説明

画像形成装置

【課題】装置の複雑化やコストの増大を抑制しつつ、より正確に二次転写部材及びトナー帯電部材の中間転写体に対する当接離間状態を判別することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】二次転写部材10及びトナー帯電部材39の中間転写体9に対する当接離間状態を判別する判別手段202は、検知パターンXを中間転写体9に形成し、二次転写部材10とトナー帯電部材39に電圧を印加した状態で検知パターンXが二次転写部N2とトナー帯電部N3を通過した際の両部材に流れる電流を電流検出手段300によって検出することで、電流値が所定の閾値以上変化した回数から当接離間状態を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を電子写真感光体(感光体)上に順次形成し、このトナー像を中間転写体に一次転写した後に転写材に二次転写するものがある。トナー像を中間転写体から転写材に転写させる二次転写部材である二次転写ローラは、二次転写を開始するまでは中間転写体から離間され、二次転写の開始時に中間転写体に当接させられる。
【0003】
二次転写後に中間転写体上に残留するトナー(転写残トナー)は、トナーを正規の帯電極性とは逆極性に帯電させるトナー帯電部材としての帯電ローラ(以下、「ICLローラ」という。)を利用して、次の方法でクリーニングすることができる。即ち、ICLローラは、二次転写部と一次転写部との間に配置される。二次転写を開始するまでは、転写残トナーは中間転写体上に存在しないため、ICLローラは中間転写体から離間されている。二次転写が開始されたら、ICLローラを中間転写体に当接させて転写残トナーを帯電させる。ICLローラにより帯電させられた転写残トナーは、一次転写部で感光体に静電的に転写され、感光体の表面に当接するクリーナブレードによりクリーニング容器に回収される。転写残トナーを感光体に転写することと、次の画像のトナー像を感光体から中間転写体へ一次転写することとは同時に行うことができる。
【0004】
このような画像形成装置において、二次転写ローラ及びICLローラの中間転写体に対する当接離間状態(以下、単に「当接離間状態」ともいう。)として、次に示すような3つの当接離間状態が必要となることがある(図14参照)。先ず、二次転写ローラとICLローラを共に中間転写体から離間させた第1の状態である(図14(a))。スタンバイ時や画像形成動作中に1色目から4色目までのトナー像を順次一次転写している間は第1の状態とする。次に、二次転写ローラを中間転写体に当接させてICLローラを中間転写体から離間させた第2の状態である(図14(b))。例えば、二次転写ローラとICLローラに電圧が印加されることで流れる電流を検出する共通の電流検出手段を用いる場合に、特に転写ローラへの流入電流を検出する際には第2の状態とする。次に、二次転写ローラとICLローラを共に中間転写体に当接させた第3の状態である(図14(c))。画像形成動作中に二次転写している間は第3の状態とする。
【0005】
当接離間状態が、上述のような3つの状態を遷移する場合、これら3つの状態を画像形成動作に合わせて正しく制御するためには、画像形成装置の電源ON時に、初期の当接離間状態を確定しておく必要がある。
【0006】
そこで、当接離間状態とフォトセンサの出力とを連動させ、フォトセンサの出力値によって当接離間状態を確定する方法がある。しかし、この方法は、専用のアクチュエータ、フォトセンサ、束線の追加などにより、装置の複雑化やコストの増大の虞がある。
【0007】
一方、像担持体と転写部材との間に流れる転写電流を検出することにより、転写部材の像担持体に対する接触状態を判別する方法がある(特許文献1、2)。又、環境(温度や湿度)による情報から電流の流れやすさを考慮し、閾値電流を変化させることにより、誤検知の発生を抑える方法もある(特許文献3)。転写電流を検出する手段は、画像形成動作において転写部材へ印加する電圧を決定するのに用いるため、多くの画像形成装置はこれを備えている。従って、特別な手段を追加することなく、転写部材の像担持体に対する接触状態を判別することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−083758号公報
【特許文献2】特開2001−117380号公報
【特許文献3】特開2002−207372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の方法を二次転写ローラ及びICLローラの中間転写体に対する当接離間状態の判別に適用すべく検討した結果、次のような問題があることが分かった。即ち、装置の個体差による電流検出結果のばらつきや、装置の使用回数が増加して二次転写ローラが摩耗したときの電流検出精度の変化によって、当接離間状態を判別するための最適な電流の閾値が刻々と変化してしまう可能性がある。この場合、上記従来の方法では最適な閾値を決定できず、当接離間状態の判別を誤る可能性がある。
【0010】
従って、本発明の目的は、装置の複雑化やコストの増大を抑制しつつ、より正確に二次転写部材及びトナー帯電部材の中間転写体に対する当接離間状態を判別することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体にトナー像を形成する画像形成手段と、前記像担持体に形成されたトナー像が一次転写される中間転写体と、電圧が印加されることで前記像担持体から前記中間転写体にトナー像を一次転写部で一次転写する一次転写手段と、電圧が印加されることで前記中間転写体から転写材にトナー像を二次転写部で二次転写する、前記中間転写体に対して当接及び離間が可能な二次転写部材と、電圧が印加されることで前記二次転写後に前記中間転写体上に残留したトナーをトナー帯電部で帯電する、前記中間転写体に対して当接及び離間が可能なトナー帯電部材と、を有し、前記二次転写後に前記中間転写体上に残留したトナーを、前記トナー帯電部材により帯電させた後に前記一次転写部で前記中間転写体から前記像担持体に移動させる動作を行う画像形成装置において、
前記二次転写部材と前記トナー帯電部材に電圧が印加されることで流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記二次転写部材及び前記トナー帯電部材の前記中間転写体に対する当接離間状態を、前記二次転写部材と前記トナー帯電部材が共に前記中間転写体から離間した第1の状態と、前記二次転写部材が前記中間転写体に当接し前記トナー帯電部材が前記中間転写体から離間した第2の状態と、前記二次転写部材と前記トナー帯電部材が共に前記中間転写体に当接した第3の状態と、に切り替える当接離間手段と、
前記当接離間状態を判別する判別手段と、
を有し、
前記判別手段は、前記中間転写体上に試験トナー像を形成させ、前記中間転写体上の前記試験トナー像を前記二次転写部材及び前記トナー帯電部材に電圧を印加した状態で前記二次転写部及び前記トナー帯電部に通過させて、その際に前記電流検出手段によって検出された電流値の変化から前記当接離間状態が前記第1の状態から前記第3の状態のいずれの状態であるかを判別することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、装置の複雑化やコストの増大を抑制しつつ、より正確に二次転写部材及びトナー帯電部材の中間転写体に対する当接離間状態を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係る画像形成装置の当接離間機構の模式図である。
【図4】本発明の一実施例に係る画像形成装置の当接離間機構の模式図である。
【図5】本発明の一実施例に係る画像形成装置の当接離間機構による当接離間動作を示す模式図である。
【図6】二次転写ローラとICLローラに電圧を印加する電圧印加手段、及び二次転写ローラとICLローラに電圧が印加されることで流れる電流を検出する電流検出手段の一例を示す回路図である。
【図7】本発明に従う当接離間状態判別動作の一例を説明するためのフローチャート図である。
【図8】本発明に従う当接離間状態判別動作の一例を説明するためのフローチャート図である。
【図9】本発明に従う当接離間状態判別動作の他の例を説明するためのフローチャート図である。
【図10】本発明に従う当接離間状態判別動作の更に他の例を説明するためのフローチャート図である。
【図11】本発明に従って当接離間状態を判別するのに用いる検知パターンの一例を示す説明図である。
【図12】本発明に従う当接離間状態判別動作において二次転写ローラとICLローラに流れる電流の変化の一例を示すグラフ図である。
【図13】当接離間状態の切り替え態様と本発明に従って当接離間状態判別動作で測定される電流変化回数との関係を説明するための説明図である。
【図14】当接離間状態の切り替え態様を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0015】
実施例1
1.画像形成装置の全体構成
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面を示す。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式のレーザービームプリンタである。
【0016】
画像形成装置100は、像担持体としてのドラム形状の電子写真感光体、即ち、感光ドラム15を有する。感光ドラム15は、図中矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。感光ドラム15の周囲には、次の各手段が配置されている。先ず、一次帯電手段としての一次帯電ローラ17である。一次帯電ローラ17は、感光ドラム15に接触し、感光ドラム15の回転に対して従動回転する。次に、露光手段としてのレーザスキャナ装置30である。次に、現像手段としての複数の現像器を有するロータリ現像装置20である。ロータリ現像装置20は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像剤としてのトナーを収容した、イエロー現像器21Y、マゼンタ現像器21M、シアン現像器21C、ブラック現像器21Bkを有する。次に、一次転写手段としての一次転写部材である一次転写ローラ41である。次に、クリーニング手段としてのクリーニング装置13である。クリーニング装置13は、廃トナーを収容する廃トナー容器を構成するクリーニング容器14と、クリーニング部材としてのクリーナブレード16とを有する。
【0017】
又、画像形成装置100は、感光ドラム15に対向して、無端状のベルトで構成された中間転写体(中間転写ベルト)9を有する。中間転写体9は、支持部材としての駆動ローラ4と二次転写対向ローラ5とに掛け回されており、駆動ローラ4が回転駆動されることによって図中矢印R2方向(時計回り)に周回移動(回転)する。
【0018】
中間転写体9の内周面側には、上記一次転写ローラ41が配置されている。一次転写ローラ41は、中間転写体9を感光ドラム15に向けて押圧することで、感光ドラム15と中間転写体9とを接触させる。中間転写体9の表面の移動方向において、この感光ドラム15と中間転写体9との接触位置が一次転写部(一次転写位置)N1となる。又、中間転写体9の外周面側には、二次転写手段としての二次転写部材である二次転写ローラ10が配置されている。二次転写ローラ10が二次転写対向ローラ5に向けて押圧されることで、二次転写ローラ10は中間転写体9と接触する。二次転写ローラ10は、実線で示す状態(離間状態)と破線で示す状態(当接状態)との間で移動して中間転写体9に対して当接及び離間が可能である。中間転写体9の表面の移動方向において、この二次転写ローラ10と中間転写体9との接触可能位置が二次転写部(二次転写位置)N2となる。又、中間転写体9の外周面側には、二次転写後の中間転写体上に残留したトナー(転写残トナー)をトナーの正規の帯電極性とは逆極性に帯電させるトナー帯電手段としてのトナー帯電部材であるICLローラ39が配置されている。ICLローラ39は、実線で示す状態(離間状態)と破線で示す状態(当接状態)との間で移動して中間転写体9に対して当接及び離間が可能である。中間転写体9の表面の移動方向において、このICLローラ39と中間転写体9との接触可能位置がトナー帯電部(トナー帯電位置)N3となる。
【0019】
更に、画像形成装置100は、転写材2を二次転写部N2へと供給する転写材供給部、転写材2に転写されたトナー像を転写材2に定着させる定着手段としての定着装置25などを有する。
【0020】
本実施例では、一次帯電手段としての一次帯電ローラ17、露光手段としてのレーザスキャナ装置30、現像手段としての現像器を備えたロータリ現像装置20によって、感光ドラム15にトナー像を形成する画像形成手段が構成される。
【0021】
ここで、本実施例では、感光ドラム15は、一次帯電ローラ17及びクリーニング装置13と共にドラムユニットとして一体的に構成され、画像形成装置100の本体に対して着脱可能とされている。
【0022】
又、本実施例では、一次帯電手段は、接触帯電方式のものであり、一次帯電ローラ17を構成する導電ローラは感光ドラム15に当接させられている。
【0023】
又、本実施例では、露光手段としてのレーザスキャナ装置30は、コントローラ部(後述)から画像展開された画像情報を受け取る。レーザスキャナ装置30のレーザダイオードは、その画像情報に対応するレーザ光をポリゴンミラー31へ照射する。ポリゴンミラー31は、スキャナモータ31aによって高速回転する。ポリゴンミラー31で反射したレーザ光は、結像レンズ32及び反射ミラー33を介して、一定速度で回転する感光ドラム15の表面を選択的に露光する。
【0024】
又、本実施例では、ロータリ現像装置20において、現像手段としてのイエロー現像器21Y、マゼンタ現像器21M、シアン現像器21C及びブラック現像器21Bkは、軸22を中心として回転する現像ロータリ23にそれぞれ着脱可能に保持されている。トナー像を形成する際には、現像ロータリ23は、各現像器を保持した状態で軸22を中心に回転移動する。そして、現像を行う色の現像器が備える現像剤担持体としての現像ローラ21YS、21BkS、21CS、21MSが、感光ドラム15にトナーを供給するための現像位置に停止した後、感光ドラム15にトナーを供給してトナー像を形成する。カラー画像の形成動作時には、中間転写体9の1回転毎に現像ロータリ23が回転し、イエロー現像器21Y、マゼンタ現像器21M、シアン現像器21C、ブラック現像器21Bkの順にトナー像の形成に用いられる。中間転写体9が4回転することで4色のトナー像が中間転写体9上に多重転写される。図1は、イエロー現像器21Yが現像位置に停止している状態を示している。イエロー現像器21Yを例に更に説明すると、イエロー現像器21Yは、容器内のトナーを送出する機構によって、塗布ローラ21YRにトナーを送り込む。そして、塗布ローラ21YRと、現像ローラ21YSの外周に圧接されたブレード21YBとによって、現像ローラ21YSの外周にトナーが塗布され、又トナーに電荷が付与(摩擦帯電)される。この状態で静電潜像が形成された感光ドラム15と対向した現像ローラ21YSに現像バイアスが印加されることで、感光ドラム15上に形成された静電潜像はトナーで現像される。マゼンタ現像器21M、シアン現像器21C、ブラック現像器21Bkの構成及び動作についても、イエロー現像器21Yと同様である。又、各現像器の現像ローラは、各現像器が現像位置に移動された際に、画像形成装置100の本体に設けられた各現像器用の高圧電源及び駆動源と接続され、各現像器毎に順次選択的に電圧が印加され且つ駆動される。
【0025】
又、本実施例では、中間転写体9の外周の非画像領域には、各色の画像形成を開始するタイミングの基準とするための基準点であるホームポジションマーク(以下「HPマーク」という。)9bが設けられている。又、画像形成装置100には、このHPマークを検知するための光学センサ9aが設けられている。尚、このHPマーク9bは中間転写体9の周長の測定に使用することも可能である。
【0026】
又、本実施例では、転写材供給部は、複数枚の転写材2を収納したカセット1と、転写材供給ローラ3と、レジストローラ8とを有する。画像形成動作時には、転写材供給ローラ3が画像形成動作に応じて回転駆動され、カセット1内の転写材2を1枚ずつレジストローラ8へと供給する。レジストローラ8に隣接して、シャッタ11と、シャッタ11に転写材2が到達したことを検出するための先端検知センサ6とが設けられている。レジストローラ8は、レジストローラ8まで搬送された転写材2の斜行を修正する。又、先端検知センサ6は、転写材2の先端を検出する。その検出結果によって、レジストローラ8は画像形成動作のタイミングに合わせて二次転写部N2に転写材2を搬送する。これにより、二次転写部N2における中間転写体9上に形成された画像と転写材2との位置合わせが行われる。
【0027】
又、本実施例では、二次転写ローラ10は、中間転写体9上に各色のトナー像を多重転写している間は、中間転写体9上に形成されたトナー像を乱さぬように、中間転写体9から離間されている。そして、二次転写ローラ10は、中間転写体9上に各色のトナー像を多重転写し終わった後、転写材2に画像を二次転写するタイミングに合わせて、中間転写体9に当接される。中間転写体9及び二次転写ローラ10はそれぞれ回転駆動され、両者に挟まれた状態の転写材2は、トナー像が二次転写されると共に、定着装置25へと搬送される。
【0028】
又、本実施例では、定着装置25は、転写材2上の画像を熱及び圧力を加えて定着させるための、定着ローラ26及び加圧ローラ27を有する。加圧ローラ27は定着ローラ26に所定の圧力をもって圧接し、所定幅の定着ニップ部(接触領域)を形成する。転写材2は、二次転写部N2から、未定着のトナー像を担持した面が定着ローラ26に対向するようにして定着ニップ部に搬送される。このとき、定着ニップ部は、所定の温度に温調された状態となっている。定着ニップ部に搬送された転写材2は、定着ローラ26によって加熱され、加圧ローラ27によって加圧されることにより、その上にトナー像が定着される。
【0029】
2.画像形成動作
フルカラー画像の形成動作を例に画像形成動作を説明する。画像形成動作時には、先ず、転写材供給部において、転写材供給ローラ3が回転し、カセット1内の転写材2が1枚送り出されて、レジストローラ8に搬送される。中間転写体9上に所望の画像が形成されるまで待機する。画像形成を行うために、感光ドラム15の表面は一次帯電ローラ17により一様に帯電させられる。このとき、一次帯電ローラ17には、所定の極性(本実施例では負極性)の一次帯電電圧が印加される。帯電した感光ドラム15の表面は、レーザスキャナ装置30により画像情報に応じて露光され、先ずイエロー画像の静電潜像(静電像)が形成される。この静電潜像が形成されると同時にイエロー現像器21Yが駆動されて、感光ドラム15に形成されたこの静電潜像がイエロートナーによって現像される。このとき、イエロー現像器21Yの現像ローラ21YSには、感光ドラム15上の静電潜像にイエロートナーが付着するように、感光ドラム15の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性でほぼ同電位の現像電圧が印加される。
【0030】
感光ドラム15上に形成されたイエロートナー像は、一次転写部N1において中間転写体9に一次転写される。このとき、一次転写ローラ40には、感光ドラム15上に形成されたトナーの正規の帯電極性(本実施例では負極性)とは逆極性の一次転写電圧が印加される。
【0031】
イエロートナー像が中間転写体9に一次転写されると、現像ロータリ23が回転して、マゼンタ現像器21Mが現像位置に停止する。そして、イエロー画像の場合と同様にして、感光ドラム15に形成されたマゼンタ画像の静電潜像が現像されて、マゼンタトナー像が感光ドラム15に形成され、これが中間転写体9に一次転写される。シアン、ブラックについても同様の動作が行われ、中間転写体9の表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が多重転写される。
【0032】
中間転写体9に所望の画像が形成された後、レジストローラ8で待機させられていた転写材2が二次転写部N2に搬送される。そして、二次転写ローラ10と二次転写対向ローラ5とで転写材2を中間転写体9に圧接させると共に、電圧印加手段としての正電圧印加電源51(図6参照)から二次転写ローラ10に、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の二次転写電圧が印加される。これにより、中間転写体9上のトナー像が転写材2に二次転写される。
【0033】
中間転写体9から転写材2にトナー像を二次転写した後、ICLローラ39が中間転写体9に当接させられる。ICLローラ39は、中間転写体9上に残留するトナー(転写残トナー)を、現像時のトナーの帯電極性とは逆極性に帯電させる。このとき、ICLローラ39には、電圧印加手段としての正電圧印加電源51(図6参照)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のトナー帯電電圧が印加される。転写残トナーの帯電処理が終了した後に、ICLローラ39は中間転写体9から離間される。
【0034】
尚、連続して画像形成を行う場合は、ICLローラ39が中間転写体9に当接し、転写残トナーを帯電させている間に、次の画像の1色目であるイエロートナー像が感光ドラム15上に形成される。この次の画像のイエロートナー像が中間転写体9上に一次転写されて、トナー帯電部N3を通過する時は、ICLローラ39は中間転写体9から離間されている。
【0035】
ICLローラ39により帯電させられた転写残トナーは、一次転写部N1で中間転写体9から感光ドラム15に静電的に転写され、クリーニング装置13においてクリーナブレード16によりクリーニング容器14に回収される。この転写残トナーを感光ドラム15に転写することと、次の画像の1色目であるイエロートナー像を感光ドラム15から中間転写体9へ一次転写することとは同時に行われる。
【0036】
中間転写体9から転写材2へのトナー像の二次転写が終了した後、二次転写ローラ10は中間転写体9から離間される。
【0037】
尚、二次転写をしている間に次の画像(2ページ目)を形成する場合は、次の画像の1色目であるイエロートナー像が感光ドラム15に形成される。感光ドラム15に次の画像のイエロートナー像が形成された後、2色目であるマゼンタトナー像の形成が開始される前に、二次転写ローラ10は中間転写体9から離間される。
【0038】
転写材2は、中間転写体9から剥離された後、定着装置25に搬送され、定着ローラ26と加圧ローラ27とが圧接して形成する定着ニップ部で加熱及び加圧される。これにより、転写材2上にトナー像が定着される。その後、転写材2は排紙ローラ36を介して画像形成装置100の本体の上部の排紙トレイ37上へ、画像が形成された面を下向きにして排出され、画像形成動作は終了する。
【0039】
3.システム構成
図2は、本実施例の画像形成装置100のシステム構成を示す。
【0040】
ホストコンピュータ200は、PCLなどのページ記述言語で記載された印刷データ(文字コードや図形データ、イメージデータやプロセス条件など)を、画像形成装置100のコントローラ部201に送信する。
【0041】
コントローラ部201は、ホストコンピュータ200から印刷データを受信する。コントローラ部201は、受信した印刷データを色毎に順次解析処理し、画像形成装置100で画像を形成するために必要な、ドットデータからなるビットマップである画像情報を生成(画像展開)する。コントローラ部201は、生成した画像情報を画像形成装置100のエンジン制御部202へ順次送信する。
【0042】
尚、ここでは、一例としてコントローラ部201で画像展開を行う方法について示したが、画像展開は必ずしもコントローラ部201で行う必要はない。例えば、ホストコンピュータ200で画像展開し、画像情報をコントローラ部201へ送信してもよい。
【0043】
エンジン制御部202は、コントローラ部201から順次入力される画像情報に基づいて画像を形成するために、感光ドラム15への静電潜像の形成、各色のトナー像の形成、一次転写、二次転写、及び定着処理などの一連の画像形成動作を制御する。静電潜像を形成してから一次転写を行うまでの処理は、上記の画像展開と並列に処理される。
【0044】
エンジン制御部202のインターフェイス部210は、エンジン制御部202とコントローラ部201とを接続する。インターフェイス部210は、シリアル通信部203と画像形成信号通信部204とを有する。シリアル通信部203は、コントローラ部201からエンジン制御部202に対して送信されるコマンドや信号を受信し、エンジン制御部202からコントローラ部201に画像形成装置100の状態や画像情報を要求する信号などを送信する。画像形成信号通信部204は、コントローラ部201からエンジン制御部202に送信される画像情報などを受信する。
【0045】
エンジン制御部202のCPU211は、エンジン制御部202内の各制御部や通信部の制御を行ったり、コントローラ部201に送られてきたデータとエンジン制御部202の記憶手段としてのROM(図示せず)などに保持されたデータとの比較を行ったりする。更に説明すると、CPU211は、次の各要素などを制御する。即ち、CPU211は、中間転写体9上のHPマーク9bを検知する光学センサ9aなどを制御するセンサ制御部218を制御する。又、CPU211は、中間転写体9、感光ドラム15及び現像ロータリ23を駆動するメインモータ219などを制御する駆動制御部217を制御する。又、CPU211は、画像形成動作を開始するための垂直同期信号(以下、/TOP信号)220の生成、レーザスキャナ装置30より出力された水平同期信号221の送信を制御する。更に、CPU211は、画像形成制御部212、定着制御部213、転写材供給制御部214、高圧制御部215、不揮発性メモリ制御部216などの画像形成動作に関連する各種駆動回路を制御する。画像形成制御部212は、スキャナモータやレーザ出力などの制御を行うスキャナ制御部18を制御する。
【0046】
本実施例のように、中間転写体9の1回転毎に現像ロータリ23が回転し、順次現像が行われ、中間転写体9にトナー像が多重転写され、カラー画像が形成される画像形成装置100では、中間転写体9上の同じ位置から一次転写を開始する必要がある。中間転写体9上の同じ位置から一次転写を始めなかった場合、中間転写体9に一次転写された各色のトナー像がずれてしまい、正しく画像を形成できなくなる。
【0047】
そこで、本実施例では、中間転写体9の周上に設けられたHPマーク9bの光学センサ9aによる検知を行う。エンジン制御部202は、光学センサ9aでHPマーク9bを検知したタイミングで、/TOP信号をコントローラ部201に送信する。/TOP信号を受信したコントローラ部201は、画像展開して生成した画像情報をエンジン制御部202に送信する。エンジン制御部202は、受信した画像情報に基づき、各色の画像を形成することで、中間転写体9の同じ位置に各色のトナー像を多重転写することができる。
【0048】
具体的には、エンジン制御部202は、光学センサ9aがHPマーク9bを検知したタイミングで、1色目(イエロー)の/TOP信号をコントローラ部201に送信する。/TOP信号を受け取ったコントローラ部201は、画像展開したイエローの画像情報をエンジン制御部202へ送信する。画像情報を受信したエンジン制御部202は、画像情報に基づき、感光ドラム15上にイエロー画像の静電潜像を形成し、形成した静電潜像をイエロートナーにより現像する。そして、感光ドラム15に形成されたイエロートナー像を中間転写体9へ一次転写する。
【0049】
このように、HPマーク9bを基準に画像形成動作を開始するため、HPマーク9bを検知して/TOP信号を送信してから、各色のトナー像を一次転写し始めるまでの時間を一定にすることができる。そのため、中間転写体9上の同じ位置に各色のトナー像を多重転写することが可能となる。
【0050】
イエロー画像の場合と同様に、光学センサ9aがHPマーク9bを検知したタイミングでマゼンタの/TOP信号をコントローラ部201へ送信する。シアン、ブラックについても同様に、光学センサ9aがHPマーク9bを検知したタイミングで/TOP信号を送信する。これにより、4色のトナー像が中間転写体9上の同じ位置に多重転写される。
【0051】
4.二次転写ローラとICLローラの当接離間機構
本実施例の画像形成装置100は、二次転写ローラ10及びICLローラ39の中間転写体9に対する当接離間状態(当接離間ポジション)として、次に示すような3つの当接離間状態を有する。
【0052】
図14を参照して、先ず、二次転写ローラ10とICLローラ39を共に中間転写体9から離間させた第1の状態である(図14(a))。スタンバイ時や画像形成動作中に1色目から4色目までのトナー像を順次一次転写している間は第1の状態とする。次に、二次転写ローラ10を中間転写体9に当接させてICLローラを39中間転写体9から離間させた第2の状態である(図14(b))。例えば、二次転写ローラ10とICLローラ39に電圧が印加されることで流れる電流を検出する共通の電流検出手段(後述)を用いる場合に、特に転写ローラ10への流入電流を検出する際には第2の状態とする。次に、二次転写ローラ10とICLローラ39を共に中間転写体9に当接させた第3の状態である(図14(c))。画像形成動作中に二次転写している間は第3の状態とする。
【0053】
次に、図3〜図5を参照して、当接離間状態を切り替える当接離間手段としての当接離間機構の構成及び当接離間動作について説明する。図3は、当接離間機構が有するカム部材の正面図及び側面図である。図4は、当接離間機構の全体構成を模式的に示す。図5は、当接離間機構による当接離間動作を模式的に示す。
【0054】
図3に示すように、切り替え部材としてのカム部材60は、図中矢印R3方向に回転して、二次転写ローラ10を移動させる移動部材としての第1のバネ71とICLローラ39を移動させる移動部材としての第2のバネ72とを押圧する。これによって、二次転写ローラ10とICLローラ39の位置が移動される。
【0055】
第1、第2のバネ71、72は、押圧されない場合はそれぞれ二次転写ローラ10、ICLローラ39を中間転写体9に対して当接位置にし、押圧された場合は離間位置にする。
【0056】
図3に示すように、カム部材60は、回転中心60aからの距離に応じて大きく分けて3つの面(60b、60c、60d)を有している。そして、第1、第2のバネ71、72の位置にどの面があるかに応じて、当接離間状態が決まる。そのため、本実施例では、当接離間状態として3つの状態を有することになる。
【0057】
図4に示すように、カム部材60はギア列で駆動源と連結されている。最終端のギア83は、ソレノイド82が一定時間吸引動作をすることにより爪が外れ、駆動源としての定着装置25を駆動する定着モータ92の駆動によって1回転する。又、最終端のギア83が1回転すると、カム部材60は1/3回転するように構成されている。従って、当接離間状態は、ソレノイド82の駆動によって、3つの状態を順に遷移する。ソレノイド82はエンジン制御部202のCPU211が出力する信号によって、ソレノイド駆動回路81を介して駆動される。定着モータ92は、エンジン制御部202のCPU211が出力する信号によって、モータドライバ91を介して駆動される。
【0058】
カム部材60の第1の面60bが第1、第2のバネ71、72の位置に到達した場合は、第1のバネ71と第2のバネ72は押圧されない。そのため、二次転写ローラ10とICLローラ39は共に、中間転写体9に当接する位置となる(図5(a))。又、カム部材60の第2の面60cが第1、第2のバネ71、72の位置に到達した場合は、第1のバネ71と第2のバネ72は両方押圧される。そのため、二次転写ローラ10とICLローラ39は共に、中間転写体9から離間した位置となる(図5(c))。又、カム部材60の第3の面60dが第1、第2のバネ71、72の位置に到達した場合は、第1のバネ71は押圧されず、第2のバネ72は押圧される。そのため、二次転写ローラ10は中間転写体9に当接した位置に、又ICLローラ39は中間転写体9から離間した位置となる(図5(b))。
【0059】
本実施例では、当接離間機構による当接離間動作は、制御手段としてのエンジン制御部202(より詳細には、CPU211)によって制御される。エンジン制御部202は、エンジン制御部202が備える記憶手段たるメモリ(図示せず)に記憶されたプログラム、データに従って当接離間動作を制御する。
【0060】
5.電流検出手段
図6は、本実施例の画像形成装置100が備える二次転写ローラ10とICLローラ39に電圧を印加する電圧印加手段、及び二次転写ローラ10とICLローラ39に電圧が印加されることで流れる電流を検出する電流検出手段を示す。
【0061】
二次転写ローラ10とICLローラ39に電圧を印加する電圧印加手段としての電源回路50は、正電圧印加電源(高圧電源)51と負電圧印加電源(高圧電源)52とを有する。正電圧印加電源51は、CPU211からの信号S10によって、二次転写ローラ10とICLローラ39に正極性の電圧を印加する。又、負電圧印加電源52は、CPU211からの信号S11によって、二次転写ローラ10とICLローラ39に負極性の電圧を印加する。
【0062】
本実施例では、二次転写ローラ10とICLローラ39に電圧が印加されることで流れる電流を検出する電流検出手段としての電流検出回路300は、正電流のみ検出可能である。電源回路50によって二次転写ローラ10とICLローラ39に電圧が印加されると、電流検出回路300によって正電流が検出され、アナログ信号S12に変換される。アナログ信号S12は、CPU211に入力された後、A/D変換されて、デジタル値である検出電流値に変換される。
【0063】
電流検出回路300について更に説明する。電流検出回路300において、演算増幅器301、ダイオード302、抵抗303、304が図示のように接続されている。正電圧印加電源51から出力された高圧電流は、二次転写ローラ10、ICLローラ39から中間転写体9を通り、画像形成装置100のグランドに流れる。この高圧電流は、更にグランドから抵抗304及び演算増幅器301の出力部を通り、抵抗303を通り、正電圧印加電源51のグランド側に戻る。この時の電流Iの向きを図中矢印Eで示す。
【0064】
演算増幅器301は電流を電圧に変換する機能を持つ。抵抗303の抵抗値をRとする。この場合、演算増幅器301の出力部には電流Iと抵抗Rの積であるI・Rの電圧が出力される。CPU211には、抵抗値Rが予め入力されており、CPU211に入力された後にA/D変換された電圧値を抵抗値Rで割り算することにより、電流値Iを求めることができる。
【0065】
ここで、負電圧印加電源52から出力された場合について説明する。この場合、図中矢印Eとは逆向きの電流が流れ、演算増幅器301のマイナス入力に流れ込む。この電流は、演算増幅器301が反転増幅器であるため、出力をマイナス側に振らせる。場合によってはCPU211の入力下限電圧を下回り、CPU211を破損させることがある。そこで、本実施例では、ダイオード302を抵抗303と並列に接続し、電流Iが図中矢印Eとは逆方向に流れる場合は、電流をダイオード302の方に流してしまう。ダイオード302の順方向に電流が流れた場合、ダイオード302の両端の電圧はほぼゼロとなり、R・Iに比例した電圧を発生させない。従って、演算増幅器301の出力はマイナス側に振れない。このようにして、負電圧印加電源52が動作した場合に、CPU211の入力に入力下限電圧を下回る電圧が印加されることを防ぎ、CPU211の破損を防ぐことができる。
【0066】
6.二次転写ローラ及びICLローラと中間転写体との当接離間状態の判別
次に、二次転写ローラ10及びICLローラ39の中間転写体9に対する当接離間状態を判別する当接離間状態判別動作について説明する。
【0067】
本実施例では、当接離間状態判別動作において、当接離間状態検知用の試験トナー像である所定のパターンのトナー像(以下「検知パターン」という。)X(図11参照)を中間転写体9上に形成する。この検知パターンXは、転写材2に転写して出力するための通常の画像用のトナー像と同様にして感光ドラム1に形成し、これを中間転写体9上に一次転写することで、中間転写体9上に形成する。この中間転写体9上の検知パターンXを、正電圧印加電源51から二次転写ローラ10とICLローラ39とに電圧を印加した状態で、二次転写部N2とトナー帯電部N3とを通過させる。その際に二次転写ローラ10とICLローラ39とに流れる電流を電流検出回路300で検出して、検出した電流値が所定の閾値以上変化した回数(以下、単に「電流変化回数」ともいう。)をCPU211でカウントする。そして、その電流変化回数から二次転写ローラ10及びICLローラ39の中間転写体9に対する当接離間状態を判別する。
【0068】
上記所定の閾値は、電流検出回路300が電流を検出する際の検出性能のバラツキ、中間転写体9の表面抵抗のバラツキなどを考慮して決定することが好ましい。
【0069】
本実施例では、電流検出回路300によって検出される電流値の変化を大きくするために、検知パターンXは、中間転写体9の表面の移動方向と略直交する方向(スラスト方向)に長いパターンとする。即ち、本実施例では、検知パターンXは、二次転写ローラ10及びICLローラ39の長手方向(回転軸線方向)に沿って長いパターンである。特に、本実施例では、検知パターンXとして、図11(a)に示すように同形状の3つの検知パターンX1、X2、X3を使用する。この3つの検知パターンX1、X2、X3の使用方法は、後述して詳しく説明する。
【0070】
尚、当接離間状態を判別した後は、二次転写ローラ10、ICLローラ39及び中間転写体9のクリーニングが必要である。そのため、本実施例では、当接離間状態判別動作は、上記クリーニングのための十分の時間が確保できるように、画像形成装置100の電源ON時のエンジン初期化動作時に実施する。
【0071】
図13は、3つの当接離間状態に対して測定される電流変化回数を示す。ここで、二次転写ローラ10とICLローラ39が共に中間転写体9から離間した状態をP1とする。二次転写ローラ10が中間転写体9に当接し、ICLローラ39が中間転写体9から離間した状態をP2とする。二次転写ローラ10とICLローラ39が共に中間転写体9に当接した状態をP3とする。この場合、本実施例の画像形成装置100では、P1、P2、P3の順に遷移するようになっている。又、二次転写ローラ10とICLローラ39には、トナーの正規の帯電極性(本実施例では負極性)とは逆極性(本実施例では正極性)の、定電圧制御された所定の電圧が印加されているものとする。
【0072】
P1の状態では、検知パターンXは二次転写ローラ10とICLローラ39とに接しない。そのため、検知パターンXが二次転写部N2とトナー帯電部N3とを通過した際に、電流検出回路300によって検出される電流値が所定の閾値以上に変化することはない。従って、電流変化回数は0回である。このとき、二次転写ローラ10及びICLローラ39は中間転写体9から離れているので、二次転写ローラ10とICLローラ39には実際には電流は殆ど流れない。内部抵抗などに流れ込むなどして電流が流れることはあるが、検知パターンXが二次転写部N2とトナー帯電部N3とを通過する際にその電流が上記所定の閾値以上変化することはない。
【0073】
P2の状態では、検知パターンXは二次転写ローラ10に接するがICLローラ39には接しない。そのため、検知パターンXが二次転写部N2を通過した際に、電流検出回路300によって検出される電流値が所定の閾値以上変化する。従って、電流変化回数は1回である。
【0074】
P3の状態では、検知パターンXは二次転写ローラ10とICLローラ39とに接する。そのため、検知パターンXが二次転写部N2を通過した際及びトナー帯電部N3を通過した際に、電流検出回路300によって検出される電流値が所定の閾値以上変化する。従って、電流変化回数は2回である。
【0075】
尚、電流検出回路300によって検出される電流値が所定の閾値以上変化する際には、二次転写ローラ10又はICLローラ39と中間転写体9との間に検知パターンXのトナーが介在する。そのため、電気抵抗が増し、電流値は減少する方向に変化する。
【0076】
図12は、一例として、P3の状態において電流検出回路300で検出される電流値の変化の様子を示す。電流検出回路300で検出される電流値が所定の閾値以上に変化するタイミングが2回あることが分かる。図中D1は検知パターンXが二次転写部N2を通過した時、図中D2は検知パターンXがトナー帯電部N3を通過した時の電流値の変化である。
【0077】
本実施例では、この性質を利用して、二次転写ローラ10及びICLローラ39の中間転写体9に対する当接離間状態を判別する。
【0078】
本実施例では、当接離間状態判別動作は、エンジン制御部202(より詳細には、CPU211)が判別手段として機能することで、エンジン制御部202によって制御される。上述のように、又以下に更に詳しく説明するように、当接離間状態判別動作では、検知パターンXの形成、電流検出回路300による電流値の検出、電流変化回数の計数、当接離間機構による当接離間動作などの制御が行われる。エンジン制御部202は、エンジン制御部202が備える記憶手段たるメモリ(図示せず)に記憶されたプログラム、データに従って当接離間状態判別動作を制御する。
【0079】
即ち、本実施例では、判別手段としてのエンジン制御部202は、中間転写体9上に試験トナー像である検知パターンXを形成させる。又、エンジン制御部202は、中間転写体9上の検知パターンXを二次転写ローラ10及びICLローラ39に電圧を印加した状態で二次転写部N2及びトナー帯電部N3に通過させる。そして、エンジン制御部202は、その際に電流検出回路300によって検出された電流値の変化から、二次転写ローラ10及びICLローラ39の中間転写体9に対する当接離間状態が前述の第1の状態から第3の状態のいずれの状態であるかを判別する。
【0080】
特に、本実施例では、エンジン制御部202は、当接離間手段としての当接離間機構により、二次転写ローラ10及びICLローラ39の中間転写体9に対する当接離間状態を切り替える動作を実行させる。それと共に、エンジン制御部202は、当接離間状態が前述の第1の状態から第3の状態のいずれかの状態である異なる3つの状態でそれぞれ中間転写体9上に検知パターンXを形成させる。又、エンジン制御部202は、中間転写体9上のそれぞれの検知パターンXを二次転写ローラ10及びICLローラ39に電圧を印加した状態で二次転写部N2及びトナー帯電部N3に通過させる。そして、エンジン制御部202は、上記異なる3つの状態のそれぞれに対応して電流検出回路300によって検出された電流値が所定の閾値以上変化した回数から、当該状態が前述の第1の状態から第3の状態のいずれの状態であるかを判別する。より詳細には、エンジン制御部202は、上記異なる3つの状態のそれぞれに対応して電流検出回路300によって検出された電流値が所定の閾値以上変化した回数(電流変化回数)を計数する。そして、エンジン制御部202は、電流変化回数が0回であった際の当接離間状態は前述の第1の状態であると判別する。又、エンジン制御部202は、電流変化回数が1回であった際の当接離間状態は前述の第2の状態であると判別する。又、エンジン制御部202は、電流変化回数が2回であった際の当接離間状態は前述の第3の状態であると判別する。又、特に、本実施例では、エンジン制御部202は、1つの検知パターンXがトナー帯電部N3を通過した後に次の検知パターンXが二次転写部N2に到達するまでに、当接離間機構により当接離間状態を切り替える動作を実行させる。
【0081】
次に、図7及び図8を参照して、当接離間状態判別動作を更に具体的に説明する。図7は、検知パターンXの形成動作のフローチャートである。図8は、当接離間状態を判別する処理のフローチャートである。本実施例では、当接離間状態を判別した後に、トナーが付着した二次転写ローラ10及びICLローラ39をクリーニングする。その後、当接離間状態をP1の状態にして、当接離間状態判別動作を終了する。尚、図7に示す処理と図8に示す処理は並列で実行される。
【0082】
図7を参照して、エンジン制御部202は、検知パターンX1を感光ドラム15上に形成させ、これを中間転写体9上に一次転写させて、検知パターンXの合計形成数をカウントする(S101)。当初、形成数は1なので(S102)、最初の検知パターンX1の一次転写が開始されたタイミングから次の検知パターンX2の形成開始タイミングの計測を開始する(S103)。
【0083】
ここで、次の検知パターンX2の形成開始までの時間T1(msec)は、次のように設定することが望ましい。即ち、最初の検知パターンX1がトナー帯電部N3を通過してから、当接離間状態の切り替えを開始する。そして、当接離間状態の切り替え動作が終了したタイミングで次の検知パターンX2が二次転写部N2に到達するような時間である。更に、制御にかかる時間を短くするなどのために、合計3つの検知パターンX(X1、X2、X3)が中間転写体9の1周以内に形成されるようにT1を調節することが望ましい。
【0084】
次に、エンジン制御部202は、時間T1が経過したタイミングで(S104)、2つ目の検知パターンX2を形成する。その後、同様の処理を行い(S101〜S104)、3つ目の検知パターンX3を形成する。検知パターンXが3つ形成されると(S102)、エンジン制御部202は検知パターンXを形成する処理を終了する。
【0085】
図8を参照して、エンジン制御部202は、1つ目の検知パターンX1が中間転写体9上に一次転写されたタイミングから、電流検出回路300による電流値の測定を開始する。このとき、二次転写ローラ10とICLローラ39に正電圧印加電源51からトナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧を印加する。又、このとき、エンジン制御部202は、1つ目の検知パターンXについての電流値の測定を終了するタイミングまでのタイミングの計測を開始する(S201)。ここで、エンジン制御部202は、1つ目の検知パターンX1がトナー帯電部N3を通過し終わるタイミングを、1つ目の検知パターンX1についての電流値の測定を終了するタイミング(以下、「測定終了タイミング」ともいう。)に設定する。この測定終了タイミングは、中間転写体9上の一次転写部N1からトナー帯電部N3までの距離、中間転写体9の回転速度、及び検知パターンXの搬送方向の長さによって決まる。
【0086】
その後、エンジン制御部202は、検出された電流値が所定の閾値以上に変化(立ち下がり)するか否かを監視し(S202)、変化した場合はその回数(電流変化回数)をカウントする(S203)。その後、測定終了タイミングに到達するまで待つ(S204)。そして、測定終了タイミングに到達したら、エンジン制御部202は、測定終了タイミングに到達した回数(以下「測定回数」ともいう。)をカウントし、エンジン制御部202のメモリ(図示せず)の当該測定回数に対応する電流変化回数の記憶位置に、当該測定回数に対応する電流変化回数を記憶させる(S205)。エンジン制御部202は、測定回数はまだ1回であるので(S206)、メモリの測定回数に対応する電流変化回数の記憶位置を2回目の記憶位置へと進める(S207)。そして、エンジン制御部202は、次の測定終了タイミングを図7の処理におけるT1に設定し(S208)、当接離間状態を1つ切り替える(S209)。引き続き、1回目の測定と同様の処理を行い(S202〜S209)、3回目の測定終了タイミングに到達するまで繰り返す(S202〜S206)。
【0087】
測定回数が3回になったら(S206)、エンジン制御部202は、測定回数とそれに対応する電流変化回数とを参照する(S210)。エンジン制御部202は、3回目の測定に対応する電流変化回数が0回である場合は(S211)、現在の当接離間状態はP1の状態であると判断する。そして、エンジン制御部202は、当接離間状態を2回切り替えてP3の状態にする(S212)。又、エンジン制御部202は、2回目の測定に対応する電流変化回数が0回である場合は(S213)、現在の当接離間状態はP2の状態であると判断する。そして、エンジン制御部202は、当接離間状態を1回切り替えてP3の状態にする(S214)。尚、本実施例では、エンジン制御部202は、3回目と2回目のいずれの測定に対応する電流変化回数も0回ではない場合に、1回目の測定に対応する電流変化回数が0回であると判断し、現在の当接離間状態はP3の状態にあると判断する。この場合、エンジン制御部202は、当接離間状態の切り替えは行わず、P3の状態を維持する。
【0088】
その後、二次転写ローラ10とICLローラ39が共に中間転写体9に当接した状態で、二次転写ローラ10とICLローラ39に負電圧印加電源52からトナーの正規の帯電極性と同極性の電圧を印加する。これにより、二次転写ローラ10及びICLローラ39のそれぞれに付着したトナーを中間転写体9上に戻す(S215)。又、このとき、前述の中間転写体9から感光ドラム15にトナーを移動させて回収する処理により、中間転写体9をクリーニングする(S215)。クリーニングが完了したら(S216)、次の画像形成動作に備えて、当接離間状態を1回切り替えてP1の状態として(S217)、処理を終了する。
【0089】
尚、本実施例では、1回目の測定は、当接離間状態の切り替え動作を行う前に行い、2回目、3回目の測定は、それぞれ当接離間状態の切り替え動作を行った後に行うことで、合計3つの測定結果を得た。しかし、本発明は斯かる態様に限定されるものではなく、1回目、2回目、3回目の測定を、いずれも当接離間状態の切り替え動作を行った後に行って、合計3つの測定結果を得るようにしてもよい。
【0090】
又、本実施例では、電流変化回数が0回という測定結果が得られた測定は何回目の測定であったか、又その測定時からの当接離間状態の切り替え回数は何回であるか、ということから、現在の当接離間状態を求めた。しかし、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。例えば、電流変化回数が0回という測定結果が得られた測定は何回目の測定であったかを求める代わりに、電流変化回数が1回又は2回という測定結果が得られた測定は何回目の測定であったかを求めてもよい。或いは、より直接的に、各測定回数に対応する電流変化回数から、各回の測定時の当接離間回数を求め、各測定時からの当接離間状態の切り替え回数をも考慮して、現在の当接離間状態を求めてもよい。
【0091】
又、本実施例では、二次転写ローラ10及びICLローラ39には、電流検出時には正電圧が印加され、トナーを中間転写体9に戻すときには負電圧が印加されるが、電流検出回路300としては正電圧が印加されているときのみ電流検出を行えればよい。
【0092】
以上、本実施例によれば、転写電圧の制御などのために画像形成装置100に既設の電流検出回路300を用いて、二次転写ローラ10及びICLローラ39の中間転写体9に対する当接離間状態を判別することが可能となる。又、当該画像形成装置100のその時点における、検知パターンXが二次転写部N2とトナー帯電部N3を通過する際の電流値の変化を検出するので、環境、装置の個体差、或いは部材の摩耗などによって影響を受けることなく当接離間状態を判別することができる。従って、本実施例によれば、専用の手段を追加せずに、環境や個体差や部材の摩耗による影響を受けることなく、二次転写ローラ10及びICLローラ39の中間転写体9に対する当接離間状態を判別することができる。
【0093】
実施例2
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0094】
本実施例では、当接離間状態の判別が失敗した場合、当接離間状態判別動作を再度実行(リトライ)することで、当接離間状態を正常に判別できる可能性を高める。このリトライは、前回の当接離間状態判別動作で失敗した要因を改善する動作を伴う。
【0095】
更に説明すると、リトライが必要な場合は、合計3つの電流変化回数の測定結果のうち少なくとも2つの電流変化回数の測定結果が同じ場合である。このようになる主な要因は2つある。1つは、検知パターンXの濃度が最適でなく、電流値の検出に際しての二次転写部N2やトナー帯電部N3での検知パターンXの電気抵抗としての効果が弱い場合である。もう1つは、当接離間機構の異常が発生した場合である。
【0096】
前者の要因に関しては、使用するトナー量を増して検知パターンXの濃度を濃くすることによって当接離間状態の判別が成功する見込みがある。又、後者の要因に関しては、当接離間状態判別動作を再度実行することによって判別が成功する見込みがある。
【0097】
本実施例では、電流変化回数からリトライが必要である場合を判断し、当接離間状態の判別が失敗した要因の1つである検知パターンXの濃度を変更して、リトライを実行する。つまり、本実施例では、当接離間状態判別動作をもう1回行うのに加え、検知パターンX(特に、本実施例ではその濃度)を変更することによって、当接離間状態を判別できる可能性を高める。
【0098】
図9は、本実施例におけるリトライも含む当接離間状態を判別する処理のフローチャートである。実施例1にて説明した図8の処理と共通する部分の説明は省略し、主に本実施例において特徴的な部分について説明する。
【0099】
図9を参照して、3つの電流変化回数の測定結果を取得する処理までのS301〜S310の処理は、実施例1にて説明した図8のフローチャートのS201〜S210の処理と同様である。
【0100】
エンジン制御部202は取得した電流変化回数の3つの測定結果を比較し(S318)、3つの測定結果がそれぞれ異なる場合は、実施例1にて説明した図8のフローチャートにおけるS211〜S217と同様の処理を行う(S311〜S317)。一方、エンジン制御部202は、3つの測定結果のうち同じ測定結果がある場合は、リトライ中であるか否かを判断する(S319)。そして、リトライ中ではないと判断した場合は、エンジン制御部202は、検知パターンXの濃度が前回よりも増すように、レーザスキャナ装置30のレーザ光量と、帯電電圧及び現像電圧とを設定し(S320)、リトライを開始する(S321)。尚、リトライ時の検知パターンXは、中間転写体9上に既に形成されている検知パターンXに重ならないタイミングで形成される必要がある。又、リトライ中であると判断した場合は、エンジン制御部202は、リトライをしても当接離間機構が正常に動作しない見込みであるため、故障をユーザに報知し、処理を終了する(S322)。ユーザに対する故障の報知は、エンジン制御部202が、画像形成装置100の本体に設けられた情報伝達手段としての表示部に、その旨を表示させる信号を入力することで行うことができる。或いは、ユーザに対する故障の報知は、エンジン制御部202が、画像形成装置100の本体と通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部機器に、その旨を表示させる信号を入力することで、当該外部機器において行うことができる。
【0101】
以上、本実施例によれば、実施例1と同様に、転写電圧の制御などのために画像形成装置100に既設の電流検出回路300を用いて、二次転写ローラ10及びICLローラ39の中間転写体9に対する当接離間状態を判別することが可能となる。更に、本実施例では、当接離間状態判別動作を実行して正常に当接離間状態を判別できなかった場合に、失敗した要因を改善してリトライを実行することによって、当接離間状態の判別の成功の可能性を高めることが可能となる。
【0102】
実施例3
次に、本発明に係る他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1の画像形成装置のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0103】
実施例1及び2では、検知パターンを3つ形成して、当接離間機構が3つの当接離間状態で確実に動作していることを検知した。これに対して、本実施例では、図11(b)に示す通り、検知パターンXを1つ形成して、現在の当接離間状態のみを判別する。本実施例の方法は、実施例1及び2の方法と比べると、形成する検知パターンXを少なくできるため、当接離間状態判別動作の時間が短くなるという利点がある。
【0104】
図10は、本実施例における当接離間状態を判別する処理のフローチャートである。尚、各当接離間状態と電流変化回数との関係は実施例1にて説明した通りである。
【0105】
図10を参照して、エンジン制御部202は、検知パターンXを感光ドラム15上に形成させ、これを中間転写体9上に一次転写させる(S401)。エンジン制御部202は、中間転写体9上に一次転写されたタイミングから、電流検出回路300による電流値の測定を開始する。このとき、二次転写ローラ10とICLローラ39に正電圧印加電源51からトナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧を印加する。又、このとき、エンジン制御部202は、電流値の測定を終了するタイミングまでのタイミングの計測を開始する(S402)。ここで、エンジン制御部202は、検知パターンXがトナー帯電部N3を通過し終わるタイミングを、電流値の測定を終了するタイミング(測定終了タイミング)に設定する。この測定終了タイミングは、中間転写体9上の一次転写部N1からトナー帯電部N3までの距離、中間転写体9の回転速度、検知パターンXの搬送方向の長さによって決まる。
【0106】
その後、エンジン制御部202は、検出された電流値が所定の閾値以上に変化(立ち下がり)するか否かを監視し(S403)、変化した場合はその回数(電流変化回数)をカウントする(S404)。その後、測定終了タイミングに到達するまで待つ(S405)。
【0107】
測定終了タイミングに到達したら、エンジン制御部202は、電流変化回数を参照し、電流変化回数が0回である場合は(S406)、現在の当接離間状態はP1の状態であると判断する。そして、エンジン制御部202は、当接離間状態を2回切り替えてP3の状態にする(S407)。又、エンジン制御部202は、電流変化回数が1回である場合は(S408)、現在の当接離間状態はP2の状態であると判断する。そして、エンジン制御部202は、当接離間状態を1回切り替えてP3の状態にする(S409)。尚、本実施例では、エンジン制御部202は、電流変化回数が0回でも1回でもない場合に、電流変化回数が2回であると判断し、現在の当接離間状態はP3の状態にあると判断する。この場合、エンジン制御部202は、当接離間状態の切り替えは行わず、P3の状態を維持する。
【0108】
その後、二次転写ローラ10とICLローラ39が共に中間転写体9に当接した状態で、二次転写ローラ10とICLローラ39に負電圧印加電源52からトナーの正規の帯電極性と同極性の電圧を印加する。これにより、二次転写ローラ10及びICLローラ39のそれぞれに付着したトナーを中間転写体9上に戻す(S410)。又、このとき、前述の中間転写体9から感光ドラム15にトナーを移動させて回収する処理により、中間転写体9をクリーニングする(S410)。クリーニングが完了したら(S411)、次の画像形成動作に備えて、当接離間状態を1回切り替えてP1の状態として(S412)、処理を終了する。
【0109】
以上、本実施例によれば、転写電圧の制御などのために画像形成装置100に既設の電流検出回路300を用いて、実施例1及び2よりもより簡易な方法で、転写ローラ10及びICLローラ39と中間転写体9との当接離間状態を判別することが可能となる。
【符号の説明】
【0110】
9 中間転写体
10 二次転写ローラ
15 感光ドラム
39 ICLローラ
300 電流検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体にトナー像を形成する画像形成手段と、前記像担持体に形成されたトナー像が一次転写される中間転写体と、電圧が印加されることで前記像担持体から前記中間転写体にトナー像を一次転写部で一次転写する一次転写手段と、電圧が印加されることで前記中間転写体から転写材にトナー像を二次転写部で二次転写する、前記中間転写体に対して当接及び離間が可能な二次転写部材と、電圧が印加されることで前記二次転写後に前記中間転写体上に残留したトナーをトナー帯電部で帯電する、前記中間転写体に対して当接及び離間が可能なトナー帯電部材と、を有し、前記二次転写後に前記中間転写体上に残留したトナーを、前記トナー帯電部材により帯電させた後に前記一次転写部で前記中間転写体から前記像担持体に移動させる動作を行う画像形成装置において、
前記二次転写部材と前記トナー帯電部材に電圧が印加されることで流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記二次転写部材及び前記トナー帯電部材の前記中間転写体に対する当接離間状態を、前記二次転写部材と前記トナー帯電部材が共に前記中間転写体から離間した第1の状態と、前記二次転写部材が前記中間転写体に当接し前記トナー帯電部材が前記中間転写体から離間した第2の状態と、前記二次転写部材と前記トナー帯電部材が共に前記中間転写体に当接した第3の状態と、に切り替える当接離間手段と、
前記当接離間状態を判別する判別手段と、
を有し、
前記判別手段は、前記中間転写体上に試験トナー像を形成させ、前記中間転写体上の前記試験トナー像を前記二次転写部材及び前記トナー帯電部材に電圧を印加した状態で前記二次転写部及び前記トナー帯電部に通過させて、その際に前記電流検出手段によって検出された電流値の変化から前記当接離間状態が前記第1の状態から前記第3の状態のいずれの状態であるかを判別することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記当接離間手段により前記当接離間状態を切り替える動作を実行させると共に、前記当接離間状態が前記第1の状態から前記第3の状態のいずれかの状態である異なる3つの状態でそれぞれ前記中間転写体上に前記試験トナー像を形成させ、前記中間転写体上のそれぞれの前記試験トナー像を前記二次転写部材及び前記トナー帯電部材に電圧を印加した状態で前記二次転写部及び前記トナー帯電部に通過させて、前記異なる3つの状態のそれぞれに対応して前記電流検出手段によって検出された電流値が所定の閾値以上変化した回数から当該状態が前記第1の状態から前記第3の状態のいずれの状態であるかを判別することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判別手段は、1つの前記試験トナー像が前記トナー帯電部を通過した後に次の前記試験トナー像が前記二次転写部に到達するまでに、前記当接離間手段により前記当接離間状態を切り替える動作を実行させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判別手段は、前記異なる3つの状態のそれぞれに対応して前記電流検出手段によって検出された電流値が所定の閾値以上変化した回数を計数し、前記回数が0回であった際の前記当接離間状態は前記第1の状態であり、前記回数が1回であった際の前記当接離間状態は前記第2の状態であり、前記回数が2回であった際の前記当接離間状態は前記第3の状態であると判別することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判別手段は、前記異なる3つの状態のそれぞれに対応して前記電流検出手段によって検出された電流値が所定の閾値以上変化した回数を計数し、計数した回数の少なくとも2つが同じ場合には、前記当接離間状態を判別する動作を再度実行することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記再度の判別動作における前記試験トナー像の濃度は、前回の判別動作における前記試験トナー像の濃度よりも高いことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判別手段は、前記中間転写体上に前記試験トナー像を1つ形成させ、前記中間転写体上の1つの前記試験トナー像を前記二次転写部材及び前記前記トナー帯電部材に電圧を印加した状態で前記二次転写部材及び前記トナー帯電部材に通過させて、その際に前記電流検出手段によって検出された電流値が所定の閾値以上変化した回数から前記当接離間状態が前記第1の状態から前記第3の状態のいずれの状態であるかを判別することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記判別手段は、前記電流検出手段によって検出された電流値が所定の閾値以上変化した回数を計数し、前記回数が0回であった場合は前記電流値の検出の際の前記当接離間状態は前記第1の状態であり、前記回数が1回であった場合は前記電流値の検出の際の前記当接離間状態は前記第2の状態であり、前記回数が2回であった場合は前記電流値の検出の際の前記当接離間状態は前記第3の状態であると判別することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記電流検出手段は、前記二次転写部材と前記トナー帯電部材にトナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧が印加されている時のみ電流を検出することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−63555(P2012−63555A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207298(P2010−207298)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】