるようにトナーパターンを形成することを特徴とする。
また、前記像担持体上のトナーパターンが転写ニップを通過した後、当該トナーパターンを構成するトナーを当該像担持体から回収する回収手段と、回収されたトナーを収容し、収容したトナーを現像器に戻すトナーリサイクル手段と、前記トナーリサイクル手段の動作を制御するトナーリサイクル制御手段と、を備え、前記現像器には、現像剤としてトナーとキャリアを含む二成分現像剤が収容され、前記トナー強制消費動作は、現像器内にキャリアを残してトナーを現像器から排出させる動作であり、前記トナーリサイクル制御手段は、トナー強制消費動作の実行中に前記回収手段により回収されたトナーを前記トナーリサイクル手段に一時的に収容して蓄積させ、トナー強制消費動作の終了後、前記現像器内に残っている現像剤の交換がなされたことを示す情報を取得すると、前記トナーリサイクル手段に蓄積されているトナーを現像器に戻させることを特徴とする。
【0013】
また、像担持体の周辺の、現像器から像担持体の回転方向に転写部材までの間の空間に浮遊するトナー粒子をエアと共に吸引して、吸引されたエアを機外に排出する吸引手段を備え、前記実行手段は、トナー強制消費動作において、吸引手段によるエアの吸引量が画像形成時における吸引量よりも大きくなるように吸引手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このようにトナー強制消費動作において、像担持体上のトナーパターンが転写ニップを通過する間には転写部材にトナーと同極性の電圧を出力し、トナーパターンが転写ニップを通過していない間には交流電圧を出力する制御を行うことにより、トナーと同極性の電圧が転写部材に印加されている間にトナーには転写部材から遠ざかる方向の静電力が作用することにより、大量のトナーが転写部材に付着することが抑制され、その間に機械的にトナー粒子が転写部材に付着したり、正規の極性とは逆極性に帯電したトナーが転写部材に付着したりしても、トナーパターンが転写位置を通過した後に出力される交流電圧の静電作用により、転写部材に付着したトナー粒子を像担持体に戻させることができ、転写部材が像担持体に接した状態でもトナー粒子が転写部材に付着して転写部材が汚れることによるシートの裏汚れを抑制しつつ、転写部材を像担持体に圧接、離間するための切替機構を設けなくて済むことにより、装置の小型化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】プリンタの全体の構成を示す図である。
【図2】プリンタに設けられる制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】感光体ドラムの表面を平面展開したと仮定した場合の感光体ドラムの表面に強制消費用のトナーパターンが形成されている様子を示す平面図である。
【図4】感光体ドラム上の露光位置、現像位置、転写ニップの位置関係を模式的に示す図である。
【図5】トナー分離処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】トナー分離処理のタイミングチャートの例を示す図である。
【図7】分離トナー補給処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、モノクロのデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)を例に説明する。
(1)プリンタ全体の構成
図1は、プリンタ1の全体の構成を示す図である。
同図に示すように、プリンタ1は、画像プロセス部2、給送部3、定着部4、制御部5、トナーホッパ6と、トナーリサイクル部7と、トナー吸引部8と、操作部9などを備えており、ネットワーク(例えばLAN)に接続されて、外部の端末装置(不図示)からの印刷(プリント)ジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてモノクロ、ここではブラック色の画像形成を実行する。
【0017】
画像プロセス部2は、矢印Aで示す方向に回転駆動される感光体ドラム11と、これを中心にしてその周囲に配された帯電チャージャ12と、露光部13と、現像器14と、転写ローラ15と、クリーナ16などから構成される。
給送部3は、記録用のシートの一例としての用紙Sを収納しておくための給紙カセット20と、用紙Sを搬送路29上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ21と、繰り出された用紙Sを搬送する搬送ローラ対22と、用紙Sを感光体ドラム11に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ対23などを有する。
【0018】
画像プロセス部2において、露光部13は、制御部5からの画像信号に基づきレーザダイオードを変調駆動して、レーザダイオードから発せられるレーザ光Lにより感光体ドラム11を露光走査する。
感光体ドラム11は、露光部13による露光を受ける前にクリーナ16により表面の残留トナーが除去された後、帯電チャージャ12により一様に帯電(ここでは、マイナス帯電)されており、一様に帯電した状態で露光部13からのレーザ光Lにより露光位置Fにおいて露光走査されることにより、感光体ドラム11の表面に静電潜像が形成される。
【0019】
感光体ドラム11上に形成された静電潜像は、現像位置Gで現像器14からのトナーの供給により顕像化され、感光体ドラム11表面にトナー像が形成される。ここでは、現像器14にトナーとキャリアを含む二成分現像剤(以下、「現像剤」という。)Dが収容されており、トナーとして感光体ドラム11と同じマイナス極性のものが用いられ、いわゆる反転現像が行われる。この露光、現像工程によるトナー像の形成動作と同期して、給送部3のタイミングローラ対23から用紙Sが感光体ドラム11の転写位置に搬送される。
【0020】
感光体ドラム11の転写位置では、転写ローラ15が感光体ドラム11表面に圧接され、感光体ドラム11表面との間で転写ニップHを確保しつつ、感光体ドラム11の回転に伴って矢印Bで示す方向(転写ニップHにおいて感光体ドラム11の回転方向と同方向に相当)に従動回転する。転写ローラ15には、転写バイアス電源部101から転写バイアス電圧が供給されており、転写バイアス電圧により感光体ドラム11と転写ローラ15間に転写のための電位差が生じ、この電位差による静電作用により、転写ニップHをタイミングローラ対23から搬送されて来る用紙Sが通過する際に、感光体ドラム11上に形成されたトナー像が用紙S上に静電転写される。
【0021】
トナー像が転写された用紙Sは、転写ニップHを通過し、感光体ドラム11の表面から分離した後、定着部4に搬送され、定着部4において加熱、加圧されて、その表面のトナー粒子が用紙S表面に融着して定着し、その後、排出ローラ対27により排出トレイ28に排出される。
転写後に感光体ドラム11上に残存しているトナー(用紙Sに転写されずに感光体ドラム11上に残ったトナー)は、クリーナ16により回収され、感光体ドラム11が清掃される。クリーナ16に回収されたトナーは、トナーリサイクル部7を介して現像器14内に戻される。また、トナーホッパ6からは、補充用(新品)のトナーが、トナーリサイクル部7を介して現像器14内に供給される構成になっている。
【0022】
吸引部8は、感光体ドラム11の周辺であり、現像器14から感光体ドラム11の回転方向(ドラム回転方向)に沿って転写ローラ15までの間の空間(以下、「ドラム周辺空間」という。)に浮遊するトナー粒子や埃などをエアと共に吸引する。これにより、ドラム周辺空間に浮遊するトナーによって機内が汚れることが防止される。
操作部9は、操作者による用紙サイズ、プリント枚数などの指定や操作者からの各種指示を受け付けるためのキー、各種メッセージなどを表示させるためのディスプレイなどが配置される。各キーにより入力された情報は、制御部5に送られる。
【0023】
(2)現像器14の構成
現像器14は、感光体ドラム11表面に形成された静電潜像をトナーで現像(顕像化)するものであり、現像ハウジング50と、現像ローラ51と、供給スクリュー52と、攪拌スクリュー53と、規制ブレード54と、トナー濃度検出センサ55などを備える。
現像ハウジング50は、仕切り57を挟んで現像室58と攪拌室59に区切られてなり、現像剤Dが収容されると共に、現像室58に現像ローラ51と供給スクリュー52が配置され、攪拌室59に攪拌スクリュー53が配置されている。現像ローラ51、供給スクリュー52、攪拌スクリュー53のそれぞれの軸方向は、感光体ドラム11の軸方向と平行になっている。
【0024】
現像ローラ51は、現像室58の、感光体ドラム11と対向する側に設けられた開口を介して感光体ドラム11と対向する位置に配置されており、周面に現像剤Dを担持しつつ、矢印Cで示す方向に回転して、現像剤Dを感光体ドラム11の現像位置Gに搬送する。現像ローラ51により搬送される現像剤Dに含まれるトナーが現像位置Gにおいて感光体ドラム11上の露光された部分に供給され、これにより静電潜像がトナーで顕像化される(静電潜像が現像される)。
【0025】
現像ローラ51には、現像バイアス電源部102からの現像バイアス電圧が供給されている。現像バイアス電圧は、感光体ドラム11と現像ローラ51との間に現像に適した電位差を生じさせるものであり、予め決められている。
供給スクリュー52は、現像ローラ51を挟んで感光体ドラム11とは反対側の位置に現像ローラ51と並行するように配置され、現像室58内の現像剤Dを軸方向(同図紙面垂直方向)に沿って搬送しつつその搬送中に現像剤Dを現像ローラ51に供給する。
【0026】
攪拌スクリュー53は、供給スクリュー52を挟んで現像ローラ51とは反対側の位置に、供給スクリュー52と並行するように配置され、攪拌室59内の現像剤Dを供給スクリュー52による現像剤搬送方向とは逆方向に沿って搬送しつつ現像剤Dを攪拌する。この攪拌により、現像剤Dのトナーが正規、ここではマイナスの極性に帯電される。
なお、現像室58と攪拌室59のそれぞれの軸方向一方端側と他方端側は、それぞれが連結路(不図示)を介して連通されることにより、現像ハウジング50内に現像剤Dの循環経路が形成されており、この循環経路を供給スクリュー52と攪拌スクリュー53により搬送される現像剤Dが循環搬送される。また、攪拌室59の上部であり、装置後側(奥側)の端部には、開口78が設けられており、この開口78を介して攪拌室59とトナーリサイクル部7とが連通する構成になっている。
【0027】
規制ブレード54は、現像ローラ51の周面に担持される現像剤Dの量を現像に適した量に規制する部材である。
トナー濃度検出センサ55は、その検出面が攪拌室59内に位置するように配置され、現像器14内の現像剤Dのトナー濃度(トナーのキャリアに対する比率)を検出する。
(3)クリーナ16の構成
クリーナ16は、クリーナハウジング60と、クリーニングブレード61と、第1搬送スクリュー62と、パドル63と、第2搬送スクリュー64などを備える。
【0028】
クリーナハウジング60は、感光体ドラム11の回転軸に沿って長尺状の回収室66と、回収室66の装置後側の端部に連設され、トナーリサイクル部7の方向に向かって延びる長尺状の搬送室67とが設けられてなるL字状をした部材である。
第1搬送スクリュー62とパドル63は、回収室66内に配置され、第2搬送スクリュー64は、搬送室67内に配置されている。パドル63は、第1搬送スクリュー62の回転軸における装置後側の部分に取着され、第1搬送スクリュー62と共にその回転軸周りに回転する。第1搬送スクリュー62と第2搬送スクリュー64は、不図示のモータからの駆動力を受けて回転駆動される。回収室66の底部には、開口が設けられており、その開口部にクリーニングブレード61が取着されている。
【0029】
クリーニングブレード61は、感光体ドラム11の回転軸に沿って長尺状であり、先端が感光体ドラム11の回転方向に対して逆方向に向く姿勢で感光体ドラム11表面に当接して、感光体ドラム11上に残存しているトナーを掻き取って、感光体ドラム11表面を清掃する。クリーニングブレード61によって掻き取られたトナーは、回収室66内の第1搬送スクリュー62によって装置後側に向かって搬送され、装置後側に搬送されると、パドル63によって搬送室67に送り込まれる。
【0030】
回収室66から搬送室67に送り込まれたトナーは、搬送室67内において第2搬送スクリュー64により、トナーリサイクル部7に向かって搬送される。搬送室67の、回収室66とは反対側に位置する端部の底部には、開口68が設けられており、搬送室67内を搬送されるトナーは、開口68を介してトナーリサイクル部7に送られる。
(4)トナーリサイクル部7の構成
トナーリサイクル部7は、リサイクルハウジング71と、リサイクルハウジング71内に配置された搬送スクリュー72と、搬送スクリュー72を回転駆動させるリサイクルモータ73と、アクチュエータ74と、シャッター75などを備える。
【0031】
リサイクルハウジング71は、クリーナハウジング60の搬送室67の直下に配され、搬送室67の長手方向に沿って長尺のパイプ状の部材であり、その長手方向の一方端の底部が現像器14の攪拌室59に設けられた開口78を介して攪拌室59と連通し、長手方向の他方端の上部が開口79を介してトナーホッパ6と連通し、長手方向の中央部が搬送室67の開口68を介して搬送室67と連通してなる。
【0032】
リサイクルハウジング71には、開口68を介してクリーナ16からのトナーが送り込まれると共に、開口79を介してトナーホッパ6から供給される補充用(新品)トナーが送り込まれる。リサイクルハウジング71内に送り込まれたトナーは、制御部5の指示により駆動されるリサイクルモータ73の回転駆動力を受けて回転する搬送スクリュー72によって、攪拌室59との連通部である開口78の位置する側に搬送される。
【0033】
シャッター75は、開口78を開閉するためのものであり、リサイクルハウジング71の、攪拌室59の開口78に対向する部分に設けられている。シャッター75は、開口78を遮蔽する閉位置と、開口78を開放する開位置との間を移動自在に支持されており、直動モータなどのアクチュエータ74によって、開位置と閉位置とが切り替えられる。この切り替えは、制御部5によって制御される。この制御については、後述する。
【0034】
(5)トナー吸引部8の構成
トナー吸引部8は、吸引ダクト81と、フィルタ82と、吸引ファン83などを備える。吸引ダクト81は、感光体ドラム11の直下に位置する一方の端部に吸引口が設けられ、他方の端部に排出口が設けられてなり、吸引口が感光体ドラム11の軸方向に沿って長尺状に延設されており、吸引口と排出口との間がパイプ状のダクト部分で連結され、排出口がフィルタ82を介して吸引ファン83のエア吸引口に連結されてなる。
【0035】
吸引ファン83が駆動すると、吸引ダクト81内に図1の矢印で示す方向にエアが流れ、ドラム周辺空間に浮遊するトナー粒子などが吸引ダクト81の吸引口から吸引され、吸引ダクト81の内部を通りフィルタ82で捕捉される。吸引ファン83は、低速回転と高速回転とを切替可能な構成になっており、制御部5の指示により切り替えられる。
(6)制御部5の構成
図2は、制御部5の構成を示すブロック図である。
【0036】
同図に示すように、制御部5は、通信インターフェース(I/F)部91と、CPU92と、ROM93と、RAM94と、画像メモリ95と、トナー分離処理実行部96と、分離トナー補給処理部97と、パターンデータ記憶部98と、タイマー99を備え、各部は相互に信号やデータのやりとりを行えるようになっている。
通信I/F部91は、ネットワーク、ここではLANと接続するためのLANカード、LANボードといったインターフェースであり、外部端末からLANを介して送られてくるプリントジョブのデータを受信して、画像メモリ95に格納させる。
【0037】
RAM94は、CPU92のワークエリアとなる。
CPU92は、ROM93から必要なプログラムを読み出し、画像メモリ95に格納されているプリントジョブのデータに基づき、画像プロセス部2、給送部3、定着部4などを制御して、画像形成動作(プリント)を円滑に実行させる。
また、CPU92は、プリントジョブ実行中にトナー濃度検出センサ55の検出信号を受信して現像器14内のトナー濃度を検出し、検出されたトナー濃度が現像に適した所定の濃度(基準濃度)に維持されるように、トナーホッパ6による補充用トナーの補給量を調整する。具体的には、検出されたトナー濃度が基準濃度よりも低ければ、トナーホッパ6に対してトナーを補給する指示を行い、基準濃度よりも高ければトナーの補給を禁止する指示を行う。なお、CPU92は、プリントジョブ実行中には、トナーリサイクル部7のシャッター75を開位置に位置させつつ搬送スクリュー72も回転駆動させるが、トナー濃度に応じてシャッター75を開閉させるなど他の制御を行うとしても良い。
【0038】
さらに、CPU92は、プリントジョブ実行時に、転写バイアス電源部101に指示して、転写に適した転写バイアス電圧を転写ローラ15に供給させると共に、現像バイアス電源部102に指示して、現像に適した現像バイアス電圧を現像ローラ51に供給させる。同様に、プリントジョブ実行時に、吸引ファン83をプリント時に適した回転速度として予め決められた回転速度(低速)で回転が維持されるように制御する。
【0039】
また、CPU92は、現像器14内の現像剤Dを交換する時期に達したことを判断すると、その旨を示すメッセージを操作部9のディスプレイに表示させる。操作者は、このメッセージを見ることにより、現像剤Dが交換時期に達していることを知ることができ、現像剤Dの交換作業を行う前に実行すべき前処理(後述のトナー分離処理に相当)の実行指示を操作部9に設けられたキー(不図示)の操作により行うことができる。
【0040】
なお、現像剤Dの交換時期に達したことの判断は、例えばプリントの累積枚数が所定枚数に達したことを判断することにより行われる。所定枚数は、現像剤Dのキャリアの劣化が最低限の画質を維持できない程度まで進んだときのプリントの推定累積枚数に相当し、予め実験などにより求められ、その枚数を示す情報がROM93などに格納される。プリントの累積枚数を示す情報は、例えば不揮発性の記憶部(不図示)に格納され、1枚の用紙に対してプリントが行われるごとに累積枚数が更新される。
【0041】
CPU92は、操作者による前処理の実行指示を受け付けると、用紙Sに転写して出力すべき画像を形成するプリントジョブ(画像形成)実行時以外の非画像形成時に、トナー分離処理実行部96に対して、前処理としてのトナー分離処理の実行を指示する。
トナー分離処理実行部96は、CPU92からの指示によりトナー分離処理を実行する。このトナー分離処理は、以下のような動作を実行する処理をいう。
【0042】
すなわち、非画像形成時に、用紙Sを給送させることなく、感光体ドラム11上に強制消費用の高濃度ベタのトナーパターンを形成することにより現像剤Dに含まれるトナーを強制消費(キャリアから分離)させ、感光体ドラム11上に形成されたトナーパターンを転写ニップHを通過させてクリーナ16で回収する。そして、回収したトナーをクリーナ16からトナーリサイクル部7に送りつつ、リサイクルモータ73を停止させると共にシャッター75を閉位置に切り替えて、クリーナ16からの回収トナーを現像器14に戻らないようにして、トナーリサイクル部7に一時的に収容して蓄積する動作である。
【0043】
この動作により、現像剤Dのトナーが強制消費され、トナーの強制消費が進むに連れて現像器14内のトナー量が減りつつキャリアが残るようになり、キャリアのトナーに対する割合が高くなる。この割合が所定値に達するとトナー分離処理が停止される。
なお、トナー分離処理の実行中には、吸引ファン83が低速から高速回転に切り替えられ、また感光体ドラム11上に形成されたトナーパターンが転写ニップHを通過する際に、トナーパターンを構成するトナー粒子が転写ローラ15に付着して転写ローラ15を汚すことを抑制するために、転写ローラ15に供給される転写バイアス電圧がトナー強制消費時専用の電圧波形に切り替えられる。吸引ファン83の回転制御、トナーパターンの形成、転写バイアスの電圧波形の詳細については、後述する。
【0044】
操作者は、トナー分離処理の終了後、現像器14内に残った現像剤D(ほとんどがキャリアのもの)を新たな現像剤(トナーのキャリアに対する比率が通常のジョブ実行中の基準濃度よりもかなり低い、換言するとキャリアの割合が高い所定の値に設定されているもの)に交換する作業を行うことができ、現像剤の交換が終了すると、その旨を操作部9に設けられたキー(不図示)の操作により入力することができる。
【0045】
分離トナー補給処理部97は、操作者により操作部9のキーを介して現像剤の交換が終了した旨の入力を受け付けると、分離トナー補給処理を実行する。
分離トナー補給処理は、トナーリサイクル部7のリサイクルモータ73を回転駆動させると共にシャッター75を開位置に切り替え、トナーリサイクル部7に一時的に収容されていた回収トナーを現像器14内に徐々に戻しつつ、現像器14内の現像剤Dのトナー濃度が目標濃度に達すると、リサイクルモータ73の回転を停止させる動作である。
【0046】
これにより、トナーリサイクル部7に蓄積されていたトナーが現像器14内に戻されて、現像器14内の新たな現像剤Dと混合されて再利用される。
上記では、現像剤の交換作業が終了したことを、操作者による操作部9上のキー入力の受け付けにより判断するとしたが、これに限られず、現像剤の交換がなされたことを示す情報を取得することができれば良い。例えば、新たな現像剤が収容されている新規の現像器が旧の現像器に代えて装置本体にセットされた場合に、その新規の現像器をセンサ等の検出器により検出する構成であれば、その検出器により検出が行われたことを前記情報の取得とすることもできる。
【0047】
パターンデータ記憶部98には、高濃度ベタのトナーパターンを形成するための画像データが予め格納されている。トナーパターンの濃度は、最大濃度とすることが好ましいが、これに限られず、例えば最大と最小の間の中間調に相当する濃度などであっても良い。
タイマー99は、転写バイアスの出力電圧を切り替えるときの切替タイミングなどの計時に用いられる。
【0048】
(7)トナーパターンと転写バイアス電圧の波形について
図3は、感光体ドラム11の表面を平面展開したと仮定した場合の感光体ドラム11の表面に強制消費用のトナーパターンPが形成されている様子を示す平面図であり、転写バイアス電圧の波形の例を併せて示している。
同図に示すようにトナーパターンPは、主走査方向に長尺の帯状であり、高濃度(濃い濃度)のベタのパターンからなり、主走査方向の長さがLc、副走査方向(ドラム回転方向に相当)の幅がLaになっている。長さLcは、感光体ドラム11の主走査方向長さよりもやや短く、幅Laは、転写ローラ15の周長をLrとすると、0<La≦Lrの関係を有している。ここでは、幅Laが転写ローラ15の周長Lrの半分の値である。
【0049】
トナーパターンPは、複数であり、隣り合う2つのトナーパターンPが副走査方向に間隔(幅)Lbをおいて並べられるように感光体ドラム11上に順次、形成される。
副走査方向に隣り合う2つのトナーパターンPの間に位置する領域(幅Lbで現される領域)Qは、トナーパターンPが形成されていない非画像領域に相当する。幅Lbは、Lrの2倍以上、例えばLrの2.5倍の値になっている。トナーパターンPの副走査方向の幅Laと、非画像領域Qの副走査方向の幅Lbとが、0<La≦Lr、2×Lr≦Lbの関係を満たすようにしている理由については、後述する。
【0050】
副走査方向に幅Laを有するトナーパターンPを1つ形成するのに要する時間Tpは、感光体ドラム11の周面の回転速度(ドラム周速)をVとすると、幅Laをドラム周速Vで除した値(=La/V)に相当する。
一方、同図に示す時間Tqは、1つのトナーパターンPの感光体ドラム11への静電潜像の書き込みが終了してから次のトナーパターンPの感光体ドラム11への静電潜像の書き込みを開始するまでの時間、換言すると幅Lbだけ非画像領域Qを形成するのに要する時間であり、幅Lbをドラム周速Vで除した値(=Lb/V)に相当する。
【0051】
転写バイアス電圧は、直流電圧を示す波形部分TB1と、交流電圧を示す波形部分TB2とが交互に繰り返された波形の電圧になっている。
波形部分TB1の直流電圧(−V1)は、トナーと同極性のマイナスの直流電圧であり、例えば−500〔V〕〜−1〔kV〕の範囲内の値になっており、トナーパターンPごとに、そのドラム回転方向先端(以下、「先端」という。)Psが転写ニップHに到達してから(時点T1)、ドラム回転方向後端(以下、「後端」という。)Peが転写ニップHを抜ける(時点T2)までの間(トナーパターンPが転写ニップHを通過する間)の時間tαに転写ローラ15に出力される。なお、同図の時間trは、転写ニップHの幅W(図4)をドラム周速Vで除した時間に相当し、トナーパターンPが転写ニップHを通過するのに要する時間が、時間Tpに時間trを足し合わせた時間であることを示している。後述の図4で具体的に説明する。
【0052】
感光体ドラム11上におけるトナーパターンPの形成領域は、露光走査がなされた領域なので、感光体ドラム11上の電位(マイナス)が絶対値で0V近くまで低下しており、この電位は、絶対値で転写ローラ15に供給されているマイナスの直流電圧(−V1)よりも低くなり、感光体ドラム11と転写ローラ15間に電位差が生じる。
この電位差により、感光体ドラム11と転写ローラ15間に、感光体ドラム11上のトナーパターンPを構成するトナー粒子のうち、正規のマイナス極性に帯電しているトナー(以下、「正極性帯電トナー」という。)粒子に、感光体ドラム11に引き寄せられる方向(換言すると、転写ローラ15から遠ざかる方向)の静電力が作用し、この静電力の作用により正極性帯電トナー粒子が感光体ドラム11から離れて転写ローラ15の表面に移動して付着することが抑制される。
【0053】
一方、波形部分TB2の交流電圧は、1つのトナーパターンPの後端Peが転写ニップHを抜けてから(時点T2)、次のトナーパターンPの先端Psが転写ニップHに到達する(時点T3)までの時間tβの間に転写ローラ15に供給される。この時間tβは、上記の幅Lb、転写ニップHの幅W、ドラム周速Vから決まる値である。
そして、波形部分TB2の交流電圧は、時間tβを1周期として、その1周期tβのうち、マイナス成分の出力時間txとプラス成分の出力時間tyが半周期ずつ(tx=ty=tβ/2)、かつ、時間tx、tyが時間te(=Lr/V)以上であり、さらにマイナス成分の電圧−V2の値とプラス成分の電圧+V3の値とが絶対値で同じであり、V1の値よりも絶対値で大きく、帯電電圧(マイナス)よりも絶対値で大きい値の矩形波の電圧になっている。例えば、−V2が−500〔V〕〜−1〔kV〕の範囲内の値とすることができる。
【0054】
転写ローラ15は、感光体ドラム11に従動回転し、転写ローラ15の周速と感光体ドラム11の周速とが同じであるので、上記の時間te(=Lr/V)は、転写ローラ15が1回転するのに要する時間に相当する。従って、マイナス成分の電圧−V2は、転写ローラ15が1回転する時間以上に亘って転写ローラ15に供給され、プラス成分の電圧+V3も、マイナス成分の電圧−V2に続いて、転写ローラ15が1回転する時間以上に亘って転写ローラ15に供給されることになる。
【0055】
ここで、上記のように交流電圧のマイナス成分の電圧値を絶対値で帯電電圧(マイナス)よりも大きい値にするのは、次の理由による。すなわち、転写バイアスの交流電圧は、感光体ドラム11上の非画像領域Qが転写ニップHを通過する際に転写ローラ15に供給されるが、感光体ドラム11上の非画像領域Qは、露光されていない部分であり、マイナス帯電されたままの状態になっている。
【0056】
このようなマイナス帯電されたままの感光体ドラム11上の非画像領域Qに、マイナス帯電している正極性帯電トナー粒子を転写ローラ15から感光体ドラム11に移動させるには、感光体ドラム11と転写ローラ15間に、正極性帯電トナー粒子に対して感光体ドラム11に引き寄せられる方向の力を作用させる電界を生じさせる必要があり、そのような電界を生じさせるには、感光体ドラム11上の非画像領域Qの電位よりも転写ローラ15の電位を絶対値で上げるようにすることが必要であるからである。
【0057】
このように転写ローラ15に転写バイアスの交流電圧のマイナス成分が供給されている間(時間tx)には、感光体ドラム11と転写ローラ15間に正極性帯電トナー粒子に対して感光体ドラム11に引き寄せられる方向の静電力を作用させる電界が生じ、この静電力の作用により、正極性帯電トナー粒子が転写ローラ15表面に例えば機械的に付着してしまった場合でも、その正極性帯電トナー粒子を転写ローラ15から感光体ドラム11に移動させる(戻させる)ことができる。
【0058】
この静電力の作用は、時間txだけ続き、時間txが転写ローラ15の1回転に要する時間以上になっているので、転写ローラ15表面において周方向にどの位置に正極性帯電トナーが付着していても、その静電力の作用により転写ローラ15表面に付着している正極性帯電トナーを転写ローラ15から離間させて感光体ドラム11に戻して付着させることができる。また、転写ローラ15からの離間にまで及ばなくても、転写ローラ15表面との機械的付着力が弱まれば、次の直流電圧(マイナス)の出力時に感光体ドラム11に戻すことができる。正規の極性に帯電しているが帯電量が正規のものよりも低下したトナー粒子についても同様である。
【0059】
一方、転写ローラ15に転写バイアスの交流電圧のプラス成分が供給されている間(時間ty)には、感光体ドラム11と転写ローラ15間に、正規とは逆極性(プラス)に帯電しているトナー(以下、「逆極性帯電トナー」という。)粒子に対して、感光体ドラム11に引き寄せられる方向の静電力を作用させる電界が生じる。
逆極性帯電トナー粒子は、正極性帯電トナー粒子に比べて極めて少ない数しか存在しないが、通常のプリント時に転写ニップHを通過する際に転写電圧(プラス)が印加された後にクリーナ16により回収されて現像器14に戻されたトナー粒子の中に含まれていることが多い。このような逆極性帯電トナー粒子が転写ローラ15表面に付着していても、上記の静電力の作用により、逆極性帯電トナー粒子を転写ローラ15から感光体ドラム11に移動させることができる。
【0060】
この静電力の作用は、時間tyだけ続くが、この時間tyも時間txと同様に、転写ローラ15の1回転に要する時間以上になっているので、転写ローラ15表面において周方向にどの位置に逆極性帯電トナーが付着していても、その静電力の作用により転写ローラ15表面に付着している逆極性帯電トナーを転写ローラ15から離間させて感光体ドラム11に戻して付着させることができる。また、正極性帯電トナーの場合と同様に、転写ローラ15からの離間にまで及ばなくても、転写ローラ15表面との機械的付着力が弱まれば、次のプラス成分の出力時に感光体ドラム11に戻すことができる。
【0061】
このように転写バイアスの交流電圧の出力により、転写ローラ15表面に付着した正極性帯電トナーと逆極性帯電トナーの両方を転写ローラ15表面から除去して、転写ローラ15表面に付着したトナー粒子が蓄積されることによるトナー汚れを防止できる。
なお、上記では、転写バイアスの交流電圧におけるマイナスの出力時間txとプラスの出力時間tyが時間te以上であるとしたが、時間txとtyを足し合わせた時間を時間tβとする場合、時間txとtyが長くなることは、幅Lb(時間Tq)が長くなることを意味するので、次のトナーパターンPの形成を開始するタイミングが遅れる、すなわちトナーパターンPの単位時間当たりの形成個数が減って、現像器14に収容されているトナーの消費に要する全体の時間が長くかかることになる。従って、出力時間tx、tyの長さ、すなわち幅Lb(時間Tq)の長さは、転写ローラ15表面からトナー粒子を除去するのに要する時間の最短の時間に設定されることが望ましい。
【0062】
また、交流電圧(マイナスとプラス成分が交互に出力される波形の電圧)であれば良く、1周期のうち出力時間tx、tyの長さを異ならせる(比率を変える)としたり、絶対値で−V2と+V3を異なる電圧値としたりすることもできる。さらに、転写バイアスの直流電圧の値(−V1)と交流電圧のマイナス成分の電圧値(−V2)とが絶対値で直流電圧の方が小さいとしたが、この電圧の大小関係もこれに限られず、例えば同じ値や大小が逆の関係をとることも可能である。なお、(−V1)=(−V2)とすれば、時点T2において直流から交流電圧に切り替えるときに電圧値を可変させる必要がなくなる。
【0063】
また、上記では交流電圧を、その1周期において最初にマイナス成分の電圧が出力され、続いてプラス成分の電圧が出力される波形としたが、場合によっては、逆の順序、すなわちプラスの次にマイナス成分が出力される波形とすることもできる。上記の各条件を2つ以上、組み合わせるとしても良い。いずれにしても、実験などにより装置構成に応じてその装置に適した値を設定することができる。
【0064】
(8)転写バイアス電圧の切り替えについて
転写バイアスの直流電圧と交流電圧とは、感光体ドラム11上に形成されるトナーパターンPが転写ニップHを通過する間とトナーパターンPが転写ニップHを通過していない間とで、それぞれのタイミングに合うように交互に切り替えられる。この電圧の切り替え方法を、図4を用いて説明する。
【0065】
図4は、ドラム回転方向に、露光部13による感光体ドラム11上の露光位置をF、現像器14による感光体ドラム11上の現像位置をG、感光体ドラム11と転写ローラ15との圧接により形成される転写ニップをHとした場合の各位置を模式的に示す図である。
なお、同図では、転写ニップHのドラム回転方向の幅をW、感光体ドラム11の周面において露光位置Fからドラム回転方向に転写ニップHのドラム回転方向上流側の端部までの距離をLzとしている。
【0066】
トナーパターンPの先端Psが露光位置Fから転写ニップHに到達するまでに要する時間をtfとすると、時間tfは、距離Lzをドラム周速Vで除した値(=Lz/V)に相当し、トナーパターンPの感光体ドラム11への静電潜像の書き込み開始時から時間tfの経過時に、トナーパターンPの先端Psが転写ニップHに到達することになる。
従って、トナーパターンPの感光体ドラム11への静電潜像の書き込み開始時から時間tfの経過時(図3の時点T1に相当)に、転写バイアスの直流電圧(TB1)の、転写ローラ15への供給(転写バイアスの直流電圧の出力)を開始させれば、トナーパターンPの先端Psが転写ニップHに到達するタイミングと、転写バイアスの直流電圧(TB1)の出力開始タイミングとが同期することになる。
【0067】
転写バイアスの直流電圧(TB1)の出力開始後、その出力の停止時期(交流電圧の出力開始と同時期に相当)は、次のようにして求められる。
すなわち、上記のように1つのトナーパターンPの形成に要する時間Tpは、トナーパターンPの感光体ドラム11への静電潜像の書き込み開始から終了までに要する時間に相当し、トナーパターンPの感光体ドラム11への静電潜像の書き込み開始時から時間Tpの経過時に1つのトナーパターンPの形成が終了する。
【0068】
この1つのトナーパターンPの先端Psが転写ニップHに到達してから後端Peが転写ニップHを抜けるまでに要する時間をtα(図3)とすると、時間tαは、時間Tpに、転写ニップHの幅Wをドラム周速Vで除した時間tr(=W/V)を足し合わせた時間に相当し、転写バイアスの直流電圧(TB1)の出力開始時(時点T1)から時間tαの経過時に、トナーパターンPの後端Peが転写ニップHを抜けることになる。
【0069】
従って、転写バイアスの直流電圧(TB1)の出力開始時(時点T1)から時間tαの経過時(図3の時点T2に相当)に、転写バイアスの出力を直流電圧(TB1)から交流電圧(TB2)に切り替えれば、トナーパターンPの後端Peが転写ニップHを抜けるタイミングと、転写バイアスの直流電圧(TB1)の出力停止タイミング、すなわち交流電圧(TB2)の出力開始タイミングとが同期することになる。図3において時点T1からT2までの時間tαが時間Tpよりも長くなっており、この差分が転写ニップHの幅WをトナーパターンPの後端Peが移動するのに要する時間tr(=W/V)に相当する。
【0070】
転写バイアスの交流電圧(TB2)の出力の停止時期は、次のようにして求められる。
すなわち、1つのトナーパターンPの感光体ドラム11への静電潜像の書き込み開始から、次のトナーパターンの感光体ドラム11への静電潜像の書き込み開始までに要する時間は、時間(Tp+Tq)で表され、1つのトナーパターンPの先端Psが転写ニップHに到達してから、次のトナーパターンPの先端Psが転写ニップHに到達するまでに要する時間も同じ時間(Tp+Tq)で表されるから、時間(Tp+Tq)から転写バイアスの直流電圧TB1の出力時間tαを差し引いた時間tβ(図3)が転写バイアスの交流電圧(TB2)の出力時間に相当することになる。時間tαは、時間Tpに時間trを足し合わせた時間なので、時間tβは、Tq−trで表すことができる。
【0071】
従って、転写バイアスの出力を直流から交流に切り替えてから(時点T2)、時間tβの経過時(図3の時点T3に相当)に、転写バイアスの出力を交流から直流に切り替えれば、次のトナーパターンPの先端Psが転写ニップHに到達するタイミングと、転写バイアスの直流電圧(TB1)の出力開始タイミング、すなわち交流電圧(TB2)の出力停止タイミングとが同期することになる。
【0072】
このようにトナーパターンPごとに、トナーパターンPに対する感光体ドラム11への静電潜像の書き込み開始から時間tfの経過時に転写バイアスの直流電圧TB1の出力が開始され、転写バイアスの直流電圧TB1の出力が開始されてから時間tαの経過時に直流から交流電圧TB2に切り替わり、交流電圧TB2に切り替わってから時間tβの経過時に直流電圧TB1に戻るように電圧の切り替えタイミングを設定することにより、トナーパターンPが転写ニップHを通過する間には転写バイアスとして直流電圧TB1を出力させ、転写ニップHを通過すると交流電圧TB2に切り替えることが可能になる。
【0073】
なお、上記では転写ニップHの幅Wを考慮するとしたが、幅Wが微小な構成であれば、W=0としてタイミングを設定することもできる。
(9)トナー分離処理の内容
図5は、トナー分離処理の内容を示すフローチャートであり、図6は、トナー分離処理のタイミングチャートの例を示す図である。トナー分離処理は、トナー分離処理実行部96により実行される。
【0074】
図5に示すように、トナーリサイクル部7のアクチュエータ74を駆動して、トナーリサイクル部7のシャッター75を閉位置に切り替え(ステップS1)、リサイクルモータ73をOFF(停止)させて、搬送スクリュー72の回転を停止させる(ステップS2)(図6の時点t0)。これにより、リサイクルハウジング71内のトナーが現像器14に送られることが禁止される。なお、元々、シャッター75が閉位置になっている場合、リサイクルモータ73が停止している場合には、その閉位置、停止の状態が継続される。
【0075】
そして、吸引ファン83を低速回転から高速回転に切り替える(ステップS3)。吸引ファン83を高速回転に切り替えるのは、以下の理由による。
すなわち、トナー強制消費で形成される高濃度ベタのトナーパターンPは、感光体ドラム11上においてトナー粒子が何重にも積層されたような状態になっており、このようにトナー粒子が何重にも積層されると、最外層のトナー粒子がその内側のトナー層から離れてドラム周辺空間に飛び出して浮遊トナーになることが、通常のプリント時のように高濃度ベタを連続形成することがほとんどない場合よりも発生し易くなる。
【0076】
そこで、吸引ファン83を低速回転よりも単位時間当たりのエア吸引量が増加するように高速回転に切り替えて、トナー強制消費によりドラム周辺空間を浮遊するトナー粒子の数が増えた場合でも、そのトナー粒子をより多く捕集しようとするものである。
ステップS4では、トナーパターンPのトナーパターン形成時間Tpをtp、非画像領域形成時間Tqをtqに設定する。トナーパターン形成時間Tpは、トナーパターンPの副走査方向における幅La(図3)の大きさに相当し、非画像領域形成時間Tqは、隣り合うトナーパターンPの間隔(非画像領域Q)の副走査方向における幅Lb(図3)の大きさに相当する。このステップS4において設定された時間が、現時点での副走査方向におけるトナーパターンPと非画像領域Qの形成時間になる。
【0077】
トナーパターンPの静電潜像を感光体ドラム11に書き込む処理(露光走査)を開始し(図6の時点t1)、その書き込み処理をトナーパターン形成時間として設定された時間Tp(=tp1)だけ継続して実行しつつ(ステップS5)、感光体ドラム11上のトナーパターンPの静電潜像が現像位置Gを通過する際に、その静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像工程を実行する(ステップS6)。これにより、現像位置Gにおいて感光体ドラム11上に高濃度ベタのトナーパターンPの可視像が形成される。
【0078】
転写バイアス電源部101に指示して、感光体ドラム11へのトナーパターンPの静電潜像の書き込み開始時から所定時間tfの経過時(図6の時点t2)を基点に転写バイアスの直流電圧TB1の出力を開始し、時間tαの経過時(図6の時点t3)に直流電圧TB1から交流電圧TB2に切り替えて、交流電圧TB2を時間tβだけ継続して出力させる(ステップS7)。この時間tαとtβは、図3に記載のtαとtβに相当する。
【0079】
これにより、感光体ドラム11上に形成されているトナーパターンPが転写ニップHを通過している間、すなわちトナーパターンPの先端Psが転写ニップHに到達してから後端Peが転写ニップHを抜けるまでの間には、転写ローラ15に直流の転写バイアス電圧が供給され、トナーパターンPが転写ニップHを抜けると(通過すると)、直流から交流電圧に切り替わり、次のトナーパターンPが転写ニップHに到達するまでの間、転写ローラ15に交流電圧が供給されることになる。
【0080】
感光体ドラム11上のトナーパターンPが転写ニップHを通過する間に、トナーパターンPを構成するトナー粒子が転写ローラ15表面に接するが、転写バイアス電圧としてトナーと同極性のマイナスの直流電圧が転写ローラ15に供給されるので、トナーパターンPを構成するトナー粒子のほとんどである正極性帯電トナー粒子に対して、感光体ドラム11表面に引き寄せられる力が作用し、トナーパターンPが転写ニップHを抜けた後に正極性帯電トナーが転写ローラ15表面に付着し続けることが抑制される。
【0081】
トナーパターンPが転写ニップHを抜けると、転写バイアスが交流電圧TB2に切り替わるので、転写ニップHを通過中に機械的に転写ローラ15表面に付いたトナー粒子や静電的に転写ローラ15表面に付いた逆極性帯電トナー粒子を感光体ドラム11表面に戻して付着させることができ、転写ローラ15表面のトナー付着による汚れが抑制される。
さらに、トナーパターンPの幅La、非画像領域Qの幅Lb、転写ローラ15の周長Lrを上記の大小関係にすることにより、転写ローラ15表面のトナー粒子の付着による汚れを、より抑制することが可能になる。
【0082】
すなわち、トナーパターンPの幅Laを転写ローラ15の周長Lr以下の長さにすることにより、トナーパターンPの先端Psが転写ニップHに到達してから後端Peが転写ニップHを抜けるまでの間の転写ローラ15の回転が1周以下になり、転写ローラ15の表面にその1周以上に亘って、高濃度ベタのトナーパターンPが接することが生じない。
転写ローラ15には、トナーパターンPが転写ニップHを通過している間に、トナーと同極性の直流電圧TB1の転写バイアスが供給されるので、この直流電圧による静電力により転写ローラ15にはトナー粒子が付着し難くなるが、トナーパターンPが高濃度ベタの場合、単位時間当たりに転写ローラ15表面に接するトナー粒子の量が多くなる。
【0083】
このような状態で、トナーパターンPが転写ニップHを通過する間の転写ローラ15の回転数が1回転を超える、すなわちトナーパターンPの幅Laが転写ローラ15の周長Lrよりも長くなると、転写ローラ15が1回転する間に転写ローラ15の表面に機械的に付着したトナー粒子や静電的に付着した逆極性帯電トナー粒子が転写ローラ15の1回転後に転写ニップHに再び入ったときに、転写ニップHにおいて感光体ドラム11上のトナーパターンPと接触し、そのトナーパターンPの一部のトナー粒子が、既に転写ローラ15の表面に付着していたトナー粒子の上に積み重なるようにして付着するなど、転写ローラ15の表面にトナーが蓄積され易くなる。
【0084】
そこで、トナーパターンPの幅Laを転写ローラ15の周長Lr以下の長さ、ここでは半分にすることにより、転写ローラ15表面におけるトナー粒子の蓄積が抑制され、トナー粒子の蓄積による転写ローラ15表面の汚れをより抑制することができる。
また、非画像領域の幅Lbを転写ローラ15の周長Lrの2倍以上にすることにより、交流電圧TB2のマイナスとプラス成分の出力時間tx、tyを転写ローラ15の1回転に要する時間以上をとることができ、トナーパターンPが転写ニップHを通過する間に転写ローラ15表面に機械的に付着したトナー粒子や逆極性帯電トナー粒子を、感光体ドラム11上のトナーパターンPが形成されていない非画像領域であるドラム表面部分に戻すための十分な時間を確保して、逆極性帯電トナー粒子などが転写ローラ15表面に付着し続けることを抑制することができるからである。
【0085】
感光体ドラム11上のトナーパターンPは、転写ニップHを通過した後、クリーナ16により感光体ドラム11から回収され、クリーナ16からリサイクル部7に搬送されて、リサイクル部7のリサイクルハウジング71内に一時的に収容、蓄積される。
そして、現像剤Dのトナー濃度Dtを検出する(ステップS8)。このトナー濃度Dtの検出は、トナー濃度検出センサ55からの検出信号を受信することにより行われる。
【0086】
検出されたトナー濃度Dtが閾値Da以下であるか否かを判断する(ステップS9)。ここで、閾値Daとは、トナーパターン形成時間Tpを、最初にステップS4で設定した時間tpよりも長い時間tp1に切り替えるか否かを判断するための値である。トナーパターン形成時間Tpを大小に切り替えるのは、次の理由による。
すなわち、トナー分離処理における初期と終盤とを比較すると、初期の方が終盤よりも現像器14内にトナーが大量に存在するので、トナーパターンPが高濃度で現像される。ところが、トナー分離処理が進んで終盤になると、現像器14内のトナー量が初期時よりも大幅に減少しているので、初期時と同じ電位のトナーパターンPの静電潜像を形成しても、その静電潜像に対して本来の高濃度に相当する量のトナーを現像工程で供給することができず、現像後のトナーパターンPの濃度が初期時よりも低下することが起こる。
【0087】
トナーパターンPの現像後の濃度が高濃度である初期時に、パターン形成時間Tpを長くとれば、高濃度かつトナーパターンPの幅Laが広くなるため、強制消費されるトナー量が多くなり、トナー分離処理をより早く終了させることができるが、その一方で転写ニップHを通過する単位時間当たりのトナー量も多くなるので、転写ローラ15に付着しようとするトナー粒子も多くなり、転写ローラ15が汚れ易くなる。
【0088】
これに対して、トナーパターンPの現像後の濃度が低下する終盤であれば、パターン形成時間Tpを初期時より長く設定しても、トナーパターンP自体の濃度が低下していることから、転写ローラ15に付着しようとするトナー粒子の量も初期に比べて多くなることがなく、パターン形成時間Tpを終盤でも初期と同じ時間に設定する構成よりも、トナー分離処理をより早く終了させることが可能になる。
【0089】
そこで、トナー分離処理の初期には、トナーパターン形成時間Tpをある程度短い時間tpに設定し、トナー分離処理によりトナーの強制消費が進み、現像剤Dのトナー濃度が転写ローラ15を汚すおそれが生じない程度まで低下したときの当該濃度値を閾値Daとして、トナー濃度の検出値Dtが閾値Da以下になると、トナーパターン形成時間Tpを初期の時間tpよりも長い時間tp1に切り替えて、トナー分離処理をより早く終了させるようにしたものである。なお、閾値Daは、実験などにより予め求められる。
【0090】
トナー濃度Dt≦閾値Daではない、すなわちトナー濃度Dt>閾値Daであることを判断すると(ステップS9で「NO」)、ステップS4に戻り、パターン形成時間Tpをtp、非画像領域形成時間Tqをtqに設定し、1つ目のトナーパターンPの静電潜像を感光体ドラム11に書き込む処理の開始時(図6の時点t1)から時間(tp+tq)の経過時(図6の時点t4)に、2つ目のトナーパターンPの静電潜像を感光体ドラム11に書き込む処理を開始させる(ステップS5)。
【0091】
これにより、感光体ドラム11において、1つ目のトナーパターンPと2つ目のトナーパターンPとの副走査方向における間隔、すなわち非画像領域Qの幅Lb(図3)が確保されることになる。
ステップS5〜S9までの処理を実行して、ステップS9においてトナー濃度Dt>閾値Daであることを判断すると、再度、ステップS4に戻る。この場合、ステップS4以降において、3つ目のトナーパターンPの形成が開始される。
【0092】
ステップS9でトナー濃度Dt≦閾値Daであることが判断されるまで、ステップS4〜S9の処理を繰り返し実行する。この繰り返される数だけ、トナーパターンPが感光体ドラム11上に順次、形成され、現像器14内のトナーの消費が進み、現像器14内の現像剤Dのトナー濃度Dtが低下して行く。
トナー濃度Dt≦閾値Daであることを判断すると(ステップS9で「YES」)、ステップS10に移り、トナー濃度Dt≦閾値Dbであるか否かを判断する。この閾値Dbは、閾値Daよりも小さい値であり、現像剤D中のほとんどのトナーが消費され、キャリア交換に適した濃度までトナー濃度が低下したことを示す値として予め実験などで求められたものである。
【0093】
トナー濃度Dt≦閾値Dbではない、すなわちトナー濃度Dt>閾値Dbであることを判断すると(ステップS10で「NO」)、ステップS11に移り、パターン形成時間Tpをtp1、非画像領域形成時間Tqをtq1に設定し、その後、ステップS5に移り、ステップS5からS11までの処理を実行する。
この時間tp1は、上記のように時間tpよりも長いが、トナーパターンPの副走査方向の幅Laが転写ローラ15の周長Lr以下の範囲内になるような値に設定される。例えば、トナーパターンPの幅Laが転写ローラ15の周長Lrの3/4倍の大きさになるように時間tp1の長さを決めることができる。
【0094】
時間tq1は、時間tqよりも短い時間であり、ここでは時間(tp+tq)=時間(tp1+tq1)の関係を満たすように、時間tq1の長さが予め決められている。これにより、非画像領域Qの幅が、時間tqとtq1の差分だけ、幅Lbよりも小さいLb1になる。なお、時間tq1の長さは、時間tx、tyが時間te以上の条件が満たされる範囲内の値にされる。
【0095】
ステップS4〜S9の処理によって形成されたトナーパターンPのトータルの個数をN(1以上の整数)個とすると、(N+1)個目のトナーパターンPの感光体ドラム11への書き込み処理(露光走査)の開始時(図6の時点t5)は、N個目のトナーパターンPの書き込み開始時から時間(tp+tq)経過時になる。
ステップS5では、図6の時点t5を基点に、ステップS11で設定されたトナーパターン形成時間Tp(=tp1)だけトナーパターンPの静電潜像を感光体ドラム11に書き込む処理が継続して実行される。(N+1)個目のトナーパターンPの幅は、1〜N個目までのトナーパターンPの幅Laよりも大きいLa1になる。
【0096】
また、ステップS7では、時間tαが時間Tp(=tp1)に時間trを足し合わせた時間tα1に変更され、時間tβが時間Tq(=tq1)から時間trを差し引いた時間tβ1に変更される(図6の時間tα1、tβ1に相当。)。これにより、幅がLa1になったトナーパターンPの先端Psが転写ニップHに到達してから後端Peが転写ニップHを抜けるまでの間に転写ローラ15に直流電圧TB1の転写バイアスが供給され、トナーパターンPの後端Peが転写ニップHを抜けてから、次のトナーパターンPの先端Psが転写ニップHに到達するまでの間に転写ローラ15に交流電圧TB2の転写バイアスが供給されることになる。
【0097】
ステップS10でトナー濃度Dt≦閾値Dbであることが判断されるまで、ステップS5〜S11の処理を繰り返し実行する。この繰り返される数だけ、さらにトナーパターンPが感光体ドラム11上に順次、形成され、現像器14内のトナーの消費がさらに進む。
この際、トナーパターンPの現像後のトナー濃度は、上記のように初期時よりも低下しており、トナーパターンPの幅Laが初期時より広くなっても、転写ローラ15表面に付着しようとするトナー粒子の数が初期時よりも多くなることがなく、転写ローラ15表面へのトナー付着の増大が防止される。
【0098】
トナー濃度Dt≦閾値Dbであることが判断されると(ステップS10で「YES」)、吸引ファン83を高速から低速回転に切り替えて(ステップS12)(図6の時点t6)、当該トナー分離処理を終了する。なお、シャッター75は閉位置のままであり、リサイクルモータ73も停止したままになっている。
上記では、現像器14内のトナー濃度Dtを現像器14内に現に存するトナー量の指標値として用いる構成例を説明したが、トナー量を指標することができるものであればトナー濃度に限られず、例えば現像剤Dの量(嵩)をレベルセンサなどで検出し、その検出値から現像器14内の現在のトナー量を指標するとしても構わない。
【0099】
(10)分離トナー補給処理の内容
図7は、分離トナー補給処理の内容を示すフローチャートである。分離トナー補給処理は、操作部9上における、現像剤の交換作業が終了したことを入力するためのキーが操作者により操作されたことを契機に、分離トナー補給処理部97により実行される。
同図に示すように、アクチュエータ74の駆動によりシャッター75を開位置に移動させると共に(ステップS21)、リサイクルモータ73を回転駆動させる(ステップS22)。これにより、トナーリサイクル部7のリサイクルハウジング71内に一時的に収容、蓄積されている回収トナーが搬送され、現像器14の開口78を介して現像器14の攪拌室59に補給される(戻される)。なお、回収トナーの補給中には、現像器14の現像ローラ51、供給スクリュー52、攪拌スクリュー53も回転駆動され、現像器14内に元々収容されている現像剤と補給されたトナーとが現像器14内で攪拌、混合される。
【0100】
そして、現像器14内に現に収容されている現像剤Dのトナー濃度Dtをトナー濃度検出センサ55からの検出信号を受信することにより検出する(ステップS23)。
検出されたトナー濃度Dtが基準値以上であるか否かを判断する(ステップS24)。
上記のように現像剤交換による新たな現像剤は、トナー濃度が基準濃度よりもかなり低い(キャリアのトナーに対する割合がかなり高い)ものなので、現像器14への回収トナーの補給が開始された直後には、トナー濃度が基準濃度よりも低いが、回収トナーの補給が進むに連れて、現像剤中におけるトナーのキャリアに対する割合が増えて、トナー濃度が上昇することになる。
【0101】
トナー濃度Dtが基準値よりも低いことを判断すると(ステップS24で「NO」)、ステップS22に戻る。この場合、現像器14への回収トナーの補給が継続される。
一方、トナー濃度Dtが基準値以上になったことを判断すると(ステップS24で「YES」)、リサイクルモータ73の回転を停止させ(ステップS25)、分離トナー補給処理を終了する。リサイクルモータ73の回転の停止により、現像器14への回収トナーの補給が停止され、現像剤Dのトナー濃度が基準値を大きく上回ることがなくなる。これにより、現像器14内に現に収容されている現像剤Dのトナー濃度が基準濃度と同等の濃度まで上げられることになる。
【0102】
なお、現像器14への回収トナーの補給を所定時間継続しても、トナー濃度Dtが基準値まで上がらない場合には、トナーホッパ6から補充用トナーを補給させ、補充用トナーをリサイクル部7を介して現像器14内に補給させるようにしても良い。
また、リサイクルモータ73の停止と共にシャッター75を閉位置に移動させるとしても良い。この場合、以降のプリントジョブの開始時にリサイクルモータ73の回転開始と共にシャッター75を開位置に移動させるとしても良い。
【0103】
以上、説明したように本実施の形態では、非画像形成時に、用紙Sを転写ニップHに通紙させない状態で、現像器14に収容されている現像剤Dのトナーを強制消費するために感光体ドラム11上に高濃度ベタのトナーパターンPを形成する構成において、(a)感光体ドラム11上のトナーパターンPが転写ニップHに到達してから転写ニップHを抜けるまでの間(トナーパターンPが転写ニップHを通過する間)には、転写バイアス電圧として、トナーと同極性(マイナス)の直流電圧を転写ローラ15に供給し、(b)トナーパターンPが転写ニップHを抜けると(トナーパターンPが転写ニップHを通過していない間)、プラスとマイナスの電圧が交互に繰り返される交流電圧に切り替える制御を行うようにしている。
【0104】
これにより、トナーパターンPが転写ニップHを通過する間には、トナーパターンPを構成するトナー粒子のほとんどを占める正極性帯電トナーが感光体ドラム11側に引き寄せられるので、転写ローラ15表面に静電力で付着されることが防止される。
そして、トナーパターンPが転写ニップHを抜けると、転写ローラ15表面に付着されている一部の正極性帯電トナーと逆極性帯電トナーのそれぞれが、交流電圧により感光体ドラム11に戻されて感光体ドラム11側に付着するようになり、転写ローラ15表面に付着したままになることが防止され、トナー粒子の転写ローラ15表面への付着による転写ローラ15表面のトナー汚れを抑制することができる。
【0105】
従って、感光体ドラム11に転写ローラ15が常時、接触する構成をとりつつ、トナー強制消費動作を行っても、転写ローラ15表面へのトナー汚れを抑制することができ、感光体ドラム11に対して転写ローラ15を圧接離間させる構成をとる場合に装置本体内に設置スペースを確保するといった必要がなくなり、装置小型化を実現することができる。
本発明は、画像形成装置に限られず、トナー強制消費の方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0106】
〔変形例〕
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、現像剤Dの交換時期に達したことの判断をプリントの累積枚数が所定枚数に達したことにより行うとしたが、これに限られない。例えば、現像器14の現像ローラ51、供給スクリュー52などの累積駆動時間が所定時間に達したことにより判断するなど、現像剤Dが劣化したことの指標となり得る条件が満たされたときとすることができる。
【0107】
(2)上記実施の形態では、トナーパターンPの副走査方向の幅Laを転写ローラ15の周長Lr以下とすると共に、非画像領域Qの副走査方向の幅Lbを転写ローラ15の周長Lrの2倍以上とする構成例を説明したが、これに限られない。装置構成によって、La>Lrや2×Lr>Lbとしても、転写ローラ15表面へのトナー付着が用紙Sのトナーによる裏汚れにまで至らない場合もあるからである。例えば、幅La=Lb、幅La1=Lb1などとすることもできる。2×Lr>Lbの関係をとると、転写バイアスの交流電圧におけるマイナスの出力時間txとプラスの出力時間tyが時間te(=Lr/V)よりも短くなる構成が含まれることになる。
【0108】
また、時間Tpをtpとtp1に、時間Tqをtqとtq1にそれぞれ現像剤Dのトナー濃度の大きさに応じて2段階に切り替える構成としたが、これに限られない。装置構成に応じて、時間Tp(幅La)とTq(幅Lb)の一方または両方について、例えば3段階以上に切り替える構成、切り替えを行わない構成、または一方を切り替えるが他方を切り替えない構成などをとることもできる。
【0109】
(3)上記実施の形態におけるトナーパターンPの幅La、非画像領域Qの幅Lb、転写バイアスの直流電圧の値、交流電圧の値や周期などが上記の値に限られないことはいうまでもなく、感光体ドラム、転写ローラ、トナーの帯電特性、トナー粒子の大きさや材質、質量などから適切な値が実験等から決められる。
(4)上記実施の形態では、転写バイアス電圧の交流電圧の1周期をtzとしたとき、1周期tzが時間tβ(トナーパターンPが転写ニップHを通過してから、次のトナーパターンが転写ニップHに到達するまでの間:非画像領域Qが転写ニップHを通過している間に相当)に等しい構成例を説明したが、これに限られず、例えばtz<tβの関係とすることもできる。
【0110】
この関係の場合、時間tβの間では、交流電圧におけるプラス成分の電圧とマイナス成分の電圧とが交互に繰り返されることが複数回、行われることになり、例えば転写ローラ15の表面上に機械的などにより付着してしまった正極性帯電トナー粒子と逆極性帯電トナー粒子をその繰り返しにより、転写ローラ15の表面上へのトナー粒子の付着力を徐々に弱めさせて、感光体ドラム11に戻すことが可能になる。
【0111】
さらに、図3における交流電圧波形TB2を交流電圧の基準周波数の電圧波形としたとき、直流電圧の出力の終了から基準周波数の電圧波形の出力開始までの間に、基準周波数よりも周期の短い高周波の電圧波形を出力し、この高周波の電圧波形と基準周波数の電圧波形とを合わせた電圧を転写バイアスの交流電圧TB2とする構成をとることもできる。
(5)上記実施の形態では、転写バイアスの交流電圧を矩形波としたが、矩形波に限られず、例えば正弦波や三角波などとしても良い。また、交流電圧が直流成分(0V)に交流成分を重畳させてなる電圧としたが、例えば直流成分としてプラスまたはマイナスの直流電圧に交流成分を重畳させるとしても良い。交流成分の供給により転写ローラ15表面へのトナー付着によるトナー汚れをより抑制可能な電圧値を決めることができる。
【0112】
(6)上記実施の形態では、ドラム周辺空間のエアを吸引して浮遊するトナー粒子を捕集するトナー吸引部8を設け、トナー分離処理時にはトナー吸引部8の吸引ファン83を低速から高速回転に切り替える構成例を説明したが、これに限られない。例えば、トナー分離処理時でもドラム周辺空間に浮遊するトナー粒子の量が通常のプリント時とほとんど変わらないような場合には、低速のままを維持する構成をとることもできる。また、ドラム周辺空間にトナー粒子が浮遊することがほとんどないような装置構成では、トナー吸引部8自体を設けない構成をとることもできる。
【0113】
(7)上記実施の形態では、使用されるトナーの正規帯電極性がマイナス(負)の場合の例を説明したが、プラス(正)の場合にも適用できる。トナーの正規帯電極性が正の場合には、上記実施の形態とは正負の関係が逆になる。また、トナーとキャリアを含む二成分現像剤を用いる構成例について説明したが、トナーを含みキャリアを含まない一成分現像剤を用いる構成にも適用可能である。一成分現像剤ではキャリアが存在しないので、キャリアを交換する実施に形態の構成に代えて、上記のトナー強制消費により消費されたトナーを廃棄する構成に適用される。
【0114】
この構成の場合、通常のプリントジョブでは、トナーリサイクル方式を採用し、非画像形成時のトナー強制消費時には、リサイクルハウジング71に蓄積されたトナーをリサイクルハウジング71から廃棄する構成をとることができる。
また、感光体ドラム11上に形成されたトナーパターンPを構成するトナー粒子を回収する回収部を、通常のプリント時の転写後における感光体ドラム11上に残った残留トナーを清掃するクリーナ16で併用するとしたが、これに限られず、専用の回収部を設けるとしても構わない。
【0115】
さらに、上記では、トナーリサイクル方式の構成例を説明したが、トナーリサイクル方式ではない構成、例えば回収したトナーをトナー回収タンクに収容する構成などにも適用することができる。二成分現像剤を用いる場合には、トナー回収タンクに収容されたトナーを、現像剤交換後の現像器にサービスマンなどにより手動で戻す作業を行うとしても良い。また、一成分現像剤を用いる場合には、トナー回収タンクに収容されたトナーをサービスマンなどが廃棄する構成をとるとしても良い。
【0116】
(8)上記実施の形態では、本発明の画像形成装置をモノクロのデジタルプリンタに適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成に関わらず、感光体ドラム等の像担持体に形成された静電潜像に現像器のトナーを供給して顕像化し、顕像化されたトナー像を、像担持体とこれに接触する転写ローラなどの転写部材との間で確保される転写ニップを通過する用紙などの記録用のシートに静電転写して画像形成を行う画像形成装置であれば、例えば複写機、FAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等に適用できる。
【0117】
なお、カラー画像を形成する画像形成装置がタンデム型のカラー画像形成装置、例えばイエロー色のトナー像を作像する作像部Y、マゼンタ色のトナー像を作像する作像部M、シアン色のトナー像を作像する作像部C、ブラック色のトナー像を作像する作像部Kが中間転写ベルトなどの中間転写体の回転方向に沿って間隔をおいて列設され、作像部Y〜Kごとに、その作像部に設けられる像担持体が一次転写位置で中間転写体に接して転写ニップを確保すると共に中間転写体を介して一次転写ローラなどの転写部材に対向配置されており、作像部Y〜Kのそれぞれの像担持体上に形成されたトナー像が一次転写位置で中間転写体上の同じ位置に多重転写され、多重転写されたY〜K色のトナー像が二次転写位置でシート上に一括して転写する構成では、トナー強制消費が次のように実行される。
【0118】
すなわち、作像部ごとに、その作像部に設けられる像担持体上に所定の濃度のトナーパターンが形成され、その作像部で形成されたトナーパターンが、回転する中間転写体に一次転写されず、一次転写位置を通過した後、その作像部に設けられているクリーナで回収される。この際、作像部ごとに、作像部の像担持体に対して中間転写体を介して対向配置される転写部材には、転写バイアスとして、上記実施の形態のように像担持体上のトナーパターンが転写ニップに到達してから転写ニップを抜けるまでの間には直流電圧が供給され、トナーパターンが転写ニップを抜けると交流電圧に切り替えられる。
【0119】
なお、像担持体としては、ドラム状のものに限られず、例えばベルト状のものを用いる構成をとることもでき、転写部材としては、ローラに限られずに、例えばベルト状のものを用いる構成をとることもできる。さらに、転写ローラ15が感光体ドラム11に従動回転する構成に限られず、転写ローラ15がモータなどにより回転駆動される構成であっても良い。この場合、転写ローラ15の周速が1回転するのに要する時間は、転写ローラ15の周長を転写ローラ15の周速で除した時間とされる。さらに、転写ニップHにおいて記録シートを通紙させることが可能であれば、転写部材が回転しない構成をとることも可能であろう。
【0120】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容は可能な限り、それぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、トナーを強制消費させる画像形成装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 プリンタ
5 制御部
7 トナーリサイクル部
8 トナー吸引部
11 感光体ドラム
12 帯電チャージャ
13 露光部
14 現像器
15 転写ローラ
16 クリーナ
96 トナー分離処理実行部
98 パターンデータ記憶部
101 転写バイアス電源部
F 露光位置
H 転写ニップ
La トナーパターンの副走査方向の幅
Lb 非画像領域の副走査方向の幅
Lr 転写ローラの周長
P トナーパターン
Ps トナーパターンの先端
Pe トナーパターンの後端
Q 非画像領域
TB1 転写バイアスの直流電圧波形
TB2 転写バイアスの交流電圧波形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成された静電潜像に現像器のトナーを供給して顕像化し、顕像化されたトナー像を、像担持体とこれに接触する転写部材との間で確保される転写ニップを通過するシートに静電転写して画像形成を行う画像形成装置であって、
転写部材に転写バイアス電圧を出力する電源部と、
画像形成以外の非画像形成時に、シートを通紙させない状態で、像担持体上に特定パターンの静電潜像を形成した後、その特定パターンの静電潜像に現像器のトナーを供給してトナーパターンを形成することにより、現像器内のトナーを強制的に消費するトナー強制消費動作を実行する実行手段と、
トナー強制消費動作において、像担持体上のトナーパターンが転写ニップを通過する間にはトナーと同極性の転写バイアス電圧を出力し、転写ニップを通過しない間には交流の転写バイアス電圧を出力するように電源部を制御する電源制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記実行手段は、
複数のトナーパターンを、それぞれが前記像担持体の回転方向に第1の幅を有し、当該像担持体の回転方向に第2の幅からなりトナーパターンが形成されない非画像領域を介して隣り合うように形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写部材は、転写ローラであり、
前記第1の幅は、転写ローラの周長以下であり、
前記第2の幅は、転写ローラの周長よりも長いことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の幅と第2の幅とが等しいことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写ローラは、
前記像担持体の回転に伴って前記転写ニップにおいて前記像担持体の回転方向と同方向になるように回転し、
前記実行手段は、
前記転写ローラが1回転するのに要する時間をte、隣り合う2つのトナーパターンの一方が転写ニップを通過してから他方が転写ニップに到達するまでの間の時間をtβとしたとき、前記時間tβが時間teの2倍以上になるように、それぞれのトナーパターンの形成を実行し、
前記電源制御手段は、
1周期tzが前記時間tβ以下であり、1周期tzにおけるマイナス電圧の出力時間txとプラス電圧の出力時間tyとがそれぞれ前記時間te以上の関係を満たす交流電圧を、前記交流の転写バイアス電圧として、前記時間tβの間に出力させることを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
現像器内に現に存在するトナー量を指標する値を検出する検出手段を備え、
前記実行手段は、
前記検出手段の検出値が第1の閾値Daよりも大きい場合には、第1の幅がLaになり、前記検出値が第1の閾値Da以下かつ、第1の閾値Daよりも小さい第2の閾値Dbよりも大きい場合には、第1の幅がLaよりも大きいLa1になるようにトナーパターンを形成することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記実行手段は、
前記検出手段の検出値が第1の閾値Daよりも大きい場合には、第2の幅がLbになり、前記検出値が第1の閾値Da以下かつ第2の閾値Dbよりも大きい場合には、第2の幅がLbよりも小さいLb1になるようにトナーパターンを形成することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記像担持体上のトナーパターンが転写ニップを通過した後、当該トナーパターンを構成するトナーを当該像担持体から回収する回収手段と、
回収されたトナーを収容し、収容したトナーを現像器に戻すトナーリサイクル手段と、
前記トナーリサイクル手段の動作を制御するトナーリサイクル制御手段と、を備え、
前記現像器には、現像剤としてトナーとキャリアを含む二成分現像剤が収容され、
前記トナー強制消費動作は、
現像器内にキャリアを残してトナーを現像器から排出させる動作であり、
前記トナーリサイクル制御手段は、
トナー強制消費動作の実行中に前記回収手段により回収されたトナーを前記トナーリサイクル手段に一時的に収容して蓄積させ、トナー強制消費動作の終了後、前記現像器内に残っている現像剤の交換がなされたことを示す情報を取得すると、前記トナーリサイクル手段に蓄積されているトナーを現像器に戻させることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
像担持体の周辺の、現像器から像担持体の回転方向に転写部材までの間の空間に浮遊するトナー粒子をエアと共に吸引して、吸引されたエアを機外に排出する吸引手段を備え、
前記実行手段は、
トナー強制消費動作において、吸引手段によるエアの吸引量が画像形成時における吸引量よりも大きくなるように吸引手段を制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−155210(P2012−155210A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15543(P2011−15543)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】