説明

画像形成装置

【課題】地震等において過大な衝撃や振動等の外力を受けたとき、装置本体の転倒を防止するとともに、電気部品への電力の供給を停止する画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、アンカー55に係止され張力が掛かることによって装置本体2の転倒を防止するワイヤー51と、電力供給を遮断するように遮断スイッチ33を作動させる方向に移動可能な作動機構35と、を備える。ワイヤー51は作動機構35に取り付けられ、ワイヤー51に張力が掛かることによって、作動機構35は遮断スイッチ33を作動させる方向に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置を地震等における過大な衝撃や振動等の外力に対して保護するための固定具を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、事務所等において設置場所を移動するために装置本体の底面にキャスターが設けられ、キャスターによって所定の位置に移動され所定の位置にてキャスターをロックすることで床面に固定されていた。しかし、地震等によって過大な衝撃あるいは振動等の外力が画像形成装置の装置本体に作用すると、キャスターのロック部への衝撃力は過大となり、この大きな衝撃力を受ける部分が破損、または破壊されてしまうことがある。また、装置本体が嵩高くて重心位置が上方にある複写機等では、キャスターをロックしていても、装置本体の転倒が免れない場合があった。
【0003】
そこで、特許文献1では、ワイヤーを用いて画像形成装置の転倒を防止している。即ち、ワイヤーの一端部が事務所等の床面に固定した固定部材に係止される。そして、ワイヤーが装置本体の下部に固定された固定ブラケットに通されるとともにキャスターに当接した状態で緩みなく装置本体の下部の周囲を外側から囲むように張設される。さらに、ワイヤーの他端部がワイヤーの長さ調整機能を有するロック部材を介して床面に係止されている。地震等によって過大な衝撃や振動が発生した場合、ロック部材を介してワイヤーを係止することによって、装置本体が過大な外力を受けて、ロック部材の部分でワイヤーが伸びるため、このワイヤーの伸びによって過大な外力が吸収され、画像形成装置が転倒することを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−280288号公報(段落[0029]〜[0033]、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、画像形成装置は、事務所等の電源コンセントに電源コードのプラグを接続し電源コードから装置本体内の電気部品に電力を供給するようになっている。画像形成装置の電気部品として、定着器の加熱ローラーを加熱するヒーターや、高電圧を印加する回路基板等がある。上述した特許文献1では、地震等によって過大な衝撃や振動が発生した場合、ロック部材の部分でワイヤーが伸び装置本体が移動することで、転倒するのを防ぐことはできるが、電気部品への電力の供給を停止することはできず、ヒーターや回路基板には電力が供給された状態となり、ヒーターが高温のまま放置され、また回路基板が高電圧のまま放置されるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、地震等において過大な衝撃や振動等の外力を受けたとき、装置本体の転倒を防止するとともに、電気部品への電力の供給を停止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために第1の発明の画像形成装置は、床面または壁面に固定された固定部材と、該固定部材に係止され張力が掛かることによって前記装置本体の転倒を防止する線状の固定具と、外部電源から受電する電源コードのコネクターを接続可能なコネクター取り付け部と、画像形成装置の機能動作を可能とする電気部品に前記コネクター取り付け部が受電した電力を供給する電源供給部と、前記コネクター取り付け部から前記電源供給部への電力の供給を遮断することが可能な遮断スイッチと、電力供給を遮断するように前記遮断スイッチを作動させる方向に移動可能な作動機構と、を備え、前記固定具は前記作動機構に取り付けられ、前記固定具に張力が掛かることによって、前記作動機構は前記遮断スイッチを作動させる方向に移動することを特徴としている。
【0008】
また、第2の発明では、上記の画像形成装置において、前記コネクター取り付け部から前記電源供給部へ電力の供給を可能とする復帰スイッチを更に備えることを特徴としている。
【0009】
また、第3の発明では、上記の画像形成装置において、前記固定具は前記電源コードより短く構成され、前記作動機構は前記コネクター取り付け部の近傍に配置されることを特徴としている。
【0010】
また、第4の発明では、上記の画像形成装置において、前記作動機構と前記コネクター取り付け部とは同じフレームに取り付けられることを特徴としている。
【0011】
また、第5の発明では、上記の画像形成装置において、装置本体の前面部側に配置され前記固定具の長さを調整可能に係止する係止部材を更に備え、前記固定具は、装置本体の後面部または側面部から装置本体の外部に延びて該一端部が前記固定部材に係止される一方、装置本体内を前面部側に向かって延びて前記作動機構を移動可能に取り付けられた後、該他端部が前記係止部材に係止されることを特徴としている。
【0012】
また、第6の発明では、上記の画像形成装置において、装置本体の前面部側に引き出し可能な用紙を収容する用紙給紙部を更に備え、前記固定具は、前記用紙給紙部の側面側の近傍を装置本体の後面部または側面部から前記係止部材へ延設されることを特徴としている。
【0013】
また、第7の発明では、上記の画像形成装置において、前記係止部材は、前記固定具を長さ調整可能に挟み込む一対の係止部と、該一対の係止部の係止状態を保持または解除するロック部とを有することを特徴としている。
【0014】
また、第8の発明では、上記の画像形成装置において、前記固定具は、該一端部が前記固定部材に固定される一方、該他端部が前記作動機構に係止されることを特徴としている。
【0015】
また、第9の発明では、上記の画像形成装置において、装置本体の後面部または側面部に係止される別の固定具が更に設けられ、前記固定具は、前記別の固定具に対して、装置本体が設置される床面から異なる高さに配置されることを特徴としている。
【0016】
また、第10の発明では、上記の画像形成装置において、前記作動機構と前記遮断スイッチは前記装置本体に開閉可能に設けられたカバー部材の開閉に応じて電源供給を遮断することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、地震等によって画像形成装置に過大な衝撃や振動が作用した場合、固定具に張力が掛かり、固定具に掛かる張力によって装置本体と床面或いは壁面とが係止されるために、固定具を介して装置本体が床面或いは壁面に支持され、装置本体の転倒が防止される。また、固定具に作用する張力によって作動機構が遮断スイッチを作動させる方向に移動し、遮断スイッチの作動によってコネクター取り付け部から電源供給部への電力の供給が遮断される。従って、定着器のヒーター等の電気部品への給電は停止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態である画像形成装置の内部構成の概略断面図
【図2】第1実施形態である画像形成装置の外観を示す斜視図
【図3】第1実施形態である固定具によって設置された画像形成装置の概略平面図
【図4】第1実施形態である固定具の配置を示す斜視図
【図5】第1実施形態である遮断スイッチを作動させる作動機構を示す断面図
【図6】第1実施形態である作動機構が作動した状態を示す断面図
【図7】第1実施形態である遮断スイッチ及び作動機構の配置を概略的に示す図
【図8】本発明の第2実施形態である固定具を係止する係止部材の配置を示す斜視図
【図9】第2実施形態である係止部材の構造を示す断面図
【図10】第2実施形態である係止部材に係止される固定具の配置を示す概略図
【図11】第2実施形態の変形例である作動機構を示す断面図
【図12】第3実施形態である固定具を備えた画像形成装置の外観を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、胴内排紙方式の画像形成装置の内部構成の概略断面図である。画像形成装置100の下部には、カセットタイプの用紙給紙部10が配設されている。用紙給紙部10は上下2段の給紙カセット10a、10bを有し、給紙カセット10a、10bには印刷前の用紙が積載して収容されている。給紙カセット10a、10bに収容された用紙は、選択された給紙カセット10a(10b)から用紙ピックアップローラー10d(10e)により1枚ずつ繰り出され、繰り出された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0021】
画像形成装置100の右側面には、手差しトレー10cが配設されている。手差しトレー10cは、給紙カセット10a、10bと異なるサイズの用紙が載置可能である。手差しトレー10cに載置された用紙は用紙搬送路11へと送り出される。
【0022】
用紙搬送路11は、用紙給紙部10の左方にて装置本体2の上下方向に延設される。用紙給紙部10から送り出された用紙が、用紙搬送路11上方のレジストローラー対12に搬送される。レジストローラー対12は、用紙にトナー像を転写するタイミングと同期をとって、画像形成部3に向けて用紙を送り出す。
【0023】
画像形成装置100の上部には原稿読取装置6が配設され、原稿読取装置6の上面には、プラテン(原稿押さえ)24が開閉可能に設けられ、さらに、プラテン24上には原稿搬送装置27が付設されている。原稿のコピーを行う場合、原稿搬送装置27に載置された原稿が1枚ずつ分離されて原稿読取部に送り出され、原稿読取装置6によって原稿の画像データが読み取られる。
【0024】
画像形成装置100の略中央部には、画像形成部3が配設されている。画像形成部3は、像担持体である感光体5を備え、さらに感光体5の周辺にその回転方向(図中のA方向)に沿って順に、帯電部4と、露光ユニット7と、現像部8と、転写ローラー13、及びクリーニング部18を備える。現像部8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。クリーニング部18は、ブレードやブラシ或いは研磨ローラー等のクリーニング部材を有し、クリーニング部材によって感光体5の表面に残留するトナーを剥ぎ取り、回収する。
【0025】
感光体5の表面が帯電部4によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光ユニット7は、原稿読取装置6によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体5上に原稿画像の静電潜像を形成する。
【0026】
現像部8は、帯電したトナーを感光体5の表面に供給し、感光体5上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。トナー像は転写ローラー13によって用紙上に転写される。トナー像が転写された用紙は、用紙搬送路11の上方に配設される定着部14へと搬送される。用紙にトナー像が転写された後、感光体5の表面に残留するトナーがクリーニング部18によってクリーニングされて回収され、さらに図示しない除電装置によって感光体5の表面の残留電荷が除去される。
【0027】
定着部14は、熱源を内蔵する定着ローラー14aと加圧ローラー14bとを有し、トナー像が転写された用紙を定着ローラー14a及び加圧ローラー14bによって加圧加熱し、用紙上のトナー像を溶融定着させる。トナー像が定着された用紙は、用紙搬送路11において右上方に搬送され排出ローラー対20によって排出部である胴内排紙部17に排出される。
【0028】
定着部14と排出ローラー対20との間の用紙搬送路11から分岐して反転搬送路16が設けられる。反転搬送路16は、用紙の一方の面にトナー像が定着された後、必要に応じて用紙の他方の面にもトナー像を形成するときに用いられるものであり、定着部14の上方から定着部14の周りを覆い、さらに装置本体2の下方に延設され、レジストローラー対12の近傍の用紙搬送路11に合流している。
【0029】
両面印刷を行う場合には、一方の面にトナー像が定着された用紙は、胴内排紙部17に排出させる途中において、用紙搬送路11と反転搬送路16との分岐部を用紙の後端が通過したタイミングで排出ローラー対20を逆回転させる。これによって、用紙がスイッチバックされ、用紙の印刷面が表裏逆向きにされた状態で反転搬送路16に送られ、反転搬送路16から再び用紙搬送路11のレジストローラー対12に搬送される。その後、画像形成部3にて用紙の他方の面にもトナー像が転写されると、用紙は定着部14によって定着処理され胴内排紙部17に排出される。
【0030】
図2は、画像形成装置の外観を示す斜視図であり、図3は、固定具によって設置された画像形成装置の概略平面図である。また、図4は、画像形成装置に対する固定具の配置を示す斜視図である。
【0031】
図2に示すように、画像形成装置100は、前面部2aと、両側の側面部2bと、後面部2cによって装置本体2の外郭を縦長の直方体状に形成される。前面部2aには、用紙給紙部10及び操作パネル21及び前カバー22が配設される。用紙給紙部10を前面部2a側に引き出し、印刷前の用紙が用紙給紙部10に収容される。操作パネル21は、液晶素子からなる操作部及び表示部を有し、操作部からの印刷枚数や用紙サイズの指令に基づいて、表示部では印刷モード等が表示される。前カバー22の下端付近の支軸で上端側が前方に開放可能に支持されている。画像形成装置100の底面の四隅には、キャスター2dが設けられ、画像形成装置100がキャスター2dによって搬送され、所定の位置にてキャスター2dをロックすることで事務所等の床面に固定される。
【0032】
図3に示すように、事務所等の壁面101には固定部材であるアンカー55が圧入或いはねじ込みによって固定される。画像形成装置100の後面部2cには、固定具であるワイヤー51が配設される。ワイヤー51は、その一端部をリング状に形成した係止部51aを有する。係止部51aがアンカー55に掛けられることで、ワイヤー51はアンカー55に係止される。ワイヤー51が適切に弛設し、或いは所定以下の張力によって張設されるように、使用者は長さ調整してワイヤー51をアンカー55に取り付ける。尚、アンカー55は床面に設けてもよい。また、ワイヤー51とは別のワイヤーが後面部2cに配設されるように構成してもよい。この場合、別のワイヤーに対応させてアンカー55を壁面101或いは床面に設けてもよく、或いは、複数のワイヤーを一つのアンカー55に纏めて係止するようにしてもよい。固定具は、可撓性を備えるとともに所定の衝撃や振動に耐え得る引張強度を有する各種の線状部材を用いることができ、例えばステンレス鋼製のワイヤー51の他、ポリアミド樹脂等の樹脂繊維状のロープ、針金、チェーンやベルト等を用いることができる。
【0033】
図4に示すように、画像形成装置100の後面部2cには、コネクター取り付け部31が配設される。コネクター取り付け部31は、装置外部から電力を受け取るものであり、電源コードのコネクターが接続可能である。コネクター取り付け部31の近傍の後面部2cには開口部2eが形成される。アンカー55(図3参照)に一端部を係止されたワイヤー51は、その他端部側が開口部2eから装置本体2の内部まで延び、後述する作動機構に係止される。尚、コネクター取り付け部31は装置本体2の側面部2bに配設される構成であってもよい。この場合には、ワイヤー51は側面部2bから装置本体2の外部に延び、壁面101或いは床面に固定されたアンカー55に係止される。
【0034】
図5、図6は作動機構の断面図である。図5は画像形成装置10の設置状態における作動機構を示し、また、図6は地震等の衝撃や振動が発生した状態における作動機構を示す。
【0035】
図5に示すように、作動機構35は、ワイヤー51を係止するとともに、ワイヤー51に掛かる張力によって遮断スイッチ33を作動させるものであり、ワイヤー支持部材36と、スイッチ押圧部材37と、一対のバネ部材38と、図示しないが作動機構35を図5の左右方向に移動可能に保持する保持部材と、を備える。
【0036】
ワイヤー支持部材36は、金属性の棒材にてU字状に形成され、U字状の両端部がスイッチ押圧部材37に取り付けられる。ワイヤー支持部材36には、ワイヤー51の他端部に形成されたリング状の係止部51bが掛けられる。地震等の衝撃や振動により、ワイヤー51が図5の左方向に所定の張力を受けると、ワイヤー支持部材36を介してスイッチ押圧部材37が左方向に移動して後述する遮断スイッチ33を押圧する(図6参照)。
【0037】
一対のバネ部材38は、夫々圧縮コイルバネからなり、ワイヤー支持部材36の周りを巻回されスイッチ押圧部材37とフレーム39とに当接している。スイッチ押圧部材37はバネ部材38によって遮断スイッチ33から離間する方向に付勢されることになる。従って、ワイヤー51に所定の張力が掛かっていないとき(画像形成装置100の設置時)には、バネ部材38の付勢力によってスイッチ押圧部材37は遮断スイッチ33から離間した位置にあり、遮断スイッチ33は作動していない(図5の状態)。ワイヤー51に所定の張力が掛かり、バネ部材38の付勢力に抗してスイッチ押圧部材37が図5の左方向に移動すると、遮断スイッチ33が押圧される(図6の状態)。
【0038】
遮断スイッチ33は、可動釦33aを押圧可能に支持しリード線40、40に接続される。可動釦33aが押圧されていない時(図5の状態)、遮断スイッチ33はリード線40、40間をオン状態に保持している。一方、可動釦33aが押圧されると(図6の状態)、その押圧位置を保持し、所定以上の力で可動釦33aを戻さない限り、遮断スイッチ33はリード線40、40間をオフ状態に保持する。従って、ワイヤー51に所定の張力が掛かっていないとき(画像形成装置100の設置時)には、遮断スイッチ33はオン状態にあり、地震等の衝撃や振動によって、ワイヤー51に所定の張力が掛ったときには作動機構35が作動し遮断スイッチ33はオフ状態に切り替わり、オフ状態が保持される。
【0039】
図7は、画像形成装置100の設置状態における遮断スイッチ33とその周辺部材の配置を概略的に示す図である。
【0040】
遮断スイッチ33は、一方のリード線40を介してコネクター取り付け部31に接続されるとともに、他方のリード線40を介して電源供給部46に接続される。コネクター取り付け部31は、電源コード42のコネクター45に接続可能であり、電源コード42のプラグ43から外部電力を供給される。
【0041】
電源供給部46は、画像形成装置100の機能動作を可能とする各電気部品に必要な電力を供給するものであり、定着器のヒーター等に対して数百Wの大パワーの給電が可能である。電源供給部46は、電源コード42、コネクター取り付け部31、遮断スイッチ33及びリード線40を介して給電される。
【0042】
電源供給部46に対して、遮断スイッチ33と並列に復帰スイッチ41が配設される。復帰スイッチ41は、リード線40、40間をオン、オフ切り替え可能なスイッチである。画像形成装置100を設置するとき、復帰スイッチ41はオフ状態に設定される。地震等の衝撃や振動によって遮断スイッチ33がオフ状態に切り替わった後、復帰スイッチ41をオフからオン状態に操作することで、コネクター取り付け部31と電源供給部46が通電し、電源供給部46に給電することが可能となる。復帰スイッチ41は、頻繁に操作するものではないために、装置本体2の側面部2b等に設けるのがよい。
【0043】
フレーム39は、板金等の比較的に強度の大きい材料にて形成され、装置本体2に固着される。作動機構35と遮断スイッチ33とはフレーム39上に取り付けられ、コネクター取り付け部31は作動機構35の近傍に配置されるとともにフレーム39上に取り付けられる。
【0044】
電源コード42は、プラグ43を電源コンセントに接続されコネクター45をコネクター取り付け部31に接続され、プラグ43とコネクター45とをケーブル44で接続する。アンカー55と作動機構35とに係止されるワイヤー51は電源コード42より短く構成される。
【0045】
このようにワイヤー51は電源コード42より短く構成され、コネクター取り付け部31は作動機構35の近傍に配置される構成によって、地震等の衝撃や振動はワイヤー51に作用するが電源コード42に作用することがない。従って、地震が発生しても、電源コード42のプラグ43やコネクター45に不用意な負荷が掛からず、プラグ43やコネクター45の破損がなく、破損によるショート(短絡)を防止することができる。
【0046】
また、作動機構35とコネクター取り付け部31を同じフレーム39に取り付けることによって、部材の数を低減できるととともに、ユニット化することにより組立て作業を容易にすることができる。
【0047】
ワイヤー51を備える画像形成装置100を床面に設置する場合、画像形成装置100を所定の位置に搬送し、その位置にてキャスター2dをロックする。作動機構35に取り付けられたワイヤー51は装置本体2の後面部2cから外部に延びて設けられているので、次に、ワイヤー51が適切に弛設し、或いは所定以下の張力によって張設されるように、ワイヤー51の緩みを調整しながら壁面101或いは床面に固定したアンカー55にワイヤー51を係止する。
【0048】
地震等によって画像形成装置100に過大な衝撃や振動が作用した場合、ワイヤー51に所定の張力が掛かり、ワイヤー51に掛かる張力によって画像形成装置100と壁面101或いは床面とが係止されるために、ワイヤー51を介して画像形成装置100が壁面101或いは床面に支持され、画像形成装置100の転倒が防止される。また、ワイヤー51に作用する張力によって作動機構35が遮断スイッチ33を押圧し、遮断スイッチ33がオフ状態に切り替わり保持される。遮断スイッチ33がオフ状態に保持されることで、コネクター取り付け部31から電源供給部46への電力の供給が遮断され、定着器のヒーター等の電気部品への給電は停止される。
【0049】
(第2実施形態)
図8〜図10は、本発明の第2実施形態に係る係止部材を示す図である。図8は、ワイヤーを係止する係止部材の配置を示す斜視図であり、図9は係止部材の構造を示す断面図であり、また、図10は、係止部材によって係止されるワイヤーの配置を示す概略図である。尚、図8は係止部材の配置、構成を説明するために、給紙カセットを省いている。第1実施形態では備えていない係止部材の配置、構成について主に説明し、以降、第1実施形態と同じ部分の説明を省略する。
【0050】
図8に示すように、装置本体2の前面部2aには、給紙カセット10a(用紙給紙部10、図2参照)を前面部2a側に引き出し可能に装着するカセット開口部2hが設けられる。カセット開口部2hは前面部2aから後面部2cの内壁部まで延びて形成されている。カセット開口部2hと装置本体2の側面部2bとの間の前面部2a側の空間には、係止部材61が配置される。
【0051】
係止部材61は、前面部2aから装置本体2内に窪んだ位置に配置される立ち壁部2iに取り付けられ、ワイヤー51を長さ調整可能に係止する。ワイヤー51は立ち壁部2iの上側の開口部2fから前面部2a側に突出し下側の開口部2gから装置本体2の内側に納まるように設けられる。係止部材61は、開口部2f、2g間においてワイヤー51を係止する。
【0052】
従って、ワイヤー51は、装置本体2内を後面部2c(図10参照)から前面部2aまで用紙給紙部10の側面側の近傍を延設される。通常、用紙給紙部10の側面側には画像形成装置100の構成部材が多数配設されているものではなく、装置本体2の後面部2cから前面部2aまで貫通するスペースを形成しやすい。従って、装置のスペースを有効に活用することができ、ワイヤー51等の固定具を配置しても装置が大型化するおそれがない。尚、ワイヤー51が装置本体2の後面部2c寄りの側面部2bから前面部2aまで用紙給紙部10の側面側の近傍を延設されるように構成しても、上記構成と同様の効果を奏する。また、ワイヤー51とは別のワイヤーを設ける場合、用紙給紙部10の他方の側面側における、装置本体2の後面部2cから前面部2aまで貫通するスペースに別のワイヤーを配置するとよい。
【0053】
図9に示すように、係止部材61は、上係止板62と、下係止板63と、蝶番64と、ロックレバー65とを備える。
【0054】
上係止板62は、ワイヤー51を保持するワイヤー保持部62aを有し、また、下係止板63は、ワイヤー51を保持するワイヤー保持部63aを有する。ワイヤー保持部62a、63aは、ともにワイヤー51より僅かに小さい半円型に形成される。上係止板62と下係止板63との互いの対向面が突き合わされると、ワイヤー保持部62a、63aによって、ワイヤー51は締付けられて挟持されることで、係止部材61から抜け出ることはない。
【0055】
蝶番64は、上係止板62を下係止板63に対して開閉可能に取り付けるものである。ロックレバー65は、バネ性を備える薄板材にて、上係止板62に一端部を固着され、他端部にロック部65a及び解除操作部65bを有するように形成される。下係止板63には凸部63bが形成され、上係止板62と下係止板63との互いの対向面が突き合わされたとき、ロックレバー65のロック部65aは下係止板63の凸部63bに係止される。解除操作部65bを図9の左方向に移動操作することによって、下係止板63の凸部63bに対してロックレバー65の係止が解除される。
【0056】
ワイヤー51の長さを調整した後、ワイヤー51が下係止板63のワイヤー保持部63aに載置され、上係止板62を蝶番64の回りに回動させ下係止板63に突き合わせると、ロックレバー65が下係止板63の凸部63bに係止される。
【0057】
この構成によって、特別の工具を用いなくとも、長さ調整したワイヤー51が係止部材61によって簡単に且つ確実に係止され、作業性が向上する。尚、下係止板63は立ち壁部2i(図8参照)に一体に形成すると、簡単な装置の構成になる。
【0058】
図10に示すように、ワイヤー51は係止部材61によって長さ調節可能に取り付けかれる。即ち、ワイヤー51は、装置本体2の後面部2cから外部に延びて一端部が壁面101のアンカー55に係止される一方、後面部2cから前面部2a側に向かって延びる。
【0059】
後面部2cと前面部2aとの間には、第1実施形態に用いた作動機構35が配設される。作動機構35は、前述のようにワイヤー51に掛かる所定の張力によって遮断スイッチ33を作動させるものであり、遮断スイッチ33とともにフレーム39に取り付けられる。尚、第1実施形態に用いたコネクター取り付け部31(図7参照)は、第2実施形態では、フレーム39に取り付けられておらず、図示しないが後面部2c或いは側面部2bの近傍の装置本体2に設けられる。
【0060】
後面部2cから前面部2a側に向かって延びるワイヤー51は、作動機構35のワイヤー支持部材36の周りを少なくとも1回巻回されて作動機構35に取り付けられ、さらに立ち壁部2iの開口部2fから前面部2a側に突出し係止部材61まで延びて設けられる。アンカー55から作動機構35までの区間では、ワイヤー51は適切に弛設し、或いは所定以下の張力によって張設され、作動機構35から係止部材61までの区間では、ワイヤー51は、作動機構35が遮断スイッチ33を押圧するために移動することが可能である程度に弛設される。ワイヤー51は、長さ調整され係止部材61によって係止された後、立ち壁2iの開口部2gから装置本体2の内側に納められる。これによって先端側の余分のワイヤー51は立ち壁部2iの周りで雑然とならず、用紙給紙部10の引き出し操作の妨げとなることはない。
【0061】
ワイヤー51を備える画像形成装置100を床面に設置する場合、画像形成装置100を所定の位置に搬送し、その位置にてキャスター2dをロックした後、ワイヤー51を壁面101或いは床面に固定したアンカー55に係止する。ワイヤー51は装置本体2の後面部2cから前面部2aまで延びて設けられているので、次に、装置本体2の前面部2aにてワイヤー51の弛みを調整し、ワイヤー51の長さ調整が完了すると、係止部材61によってワイヤー51を係止する。余ったワイヤー51を立ち壁部2iの開口部2gから装置本体2の内側に納める。このように、装置本体2の前面部2aにて、ワイヤー51を画像形成装置100に取り付けることが可能であり、設置の作業性が良好である。
【0062】
地震等によって画像形成装置100に過大な衝撃や振動が発生した場合、ワイヤー51に所定の張力が掛かり、ワイヤー51に掛かる張力によって画像形成装置100と壁面101或いは床面とが係止されているために、ワイヤー51を介して画像形成装置100が壁面101或いは床面に支持され、画像形成装置100の転倒が防止される。また、ワイヤー51に作用する張力によって作動機構35が移動して遮断スイッチ33を押圧し、遮断スイッチ33がオフ状態に切り替わり保持される。遮断スイッチ33がオフ状態に保持されることで、コネクター取り付け部31から電源供給部46への電力の供給が遮断され、定着器のヒーター等の電気部品への給電は停止される。
【0063】
図11は、第3実施形態の変形例である作動機構を示す断面図である。この変形例では、前カバー22(図2も参照)の開閉に連動して作動機構35を移動させて遮断スイッチ33が押圧するための、開閉検知レバー23が設けられている。開閉検知レバー23は略L字形状の部材であり、一方の自由端側に形成された支点23aによって装置本体2に回動可能に支持されている。支点23aから略水平方向に直線状に第1アーム23bが延び、終端部に第1突起23cが形成されている。その端部から更に直角方向に第2アーム23dが延び、その自由端部には第2突起23eが形成されている。装置本体2に一端が支持された圧縮コイルバネ24が設けられ、第1アーム23bの支点23aの反対側付近で下方から当接して上方に付勢している。圧縮コイルバネ24の付勢力は、作動機構35のバネ部材38の合計の付勢力よりも強く設定されている。
【0064】
前カバー22は矩形で平面形状であり(図2参照)、下端付近に設けられた支点22aにより装置本体22に回動可能に支持されている。支点22a付近において板状の検知片22bが立設されている。前カバー22を閉じた状態(図11の実線)のとき、検知片22bは装置本体2の奥に向かって伸び、先端付近の下辺が開閉検知レバー23の第1突起23cに当接する位置に配置されている。また、開閉検知レバー23の第2突起23eは作動機構35のスイッチ押圧部材37の遮断スイッチ33の対向面と反対側の面に当接している。
【0065】
前カバー22を閉じた状態では、検知片23bと第1突起23cの接触により、開閉検知レバー23が圧縮コイルバネ24の付勢力に抗して図11における反時計方向に回動される。それにより、スイッチ押圧部材37が遮断スイッチ33から離れてオン状態にする。この状態において、ワイヤー51は作動機構35を上述の実施例2と同様に作動させる。
【0066】
次に、前カバー22を閉じた状態から開き始めると、検知片22bが上方に移動して突起23cから退避する(図11の破線)。それにより、開閉検知レバー23は圧縮コイルバネ24の付勢力により図11における時計方向に回動する。そして、スイッチ押圧部材37がバネ部材38の付勢力に抗して移動され、遮断スイッチ33を押し込みオフ状態にする。従って、前カバー22を開放した状態では常に電源がオフされるため、安全に作業が可能である。
【0067】
前カバー22の開閉による電源の制御と、過大な衝撃や振動が発生した場合の電源制御を1つの遮断スイッチ33のみで行うことが出来るため、装置本体の省スペース化やコストの低減になる。更に、ジャム処理のために反転搬送路16を開放するように、反転搬送路16の外側の側面カバーを開閉可能な構成にする場合にも、上述の変形例の構成を用いて、ワイヤー51による電源制御と、側面カバーの開閉により電源制御を1つの遮断スイッチ33で行うことも可能である。更には、それぞれの構成を組み合わせて、ワイヤー51と前カバー22の開閉および側面カバーの開閉による電源制御を1つの遮蔽スイッチで実施することも可能である。
【0068】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態であるワイヤーを備えた画像形成装置の外観を示す斜視図である。第3実施形態では、複数のワイヤーが画像形成装置に設けられる。
【0069】
ワイヤー51、52は、装置本体2の後面部2cに配設される。ワイヤー51は、装置本体2の一方の側面部2b側に配設され、図示しない壁面に固定したアンカーに一端部が係止され、他端部が第1実施形態と同様に後面部2cの開口部2e(図4参照)から装置本体2の内部まで延び作動機構35に係止される。尚、ワイヤー51の他端部側は、第2実施形態と同様に前面部2aに設けた係止部材61(図8参照)に長さ調整可能に係止される構成でもよい。
【0070】
ワイヤー52は、装置本体2の他方の側面部2b側に設けたアンカー状の係止部材71に係止される。係止部材71は、後面部2cの開口部2eに対して床面より高い位置に配置される。従って、ワイヤー52は、ワイヤー51に対して床面から高い位置に配置されることなる。尚、ワイヤー52をワイヤー51に対して床面から低い位置に配置してもよく、さらに別のワイヤーを設ける構成にしてもよい。
【0071】
このように、少なくとも二つのワイヤー51、52は、装置本体2が設置される床面から異なる高さに配置されることによって、地震等の振動、衝撃が画像形成装置100に作用した場合、装置本体2の上部と下部の2箇所を同時に係止することにより、上部で転倒を抑えて、下部で滑りを抑えて、一層効果的に画像形成装置10の転倒を防止することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置を地震等における過大な衝撃や振動等の外力に対して保護するための固定具を備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
2 装置本体
2a 前面部
2b 側面部
2c 後面部
2e〜2g 開口部
10 用紙給紙部
31 コネクター取り付け部
33 遮断スイッチ
35 作動機構
36 ワイヤー支持部材(作動機構)
37 スイッチ押圧部材(作動機構)
38 バネ部材(作動機構)
39 フレーム
40 リード線
41 復帰スイッチ
42 電源コード
43 プラグ
44 ケーブル
45 コネクター
46 電源供給部
51、52 ワイヤー(固定具)
55 アンカー(固定部材)
61、71 係止部材
62 上係止板(係止部)
62a、63a ワイヤー保持部
63 下係止板(係止部)
63b 凸部
64 蝶番
65 ロックレバー
65a ロック部
65b 解除操作部
100 画像形成装置
101壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面または壁面に固定された固定部材と、
該固定部材に係止され張力が掛かることによって前記装置本体の転倒を防止する線状の固定具と、
外部電源から受電する電源コードのコネクターを接続可能なコネクター取り付け部と、
画像形成装置の機能動作を可能とする電気部品に前記コネクター取り付け部が受電した電力を供給する電源供給部と、
前記コネクター取り付け部から前記電源供給部への電力の供給を遮断することが可能な遮断スイッチと、
電力供給を遮断するように前記遮断スイッチを作動させる方向に移動可能な作動機構と、を備え、
前記固定具は前記作動機構に取り付けられ、前記固定具に張力が掛かることによって、前記作動機構は前記遮断スイッチを作動させる方向に移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記コネクター取り付け部から前記電源供給部へ電力の供給を可能とする復帰スイッチを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記固定具は前記電源コードより短く構成され、前記作動機構は前記コネクター取り付け部の近傍に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記作動機構と前記コネクター取り付け部とは同じフレームに取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
装置本体の前面部側に配置され前記固定具の長さを調整可能に係止する係止部材を更に備え、
前記固定具は、装置本体の後面部または側面部から装置本体の外部に延びて該一端部が前記固定部材に係止される一方、装置本体内を前面部側に向かって延びて前記作動機構を移動可能に取り付けられた後、該他端部が前記係止部材に係止されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
装置本体の前面部側に引き出し可能な用紙を収容する用紙給紙部を更に備え、
前記固定具は、前記用紙給紙部の側面側の近傍を装置本体の後面部または側面部から前記係止部材へ延設されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記係止部材は、前記固定具を長さ調整可能に挟み込む一対の係止部と、該一対の係止部の係止状態を保持または解除するロック部とを有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記固定具は、該一端部が前記固定部材に固定される一方、該他端部が前記作動機構に係止されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
装置本体の後面部または側面部に係止される別の固定具が更に設けられ、前記固定具は、前記別の固定具に対して、装置本体が設置される床面から異なる高さに配置されることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記作動機構と前記遮断スイッチは前記装置本体に開閉可能に設けられたカバー部材の開閉に応じて電源供給を遮断することを特徴とする請求項1または請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−242769(P2012−242769A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115544(P2011−115544)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】