説明

画像形成装置

【課題】本発明は、封筒の搬送中の搬送不良に対して適正な復旧処理を実現することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1において、封筒100Eを供給する供給部2と、供給部2から供給される封筒100Eを搬送経路において搬送する搬送手段3と、搬送経路3の複数箇所に配設された排紙口301〜304と、搬送経路中に配設された印刷部6と、搬送経路に配設され、封筒100Eのフラップが搬送方向先端であるか否かを検出する封筒情報検出手段と、搬送経路中の封筒100Eの搬送不良に対して、封筒情報検出手段の検出結果に基づきフラップを排紙方向後端として排紙口301〜304のいずれかに封筒100Eを排紙する制御を行う搬送制御部(803)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、封筒に印刷を行うことができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低価格で高速カラー印刷が可能なプリンタの普及が目覚ましい。プリンタは、パーソナルコンピュータ等の端末に接続され、この端末において製作された文字、イラスト、記号等の画像情報を取り込み、記録媒体に印刷を行う。また、スキャナやファクシミリと一体化された複合型のプリンタにおいては、スキャナユニットから取り込んだ画像情報の印刷を行うことができ、或いはファクシミリにより転送された画像情報の印刷を行うことができる。
【0003】
プリンタにおいては、普通紙、フォト紙、光沢紙、OHPフィルム等の記録媒体が印刷に使用されている。家庭用には、一般的にはがきサイズからA4版サイズまでの記録媒体に印刷を行うプリンタが使用されている。また、オフィス用には、例えばはがきサイズからA3版サイズまでの記録媒体に印刷を行うプリンタが使用されている。
【0004】
印刷速度、印刷品質等の性能の向上に伴い、プリンタを用いて広告や宣伝に使用する大量の封筒(状袋)を印刷する要求が高まりつつある。通常のプリンタの印刷には1枚の記録媒体が使用されているが、封筒は部位によって記録媒体自体の枚数、厚みが異なる。封筒は、手紙、文章等を内包し、用紙を折り重ねて作成された方形形状を有し、この方形形状の3辺が封じられた本体(封筒本体)と、本体の残りの1辺に作成され手紙等を内包した後に折り返して綴じるフラップ(折り返し蓋)とを有する。このため、本体は、用紙を2枚に折り重ねた部分と、更に糊付けされた3枚の用紙を重ねた部分とを有し、本体の厚さは厚い。また、フラップは折り返していない場合(フラップを開いた場合)には1枚の用紙であり、フラップの厚さは薄い。フラップを折り返した場合(フラップを閉じた場合)には3枚の用紙を重ねた状態になり、フラップの厚さは厚くなる。
【0005】
例えば、インクジェットプリンタにおいて、印刷品質を高めるためには封筒とプリントヘッドのインク吐出ノズル面とのギャップが小さくかつ一定に保持される必要がある。ところが、前述のように、封筒の部位によって厚さに違いがあるので、ギャップを小さくして印刷品質を高めようとすれば、封筒とプリントヘッドとの干渉を招き、封筒の搬送不良例えば搬送ジャムが発生する。また、封筒の本体とフラップとの用紙枚数に違いがあり、本体の腰は強い(弾性力が強い或いは粘りが強い)が、フラップの腰は弱い(弾性力が弱い或いは粘りが弱い)。この封筒の部位の腰の強さも搬送不良を誘発する1つの要因である。
【0006】
下記特許文献1には、レジストローラの近傍に厚さ検出センサを備え、給紙されるシート状部材の厚さ並びにその変化を厚さ検出センサを用いて検出する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置においては、シート状部材が封筒であるか封筒以外であるか、又封筒であるときにフラップが開いているか閉じているかを検出することができ、この検出結果に基づき、ギャップ調整、印字モード変更、印刷部前一時停止、印字開始位置の変移、搬送エラーの検知変更、フラップに対する印字規制、排紙搬送路の変更等の封筒及びフラップの状態に応じた制御を行うことができる。従って、画像形成装置においては、封筒の安定した搬送を行うことができ、安定した画像形成を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−152644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述の特許文献1に開示された画像形成装置においては、封筒を安定して搬送する制御について開示されているものの、封筒の搬送中に搬送不良例えば搬送ジャムが発生した場合の処理の手法については配慮がなされていなかった。封筒の搬送中に搬送不良が発生した場合には、封筒の損傷や搬送経路、印刷部等の損傷を防止するために、封筒の搬送を停止する設定にしているので、画像形成装置内部に封筒が残る。この封筒はユーザの手作業によって取り除く必要があるので、ユーザの労力が増大する。また、封筒は前述のように本体に厚みを有し、この部分の強度或いは硬度は高いので、搬送ローラに挟まれた状態において停止している封筒を無理に引き抜こうとした場合には、封筒が損傷するだけでなく、搬送ローラにも損傷が生じる。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。従って、本発明は、封筒の搬送中の搬送不良に対して適正な復旧処理を実現することができる画像形成装置を提供することである。更に、本発明は、封筒の搬送中の搬送不良に対して復旧処理に要するユーザの労力を軽減することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の特徴は、画像形成装置において、封筒を供給する供給部と、この供給部から供給される封筒を搬送経路において前進及び後進搬送を行う搬送手段(例えば、供給搬送部31、印刷搬送部32、排紙搬送部35、38、反転搬送部36等)と、搬送経路の複数箇所に配設された排紙口(例えば、排紙口301〜304)と、搬送経路中に配設された印刷部と、搬送経路に配設され、搬送経路に搬送される封筒のフラップが搬送方向先端であるか搬送方向後端であるかを検出する封筒情報検出手段(例えば、媒体厚検出部26、封筒形状検出部27等)と、搬送経路を搬送中の封筒の搬送不良に対して、封筒情報検出手段の検出結果に基づき、フラップを排紙方向後端として排紙口のいずれかに封筒を排紙するように搬送手段の制御を行う搬送制御部とを備える。
【0011】
本発明の第2の特徴は、第1の特徴に係る画像形成装置において、搬送制御部は、フラップを排紙方向後端として、搬送経路の搬送不良が生じた箇所から最短搬送距離に配設された排紙口に封筒を排紙する制御を行うことである。
【0012】
本発明の第3の特徴は、第2の特徴に係る画像形成装置において、搬送制御部は、搬送経路の搬送不良が生じた箇所において、封筒の搬送方向先端がフラップのときにフラップを排紙方向後端として排紙口に封筒を排紙する制御を行うとともに、封筒の搬送方向後端がフラップのときに封筒の搬送を停止する制御を行うことである。
【0013】
本発明の第4の特徴は、画像形成装置において、搬送制御部は、封筒の搬送方向先端がフラップのときに搬送経路の搬送不良が生じた箇所から搬送方向上流側において搬送中の他の封筒を搬送方向上流側に配設された排紙口に排紙する制御を行い、封筒の搬送方向後端がフラップのときに搬送経路の搬送不良が生じた箇所から搬送方向下流側において搬送中の他の封筒を搬送方向下流側に配設された排紙口に排紙する制御を行うことである。
【0014】
本発明の第5の特徴は、画像形成装置において、搬送手段は、封筒の表裏の反転を行いかつ封筒の搬送方向の反転を行う反転搬送部を備え、搬送制御部は、反転搬送部を含む搬送経路を搬送中の封筒の搬送不良に対して、封筒情報検出手段の検出結果に基づき、フラップを排紙方向後端として排紙口のいずれかに封筒を排紙する制御を行うことである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴に係る画像形成装置によれば、封筒情報検出手段を用いて封筒のフラップが搬送方向先端であるか搬送方向後端であるか封筒がどのような搬送形態にあるかの検出を行い、搬送制御部を用いて搬送不良が生じた封筒を検出された搬送形態に応じて再度搬送不良(排紙のときの搬送中に搬送不良が生じる排紙不良)を生じることなく適正にかつ安定に排紙を行うことができる。従って、封筒の搬送不良に対して復旧処理に要するユーザの労力を軽減することができる。
【0016】
本発明の第2の特徴に係る画像形成装置によれば、第1の特徴に係る画像形成装置によって得られる作用効果に加えて、搬送制御部を用いて、封筒の搬送形態に応じて搬送経路の搬送不良が生じた箇所から最短搬送距離に配設された排紙口に搬送不良が生じた封筒の排紙を行うことができる。この結果、封筒の排紙経路長が短くなり、排紙不良の確立を減少することができるので、より一層適正にかつ安定に搬送不良が生じた封筒の排紙を行うことができる。
【0017】
本発明の第3の特徴に係る画像形成装置によれば、第2の特徴に係る画像形成装置によって得られる作用効果に加えて、搬送制御部を用いて、搬送経路の搬送不良が生じた箇所において封筒の搬送方向先端がフラップのときにフラップを排紙方向後端として排紙口に封筒の排紙を行うことができる。更に、搬送制御部を用いて、封筒の搬送方向後端がフラップのときに、フラップを排紙方向先端とすると、フラップの腰の弱さから再度搬送ジャムを生じ易く、排紙不良の確立が高まるので、封筒の搬送の停止(排紙動作の停止)を行うことができる。従って、画像形成装置においては、封筒の搬送形態に応じて適正にかつ安定に搬送不良が生じた封筒の排紙を行うことができる。
【0018】
本発明の第4の特徴に係る画像形成装置によれば、第1の特徴に係る画像形成装置によって得られる作用効果に加えて、搬送制御部を用いて、封筒の搬送方向先端がフラップのときに搬送経路の搬送不良が生じた箇所から搬送方向上流側において搬送方向上流側に配設された排紙口に搬送中の他の封筒の排紙をフラップを排紙方向後端として行い、封筒の搬送方向後端がフラップのときに搬送経路の搬送不良が生じた箇所から搬送方向下流側において搬送方向下流側に配設された排紙口に搬送中の他の封筒の排紙をフラップを排紙方向後端として行い、搬送不良が生じた封筒だけでなく、その前後に搬送中の封筒の排紙を適正にかつ安定に行うことができる。
【0019】
本発明の第5の特徴に係る画像形成装置によれば、搬送手段に反転搬送部を備え、封筒の両面印刷を実現することができるとともに、両面印刷に伴う封筒の搬送形態の反転に対しても第1の特徴に係る画像形成装置によって得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。具体的には、第5の特徴に係る画像形成装置によれば、搬送不良が生じた封筒を検出された搬送形態、すなわち片面印刷のときの搬送形態や両面印刷のときの搬送形態に応じて、再度搬送不良を生じることなく適正にかつ安定に排紙を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】(A)は一実施例に係る画像形成装置を用いて印刷を行う長形封筒の表面図、(B)は長形封筒の裏面図、(C)は長形封筒の断面図である。
【図3】一実施例に係る画像形成装置のシステム構成図である。
【図4】(A)は一実施例に係る画像形成装置において記録媒体の模式的な断面図、(B)は媒体サイズ検出部において記録媒体のサイズの検出結果を示す図である。
【図5】(A)は一実施例に係る画像形成装置において封筒の模式的な断面図、(B)は封筒形状検出部において封筒の形状の検出結果を示す図である。
【図6】(A)は一実施例に係る画像形成装置において封筒の模式的な断面図、(B)は媒体厚検出部において封筒の厚さの検出結果を示す図である。
【図7】一実施例に係る画像形成装置の排紙制御方法を説明するフローチャートである。
【図8】一実施例に係る画像形成装置の記録媒体の排紙制御方法を説明するためのシステム概略図である。
【図9】一実施例に係る画像形成装置の封筒の排紙制御方法を説明するためのシステム概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、図面を参照して、本発明の一実施例を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる。
【0022】
また、以下に示す実施例はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0023】
(実施例)
本発明の一実施例は、封筒の搬送中の搬送不良に対して適正な復旧処理を実現することができる画像形成装置及びその制御方法を説明するものである。なお、一実施例に係る画像形成装置としてインクジェットプリンタに本発明を適用した例を説明するものである。インクジェットプリンタは、ここではシアンインク、マゼンダインク、イエローインク、ブラックインクを用いてプリントを行うカラーインクジェットプリンタである。なお、本発明は、必ずしもカラーインクジェットプリンタにのみ適用されるのではなく、グレースケールを含むモノクロインクジェットプリンタにも適用可能である。
【0024】
[画像形成装置の構成]
(1)画像形成装置の全体構成
図1に示すように、一実施例に係る画像形成装置1は、記録媒体100を供給する給紙部2と、給紙部2から供給された記録媒体100の搬送を行う搬送手段3と、搬送手段3により搬送が行われた記録媒体100に印刷を行う印刷部6と、印刷が行われた記録媒体100を排出する排紙部4及び5と、これらの各ユニットの動作の制御を司る制御部8とを備えている。
【0025】
(2)給紙部及び排紙部の構成
給紙部2は、この配設個数や形態に限定されるものではないが、給紙トレイ21〜24を備えている。給紙トレイ21は、画像形成装置1の符号を付けていない筐体の左側側面にこの筐体から外側に突出し、着脱自在に配設されている。給紙トレイ22〜24は、筐体内部に積層した状態において配設されている。これらの給紙トレイ21〜24には未印刷(印刷前)の記録媒体100が格納されている。
【0026】
排紙部4は筐体の右側側面にこの筐体から外側に突出して配設された排紙トレイ(符号は省略する。)を備えている。この排紙部4は、フェイスアップ排紙部であって、印刷面を上向きにした状態において印刷済み(印刷後)の記録媒体100を収納する。また、排紙部5は、画像形成装置1の筐体の左側上部にこの筐体から外側に突出して配設された排紙トレイ(符号は省略する。)を備えている。排紙部5は、フェイスダウン排紙部であって、印刷面を下向きにした状態において印刷済み(印刷後)の記録媒体100を収納する。
【0027】
ここで、記録媒体100には、普通紙、フォト紙、インクジェット用紙、光沢紙、OHPフィルム等の記録媒体が一般的に使用される。更に、一実施例に係る画像形成装置1において、記録媒体100に封筒100Eが使用され、この封筒100Eの印刷を行うことができる。封筒100Eの種類並びにその形態は後述する。
【0028】
(3)搬送手段の構成
搬送手段(搬送機構)3は、給紙搬送部31と、印刷搬送部32と、上昇搬送部33と、水平搬送部34と、排紙搬送部35と、反転搬送部36とを備えている。搬送手段3は、搬送経路において、搬送方向(例えば給紙部2側から排紙部5側)に向かって記録媒体100や封筒100Eの前進搬送を行う機能を有する。また、搬送手段3は、搬送不良が生じたとき等には、搬送方向と逆方向(例えば排紙部5側から給紙部2側)に向かって記録媒体100や封筒100Eの後進搬送を行う機能を有する。
【0029】
給紙搬送部31は、図1に示すように、給紙部2の給紙トレイ21〜24のそれぞれから印刷搬送部32(ここではレジストローラ37)まで記録媒体100(又は封筒100E)を搬送する給紙経路RSと、給紙トレイ21〜24のそれぞれに格納された記録媒体100を給紙経路RSに供給する給紙ローラ201〜204と、給紙経路RSに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ205と、給紙経路RSに沿って記録媒体100をレジストローラ37に向けて搬送する搬送ローラ206とを備えている。ここで、「供給する」とは、例えば給紙部2の給紙トレイ21から給紙経路RSに記録媒体100(又は封筒100E)を送出するという意味において使用される。また、「搬送する」とは、搬送経路RS中の例えば搬送ローラ206を中心としてその前段側(搬送方向上流側)から後段側(搬送方向下流側)に記録媒体100(又は封筒100E)を送出するという意味において使用される。
【0030】
印刷搬送部32は、給紙搬送部31から上昇搬送部33(ここではレジストローラ37から切換部325の前段)まで記録媒体100を搬送する搬送経路RCと、印刷部6のプリントヘッド61に対向して配設され搬送方向に移動する搬送ベルト321と、この搬送ベルト321を駆動する駆動ローラ322とを備えている。
【0031】
印刷搬送部32の終端つまり切換部325と排紙部4との間には排紙搬送部38が配設されている。排紙搬送部38は、印刷部6において印刷され印刷搬送部32を搬送されてきた記録媒体100を切換部325を介して導く排紙経路RD1と、この排紙経路RD1に配設され排紙経路RD1に沿って記録媒体100を排紙トレイ(符号は省略する。)に搬送する排紙ローラ381とを備えている。一実施例に係る画像形成装置1において、この排紙搬送部38は搬送手段3に含まれる。また、排紙経路RD1の終端は、搬送不良(例えば搬送ジャム)を生じた記録媒体100又は封筒100Eを排紙する(取り除く)排紙口302として使用される。排紙口302は、搬送手段3の搬送経路RC、RV、排紙経路RD1、RD2及び反転搬送経路RR(総称して、単に搬送経路として表現する場合がある。)の複数箇所に配設された排紙口の1つである。
【0032】
上昇搬送部33は、印刷搬送部32から水平搬送部34まで記録媒体100を搬送する搬送経路RVと、搬送経路RVに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ331及び332とを備えている。上昇搬送部33は、印刷搬送部32からその上に重複して配設された水平搬送部34まで垂直方向に記録媒体100を押し上げて搬送する。
【0033】
水平搬送部34は、上昇搬送部33から排紙搬送部35及び反転搬送部36(ここでは反転切換部361)まで記録媒体100を搬送する搬送経路RCと、搬送経路RCに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ341とを備えている。
【0034】
排紙搬送部35は、水平搬送部34の終端つまり切換部361から排紙部5まで記録媒体100を搬送する排紙経路RD2と、排紙経路RD2に沿って排紙トレイまで記録媒体100を搬送する排紙ローラ351とを備えている。この排紙搬送部35は、一方の表面に印刷が行われた片面印刷済みの記録媒体100、並びに一方及び他方の表面に印刷が行われた両面印刷済みの記録媒体100を搬送する。また、排紙経路RD2の終端は、搬送不良を生じた記録媒体100又は封筒100Eを排紙する(取り除く)排紙口303として使用される。排紙口303は、搬送手段3の搬送経路の複数箇所に配設された排紙口の1つである。
【0035】
図1に示すように、反転搬送部36は、記録媒体100の搬送方向の向きを反転させるスイッチバック部364と、水平搬送部34の終端の切換部361からスイッチバック部364を通して再度印刷搬送部32まで記録媒体100を搬送する反転搬送経路RRと、水平搬送部34から搬送される記録媒体100をスイッチバック部364に導きスイッチバック部364から搬送される記録媒体100を印刷搬送部32に導く反転切換部365と、反転搬送経路RRに沿って記録媒体100を搬送する搬送ローラ362、363及び366とを備えている。この反転搬送部36は、片面印刷済みの記録媒体100を搬送しながら表裏並びに搬送方向を反転し、両面印刷に際して印刷搬送部32まで記録媒体100を搬送する。また、反転搬送経路RRにおいてスイッチバック部364は、搬送不良を生じた記録媒体100又は封筒100Eを排紙する(取り除く)排紙口304として使用される。排紙口304は、搬送手段3の搬送経路の複数箇所に配設された排紙口の1つである。
【0036】
(4)印刷部の構成
図1に示すように、印刷部6においては、印刷搬送部32の搬送経路RC上にプリントヘッド61が配列されている。このプリントヘッド61は、図示を省略するが、搬送経路RC側にインク吐出ノズルを配列し、このインク吐出ノズルからインクを記録媒体100に向かって突出するインクジェット型プリントヘッドである。プリントヘッド61は、搬送経路RCに沿って各色のインクをそれぞれ吐出する複数個を配列し、搬送経路RCに交差する方向(ここでは直交する方向)に同色のインクをそれぞれ吐出する複数個を配列している。つまり、一実施例に係る画像形成装置1は、プリントヘッド61からブラックインク、シアンインク、マゼンダインク、イエローインクを吐出し、ライン単位において印刷を行う、ラインプリント方式を採用するカラーインクジェットプリンタである。搬送方向に対して、この各色インクの吐出順序は特に限定されるものではない。
【0037】
必ずしもこの方式に限定されるものではないが、又その構成を詳細に図示していないが、一実施例に係る画像形成装置1は、プリントヘッド61にインクを供給し、印刷に使用されなかった余剰のインクを回収し、この回収されたインクを再び循環させるインク循環ユニット62を備えている。インク循環ユニット62は各色のインク毎に配設されており、ここでは4色分のインクを循環させるインク循環ユニット62が配設されている。プリントヘッド61の動作並びにインク循環ユニット62は制御部8によって制御を行っている。
【0038】
印刷部6において、搬送経路RCに沿って配設された搬送ベルト321は、終端のない巡回ベルトであり、プラテンプレート63の表面上を走行する。搬送ベルト321は、プラテンプレート63上に記録媒体100を搬送し(供給し)、印刷後にプラテンプレート63上から記録媒体100を搬送(排出)する。
【0039】
また、少なくとも、プラテンプレート63、搬送ベルト321及び搬送ローラ322はここではベルトプラテンユニット65を構築する。ベルトプラテンユニット65は下降機構66に連接されている。下降機構66は、通常の印刷動作において、ベルトプラテンユニット65をプリントヘッド61に近接させて(ヘッドギャップを介して)保持し、搬送経路RCと搬送ベルト321の表面とを一致させ、記録媒体100又は封筒100Eの搬送並びに印刷動作を行える状態を維持する。一方、下降機構66は、搬送不良が発生したときの復旧処理動作において、例えばユーザ操作による手動にて、ベルトプラテンユニット65の全体をプリントヘッド61から離間させて、搬送経路RCと搬送ベルト321の表面との間に隙間を形成する。この隙間は、搬送不良を生じた記録媒体100又は封筒100Eを排紙する(取り除く)排紙口301として使用される。この排紙口301は搬送手段3の搬送経路の複数箇所に配設された排紙口の1つである。
【0040】
プラテンプレート63下つまり搬送経路RCを中心にプリントヘッド61とは反対側(図1中、下側の裏面)には吸引装置7が配設されている。吸引装置7は、印刷部6に搬送され印刷される記録媒体100を搬送ベルト3の図示しない穴を通してプラテンプレート63に吸着させる機能を有する。一実施例において、吸引装置7にはエア吸引ファンが使用される。また、一実施例において、吸引装置7は、画像形成装置1の筐体内部に内蔵されているが、画像形成装置1の筐体外部に外付け装置として設置し、吸引ダクトを用いてプラテンプレート63下に配管してもよい。吸引装置7は制御部8に接続され、この制御部8によって吸引装置7の吸引動作が制御されている。
【0041】
(5)センサの構成
一実施例に係る画像形成装置1の搬送手段3の搬送経路には、同図1に示すように、各種検出部が配設されている。搬送手段3の給紙搬送部31において、給紙経路RSには搬送センサ281〜285が配設されている。搬送センサ281〜285は、給紙経路RSに沿って、搬送ローラ205又は206の前段(搬送方向上流側)若しくは後段(搬送方向下流側)に配設されている。搬送センサ281〜285は、ここでは給紙トレイ22〜24から給紙された記録媒体100(又は封筒100E)の搬送状態、例えば印刷スケジュールに従って記録媒体100が適切に搬送されているか否かの検出を行う機能を有する。なお、この搬送状態の検出を行う機能は、後述する媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26及び封筒形状検出部27を除き、搬送経路に配設されたセンサ、具体的にはレジストセンサ286、トップエッジセンサ287、288、上面搬送入口センサ291、フリッパセンサ292、フェイスダウン排紙センサ293、上面搬送出口センサ294、スイッチバックセンサ295、再給紙センサ296の各センサにおいて同様である。搬送センサ281〜285には例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0042】
給紙搬送部31において、給紙トレイ21からの給紙経路RS、給紙トレイ22〜24からの給紙経路RS及び反転搬送部36の反転搬送経路RRの結合領域とレジストローラ37との間にはレジストセンサ286が配設されている。レジストセンサ286は、ここでは給紙トレイ21、給紙トレイ22〜24のそれぞれから給紙された記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態、反転搬送部36から再給紙された記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行うとともに、各々の搬送経路から重複搬送があるか否かを検出する機能を有する。レジストセンサ286には例えば光学式センサ、光透過センサ等を実用的に使用することができる。
【0043】
印刷搬送部32において、搬送経路RCのレジストローラ37とベルトプラテンユニット65との間にはトップエッジセンサ287が配設され、ベルトプラテンユニット65内の搬送経路RCにはトップエッジセンサ288が配設されている。トップエッジセンサ287、288はいずれもレジストローラ37から搬送経路RCに送出された記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。レジストセンサ286には例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0044】
印刷搬送部32において、ベルトプラテンユニット65内の搬送経路RC、ここではトップエッジセンサ288とプリントヘッド61との間には浮き検知センサ289が配設されている。浮き検知センサ289は、搬送経路RCに搬送される記録媒体100又は封筒100Eの特に搬送方向先端側の、プリントヘッド61に接触する浮きの検出を行う機能を有する。浮き検知センサ289には例えば光学式センサ、機械式接触センサ等を実用的に使用することができる。
【0045】
上昇搬送部33において、搬送経路RVの切換部325を通過した直後の初段には上面搬送入口センサ291が配設されている。上面搬送入口センサ291は、印刷搬送部32の搬送経路RCから切換部325を通して上昇搬送部33の搬送経路RVに搬送された記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。上面搬送入口センサ291には例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0046】
水平搬送部34において、搬送経路RCにはフリッパセンサ292が配設されている。フリッパセンサ292は、搬送経路RCに搬送される記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。フリッパセンサ292には、例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0047】
排紙搬送部35において、排紙経路RD2の排紙ローラ351と排紙トレイとの間にはフェイスダウン排紙センサ293が配設されている。フェイスダウン排紙センサ293は、排紙経路RD2に搬送される記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。フェイスダウン排紙センサ293には、例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0048】
反転搬送部36において、反転搬送経路RRの切換部361と搬送ローラ363との間には上面搬送出口センサ294が配設されている。上面搬送出口センサ294は、反転搬送経路RRの切換部361から搬送ローラ363までの記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。反転搬送経路RRの搬送ローラ363とスイッチバック部364との間にはスイッチバックセンサ295が配設されている。スイッチバックセンサ295は、反転搬送経路RRの搬送ローラ363とスイッチバック部364との間に搬送される記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。反転搬送経路RRの切換部365と印刷搬送部32の給紙経路RSとの間には再給紙センサ296が配設されている。再給紙センサ296は、反転搬送経路RRの切換部365から給紙経路RSまでに搬送される記録媒体100又は封筒100Eの搬送状態の検出を行う機能を有する。上面搬送出口センサ294、スイッチバックセンサ295、再給紙センサ296のそれぞれには、例えば光学式センサを実用的に使用することができる。
【0049】
(6)検出部の構成
また、搬送手段3の給紙搬送部31において、給紙経路RSには各種検出部が配設されている。一実施例に係る画像形成装置1においては、給紙経路RSに、媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26及び封筒形状検出部27が配設されている。媒体サイズ検出部25は、記録媒体100のサイズを検出する機能を有し、例えば反射センサにより構成されている。媒体厚検出部26は、記録媒体100の厚さを検出する機能を有し、例えば透過センサにより構成されている。封筒形状検出部27は、封筒100Eの形状を検出する機能を有し、例えば高精度な検出を実現することができかつ小型サイズを有するコンタクトイメージセンサ(CIS)により構成されている。ここで、媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26、封筒形状検出部27のすべて又はその一部は一実施例において封筒情報検出手段を構築する。
【0050】
なお、一実施例に係る画像形成装置1は、ライン単位において印刷を行う方式だけに限定されるものではなく、ライン方向に走査して印刷を行うシリアル方式に適用してもよい。
【0051】
[画像形成装置の基本的な印刷動作]
前述の図1に示す画像形成装置1の印刷動作は以下の通りである。まず最初に、給紙部2の給紙トレイ21〜24のいずれかに格納された未印刷状態の記録媒体100は、搬送手段3の給紙搬送部31において給紙ローラ201〜204のいずれかを用いて給紙経路RSに導かれる。この記録媒体100は、搬送ローラ205及び206を用いて給紙経路RSに沿ってレジストローラ37に搬送される。この給紙経路RSの搬送中において、媒体サイズ検出部25を用いて記録媒体100のサイズが検出され、媒体厚検出部26を用いて記録媒体100の厚さが検出される。
【0052】
また、給紙トレイ21〜24のいずれかから封筒100Eが供給される場合、給紙経路RSの搬送中に、封筒形状検出部27を用いて封筒100Eの形状が検出され、媒体厚検出部26を用いて封筒100Eの各部位(ここでは、封筒100Eの本体、フラップ等)の厚さが検出される。なお、図示を省略するが、媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26、封筒形状検出部27のそれぞれを用いた記録媒体100又は封筒100Eのサイズ、厚さ或いは形状の検出には、搬送ベルト321又は駆動ローラ322に配設された媒体搬送量検出部(例えば、エンコーダによって構成されている。)からのエンコーダパルスの出力を併用することができる。
【0053】
レジストローラ37は、給紙経路RSに対して垂直方向に配設された一対のローラを備えており、搬送された記録媒体100又は封筒100Eの供給方向先端(搬送方向先端)の位置合わせ、斜行修正等を行う機能を有する。レジストローラ37に搬送された記録媒体100又は封筒100Eは、ここで一旦停止した後、所定のタイミングにおいて印刷搬送部32に搬送される。つまり、レジストローラ37は、記録媒体100又は封筒100Eの印刷搬送部32への送出タイミングを調整する。
【0054】
印刷搬送部32においては、印刷条件によって定められた移動速度において搬送ベルト321の移動が行われ、この搬送ベルト321の移動に従い搬送経路RCに沿って記録媒体100又は封筒100Eが搬送される。プラテンプレート63上に記録媒体100又は封筒100Eが搬送されると、印刷部6のプリントヘッド61は各色のインクを吐出し、カラー印刷、モノクロ印刷又はグレースケール印刷が行われる。
【0055】
印刷済みの記録媒体100又は封筒100Eは、搬送経路RCに沿って搬送され、排紙部4に排紙する場合には切換部325を用いて排紙搬送部38に搬送される。排紙搬送部38に搬送された記録媒体100又は封筒100Eは排紙部4の排紙トレイに格納される。
【0056】
排紙部5に排紙する場合には、印刷済み記録媒体100又は封筒100Eは上昇搬送部33に搬送され、引き続き水平搬送部34に搬送される。ここで、片面印刷であって直接排紙部5に排紙する場合には切換部361を用いて排紙搬送部35に搬送される。排紙搬送部35に搬送された記録媒体100又は封筒100Eは排紙部5の排紙トレイに格納される。両面印刷の場合には、水平搬送部34から切換部361を用いて記録媒体100又は封筒100Eは反転搬送部36に搬送される。反転搬送部36において、記録媒体100又は封筒100Eは反転搬送経路RRを通してスイッチバック部364に搬送され、この記録媒体100又は封筒100Eはスイッチバック部364から反転切換部365を通して搬送方向を反転させかつ表裏を反転させて再度レジストローラ37まで搬送される。片面印刷の場合と同様に、この記録媒体100は、レジストローラ37によって送出タイミングを調整して印刷搬送部32に搬送されて印刷を行った後、上昇搬送部33、水平搬送部34、排紙搬送部35を順次搬送され、排紙部5の排紙トレイに格納される。
【0057】
このような画像形成装置1の印刷動作は印刷ジョブに含まれる情報に基づき制御部8内において生成され管理される印刷スケジュールに従って実行を行っている。ここでは、印刷スケジュールは、印刷ジョブに含まれる情報、例えば記録媒体100又は封筒100Eの設定情報、印刷枚数の情報、カラー印刷又はモノクロ印刷の設定情報、片面印刷又は両面印刷の設定情報等の情報に基づき、給紙開始のタイミング、レジストローラ37の送出タイミング、印刷部6の印刷動作の実行タイミング、排紙タイミング、反転タイミング等のスケジュールを設定することである。この印刷スケジュールの管理は、搬送手段3の搬送経路に配設された各種センサの検出結果に基づき、制御部8において行われる。
【0058】
[封筒の種類及び構成]
前述の記録媒体100として使用される封筒100Eには様々な種類がある。図2(A)、図2(B)及び図2(C)に示す封筒100Eは多用されている長形封筒100E1である。
【0059】
長形封筒100E1は、手紙、文章等を内包し、用紙を折り重ねて作成された長方形形状を有し、この長方形形状の3辺が封じられた本体(封筒本体)101と、本体101の残りの1辺に作成され手紙等を内包した後に折り返して綴じるフラップ(折り返し蓋)102とを有する。本体101とフラップ102との間はフラップ102の折り返し領域103である。本体101は、1枚(又は内袋を含めて複数枚)の用紙を2枚に折り重ねた部分と、更に糊付けされた3枚の用紙を重ねた部分1011及び1012とを有する。用紙を重ねた部分1011は、センタ貼りの場合、本体101の中央部に位置しているが、サイド貼りとして3辺のうちの対向する2辺のいずれかに位置してもよい。また、用紙を重ねた部分1012は、本体101のフラップ102と対向する1辺(天に対して地)に位置し、フラップ102と同様の形状を有し、予め糊付けされている。
【0060】
図2(A)に示す長形封筒100E1の本体101及びフラップ102は表面である。この本体101の表面には住所、会社名、氏名等の宛先を表示する表面画像1013が印刷される。図2(B)に示す長形封筒100E1の本体101及びフラップ102は裏面である。この本体101の裏面には住所、会社名、氏名等の送付元を表示する裏面画像1014が印刷される。図2(C)に示す長形封筒100E1の本体101及びフラップ102は断面である。
【0061】
一実施例に係る画像形成装置1においては、裏面画像1014のうち、折り返されたフラップ102に重複しない裏面画像の一部1014Aは本体101の裏面に印刷され、フラップ102の折り返された表面には裏面画像の他の一部1014Bが印刷される。裏面画像の他の一部1014Bは本体101の表面に表面画像1013を印刷するときに併せて印刷される。また、予め本体101にフラップ102が折り返され、裏面画像の他の一部1014Bは本体101の裏面に裏面画像の一部1014Aを印刷するときに併せて印刷される。
【0062】
なお、一実施例に係る画像形成装置1が印刷の対象としている封筒100Eは長形封筒100E1に限定されるものではない。封筒100Eには、少なくとも角形封筒及び洋形封筒が含まれる。また、封筒100Eには、例えば本体101の表面側に透明フィルムの窓を配設した窓付きの封筒が含まれる。
【0063】
[画像形成装置のシステム構成]
(1)システム全体の概略構成
図3に示すように、一実施例に係る画像形成装置1の制御部8は、制御用IC(制御用中央演算処理ユニット)80と、画像情報格納部81と、封筒形状情報取得部82とを備えている。制御用IC80は、封筒形状確定手段801と、印刷スケジュール生成管理部802と、搬送制御部803とを備えている。制御部8のこれらの制御用IC80等は相互に接続され、制御用IC80は画像情報格納部81、封筒形状情報取得部82の制御を司る。また、制御部8は、インターフェイス部83、操作部84のそれぞれに接続され、このインターフェイス部83、操作部84のそれぞれの制御を司る。
【0064】
制御部8の画像情報格納部81は、封筒情報格納部810と、画像情報展開部811と、封筒画像情報展開部812とを備えている。封筒情報格納部810は、更に封筒形状情報格納部8101と、封筒印刷画像情報格納部8102とを備えている。
【0065】
制御部8の制御用IC80には、更に給紙搬送部31に配設された各種検出部である媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26、封筒形状検出部27のそれぞれが接続され、搬送手段3の搬送経路に配設された各種センサ281〜288、291〜296のそれぞれが接続されている。また、制御用IC80には駆動回路220が接続され、この駆動回路220には給紙搬送部駆動源210、レジストローラ駆動源211、排紙搬送部駆動源212のそれぞれが接続されている。また、制御用IC80には、ベルト駆動源230、搬送部駆動源231、反転搬送部駆動源232がそれぞれ接続されている。
【0066】
更に、制御用IC80には印刷部6、吸引装置7のそれぞれが接続されている。印刷部6は、更にヘッド駆動部610と、ヘッドギャップ調整部611と、インク循環ユニット62とを備えている。これらのヘッド駆動部610等は制御用IC80に接続されている。
【0067】
(2)インターフェイス部の構成
インターフェイス部83は、画像形成装置1の外部に設置された図示しない外部端末に有線若しくは無線LAN、電話回線、ケーブル等の通信経路を通して接続され、外部端末から送信される画像情報を受信する機能を有する。外部端末は例えばパーソナルコンピュータである。また、インターフェイス部83は、図示しない内蔵スキャナを用いて取り込んだ画像情報や内蔵ファクシミリを通じて送信された画像情報を受信する機能を有する。また、インターフェイス部83は、内蔵スキャナを用いて取り込んだ画像情報や印刷ジョブの処理状態に関する情報を外部端末や外部ファクシミリに送信する機能を有する。更に、インターフェイス部83は、図示しないが、USBメモリ、カードメモリ等の可搬性メモリのスロットを備え、可搬性メモリに記憶された画像情報を取り込む機能を有する。
【0068】
(3)操作部の構成
操作部84は、その詳細な構成を省略してあるが、ユーザにおいて画像形成装置1の起動、停止、終了、印刷、画像取り込み、画像送受信等の操作を行う、電源スイッチ、操作パネル等を配設している。操作部84においては、印刷に際して、記録媒体100の種類、サイズ、カラー印刷、モノクロ印刷、グレースケール印刷等の印刷条件の設定を行うことができる。更に、操作部84においては、封筒100Eの印刷に際して、封筒100Eの種類、サイズ、カラー印刷、モノクロ印刷、グレースケール印刷等の印刷条件の設定を行うことができる。
【0069】
(4)画像情報格納部の構成
画像情報格納部81はインターフェイス部83を通して受信又は取り込まれた画像を格納する機能を有する。この画像情報格納部81には記録媒体100に印刷される画像情報が格納される。画像情報格納部81の封筒情報格納部810には封筒100Eに印刷される画像情報が格納される。
【0070】
封筒情報格納部810の封筒形状情報格納部8101は各種の封筒100Eの形状情報を格納する。ここで、封筒100Eの形状情報とは、少なくとも種類及びサイズの情報である。例えば、図2(A)乃至図2(C)に示す長形封筒100E1はJIS規格化されており、その形状情報には、種類「長4」、この種類の本体101の縦寸法(天地寸法)L「205mm」、幅寸法(巾寸法)W「90mm」に関する情報が含まれている。更に、一実施例に係る画像形成装置1においては、形状情報にフラップ102の縦寸法Lf例えば「20mm」に関する情報が含まれている。封筒100Eの形状情報は各種類毎に対応する情報として格納される。
【0071】
封筒情報格納部810の封筒印刷画像情報格納部8102には、前述の図2(A)及び図2(B)に示す長形封筒100E1の本体101の表面に印刷される表面画像1013、本体101の裏面に印刷される裏面画像1014の双方の画像情報が格納される。裏面画像1014は、フラップ102を閉じたときに1つの画像となる画像情報であり、本体101の裏面に印刷される一部の裏面画像1014Aとフラップ102の表面に印刷される他の一部の裏面画像1014Bとを有する。
【0072】
画像情報展開部811は、画像情報格納部81に格納された記録媒体100に印刷する画像情報(ここでは、封筒100Eに印刷する画像情報は除く。)に基づき生成された印刷情報を格納する。この画像情報展開部811において、印刷情報の生成とは、例えば画像情報格納部81に格納された画像情報の画素毎に画素値を対応づけたビットマップ情報に展開し印刷情報を生成することである。画像情報展開部811は、回路構成を含み、内部において印刷情報の生成を実行することもできるが、一実施例においては制御用IC80を利用し、この制御用IC80内部の図示しない記憶装置又は画像情報展開部811内に格納されたプログラムに基づき生成された印刷情報を格納する。
【0073】
封筒画像情報展開部812は、基本的には画像情報展開部811と同様の構成並びに機能を有し、封筒情報格納部810の封筒印刷画像情報格納部8102に格納された封筒100Eに印刷する画像情報つまり表面画像1013及び裏面画像1014に基づき生成された封筒印刷情報を格納する。封筒画像情報展開部812において、封筒印刷情報の生成とは、前述の印刷情報の生成と同様に、例えば封筒印刷画像情報格納部8102に格納された画像情報の画素毎に画素値を対応づけたビットマップ情報に展開し封筒印刷情報を生成することである。封筒画像情報展開部812は、回路構成を含み、内部において封筒印刷情報の生成を実行することもできるが、一実施例においては制御用IC80を利用し、この制御用IC80内部の図示しない記憶装置又は封筒画像情報展開部812内に格納されたプログラムに基づき生成された封筒印刷情報を格納する。
【0074】
封筒情報格納部810、画像情報展開部811及び封筒画像情報展開部812を備えた画像情報格納部81は一実施例において記憶装置であり、この記憶装置は例えば大容量を有するハードディスクにより構築されている。記憶装置は、1つのハードディスクを用い封筒情報格納部810、画像情報展開部811、封筒画像情報展開部812のそれぞれを領域として適宜割り当ててもよいし、複数のハードディスクにそれぞれを別々に割り当ててもよい。また、記憶装置は、不揮発性メモリに置き換えてもよいし、複数のハードディスクの場合にはその一部を不揮発性メモリに置き換えてもよい。
【0075】
(5)検出部の構成
搬送手段3の給紙搬送部31に配設された媒体サイズ検出部25、媒体厚検出部26及び封筒形状検出部27は制御部8の制御用IC80に接続されている。
【0076】
媒体サイズ検出部25は主に記録媒体100のサイズの検出に使用される。図4(A)及び図4(B)に示すように、媒体サイズ検出部25は、給紙経路RSに搬送される記録媒体100の反射光量の違い及び媒体サイズ検出部25の通過のときの搬送量に基づき記録媒体100の長さ寸法を検出する。また、媒体サイズ検出部25は、搬送方向と交差する方向にセンサを配列した場合には、給紙経路RSに搬送される記録媒体100の幅方向の反射光量の違いに基づき、記録媒体100の幅寸法を検出する。反射光量の違いは電圧の違いとして検出信号を生成し、この検出信号は制御用IC80に出力される。
【0077】
封筒形状検出部27は主に封筒100Eの形状の検出に使用される。封筒形状検出部27は、図5(A)及び図5(B)に示すように、給紙経路RSに搬送される封筒100Eの反射光量(又は透過光量)の違いを検出して封筒100Eの形状を検出する。反射光量(又は透過光量)の違いは電圧の違いとして検出信号を生成し、この検出信号は制御用IC80に出力される。
【0078】
媒体厚検出部26は、記録媒体100の厚さの検出に使用されるとともに、封筒100Eの各部位の厚さの検出に使用される。媒体厚検出部26は、図6(A)及び図6(B)に示すように、給紙経路RSに搬送される記録媒体100や封筒100Eの透過光量を検出して記録媒体100や封筒100Eの厚さを検出する。封筒100Eにおいては、フラップ102は1枚の用紙であるので透過光量が大であり、本体101は2枚の用紙であるので透過光量は中であり、用紙を重ねた部分1012は3枚の用紙であるので透過光量は小である。従って、媒体厚検出部26においては、透過光量の違いに基づき、フラップ102、本体101、用紙を重ねた部分1012のそれぞれの厚さを検出することができる。透過光量の違いは電圧の違いとして検出信号を生成し、この検出信号は制御用IC80に出力される。媒体厚検出部26を用いた封筒100Eの厚さの検出結果は、搬送手段3の搬送経路に搬送される封筒100Eの搬送方向先端側がフラップ102であるのか、本体101(用紙を重ねた部分1012)であるのかの判断情報として使用される。
【0079】
(6)封筒形状情報取得部の構成
前述の図3に示す封筒形状情報取得部82は、媒体厚検出部26の出力結果及び封筒形状検出部27の出力結果に基づき封筒100Eの形状情報を取得する。なお、封筒100Eの形状情報は媒体サイズ検出部25の出力結果に基づき取得することもできる。封筒形状情報取得部82においては、特に、媒体厚検出部26の出力結果及び媒体搬送量検出部28の出力結果に基づき、封筒100Eの本体101のサイズ(長さL)及びフラップ102のサイズ(長さLf)の情報、並びに封筒100Eの搬送方向の向きの情報(フラップ102が搬送方向先端側か本体101が搬送方向先端側かの情報)を取得し格納することができる。同一種類、同一形状の多量の封筒100Eの印刷を開始する前には、予め、印刷は行わずに、給紙部2から印刷部6を通して排紙部4又は5まで搬送手段3を用いて1枚(又は数枚の)封筒100Eの通紙が行われ、この通紙の際に封筒100Eの形状情報が取得される。
【0080】
(7)搬送手段の駆動系の構成
駆動回路220は、制御部8詳細には制御用IC80からの制御信号に基づき、給紙搬送部駆動源210、レジストローラ駆動源211、排紙搬送部駆動源212の駆動を行う。給紙搬送部駆動源210は給紙搬送部31の給紙ローラ201〜204の駆動を行う。レジストローラ駆動源211はレジストローラ37の駆動を行う。排紙搬送部駆動源212は排紙搬送部38の排紙ローラ381、排紙搬送部35の排紙ローラ351の駆動を行う。給紙搬送部駆動源210、レジストローラ駆動源211、排紙搬送部駆動源212のそれぞれには例えばDCモータが使用されている。
【0081】
また、制御用IC80からの制御信号に基づき、ベルト駆動源230、搬送部駆動源231、反転搬送部駆動源232の駆動が行われる。ベルト駆動源230は駆動ローラ322を駆動し、駆動ローラ322は搬送ベルト321を駆動する。搬送部駆動源231は上昇搬送部33の搬送ローラ331、332、水平搬送部34の搬送ローラ341等の駆動を行う。反転搬送部駆動源232は反転搬送部36の搬送ローラ362、363、366の駆動を行う。ベルト駆動源230、搬送部駆動源231のそれぞれには例えばDCブラシレスモータが使用されている。反転搬送部駆動源232には例えばステッピングモータが使用されている。
【0082】
(8)制御用ICの封筒形状確定手段の構成
制御部8において制御用IC80の封筒形状確定手段801は、封筒形状情報取得部82に各種検出部の検出結果に基づき取得し格納された封筒情報と、封筒形状情報格納部8101に既存値として予め格納した封筒情報とを比較し、印刷の実行を行う封筒100Eの形状を確定する。この封筒100Eの形状の確定とは、封筒100Eの本体101の長さL、幅W、フラップ102の長さLf、封筒100Eの搬送方向の向き、フラップ102の開閉状態等に関する封筒情報が確定されるという意味である。
【0083】
(9)制御用ICの印刷スケジュール生成管理部の構成
制御用IC80の印刷スケジュール生成管理部802は、記録媒体100又は封筒100Eの印刷ジョブに含まれる情報に基づき印刷スケジュールを生成し、この印刷スケジュールに従う記録媒体100又は封筒100Eの搬送動作、印刷動作、排紙動作のそれぞれの実施状態を管理する機能を有する。印刷スケジュールの生成とは、画像形成装置1において例えば封筒100Eの印刷動作の開始タイミング、給紙部2から搬送手段3への封筒100Eの給紙タイミング、レジストローラ37の送出タイミング、印刷部6の印刷タイミング、排紙部4又は5の排紙タイミング、反転搬送部36の再給紙タイミング等の各種タイミングを時間軸上に設定し、封筒100Eの印刷開始から終了までの一連の印刷に要するスケジュールを生成するという意味で使用される。印刷スケジュールの生成には、例えば封筒100Eの印刷の場合、封筒100Eの種類、サイズ、カラー印刷、モノクロ印刷、グレースケール印刷等の印刷条件に関する情報と、搬送手段3の搬送経路における封筒100Eの搬送速度に関する情報とを少なくとも用いて生成することができる。
【0084】
また、印刷スケジュール生成管理部802において、印刷スケジュールの実施状態の管理には、各種センサが使用されている。例えば、封筒100Eの片面印刷の場合、搬送手段3において、印刷スケジュールに従って封筒100Eが給紙経路RSを予定通りに通過したか否かは搬送センサ281〜285の検出結果に基づき判断される。搬送経路RCを予定通り通過したか否かはトップエッジセンサ287、288の検出結果に基づき判断される。搬送経路RVを予定通り通過したか否かは上面搬送入口センサ291の検出結果に基づき判断される。搬送経路RCを予定通り通過したか否かはフリッパセンサ292の検出結果に基づき判断される。排紙経路RD2を予定通り通過したか否かはフェイスダウン排紙センサ293の検出結果に基づき判断される。封筒100Eの両面印刷の場合、搬送手段3において、更に印刷スケジュールに従って封筒100Eが反転搬送経路RRの上面搬送出口センサ294、スイッチバックセンサ295、再給紙センサ296のそれぞれを通過したか否かは検出結果に基づき判断される。そしてこれ以降は片面印刷の場合と同様に各センサの検出結果に基づき判断される。これらの判断に基づき、印刷スケジュール生成管理部802において印刷スケジュールの実施状態の管理を行うことができる。
【0085】
一実施例に係る画像形成装置1において、印刷スケジュール生成管理部802は専用回路として構成されているが、制御用IC80を用いソフトウエアを実行することによって印刷スケジュール生成管理部802を構築することができる。
【0086】
(10)制御用ICの搬送制御部の構成
制御用IC80の搬送制御部803は、搬送手段3の搬送経路を搬送中の封筒100Eの搬送不良に対して、封筒情報検出手段(ここでは、媒体厚検出部26、封筒形状検出部27の少なくともいずれか一方)の検出結果に基づき、フラップ102を排紙方向後端として図1に示す複数の排紙口301〜304のいずれかに封筒100Eを適宜排紙する制御を行う。封筒情報検出手段の検出結果とは、ここでは少なくとも搬送不良が生じた箇所においてこの搬送不良を生じた封筒100Eの搬送方向先端側が本体101であるのかフラップ102であるのかを特定することができる検出結果を意味する。従って、一実施例に係る画像形成装置1において、ここで必要な最低限の封筒情報検出手段には媒体厚検出部26の検出結果が使用されている。
【0087】
前述の図2(A)乃至図2(C)に示す長形封筒100E1においては、フラップ102は例えば1枚の用紙であるので、フラップ102の腰が弱く(用紙としての機械的な強度或いは粘りが弱く)、本体101は例えば2枚の用紙であるので、フラップ102と本体101との折り返し領域103の段差が大きい。従って、封筒100Eのフラップ102を搬送方向先端側とした場合、搬送ジャム等の搬送不良が生じ易く、更にフラップ102を排紙方向先端側とした場合、同様に搬送不良が生じ易い。搬送制御部803は、原則、フラップ102を排紙方向先端側とせず、必ずフラップ102を排紙方向後端側として(本体101を排紙方向先端側として)、封筒100Eを排紙するように搬送手段等の制御を行う機能を有している。勿論、搬送制御部803は、封筒100Eを除く記録媒体100の搬送不良に対する排紙の制御も行う。
【0088】
搬送制御部803は、更に封筒100Eのフラップ102を排紙方向後端として、搬送経路の搬送不良が生じた箇所から最短搬送距離に配設された排紙口301〜304のいずれかに封筒100Eを排紙する制御を行い、排紙に伴う再搬送不良の発生確率の低減を行う。また、搬送制御部803は、搬送経路の搬送不良が生じた箇所において、封筒100Eの搬送方向先端がフラップ102のときにフラップ102を排紙方向後端として排紙口301、302等のいずれかに封筒100Eを排紙する制御を行う。更に、搬送制御部803は、封筒100Eの搬送方向後端がフラップ102のときに、フラップ102を排紙方向先端として排紙搬送すると、本体101に比べてフラップ102の腰の弱さに起因し、再度搬送ジャム等の排紙不良が生じる恐れがあるので、封筒100Eの搬送を停止(排紙動作を停止)する制御を行い、排紙に伴う再搬送不良の発生確率の低減を行う。排紙動作が停止され、搬送経路に取り残された、搬送不良が生じた封筒100Eは図示しない筐体のカバーを開いてユーザによって取り除かれる。
【0089】
また、搬送制御部803は、封筒100Eの搬送方向後端がフラップ102のとき、搬送経路の搬送不良が生じた箇所から搬送方向下流側(排紙部5側)において搬送中の他の封筒100Eを搬送方向下流側に配設された排紙口301〜304のいずれかに排紙する制御を行う。ここで、他の封筒100Eとは、搬送経路において、搬送不良が生じた封筒100E(図9において封筒100EB)よりも先に搬送中の封筒100Eである。この他の封筒100Eの排紙に際しても、フラップ102は排紙方向後端とされる。更に、搬送制御部803は、封筒100Eの搬送方向先端がフラップ102のとき、搬送経路の搬送不良が生じた箇所から搬送方向上流側(給紙部2側)において搬送中の他の封筒100Eを搬送方向上流側に配設された排紙口301〜304のいずれかに排紙する制御を行う。ここで、他の封筒100Eとは、搬送経路において、搬送不良が生じた封筒100E(図9において封筒100EA)よりも手前に搬送中の封筒100Eである。この他の封筒100Eの排紙に際しても、フラップ102は排紙方向後端とされる。
【0090】
なお、搬送制御部803の記録媒体100の排紙制御方法並びに封筒100Eの排紙制御方法は後に説明する。
【0091】
(11)印刷部の構成
印刷部6のヘッド駆動部610は、制御用IC80に接続され、この制御用IC80の制御信号に基づきプリントヘッド61の図示しない圧電素子に印加する電圧を調整し、インクの吐出の制御を行う。インク循環ユニット62は制御用IC80に接続されている。制御用IC80は、例えば、インク循環ユニット62のインク循環ポンプを制御しインクの循環の制御を行い、又循環されるインクの温度を検出してこの検出結果に基づき温度調整器を制御してインク温度の制御を行う。
【0092】
印刷部6のヘッドギャップ調整部611は、媒体厚検出部26の検出結果に基づき、プリントヘッド61のノズル面と記録媒体100又は封筒100Eの表面との間のヘッドギャップを適正値に調整する。特に、封筒100Eにおいては、本体101、フラップ102、用紙を重ねた部分1012のそれぞれの厚さが異なるので、一定のヘッドギャップを確保するために、ヘッドギャップ調整部611によってヘッドギャップが調整される。一実施例に係る画像形成装置1において、ヘッドギャップ調整部611は、その機構の詳細を省略しているが、駆動源を用いてプラテンプレート63を上下方向(プリントヘッド61に近づき又は遠ざかる方向)に移動することよって、ヘッドギャップを調整している。
【0093】
(12)吸引装置の構成
吸引装置7は制御用IC80に接続され、この制御用IC80の制御によって吸引装置7の稼働の制御が行われる。吸引装置7は、図示しないが、プラテンプレート63に配設された吸引孔並びに搬送ベルト321に配設された穴を通して、記録媒体100や封筒100Eを搬送ベルト321の表面に吸着させる。従って、記録媒体100や封筒100Eとプリントヘッド61との干渉を防止することができ、かつヘッドギャップを適正に確保することができる。
【0094】
[画像形成装置の封筒印刷方法]
図7に示すように、一実施例に係る画像形成装置1において、記録媒体100の排紙制御方法並びに封筒100Eの排紙制御方法は以下の通りである。
【0095】
まず最初に、例えば外部端末(例えばパーソナルコンピュータ)を用いて、記録媒体100に印刷される画像、又は封筒100Eの本体101の表面に印刷される表面画像1013及び本体101の裏面に印刷される裏面画像1014が生成される(S1)。この記録媒体100に印刷される画像情報(ここでは、表面画像1013及び裏面画像1014を含む画像情報)は画像形成装置1の制御部8の画像情報格納部81に格納され、封筒100Eに印刷される画像情報は封筒印刷画像情報格納部8102(図3参照。)に格納される(S2)。
【0096】
次に、封筒100Eの印刷に際して、封筒100Eの形状、厚み等を含む既存値の封筒情報が封筒情報格納部810の封筒形状情報格納部8101に格納済みか否か判定される(S3)。既存値の封筒情報が格納されていない場合には、封筒情報が格納され(S31)、再度、ステップS3以降の処理が行われる。なお、この封筒情報の格納は、ステップS2又はステップS1以前に行われていてもよい。
【0097】
封筒形状情報格納部8101に既存値の封筒情報が格納されている場合、次に画像情報格納部81に格納された画像情報又は封筒印刷画像情報格納部8102に格納された画像情報の展開が終了しているか否かが判定される(S4)。画像情報の展開とは、例えば封筒100Eに印刷される画像情報の場合、封筒100Eの本体101の表面に印刷される表面画像1013が印刷情報として展開され、本体101の裏面及びフラップ102の表面に印刷される裏面画像1014が印刷情報に展開されていることを意味する。展開された印刷情報は画像情報展開部811又は封筒画像情報展開部812に格納される。画像情報が展開されていない場合は前段のステップに戻り、画像情報の展開が行われる。
【0098】
画像情報の展開が終了している場合には、搬送動作(通紙動作)が必要であるか不必要であるかが判定される(S5)。この通紙動作は、記録媒体100のサイズ等を検知するために、又封筒100Eの形状(サイズ)、封筒100Eの搬送方向の向き、必要に応じて封筒100Eのフラップ102の開閉状態等を検知する目的において行われる。通紙動作が必要であると判定されると、画像形成装置1の給紙部2の例えば給紙トレイ21から搬送手段3の給紙搬送部31に記録媒体100又は封筒100Eが供給され、通紙動作(給紙動作)が開始される(S6)。
【0099】
ここで、印刷が記録媒体100に行われるのか、封筒100Eに行われるのかの判定、つまり封筒100Eが印刷対象であるか否かが判定される(S7)。この判定は、印刷ジョブに含まれる用紙に関する情報に基づき、或いはユーザの操作部84の用紙選択の操作に基づき行われる。また、封筒100Eが印刷対象である否かの判定は、給紙搬送部31に配設された封筒情報検出手段を構築する媒体検出部25、媒体厚検出部26、封筒形状検出部27の少なくともいずれか1つを用いた検出結果に基づき行ってもよい。
【0100】
ステップS7において、封筒100Eではなく、記録媒体100であると判定された場合、搬送手段3を用いて搬送経路において記録媒体100が搬送される(S8)。この記録媒体100には印刷部6において印刷の実行が行われ、その後に片面印刷の場合には排紙部4又は5に記録媒体100の排紙が行われる。両面印刷の場合には、反転搬送部36を用いて片面印刷が終了した記録媒体100が再度印刷部6に搬送され、印刷が終了した後に排紙部4又は5に記録媒体100の排紙が行われる。
【0101】
この一連の記録媒体100の搬送中において、各種センサを用いて記録媒体100の搬送状態が検知され、搬送不良が生じたか否かの検知が行われる(S9)。搬送不良が生じていない場合には、記録媒体100の印刷動作が終了する。
【0102】
ステップS9において、搬送不良が生じた場合には、搬送制御部803を用いて記録媒体100の排紙処理が行われる(S10)。搬送制御部803は、搬送経路に配設された各種センサ、具体的にはレジストセンサ286、トップエッジセンサ287、288、上面搬送入口センサ291、フリッパセンサ292、フェイスダウン排紙センサ293、上面搬送出口センサ294、スイッチバックセンサ295、再給紙センサ296の各検出結果(例えば記録媒体100が通過したか否かの結果)と、印刷スケジュール生成管理部802を用いて生成された印刷スケジュール(例えば記録媒体100の各種センサの通過予定時間)とを照合し、その照合結果から搬送不良が生じた箇所を特定するとともに、この搬送不良が生じた記録媒体100の適切な排紙を行う(S11)。
【0103】
図8に示すように、例えば、搬送手段3の水平搬送部34の搬送経路RCにおいて、記録媒体100に搬送不良が生じた場合(搬送不良が生じた記録媒体はここでは符号100Aとする。)、印刷スケジュールに従いフリッパセンサ292を通過したものの、フェイスダウン排紙センサ293及び上面搬送出口センサ294を通過していないとき、搬送制御部803は各種センサの検出結果と印刷スケジュールとの照合結果から双方のセンサ間に搬送不良が生じた箇所を特定する。
【0104】
片面印刷の場合、搬送制御部803は、搬送不良が生じた箇所を基点として最短距離となる排紙口301〜303のいずれかを選別し選別された排紙口301〜303のいずれかまで記録媒体100A及びそれ以外の搬送経路中にある記録媒体100の搬送を行う。そして、搬送制御部803は排紙口301〜303のいずれかから記録媒体100A及びそれ以外の搬送経路中にある記録媒体100の排紙を行う。また、搬送ローラ341に記録媒体100Aが絡まり搬送ジャムの状態が悪く、排紙不可能な場合、搬送制御部803は搬送手段3の搬送動作の停止を行う。停止後に、ユーザは、排紙口301等に通じる図示しない筐体カバーを開き、記録媒体100A等の取り出しを行う。記録媒体100Aの取り出しが完了すると、搬送不良が生じた記録媒体100の排紙処理動作が完了する。
【0105】
両面印刷の場合、搬送制御部803は、排紙口301〜304のうち搬送不良が生じた箇所を基点として最短距離となる排紙口301〜304のいずれかを選別し選別された排紙口301〜304のいずれかまで記録媒体100A及びそれ以外の搬送経路中にある記録媒体100の搬送を行う。そして、搬送制御部803は排紙口301〜304のいずれかから記録媒体100A及びそれ以外の搬送経路中にある記録媒体100の排紙を行う。搬送ジャムの状態が悪く、排紙不可能な場合、搬送制御部803は搬送手段3の搬送動作の停止を行う。停止後に、ユーザは、排紙口301等に通じる図示しない筐体カバーを開き、記録媒体100A等の取り出しを行う。記録媒体100Aの取り出しが完了すると、搬送不良が生じた記録媒体100Aの排紙処理動作が完了する。
【0106】
ステップS7において、記録媒体100ではなく、封筒100Eであると判定された場合、給紙搬送部31において搬送される封筒100Eが封筒情報検出手段の媒体検出部25、媒体厚検出部26及び封筒形状検出部27を通過したか否かが検知される(S12)。封筒形状検出部27を通過したとき封筒100Eの形状が検出され、媒体厚検出部26を通過したとき封筒100Eの各領域の厚さが検出され、封筒100Eのサイズ、搬送方向の向き等を含む封筒情報を取得することができる(S13)。取得された封筒情報は封筒形状情報取得部82に格納される。制御用IC80に配設された封筒形状確定手段801において封筒形状情報格納部8101に予め格納された既存値の封筒情報と封筒形状情報取得部82に取得され格納された封筒情報とが照合され、双方が一致している場合に封筒100Eの形状、封筒100Eの搬送方向(搬送方向先端側が本体101であるか搬送方向先端側がフラップ102であるか)等の各情報が少なくとも確定される(S14)。
【0107】
搬送手段3を用いて搬送経路において封筒100Eが搬送される(S15)。通紙動作である場合、封筒100Eは搬送経路中を搬送されるが、印刷部6においてこの封筒100Eには印刷が行われずに、そのまま排紙部4又は5に封筒100Eの排紙が行われる。通紙動作の終了後の印刷動作である場合、搬送経路中に搬送される封筒100Eには印刷部6において印刷の実行が行われ、その後に片面印刷の場合には排紙部4又は5に封筒100Eの排紙が行われる。両面印刷の場合には、反転搬送部36を用いて片面印刷が終了した封筒100Eが再度印刷部6に搬送され、印刷が終了した後に排紙部4又は5に封筒100Eの排紙が行われる。
【0108】
この一連の封筒100Eの搬送中において、各種センサを用いて封筒100Eの搬送状態が検知され、搬送不良が生じたか否かの検知が行われる(S16)。搬送不良が生じていない場合には、封筒100Eの印刷動作が終了する。
【0109】
ステップS16において、搬送不良が生じた場合には、搬送制御部803を用いて封筒100Eの排紙処理が行われる。搬送制御部803は、搬送経路に配設された各種センサの各検出結果と、印刷スケジュール生成管理部802を用いて生成された印刷スケジュールとを照合し、その照合結果から搬送不良が生じた箇所を特定するとともに、この搬送不良が生じた封筒100Eの適切な排紙を行う(S17〜S24)。
【0110】
図9に示すように、前述の記録媒体100の場合と同様に、例えば、搬送手段3の水平搬送部34の搬送経路RCにおいて、封筒100Eに搬送不良が生じた場合、印刷スケジュールに従いフリッパセンサ292を通過したものの、フェイスダウン排紙センサ293及び上面搬送出口センサ294を通過していないとき、搬送制御部803は前述の照合結果から双方のセンサ間に搬送不良が生じた箇所を特定する。ここでは、搬送不良が生じた封筒100Eであって、搬送方向先端側にフラップ102がある封筒100Eは符号100EAとし、搬送方向先端側に本体101(実際には用紙を重ねた部分1012)がある封筒100Eは符号100EBとする。
【0111】
片面印刷である場合、まず最初に搬送不良が生じた封筒100Eの搬送方向先端側がフラップ102であるのか、本体101であるのかが判断される(S17)。搬送制御部803は、封筒形状確定手段801によって確定された封筒情報に基づき、搬送不良を生じた封筒100Eがフラップ102を搬送方向先端側とする封筒100EAであると判定すると、搬送不良が生じた箇所を基点として最短距離となる排紙口301〜303のいずれかを選別し選別された排紙口301〜303のいずれかまで記録媒体100EA以外であってそれよりも搬送方向上流側の搬送経路中にある封筒100Eの搬送を行う。そして、搬送制御部803は排紙口301〜303のいずれかから封筒100EA以外の搬送経路中にある封筒100Eの排紙を行う(S18)。最短距離において封筒100Eの排紙を行うことによって、排紙中の封筒100Eの搬送不良の確立を減少することができる。
【0112】
ここでは、水平搬送部34の搬送経路RCにおいて搬送不良が発生した例を説明しているので、記録媒体100EA以外であって搬送経路の上流側(給紙部2側)にある封筒100Eは反転搬送(搬送方向とは逆方向の搬送)を行い最短距離となる排紙口302又は301から排紙を行う。
【0113】
引き続き、搬送制御部803は、搬送不良を生じた記録媒体100EAがフラップ102を排紙方向後端側として排紙可能であるか否かを判定する(S19)。封筒100Eの搬送において、搬送方向先端側にフラップ102が存在すると、前述のようにフラップ102の腰の強さや折り返し領域103の段差に起因した搬送ジャムを生じ易いことから、そのようなリスクを極力無くすために、一実施例に係る画像形成装置1は原則として封筒100EAの排紙方向先端側を本体101となる設定にしている。排紙可能の判断は、排紙方向に予め設定されたトルクにおいて一定時間の搬送を行い、封筒100EAが搬送された場合には排紙可能であると判断し、搬送されない場合には排紙不可能であると判断する。ステップS19において、排紙可能であると判断された場合には、封筒100EAを搬送方向とは逆の排紙方向に搬送し、基点から最短距離となる排紙口302又は301から封筒100EAの排紙が行われる(S20)。封筒100EAの排紙が行われると、排紙経路が復旧するので、封筒100EAよりも搬送方向下流側(排紙部5側)に残されている封筒100Eの排紙が可能である場合、封筒100EAの排紙とともに、残されていた封筒100Eが最短距離となる排紙口302又は301から排紙される。封筒100EAの取り出しが完了すると、搬送不良が生じた封筒100EAの排紙処理動作が完了する。
【0114】
例えば、搬送ローラ341に絡まる等、封筒100EAが排紙不可能であると判断された場合には、画像形成装置1に損傷を生じる恐れがあるので、搬送手段3の搬送動作(排紙動作)の停止が行われる(S22)。停止後に、図3に示すアラーム297が作動し(鳴り)ユーザに搬送動作の停止が生じた旨を知らせ(S23)、ユーザは、排紙口302又は303に通じる図示しない筐体カバーを開き、封筒100EAの取り出しを行う(S24)。この封筒100EAの取り出しとともに、封筒100EAよりも搬送方向下流側に残された封筒100Eの取り出しが行われる。また、前述のステップS20の後に、封筒100EAは排紙したが、それよりも搬送方向下流側に残された封筒100Eの排紙が不可能である場合には、この残された封筒100Eはこのときに取り出される。封筒100EAの取り出しが完了すると、搬送不良が生じた封筒100EAの排紙処理動作が完了する。
【0115】
片面印刷であって、ステップS17において、搬送制御部803が搬送不良を生じた封筒100Eがフラップ102を搬送方向後端側(本体101を搬送方向先端側)とする封筒100EBであると判定すると、搬送不良が生じた箇所を基点として最短距離となる排紙口301〜303のいずれかを選別し選別された排紙口301〜303のいずれかまで記録媒体100EB以外(記録媒体100EBの前後)の搬送経路中にある封筒100Eの搬送(排紙搬送)を行う。搬送制御部803は排紙口301〜303のいずれかから封筒100EB以外の搬送経路中にある封筒100Eの排紙を行う(S21)。そして、搬送制御部803は、搬送不良を生じた封筒100EBにおいては排紙動作を行わずに排紙動作を停止する(S22)。
【0116】
ここでは、水平搬送部34の搬送経路RCにおいて搬送不良が発生した例を説明している。記録媒体100EB以外であってそれよりも搬送経路下流側にある封筒100Eは、正転搬送(排紙部5側への搬送)を行い、最短距離となる排紙口303から排紙を行う(S21)。封筒100EBは、搬送方向下流側への搬送途中において搬送不良を生じているので、不良個所を基点として搬送方向下流側への搬送を行わない。更に、封筒100EBは、フラップ102を搬送方向後端側としているので、最短距離となる排紙口302又は301に排紙する場合には、フラップ102を排紙方向先端とする排紙動作となり、フラップ102の腰の弱さから再度搬送ジャムを生じ易い。このため、搬送制御部803は、封筒100EBの排紙動作を停止し(S22)、排紙に伴う再搬送不良の発生確率を低減するようになっている。
【0117】
この封筒100EBの排紙動作が停止された後に、アラーム297が作動しユーザに知らせる(23)。ユーザは、排紙口303に通じる図示しない筐体カバーを開き、搬送不良が生じた封筒100EBの取り出しを行う(S24)。このとき、記録媒体100EB以外であってそれよりも搬送経路上流側にある封筒100Eは、封筒100EBの取り出しとともに取り出される(排紙を行う)。
【0118】
また、記録媒体100EBよりも搬送経路上流側にある封筒100Eの排紙口303への排紙動作並びに封筒100EBの停止後の排紙動作が終了した後には排紙経路が復旧するので、記録媒体100EBよりも搬送経路上流側にある封筒100Eは、排紙動作が可能である場合、正転搬送(排紙部5側への搬送)を行い、最短距離となる排紙口303から排紙を行うようにしてもよい(S24)。ここでも、フラップ102を排紙方向先端とする排紙動作はフラップ102の腰の弱さから再度搬送ジャムを生じ易いので、搬送制御部803は、フラップ102を排紙方向後端側として封筒100Eの排紙動作を行い、排紙に伴う再搬送不良の発生確率を低減するようになっている。
【0119】
封筒100EBの取り出しが完了すると、搬送不良が生じた封筒100EBの排紙処理動作が完了する。
【0120】
両面印刷の場合、基本的には片面印刷の場合と同様であるが、搬送制御部803は、搬送不良を生じた封筒100Eがフラップ102を搬送方向先端側とする封筒100EAであると判定すると、搬送不良が生じた箇所を基点として最短距離となる排紙口301〜304のいずれかを選別し選別された排紙口301〜304のいずれかまで記録媒体100EA以外であってその搬送方向上流側の搬送経路中にある封筒100Eの搬送を行う。そして、搬送制御部803は排紙口301〜304のいずれかから封筒100EA以外の搬送経路中にある封筒100Eの排紙を行う(S18)。
【0121】
ここでは、水平搬送部34の搬送経路RCにおいて搬送不良が発生した例を説明しているので、記録媒体100EA以外であって搬送経路の上流側にある封筒100Eは反転搬送を行い最短距離となる排紙口301又は302から排紙を行う。
【0122】
引き続き、搬送制御部803は、搬送不良を生じた記録媒体100EAがフラップ102を排紙方向後端側として排紙可能であるか否かを判定する(S19)。排紙可能であると判断された場合には、封筒100EAを搬送方向とは逆の排紙方向に搬送し、基点から最短距離となる排紙口301又は302から封筒100EAの排紙が行われる。排紙経路の復旧に伴い、封筒100EAよりも搬送方向下流側に残された封筒100Eの排紙が行われる。封筒100EAの取り出しが完了すると、搬送不良が生じた封筒100EAの排紙処理動作が完了する。
【0123】
封筒100EAが排紙不可能であると判断された場合には、搬送手段3の搬送動作の停止が行われる(S22)。停止後に、アラーム297が作動し(S23)、ユーザに知らせ、ユーザは封筒100EAの取り出しを行う(S24)。封筒100EAの取り出しが完了すると、搬送不良が生じた封筒100EAの排紙処理動作が完了する。
【0124】
両面印刷であって、ステップS17において、搬送制御部803が搬送不良を生じた封筒100Eがフラップ102を搬送方向後端側(本体101を搬送方向先端側)とする封筒100EBであると判定すると、搬送不良が生じた箇所を基点として最短距離となる排紙口301〜304のいずれかを選別し選別された排紙口301〜304のいずれかまで記録媒体100EB以外の搬送経路中にある封筒100Eの搬送を行う。そして搬送制御部803は排紙口301〜304のいずれかから封筒100EB以外の搬送経路中にある封筒100Eの排紙を行う(S21)。搬送不良が生じた封筒100EBの排紙動作は停止される(S22)。
【0125】
ここでは、水平搬送部34の搬送経路RCにおいて搬送不良が発生した例を説明している。記録媒体100EBよりも搬送経路の搬送方向下流側にある封筒100Eは正転搬送を行い最短距離となる排紙口303から排紙を行う(S21)。搬送不良が生じた封筒100EBは、排紙動作を停止しているので(S22)、不良個所に残る。
【0126】
封筒100EBの排紙動作が停止された後に、アラーム297が作動し(S23)、ユーザに知らせる。ユーザは封筒100EBの取り出し、並びに記録媒体100EBよりも搬送経路の搬送方向上流側にある封筒100Eの取り出しを行う(S24)。この封筒100Eの取り出し(排紙)は、ユーザが筐体のカバーを開けて行ってもよいし、又フラップ102を排紙方向後端として排紙口303まで搬送した後に行ってもよい。封筒100EBの取り出しが完了すると、搬送不良が生じた封筒100EBの排紙処理動作が完了する。
【0127】
なお、上記一実施例に係る画像形成装置1は、搬送不良が発生した箇所において封筒100EA、封筒100EBのそれぞれを取り除くようにしたが、フラップ102を搬送方向後端(排紙方向後端)として排紙口301等から排出可能である場合には、封筒100EA、封筒100EBのそれぞれを排紙するようにしてもよい。
【0128】
[実施例の特徴]
前述の一実施例に係る画像形成装置1においては、封筒情報検出手段を用いて封筒100Eのフラップ102が搬送方向先端であるか搬送方向後端であるか封筒100Eがどのような搬送形態にあるかの検出を行い、搬送制御部803を用いて搬送不良が生じた封筒100EA及び100EBを検出された搬送形態に応じて再度搬送不良(排紙のときの搬送中に搬送不良が生じる排紙不良)を生じることなく適正にかつ安定に排紙を行うことができる。従って、封筒100Eの搬送不良に対して復旧処理に要するユーザの労力を軽減することができる。
【0129】
更に、一実施例に係る画像形成装置1によれば、搬送制御部803を用いて、封筒100Eの搬送形態に応じて搬送経路の搬送不良が生じた箇所から最短搬送距離に配設された排紙口301〜304に搬送不良が生じた封筒100EA及び100EBの排紙を行うことができる。この結果、封筒100EA及び100EBの排紙経路長が短くなり、排紙不良の発生確立を減少することができるので、より一層適正にかつ安定に搬送不良が生じた封筒100EA及び100EBの排紙を行うことができる。
【0130】
更に、一実施例に係る画像形成装置1によれば、搬送制御部803を用いて、搬送経路の搬送不良が生じた箇所において封筒100EAの搬送方向先端がフラップ102のときにフラップ102を排紙方向後端として排紙口301〜304に封筒100EAの排紙を行う。これに加えて、搬送制御部803は、封筒100EBの搬送方向後端がフラップ102のときに封筒100EBの搬送の停止(排紙動作の停止)を行う。封筒100EBの搬送の停止は、排紙方向先端側をフラップ102とするので、フラップ102の腰の弱さに起因する再排紙不良を生じることを減少するためである。従って、画像形成装置1においては、封筒100EA、100EBのそれぞれの搬送形態に応じて適正にかつ安定に搬送不良が生じた封筒100EA及び100EBの排紙を行うことができる。
【0131】
更に、一実施例に係る画像形成装置1によれば、搬送制御部803を用いて、封筒100Eの搬送方向先端がフラップ102のときに搬送経路の搬送不良が生じた箇所(このとき、搬送不良は封筒100EAである。)から搬送方向上流側(給紙部2側)において搬送方向上流側に配設された排紙口301又は302のいずれかに搬送中の他の封筒100Eの排紙をフラップ102を排紙方向後端として行うことができる。また、封筒100Eの搬送方向後端がフラップ102のときに搬送経路の搬送不良が生じた箇所(このとき、搬送不良は封筒100EBである。)から搬送方向下流側において搬送方向下流側に配設された排紙口303(又は304)のいずれかに搬送中の他の封筒100Eの排紙をフラップ102を排紙方向後端として行うことができる。すなわち、画像形成装置1においては、搬送不良が生じた封筒100EA及び100EBだけでなく、その前後に搬送中の他の封筒100Eの排紙をその際に再度搬送不良を生じることなく適正にかつ安定に行うことができる。
【0132】
更に、一実施例に係る画像形成装置1によれば、搬送手段3に反転搬送部36を備え、封筒100Eの両面印刷を実現することができるとともに、両面印刷に伴う封筒100Eの搬送形態の反転に対しても上記の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。特に、封筒100Eの両面印刷の場合には、片面印刷を行った封筒100Eの搬送方向が両面印刷を行うときに反転し、搬送不良が生じたときには排紙処理動作に違いが生じるが、この排紙処理動作はほぼ自動的に行うことができる。従って、封筒100Eの搬送不良に対して復旧処理に要するユーザの労力をより一層軽減することができる。
【0133】
(その他の実施例)
上記のように、本発明を一実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものでない。本発明は様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術に適用することができる。例えば、本発明は、インクジェットプリンタに限定されるものではなく、レーザプリンタ等、封筒を印刷可能な画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、封筒の搬送中の搬送不良に対して適正な復旧処理を実現することができる画像形成装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0135】
1…画像形成装置、100…記録媒体、100E…封筒、101…本体、102…フラップ、1013…表面画像、1014…裏面画像、1014A…裏面画像の一部、1014B…裏面画像の他の一部、103…折り返し領域、2…給紙部、21〜24…給紙トレイ、25…媒体サイズ検出部、26…媒体厚検出部、27…封筒形状検出部、28…記録媒体搬送量検出部、286…レジストセンサ、287、288…トップエッジセンサ、291…上面搬送入口センサ、292…フリッパセンサ、293…フェイスダウン排紙センサ、294…上面搬送出口センサ、295…スイッチバックセンサ、296…再給紙センサ、220…駆動回路、210…給紙搬送部駆動源、211…レジストローラ駆動源、212…排紙搬送部駆動源、230…ベルト駆動源、231…搬送部駆動源、232…反転搬送部駆動源、281〜285…搬送センサ、3…搬送手段、301〜304…排紙口、31…給紙搬送部、32…印刷搬送部、33…上昇搬送部、34…水平搬送部、35…排紙搬送部、36…反転搬送部、4、5…排紙部、6…印刷部、61…プリントヘッド、610…ヘッドギャップ駆動部、611…ヘッドギャップ調整部、6101…インク吐出タイミング調整部、62…インク循環ユニット、63…プラテンプレート、65…ベルトプラテンユニット、66…下降機構、7…吸引装置、8…制御部、80…制御用IC、801…封筒形状確定手段、802…印刷スケジュール生成管理部、803…搬送制御部、81…画像情報格納部、810…封筒情報格納部、8101…封筒形状情報格納部、8102…封筒印刷画像情報格納部、811…画像情報展開部、812…封筒画像情報展開部、82…封筒形状情報取得部、83…インターフェイス部、84…操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒を供給する供給部と、
この供給部から供給される前記封筒を搬送経路において前進及び後進搬送を行う搬送手段と、
前記搬送経路の複数箇所に配設された排紙口と、
前記搬送経路中に配設された印刷部と、
前記搬送経路に配設され、前記搬送経路に搬送される前記封筒のフラップが搬送方向先端であるか搬送方向後端であるかを検出する封筒情報検出手段と、
前記搬送経路を搬送中の前記封筒の搬送不良に対して、前記封筒情報検出手段の検出結果に基づき、前記フラップを排紙方向後端として前記排紙口のいずれかに前記封筒を排紙するように前記搬送手段の制御を行う搬送制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送制御部は、前記フラップを排紙方向後端として、前記搬送経路の前記搬送不良が生じた箇所から最短搬送距離に配設された前記排紙口に前記封筒を排紙する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送制御部は、前記搬送経路の前記搬送不良が生じた箇所において、前記封筒の搬送方向先端が前記フラップのときに前記フラップを排紙方向後端として前記排紙口に前記封筒を排紙する制御を行うとともに、前記封筒の搬送方向後端が前記フラップのときに前記封筒の搬送を停止する制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送制御部は、前記封筒の搬送方向先端が前記フラップのときに前記搬送経路の前記搬送不良が生じた箇所から搬送方向上流側において搬送中の他の前記封筒を前記搬送方向上流側に配設された前記排紙口に排紙する制御を行い、前記封筒の搬送方向後端が前記フラップのときに前記搬送経路の前記搬送不良が生じた箇所から搬送方向下流側において搬送中の他の前記封筒を前記搬送方向下流側に配設された前記排紙口に排紙する制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送手段は、前記封筒の表裏の反転を行いかつ前記封筒の搬送方向の反転を行う反転搬送部を備え、
前記搬送制御部は、前記反転搬送部を含む前記搬送経路を搬送中の前記封筒の搬送不良に対して、前記封筒情報検出手段の検出結果に基づき、前記フラップを排紙方向後端として前記排紙口のいずれかに前記封筒を排紙する制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−232831(P2012−232831A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102936(P2011−102936)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】