説明

画像形成装置

【課題】ユーザーによるユニット交換などの作業を容易にするとともに、ユーザーが取り扱わないユニットに対して、ユーザーが誤って触れることがないようにする。
【解決手段】画像形成装置の下部カバー13は、ユーザーが取り扱わないユニットを覆う。下部カバー13を開ける場合、廃トナーボトルカバー15を開けて、下部カバー13の凸片13aを介してネジ穴25cに入れられたネジを外す。そして、上部カバー11を開けて、下部カバー13のスライド部材43をスライドさせて、スライド部材43を装置本体100に固定された当接部材の後ろに位置しないようする(当接を解除する)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置の装置本体の一側面に設けられたカバーの開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、装置本体の開口部を閉止するアウターカバーを開口部から完全に着脱可能にし、アウターカバーを取り外してからトナー回収タンクや感光体ユニット等の取り出しができる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−325666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置には装置本体に対して着脱可能に装着されるいくつかのユニット(例えば、トナー用コンテナー、感光体ドラムユニット、現像ローラーユニット)がある。これらのユニットの装着箇所はフロントカバーで覆われており、ユニットを交換する場合、フロントカバーを開けて交換をする。
【0005】
これらのユニットにおいて、例えば、トナー用コンテナーは、トナーがなくなると直ちに交換できるように、ユーザーが取り扱えるようにされたユニットである。これに対して、例えば、感光体ドラムユニットは、画像形成装置の状態に応じてサービスマンが交換の判断をするので、ユーザーには取り扱わせないユニットである。
【0006】
本発明は、ユーザーによるユニット交換などの作業を容易にするとともに、ユーザーが取り扱わないユニットに対して、ユーザーが誤って触れることがないようにすることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体の一側面に開閉可能に設けられた、閉じた状態において前記一側面の第1の領域を覆う第1のカバーと、前記装置本体の前記一側面に開閉可能に設けられた、閉じた状態において前記一側面の第2の領域を覆う第2のカバーと、前記第1のカバーが閉じられている場合に前記第1のカバーが開かれるのを阻止すると共に前記第2のカバーを開けた状態で当該阻止を解除できるようにされた第1の阻止手段と、を備える。
【0008】
本発明によれば、第1のカバーが閉じられている場合に第1のカバーは第1の阻止手段により開かれるのが阻止されている。第1のカバーを開けるには、第2のカバーを開けて、第1の阻止手段を解除しなければならないので、ユーザーに第1のカバーの開け方を気づきにくくさせることができる。よって、ユーザーに取り扱わせないユニットの装着箇所を第1のカバーで覆うようにすれば、ユーザーに取り扱わせないユニットに対して、ユーザーが誤って触れることがない(言い換えれば、アクセスできない)ようにすることができる。
【0009】
上記構成において、前記装置本体の前記一側面に開閉可能に設けられた、閉じた状態において前記一側面の第3の領域を覆う第3のカバーと、前記第1のカバーが閉じられている場合に前記第1のカバーが開かれるのを阻止すると共に前記第3のカバーを開けた状態で当該阻止が解除できるようにされた第2の阻止手段と、を備える。
【0010】
この構成によれば、第1のカバーが閉じられている場合に第1のカバーは第2の阻止手段により開かれるのが阻止されている。第1のカバーを開けるには、第3のカバーを開けて、第2の阻止手段を解除すると共に第2のカバーを開けて、第1の阻止手段を解除しなければならないので、ユーザーが第1のカバーを誤って開きにくくさせることができる。
【0011】
上記構成において、前記第2のカバーを閉じた状態で前記第3のカバーを開けた場合、前記第1の阻止手段は前記装置本体の外部から見て隠れた位置にあり、前記第3のカバーを閉じた状態で前記第2のカバーを開けた場合、前記第2の阻止手段は前記装置本体の外部から見て隠れた位置にある。
【0012】
この構成によれば、第2のカバーを開けることにより、第1の阻止手段の阻止を解除できる状態であっても、第3のカバーが閉じられていれば、第2の阻止手段は装置本体の外部から見て隠れた位置にある。従って、ユーザーが第1の阻止手段の阻止を解除しても、第2の阻止手段の阻止を解除するのを防止できる。
【0013】
同様に、第3のカバーを開けることにより、第2の阻止手段の阻止を解除できる状態であっても、第2のカバーが閉じられていれば、第1の阻止手段は装置本体の外部から見て隠れた位置にある。従って、ユーザーが第2の阻止手段の阻止を解除しても、第1の阻止手段の阻止を解除するのを防止できる。
【0014】
上記の構成において、前記第1の阻止手段と前記第2の阻止手段のうち、少なくとも1つの阻止手段は解除するために工具を必要とする構造になっている。
【0015】
この構成によれば、少なくとも1つの阻止手段を解除するには工具が必要であるため、ユーザーが誤って両方の阻止手段を解除して第1のカバーを開くことを難しくすることができる。
【0016】
上記の構成において、前記一側面は前記装置本体の前面であり、前記第2のカバーは前記前面の上方の領域を覆うように下端付近を支点に上開きで開閉可能に支持されており、前記第1カバーは前記第2のカバーが覆う領域の下方に隣接する領域を覆うように下端付近を支点に上開きに開閉可能に支持されており、前記第3のカバーは前記第1のカバーの一方の側端に隣接する領域を覆うように前記装置本体の側端付近を支点に横開きで開閉可能に支持されている。
【0017】
この構成によれば、ユーザーが開閉する第2のカバー及び第3のカバーを容易に開閉できるととともに、阻止手段を解除して第1のカバーを誤って開閉しようとすることを難しくすることができる。
【0018】
また、前記装置本体には、用紙搬送手段によって搬送される用紙にトナー画像を形成するための画像形成部が収納されており、前記第2のカバーを開いた状態において、前記画像形成部にトナーを補給するトナーカートリッジが着脱可能であり、前記用紙搬送手段の一部を引き出して搬送路を開放することが可能である。
【0019】
この構成によれば、用紙搬送手段でジャムした用紙を取り除く際に搬送路にアクセスするために開閉するカバーと補給するトナーがなくなった時にトナーカートリッジを交換するために開閉するカバーをそれぞれ設ける必要がないために、装置の取り扱いが簡略になるとともに部材を削減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザーが取り扱わないユニットに対して、ユーザーが簡単に触れることができないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の装置本体の内部構造を示す図である。
【図3】廃トナーボトルカバーを開けた状態の装置本体の前面の部分拡大図である。
【図4】上部カバーを開けた状態の装置本体の前面の部分拡大図である。
【図5】上部カバーを開けて、トナー用コンテナーを取り外した状態の装置本体の前面の部分拡大図である。
【図6】上部カバーの一方のヒンジの付近を拡大した図である。
【図7】第1の阻止手段の一例の模式図である。
【図8】第1の阻止手段の他の例の模式図である。
【図9】下部カバーを開けた状態の装置本体の斜視図である。
【図10】第1及び第2の阻止手段として、係止手段を用いた例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の全体を示す斜視図である。図2は画像形成装置1の装置本体100の内部構造を示す図である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作部400を備える。図2では操作部400を省略している。
【0023】
装置本体100の上に原稿読取部200が配置されており、原稿読取部200の上に原稿給送部300が配置されている。
【0024】
原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
【0025】
原稿読取部200は露光ランプ等を搭載したキャリッジ、ガラス等の透明部材により構成された原稿台、CCD(Charge Coupled Device)センサー及び原稿読取スリット(いずれも不図示)を備える。CCDセンサーは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0026】
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留することができる用紙カセット107a〜107dを備える。用紙カセット107a〜107dは三段構成にされている。一番上に用紙カセット107aが配置され、その下に、用紙カセット107bが配置され、一番下に用紙カセット107c,107dが並べて配置されている。
【0027】
用紙カセット107a〜107dのうち、選択されたカセットに貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラー(不図示)の駆動により、装置本体100の用紙搬送路107へ向けて送出される。用紙は用紙搬送路107を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0028】
用紙搬送路は装置本体100の一方の側面(図2において右側の側面)に沿って下方から上方に向かって略垂直方向に延設され、上方で他方の側面(図2において左側の側面)に向かうように湾曲して、原稿読取部200の下方に沿って略水平方向に延びている。そして、その端部に排出トレイ131が設けられている。
【0029】
画像形成部103は搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103はトナー画像を転写ベルト113に転写する順番に従って配置された、イエロー画像形成部111Y、マゼンタ画像形成部111M、シアン画像形成部111C、ブラック画像形成部111Bkを備える。これらのユニットは同様の構成を有しており、イエロー画像形成部111Yを例にして説明する。
【0030】
イエロー画像形成部111Yは感光体ドラム115及び露光装置117を備える。感光体ドラム115の周りには帯電装置119、現像装置121及びクリーニング装置123が配置されている。帯電装置119は感光体ドラム115の周面を一様に帯電させる。露光装置117は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応して変調された光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム115の周面に照射する。これにより、感光体ドラム115の周面にはイエローの画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム115の周面に現像装置121からイエロートナーを供給することにより、周面にはイエローの画像データに対応するトナー画像が形成される。
【0031】
転写ベルト113は感光体ドラム115と1次転写ローラー125により挟まれた状態で反時計周りに動くことができる。イエローのトナー画像は感光体ドラム115から転写ベルト113に転写される。感光体ドラム115の周面に残っているイエロートナーはクリーニング装置123によって除去される。以上がイエロー画像形成部111Yの説明である。
【0032】
イエロー画像形成部111Y、マゼンタ画像形成部111M、シアン画像形成部111C、ブラック画像形成部111Bkの上方には、対応する色のトナーを収容したコンテナー、すなわち、イエロートナー用コンテナー127Y、マゼンタトナー用コンテナー127M、シアントナー用コンテナー127C、ブラックトナー用コンテナー127Bkが配置されている。各色の現像装置121には対応するコンテナーからトナーが補給される。
【0033】
上述したように転写ベルト113にはイエローのトナー画像が転写され、このトナー画像に重ねてマゼンタのトナー画像が転写され、同様に、シアンのトナー画像、ブラックのトナー画像が重ねて転写される。これにより転写ベルト113にカラーのトナー画像が形成される。このように各色のパターンのトナー画像を転写ベルト113に重畳して転写することにより、転写ベルト113にカラーのトナー画像が形成される。カラーのトナー画像は2次転写ローラー129によって、先ほど説明した用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
【0034】
カラーのトナー画像が転写された用紙は定着部105に送られる。定着部105は加熱ローラーと定着ローラーとを備える。これらのローラーによって、カラーのトナー画像が転写された用紙が挟まれる。これにより、カラーのトナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、カラーのトナー画像を用紙に定着させる。用紙は排紙トレイ131に排紙される。
【0035】
操作部400は操作キー部401と表示部403を備える。表示部403はタッチパネル機能を有しており、ソフトキーを含む画面が表示される。ユーザーは画面を見ながらソフトキーを操作することによって、コピー等の機能の実行に必要な設定等をする。
【0036】
操作キー部401にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的にはスタートキー、テンキー、ストップキー、リセットキー、コピー、プリンター、スキャナー及びファクシミリを切り換えるための機能切換キー等が設けられている。
【0037】
スタートキーはコピー、ファクシミリ送信等の動作を開始させるキーである。テンキーはコピー部数、ファクシミリ番号等の数字を入力するキーである。ストップキーはコピー動作等を途中で中止させるキーである。リセットキーは設定された内容を初期設定状態に戻すキーである。
【0038】
機能切換キーはコピーキー及び送信キー等を備えており、コピー機能、送信機能等を相互に切り替えるキーである。コピーキーを操作すれば、コピーの初期画面が表示部403に表示される。送信キーを操作すれば、ファクシミリ送信及びメール送信の初期画面が表示部403に表示される。
【0039】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1の装置本体100に設けられたカバーについて説明する。図1に示すように、装置本体100の前面(一側面の一例)には上部カバー11(第2のカバーの一例)、下部カバー13(第1のカバーの一例)及び廃トナーボトルカバー15(第3のカバーの一例)が装置本体100に対して開閉可能に設けられている。
【0040】
装置本体100の前面を上部、中部、下部に分けると、上部カバー11が上部、下部カバー13が中部、廃トナーボトルカバー15が中部から下部に位置する。なお、用紙貯留部101(すなわち、三段構成の用紙カセット107a〜107d)は下部に位置する。
【0041】
上部カバー11は横方向が長手方向であり、装置本体100の前面からみて、装置本体100の一方側部から他方側部に亘って延びている。上部カバー11は閉じた状態において、装置本体100の前面の第2の領域を覆う。具体的に説明すると、上部カバー11は図2に示す装置本体100に装着された、イエロートナー用コンテナー127Y、マゼンタトナー用コンテナー127M、シアントナー用コンテナー127C及びブラックトナー用コンテナー127Bkを覆う。また、原稿読取部200の下方に沿って延びる搬送路107の水平搬送路107eを覆っている。
【0042】
下部カバー13は上部カバー11の下に配置されている。下部カバー13は横方向が長手方向であり、下部カバー13の横方向の寸法は上部カバー11の横方向の寸法より小さくされている。下部カバー13は閉じた状態において、装置本体100の前面の第1の領域を覆う。具体的に説明すると、下部カバー13は図2に示す装置本体100に装着された、イエロー画像形成部111Y、マゼンタ画像形成部111M、シアン画像形成部111C及びブラック画像形成部111Bkを覆う。
【0043】
下部カバー13の下には三段の用紙カセット107a〜107dが装置本体100から引き出し可能に配置されている。
【0044】
廃トナーボトルカバー15は縦方向が長手方向であり、上部カバー11、下部カバー13及び三段の用紙カセット107a〜107dで規定される領域に配置されている。廃トナーボトルカバー15は閉じた状態において、装置本体100の前面の第3の領域を覆う。具体的に説明すると、廃トナーボトルカバー15は装置本体100に装着された廃トナーボトルを覆う。
【0045】
図3は廃トナーボトルカバー15を開けた状態の装置本体100の前面の部分拡大図である。廃トナーボトルカバー15はヒンジ(不図示)により装置本体100に開閉自在に取り付けられている。廃トナーボトルカバー15はヒンジを支点として約180度、左開きすることができる。
【0046】
廃トナーボトルカバー15を開けると、廃トナーボトル21が収容されている収容部23及びユニット嵌込フレームの一方の側部25aが現れる。ユニット嵌込フレームは下部カバー13で覆われており、一方の側部25aがはみ出している。
【0047】
廃トナーボトル21は装置本体100から着脱可能に収容部23に収容されている。装置本体100の前面から見て、廃トナーボトル21の頂部21aがスライド部材27の後ろに位置している。これにより、廃トナーボトル21が収容部23から抜けないようにしている。
【0048】
スライド部材27は上下方向にスライド可能に側部25aに設けられている。廃トナーボトル21を収容部23から取り出すときは、スライド部材27を上にスライドさせて、スライド部材27が廃トナーボトル21の頂部21aの前に位置しないようにして、廃トナーボトル21を収容部23から引き出す。
【0049】
下部カバー13は、その側部の上部に横方向に延びた凸片13aが形成されている。下部カバー13は凸片13aにおいて、ネジ29により側部25aにネジ止めされている。これにより、下部カバー13が開かれるのを阻止している。凸片13a及びネジ29は第2の阻止手段の一例である。
【0050】
第2の阻止手段は、第1のカバー(下部カバー13)が閉じられている場合に第1のカバーが開かれるのを阻止すると共に第3のカバー(廃トナーボトルカバー)を開けた状態でその阻止が解除できるようにされたものである。本実施形態では、下部カバー13を閉じた状態で、ネジ29により下部カバー13をユニット嵌込フレームの側部25aにネジ止めをして、下部カバー13が開かれるのを阻止している。下部カバー13を開ける場合はネジ29を外して阻止を解除する。
【0051】
図4は上部カバー11を開けた状態の装置本体100の前面の部分拡大図である。上部カバー11の下部の両端は、ヒンジ31,33により装置本体100に取り付けられている。上部カバー11はヒンジ31,33の支点により90度、上開きすることができる。
【0052】
上部カバー11を開けると、ユニット嵌込フレーム35が現れる。ユニット嵌込フレーム35には、イエロートナー用コンテナー127Y、マゼンタトナー用コンテナー127M、シアントナー用コンテナー127C及びブラックトナー用コンテナー127Bkがそれぞれ嵌め込まれている。これらのコンテナーは、装置本体100に着脱可能に装着される、ユーザーが取り扱えるようにされたユニットの一例である。各トナーコンテナ127Y,127M,127C,127Bkは、図4において前後方向に挿脱することが可能である。
【0053】
図5は図4において、イエロートナー用コンテナー127Y、マゼンタトナー用コンテナー127M、シアントナー用コンテナー127C及びブラックトナー用コンテナー127Bkを取り出した状態を示している。ユニット嵌込フレーム35には、イエロートナー用コンテナー127Yが収容される収容部37Y、マゼンタトナー用コンテナー127Mが収容される収容部37M、シアントナー用コンテナー127Cが収容される収容部37C及びブラックトナー用コンテナー127Bkが収容される収容部37Bkが形成されている。また、各収容部37Y,37M,37C,37Bkの上方には、水平搬送路107eを構成する搬送ユニット(不図示)を収納する搬送収容部107fが形成されている。搬送ユニットは搬送収容部107fから前方に引き出し可能に収納されており、搬送ユニット内に用紙がジャムした場合には搬送ユニットを前方に引き出して搬送路を開放して用紙を取り除くことが可能なように構成されている。
【0054】
図6はヒンジ31付近を拡大した斜視図である。図6の(A)を参照して、装置本体100の前面からみて、下部カバー13の内面の右上部には、スライド部材43が設けられている。ユニット嵌込フレーム35にはヒンジ31付近に当接部材41が形成されている。図6の(A)に示すスライド部材43と当接部材41との位置関係を模式的に示したのが図7の(A)である。
【0055】
スライド部材43及び当接部材41は第1の阻止手段の一例である。第1の阻止手段は第1のカバー(下部カバー13)及び装置本体100の一方に設けられたスライド部材43と、他方に設けられ、そのスライド部材43と当接可能な当接部材41とを備える。第1の阻止手段は第1のカバーが閉じられている場合に第1のカバーが開かれるのを阻止すると共に第2のカバー(上部カバー11)を開けた状態でその阻止を解除できるようにされたものである。
【0056】
図6の(A)及び図7の(A)に示すように、下部カバー13の内面には板部材45が固定されている。スライド部材43が、下部カバー13の横方向にスライド可能に板部材45に取り付けられている。スライド部材43は凸片43aを有している。下部カバー13を閉じた状態で、スライド部材43を右方向Rにスライドさせると、装置本体100の前面からみて、凸片43aを当接部材41の後ろに位置させることができる。これにより、下部カバー13を開けようとすると、スライド部材43の凸片43aが当接部材41と当接するので、下部カバー13が開かれるのが阻止される。
【0057】
図6の(B)は図6の(A)の状態から、スライド部材43を左方向Lにスライドさせて、装置本体100の前面からみて、凸片43aが当接部材41の後ろに位置しないように移動させた状態を示している。図7の(B)はその状態を示す模式図である。これにより、下部カバー13を開ける場合に、凸片43aが当接部材41に当接しないので、下部カバー13が開かれるのを阻止することが解除される。
【0058】
第1の阻止手段の他の例として、第1のカバー(下部カバー13)及び装置本体100の一方に設けられた回動部材と、他方に設けられ、その回動部材と当接可能な当接部材とを備えたものがある。図8は第1の阻止手段の他の例の模式図であり、図7と対応する。図8の(A)に示すように、回動部材47は板部材45上でピン49を中心に回動可能にされている。回動部材47は凸片47aを有しており、回動部材47を時計方向に回動させると、凸片47aを当接部材41の後ろに位置させることができる。これにより、下部カバー13を開けようとすると、凸片47aが当接部材41と当接するので、下部カバー13が開かれるのが阻止される。
【0059】
図8の(B)は図8の(A)の状態から、回動部材47を反時計方向に回動させて、凸片47aが当接部材41の後ろに位置しないように移動させた状態を示している。これにより、下部カバー13を開ける場合に、凸片47aが当接部材41に当接しないので、下部カバー13が開かれるのを阻止することが解除される。
【0060】
なお、図7及び図8で説明した第1の阻止手段を第2の阻止手段として、図3に示すネジ29及び凸片13aで構成される第2の阻止手段の換わりに用いてもよい。また、ネジ29及び凸片13aで構成される第2の阻止手段を第1の阻止手段として、図7及び図8で説明した第1の阻止手段の換わりに用いてもよい。
【0061】
次に、下部カバー13の開け方を説明する。下部カバー13を開けるには、図6に示すスライド部材43をスライドさせて、図6の(B)の状態とし、かつ、図3に示すネジ29をドライバーなどの工具を用いて外す必要がある。いずれが、先でもよいが、ネジ29を先に外す例を説明する。
【0062】
図3に示すように、画像形成装置1の取扱者は廃トナーボトルカバー15を開けて、ネジ29を装置本体100の外部に露出させる。ドライバーを利用して、ネジ29を外した後、図4に示すように、上部カバー11を開ける。
【0063】
スライド部材43は上部カバー11を開けた状態で上方から目視でき、取扱者がスライド部材43を操作することができる。図6に示すように、取扱者はスライド部材43を左方向にスライドさせて、図6の(B)に示すように、スライド部材43の凸片43aが当接部材41の後ろに位置させないようにする。以上により、下部カバー13を開けることができる。
【0064】
図9は下部カバー13を開けた状態の装置本体100の斜視図である。下部カバー13の下部の両端は、ヒンジ51,53により装置本体100に取り付けられている。下部カバー13はヒンジ51,53の支点により90度、上開きすることができる。
【0065】
下部カバー13を開けると、ユニット55、ユニット57Y、ユニット57M、ユニット57C、ユニット57Bk及び内側カバー59が現れる。これらのユニットはユニット嵌込フレーム25にそれぞれ嵌め込まれている。これらのユニットは、装置本体100に着脱可能に装着される、ユーザーが取り扱わないユニットの例である。このようなユニットは、感光体ドラムユニット、現像ローラーユニット等であり、サービスマンが画像形成装置1の状態に応じて交換を判断する。これらのユニットは、高電圧が印加されて感電のおそれがあったり、不用意に手を触れると画像形成装置1の性能劣化を招くおそれがあったりするため、下部カバー13によってユーザーが誤って手を触れることができないようにされている。
【0066】
ユニット57Yは図2に示すイエロー画像形成部111Yに用いられるユニットであり、ユニット57Mはマゼンタ画像形成部111Mに用いられるユニットであり、ユニット57Cはシアン画像形成部111Cに用いられるユニットであり、ユニット57Bkはブラック画像形成部111Bkに用いられるユニットである。ユニット55は各色共通に用いられるユニットである。
【0067】
以上のように、下部カバー13は、装置本体100に開閉可能に設けられ、開けた状態で装置本体100に対して着脱可能なユニットの装着箇所(ユニット嵌込フレーム25)が現れ、閉じた状態でその装着箇所を覆う。
【0068】
ユニット嵌込フレーム25の側部25aの上部には、ネジ穴25cが形成されている。下部カバー13を閉じた状態で、図3に示すネジ29を、下部カバー13の凸片13aに形成された穴(不図示)に通して、ネジ29をネジ穴25cに嵌める。これにより、下部カバー13がネジ止めされる。
【0069】
ユニット57Y、ユニット57M、ユニット57C及びユニット57Bkは、内側カバー59で部分的に覆われている。内側カバー59はネジ61a,61b,61cによりユニット嵌込フレーム25にネジ止めされている。それらのユニットを交換するときは、ネジ61a,61b,61cを外した後、内側カバー59を外す必要がある。このようにすることにより、ユニット57Y、ユニット57M、ユニット57C及びユニット57Bkに対しては、ユーザーがさらにアクセスしにくくしている。
【0070】
本実施形態の主な効果を説明する。
【0071】
本実施形態によれば、下部カバー13が閉じられている場合、下部カバー13は第1の阻止手段(スライド部材43及び当接部材41)により開かれるのが阻止されており(図6の(A))、また、下部カバー13は第2の阻止手段(ネジ29及び凸片13a)により開かれるのが阻止されている(図3)。下部カバー13を開けるには、上部カバー11を開けて、第1の阻止手段を解除すると共に廃トナーボトルカバー15を開けて、第2の阻止手段を解除しなければならないので、ユーザーに下部カバー13の開け方を気づきにくくさせることができる。下部カバー13は、ユーザーが取り扱わないユニットの装着箇所を覆うので、本実施形態によれば、ユーザーが取り扱わないユニットに対して、ユーザーが誤って触れることができない(言い換えれば、アクセスできない)ようにすることができる。
【0072】
また、上部カバー11及び廃トナーボトルカバー15を開けるのに、第1の阻止手段及び第2の阻止手段の解除は不要なので、ユーザーが開閉する上部カバー11及び廃トナーボトルカバー15を容易に開閉できるととともに、第1及び第2の阻止手段を解除して下部カバー13を誤って開閉しようとすることを難しくすることができる。
【0073】
本実施形態は第1の阻止手段及び第2の阻止手段の両方を備える場合で説明したが、いずれか一方でもよい。第1の阻止手段及び第2の阻止手段の両方のほうが、いずれか一方よりも、ユーザーに下部カバー13を誤って開きにくくさせることができる。
【0074】
また、本実施形態では、図3に示すように、上部カバー11を閉じた状態で廃トナーボトルカバー15を開けた場合、第1の阻止手段(スライド部材43及び当接部材41)は装置本体100の外部から見て隠れた位置にある。図4に示すように、廃トナーボトルカバー15を閉じた状態で上部カバー11を開けた場合、第2の阻止手段(ネジ29及び凸片13a)は装置本体100の外部から見て隠れた位置にある。
【0075】
従って、上部カバー11を開けることにより、第1の阻止手段の阻止を解除できる状態であっても、廃トナーボトルカバー15が閉じられていれば、第2の阻止手段は装置本体100の外部から見て隠れた位置にある。このため、ユーザーが第1の阻止手段の阻止を解除しても、第2の阻止手段の阻止を解除するのを防止できる。
【0076】
同様に、廃トナーボトルカバー15を開けることにより、第2の阻止手段の阻止を解除できる状態であっても、上部カバー11が閉じられていれば、第1の阻止手段は装置本体100の外部から見て隠れた位置にある。従って、ユーザーが第2の阻止手段の阻止を解除しても、第1の阻止手段の阻止を解除するのを防止できる。
【0077】
また、本実施形態によれば、第1の阻止手段と第2の阻止手段のうち、第2の阻止手段は解除するために工具を必要とする構造(ネジ止め構造)になっている。このため、ユーザーが誤って両方の阻止手段を解除して下部カバー13を開くことを難しくすることができる。なお、解除するために工具を必要とする構造は、第1の阻止手段に適用してもよいし、両方の阻止手段に適用してもよい。
【0078】
さらに、本実施形態によれば、図2及び図4に示すように、装置本体100には、画像形成部103が収納されており、上部カバー11を開いた状態において、トナー用コンテナー127Y,127M,127C,127Bk(トナーカートリッジ)が着脱可能であり、用紙搬送路107の一部を引き出して用紙搬送路107を開放することが可能である。用紙搬送路107の一部とは、水平搬送路107eを構成する搬送ユニット(不図示)である。この搬送ユニットは搬送収容部107fに収容されている。従って、用紙搬送路107でジャムした用紙を取り除く際に用紙搬送路107にアクセスするために開閉するカバーと補給するトナーがなくなった時にトナー用コンテナーを交換するために開閉するカバーをそれぞれ設ける必要がないために、装置本体100の取り扱いが簡略になるとともに部材を削減することができる。
【0079】
本実施形態では、図7に示すスライド部材43及び当接部材41を第1の阻止手段の一例として説明し、図8に示す回動部材47及び当接部材41を第1の阻止手段の他の例として説明している。また、図3に示すネジ29及び凸片13aを第2の阻止手段の一例として説明している。
【0080】
第1の阻止手段及び第2の阻止手段はこれらに限定されず、爪部を用いた係止手段を用いることもできる。これを第1の阻止手段を例に説明する。図10は爪部61と、爪部61を引っかけることが可能な穴部材63との位置関係を模式的に示す図であり、図7及び図8と対応する。
【0081】
爪部61は可撓性の材料からなり、かえし状の先端部61aと反対側の端部が下部カバー部13の内側に固定されている。ユニット嵌込フレーム35(図4)には、ヒンジ31付近に穴部材63が設けられている。穴部材63は爪部61が挿入可能な穴部63aを有する。
【0082】
図10の(A)に示すように、下部カバー13を閉じた場合、爪部61が穴部63aに挿入された状態で爪部61の先端部61aが穴部材63の裏側の面63bに係止する。これにより、下部カバー13が開かれるのが阻止される。
【0083】
下部カバー13を開ける場合、図10の(B)で示すように、指で爪部61の先端部61aを押して、先端部61aが穴部63aを通ることができるようにして、下部カバー13を手前に引いて開ける。
【0084】
なお、爪部61を用いた係止手段の換わりにボルトとナットを用いて、下部カバー13が開かれるのを阻止してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 画像形成装置
11 上部カバー(第2のカバーの一例)
13 下部カバー(第1のカバーの一例)
13a 凸片(第2の阻止手段の一例の構成要素)
15 廃トナーボトルカバー(第3のカバーの一例)
21 廃トナーボトル
25 ユニット嵌込フレーム(ユニットの装着箇所の一例)
29 ネジ(第2の阻止手段の一例の構成要素)
35 ユニット嵌込フレーム
41 当接部材(第1の阻止手段の一例の構成要素)
43 スライド部材(第1の阻止手段の一例の構成要素)
43a 凸片
47 回動部材
47a 凸片
55 ユニット
57Y,57M,57C,57Bk ユニット
59 内側カバー
61 爪部
61a 先端部
63 穴部材
63a 穴部
63b 裏側の面
100 装置本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体の一側面に開閉可能に設けられた、閉じた状態において前記一側面の第1の領域を覆う第1のカバーと、
前記装置本体の前記一側面に開閉可能に設けられた、閉じた状態において前記一側面の第2の領域を覆う第2のカバーと、
前記第1のカバーが閉じられている場合に前記第1のカバーが開かれるのを阻止すると共に前記第2のカバーを開けた状態で当該阻止を解除できるようにされた第1の阻止手段と、を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体の前記一側面に開閉可能に設けられた、閉じた状態において前記一側面の第3の領域を覆う第3のカバーと、
前記第1のカバーが閉じられている場合に前記第1のカバーが開かれるのを阻止すると共に前記第3のカバーを開けた状態で当該阻止が解除できるようにされた第2の阻止手段と、を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2のカバーを閉じた状態で前記第3のカバーを開けた場合、前記第1の阻止手段は前記装置本体の外部から見て隠れた位置にあり、
前記第3のカバーを閉じた状態で前記第2のカバーを開けた場合、前記第2の阻止手段は前記装置本体の外部から見て隠れた位置にある請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の阻止手段と前記第2の阻止手段のうち、少なくとも1つの阻止手段は解除するために工具を必要とする構造になっていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記一側面は前記装置本体の前面であり、前記第2のカバーは前記前面の上方の領域を覆うように下端付近を支点に上開きで開閉可能に支持されており、前記第1のカバーは前記第2のカバーが覆う領域の下方に隣接する領域を覆うように下端付近を支点に上開きに開閉可能に支持されており、前記第3のカバーは前記第1のカバーの一方の側端に隣接する領域を覆うように前記装置本体の側端付近を支点に横開で開閉可能に支持されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装置本体には、用紙搬送手段によって搬送される用紙にトナー画像を形成するための画像形成部が収納されており、
前記第2のカバーを開いた状態において、前記画像形成部にトナーを補給するトナーカートリッジが着脱可能であり、前記用紙搬送手段の一部を引き出して搬送路を開放することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−173339(P2012−173339A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32310(P2011−32310)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】