説明

画像形成装置

【課題】
印刷媒体が前後にずれて重なって送られたときに、そのまま印刷ジョブを継続しても問題なく画像が形成される場合には印刷ジョブを継続し、これ以外の場合には、印刷ジョブを中止して排紙することにより、無駄に印刷ジョブが中止される機会を軽減し、ユーザの利便性を向上させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】
搬送路上にある前記印刷媒体の媒体厚さを検知する媒体厚さ検知手段と、媒体厚さ検知手段により検知された媒体厚さの変化量を算出する媒体厚さ変化量算出手段と、媒体厚さ変化量算出手段により算出された媒体厚さの変化量に基づき印刷媒体の重送が発生したか否かを判断する重送判断手段とを備え、印刷媒体の重送が発生した場合でも、媒体厚さの変化量が所定値に満たないときには、重送判断手段は画像形成手段による印刷画像の形成を継続させることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体等に画像を印刷する画像形成装置において、印刷媒体が重なって送られる状態、いわゆる重送が発生したときに、当該印刷媒体の厚さを計測して異常を検知し、印刷媒体への印刷にかかる印刷ジョブを停止するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−249075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、重送が発生したとしても、画像形成面側にある印刷媒体が他の印刷媒体に先行して前後にずれた状態で搬送されたならば、形成されるべき画像は画像形成面側にある印刷媒体に対して正確な書き出し位置で形成されることになる。したがって、このような状態であれば、そのまま印刷ジョブを継続しても問題がないにもかかわらず、従来の画像形成装置では、画像形成途中で一律に印刷ジョブを停止するため、印刷媒体が無駄になるといった問題があった。また、印刷ジョブの中止により、重送を起こした印刷媒体を画像形成装置から取り除いた上で、再度ユーザが印刷ジョブを再送信する必要があり、ユーザにとって不便なものであった。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、印刷媒体が前後にずれて重なって送られたときに、そのまま印刷ジョブを継続しても問題なく画像が形成される場合には印刷ジョブを継続し、これ以外の場合には、印刷ジョブを中止して排紙することにより、無駄に印刷ジョブが中止される機会を軽減し、ユーザの利便性を向上させることができる画像形成装置を提供することである。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像形成装置は、像担持体上に形成された現像剤像を印刷媒体に転写して印刷画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、搬送路上にある前記印刷媒体の媒体厚さを検知する媒体厚さ検知手段と、媒体厚さ検知手段により検知された媒体厚さの変化量を算出する媒体厚さ変化量算出手段と、媒体厚さ変化量算出手段により算出された媒体厚さの変化量に基づき印刷媒体の重送が発生したか否かを判断する重送判断手段とを備え、印刷媒体の重送が発生した場合でも、媒体厚さの変化量が所定値に満たないときには、重送判断手段は画像形成手段による印刷画像の形成を継続させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる他の画像形成装置は、像担持体上に形成された現像剤像を印刷媒体に転写して印刷画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、搬送路上にある印刷媒体の媒体厚さを検知する媒体厚さ検知手段と、媒体厚さ検知手段により検知された媒体厚さの変化量を算出する媒体厚さ変化量算出手段と、媒体厚さ変化量算出手段により算出された媒体厚さの変化量に基づき印刷媒体の重送が発生したか否かを判断する重送判断手段と、印刷媒体を画像形成手段に給紙する複数の印刷媒体供給元と、画像形成に用いられる印刷媒体供給元を判別する供給元判別手段とを備え、重送判断手段は、印刷媒体の重送が発生したと判断したとき、供給元判別手段の判別結果に基づき画像形成手段による印刷画像の形成を継続させるか否かを判断することを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明にかかる他の画像形成装置は、像担持体上に形成された現像剤像を印刷媒体に転写して印刷画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、搬送路を通過する印刷媒体の搬送方向先端部通過、及び後端部通過のそれぞれを検出する媒体検出手段と、検知手段による検知結果に基づき、印刷媒体の搬送方向長さを算出する印刷媒体長さ算出手段と、予め設定された印刷画像が形成される出力印刷媒体の搬送方向長さを取得する出力印刷媒体長さ取得手段と、印刷媒体長さ算出手段により算出された印刷媒体の搬送方向長さと出力印刷媒体長さ取得手段により取得された出力印刷媒体の搬送方向長さとを比較する比較手段と、搬送路上にある印刷媒体の媒体厚さを検知する媒体厚さ検知手段と、媒体厚さ検知手段により検知された媒体厚さの変化量を算出する媒体厚さ変化量算出手段と、媒体厚さ変化量算出手段により算出された媒体厚さの変化量に基づき印刷媒体の重送が発生したか否かを判断する重送判断手段とを備え、重送判断手段は、比較手段による比較結果に差が生じ、媒体厚さの変化量が所定値以上となったときには、画像形成手段による印刷画像の形成を中止させることを特徴とする。
【0009】
さらにまた、本発明にかかる他の画像形成装置は、像担持体上に形成された現像剤像を印刷媒体に転写して印刷画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、搬送路を通過する印刷媒体の搬送方向先端部通過、及び後端部通過のそれぞれを検出する媒体検出手段と、検知手段による検知結果に基づき、印刷媒体の搬送方向長さを算出する印刷媒体長さ算出手段と、予め設定された印刷画像が形成される出力印刷媒体の搬送方向長さを取得する出力印刷媒体長さ取得手段と、印刷媒体長さ算出手段により算出された印刷媒体の搬送方向長さと出力印刷媒体長さ取得手段により取得された出力印刷媒体の搬送方向長さとを比較する比較手段と、搬送路上にある印刷媒体の媒体厚さを検知する媒体厚さ検知手段と、媒体厚さ検知手段により検知された媒体厚さの変化量を算出する媒体厚さ変化量算出手段と、媒体厚さ変化量算出手段により算出された媒体厚さの変化量に基づき印刷媒体の重送が発生したか否かを判断する重送判断手段と、印刷媒体を画像形成手段に給紙する複数の印刷媒体供給元と、画像形成に用いられる印刷媒体供給元を判別する供給元判別手段とを備え、重送判断手段は、比較手段による比較結果に差が生じ、印刷媒体の重送が発生したと判断したとき、供給元判別手段の判別結果に基づき画像形成手段による印刷画像の形成を継続させるか否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷媒体が前後にずれて重なって送られたときに、そのまま印刷ジョブを継続しても問題なく画像が形成される場合には印刷ジョブを継続し、これ以外の場合には、印刷ジョブを中止して排紙することにより、無駄に印刷ジョブが中止される機会を軽減し、ユーザの利便性を向上させることができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プリンタの概略構成を説明するための模式図である。
【図2】プリンタの機能構成を説明する機能ブロック図である。
【図3】紙厚センサを説明する模式図である。
【図4】本来それぞれ1枚ずつ搬送されるべき印刷媒体が前後にずれた状態で2枚重なって搬送されている状態を表す模式図である。
【図5】プリンタが実行する動作全体の流れを説明するフローチャートである。
【図6】図5の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図7】図5の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図8】図5の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図9】図5の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図10】図5の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図11】重送検知処理を説明するフローチャートである。
【図12】印刷媒体の供給元の違いと重送された印刷媒体の関係を説明する図である。
【図13】印刷媒体の供給元の違いと重送された印刷媒体に形成された画像の配置関係を説明する図である。
【図14】プリンタが実行する動作全体の流れを説明するフローチャートである。
【図15】図14の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図16】図14の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図17】図14の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図18】図14の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図19】図14の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図20】図14の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図21】プリンタの機能構成を説明する機能ブロック図である。
【図22】プリンタが実行する動作全体の流れを説明するフローチャートである。
【図23】図22の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図24】図22の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図25】媒体異常検知部による媒体寸法異常検知処理を説明するフローチャートである。
【図26】媒体異常検知部による媒体寸法異常検知処理を説明するフローチャートである。
【図27】重送検知処理を説明するフローチャートである。
【図28】プリンタが実行する動作全体の流れを説明するフローチャートである。
【図29】図28の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図30】図28の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図31】図28の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【図32】熱定着処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0013】
[第1の実施形態]
本実施形態の説明においては、画像形成装置の一形態として、入力された印刷ジョブの印刷データに基づきモノクロ印刷を行うプリンタ500について説明する。図1は、プリンタ500の概略構成を説明するための模式図である。
【0014】
プリンタ500は、媒体繰出し部3と、トナー転写部5と、熱定着部62とを備え、プリンタ500に対して着脱自在に設けられた媒体カセット7を始端、印刷後に排紙された印刷媒体1を載置する排出トレイ8を終端とし、印刷媒体1を図中矢印A方向へと搬送する経路を構成する媒体搬送路2に沿って、搬送方向上流側から媒体繰出し部3、トナー転写部5、及び熱定着部62の順で配設されている。そして、排出トレイ8を一端側とし、媒体搬送路2を介した他端側には、プリンタ500内部に引き込まれた印刷媒体1が媒体搬送経路2に合流する位置となるようにMPT(Multi Purpose Tray)70が設けられている。
【0015】
媒体繰出し部3は、媒体カセット7と、給紙ローラ9とを備える。媒体カセット7は、内部に印刷媒体1を積層した状態で収納し、プリンタ500の下部に対して着脱自在に装着されている。給紙ローラ9は、図中矢印方向に回転し、媒体カセット7に収納されている印刷媒体1をその最上部から一枚ずつピックアップし、媒体搬送路2に繰出す。
【0016】
MPT70は、いわゆる手差しトレイであり、例えば、折り曲げたくない印刷媒体や、媒体カセット7に収納不能なサイズの印刷媒体をセットするときに利用されるトレイである。当該MPT70にセットされた印刷媒体72は、図中矢印方向に回転する給紙ローラ71によりプリンタ500内部に引き込まれ、媒体搬送路2に搬送される。
【0017】
給紙ローラ9のピックアップにより媒体搬送路2に繰出された印刷媒体1は、ぞれぞれ図中矢印方向に回転する一対のレジストローラ12、13によりトナー転写部5まで搬送される。レジストローラ12、13近傍には、紙厚センサ49が設けられており、当該紙厚センサ49は、媒体搬送路2に沿って搬送される印刷媒体1の厚さを所定の時間間隔でモニタリングしている。紙厚センサ49については、後ほど詳細に説明する。
【0018】
レジストローラ12、13の搬送方向下流側の媒体搬送路2上には、書出しセンサ41が設けられている。書出しセンサ41は、印刷媒体1の先端部が通過したことを検知し、当該検知結果を出力信号として後述する制御部130に出力する。なお、書出しセンサ41には、接触型センサ、又は非接触型センサの何れのセンサも用いることができる。
【0019】
トナー転写部5は、画像形成手段20の一部で、それぞれの図中矢印方向に回転する感光体ドラム21と転写ローラ22との接触部である。
【0020】
ここで、画像形成手段20について説明する。画像形成手段20は、感光体ドラム21の図中矢印方向の回転上流側から、帯電ローラ23と、LED(Light Emitting Diode)ユニット24と、現像ローラ25とを備える。
【0021】
感光体ドラム21は、導電性支持体と光導電層とによって構成され、例えば、導電性支持体としてのアルミニウム等の金属シャフトに光導電層としての電荷発生層、及び電荷輸送層が順次積層されて構成された有機感光体である。
【0022】
帯電ローラ23は、例えば、金属シャフトと半導電性エピクロロヒドリンゴムとによって構成されている。帯電ローラ23は、感光体ドラム21に対して所定の圧力をもって当接しており、図示せぬ高圧電源からのバイアス電圧に基づき、感光体ドラム21の表面を一様均一に帯電させる。
【0023】
LEDユニット24は、LED素子とレンズアレイとを有するLEDヘッドを備え、印刷データに基づき当該LED素子から出力される照射光が感光体ドラム21の表面に結像する位置となるように配設されている。
【0024】
現像ローラ25は、例えば、ステンレス等の金属シャフトの外周にカーボンブラックを分散させたウレタンゴムを配設し、その表面はイソシアネート処理が施されている。現像ローラ25は、感光体ドラム21の表面に圧接するように配設され、LEDユニット24から照射された照射光により感光体ドラム21上に形成された静電潜像にトナーカートリッジ29に充填されたトナーを供給し、トナー像を現像する。
【0025】
転写ローラ22は、感光体ドラム21に対向して圧接するように配設されている。転写ローラ22には、図示せぬ高圧電源からバイアス電圧が印加されており、感光体ドラム21の回転に伴いトナー像が転写部5に到達したタイミングで印刷媒体1に転写させる。そして、トナー像が転写された印刷媒体1は熱定着部62まで搬送される。
【0026】
熱定着部62は、熱定着手段60の一部で、それぞれ図中矢印方向に回転する定着ローラ61と圧接ローラ11との圧接部である。
【0027】
ここで、熱定着手段60について説明する。熱定着手段60は、定着ローラ61と、圧接ローラ11と、図示せぬサーミスタとを備える。
【0028】
定着ローラ61は、例えば、アルミニウム等からなる中空円筒状の芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被服することによって形成されている。そして、その芯金内には、例えば、ハロゲンランプ等の図示せぬ加熱ヒータが設けられている。
【0029】
圧接ローラ11は、例えば、アルミニウム等からなる芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFAを被覆した構成であり、定着ローラ61との間に圧接部である熱定着部62が形成されるように配設されている。
【0030】
図示せぬサーミスタは、定着ローラ61の表面温度検出手段であり、定着ローラ61の近傍に非接触で配設されている。図示せぬサーミスタが検出した定着ローラ61の表面温度の検出結果に基づき、上記図示せぬ加熱ヒータを制御することで、定着ローラ61の表面温度は所定の温度に維持される。
【0031】
トナー像が転写された印刷媒体1が熱定着部62に到達すると、熱、及び圧力が付与されることで熱定着される。
【0032】
トナー像が熱定着された印刷媒体1は、それぞれ図中矢印方向に回転する一対の搬送ローラ31、32によって媒体搬送路2に沿って図中矢印A方向に搬送され、最終的に一対の排紙ローラ33、34によって、排紙トレイ8上に排紙される。なお、搬送途中の印刷媒体1の後端が排出センサ42を通過すると、排出センサ42はこれを検知し、当該検知結果を後述する制御部130に出力信号として出力する。なお、排出センサ42には、接触型センサ、又は非接触型センサの何れのセンサも用いることができる。
【0033】
次に、プリンタ500の機能構成について図2の機能ブロック図を用いて説明する。プリンタ500は、通信部110と、データ解析部120と、制御部130と、画像形成部140と、媒体搬送部150と、熱定着部160と、イメージデータバッファ200とを備え、前述した書出しセンサ41、排出センサ42、及び媒体厚さ検知手段としての紙厚センサ49から出力値は、制御部130に入力される。
【0034】
通信部110は、例えば、LAN(Local Area network)ケーブル等の通信線と接続可能なネットワークインタフェースを備え、当該通信線を介して上位装置であるPC100から印刷ジョブデータを受信する。そして、通信部110は受信した印刷ジョブデータをデータ解析部120に出力する。
【0035】
データ解析部120は、通信部110を介して入力された印刷ジョブデータを解析する。そして、データ解析部120は、印刷画像化して生成した印刷画像データをイメージデータバッファ200に格納させるとともに、当該印刷画像データの先頭アドレスを制御部130に出力する。
【0036】
制御部130は、データ転送部131、搬送制御部132、定着制御部133、及び重送判断部138を備える。データ転送部131は、データ解析部120から入力された先頭アドレスを用いてイメージデータバッファ200から印刷画像データを読み出し、当該印刷画像データを画像形成部140に出力する。搬送制御部132は、媒体搬送部150が有する各ローラの回転駆動を統括的に制御する。定着制御部133は、熱定着部160が有する図示せぬサーミスタが検出した定着ローラ61の表面温度の検出結果に基づき、図示せぬ加熱ヒータを制御して定着ローラ61の表面温度を調節する。媒体厚さ変化量算出手段であるとともに、重送判断手段である重送判断部138は、紙厚センサ49からの出力値に基づいて印刷媒体1の搬送状態を監視する。そして、重送を検知した場合には、重送判断部138は、必要に応じて、データ転送部131、及び定着制御部133に画像形成動作の中止命令を通知する。また、制御部130には書出しセンサ41、及び排出センサ42からの出力信号が入力され、この入力信号に基づき、制御部130は、画像形成部140への画像形成動作の開始命令、又は画像形成動作の停止命令等を出力する。
【0037】
画像形成部140は、図1に示した画像形成手段20にて実現される。すなわち、画像形成部140は、データ転送部131から出力された印刷画像データに基づいてLEDユニット24を制御することで、感光体ドラム21に静電潜像を形成させ、トナーを用いて現像したトナー像を印刷媒体1に転写させる。
【0038】
媒体搬送部150は、図1に示したレジストローラ12、13と、搬送ローラ31、32と、排紙ローラ33、34とにより実現され、搬送制御部132による制御に基づき、印刷媒体1を媒体搬送路2に沿って搬送させる。
【0039】
熱定着部160は、図1に示した熱定着手段60にて実現される。すなわち、熱定着部160は、定着ローラ61、及び圧接ローラ11からなる熱定着部62において、トナー像が転写された印刷媒体1に熱、及び圧力を付与することにより、トナー像を印刷媒体1上に熱定着させる。
【0040】
次に、本実施形態にかかる紙厚センサ49について説明する。図3(a)は、紙厚センサ49の構成、及び作動原理を説明する図であり、図3(b)は、本センサにより出力される出力周波数と媒体厚さとの関係を説明する図である。
【0041】
図3(a)に示されるように、紙厚センサ49は、センサ部、可動部、及び台座から構成されている。そして、紙厚センサ49は、印刷媒体1が可動部と台座との間を通過することにより変化する空間の距離を周波数として出力する変位センサである。
【0042】
ここで、図3(a)の左図に示されるように、紙厚センサ49の可動部と台座との間に印刷媒体1が存在しない場合、可動部と台座とは接触しており、紙厚センサ49は規定の周波数を出力する。そして、図3(a)の右図に示されるように、紙厚センサ49の可動部と台座との間に印刷媒体1が存在する場合、上記空間は空間2として示されるように、空間1よりも印刷媒体1の厚さ分だけ狭くなり、紙厚センサ49は規定の周波数とは異なる周波数を出力する。したがって、紙厚センサ49が出力する周波数から図3(b)に示される関係図を用いて、紙厚センサ49の可動部と台座との間を通過する印刷媒体1の厚さを求めることができる。
【0043】
このような構成を有する紙厚センサ49を用いた印刷媒体の重送検知について図4を用いて説明する。図4は、本来それぞれ1枚ずつ搬送されるべき印刷媒体が前後にずれた状態で2枚重なって搬送されている状態を表す模式図であり、図4(a)は、画像形成面の印刷媒体(重なった上側の印刷媒体)が遅れて搬送されるケースを表し、図4(b)は、画像形成面の印刷媒体が先に搬送されるケースを表している。前述したように、紙厚センサ49は、レジストローラ12、13近傍に設けられており、当該紙厚センサ49は、媒体搬送路2に沿って搬送される印刷媒体の厚さを所定の時間間隔でモニタリングしている。ここでは、紙厚センサ49からの出力結果を図中「センサ出力」の欄に模式的に表している。なお、モニタリングのサンプリング周期は、媒体搬送距離1mm程度毎に最低1回はサンプリングできるような周期とすることが望ましい。
【0044】
図4(a)に示される画像形成面の印刷媒体が遅れて搬送されるケースでは、紙厚センサ49は当初下側の紙厚を検知して出力しており、次に、上側の印刷媒体が重なって2枚分の厚さを検出することになる。したがって、紙厚センサ49の出力値は、1枚分の印刷媒体の厚さから2枚分の厚さに対応する値に急激に変化する。この場合、形成されるべき印刷画像は、まず、下側の印刷媒体に印刷され、途中から上側の印刷媒体に印刷されることになり、1頁分の印刷画像は1枚目の途中から切れた状態で2枚に分かれて印刷される結果となる。したがって、本実施形態では、このようなケースの場合、重送判断部138は、データ転送部131、及び定着制御部133に画像形成動作の中止命令を出力し、印刷ジョブを中止する制御を行う。
【0045】
これに対して、図4(b)に示される画像形成面の印刷媒体が先に搬送されるケースでは、上側の印刷媒体は、搬送方向上流側に向けて、下側の印刷媒体の厚さ分だけ持ち上がったスロープを形成した状態で搬送されることになる。したがって、紙厚センサ49の出力値は、1枚分の印刷媒体の厚さから2枚分の印刷媒体の厚さに対応する値へとなだらかに変化する。この場合、形成されるべき印刷画像は、最初から最後まで上側の印刷媒体に印刷されることになる。したがって、例え、印刷媒体が重送されたとしても、本ケースでは、得られる印刷画像には問題はない為、画像形成動作を継続させることができる。
【0046】
次に、上記構成を備えるプリンタ500の動作について図5、図6、図7、図8、図9、図10、及び図11を用いて説明する。図5は、プリンタ500が実行する動作全体の流れを説明するフローチャートであり、図6〜図10は、図5の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。また、図11は、本実施形態にかかる重送検知処理を説明するフローチャートである。
【0047】
まず、図5におけるプリンタ500が実行する動作全体の流れについて説明し、次いで、図5の個々のステップにかかる処理について順次で説明する。
【0048】
プリンタ500は、PC100から送信された印刷ジョブデータを受信すると、ステップS100においてジョブデータ受信処理を行う。そして、プリンタ500は、受信した印刷ジョブデータに基づいて以下に、データ解析処理(ステップS200)、媒体搬送処理(ステップS300)、画像形成処理(ステップS400)、熱定着処理(ステップS500)の各処理を実行する。なお、図11で説明する重送検知処理は、上記ステップS300の媒体搬送処理、ステップS400の画像形成処理、ステップS500の熱定着処理に並行するタイミングで、図5に示す動作全体の流れとは別に重送判定部138が実行する。
【0049】
以下に、各ステップにおける処理について説明する。まず、ステップS100のジョブデータ受信処理について説明する。図6は、図5におけるステップS100のジョブデータ受信処理を説明するフローチャートである。
【0050】
ステップS110において、受信部110は、PC100から送信された印刷ジョブデータを受信する。そして、受信部110は、受信した印刷ジョブデータをデータ解析部120に出力する(ステップS120)。
【0051】
次に、ステップS200のデータ解析処理について説明する。図7は、図5におけるステップS200のデータ解析処理を説明するフローチャートである。
【0052】
データ解析部120は、通信部110を介して印刷ジョブデータが入力されると(ステップS210)、これを解析して印刷画像化し(ステップS220)、生成した印刷画像データをイメージデータバッファ200に格納させる(ステップS230)。そして、データ解析部120は、当該印刷画像データの先頭アドレスを制御部130に出力する(ステップS240)。
【0053】
次に、ステップS300の媒体搬送処理について説明する。図8は、図5におけるステップS300の媒体搬送処理を説明するフローチャートである。
【0054】
データ解析部120により印刷画像データの先頭アドレスが入力されると、制御部130の搬送制御部132は、媒体搬送部150を制御して媒体カセット7に収納された印刷媒体1をピックアップして搬送させる(ステップS310)。そして、搬送制御部132は、排出センサ42からの排紙完了信号が入力されると(ステップS320 Y)、媒体搬送部150を制御して所定時間経過後に、各ローラの回転駆動を停止させる。
【0055】
次に、ステップS400の画像形成処理について説明する。図9は、図5におけるステップS400の画像形成処理を説明するフローチャートである。
【0056】
入力された印刷データの先頭アドレスを取得すると(ステップS410)、データ転送部131は、イメージデータバッファ200にアクセスしてデータ解析部120により格納された印刷画像データの1頁分のデータを読み出すとともに(ステップS420)、データ転送部131自身が保持する読み出し開始アドレスを更新する(ステップS430)。そして、データ転送部131は、読み出した1頁分のデータを画像形成部140に出力する(ステップS440)。この間に、後述する重送判断部138からの画像形成動作の中止命令が入力された場合(ステップS450 Y)、制御部130は、画像形成部140に画像形成動作の中止を指示し、画像形成部140による画像形成動作を中止させる(ステップS470)。一方、重送判断部138からの画像形成動作の中止命令が入力されない場合(ステップS450 N)、制御部130は、画像形成動作の継続を指示し、画像形成部140による画像形成動作を継続させる(ステップS460)。
【0057】
次に、ステップS500の熱定着処理について説明する。図10は、図5におけるステップS500の熱定着処理を説明するフローチャートである。
【0058】
定着制御部133は、画像形成動作が開始されたことを検知すると、排紙センサ42から排紙完了信号が入力されるまでの間、定着ローラ61が内蔵する図示せぬ加熱ヒータを至適温度に調節させるとともに(ステップS510)、熱定着部160を制御して熱定着を実行させる(ステップS520)。この間に、後述する重送判断部138からの画像形成動作の中止命令が入力された場合(ステップS530 Y)、定着制御部133は、熱定着部160による熱定着を中止させる。一方、重送判断部138からの画像形成動作の中止命令が入力されない場合(ステップS530 N)、定着制御部133は、熱定着部160による熱定着を継続させる。
【0059】
次に、重送判断部138による重送検知処理について図11のフローチャートを用いて説明する。前述したように、本重送検知処理は、上記ステップS300の媒体搬送処理、ステップS400の画像形成処理、ステップS500の熱定着処理に並行するタイミングで、図5に示す動作全体の流れとは別に重送判定部138が実行する。
【0060】
まず、重送判断部138は、ステップS605において、変数である「用紙厚1」、及び「用紙厚2」の初期値を0に設定する。また、同様に、重送判断部138は、「異常検出回数」の初期値を0に設定する(ステップS610)。そして、重送判断部138は、図4で説明したサンプリング周期で以下に説明するステップS615〜ステップS660にかかる処理を繰り返して実行する。
【0061】
すなわち、重送判断部138は、紙厚センサ49がサンプリングした媒体厚さの計測値を取得し(ステップS615)、「用紙厚2」の値を「用紙厚1」の値で置き換える(ステップS620)。そして、重送判断部138は、「用紙厚1」の値を紙厚センサ49から取得した媒体厚さの値で置き換える(ステップS625)。
【0062】
この時点で、「用紙厚2」の値が0である場合(ステップS630 N)、印刷媒体が搬送されての最初のサンプリングであるため、重送判断部138は、紙厚の変化を算出せずに次のサンプリング周期まで待機する。
【0063】
一方、「用紙厚2」の値が0でない場合(ステップS630 Y)、印刷媒体が搬送されて2回目以降のサンプリングであるため、重送判断部138は、前回のサンプリングにおける計測値からの変化量を算出する(ステップS635)。すなわち、重送判断部138は、「用紙厚1」の値から「用紙厚2」の値を減じた値が所定値に満たないか否かを判断する。ここで、所定値とは、画像形成面となる印刷媒体が後に搬送されるケースの重送と判断するための閾値であり、紙厚センサ49の出力値のバラつきにもよるが、印刷媒体1枚の厚さに対して6〜8割程度の値を設定するのが望ましい。
【0064】
「用紙厚1」の値から「用紙厚2」の値を減じた値が所定値に満たない場合(ステップS635 Y)、重送判断部138は、印刷媒体は1枚ずつ搬送されているか、又は仮に重送となっていても、画像形成面となる印刷媒体が先に搬送されているケースであると判断して、「異常検出回数」を0として(ステップS640)、そのまま画像形成動作を継続させる。なお、ステップS640において、初期値が0である「異常検出回数」の値に再度0を上書きするのは、後述するノイズチェックの為である。
【0065】
一方、「用紙厚1」の値から「用紙厚2」の値を減じた値が所定値よりも大きい場合(ステップS635 N)、図4で説明したように、画像形成面となる印刷媒体が後に搬送されているケースと判断可能であるが、まれに、ノイズの影響により、紙厚センサ49が不適当な計測値を示す場合があるので、「用紙厚1」の値から「用紙厚2」の値を減じた値が所定値よりも連続して2回大きい場合に、重送判断部138は、画像形成面となる印刷媒体が後に搬送されているケースと判断する。すなわち、重送判断部138は、「異常検出回数」の値が0であれば(ステップS645 Y)、この値を1とし(ステップS650)、直前のサンプリングにおける計測値が格納された「用紙厚1」の値をその前のサンプリングにおける計測値が格納された「用紙厚2」の値で上書きして(ステップS655)、次のサンプリングを行う。
【0066】
そして、再度「用紙厚1」の値から「用紙厚2」の値を減じた値が所定値よりも大きい結果が得られた場合(ステップS635 N)、「異常検出回数」は既に1であるため(ステップS645 N)、2回連続しての異常検出となり、重送判断部138は、画像形成面となる印刷媒体が後に搬送されているケースと判断するとともに、データ転送部131、及び定着制御部133に画像形成動作の中止命令を出力し、印刷ジョブを中止する制御を行う(ステップS660)。なお、媒体搬送部150は、画像形成途中の印刷媒体を排出する必要があるため、重送判断部138は、搬送制御部132に対しては中止命令を出力しない。
【0067】
以上のように、第1の実施形態によれば、印刷媒体が前後にずれて重なって送られたときに、そのまま印刷ジョブを継続しても問題なく画像が形成される場合には印刷ジョブを継続し、これ以外の場合には、印刷ジョブを中止して排紙することにより、無駄に印刷ジョブが中止される機会を軽減し、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0068】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、プリンタ500に対する印刷媒体の供給元としてMPT70を用いた形態について説明する。なお、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同一な構成、動作については、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0069】
まず、本実施形態の具体的な形態を説明する前に印刷媒体の供給元がMPT70であるか、それとも媒体カセット7であるかの違いで画像形成動作を継続させるか否かの判断を行う理由について説明する。
【0070】
図12は、印刷媒体の供給元の違いと重送された印刷媒体の関係を説明する図であり、図12(a)は、MPT70から給紙された印刷媒体が重送しているケースを説明する図、図12(b)は、媒体カセット7から供給された印刷媒体が重送しているケースを説明する図である。なお、MPT70から重なって給紙された印刷媒体72のうち、最初にピックアップされたものを「72先」、「72先」に引きずられて媒体搬送路2内に搬送されたものを「72後」と、便宜上表現する。また、媒体カセット7から重なって給紙された印刷媒体1のうち、最初にピックアップされたものを「1先」、「1先」に引きずられて媒体搬送路2内に搬送されたものを「1後」と、便宜上表現する。
【0071】
図13は、印刷媒体の供給元の違いと重送された印刷媒体に形成された画像の配置関係を説明する図であり、図13(a)は、MPT70から給紙された場合の印刷結果と印刷媒体との配置関係を表し、図13(b)は、媒体カセット7から給紙された場合の印刷結果と印刷媒体との配置関係を表す図である。
【0072】
図12(a)に示されるように、MPT70は、媒体搬送路2に対して天地同一向きに配設されている。したがって、トナー転写部5に「72先」の先端が到達したときに、トナー転写部5の画像形成面にある印刷媒体は「72先」となり、このまま画像形成を継続した場合の印刷結果と印刷媒体との配置関係は、図13(a)に示すようになる。したがって、MPT70を印刷媒体の供給元とする場合、重送が発生したとしても、画像形成動作を中止させる必要はない。
【0073】
これに対して、図12(b)に示されるように、媒体カセット7に収納された印刷媒体は、媒体搬送路2の途中で天地の向きを変える。したがって、トナー転写部5に「1先」の先端が到達したときに、トナー転写部5の画像形成面にある印刷媒体は「1後」となり、このまま画像形成を継続した場合の印刷結果と印刷媒体との配置関係は、図13(b)に示すようになる。したがって、形成されるべき画像は、2枚の印刷媒体にわたって、途中で切れた状態で形成されることになるため、媒体カセット7を印刷媒体の供給元とする場合、重送が発生したときに、画像形成動作を中止させる必要が生じることがある。
【0074】
上記理由に基づき、本実施形態について説明する。
【0075】
図14は、プリンタ500が実行する動作全体の流れを説明するフローチャートであり、図15〜図20は、図14の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【0076】
まず、図14におけるプリンタ500が実行する動作全体の流れについて説明し、次いで、図14の個々のステップにかかる処理について順次で説明する。
【0077】
プリンタ500は、PC100から送信された印刷ジョブデータを受信すると、ステップS100においてジョブデータ受信処理を行う。そして、プリンタ500は、受信した印刷ジョブデータに基づいて以下に、データ解析処理(ステップS1000)、印刷開始前処理(S1100)、媒体搬送処理(ステップS1200)、画像形成処理(ステップS400)、熱定着処理(ステップS1300)、重送検知処理(ステップS1400)、印刷中止判断処理(ステップS1500)の各処理を実行する。
【0078】
以下に、各ステップにおける処理について説明する。なお、ステップS100のジョブデータ受信処理は、第1の実施形態と同一処理であるため、ここでの説明は省略する。
【0079】
次に、ステップS1000のデータ解析処理について説明する。図15は、図14におけるステップS1000のデータ解析処理を説明するフローチャートである。
【0080】
データ解析部120は、通信部110を介して印刷ジョブデータが入力されると(ステップS1010)、印刷ジョブデータからMPT70指定有無を取得する(ステップS1020)。そして、データ解析部120は、印刷ジョブデータを解析して印刷画像化し(ステップS1030)、生成した印刷画像データをイメージデータバッファ200に格納させる(ステップS1040)。そして、データ解析部120は、当該印刷画像データの先頭アドレス、及びMPT70の指定有無を供給元判別手段として機能する制御部130に出力する(ステップS1050)。
【0081】
次に、ステップS1100の印刷開始前処理について説明する。図16は、図14におけるステップS1100の印刷開始前処理を説明するフローチャートである。
【0082】
データ解析部120により印刷画像データの先頭アドレスとMPT70の指定有無が入力されると(ステップS1110)、制御部130は、MPT70の指定有無を確認する。
【0083】
MPT70の指定が有る場合(ステップS1115 Y)、制御部130は、印刷媒体の供給元をMPT70として搬送制御部132に通知する(ステップS1120)。一方、MPT70の指定が無い場合(ステップS1115 N)、制御部130は、印刷媒体の供給元を媒体カセット7として搬送制御部132に通知する(ステップS1125)。
【0084】
次に、制御部130は、重送判断部138を起動する(ステップS1140)。そして、制御部130は、印刷画像データの先頭アドレスをデータ転送部131に通知するとともに(ステップS1150)、定着制御部133に目標温度を通知して制御を開始させる(ステップS1160)。
【0085】
次に、ステップS1200の媒体搬送処理について説明する。図17は、図14におけるステップS1200の媒体搬送処理を説明するフローチャートである。
【0086】
制御部130から印刷媒体の供給元の通知を受けると(ステップS1210)、搬送制御部132は、媒体搬送部150を制御して通知された印刷媒体の供給元から印刷媒体をピックアップして搬送させる(ステップS1220)。そして、搬送制御部132は、排出センサ42からの排紙完了信号が入力されると(ステップS1230 Y)、媒体搬送部150を制御して所定時間経過後に、各ローラの回転駆動を停止させる。
【0087】
次のステップS400の画像形成処理については、第1の実施形態と同一処理であるため、ここでの説明は省略する。
【0088】
次に、ステップS1300の熱定着処理について説明する。図18は、図14におけるステップS1300の熱定着処理を説明するフローチャートである。
【0089】
制御部130から目標温度の通知を受けると(ステップS1310)、排紙センサ42から排紙完了信号が入力されるまでの間、定着ローラ61が内蔵する図示せぬ加熱ヒータを至適温度に調節させるとともに(ステップS1320)、熱定着部160を制御して熱定着を実行させる(ステップS1330)。この間に、後述する重送判断部138からの画像形成動作の中止命令が入力された場合(ステップS1340 Y)、定着制御部133は、熱定着部160による熱定着を中止させる。一方、重送判断部138からの画像形成動作の中止命令が入力されない場合(ステップS1340 N)、定着制御部133は、熱定着部160による熱定着を継続させる。
【0090】
次に、ステップS1400の重送検知処理について説明する。図19は、図14におけるステップS1400の重送検知処理を説明するフローチャートである。
【0091】
重送判断部138は、制御部130からの起動通知に基づいて起動する(ステップS1401)。ステップS1402において、重送判断部138は、変数である「用紙厚」、及びノイズによる誤検知回避に用いるフラグ「Flag1」、「Flag2」の初期値を0に設定する。重送判断部138は、図4で説明したサンプリング周期で以下に説明するステップS1403〜ステップS1414にかかる処理を繰り返して実行する。
【0092】
すなわち、重送判断部138は、紙厚センサ49がサンプリングした媒体厚さの計測値を取得し(ステップS1403)、計測値の値が0である場合(ステップS1404 Y)、再度「Flag1」=0として次のサンプリング周期まで待機する(ステップS1405)。
【0093】
一方、計測値の値が0でない場合(ステップS1404 Y)、「用紙厚」に格納されている値が0で(ステップS1406 Y)、「Flag1」=0ならば(ステップS1407 Y)、これは紙厚センサ49が最初に何らかの媒体厚さを計測したか、あるいはノイズの影響によるものであるため、重送判断部138は、「Flag1」の値を一旦、1として(ステップS1408)、次のサンプリングにおいて再度0でない値が検出されるまで「用紙厚」の値を0のままに保留する。
【0094】
ここで、ノイズの影響である場合、サンプリングでの計測値=0となり、「Flag1」の値は0にクリアされるが(ステップS1405)、次のサンプリングにおける計測値の値が0でなく、「用紙厚」=0(ステップS1406 Y)で「Flag1」=1だった場合は(ステップS1407 N)、ここで初めて重送判断部138は、「用紙厚」の値に検出値を格納する(ステップS1409)。
【0095】
また、計測値の値が0でなく(ステップS1404 N)、「用紙厚」の値も0ではない状態(ステップS1406 N)で取得した計測値が、最初に「用紙厚」の値として格納された値に対して所定値よりも大きい厚さを有していた場合(ステップS1410 Y)、重送により2枚分の厚さが検出されたと考えられるので、1回目の計測では、「Flag2」を用いてノイズ回避し(ステップS1412 Y、ステップS1413)、次のサンプリングで同様の計測値が得られた場合に(ステップS1412 N)、重送判断部138は、制御部138に重送検知を通知する(ステップS1414)。なお、図中のステップS1410において、所定値として用紙厚の1.7倍を規定しているが、この値は適宜設定変更可能である。
【0096】
次に、ステップS1500の印刷中止判断処理について説明する。図20は、図14におけるステップS1500の印刷中止判断処理を説明するフローチャートである。
【0097】
重送判断部138から重送の通知を受けると(ステップS1510 Y)、制御部130は、印刷開始前処理の冒頭に通知された印刷媒体の供給元がMPT70である場合(ステップS1520 Y)、何も処理を行わずそのまま画像形成動作を継続させる。
【0098】
これに対して、印刷開始前処理の冒頭に通知された印刷媒体の供給元が媒体カセット7である場合(ステップS1520 N)、制御部130は、データ転送部131に画像形成動作の中止命令を通知し、印刷ジョブを中止する制御を行う(ステップS1530)。また、同様に、制御部130は、定着制御部133に画像形成動作の中止命令を通知し、印刷ジョブを中止する制御を行う(ステップS1540)。なお、媒体搬送部150は、画像形成途中の印刷媒体を排出する必要があるため、制御部130は、搬送制御部132に対しては中止命令を通知しない。
【0099】
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、印刷媒体の供給元がMPTであるか、それとも媒体カセットであるかの違いで画像形成動作を継続させるか否かの判断を行うことができる。
【0100】
[第3の実施形態]
第3の実施形態にかかるプリンタ500’の構成は、第1、又は第2の実施形態にかかるプリンタ500の構成と略同一である。したがって、第3の実施形態の説明において、第1、又は第2の実施形態と同一な構成、動作については、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0101】
図21は、第3の実施形態にかかるプリンタ500’の機能構成を説明する機能ブロック図である。プリンタ500’は、プリンタ500の構成に加えて、書出しセンサ41、及び排出センサ42から構成される媒体検出手段としての媒体センサ40と、媒体厚さ格納部48と、制御部130’とを備える。
【0102】
媒体センサ40を構成する書出しセンサ41、及び排出センサ42は、第1の実施形態で説明したので、ここでの説明は省略する。
【0103】
媒体厚さ格納部48は、媒体カセット7に収納された印刷媒体の厚さ値を格納する。なお、媒体カセット7に収納される印刷媒体の種類が異なると、媒体厚さ格納部48に格納される印刷媒体の厚さ値も更新される。更新された媒体厚さ値の検知は、プリンタ500’のドライバプログラムや、Webアプリケーションを介してユーザが設定する、又はピックアップローラ9付近に設けた紙厚センサで検知する等の方法が想定される。
【0104】
制御部130’は、第1の実施形態で説明した構成に加え、新たにタイマ134と、比較手段として機能する媒体異常検知部137とを備える。
【0105】
タイマ134は、制御部130’の指示に従い、所定のタイミングで計時を行う。
【0106】
媒体異常検知部137は、印刷媒体の寸法異常を検知する。具体的には、媒体異常検知部137は、本来画像形成に使用されるべき印刷媒体(以後、出力印刷媒体と称することがある)の寸法と、レジストローラ12、13等のローラ回転速度と媒体センサ40が当該印刷媒体の先頭通過を検知してから後端通過を検知するまでの時間と、を勘案して得られる印刷媒体の搬送方向長さを比較する。そして、その比較結果が妥当ではない場合に、媒体異常検知部137は、印刷媒体が重送されているか、又は媒体カセット7に収納されている印刷媒体の寸法が違っているものと仮定して、重送判断部138に重送の有無を問い合わせる。ここで、重送判断部138から「重送して画像形成中」との旨の応答があった場合にはそのままとし、「印刷媒体は1枚」との旨の応答があった場合には印刷媒体のサイズ異常として画像形成動作の中止命令を出力し、印刷ジョブを中止する制御を行う。
【0107】
本実施形態にかかる重送判断部138は、紙厚センサ49からの出力値に基づいて印刷媒体の搬送状態を監視する。そして、重送を検知した場合には、重送判断部138は、必要に応じて、データ転送部131、及び定着制御部133に画像形成動作の中止命令を出力する。また、上記媒体異常検知部137から重送の有無の問い合わせが有った場合には、紙厚センサ49から得られた計測値と媒体厚さ格納部48に格納された印刷媒体の厚さ値とを比較することで重送の有無を判断し、重送の有無を応答する。
【0108】
次に、上記構成を備えるプリンタ500’の動作について図22、図23、図24、図25、図26、及び図27を用いて説明する。図22は、プリンタ500’が実行する動作全体の流れを説明するフローチャートであり、図23、及び図24は、図22のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。図25、及び図26は、媒体異常検知部137による媒体寸法異常検知処理を説明するフローチャートである。また、図27は、本実施形態にかかる重送検知処理を説明するフローチャートである。
【0109】
まず、図22におけるプリンタ500’が実行する動作全体の流れについて説明し、次いで、図22の個々のステップにかかる処理について順次で説明する。
【0110】
プリンタ500’は、PC100から送信された印刷ジョブデータを受信すると、ステップS100においてジョブデータ受信処理を行う。そして、プリンタ500’は、受信した印刷ジョブデータに基づいて以下に、データ解析処理(ステップS250)、媒体搬送処理(ステップS309)、画像形成処理(ステップS400)、熱定着処理(ステップS500)の各処理を実行する。なお、本実施形態では、ステップS309における媒体搬送処理の起動時に、媒体異常検知部137が媒体寸法異常検知処理を開始する。
【0111】
以下に、各ステップにおける処理について説明する。なお、図22に示した、ステップS100のジョブデータ受信処理、ステップS400の画像形成処置、及びステップS500の熱定着処理については、第1の実施形態と同一処理であるため、ここでの説明は省略する。
【0112】
ステップS250のデータ解析処理について説明する。図23は、図22におけるステップS250のデータ解析処理を説明するフローチャートである。
【0113】
データ解析部120は、通信部110を介して印刷ジョブデータが入力されると(ステップS251)、これを解析して印刷画像化し(ステップS252)、生成した印刷画像データをイメージデータバッファ200に格納させる(ステップS253)。そして、データ解析部120は、当該印刷画像データの先頭アドレスと、要求されている出力印刷媒体の寸法を制御部130に出力する(ステップS254)。
【0114】
次に、ステップS309の媒体搬送処理について説明する。図24は、図22におけるステップS309の媒体搬送処理を説明するフローチャートである。
【0115】
データ解析部120により印刷画像データの先頭アドレスが入力されると、制御部130は、最初に媒体異常検知部137を起動し、媒体寸法異常検知処理を実行させる(ステップS330)。次に、搬送制御部132は、媒体搬送部150を制御して媒体カセット7に収納された印刷媒体1をピックアップして搬送させる(ステップS340)。そして、搬送制御部132は、排出センサ42からの排紙完了信号が入力されると(ステップS350 Y)、媒体搬送部150を制御して所定時間経過後に、各ローラの回転駆動を停止させる。
【0116】
次に、媒体寸法異常検知処理について説明する。図25は、媒体異常検知部137がステップS309の媒体搬送処理に並列して実行する媒体寸法異常検知処理を説明するフローチャートである。
【0117】
媒体異常検知部137は、図23のステップS254において、データ解析部120から出力された出力印刷媒体寸法を取得し(ステップS705)、次に、搬送制御部132から印刷媒体の媒体搬送速度を取得する(ステップS706)。
【0118】
次に、媒体異常検知部137は、所定の地点を印刷媒体が通過するのに要する時間を算出する(ステップS715)。ここで、得られた媒体寸法のうち搬送方向の長さをnミリメートル、媒体搬送速度を毎秒mミリメートルとすると、所定の地点を印刷媒体が通過するのに要する時間は、n/m(秒)で算出することができる。
【0119】
そして、媒体センサ40が印刷媒体の先頭を検知し、媒体先頭検知信号が入力されると(ステップS720)、媒体異常検知部137は、タイマ134を起動させ(ステップS725)、計時を開始させる。
【0120】
ステップS715において、算出した時間にセンサ検出誤差、媒体の滑り等のマージンを見込んだ所定時間内に、媒体センサ40から後端通過信号が入力された場合(ステップS730 Y)、印刷媒体は正常に搬送されているものとして処理を終了する。
【0121】
一方、所定時間内に、媒体センサ40から後端通過信号が入力されない場合(ステップS730 N)、要求されている出力印刷媒体よりも長い印刷媒体が設定されているか、又は2枚以上の印刷媒体がずれた状態で重送されていると判断できるため、媒体異常検知部137は、重送判断部138に対して重送の有無を問い合わせる(ステップS735)。
【0122】
上記問い合わせに対して、重送判断部138は、後述する重送点検処理を実行するが、重送であって、画像形成面側の印刷媒体が遅れて搬送されている場合には、重送判断部138が直ちに画像形成動作を停止させるため、上記問い合わせに対する応答は、「重送して画像形成中」か、あるいは「印刷媒体は1枚」の何れかである。
【0123】
重送判断部138からの応答が、「重送して画像形成中」であった場合(ステップS740 重送して画像形成中)、媒体異常検知部137はそのまま処理を継続させる。一方、重送判断部138からの応答が、「印刷媒体は1枚」であった場合(ステップS740 媒体は1枚)、要求されている出力印刷媒体とは異なる寸法の印刷媒体に画像形成がなされていることになるため、媒体異常検知部137は、データ転送部131、及び定着制御部133に画像形成動作の中止命令を通知し、印刷ジョブを中止する制御を行う(ステップS745)。
【0124】
次に、図25におけるステップS735において、媒体異常検知部137からの問い合わせにより、重送判断部138が実行する重送点検処理について図26を用いて説明する。
【0125】
ステップS751において、媒体異常検知部138からの問い合わせを受けると、重送判断部138は、後述する重送フラグがセットされているか、否かを確認する。ここで、重送フラグがセットされている場合(ステップS752 Y)、重送判断部138は、複数枚数の印刷媒体を重送しているものとして、「重送中」を返す(ステップS753)。一方、重送フラグがセットされていない場合(ステップS752 N)、重送判断部138は、「媒体は1枚」を返す(ステップS754)。
【0126】
次に、重送判断部138による重送検知処理について図27のフローチャートを用いて説明する。前述したように、本重送検知処理は、上記ステップS309の媒体搬送処理、ステップS400の画像形成処理、ステップS500の熱定着処理に並行するタイミングで、図22に示す動作全体の流れとは別に重送判定部138が実行する。
【0127】
まず、重送判断部138は、ステップS805において、変数である「用紙厚1」、及び「用紙厚2」の初期値を0に設定する。また、同様に、重送判断部138は、「異常検出回数」、「重送検出回数」、及び「重送検出フラグ」の初期値を0に設定する(ステップS810)。そして、重送判断部138は、図4で説明したサンプリング周期で以下に説明するステップS815〜ステップS885にかかる処理を印刷ジョブが完了するまで繰り返して実行する。
【0128】
すなわち、重送判断部138は、紙厚センサ49がサンプリングした媒体厚さの計測値を取得し(ステップS815)、「用紙厚2」の値を「用紙厚1」の値で置き換える(ステップS820)。そして、重送判断部138は、「用紙厚1」の値を紙厚センサ49から取得した媒体厚さの値で置き換える(ステップS825)。
【0129】
この時点で、「用紙厚2」の値が0である場合(ステップS830 N)、印刷媒体が搬送されての最初のサンプリングであるため、重送判断部138は、紙厚の変化を算出せずに次のサンプリング周期まで待機する。
【0130】
一方、「用紙厚2」の値が0でない場合(ステップS830 Y)、印刷媒体が搬送されて2回目以降のサンプリングであるため、重送判断部138は、前回のサンプリングにおける計測値からの変化量を算出する(ステップS835)。すなわち、重送判断部138は、「用紙厚1」の値から「用紙厚2」の値を減じた値が所定値に満たないか否かを判断する。ここで、所定値とは、画像形成面となる印刷媒体が後に搬送されるケースの重送と判断するための閾値であり、紙厚センサ49の出力値のバラつきにもよるが、印刷媒体1枚の厚さに対して6〜8割程度の値を設定するのが望ましい。
【0131】
「用紙厚1」の値から「用紙厚2」の値を減じた値が所定値に満たない場合(ステップS835 Y)、重送判断部138は、印刷媒体は1枚ずつ搬送されているか、又は仮に重送となっていても、画像形成面となる印刷媒体が先に搬送されているケースであると判断して、「異常検出回数」を0とする(ステップS840)。
【0132】
次に、重送判断部138は、媒体厚さ格納部48より印刷媒体の厚さ値を読み出し、読み出した印刷媒体の厚さ値+前記所定値と、紙厚センサ49の計測値である「用紙厚1」の値と、を比較する。そして、「用紙厚1」の値の方が大きい場合には(ステップS845 Y)、重送判断部138は、重送であるか否かの判断を行うが、ノイズ等の影響を考慮し、読み出した印刷媒体の厚さ値+前記所定値よりも「用紙厚1」の値の方が2回連続して大きい場合に、画像形成継続可能な重送と判断する。
【0133】
すなわち、「重送検出回数」の値が0である場合(ステップS850 Y)、重送判断部138は、1回目の検出として、「重送検出回数」の値を1とする(ステップS855)。これに対して、「重送検出回数」の値がすでに1である場合(ステップS850 N)、2回連続しての検出であるため、重送判断部138は、重送であると判断して「重送検出フラグ」をセットし、さらに、次印刷媒体の搬送に備えて「重送検出回数」の値を初期化(0をセット)する(ステップS860)。なお、このルートは、画像形成継続可能な重送が発生したことを検出するためのルートであり、「重送検出フラグ」は、前述の媒体寸法異常検知処理からの問い合わせに対する応答して、画像形成継続可能な重送を検出したことを記憶しておくためのものである。
【0134】
なお、ステップ840において、初期値が0である「異常検出回数」の値に再度0を上書きするのは、後述するノイズチェックの為である。
【0135】
一方、「用紙厚1」の値から「用紙厚2」の値を減じた値が所定値よりも大きい場合(ステップS835 N)、図4で説明したように、画像形成面となる印刷媒体が後に搬送されているケースと判断可能であるが、まれに、ノイズの影響により、紙厚センサ49が不適当な計測値を示す場合があるので、「用紙厚1」の値から「用紙厚2」の値を減じた値が所定値よりも連続して2回大きい場合に、重送判断部138は、画像形成面となる印刷媒体が後に搬送されているケースと判断する。すなわち、重送判断部138は、「異常検出回数」の値が0であれば(ステップS870 Y)、この値を1とし(ステップS875)、直前のサンプリングにおける計測値が格納された「用紙厚1」の値をその前のサンプリングにおける計測値が格納された「用紙厚2」の値で上書きして(ステップS880)、次のサンプリングを行う。
【0136】
そして、再度「用紙厚1」の値から「用紙厚2」の値を減じた値が所定値よりも大きい結果が得られた場合(ステップS835 N)、「異常検出回数」は既に1であるため(ステップS870 N)、2回連続しての異常検出となり、重送判断部138は、画像形成面となる印刷媒体が後に搬送されているケースと判断するとともに、データ転送部131、及び定着制御部133に画像形成動作の中止命令を出力し、印刷ジョブを中止する制御を行う(ステップS885)。なお、媒体搬送部150は、画像形成途中の印刷媒体を排出する必要があるため、重送判断部138は、搬送制御部132に対しては中止命令を出力しない。
【0137】
以上のように、第3の実施形態によれば、印刷媒体の厚さを検知する手段と、印刷媒体の長さを検知する手段を設けることにより、従来、印刷媒体の重送により長さ異常を検知すると直ちに印刷ジョブを中止していたものを、画像形成面の印刷媒体が先行して搬送される重送については、そのまま画像形成動作を継続できる上、間違ったサイズの印刷媒体が収納されているときには、印刷ジョブを中止するので、所望のサイズの印刷媒体への画像形成を無駄なく実行することができる。
【0138】
[第4の実施形態]
第4の実施形態では、プリンタ500’に対する印刷媒体の供給元としてMPT70を用いた形態について説明する。なお、第4の実施形態の説明において、第1、第2、又は第3の実施形態と同一な構成、動作については、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0139】
図28は、プリンタ500’が実行する動作全体の流れを説明するフローチャートであり、図29〜図31は、図28の個々のステップにかかる処理を説明するフローチャートである。
【0140】
まず、図28におけるプリンタ500’が実行する動作全体の流れについて説明し、次いで、図28の個々のステップにかかる処理について順次で説明する。
【0141】
プリンタ500’は、PC100から送信された印刷ジョブデータを受信すると、ステップS100においてジョブデータ受信処理を行う。そして、プリンタ500’は、受信した印刷ジョブデータに基づいて以下に、データ解析処理(ステップS1600)、印刷開始前処理(S1700)、媒体搬送処理(ステップS1200)、画像形成処理(ステップS400)、熱定着処理(ステップS1300)、重送検知処理(ステップS1800)、印刷中止判断処理(ステップS1500)の各処理を実行する。
【0142】
以下に、各ステップにおける処理について説明する。なお、図28に示した、ステップS100のジョブデータ受信処理、媒体搬送処理(ステップS1200)、画像形成処理(ステップS400)、熱定着処理(ステップS1300)、印刷中止判断処理(ステップS1500)については、第2の実施形態と同一処理であるため、ここでの説明は省略する。
【0143】
次に、ステップS1600のデータ解析処理について説明する。図29は、図28におけるステップS1600のデータ解析処理を説明するフローチャートである。
【0144】
データ解析部120は、通信部110を介して印刷ジョブデータが入力されると(ステップS1610)、印刷ジョブデータにおいて設定されている出力印刷媒体寸法を取得するとともに(ステップS1620)、MPT70指定有無を取得する(ステップS1630)。そして、データ解析部120は、印刷ジョブデータを解析して印刷画像化し(ステップS1640)、生成した印刷画像データをイメージデータバッファ200に格納させる(ステップS1650)。そして、データ解析部120は、当該印刷画像データの先頭アドレス、出力印刷媒体寸法、及びMPT70の指定有無を制御部130に出力する(ステップS1660)。
【0145】
次に、ステップS1700の印刷開始前処理について説明する。図30は、図28におけるステップS1700の印刷開始前処理を説明するフローチャートである。
【0146】
データ解析部120により印刷画像データの先頭アドレス、出力印刷媒体寸法、及びMPT70の指定有無が入力されると(ステップS1710)、制御部130は、MPT70の指定有無を確認する。
【0147】
MPT70の指定が有る場合(ステップS1715 Y)、制御部130は、印刷媒体の供給元をMPT70として(ステップS1720)、搬送制御部132に通知する(ステップS1730)。一方、MPT70の指定が無い場合(ステップS1715 N)、制御部130は、印刷媒体の供給元を媒体カセット7として(ステップS1725)、搬送制御部132に通知する(ステップS1730)。
【0148】
次に、制御部130は、ステップS1710で入力された印刷画像データの先頭アドレス、出力印刷媒体寸法、及びMPT70の指定有無の内で、出力印刷媒体寸法の搬送方向長さを重送判断部138に通知する(ステップS1740)。そして、制御部130は、印刷画像データの先頭アドレスをデータ転送部131に通知するとともに(ステップS1750)、定着制御部133に目標温度を通知して制御を開始させる(ステップS1760)。
【0149】
次に、ステップS1800の重送検知処理について説明する。図31は、図28におけるステップS1800の重送検知処理を説明するフローチャートである。
【0150】
重送判断部138は、印刷開始前処理において、制御部130から出力印刷媒体寸法の搬送方向長さを取得するとともに(ステップS1805)、次に、所定間隔で媒体搬送速度を取得する(ステップS1810)。
【0151】
次に、重送判断部138は、これら2つの情報から媒体通過時間を算出する(ステップS1815)。そして、書出しセンサ41が媒体先頭の通過を検知し、媒体先頭検知信号が入力されると(ステップS1820)、重送判断部138は、タイマ134を起動する(ステップS1825)。
【0152】
そして、重送判断部138は、ステップS1815で算出した媒体通過時間を元に設定した目安の間で印刷媒体の後端が通過するか否かを監視する。
【0153】
目安時間内に印刷媒体の後端が通過した場合(ステップS1830 Y)、重送判断部138は、印刷媒体は正常に搬送されているものとして処理を終了する。
【0154】
一方、目安時間内に印刷媒体の後端が通過しない場合(ステップS1830 N)、印刷媒体が重なって搬送されていることにより、本来の寸法よりも搬送方向に長くなっていると考えられるため、重送判断部138は、制御部130に重送検知を通知する(ステップS1835)。
【0155】
以上のように、第4の実施形態によれば、第3の実施形態の効果に加え、印刷媒体の供給元がMPTであるか、それとも媒体カセットであるかの違いで画像形成動作を継続させるか否かの判断を行うことができる。
【0156】
[第5の実施形態]
第1〜第4の実施形態では、いずれも画像形成面の印刷媒体が先行して搬送される重送については、そのまま画像形成動作を継続できるプリンタについて説明した。本実施形態では、第1〜第4の実施形態にかかるプリンタにおいて、画像形成面の印刷媒体が先行して搬送される重送時の熱定着温度を上昇制御する形態について説明する。
【0157】
図32は、本実施形態にかかる熱定着処理を説明するフローチャートである。なお、本実施形態は、これまでに説明した第1の実施形態〜第4の実施形態のプリンタのいずれにも適用可能である。
【0158】
まず、定着制御部133は、画像形成動作が開始されたことを検知すると、排紙センサ42から排紙完了信号が入力されるまでの間、定着ローラ61が内蔵する図示せぬ加熱ヒータを至適温度に調節させるとともに(ステップS510)、熱定着部160を制御して熱定着を実行させる(ステップS520)。この間に、後述する重送判断部138からの画像形成動作の中止命令が入力された場合(ステップS530 Y)、定着制御部133は、熱定着部160による熱定着を中止させる。一方、重送判断部138からの画像形成動作の中止命令が入力されない場合(ステップS530 N)、且つ、画像形成面となる印刷媒体が先行して重送されている場合(S540 Y)、定着制御部133は、定着ローラ61が内蔵する図示せぬ加熱ヒータを発熱させ、定着ローラ61の表面温度を上昇させる(ステップS550)。なお、重送判断部138からの画像形成動作の中止命令が入力されない場合(ステップS530 N)、且つ、画像形成面となる印刷媒体が先行して重送されていない場合(S540 N)、印刷媒体は1枚ずつ正常に搬送されているため、定着制御部133による熱定着温度の上昇制御は行われない。
【0159】
以上のように、第5の実施形態によれば、画像形成面の印刷媒体が先行して搬送される重送時の熱定着温度を上昇させることにより、印刷媒体が2枚重なった状態で熱定着部62に到達したとしても、安定してトナー像を印刷媒体上に熱定着させることができる。
【0160】
本発明にかかる実施形態の説明において、画像形成装置として電子写真プリンタを一例にして説明したが、本発明は上記記述に限定されるものではなく、例えば、インクジェットプリンタ、MFP、複写機、又はファクシミリ装置等の単票に印刷する全ての画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0161】
1 印刷媒体
2 媒体搬送路
3 媒体繰出し部
5 トナー転写部
7 媒体カセット
8 排紙トレイ
9 給紙ローラ
11 圧接ローラ
12、13 レジストローラ
20 画像形成手段
21 感光体ドラム
22 転写ローラ
23 帯電ローラ
24 LEDユニット
25 現像ローラ
29 トナーカートリッジ
31、32 搬送ローラ
33、34 排紙ローラ
40 媒体センサ
41 書出しセンサ
42 排出センサ
48 媒体厚さ格納部
49 紙厚センサ
60 定着手段
61 定着ローラ
62 熱定着部
70 MPT
110 通信部
120 データ解析部
130 制御部
130’ 制御部
131 データ転送部
132 搬送制御部
133 定着制御部
134 タイマ
137 媒体異常検知部
138 重送判断部
140 画像形成部
150 媒体搬送部
160 熱定着部
200 イメージデータバッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成された現像剤像を印刷媒体に転写して印刷画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、
搬送路上にある前記印刷媒体の媒体厚さを検知する媒体厚さ検知手段と、
前記媒体厚さ検知手段により検知された媒体厚さの変化量を算出する媒体厚さ変化量算出手段と、
前記媒体厚さ変化量算出手段により算出された前記媒体厚さの変化量に基づき前記印刷媒体の重送が発生したか否かを判断する重送判断手段とを備え、
前記印刷媒体の重送が発生した場合でも、前記媒体厚さの変化量が所定値に満たないときには、前記重送判断手段は前記画像形成手段による前記印刷画像の形成を継続させること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
像担持体上に形成された現像剤像を印刷媒体に転写して印刷画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、
搬送路上にある前記印刷媒体の媒体厚さを検知する媒体厚さ検知手段と、
前記媒体厚さ検知手段により検知された媒体厚さの変化量を算出する媒体厚さ変化量算出手段と、
前記媒体厚さ変化量算出手段により算出された前記媒体厚さの変化量に基づき前記印刷媒体の重送が発生したか否かを判断する重送判断手段と、
前記印刷媒体を前記画像形成手段に給紙する複数の印刷媒体供給元と、
画像形成に用いられる前記印刷媒体供給元を判別する供給元判別手段とを備え、
前記重送判断手段は、前記印刷媒体の重送が発生したと判断したとき、前記供給元判別手段の判別結果に基づき前記画像形成手段による前記印刷画像の形成を継続させるか否かを判断すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記重送判断手段は、
複数回に亘って前記媒体厚さの変化量が所定値以上となったときに前記印刷媒体の重送が発生したと判断すること
を特徴とする請求項1、又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定値は、
前記印刷媒体の一枚当たりの厚さの6〜8割程度の厚さ値であること
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
像担持体上に形成された現像剤像を印刷媒体に転写して印刷画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、
搬送路を通過する前記印刷媒体の搬送方向先端部通過、及び後端部通過のそれぞれを検出する媒体検出手段と、
前記検知手段による検知結果に基づき、前記印刷媒体の搬送方向長さを算出する印刷媒体長さ算出手段と、
予め設定された前記印刷画像が形成される出力印刷媒体の搬送方向長さを取得する出力印刷媒体長さ取得手段と、
前記印刷媒体長さ算出手段により算出された前記印刷媒体の搬送方向長さと前記出力印刷媒体長さ取得手段により取得された前記出力印刷媒体の搬送方向長さとを比較する比較手段と、
搬送路上にある前記印刷媒体の媒体厚さを検知する媒体厚さ検知手段と、
前記媒体厚さ検知手段により検知された媒体厚さの変化量を算出する媒体厚さ変化量算出手段と、
前記媒体厚さ変化量算出手段により算出された前記媒体厚さの変化量に基づき前記印刷媒体の重送が発生したか否かを判断する重送判断手段とを備え、
前記重送判断手段は、前記比較手段による比較結果に差が生じ、前記媒体厚さの変化量が所定値以上となったときには、前記画像形成手段による前記印刷画像の形成を中止させること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
像担持体上に形成された現像剤像を印刷媒体に転写して印刷画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、
搬送路を通過する前記印刷媒体の搬送方向先端部通過、及び後端部通過のそれぞれを検出する媒体検出手段と、
前記検知手段による検知結果に基づき、前記印刷媒体の搬送方向長さを算出する印刷媒体長さ算出手段と、
予め設定された前記印刷画像が形成される出力印刷媒体の搬送方向長さを取得する出力印刷媒体長さ取得手段と、
前記印刷媒体長さ算出手段により算出された前記印刷媒体の搬送方向長さと前記出力印刷媒体長さ取得手段により取得された前記出力印刷媒体の搬送方向長さとを比較する比較手段と、
搬送路上にある前記印刷媒体の媒体厚さを検知する媒体厚さ検知手段と、
前記媒体厚さ検知手段により検知された媒体厚さの変化量を算出する媒体厚さ変化量算出手段と、
前記媒体厚さ変化量算出手段により算出された前記媒体厚さの変化量に基づき前記印刷媒体の重送が発生したか否かを判断する重送判断手段と、
前記印刷媒体を前記画像形成手段に給紙する複数の印刷媒体供給元と、
画像形成に用いられる前記印刷媒体供給元を判別する供給元判別手段とを備え、
前記重送判断手段は、前記比較手段による比較結果に差が生じ、前記印刷媒体の重送が発生したと判断したとき、前記供給元判別手段の判別結果に基づき前記画像形成手段による前記印刷画像の形成を継続させるか否かを判断すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記重送判断手段は、
複数回に亘って前記媒体厚さの変化量が所定値以上となったときに前記印刷媒体の重送が発生したと判断すること
を特徴とする請求項5、又は6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記所定値は、
前記印刷媒体の一枚当たりの厚さの6〜8割程度の厚さ値であること
を特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
転写された現像剤画像を印刷媒体に定着させる定着手段を備え、
前記重送判断手段の判断に基づき、前記画像形成手段による前記印刷画像の形成が継続された場合に、前記定着手段は1枚の印刷画像形成にかかる通常の定着温度よりも高い定着温度を前記印刷媒体に付与すること
を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−86972(P2012−86972A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236983(P2010−236983)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】