説明

画像形成装置

【課題】省エネモードへの移行時間を、省エネ性と使用者の利便性の両立を考慮して調整することを課題とする。
【解決手段】受信した複数のジョブのうち待ち状態にあるジョブの情報を登録したジョブ待ち行列と、待機モードから省エネモードへ移行するまでの移行時間とを記憶した記憶部と、処理中のジョブがある場合に、計測期間内に処理要求されたジョブの情報を待ち行列に登録し、かつ最初にその待ち行列に登録した時刻を記憶部に記憶させる待ち行列制御部と、待ち行列に登録されていたジョブがすべてなくなっていることが確認された場合、待ち行列に登録した時刻から、すべての登録ジョブの情報がなくなったことを確認した時刻までの経過時間を計算し、計測期間内において、経過時間を累積した累積時間を算出する累積時間計測部と、算出された累積時間に基づいて、移行時間を設定する移行時間設定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コピーやプリンタ等の画像形成装置に関し、特に、使用されていないときに消費電力を少なくする省エネルギーモードを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、省エネルギーモード(以下、省エネモードとも呼ぶ)を有する画像形成装置では、たとえばコピー等のジョブをすぐに実行できる状態(待機モードあるいは稼働待機状態とも呼ぶ)から、省エネモードに入るまでの移行時間を、使用者が手動で設定できるようになったものがある。
また、過去の使用頻度に対応して、待機モードから省エネモードに入るまでの時間を、自動的に設定する装置もある。
【0003】
たとえば、特許文献1では、稼働待機状態から省エネモードに入るまでの時間(待機時間)を、各時間帯ごと、あるいは各曜日ごとの実際の使用頻度に基づいて、自動的に設定変更するようにした画像形成装置が開示されている。特に、ここでは、曜日及び時間帯について、使用頻度の高い時間帯においては、待機時間を長く設定し、使用頻度の低い時間帯においては、待機時間を短く設定することにより、省エネ効果を高くすることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、待機モードと省エネルギーモードの状態遷移を記憶し、待機と省エネモードとの移行時間と省エネモードからの復帰回数と、予め格納された各省エネモードの消費電力基準値と待機モードへの復帰に要する消費電力基準値とを用いて、省エネモードへの最適な移行時間をシミュレーションによって算出する画像形成装置が開示されている。また、ここでも、時間帯や曜日ごとの使用頻度を考慮して移行時間を最適化することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−101919号公報
【特許文献2】特開2008−72391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の装置では、過去の実際の使用頻度に対応した情報を用いて、現在および将来の移行時間を設定しているので、長期的に見て同じ曜日や同じ時間帯で同じような傾向で使用されている場合には、省エネ効率は高いと言える。
しかし、短期的に使用頻度が過去の使用傾向と大きく異なってしまったような場合、省エネ性あるいは使用者の利便性が損なわれてしまう場合がある。
【0007】
たとえば、通常の土日において、画像形成装置がほとんど稼働していない場合、従来の装置のような過去の使用頻度が考慮されると、待機モードから省エネモードへの移行時間(待機時間)は短く設定されてしまい、すぐに省エネモードへ移動するため、逆に省エネモードから待機モードへの復帰には時間がかかる。
このような場合において、月末の土日だけは使用頻度が急に高くなったとすると、月末の土日に装置を使用する者は、省エネモードから待機モードへ復帰するまで待たされる可能性が高くなり、利便性が大きく損なわれてしまう場合がある。
また、そのように使用頻度が高くなった月末の土日の過去の情報に基づいて、土日の待機時間が長く設定されたとすると、その月末の土日の翌週の土日において、装置がほとんど稼働していない状態となっていても、設定された待機時間が長いため、なかなか省エネモードへ移行しないので、省エネ性が損なわれてしまう可能性が高くなる。
【0008】
このように、過去の使用頻度等の実績情報に基づいて省エネモードへの移行時間を設定している場合、現在の使用状態が、この設定された移行時間と対応せず、大きく異なるような使用状態である場合は、使用者の利便性あるいは省エネ性が損なわれることになる。
そこで、利便性と省エネ性とを両立させるためには、できるだけ現在の使用状態に対応させて移行時間の設定変更ができることが望まれる。
【0009】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、できるだけ最近の使用状態に対応させて、省エネモードへの移行時間を動的に設定することが可能な画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、受信した画像形成のための複数のジョブのうち待ち状態にあるジョブの情報を登録したジョブ待ち行列と、待機モードから省エネモードへ移行するまでの移行時間とを記憶した記憶部と、処理中のジョブがある場合に、所定の計測期間内に処理要求されたジョブの情報を前記ジョブ待ち行列に登録し、かつ最初にそのジョブ待ち行列に登録した時刻を前記記憶部に記憶させる待ち行列制御部と、前記ジョブ待ち行列に登録されていたジョブがすべてなくなっていることが確認された場合、前記ジョブ待ち行列に登録した時刻から、前記ジョブ待ち行列に登録されていたジョブのうち最後に処理が開始されたジョブの開始時刻までの経過時間を計算し、前記計測期間内において、前記経過時間を累積した累積時間を算出する累積時間計測部と、前記算出された累積時間に基づいて、前記移行時間を設定する移行時間設定部とを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【0011】
また、この発明は、画像形成のためのジョブの処理要求を受信する受信部と、前記ジョブの受信がない状態が継続したときに待機モードから省エネモードへ移行するまでの移行時間と、受信したジョブの情報と、待ち状態にあるジョブの情報を登録するためのジョブ待ち行列と、待ち行列使用開始時刻Tsとを記憶する記憶部と、現在処理中のジョブの有無を確認する処理確認部と、前記受信部が第1のジョブの処理要求を受信し、かつ前記処理確認部が現在処理中の第2のジョブがあることを確認した場合、前記第1のジョブの情報を前記ジョブ待ち行列に登録し、かつそのジョブ待ち行列に登録した時刻を、前記待ち行列使用開始時刻Tsとして前記記憶部に記憶させる待ち行列制御部と、前記ジョブ待ち行列に、ジョブの情報があるか否かを確認するジョブ待ち確認部と、前記ジョブ待ち確認部がジョブ待ち行列にジョブの情報があることを確認した場合、前記確認されたジョブの処理が開始されたか否かを確認するジョブ開始確認部と、前記ジョブ開始確認部がジョブの処理が開始されたことを確認した場合、その開始時刻を、最近のジョブ開始時刻Tkとして設定する開始時刻設定部と、前記ジョブ待ち確認部によって、ジョブ待ち行列にジョブの情報がないことが確認された場合、前記記憶された待ち行列使用開始時刻Tsから前記最近のジョブ開始時刻Tkまでの経過時間(Tk-Ts)を計算する待ち時間計測部と、所定の計測期間内に前記待ち時間計測部によって計算された経過時間を加算した累積時間trを算出する累積時間計測部と、前記算出された累積時間に基づいて、前記移行時間を設定する移行時間設定部とを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供するものである。
【0012】
また、前記所定の計測期間の終了時に、前記所定の計測期間内に算出された累積時間を、前記移行時間に設定することを特徴とする。
さらに、前記所定の計測期間は、変更可能なように記憶部に記憶されていることを特徴とする。
これによれば、省エネモードへの移行時間を、最近の使用状態に対応させて、省エネ性と使用者の利便性の両立を考慮した適切な値に、動的に設定することができる。
【0013】
また、この発明は、受信した画像形成のための複数のジョブのうち待ち状態にあるジョブの情報を登録したジョブ待ち行列と、待機モードから省エネモードへ移行するまでの移行時間とを記憶した記憶機能と、処理中のジョブがある場合に、所定の計測期間内に処理要求されたジョブの情報を前記ジョブ待ち行列に登録し、かつ最初にそのジョブ待ち行列に登録した時刻を記憶させる待ち行列制御機能と、前記ジョブ待ち行列に登録されていたジョブが開始されたことが確認された場合、その開始時刻を最近のジョブ開始時刻として記憶機能に記憶する開始時刻設定機能と、前記ジョブ待ち行列に登録されていたジョブがすべてなくなっていることが確認された場合、前記ジョブ待ち行列に登録した時刻から、前記ジョブ待ち行列に登録されていたジョブのうち最後に処理が開始されたジョブの開始時刻までの経過時間を計算し、前記計測期間内において、前記経過時間を累積した累積時間を算出する累積時間計測機能と、前記算出された累積時間に基づいて、前記移行時間を設定する移行時間設定機能とを、コンピュータに実現させるためのプログラムを提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、省エネモードへ移行するまでの時間を、最近の使用状態に対応させて、ほぼリアルタイムで省エネ性と使用者の利便性の両立を考慮した適切な値に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の画像形成装置の一実施例の概略断面図である。
【図2】この発明の画像形成装置の一実施例の構成ブロック図である。
【図3−1】この発明の省エネモード移行時間を更新するまでの具体例の説明図である。
【図3−2】この発明の省エネモード移行時間を更新するまでの具体例の説明図である。
【図3−3】この発明の省エネモード移行時間を更新するまでの具体例の説明図である。
【図3−4】この発明の省エネモード移行時間を更新するまでの具体例の説明図である。
【図3−5】この発明の省エネモード移行時間を更新するまでの具体例の説明図である。
【図3−6】この発明の省エネモード移行時間を更新するまでの具体例の説明図である。
【図3−7】この発明の省エネモード移行時間を更新するまでの具体例の説明図である。
【図4】この発明のジョブ待ち時間の計測処理の一実施例のフローチャートである。
【図5】この発明のジョブ処理の一実施例のタイムチャートである。
【図6】この発明の画像形成装置の機能を説明するための一実施例の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
【0017】
<この発明の画像形成装置の機能説明>
図6に、この発明の画像形成装置の機能を説明するための一実施例の機能ブロック図を示す。
図6には、この発明の画像形成装置のうち、特に、主要な機能ブロックの部分のみを記載している。
すなわち、主として、ジョブの受信、待ち状態および開始の確認と、待ちの発生したジョブについての各種時間計測に必要な機能を示している。
また、後述する図2のスキャナやエンジンに相当する機能ブロックは省略している。
これらの機能ブロックは、ハードウェアでも実現可能であるが、記憶部153以外の機能ブロック(151、152、154〜160)は、後述する図2のCPUによって実現される。
また、各機能ブロックの機能は、CPUが、ROM等のメモリに記憶されるプログラムに基づいて、各種ハードウェアを有機的に動作させることにより実現される。
【0018】
図6において、受信部151は、主として、画像形成のためのジョブの処理要求を受信する部分である。後述する図2では、スキャナ、エンジンあるいはネットワークから送られてくるジョブの処理要求を受信するインタフェース制御部44に相当する。
受信したジョブの処理要求に含まれるデータは、ジョブ情報181として、記憶部153に記憶される。
処理確認部152は、画像形成装置において現在処理中のジョブの有無を確認する部分である。たとえば、スキャナからのコピー要求というジョブが現在処理中であるか否かを確認する部分である。
【0019】
待ち行列制御部154は、受信部151がある1つのジョブ(第1のジョブ)の処理要求を受信したときに、処理確認部152が現在処理中の他のジョブ(第2のジョブ)があることを確認した場合、受信した第1のジョブの情報を、記憶部153のジョブ待ち行列187に登録し、かつ、そのジョブ待ち行列に登録した時刻を、「待ち行列使用開始時刻Ts」188として、記憶部に記憶させる部分である。
すなわち、待ち状態となったジョブの情報を、記憶部153に一時的に記憶させる部分である。
記憶部153のジョブ待ち行列(JM)187は、待ち状態となったジョブの情報を一時的に記憶しておくリストテーブルであるが、同時間帯に待ち状態となったジョブが複数個あるときは、時系列的な順番で記憶される。ジョブ待ち行列187に記憶されるジョブの情報は、後述するように、たとえばジョブを特定するジョブIDと、そのジョブを登録した登録時間である。
【0020】
ジョブ待ち確認部155は、ジョブ待ち行列187にジョブの情報があるか否かを確認する部分である。
すなわち、ジョブ待ち行列187の内容をチェックすることにより、現在待ち状態となっているジョブがあるか否かをチェックする部分である。
ジョブ開始確認部156は、上記ジョブ待ち確認部155によってジョブ待ち行列の中に、何らかのジョブがあることを確認した場合において、あることが確認されたジョブの処理が実際に開始されたか否かを確認する部分である。
また、この確認によって、ジョブ待ち行列187の中のジョブのうち、開始されたジョブがどのジョブであるかが特定される。
あるジョブAの処理が開始された場合、そのジョブAは待ち状態ではなくなったので、そのジョブAに関する情報は、ジョブ待ち行列187から削除される。
【0021】
開始時刻設定部157は、上記ジョブ開始確認部156がジョブの処理が開始されたことを確認した場合、そのジョブの開始時刻を、最近のジョブ開始時刻Tdとして設定する部分である。この開始時刻Tdは、設定を行う現在時刻に相当する。
また、開始時刻設定部157は、この処理が開始されたジョブがジョブ待ち行列187の中にある場合、そのジョブの情報を、ジョブ待ち行列187から削除する。
待ち時間計測部158は、上記ジョブ待ち確認部155によって、ジョブ待ち行列187に1つもジョブの情報がないことが確認された場合、記憶部に記憶された待ち行列使用開始時刻Ts(188)から、上記最近のジョブ開始時刻Tdまでの経過時間(Td-Ts)を計算する部分である。
以下の実施例では、あるジョブの処理が開始されたことを確認した時刻は、ジョブ待ち行列にすべてのジョブの情報がなくなったことを確認した時刻に対応するものとして説明する。
経過時間183(Td-Ts)は、記憶部153に記憶される。
【0022】
累積時間計測部159は、所定の計測期間内に、上記待ち時間計測部158によって計算された経過時間183を加算した累積時間trを算出する部分である。
ここで、所定の計測期間とは、記憶部153に記憶されている「累積待ち時間計測期間ti」184に相当する。
この計測期間tiで指定された期間内に計算した経過時間(Td-Ts)を加算することによって、この期間内の累積時間trを算出する。
累積時間とは、記憶部153に記憶される「待ち行列使用累積時間tr」185に相当する。
経過時間183が求められるごとにこの累積時間trに加算されるので、累積時間trは、tr=tr+(Td-Ts)により、求められる。
【0023】
移行時間設定部160は、上記のようにして算出された累積時間trに基づいて、待機モードから省エネモードへ移行するまでの移行時間teを設定する部分である。
ここで、この移行時間teは、記憶部153に記憶された「省エネモード移行時間te」186に相当する。
また、この移行時間teは、累積時間trに基づいて設定されるが、たとえば算出された累積時間trをそのまま、移行時間teとして設定してもよい。このとき、te=trである。
【0024】
記憶部153は、主として図6に示すような情報(181〜189)を記憶する部分であり、ROMやRAMなどの半導体記憶素子や、ハードディスクなどの記憶装置が用いられる。
記憶される情報のうち、固定的に記憶されるものは、ROMなどの読み出し専用メモリに記憶してもよい。また、ジョブ情報181、ジョブ待ち行列JM187、更新フラグ189のように、変化する情報は、書きかえ可能なメモリに記憶される。
図6に示した機能ブロックや、記憶される情報は、これに限るものではなく、必要に応じて追加又は削除してもよい。
【0025】
<画像形成装置の断面構成の説明>
図1に、この発明の画像形成装置の一実施例の概略断面図を示す。
図1の画像形成装置は、MFP(Multi-Function-Peripheral)として用いられるものであり、いわゆるカラーコピー機を示している。
【0026】
この画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録部材)に対して、多色および単色の画像を形成するものである。
図1に示すように、主として、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4、転写搬送ベルトユニット8、定着ユニット12、用紙搬送路S等からなるエンジン108と、給紙トレイ10と、排紙トレイ(シート積載部)15と、スキャナ105と、コントローラ103と、給紙デスク装置102等から構成される。
【0027】
この画像形成装置100において扱われる画像データは、4色のデータから形成されるものを示している。ここでは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、図1では、露光ユニット1(1a,1b,1c,1d)、現像器2(2a,2b,2c,2d)、感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d)、帯電器5(5a,5b,5c,5d)、クリーナユニット4(4a,4b,4c,4d)は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれaがブラック(K)に、bがシアン(C)に、cがマゼンタ(M)に、dがイエロー(Y)に設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
【0028】
感光体ドラム3は、画像形成装置のほぼ中心部に配置されている。
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に帯電させるための帯電手段であり、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器、あるいは図1に示すようにチャージャー型の帯電器が用いられる。
露光ユニット1は、発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドや、レーザ照射部および反射ミラーを備えた画像書込み装置であり、レーザスキャニングユニット(LSU)を用いる。また、露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3に対してレーザ光を照射させ、入力された画像データに対応した露光をすることにより、感光体ドラム3の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有するものである。
現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(K,C,M,Y)のトナーにより顕像化するものである。
クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収するものである。
【0029】
感光体ドラム3の下方に配置されている転写搬送ベルトユニット8は、転写ベルト7、転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルトテンションローラ72、転写ベルト従動ローラ73、転写ベルト支持ローラ74、転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)、および転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
【0030】
転写ベルト駆動ローラ71、転写ベルトテンションローラ72、転写ローラ6、転写ベルト従動ローラ73、転写ベルト支持ローラ74等は、転写ベルト7を張架し、転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動させるものである。
転写ローラ6は、転写搬送ベルトユニット8の内側のフレーム(図示せず)に回転可能に支持されており、感光体ドラム3のトナー像を、転写ベルト7上に、吸着されて搬送されるシート(記録部材)に転写するものである。
【0031】
転写ベルト7は、それぞれの感光体ドラム3に接触するように設けられている。感光体ドラム3に形成された各色のトナー像をシート(記録部材)に順次的に重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。この転写ベルト7は、厚さ100μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0032】
感光体ドラム3からシート(記録部材)へのトナー像の転写は、転写ベルト7の裏側に接触している転写ローラ6によって行われる。転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面は、導電性の弾性材により覆われている。この導電性の弾性材により、シート(記録部材)に対して均一に高電圧を印加することができる。図1の実施例では転写電極として転写ローラ6を使用しているが、それ以外にブラシなども用いられる。
【0033】
また、感光体ドラム3との接触により転写ベルト7に付着したトナーは、記録紙の裏面を汚す原因となるために、転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるように設定されている。転写ベルトクリーニングユニット9には、転写ベルト7に接触する例えばクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する転写ベルト7は、裏側から転写ベルト支持ローラ74で支持されている。
【0034】
給紙トレイ10は、画像形成に使用するシート(記録部材)を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置100のエンジン部108の下側に設けられている。また、画像形成装置100の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウン(画像が記録された面を下に向けて積層)で載置するためのトレイである。
図1の実施例では、排紙トレイ15はフェイスダウンの構成になっているが、これに限定するものではない。排紙トレイに用紙が排紙されるまでの搬送路に用紙を反転させる機構を持たせることで、フェイスダウンあるいはフェイスアップで排紙できるようにすることが可能である。
【0035】
また、本画像形成装置100には、給紙トレイ10のシートを転写搬送ベルトユニット8や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、Sの字形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ10から排紙トレイ15までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16,レジストローラ14,定着ユニット12,搬送方向切換えゲート34,シートを搬送する搬送ローラ25等が配置されている。
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16は、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10から、シートを1枚ずつ用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
【0036】
また、レジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像をシートに良好に多重転写できるように、感光体ドラム3の回転にあわせて、シートをタイミングよく搬送する機能を有している。すなわち、レジストローラ14は、(図示しない)レジスト前検知スイッチの出力した検知信号に基づいて、各感光体ドラム3上のトナー像の先端をシートにおける画像形成範囲の先端に合わせるように、シートを搬送するように設定されている。
【0037】
定着ユニット12は、主として、ヒートローラ31および加圧ローラ32を備える。ヒートローラ31および加圧ローラ32は、シートを挟んで回転するようになっている。
また、ヒートローラ31は、(図示しない)温度検出器からの温度検出値に基づいて(図示しない)温度制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ32とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。
【0038】
多色トナー像の定着後のシートは、搬送ローラ25によって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で、多色トナー像を下側に向けて、排紙トレイ15上に排出される。
【0039】
スキャナ(原稿読取装置)105には、その上面に透明ガラスからなる原稿台が配置され、その上に自動原稿搬送装置が備えられている。自動原稿搬送装置は、原稿セットトレイ上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿台上へ給送する装置である。
【0040】
スキャナ105は、原稿台上に載置された原稿の画像を走査して読取るもので、図示しない第1の走査ユニット、第2の走査ユニット、光学レンズと光電変換素子であるCCDラインセンサとを有している。第1の走査ユニットは、原稿面上を露光する露光ランプユニットと、原稿からの反射光像を所定の方向に反射させる第1ミラー等から構成されている。第2の走査ユニットは、第1ミラーから反射されてくる原稿からの反射光を光電変換素子であるCCDラインセンサに導く第2ミラーおよび第3ミラーより構成されている。光学レンズは、原稿からの反射光をCCDラインセンサ上に結像させるものである。
【0041】
また、スキャナ105は、自動原稿搬送装置との関連した動作により、自動原稿搬送装置にて自動搬送される原稿の画像を読取り、画像データを生成し、後述するコントローラ103へと送る。この画像データに対して所定の画像処理がコントローラ103の画像処理部43にて施された後、コントローラ103内のRAM41に一旦記憶される。さらに、出力指示に応じてRAM41内の画像データを読出して、画像形成装置100のエンジン部108へ転送される。
【0042】
図1では、自動原稿送り装置付きの画像読取装置を用いているが、これに限ったものではなく、自動原稿送り装置が装着されていなくとも良い。
また、図1の実施例では、3段の給紙トレイを備えたものであるが、これに限らず1段の給紙トレイを備えたもの、並行に2個のトレイを備えたタンデムトレイを備えたもの、あるいは単にデスクとして機能するもの等でもよく、いずれかのトレイがユーザーの要望に応じて装着できるようになっている。
【0043】
<画像形成装置の構成>
以下、この発明の画像形成装置について詳細に説明する。
図2に、この発明の画像形成装置100の一実施例の構成ブロック図を示す。
画像形成装置100は、複数のホストコンピュータ(200、300)と、LAN等のネットワーク400を介して相互に接続されているものとする。
【0044】
図2に示すように、画像形成装置100は、主として、コントローラ103と、スキャナ105と、エンジン108とから構成される。
ここで、スキャナ105と、エンジン108は、図1に示したものと同じものである。
コントローラ103は、スキャナ105から入力された画像データに対して、所定の画像処理を行い、記録部材(シート)に対して、多色または単色の画像を形成するものである。
あるいは、コントローラ103は、ネットワーク400を介して接続された第1のホストコンピュータ200から、印刷等のジョブ要求を受信し、そのジョブ要求に対応した画像処理を行い、記録部材(シート)に対して、多色または単色の画像を形成するものである。
【0045】
コントローラ103は、主として、CPU40と、RAM41と、ROM42と、画像処理部43と、インタフェース制御部44と、時間計測手段45と、累積時間記憶手段46とを備える。
CPU40は、RAM、ROM、その他の周辺デバイスを制御するマイクロプロセッサに相当する部分であり、ROM等に記憶されたプログラムに基づいて、この発明の画像形成装置の各機能を実行する部分である。
RAM41は、CPU40と接続され、画像処理を行うときのワークエリアとして使用したり、画像データを一時的に記憶するための記憶デバイスであり、DRAMなどの揮発性メモリを用いることができる。
ROM42は、CPU40が実行するプログラムを記憶するための記憶デバイスであり、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリを用いることができる。
【0046】
インタフェース制御部44は、たとえば、ネットワーク400上のホストコンピュータ(200、300)からジョブ要求やジョブデータを受信する通信機能を有する部分であり、受信部に相当する。また、スキャナ105で読み取られた画像データを入力し、CPU40へ与える部分である。
さらに、CPU40からの出力指示に応じて、画像処理部43にて画像処理された画像データを、RAM41から読み出して、エンジン108に転送する部分である。
ホストコンピュータから受信したジョブデータは、CPUへ送られ、受信したジョブ要求に基づいて解析され、画像データに変換される。変換された画像データは、RAM41に一時記憶される。
また、スキャナから入力された画像データも、所定の画像変換をした後、RAM41に一時記憶される。
【0047】
画像処理部43は、インタフェース制御部44を介して入力された画像データに対して所定の画像処理を行う部分であり、たとえば、印刷可能な各色ごとの画像データを生成する部分である。生成された画像データは、RAM41に保存される。
時間計測手段45は、CPU40からの指示にしたがって、スキャナ105またはホストコンピュータ(200、300)から受信されたジョブの要求時刻から、そのジョブの処理をCPU40が実際に開始するまでの待ち時間を計測する部分であり、いわゆるリアルタイムクロックに相当する。
累積時間記憶手段46は、主として、時間計測手段45によって計測された待ち時間を累積記憶する部分であり、たとえば、EEPROMなどの不揮発性メモリが用いられる。
【0048】
<この発明のジョブ待ち時間の計測処理>
以下に、この発明のジョブ待ち時間の計測処理の一実施例を示す。
ここで、次のように、計測処理に用いる変数を定義する。
te:省エネモード移行時間
tr:待ち行列使用累積時間
ti:待ち時間計測期間
Td:現在時刻
Ts:待ち行列使用開始時刻
fr:更新フラグ(0:初期状態(更新なし)、1:更新有り)
【0049】
省エネモード移行時間(te)186は、省エネモード以外のモード(たとえば、待機モード)においてジョブの発生がない状態が継続したときに、待機モードから、省エネモードに移行するまでの時間を意味する。
具体的には、待機モードにおいて、CPU40がプリント要求などのジョブを完了した後に、処理すべき他のジョブがない時間が継続した場合、そのジョブの完了した時間から省エネモードに移行する処理を開始するまでの時間を意味する。
たとえば、省エネモード移行時間(te)として、「5分」が設定されていた場合、あるジョブの完了した時刻が13時10分であり、その後新たなジョブの処理要求がなかったとすると、次に省エネモードへ移行する処理を開始する時刻は13時15分である。
【0050】
待ち行列使用累積時間(tr)185は、ジョブ要求があった場合に、そのジョブがすぐに実行できないためにジョブ待ち行列にそのジョブの情報を記憶し、その待たされていたジョブが実際に開始されるまでの待ち時間を加算した時間を意味する。
また、待ち時間計測期間(ti)184は、上記待ち行列使用累積時間(tr)を計測する期間を意味する。
ここで、待ち状態にあったジョブが開始された場合、そのジョブの情報はジョブ待ち行列から削除されるので、そのジョブが実際に開始された時刻は、ジョブ待ち行列の中に、ジョブ情報がないことを確認した現在時刻にほぼ等しいと考えられる。
【0051】
さらに詳しく言えば、後述するようなジョブ待ち行列に待ち状態となったジョブの情報を最初に登録した待ち行列使用開始時刻(Ts)から、ジョブ待ち行列に登録されていたジョブの処理が開始されその登録されていたすべてのジョブの情報がジョブ待ち行列からなくなった時刻(Td)までの経過時間(Td-Ts)を計算し、累積待ち時間計測期間(ti)の間だけ、その経過時間を累積した時間が、待ち行列使用累積時間trに相当する。
【0052】
たとえば、この期間tiが「20分」に設定されていた場合、待ち行列使用累積時間(tr)の計測を開始した時刻が14時10分であったとすると、14時10分から14時30分までの間に、待たされていた各ジョブについての待ち時間を、待ち行列使用累積時間(tr)に加算する。
【0053】
ここで、待ち時間とは、原則としてある1つのジョブBについて、そのジョブBをジョブ待ち行列に登録した時刻に相当する待ち行列使用開始時刻Tsから、そのジョブBが実際に開始された時刻(ここでは、現在時刻Tdと称する)までの経過時間(Td-Ts)を意味する。
したがって、現在の累積時間trは、直前の計測によって記憶されている累積時間をtro、加算する待ち時間を(Td-Ts)とすると、tr=tro+(Td-Ts)で表される。
このような加算は、上記期間ti内で行われる。
【0054】
もし、期間ti内に、複数のジョブが受信され、複数のジョブが待たされる状態となっている場合は、各ジョブごとの経過時間を計算するのではなく、待ち行列使用開始時刻Tsから、ジョブ待ち行列に登録されていた複数のジョブのうち、ジョブ待ち行列に最後まで残っていたジョブの処理が開始され、ジョブ待ち行列にすべてのジョブの情報がなくなったことを確認した時刻(Td)までの経過時間(Td-Ts)を、待ち行列使用累積時間trに設定する。
待ち時間計測期間tiが経過した後は、待ち行列累積時間(tr)は、初期値(ゼロ)にリセットして、新たな期間tiが開始されるとともに、再度計測が実行される。
【0055】
待ち行列使用開始時刻(Ts)188は、別のジョブが現在処理中の状態であり、処理要求のあったジョブがすぐに開始することができない場合に、その待たされるジョブに関する情報(ジョブ情報)を、ジョブ待ち行列に登録した時刻を意味する。
この時刻Tsは、所定の計測期間tiにおいて、ジョブ待ち行列にジョブ情報を最初に登録したときに記憶される。
ただし、時刻Tsは、ジョブ情報の一部分の登録時刻として、登録された各ジョブごとに記憶してもよい。
同一時間帯に、待たされるジョブが複数ある場合は、待ちの発生した時刻の古い順に、ジョブ待ち行列にジョブ情報を記憶する。
ジョブ情報は、ジョブ待ち行列に記憶される情報であり、たとえば、図3−1に示すように、ジョブIDと、登録時刻とから構成される。ジョブIDとは、要求されたジョブを特定する情報である。
登録時刻とは、各ジョブごとのジョブ情報をジョブ待ち行列に記憶した時刻であるが、待ち行列使用開始時刻(Ts)は、登録時刻のうちジョブ待ち行列に最初に記憶された時刻に相当する。ただし、ジョブ待ち行列の中の情報がすべてなくなった後は、時刻Tsには新たな時刻が設定される。
【0056】
現在時刻Td182は、時間計測手段45によって常に計時される現在の時刻であり、年、日、時、分、秒などからなり、RAM41に記憶される。あるいは、CPU40がタイマー機能を有する場合は、そのタイマー機能を用いて現在時刻を記憶してもよい。
【0057】
更新フラグ(fr)189とは、省エネモード移行時間(te)を更新するか否かを示す情報であり、たとえば、「0」が更新しないことを意味し、「1」が更新を必要とすることを意味する。
また、初期状態としては、fr=0が設定され、累積時間trが新たに更新されたときに、更新フラグfrに、1が設定される。
【0058】
この発明において、待機モードとは、この発明の画像形成装置のあらゆる機能をほぼリアルタイムで実行開始できる状態をいい、たとえば図2に示したすべてのハードウェア(103,105,108)に対して、電力を供給している状態である。
この発明において、省エネモードとは、装置が自発的に、ジョブを処理できる待機モードに復帰することが可能なモードで、必要最低限のハードウェアの部分に電力を供給している状態である。
【0059】
たとえば、装置に復帰ボタンが備えられている場合、省エネモードとなったときは、使用者によって復帰ボタンが押下げられたことを検出するのに必要なハードウェアの部分に、電力が供給される。
また、省エネモードのとき、ネットワーク400を介してプリント要求などのジョブが受信されるか否かを検出するのに必要なハードウェアの部分に、電力が供給される。
図2においては、省エネモードの場合、少なくともコントローラ103に属するハードウェアの部分に、電力が供給される。
【0060】
したがって、省エネモードの場合、図2のスキャナ105やエンジン108には、電力の供給が停止され、省電力化を図ることができる。
また、省エネモードに入っている状態のときに、たとえば、何らかのジョブが受信された場合、その受信があったことをトリガとして、電力の供給が停止されていたハードウェアに電力が供給され、受信したジョブを処理できる状態(待機モード)に復帰することになる。ただし、一般的にジョブを実際に開始できる状態となるまでには、数秒から数分程度の一定の時間(T)がかかる。
【0061】
すなわち、装置が省エネモードに入っている場合は、使用者が所定の入力操作(たとえば、コピー操作)をして、ジョブの処理要求をしても、そのジョブをすぐには開始することはできず、上記の一定の時間(T)だけ待たされることになる。
ここで、上記した省エネモード移行時間(te)が比較的短く設定されていたとすると、あるジョブの処理が完了した後、新たなジョブ要求がなければ、短い移行時間で省エネモードに移行することになる。
たとえば、移行時間teとして、「0分」が設定されていたとすると、あるジョブの処理が完了した後、直ちに、省エネモードへ移行する処理が行われる。すなわち、省エネモードでは必要のないハードウェアの部分に対して、電力の供給を停止する処理が行われる。
この場合は、最も、省エネ性を追求した設定であり、消費電力をできるだけ少なくしたい場合に有効な設定である。
【0062】
また、移行時間teが比較的長く設定されていたとすると、あるジョブが完了した後、新たなジョブ要求がない状態が続いたとしても、なかなか省エネモードに移行しないことになる。
たとえば、移行時間teとして、「60分」が設定されていたとすると、あるジョブCが完了した後、新たなジョブ要求が発生しなければ、そのジョブCが完了した後、60分間は、ジョブの実際の処理がすぐに開始できる待機モードのままであり、60分が経過した後、省エネモードへ移行する。
言いかえれば、この60分間は、ジョブが実行されないにもかかわらず、すべてのハードウェアに対して電力を供給している状態であり、その60分の間に、使用者が所定の入力操作をしてジョブの処理要求をすれば、すぐにそのジョブが開始できる状態である。
この場合は、使用者の利便性を配慮した設定であり、使用者は待たされることなく自己の要求をしたジョブをすぐに開始できるので好都合であるが、無駄に電力を消費してしまう時間が長いので、省エネ化を図ることはできない。
【0063】
この発明では、この移行時間teを、上記のように、「0分」とか「60分」というように、固定的に設定するのではなく、現在の使用状態に対応して、動的に設定変更することを特徴とする。
特に、たとえば、ジョブAの処理要求があった場合に、別のジョブBがすでに処理中であったとき、そのジョブAに関するジョブ情報が、ジョブ待ち行列に登録され、ジョブAは待たされることになる。そこで、所定の計測期間tiの間に、ジョブ待ち行列に記憶された1または複数のジョブについて、ジョブ待ち行列への最初の登録時刻である待ち行列使用開始時刻Tsから、待ち状態であった最後のジョブの処理が開始され、ジョブ待ち行列の中にすべてのジョブ情報がなくなったことを確認した時刻までの経過時間を計測し、その経過時間を累積した待ち行列使用累積時間trを算出し、この累積時間trに基づいて、新たに省エネモード移行時間teを設定する。これにより、比較的現在に近い過去の使用状態を考慮して移行時間が動的に設定されるので、省エネ性と使用者の利便性とを両立させることが可能となる。
【0064】
<この発明の計測処理>
図4に、この発明のジョブ待ち時間の計測処理の一実施例のフローチャートを示す。
ここでは、計測を行う所定の期間tiの中で、待ち行列使用開始時刻Tsを最初に記憶した後、ジョブ待ち行列の中に、登録されたジョブが1つもなくなるまでの累積時間を、待ち行列使用累積時間trとして設定する場合の例について説明する。
まず、ステップS10において、待ち行列使用累積時間tr(185)を「0分」に初期設定し、更新フラグfr(189)を0に初期化する。初期状態では、待ち行列使用開始時刻Ts(188)は何も記憶されていない状態(たとえば、ゼロ)とする。
また、この計測処理を開始した時刻(計測開始時刻t0)を記憶しておき、計測開始時刻t0からの経過時間のカウントをスタートさせる。このカウント値は、累積待ち時間計測期間ti(184)と比較される。
【0065】
ステップS11において、現在時刻が、計測開始時刻t0から、累積待ち時間計測期間tiだけ経過したか否か、チェックする。
経過していれば、ステップS20へ進み、経過していなければステップS12へ進む。
ステップS12において、受信部151が、新たなジョブ要求が受信されたか否か、確認する。ジョブ要求が受信されればステップS13へ進み、受信されなければステップS11へ戻る。
ジョブ要求とは、たとえばネットワーク400に接続されたホストコンピュータ(200、300)から送られてくるプリント要求や、スキャナ105から送られてくるコピー要求である。受信されたジョブ要求は、ジョブ情報181として、記憶部153に記憶される。
ここで、ジョブ要求が受信されたか否かは、たとえば、インタフェース制御部44が、スキャナ105またはネットワーク400からの受信データを解析することにより行い、受信データがコピー要求またはプリント要求である場合は、ジョブ要求が受信されたと判断する。また、コピー要求またはプリント要求が受信されれば、CPU40はジョブ要求のあったジョブの処理を開始する。
【0066】
ステップS13において、処理確認部152が、現在処理中のジョブがあるか否か、確認する。
処理中のジョブがなければ、ステップS22へ進み、処理中のジョブがある場合はステップS14へ進む。
ステップS22において、CPU40は、ステップS12で要求のあったジョブの処理を開始する。その後、ステップS11へ戻る。
ジョブの実際の動作は、マルチタスクで行うことが好ましい。
【0067】
ステップS14において、待ち行列制御部154が、要求のあったジョブに関する情報(ジョブ情報)を、ジョブ待ち行列187に登録する(ステップS14)。
たとえば、そのジョブを特定するジョブIDを登録する。
また、その登録した現在の時刻を、登録時刻として、ジョブ待ち行列187にジョブIDと対応づけて記憶する。
この記憶された登録時刻は、期間ti内において最初に記憶された時刻なので、ジョブ待ち行列の使用を開始した時刻(待ち行列使用開始時刻Ts188)として記憶する。
【0068】
ステップS15において、ジョブ待ち確認部155が、ジョブ待ち行列187の中に未処理のジョブが残っているか否か、チェックする。すなわち、ジョブ待ち行列の中に、登録されていたジョブの情報が1つもないかどうか、チェックする。
ジョブ待ち行列の中にジョブの情報が1つでも残っている場合は、ステップS31へ進む。
ジョブ待ち行列の中にジョブの情報が1つも残っていない場合は、ステップS33へ進む。
【0069】
ステップS31において、ジョブ開始確認部156が、ジョブ待ち行列187の中に残っている登録ジョブのうち、CPUによって処理が開始されたものがあるか否か、チェックする。
開始されたジョブがある場合は、ステップS32へ進み、そうでない場合は、ステップS37へ進む。
ステップS32において、開始時刻設定部157が、そのジョブの開始時刻を、最近のジョブ開始時刻Tdとして設定し、処理が開始されたジョブの情報を、ジョブ待ち行列187から削除する。その後、ステップS15へ戻る。
【0070】
ステップS37において、現在、計測開始時刻t0から期間tiが経過したか否か、チェックする。現在まだ期間tiが経過していない場合は、ステップS38へ進む。
一方、期間tiがすでに経過している場合は、ステップS41へ進む。
ステップS33において、ステップS15のチェックで「NO」と判断した現在の時刻を、Tdにセットする。すなわち、ジョブ待ち行列の中にジョブの情報が1つもないことを確認した時刻を、現在時刻Td(182)として設定する。
【0071】
ステップS34において、待ち時間計測部158が、ジョブ待ち行列の使用を開始した待ち行列使用開始時刻Tsから現在時刻Tdまでの経過時間(Td-Ts)183を計算する。
次に、ステップS35において、累積時間計測部159が、この経過時間(Td-Ts)を、待ち行列使用累積時間trに加算する(tr=tr+(Td-Ts))。
この現在時刻Tdは、ジョブの情報がジョブ待ち行列の中にないことを確認した時刻であるが、ジョブ待ち行列から削除されかつ処理が開始されたジョブの開始時刻に実質的に相当する。
ここで、経過時間(Td-Ts)は、最初のジョブについて要求があることが確認されてそのジョブの情報をジョブ待ち行列に登録した時刻(待ち行列使用開始時刻(Ts))から、そのジョブの情報がジョブ待ち行列から削除され無いことが確認された時刻Td(すなわち実質的にそのジョブの実行が開始された時刻に等しい)までの時間であり、この経過時間(Td-Ts)が、累積時間trに累積される。待ちジョブが複数個あった場合は、上記時刻Tdは、ジョブ待ち行列に残っていた最後のジョブが開始された後、ジョブ待ち行列の中にジョブがないことを確認した時刻である。
また、ステップS36において、累積時間trが新たに更新されたので、更新されたことを示す更新フラグfr(189)に、1をセットする(fr=1)。その後、ステップS11へ戻る。
【0072】
また、ステップS37において、期間tiがまだ経過していない場合、ステップS38へ進み、新たなジョブ要求があるか否か、チェックする。ステップS38では、ステップS12と同じ処理を行う。
ステップS38において、新たなジョブ要求があった場合、ステップS39へ進み、現在処理中のジョブがあるか否か、チェックする。
ステップS39では、ステップS13と同じ処理を行う。
ステップS38において、新たなジョブ要求がない場合と、ステップS39において、現在処理中のジョブがない場合は、ステップS15へ戻る。
ステップS39において、現在処理中のジョブがある場合は、ステップS40へ進む。
ステップS40において、ジョブ待ち行列に、新たに要求のあったジョブの情報(ジョブID,現在時刻)を記憶させ、その後、ステップS15へ戻る。
【0073】
一方、ステップS37において、期間tiが経過してしまった場合、ステップS41において、現在時刻をTdにセットする。
ステップS42において、時間tiがすでに経過しているので、ジョブ待ち行列にジョブがまだ残っていても、ステップS34,S35,およびS36と同じ処理をする。
すなわち、ステップS42において、経過時間(Td-Ts)を計算し、ステップS43において、この経過時間を累積時間trに加算し(tr=tr+(Td-Ts))、ステップS44において、更新フラグfrに1をセットする(fr=1)。
その後、ステップS20へ進む。
【0074】
ステップS20において、更新フラグfrが1かどうか、チェックする。
fr=1の場合、ステップS21へ進み、fr=1でない場合、処理を終了する。
ステップS21において、移行時間設定部160が、省エネモード移行時間te(186)に、現在の待ち行列使用累積時間trの値を代入し、その後処理を終了する。
ここでは、省エネモード移行時間teが、待ち行列使用累積時間trに記憶されている値に更新されることになる。
一方、ステップS20において、fr=1でない場合は、省エネモード移行時間teは、現在の時間のまま据え置かれる。
【0075】
なお、省エネモード移行時間teを更新した後、待ち行列使用開始時刻Tsと、待ち行列使用累積時間trとを、初期値(ゼロ)にリセットしてもよい。
また、待ち行列使用開始時刻Tsは、ステップS14において、ジョブ待ち行列にジョブ情報を最初に登録するときに上書きされるが、ステップS35およびS43において、累積時間trが更新されたときに、この開始時刻Tsを、初期値(ゼロ)にリセットしてもよい。
【0076】
図4に示したフローチャートでは、期間tiの中で、ある一つのジョブAが現在実行中のときに、次のジョブBの要求があった場合、そのジョブBの情報(ジョブID)と、現在時刻(ジョブ情報の登録時刻)とが、ジョブ待ち行列に、記憶される。
また、そのジョブAやBの処理が完了する前に別のジョブ(C,Dなど)の処理要求を受信したとしても、待たされた最初のジョブBについて記憶された使用開始時刻Tsが、ジョブ待ち行列に登録されたすべてのジョブがなくなるまで、そのまま維持される。
そして、すべてのジョブがジョブ待ち行列からなくなっていた場合か、あるいは計測期間tiが経過した場合のどちらかのときに、待ち行列使用累積時間trを更新する。
【0077】
これによれば、現在時刻の最近の所定期間(ti)についての使用状況を計測して、具体的には、待たされたジョブがあった場合の最初の待ち行列使用の時刻(Ts)から、最後の待ちジョブの処理が開始される時間に相当する時刻(最近のジョブ開始時刻)までの経過時間を計測しているので、ほぼリアルタイムで省エネモード移行時間を、省エネ性と利便性との両立を考慮した適切な値に調整することができる。
【0078】
<省エネモード移行時間の設定の具体例>
図3に、ジョブ待ち時間の計測を開始してから、省エネモード移行時間を更新するまでの具体例の説明図を示す。また、図5に、ジョブ処理の一実施例のタイムチャートを示す。
ここで、計測開始時刻toを、2010年3月25日10時00分とする。
また、累積待ち時間を計測する期間tiを、15分に設定していたとする。
このとき、待ち時間の計測は、2010年3月25日の10時00分から10時15分まで行われる。
また、省エネモード移行時間teは、0分に設定されていたとする。待ち行列使用累積時間trと、更新フラグfrも、ゼロに初期化される(ステップS10)。
さらに、現在実行中のジョブはなかったとし、ジョブ待ち行列には何も記憶されていないものとする。
【0079】
図3−1においては、2010年3月25日10時00分の計測開始状態の各種情報を示している。
図3−1の状態において、10時00分に、第1ホストコンピュータ200から、第1のジョブJ1の要求(たとえばプリント要求)を受信したとする。
このとき、図4のステップS12からS13へ進むが、処理中のジョブがないので、ステップS22において要求された第1のジョブの処理を開始し、ステップS11へ戻る。
要求された第1のジョブのジョブIDを「PR1-000000」とすると、処理中のジョブとして、ジョブID「PRI-000000」が記憶される。この場合、待たされることなく、すぐに処理が開始されたので、この第1のジョブJ1の情報は、ジョブ待ち行列には記憶されない。
したがって、図5に示すように、開始時刻Tsも、累積時間trも、省エネモード移行時間teも現在の値のままで更新されない。
【0080】
図3−2においては、2010年3月25日10時02分の各種情報を示している。
10時02分において、第1のジョブを現在まだ処理中の状態であり、第2のホストコンピュータ300から第2のジョブ要求(たとえば、プリント要求、ジョブID:PR2-000000)を受信したとする。
このとき、図4のステップS12からS13へ進むが、現在処理中のジョブ(J1)があるので、ステップS14へ進み、第2のジョブJ2の情報(ジョブID)が、ジョブ待ち行列に登録される。
また、現在の時刻(10時02分)が、待ち行列使用開始時刻Tsとして、ジョブ待ち行列に記憶される。
これにより、1つのジョブ(第2のジョブJ2)が待ち状態となり、累積時間trを算出するためのもととなるジョブ待ち行列の使用が開始されたことになる。
したがって、図4のステップS14からS15へ進み、待ち状態のジョブがあるので、ステップS31へ進む。待ち状態のジョブがなくなるまで、ステップS15とS31と、ステップS37からS40までをループすることになる。
【0081】
図3−3においては、2010年3月25日10時05分の各種情報を示している。
10時05分において、第1のジョブJ1を現在まだ処理中であり、スキャナ105から第3のジョブ要求(たとえば、コピー要求、ジョブID:SCN-000000)を受信したとする。
この場合、現在第1のジョブJ1を処理中なので、受信した第3のジョブJ3は待たされることになる。
すなわち、第3のジョブJ3については、図4のステップS38の処理により、その要求の受信を確認した後、ステップS39で処理中のジョブ(J1)があることが確認されるので、さらにステップS40において、第3のジョブの情報がジョブ待ち行列に登録される。
ジョブ待ち行列には、第2のジョブの情報がまだ存在するので、第2のジョブに加えて、第3のジョブの情報(第3のジョブIDと、現在の時刻=10時05分)が記憶される。
【0082】
また、図3−3の場合、図4のステップS40からS15へ戻って、さらにステップS31へ進むので、待ち行列使用累積時間tr等は計算されない。すなわち、累積時間trも、移行時間teも、まだ0分のままである。
ただし、待ち行列使用開始時間Tsは、Ts=10時02分のままである。
【0083】
図3−4においては、2010年3月25日10時07分の各種情報を示している。
ここでは、第1のジョブJ1の処理が完了し、第2のジョブJ2の処理を開始したものとする。さらに、第1のホストコンピュータ200から、第4のジョブJ4の要求(たとえば、プリント要求、ジョブID:PR1-000001)を受信したものとする。
このとき、第1のジョブJ1が完了し、第2のジョブJ2の処理が開始されたので、図4のステップS32へ進む。
ステップS32において、第2のジョブJ2の処理が開始されたので、第2のジョブJ2の情報を、ジョブ待ち行列から削除する。また、現在処理中のジョブIDが、第1のジョブIDから第2のジョブID(PR2-000000)に設定変更される。
【0084】
さらに、第4のジョブ要求があり、かつ第2のジョブJ2が処理中なので、図4のステップS31からS38,S39へ進み、ステップS40において、第4のジョブの情報(ジョブID=PR1-000001、2010年3月25日10時07分)がジョブ待ち行列に登録される。
すなわち図3−4に示すように、ジョブ待ち行列には、現在待ち状態となっている第3のジョブJ3と第4のジョブJ4の情報が記憶される。
また、待ち行列使用開始時刻Tsは、リセットされずに、10時02分のままである。
【0085】
図3−5においては、2010年3月25日10時10分の各種情報を示している。
10時10分に、第2のジョブJ2の処理が完了し、第3のジョブJ3の処理が開始されたとする。
このとき、第2のジョブJ2が完了し第3のジョブJ3の処理が開始されたので、図4のステップS32において、第3のジョブJ3の情報を、ジョブ待ち行列から削除する。また、処理中のジョブIDが、第2のジョブIDから第3のジョブIDに変更される。
したがって、図3−5では、第4のジョブJ4のみが待ち状態となる。
【0086】
図3−6においては、2010年3月25日10時12分の各種情報を示している。
10時12分において、第3のジョブJ3の処理が完了し、第4のジョブJ4の処理が開始されたとする。
このとき、第4のジョブJ4が開始されたので、図4のステップS32において、第4のジョブJ4の情報を、ジョブ待ち行列から削除する。また、現在処理中のジョブIDが第3ジョブから第4ジョブのIDに変更される。
これにより、ジョブ待ち行列が空となる。したがって、ジョブ待ち行列に登録されたジョブの情報がすべてなくなったので、ステップS15の判断の後、ステップS33へ進むことになる。
【0087】
ここで、ステップS33へ進んだ後、図3−6においては、前回の累積時間tr=0分、現在時刻Td=10時12分、待ち行列使用開始時刻Ts=10時02分なので、図4のステップS35において累積時間trが計算されると、tr=tr+(Td-Ts)より、累積時間tr=10分となる。
この後、ステップS36の後、ステップS11へ戻ることになる。
【0088】
さらに、図3−7において、予め設定されていた時刻ti(=15分)が経過した2010年3月25日10時15分の各種情報を示している。
10時15分において、最後のジョブである第4のジョブJ4の処理が完了したとする。
この場合、図4の処理は、ステップS11からS20へ進むことになる。
また、更新フラグfrは1となっているので、ステップS21へ進み、省エネモード移行時間teに、現在の累積時間tr(=10分)が代入され、移行時間te=10分となる。
【0089】
したがって、図3−1で計測を始める状態では、省エネモード移行時間teは「0分」であったが、測定された15分間(ti)のうちに、4つのジョブ要求(J1〜J4)があり、3つのジョブ(J2〜J4)が待たされたため、省エネモード移行時間teは「10分」に更新された。
以後は、この移行時間teに基づいて、省エネモードへの移行処理が実行されることになる。
【0090】
この発明のように、移行時間teを動的に設定する場合、所定の期間(ti)内で求めた累積時間trが大きな値となると、待たされるジョブの数や、その待ち時間が大きくなるのを意味しているので、移行時間teは、使用者の利便性を配慮した大きな値(時間)とする。すなわち、移行時間を大きな値に設定した後は、どちらかと言うと、省エネ性よりも使用者の利便性を重視した設定となる。
一方、所定の期間(ti)内で求めた累積時間trが小さな値となった場合は、待たされるジョブの数が少なく、その待ち時間も小さいことを意味しているので、移行時間teは、省エネ性を配慮した小さな値(時間)とする。
すなわち、移行時間を小さな値に設定した後は、どちらかと言うと、使用者の利便性よりも省エネ性を重視した設定となる。
【0091】
以上の図3−1から図3−7に示したように、過去の使用状態の情報のうち、所定期間(ti)内の待たされたジョブの実際の待ち時間を用いて省エネモード移行時間teを更新しているので、通常の使用頻度と大きく異なる使用状態が発生したとしても、その異なった使用状態を考慮して省エネモード移行時間teが更新され、現状に対応した省エネ性と利便性とを両立させた適切な省エネモード移行時間が設定できる。
【0092】
以上の具体例において、期間tiを15分としたが、これに限るものではなく、この装置の使用者が、必要に応じて期間tiの値を変更できるようにしてもよい。
期間tiを短く設定すればするほど、より直近の使用状態が考慮された省エネ設定となる。
また、期間tiを長く設定するほど、直近の使用状態だけではなく、やや長期的な使用状態を考慮した省エネ設定となる。
したがって、より最近の使用状態を考慮してリアルタイム的に省エネモードへ移行する時間を設定しようとする場合には、期間tiはできるだけ短い方が好ましい。
また、期間tiが短い方が、長期的な使用傾向とは無関係に、直前の使用状態が反映された省エネ化が実現できる。
一方、期間tiが長い場合、比較的長期的な過去の使用傾向を反映し、直近の急激な使用状態の変化にはあまり影響されないような省エネ性が実現できる。
【符号の説明】
【0093】
100 画像形成装置
102 給紙デスク装置
103 コントローラ
105 スキャナ
108 エンジン

1 露光ユニット
2 現像器
3 感光体ドラム
4 クリーナユニット
5 帯電器
6 転写ローラ
7 転写ベルト
8 転写搬送ベルトユニット
9 転写ベルトクリーニングユニット
10 給紙トレイ
12 定着ユニット
14 レジストローラ
15 排紙トレイ(シート積載部)
16 ピックアップローラ
25 搬送ローラ
31 ヒートローラ
32 加圧ローラ
34 搬送方向切換えゲート
35 側面カバー
71 転写ベルト駆動ローラ
72 転写ベルトテンションローラ
73 転写ベルト従動ローラ
74 転写ベルト支持ローラ

40 CPU
41 RAM
42 ROM
43 画像処理部
44 インタフェース制御部
45 時間計測手段
46 累積時間記憶手段

200 第1のホストコンピュータ
300 第2のホストコンピュータ
400 ネットワーク

te: 省エネモード移行時間
ti: 累積待ち時間計測期間
tr: 待ち行列使用累積時間
Ts: 待ち行列使用開始時刻
Td: 現在時刻
fr: 更新フラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した画像形成のための複数のジョブのうち待ち状態にあるジョブの情報を登録したジョブ待ち行列と、待機モードから省エネモードへ移行するまでの移行時間とを記憶した記憶部と、
処理中のジョブがある場合に、所定の計測期間内に処理要求されたジョブの情報を前記ジョブ待ち行列に登録し、かつ最初にそのジョブ待ち行列に登録した時刻を前記記憶部に記憶させる待ち行列制御部と、
前記ジョブ待ち行列に登録されていたジョブの情報がすべてなくなっていることが確認された場合、前記ジョブ待ち行列に登録した時刻から、前記ジョブ待ち行列に登録されていた最後のジョブの処理が開始され、ジョブ待ち行列の中にすべてのジョブの情報がなくなったことを確認した時刻までの経過時間を計算し、前記計測期間内において、前記経過時間を累積した累積時間を算出する累積時間計測部と、
前記算出された累積時間に基づいて、前記移行時間を設定する移行時間設定部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成のためのジョブの処理要求を受信する受信部と、
前記ジョブの受信がない状態が継続したときに待機モードから省エネモードへ移行するまでの移行時間と、受信したジョブの情報と、待ち状態にあるジョブの情報を登録するためのジョブ待ち行列と、待ち行列使用開始時刻Tsとを記憶する記憶部と、
現在処理中のジョブの有無を確認する処理確認部と、
前記受信部が第1のジョブの処理要求を受信し、かつ前記処理確認部が現在処理中の第2のジョブがあることを確認した場合、前記第1のジョブの情報を前記ジョブ待ち行列に登録し、かつそのジョブ待ち行列に登録した時刻を、前記待ち行列使用開始時刻Tsとして前記記憶部に記憶させる待ち行列制御部と、
前記ジョブ待ち行列に、ジョブの情報があるか否かを確認するジョブ待ち確認部と、
前記ジョブ待ち確認部がジョブ待ち行列にジョブの情報があることを確認した場合、前記確認されたジョブの処理が開始されたか否かを確認するジョブ開始確認部と、
前記ジョブ開始確認部がジョブの処理が開始されたことを確認した場合、その開始時刻を、最近のジョブ開始時刻Tdとして設定する開始時刻設定部と、
前記ジョブ待ち確認部によって、ジョブ待ち行列にジョブの情報がないことが確認された場合、前記記憶された待ち行列使用開始時刻Tsから前記最近のジョブ開始時刻Tdまでの経過時間(Td-Ts)を計算する待ち時間計測部と、
所定の計測期間内に前記待ち時間計測部によって計算された経過時間を加算した累積時間trを算出する累積時間計測部と、
前記算出された累積時間に基づいて、前記移行時間を設定する移行時間設定部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記所定の計測期間の終了時に、前記所定の計測期間内に算出された累積時間を、前記移行時間に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の計測期間は、変更可能なように前記記憶部に記憶されていることを特徴とする請求項1,2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
受信した画像形成のための複数のジョブのうち待ち状態にあるジョブの情報を登録したジョブ待ち行列と、待機モードから省エネモードへ移行するまでの移行時間とを記憶した記憶機能と、
処理中のジョブがある場合に、所定の計測期間内に処理要求されたジョブの情報を前記ジョブ待ち行列に登録し、かつ最初にそのジョブ待ち行列に登録した時刻を記憶させる待ち行列制御機能と、
前記ジョブ待ち行列に登録されていたジョブの情報がすべてなくなっていることが確認された場合、前記ジョブ待ち行列に登録した時刻から、前記ジョブ待ち行列に登録されていた最後のジョブの処理が開始され、ジョブ待ち行列の中にすべてのジョブの情報がなくなたことを確認した時刻までの経過時間を計算し、前記計測期間内において、前記経過時間を累積した累積時間を算出する累積時間計測機能と、
前記算出された累積時間に基づいて、前記移行時間を設定する移行時間設定機能とを、コンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図3−6】
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【図3−7】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−19275(P2012−19275A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153889(P2010−153889)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】