説明

画像形成装置

【課題】露光装置制御部に電力を供給する配線を短くすることにより、露光装置に対する電圧降下の影響を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】カラープリンタ1(画像形成装置)は、並列配置された複数の感光体ドラム51と、複数の感光体ドラム51の上方に配置され、複数の感光体ドラム51を露光するLEDユニット40(露光装置)と、LEDユニット40の上方に配置され、画像データに基づいてLEDユニット40を制御するLED制御部102(露光装置制御部)と、複数の感光体ドラム51の下方に配置され、交流電源を直流電源に変換する電源基板150と、LEDユニット40の上方に配置され、電源基板150から供給された直流電源を当該直流電源の電圧よりも絶対値が小さい少なくとも1種類の第1の電圧に変換してLED制御部102に供給する電圧変換部103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列配置された複数の感光体と、複数の感光体の上方に配置されて感光体を露光する露光装置とを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像形成装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、前後に並んで配置された複数の感光体ドラム(感光体)と、複数の感光体の上方に配置されて感光体を露光するLEDユニット(露光装置)とを備えたものが知られている。また、特許文献1の画像形成装置は、露光装置(LEDの発光)を制御するLED制御基板(露光装置制御部)を備えており、この露光装置制御部が露光装置の上方に配置されている。
【0003】
さらに、画像形成装置は、外部から供給された交流電源を直流電源に変換するとともに、直流電源を画像形成装置の各部で必要な複数種類の電圧に変換した上で、各部(露光装置制御部など)に供給する電源基板を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−157138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されたような画像形成装置において、電源基板を複数の感光体の下方(例えば、装置本体内の下部など)に配置した場合、電源基板と露光装置の上方に配置された露光装置制御部とを接続する配線が長くなる。そうすると、電源基板と露光装置制御部を接続する配線で電圧降下が生じることで、露光装置制御部による露光装置の制御に不具合が生じる可能性があり、例えば、画像品質が低下するおそれがあった。
【0006】
これに対し、電源基板と露光装置制御部を接続する配線の本数を増やしたり、配線を構成する個々の導線を太くしたりすることで電圧降下の影響を抑えることも可能であるが、コスト高となったり、配線を接続するためのインターフェースが増えたり、配線に対するノイズの影響が大きくなったりするという問題が生じる。
【0007】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、露光装置制御部に電力を供給する配線を短くすることにより、露光装置に対する電圧降下の影響を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、並列配置された複数の感光体と、前記複数の感光体の上方に配置され、前記複数の感光体を露光する露光装置と、前記露光装置の上方に配置され、画像データに基づいて前記露光装置を制御する露光装置制御部と、前記複数の感光体の下方に配置され、交流電源を直流電源に変換する電源基板と、前記露光装置の上方に配置され、前記電源基板から供給された直流電源を当該直流電源の電圧よりも絶対値が小さい少なくとも1種類の第1の電圧に変換して前記露光装置制御部に供給する電圧変換部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このように構成された画像形成装置によれば、電源基板から供給された直流電源を第1の電圧に変換して露光装置制御部に供給する電圧変換部が、露光装置制御部と同じ露光装置の上方に配置されているので、露光装置制御部と電圧変換部を近づけて配置することができる。これにより、露光装置制御部と電圧変換部を接続する配線、すなわち、露光装置制御部に電力を供給する配線を短くすることができる。その結果、当該配線で電圧降下が生じても、露光装置制御部による露光装置の制御に与える影響を小さくすることができるので、画像品質の低下などを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電圧変換部と露光装置制御部がともに露光装置の上方に配置されているので、露光装置制御部と電圧変換部とを接続する配線を短くすることができる。これにより、露光装置に対する電圧降下の影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタの全体構成を示す図である。
【図2】アッパーカバーを開いた状態のカラープリンタを示す図である。
【図3】カラープリンタの基板配置と配線構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の詳細な構成について説明する。
【0013】
また、以下の説明において、方向は、カラープリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0014】
<カラープリンタの全体構成>
図1に示すように、カラープリンタ1は、本体筐体10と、アッパーカバー11(カバー)と、用紙Sを供給する給紙部20と、供給された用紙Sに画像を形成する画像形成部30と、画像が形成された用紙Sを排出する排紙部90とを主に備えている。
【0015】
アッパーカバー11は、本体筐体10の上部(上側)に設けられ、図2に示すように、本体筐体10の上面に形成された開口10Aを開閉する。より詳細に、アッパーカバー11は、後側(一端側)に設けられた回動軸12を中心として、前側が本体筐体10に対して上下に回動することで、本体筐体10の開口10Aを開閉可能に設けられている。このアッパーカバー11の上面には、本体筐体10内から排出された用紙Sが載置される排紙トレイ13が設けられており、下面には、後述するLEDユニット40を保持する4つの保持部14が設けられている。
【0016】
図1に戻り、給紙部20は、本体筐体10内の下部に設けられ、用紙Sを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Sを画像形成部30に供給する用紙供給機構22とを主に備えている。給紙トレイ21内の用紙Sは、用紙供給機構22によって1枚ずつ分離されて画像形成部30に供給される。
【0017】
画像形成部30は、露光装置の一例としての4つ(複数)のLEDユニット40と、4つのプロセスユニット50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とから主に構成されている。
【0018】
LEDユニット40は、アッパーカバー11の下部に保持部14を介して固定され、対応する感光体ドラム51(感光体)の上方に配置されている。このLEDユニット40は、露光ヘッドの一例としてのヘッド部41と、ヘッド部41を支持する支持部42とを主に備えている。
【0019】
ヘッド部41は、感光体ドラム51の軸方向(左右方向)に沿って延びており、アッパーカバー11を閉じたときに、その先端(下端)が感光体ドラム51の上面にそれぞれ対向して配置される。このヘッド部41は、先端に左右方向に配列された複数の発光部(LED)を備えており、後述するLED制御部102からの信号の入力により、発光部が明滅することで帯電後の感光体ドラム51を露光する。
【0020】
支持部42は、ヘッド部41をアッパーカバー11に保持するための部材であり、その下部でヘッド部41を支持しつつ、上部が保持部14を介してアッパーカバー11に揺動可能に支持されている。これにより、LEDユニット40は、アッパーカバー11を開くことで、感光体ドラム51から離間する構成となっている(図2参照)。
【0021】
プロセスユニット50は、アッパーカバー11と給紙トレイ21との間で前後方向に沿って並列配置されており、アッパーカバー11を開いたときに露出する本体筐体10の開口10Aから、本体筐体10に対し略上下方向に着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスユニット50は、感光体の一例としての感光体ドラム51と、帯電器52と、現像ローラ53と、供給ローラ54と、層厚規制ブレード55と、トナー収容部56とを主に備えている。本体筐体10は、各プロセスユニット50が本体筐体10に装着されることで、4つ(複数)の感光体ドラム51を前後に並列配置された状態で支持している。
【0022】
転写ユニット70は、給紙トレイ21とプロセスユニット50との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、駆動ローラ71と従動ローラ72の間に張設された無端状の搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74とを主に備えている。搬送ベルト73は、外側の面が各感光体ドラム51に接しており、その内側には各転写ローラ74が各感光体ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
【0023】
定着ユニット80は、プロセスユニット50および転写ユニット70の後方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。
【0024】
画像形成部30では、回転駆動する感光体ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、LEDユニット40により露光されることで、感光体ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部56内のトナーは、供給ローラ54を介して現像ローラ53に供給され、現像ローラ53と層厚規制ブレード55との間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ53上に担持される。
【0025】
そして、現像ローラ53上に担持されたトナーが感光体ドラム51に供給されることで、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム51上にトナー像が形成される。その後、給紙部20から供給された用紙Sが、感光体ドラム51と搬送ベルト73(転写ローラ74)の間を搬送されることで、各感光体ドラム51上に形成されたトナー像が用紙S上に順次重ね合わせて転写される。トナー像が転写された用紙Sは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。
【0026】
排紙部90は、定着ユニット80から搬出された用紙Sを案内するための排紙経路91と、用紙Sを搬送する複数の搬送ローラ92とを主に備えている。トナー像が熱定着された用紙Sは、搬送ローラ92によって排紙経路91を搬送され、本体筐体10の外部に排出されて排紙トレイ13上に載置される。
【0027】
<カラープリンタの詳細構成>
次に、本発明の特徴部分に係るカラープリンタ1の詳細な構成について説明する。
図3に示すように、カラープリンタ1は、メイン基板100と、操作パネル制御基板130と、モータ制御基板140と、電源基板150と、モータMとを備えている。
【0028】
なお、図3においては、電力供給用の導線(以下、「電力線」という。)を実線で示し、信号送受信用の導線(以下、「信号線」という。)を破線で示すものとする。ちなみに、各電力線や各信号線は、単線であってもよいし、撚線であってもよい。また、図3は、主に本発明に関連する電力線と信号線を示したものであり、カラープリンタ1のすべての電力線および信号線を示したものではない。
【0029】
メイン基板100は、画像データ処理部101と、露光装置制御部の一例としてのLED制御部102と、電圧変換部103とが形成された回路基板(プリント基板)である。言い換えると、本実施形態において、画像データ処理部101、LED制御部102および電圧変換部103は、1つの回路基板に形成されている。
【0030】
このメイン基板100は、アッパーカバー11の排紙トレイ13と保持部14との間の空間、すなわち、アッパーカバー11内に配置されており、アッパーカバー11に固定されている。これにより、画像データ処理部101、LED制御部102および電圧変換部103は、いずれもLEDユニット40の上方(上側)に配置されることとなる。
【0031】
画像データ処理部101は、主にパーソナルコンピュータ(パソコン)などの外部装置から入力された画像データを記憶処理する機能部である。より具体的に、画像データ処理部101は、外部装置から入力された、圧縮された画像データを記憶して展開(解凍)し、この画像データをカラープリンタ1で扱える形式の画像データ(例えば、ビットマップ(画素)のデータなど)に変換する処理を実行する。その後、画像データ処理部101は、処理した画像データを信号線SL1を介してLED制御部102に出力する。
【0032】
また、画像データ処理部101は、外部装置から、画像データとともに入力された画像形成の指示に基づくモータMの駆動タイミングの情報(信号)を信号線SL2を介して後述するモータ制御部141に出力し、モータ制御部141を介して、用紙搬送系(用紙供給機構22や搬送ローラ92など)や画像形成部30を制御する。
【0033】
画像データ処理部101は、上記したような処理を実行するため、演算処理を実行するCPUや、各種プログラムや設定値などが記憶されたROM、画像データなどを記憶するRAM、外部装置から画像データを受け取ったり、処理した画像データを送信したりするための入出力インターフェースなどを有している(いずれも図示省略)。
【0034】
LED制御部102は、画像データ処理部101で処理された画像データに基づいて各LEDユニット40(ヘッド部41)に信号線SL3を介して信号を出力し、発光部(LED)の明滅を制御する機能部である。このLED制御部102と画像データ処理部101は、メイン基板100に形成された信号線SL1により互いに接続されている。
【0035】
電圧変換部103は、電源基板150から供給された電圧V0(例えば24V)の直流電源(直流電力)を所定の電圧(V1,V21,V22,V31,V32など)に変換してカラープリンタ1の各部(LED制御部102など)に供給する機能部である。
【0036】
より具体的に、本実施形態において、電圧変換部103は、メイン基板100に形成された電力線EL1によりLED制御部102と接続されており、電源基板150から供給された直流電源を、当該直流電源の電圧V0よりも絶対値が小さい1種類の第1の電圧V1(例えば3.3V)に変換し、電力線EL1を介してLED制御部102に供給する。
【0037】
また、本実施形態において、電圧変換部103は、メイン基板100に形成された電力線EL2,EL3により画像データ処理部101と接続されており、電源基板150から供給された電圧V0の直流電源を2種類の第2の電圧V21,V22(例えば3.3Vと5.0V)に変換し、電力線EL2,EL3を介して画像データ処理部101に供給する。
【0038】
さらに、本実施形態において、電圧変換部103は、電力線EL4,EL5によりモータ制御基板140と接続されており、電源基板150から供給された電圧V0の直流電源を2種類の第3の電圧V31,V32(例えば3.3Vと5.0V)に変換し、電力線EL4,EL5を介してモータ制御基板140(モータ制御部141)に供給する。
【0039】
操作パネル制御基板130は、ユーザの操作を受け付ける操作パネル制御部(図示省略)が形成された回路基板であり、アッパーカバー11内の前側に固定されている。この操作パネル制御基板130には、図1に示すように、複数の操作ボタン131(図1では1つのみ図示)と、液晶パネル132とが主に設けられている。操作ボタン131は、その上部がアッパーカバー11の前面パネル11Bから突出しており、ユーザによる操作を受け付け可能となっている。また、液晶パネル132は、アッパーカバー11の前面パネル11Bに設けられた窓部11Cから視認可能となっている。
【0040】
図3に示すように、操作パネル制御基板130(操作パネル制御部)は、信号線SL4により画像データ処理部101に接続されており、この信号線SL4を介して、ユーザが操作ボタン131を操作して入力した指示を画像データ処理部101に出力する。また、操作パネル制御基板130(操作パネル制御部)は、操作内容やカラープリンタ1の状態などの情報を液晶パネル132に表示する。
【0041】
本実施形態では、操作パネル制御基板130(操作パネル制御部)とメイン基板100(画像データ処理部101)がともにアッパーカバー11に固定されているので、画像データ処理部101と操作パネル制御部を接続する配線(信号線SL4)を短くすることができる。
【0042】
モータMは、本体筐体10内の適宜な位置に設けられ、カラープリンタ1の用紙搬送系(用紙供給機構22、搬送ローラ92など)や画像形成部30(感光体ドラム51、現像ローラ53、供給ローラ54、転写ローラ74、加圧ローラ82など)を駆動する。
【0043】
モータ制御基板140は、主にモータ制御部141が形成された回路基板であり、本実施形態においては、本体筐体10内の後部左側において鉛直に立てられた状態で固定されている(図1参照)。モータ制御部141は、信号線SL2により画像データ処理部101に接続されており、画像データ処理部101から出力されたモータMの駆動タイミングの情報などに基づいて、モータMの駆動(ON・OFFや回転速度、回転方向など)を制御することで、用紙搬送系や画像形成部30の駆動を制御する。
【0044】
本実施形態においては、モータ制御基板140が、モータMが設けられた本体筐体10に固定されていることで、モータMとモータ制御基板140を接続する配線(電力線EL6、信号線SL5など)を短くすることができる。また、これにより、本体筐体10内の配線構造を簡略化することができる。
【0045】
電源基板150は、商用電源や自家発電装置、無停電電源装置などのカラープリンタ1の外部から供給された交流電源を電圧V0の直流電源に変換し、主に電力線EL7,EL8を介してメイン基板100の電圧変換部103に供給する回路基板である。この電源基板150は、複数の感光体ドラム51の下方、より詳細には、本体筐体10内の下部に設けられた給紙トレイ21の下方後寄りにおいて水平に寝かされた状態で配置されており、本体筐体10に固定されている(図1参照)。
【0046】
本実施形態において、電源基板150からメイン基板100の電圧変換部103に供給される直流電源の電圧V0は、1種類の値(例えば24Vなど1種類の電圧)である。これにより、電源基板150からメイン基板100に複数種類の電圧を供給する構成と比較して、電源基板150から引き出される電力線の数や、これらの電力線を電源基板150に接続するための電源基板150上のコネクタ(インターフェース)の数などを減らすことができる。
【0047】
電源基板150からの直流電源は、電力線EL7を介して、まずモータ制御基板140に供給され、ここで、一部は電力線EL6を介してモータMなどに供給され、他の一部が電力線EL8を介して電圧変換部103に供給される。すなわち、本実施形態において、電源基板150からの直流電源は、モータ制御基板140を通って電圧変換部103に供給される。
【0048】
モータ制御基板140と電圧変換部103は、電力線EL4,EL5,EL8と、信号線SL2とによって主に接続されている。そして、本実施形態において、電力線EL4,EL5,EL8および信号線SL2は、これらの4つの導線を含む複数の導線を有する1本のケーブルの一例としてのフラットケーブルC(図1も参照)にまとめられている。これにより、カラープリンタ1の配線構造を簡略化することができる。
【0049】
なお、図1に示すように、フラットケーブルCは、電圧変換部103(メイン基板100)から引き出され、後方へ延び、回動軸12の後側に回り込んで本体筐体10内に入り、モータ制御基板140に接続されている。これにより、フラットケーブルCは、アッパーカバー11に配置された電圧変換部103と、本体筐体10に配置されたモータ制御基板140を接続しつつ、アッパーカバー11の開閉を妨げないようになっている。
【0050】
以上説明した本実施形態のカラープリンタ1によれば、LED制御部102に電力を供給する電圧変換部103とLED制御部102とがともにLEDユニット40の上方に配置されている(アッパーカバー11に固定されている)ので、LED制御部102と電圧変換部103を近づけて配置することができる。これにより、LED制御部102と電圧変換部103を接続する配線(電力線EL1)を短くすることができる。
【0051】
その結果、電源基板150から供給された電圧V0の直流電源よりも絶対値が小さい、低電圧の第1の電圧V1に変換された直流電源の供給に使われる電力線EL1で電圧降下が生じても、その降下量を小さくすることができる。これにより、LED制御部102によるLEDユニット40(ヘッド部41)の制御に与える電圧降下の影響を小さくすることができるので、画像品質の低下などを抑制することができる。
【0052】
また、画像データ処理部101とLED制御部102がともにLEDユニット40の上方に配置されている(アッパーカバー11に固定されている)ので、画像データ処理部101とLED制御部102も近づけて配置することができる。これにより、画像データ処理部101とLED制御部102を接続する配線(信号線SL1)を短くすることができるので、信号線SL1にノイズが入ることによって生じうる画像品質の低下も抑制することが可能となる。
【0053】
特に、本実施形態では、画像データ処理部101、LED制御部102および電圧変換部103が1つの回路基板(メイン基板100)に形成されているので、これらが別の回路基板にそれぞれ形成される構成と比較して、電圧変換部103とLED制御部102や、画像データ処理部101とLED制御部102をより近づけて配置することができる。これにより、電力線EL1や信号線SL1をより短くすることができるので、電圧降下やノイズの影響をより確実に抑制することができる。
【0054】
なお、カラープリンタ1では、電圧変換部103に電圧V0の直流電源を供給する電力線EL8が長くなるが、電圧V0は高電圧(例えば24V)であるので、電力線EL8における電力のロスを小さくすることができる。
【0055】
電源基板150から電圧変換部103に供給される直流電源の電圧が1種類の値であるので、電源基板150から引き出される電力線の数や、電源基板150上のコネクタの数などを減らすことができる。
【0056】
また、電圧変換部103は、画像データ処理部101が形成された回路基板(メイン基板100)に形成され、電力(第2の電圧V21,V22に変換した直流電源)を画像データ処理部101にも供給するので、例えば、画像データ処理部101と電圧変換部103が別の回路基板にそれぞれ形成され、電源基板150から画像データ処理部101と電圧変換部103にそれぞれ直流電源が供給される構成と比較して、電源基板150から引き出される電力線の数や、電源基板150上のコネクタの数などを減らすことができる。
【0057】
さらに、電圧変換部103は、電力(第3の電圧V31,V32に変換した直流電源)をモータ制御部141にも供給するので、例えば、電源基板150から電圧変換部103とモータ制御部141にそれぞれ直流電源が供給される構成と比較して、電源基板150から引き出される電力線の数や、電源基板150上のコネクタの数などを減らすことができる。
【0058】
以上のように、電源基板150から引き出される電力線の数や、電源基板150上のコネクタの数などを減らすことができることで、カラープリンタ1の配線構造を簡略化することができるとともに、電源基板150の配置の自由度を高めることができる。また、コネクタの数が減らせることで電源基板150を小型化したり、配線の数が減らせることでカラープリンタ1内の配線を配置するためのスペースを小さくしたりすることができるので、カラープリンタ1の小型化を図ることも可能となる。
【0059】
電圧変換部103とモータ制御基板140が電力線EL4,EL5,EL8を含む複数の導線を有する1本のフラットケーブルCにより接続されているので、カラープリンタ1の配線構造を簡略化することができる。また、フラットケーブルC(配線)を配置するためのスペースを小さくできるので、カラープリンタ1の小型化を図ることも可能となる。
【0060】
なお、カラープリンタ1は、露光装置としてのLEDユニット40が複数のヘッド部41を有し、各ヘッド部41が複数の発光部(LED)を備えるので、露光装置を駆動させるための電力(電流)が、例えば、レーザ光を感光体の表面で高速走査することにより感光体を露光する露光装置(レーザスキャナ)を駆動させる場合よりも大きくなっており、電圧降下の影響をより受けやすくなっている。したがって、本発明は、カラープリンタ1のような、露光装置が感光体にそれぞれ対向して配置される複数の露光ヘッドを有する画像形成装置に対して特に有効なものである。
【0061】
本実施形態では、LEDユニット40とメイン基板100(LED制御部102が形成された回路基板)がともにアッパーカバー11に固定されているので、LEDユニット40(ヘッド部41)とLED制御部102を近づけて配置することができる。これにより、LED制御部102とヘッド部41を接続する配線(信号線SL3)を短くすることができるので、信号線SL3にノイズが入ることによって生じうる画像品質の低下も抑制することが可能となる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0063】
前記実施形態では、画像データ処理部101、LED制御部102(露光装置制御部)および電圧変換部103が1つの回路基板(メイン基板100)に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像データ処理部と電圧変換部が1つの回路基板に形成され、露光装置制御部が別の回路基板に形成されていてもよい。また、画像データ処理部、露光装置制御部および電圧変換部は、それぞれ別の回路基板に形成されていてもよい。
【0064】
前記実施形態では、電圧変換部103とモータ制御基板140が1本のフラットケーブルCにより接続されていたが、本発明はこれに限定されず、複数本のケーブルにより接続されていてもよい。例えば、電力線EL4,EL5,EL8を含むケーブルと信号線SL2を含むケーブルを別に設けてもよい。
【0065】
前記実施形態では、電圧変換部103は、電源基板150から供給された直流電源を1種類の第1の電圧V1に変換してLED制御部102に供給していたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第1の電圧は、2種類(例えば、3.3Vと1.8V)であってもよいし、3種類以上であってもよい。
【0066】
前記実施形態では、電圧変換部103は、電源基板150から供給された電圧V0の直流電源を2種類の第2の電圧V21,V22や2種類の第3の電圧V31,V32に変換して、画像データ処理部101やモータ制御部141に供給していたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第2の電圧や第3の電圧は、1種類であってもよいし、3種類以上であってもよい。
【0067】
前記実施形態では、電源基板150から電圧変換部103に供給される直流電源の電圧が1種類の値(1種類の電圧)であったが、本発明はこれに限定されず、複数種類の電圧であってもよい。すなわち、本発明は、電源基板において交流電源から変換された直流電源を、複数種類の電圧に変換して電圧変換部に供給してもよい。なお、この場合であっても、本発明においては、露光装置制御部の駆動に必要な電力(第1の電圧)は、電圧変換部で変換し、露光装置制御部に供給するものとする。
【0068】
前記実施形態では、電圧変換部103は、電力(所定の電圧に変換した直流電源)を画像データ処理部101やモータ制御部141にも供給していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電圧変換部は、電源基板から供給された直流電源を当該直流電源の電圧よりも絶対値が小さい第1の電圧に変換して露光装置制御部だけに供給するものであってもよい。この場合、画像データ処理部やモータ制御部に供給する電力は、電源基板が、交流電源から変換された直流電源を、所定の電圧に変換して画像データ処理部やモータ制御部などに供給するように構成してもよい。
【0069】
また、本発明において、電圧変換部は、電源基板から供給された直流電源(1種類の電圧)を、画像形成装置の各部で必要なすべての種類の電圧に変換して各部に供給するように構成されていてもよい。なお、この場合には、電圧変換部から引き出される配線の数が増えたり、電圧変換部が形成された回路基板に配線を接続するためのインターフェースの数などが増えて当該回路基板が大型化したりする可能性がある。しかし、露光装置の上方(カバー内)は感光体の下方(本体筐体内)に比べて配置される部材が少ないため、スペースを確保しやすいので、大きな問題とはならない。
【0070】
前記実施形態では、モータ制御基板140が本体筐体10に固定されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば、モータ制御基板140がアッパーカバー11に固定されていてもよい。
【0071】
前記実施形態では、露光装置としてLEDユニット40を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ヘッド部41(露光ヘッド)は、発光部として、LEDの代わりに、EL素子や蛍光体などを備えていてもよい。また、露光ヘッドは、蛍光灯やLEDなどのバックライトの出射側に、液晶素子やPLZT素子などの光学シャッタが配列された構成であってもよい。さらに、露光装置は、露光ヘッドを有するものに限定されず、例えば、1つまたは複数のレーザスキャナなどであってもよい。
【0072】
前記実施形態では、アッパーカバー11が、回動軸12を中心として本体筐体10に対して回動することで、本体筐体10の開口10Aを開閉するように構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カバーは、上下に平行移動することで、本体筐体の開口を開閉するように構成されていてもよい。
【0073】
前記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、フラットベッドスキャナなどの原稿読取装置を備える複写機や複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 カラープリンタ
10 本体筐体
10A 開口
11 アッパーカバー
40 LEDユニット
41 ヘッド部
51 感光体ドラム
100 メイン基板
101 画像データ処理部
102 LED制御部
103 電圧変換部
140 モータ制御基板
141 モータ制御部
150 電源基板
C フラットケーブル
EL4 電力線
EL5 電力線
EL8 電力線
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列配置された複数の感光体と、
前記複数の感光体の上方に配置され、前記複数の感光体を露光する露光装置と、
前記露光装置の上方に配置され、画像データに基づいて前記露光装置を制御する露光装置制御部と、
前記複数の感光体の下方に配置され、交流電源を直流電源に変換する電源基板と、
前記露光装置の上方に配置され、前記電源基板から供給された直流電源を当該直流電源の電圧よりも絶対値が小さい少なくとも1種類の第1の電圧に変換して前記露光装置制御部に供給する電圧変換部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電源基板から前記電圧変換部に供給される直流電源の電圧は、1種類の値であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記露光装置は、前記感光体にそれぞれ対向して配置される複数の露光ヘッドを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記露光装置の上方に配置され、入力された画像データを記憶処理し、処理した画像データを前記露光装置制御部に出力する画像データ処理部を備え、
前記電圧変換部は、前記画像データ処理部が形成された回路基板に形成され、前記電源基板から供給された直流電源を少なくとも1種類の第2の電圧に変換して前記画像データ処理部に供給することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の感光体を支持し、上面に開口が形成された本体筐体と、
前記本体筐体の上部に設けられ、前記開口を開閉するカバーと、を備え、
前記露光装置、前記露光装置制御部が形成された回路基板および前記電圧変換部が形成された回路基板は、前記カバーに固定され、
前記電源基板は、前記本体筐体に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の感光体を支持し、上面に開口が形成された本体筐体と、
前記本体筐体の上部に設けられ、前記開口を開閉するカバーと、を備え、
前記露光装置、前記露光装置制御部が形成された回路基板、前記電圧変換部が形成された回路基板および前記画像データ処理部が形成された回路基板は、前記カバーに固定され、
前記電源基板は、前記本体筐体に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記本体筐体に設けられ、前記感光体を駆動するモータと、
前記モータの駆動を制御するモータ制御部と、を備え、
前記モータ制御部が形成された回路基板は、前記本体筐体に固定され、
前記電圧変換部は、前記電源基板から供給された直流電源を少なくとも1種類の第3の電圧に変換して前記モータ制御部に供給することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記電源基板からの直流電源は、前記モータ制御部が形成された回路基板を通って前記電圧変換部に供給され、
前記電圧変換部と前記モータ制御部が形成された回路基板は、直流電源を前記モータ制御部が形成された回路基板から前記電圧変換部に供給する導線と、前記第3の電圧に変換した直流電源を前記電圧変換部から前記モータ制御部に供給する導線とを含む複数の導線を有する1本のケーブルにより接続されていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記電圧変換部、前記露光装置制御部および前記画像データ処理部は、1つの回路基板に形成されていることを特徴とする請求項4または請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−168317(P2012−168317A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28441(P2011−28441)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】