説明

画像形成装置

【課題】裏汚れを抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】転写クリーニングモードが実行されると、対向ローラ72に転写バイアスV3と逆極性のプレクリーニングバイアスV1が印加される。T1[msec]プレクリーニングバイアスV1を印加したら、制御手段91は、不図示の2次バイアス電源を制御して、転写バイアスV3と同極性で、プレクリーニングバイアスV1よりも絶対値が小さいクリーニングバイアスV2に変更する。次にT2[msec]間クリーニングバイアスV2を印加し、プレクリーニングバイアスV1の印加開始し時点から2次転写ローラ5が一回転した時点で、2次転写バイアスV3に変更し、転写クリーニングモードを終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写ローラ等のニップ形成部材と、トナー像を担持する像担持ベルトとの当接によって形成した転写ニップに挟み込んだシート材に対して、像担持ベルト上のトナー像を転写する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では、ニップ形成部材たる転写ローラとして、金属からなる芯金上に、スポンジ層を形成したスポンジローラを用いるものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、転写ローラに転写バイアスを印加した場合、シート材を通じて定着ローラに転写電流がリークすることがある。そのため、転写ローラの芯金部を接地し、転写ローラと像担持体ベルトを介して対向する対向ローラに転写バイアスを印加する画像形成装置も知られている(例えば、特許文献2)。この画像装置においては、像担持体ベルト上のトナーの正規帯電極性である負極性に帯電した負極性トナーを、シート材に転写するため、負極性の転写バイアスを対向ローラに印加する。これにより、像担持体ベルト上の負極性トナーには、斥力が働きシート材に転写される。
【0004】
また、この種の画像形成装置では、転写ニップ内で転写紙等のシート材の裏面にトナーを付着させることによる裏汚れを引き起こすことがある。この裏汚れは次のようにして引き起こされる。即ち、まず、シート材を挟み込んでいないときの転写ニップにおいて、像担持ベルトの表面に付着しているトナーが転写ローラに機械的に転移する。このとき、転写ローラには、負極性トナーの他に、正極性トナーが付着する。次いで、転写ニップに挟み込まれてきたシート材に像担持ベルト上のトナーを転写するとき、対向ローラに印加される負極性の転写バイアスにより、転写ローラ上の転写バイアスと逆極性の正極性トナーがシート材の裏面に静電的に移動するのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような裏汚れを抑制するために、非転写時に対向ローラに転写バイアスと同極性の負極性のバイアスを印加し、転写ローラに付着した転写バイアスと逆極性である正極性トナーを像担持ベルト表面に静電的に移動させて除去することが考えられる。しかしながら、後述するように、本出願人が実験したところ、ただ単に対向ローラに負極性のバイアスを印加しても、転写ローラから正極性トナーをほとんど除去することができないことが判明した。この理由については、定かではないが、本出願人は、次のように考えている。すなわち、対向ローラに負極性のバイアスを印加すると、アースに落とした転写ローラの芯金と、対向ローラとの間の電界の影響により、転写ローラのスポンジ層の表面付近が負極性に帯電する。その結果、スポンジ層表面付近の正極性トナーは、スポンジ層のセル側に引き込まれ、セルに静電吸着する。このように、除去対象の正極性トナーがセルに引き込まれて静電吸着するため、転写ニップにおいて像担持ベルトにセル内部の正極性トナーが像担持ベルトへ移動しなかったためと考えられる。
【0006】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、裏汚れを抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の張架ローラによって張架され、表面にトナー像を担持して無端移動するトナー像担持ベルトと、導電性部材からなる芯金上にスポンジ層を有し、上記複数の張架ローラのうちの一つと上記トナー像担持ベルトを挟んで対向し、上記トナー像担持ベルト上のトナー像をシート状部材に転写するための転写ニップを形成するニップ形成部材と、上記ニップ形成部材と上記トナー像担持ベルトを挟んで対向する張架ローラである対向ローラに転写バイアスを印加するバイアス印加手段とを備えた画像形成装置において、上記ニップ形成部材に付着した転写バイアスの極性と逆極性に帯電したトナーを上記ニップ形成部材から除去する転写クリーニングモードを有し、上記転写クリーニングモードのとき、所定時間、上記対向ローラに転写バイアスと逆極性の第1バイアスV1を印加した後、上記転写バイアスと同極性で、上記第1バイアスV1の絶対値よりも絶対値が小さい第2バイアスV2を印加することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記転写バイアスの絶対値を、上記第2バイアスV2の絶対値以下にし、かつ、上記転写クリーニングモードの実行時間である上記第1バイアスV1を印加する時間と、上記第2バイアスV2を印加する時間の和が、上記ニップ形成部材が一回転する時間としたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記転写クリーニングモードは、画像形成開始から上記トナー像担持ベルト上のトナー像をシート状部材に転写するまでに少なくとも1回以上行われるものであり、上記転写クリーニングモードの回数が、上記画像形成開始から上記像担持体ベルト上のトナー像をシート状部材に転写するまでの時間を、上記転写クリーニングモードの実行時間で割った値を超えないことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1または2の画像形成装置において、上記転写クリーニングモードは、上記像担持体ベルト上のトナー像をシート状部材に転写後に実行することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、上記転写クリーニングモードは、画像形成動作回数が、閾値を超えた場合に実行することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、上記対向ローラと上記ニップ形成部材との間に流れる電流を検知する電流検知手段と、上記電流検知手段で、上記第1バイアスV1を印加したときの電流値を検知し、その検知結果に基づいて、次回の転写クリーニングモードのときの上記第1バイアスV1を決定し、上記電流検知手段で、上記第2バイアスV2を印加したときの電流値を検知し、その検知結果に基づいて、次回の転写クリーニングモードのときの上記第2バイアスV2を決定することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6いずれかの画像形成装置において、上記像担持体ベルトが、感光体ベルトであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至6いずれかの画像形成装置において、上記像担持体ベルトが、中間転写ベルトであることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記中間転写ベルト上にトナー像を形成するトナー像形成手段を複数備えたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9いずれかの画像形成装置において、上記ニップ形成部材が、ローラ部材であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至9いずれかの画像形成装置において、上記ニップ形成部材が、ベルト部材であることを特徴とするものである。
【0008】
本出願人は、後述する実験により、次のように対向ローラに印加するバイアスを制御することにより、ニップ形成部材に付着した転写バイアスと逆極性のトナーを良好に除去できることが判明した。すなわち、まず、対向ローラに転写バイアスと逆極性の第1バイアスV1を印加する。その後、対向ローラに転写バイアスと同極性で、かつ、上記第1バイアスV1よりも絶対値の小さい第2バイアスV2を印加するのである。対向ローラに印加するバイアスをこのように制御することで、ニップ形成部材に付着した転写バイアスと逆極性のトナーを良好に除去できる理由については、定かではないが、本出願人は、次のような理由によるものと考えている。すなわち、まず、対向ローラに転写バイアスと逆極性の第1バイアスV1を印加することにより、上述と同様な理由により、ニップ形成部材のスポンジ層の表面付近が、転写バイアスと逆極性に帯電する。すると、ニップ形成部材の表面付近に付着しているトナーのうち、ニップ形成部材の転写バイアスと逆極性のトナーには斥力が働く。その結果、ニップ形成部材のスポンジ層のセルに付着していた上記逆極性のトナーがセル内部から表面側へ移動する。次に、対向ローラに転写バイアスと同極性の第2バイアスを印加すると、ニップ形成部材のスポンジ層の表面付近が、転写バイアスと同極性に帯電する。しかし、このときの第2バイアスV2の絶対値は、V1よりも小さいため、ニップ形成部材のスポンジ層の表面付近には、表面側に移動した上記逆極性のトナーをセル側へ引き込むほどには、帯電しない。その結果、上記逆極性のトナーは表面に留まり、転写ニップで像担持ベルト側へ静電的に移動して、ニップ形成部材から良好に除去することができたと考えられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、対向ローラに転写バイアスと逆極性の第1バイアスV1を印加した後、対向ローラに転写バイアスと同極性で、かつ、上記第1バイアスV1よりも絶対値の小さい第2バイアスV2を印加することにより、ニップ形成部材の転写バイアスと逆極性トナーを良好に除去することができる。このように、転写バイアスと逆極性のトナーをニップ形成部材から良好に除去することができるので、像担持ベルト上のトナー像をシート状部材に転写するとき、ニップ形成部材の転写バイアスと逆極性のトナーが、シート状部材の裏面に付着するのを抑制することができ、裏汚れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の概略構成を示す模式図。
【図2】同画像形成装置における転写クリーニングモード時の印加バイアスのシーケンス図。
【図3】プレクリーニングバイアスV1の依存性を調査した結果を示すグラフ。
【図4】プレクリーニングバイアスV1の依存性を調査したときの印加バイアスのシーケンス図。
【図5】プレクリーニングバイアスV1印加前後の2次転写ローラ上のトナーの平均帯電量の変化を調べた結果を示すグラフ。
【図6】本実施形態の対向ローラへの印加バイアスのシーケンス図。
【図7】電流検知によるプレクリーニングバイアスV1およびクリーニングバイアスV2を変更する制御フロー図。
【図8】直接転写方式の画像形成装置の概略構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用した画像形成装置の概略構成を示す模式図である。図1に示す画像形成装置100は、カラー画像を形成可能であるカラーレーザプリンタであるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置にも本発明を適用することができる。
【0012】
画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行う。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体として画像形成を行うことが可能である。
【0013】
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKを並設したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式を採用している。各符号の数字の後に付されたY、C、M、BKは、イエロー、シアン、マゼンタ、黒用の部材であることを示している。感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、画像形成装置100の本体99の内部のほぼ中央部に配設された像担持ベルトである中間転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。
【0014】
中間転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する中間転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、シート状部材である転写紙Sに一括転写されるようになっている。よって、画像形成装置100は中間転写方式の画像形成装置となっている。
【0015】
中間転写ベルト11は、その下側の部分が各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対向しており、この対向した部分が、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BK上のトナー像を中間転写ベルト11に転写する1次転写部98を形成している。中間転写ベルト11に対する重畳転写は、中間転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成されたトナー像が、中間転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、中間転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対向する位置に配設された1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0016】
中間転写ベルト11は、ベース層を伸びの少ない材質で構成し、ベース層の表面を平滑性の良い材質によって覆ったコート層とし、ベース層にコート層を重ねて形成した多層構造となっている。ベース層の材質としては、たとえばフッ素樹脂、PVDシート、ポリイミド系樹脂が挙げられる。コート層の材質としては、たとえばフッ素系樹脂等が挙げられる。
【0017】
また、中間転写ベルト11は、その縁部にそれぞれ、寄り止め部材としての図示しない寄り止めガイドを有している。寄り止めガイドは、中間転写ベルト11がA1方向に回転するときに、図1における紙面と垂直な何れかの方向に偏倚することを防止するために配設されている。寄り止めガイドは、ウレタンゴム製であるが、その他、シリコンゴムなど各種ゴム材料により構成することができる。
【0018】
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKはそれぞれ、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像を形成するための、画像形成部としてのトナー像形成手段たる画像形成ユニット60Y、60C、60M、60BKに備えられている。
【0019】
画像形成ユニット60Y、60C、60M、60BKについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像形成ユニット60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像形成ユニット60C、60M、60BKの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、画像形成ユニット60Yの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像形成ユニット60C、60M、60BKの構成に付し、詳細な説明については適宜省略することとする。
詳細な図示は省略するが、感光体ドラム20Yを備えた画像形成ユニット60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図中時計方向であるその回転方向に沿って、1次転写ローラ12Yと、クリーニング手段としてのクリーニング装置と、帯電手段である帯電装置としての帯電装置と、現像手段としての現像ユニットである現像装置50Yとを有している。
【0020】
帯電装置は、感光体ドラム20Yの表面に当接して従動回転する帯電ローラと、帯電ローラに当接し従動回転するクリーニングローラとを有している。帯電ローラには、直流に交流成分のバイアスを重畳印加する図示しない電圧印加手段が接続されており、感光体ドラム20Yと対向する帯電領域において、感光体ドラム20Yの表面を除電すると同時に、所定の極性に帯電するようになっている。
クリーニングローラは帯電ローラに従動回転することで帯電ローラをクリーニングするようになっている。本実施形態では、接触ローラを用いた帯電システムを採用しているが、帯電システムは、近接ローラを用いたものであっても良いし、コロトロン方式を採用したものであってもよい。
【0021】
現像装置50Yは、感光体ドラム20Yに近接対向して配設された現像ローラを有し、現像ローラと感光体ドラム20Yとの間の現像領域において、イエロートナーが感光体ドラム20Yの表面に形成された静電潜像に静電的に移行して、静電潜像をイエロートナー像として可視像化するものである。
【0022】
1次転写ローラ12Yには、制御手段91による制御に基づき、不図示の1次転写バイアス電源から1次転写に適した所定の電圧が印加されるようになっている。
【0023】
クリーニング装置は、感光体ドラム20Yに対向する部分に開口部を有するクリーニングケースと、感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の残留トナー、キャリア、紙粉等の不要物を掻き取ってクリーニングするクリーニングブラシと、感光体ドラム20Yの回転方向において、クリーニングブラシよりも下流側の位置で感光体ドラム20Yに当接し感光体ドラム20Y上の不要物を掻き取ってクリーニングするためのブレードとしてのクリーニングブレードとを有している。また、クリーニング装置は、クリーニングケースに回転自在に支持され、クリーニングブラシ、クリーニングブレードによって掻き取られ、また除去されることによって生じた廃トナー等の不要物を廃トナータンクに向けて搬送するための廃トナー経路の一部を構成する排出スクリュー等を有している。
【0024】
画像形成ユニット60Yを構成するもののうち、1次転写ローラ12Yを除く、すなわち感光体ドラム20Yと、クリーニング装置と、帯電装置と、現像装置50Yとは、ユニットとしてのプロセスユニットであるプロセスカートリッジ95Yを構成している。プロセスカートリッジ95Yは、画像形成装置100本体に対し着脱自在に構成されている。具体的には、図1における紙面手前側から、プロセスカートリッジ95Yは、画像形成装置100本体に対して着脱される。
【0025】
また、感光体ドラム20Yは、単独でも、画像形成装置100本体に対し、図1における紙面手前側から着脱自在となっている。また、現像装置50Yも、現像剤の交換作業等のため、単独でも、画像形成装置100本体に対し、図1における紙面手前側から着脱自在となっている。また、プロセスカートリッジ95Yは、感光体ドラムや現像装置を本体に残した状態で、装置本体に対し図1における紙面手前側に離脱自在に構成されている。
【0026】
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKの上方には、中間転写ベルト11を備えたユニットとしての転写ベルトユニット10が対向配置されている。
転写ベルトユニット10は、中間転写ベルト11の他に、中間転写ベルト11を巻き掛けられた、駆動部材である駆動ローラ72と、転写入口ローラ73と、クリーニング対向ローラ74と、クリーニング対向ローラ74を中間転写ベルト11の張力を増加する方向に付勢する付勢手段としてのばね75とを有している。また、転写ベルトユニット10は、画像形成ユニット60Yを構成する1次転写ローラ12Y、駆動ローラ72、転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74、ばね75を、筐体をなす中間転写ベルトケース14に保持し、本体99に対し着脱自在に支持されている。
また、中間転写ベルトケース14には、中間転写ベルト11に対向して配設され中間転写ベルト11上をクリーニングするベルトクリーニング装置13も保持されている。また、転写ベルトユニット10は、駆動ローラ72を回転駆動する図示しない駆動系と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKに1次転写バイアスを印加する不図示の1次バイアス電源と、対向ローラ(駆動ローラ)72に2次転写バイアスを印加する不図示の2次バイアス電源とを有している。
【0027】
転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74は、駆動ローラ72によって回転駆動される中間転写ベルト11に連れ回りする従動ローラとなっている。1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKは、中間転写ベルト11をその裏面から感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。この1次転写ニップは、中間転写ベルト11の、転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74の間に張り渡した部分において形成されている。転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74は、1次転写ニップを安定化する機能を有する。
【0028】
各1次転写ニップには、1次転写バイアスの作用により、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKと1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKとの間に1次転写電界が形成される。感光体ドラム20Y、20C、20M、20BK上に形成された各色のトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト11上に1次転写される。
駆動ローラ72は、中間転写ベルト11を介して2次転写ローラ5を当接されており、2次転写ニップ90を形成している。
クリーニング対向ローラ74は、ばね75の作用により、中間転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有している。
【0029】
ベルトクリーニング装置13は、図1におけるクリーニング対向ローラ74の左方の位置において、中間転写ベルト11に対向するように配設されている。ベルトクリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、中間転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、中間転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、中間転写ベルト11をクリーニングするようになっている。このクリーニングにより生じた廃トナー等の不要物は、図示しない廃トナー経路を経て廃トナータンク83に収納されるようになっている。
【0030】
ベルトクリーニング装置13、クリーニング対向ローラ74は、黒色画像形成時には、1次転写ローラ12Y、12C、12Mとともに下方に移動し、中間転写ベルト11を、感光体ドラム20Y、20C、20Mから離間するように構成されている。
【0031】
画像形成ユニット60Y、60C、60M、60BKの下方には、書込ユニットとしての光走査装置8が対向配置されている。
光走査装置8は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKにおける帯電領域と現像領域との間の領域に、光変調されたレーザー光を照射して帯電ローラにより帯電された後の各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKの表面を露光し、露光部分の電位を低下させて感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKの表面上に静電的な電位差を設け、静電潜像を形成する。
【0032】
光走査装置8の下方には、シート給送装置61が配設されている。シート給送装置61は、転写紙Sを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容する給紙カセット61aと、最上位の転写紙Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ3とを有している。給送ローラ3が反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
レジストローラ対4は、作像速度、言い換えると中間転写ベルト11の移動速度と、給紙の速度とを合わせるために、外径を精密に加工されている。その精度は外径で0.03mm以内である。
【0033】
対向ローラとしての駆動ローラ72に中間転写ベルトを介して対向配設され、中間転写ベルト11と当接して2次転写ニップ90を形成するニップ形成部材としての2次転写ローラ5は、中間転写ベルト11に従動し、連れ回りする。2次転写ローラ5、金属製の芯金の表面にスポンジ層が形成されている。2次転写ニップ90には、2次転写バイアスの作用により、駆動ローラ72及び中間転写ベルト11と、2次転写ローラ5との間に2次転写電界が形成される。中間転写ベルト11上に形成されたトナー像は、この2次転写電界やニップ圧の影響によって転写紙S上に2次転写される。駆動ローラ72は対向ローラを兼ねている。2次転写バイアスは、駆動ローラ72に印加する斥力バイアス方式と、2次転写ローラ5に印加する引力バイアス方式とがある。本実施形態の画像形成装置100では、前者の斥力バイアス方式をとっている。また、2次転写バイアスは、制御手段91の制御に基づいて、不図示の2次転写バイアス電源によって、2次転写に適した所定の電圧が印加されるようになっている。すなわち、制御手段91と不図示の2次転写バイアス電源とによってバイアス印加手段が構成されている。
【0034】
2次転写ニップ90よりもシート搬送方向下流側には、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像を定着させるためのローラ定着方式の定着ユニットとしての定着装置6が配設されている。
定着装置6は、熱源を内部に有する定着ローラ62と、定着ローラ62に圧接された加圧ローラ63とを有しており、トナー像を担持した転写紙Sを定着ローラ62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙Sの表面に定着するようになっている。
【0035】
また、画像形成装置100は、転写ベルトユニット10の上方に配設され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填された、トナー補給部材としてのトナーボトル9Y、9C、9M、9BKが配設されている。トナーボトル9Y、9C、9M、9BKは、本体99に対して着脱自在に設けられている。トナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、図示しないトナー供給機構により、所定の補給量だけ、画像形成ユニット60Y、60C、60M、60BKにそれぞれ備えられた現像装置50Y、50C、50M、50BKに補給される。トナーボトル9Y、9C、9M、9BKは、内部のトナーがなくなると交換される消耗品であり、トナーがなくなったとき等に本体99に脱着され、交換される。
【0036】
また、画像形成装置100は、画像形成装置100に対する各種設定を行うための入力手段としての図示しない操作パネル、画像形成装置100全体の動作を制御する、図示しないCPU、メモリ等を備えた制御手段91などを有している。
操作パネルによって入力された各種の情報は、制御手段91によって認識され、それぞれ識別される。操作パネルは、制御手段91による制御によって所定の表示を行う出力手段としての表示部を有している。また、制御手段91は、1次転写ローラに一次転写バイアスを印加する一次バイアス電源を制御する。さらに、対向ローラ72に2次転写バイアスを印加する2次バイアス電源を制御する。すなわち、制御手段91と2次バイアス電源とで、バイアス印加手段としての2次転写バイアス印加手段として構成している。
【0037】
かかる構成の画像形成装置100において、カラー画像を形成すべき旨の信号が入力されると、駆動ローラ72が駆動され、中間転写ベルト11、転写入口ローラ73、クリーニング対向ローラ74が従動回転するとともに、感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKが回転駆動される。
【0038】
感光体ドラム20Yは、回転に伴い帯電ローラにより表面を一様に帯電され、光走査装置8からのレーザー光の露光走査によりイエロー色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置50Yによりイエロー色のトナーにより現像され、現像により得られたイエロー色の単色画像であるトナー像を1次転写ローラ12YによりA1方向に移動する中間転写ベルト11に1次転写され、転写後に残留したトナーを含む不要物をクリーニング装置により良好に除去されて帯電ローラによる次の除電、帯電に供される。
【0039】
他の感光体ドラム20C、20M、20BKにおいても同様に各色のトナー像が形成等され、形成された各色の単色画像であるトナー像は、1次転写ローラ12C、12M、12BKにより、A1方向に移動する中間転写ベルト11上の同じ位置に順次1次転写される。中間転写ベルト11上に重ね合わされたトナー像は、中間転写ベルト11のA1方向の回転に伴い、2次転写ローラ5との対向位置である2次転写ニップ90まで移動し、2次転写ニップ90において転写紙Sに2次転写される。
【0040】
中間転写ベルト11と2次転写ローラ5との間に搬送されてきた転写紙Sは、シート給送装置61から給送ローラ3によって繰り出されてフィードされ、レジストローラ対4によって、センサによる検出信号に基づいて、中間転写ベルト11上のトナー像の先端部が2次転写ローラ5に対向するタイミングで送り出されたものである。
【0041】
転写紙Sは、すべての色のトナー像を転写され、担持すると、定着装置6に進入し、定着ローラ62と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着され、転写紙S上に合成カラー画像であるカラー画像を定着される。定着装置6を通過した定着済みの転写紙Sは、排紙路41と反転前搬送路42との分岐点にさしかかる。この分岐点には、不図示の切替爪が揺動可能に配設されており、その揺動によって転写紙Sの進路を切り替える。具体的には、爪の先端を反転前搬送路42に近づける方向に動くことにより、転写紙Sの進路を排紙路41に向かう方向にする。また、爪の先端を反転前搬送路42から遠ざける方向に動くことにより、転写紙Sの進路を反転前搬送路42に向かう方向にする。
【0042】
不図示の切替爪によって排紙路41に向かう進路が選択されている場合には、転写紙Sは、排紙路41から排紙ローラ対7のニップを経由した後、本体99の上部の排紙トレイ17上にスタックされる。これに対し、不図示の切替爪によって反転前搬送路42に向かう進路が選択されている場合には、転写紙Sは反転前搬送路42を経て、反転ローラ対43のニップに進入する。反転ローラ対43は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Sを排紙トレイ17に向けて搬送するが、転写紙Sの後端をニップに進入させる直前で、ローラを逆回転させる。この逆転により、転写紙Sがそれまでとは逆方向に搬送されるようになり、転写紙Sの後端がすぐに分岐路にさしかかる。
【0043】
この分岐路には、不図示の第2切替爪が揺動可能に配設されている。反転前搬送路42内で定着装置6側から反転ローラ対43側に向けて送られているときには、不図示の第2切替爪がその爪の先端を後述の反転搬送路44に近づけるような揺動位置で停止している。不図示の第2切替爪がこのような揺動位置で停止していることにより、反転前搬送路42内の転写紙Sが反転ローラ対43に向けて搬送される。
【0044】
一方、反転ローラ対43の逆転によって転写紙Sがその後端側を先頭にして逆方向に搬送されるようになるのとほぼ同時に、不図示の第2切替爪がその爪の先端を反転前搬送路42に近づけるように揺動する。これにより、逆方向に搬送されるようになった転写紙Sの後端側が反転搬送路44に向けて導かれる。
【0045】
反転搬送路44は、鉛直方向上側から下側に向けて搬送路を大きく湾曲させる形状になっており、路内に第1反転搬送ローラ対45、第2反転搬送ローラ対46、第3反転搬送ローラ対47を有している。転写紙Sは、これらローラ対のニップを順次通過しながら、搬送されることで、その上下を反転させる。上下反転後の転写紙Sは、再び2次転写ニップ90に至る。そして、今度は、転写紙の裏面を中間転写ベルト11に密着させながら2次転写ニップに進入して、その裏面に中間転写ベルト11の第2の4色トナー像が一括2次転写される。この後、定着装置6、排紙路41、排紙ローラ対7を経由して、排紙トレイ17上にスタックされる。このような反転搬送により、転写紙Sの両面にフルカラー画像が形成される。
【0046】
一方、2次転写を終えた中間転写ベルト11は、ベルトクリーニング装置13に備えられたクリーニングブラシ及びクリーニングブレードによってクリーニングされる。
【0047】
このような画像形成工程において、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーは、現像装置50Y、50C、50M、50BKにおいてそれぞれ消費されるため、消費に応じて、図示しないトナー供給機構が、トナーボトル9Y、9C、9M、9BK内のイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを、所定の補給量だけ、それぞれ現像装置50Y、50C、50M、50BKに供給するようになっている。
【0048】
近年、環境保護の観点から、本実施形態の画像形成装置100のように、転写紙Sの裏面にも画像形成を行うことが主流である。このように転写紙Sの裏面にも画像形成を行う場合には、転写紙Sの裏汚れ(裏面の汚れ)は、重大な問題の一つとなっている。この転写紙Sの裏汚れを防ぐには、2次転写ローラ5に付着したトナーを除去することが重要となる。
【0049】
2次転写ローラ5に付着したトナーをクリーニングするために、従来は2次転写ローラ5にブレードやファーブラシからなるクリーニング部材を当接させることで転写ローラ5をクリーニングするようにした転写クリーニング装置が用いられている。上述した2次転写ローラ5にブレードやファーブラシを当接させる転写クリーニング装置では、次のような問題が発生する。まず、2次転写ローラ5にブレードを常時当接させることによりブレードのエッジ部の摩耗が激しい。そのため、クリーニング性を維持するためには、ブレード単体の定期的な交換が必要となり、場合によってはブレード及びその周辺部材の定期的な交換が必要となる。さらに、2次転写ローラ5にブレードを常時当接させているので、2次転写ローラ5の回転トルクの増加や2次転写ローラの表面から掻き落としたトナーを溜める廃トナー容器が必要となる。その結果、画像形成装置の小型化が困難になる。また、廃トナー容器の交換が必要となる。然るに、画像形成装置100の小型化、およびメンテナンス性、2次転写ローラ5の高寿命化、を考えた場合、上述の転写クリーニング装置は望ましく無い。
【0050】
さらに、本実施形態のように、2次転写ローラ5を、金属製の芯金上にスポンジ層を設けた構成した場合、上述の転写クリーニング装置では、転写ローラ5に付着したトナーを除去することができない。
【0051】
そこで、非転写時に対向ローラ72に印加する2次転写バイアスと同極性のクリーニングバイアスを印加して、転写ローラ5上のトナーを除去する方法がある。転写時に転写紙に付着するのは、ほとんどが2次転写バイアスの極性と逆極性の正極性トナーである。よって、対向ローラ72に2次転写バイアスと同極性のクリーニングバイアスを印加して、2次転写ローラ上の正極性トナーを中間転写11に静電的に移動させて除去することで、2次転写ローラ5から正極性トナーを除去できると考えられる。しかしながら、ただ単に対向ローラ72に2次転写バイアスと同極性のクリーニングバイアスを印加しても、正極性トナーが、ほとんど中間転写ベルト11へ移動せず、転写ローラ上の正極性トナーをほとんど除去することができないことがわかった。そこで、本実施形態においては、次のように、対向ローラへの印加バイアスを制御することによって、2次転写ローラ5の正極性トナーを良好に除去することができる。
【0052】
図2は、本実施形態の2次転写ローラ5の正極性トナーを除去するときの対向ローラ72に印加するバイアス制御のシーケンス図である。
例えば、画像形成動作が開始された画像形成開始から中間転写ベルトのトナー像を転写紙Sに2次転写するまでの間や、中間転写ベルト11のトナー像を転写紙Sに2次転写した後に、転写クリーニングモードが実行される。転写クリーニングモードが実行されると、図に示すように、本実施形態においては、2次転写バイアスと同極性の負極性のクリーニングバイアスV2を印加する前に、2次転写バイアスと逆極性の正極性で、絶対値がクリーニングバイアスV2の絶対値よりも大きいプレクリーニングバイアスV1をT1時間印加するのである。また、本実施形態においては、クリーニングバイアスV2の絶対値を、2次転写バイアスV3よりも大きくなるように設定し、2次転写ローラが1回転したら、転写クリーニングモードを終了するようにした。
【0053】
本実施形態においては、上記のように正極性で、クリーニングバイアスV2よりも絶対値の大きなプレクリーニングバイアスV1を印加することにより、2次転写ローラ上の正極性トナーを良好に除去できる。また、クリーニングバイアスV2の絶対値を転写バイアスV3の絶対値以下とすることにより、2次転写ローラ1回転で、クリーニングモードを終了しても、裏汚れが生じることがない。以下に、具体的に説明する。
【0054】
図3は、プレクリーニングバイアスV1の依存性を調査した結果である。
この調査は、まず、2次転写ローラ5をトナーで汚した後、図4に示すバイアス制御のシーケンスの動作を一回実施した直後、作像動作を強制的に停止させる。次に、中間転写ベルト11上において、シーケンスの動作位置に相当する部分のトナー汚れの最大濃度を測定する。次に、中間転写ベルト11上においてトナー汚れの無い部分の濃度を測定し、夫々の濃度の差分をとって、その値をクリーニング能力として評価した(図3の縦軸)。つまり、転写クリーニングを実施した位置に相当する位置での中間転写ベルト11上のトナー汚れは、転写クリーニングにより2次転写ローラ5上のトナーが中間転写ベルト11に転移したものと考えられる。すなわち、中間転写ベルト11上のトナー汚れが多ければ、転写クリーニングのクリーニング能力が高いといえる。
【0055】
中間転写ベルト11の電気抵抗・2次転写ローラ5の電気抵抗の異なる2個の画像形成装置を用いて調査を行った。クリーニングバイアスV2は、中間転写ベルト11の電気抵抗・2次転写ローラ5の電気抵抗などに基づき求めたものである。
【0056】
図3に示すように、プレクリーニングバイアスV1を印加しなかった(V1=0V)場合、ほとんど正極性トナーを除去できていないことがわかる。すなわち、ただ単に負極性バイアスを印加しても、2次転写ローラ上の正極性トナーを除去できないのである。また、クリーニングバイアスV2を500Vに設定した装置においては、プレクリーニングバイアスV1が500V未満の場合、中間転写ベルト11上にトナー汚れはほとんどなく、2次転写ローラ5上の正極性トナーが、ほとんど除去されていない。そして、プレクリーニングバイアスV1が500Vを越えると、プレクリーニングバイアスV1の値に比例してクリーニング能力は高くなっていることがわかる。また、クリーニングバイアスV2を1000Vに設定した装置においても、プレクリーニングバイアスV1が1000V未満では、2次転写ローラ5上の正極性トナーが、ほとんど除去されず、プレクリーニングバイアスV1が1000Vを越えると、プレクリーニングバイアスV1の値に比例してクリーニング能力が高くることがわかる。このことから、2次転写バイアスと逆極性の正極性で、絶対値がクリーニングバイアスV2の絶対値よりも大きいプレクリーニングバイアスV1を印加することにより、2次転写ローラ5の正極性トナーを良好に除去することができることがわかる。また、図3からプレクリーニングバイアスV1の絶対値を大きくすればするほど、クリーニング能力が高まるが、プレクリーニングバイアスV1を大きくしすぎると、中間転写ベルト11や2次転写ローラ5が絶縁破壊する恐れがある。また、中間転写ベルト11へメモリ効果を発生させ、次以降の画像に対し残像として表れてしまう。よってこれらを考慮して、プレクリーニングバイアスV1を設定するのが望ましい。
【0057】
2次転写バイアスと逆極性の正極性で、絶対値がクリーニングバイアスV2の絶対値よりも大きいプレクリーニングバイアスV1を印加すると、2次転写ローラ5の正極性トナーを良好に除去できる理由は、次の2つが考えられる。ひとつは、正極性のプレクリーニングバイアスV1を印加することに、2次転写ローラ5上のトナー電荷が正極性側に増加するという仮説である。つまり、2次転写ローラ5上に付着したトナーの帯電量は分布を持っており、正極性のトナーもあれば負極性のトナーも存在する。プレクリーニングバイアスV1印加時に2次転写ローラ5上のトナーにプラス電荷が注入され正極性トナーが増加するのではないかという仮説である。2つめは、2次転写ローラ5のスポンジ層のセル内部に入り込んだ正極性トナーが、クリーニングし易い表面に移動したという仮説である。つまり、プレクリーニングバイアスV1印加時にスポンジ層の表面付近が正極性に帯電し、斥力により2次転写ローラ5のスポンジ層のセル内に入り込んだ正極性トナーが、表面に移動したのではないかという仮説である。
【0058】
上記1番目の仮説(2次転写ローラ5上の正極性トナーが増加するという仮説)を検証するために、次のような検証実験を行った。
検証実験は、まず、2次転写ローラ5をトナーで汚す。その後、2次転写ローラ5上のトナーの平均帯電量を測定する。次いで、プレクリーニングバイアスV1を任意に設定し、T1時間印加したあとの2次転写ローラ5上のトナー平均帯電量を測定し、プレクリーニングバイアスV1印加前後の2次転写ローラ上のトナー帯電量変化を測定した。トナーの平均帯電量の測定は、チャージスペクトル法を利用した方法や、レーザードップラー速度計を使用した方法など公知の方法で測定することができる。ここでは、レーザードップラー速度計を使用したトナー粒子帯電量分布測定装置(Eスパートアナライザー;ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定した。
図5は、その検証結果を示す図である。図5の横軸はV1の値を表しており、図中左の縦軸は、2次転写ローラのトナー帯電量を示し、図中右の縦軸は、V1印加前後における2次転写ローラ上のトナー帯電量の変化量を表している。
【0059】
図5に示すように、V1印加前後で2次転写ローラ5上のトナー帯電量変化は、ほとんどないことが確認された。このことから、プレクリーニングバイアスV1の印加により2次転写ローラ上の正極性トナーが増加するのではないことが確認された。よって、上述の2番目の仮説(2次転写ローラ5に存在する正極性トナーが、クリーニングし易い表面に移動したという仮説)により、正極性のプレクリーニングバイアスV1を印加することで、正極性トナーを良好にクリーニングできたと考えられる。すなわち、正極性のプレクリーニングバイアスV1を印加することで、接地された2次転写ローラの芯金と、正極性のバイアスを印加された対向ローラとの間にあるスポンジ層の表面付近が、正極性に帯電する。その結果、2次転写ローラのセル内に入り込んでいた正極性トナーが、斥力により表面側へ移動する。プレクリーニングバイアスV1の値が高いほど、スポンジ層の表面付近の正極性の帯電量が増加し、正極性トナーが表面側へ移動しやすくなる。その結果、2次転写ローラの表面の正極性トナーが多くなり、クリーニング量が増加したと考えられる。また、上記仮説からすると、負極性のクリーニングバイアスV2を印加すると、スポンジ層の表面付近が負極性に帯電する。しかし、クリーニングバイアスV2の絶対値は、プレクリーニングバイアスV1の絶対値よりも小さくしているので、表面に移動した正極性トナーをセル側へ静電的に引きもむほどの静電力が生じない。その結果、クリーニングバイアスV2の印加により、2次転写ローラ5表面の正極性トナーのクリーニング量が増加したと考えられる。
【0060】
本実施形態においては、転写クリーニングモードを2次転写ローラ一回転で終了するよう構成している。この場合、プレクリーニングバイアスV1印加時に転写ニップを通過する2次転写ローラの部分においては、正極性トナーが除去されない。そのため、V2印加後に2次転写バイアスV3を印加して、転写紙Sに中間転写ベルト11上のトナー像を2次転写するとき、プレクリーニングバイアスV1印加時に転写ニップを通過する2次転写ローラ5の領域が転写紙Sの裏面と当接すると、上記転写クリーニングモードで除去されなかった正極性トナーが転写紙Sの裏面に付着するおそれがある。しかし、2次転写バイアスV3の絶対値をクリーニングバイアスV2の絶対値以下とすることで、裏汚れすることがないことがわかった。
【0061】
下記表1は、クリーニングバイアスV2と2次転写バイアスV3との関係と、裏汚れとの関係とを調べた結果である。
【表1】

【0062】
上記表1に示すように、2次転写バイアスV3の絶対値をクリーニングバイアスV2よりも大きくすると、プレクリーニングバイアスV1印加時に転写ニップを通過する2次転写ローラ5の領域の正極性トナーが転写紙Sに付着して、裏汚れが生じてしまった。しかし、表1に示すように、2次転写バイアスV3の絶対値をクリーニングバイアスV2以下にすると、プレクリーニングバイアスV1印加時に転写ニップを通過する2次転写ローラ5の領域で裏汚れが発生しなかった。この理由については、定かではないが、次の理由が考えられる。2次転写ニップにある程度の電気抵抗を有する転写紙Sが搬送されるため、V2≧V3のときは、2次転写ローラ側に対向ローラのバイアスが十分に作用せず、2次転写ローラ5上の正極性トナーは、移動しなかったと考えられる。一方、V2<V3のときは、対向ローラに印加したバイアスの影響によりプレクリーニングバイアスV1印加時に転写ニップを通過する2次転写ローラ5の領域の正極性トナーが転写紙Sに付着して、裏汚れが生じてしまったと考えられる。
【0063】
このように、本実施形態においては、2次転写バイアスV3の絶対値を、クリーニングバイアスのV2の絶対値以下とすることにより、転写クリーニングモードを2次転写ローラの一回転にしても、裏汚れが生じることがない。これにより、転写クリーニング時間を短縮することができ、装置のダウンタイムを短くすることができる。ところで、本実施形態においては、2次転写ローラ上の負極性トナーを除去しない。これは、2次転写バイアスが、負極性であるため、2次転写ローラ上の負極性トナーは、2次転写時に転写紙Sの裏面に静電的に移動することがない。また、プレクリーニングバイアスを印加して、スポンジ層の表面付近を正極性に帯電させるので、2次転写ローラ表面に付着した負極性トナーが、セル内部へ引き込まれ、静電吸着する。よって、2次転写ローラ上の負極性トナーを除去しなくても、負極性トナーが転写紙Sの裏面に付着することがほとんどない。従って、本実施形態においては、2次転写ローラの負極性トナーを除去しないのである。2次転写ローラの負極性トナーを除去しないので、転写クリーニングモードの時間を短縮することができ、装置のダウンタイムを短くできる。なお、2次転写ローラ5の負極性トナーを除去する場合は、上述とは逆に、プレクリーニングバイアスV1の極性を負極性にし、クリーニングバイアスV2の極性を正極性にする。これにより、上述と同様な理由により、負極性トナーを2次転写ローラから良好にクリーニングすることができる。
【0064】
図6は、本実施形態の対向ローラ72への印加バイアスのシーケンス図である。
図に示すように、画像形成動作が開始されると、感光体ドラム・中間転写ベルト11などの駆動が開始される。これにより、2次転写ローラ5が中間転写ベルト11と供回りする。また、画像形成動作開始と同時に転写クリーニングモードが実行され、対向ローラ72にプレクリーニングバイアスV1が印加される。T1[msec]プレクリーニングバイアスV1を印加したら、制御手段91は、不図示の2次バイアス電源を制御して、クリーニングバイアスV2に変更する。次にT2[msec]間クリーニングバイアスV2を印加し、プレクリーニングバイアスV1の印加開始し時点から2次転写ローラ5が一回転した時点で、2次転写バイアスV3に変更し、転写クリーニングモードを終了する。そして、転写バイアスV3印加してからT4[msec]後、中間転写ベルト上のトナー像が2次転写ニップへ搬送され、それと同時に転写紙Sが2次転写ニップに突入して、転写紙Sのおもて面にトナー像が2次転写される。このように、画像形成開始から2次転写が行われるまでの時間T5[msec]が、転写クリーニングモードの時間T3[msec]よりも長い場合は、画像形成開始時に転写クリーニングモードを実行することができる。これにより、転写クリーニングモードにより、ファーストプリントタイムが長くなることがない。また、図6では、転写クリーニングモードを1回行っているが、画像形成開始から2次転写開始まで間に、2次転写ローラが複数回回転する場合は、転写クリーニングモードを複数回実施してもよい。具体的には、転写クリーニングモードの繰り返し回数は、画像形成開始から2次転写するまでの時間T5[msec]を、上記転写クリーニングモードの実行時間T3[msec]で割った値以下に設定する。これにより、転写クリーニングモードの実行によって、ファーストプリントタイムが延びることがない。
【0065】
また、転写クリーニングモードを2次転写終了後に行ってもよい。転写クリーニングモードを2次転写終了後に行うことで、2次転写ローラ5が紙間で汚れてしまうのを防止でき、裏汚れの防止が可能となる。
【0066】
また、画像形成開始から2次転写までの時間T5や、2次転写終了後、次の画像が2次転写されるまでの時間が、転写クリーニング実行時間よりも短い装置においては、画像形成回数をカウントし、画像形成回数が閾値に達したら、転写クリーニングモードを実行するようにしてもよい。具体的には、制御手段91は、画像形成回数を図示されないメモリに記憶する。また、不図示のメモリには、予め実験的に定めた所定の閾値も記憶している。そして、画像形成回数が不図示のメモリに記憶されている閾値を越えたら、制御手段91は、転写クリーニングモードを実行する。転写クリーニングモードは、2次転写終了直後行ってもよいし、次の画像形成動作の開始と同時に行ってもよい。転写クリーニングモードが終了したら、制御手段91は、メモリに記憶されている画像形成回数を0にリセットする。このように、転写クリーニング動作の実施の有無を判定するようにすることで、転写クリーニングモード実行完了待ちによるダウンタイムが、作像毎に生じることがない。
【0067】
また、上述では、プレクリーニングバイアスV1およびクリーニングバイアスV2は、予め実験などにより決められた値を使用しているが、環境、中間転写ベルトや2次転写ローラなどの経時劣化などによって、最適な値が変化する場合がある。そこで、2次転写ニップに流れる電流を検知して、その検知結果に基づいて、次回の転写クリーニングモードのときのプレクリーニングバイアスV1、クリーニングバイアスV2を決定してもよい。
図7は、電流検知によるプレクリーニングバイアスV1およびクリーニングバイアスV2を変更する制御フロー図である。
図に示すように、転写クリーニングモードが実行されて、プレクリーニングバイアスV1が印加されたら、電流を検知する(S1〜S2)。検知した電流値が、第1閾値A1以下の場合(S3のYES)は、2次転写ローラの表面の正極性の帯電量が十分でなく、セル内部の正極性トナーが、表面へ移動してこないおそれがある。よって、この場合は、不図示のメモリに記憶されているプレクリーニングバイアスV1を所定値上げて、この値を新たなプレクリーニングバイアスとしてメモリに記憶する(S4)。これにより、次回のクリーニングモードの実行時には、新たなプレクリーニングバイアスV1が、対向ローラ72に印加されることになる。
一方、検知した閾値が第2閾値A2以上の場合(S5のYES)は、中間転写ベルト11や2次転写ローラ5が絶縁破壊する恐れや、次以降の画像に対し残像として現れるおそれがある。よって、この場合は、不図示のメモリに記憶されているプレクリーニングバイアスV1を所定値下げて、この値を新たなプレクリーニングバイアスとしてメモリに記憶する(S6)。
一方、検知した電流値Iが、A1<I<A2の場合(S3のNO、S5のNO)は、2次転写ローラ表面をセル内部の正極性トナーを表面側へ移動でき、絶縁破壊なども起こるおそれがないので、不図示のメモリ内に記憶されているプレクリーニングバイアスV1の値を変えない。
【0068】
次に、クリーニングバイアスV2が印加されたときの電流値を検知し、検知した値が第3閾値B1以下か否かチェックする(S7〜S9)。検知した値が第3閾値B1以下の場合(S9のYES)は、2次転写ローラ上の正極性トナーを中間転写ベルト11へ静電的に移動させることができないおそれがある。よって、この場合は、不図示のメモリに記憶されているクリーニングバイアスV2を所定値上げて、この値を新たなクリーニングバイアスV2としてメモリに記憶する(S10)。
一方、検知した値が第4閾値B2以上の場合(S11のYES)は、2次転写ローラの表面付近の負極性の帯電量が大きくなりすぎ、表面側へ移動した正極性トナーが、セル内部へ引き込まれて、良好なクリーニング性が得られなくなる可能性がある。よって、この場合は、不図示のメモリに記憶されているクリーニングバイアスV2を所定値下げて、この値を新たなクリーニングバイアスV2としてメモリに記憶する(S12)。
一方、検知した電流値Iが、B1<I<B2の場合(S9のNO、S11のNO)は、2次転写ローラの正極性トナーを、良好に除去できるので、不図示のメモリ内に記憶されているクリーニングバイアスV2の値を変えない。
【0069】
このように、プレクリーニングバイアスV1やクリーニングバイアスV2の値を変更することで、最適なバイアスで転写クリーニングモードを実行することができ、良好なクリーニング性を維持することができる。
【0070】
また、上述では、ニップ形成部材としての2次転写部材をローラ形状にしているが、例えば、複数の張架ローラに張架され、少なくとも表層が、スポンジ層のベルト部材であってもよい。
【0071】
また、上述では、中間転写方式の画像形成装置に本発明を適用した例について説明したが、図8に示すように、直接転写方式の画像形成装置200に本発明を適用することができる。図8に示す画像形成装置200は、像担持ベルトとしての感光体ベルト201に形成されたトナー像を、芯金とスポンジ層とからなる転写ローラ150と感光体ベルト201を介して対向する対向ローラ172に転写バイアスを印加して、感光体ベルト201のトナー像を転写紙Sに直接転写するものである。このような装置においても、本発明を適用することにより、転写ローラ150上の正極性トナーを感光体ベルトに良好に静電移動させることができ、転写紙Sの裏汚れを抑制することができる。
【0072】
以上、本実施形態の画像形成装置によれば、複数の張架ローラによって張架され、表面にトナー像を担持して無端移動するトナー像担持ベルトたる中間転写ベルト11と、導電性部材からなる芯金上にスポンジ層を有し、対向ローラ72と中間転写ベルト11を挟んで対向し、中間転写ベルト11のトナー像をシート材部材たる転写紙Sに転写するための2次転写ニップを形成するニップ形成部材たる2次転写ローラ5と、対向ローラ72に転写バイアスを印加するバイアス印加手段(2次転写バイアス電源と、制御手段91とで構成)とを備えている。本実施形態の画像形成装置は、2次転写ローラ5に付着した転写バイアスの極性と逆極性に帯電したトナーである正極性トナーを2次転写ローラから除去する転写クリーニングモードを有している。そして、上記転写クリーニングモードのとき、所定時間(T1[msec])対向ローラ72に正極性の第1バイアスであるプレクリーニングバイアスV1を印加した後、上記転写バイアスと同極性の負極性で、プレクリーニングバイアスV1の絶対値よりも絶対値が小さい第2バイアスであるクリーニングバイアスV2を印加する。これにより、上述したように、2次転写ローラ5として表層がスポンジ層で、対向ローラ72にバイアスを印加する装置において、2次転写ローラ5に付着した正極性トナーを良好に中間転写ベルト11に静電的に移動させることができ、2次転写ローラ5から正極性トナーを良好に除去することができる。その結果、2次転写時に転写紙の裏面に2次転写ローラ5に付着した正極性トナーが静電的に移動して、裏汚れが発生するのを抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態の画像形成装置においては、転写バイアスV3の絶対値を、クリーニングバイアスV2の絶対値以下に、かつ、転写クリーニングの実行時間を2次転写ローラ5が一回転する時間とした。2次転写ローラ5のプレクリーニングバイアスV1印加時に転写ニップを通過する領域には、正極性トナーが付着しているが、上記したように、転写バイアスV3の絶対値を、クリーニングバイアスV2の絶対値以下にすることで、裏汚れが発生することはい。また、転写クリーニングの実行時間を2次転写ローラ5が一回転する時間にすることができるので、転写クリーニング時間を短くでき、装置のダウンタイムが生じるのを抑制することができる。
【0074】
また、転写クリーニングモードは、画像形成開始から2次転写までに少なくとも1回以上行われるものであり、転写クリーニングモードの回数が、画像形成開始から2次転写するまでの時間T5[msec]を、転写クリーニングモードの実行時間T3[msec]で割った値を超えないようにした。これにより、転写クリーニングモードを実行することにより、ファーストプリントタイムが長くなることがない。
【0075】
また、転写クリーニングモードを2次転写後に実行するようにしてもよい。転写クリーニングモードを2次転写終了後に行うことで、2次転写ローラ5が紙間で汚れてしまうのを抑制できる。
【0076】
また、転写クリーニングモードを、画像形成動作回数が、閾値を超えた場合に実行するようにしてもよい。これにより、転写クリーニングモード実行完了待ちによるダウンタイムが、作像毎に生じることがない。
【0077】
また、プレクリーニングバイアスV1を印加したときの電流値を検知し、その検知結果に基づいて、次回の転写クリーニングモードのときのプレクリーニングバイアスV1を決定する。また、クリーニングバイアスV2を印加したときの電流値を検知し、その検知結果に基づいて、次回の転写クリーニングモードのときのクリーニングバイアスV2を決定する。最適なバイアスで転写クリーニングモードを実行することができ、良好なクリーニング性を維持することができる。
【0078】
また、上述では、像担持体ベルトが感光体ベルトであり、感光体ベルト当接して転写ニップを作る一時転写ローラの正極性トナーの除去にも本発明を適用することができる。また、転写ニップを形成するニップ形成部材は、ローラ部材でも、ベルト部材でもよい。
【符号の説明】
【0079】
5:2次転写ローラ
11:中間転写ベルト
72:対向ローラ
91:制御手段
90:2次転写ニップ
150:転写ローラ
172:対向ローラ
201:感光体ベルト
V1:プレクリーニングバイアス
V2:クリーニングバイアス
V3:2次転写バイアス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2008−20638号公報
【特許文献2】特開2008−46227号公報
【特許文献3】特開平5−27605号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の張架ローラによって張架され、表面にトナー像を担持して無端移動するトナー像担持ベルトと、
導電性部材からなる芯金上にスポンジ層を有し、上記複数の張架ローラのうちの一つと上記トナー像担持ベルトを挟んで対向し、上記トナー像担持ベルト上のトナー像をシート状部材に転写するための転写ニップを形成するニップ形成部材と、
上記ニップ形成部材と上記トナー像担持ベルトを挟んで対向する張架ローラである対向ローラに転写バイアスを印加するバイアス印加手段とを備えた画像形成装置において、
上記ニップ形成部材に付着した転写バイアスの極性と逆極性に帯電したトナーを上記ニップ形成部材から除去する転写クリーニングモードを有し、
上記転写クリーニングモードのとき、所定時間、上記対向ローラに転写バイアスと逆極性の第1バイアスV1を印加した後、上記転写バイアスと同極性で、上記第1バイアスV1の絶対値よりも絶対値が小さい第2バイアスV2を印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記転写バイアスの絶対値を、上記第2バイアスV2の絶対値以下にし、かつ、上記転写クリーニングモードの実行時間である上記第1バイアスV1を印加する時間と、上記第2バイアスV2を印加する時間の和が、上記ニップ形成部材が一回転する時間としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記転写クリーニングモードは、画像形成開始から上記トナー像担持ベルト上のトナー像をシート状部材に転写するまでに少なくとも1回以上行われるものであり、
上記転写クリーニングモードの回数が、上記画像形成開始から上記像担持体ベルト上のトナー像をシート状部材に転写するまでの時間を、上記転写クリーニングモードの実行時間で割った値を超えないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1または2の画像形成装置において、
上記転写クリーニングモードは、上記像担持体ベルト上のトナー像をシート状部材に転写後に実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかの画像形成装置において、
上記転写クリーニングモードは、画像形成動作回数が、閾値を超えた場合に実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの画像形成装置において、
上記対向ローラと上記ニップ形成部材との間に流れる電流を検知する電流検知手段と、
上記電流検知手段で、上記第1バイアスV1を印加したときの電流値を検知し、その検知結果に基づいて、次回の転写クリーニングモードのときの上記第1バイアスV1を決定し、
上記電流検知手段で、上記第2バイアスV2を印加したときの電流値を検知し、その検知結果に基づいて、次回の転写クリーニングモードのときの上記第2バイアスV2を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかの画像形成装置において、
上記像担持体ベルトが、感光体ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至6いずれかの画像形成装置において、
上記像担持体ベルトが、中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記中間転写ベルト上にトナー像を形成するトナー像形成手段を複数備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれかの画像形成装置において、
上記ニップ形成部材が、ローラ部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1乃至9いずれかの画像形成装置において、
上記ニップ形成部材が、ベルト部材であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−63497(P2012−63497A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206474(P2010−206474)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】