説明

画像形成装置

【課題】一成分現像方式においてトナー補給中又はトナー補給直後の期間に無駄に消費されるトナーの量を少なくすることを課題とする。
【解決手段】所定のトナー補給タイミングが到来したら(S2)、感光体を回転駆動させた状態で、帯電ローラにより帯電処理を行いながら、トナー容器内のトナーを現像装置のトナー収容部へ補給する動作を開始する(S3)。また、トナー補給を開始してからトナー補給終了後の所定時間が経過するまでの期間(トナー消費発生期間)、帯電ローラにより帯電処理された感光体表面上の地肌部と現像ローラとの電位差である地肌ポテンシャルを画像形成動作時の地肌ポテンシャルよりも一時的に小さくする(S4〜S8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一成分現像剤により画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、非磁性または磁性の一成分の現像剤たるトナーをトナー担持体たる現像ローラに担持し、潜像担持体たる感光体と現像ローラとが対向する現像領域で、現像ローラ上のトナーを感光体上の潜像に供給することで現像する一成分現像装置が知られている。
【0003】
上記一成分現像装置においては、現像装置内のトナーが無くなった時点で現像装置が交換されるため、交換時期に達しておらず、継続使用可能な現像ローラまでもが交換され、資源が無駄になってしまうことがあった。また、現像装置内のトナーが無くなる時期と、現像装置内の現像ローラなどの交換時期とが同じとなるよう構成した場合、現像装置に大量のトナーを収容するスペースを確保する必要があり、装置が大型化してしまう。
【0004】
特許文献1には、トナーを収容するトナー容器を現像装置とは別に設け、トナー補給手段によりトナー容器のトナーを現像装置に補給する画像形成装置が記載されている。この画像形成装置であれば、現像装置のトナー収容部内に補給するためのトナーが無くなった場合、トナー容器のみを交換すればよいので、継続使用可能な現像ローラまでもが交換されることがなくなる。また、トナー容器に収容する新規トナー量は、現像装置内の現像ローラの交換時期を考慮しなくてもよいため、トナー容器の容量を小さくでき、装置の大型化を抑制することができる。
【0005】
また、上記特許文献1の画像形成装置では、現像装置内のトナー量が下限値未満となったら、トナー補給手段によりトナー容器内のトナーを現像装置に補給している。このため、トナー補給後の現像装置内には、供給された新規トナーと、現像に用いられずに長期にわたり現像装置内に残留している古いトナーとが混在する。
【0006】
特許文献2には、現像装置内に残留している劣化した古いトナーがあるところに新規トナーを供給したことによって生じる地汚れを抑制するために、次のような構成の画像形成装置が記載されている。すなわち、現像装置内のトナー量が下限値未満となったら、現像装置へのトナー補給に先立って、現像装置に残留している古いトナーを潜像担持体へ向けて吐き出させるよう制御するという画像形成装置である。具体的には、潜像担持体の表面全面に一様なベタの静電潜像を形成し、その静電潜像を現像装置によって現像処理することで、現像装置に残留している古いトナーを潜像担持体へ向けて吐き出させる。これにより、現像装置内がほとんど空になった状態で、トナー容器から新規トナーが供給される。よって、新規トナーが補給された後の現像装置内は、ほとんどが新規トナーになるので、新規トナー補給後の地汚れを抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、劣化した古いトナーと新規トナーとを混合させると、地汚れが生じる理由について、具体的に説明する。
現像装置内に残留する古いトナーは、長期にわたり攪拌などによるストレスを受け、トナー粒子表面に外添されている流動性及び帯電性を調整するための外添剤が離脱したり粒子中に埋没したりして、トナーの正規帯電極性である例えば負極性に摩擦帯電しにくい。一方、現像装置内に供給された新規トナーは、劣化しておらず負極性に摩擦帯電しやすい。このため、負極性に帯電しやすい新規トナーと、劣化して負極性に帯電しにくい古いトナーとが摺擦すると、荷電分離が起こり、古いトナーの電子が、新規トナーへ移動する。その結果、新規トナーの負極性の帯電量が増加し、古いトナーの帯電量が減少したり、正極性に帯電したりしてしまう。その結果、現像装置内のトナー帯電分布が、ブロードになるとともに、負極性に帯電量が大きなところと、帯電量が0付近のところとに2つのピークをもつような分布となる。このように、新規トナー補給後に、劣化した古いトナーが弱帯電トナーとなったり逆帯電トナーとなったりするので(以下、これらの弱帯電トナーや逆帯電トナーを「不適正トナー」という。)、新規トナー補給後の画像形成において、潜像担持体のトナーを載せたくない部分(地肌部)に古いトナーが付着してしまう。その結果、地汚れが新規トナー補給前に比べて悪くなってしまう。
【0008】
しかしながら、現像装置内に残っている古いトナーのすべてが一様に劣化しているわけではなく、一部の古いトナーはさほどストレスを受けておらず劣化が軽微な場合がある。劣化が軽微な古いトナーは、十分な帯電能力を有しているため、補給された新規トナーと摺擦しても、荷電分離が起こることがほとんどない。このため、劣化が軽微な古いトナーについては、新規トナー補給後も継続して使用しても、地汚れを発生させることはない。上記特許文献2においては、現像装置内に残留する古いトナーを、劣化が軽微なものも含めて一律に現像装置から像担持体へ吐き出して破棄する。よって、劣化が軽微で未だ使用可能な古いトナーについては、無駄に破棄されており、トナーの無駄が生じてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、トナーを無駄に消費せずに、新規トナー補給後の地汚れを抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転駆動する潜像担持体の表面を帯電手段により印加される帯電バイアスによって目標帯電電位に帯電処理し、帯電処理された潜像担持体表面部分に潜像形成手段によって静電潜像を形成した後、一成分現像方式の現像装置のトナー収容部に収容されているトナーを、トナー担持体上に担持させて該トナー担持体により現像領域へと搬送し、該静電潜像と該トナー担持体との電位差によって該静電潜像に付着させる現像処理を行い、これにより潜像担持体上に形成されたトナー像を最終的に記録材へ転写することで該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、所定のトナー補給タイミングが到来したら、潜像担持体を回転駆動させた状態で、上記帯電手段により帯電処理を行いながら、トナー容器内のトナーを上記現像装置の上記トナー収容部へ補給するトナー補給手段と、上記トナー補給手段により上記トナー容器から上記トナー収容部へのトナー補給を開始してからトナー補給終了後の所定時間が経過するまでのトナー補給処理期間中の少なくとも一部の期間、上記帯電手段により帯電処理された潜像担持体表面上の地肌部と上記トナー担持体との電位差である地肌ポテンシャルを、該トナー補給処理期間外に実行される画像形成動作時の地肌ポテンシャルよりも一時的に小さくする地肌ポテンシャル調整制御を実行する地肌ポテンシャル調整手段とを有する画像形成装置。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記地肌ポテンシャル調整手段は、上記トナー補給手段がトナー補給を開始するタイミングに連動して上記地肌ポテンシャル調整制御を開始することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記トナー補給手段は、駆動源からの駆動力を受けて上記トナー容器内のトナーを上記現像装置の上記トナー収容部へ補給するものであり、上記地肌ポテンシャル調整手段は、上記駆動源から上記トナー補給手段へ駆動力を入力させるための信号を検知したら、上記地肌ポテンシャル調整制御を開始することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記地肌ポテンシャル調整手段は、上記帯電バイアスを小さくして上記地肌ポテンシャルを小さくすることにより上記地肌ポテンシャル調整制御を実行することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記地肌ポテンシャル調整手段は、上記トナー担持体に印加する現像電圧を小さくして上記地肌ポテンシャルを小さくすることにより上記地肌ポテンシャル調整制御を実行することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記地肌ポテンシャル調整手段が実行する地肌ポテンシャル調整制御では、上記地肌ポテンシャルを200V以上300V以下の範囲内とすることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、温湿度環境情報を取得する温湿度環境情報取得手段を有し、上記地肌ポテンシャル調整手段は、温湿度環境情報取得手段が取得した結果に基づいて、上記地肌ポテンシャル調整制御で小さくする地肌ポテンシャルの値を変更することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記潜像形成手段は、上記帯電手段により帯電処理された潜像担持体表面部分を露光することにより潜像担持体表面上の露光箇所の電位の絶対値を小さくするものであり、上記地肌ポテンシャル調整手段は、上記潜像形成手段により上記地肌部を露光して上記地肌ポテンシャルを小さくすることにより上記地肌ポテンシャル調整制御を実行することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記所定のトナー補給タイミングに上記トナー補給手段が補給する1回のトナー補給量は、当該補給後における上記トナー収容部内のトナー総量の20%以下であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成され、少なくとも上記潜像担持体と上記現像装置とを共通の支持体で支持したプロセスカートリッジを有し、上記トナー容器は、上記プロセスカートリッジとは別個に画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
一成分現像方式において、トナー容器から現像装置のトナー収容部へのトナー補給が開始されてから当該トナー補給の終了後の所定時間が経過するまでの期間(トナー補給処理期間)は、そのトナー収容部内に補給前から存在する劣化トナーとトナー容器から補給された非劣化トナーとが相互に作用して、トナー収容部内において不適正トナーの比率が一時的に高まった状態になる。したがって、このトナー補給処理期間中は、現像領域へ送られるトナー中の不適正トナーの比率が高くなり、このトナー補給処理期間中に画像形成動作を行うと地汚れが発生する。
ここで、このトナー補給処理期間中に帯電手段により帯電処理を行いながら潜像担持体を回転駆動させておけば、現像領域には潜像担持体上の地肌部が通過することになるので、正規帯電トナーが現像装置から潜像担持体へ移動することはない。一方で、不適正トナーについては、通常の地汚れ発生メカニズムと同様に、現像領域を通過する潜像担持体上の地肌部に移動するので、現像装置から排除できる。したがって、現像装置のトナー収容部に残留している古いトナーのうち、劣化が軽微で未だ使用可能な正規帯電トナーについては現像装置に残しつつ、不適正トナーだけを現像装置から排除できる。よって、正規帯電トナーを含む古いトナーを一律に排除していた従来装置と比較して、トナーの無駄な消費を抑制することができる。
ところが、トナー補給処理期間中に現像領域を通過する潜像担持体上の地肌部とトナー担持体との電位差(地肌ポテンシャル)が、トナー補給処理期間外に実行される通常の画像形成動作時における地肌ポテンシャルと同じ場合には、地汚れを発生させ得る不適正トナーを現像装置から十分に排除しきれないことが判明した。
そこで、本発明においては、トナー補給処理期間中の少なくとも一部の期間では、地肌ポテンシャルを通常の画像形成動作時よりも一時的に小さくする地肌ポテンシャル調整制御を実行する。地肌ポテンシャルを小さくすると、地汚れが発生しやすくなるので、潜像担持体表面上の地肌部に付着する不適正トナーの量を増やすことができる。したがって、地肌ポテンシャルを小さくする地肌ポテンシャル調整制御を実行しない場合と比較して、現像装置から排除される不適正トナーが増加し、現像装置から十分に不適正トナーを排除することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上より、本発明によれば、トナーを無駄に消費せずに、新規トナー補給後の地汚れを抑制することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るプリンタの要部構成を説明する構成図である。
【図2】同プリンタの作像ユニットの構成を説明する概略構成図である。
【図3】同プリンタのトナー容器の構成を説明する構成図である。
【図4】本実施形態のトナー補給モード時における動作の流れの概要を示すフローチャートである。
【図5】本発明の効果確認のための実験例の主要な実験条件及び実験結果を示した一覧表である。
【図6】補給駆動時間と補給量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を電子写真方式の画像形成装置であるカラープリンタに適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタの要部構成を説明する構成図である。
このプリンタにおいては、図1に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する4つの作像ユニット10C,10Y,10M,10Bkが、水平に延在する中間転写ベルト7に沿って所定の間隔で並置されている。以下、添字C、Y、M、Bkはシアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの各色をそれぞれ示すが、トナー色が異なる以外は構成が同じであるので一部添字を省略して説明する。この作像ユニット10C,10Y,10M,10Bkは、図中時計回り方向に回転する潜像担持体たる感光体1C,1Y,1M,1Bkを備え、その周囲にそれぞれ帯電手段としての帯電ローラ2C,2Y,2M,2Bk、現像装置3C,3Y,3M,3Bk、転写ローラ5C,5Y,5M,5Bk、クリーニングユニット6C,6Y,6M,6Bkが順に配置されている。また、作像ユニット10の上方には、図示しない潜像形成手段としての露光装置を備えている。帯電ローラ2は、感光体1の表面に接触或いは近接して配置され、帯電バイアスを印加することによって感光体1を所定の目標帯電電位に帯電する。露光装置は、発光素子としてLD或いはLEDを使用して、帯電ローラ2によって帯電された感光体1の表面部分に画像データに基づいて変調した光Lを照射する。これにより、感光体1の表面上における光照射箇所(露光箇所)の電位の絶対値が小さくなり、静電潜像となる。
【0015】
現像装置3は、トナーからなる一成分現像剤を用い、接触現像方式を行うものである。この現像装置3は、後述するように、現像装置3内のトナーを担持して感光体1との対向部(現像領域)まで搬送するトナー担持体たる現像ローラ30が感光体1に臨む開口部に配置されている。現像装置3では、現像ローラ30に印加された現像電圧と感光体1の表面に形成された静電潜像の電位との電位差(現像ポテンシャル)により、現像領域において、帯電したトナーを静電潜像に付着させて現像が行われる。また、現像装置3の上部には、現像装置3へ補給するトナーを収容したトナー容器4が連結されている。なお、本実施形態では、トナー容器4から現像装置3内にトナーを直接的に補給する構成を採用しているが、現像装置3から離れた箇所にトナー容器4を設けてプリンタ内に設置した補給経路を通じてトナー容器4から現像装置3内へトナーを補給する構成であってもよい。
【0016】
中間転写ベルト7は、駆動ローラを含む図示しない複数の搬送ローラによって張架され、図中反時計回り方向に移動可能に構成されている。中間転写ベルト7を挟んで、感光体1に対向して設置された転写ローラ5は、感光体1の表面に所定の押圧力で接触し、所定の転写電圧を印加することにより感光体1と転写ローラ5との間の転写ニップ部で感光体1の表面上のトナー像を中間転写ベルト7上に転写する。各作像ユニット10C、Y、M、Bkで現像された感光体1上のトナー像は転写ローラ5によって中間転写ベルト7上に順次転写されて重ね合わせられることになる。また、各作像ユニット10C,10Y,10M,10Bkに対して中間転写ベルト7の移動方向下流側には、二次転写ローラ8が配置されている。中間転写ベルト7上に多重転写されたイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像は、二次転写ローラ8によって記録材としての用紙に一括転写される。トナー像が転写された用紙は、定着装置9に搬送されて加熱加圧されてトナー像が定着せしめられた後、図示しない排紙口から装置外に排出される。
【0017】
また、中間転写ベルト7の周囲には、中間転写ベルト7に転写されたトナーの付着量及び各色の位置を測定するセンサー(正反射と拡散反射方式を組み合わせた光学センサー等)11が設置される。センサー11によって取得されたデータは、画像濃度や位置合わせの調整に使用される。また、中間転写ベルト7の周囲には、二次転写後の中間転写ベルト7をクリーニングするクリーニングユニット12が配置される。クリーニングユニット12は、中間転写ベルト7の移動方向に対してカウンタ方向となるように当接するクリーニングブレード12aや、クリーニングブレード12aに中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に配置された金属製クリーニング対向ローラ12bを備えている。クリーニングユニット12のクリーニングブレード12aによって除去されたトナーは、搬送コイル12cで搬送され、非図示の廃トナー収納部に収納される。
【0018】
図2は、作像ユニットの構成を説明する概略構成図である。
作像ユニット10は、図2に示すように、感光体1と、帯電ローラ2、現像装置3、クリーニングユニット6等を共通の支持体で支持した一体的に支持したプロセスカートリッジとして、画像形成装置本体から着脱可能に構成されている。また、本実施形態では、トナー容器4については、このプロセスカートリッジとは別個に画像形成装置本体から着脱可能に構成されている。ランニングコストを低減するためには、プロセスカートリッジに搭載される各部品の耐久性を向上して、プロセスカートリッジの交換頻度を低くすることが重要となる。このようなプロセスカートリッジにトナー容器4を搭載すると、耐久性が向上した他の部品と同時期にトナー容器4が空になるようにすることが望まれることから、他の部品の耐久性に応じてトナー容器4を大型化しなければならない。そのため、プロセスカートリッジが大型化してしまい、しいては画像形成装置本体のサイズが大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、トナー容器4の大きさを、プロセスカートリッジに搭載する場合よりも小型にし、画像形成装置本体から単独で交換可能に構成している。これにより、プロセスカートリッジの搭載部品の耐久性向上による低ランニングコスト化と、画像形成装置の小型化の両立を図ることができる。
【0019】
なお、作像ユニット10の全体を交換できるように構成するだけではなく、感光体1、帯電ローラ2、現像装置3、クリーニングユニット6のような単位でそれぞれ新しいものと交換できるような構成であってもよい。
【0020】
次に、現像装置3及びトナー容器4について詳細に説明する。
トナー容器4は、図2に示すように、現像装置3の上部に連結し、内部に収容されているトナーの流動性を保つために攪拌パドル41が設けられている。また、トナー容器4内には、現像装置3内に連通したトナー補給口に向けてトナーを輸送するためのスクリューあるいはコイルなどのトナー搬送部材42が設けられている。トナー搬送部材42は、図示しない画像形成装置本体に設けられた本体駆動部と着脱可能に接続される構成となっている。本体駆動部とトナー搬送部材42との接続には、電磁クラッチなど公知の方法によって連結と非連結とを制御可能に構成されており、トナー搬送部材42の駆動、非駆動を制御できる構成となっている。トナー容器4から現像装置3へのトナー補給量(トナー補給口を通るトナー量)は、トナー搬送部材42の駆動時間により制御することができる。このとき、トナーの流動性は温湿度環境に応じて変化するので、温湿度環境によって単位駆動時間当たりのトナー補給量が変動する。温湿度環境に応じたトナー流動性の変化にも対応する場合には、温湿度環境を検知した結果に応じてトナー搬送部材42の駆動時間を調整するようにしてもよい。
【0021】
現像装置3は、その上部に連結されたトナー容器4からトナー補給口を介して補給されたトナーを収容するトナー収容部36を有している。このトナー収容部36内には、トナー補給口から補給されたトナーを現像ローラ30の回転軸方向(長手方向)全域に行き渡るように移送するためのスクリューなどのトナー輸送部材33と、トナー収容部36内のトナーを攪拌するアジテータ34と、現像ローラ30の外周面(表面)にトナーを供給するためのスポンジ材質で構成された供給ローラ35とが設けられている。トナー収容部36は、感光体1と対向する箇所が開口しており、その開口から現像ローラ30の外周面の一部が露出するように構成されている。供給ローラ35によって現像ローラ30上に供給されたトナーは、規制ブレード39によって層厚が均一化された後、感光体1と対向する現像領域へと搬送される。現像領域では、感光体1の表面電位と現像ローラ30の表面電位との電位差に応じて、感光体1上の静電潜像部分にのみ当該電位差に応じた量のトナーが現像ローラ30から移動して現像処理が行われる。
【0022】
図3は、トナー容器4の構成を説明する構成図である。
現像装置3の上部に設置されるトナー容器4は、トナー容器4内の図示しないトナー補給口に向かってトナーを搬送するトナー搬送部材42を備えている。攪拌パドル41は、例えば、図3に示すように、回転軸41aと、回転軸41aに固定されたPETフィルム41b等の可撓性材料とから構成され、回転することによりトナー容器4内に充填されているトナーの流動性を確保しつつ、トナー搬送部材42の方向へトナーを移動させるように構成されている。トナー容器4内のトナーを使い切るため、トナー容器4の内部形状は、図3に示すように、攪拌パドル41の回転軌道に合わせて円弧形状に構成することが好ましい。
【0023】
次に、本実施形態のトナー補給時における動作について説明する。
図4は、本実施形態のトナー補給モード時における動作の流れの概要を示すフローチャートである。
トナー容器4から現像装置3のトナー収容部36へのトナー補給が開始されてから当該トナー補給の終了後の所定時間が経過するまでのトナー補給処理期間を除く通常期間中は、画像出力することによりトナーが消費され、現像装置3のトナー収容部36内のトナー量が減少していく。本実施形態におけるトナー補給モードへの移行タイミングは、画像データ等に基づいてトナー消費量(累積値)を予測し、予測したトナー消費量が規定値に達したタイミングに設定されている。このトナー消費量(累積値)の予測方法は、公知の方法を広く採用することができる。例えば、印字部分のトナー付着量と非印字部分のトナー付着量から画像面積に応じたトナー消費量を予測し、これを累積して画像形成により使用したトナー量を予測するというトナー消費量カウント方式を採用できる。
【0024】
本実施形態においては、本体駆動部によって感光体1や現像装置3が駆動しているときに、上述したトナー消費量カウント方式によりトナー消費量をカウントし(S1)、カウント後のトナー消費量が規定値を超えるまで(S2のNo)、通常の画像形成動作を継続し、トナー消費量を繰り返し累積してカウントしていく。トナー消費量が規定値を超えたら(S2のYes)、制御部は、トナー補給モードへ移行し、まず、本体駆動部とトナー容器4のトナー搬送部材42を連結するための電磁クラッチ等の連結部材に対し、これを連結させるための連結信号を送る(S3)。これにより、本体駆動部とトナー容器4のトナー搬送部材42とが連結され、本体駆動部の駆動力がトナー容器4のトナー搬送部材42へ伝達され、トナー補給が開始される。なお、この時点においても、本体駆動部によって感光体1や現像装置3は駆動中である。
【0025】
一方、この連結信号を送った場合、制御部は、帯電ローラ2に印加する帯電電圧を通常期間中における帯電電圧の設定値よりも絶対値が低い値に設定する(S4)。具体的に説明すると、通常期間中における帯電電圧の設定値は、現像ローラ30に印加される現像電圧の設定値との電位差(地肌ポテンシャル)が400Vとなるように設定される。一方、制御部が通常期間中における帯電電圧の設定値よりも絶対値が低い値に設定されるトナー補給モード中の帯電電圧の設定値は、現像ローラ30に印加される現像電圧の設定値との電位差(地肌ポテンシャル)が200V以上300V以下の範囲内となるように設定される。なお、地肌ポテンシャルが小さすぎると(例えば100V以下)、正規帯電トナーであっても感光体上の地肌部に付着してしまうので、少なくとも地肌ポテンシャルは200V以上であるのが望ましい。
【0026】
トナー補給モード中に現像領域を通過する感光体表面電位は、露光装置による露光処理が停止した状態であるため、一様に、帯電ローラ2により帯電処理がなされた状態の地肌部の電位である。よって、トナー補給モード中における帯電電圧を下げると、トナー補給モード中に現像領域を通過する感光体表面全体の電位の絶対値が通常時の地肌部電位よりも小さいものとなる。したがって、トナー補給モード中における現像ローラ30の電位(現像電圧)と感光体表面電位との電位差(地肌ポテンシャル)は、通常時よりも小さくなる。トナー補給モード中における地肌ポテンシャルが通常時の地肌ポテンシャルと同じ400V程度であると、地汚れを発生させ得る不適正トナーが現像装置3から感光体1へと十分に移動させることができず、現像装置3のトナー収容部36から不適正トナーを排除しきれない。本実施形態では、トナー補給モード中における地肌ポテンシャルが通常時よりも小さく設定されているので、感光体1の地肌部へと移動する不適正トナーの量を増加させることができ、現像装置から十分に不適正トナーを排除することが可能となる。その結果、その後の画像形成動作時における地汚れの発生を安定して抑制することができる。
【0027】
トナー搬送部材42の単位駆動時間当たりのトナー補給量は、トナー搬送部材42がスクリューであればスクリューピッチ径やスクリューの大きさなどの搬送力に影響を与える要素や、駆動速度などによって特定できる。したがって、トナー搬送部材42の駆動時間によってトナー補給量を特定できる。よって、本実施形態では、トナー搬送部材42の駆動を開始してから、必要なトナー補給量が補給される時間(規定補給時間)が経過するまでの間、トナー搬送部材42の駆動を継続する。そして、規定補給時間が経過したら(S5のYes)、本体駆動部とトナー容器4のトナー搬送部材42を連結するための連結部材に対し、これらの連結を解除するための連結解除信号を送る(S6)。これにより、本体駆動部とトナー容器4のトナー搬送部材42との連結が解除され、トナー容器4のトナー搬送部材42の駆動が停止して、トナー補給が終了する。
【0028】
この連結解除信号を送ったタイミングで、帯電電圧を通常時の設定値に戻し、トナー補給モードを終了してもよいが、現像装置3のトナー収容部36内で劣化トナーに補給トナー(非劣化トナー)が十分に混ざり合うまでは、これらのトナーの分散ムラが画質に影響する場合がある。また、このタイミングでトナー補給モードを終了すると、現像装置から不適正トナーを排除するための時間が不足していて、現像装置から不適正トナーを十分に排除しきれていない場合もあり得る。よって、好ましくは、トナー補給の終了後(連結解除信号を送ったタイミング後)、現像装置3のトナー収容部36内のトナーを攪拌するための攪拌期間を設け、感光体1や現像装置3を空駆動させる。この攪拌期間中でも、トナー補給中と同様に、現像領域を通過する感光体1の地肌部に不適正トナーが移動しやすくなるように、帯電電圧を通常時よりも絶対値が低い値に設定し、地肌ポテンシャルを通常時よりも小さくする。このように、本実施形態では、連結解除信号を送ったタイミングでは帯電電圧を通常時の設定値に戻さず、更に規定攪拌時間が経過した後に(S7のYes)、帯電電圧の設定値を通常時の設定値に戻し(S8)、画像形成可能とする。
【0029】
なお、トナー補給モードへの移行タイミング(トナー補給タイミング)の決定方法は、これに限らず、現像装置3のトナー収容部36内のトナー量が不具合を生じさせるほど不足してしまう前にトナーを適宜補給できる方法であれば、どのような方法であってもよい。例えば、画像出力枚数が規定枚数に達したらトナー補給モードに移行する方法を採用してもよい。また、例えば、現像装置3のトナー収容部36内に光学式や圧電方式のセンサー等からなるトナー量検知手段を設け、トナー量検知手段がトナー不足を検知したときにトナー補給動作を開始するようにしてもよい。この場合、トナー搬送部材42の駆動を停止させるタイミングについても、トナー量検知手段によりトナー充填を確認したタイミングとすることができる。
【0030】
次に、本発明の効果確認のために行った実験例について説明する。
図5は、本発明の実施例と比較例の主要な実験条件及び実験結果を示した一覧表である。
本実験例では、図2に示したプロセスカートリッジとトナー容器4とが装着できるようにカラープリンタ(リコー社製IpsioSPC310)を改造した実験機を用いる。この実験機において、プロセスカートリッジは作像駆動モータと連結して駆動し、トナー容器4は、作像駆動モータとクラッチを介して連結して駆動し、トナー補給時にクラッチを連結してトナー容器4のトナー搬送部材42を駆動してトナー補給を可能とした。トナー補給モードは、図4に示したような簡易的なシーケンスに従って動作するように設定した。帯電電圧あるいは現像電圧については、プリンタ本体内部の高圧電源の出力値を自在に調整できるようにすることで、電圧出力信号を受けると任意に設定された帯電電圧あるいは現像電圧が得られる構成としている。また、帯電電圧印加時の感光体表面電位(地肌部の電位)を測定するために、現像領域の近傍に非接触タイプの表面電位計を取り付け、地肌部の電位を測定できるようにした。トナー補給量は、トナー容器4の駆動時間によって制御することとし、トナー補給信号が入力されたら一定の規定補給時間だけトナー容器4を駆動するように制御する。トナー補給量は、図6に示すグラフに基づいてトナー容器4の駆動時間から算出した。
【0031】
また、本実験例において、現像装置3のトナー収容部36に対してトナーがどのくらい補給されたかを示す指標として、トナー補給動作終了後のトナー収容部内のトナー総量に対する当該トナー補給動作により補給されたトナー量の比率(トナー補給率)を定義した。トナー補給動作終了後のトナー収容部内のトナー総量は、当該トナー補給動作直前における現像装置のトナー収容部36内のトナー残量と、当該トナー補給動作により補給されたトナー量との和を用いた。
また、本実験例では、現像装置3の初期トナー充填量は70gであり、トナー容器4の初期充填量は150gである。トナーは、上記リコー社製IpsioSPC310の標準トナーを使用した。
【0032】
本実験例では、まず、トナー補給なしで高温高湿環境下において4000枚の連続通紙試験を実施し、現像装置3のトナー収容部36内のトナーの劣化状態を作り上げた。これは、経時動作によって現像装置3内のトナー輸送部材33やアジテータ34あるいは規制ブレード39などとトナーとの摺擦が生じて、トナー外添部材の埋没や離脱等により、トナーの荷電性が低下する実使用の状態を擬似的に再現したものである。本実験例では、この状態から上記シーケンスによりトナー消費量をカウントし、そのトナー消費量が規定値に達したらトナー補給モードに移行する。そして、そのトナー補給モードの終了後、感光体上の地肌部に付着したトナー量を測定するため、感光体上の地肌部に付着したトナーを透明テープに貼り付けて採取し、これを白紙(リコー社製Type6000)に貼り付けたものを反射分光濃度計(X−Rite社製)にて明度を測定し、感光体上に付着したトナー量を定量化した。また、トナー補給モードが終了した直後に白画像を出力し、紙上のトナー付着レベル(地汚れレベル)を目視評価して、「1」が最も悪く、「5」が最も良いという5段階で、画像ランク付けを行った。なお、画像ランクが「4」以上であれば、地汚れが許容範囲内に収まる画質が得られる合格ラインである。
【0033】
実施例1では、トナー消費量が14gになった時点でトナー補給モードに移行し、1回のトナー補給量が14gとなるように設定したものである。このときのトナー補給率は20%であった。本実施例1では、トナー補給モードではない通常時の帯電印加電圧は−1200Vであり、このときの帯電処理後における感光体表面電位(地肌部の電位)は−600Vとなる。また、現像電圧は、通常時もトナー補給モードも−200Vで一定である。そして、実施例1では、トナー補給モード時の帯電電圧を−1050Vに設定した。このときの帯電処理後における感光体表面電位(地肌部の電位)は−450Vであった。
【0034】
また、実施例2では、帯電電圧は、通常時もトナー補給モード時も−1200Vで固定とし、トナー補給モード時の現像電圧を、通常時の−200Vよりも上げて−350Vにした。これ以外の条件は上記実施例1と同じである。
【0035】
また、実施例3は、トナー補給モード時の帯電電圧が−1000Vである以外は、上記実施例1と同じ条件である。
【0036】
また、実施例4では、帯電電圧も現像電圧も通常時及びトナー補給モード時で一定としているが、トナー補給モード時に感光体表面に対して一様に露光装置からレーザーを照射することで、感光体の表面電位を落とした。このときの露光エネルギーは、0.04μJ/cmである。これ以外の条件は上記実施例1と同じである。
【0037】
また、実施例5は、トナー消費量が7gになった時点でトナー補給モードに移行し、1回のトナー補給量が7gとなるように設定した以外は、上記実施例1と同じ条件である。
【0038】
以上の実験例の結果、図5に示すように、通常時(補給前)の地肌ポテンシャル(帯電−現像)は400Vであるところに、実施例1〜5のようにトナー補給モード時の地肌ポテンシャルがこれよりも低い200Vあるいは250Vとなることで、トナー補給モード時の地肌ポテンシャルが通常時と同じ400Vである比較例と比べて、感光体の地肌部に付着するトナー量を少なくでき(反射分光濃度計の明度が高くなり)、また、画像ランクも「4」以上の合格ラインを超えた。
【0039】
なお、トナー補給モード時の地肌ポテンシャルが通常時よりも低くなるように設定する場合でも、例えばトナー補給モード時の帯電電圧が−900Vである以外は上記実施例1と同じ条件に設定した場合、地肌ポテンシャルが小さすぎて(この場合は地肌ポテンシャルは100Vである。)、逆に感光体の地肌部に付着するトナー量が増えることが確認されている。これは、地肌ポテンシャルが小さすぎると、正規帯電トナーであっても感光体上の地肌部に付着してしまい、感光体の地肌部には不適正トナーだけでなく正規帯電トナーも付着するので、感光体の地肌部に付着するトナー量が増えてしまうためである。
【0040】
以上、本実施形態に係るプリンタは、回転駆動する潜像担持体としての感光体1の表面を帯電手段としての帯電ローラ2により印加される帯電バイアスによって目標帯電電位に帯電処理し、帯電処理された感光体表面部分に潜像形成手段としての露光装置によって静電潜像を形成した後、一成分現像方式の現像装置3のトナー収容部36に収容されているトナーを、トナー担持体としての現像ローラ30上に担持させて現像ローラ30により現像領域へと搬送し、静電潜像と現像ローラ30との電位差によって静電潜像に付着させる現像処理を行い、これにより感光体上に形成されたトナー像を最終的に記録材としての用紙へ転写することで用紙上に画像を形成する画像形成装置である。本プリンタは、所定のトナー補給タイミングが到来したら、感光体1を回転駆動させた状態で、上記帯電手段により帯電処理を行いながら、トナー容器4内のトナーを現像装置3のトナー収容部36へ補給するトナー搬送部材42等のトナー補給手段と、トナー補給手段によりトナー容器4からトナー収容部36へのトナー補給を開始してからトナー補給終了後の所定時間が経過するまでの期間(トナー補給処理期間)中の少なくとも一部の期間、帯電ローラ2により帯電処理された感光体表面上の地肌部と現像ローラ30との電位差である地肌ポテンシャルを画像形成動作時の地肌ポテンシャルよりも一時的に小さくする地肌ポテンシャル調整制御を実行する地肌ポテンシャル調整手段としての制御部とを有している。このように、帯電手段により帯電処理を行いながら潜像担持体を回転駆動させてトナー補給を行うことにより、現像装置3のトナー収容部36に残留している古いトナーのうち、劣化が軽微で未だ使用可能な正規帯電トナーについてはトナー収容部36内に残しつつ、不適正トナーだけをトナー収容部36から排除できる。よって、正規帯電トナーを含む古いトナーを一律に排除していた従来と比較して、トナーの無駄な消費を抑制できる。しかも、トナー補給処理期間中の少なくとも一部の期間では、地肌ポテンシャルが通常時よりも小さくなるので、トナー補給処理期間中に地肌部に付着する不適正トナーの量を増やすことができ、地肌ポテンシャルを通常時のままとする場合よりも、より多くの不適正トナーを現像装置から排除することができる。
また、本実施形態においては、トナー補給手段がトナー補給を開始するタイミングに連動して地肌ポテンシャルを小さくする。トナー補給手段のトナー補給開始時点から地肌部に付着する不適正トナーの量を増やすことができ、より適切に地汚れを抑制できる。
また、本実施形態においては、トナー補給手段が、駆動源である本体駆動部からの駆動力を受けてトナー容器4内のトナーを現像装置3のトナー収容部36へ補給するものであり、制御部は、本体駆動部からトナー補給手段へ駆動力を入力させるための信号である連結信号を検知したら、地肌ポテンシャルを小さくする。これにより、センサ等の専用部品を設けなくても、トナー補給手段のトナー補給開始時点から地肌部に付着する不適正トナーの量を増やすことができる。
また、本実施形態では、帯電バイアスを小さくして地肌ポテンシャルを小さくしたが、上記実施例2のように現像ローラ30に印加する現像電圧を小さくして地肌ポテンシャルを小さくしてもよいし、上記実施例4のように帯電ローラ2によって帯電処理された感光体表面部分を露光装置により露光することにより感光体表面電位を落として地肌ポテンシャルを小さくしてもよい。
また、本実施形態では、制御部が小さくする地肌ポテンシャルの値は200V以上300V以下の範囲内としている。この範囲内であれば、地肌ポテンシャルが小さく過ぎて正規帯電トナーまでも感光体上の地肌部に付着してしまうことを防止でき、よりトナー消費の無駄を抑制することができる。
また、本実施形態においては、温湿度環境情報を取得する温湿度環境情報取得手段である温湿度センサ等を設け、その温湿度環境情報取得手段が取得した温湿度環境情報に基づいて、制御部が小さくする地肌ポテンシャルの値を変更するようにしてもよい。これにより、温湿度環境に応じてトナーの荷電性が変化する場合でも、地肌部に付着する不適正トナーの量を安定して増やすことができる。
また、本実施形態では、所定のトナー補給タイミングにトナー補給手段が補給する1回のトナー補給量は、当該補給後におけるトナー収容部36内のトナー総量の20%以下である。すなわち、トナー補給率を20%以下とする。これにより、より有効に地汚れの発生を抑制できる。
また、本実施形態では、画像形成装置本体に対して着脱自在に構成され、少なくとも感光体1と現像装置3とを共通の支持体で支持したプロセスカートリッジを設け、トナー容器3は、プロセスカートリッジとは別個に画像形成装置本体に対して着脱自在に構成している。これにより、プロセスカートリッジの搭載部品の耐久性向上による低ランニングコスト化と、画像形成装置の小型化の両立を図ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 感光体
2 帯電ローラ
3 現像装置
4 トナー容器
10 作像ユニット
30 現像ローラ
33 トナー輸送部材
34 アジテータ
35 供給ローラ
36 トナー収容部
39 規制ブレード
41 攪拌パドル
42 トナー搬送部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特許第4026977号公報
【特許文献2】特開2009−75244号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動する潜像担持体の表面を帯電手段により印加される帯電バイアスによって目標帯電電位に帯電処理し、帯電処理された潜像担持体表面部分に潜像形成手段によって静電潜像を形成した後、一成分現像方式の現像装置のトナー収容部に収容されているトナーを、トナー担持体上に担持させて該トナー担持体により現像領域へと搬送し、該静電潜像と該トナー担持体との電位差によって該静電潜像に付着させる現像処理を行い、これにより潜像担持体上に形成されたトナー像を最終的に記録材へ転写することで該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
所定のトナー補給タイミングが到来したら、潜像担持体を回転駆動させた状態で、上記帯電手段により帯電処理を行いながら、トナー容器内のトナーを上記現像装置の上記トナー収容部へ補給するトナー補給手段と、
上記トナー補給手段により上記トナー容器から上記トナー収容部へのトナー補給を開始してからトナー補給終了後の所定時間が経過するまでのトナー補給処理期間中の少なくとも一部の期間、上記帯電手段により帯電処理された潜像担持体表面上の地肌部と上記トナー担持体との電位差である地肌ポテンシャルを、該トナー補給処理期間外に実行される画像形成動作時の地肌ポテンシャルよりも一時的に小さくする地肌ポテンシャル調整制御を実行する地肌ポテンシャル調整手段とを有する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記地肌ポテンシャル調整手段は、上記トナー補給手段がトナー補給を開始するタイミングに連動して上記地肌ポテンシャル調整制御を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記トナー補給手段は、駆動源からの駆動力を受けて上記トナー容器内のトナーを上記現像装置の上記トナー収容部へ補給するものであり、
上記地肌ポテンシャル調整手段は、上記駆動源から上記トナー補給手段へ駆動力を入力させるための信号を検知したら、上記地肌ポテンシャル調整制御を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記地肌ポテンシャル調整手段は、上記帯電バイアスを小さくして上記地肌ポテンシャルを小さくすることにより上記地肌ポテンシャル調整制御を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記地肌ポテンシャル調整手段は、上記トナー担持体に印加する現像電圧を小さくして上記地肌ポテンシャルを小さくすることにより上記地肌ポテンシャル調整制御を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記地肌ポテンシャル調整手段が実行する地肌ポテンシャル調整制御では、上記地肌ポテンシャルを200V以上300V以下の範囲内とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
温湿度環境情報を取得する温湿度環境情報取得手段を有し、
上記地肌ポテンシャル調整手段は、温湿度環境情報取得手段が取得した結果に基づいて、上記地肌ポテンシャル調整制御で小さくする地肌ポテンシャルの値を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記潜像形成手段は、上記帯電手段により帯電処理された潜像担持体表面部分を露光することにより潜像担持体表面上の露光箇所の電位の絶対値を小さくするものであり、
上記地肌ポテンシャル調整手段は、上記潜像形成手段により上記地肌部を露光して上記地肌ポテンシャルを小さくすることにより上記地肌ポテンシャル調整制御を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記所定のトナー補給タイミングに上記トナー補給手段が補給する1回のトナー補給量は、当該補給後における上記トナー収容部内のトナー総量の20%以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
画像形成装置本体に対して着脱自在に構成され、少なくとも上記潜像担持体と上記現像装置とを共通の支持体で支持したプロセスカートリッジを有し、
上記トナー容器は、上記プロセスカートリッジとは別個に画像形成装置本体に対して着脱自在に構成されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−226028(P2012−226028A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91738(P2011−91738)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】