説明

画像形成装置

【課題】 ベルトユニットが画像形成装置に装着された態様と装着されていない態様と、のいずれにおいても、ベルトあるいは他の部材が、共通の構成により良好に保護されるとともに、画像形成動作前にベルト保護手段が簡易且つすみやかに除去される。
【解決手段】 シート部材は、使用前のベルトユニットにおけるベルト表面を保護するように、当該表面に沿って設けられている。シート部材における、ベルト表面移動経路に沿った一端部は、本体フレームの開口部の近傍であって当該開口部に面する位置にて、ベルト表面移動経路に沿った方向の移動を規制された状態でベルトユニットに対して脱着容易に係止されている。他端部は、ベルトユニットに対してベルト表面移動経路に沿った方向に移動することで脱着容易に係止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体を搬送しつつ、当該記録媒体上に画像形成を行うように構成された、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、所定方向に配列された複数の画像形成部と、これらの画像形成部と対向配置されたベルトユニットと、を備えていて、ベルトユニットが画像形成装置の本体に対して着脱可能に構成されたものが知られている(例えば、特開2003−76094号公報、特開2004−138945号公報、等参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
未使用のあるいは修理・点検後の画像形成装置を輸送したり移動したりする際に、ベルトユニットと、これと対向する部材(上述の画像形成部や、当該ベルトユニットが中間転写ベルトユニットである場合の二次転写ローラ等。)と、の衝突や一時的な接触により、ベルトあるいは上述の部材に傷や汚れが付くことを、防止する必要がある。また、交換部品としてのベルトユニットの輸送時や交換作業時等においても、ベルトに傷や汚れが付くことを防止する必要がある。
【0004】
このように、使用前(未使用を含む)のベルトユニットは、画像形成装置に装着された態様と、画像形成装置に装着されていない態様との2つの態様で、輸送あるいは移動される場合があり、いずれの態様においても良好にベルト(及び他の部材)を保護する必要がある。その一方で、ベルトを保護するための手段(保護シート等)は、画像形成装置による画像形成動作の前にすみやかに除去されなければならない。本発明は、このような課題に対処するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像形成装置は、シート状の記録媒体を搬送しつつ、当該記録媒体上に画像形成を行うように構成されている。この画像形成装置は、本体フレームと、ベルトユニットと、シート部材と、複数の画像形成部と、を備えている。
【0006】
複数の前記画像形成部は、前記本体フレームに支持されていて、前記記録媒体に対して画像形成を行うために、前記記録媒体の搬送方向に沿った所定の配列方向に配列されている。なお、複数の前記画像形成部の上方には、前記ベルトユニットが設けられ得る。
【0007】
前記本体フレームは、前記配列方向に沿って前記ベルトユニットを出し入れするための開口部を有していて、前記ベルトユニットを前記配列方向に沿って出し入れすることで着脱可能に支持するように構成されている。
【0008】
前記ベルトユニットは、前記本体フレームに対して着脱可能に構成されていて、複数の前記画像形成部と対向配置されている。このベルトユニットは、ベルトユニットフレームと、ベルトと、複数のベルト搬送ローラと、を備えている。前記ベルトは、側面視にて閉曲線を構成するように、無端状に形成されている。複数の前記ベルト搬送ローラは、前記ベルトユニットフレームに回転可能に支持されている。すなわち、これら複数のベルト搬送ローラは、前記ベルトを支持しつつ当該ベルトの表面を前記配列方向に沿って移動させるために、前記配列方向と直交する軸を中心として回転可能に設けられている。
【0009】
前記シート部材は、使用前の前記ベルトユニットにおける前記ベルトの前記表面を保護するように、当該表面に沿って設けられている。
【0010】
本発明の特徴は、
前記シート部材における、前記ベルトの前記表面の移動経路に沿った一端部が、前記開口部の近傍であって当該開口部に面する位置にて、前記移動経路に沿った方向の移動を規制された状態で前記ベルトユニットに対して脱着容易に係止され、
前記シート部材における、前記移動経路に沿った他端部が、前記ベルトユニットに対して前記移動経路に沿った方向に移動することで脱着容易に係止された
ことにある。
【0011】
前記画像形成装置は、複数の前記ベルト搬送ローラのうちの前記配列方向における最も前記開口部から離隔して配置されたものと対向配置された、対向ローラをさらに備えていてもよい。この場合、前記シート部材は、前記ベルトユニットと前記対向ローラとの間に挟持され得る。
【0012】
前記ベルトユニットフレームには、前記シート部材の前記一端部及び/又は前記他端部を脱着容易に係止するための係止部が形成されていてもよい。
【0013】
前記画像形成部は、前記ベルトの前記表面と前記シート部材を挟んで対向配置された、感光体ドラムを備えていてもよい。この場合、前記シート部材の、前記感光体ドラムと対向する部分には、弾性変形可能なシート状の緩衝材が設けられ得る。
【発明の効果】
【0014】
かかる構成においては、使用前の前記画像形成装置(前記ベルトユニットが装着されている状態)における、前記ベルトの前記表面は、前記シート部材によって保護されている。これにより、当該画像形成装置が輸送や移動された際に、前記ベルトユニットと前記画像形成部(前記感光体ドラム)及び/又は前記対向ローラとの衝突や一時的な接触により、前記ベルト及び/又は前記画像形成部等に傷や汚れが付くことが、良好に防止される。
【0015】
また、かかる構成においては、使用前の前記ベルトユニット(前記画像形成装置に装着されていない状態)における、前記ベルトの前記表面は、前記シート部材によって保護されている。よって、当該ベルトユニットが輸送や移動された際に、前記ベルトに傷や汚れが付くことが、良好に防止される。また、当該ベルトユニットが前記画像形成装置における前記本体フレームに装着される際に、当該本体フレームや前記画像形成部等との衝突や一時的な接触により前記ベルト及び/又は前記画像形成部等に傷や汚れが付くことや、使用者の手指が前記ベルトに直接接触することによる前記ベルトの前記表面への汚れの付着が、良好に防止される。
【0016】
さらに、かかる構成においては、使用前の前記ベルトユニット(使用前の前記画像形成装置に初めから装着されていた場合と、後から交換部品として前記画像形成装置に装着された場合と、を含む。)から前記シート部材を除去する際には、前記開口部近傍にて当該開口部に面した前記一端部を使用者が把持して引き抜くだけで、前記他端部が前記ベルトの前記表面に沿って移動することで容易に前記ベルトユニットによる係止から離脱する。よって、前記シート部材の除去が簡易且つすみやかに行われる。一方、前記一端部は、前記移動経路に沿った方向の移動が規制された状態で前記ベルトユニットに対して係止されているため、使用前の状態における前記シート部材の装着状態(前記ベルトの保護状態)が、良好に維持され得る。
【0017】
このように、本発明によれば、前記ベルトユニットが前記画像形成装置に装着された態様と、前記ベルトユニットが前記画像形成装置に装着されていない態様と、のいずれにおいても、前記ベルトあるいは他の部材が、共通の構成により良好に保護されるとともに、画像形成動作前に前記シート部材が簡易且つすみやかに除去される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態に係るカラーレーザープリンタの概略構成図である。
【図2】図1に示されているカラーレーザープリンタにおける、ベルトユニットの使用前の状態を示す概略図である。
【図3A】図1に示されているベルトユニットの外観を示す斜視図である。
【図3B】図1に示されているベルトユニットの外観を示す斜視図である。
【図4】図2に示されている保護シートの外観を示す斜視図である。
【図5A】図2に示されているベルトユニット(保護シートが装着されている状態)の外観を示す斜視図である。
【図5B】図2に示されているベルトユニット(保護シートが装着されている状態)の外観を示す斜視図である。
【図6】図4に示されている保護シートの一変形例の構成を示す斜視図である。
【図7】図4に示されている保護シートの一変形例の構成を示す斜視図である。
【図8】図3Aに示されているベルトユニット(保護シートが装着されている状態)の一変形例の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
<カラーレーザープリンタの概略構成>
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態に係るカラーレーザープリンタ1の概略構成図である。以下、図1における右側を「前面」側と称し、図1における左側を「背面」側と称する。また、図1における左右方向を「前後方向」と称し、図1における上下方向及び左右方向と垂直な方向を「幅方向」と称する。
【0021】
本実施形態のカラーレーザープリンタ1は、シート状の用紙Pを用紙搬送経路PPに沿って搬送しつつ、微粉末状の乾式現像剤であるトナーを用いて用紙P上に画像を形成するように構成されている。また、このカラーレーザープリンタ1は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの4色のトナーを用いて、多色の(いわゆるフルカラーの)画像形成を行い得るように構成されている。
【0022】
カラーレーザープリンタ1は、複数の画像形成部2(2Y、2M、2C、及び2K)と、ベルトユニット3と、二次転写ローラ4と、を備えている。これらは、カラーレーザープリンタ1の本体部分をなす本体フレーム10によって支持されている。本体フレーム10の背面側の端部には、前後方向に沿ってベルトユニット3を本体フレーム10に出し入れするための開口部10aが形成されている。
【0023】
本実施形態においては、画像形成部2Y、2M、2C、及び2Kは、背面側から前面側に向かって、この順に略水平に配列されている。また、画像形成部2は、感光体ドラム21を備えている。本実施形態においては、感光体ドラム21は、画像形成部2の上端部に設けられている。すなわち、画像形成部2は、感光体ドラム21の円筒面状の外周面である静電潜像担持面を上方に向けて露出するように配置されている。そして、画像形成部2Y、2M、2C、及び2Kに対応する、複数の感光体ドラム21が、互いに平行に、用紙搬送経路PPに沿った水平方向に配列されている。
【0024】
ベルトユニット3は、複数の画像形成部2の上方にてこれらと対向するように設けられていて、開口部10aを通して本体フレーム10に出し入れすることで本体フレーム10に対して着脱可能に構成されている。このベルトユニット3は、ベルト31と、ベルト搬送ローラ32及び33と、ベルトユニットフレーム35と、を備えている。
【0025】
ベルト31は、側面視にて閉曲線を構成するように、無端状に形成されている。ベルト搬送ローラ32は、ベルトユニット3における背面側の端部に設けられている。一方、ベルト搬送ローラ33は、ベルトユニット3における前面側の端部にて、ベルト31を挟んで二次転写ローラ4と対向するように設けられている。これらのローラは、ベルトユニットフレーム35によって、幅方向と平行な軸を中心として回転可能に支持されている。また、ベルト31は、これらのローラの外側に架け渡されることで、側面視にて長円状に支持されている。すなわち、ベルト搬送ローラ32及び33は、ベルト31を支持しつつ、少なくともいずれか一方が回転駆動されることで当該ベルト31の表面を複数の画像形成部2の配列方向に沿って移動させるようになっている。
【0026】
上述のように、本実施形態におけるベルトユニット3は、いわゆる中間転写ベルトユニットであって、複数の感光体ドラム21における上述の静電潜像担持面上にて像様に担持されたトナー(以下、これを「トナー像」と称する。)を感光体ドラム21とベルト31とが対向する位置にてベルト31上に転写させるとともに、トナー像が転写されたベルト31の表面をベルト搬送ローラ33と二次転写ローラ4とが対向する位置に向かって背面側から前面側に移動させるように構成されている。
【0027】
二次転写ローラ4は、ベルト搬送ローラ32及び33のうちの最も開口部10aから離隔して配置されたベルト搬送ローラ33と、ベルト31を挟んで対向するように設けられている。この二次転写ローラ4は、ベルト31を挟んでベルト搬送ローラ33と対向する位置にて、ベルト31上に担持されたトナー像を用紙P上に転写するように設けられている。
【0028】
図2は、図1に示されているカラーレーザープリンタ1における、ベルトユニット3の使用前の状態を示す概略図である。ここで、図2における(i)は、図1に相当する図である。かかる状態は、例えば、以下のような状態に相当する:(1)カラーレーザープリンタ1が新品で未使用である状態、(2)カラーレーザープリンタ1の修理・点検後、未使用のベルトユニット3が装着された状態。
【0029】
図2を参照すると、使用前のベルトユニット3におけるベルト31の表面を保護するように、当該表面に沿って、保護シート50が設けられている。本実施形態においては、保護シート50は、ベルト31と複数の画像形成部2及び二次転写ローラ4とが対向する領域に設けられている。すなわち、保護シート50は、ベルトユニット3と、複数の感光体ドラム21及び二次転写ローラ4との間で挟持された状態で設けられている。
【0030】
保護シート50の、ベルト31の表面の略長円状の移動経路に沿った一端部であって、開口部10aの近傍で且つ当該開口部10aに面する位置(使用者が開口部10aを通して容易に把持できる位置)に設けられた近位端部51は、当該移動経路に沿った方向の移動を規制された状態で、ベルトユニット3に対して脱着容易に係止されている。また、保護シート50の、上述の移動経路に沿った他端部であって、開口部10aから離隔した位置に設けられた遠位端部52は、ベルト搬送ローラ33の近傍位置にて、ベルトユニット3に対して係止されている。この遠位端部52は、近位端部51が使用者によって把持されて背面側に引き出された場合に、ベルト31の表面の移動経路に沿って(具体的には当該表面の移動方向と反対方向に)移動することで係止状態が容易に解除されるように、ベルトユニットフレーム35に係止されている。
【0031】
図2における(ii)は、同(i)に示されている保護シート50の、近位端部51と遠位端部52との中間の部分を拡大した断面図である。本実施形態においては、保護シート50は、表面シート53及び54と、緩衝シート55と、を備えている。緩衝シート55は、最も背面側に位置する感光体ドラム21と対向する位置よりも若干背面側(近位端部51寄り)の位置と、二次転写ローラ4と対向する位置よりもベルト31の表面の移動方向(図1中の実線の矢印参照)における若干下流側の位置と、の間の領域に設けられていて、表面シート53と表面シート54との間に挟持されている。すなわち、緩衝シート55は、保護シート50における、感光体ドラム21及び二次転写ローラ4と対向する部分に設けられている。
【0032】
<保護シートの係止構成の具体例>
図3A及び図3Bは、図1に示されているベルトユニット3の外観を示す斜視図である。図4は、図2に示されている保護シート50の外観を示す斜視図である。図5A及び図5Bは、図2に示されているベルトユニット3(保護シート50が装着されている状態)の外観を示す斜視図である。すなわち、図3Aに示されているベルトユニット3に対して、図4に示されている保護シート50を装着した状態が、図5Aに相当する。図6は、図2に示されているベルトユニット3(保護シート50が装着されている状態)の側断面図である。以下、これらの図を参照しつつ、保護シート50をベルトユニット3に係止するための具体的な構成の一例について説明する。
【0033】
まず図3A及び図3Bを参照すると、ベルトユニットフレーム35は、天板351と、一対の側板352と、背面板353と、把持部354と、を備えている。天板351、一対の側板352、及び背面板353からなる、下方及び前面側に向かって開口する箱状の部材は、ベルト31の表面を下方及び前面側に向かって露出し得るように、一体に形成されている。ベルト搬送ローラ32及び33は、一対の側板352によって、回転可能に支持されている。
【0034】
把持部354は、背面板353から背面側に向けて突出するように設けられた箱状部材であって、背面板353と一体に形成されている。本具体例においては、把持部354は、背面板353の幅方向における中央部に設けられている。この把持部354には、前後方向に貫通する貫通孔である係止孔355が形成されている。係止孔355は、スリット状の貫通孔であって、幅方向に沿って設けられている。
【0035】
天板351における前面側の端部には、天板351における他の部分よりも低くなっている段差部356が、ベルト31の幅方向における全幅に亘って設けられている。この段差部356の背面側の端縁には、上下方向に貫通する貫通孔であって、幅方向に長手方向を有する、係止スリット357が形成されている。
【0036】
次に、図4、図5A、図5B、及び図6を参照すると、保護シート50の背面側の端部である、近位端部51には、把持部511が設けられている。把持部511は、側面視にてL字状に形成された薄板状の部材であって、ベルトユニットフレーム35における把持部354に対応する位置に設けられている。把持部511における、係止孔355に対向する位置には、当該係止孔355に係止され得るように、係止フラップ511aが形成されている。本具体例においては、把持部511における係止フラップ511aが把持部354における係止孔355に係止された後に、遠位端部52が、係止スリット357に挿入されて、段差部356及び係止スリット357が設けられた天板351の前面側の端部にて係止されることで、保護シート50がベルトユニット3に対して装着されている。
【0037】
<実施形態及び具体例の構成による作用・効果>
かかる構成においては、使用前のベルトユニット3には、図5A、図5B、及び図6に示されているように、ベルト31におけるベルトユニットフレーム35から外部に露出されている部分(下方に向けて露出する部分及びベルト搬送ローラ33近傍の部分)が、保護シート50によって保護されている。
【0038】
これにより、使用前のベルトユニット3の搬送の際に、ベルト31に傷や汚れが付くことが、良好に防止され得る。また、使用前のベルトユニット3を本体フレーム10に対して装着する際に、使用者の手指によりベルト31に汚れが付着することが、良好に防止される。さらに、使用前のベルトユニット3を本体フレーム10に対して装着する際に、本体フレーム10における開口部10aや感光体ドラム21や二次転写ローラ4と衝突したり一時的に接触したりすることで、ベルト31や感光体ドラム21に傷が付くことが、良好に防止され得る。
【0039】
また、かかる構成においては、使用前のベルトユニット3が本体フレーム10に装着されている状態で、ベルトユニット3と感光体ドラム21及び二次転写ローラ4との間に介在するように保護シート50が設けられていて、かかる保護シート50によってベルト31が保護されている。さらに、かかる保護シート50における、感光体ドラム21及び二次転写ローラ4と対向する部分には、緩衝シート55が設けられている。これにより、ベルトユニット3が装着された状態のカラーレーザープリンタ1(カラーレーザープリンタ1が新品や保守・点検後の場合)が輸送や移動された際の衝撃によって、ベルト31や感光体ドラム21や二次転写ローラ4に傷や汚れが付くことが、良好に防止される。
【0040】
使用前のベルトユニット3が本体フレーム10に装着されている状態のカラーレーザープリンタ1から保護シート50を除去する際には、開口部10aの近傍であって当該開口部10aに面する位置に設けられた近位端部51における把持部511を使用者が把持して背面側に引き出すことで、遠位端部52がベルト31の表面に沿って移動し、段差部356及び係止スリット357による係止から離脱する。これにより、保護シート50の除去が、簡易且つすみやかに行われる。
【0041】
一方、近位端部51における把持部511は、ベルト31の表面の移動経路に沿った移動が規制された状態で、ベルトユニットフレーム35における把持部354に係止されているので、把持部511が使用者によって把持されて引き出される前の段階においては、保護シート50が、ベルト31を良好に保護し得るように、ベルトユニット3に対して良好に係止されている。したがって、使用前のベルトユニット3における保護シート50の装着状態(ベルト31の保護状態)が、良好に維持され得る。
【0042】
特に、本実施形態及び具体例によれば、ベルトユニット3を複数の画像形成部2の配列方向に沿って着脱する構成であって、且つ、ベルトユニット3の下部にてベルト31を露出させなければならない構成のカラーレーザープリンタ1において、ベルトユニット3が本体フレーム10に装着されている時点、ベルトユニット3が本体フレーム10に装着される前の時点、及び、ベルトユニット3が本体フレーム10に装着される時点、のすべてについて、ベルト31や感光体ドラム21等への傷や汚れを良好に防止するとともに、保護シート50を簡易且つすみやかに除去することが、共通の装置構成によって良好に実現される。
【0043】
<変形例の例示>
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0044】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、実施形態や変形例の、全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、互いに複合的に適用され得る。
【0045】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態や、下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
【0046】
ベルト搬送ローラ32とベルト搬送ローラ33との間であって、ベルト31を挟んで感光体ドラム21と対向する位置には、一次転写ローラが設けられていてもよい。あるいは、本発明は、中間転写に限定されない。すなわち、ベルトユニット3は、用紙搬送ユニットであってもよい。
【0047】
図7は、図4に示されている保護シート50の一変形例の構成を示す斜視図である。図7に示されているように、把持部511は、ベルトユニットフレーム35における把持部354を収容する係止孔511bを有していてもよい。この場合、図8に示されているように、把持部354にはスリット状の貫通孔は形成されていなくてもよい。
【0048】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した他の出願や公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして、必要に応じて且つ技術的に矛盾しない範囲内において援用され得る。
【符号の説明】
【0049】
1…カラーレーザープリンタ
10…本体フレーム 10a…開口部
2…画像形成部 21…感光体ドラム
3…ベルトユニット 31…ベルト
32…ベルト搬送ローラ 33…ベルト搬送ローラ
35…ベルトユニットフレーム 351…天板
352…側板 353…背面板
354…把持部 355…係止孔
356…段差部 357…係止スリット
50…保護シート
51…近位端部 511…把持部
511a…係止フラップ 511b…係止孔
52…遠位端部 53…表面シート
54…表面シート 55…緩衝シート
4…二次転写ローラ
P…用紙 PP…用紙搬送経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2006−330694号公報
【特許文献2】特開2007−114718号公報
【特許文献3】特開2003−263024号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録媒体を搬送しつつ、当該記録媒体上に画像形成を行うように構成された、画像形成装置において、
前記記録媒体に対して画像形成を行うために、前記記録媒体の搬送方向に沿った所定の配列方向に配列された、複数の画像形成部と、
側面視にて閉曲線を構成するように無端状に形成されたベルトと、前記ベルトを支持しつつ当該ベルトの表面を前記配列方向に沿って移動させるために前記配列方向と直交する軸を中心として回転可能に設けられた複数のベルト搬送ローラと、これら複数のベルト搬送ローラを回転可能に支持するベルトユニットフレームと、を有していて、複数の前記画像形成部と対向配置された、ベルトユニットと、
前記配列方向に沿って前記ベルトユニットを出し入れするための開口部を有し、複数の前記画像形成部を支持するとともに、前記ベルトユニットを前記配列方向に沿って出し入れすることで着脱可能に支持するように構成された、本体フレームと、
使用前の前記ベルトユニットにおける前記ベルトの前記表面を保護するように、当該表面に沿って設けられた、シート部材と、
を備え、
前記シート部材は、
前記ベルトの前記表面の移動経路に沿った一端部が、前記開口部の近傍であって当該開口部に面する位置にて、前記移動経路に沿った方向の移動を規制された状態で前記ベルトユニットに対して脱着容易に係止され、
前記移動経路に沿った他端部が、前記ベルトユニットに対して前記移動経路に沿った方向に移動することで脱着容易に係止されたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、画像形成装置において、
複数の前記ベルト搬送ローラのうちの前記配列方向における最も前記開口部から離隔して配置されたものと対向配置された、対向ローラをさらに備え、
前記シート部材は、前記ベルトユニットと前記対向ローラとの間に挟持されたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の、画像形成装置であって、
前記ベルトユニットフレームには、前記シート部材の前記一端部及び/又は前記他端部を脱着容易に係止するための係止部が形成されたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の、画像形成装置であって、
前記ベルトユニットは、前記画像形成部の上方に設けられたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の、画像形成装置であって、
前記画像形成部は、前記ベルトの前記表面と前記シート部材を挟んで対向配置された、感光体ドラムを備えたことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の、画像形成装置であって、
前記シート部材の、前記感光体ドラムと対向する部分には、弾性変形可能なシート状の緩衝材が設けられていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項に記載の画像形成装置における、前記本体フレームに対して着脱可能に構成された、前記ベルトユニットであって、
前記ベルトの前記表面を保護するように、当該表面に沿って、前記シート部材が設けられたことを特徴とする、ベルトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−194303(P2012−194303A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57468(P2011−57468)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】