説明

画像形成装置

【課題】
手を掛ける部分による装置の高背化が抑えられた画像形成装置を提供する。
【解決手段】
画像形成装置1において、用紙に画像を形成する画像形成部1Bを収容した筐体70と、手で把持して引出すための把手45を有し、筐体に対し引出自在に収容された、画像形成部1Bに供給する用紙を収容する用紙収容台40と、把手を覆った状態になるよう用紙収容台に着脱自在に装着される、筐体の持上げ時に手が掛けられる、装着により用紙収容台の筐体からの引出しを規制する把手カバー90とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、引用文献1には、前後方向に出し入れ自在な給紙台を有する用紙収納部と、用紙収納部から繰り出した用紙に画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置が示されている。引用文献1に示す画像形成装置では、装置前面の、画像形成部と用紙収納部との間に、運搬用の棒状の把手が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3613508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、手を掛ける部分による装置の高背化が抑えられた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る画像形成装置は、
用紙に画像を形成する画像形成部を収容した筐体と、
手で把持して引出すための把手を有し、上記筐体に対し引出自在に収容された、上記画像形成部に供給する用紙を収容する用紙収容台と、
上記把手を覆った状態になるよう上記用紙収容台に着脱自在に装着される、上記筐体の持上げ時に手が掛けられる、装着により上記用紙収容台の上記筐体からの引出しを規制する把手覆い部材とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る画像形成装置は、上記用紙収容台が、上記筐体に係止するための係止機構を備え、この係止機構が、上記把手の近傍に、操作によって係止機構の係止を解除する解除操作レバーを有するものであって、
上記把手覆い部材が、上記用紙収容台に装着された状態で上記解除操作レバーの動作を禁止することによって、この用紙収容台の上記筐体からの引出しを規制するものであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る画像形成装置は、上記把手覆い部材が、上記用紙収容台に装着された状態で上記解除操作レバーを覆うことで上記解除操作レバーの動作を禁止するものであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る画像形成装置は、上記把手覆い部材が、上記用紙収容台に装着される姿勢であるときに、この用紙収容台が収容された筐体が持上げられる上向きに突出した、上記把手に係合する係合突起を有するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る画像形成装置は、例えば画像形成部と用紙収納部との間に把手が配置される場合と比較して、手を掛ける部分による高背化が抑えられる。
【0010】
請求項2に係る画像形成装置は、解除操作レバーの動作を禁止する把手覆い部材を有していない場合と比較して、把手覆い部材において、用紙収容台を筐体に直接固定するための構造が不要である。
【0011】
請求項3に係る画像形成装置は、把手覆い部材が解除操作レバーを覆わない場合と比較して、解除操作レバーの動作がより確実に禁止される。
【0012】
請求項4に係る画像形成装置は、把手覆い部材が上記係合突起を有していない場合と比較して、筐体が持上げられるときの把手覆い部材の外れが回避される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態を画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示す画像形成装置の筐体の、後面および右側面の一部を示す斜視図である。
【図4】図2に示す画像形成装置における用紙収容台が引出された状態を示す図である。
【図5】図4に示す用紙収容台の全体を示す斜視図である。
【図6】図5に示す用紙収容台を正面の下方から見た斜視図である。
【図7】図4および図5に示す用紙収容台の解除操作レバー付近の断面を示す断面図である。
【図8】図2に示す把手カバーの外観を示す斜視図である。
【図9】図6に示す用紙収容台に図8に示す把手カバーが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図10】図9に示す用紙収容台の解除操作レバー付近の断面を示す断面図である。
【図11】図2に示す画像形成装置が持上げられる状態を示す図である。
【図12】第2実施形態の画像形成装置に備えられる用紙収容台および把手カバーの概略形状を示す斜視図である。
【図13】図12に示す用紙収容台に把手カバーが装着された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態を画像形成装置の概略構成図である。
【0016】
図1に示す画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)および、ブラック(K)の各色毎にトナー像形成部10Y,10M,10C,10Kを並列的に配置してなるタンデム型のカラープリンタである。画像形成装置1は、単色の画像をプリントすることができるほか、4色のトナー像からなるフルカラーの画像をプリントすることができる。
【0017】
画像形成装置1は、露光光をトナー像形成部10Y,10M,10C,10Kのそれぞれに照射する露光器20と、CMYK各色のトナーを収容するトナーカートリッジ18Y,18M,18C,18Kとを備えている。また、画像形成装置1には、各色のトナー像形成部10Y,10M,10C,10Kからトナー像が転写される中間転写ベルト30と、中間転写ベルト30からトナー像を用紙に転写する二次転写器50と、トナーを用紙に定着する定着器60とが備えられている。また、画像形成装置1には、中間転写ベルト30からトナーを回収するベルトクリーナ36と、用紙を搬送する用紙搬送部80と、用紙を収容する用紙収容台40と、用紙を外部から供給する手差し給紙部Hと、画像形成装置1の各部を制御する制御部1Aとが備えられている。
【0018】
トナー像形成部10Y,10M,10C,10K、露光器20、中間転写ベルト30、二次転写器50、および、定着器60は、用紙に画像を形成する画像形成部1Bとして動作する。画像形成部1Bは、用紙収容台40とともに、画像形成装置1の筐体70内に収容されている。
【0019】
図1に示す画像形成装置1は、その下に、用紙収容台40と同様の構造を有する別の用紙収容台を備えた図示しない用紙収容台ユニットが接続される場合もある。ただしここでは、用紙収容台ユニットについては説明を省略し、画像形成装置1単体について説明する。
【0020】
4つのトナー像形成部10Y,10M,10C,10Kは、ほぼ同様の構成を有しているため、これらを代表してイエローに対応するトナー像形成部10Yを取り上げて説明する。トナー像形成部10Yは、感光体11Yと、感光体11Yの表面を帯電させる帯電器12Yと、トナーで現像する現像器14Yと、トナー像を中間転写ベルト30に転写する一次転写器15Yと、感光体クリーナ16Yとを備えている。感光体11Yは円筒状の表面を有しており、表面に形成される像を保持して、円筒の軸周りである矢印a方向に回転する。
【0021】
露光器20は、外部から供給される画像信号に基づくレーザ光を発光する発光器21と、発光器21から発光したレーザ光で感光体11Y,11M,11C,11Kを走査するための回転多面鏡22を備えている。
【0022】
中間転写ベルト30は、無端の帯状部材であり、ベルト支持ロール31,32,33,34によって支持されている。中間転写ベルト30は、トナー像形成部10Y,10M,10C,10K、および、二次転写器50を経由する、矢印bに示す方向に循環移動する。
【0023】
二次転写器50は、ベルト支持ロール31〜34の一つであるバックアップロール34との間に中間転写ベルト30および用紙を挟んで回転するロールを有し、中間転写ベルト30上のトナー像を用紙上に転写する。ベルトクリーナ36は、中間転写ベルト30にブレードを接触させて中間転写ベルト30上のトナーを除去する。
【0024】
定着器60は、一対のロールの間に定着前のトナー像が形成された用紙を挟んで通過させる。定着器60は、トナーを加熱・加圧することでトナー像を用紙上に定着させる。
【0025】
用紙収容台40は、画像形成部1Bよりも下方Dに配置されており、より詳細には、画像形成部1Bの直下に配置されている。用紙収容台40には、画像形成部1Bに供給される用紙が収容されている。用紙搬送部80は、用紙収容台40から用紙を取り出し、二次転写器50および定着器60を経由する用紙搬送路rに沿って搬送する。用紙搬送部80は、ピックアップロール81、捌きロール82、搬送ロール83、レジストレーションロール84、排出ロール86、および、反転搬送ロール88,89を備えている。ピックアップロール81は用紙収容台40に収容された用紙を取り出し、捌きロール82は取り出された用紙を捌く。搬送ロール83は用紙を搬送し、レジストレーションロール84は用紙を二次転写器50に搬送し、排出ロール86は用紙を外部に排出する。反転搬送ロール88,89は、両面プリントの際に用紙を搬送する。
【0026】
図1に示す画像形成装置1の基本動作を説明すると、イエローのトナー像形成部10Yでは、感光体11Yが矢印a方向に回転駆動され、感光体11Yの表面に帯電器12Yによって電荷が付与される。このことは、イエロー以外の色に対応するトナー像形成部10M,10C,10Kでも同様である。露光器20は、感光体11Y,11M,11C,11Kに、画像信号中の各色に対応するデータに応じた露光光をそれぞれ照射する。代表としてイエロー(Y)について説明すると、露光器20は、外部から供給される画像信号のうちのイエローに対応する画像信号に基づく露光光を感光体11Yの表面に照射することで、感光体11Yの表面に静電潜像を形成する。現像器14Yは、静電潜像をイエローのトナーで現像することで、トナー像を形成する。現像器14Yには、トナーカートリッジ18Yからトナーが供給されている。感光体11Yは、表面に形成されたイエローのトナー像を保持して回転する。感光体11Yの表面に形成されたトナー像は、感光体11Y表面と中間転写ベルト30との間に転写用のバイアス電位を与える一次転写器15Yによって中間転写ベルト30に転写される。転写後、感光体11Yに残留したトナーは、感光体クリーナ16Yによって回収・除去される。
【0027】
中間転写ベルト30は、支持ロール31〜34によって矢印b方向に巡回移動されている。イエロー以外の色に対応するトナー像形成部10M,10C,10Kは、トナー像形成部10Yと同様にしてそれぞれの色に対応するトナー像を形成し、中間転写ベルト30に、トナー像形成部10Yで転写されたトナー像に重ねて、それぞれの色のトナー像を転写していく。
【0028】
一方、用紙収容台40内の用紙Pは、ピックアップロール81によって取り出され、捌きロール82、搬送ロール83、およびレジストレーションロール84によって用紙搬送路rを二次転写器50に向かう矢印c方向に搬送される。用紙Pは、レジストレーションロール84によって、中間転写ベルト30上にトナー像が転写されていくタイミングに合わせて、二次転写器50に送り込まれる。二次転写器50は、中間転写ベルト30と用紙との間に転写用のバイアス電位を与えることによって、中間転写ベルト30のトナー像を用紙に転写する。二次転写器50によって、トナー像が転写された用紙は定着器60に搬送され、用紙上に転写されたトナー像が定着される。このようにして、用紙上に画像が形成される。画像が形成された用紙は、排出ロール86によって画像形成装置1の上部に排出される。二次転写器50による転写後、中間転写ベルト30に残留したトナーは、ベルトクリーナ36によって除去される。
【0029】
画像が形成された面の裏面にも画像を形成する両面プリントの場合には、排出ロール86が用紙を途中まで排出した後、逆向きに搬送する。逆向きに搬送された用紙は反転搬送ロール88,89によって反転搬送路r’を経由して搬送される。搬送された用紙は、レジストレーションロール84から、表裏反転した状態で二次転写器50に送り込まれ、裏面にも画像が形成される。
【0030】
図2は、図1に示す画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【0031】
図2には、画像形成装置1の筐体70のうち、前面70F、左側面70L、および上面70Uが示されている。筐体70の前面70Fの上部には、作業者の操作により、プリント枚数や用紙の種類の情報が受け付けられる操作受付部1Cが設けられている。画像形成装置1の稼働時には、通常、作業者が画像形成装置1の前方Fに、画像形成装置1の前面70Fに向かって立ち、操作受付部1Cを操作する。また、筐体70の前面70Fには、保守用の扉71が設けられている。扉71が前方Fに開くことで、筐体70の画像形成部1B(図1参照)が外部に露出する。作業者は、扉71を開いて、トナーカートリッジ18Y,18M,18C,18Kや部品の交換を行う。用紙詰りが生じた場合には、左側面70Lの扉74を開くことで、用紙を除去する。扉71の直下には用紙収容台40が配置されている。
【0032】
図2に示す画像形成装置1では、用紙収容台40に把手カバー90が装着されている。ここで、把手カバー90は、本発明にいう把手覆い部材の一例に相当する。把手カバー90は、画像形成装置1を図示しない収納容器から取り出して設置する際や移動する際、画像形成装置1を持上げる場合に手を掛けるための部材である。把手カバー90は、図2に現れる筐体70の外面に対し特異な色を有する。具体的には、筐体70の外面は白色であり、把手カバー90は橙色である。把手カバー90が筐体70の外面に対し特異な色を有するため、前面70Fにおける手を掛けるべき箇所が作業者に対し明確に示される。把手カバー90は、画像形成装置1の設置や移動が完了した後には、用紙収容台40から取り外される。つまり、把手カバー90は、画像形成装置1における画像形成時には、用紙収容台40から取り外される。
【0033】
画像形成装置1が重力に抗して持上げられる方向を上方Uと称し、その反対の方向を下方Dと称する。また、用紙収容台40が筐体70から引出される方向を前方Fと称し、その反対の方向を下後方Bと称する。
【0034】
画像形成装置1が持上げられる場合、画像形成装置1の筐体70の前面70Fについては、把手カバー90に手が掛けられることとなる。筐体70の左側面70Lには、画像形成装置1を持上げる場合に手を掛けるための手掛り部701,702が設けられている。手掛り部701,702は、左側面70Lの下の縁が一部切り欠かれた形状を有する。
【0035】
図3は、図2に示す画像形成装置の筐体の、後面および右側面の一部を示す斜視図である。図3のパート(a)には、筐体70の後面70Bが示されている。筐体70の後面70Bにも、画像形成装置1(図2参照)を持上げる場合に手を掛けるための手掛り部703,704が設けられている。手掛り部703,704は、後面70Bの下の縁が一部切り欠かれた形状を有する。
【0036】
図3のパート(b)には、筐体70の右側面70Rが示されている。筐体70の右側面70Rにも、画像形成装置1(図2参照)を持上げる場合に手を掛けるための手掛り部705,706が設けられている。手掛り部705,706は、右側面70Rの一部が窪んだ形状を有する。
【0037】
画像形成装置1を持上げる場合には、荷重の分散および安定性の観点から、筐体70の左右前後の各面に手が掛けられることが望ましい。例えば、画像形成装置1を4人で四方から持上げる場合には、筐体70の前面70Fにも手が掛けられることが望ましい。
【0038】
筐体70の前面70Fには、扉71が設けられており、扉71は、画像形成部1Bのうちのできる限り多くの部分について交換等の操作が行えるよう、画像形成部1Bのほぼ全体をカバーする大きさを有する。また、扉71の直下には用紙収容台40が配置されている。筐体70には、画像形成部1Bおよび用紙収容台40が余分な隙間なく収容されており、筐体70の前面70Fについても、扉71と用紙収容台40の間にはで余分な隙間がない。仮に、画像形成部1Bの前面70Fに切欠きや窪みからなる手掛り部を設ける場合には、筐体70全体の高さを高くして、切欠きや窪みを形成するための領域を確保することとなる。
【0039】
本実施形態では、筐体70の前面70Fについては、用紙収容台40の把手カバー90が装着された箇所が、画像形成装置1(図2参照)を持上げる時の前面70Fにおける手掛りとなる。したがって、画像形成装置1の前面70Fにおいて、扉71および用紙収容台40以外の領域に、持上げ時の手掛りとなる切欠きや窪みは設けられていない。したがって、画像形成装置1は、仮に手掛りがどこにも存在しない場合と比べても高背化していない。また、操作受付部1Cの位置も、仮に手掛りがどこにも存在しない場合と同様、作業者にとって操作しやすい高さに維持される。
【0040】
[用紙収容台]
図4は、図2に示す画像形成装置における用紙収容台が引出された状態を示す図である。
【0041】
図4に示す状態では、把手カバー90(図2参照)が用紙収容台40から取り外されており、用紙収容台40は筐体70から引出されている。画像形成装置1に用紙を補充する場合には、図4に示すように、用紙収容台40を筐体70から前方Fに引出し、用紙収容台40に用紙を載せ、用紙収容台40を後方Bに押し込む。用紙収容台40が筐体70内部に収容されることで用紙の補充が完了し、画像形成部1B(図1参照)に供給される状態となる。
【0042】
図5は、図4に示す用紙収容台の全体を示す斜視図である。
【0043】
用紙収容台40は、用紙を載せる載る載せ板部41と、載せ板部41の周囲に設けられた枠状の立壁部42とを有する。載せ板部41は矩形状であり、立壁部42は、載せ板部41の四辺を取り囲んでいる。載せ板部41には、上に載せられた用紙の位置を決める位置決め部材41a,41b,41cが設けられている。また、用紙収容台40の左右両側には、前後方向FBに直線状に延びたレール43が一対設けられている。図には、一対のレール43のうちの一方が示されている。用紙収容台40は、画像形成装置1の筐体70(図4参照)に取り付けられた状態では、レール43と、筐体70に設けられた図示しないロールで支持されている。このため、用紙収容台40は、作業者の手指による力程度の弱い力で引出され、また押し込まれ得る。また、用紙収容台40のレール43の近傍には、用紙収容台40が筐体70(図4参照)に押し込まれて収容された状態で筐体70に係止する係止部材441が設けられている。
【0044】
図6は、図5に示す用紙収容台を正面の下方から見た斜視図である。
【0045】
立壁部42のうちの前部分42aには、用紙収容台40が画像形成装置1の筐体70から引出される際に手で把持される把手45が設けられている。前部分42aにおける、把手45より下の部分42bは奥(後方B)に凹んでおり、逆に把手45が、この下の部分42bに対し相対的に前方Fに突出した形状となっている。つまり、把手45は、把手45より下の部分42bから手が掛かる形状となっている。さらに、把手45の奥(後方F)には、下向きに開口した空洞42cが設けられており、手が把手45の後ろ側の空洞42cに入り込むことで、把手45から滑って外れることが抑えられている。
【0046】
把手45の近傍、より詳細には把手45の後方Bの空洞42c内には解除操作レバー46が設けられている。解除操作レバー46は、作業者によって操作されることで、用紙収容台40の筐体70への係止を解除するためのものである。
【0047】
図7は、図4および図5に示す用紙収容台の解除操作レバー付近の断面を示す断面図である。
【0048】
用紙収容台40には、用紙収容台40が筐体70に収容された状態で筐体70に係止するための係止機構44が設けられている。係止機構44は、先に説明した係止部材441と、解除被作用片442とを有している。係止部材441は、回転軸441aを中心として回転に設けられており、解除被作用片442と一体に回転する。用紙収容台40が筐体70(図4参照)に収容されるとき、係止部材441は、筐体70(図4参照)に設けられた係止突起72に乗り上げた後、図7に示すように係止突起72に係止する。したがって、筐体70からの用紙収容台40の不用意な飛び出しが防止される。
【0049】
作業者が用紙収容台40を筐体70(図4参照)から引出すときには、把手45に手を掛けるが、このとき、把手45の下の部分42bから把手45の奥の空洞42c内に入った作業者の手は、解除操作レバー46に掛かる。解除操作レバー46には、解除操作レバー46と連動する解除操作片46aが設けられている。解除操作レバー46が、把手45を前方Fに引く力で操作されて矢印dに示す向きに回転すると、解除操作片46aが解除被作用片442に作用して、係止部材441を回転させる。この結果、係止部材441の係止突起72への係止が解除される。つまり、用紙収容台40の筐体70への係止が解除され、用紙収容台40が筐体70から引出される。
【0050】
[把手カバー]
図8は、図2に示す把手カバーの外観を示す斜視図である。
【0051】
図8に示す把手カバー90は、橙色の樹脂材料からなる成形品である。把手カバー90は、用紙収容台40に装着された状態で解除操作レバー46(図6参照)を覆う形状を有している。具体的には、把手カバー90は、平板状に広がる矩形状の平板部91と、平板部91の一辺から巻いたように曲がり半円筒状に延びたレバー覆い部92と、レバー覆い部92の円筒の両端を埋めるように設けられたリブ状の荷重受部93とを有する。解除操作レバー46は、解除操作レバー46覆う。把手カバー90には、レバー覆い部92内から、把手カバー90が用紙収容台40に取り付けられる姿勢における上向きUに突出した2つの係合突起94が設けられており、また、平板部91の、レバー覆い部92が設けられた辺とは反対の辺の両端部分には、取外し用爪95も設けられている。
【0052】
図9は、図6に示す用紙収容台に図8に示す把手カバーが取り付けられた状態を示す斜視図である。また、図10は、図9に示す用紙収容台の解除操作レバー付近の断面を示す断面図である。
【0053】
把手カバー90は、画像形成装置1(図1参照)が工場で製造され、図示しない段ボール箱等の収納容器に収納され出荷された状態において、用紙収容台40に装着されている。
【0054】
把手カバー90は、把手45を覆った状態に装着されている。より詳細には、装着状態では、平板部91が把手45の前面を覆っており、レバー覆い部92が把手45の下部を覆っている。レバー覆い部92は、さらに、把手45の後方の空洞42cを塞ぐ位置に配置されており、空洞42cに配置された解除操作レバー46を覆っている。
【0055】
把手カバー90は解除操作レバー46を覆っており、画像形成装置1(図2参照)が持上げられる際に手が掛けられても、解除操作レバー46に手が触れないため、解除操作レバー46の不用意な動作が確実に禁止される。したがって、画像形成装置1を持上げる場合に、把手カバー90を介して間接的に把手45に手を掛け、持上げの力をかけることができる。このようにして、用紙収容台40の把手45は、画像形成装置1を持上げる場合に手を掛ける部分と兼用される。
【0056】
把手カバー90の荷重受部93は、把手45の下部のうち、空洞42cの両脇部分42dに当たっている。画像形成装置1(図2参照)が持上げられる際、荷重は、空洞42cの両脇部分42dから、荷重受部93を介して、把手カバー90に伝わる。
【0057】
把手カバー90の上向きUに突出した係合突起94が空洞42cの中に入り込み、把手45を平板部91との間に挟むことによって、把手カバー90が把手45の位置に保持されている。したがって、把手カバー90に手が掛けられ上向きUの力が付与される状態では、把手カバー90が用紙収容台40から外れない。なお、画像形成装置1の設置や移動が完了した後は、取外し用爪95に手を掛けて下方Dに押し下げるだけで、係合突起94が空洞42cから抜け、把手カバー90が把手45から外れる。この後再び画像形成装置1を移動する場合には、把手カバー90を、把手カバー90の係合突起94が空洞42cに入る姿勢に配置して上方Uに持上げるだけで、装着が完了する。
【0058】
把手カバー90は、用紙収容台40に装着されることで、用紙収容台40の、筐体70(図2参照)からの引出しを規制する。より詳細には、把手カバー90に、解除操作レバー46が覆われることで、解除操作レバー46が作業者の手指に触れることを妨げられ、解除操作レバー46の動作が禁止される。把手カバー90は、解除操作レバー46の動作を禁止することで用紙収容台40の引出しを抑えるため、用紙収容台40と筐体70を直接固定するための構造が不要であり、装着も容易である。
【0059】
把手カバー90によって、用紙収容台40の、筐体70(図2参照)からの引出しが規制されるので、画像形成装置1を持上げる際には、用紙収容台40に装着された把手カバー90が、手を掛ける手掛りとして利用される。
【0060】
図11は、図2に示す画像形成装置が持上げられる状態を示す図である。
【0061】
図11に示す例では、画像形成装置1を、4人で共同して上方Uに持上げている。複数人で支えることで、1人当たりの負担が減少する。画像形成装置1は、手掛り部701〜706に加え、用紙収容台40に取り付けられた把手カバー90にも手が掛けられている。画像形成装置1は、前後左右各面から支えられ安定して持上げられる。
【0062】
画像形成装置1では、持上げられる場合の手掛りとして、把手カバー90が装着された用紙収容台40の把手45が利用されるため、すでに説明したように、筐体70前面70Fには切欠きや窪みが別途に設けられていない。したがって、筐体70全体の高さは、仮に前面に持上げのための手掛りが全くない場合の高さに維持されており、例えば、前面70Fにおいて画像形成部と用紙収容台との間に切欠きや窪みが設けられた場合に比べ低背化する。また、操作受付部1Cの位置も前面に何らの手掛りがないとした場合の高さに維持される。
【0063】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた第1実施形態における各要素と同一の部分については、第1実施形態で参照した図を流用し、第1実施形態との相違点について説明する。
【0064】
図12は、第2実施形態の画像形成装置に備えられる用紙収容台および把手カバーの概略形状を示す斜視図である。また図13は、図12に示す用紙収容台に把手カバーが装着された状態を示す断面図である。
【0065】
図12に示す用紙収容台240は、画像形成装置の筐体に係止する係止機構を有しておらず、したがって、解除操作レバーを有していない。また、用紙収容台240には、把手245の上方に2つの穴249が形成されており、画像形成装置の筐体270には、用紙収容台240が収容された状態で、用紙収容台240の2つの穴249にそれぞれ対向する位置に、2つの穴271が設けられている。また、図12に示す把手カバー290は、上向きUに突出した2つの係合突起294に加え、2つの規制突起297を備えている。
【0066】
本実施形態におけるこれらの他の点は、図1〜3に示した第1実施形態と同様である。
【0067】
用紙収容台240が筐体270に収容された状態で、用紙収容台240に把手245を覆うように把手カバー290が装着されると、図13に示すように、把手カバー290の規制突起297が、用紙収容台240の穴249と、筐体270の穴271の双方を貫通する。このため、用紙収容台240の筐体270からの引出しが規制される。
【0068】
したがって、本実施形態においても、画像形成装置の持上げ時には、装置の前面における用紙収容台240に装着された把手カバー290に手が掛けられる。また、本実施形態においても、画像形成装置の筐体の高さが、前面に何らの手掛りがないとした場合の高さに維持される。
【0069】
なお、上述した実施形態では、把手覆い部材の例として、解除操作レバー46を覆うことで解除操作レバーの動作を禁止する把手カバー90を示したが、本発明にいう把手覆い部材はこれに限られず、例えば、解除操作レバーの動きを規制することで動作を禁止するものであってもよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、把手覆い部材の例として橙色の把手カバー90を示したが、本発明にいう把手覆い部材はこれに限られず、例えば、紫や黄色の部材であってもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、画像形成装置の例としてタンデム型のカラープリンタを示したが、本発明にいう画像形成装置はこれに限られず、例えば、中間転写ベルトを有しないモノクロ専用プリンタであってもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、画像形成装置の例としてプリンタを示したが、本発明にいう画像形成装置はプリンタに限られず、例えば、複写機やファクシミリであってもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、本発明にいう画像形成部の例として、静電潜像をトナーで現像する電子写真方式による構造を示したが、本発明にいう画像形成部はこれに限られず、例えばインクジェット方式であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
1B 画像形成部
40,240 用紙収容台
42 立壁部
44 係止機構
45,245 把手
46 解除操作レバー
70 筐体
71 扉
72 係止突起
90,290 把手カバー
92 レバー覆い部
94,294 係合突起
290 把手カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部を収容した筐体と、
手で把持して引出すための把手を有し、前記筐体に対し引出自在に収容された、前記画像形成部に供給する用紙を収容する用紙収容台と、
前記把手を覆った状態になるよう前記用紙収容台に着脱自在に装着される、前記筐体の持上げ時に手が掛けられる、装着により前記用紙収容台の前記筐体からの引出しを規制する把手覆い部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記用紙収容台が、前記筐体に係止するための係止機構を備え、該係止機構が、前記把手の近傍に、操作によって該係止機構の係止を解除する解除操作レバーを有するものであって、
前記把手覆い部材が、前記用紙収容台に装着された状態で前記解除操作レバーの動作を禁止することによって、該用紙収容台の前記筐体からの引出しを規制するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記把手覆い部材が、前記用紙収容台に装着された状態で前記解除操作レバーを覆うことで前記解除操作レバーの動作を禁止するものであることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記把手覆い部材は、前記用紙収容台に装着される姿勢にあるときに、該用紙収容台が収容された筐体が持上げられる上向きに突出した、前記把手に係合する係合突起を有するものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−159694(P2012−159694A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19373(P2011−19373)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】