説明

画像形成装置

【課題】 感光体ドラムの新旧検知が容易に行え、印刷履歴の初期化を確実に行うことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体に着脱可能に装着され、端部にフランジギアを有する感光体ドラムと、前記感光体ドラムのフランジギアと噛合する伝達ギアと、この伝達ギアと連結し溝部を有するスクリュー部材と、前記感光体ドラムの回転に伴い前記溝部に沿って移動可能な移動部材と、この移動部材の有無を検知する検知センサと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複写機、ファクシミリ装置、プリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は感光体ドラムを備えており、感光体ドラムに露光、現像、転写を行って用紙に情報を印刷するようになっている。このように感光体ドラムは摩耗や劣化による寿命があり、寿命末期になると印刷が不鮮明になる不具合が生じる。このような不具合を防止するために、感光体ドラムの使用に伴う印刷枚数データ(使用履歴)を装置内部の記憶部に記憶させる。この印刷枚数データが予め設定された所定の値を超えると、本体の表示部に感光体ドラムの交換を促すメッセージを表示することで、使用者に報知する技術が知られている。
【0003】
使用者は前記メッセージに気づくと、サービスマンに連絡する。サービスマンは、本体のカバーを開け、使用していた現品の感光体ドラムから新品の感光体ドラムの交換作業を行う。この感光体ドラムの交換作業が完了すると、キー操作等によりカウンタを初期化(リセット)する作業を行う。このような初期化作業は手動により行わなければならず煩雑であった。また、交換後の感光体ドラムが新しいか古いかの把握が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−242659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、感光体ドラムを交換することにより自動的に新品であることが判別でき、感光体ドラムの使用履歴の初期化作業を軽減できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本実施形態の画像形成装置は、装置本体に着脱可能に装着され、端部にフランジギアを有する感光体ドラムと、前記感光体ドラムのフランジギアと噛合する伝達ギアと、この伝達ギアと連結し溝部を有するスクリュー部材と、前記感光体ドラムの回転に伴い前記溝部に沿って移動可能な移動部材と、この移動部材の有無を検知する検知センサと、を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態における、画像形成装置の断面図である。
【図2】実施形態における、画像形成装置のブロック図である。
【図3】実施形態における、感光体ドラム新旧検知部の構成図である。
【図4】実施形態における、感光体ドラム周辺の概略図である。
【図5】実施形態における、感光体ドラム新旧検知部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる画像形成装置を詳細に説明する。
【0009】
図1の画像形成装置1は、箱型状の本体2を具備している。この本体2の、上部のカバー2aには搬送状態等を表示する表示器3および印刷開始を宣言する操作部4を備えており、本体2内部の略中央に感光体ドラム5を備えている。この感光体ドラム5の周辺に帯電器6、現像器7、転写器8、廃トナー回収器9、露光器10が設けられている。
【0010】
前記画像形成装置1の印刷時には、使用者が操作部4から印刷要求を入力することで、感光体ドラム5が後述する駆動モータ11により所定速度で時計回り方向に回転される。そして、まず帯電器6で表面が均一に帯電された後、露光器10から照射されるレーザー光によって静電潜像が形成される。
【0011】
前記感光体ドラム5に形成された静電潜像は、前記感光体ドラム5の回転に伴い現像器7から供給されたトナーによって現像された後、転写器8において給紙部12(用紙カセット13、給紙ローラ14等)から搬送部15(搬送ローラ16、搬送経路17)を介して送られてきた用紙上に転写される。用紙上に転写されたトナー画像は定着部18によって定着され、排紙部19に排出される。
【0012】
図2は、画像形成装置1のブロック構成を示す。画像形成装置1には、全体の動作を制御する制御部としてのCPU21と、RAM22、ROM23からなる記憶部が設けられている。記憶部は、更に、HDD等の磁気の記憶装置との組み合わせで構成されてもよい。CPU21は、プログラム、データ、入力信号等に基づき、演算や信号処理等を行い、各部の動作を制御する。画像形成装置1は、前述のように、従来周知の構成として、表示器3、操作部4、感光体ドラム5、帯電器6、現像器7、転写器8、露光器10、駆動モータ11、給紙部12、搬送部15、定着部18、排紙部19及び外部機器と接続可能な通信インターフェース24、を備えており、バスライン25等で接続されている。
【0013】
また、図2のブロック図に示すように画像形成装置1には、使用履歴として感光体ドラム5の回転数をカウントする回転数記憶部としての回転数カウンタ31が設けられている。また、前記回転数カウンタ31にカウントされた回転累計数と、RAM22内に感光体ドラム5の寿命情報として予め設定された所定値(例えば5万回転)とを比較するカウンタ比較部32が設けられている。また、感光体ドラム5が古いか新しいか否かを検知する検知センサとしての感光体ドラム新旧検知部33と、感光体ドラム5が新しいか古いか否かの情報を記憶する記憶部としての感光体ドラム新旧記憶部34を有している。
【0014】
図3は、画像形成装置1の前記感光体ドラム新旧検知部33を示した構成図であり、図4は感光体ドラム5の周辺の概略図である。
【0015】
図3に示すように、一部を切り欠いた感光体ドラム5は、筒状に形成され、その一方端には感光体支持部41が設けられている。この感光体支持部41と駆動モータ11の駆動により回転する図示しない中継ギアを介して感光体ドラム5が回転する。また前記感光体ドラム5には、感光体支持部41の回転に伴い回転する感光体フランジギア42が設けられている。なお、感光体ドラム5と感光体支持部41とは連結した状態で交換される。
【0016】
前記感光体フランジギア42は歯車状となっており、この歯車と噛み合うように伝達ギア43が設けられる。この伝達ギア43の中心にはリードスクリュー軸44が設けられており、このリードスクリュー軸44の軸上にスクリュー部材としてのリードスクリュー部45が設けられている。このリードスクリュー部45には溝部46が形成されており、この溝部46はリードスクリュー部45の下部46aから上部46b(軸方向)に向かって螺旋状に形成されている。前記リードスクリュー軸44の両端には一端にプレート47、他端にプレート48が設けられている。このプレート47,48は図4に示すように本体2のプレート軸49により感光体ドラム5側に傾斜(押圧)するように支持されている。
【0017】
前記リードスクリュー部45の溝部46には、移動部材としての検出バー50が当接され、この検出バー50の先端が溝部46に沿って移動する。前記検出バー50は、検出部材としての検出バー支持部51と連結している。この検出バー支持部51は、内部の中央に検出バー支持軸52を有している。この検出バー支持軸52上にはスプリング53が検出バー支持部51で覆われるように設けられている。前記スプリング53により検出バー支持部51は、本体2の内方から外方に向かって軸方向に付勢している。また、前記検出バー支持軸52は本体2の一部に取り付けられている。
【0018】
また、前記感光体ドラム新旧検知部33は、前記検出バー支持部51の先端51aを検知するために囲うように設けられている。この感光体ドラム新旧検知部33は、検出バー支持部51の先端51aが存在していることを検知すると、感光体ドラム5が新品であると判断する。前記検出バー支持部51の先端51aが検知されない、つまり感光体ドラム新旧検知部33の読取範囲を超えた場合は、使用が開始された(使用中)であると判断する。なお、検出バー50と検出バー支持部51とは、別体でも一体形成であってもよい。
【0019】
以下に、上記構成に基づく感光体ドラム5の交換作業の概略を説明する。
【0020】
画像形成装置1の表示器3に「感光体ドラムを交換して下さい」等のメッセージが表示されると使用者は、サービスマンに連絡をする。連絡を受けたサービスマンは新品の感光体ドラム5持参し、図2に示す本体2のカバー2aを開け交換作業を行う。駆動モータ11に接続された中継ギアの噛合から前記感光体支持部41を外すことで感光体ドラム5が取り出される。すると感光体フランジギア42とリードスクリュー部45の伝達ギア43との噛合が外れ、前記プレート47、48により感光体ドラム5側にリードスクリュー部45が傾斜する。それと同時に前記リードスクリュー部45の溝部46の上部46bに接触していた検出バー50が外れ、検出バー支持部51が前記スプリング53の力により外方に引き出される。
【0021】
サービスマンは、新品の感光体ドラム5を、感光体フランジギア42の歯車と伝達ギア43の歯車とが噛合するようにセット作業を行う。この場合、プレート47,48の付勢力に抗して、溝部46の下部46aに位置決めして、検出バー支持部51の検出バー50をセットする。そして、新しい感光体ドラム5への交換作業が終了すると、本体2のカバー2aを閉じて、操作部4の操作で試し印字が行われる。
【0022】
この試し印刷が行われると、感光体ドラム5の回転により検出バー50は溝部46の下部46aから上部46bに移動する。この時、検出バー支持部51の先端51aが、感光体ドラム新旧検知部33の読取範囲を超えることで感光体ドラム5が交換されたことが感光体ドラム新旧記憶部34に記憶される。その後、前記回転数カウンタ31に記憶された回転累計数のリセットを行うことで、感光体ドラム5の新旧検知と、使用履歴の初期化処理が終了する。
【0023】
図5に第一の実施形態における画像形成装置1の感光体ドラム5の交換作業に伴うフローチャートを示す。以下、フローチャートの順に詳細な処理の形態について説明する。
【0024】
ステップ1において、前記画像形成装置1を用いて、印刷が開始されると感光体ドラム5が回転され、前記回転数カウンタ31により感光体ドラム5の回転数がカウントされる。ステップ2では、カウンタ比較部32が、前記回転数カウンタ31にカウントされた回転数(回転累計数)が所定値(例えば5万回転)を超えたか否かを判断する。例えば、この所定値をRAM22内の記憶部に記憶し、超えた場合は(ST2のYES)、前記表示器3の画面に「サービスマンに連絡し、感光体ドラムを交換して下さい。」等のメッセージが表示される(ステップ3)。所定値を超えていない場合は(ST2のNO)、ステップ4にて表示器3に印刷可能である旨の表示がされる。なお、感光体ドラム5の交換メッセージが表示されても使用者の判断で印刷作業は継続可能である。
【0025】
ステップ3で表示器3によるメッセージに基づき使用者は、サービスマンに連絡をする。連絡を受けたサービスマンは、新しい感光体ドラム5を持参し使用者の元へ行き、感光体ドラム5の交換作業に入る。
【0026】
サービスマンは、本体2のカバー2aを開け、古い(現品の)感光体ドラム2を取り出す。古い感光体ドラム2を取り出すと、前記リードスクリュー部45は、前記プレート47、48による支えが無くなることから感光体ドラム2があった方向に倒れる。
【0027】
サービスマンは、新品の感光体ドラム5を取り付ける際、感光体フランジギア42をリードスクリュー部45の伝達ギア43の歯車に合わせで装着する。そして、前記検出バー50を前記溝部46の下部46aの位置に合わせる。このとき、感光体ドラム新旧検知部33の読取範囲内に検出バー支持部51の先端51aが入る。
【0028】
ステップ5で前記感光体ドラム新旧検知部33が前記検出バー支持部51の先端51aを検知したか否かが判断される。感光体ドラム新旧検知部33の検知後(ステップ5のYES)、ステップ6で前記感光体ドラム新旧記憶部34に感光体ドラム5が新品である情報が記憶される。具体的には使用記憶としてフラグ「1」が記憶される。そして、前記検出バー50の位置合わせが終了すると、カバー2aを閉じる。
【0029】
ステップ7で、サービスマンの操作部4により試し印刷作業が指示されると(ステップ7のYES)、駆動モータ11により、給紙部12、搬送部15、定着部18、排紙部19が駆動し、ステップ8で前記感光体ドラム5が回転する。なお、前記操作部4の指示が無くても前記カバー2aを閉じることで試し印刷が開始される構成でもよい。
【0030】
ステップ8の前記感光体ドラム5の回転に伴い、感光体フランジギア42と接続した伝達ギア43も回転する。前記伝達ギア43の回転によりリードスクリュー部45の溝部46に接触した検出バー50が溝部に沿って移動する。前記検出バー50が溝部46の下部46aから上部46bの移動することにより、感光体ドラム新旧検知部33で検知していた検出バー支持部51の先端51aも移動する。
【0031】
ステップ9で感光体ドラム新旧検知部33が、読取範囲内を超えた、前記検出バー支持部51の先端51aを検知しなくなると(ステップ9のYES)、前記感光体ドラム新旧記憶部34に記憶された新品情報が使用済情報に切り換えられる。具体的には使用記録がフラグ「1」からフラグ「0」に切り換えられ記憶される。
【0032】
その後ステップ10にて、前記回転数カウンタ31の回転数履歴をゼロにリセットする。そして、ステップ4にて、表示器4に印刷可能である旨のメッセージがされ、感光体ドラム5の交換処理を終了する。
【0033】
このように、感光体ドラム5を新品に取り換える際、感光体ドラム5の回転に連動して検出バー支持部51の先端51aが感光体ドラム新旧検知部33から離れることで新旧検知と、回転数カウンタ31のリセット処理が行える。よって、リセット処理と感光体ドラム5の新旧管理が同時に行える。つまり、感光体ドラムを交換することにより自動的に新品であることが判別でき、感光体ドラムの使用履歴の初期化作業を軽減できる。
【0034】
本実施形態では、感光体ドラムの新旧検知を基に説明したが、消耗品の管理として給紙ローラ、搬送ローラ、転写ローラ、転写ベルト、定着ローラ等に用いても良いことは言うまでもない。また、交換を促すメッセージを表示器への表示だけでなく、音声による報知でも良い。さらに、感光体ドラムの使用履歴として感光体ドラムの回転数を記憶しているが、印刷枚数でも良い。
【0035】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨も逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 画像形成装置
2 装置本体
3 表示器
4 操作部
5 感光体ドラム
21 CPU(制御部)
22 RAM
31 回転数カウンタ
32 カウンタ比較部
33 感光体ドラム新旧検知部(検知センサ)
34 感光体ドラム新旧記憶部(記憶部)
42 感光体フランジギア
43 伝達ギア
44 リードスクリュー軸
45 リードスクリュー部(スクリュー部材)
46 溝部
47,48 プレート
50 検出バー(移動部材)
51 検出バー支持部(検出部材)
52 検出バー支持軸
53 スプリング(付勢部材)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に着脱可能に装着され、端部にフランジギアを有する感光体ドラムと、
前記感光体ドラムのフランジギアと噛合する伝達ギアと、
この伝達ギアと連結し溝部を有するスクリュー部材と、
前記感光体ドラムの回転に伴い前記溝部に沿って移動可能な移動部材と、
この移動部材の有無を検知する検知センサと、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検知センサによる前記検出部材の有無の検知により、感光体ドラムの新旧を検知し、この新旧情報を記憶する記憶部を備えたこと特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
装置本体に着脱可能に装着され、端部にフランジギアを有する感光体ドラムと、
前記感光体ドラムのフランジギアと噛合する伝達ギアと、
この伝達ギアと連結し溝部を有するスクリュー部材と、
前記感光体ドラムの回転に伴い前記溝部に沿って移動可能な移動部材と、
この移動部材を保持し内部に付勢部材を設けた検出部材と、
この検出部材の有無を検知する検知センサと、
前記感光体ドラムの回転数を記憶する回転数記憶部と、
前記感光体ドラムを交換し前記検知センサにより移動部材が無いことを検知した場合に前記回転数記憶部に記憶している回転数をリセットするように制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記検知センサによる前記検出部材の有無の検知により、感光体ドラムの新旧を検知し、この新旧情報を記憶する記憶部を備えたことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−163958(P2012−163958A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19538(P2012−19538)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】