説明

画像形成装置

【課題】像担持体ユニット交換作業に関し、簡潔で、且つ、一般ユーザーが間違いなく確実な操作を行うことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】ドラムユニットc3が装置本体10に装着されているときに、所定方向以外の方向において感光体ドラム1に対向して配置される2以上の部材(現像ユニットc2、転写ローラー5等)を備え、該2以上の部材のそれぞれは独立して、感光体ドラム1に対して当接あるいは近接する近接位置と、感光体ドラム1に対して離間する離間位置と、の間で移動自在に設けられており、2以上の部材のそれぞれを連動して近接位置に位置させる第1の位置と、2以上の部材のそれぞれを連動して離間位置に位置させる第2の位置と、の間で変位自在な操作部材20を有する複写機Pを採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、またはファクシミリ装置等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の画像形成装置においては、感光体ドラム等の像担持体に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像し、現像されたトナー像を所定のシート材に転写するように構成されている。このために、像担持体の周面には、2以上の部材、例えば、トナー像を現像する現像ローラーや、トナー像をシート材に転写する転写ローラー等が対向して配置されている。
【0003】
ところで、像担持体は、一般的に、所定方向(例えばそのドラムの軸方向)において装置本体に対して着脱自在にユニット化されている。この像担持体ユニットを交換する場合には、当該像担持体ユニットを装置本体から取り外すために、像担持体の周面に、当接あるいは近接する上記2以上の部材を、当該像担持体から離間させる必要がある。
【0004】
下記特許文献2に記載の画像形成装置においては、装置本体からユニット(中間転写ベルトを含む像担持体ユニット)を着脱する際に、ユニットのロック解除と連動して該ユニットに当接する部材の当接解除を行うように構成されている。
具体的には、装置本体の側部に設けられた開閉カバーのラッチ解除を、ユニットのロック解除に連動させることにより、当該開閉カバーに設けられた2次転写ローラーを、ユニットのロック解除に連動して開閉カバーと共に離間させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−134164号公報
【特許文献2】特開2007−304500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、像担持体ユニットの交換後に、開閉カバーを閉じる操作が必要になる。この操作は、装置内部構成を熟知している所謂サービスマンが行う場合は問題無いが、例えば、像担持体ユニットをユーザー交換可能ユニット(Customer Replaceable Unit)に設定した場合には、一般ユーザーが行うために、思わぬ問題が生ずる可能性がある。
【0007】
例えば、装置本体手前側に像担持体ユニットを引き出すのに対し、装置本体の側部の開閉カバーを操作する必要があるというのは、操作方向が異なり、直感的に想像し難い操作である。そのため、像担持体ユニットの交換後に、装置本体側部における開閉カバーの閉め忘れを誘発する虞がある。
【0008】
また、例えば、ユニットのロック解除と連動して開閉カバーが開いた際には、ユーザーはその理由を知らないため、何故開いたのかという不安感を抱く虞がある。また、開いた開閉カバーのことを忘れてしまったり、開く量が少量で、気付かなかった場合には、開閉カバーの閉じ忘れが発生する。
【0009】
加えて、像担持体ユニットの取り外しの際には、自動的に開閉カバーが開くのに対し、像担持体ユニットの取り付けの際には、手動で開閉カバーを閉じる必要があり、取り付け/取り外しで違う操作となって、誤操作の可能性が増し、また、それによって操作が煩雑となる。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、像担持体ユニット交換作業に関し、簡潔で、且つ、一般ユーザーが間違いなく確実な操作を行うことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、トナー像を担持する像担持体を有する像担持体ユニットが、装置本体に対して所定方向に着脱自在に設けられている画像形成装置であって、上記像担持体ユニットが上記装置本体に装着されているときに、上記所定方向以外の方向において上記像担持体に対向して配置される2以上の部材を備え、該2以上の部材のそれぞれは独立して、上記像担持体に対して当接あるいは近接する近接位置と、上記像担持体に対して離間する離間位置と、の間で移動自在に設けられており、上記2以上の部材のそれぞれを連動して上記近接位置に位置させる第1の位置と、上記2以上の部材のそれぞれを連動して上記離間位置に位置させる第2の位置と、の間で変位自在な操作部材を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、操作部材の第1の位置と第2の位置との間の変位操作により、像担持体の周辺に配置された2以上の部材のそれぞれを連動して近接/離間させることができる。このため、像担持体ユニットの交換後、操作部材を第2の位置から第1の位置に変位させれば、従来のように手動で装置本体の開閉カバーを閉じる等することなく、2以上の部材のそれぞれを離間位置から元の近接位置に自動的に位置させることができる。したがって、像担持体ユニットの取り付け/取り外し操作が、ユーザーによる操作の向きを違えることなく、1つの操作部材の簡潔で直感的な操作により可能となる。
【0012】
また、本発明では、上記2以上の部材のそれぞれを独立して、上記離間位置から上記近接位置に向けて付勢する複数の付勢部材を有しており、上記操作部材は、上記第1の位置から上記第2の位置に変位するときに、上記2以上の部材のそれぞれを上記付勢に抗して上記近接位置から上記離間位置に移動させるという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、2以上の部材のそれぞれを付勢部材の付勢に抗して近接位置から離間位置に移動させることで、離間位置から近接位置に向けて移動する際には、その付勢部材の元に戻ろうとする復元力を利用し、2以上の部材のそれぞれを、像担持体に対して位置決めされた元の近接位置に復帰させることが可能となる。
【0013】
また、本発明では、上記像担持体ユニットは、上記像担持体として感光体ドラムを有するドラムユニットであるという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、感光体ドラムを有するドラムユニットの簡潔で確実なユニット交換作業が可能となる。
【0014】
また、本発明では、上記2以上の部材は、上記トナー像を現像する現像ローラーを有する現像ユニットと、上記像担持体の上記トナー像を所定のシート材に転写させる転写ローラーと、を少なくとも含むという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、像担持体周辺の現像ユニット、転写ローラーの一の操作部材による連動した近接/離間が可能となる。
【0015】
また、本発明では、上記操作部材は、レバー部材が連結された回転軸と、上記回転軸に設けられ、上記回転軸の軸周りの変位に応じて上記現像ユニットを上記近接位置と上記離間位置との間で移動させるカム部材と、上記回転軸に連結され、上記回転軸の軸周りの変位に応じて上記転写ローラーを上記近接位置と上記離間位置との間で移動させるリンク部材と、を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、レバー部材の操作により回転軸を軸周りに変位させると、カム部材により現像ユニットが、リンク部材により転写ローラーが、それぞれ連動して近接位置と離間位置との間で移動することとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、像担持体ユニット交換作業に関し、簡潔で、且つ、一般ユーザーが間違いなく確実な操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態における複写機の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態における装置本体の外観を示す斜視図である。
【図3】図2における要部を示す拡大斜視図である。
【図4】本発明の実施形態における操作部材が第1の位置に位置するときの各ユニットの配置を示す構成図である。
【図5】本発明の実施形態における操作部材が第2の位置に位置するときの各ユニットの配置を示す構成図である。
【図6】本発明の実施形態における操作部材の底面側外観を示す斜視図である。
【図7】図6における要部を示す拡大斜視図である。
【図8】本発明の実施形態における操作部材の平面側外観を示す斜視図である。
【図9】図8における要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。
【0019】
(画像形成装置の概略構成)
図1は、本発明の実施形態における複写機Pの概略構成図である。
複写機(画像形成装置)Pは、排出部a、トナー収納部b、画像形成部c、用紙部dを備えている。また、複写機Pには、下部に位置する用紙部dから上部に位置する排出部aにかけて、搬送部eが設けられている。また、複写機Pには、排出部aの上部に、原稿を読み取るスキャナー部fが設けられている。
【0020】
排出部aは、所定の画像が形成された用紙(シート材)が搬送部eを介して排出されるように構成されている。この排出部aの底面は傾斜が付されていて、排出される用紙が複数枚のときに一端側が揃えて積層できるように工夫されている。
トナー収納部bは、例えば、ブラックトナー(BK)のトナーコンテナからなり、画像形成部cの現像ユニットc2にトナーを供給できるように構成されている。
【0021】
画像形成部cは、レーザスキャンニングユニットc1、現像ユニットc2、ドラムユニットc3、転写ユニットc4及び定着ユニットc5を含んで構成されている。
レーザスキャンニングユニットc1は、周知のレーザスキャンニングユニットと同様に、レーザ光を発生する光ビーム発生器と、その光ビーム発生器から照射されてくる光ビームを走査するポリゴンミラーと、そのポリゴンミラーにより走査された光ビームを後述する感光体ドラム(像担持体)1上に結像させるfθレンズ等(共に不図示)を含んで構成されている。
【0022】
現像ユニットc2は、感光体ドラム1に対してトナーを供給することによって感光体ドラム1の周面に形成された静電潜像を現像するものであり、感光体ドラム1の周面に対して、その半径方向において対向して配置された現像ローラー2を有する。
ドラムユニットc3は、そのドラム周面にレーザスキャンニングユニットc1を用いて静電潜像が生成されると共に、トナー収納部bから現像ユニットc2に供給されたトナーによりトナー像が形成される感光体ドラム1を有する。
【0023】
感光体ドラム1の周りには、その周面を帯電状態とさせる帯電器3及び転写後その周面に残存したトナーを除去するクリーナー4が対向配置されている。本実施形態の帯電器3及びクリーナー4は、感光体ドラム1と共にドラムユニットc3として着脱自在にユニット化されている。
転写ユニットc4は、感光体ドラム1の周面に対して、その半径方向において対向して配置される転写ローラー5を有している。転写ローラー5は、感光体ドラム1を押圧するように設けられている。
【0024】
したがって、転写ローラー5は、感光体ドラム1が回転駆動すると、それに伴って回転することができる。また、搬送部eを介して所定のシート材、例えば用紙が搬送されてきたときは、その用紙を感光体ドラム1との間に介在させた状態で転写ローラー5を回転させることができると共に、用紙を定着ユニットc5側に搬送させることができる。
【0025】
定着ユニットc5は、転写ユニットc4の設けられているよりも下流側の搬送部eの一部に設けられていて、その搬送部eを搬送する用紙を挟持できるように配置された一対のローラーで構成されている。そして、定着ユニットc5は、その一対のローラーによって加圧・加熱して転写ユニットc4で転写された用紙上のトナー像を用紙に定着できるように構成されている。
【0026】
用紙部dは、装置本体10に対して開閉自在に設けられている給紙トレイd1と、装置本体10に対して引き出し自在に設けられている給紙カセットd2とを備えている。そして、給紙トレイd1あるいは給紙カセットd2から搬送部eに1枚ずつ用紙を供給できるように構成されている。
【0027】
搬送部eは、下部に位置する用紙部dから上部に位置する排出部aにかけて設けられていて、複数の搬送ローラー及びガイド板によって構成されている。そして、この搬送部eは、用紙部dから供給された用紙を1枚ずつ排出部aに向けて搬送できるように構成されている。
【0028】
上記構成からなる複写機Pは、レーザスキャンニングユニットc1から感光体ドラム1に画像データに対応したレーザ光が照射されて静電潜像が形成され、供給されたトナーによってトナー像が現像される。そして、この感光体ドラム1上に担持されたトナー像は転写ユニットc4で用紙に転写された後、定着ユニットc5で加圧・加熱されて定着処理される。最後に、画像の印刷された用紙が排出部aに排出される。
【0029】
(装置本体及び各ユニットの構成)
図2は、本発明の実施形態における装置本体10の外観を示す斜視図である。図3は、図2における要部を示す拡大斜視図である。
図2に示すように、装置本体10の手前側(+Y側)のカバー11は開閉自在に設けられている。カバー11を開けると、図3に示すように、ドラムユニットc3の一部やトナー収納部bの一部等が機外に露出する。
【0030】
ドラムユニットc3には、取手部12が設けられており、不図示のガイドによって装置本体10に対して所定方向(Y軸方向)に着脱自在な構成となっている。したがって、ドラムユニットc3を手前側に引き出すことで、感光体ドラム1及びその周辺部材の一部を一体的に、装置本体10から取り外すことができるように構成されている。
【0031】
このドラムユニットc3は、その取手部12の下に設けられた操作部材20を操作することで、装置本体10内部において感光体ドラム1に対向して配置される2以上の部材が離間し、所定方向に着脱自在となるよう構成されている。
以下、図4〜図9を参照して、操作部材20の構成について説明する。
【0032】
図4は、本発明の実施形態における操作部材20が第1の位置に位置するときの各ユニットの配置を示す構成図である。図5は、本発明の実施形態における操作部材20が第2の位置に位置するときの各ユニットの配置を示す構成図である。図6は、本発明の実施形態における操作部材20の底面側外観を示す斜視図である。図7は、図6における要部を示す拡大斜視図である。図8は、本発明の実施形態における操作部材20の平面側外観を示す斜視図である。図9は、図8における要部を示す斜視図である。
【0033】
図4に示すように、ドラムユニットc3が装置本体10に装着されているときに、所定方向(Y軸方向)以外の方向において感光体ドラム1に対向して2以上の部材が配置されている。本実施形態の2以上の部材は、トナー像を現像する現像ローラー2を有する現像ユニットc2と、感光体ドラム1のトナー像を所定のシート材に転写させる転写ローラー5と、を含む。
【0034】
現像ユニットc2は、図4に示すように感光体ドラム1に対して当接あるいは近接する近接位置と、図5に示すように感光体ドラム1に対して離間する離間位置と、の間で移動自在に設けられている。現像ユニットc2は、押圧ユニット13によって離間位置から近接位置に向けて付勢押圧されている。押圧ユニット13は、X軸方向にスライド自在に設けられており、装置本体10に固定された押圧バネ(付勢部材)14によって+X側に付勢されている。
【0035】
現像ユニットc2は、装置本体10に設けられた回動支点15が嵌合する長穴16を有する。長穴16は、X軸方向に延在して設けられている。現像ユニットc2は、押圧ユニット13によって+X側に押圧されると、長穴16によってX軸方向に移動し、回動支点15が長穴16の−X側の側壁に当接した時点で、回転方向に移動する。すなわち、現像ユニットc2は、回動支点15を中心に図4において反時計回りに回転することで、現像ローラー2が感光体ドラム1に押圧・位置決めされる近接位置に位置する。
【0036】
転写ローラー5は、図4に示すように感光体ドラム1に対して当接あるいは近接する近接位置と、図5に示すように感光体ドラム1に対して離間する離間位置と、の間で移動自在に設けられている。転写ローラー5は、押圧バネ17によって離間位置から近接位置に向けて付勢押圧されている。なお、転写ローラー5を有する転写ユニットc4は、図2に示す装置本体10の側部のカバー18を開けば、図4及び図5に示す回転支点19を支点として回転可能に構成されている。
【0037】
操作部材20は、上記のように独立して感光体ドラム1に対して近接/離間できる現像ユニットc2及び転写ローラー5のそれぞれを連動して近接位置に位置させる第1の位置(図4参照)と、当該現像ユニットc2及び転写ローラー5のそれぞれを連動して離間位置に位置させる第2の位置(図5参照)と、の間で変位自在な構成となっている。また、操作部材20は、第1の位置から第2の位置に変位するときに、現像ユニットc2及び転写ローラー5を押圧ユニット13及び押圧バネ17の付勢に抗して近接位置から離間位置に移動させるよう構成されている。
【0038】
具体的に操作部材20は、レバー部材21が連結された回転軸22と、回転軸22に設けられ、当該回転軸22の軸周りの変位に応じて現像ユニットc2を近接位置と離間位置との間で移動させるカム部材23と、回転軸22に連結され、当該回転軸22の軸周りの変位に応じて転写ローラー5を近接位置と離間位置との間で移動させるリンク部材24と、を有する。
【0039】
回転軸22は、装置本体10に設けられた不図示の軸受部によってY軸方向に延びる軸周りに回転自在に設けられている。回転軸22の+Y側の端部には、レバー部材21が連結されている(図6参照)。レバー部材21は、図3に示すように、カバー11を開いたときにドラムユニットc3と共に装置本体10の手前側(+Y側)に露出するように構成されている。なお、レバー部材21が図3に示すように略斜め45度の姿勢となる位置が第1の位置(図4参照)となる。また、レバー部材21が当該姿勢から略水平に倒れた姿勢が第2の位置(図5参照)となる。
【0040】
カム部材23は、先端部が丸みを帯びた略爪形状を有し、回転軸22に対して所定角度で固定されている。カム部材23の先端部は、押圧ユニット13に当接可能に構成されている。押圧ユニット13は、回転軸22と中心を共通せず且つ当該回転軸22よりも下方位置を中心とした所定曲率の当接面13aを有する。したがって、回転軸22の回転によりカム部材23が移動すると、カム部材23の先端部と押圧ユニット13の当接面13aとの当接位置が、X軸方向に変位することとなる(図4及び図5参照)。
【0041】
図6に示すように、カム部材23は、回転軸22にY軸方向において間隔をあけて対となって設けられている。カム部材23は、押圧ユニット13の幅方向両側に対応する位置にそれぞれ設けられている。また、押圧ユニット13にも、カム部材23に対応して当接面13aがそれぞれ形成されている。したがって、押圧ユニット13は、カム部材23と2点で接触することによりX軸方向に安定して移動することができる。
【0042】
リンク部材24は、図4に示すように、装置本体10に対して回転自在に設けられた回転フレーム25と、回転軸22と回転フレーム25とを連結する連結フレーム26と、を有する。
回転フレーム25は、図7に示すように、装置本体10に固定された回転支点ピン27によってY軸方向に延びる軸周りに回転自在に設けられている。回転支点ピン27が設けられた回転支点を挟んだ回転フレーム25の一端部は、転写ローラー5と当接する当接部28を有し、当該回転支点を挟んだ回転フレーム25の他端部は、連結フレーム26と連結されている。また、回転フレーム25の他端部は、常態でバネ25aにより+X側に付勢されている。
【0043】
回転フレーム25の当接部28は、略半円形に切り欠かれた形状を有する。この当接部28は、図8及び図9に示すように、転写ローラー5を回転自在に支持する軸受カラー5aと当接可能な構成となっている。本実施形態の回転フレーム25の一端部には、当接部28の他に、フック部29が設けられている。このフック部29は、転写ローラー5の搬送方向手前側に設けられた転写ガイド板30に当接可能な位置に配置されている(図9参照)。転写ガイド板30は、図4及び図5に示すように回転支点31を中心に回転自在に設けられている。なお、常態では位置精度に影響しないように、当接部28及びフック部29は、転写ローラー5や転写ガイド板30とは若干のクリアランスを開けて配置されている。
【0044】
図7に示すように、連結フレーム26は、略長尺板形状を有し、その+X側の一端部に、回転フレーム25の他端部が係合する第1の係合穴32が形成され、その−X側の他端部に、回転軸22に設けられた爪部材33が係合する第2の係合穴34が形成されている。なお、爪部材33は、カム部材23に隣接して設けられている。回転軸22の回転により爪部材33が移動すると、爪部材33と係合する連結フレーム26が移動し、連結フレーム26と係合する回転フレーム25の他端部が移動する。
【0045】
回転フレーム25の他端部の移動は、回転支点ピン27によって回転方向の移動に変換される。すなわち、回転フレーム25は、回転支点ピン27を中心に回転することで、その一端部が揺動し、当該一端部に設けられた当接部28に当接している転写ローラー5が移動する。また、当該一端部に設けられたフック部29により転写ガイド板30も移動することとなる。
【0046】
図6に示すように、リンク部材24は、回転軸22にY軸方向において間隔をあけて対となって設けられている。リンク部材24は、転写ローラー5のY軸方向両側に対応する位置にそれぞれ設けられている。すなわち、リンク部材24は、転写ローラー5の+Y側端部だけでなく、転写ローラー5の−Y側端部とも接触している。したがって、転写ローラー5は、リンク部材24と両端部において2点で接触することにより、軸が傾くことなく安定して平行に軸移動することができる。
【0047】
続いて、上記構成の複写機Pにおけるドラムユニットc3のユニット着脱作業について説明する。
【0048】
装置本体10からドラムユニットc3を取り出す場合、先ず、作業者は、図2に示すように装置本体10の手前側に設けられたカバー11を開く。カバー11を開くと、図3に示すように、ドラムユニットc3の取手部12と、操作部材20のレバー部材21とが装置本体10の手前側に露出する。
【0049】
次に、作業者は、ドラムユニットc3の取手部12を引く前に、操作部材20を第1の位置から第2の位置に変位させる。具体的に、作業者は、レバー部材21を把持して、図4に示す略斜め45度の姿勢から、図5に示す略水平の姿勢に倒す。レバー部材21が倒れ、操作部材20が第1の位置から第2の位置に変位すると、現像ユニットc2及び転写ローラー5のそれぞれが連動して近接位置から離間位置に移動することとなる。
【0050】
より具体的には、レバー部材21が倒れると、レバー部材21に連結された回転軸22が回転する。回転軸22が回転すると、カム部材23の先端部が揺動し、当接面13aが押され、押圧ユニット13が押圧バネ14の付勢に抗して−X側に移動する。押圧ユニット13が−X側に移動すると、現像ユニットc2に対する押圧が解除され、感光体ドラム1に対する現像ローラー2の押圧・位置決めが解除される。そして、現像ユニットc2は、長穴16によって、押圧ユニット13と共に−X側に移動することで、感光体ドラム1から離間した離間位置に位置することとなる。
【0051】
また、回転軸22が回転すると、カム部材23と共にリンク部材24も可動する。具体的に、回転軸22が回転し、爪部材33が回転すると、爪部材33と係合する連結フレーム26が−X側に引かれ、連結フレーム26と係合する回転フレーム25の他端部がバネ25aの付勢に抗して−X側に移動する。回転フレーム25の他端部の−X側への移動は、回転支点ピン27によって回転方向の移動に変換され、回転フレーム25の一端部は、他端部と逆側、すなわち回転支点ピン27を中心として+X側に移動する。
【0052】
回転フレーム25の一端部には、当接部28が設けられており、転写ローラー5が軸受カラー5aと共に押圧バネ17の付勢に抗して+X側に押されることで、感光体ドラム1に対する転写ローラー5の押圧・位置決めが解除される。そして、転写ローラー5は、感光体ドラム1から離間した離間位置に位置することとなる。なお、本実施形態では、転写ガイド板30も感光体ドラム1に近い位置に配置されるため、転写ローラー5が離間位置に位置するときに、転写ガイド板30もフック部29によって、感光体ドラム1から離間するようにしている。
【0053】
操作部材20を第2の位置に変位させることにより、感光体ドラム1の周辺に配置された2以上の部材(現像ユニットc2、転写ローラー5、転写ガイド板30)を図5に示す離間位置に位置させ、装着を解除したら、作業者は、レバー部材21の上方に設けられた図3に示す取手部12を把持して、ドラムユニットc3を手前側(+Y側)に引き出す。このとき、ドラムユニットc3の引き出し方向(Y軸方向)以外の方向において感光体ドラム1に対向する2以上部材は、感光体ドラム1から離間しているため、ドラムユニットc3をY軸方向に引き出して、装置本体10から取り外すことができる。
【0054】
一方、メンテナンス後のドラムユニットc3、または、新たなドラムユニットc3を装置本体10に装着する場合、作業者は、操作部材20を第2の位置に位置させ、当該ドラムユニットc3を装置本体10に対してY軸方向に挿入する。このとき、ドラムユニットc3が装置本体10に装着されているときに、感光体ドラム1に対向する2以上部材は、上述のように離間位置に位置しているため、ドラムユニットc3をY軸方向に挿入して、装置本体10に取り付けることができる。
【0055】
ドラムユニットc3を挿入したら、作業者は、操作部材20を第2の位置から第1の位置に変位させる。具体的に、作業者は、レバー部材21を把持して、図5に示す略水平の姿勢から、図4に示す略斜め45度の姿勢に起こす。レバー部材21が起こされ、操作部材20が第2の位置から第1の位置に変位すると、現像ユニットc2及び転写ローラー5のそれぞれが連動して離間位置から近接位置に移動することとなる。
【0056】
より具体的には、レバー部材21が起こされると、レバー部材21に連結された回転軸22が回転する。回転軸22が回転すると、カム部材23の先端部が揺動し、当接面13aへの押圧が解除され、押圧ユニット13が押圧バネ14の付勢によって+X側に移動する。押圧ユニット13が+X側に移動すると、現像ユニットc2が移動すると共に押圧され、感光体ドラム1に対して現像ローラー2が押圧・位置決めされる近接位置に復帰することとなる。
【0057】
また、回転軸22が回転すると、カム部材23と共にリンク部材24も可動する。具体的に、回転軸22が回転し、爪部材33が回転すると、連結フレーム26を介した回転フレーム25の他端部の−X側への引きが解除され、回転フレーム25の一端部に設けた当接部28による転写ローラー5への押圧が解除される。当接部28は、転写ローラー5の押圧バネ17の付勢によって−X側に移動する。また、当接部28は、回転フレーム25の他端部のバネ25aの付勢によって、転写ローラー5に対して所定のクリアランスをあけて離間する。転写ローラー5は、位置決め部材35等により位置決めされ、押圧バネ17による付勢により感光体ドラム1に対して押圧・位置決めされる近接位置に復帰することとなる。また、このとき、転写ガイド板30のフック部29による押圧も解除され、転写ガイド板30が元の位置に復帰することとなる。
【0058】
操作部材20を第1の位置に変位させることにより、感光体ドラム1の周辺に配置された2以上の部材(現像ユニットc2、転写ローラー5、転写ガイド板30)を図4に示す近接位置に位置させることにより、ドラムユニットc3が装置本体10に対して装着される。その後、作業者は、図3に示すカバー11を閉じることにより、ドラムユニットc3の装置本体10に対する取り付けが終了する。
【0059】
このように本実施形態では、操作部材20の第1の位置と第2の位置との間の変位操作により、感光体ドラム1の周辺に配置された2以上の部材のそれぞれを連動して近接/離間させることが、選択的に可能となる。このため、ドラムユニットc3の交換後、操作部材20を第2の位置から第1の位置に変位させれば、従来のように手動で装置本体10の側部のカバー18(図3参照)を開閉等することなく、2以上の部材のそれぞれを離間位置から元の近接位置に自動的に位置させることができる。
【0060】
したがって、ドラムユニットc3の取り付け/取り外し操作が、作業者による操作の向きを違えることなく(すなわち、装置本体10の手前側(+Y側)からの操作のみ)、且つ、1つの操作部材20の簡潔で直感的な操作により可能となる。
また、ドラムユニットc3をユーザー交換可能ユニットに設定して、ユーザー交換とした場合には、ドラムユニットc3を手前側に引き出す際のカバー18の開き忘れや、ドラムユニットc3を交換した後のカバー18の閉め忘れ等を起こすことがなく、不安感なく、確実なドラムユニット交換作業ができる。
【0061】
したがって、本実施形態によれば、トナー像を担持する感光体ドラム1を有するドラムユニットc3が、装置本体10に対して所定方向に着脱自在に設けられている複写機Pであって、ドラムユニットc3が装置本体10に装着されているときに、上記所定方向以外の方向において感光体ドラム1に対向して配置される2以上の部材(現像ユニットc2、転写ローラー5等)を備え、該2以上の部材のそれぞれは独立して、感光体ドラム1に対して当接あるいは近接する近接位置と、感光体ドラム1に対して離間する離間位置と、の間で移動自在に設けられており、2以上の部材のそれぞれを連動して近接位置に位置させる第1の位置と、2以上の部材のそれぞれを連動して離間位置に位置させる第2の位置と、の間で変位自在な操作部材20を有するという構成を採用することによって、ドラムユニットc3交換作業に関し、簡潔で、且つ、一般ユーザーが間違いなく確実な操作を行うことができる。
【0062】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、2以上の部材として現像ユニットc2、転写ローラー5、転写ガイド板30を例示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、感光体ドラム1の周辺部材である帯電器3やクリーナー4等がユニット化されていない場合は、これらも2以上の部材に含めて操作部材20によって連動して近接/離間させる構成であってもよい。
【0064】
また、例えば、上記実施形態では、像担持体ユニットとしてドラムユニットを例示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、像担持体ユニットとして中間転写ベルトを含むベルトユニットを採用してもよい。
【0065】
また、例えば、上記実施形態では、画像形成装置として、複写機を例示したが、本発明は、例えば、プリンター、ファクシミリ装置等の画像形成装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
P…複写機(画像形成装置)、1…感光体ドラム(像担持体)、2…現像ローラー、5…転写ローラー(2以上の部材)、10…装置本体、14…押圧バネ(付勢部材)、17…押圧バネ(付勢部材)、20…操作部材、21…レバー部材、22…回転軸、23…カム部材、30…転写ガイド板(2以上の部材)、c2…現像ユニット、c3…ドラムユニット(像担持体ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体を有する像担持体ユニットが、装置本体に対して所定方向に着脱自在に設けられている画像形成装置であって、
前記像担持体ユニットが前記装置本体に装着されているときに、前記所定方向以外の方向において前記像担持体に対向して配置される2以上の部材を備え、該2以上の部材のそれぞれは独立して、前記像担持体に対して当接あるいは近接する近接位置と、前記像担持体に対して離間する離間位置と、の間で移動自在に設けられており、
前記2以上の部材のそれぞれを連動して前記近接位置に位置させる第1の位置と、前記2以上の部材のそれぞれを連動して前記離間位置に位置させる第2の位置と、の間で変位自在な操作部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記2以上の部材のそれぞれを独立して、前記離間位置から前記近接位置に向けて付勢する複数の付勢部材を有しており、
前記操作部材は、前記第1の位置から前記第2の位置に変位するときに、前記2以上の部材のそれぞれを前記付勢に抗して前記近接位置から前記離間位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体ユニットは、前記像担持体として感光体ドラムを有するドラムユニットであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記2以上の部材は、
前記トナー像を現像する現像ローラーを有する現像ユニットと、
前記像担持体の前記トナー像を所定のシート材に転写させる転写ローラーと、を少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記操作部材は、
レバー部材が連結された回転軸と、
前記回転軸に設けられ、前記回転軸の軸周りの変位に応じて前記現像ユニットを前記近接位置と前記離間位置との間で移動させるカム部材と、
前記回転軸に連結され、前記回転軸の軸周りの変位に応じて前記転写ローラーを前記近接位置と前記離間位置との間で移動させるリンク部材と、を有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−247496(P2012−247496A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117133(P2011−117133)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】