説明

画像形成装置

【課題】 カートリッジ装着の際にユーザがカートリッジや装置本体から受ける反力のピークの最大値が大きくユーザへの負荷が大きい。
【解決手段】 カートリッジ(10)を装置本体に挿入する時、カートリッジが第1移動部材(111、121)を付勢する力に抗して第1移動部材を押圧する際にカートリッジが第1移動部材から受ける反力に第1のピークが発生し、カートリッジを装置本体に挿入する時、カートリッジが第2移動部材を押圧して第2移動部材を位置決め位置に移動させる際にカートリッジが第2移動部材(101)から受ける反力に第2のピークが発生し、第1のピークが発生するタイミングと第2のピークが発生するタイミングとが異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式で記録材上に画像を形成する画像形成装置に関するもので、感光体を備えるカートリッジを交換することでメンテナンスを行うことが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、感光体をトナー容器や現像ユニット等と一体化してカートリッジとし、このカートリッジを交換することで容易にメンテナンスを行うよう構成することが一般的である。このようなカートリッジは画像形成装置本体に装着された状態で、画像形成を行う為の画像形成位置に位置決めされる。
【0003】
ところで、感光体を露光する露光部材として、複数の発光素子がアレイ状に配列されたものを用いる場合、カートリッジ装着の際は、カートリッジを画像形成位置に位置決めするだけでなく、露光部材を感光体に対して位置決めをする必要がある。
【0004】
特許文献1には、開閉カバーを閉めることで、露光部材をバネで押圧してカートリッジに突き当てることで露光部材と感光体との位置決めしつつ、カートリッジを画像形成位置に位置決めする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−035003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1においては、カートリッジを押圧して画像形成位置に位置決めするタイミングと、露光手段をカートリッジに向かって押圧して露光手段を位置決めするタイミングとが同じである。
【0007】
このため、カートリッジ装着の際にユーザがカートリッジや装置本体から受ける反力のピークの最大値が大きくユーザへの負荷が大きい。
【0008】
そこで本願発明は、上記課題に鑑みて、カートリッジ装着の際に必要な押圧力を軽減した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、アレイ状に配列された複数の発光素子を備え、前記複数の発光素子により感光体を露光する露光部材を有し、前記感光体を支持するカートリッジを画像形成位置に装着し、画像形成位置にある前記カートリッジの前記感光体を露光位置にある前記露光部材で露光することにより前記感光体上に潜像を形成し、画像形成を行う画像形成装置であって、前記カートリッジを装置本体に装着する際に前記カートリッジを前記カートリッジの装置本体への挿入方向と異なる方向に移動させるよう付勢された第1移動部材と、前記カートリッジを装置本体に装着する際、前記カートリッジに押圧されて前記露光部材を付勢して前記露光位置に位置決めする位置決め位置に移動する第2移動部材と、を有し、前記カートリッジは前記第1移動部材によって移動させられることで前記画像形成位置に向かって移動させられ、前記カートリッジを装置本体に挿入する時、前記カートリッジが前記第1移動部材を付勢する力に抗して前記第1移動部材を押圧する際に前記カートリッジが前記第1移動部材から受ける反力に第1のピークが発生し、前記カートリッジを装置本体に挿入する時、前記カートリッジが前記第2移動部材を押圧して前記第2移動部材を前記位置決め位置に移動させる際に前記カートリッジが前記第2移動部材から受ける反力に第2のピークが発生し、前記第1のピークが発生するタイミングと前記第2のピークが発生するタイミングとが異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カートリッジ装着の際に必要な押圧力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の全体構成を示す概略断面図。
【図2】画像形成装置におけるカートリッジ周辺の概略断面図。
【図3】カートリッジ装着時の画像形成装置を斜め前方から見た斜視図。
【図4】画像形成装置内のカートリッジ周囲の概略斜視図。
【図5】カートリッジ着脱時の画像形成装置の部分断面図。
【図6】カートリッジ着脱時の画像形成装置の部分断面図。
【図7】カートリッジ着脱時の画像形成装置の部分断面図。
【図8】カートリッジ着脱時の画像形成装置の部分断面図。
【図9】カートリッジが装着された状態の画像形成装置の部分断面図。
【図10】(a)カートリッジの挿入時にカートリッジが引き上げ部材及び押し上げ部材を押圧する際に必要な操作力を示すグラフ。(b)カートリッジの挿入時にカートリッジがLED押し上げカムを押圧する際の操作力を示すグラフ。(c)カートリッジの挿入時の操作力を示すグラフ。
【図11】画像形成装置を斜め前方から見た斜視図。
【図12】カートリッジ着脱時の画像形成装置の部分断面図。
【図13】カートリッジが装着された状態の画像形成装置の部分断面図。
【図14】内開閉部材とカートリッジガイド周辺の画像形成装置の一部を斜め上方から見た斜視図。
【図15】画像形成装置のカートリッジ周辺を感光ドラムの軸方向から見た断面図。
【図16】装置本体から引き出した状態のガイド部材にカートリッジが載せられた状態の画像形成装置の部分斜視図。
【図17】カートリッジ着脱時の画像形成装置の部分断面図。
【図18】カートリッジ着脱時の画像形成装置の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
[画像形成装置の全体構成]
まず、画像形成装置の全体構成について説明する。本実施形態の画像形成装置は電子写真方式のカラー画像形成装置である。図1は画像形成装置1の全体構成を示す概略断面図である。
【0013】
画像形成装置1は、最下段に給紙手段80を配置している。給紙手段80は記録材としてのシートを収容する。給紙手段80の右上部には、シートのレジストを合わせ搬送するレジストローラユニット50を配置している。給紙手段80の上方には4個のカートリッジ10(10Y、10M、10C、10Kを配置している。カートリッジ10の間には後述するLEDユニット30が配置され、感光ドラム11を露光する。カートリッジ10の上方には、カートリッジ10に対向するように、中間転写ユニット40が配置されている。中間転写ユニット40は中間転写ベルト41を備える。中間転写ベルト41の内側には一次転写ローラ42(42Y、42M、42C、42K)、中間転写ベルト駆動ローラ43、二次転写対向ローラ44、テンションローラ45、中間転写ベルトクリーニング手段46を備えている。中間転写ユニット40の右側には二次転写ユニット90が配置され、二次転写対向ローラ44に対向するように、二次転写ローラ91が備えられている。中間転写ユニット40及び二次転写ローラ91の上部には定着ユニット20を配置している。定着ユニット20の左上部には排紙ユニット60を配置している。排紙ユニット60は、排紙ローラ対61及び両面搬送部62、反転ローラ対63と分岐手段である両面フラッパ64を備えている。
【0014】
[カートリッジの構成]
次に、画像形成の為の部材を備え、画像形成装置1に着脱可能で、画像形成装置1に装着された状態で画像形成を行うカートリッジの構成について説明する。カートリッジ10(10Y、10M、10C、10K)はそれぞれ感光ドラム11(11Y、11M、11C、11K)とそれに作用するプロセス手段を備えるプロセスカートリッジである。装置本体1には4個のカートリッジ10(10Y、10M、10C、10K)を着脱可能である。これら4つのカートリッジ10は異なる色のトナー画像を形成する点で相違し、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを収納している。それ以外については、4つのカートリッジ10は同一構造であるので、以下一つのカートリッジ10として代表して説明する。なお、カートリッジ10の備える部材等も同様に代表して説明する。
【0015】
図2は、画像形成装置1におけるカートリッジ10周辺の概略断面図。カートリッジ10は、クリーナユニット17と現像ユニット14の2つのユニットを一体的に構成されている。
【0016】
クリーナユニット17は、感光ドラム11、帯電ローラ12、クリーニングブレード161、廃トナー容器162を有する。感光ドラム11は、アルミニウム製シリンダの外周面に有機光導伝体層(OPC)を塗布して構成したものである。感光ドラム11は軸方向の両端をフランジによって回転自在に支持されており、装置本体1内の駆動モータ(不図示)により駆動力を受け回転する。
【0017】
帯電ローラ12は、導電性ローラであり、このローラを感光ドラム11表面に当接させる。当接時に、帯電バイアス電圧を印加することにより、感光ドラム11表面を一様に帯電させる。一次転写後の各感光ドラム11表面に残った転写残トナーは、クリーニングブレード161により除去される。除去されたトナーは、廃トナー容器162に回収される。
【0018】
現像ユニット14は、現像ローラ142、トナー供給・回収ローラ143、トナー供給・回収ローラ143、トナー収納部144により構成される。
静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する。現像ローラ142は、感光ドラム11に隣接し、装置本体1内の駆動モータ(不図示)の駆動力により回転されると共に、現像バイアス電圧を印加することにより感光ドラム11の現像を行う。トナー供給・回収ローラ143は、トナー収納部144から現像ローラ142へとトナーを供給し、また、感光ドラム11を現像しなかったトナーを回収する。
【0019】
[LEDユニット30の構成]
次に、LEDユニット30(30Y、30M、30C、30K)の構成について説明する。
【0020】
LEDユニット30は装置本体1に装着された4つのカートリッジ10の現像ユニット14とクリーナユニット17の間に夫々配置され、画像情報に基づいて感光ドラム11を露光し、感光ドラム11上に静電潜像を形成する。4つのLEDユニット30(30Y、30M、30C、30K)は同一構造であるので、以下一つのLEDユニット30として代表して説明する。なお、LEDユニット30の備える部材等も同様に代表して説明する。
【0021】
LEDユニット30は、LEDフレーム31と、LEDヘッド32と露光部材としてのLEDヘッド32とカートリッジ押圧部材35(図5参照)と押圧バネ36で構成されている。
【0022】
LEDヘッド32は、複数のLED発光素子が主走査方向に所定の画素ピッチに応じてアレイ状に配列されたLEDアレイ33と、LEDアレイ33の各LED発光素子からの光が透過するレンズアレイ34とをユニット化したものである。LEDアレイ33は、形成すべき画像データに基づいて発光し、回転している感光ドラム11に光を照射し、感光ドラム11を露光する
LEDフレーム31は、LEDヘッド32とカートリッジ押圧部材35と押圧バネ36を内包する。
【0023】
LEDヘッド32及びカートリッジ押圧部材35は一体的に構成されており、画像形成位置にあるカートリッジ10に向かって付勢され突き当たることで、露光位置に位置決めされる構成となっている。このため、LEDヘッド32及びカートリッジ押圧部材は、押圧バネ36に上方向に付勢されながら、LEDフレーム31に対して、上下方向(Z方向)及び感光ドラム11の軸方向に所定量自由に移動可能にLEDフレーム31に支持されている。
【0024】
また、LEDユニット30は、カートリッジ10を装置本体1から着脱する際、カートリッジ10の移動を邪魔しないようカートリッジから退避できるようになっている。具体的には、LEDユニット30は、上下方向(Z方向)に移動可能に、LEDユニット押し上げカム101(図5参照)を介してカートリッジガイド100に支持されている。
【0025】
[画像形成動作]
次に、本実施形態の画像形成装置1のカラー画像形成動作について説明する。画像形成動作はカートリッジ10が装置に装着され画像形成位置にある状態で実行される。上述したように、感光ドラム11は駆動されA方向(図2)に回転させられる。この状態で、帯電ローラ12により、感光ドラム11の表面は一様に帯電され、LEDユニット30により露光されることで、表面に静電潜像が形成される。さらに現像ローラ142によってこの静電潜像にトナーを付着させることで感光ドラム11表面にトナー像が形成される。このトナー像は、感光ドラム11表面が一次転写ローラ42に対向する位置で転写バイアスを印加され、感光ドラム11表面から中間転写ベルト41上に転写される。
【0026】
中間転写ベルト41は各感光ドラム(11Y、11M、11C、11K)に対向する位置でトナー像を重畳的に転写され、4色のトナー像が重なった重畳画像としてのトナー像が中間転写ベルト41上に形成される。このトナー像は、二次転写ローラ44に対向する位置でタイミングを合わせて給紙手段80から供給されたシート上に中間転写ベルト41から一括転写される。
【0027】
トナー像を転写されたシートは、定着ユニット20へ搬送され、定着ユニット20で加熱、及び、加圧されることで、シート上にトナー像が定着させられ、排紙ユニット60により装置外に排出される。以上のような動作によってシート上に画像を形成する。
【0028】
[カートリッジ10の装置本体への装着]
次に、カートリッジ10の画像形成装置1への装着について説明する。図3はカートリッジ10装着時の画像形成装置1を斜め前方から見た斜視図である。本実施形態では、カートリッジ10を感光ドラム11の回転軸方向で移動させて装置本体1に挿入、又は、装置本体1から引き出しを行うことで装置本体1に着脱可能な構成となっている。このようにカートリッジ10を着脱する構成は所謂サイドオリエンテッド構成と呼ばれている。
【0029】
カートリッジ10を画像形成装置1へ装着する場合は、装置本体1に対して開閉部材70を開き、開口部71を露出させる。開口部71からは、感光ドラム11の軸に直交する方向に一列に配置された4個のカートリッジガイド100(100Y、100M、100C、100K)が露出する。クリーナユニット17と現像ユニット14とでカートリッジガイド100を挟むように、カートリッジ10をこのカートリッジガイド100に合わせてF方向に挿入することでカートリッジ10を装置本体1に装着することができる。なお、図3ではカートリッジ10Mが既に装置本体1に装着され、カートリッジ10Yを装置本体1へ挿入されている途中の状態を示している。
【0030】
上述したように、カートリッジ10を感光ドラム11の軸方向で装置本体1に挿入することで、カートリッジ10の着脱を行う構成では、カートリッジ10着脱の際に、感光ドラム11と中間転写ベルト41等の装置本体1内で感光ドラム11と近接する部材と擦れて互いに傷つく虞がある。そこで、感光ドラム11の軸に直交する方向において、カートリッジ10を中間転写ベルト41等から所定の距離退避させた状態で挿入が行われるよう構成されている。
【0031】
本実施形態では感光ドラム11の上方に中間転写ベルト41が配置されているので、カートリッジ10の挿入時、最初はカートリッジ10は中間転写ベルト41の下方に退避した状態となっている。そして、カートリッジ10の挿入が完了する直前で、カートリッジ10が重力に抗して上方へ移動させられ、感光ドラム11と中間転写ベルト41が近接した画像形成位置に到達する。
【0032】
このように、カートリッジ10の挿入時に重力に抗して上方に押し上げることで、感光ドラム11の軸に直交する方向にカートリッジ10を移動させる構成では、他の方向にカートリッジ10を移動させるより大きな押圧力が必要となる。
【0033】
また、上述したように、本実施形態では、LEDユニット30を上方に移動させ、LEDヘッド32をカートリッジ10に向かって押圧することでLEDヘッド32を露光位置に位置決めする構成になっている。このため、カートリッジ10を上方に押し上げるタイミングとLEDユニット30を上方に移動させるタイミングとが常に一致してしまうと、カートリッジ10装着の際にユーザが受ける反力のピークが同時に現れるためユーザへの負荷が大きくなる。
【0034】
そこで、本実施形態では、カートリッジ10装着の際にユーザが受ける反力のピークのタイミングをずらすよう構成している。
【0035】
次に、カートリッジ10を上方に移動させ、装置本体1内で位置決めする為の構成について詳しく説明する。
【0036】
図4は画像形成装置1内のカートリッジ10周囲の概略斜視図である。なおカートリッジ10は挿入途中の状態を示している。装置内には、前側板110と後側板120が、カートリッジ10が装着された状態で感光ドラム11の軸方向(F方向)両端に配置されるよう設けられている。また、カートリッジ10の感光ドラム11の軸方向両端には、感光ドラム11の装置本体1内での位置を決める為の被位置決部13a、13bが設けられている。
【0037】
前側板110には、カートリッジ10の挿入が完了する直前で、カートリッジ10の被引き上げ部113に押し下げられた後に被引き上げ部113を引き上げる第1移動部材としての引き上げ部材111が設けられている。引き上げ部材111は、軸118を回転中心として回転可能に設けられ、前側板110の引っ掛け部117に引っ掛けられた引き上げバネ116により上方(Z方向)に付勢されている。また、前側板110には突当部112a、112bが形成されている。
【0038】
後側板120には、カートリッジ10の挿入が完了する直前で、カートリッジ10の被押し上げ部123に押し下げられた後に被押し上げ部123を押し上げる第1移動部材としての押し上げ部材121が設けられている。押し上げ部材121は、軸128を回転中心として回転可能に設けられ、押し上げバネ126により上方(Z方向)に付勢されている。また、後側板120には突当部122a、122bが形成されている。
【0039】
カートリッジ10は、装置本体1への挿入時にこれら引き上げ部材111及び押し上げ部材121によって上方に移動させられる。
【0040】
次に、カートリッジ10を装置本体1に装着して画像形成位置に位置決めし、且つ、LEDユニット30及びLEDヘッド32をカートリッジ10に位置決めする構成について説明する。
【0041】
図5はカートリッジ10着脱時の画像形成装置1の部分断面図である。なお、この断面は感光ドラム11の軸を含み、Z方向に平行な断面である。
【0042】
この状態では、LEDヘッド32を備えるLEDユニットは、カートリッジ10の感光ドラム11に対して下方に退避した退避位置に位置している。
【0043】
この状態からカートリッジ10を感光ドラム11の軸方向(F方向)に装置本体1に挿入していく。図6に示すように、まず、カートリッジ10の被引き上げ部113が引き上げ部材111に当接し、引き上げ部材111を軸118(図4)回りで下方に回転させる。同時に、カートリッジ10の被押し上げ部123が押し上げ部材121に当接し、押し上げ部材121を軸128(図4)回りで下方に回転させる。
【0044】
更にカートリッジ10をF方向に挿入していくと、図7に示すように、被引き上げ部113が引き上げ部材111の引き上げ面114(図4)に乗り上げる。同時に、押し上げ部材121にも被押し上げ部123が乗り上げる。このように、カートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121を押圧し、これらに乗り上げる。これにより、引き上げ部材111の引き上げバネ116及び押し上げ部材121の押し上げバネ126の付勢力によってカートリッジ10が所定量上方向に移動させられる。
【0045】
また更に、このときカートリッジ10に設けられたカム当接面103が第2移動部材としてのLEDユニット押し上げカム101に設けられたカートリッジ当接面102に当接する。
【0046】
この状態から更にカートリッジ10をF方向に挿入していくと、図8に示すように、LEDユニット押し上げカム101が、カートリッジ10に押圧されてF方向に移動する。そして、LEDユニット押し上げカム101のLEDユニット30を押し上げるためのカム面104 がLEDユニット30のカム面105に当接し、LEDユニット30が感光ドラム11に向かって上方(Z方向)押し上げられる。
【0047】
LEDユニット30が上方に押し上げられたことで、LEDユニット30の押圧バネ36により上方向に付勢されるカートリッジ押し上げ部材35がカートリッジ10に当接し、カートリッジ10を押圧する。これにより、カートリッジ10は更に上方向に移動させられる。
【0048】
そして、図9に示すように、被位置決部13a、13b(図4)が前側板110の突当部112a、112b(図4)、後側板120の突当部122a、122b(図4)に突き当たる。これにより、カートリッジ10の上下方向(Z方向)、及びカートリッジ挿入方向(F方向)と上下方向に直交する方向の位置が決まる。
【0049】
また同時にカートリッジ挿入方向(F方向)でカートリッジ10の一部が後側板120に突き当たり、カートリッジ挿入方向(F方向)の位置が決まる。
【0050】
以上のようにしてカートリッジ10が画像形成位置に到達し、位置決めされる。
【0051】
また、カートリッジ押圧部材35が、カートリッジ10の嵌合穴106に嵌入することで、LEDユニット30のLEDヘッド32のカートリッジ10に対する主走査方向(F方向)及び副走査方向(F方向とZ方向に直交する方向)の位置決めが行われる。このようにしてLEDヘッド32が露光位置に到達し、位置決めされる。
【0052】
なお、引き上げ部材111と押し上げ部材121(図8)とLEDユニット30のカートリッジ押圧部材35の押圧力の合力により、カートリッジ10を画像形成位置に位置決めし、中間転写ベルト41にトナー像を転写するのに十分な押圧力が発生する。
【0053】
なお、本実施例では、カートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121に乗り上げることによって、カートリッジ10を所定量上方向に移動させている。しかし、この時点ではカートリッジ10は突当部112a、112b、突当部122a、122bに突き当たっていない。これは、LEDユニット30を上方に移動させる為に、この後更にカートリッジ10を挿入する際に、カートリッジ10が、前側板110や後側板120やカートリッジ10の上方に配置された中間転写ユニット40と接触し擦れてしまうことを避ける為である。
【0054】
ただし、LEDユニット30を上方に移動させる為にカートリッジ10を挿入する距離が比較的短ければ、カートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121に乗り上げることで、カートリッジ10を突当部112a、112b、突当部122a、122bに突き当てる構成としてもよい。
【0055】
[カートリッジ10の装置本体からの取り外し]
次に、カートリッジ10を装置本体1から引き出して取り外すことについて説明する。図9に示すように、カートリッジ10を装置本体に挿入しきった状態ではカートリッジ10の係合部107とLEDユニット押し上げカム101の係合部108が係合している。このため、図9に示す状態からカートリッジ10をF方向の反対方向に引き出していくと、F方向の反対方向にLEDユニット押し上げカム101も移動させられる。このとき、LEDユニット押し上げカム101のカム面104上をカム面105が滑ることでLEDユニット30が下方に移動する。このため、カートリッジ押圧部材35がカートリッジ10の嵌合穴106から離脱し、LEDヘッド32は露光位置から退避位置へと移動する。同時にカートリッジ10も所定量下方に移動し画像形成位置から退避し図7に示すような状態となる。
【0056】
この状態で、カートリッジ10の係合部107とLEDユニット押し上げカム101の係合部108との係合が解除された状態となる。このため、カートリッジ10をさらにF方向の反対方向に引き出していくことが可能となる。更にカートリッジ10をF方向の反対方向に引き出すと、カートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121から脱落し、所定量下方向に移動し、カートリッジ10を装置本体から取り外すことができる。
【0057】
[カートリッジ10の装置本体1への挿入時の操作力]
次に、カートリッジ10を装置本体1に挿入し、画像形成位置に位置決めし、LEDヘッド32を露光位置へ位置決めする為に必要な操作力について説明する。
【0058】
図10(a)は、カートリッジ10の挿入時にカートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121を押圧する際に必要な操作力を示すグラフである。操作力が大きくなる箇所は、カートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121を押圧し、これら部材を押し下げて乗り上げるまでの間である。そして、この時の操作力のピーク(最大値)は、引き上げバネ116が最も伸びる時及び押し上げバネ126が最も縮む時に発生する。
【0059】
なお、この操作力は、引き上げバネ116及び押し上げバネ126の付勢力に抗してカートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121を押圧する際、カートリッジ10が受ける反力とも言い換えることができる。図10(b)は、カートリッジ10の挿入時にカートリッジ10がLED押し上げカム101を押圧する際の操作力を示すグラフである。操作力が大きくなる箇所は、カートリッジ10に押圧され移動するLED押し上げカム101のカム面104がLEDユニット30のカム面105を押し上げている間である。そして、この時の操作力のピーク(最大値)は、LEDユニット30の押圧バネ36が最も縮む時に発生する。
【0060】
なお、この操作力は、LEDユニット30の押圧バネ36の付勢力に抗してカートリッジ10が、LEDユニット押し上げカム101を押圧する際、カートリッジ10が受ける反力とも言い換えることができる。
【0061】
このように、カートリッジ10の挿入時には、引き上げ部材111及び押し上げ部材121を押圧する際、及び、LED押し上げカム101を押圧する際にそれぞれ操作力にピークが発生する。
【0062】
図10(c)にはカートリッジ10の挿入時の操作力を示すグラフである。操作力は、カートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121を押圧する間に[α]となり、カートリッジ10に押圧され移動するLED押し上げカム101のカム面104がLEDユニット30のカム面105を押し上げている間に[β]となる。このように、本実施形態では、カートリッジ10の挿入時にカートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121を押圧するタイミングと、LED押し上げカム101を押圧するタイミングと、を異ならせている。従って、カートリッジ挿入時の操作力のピークが現れるタイミングがずれる(異なる)。
【0063】
このように、本実施形態ではカートリッジ10を所定量上方に移動させた後に、LEDユニット30を上方に移動させる構成となっており、カートリッジ10を画像形成位置に到達させる為に複数回に分けて上方に移動させている。このため、LEDユニット30を上方に移動させるのと同じタイミングに一度でカートリッジ10を上方に移動させて画像形成位置に移動させる構成と比べ、カートリッジ挿入時に必要な操作力の最大値を低くし、ユーザビリティを向上させることができる。
【0064】
<第2実施形態>
次に第2実施形態について説明する。第1実施形態ではカートリッジ10の挿入に連動させて、カートリッジ10を画像形成位置に位置決めし、且つ、LEDユニット30を上方に押し上げていた。これに対して本実施形態ではカートリッジ10の挿入に連動させてカートリッジ10を画像形成位置に位置決めし、カートリッジ10を挿入するための開閉部材70の閉動作に連動してLEDユニット30を移動させ、LEDヘッド32を露光位置へ移動させる。
【0065】
なお、本実施形態の説明では、第1実施形態と同様のものに関しては同じ符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0066】
[カートリッジ10の装置本体への装着]
本実施形態における、カートリッジ10を画像形成装置1へ装着する際の装着動作について説明する。
【0067】
図11は画像形成装置1を斜め前方から見た斜視図である。画像形成装置1には、開閉部材70の内側に装置本体に対して開閉可能な内開閉部材72が設けられている。内開閉部材72は開閉部材70に連動して開閉するように構成されており、開閉部材70及び内開閉部材72を開くことで開口部71を開放される。カートリッジ10を交換する際は、開閉部材70及び内開閉部材72を開いて開口部71を開放する。開口部71を開放することで、装置本体内に並列した4個のカートリッジガイド100が露出する。
【0068】
カートリッジガイド100に沿ってカートリッジ10を感光ドラム11の軸方向(F方向)に装置本体1に挿入していく。第1実施形態同様に、カートリッジ10の被引き上げ部113が引き上げ部材111に当接し、引き上げ部材111を軸118回りで下方に回転させる。同時に、カートリッジ10の被押し上げ部123が押し上げ部材121に当接し、押し上げ部材121を軸128回りで下方に回転させる。
【0069】
更にカートリッジ10をF方向に挿入していくと、図12に示すように、被引き上げ部113が引き上げ部材111の引き上げ面114に乗り上げる。同時に、押し上げ部材121にも被押し上げ部123が乗り上げる。このように、カートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121を押圧し、これらに乗り上げる。これにより、カートリッジ10が引き上げ部材111の引き上げバネ116及び押し上げ部材121の押し上げバネ126の付勢力によって上方向に移動させられる。
【0070】
そして、図12に示すように、被位置決部13a、13bが前側板110の突当部112a、112b、後側板120の突当部122a、122bに突き当たる。これにより、カートリッジ10が、上下方向(Z方向)、及び、カートリッジ挿入方向(F方向)と上下方向に直交する方向の位置が決まる(図4参照)。
【0071】
また同時にカートリッジ挿入方向(F方向)でカートリッジ10の一部が後側板120に突き当たり、カートリッジ挿入方向(F方向)の位置が決まる。
【0072】
以上のようにしてカートリッジ10が画像形成位置に到達し、位置決めされる。なお、この状態で引き上げ部材111と押し上げ部材121(図8)との押圧力の合力により、カートリッジ10を画像形成位置に位置決めし、中間転写ベルト41にトナー像を転写するのに十分な押圧力が発生する。
【0073】
内開閉部材72には、LEDユニット押し上げカム101の被押圧面202にと当接し、押圧するカム押圧部203が設けられている。そしてカム押圧部203の先端には係合部230が設けられている。
【0074】
図14は、内開閉部材72とカートリッジガイド100周辺の画像形成装置1の一部を上方から見た図である。開閉部材70を閉じていくと、図14(a)に示すように、内開閉部材72のカム押圧部203の係合部230が、LEDユニット押し上げカム101の内開閉部材係合部231に係合する。
【0075】
さらに開閉部材70を閉じていくと、図14(b)に示すように、カム押圧部203が被押圧面202と当接し、LEDユニット押し上げLEDユニット押し上げカム101をF方向に移動させる。
【0076】
上述のように、LEDユニット押し上げカム101をF方向に移動させることで、第1実施形態と同様に、LEDユニット30を上方に移動させ、カートリッジ押し上げ部材35がカートリッジ10の嵌合穴106に嵌合する。これにより、図13に示すように、LEDヘッド32が露光位置に位置決めされる。
【0077】
カートリッジ10を装置本体1から取り外す際は、開閉部材70を開くことで、内開閉部材72が開く。この時、内開閉部材72のカム押圧部203の係合部230に内開閉部材係合部231が係合しているLEDユニット押し上げカム101が内開閉部材72を開く動作に連動して、F方向の反対方向に移動する。そして第1実施形態と同様にLEDユニット30が下方に移動してLEDヘッド32が露光位置から退避位置へ移動する。この状態から、カートリッジ10をF方向の反対方向に引き出すことで、カートリッジ10を装置本体1から取り外すことができる。
【0078】
[カートリッジ10の装置本体1への装着時の操作力]
次に、カートリッジ10を装置本体1に挿入して開閉部材70を閉じ、カートリッジ10を画像形成位置に位置決めし、LEDヘッド32を露光位置へ位置決めする為に必要な操作力について説明する。
【0079】
カートリッジ10の挿入時に必要な操作力にピークが現れている箇所は、カートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121を押圧し、これら部材を押し下げて乗り上げるまでの間である。また、開閉部材70を閉じる際に必要な操作力にピークが現れている箇所は、カム押圧部203が被押圧面202を押圧してLEDユニット押し上げカム101をF方向に移動させ、カム面104がLEDユニット30のカム面105を押し上げている間である。
【0080】
このように、本実施形態では、カートリッジ10の挿入に連動してカートリッジ10を上方に移動して画像形成位置へ移動させ、その後開閉部材70を閉じるのに連動してLEDユニット30を上方に移動してLEDヘッド32を露光位置に移動させている。このため、LEDユニット30を上方に移動させるのと同じタイミングに一度でカートリッジ10を上方に移動させて画像形成位置に位置決めする構成と比べ、必要な操作力の最大値を低くすることが可能になる。従って、カートリッジ10を装着する際に必要な操作力が軽減され、ユーザビリティが向上する。
【0081】
<第3実施形態>
次に第3実施形態について説明する。本実施形態は、カートリッジ10の挿入をガイドするガイド部材がカートリッジ10の着脱に応じて装置本体1から引き出し可能に構成した点が第1実施形態と異なる。本実施形態では、カートリッジ10を載置するカートリッジ載置部材としてガイド部材を引き出し可能に構成した場合について説明する。
【0082】
なお、本実施形態の説明では、第1実施形態と同様のものに関しては同じ符号を付して説明を省略し、異なる点について説明する。
【0083】
[ガイド部材51の引き出し構成]
まず、ガイド部材の引き出し構成について説明する。図15は、本実施形態の画像形成装置1のカートリッジ10周辺を感光ドラム11の軸方向から見た断面図。図16は、装置本体から引き出した状態のガイド部材51にカートリッジ10が載せられた状態の画像形成装置1の部分斜視図である。なお画像形成装置1の外装部分は図示していない。
【0084】
ガイド部材51は、前後方向に長く、上方に突出している薄板状の部材であり、レール溝51cに対応した上面フレーム20に設けられたレール20aに沿って、感光ドラム11の軸方向に移動可能に配設されている。また、ガイド部材51は、カートリッジ10の左右方向をガイドする幅方向規制壁(カートリッジ10に当接可能な部位)58、カートリッジ10の縦方向をガイドする縦方向規制壁59を有する。縦方向規制壁59はガイド部材51の左右両側に感光ドラム11の軸方向(ガイド部材51の長手方向)に沿って設けられている。また、ガイド部材51の開口部71側(前側)には、ユーザがガイド部材51を開口部71側に引き出す為に掴む把手64(図17)を有している。
【0085】
LEDユニット30はガイド部材51の内側に配置されている。LEDユニット30は、ガイド部材51の内側に形成されたLED保持レール51d、及び、上面フレーム20に固定して配設されたLED保持筐体154に保持され、ガイド部材51を引き出しても引き出されず装置本体1内に固定され留まる構成である。
【0086】
図17は感光ドラム11の軸方向の断面の断面図である。本実施形態ではLEDユニット30を上下に移動させLEDヘッド32を退避位置と露光位置との間を移動させる為の機構として夫々が押し上げカム153を備えるLEDユニット押し上げ機構150が設けられている。このLEDユニット押し上げ機構150は感光ドラム11の軸方向に分かれて2つ設けられている。
【0087】
このLEDユニット押し上げ機構150について説明する。押し上げカム153は、1つのLEDユニット30に対して、F方向上流側と下流側にそれぞれ1つずつ、計2つ設けられている。上面フレーム20に固定されたカム保持部材151に矢印E方向に回転可能に保持されている。押し上げカム153とカム保持部材151との間にはトグルバネ152が張架されている。トグルバネ152の一端はカム保持部材151の張架部151aに支持されている。他端は押し上げカム153の下方に設けられた張架部153aに支持されている。このような構成によって、押し上げカム153はトグル機構となっている。
【0088】
[カートリッジ10の装置本体への装着]
次に、カートリッジ10の画像形成装置1への装着について説明する。カートリッジを装着する際は、装着するカートリッジ10に対応したガイド部材51が開口部71側(前側)に引き出された状態となっている。この状態で、カートリッジ10のクリーナユニット17と現像ユニット14との間の空間にガイド部材51が入り込むよう、カートリッジ10をガイド部材51上に置く。この状態で縦方向規制壁59とカートリッジ10の底面が接する。
【0089】
また、ガイド部材51が開口部71側に引き出された状態において、ガイド部材51は不図示のトグル機構によって、装置本体1から引き出される方向に付勢された状態で固定されている。このため、カートリッジをF方向に挿入しても、ガイド部材51は、カートリッジ10とガイド部材51との間の摩擦力に抗して、開口部71側に引き出された状態で留まり、カートリッジ10のみがガイド部材51上を摺動してF方向に移動する。この際、カートリッジ10の挿入が容易になるように、ガイド部材51の上部の左右両側に、長手に沿って斜面部58a(図16)が形成されている。
【0090】
カートリッジ10の当接面66がガイド部材51の当接面65に当接するまでカートリッジ10が挿入されると、カートリッジ10の当接面66によってガイド部材51の当接面65が押圧される。これにより、トグル機構のガイド部材51を装置本体1から引き出される方向に付勢していた付勢が解除される。このため、この後はカートリッジ10及びガイド部材51が一体的に装置本体内に向かってF方向に挿入されていく。
【0091】
図18(a)に示すように、カートリッジ10に設けられた被引き上げ部113が引き上げ部材111に当接する。同時にカートリッジ10の被押し上げ部123が押し上げ部材121に当接する。そして図18(b)に示すように、第1実施形態と同様にカートリッジ10をF方向に押圧するとカートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121に乗り上げ、Z方向に所定量移動する。この時点では第1実施形態と同様にカートリッジ10は突当部112a、112b、突当部122a、122bに突き当たっていない。また、この状態では、カム153はトグルバネ152によって矢印D方向に回転するよう付勢されている。
【0092】
なお、図18(a)〜(d)においては、後側板120の押し上げ部材121については図示しない。また、押し上げカム153については、F方向下流側のものはF方向上流側のものと同様の動きをする為、図示及び説明は省略する。
【0093】
更に、カートリッジ10をF方向に挿入すると、図18(b)に示すように、ガイド部材51に設けられたカム当接面51aが押し上げカム153に当接しする。そして、ガイド51のF方向の移動に伴って当接面51aが移動することで、押す上げカム153は押圧され、押し上げカム153はトグルバネ152の付勢力に抗して矢印C方向に回転させられる。その際、押し上げカム153に設けられたカム面153bは、LEDユニット30の底面を押圧し、LEDユニット30を上方向に移動させる。
【0094】
更にカートリッジ10を挿入していくと、図18(c)に示すようにトグルバネ152の張架部153aが一点鎖線で示される中立位置に達する。そして、張架部153aがこの中立位置を超えると、トグルバネ152が押し上げカム153を矢印C方向に回転するように付勢するようになり、押し上げカム153が更に矢印C方向に回転し、LEDユニット30が更に上方向に移動する。そして、図18(d)に示すように、LEDユニット30に設けられたカートリッジ押し上げ部材35により押圧されて、カートリッジ10は上方に移動させられ、被位置決部13a、13bが前側板110の突当部112a、112b、後側板120の突当部122a、122bに突き当たる。これにより、カートリッジ10が、上下方向(Z方向)、及び、カートリッジ挿入方向(F方向)と上下方向に直交する方向の位置が決まる。
【0095】
そして、カートリッジ10によって押圧されるガイド部材51が側板120に設けられた不図示のストッパ部にF方向で突き当たりカートリッジ10及びガイド部材51のそれ以上の挿入移動が阻止される。この時、押し上げカム153のLEDユニット30に当接する部分は、押し上げカム153の回転中心の鉛直上方にあり、鉛直方向に並んで配置された状態となるよう構成されている。このため、LEDユニット30の自重などにより、押し上げカム153を回転させようとする反力が押し上げカム153の回転中心に向かうようになるので押し上げカム153は回転せずこの状態で保持される。
【0096】
同時に第1実施形態と同様にLEDユニット30の押圧バネ36(不図示)により上方向に付勢されるカートリッジ押圧部材35(不図示)が、カートリッジ10の嵌合穴(不図示)に嵌入することで、LEDヘッド32のカートリッジ10に対する主走査方向(F方向)及び副走査方向(F方向とZ方向に直交する方向)の位置決めが行われる。このようにしてLEDヘッド32が露光位置に到達して位置決めされる。また、LEDヘッド32が露光位置に位置決めされることにより、カートリッジ10も画像形成位置に到達して位置決めされる。
【0097】
なお、引き上げ部材111と押し上げ部材121とLEDユニット30のカートリッジ押圧部材35の押圧力の合力により、カートリッジ10を画像形成位置に位置決めし、中間転写ベルト41にトナー像を転写するのに十分な押圧力が発生する。
【0098】
[カートリッジ10の装置本体からの取り外し]
次に、カートリッジ10を装置本体1から引き出して取り外すことについて説明する。図18(d)に示すようにカートリッジ10が装置本体1に装着され、画像形成位置にある状態から、把手64をつかみガイド部材51をF方向の反対方向に引き出す。すると、ガイド部材51に設けられたカム当接面51bが、押し上げカム153に当接し、押し上げカム153を矢印D方向に回転させる。その際、LEDユニット30がカム面153bに沿って下方向に移動する。このため、カートリッジ押圧部材35がカートリッジ10の嵌合穴から離脱し、LEDヘッド32は露光位置から退避位置へと移動する。同時にカートリッジ10も所定量下方に移動し画像形成位置から退避していく。
【0099】
ガイド部材51を更に引き出していくと、図18(c)に示すようにトグルバネ152の張架部153aがトグル機構の中立位置を超え、押し上げカム153はトグルバネ152により、矢印D方向に付勢されようになる。そして、ガイド部材51が図18(b)に示す位置まで引き出されると、押し上げカム153は不図示に回転止めにより、回転が規制される。
【0100】
更にガイド部材51を引き出すと、当接面66がガイド部材51の当接面65に押圧され、ガイド部材51と一体的に引き出されるカートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121から脱落し、所定量下方向に移動する。このようにしてガイド部材51を開口部71側に引き出すことでカートリッジ10を引き出して装置本体1からカートリッジ10を取り外すことができる。
【0101】
このように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、カートリッジ10の挿入時にカートリッジ10が引き上げ部材111及び押し上げ部材121を押圧するタイミングと、押し上げカム153を押圧するタイミングと、を異ならせている。従って、カートリッジ挿入時の操作力のピークが現れるタイミングがずれる。
【0102】
即ち、本実施形態ではカートリッジ10を所定量上方に移動させた後に、LEDユニット30を上方に移動させる構成となっており、カートリッジ10を画像形成位置に到達させる為に複数回に分けて上方に移動させている。このため、LEDユニット30を上方に移動させるのと同じタイミングに一度でカートリッジ10を上方に移動させて画像形成位置に移動させる構成と比べ、カートリッジ挿入時に必要な操作力の最大値を低くし、ユーザビリティを向上させることができる。
【0103】
また、本実施形態では、ガイド部材51を装置本体1から開口71側に引き出した状態において、カートリッジ10の重心が、カートリッジ10の長手方向(感光ドラム11の軸方向)において装置本体1の外側に配置されるようにするようにした。
【0104】
これにより、ユーザはカートリッジ10の長手方向においてカートリッジ10の重心に対応する部分を掴むことが可能となる。このため、カートリッジ10の長手方向の端部を持ってカートリッジ10を装置本体1に挿入又は装置本体1から取り出すのと比べ、カートリッジ10の重心のモーメントを受けずにカートリッジを持って作業することができユーザビリティが良い。
【0105】
<他の実施形態>
第1実施形態から第3実施形態は、カートリッジ10を感光ドラム11の軸方向に挿入することでカートリッジ10を装置本体1に対して着脱するサイドオリエンテッド構成のカートリッジ10の交換について説明した。しかし、カートリッジ10を、カートリッジ10とLEDユニット30が並ぶ方向と異なる方向であって、感光ドラム11の軸方向と垂直な方向に引き出しで引き出す構成(例えば、特開2009−128506)に適用することも可能である。
【0106】
このような構成の場合も、カートリッジ10の着脱時にはカートリッジ10及びLEDユニット30のそれぞれを、カートリッジ10とLEDユニット30とが並ぶ方向に移動させる必要がある。このため、カートリッジ10を、カートリッジ10とLEDユニット30とが並ぶ方向に移動させるタイミングと、LEDユニット30を、カートリッジ10とLEDユニット30とが並ぶ方向に移動させるタイミングとを異なるよう構成する。このように構成することで必要な操作力の最大値を低くすることが可能になる。
【符号の説明】
【0107】
1 画像形成装置
10 カートリッジ(10Y、10M、10C、10K)
11 感光ドラム(11Y、11M、11C、11K)
14 現像ユニット
17 クリーナユニット
20 定着ユニット
30 LEDユニット
40 中間転写ユニット
50 レジストローラユニット
60 排紙ユニット
62 両面搬送部
80 給紙手段
90 二次転写ユニット
100 カートリッジガイド(100Y、100M、100C、100K)
101 LEDユニット押し上げカム
111 引き上げ部材
121 押し上げ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ状に配列された複数の発光素子を備え、前記複数の発光素子により感光体を露光する露光部材を有し、
前記感光体を支持するカートリッジを画像形成位置に装着し、画像形成位置にある前記カートリッジの前記感光体を露光位置にある前記露光部材で露光することにより前記感光体上に潜像を形成し、画像形成を行う画像形成装置であって、
前記カートリッジを装置本体に装着する際に前記カートリッジを前記カートリッジの装置本体への挿入方向と異なる方向に移動させるよう付勢された第1移動部材と、
前記カートリッジを装置本体に装着する際、前記カートリッジに押圧されて前記露光部材を付勢して前記露光位置に位置決めする位置決め位置に移動する第2移動部材と、を有し、
前記カートリッジは前記第1移動部材によって移動させられることで前記画像形成位置に向かって移動させられ、
前記カートリッジを装置本体に挿入する時、前記カートリッジが前記第1移動部材を付勢する力に抗して前記第1移動部材を押圧する際に前記カートリッジが前記第1移動部材から受ける反力に第1のピークが発生し、前記カートリッジを装置本体に挿入する時、前記カートリッジが前記第2移動部材を押圧して前記第2移動部材を前記位置決め位置に移動させる際に前記カートリッジが前記第2移動部材から受ける反力に第2のピークが発生し、
前記第1のピークが発生するタイミングと前記第2のピークが発生するタイミングとが異なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カートリッジを装置本体に挿入する際、前記第1移動部材は前記カートリッジを上方向に移動させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カートリッジを装置本体に挿入する際、前記カートリッジは前記第1移動部材によって所定量上方向に移動させられ、その後、更に前記カートリッジが装置本体に挿入されると、前記カートリッジは、前記第2移動部材によって移動させられる露光部材に押圧されて更に上方向に移動させられ、前記画像形成位置に到達することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カートリッジは前記感光体の回転軸方向に沿って移動することで装置本体に挿入されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
装置本体にから引き出して前記カートリッジを載せることが可能なカートリッジ載置部材を有し、
前記カートリッジを装置本体に装着する際、前記カートリッジ載置部材に載った前記カートリッジを装置本体に挿入する際、前記カートリッジは前記カートリッジ載置部材を介して前記第2移動部材を押圧し、前記第2移動部材を前記位置決め位置に移動させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
アレイ状に配列された複数の発光素子を備え、前記複数の発光素子により感光体を露光する露光部材と、
装置本体に対して開閉可能な開閉部材と、
を有し、前記開閉部材を開いて前記感光体を支持するカートリッジを装置本体に装着し、画像形成位置にある前記カートリッジの前記感光体を露光位置にある前記露光部材で露光することにより前記感光体上に潜像を形成し、画像形成を行う画像形成装置であって、
前記カートリッジを装置本体に挿入する際に前記カートリッジを前記画像形成位置に向かって前記カートリッジの装置本体への挿入方向と異なる方向に移動させるよう付勢された第1移動部材と、
前記開閉部材に押圧されて前記露光部材を付勢して前記露光位置に位置決めする位置決め位置に移動する第2移動部材と、を有し、
前記カートリッジを装置本体に挿入する時、前記カートリッジが前記第1移動部材を付勢する力に抗して前記第1移動部材を押圧することで、前記カートリッジが前記画像形成位置に向かって前記カートリッジの装置本体への挿入方向と異なる方向に移動し、
前記開閉部材を閉じる時に、前記開閉部材が前記第2移動部材を押圧して前記第2移動部材を前記位置決め位置に移動させることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−226002(P2012−226002A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91240(P2011−91240)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】