説明

画像形成装置

【課題】定着オフセットや、定着尾引きを抑制するために加熱回転部材や加圧回転部材にバイアス電圧を印加する画像形成装置において、加熱回転部材へのトナー汚れを抑制でき、加圧回転部材へのチャージアップを抑制できるようにする。
【解決手段】定着部の加熱回転部材と加圧回転部材のいずれか一方に直流のバイアス電圧を印加するタイミングは、加熱回転部材と加圧回転部材とで形成されるニップ部に記録材Pの記録材搬送方向と同じ側の先端が突入してから所定のタイミング後にオンし、前記ニップ部から記録材の記録材搬送方向とは反対側の後端が排出される直前における所定のタイミングでオフする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プリンタ、電子写真複写機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式のプリンタや複写機に搭載される加熱定着装置として、熱効率や耐久性に優れた熱ローラ方式の定着装置や、スタンバイ時に電力を供給せず消費電力を極力低く抑えたフィルム加熱方式の定着装置が知られている。
【0003】
このような熱ローラ方式の定着装置や、フィルム加熱方式の定着装置においては、近年のプリンタ、複写機の高速化に伴い、従来よりも多くの熱エネルギーを短時間に記録材(紙)に与えることが求められている。そこで、上記に代表されるような各方式の定着装置においても、定着ローラや定着フィルムといった定着部材の熱伝導率を向上させたり、定着装置の制御温度をより高く設定したりして、対応している。
【0004】
ところで、プリンタや複写機は、プリンタや複写機の価格低下に伴い、全世界的に普及が広がり、中国やインドをはじめとする新興国においても、様々な環境において使用されるようになってきた。その結果、使用される記録材の種類も多岐に渡り、厚みや表面性、坪量が異なる他、填量や帯電特性等も各国によって様々な性質のものが使用されている。また、プリンタや複写機の高速化や、記録材の種類の多様化に伴って定着装置に求められる品質は次第に高くなってきており、どのような環境下で用いられても、画像不良や定着不良の発生しないような完成度が要求されている。
【0005】
一般的に、定着装置で発生する画像不良として、定着オフセットや、定着尾引きなどが知られている。定着オフセットとは、記録材上の未定着トナー画像が定着ニップ部において加熱定着される際に、未定着トナーが回転する定着部材の外周面(表面)に付着し、その定着部材が1回転したときに再度記録材上に再転写して現れる画像不良である。定着部材表面の離型性が低い場合や、記録材上の未定着トナーの保持力が弱い場合に発生しやすい。
【0006】
このような定着オフセットを抑制する手段として、未定着トナー画像のもつ電荷と同極性の電圧を定着部材側に印加する等の方法により、未定着トナー画像が定着部材表面に付着するのを減らす効果がある(特許文献1参照)。
【0007】
定着尾引きとは、記録材上の未定着トナー画像が、定着部材と加圧部材との圧接により形成される定着ニップ部の記録材導入口近傍で記録材搬送方向下流側に飛び散る現象である(図10参照)。この定着尾引きの原因の一つに、記録材に含有された水分が定着ニップ部で急激に加熱される事で発生する水蒸気の影響が大きいと考えられている。発生した水蒸気は定着ニップ部近傍の隙間に沿って逃げようとする。記録材のトナー画像形成面の凹凸と定着部材表面にできる隙間などがその水蒸気が逃げる場所としてのきっかけとなることが多い。
【0008】
上述のようにプリンタや複写機の高速化により、定着ニップ部で記録材上の未定着トナー画像に供給する熱量が増えると、発生する水蒸気量も多くなる。即ち、プリンタや複写機の高速化により定着尾引きは発生しやすくなってきている。
【0009】
このような定着尾引きを抑制する手段として、例えば、定着部材にトナーと同極性のバイアス電圧を印加すると同時に、定着ニップ部の記録材搬送方向下流側において記録材のトナー画像非形成面に接触する導電性排紙ローラ等を設置する。そしてその導電性排紙ローラをGNDに接地する構成とすることで定着尾引きを抑制する効果が働く。つまり、定着部材から記録材、導電性排紙ローラを経てGNDに至る電流経路が形成され、印加したバイアス電圧はそれぞれの部材間で電圧降下を生じさせる。この際に発生する電界が記録材上のトナーの保持力を高めるので、定着尾引きが抑制されることになる。
【0010】
上述したように、プリンタや複写機の高速化や、記録材の種類の多様化に伴って、画像不良が発生する場合でも、定着部材にバイアス電圧を印加する構成により、記録材へのトナーの保持力を高め、効果的に画像不良を抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−127809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記のように定着部材にバイアス電圧を印加し、定着オフセットや定着尾引きのような画像不良を抑制していても、以下に述べるようなケースでは、他の画像不良や問題を発生させる場合がある。
【0013】
即ち、記録材上へのトナーの保持力を高めるために、定着部材に所定のバイアス電圧を印加する構成では、従来は記録材先端が定着ニップに導入されるタイミングか、或いはその直前のタイミングからバイアス電圧を印加していることが多い。また、バイアス電圧のオンオフ制御が不可能な構成では、プリント動作中はバイアス電圧を常に印加したままの構成も考えられる。いずれにしても記録材が定着ニップ部に存在する間は常にバイアス電圧が印加されていることになる。
【0014】
問題の一つとして、例えば記録材として炭酸カルシウム等の填料を多く含んでいるような紙を使用する場合、バイアス電圧の影響によって紙の紙粉が定着部材表面、或いは加圧部材表面に吸着し蓄積されやすくなる。特に昨今では、紙の上質感を上げる為に、白色度が高く、不透明性に優れかつコストが安い等の理由で炭酸カルシウムの充填量が増える傾向にある。炭酸カルシウムを主成分とする紙粉は、カオリンやタルクといった他の填料を主成分とする紙粉と比較して、フッ素樹脂に対する摩擦帯電特性では強く正帯電する性質を持っている。そのため、定着部材表面にマイナスのバイアス電圧を印加しているような構成では、紙粉が定着部材表面にひきつけられて蓄積しやすくなる。
【0015】
このような紙粉の付着は、フッ素樹脂等で構成される定着部材表面の離型性を著しく低下させる為、やがてはオフセットトナーが汚れとなって蓄積し、後続のプリント紙を汚してしまうといった問題に繋がる。また、このような紙粉は紙の先後端コバ部に特に多く、さらに粒径の大きな紙粉や、形状がササクレ立った紙粉も多いため、定着部材表面にはより強固に付着する傾向がある。上述のように紙の先端部や後端部が定着ニップ部を通過する際にバイアス電圧が印加されていると、定着部材表面により多くの紙粉によるトナー汚れが蓄積する事になる。
【0016】
また、他の問題として、フィルム加熱方式の定着装置の一例を想定したケースでは、定着部材である定着フィルムの表層は中抵抗から高抵抗の導電性フッ素樹脂を用いる事が多い。同様に、加圧部材としての加圧ローラ表層には絶縁性のフッ素樹脂チューブを使用している例が多い。トナーと同極性のバイアス電圧として、定着フィルムにマイナスのバイアス電圧を印加しているような場合、定着ニップ部下流側で定着フィルム表面と加圧ローラ表面が分離する際に、定着ニップ部で形成されていた電界を打ち消す向きに電荷の移動が発生する。定着フィルムの表面にはプラスの電荷が生じ、加圧ローラの表層にはマイナスの電荷が生じる事になる。特に絶縁性のフッ素樹脂チューブを使用している加圧ローラ表面の電位は大きくマイナス側に保持されることになる。
【0017】
画像形成装置の高速化により、定着フィルムに印加するバイアス電圧が大きいほどこの傾向は顕著となる。また摩擦帯電量も増加することから、加圧ローラ表面のマイナスチャージがより大きくなり、定着フィルム側に印加したマイナスのバイアス電位よりも逆転してしまう場合がある。その結果、後続の記録材が定着ニップ部を通過する際に記録材先端のトナーが十分に保持できなくなり、先端部でオフセットが発生してしまうことがある。
【0018】
本発明の目的は、定着オフセットや、定着尾引きを抑制するために加熱回転部材や加圧回転部材にバイアス電圧を印加する画像形成装置において、加熱回転部材へのトナー汚れを抑制でき、加圧回転部材へのチャージアップを抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の構成は、回転する像担持体が担持するトナー画像を記録材上に転写して記録材に未定着トナー画像を形成する画像形成部と、加熱回転部材と前記加熱回転部材と接触する加圧回転部材とでニップ部を形成し前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ前記未定着トナー画像を記録材上に加熱定着する定着部と、前記加熱回転部材と前記加圧回転部材のいずれか一方に直流のバイアス電圧を印加する印加手段と、を有する画像形成装置において、前記直流のバイアス電圧を印加するタイミングは、前記ニップ部に記録材の記録材搬送方向と同じ側の先端が突入してから所定のタイミング後にオンし、前記ニップ部から記録材の記録材搬送方向とは反対側の後端が排出される直前における所定のタイミングでオフすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、定着オフセットや、定着尾引きを抑制するために加熱回転部材や加圧回転部材にバイアス電圧を印加する画像形成装置において、加熱回転部材へのトナー汚れを抑制でき、加圧回転部材へのチャージアップを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の一例の概略構成図
【図2】定着装置の横断面構成模式図
【図3】定着バイアス電圧の印加方法及び回路構成を表す図
【図4】定着フィルムの長手方向端部の給電部構成と給電ブラシを表す図
【図5】従来の定着バイアスの印加タイミングを表す模式図
【図6】印字領域と、先端余白距離と、後端余白距離と、画像距離を有する原稿の一例を表す図
【図7】実施例1に係る画像形成装置における定着バイアス電圧の印加タイミングを表す図
【図8】プロセスカートリッジの現像部を拡大した模式図
【図9】実施例2の画像形成装置における定着バイアス電圧の印加タイミングを表す図
【図10】定着尾引きの説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施例1]
(1)画像形成装置例
図1は本実施例に係る画像形成装置の一例の概略構成図である。この画像形成装置は電子写真方式のレーザービームプリンタである。
【0023】
本実施例に示す画像形成装置Aは、パーソナルコンピュータ等の外部情報機器42と有線通信或いは無線通信できるように構成されている。外部情報機器42の使用者が、文書や図、画像などプリント目的の原稿(電子原稿)をプリントする指示を外部情報機器から発信すると、電子原稿の画像データは画像形成装置に設けられている画素情報変換部(以下、ビデオコントローラと呼ぶ)40に送られる。
【0024】
ビデオコントローラ40は、送られた画像データを画像展開してビット信号に変換する。画像展開が終了すると、ビデオコントローラ40は画像形成装置Aに設けられている制御部(以下、エンジンコントローラと呼ぶ)41に対してプリント動作を開始する信号(以下、プリント指令と呼ぶ)を送ると共にビット信号に変換された画像情報を送信する。
【0025】
次に、画像形成装置Aに設けられている画像形成部50について説明する。画像形成部50ではエンジンコントローラ41からのプリント指令に基づき所定の画像形成動作が行われる。画像形成部50において、1は像担持体としての感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の素管上に形成されている。
【0026】
感光ドラム1は矢印の方向に回転駆動され、まず感光ドラム1の外周面(表面)は帯電手段としての帯電ローラ2によって負の所定電位に一様帯電される。次に、感光ドラム1表面の帯電面に対し、露光手段としてのレーザースキャナ3より、ビデオコントローラから送信された画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビームLによる走査露光が施され、静電潜像(静電像)が形成される。この静電潜像は、現像手段としての現像装置4でトナーを用いて現像されることにより、トナー画像として可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。本実施例ではジャンピング現像方式を用いた。
【0027】
一方、記録材Pが積載収納されているカセット11から記録材Pを給送ローラ12で1枚ずつ繰り出して搬送ローラ13に給送する。搬送ローラ13は、その記録材Pを挟持して所定のタイミングで感光ドラム1表面と転写手段としての転写ローラ5の外周面(表面)との間の転写ニップ部に記録材Pを送り出す。つまり、搬送ローラ13は、感光ドラム1表面に担持されたトナー像の画像形成開始位置と記録材Pの画像書き出し位置とが合致するように設定された所定のタイミングで転写ニップ部Tnに記録材Pを送り出す。その記録材Pは記録材搬送方向と同じ側の先端が検知部材としてのトップセンサ8で検知された後に転写ニップ部Tnに進入する。
【0028】
その記録材Pは転写ニップ部Tnにおいて感光ドラム1表面と転写ローラ5表面とで挟持されその状態に搬送(挟持搬送)される。この搬送過程において転写ローラ5が感光ドラム1表面からトナー画像を記録材上に転写する。これにより画像形成部50は記録材Pに未定着トナー画像を形成する。
【0029】
未定着トナー画像が形成された記録材Pは、感光ドラム1表面から分離され、定着部としての加熱定着装置6の加熱回転部材22の外周面(表面)と加圧回転部材24の外周面(表面)とで形成された定着ニップ部(ニップ部)Nに導入される。そして定着ニップ部Nを通過することによりトナー画像が記録材上に加熱定着される。トナー画像が加熱定着された記録材Pは、定着ニップ部Nより記録材搬送方向の下流側に設けられた搬送ローラとしての排出ローラ33により定着ニップ部Nと共に挟持搬送された後にプリント排出トレイ10に排出される。
【0030】
トナー画像転写後の感光ドラム1は、感光ドラム1表面に残存する残留トナーがクリーニングブレード7により掻き取られてクリーニングされた後、次の画像形成に供される。
【0031】
本実施例では、感光ドラム1と、帯電ローラ2と、現像装置4と、クリーニングブレード7と、を一体的にカートリッジ化して、画像形成装置Aの筺体を構成する画像形成装置本体に取り外し可能に装着するプロセスカートリッジCとして構成している。
【0032】
図1において、9は排紙センサであって、加熱定着装置6の定着ニップ部Nと排出ローラ33との間に設けられている。排紙センサ9は記録材Pがトップセンサ8との間で紙詰まりなどを起こした際に、それを検知する為のセンサである。また排紙センサ9は記録材Pの記録材搬送方向とは反対側の後端を検知するセンサとして用いられる。
【0033】
(2)加熱定着装置6
図2は加熱定着装置6の横断面構成模式図である。この加熱定着装置(以下、定着装置と呼ぶ)6はフィルム加熱方式の定着器である。
【0034】
以下の説明において、定着装置及び定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向をいう。幅とは短手方向の寸法をいう。
【0035】
本実施例に示す定着装置6は、加熱体としてのセラミックヒータ20と、支持部材としてのヒータホルダ21と、加熱回転部材としての筒状の定着フィルム22と、保持部材としての剛性ステー23と、加圧回転部材としての加圧ローラ24などを有している。セラミックヒータ(以下、ヒータと呼ぶ)20と、ヒータホルダ21と、定着フィルム22と、剛性ステー23と、加圧ローラ24は、それぞれ、長手方向に長い部材である。
【0036】
ヒータ20は低熱容量のプレート状に形成されている。ヒータ20において、20aはアルミナや窒化アルミ等の絶縁性セラミックにより作製された細長いヒータ基板である。このヒータ基板20aの定着ニップ部N側の面(表面)には、ヒータ基板20aの長手方向に沿ってAg/Pd(銀パラジウム)、RuO、TaN等の通電発熱抵抗層20bがスクリーン印刷等により形成されている。更にヒータ基板20a表面には、定着フィルム22の内周面(内面)との伝熱効率を損なわない範囲で通電発熱抵抗層20bを保護するガラス層などの保護層20cが設けてある。
【0037】
ヒータホルダ21は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂により横断面略樋型形状に形成されている。ヒータホルダ21の短手方向下面中央には、ヒータホルダ21の長手方向に沿ってヒータ20を保護層20cが下向きになるように支持させてある。ヒータホルダ21の短手方向両側の外面は、定着フィルム22の回転状態で定着フィルム22内面をガイドするために定着フィルム22内面よりも小さい曲率の弧状面に形成してある。ヒータホルダ21の長手方向両端は定着装置6の装置フレーム(不図示)に支持されている。
【0038】
剛性ステー23は、所定の金属材料等により横断面略逆U字形状に形成され、ヒータホルダ21の短手方向上面中央でヒータホルダ21の長手方向に沿って配設されている。剛性ステー23の長手方向両端は定着装置6の装置フレームに支持されている。
【0039】
定着フィルム22は、クイックスタートを可能にするために総厚200μm以下の厚みの耐熱性フィルムである。この定着フィルム22は、筒状の基層22c(図4参照)を有している。基層22cの材料として、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等の耐熱性樹脂、或いは耐熱性、高熱伝導性を有するSUS、Al、Ni、Cu、Zn等の純金属或いは合金を用いている。また、耐久寿命の長い定着装置6を構成するために充分な強度を持ち、耐久性に優れた定着フィルム22として、総厚20μm以上の厚みが必要である。よって定着フィルム22の総厚としては20μm以上200μm以下が最適である。
【0040】
さらにオフセット防止や記録材の分離性を確保するために定着フィルム22の表層(22a(図4参照)には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合ないし単独で被覆して離型性層を形成してある。ここで、フッ素樹脂としてPTFE、PFA、FEP、ETFE、CTFE、PVDF等が用いられる。PTFEはポリテトラフルオロエチレン、PFAはテトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である。FEPはテトラフルオロエチレン ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ETFEはエチレン テトラフルオロエチレン共重合体、CTFEはポリクロロトリフルオロエチレン、PVDFはポリビニリデンフルオライドである。
【0041】
本実施例では、定着フィルム22として、基層22cにポリイミド樹脂を用い、表層22aに導電性のPFA樹脂を塗工したフィルムを用いた。そしてヒータ20を支持させると共に剛性ステー23を配設させたヒータホルダ21に定着フィルム22をルーズに外嵌させている。定着フィルム22に印加する定着バイアス電圧(直流のバイアス電圧)の印加方法および回路構成についての詳細は後述する。
【0042】
加圧ローラ24は、SUS、SUM、Al等の金属製芯金(以下、芯金と呼ぶ)24aの長手方向両端部の軸部(不図示)間の外周面上に弾性層24bを有する弾性ローラである。弾性層24bとしては、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムで形成した弾性ソリッドゴム層を用いることができる。或いは、より断熱効果を持たせるためにシリコーンゴムを発泡して形成した弾性スポンジゴム層等を用いることができる。或いは、シリコーンゴム層内に中空のフィラー(マイクロバルーン等)を分散させ、硬化物内に気体部分を持たせて断熱効果を高めた弾性気泡ゴム層等を用いることができる。そして弾性層24bの外周面上にパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)等の離型性層(以下、表層とも呼ぶ)24cを形成している。
【0043】
本実施例では、加圧ローラ24において、弾性層24bにマイクロバルーンで発泡させた絶縁性のシリコーンゴムを用い、離形性層24cには厚みが50μmのPFAチューブを用いた。
【0044】
この加圧ローラ24は、定着フィルム22を介してヒータ20と対向するように配設され、芯金24aの長手方向両端部の軸部が装置フレームに軸受(不図示)を介して回転可能に支持されている。そしてこの芯金24aの長手方向両端部側の軸受を加圧バネ(不図示)で定着フィルム22の母線方向と直交する方向へ付勢して加圧ローラ24の外周面(表面)をヒータ20と対向する位置で定着フィルム22の外周面(表面)に加圧状態に接触させている。これにより加圧ローラ24は定着フィルム22を挟んでヒータ20に加圧されて弾性層24bが弾性変形し、加圧ローラ24表面と定着フィルム22表面とで所定幅の定着ニップ部(ニップ部)Nが形成される。
【0045】
(3)加熱定着装置6の加熱定着動作
エンジンコントローラ41はプリント指令に応じて駆動モータ(不図示)を回転駆動する。駆動モータの出力軸の回転は所定のギア列(不図示)を介して加圧ローラ24の芯金24aに伝達される。これにより加圧ローラ24は所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向へ回転する。加圧ローラ24の回転は定着ニップ部Nにおいて加圧ローラ24表面と定着フィルム22表面との摩擦力によって定着フィルム22に伝達される。これにより定着フィルム22は定着フィルム22内面がヒータ20の保護層20cの定着ニップ部N側の面(表面)と接触しつつ加圧ローラ24の回転に追従して矢印方向へ回転する。
【0046】
定着フィルム22内面とヒータ20の保護層20c表面との間には、フッ素系やシリコーン系の耐熱性グリース等の潤滑材を介在させている。これにより定着フィルム22内面とヒータ20の保護層20c表面との摩擦抵抗を低く抑え、定着フィルム13の滑らかな回転を確保している。
【0047】
またエンジンコントローラ41はプリント指令に応じて通電制御部としての通電制御回路(不図示)を立ち上げる。通電制御回路はヒータ20のヒータ基板20aに設けられた通電電極(不図示)を介して通電発熱抵抗層20bに通電する。これによりヒータ20は通電発熱抵抗層20bが急速に昇温して定着フィルム22を加熱する。ヒータ20の温度はヒータ基板20aの定着ニップ部Nとは反対側の面(裏面)に設けられたサーミスタ等の温度検知部材25により検知される。
【0048】
通電制御回路は、温度検知部材25からの出力信号を取り込み、その出力信号に基づき通電発熱抵抗層20bに印加する電圧のデューティー比や波数等を決定し適切に制御して定着ニップ部N内の温度を所定の定着設定温度(目標温度)に保つ。
【0049】
駆動モータを回転駆動し、かつヒータ20に通電発熱抵抗層20bに通電して定着ニップ部N内の温度を所定の定着設定温度に保った状態において、未定着トナー画像tを担持した記録材Pがトナー画像担持面を上向きにして定着ニップ部Nに導入される。この記録材Pは定着ニップ部Nで定着フィルム22表面と加圧ローラ24表面により挟持されその状態に搬送される。この搬送過程において記録材上のトナー画像tは定着フィルム22を介してヒータ20により加熱されて溶融すると共に定着ニップ部Nのニップ圧を受けて記録材上に加熱定着される。トナー画像tが加熱定着された記録材Pは定着フィルム22表面から分離して定着ニップ部Nから排出される。
【0050】
(4)定着バイアス電圧印加回路
図3に、定着フィルムに印加する定着バイアス電圧の印加方法及び回路構成を示す。図3に示すように、排出ローラ33は、導電性の搬送回転体としての定着排出ローラ33aと、定着排出ローラ33aの外周面(表面)と対向するように配設された排出コロ33bなどを有している。そして定着排出ローラ33aは接地されている。図3において、34は定着フィルム22に直流のバイアス電圧としてのトナーと同極性、或いはトナーと逆極性の定着バイアス電圧を印加するための電源である。35は電源34から供給された定着バイアス電圧を定着フィルム22に給電する為の給電ブラシである。
【0051】
図4に、定着フィルム22の長手方向端部の給電部構成と給電ブラシ35を示す。図4に示すように、定着フィルム22は、表層22aと基層22cとの間に導電性のプライマ層22bを有している。定着フィルム22の長手方向端部においてこのプライマ層22bが周方向に亘って露出しており、給電ブラシ35はこのプライマ層22bの露出部分に接触することで定着バイアス電圧の給電が可能となる。
【0052】
本実施例では、定着尾引きや定着オフセット防止の目的で、定着フィルム22表面がトナーと同極性のマイナス電位を保持するように、電源34から定着バイアス電圧−700Vを印加している。トナー画像tを担持する記録材Pが定着ニップ部Nに搬送され、さらに記録材先端が排出ローラ33に達して定着排出ローラ33aの外周面(表面)と接触する。この時点で、定着バイアス電圧が定着フィルム13、記録材P、定着排出ローラ33aを介してGNDへと繋がる回路が形成される。
【0053】
また、加圧ローラ24の芯金24aを整流素子36を介して接地し、トナーと同極性のマイナス電荷が加圧ローラ24表面に蓄積することを防止している。
【0054】
(5)定着バイアス電圧の印加タイミング
以下に、本実施例の画像形成装置の特徴である定着バイアス電圧の印加タイミングについて説明する。
【0055】
図5に、従来の画像形成装置における定着バイアス電圧の印加タイミングを示す。従来の画像形成装置では、記録材Pが定着ニップ部Nに入る瞬間を、所定のセンサを記録材先端が通過してからの時間でタイミングを図り、定着バイアス電圧をオンにしている。
【0056】
ここでは、記録材先端がトップセンサ8(図1参照)を切ってから、定着ニップ部N手前5mmの位置に記録材先端が到達するタイミングに定着バイアス電圧の印加を開始(以下、オンと呼ぶ)するように電源34をエンジンコントローラ41が制御する。また、定着バイアス電圧の印加を停止(以下、オフと呼ぶ)するタイミングとしては、記録材後端が排紙センサ9(図1参照)を切ってからオフするように電源34をエンジンコントローラ41が制御する。
【0057】
未定着トナー画像を担持する記録材を所定の間隔をおいて定着ニップ部Nに連続的に導入する所謂連続通紙を行った際は、前後の記録材間で定着バイアス電圧がオフされることとなる。
【0058】
次に、本実施例の画像形成装置における定着バイアス電圧の印加タイミングを説明する。図6に、印字領域と、先端余白距離と、後端余白距離と、画像距離を有する原稿の一例を示す。図7に、本実施例の画像形成装置における定着バイアス電圧の印加タイミングを示す。
【0059】
ビデオコントローラ40は、外部情報機器42から受け取った画像データから、先端余白距離と、画像距離と、後端余白距離を用いて、必要な距離情報を抽出する(図6参照)。ここで、先端余白距離とは、記録材先端からトナー画像(印字領域)先端までの距離情報をいう。画像距離とは、トナー画像先端からトナー画像後端までの距離情報をいう。後端余白距離とは、トナー画像後端から記録材後端までの距離情報をいう。そしてビデオコントローラ40は、エンジンコントローラ41に対して、変換した画像ビット信号とともに抽出した先端余白距離情報と、画像距離情報か、或いは後端余白距離情報の少なくとも何れか一方を含む画像情報を送信する。
【0060】
エンジンコントローラ41は、その先端余白距離情報と画像距離情報或いは後端余白距離情報を用いて、定着バイアス電圧をオンするタイミングとオフするタイミングを算出する。そして、実際にトナー画像先端が定着ニップ部Nに到達するタイミングで定着バイアス電圧をオンし、トナー画像後端が定着ニップ部Nから排出するタイミングにて定着バイアス電圧をオフするように電源34を制御する(図7参照)。
【0061】
具体的なオンタイミングの取り方としては、従来例のように、記録材先端がトップセンサ8を切るタイミングを用いればよい。このタイミングを基準に、記録材先端が定着ニップ部Nに到達するまでの時間t1と、記録材先端からトナー画像先端までの先端余白が定着ニップ部Nに到達するまでに要する時間t2から、t=t1+t2の時間を経て定着バイアス電圧をオンする。実際には定着バイアス電圧の立ち上がり時間を考慮した分だけ早めにオンしている。さらに、トナー画像先端からトナー画像後端までの後端余白が定着ニップ部Nに到達するまでに要する時間t3を経て定着バイアス電圧をオフすればよい。
【0062】
つまり、定着バイアス電圧を印加するタイミングは、記録材上のトナー画像先端が定着ニップ部Nに突入する直前にオンし、トナー画像後端が定着ニップ部Nから排出した直後にオフする。この場合は、先端余白距離情報と画像距離情報が必要であり、後端余白距離情報は必要ではない。しかしながら、例えば記録材後端が定着装置6より記録材搬送方向上流側にある所定のセンサ(不図示)を切り、そのセンサを起点に定着バイアス電圧をオフするタイミングを決める場合は、後端余白距離情報が必要となる。
【0063】
或いは、レーザースキャナ3の書き出しタイミングを起点として、そのタイミングでの静電像の書き出し位置(露光開始位置)が定着ニップ部Nに到達する時間を割り出して定着バイアス電圧をオンするタイミングを取ることも可能である。即ち、露光開始位置が転写ニップ部Tnに到達するまでに要する時間t4と、その露光開始位置が転写ニップ部Tnから定着ニップ部Nに到達するまでの時間t5から、t=t4+t5の時間を経て定着バイアス電圧をオンすればよい。
【0064】
つまり、定着バイアス電圧を印加するタイミングは、レーザースキャナで露光して静電像を書き出すタイミングを起点として、そのタイミングでの静電像の露光書き出し位置に対応する記録材上の位置が定着ニップ部に到達する時間にオンする。この場合は上述したような先端余白距離情報は必要でなく、レーザースキャナ3の書き出しタイミングがその替わりとなる。
【0065】
定着バイアス電圧をオフするタイミングの決め方は、上述の画像距離情報や後端余白距離情報を用いたタイミングでオフしてもよい。或いは、レーザースキャナ3で露光して静電像を書き終わるタイミングを信号などでエンジンコントローラ41に認識させる。そしてそのタイミングでの静電像の露光書き終わり位置に対応する記録材上の位置が定着ニップ部Nから排出する時間をエンジンコントローラ41で算出してもよい。この場合、その時間を定着バイアス電圧をオフするタイミングに決定してもよい。
【0066】
また、連続プリントの場合において、先端余白距離情報と後端余白距離情報を用いる場合は、1枚目の余白距離情報、2枚目の余白距離情報、・・・と、それぞれの枚数に応じて定着バイアス電圧のオンオフのタイミングを変化させることになる。
【0067】
(6)従来例との効果の比較
上述したように、本実施例では、記録材上のトナー画像先端が定着ニップ部Nに到達するタイミングで定着バイアス電圧をオンし、トナー画像後端が定着ニップ部Nを抜けるタイミングで定着バイアス電圧をオフする。このような定着バイアス電圧のオンオフ制御でプリントを行った場合と、従来の定着バイアス電圧のオンオフ制御に従ってプリントを行った場合について次のような比較実験を行い、効果を比較した。
【0068】
(比較1)
紙粉の蓄積が原因となって定着フィルム22表面にトナー汚れが蓄積する問題について効果を比較する。画像形成装置を用いて3000枚の通紙耐久を行い、紙粉やトナー汚れの蓄積状態を観察した。画像形成装置としては、プロセススピード200mm/sec、30枚/分(A4縦送り)のレーザービーム型プリンタを用いた。記録材Pとしては、炭酸カルシウム系の紙粉量が多く、定着フィルム22表面に付着しやすい紙を用いた。また通紙する環境として、紙粉がよりプラス帯電しやすい低温低湿環境(気温15℃、湿度10%)にて通紙を行った。
【0069】
また、従来の定着バイアス電圧のオンオフ制御例としては、(1)紙間も定着バイアス電圧のオンオフを行わない制御と、図5に代表するように(2)紙間は定着バイアス電圧をオフするが、定着ニップ部Nに紙が通紙されている間は常にオンされる制御を選んだ。本実施例としては、(3)トナー画像が定着ニップ部Nを通過する時のみ定着バイアス電圧がオンする制御を設定し、比較を行った。テストに用いた画像データは、一般的なA4サイズのテキスト画像とし、先端余白は20mm,後端余白は20mmと設定した。結果を下記表1に示す。
【0070】
【表1】


表1の比較結果から明らかなように、トナー画像が定着ニップ部Nを通過しているときにのみ定着バイアス電圧をオンすることにより、定着フィルム22表面に付着する紙粉の量と、それが起因となって付着するトナー汚れが効果的に減少していることがわかる。このような制御にすることで、記録材先端のコバ部と記録材後端のコバ部に存在する多量の紙粉が定着フィルム22表面側に付着する事を抑制する効果が働いていると考えられる。
【0071】
(比較2)
定着フィルム22のプライマ層22bにマイナスの定着バイアス電圧を強く印加するほど、加圧ローラ24表面のマイナス電荷のチャージアップが紙間で大きくなることにより、後続の記録材でトナー画像先端のオフセットを生じさせやすくなる。この問題について、従来例との比較を行った。
【0072】
加圧ローラ24表面のマイナスの電荷は、加圧ローラ24表面に設けた離形性層24cのフッ素樹脂チューブ等のフッ素系材料が、相手の部材(この場合は定着フィルム22表面)との摩擦帯電によってよりマイナス側に帯電しやすい。また、加圧ローラ24表面のマイナスの電荷は、定着ニップ部N下流で定着フィルム22表面と加圧ローラ24表面が分離される際に、定着ニップ部N内の電界を打ち消す向きに電荷が移動する為に加圧ローラ24表面にマイナスの電荷が移動する。これらの2つの効果によって加圧ローラ24表面のマイナスの電荷は助長され、マイナス電荷のチャージアップが発生する。
【0073】
即ち、定着フィルム22側に印加するマイナスの定着バイアス電圧が強いほど加圧ローラ24側のチャージアップ量も大きくなる。
【0074】
本実施例の定着バイアス電圧のオンオフ制御の効果を比較する為に、画像形成装置を用いて30枚の連続通紙を行い、発生する画像先端部のオフセットについて比較を行った。用いた画像形成装置、記録材、および実験を行った環境等その他条件は比較(1)と同じである。また従来の定着バイアス制御の例としても上記比較(1)と同じ条件で行った。
【0075】
結果を表2に示す。表2にはオフセットのレベルとともに、加圧ローラ24のチャージアップ量も比較させてある。加圧ローラ24のチャージアップ量は表面電位として、市販の表面電位計(TREK社製、高速表面電位計 Model370)を用いて測定している。
【0076】
【表2】


表2の結果より、本実施例の定着バイアス電圧のオンオフ制御に従えば、加圧ローラ24のマイナスのチャージアップ量を抑制する事ができる。また定着フィルム22に印加する定着バイアス電圧−700Vとの電位差も小さくなるので、オフセットの発生を抑制する事が可能となる。
【0077】
以上の比較1、比較2に説明したように、定着バイアス電圧の印加タイミングを、トナー画像が定着ニップ部Nを通過するときにのみ印加する制御とすることにより、定着フィルム22表面への紙粉の付着を少なくできる。また加圧ローラ24のチャージアップを抑制する効果が働き、画像不良の発生を防ぐ事が可能となる。
【0078】
(7)その他の発展形態
(7−1)定着バイアス電圧印加タイミングのその他の形態
本実施例の定着バイアス電圧の印加タイミングに従えば、画像不良の抑制に必要な定着バイアス電圧の印加時間が最小限に済むため、定着フィルム22表面への紙粉の付着をできるだけ抑制し、加圧ローラ24のチャージアップも最小限に抑えることが可能となる。
【0079】
しかしながら、少なくとも記録材先端のコバ部と記録材後端のコバ部が定着ニップ部Nを通過するタイミングに定着バイアス電圧が印加されていなければ、効果は小さくなる。けれども、従来の制御と比較すれば、定着フィルム22表面への紙粉の付着や、加圧ローラ24のチャージアップによる画像不良は抑制することができる。
【0080】
実際に、上記従来例との効果の比較において、記録材先端と記録材後端に余白を3mm程度に設定し、通紙試験を行ってみたところ、紙粉の付着量が若干増えるもののトナー汚れに発展することも無かった。また加圧ローラ24のチャージアップ量もオフセットが発生するほどには増えることは無かった。
【0081】
これらは、記録材としての記録用紙の紙コバ部に多く存在する紙粉の付着を回避している効果による。また記録材後端が定着ニップ部N下流で剥離する際に、特に多く注入される逆電荷や記録材裏面(記録材のトナー画像非担持面)のトナーと逆極性の電荷の影響を排除していることにもよる。
【0082】
従って、記録材先端が、確実に定着ニップ部Nに入ってから定着バイアス電圧をオンし、記録材後端が定着ニップ部Nに確実に残っているタイミングでオフすれば、定着フィルム表面へのコバ部の紙粉付着と、加圧ローラのチャージアップを抑制する事ができる。つまり、これらの効果を得るには、定着バイアス電圧を印加するタイミングは、定着ニップ部Nに記録材先端が突入してから所定のタイミング後にオンし、定着ニップ部Nから記録材後端が排出される直前における所定のタイミングでオフすればよい。
【0083】
印加タイミングの取り方としては、トップセンサ8等の記録材先端を検知できるセンサが切られてから、定着ニップ部Nに記録材先端が確実に到達する時間を割り出して決定すればよい。オフタイミングも記録材後端がセンサを切ってから、定着ニップ部Nに記録材後端が確実に到達する時間を割り出して決定すればよい。つまり、定着バイアス電圧を印加するタイミングは、センサが記録材先端を検知したタイミングを起点にして、記録材上の所定の位置が定着ニップ部Nに到達する時間にオンすればよい。そしてセンサが記録材後端を検知したタイミングを起点にして、記録材上の所定の位置が定着ニップ部Nに到達する時間にオフすればよい。
【0084】
また、レーザースキャナ3等の露光装置(露光手段)を用いて作像する画像形成装置では、記録材のサイズに応じた記録可能領域以外の領域にプリント処理が行われない様に、レーザーの出力をマスクする方法が用いられるのが通常である。
【0085】
そこで、記録材先端や記録材後端に設けられたマスク領域を設定する電気的信号を利用する。例えば、プリント中の記録材に対して、先端マスク領域の信号が解除されるタイミングを起点として、そのタイミングでの露光位置が定着ニップ部Nに到達する時間に定着バイアス電圧をオンすればよい。さらに後端マスク領域の信号がオンされるタイミングを起点として、そのタイミングでの露光位置が定着ニップ部Nから排出されるタイミングで定着バイアス電圧をオフすればよい。
【0086】
つまり、定着バイアス電圧を印加するタイミングは、下記のタイミングでオン、オフすればよい。即ち、記録材のサイズに対して設定された露光装置の先端マスク領域が解除されたタイミングを起点として、そのタイミングでの露光装置による感光ドラムの露光位置に対応する記録材上の位置が定着ニップ部Nに到達した時間にオンすればよい。そして記録材のサイズに対して設定された露光装置の後端マスク領域が解除されたタイミングを起点として、そのタイミングでの露光装置による感光ドラムの露光位置に対応する記録材上の位置が定着ニップ部Nに到達する時間にオフすればよい。
【0087】
(7−2)定着バイアス電圧印加回路のその他の形態
本実施例では、定着バイアス電圧の印加方法として、定着フィルム22側にマイナスの定着バイアス電圧を印加し、加圧ローラ24側は接地させる方式を採用しているが、定着バイアス電圧印加回路の構成はこれに限られるものではない。使用するトナーの極性や、定着フィルム22、或いは加圧ローラ24の表層に使用する材料の特性に応じて適宜対応がなされるものである。
【0088】
例えば、定着フィルム22の表層に絶縁性のフッ素樹脂を用い、加圧ローラ24の表層に導電性の材料を用いる場合、トナーがマイナスの極性を持つとすれば、定着フィルム側を接地し、加圧ローラ側にプラスの定着バイアス電圧を印加するような構成でも良い。即ち、印加する定着バイアス電圧のタイミングをトナー画像が定着ニップ部N内に存在するときにのみ変更した結果、上述するような画像問題を抑制する効果が働くものである。
【0089】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置Aは、記録材先端が定着ニップ部Nに到達した後に定着バイアス電圧をオンし、記録材後端が定着ニップ部Nから排出される前に定着バイアス電圧をオフするものである。より詳しくは、トナー画像tが定着ニップ部Nを通過するときのみ定着バイアス電圧を印加するものである。これにより、従来のように記録材先端が突入する前から記録材後端が排出されるまで常にバイアス電圧を印加する制御に比べて、記録材の先端や後端に多く付着する紙粉が定着フィルム22や加圧ローラ24の表面に蓄積するのを抑制することができる。これによって、紙粉付着が原因となって発生するトナー汚れや、トナー汚れに起因する画像不良を抑制することが可能となる。
【0090】
また、定着バイアス電圧の印加時間を最小限にとどめることができるので、定着フィルム22と加圧ローラ24が分離する際に生じる逆極性の電荷の発生量を小さく抑えることができる。また定着フィルム22と加圧ローラ24間の摩擦により発生する摩擦帯電を助長することも抑制できる。その結果、加圧ローラ24表面の電位のチャージアップが起因となる、トナー画像先端部のオフセットなどの発生を抑制することができる。
【0091】
[実施例2]
画像形成装置Aの他の例を説明する。本実施例に示す画像形成装置は、未定着トナー画像先端から未定着トナー画像後端までの間において設定された所定の区間(図9に示すL1からL2までの区間)が定着ニップ部を通過する際に、印加する定着バイアス電圧の強弱を可変することを特徴とする。つまり、未定着トナー画像先端から未定着トナー画像後端までの間に設定された所定の区間が定着ニップ部を通過する際に、定着バイアス電圧の値を、所定の区間以外の区間において印加する定着バイアス電圧の値に対して変化させることを特徴とする。この点を除いて実施例1の画像形成装置Aと同じ構成としてある。
【0092】
本実施例の画像形成装置Aは、定着バイアス電圧の設定値を可変可能である。ここで言う、定着バイアス電圧の強弱の可変とは、定着バイアス電圧を設定するための制御値を任意に変更できるものであっても良い。或いは、定着バイアス電圧について強弱のように2段階以上の設定が可能であるものであっても良い。或いは、段階的に定着バイアス電圧の変更が可能なものであっても良い。
【0093】
図8に、プロセスカートリッジCの現像部を拡大した模式図を示す。図9に、本実施例の画像形成装置における定着バイアス電圧の印加タイミングを示す。
【0094】
図8に示すように、感光ドラム1表面に形成された所定の電位差による静電潜像に対して、現像回転体としての回転する現像スリーブ4aの電位を適宜コントロールすることによって、現像スリーブで担持するトナーにより静電潜像が現像される。本実施例では磁性1成分トナーを用いており、現像スリーブ4aには直流と交流成分の電圧を重畳印加して、ジャンピング現像方式により現像が行われる。
【0095】
この際、トナーへの電荷の付与は、現像スリーブ4a内に設置された不図示のマグネットロールによって現像スリーブ4aの周囲(外周面)に取り込まれたトナーが、現像ブレード4bにおいて摺擦されることにより行われる。また現像ブレード4bは現像スリーブ4aの周囲に一定のトナー層厚を規制する役割も持つ。
【0096】
ここで、プロセスカートリッジCの状態によっては、現像スリーブ4aの1周目によって現像されるトナー画像と、現像スリーブ4aの2周目によって現像されるトナー画像について、トナーの濃度や載り量が異なる場合がある。例えば、現像スリーブ4aの1周目に供給されるトナーは、プリント前に十分な回転と摺擦を受けるので比較的トナーの電荷がより現像されやすい状態になる。現像スリーブ4aの2周目に供給されるフレッシュなトナーは、1周目と比較すると現像されにくい電荷状態にある。このような場合、記録材上に転写されるトナー画像のうち、現像スリーブ4aの1周目にあたるトナー画像先端部にのみトナーの載り量の多い画像となる。
【0097】
ここで、記録材上のトナーの載り量が多いと、未定着トナー画像の加熱定着時に、定着オフセットや定着尾引きが発生しやすくなる傾向にある。即ち、トナーの載り量が多いエリア(領域)は、トナーの載り量が少ないエリアと比べて、記録材上へのトナーの保持力が弱まるので、より強い電界の力で拘束しないと定着フィルム22表面にオフセットしやすい。また、定着尾引きについて考えると、定着ニップ部Nで水蒸気が発生した際に、水蒸気によって吹き飛ばされるトナーの量が増えるので、尾引きが発生しやすくなる。この場合もより強い電界の力で、トナーを記録材上に保持する必要がある。
【0098】
そこで、上記のようにトナー画像先端エリアのトナー載り量が多くなる原因がある場合は、その部分の定着バイアス電圧を通常の値よりも大きくすれば、画像不良を抑制することができる。現像スリーブ4aが起因してトナー載り量が増える場合は、トナー画像先端から現像スリーブ4aの1周分にあたる時間(図9に示されるL1からL2までの所定の区間に対応する時間)だけ、定着バイアス電圧を強く印加すればよい。
【0099】
実際に、図9に示すようにプロセスカートリッジCの新品直後で現像スリーブ4aの1周目のトナーの載り量が、それ以外のエリアよりも多めになる状態において、定着バイアス電圧を変更した。具体的には、トナー画像先端から現像スリーブ4aの1周分のみ、定着フィルム22に印加する定着バイアス電圧の値を−700V→−1000Vに変更した。そして、定着尾引き画像不良を比較した。定着バイアス電圧を−700Vで固定した場合と比べて、明らかにトナー画像先端部の尾引きのレベルが良化している結果であった。
【0100】
また、印加する定着バイアス電圧の値を変化させる制御は、現像スリーブ4aに起因するトナー濃度の変化に限って対応されるものではない。例えば感光ドラム1など現像スリーブ4a以外の部品が起因してトナーの濃度や載り量が増える場合は、その部品に基づいて上記L1からL2までの所定の区間に対応する距離、或いは時間を予測する。そしてその距離或いは時間と対応する時間だけ、定着バイアス電圧の値を変化させればよい。
【0101】
また、定着バイアス電圧を強める制御に限られず、例えば、場合によってトナーの載り量が少なくなるような場合で、定着オフセットや定着尾引きを抑制するのに必要な定着バイアス量が小さくてよいときもある。そのときは、そのトナーの載り量が少なくなるタイミングを予測して印加する定着バイアス電圧を弱くすることも可能である。この場合、定着フィルム22表面への紙粉の付着や加圧ローラ24のチャージアップを更に抑制する効果が期待できる。
【0102】
また、上述したようにトナーの濃度や載り量の変化が、プロセスカートリッジCの耐久状態に伴って生じる場合、画像形成装置のエンジンコントローラ41がプロセスカートリッジCの耐久状態を検知できるように構成する。そしてプロセスカートリッジCの耐久状態に応じて、定着バイアス電圧を変更すればよい。
【0103】
例えば、プロセスカートリッジCの耐久状態を検知する手段として、画像形成装置本体、或いはプロセスカートリッジC自体に、プロセスカートリッジCが随時書き換え可能な記憶手段(メモリータグ)を搭載する。画像形成装置がその記憶手段に記憶された所定の情報(プロセスカートリッジCの耐久状態に関する情報)を読み取り、且つ画像形成の履歴を随時書き換える。これによりプロセスカートリッジCの耐久状態に応じて変化するトナーの濃度や載り量の状態に応じて、定着バイアス電圧を変更することができる。
【0104】
従来のように、記録材先端から一定の定着バイアス電圧が印加されていれば、記録材の途中から、トナー画像が存在するような場合で、且つトナー画像先端部のトナー載り量が多いようなケースでは、それが起因で発生する画像不良を抑制することは困難であった。
【0105】
これに対して本実施例の画像形成装置では、エンジンコントローラ41で先端余白距離情報を用いて、定着バイアス電圧の印加タイミングを調整し、且つ予め現像装置4の特性として発生するトナーの濃度や載り量の変化を予測する。そしてそのトナーの濃度や載り量の変化に対応して定着バイアス電圧の強弱を可変させる。これにより、従来では対応できなかったような画像不良を抑制することが可能となった。
【0106】
[その他の発展形態]
上記のように、定着フィルム22或いは加圧ローラ24に印加する定着バイアス電圧の値を変化させることは、トナー画像先端からある一定の距離までの区間に限定されるものではない。
【0107】
例えば、トナー画像先端からある一定の距離離れた位置とその位置からある一定の距離離れた位置までの区間において、印加する定着バイアス電圧の強弱を変化させたほうが良い場合は、それらに対応して定着バイアス電圧の値を変更してもよい。例えば、プロセスカートリッジCの感光ドラム1へのメモリ等が原因で、トナー画像先端から感光ドラム1の2周目にのみ、トナー載り量が多くなるような場合を仮定する。この場合、記録材上のトナー画像先端からトナー画像後端までの間において感光ドラム1の2周目に相当する部分のみ特定して、定着フィルム22に印加する定着バイアス電圧を強くする等の対応が可能である。トナー画像後端位置を基準にして対応が可能な場合も同様である。
【0108】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置Aは、記録材P上のトナー画像t先端からトナー画像t後端までの間において設定された所定の区間が定着ニップ部Nを通過する際に、印加するバイアス電圧の値を変化させている。これにより、例えばプロセスカートリッジの現像スリーブ1周目においてトナー画像の載り量が多くなるような場合でも、そのエリアにおいて印加バイアス電圧を強くすることで、定着オフセットや定着尾引きのような画像不良の発生を抑制することが可能となる。
【0109】
[他の定着装置の形態]
定着フィルムの加熱はヒータに限られず電磁誘導を利用して定着フィルムを加熱してもよい。この場合、加熱体として、磁性体と、磁性体に巻回されるコイルと、を用いるように構成される。
【0110】
上述の定着バイアス電圧の印加タイミングのオンオフ制御は、定着ローラと、定着ローラと接触して定着ニップ部(ニップ部)を形成する加圧ローラと、を有し、定着ニップ部で未定着トナー画像を記録材上に加熱定着する装置にも適用できる。ここで、定着ローラは加熱回転部材として用いられるものであり、加圧ローラは加圧回転部材として用いられるものである。
【符号の説明】
【0111】
1:感光ドラム、3:レーザースキャナ、4a:現像スリーブ、8:トップセンサ、50:画像形成部、6:加熱定着装置、22:定着フィルム、24:加圧ローラ、33a:定着排出ローラ、34:電源、N:定着ニップ部、P:記録材、t:未定着トナー画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する像担持体が担持するトナー画像を記録材上に転写して記録材に未定着トナー画像を形成する画像形成部と、
加熱回転部材と前記加熱回転部材と接触する加圧回転部材とでニップ部を形成し前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ前記未定着トナー画像を記録材上に加熱定着する定着部と、
前記加熱回転部材と前記加圧回転部材のいずれか一方に直流のバイアス電圧を印加する印加手段と、
を有する画像形成装置において、
前記直流のバイアス電圧を印加するタイミングは、前記ニップ部に記録材の記録材搬送方向と同じ側の先端が突入してから所定のタイミング後にオンし、前記ニップ部から記録材の記録材搬送方向とは反対側の後端が排出される直前における所定のタイミングでオフすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
回転する像担持体が担持するトナー画像を記録材上に転写して記録材に未定着トナー画像を形成する画像形成部と、
加熱回転部材と前記加熱回転部材と接触する加圧回転部材とでニップ部を形成し前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ未定着トナー画像を記録材上に加熱定着する定着部と、
前記加熱回転部材と前記加圧回転部材のいずれか一方に直流のバイアス電圧を印加する印加手段と、
を有する画像形成装置において、
前記ニップ部より記録材搬送方向の上流側に記録材の通過を検知する検知部材を有し、前記直流のバイアス電圧を印加するタイミングは、前記検知部材が記録材の記録材搬送方向と同じ側の先端の通過を検知したタイミングを起点にして、記録材上の所定の位置がニップ部に到達する時間にオンし、前記検知部材が記録材の記録材搬送方向とは反対側の後端の通過を検知したタイミングを起点にして、記録材上の所定の位置がニップ部に到達する時間にオフすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
回転する像担持体に露光手段で露光して形成した静電像をトナーにより現像してトナー画像を担持させ記録材上に前記トナー画像を転写して記録材に未定着トナー画像を形成する画像形成部と、
加熱回転部材と前記加熱回転部材と接触する加圧回転部材とでニップ部を形成し前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ前記未定着トナー画像を記録材上に加熱定着する定着部と、
前記加熱回転部材と前記加圧回転部材のいずれか一方に直流のバイアス電圧を印加する印加手段と、
を有する画像形成装置において、
前記露光手段には、記録材のサイズに応じた記録可能領域以外の領域をマスクする先端マスク領域と後端マスク領域が設定されており、
前記直流のバイアス電圧を印加するタイミングは、前記露光手段の先端マスク領域が解除されたタイミングを起点とし、そのタイミングでの前記露光手段による像担持体の露光位置に対応する記録材上の位置がニップ部に到達した時間にオンし、前記露光手段の後端マスク領域が解除されたタイミングを起点とし、そのタイミングでの前記露光手段による像担持体の露光位置に対応する記録材上の位置がニップ部に到達する時間にオフすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
回転する像担持体に露光手段で露光して形成した静電像を現像回転体が担持するトナーにより現像してトナー画像を担持させ記録材上に前記トナー画像を転写して記録材に未定着トナー画像を形成する画像形成部と、
回転する像担持体が担持するトナー画像を記録材上に転写して記録材に未定着トナー画像を形成する画像形成部と、
加熱回転部材と前記加熱回転部材と接触する加圧回転部材とでニップ部を形成し前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ前記未定着トナー画像を記録材上に加熱定着する定着部と、
前記加熱回転部材と前記加圧回転部材のいずれか一方に直流のバイアス電圧を印加する印加手段と、
を有する画像形成装置において、
前記直流のバイアス電圧を印加するタイミングは、記録材上の未定着トナー画像先端が前記ニップ部に突入する直前にオンし、記録材上の未定着トナー画像後端が前記ニップ部から排出した直後にオフすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
回転する像担持体に露光手段で露光して形成した静電像をトナーにより現像してトナー画像を担持させ記録材上に前記トナー画像を転写して記録材に未定着トナー画像を形成する画像形成部と、
加熱回転部材と前記加熱回転部材と接触する加圧回転部材とでニップ部を形成し前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ前記未定着トナー画像を記録材上に加熱定着する定着部と、
前記加熱回転部材と前記加圧回転部材のいずれか一方に直流のバイアス電圧を印加する印加手段と、
を有する画像形成装置において、
前記直流のバイアス電圧を印加するタイミングは、前記露光手段で露光して前記静電像を書き出すタイミングを起点とし、そのタイミングでの前記静電像の露光書き出し位置に対応する記録材上の位置が前記ニップ部に到達する時間にオンし、前記露光手段で露光して前記静電像を書き終わるタイミングを起点とし、そのタイミングでの前記静電像の露光書き終わり位置に対応する記録材上の位置が前記ニップ部から排出した時間にオフすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
回転する像担持体に露光手段で露光して形成した静電像を現像回転体が担持するトナーにより現像してトナー画像を担持させ記録材上に前記トナー画像を転写して記録材に未定着トナー画像を形成する画像形成部と、
加熱回転部材と前記加熱回転部材と接触する加圧回転部材とでニップ部を形成し前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ前記未定着トナー画像を記録材上に加熱定着する定着部と、
前記加熱回転部材と前記加圧回転部材のいずれか一方に直流のバイアス電圧を印加する印加手段と、
を有する画像形成装置において、
前記直流のバイアス電圧を印加するタイミングは、記録材上の未定着トナー画像先端が前記ニップ部に到達するタイミングでオンし、記録材上の未定着トナー画像後端が前記ニップ部から排出するタイミングでオフすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記記録材の記録材搬送方向と同じ側の先端から前記未定着トナー画像先端までの先端余白距離情報に基づいて前記直流のバイアス電圧を印加するタイミングがオンされ、前記未定着トナー画像先端から前記未定着トナー画像後端までの画像距離情報、或いは前記未定着トナー画像後端から前記記録材の記録材搬送方向とは反対側の後端までの後端余白距離情報に基づいて前記直流のバイアス電圧を印加するタイミングがオフされることを特徴とする請求項4又は請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記未定着トナー画像先端から前記未定着トナー画像後端までの間に設定された所定の区間が前記ニップ部を通過する際に、前記直流のバイアス電圧の値を、前記所定の区間以外の区間において印加する前記直流のバイアス電圧の値に対して変化させることを特徴とする請求項4又は請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記所定の区間は前記現像回転体の1周分の距離に対応していることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記所定の区間は前記像担持体の1周分の距離に対応していることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記加熱回転部材に印加される前記直流のバイアス電圧は、トナーと同極性の直流のバイアス電圧であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記加圧回転部材に印加される前記直流のバイアス電圧は、トナーと逆極性の直流のバイアス電圧であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記ニップ部より記録材搬送方向の下流側に、前記ニップ部で挟持搬送される記録材と接触する導電性の搬送回転体を有し、前記搬送回転体は接地されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−105079(P2013−105079A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249691(P2011−249691)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】