画像形成装置
【課題】無給紙エラー発生時の給紙リトライによるエラー解消可能性を高め、以って、無給紙ＪＡＭ発生による無駄な装置停止時間を削減する。
【解決手段】給紙時には、用紙載置板に載置された用紙の最上面と給紙ローラーとを当接させた状態で給紙ローラーを回転させ、給紙センサーの出力信号を基に無給紙エラーが発生したか否かを判断する制御部を備えた画像形成装置であって、前記制御部は、無給紙エラーが発生したと判断した場合、給紙リトライ処理として、昇降機構を制御して用紙載置板を一旦下降させてから再度上昇させた後、給紙ローラーを再度回転させる。
【解決手段】給紙時には、用紙載置板に載置された用紙の最上面と給紙ローラーとを当接させた状態で給紙ローラーを回転させ、給紙センサーの出力信号を基に無給紙エラーが発生したか否かを判断する制御部を備えた画像形成装置であって、前記制御部は、無給紙エラーが発生したと判断した場合、給紙リトライ処理として、昇降機構を制御して用紙載置板を一旦下降させてから再度上昇させた後、給紙ローラーを再度回転させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、コピー機や複合機等の画像形成装置では、給紙カセット或いは手差しトレイからの給紙時に無給紙エラーが発生した場合、給紙動作のリトライを行い、当該リトライを規定回数実施しても無給紙エラーが解消されない場合には、印刷動作を停止して、ユーザーに無給紙ＪＡＭの発生を知らせる画面を表示する。
【０００３】
下記特許文献１には、画像形成装置に搭載された原稿読取装置の供給トレイからの原稿給紙時に無給紙エラーが発生した場合に、上記供給トレイを所定角度だけ持ち上げることにより、無給紙エラーの解消を試みる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００６−８９１５２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上記のように、従来では、無給紙エラーが発生した場合に給紙動作のリトライ、つまり給紙ローラーの回転制御を繰り返すだけであり、これにより用紙の積載状態が変わることはほとんどなく、無給紙エラーが解消される可能性は低い。また、リトライによっても無給紙エラーが解消されず、無給紙ＪＡＭとした場合には、装置全体が停止してしまうため、ユーザーの業務効率が低下する。
【０００６】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、無給紙エラー発生時の給紙リトライによる無給紙エラーの解消可能性を高め、以って、無給紙ＪＡＭによる無駄な装置停止時間を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決するために、本発明では、画像形成装置に係る第１の解決手段として、用紙を載置するための用紙載置板と、前記用紙載置板を昇降させる昇降機構と、前記用紙載置板が上昇した時に前記用紙載置板に載置された用紙の最上面に当接する位置に配置された給紙ローラーと、前記給紙ローラーの下流側に配置されて用紙の有無を検出する給紙センサーと、給紙時には、前記用紙載置板に載置された用紙の最上面と前記給紙ローラーとを当接させた状態で前記給紙ローラーを回転させ、前記給紙センサーの出力信号を基に無給紙エラーが発生したか否かを判断する制御部と、を備えた画像形成装置であって、前記制御部は、前記無給紙エラーが発生したと判断した場合、給紙リトライ処理として、前記昇降機構を制御して前記用紙載置板を一旦下降させてから再度上昇させた後、前記給紙ローラーを再度回転させることを特徴とする。
【０００８】
また、本発明では、画像形成装置に係る第２の解決手段として、上記第１の解決手段において、前記制御部は、前記給紙リトライ処理を規定回数実施しても前記無給紙エラーが解消されない場合、同一条件の用紙が載置された他の用紙載置板の有無を判断し、有りと判断した場合には前記他の用紙載置板に対応する給紙ローラーを回転させて給紙を継続することを特徴とする。
【０００９】
また、本発明では、画像形成装置に係る第３の解決手段として、上記第２の解決手段において、前記制御部は、前記同一条件の用紙が載置された他の用紙載置板が無いと判断した場合には、エラー停止して無給紙ＪＡＭの発生をユーザーに報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、無給紙エラーが発生した場合、給紙リトライ処理として、昇降機構を制御して用紙載置板を一旦降下させてから再度上昇させた後、つまり用紙載置板上における用紙の積載状態を変化させるよう試みた後に、給紙ローラーを再度回転させるので、給紙リトライによる無給紙エラーの解消可能性を高め、以って、無給紙ＪＡＭによる無駄な装置停止状態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明の一実施形態に係る複合機Ａの構成概略図である。
【図２】複合機Ａの給紙カセット４４の概略構成図である。
【図３】制御部６による給紙動作の制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下では、本発明に係る画像形成装置として、コピー機、プリンター、スキャナー及びファクシミリ等の機能を併せ持つ複合機を例示して説明する。
図１は、本実施形態に係る複合機Ａの構成概略図である。この図１に示すように、本複合機Ａは、操作表示部１、画像読取部２、画像データ記憶部３、用紙搬送画像形成部４、通信部５及び制御部６から構成されている。
【００１３】
操作表示部１は、操作キー及びタッチパネルを備えており、ユーザーと複合機Ａとを関係付けるマンマシンインターフェイスとして機能する。この操作表示部１は、押下された操作キーまたはタッチパネルに表示された操作ボタンの操作指示を制御部６に出力すると共に、制御部６から入力される制御信号に基づいてタッチパネルに種々の画面を表示する。
【００１４】
画像読取部２は、制御部６による制御の下、ＡＤＦ（Auto document feeder）により自動給紙される原稿またはプラテンガラス上に載置された原稿の表面画像（原稿画像）をラインセンサーで読み取って原稿画像データに変換し、この原稿画像データを制御部６に出力する。なお、画像読取部２は、原稿画像データを制御部６に出力する一方、制御部６は、原稿画像データを画像データ記憶部３に記憶させる。
【００１５】
画像データ記憶部３は、半導体メモリーまたはハードディスク装置などであり、制御部６から入力される制御信号に基づいて原稿画像データや、通信部５が外部のクライアントコンピューター（図示略）から受信するプリント画像データや、通信部５がファクシミリ装置から受信したファクシミリ画像データを記憶する。
【００１６】
用紙搬送画像形成部４は、制御部６による制御の下、給紙カセット４４内に収容された用紙束から用紙を１枚ずつ搬送し、画像データ記憶部３の画像データに基づいて用紙上に画像を形成するものである。このような用紙搬送画像形成部４は、図１に示すように、ブラック、イエロー、シアン、マゼンダの４色に対応するトナーからなる画像（以下、トナー画像と称す）を形成する画像形成ユニット４１、中間転写ベルト４２、１次転写ローラー４３、給紙カセット４４、給紙ローラー４５、給紙センサー４６、搬送ローラー４７、レジストローラー４８、２次転写ローラー４９、定着ローラー５０、排紙ローラー５１及び排紙トレイ５２から構成されている。
【００１７】
各画像形成ユニット４１は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色に対応するトナー画像を形成するものであり、複合機Ａの正面から視て水平方向に所定間隔で各色に対応して４つ設けられている。このような画像形成ユニット４１は、図１に示すように、トナー画像が周面に形成される感光体ドラム４１ａを備えている。
【００１８】
中間転写ベルト４２は、各感光体ドラム４１ａに接するように設けられた無端ベルトであり、各感光体ドラム４１ａの周面に形成されたトナー画像が各感光体ドラム４１ａから１次転写されるものである。１次転写ローラー４３は、中間転写ベルト４２を挟むように各感光体ドラム４１ａに対向配置されており、回転しながら１次転写電圧を中間転写ベルト４２に印加することにより各感光体ドラム４１ａから中間転写ベルト４２にトナー画像を１次転写させるローラーである。
【００１９】
給紙カセット４４は、Ａ４サイズやＢ５サイズ等、所定サイズの用紙Ｐを束状に収容する容器であり、少なくとも束状に積載された用紙Ｐの最上面を露出させるための開口部を有している。この給紙カセット４４は、図２に示すように、リフト板４４１、リフト板支持部４４２、リフトモーター４４３及び用紙ガイド板４４５を備えている。
【００２０】
リフト板４４１は、束状に積み重ねられた用紙Ｐを載置するための用紙載置板であり、リフトモーター４４３の動力によって、束状に積載された用紙Ｐの最上面が給紙ローラー４５に当接するように持ち上げられる。リフト板支持部４４２は、リフト板４４１を下面側から支持するものであり、リフトモーター４４３に連結され、リフトモーター４４３の駆動によりリフト板４４１を持ち上げる。
【００２１】
リフトモーター４４３は、例えばＤＣブラシモーターであり、制御部６による制御の下、動力によってリフト板支持部４４２を駆動することによりリフト板４４１を上昇させ、束状に積載された用紙Ｐの最上面を給紙ローラー４５に当接させる。なお、リフトモーター４４３を逆回転させることにより、リフト板４４１を下降させることができる。このように、リフト板支持部４４２及びリフトモーター４４３は、リフト板４４１を昇降させる昇降機構としての役割を担っている。
【００２２】
用紙ガイド板４４５は、用紙Ｐの幅方向及び長さ方向のそれぞれに設けられたガイド板であり、用紙Ｐの用紙サイズに合わせて移動可能にリフト板４４１上に取り付けられている。制御部６は、用紙ガイド板４４５の位置に基づいて用紙Ｐの用紙サイズを検出することができる。
【００２３】
図１に戻り、給紙ローラー４５は、リフト板４４１が上昇した時に当該リフト板４４１上に束状に積載された用紙Ｐの最上面に当接する位置に配置されており、用紙Ｐの最上面に圧接されながら給紙方向に回転することにより、給紙カセット４４から用紙Ｐを１枚ずつ用紙搬送路Ｌへ送り出すローラーである。ここで、給紙方向とは、用紙搬送路Ｌに沿って用紙Ｐが搬送される方向を指す。
なお、給紙ローラー４５の回転軸には、不図示の回転駆動機構（モーターや減速用ギア等）が連結されており、この給紙ローラー４５の回転動作（回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等）は制御部６による回転駆動機構の制御（特にモーター制御）によって制御される。
【００２４】
給紙センサー４６は、用紙搬送路Ｌ上における給紙ローラー４５の下流側（給紙方向の下流側）に配置されており、給紙ローラー４５の下流側における用紙Ｐの有無を検出し、その検出結果に応じた信号を制御部６に出力する。例えば、この給紙センサー４６は、給紙ローラー４５の下流側に用紙Ｐが存在する場合にはオン信号（ハイレベル信号）を出力し、用紙Ｐが存在しない場合にはオフ信号（ローレベル信号）を出力する。
【００２５】
搬送ローラー４７は、用紙搬送路Ｌ上における給紙ローラー４５及び給紙センサー４６の下流側に配置されており、給紙方向に回転することにより、給紙ローラー４５によって用紙搬送路Ｌへ送り出された用紙Ｐを用紙搬送路Ｌの下流側へ搬送するものである。
なお、搬送ローラー４７の回転軸には、不図示の回転駆動機構（モーターや減速用ギア等）が連結されており、この搬送ローラー４７の回転動作（回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等）は制御部６による回転駆動機構の制御（特にモーター制御）によって制御される。なお、給紙ローラー４５の回転力をベルトによって搬送ローラー４７の回転軸に伝達する構成を採用しても良い。
【００２６】
用紙搬送路Ｌ上における搬送ローラー４７の下流側には、用紙Ｐの２次転写ローラー４９への搬送タイミングを調節するための一対のレジストローラー４８が配置されている。この一対のレジストローラー４８は、互いに対向配置されて、圧接されながら給紙方向に正回転する２本のローラーから構成されている。
なお、レジストローラー４８の一方のローラーの回転軸に、不図示の回転駆動機構（モーターや減速用ギア等）が連結されており、他方のローラーは空転するようになっている。つまり、一方のローラーの回転動作（回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等）は制御部６による回転駆動機構の制御（特にモーター制御）によって制御され、他方のローラーは一方のローラーに従動するようになっている。
【００２７】
２次転写ローラー４９は、対抗配置された対向ローラーとの間に中間転写ベルト４２を挟むように配置され、中間転写ベルト４２との間で２次転写ニップを形成するローラーであり、中間転写ベルト４２上のトナー画像を用紙Ｐに２次転写させるものである。すなわち、２次転写ローラー４９は、２次転写ニップにおいて中間転写ベルト４２と用紙Ｐとを挟んだ状態で２次転写電圧を印加することにより、中間転写ベルト４２上のトナー画像を用紙Ｐに２次転写させる。
【００２８】
定着ローラー５０は、内部にヒーターを備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに圧接される加圧ローラーとから構成され、上記２次転写ローラー４９でトナー画像が２次転写された用紙Ｐを挟持することにより、用紙Ｐを加熱及び加圧してトナー画像を用紙Ｐ上に定着させる。排紙ローラー５１は、定着ローラー５０から搬送される用紙Ｐを排紙トレイ５２に排出する。排紙トレイ５２は、排紙ローラー５１によって排出された用紙Ｐを収容する受け皿である。
【００２９】
なお、図１では図示を省略しているが、用紙搬送画像形成部４は、給紙カセット４４を複数個備えている。従って、給紙ローラー４５、給紙センサー４６、搬送ローラー４７及びレジストローラー４８も、各給紙カセット４４に対応して複数個ずつ設けられている。
【００３０】
通信部５は、制御部６から入力される制御信号に基づいて電話回線を介して外部の複合機あるいはファクシミリ装置、またローカルエリアネットワークを介してクライアントコンピューターなどと通信を行うものである。すなわち、この通信部５は、イーサネット（登録商標）などのＬＡＮ規格に準拠した通信機能と、Ｇ３などのファクシミリ規格に準拠した通信機能とを兼ね備えたものである。通信部５は、例えば、電子メールの送信またはファクシミリの送受信を行う。
【００３１】
制御部６は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）、ＲＯＭ（Read Only Memory）、ＲＡＭ（Random Access Memory）及び上述した各部と各種信号の送受信を行うインターフェイス回路などから構成されており、上記ＲＯＭに記憶された制御プログラムに基づいて複合機Ａの全体動作を制御する。この制御部６は、給紙時には、リフト板４４１に積載された用紙Ｐの最上面と給紙ローラー４５が当接した状態で給紙ローラー４５を回転させ、給紙センサー４６の出力信号を基に、無給紙エラーが発生したか否かを判断する機能を有している。
【００３２】
次に、上記のように構成された本複合機Ａの動作について説明する。
例えば、本複合機Ａによって原稿をコピーしようとするユーザーは、画像読取部２に原稿をセットし、操作表示部１のコピースタートキーを押下することにより、本複合機Ａにコピー動作を開始させる。制御部６は、操作表示部１のコピースタートキーがユーザーによって押下されると、画像読取部２に原稿画像を読み取らせ、画像読取部２から得られる原稿画像データを画像データ記憶部３に記憶させる。
【００３３】
そして、制御部６は、画像データ記憶部３に記憶された原稿画像データを基に各画像形成ユニット４１を制御して、各感光体ドラム４１ａの表面に各色のトナー画像を形成（現像）すると共に、中間転写ベルト４２を回走させながら各１次転写ローラー４３に順次１次転写電圧を発生させることにより、中間転写ベルト４２上に各色のトナー画像を順次重ねて転写させる。
【００３４】
また、制御部６は、上記のようなトナー画像の１次転写動作の制御と並行して、用紙Ｐの給紙動作を制御する。以下では、図３に示すフローチャートを参照しながら、制御部６が実行する給紙動作の制御手順について詳細に説明する。なお、制御部６は、ジョブ単位で図３のフローチャートに従って給紙動作の制御を行う。また、本実施形態では、コピースタートキーがユーザーに押されてから、全ての原稿画像が必要枚数の用紙Ｐに印刷されて排紙されるまでを１ジョブとする。
【００３５】
図３に示すように、制御部６は、まず、給紙枚数Ｃ１を「０」にリセットした後（ステップＳ１）、給紙枚数Ｃ１のカウントアップを行う（ステップＳ２）。続いて、制御部６は、給紙リトライ回数Ｃ２を「０」にリセットした後（ステップＳ３）、給紙ローラー４５を所定時間回転させる（ステップＳ４）。ここで、リフト板４４１の上昇によって、リフト板４４１に積載された用紙Ｐの最上面と給紙ローラー４５とが当接した状態となっているため、給紙ローラー４５の回転によって給紙カセット４４から１枚の用紙Ｐが用紙搬送路Ｌへ送り出される。
【００３６】
続いて、制御部６は、給紙センサー４６の出力信号を基に、無給紙エラーが発生したか否かを判断し（ステップＳ５）、「Ｙｅｓ」の場合には、後述のステップＳ６の処理に移行する一方、「Ｎｏ」の場合には、後述のステップＳ１２の処理に移行する。具体的には、制御部６は、ステップＳ５において、給紙ローラー４５を回転させてから所定時間が経過しても、給紙センサー４６からオン信号が出力されない場合に、無給紙エラーが発生したと判断する。
【００３７】
制御部６は、上記ステップＳ５にて「Ｙｅｓ」の場合、つまり無給紙エラーが発生したと判断した場合、給紙リトライ回数Ｃ２が規定回数Ｎを越えたか否かを判断し（ステップＳ６）、「Ｙｅｓ」の場合には、後述のステップＳ９の処理に移行する一方、「Ｎｏ」の場合には、後述のステップＳ７の処理に移行する。
【００３８】
制御部６は、上記ステップＳ６にて「Ｎｏ」の場合、つまり給紙リトライ回数Ｃ２が規定回数Ｎを越えていない場合、リフトモーター４４３を制御してリフト板４４１を一旦下降（リフトダウン）させてから再度上昇（リフトアップ）させる（ステップＳ７）。そして、制御部６は、ステップＳ７の終了後に、給紙リトライ回数Ｃ２のカウントアップを行い（ステップＳ８）、上記ステップＳ４の処理に戻って、給紙ローラー４５を再度回転させる。
【００３９】
これらステップＳ４〜Ｓ８の処理によって、無給紙エラーが解消されるまで（ステップＳ５にて「Ｎｏ」と判断されるまで）、或いは給紙リトライ回数Ｃ２が規定回数Ｎを越えるまで（ステップＳ６にて「Ｙｅｓ」と判断されるまで）、給紙リトライ処理が繰り返されることになる。
【００４０】
このように、リフト板４４１を最善の位置（リフト板４４１の上限位置）までアップさせた状態から、一旦、リフト板４４１を下降させることにより、用紙Ｐが給紙捌きのところまで束突っ込みしている状態を改善し、出来るだけ無給紙エラーの発生しにくい状態へと変化させる。これにより、給紙リトライ（給紙ローラー４５の再回転）による無給紙エラーの解消可能性を高めることができる。
【００４１】
制御部６は、上記ステップＳ６にて「Ｙｅｓ」の場合、つまり給紙リトライ回数Ｃ２が規定回数Ｎを越えた場合（リフト板４４１のリフトダウン、アップを繰り返しても無給紙エラーを解消できなかった場合）、現在選択中の給紙カセット４４以外に、同一条件（用紙サイズや用紙重さ等）の用紙Ｐが載置された他の給紙カセット４４（以下、この給紙カセット４４を代替給紙カセット４４と称す）の有無を判断する（ステップＳ９）。
【００４２】
制御部６は、上記ステップＳ９にて「Ｙｅｓ」の場合、つまり同一条件の用紙Ｐが載置された代替給紙カセット４４が存在する場合、この代替給紙カセット４４からの給紙に変更し（ステップＳ１０）、操作表示部１を制御して、ユーザーに対して無給紙ＪＡＭの発生を知らせるための警告画面を表示させる（ステップＳ１１）。
【００４３】
そして、制御部６は、上記ステップＳ１１の実行後、給紙枚数Ｃ１が現ジョブでの必要給紙枚数Ｍと等しいか否か、つまり現ジョブで必要な枚数の用紙Ｐの給紙を完了したか否かを判断し（ステップＳ１２）、「Ｎｏ」の場合には、上記ステップＳ２の処理に戻る一方、「Ｙｅｓ」の場合には、給紙動作の制御を終了する。
【００４４】
また、制御部６は、上記ステップＳ９にて「Ｎｏ」の場合、つまり同一条件の用紙Ｐが載置された代替給紙カセット４４が存在しない場合、無給紙ＪＡＭとしてエラー停止し、操作表示部１を制御して、ユーザーに対して無給紙ＪＡＭの発生を知らせるための警告画面を表示させる（ステップＳ１３）。
【００４５】
以上のように、本実施形態によれば、無給紙エラーが発生した場合に、給紙リトライ処理として、リフト板４４１を一旦降下させてから再度上昇させた後、つまりリフト板４４１上における用紙Ｐの積載状態を変化させるよう試みた後、給紙ローラー４５を再度回転させるので、給紙リトライによる無給紙エラーの解消可能性を高め、以って、無給紙ＪＡＭ発生による無駄な装置停止時間を削減することができる。
【００４６】
また、リフト板４４１のリフトダウン、アップを繰り返しても無給紙エラーを解消できなかった場合には、代替給紙カセット４４の有無を判断し、代替給紙カセット４４が存在すれば、その代替給紙カセット４４を使用して給紙動作を継続することで、無給紙ＪＡＭ発生による無駄な装置停止時間をより削減することができる。
【００４７】
ここで、代替給紙カセット４４の使用中に、ユーザーに対して無給紙ＪＡＭの発生を知らせるための警告画面を表示させるが、装置全体の動作を停止させるものではないため、継続して複合機Ａを利用することができる。また、無給紙ＪＡＭ発生の警告画面を表示させることにより、ユーザーに給紙カセット４４の抜き差し等の処置を実施することを促すことができ、複合機Ａの使い勝手が向上する。
【００４８】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が挙げられる。
例えば、上記実施形態では、１回の給紙リトライ中に、リフト板４４１のリフトダウン、リフトアップを１回だけ行う場合を例示したが、給紙リトライ回数Ｃ２が増えるに従って、１回の給紙リトライ中に実施するリフト板４４１のリフトダウン、リフトアップの回数を増やすようにしても良い。
また、無給紙ＪＡＭ発生時（ステップＳ６で「Ｙｅｓ」と判断された場合）に、代替給紙カセット４４の有無を判断して給紙動作を継続するか、或いは即座にエラー停止するかを、ユーザーによる手動操作によって切り替え可能にしても良い。
さらに、上記実施形態では、本給紙装置を備えた画像形成装置として複合機Ａを参照しながら説明したが、本給紙装置は、コピー機、プリンター、スキャナー及びファクシミリ等の他の画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【００４９】
Ａ…複合機、１…操作表示部、２…画像読取部、３…画像データ記憶部、４…用紙搬送画像形成部、５…通信部、６…制御部、４１…画像形成ユニット、４２…中間転写ベルト、４３…１次転写ローラー、４４…給紙カセット、４５…給紙ローラー、４６…給紙センサー、４７…搬送ローラー、４８…レジストローラー、４９…２次転写ローラー、５０…定着ローラー、５１…排紙ローラー、５２…排紙トレイ、Ｐ…用紙
【技術分野】
【０００１】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、コピー機や複合機等の画像形成装置では、給紙カセット或いは手差しトレイからの給紙時に無給紙エラーが発生した場合、給紙動作のリトライを行い、当該リトライを規定回数実施しても無給紙エラーが解消されない場合には、印刷動作を停止して、ユーザーに無給紙ＪＡＭの発生を知らせる画面を表示する。
【０００３】
下記特許文献１には、画像形成装置に搭載された原稿読取装置の供給トレイからの原稿給紙時に無給紙エラーが発生した場合に、上記供給トレイを所定角度だけ持ち上げることにより、無給紙エラーの解消を試みる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００６−８９１５２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
上記のように、従来では、無給紙エラーが発生した場合に給紙動作のリトライ、つまり給紙ローラーの回転制御を繰り返すだけであり、これにより用紙の積載状態が変わることはほとんどなく、無給紙エラーが解消される可能性は低い。また、リトライによっても無給紙エラーが解消されず、無給紙ＪＡＭとした場合には、装置全体が停止してしまうため、ユーザーの業務効率が低下する。
【０００６】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、無給紙エラー発生時の給紙リトライによる無給紙エラーの解消可能性を高め、以って、無給紙ＪＡＭによる無駄な装置停止時間を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記課題を解決するために、本発明では、画像形成装置に係る第１の解決手段として、用紙を載置するための用紙載置板と、前記用紙載置板を昇降させる昇降機構と、前記用紙載置板が上昇した時に前記用紙載置板に載置された用紙の最上面に当接する位置に配置された給紙ローラーと、前記給紙ローラーの下流側に配置されて用紙の有無を検出する給紙センサーと、給紙時には、前記用紙載置板に載置された用紙の最上面と前記給紙ローラーとを当接させた状態で前記給紙ローラーを回転させ、前記給紙センサーの出力信号を基に無給紙エラーが発生したか否かを判断する制御部と、を備えた画像形成装置であって、前記制御部は、前記無給紙エラーが発生したと判断した場合、給紙リトライ処理として、前記昇降機構を制御して前記用紙載置板を一旦下降させてから再度上昇させた後、前記給紙ローラーを再度回転させることを特徴とする。
【０００８】
また、本発明では、画像形成装置に係る第２の解決手段として、上記第１の解決手段において、前記制御部は、前記給紙リトライ処理を規定回数実施しても前記無給紙エラーが解消されない場合、同一条件の用紙が載置された他の用紙載置板の有無を判断し、有りと判断した場合には前記他の用紙載置板に対応する給紙ローラーを回転させて給紙を継続することを特徴とする。
【０００９】
また、本発明では、画像形成装置に係る第３の解決手段として、上記第２の解決手段において、前記制御部は、前記同一条件の用紙が載置された他の用紙載置板が無いと判断した場合には、エラー停止して無給紙ＪＡＭの発生をユーザーに報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、無給紙エラーが発生した場合、給紙リトライ処理として、昇降機構を制御して用紙載置板を一旦降下させてから再度上昇させた後、つまり用紙載置板上における用紙の積載状態を変化させるよう試みた後に、給紙ローラーを再度回転させるので、給紙リトライによる無給紙エラーの解消可能性を高め、以って、無給紙ＪＡＭによる無駄な装置停止状態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明の一実施形態に係る複合機Ａの構成概略図である。
【図２】複合機Ａの給紙カセット４４の概略構成図である。
【図３】制御部６による給紙動作の制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下では、本発明に係る画像形成装置として、コピー機、プリンター、スキャナー及びファクシミリ等の機能を併せ持つ複合機を例示して説明する。
図１は、本実施形態に係る複合機Ａの構成概略図である。この図１に示すように、本複合機Ａは、操作表示部１、画像読取部２、画像データ記憶部３、用紙搬送画像形成部４、通信部５及び制御部６から構成されている。
【００１３】
操作表示部１は、操作キー及びタッチパネルを備えており、ユーザーと複合機Ａとを関係付けるマンマシンインターフェイスとして機能する。この操作表示部１は、押下された操作キーまたはタッチパネルに表示された操作ボタンの操作指示を制御部６に出力すると共に、制御部６から入力される制御信号に基づいてタッチパネルに種々の画面を表示する。
【００１４】
画像読取部２は、制御部６による制御の下、ＡＤＦ（Auto document feeder）により自動給紙される原稿またはプラテンガラス上に載置された原稿の表面画像（原稿画像）をラインセンサーで読み取って原稿画像データに変換し、この原稿画像データを制御部６に出力する。なお、画像読取部２は、原稿画像データを制御部６に出力する一方、制御部６は、原稿画像データを画像データ記憶部３に記憶させる。
【００１５】
画像データ記憶部３は、半導体メモリーまたはハードディスク装置などであり、制御部６から入力される制御信号に基づいて原稿画像データや、通信部５が外部のクライアントコンピューター（図示略）から受信するプリント画像データや、通信部５がファクシミリ装置から受信したファクシミリ画像データを記憶する。
【００１６】
用紙搬送画像形成部４は、制御部６による制御の下、給紙カセット４４内に収容された用紙束から用紙を１枚ずつ搬送し、画像データ記憶部３の画像データに基づいて用紙上に画像を形成するものである。このような用紙搬送画像形成部４は、図１に示すように、ブラック、イエロー、シアン、マゼンダの４色に対応するトナーからなる画像（以下、トナー画像と称す）を形成する画像形成ユニット４１、中間転写ベルト４２、１次転写ローラー４３、給紙カセット４４、給紙ローラー４５、給紙センサー４６、搬送ローラー４７、レジストローラー４８、２次転写ローラー４９、定着ローラー５０、排紙ローラー５１及び排紙トレイ５２から構成されている。
【００１７】
各画像形成ユニット４１は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色に対応するトナー画像を形成するものであり、複合機Ａの正面から視て水平方向に所定間隔で各色に対応して４つ設けられている。このような画像形成ユニット４１は、図１に示すように、トナー画像が周面に形成される感光体ドラム４１ａを備えている。
【００１８】
中間転写ベルト４２は、各感光体ドラム４１ａに接するように設けられた無端ベルトであり、各感光体ドラム４１ａの周面に形成されたトナー画像が各感光体ドラム４１ａから１次転写されるものである。１次転写ローラー４３は、中間転写ベルト４２を挟むように各感光体ドラム４１ａに対向配置されており、回転しながら１次転写電圧を中間転写ベルト４２に印加することにより各感光体ドラム４１ａから中間転写ベルト４２にトナー画像を１次転写させるローラーである。
【００１９】
給紙カセット４４は、Ａ４サイズやＢ５サイズ等、所定サイズの用紙Ｐを束状に収容する容器であり、少なくとも束状に積載された用紙Ｐの最上面を露出させるための開口部を有している。この給紙カセット４４は、図２に示すように、リフト板４４１、リフト板支持部４４２、リフトモーター４４３及び用紙ガイド板４４５を備えている。
【００２０】
リフト板４４１は、束状に積み重ねられた用紙Ｐを載置するための用紙載置板であり、リフトモーター４４３の動力によって、束状に積載された用紙Ｐの最上面が給紙ローラー４５に当接するように持ち上げられる。リフト板支持部４４２は、リフト板４４１を下面側から支持するものであり、リフトモーター４４３に連結され、リフトモーター４４３の駆動によりリフト板４４１を持ち上げる。
【００２１】
リフトモーター４４３は、例えばＤＣブラシモーターであり、制御部６による制御の下、動力によってリフト板支持部４４２を駆動することによりリフト板４４１を上昇させ、束状に積載された用紙Ｐの最上面を給紙ローラー４５に当接させる。なお、リフトモーター４４３を逆回転させることにより、リフト板４４１を下降させることができる。このように、リフト板支持部４４２及びリフトモーター４４３は、リフト板４４１を昇降させる昇降機構としての役割を担っている。
【００２２】
用紙ガイド板４４５は、用紙Ｐの幅方向及び長さ方向のそれぞれに設けられたガイド板であり、用紙Ｐの用紙サイズに合わせて移動可能にリフト板４４１上に取り付けられている。制御部６は、用紙ガイド板４４５の位置に基づいて用紙Ｐの用紙サイズを検出することができる。
【００２３】
図１に戻り、給紙ローラー４５は、リフト板４４１が上昇した時に当該リフト板４４１上に束状に積載された用紙Ｐの最上面に当接する位置に配置されており、用紙Ｐの最上面に圧接されながら給紙方向に回転することにより、給紙カセット４４から用紙Ｐを１枚ずつ用紙搬送路Ｌへ送り出すローラーである。ここで、給紙方向とは、用紙搬送路Ｌに沿って用紙Ｐが搬送される方向を指す。
なお、給紙ローラー４５の回転軸には、不図示の回転駆動機構（モーターや減速用ギア等）が連結されており、この給紙ローラー４５の回転動作（回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等）は制御部６による回転駆動機構の制御（特にモーター制御）によって制御される。
【００２４】
給紙センサー４６は、用紙搬送路Ｌ上における給紙ローラー４５の下流側（給紙方向の下流側）に配置されており、給紙ローラー４５の下流側における用紙Ｐの有無を検出し、その検出結果に応じた信号を制御部６に出力する。例えば、この給紙センサー４６は、給紙ローラー４５の下流側に用紙Ｐが存在する場合にはオン信号（ハイレベル信号）を出力し、用紙Ｐが存在しない場合にはオフ信号（ローレベル信号）を出力する。
【００２５】
搬送ローラー４７は、用紙搬送路Ｌ上における給紙ローラー４５及び給紙センサー４６の下流側に配置されており、給紙方向に回転することにより、給紙ローラー４５によって用紙搬送路Ｌへ送り出された用紙Ｐを用紙搬送路Ｌの下流側へ搬送するものである。
なお、搬送ローラー４７の回転軸には、不図示の回転駆動機構（モーターや減速用ギア等）が連結されており、この搬送ローラー４７の回転動作（回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等）は制御部６による回転駆動機構の制御（特にモーター制御）によって制御される。なお、給紙ローラー４５の回転力をベルトによって搬送ローラー４７の回転軸に伝達する構成を採用しても良い。
【００２６】
用紙搬送路Ｌ上における搬送ローラー４７の下流側には、用紙Ｐの２次転写ローラー４９への搬送タイミングを調節するための一対のレジストローラー４８が配置されている。この一対のレジストローラー４８は、互いに対向配置されて、圧接されながら給紙方向に正回転する２本のローラーから構成されている。
なお、レジストローラー４８の一方のローラーの回転軸に、不図示の回転駆動機構（モーターや減速用ギア等）が連結されており、他方のローラーは空転するようになっている。つまり、一方のローラーの回転動作（回転の開始タイミングや停止タイミング、回転速度等）は制御部６による回転駆動機構の制御（特にモーター制御）によって制御され、他方のローラーは一方のローラーに従動するようになっている。
【００２７】
２次転写ローラー４９は、対抗配置された対向ローラーとの間に中間転写ベルト４２を挟むように配置され、中間転写ベルト４２との間で２次転写ニップを形成するローラーであり、中間転写ベルト４２上のトナー画像を用紙Ｐに２次転写させるものである。すなわち、２次転写ローラー４９は、２次転写ニップにおいて中間転写ベルト４２と用紙Ｐとを挟んだ状態で２次転写電圧を印加することにより、中間転写ベルト４２上のトナー画像を用紙Ｐに２次転写させる。
【００２８】
定着ローラー５０は、内部にヒーターを備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに圧接される加圧ローラーとから構成され、上記２次転写ローラー４９でトナー画像が２次転写された用紙Ｐを挟持することにより、用紙Ｐを加熱及び加圧してトナー画像を用紙Ｐ上に定着させる。排紙ローラー５１は、定着ローラー５０から搬送される用紙Ｐを排紙トレイ５２に排出する。排紙トレイ５２は、排紙ローラー５１によって排出された用紙Ｐを収容する受け皿である。
【００２９】
なお、図１では図示を省略しているが、用紙搬送画像形成部４は、給紙カセット４４を複数個備えている。従って、給紙ローラー４５、給紙センサー４６、搬送ローラー４７及びレジストローラー４８も、各給紙カセット４４に対応して複数個ずつ設けられている。
【００３０】
通信部５は、制御部６から入力される制御信号に基づいて電話回線を介して外部の複合機あるいはファクシミリ装置、またローカルエリアネットワークを介してクライアントコンピューターなどと通信を行うものである。すなわち、この通信部５は、イーサネット（登録商標）などのＬＡＮ規格に準拠した通信機能と、Ｇ３などのファクシミリ規格に準拠した通信機能とを兼ね備えたものである。通信部５は、例えば、電子メールの送信またはファクシミリの送受信を行う。
【００３１】
制御部６は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）、ＲＯＭ（Read Only Memory）、ＲＡＭ（Random Access Memory）及び上述した各部と各種信号の送受信を行うインターフェイス回路などから構成されており、上記ＲＯＭに記憶された制御プログラムに基づいて複合機Ａの全体動作を制御する。この制御部６は、給紙時には、リフト板４４１に積載された用紙Ｐの最上面と給紙ローラー４５が当接した状態で給紙ローラー４５を回転させ、給紙センサー４６の出力信号を基に、無給紙エラーが発生したか否かを判断する機能を有している。
【００３２】
次に、上記のように構成された本複合機Ａの動作について説明する。
例えば、本複合機Ａによって原稿をコピーしようとするユーザーは、画像読取部２に原稿をセットし、操作表示部１のコピースタートキーを押下することにより、本複合機Ａにコピー動作を開始させる。制御部６は、操作表示部１のコピースタートキーがユーザーによって押下されると、画像読取部２に原稿画像を読み取らせ、画像読取部２から得られる原稿画像データを画像データ記憶部３に記憶させる。
【００３３】
そして、制御部６は、画像データ記憶部３に記憶された原稿画像データを基に各画像形成ユニット４１を制御して、各感光体ドラム４１ａの表面に各色のトナー画像を形成（現像）すると共に、中間転写ベルト４２を回走させながら各１次転写ローラー４３に順次１次転写電圧を発生させることにより、中間転写ベルト４２上に各色のトナー画像を順次重ねて転写させる。
【００３４】
また、制御部６は、上記のようなトナー画像の１次転写動作の制御と並行して、用紙Ｐの給紙動作を制御する。以下では、図３に示すフローチャートを参照しながら、制御部６が実行する給紙動作の制御手順について詳細に説明する。なお、制御部６は、ジョブ単位で図３のフローチャートに従って給紙動作の制御を行う。また、本実施形態では、コピースタートキーがユーザーに押されてから、全ての原稿画像が必要枚数の用紙Ｐに印刷されて排紙されるまでを１ジョブとする。
【００３５】
図３に示すように、制御部６は、まず、給紙枚数Ｃ１を「０」にリセットした後（ステップＳ１）、給紙枚数Ｃ１のカウントアップを行う（ステップＳ２）。続いて、制御部６は、給紙リトライ回数Ｃ２を「０」にリセットした後（ステップＳ３）、給紙ローラー４５を所定時間回転させる（ステップＳ４）。ここで、リフト板４４１の上昇によって、リフト板４４１に積載された用紙Ｐの最上面と給紙ローラー４５とが当接した状態となっているため、給紙ローラー４５の回転によって給紙カセット４４から１枚の用紙Ｐが用紙搬送路Ｌへ送り出される。
【００３６】
続いて、制御部６は、給紙センサー４６の出力信号を基に、無給紙エラーが発生したか否かを判断し（ステップＳ５）、「Ｙｅｓ」の場合には、後述のステップＳ６の処理に移行する一方、「Ｎｏ」の場合には、後述のステップＳ１２の処理に移行する。具体的には、制御部６は、ステップＳ５において、給紙ローラー４５を回転させてから所定時間が経過しても、給紙センサー４６からオン信号が出力されない場合に、無給紙エラーが発生したと判断する。
【００３７】
制御部６は、上記ステップＳ５にて「Ｙｅｓ」の場合、つまり無給紙エラーが発生したと判断した場合、給紙リトライ回数Ｃ２が規定回数Ｎを越えたか否かを判断し（ステップＳ６）、「Ｙｅｓ」の場合には、後述のステップＳ９の処理に移行する一方、「Ｎｏ」の場合には、後述のステップＳ７の処理に移行する。
【００３８】
制御部６は、上記ステップＳ６にて「Ｎｏ」の場合、つまり給紙リトライ回数Ｃ２が規定回数Ｎを越えていない場合、リフトモーター４４３を制御してリフト板４４１を一旦下降（リフトダウン）させてから再度上昇（リフトアップ）させる（ステップＳ７）。そして、制御部６は、ステップＳ７の終了後に、給紙リトライ回数Ｃ２のカウントアップを行い（ステップＳ８）、上記ステップＳ４の処理に戻って、給紙ローラー４５を再度回転させる。
【００３９】
これらステップＳ４〜Ｓ８の処理によって、無給紙エラーが解消されるまで（ステップＳ５にて「Ｎｏ」と判断されるまで）、或いは給紙リトライ回数Ｃ２が規定回数Ｎを越えるまで（ステップＳ６にて「Ｙｅｓ」と判断されるまで）、給紙リトライ処理が繰り返されることになる。
【００４０】
このように、リフト板４４１を最善の位置（リフト板４４１の上限位置）までアップさせた状態から、一旦、リフト板４４１を下降させることにより、用紙Ｐが給紙捌きのところまで束突っ込みしている状態を改善し、出来るだけ無給紙エラーの発生しにくい状態へと変化させる。これにより、給紙リトライ（給紙ローラー４５の再回転）による無給紙エラーの解消可能性を高めることができる。
【００４１】
制御部６は、上記ステップＳ６にて「Ｙｅｓ」の場合、つまり給紙リトライ回数Ｃ２が規定回数Ｎを越えた場合（リフト板４４１のリフトダウン、アップを繰り返しても無給紙エラーを解消できなかった場合）、現在選択中の給紙カセット４４以外に、同一条件（用紙サイズや用紙重さ等）の用紙Ｐが載置された他の給紙カセット４４（以下、この給紙カセット４４を代替給紙カセット４４と称す）の有無を判断する（ステップＳ９）。
【００４２】
制御部６は、上記ステップＳ９にて「Ｙｅｓ」の場合、つまり同一条件の用紙Ｐが載置された代替給紙カセット４４が存在する場合、この代替給紙カセット４４からの給紙に変更し（ステップＳ１０）、操作表示部１を制御して、ユーザーに対して無給紙ＪＡＭの発生を知らせるための警告画面を表示させる（ステップＳ１１）。
【００４３】
そして、制御部６は、上記ステップＳ１１の実行後、給紙枚数Ｃ１が現ジョブでの必要給紙枚数Ｍと等しいか否か、つまり現ジョブで必要な枚数の用紙Ｐの給紙を完了したか否かを判断し（ステップＳ１２）、「Ｎｏ」の場合には、上記ステップＳ２の処理に戻る一方、「Ｙｅｓ」の場合には、給紙動作の制御を終了する。
【００４４】
また、制御部６は、上記ステップＳ９にて「Ｎｏ」の場合、つまり同一条件の用紙Ｐが載置された代替給紙カセット４４が存在しない場合、無給紙ＪＡＭとしてエラー停止し、操作表示部１を制御して、ユーザーに対して無給紙ＪＡＭの発生を知らせるための警告画面を表示させる（ステップＳ１３）。
【００４５】
以上のように、本実施形態によれば、無給紙エラーが発生した場合に、給紙リトライ処理として、リフト板４４１を一旦降下させてから再度上昇させた後、つまりリフト板４４１上における用紙Ｐの積載状態を変化させるよう試みた後、給紙ローラー４５を再度回転させるので、給紙リトライによる無給紙エラーの解消可能性を高め、以って、無給紙ＪＡＭ発生による無駄な装置停止時間を削減することができる。
【００４６】
また、リフト板４４１のリフトダウン、アップを繰り返しても無給紙エラーを解消できなかった場合には、代替給紙カセット４４の有無を判断し、代替給紙カセット４４が存在すれば、その代替給紙カセット４４を使用して給紙動作を継続することで、無給紙ＪＡＭ発生による無駄な装置停止時間をより削減することができる。
【００４７】
ここで、代替給紙カセット４４の使用中に、ユーザーに対して無給紙ＪＡＭの発生を知らせるための警告画面を表示させるが、装置全体の動作を停止させるものではないため、継続して複合機Ａを利用することができる。また、無給紙ＪＡＭ発生の警告画面を表示させることにより、ユーザーに給紙カセット４４の抜き差し等の処置を実施することを促すことができ、複合機Ａの使い勝手が向上する。
【００４８】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が挙げられる。
例えば、上記実施形態では、１回の給紙リトライ中に、リフト板４４１のリフトダウン、リフトアップを１回だけ行う場合を例示したが、給紙リトライ回数Ｃ２が増えるに従って、１回の給紙リトライ中に実施するリフト板４４１のリフトダウン、リフトアップの回数を増やすようにしても良い。
また、無給紙ＪＡＭ発生時（ステップＳ６で「Ｙｅｓ」と判断された場合）に、代替給紙カセット４４の有無を判断して給紙動作を継続するか、或いは即座にエラー停止するかを、ユーザーによる手動操作によって切り替え可能にしても良い。
さらに、上記実施形態では、本給紙装置を備えた画像形成装置として複合機Ａを参照しながら説明したが、本給紙装置は、コピー機、プリンター、スキャナー及びファクシミリ等の他の画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【００４９】
Ａ…複合機、１…操作表示部、２…画像読取部、３…画像データ記憶部、４…用紙搬送画像形成部、５…通信部、６…制御部、４１…画像形成ユニット、４２…中間転写ベルト、４３…１次転写ローラー、４４…給紙カセット、４５…給紙ローラー、４６…給紙センサー、４７…搬送ローラー、４８…レジストローラー、４９…２次転写ローラー、５０…定着ローラー、５１…排紙ローラー、５２…排紙トレイ、Ｐ…用紙
【特許請求の範囲】
【請求項１】
用紙を載置するための用紙載置板と、
前記用紙載置板を昇降させる昇降機構と、
前記用紙載置板が上昇した時に前記用紙載置板に載置された用紙の最上面に当接する位置に配置された給紙ローラーと、
前記給紙ローラーの下流側に配置されて用紙の有無を検出する給紙センサーと、
給紙時には、前記用紙載置板に載置された用紙の最上面と前記給紙ローラーとを当接させた状態で前記給紙ローラーを回転させ、前記給紙センサーの出力信号を基に無給紙エラーが発生したか否かを判断する制御部と、
を備えた画像形成装置であって、
前記制御部は、前記無給紙エラーが発生したと判断した場合、給紙リトライ処理として、前記昇降機構を制御して前記用紙載置板を一旦下降させてから再度上昇させた後、前記給紙ローラーを再度回転させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項２】
前記制御部は、前記給紙リトライ処理を規定回数実施しても前記無給紙エラーが解消されない場合、同一条件の用紙が載置された他の用紙載置板の有無を判断し、有りと判断した場合には前記他の用紙載置板に対応する給紙ローラーを回転させて給紙を継続することを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。
【請求項３】
前記制御部は、前記同一条件の用紙が載置された他の用紙載置板が無いと判断した場合には、エラー停止して無給紙ＪＡＭの発生をユーザーに報知することを特徴とする請求項２に記載の画像形成装置。
【請求項１】
用紙を載置するための用紙載置板と、
前記用紙載置板を昇降させる昇降機構と、
前記用紙載置板が上昇した時に前記用紙載置板に載置された用紙の最上面に当接する位置に配置された給紙ローラーと、
前記給紙ローラーの下流側に配置されて用紙の有無を検出する給紙センサーと、
給紙時には、前記用紙載置板に載置された用紙の最上面と前記給紙ローラーとを当接させた状態で前記給紙ローラーを回転させ、前記給紙センサーの出力信号を基に無給紙エラーが発生したか否かを判断する制御部と、
を備えた画像形成装置であって、
前記制御部は、前記無給紙エラーが発生したと判断した場合、給紙リトライ処理として、前記昇降機構を制御して前記用紙載置板を一旦下降させてから再度上昇させた後、前記給紙ローラーを再度回転させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項２】
前記制御部は、前記給紙リトライ処理を規定回数実施しても前記無給紙エラーが解消されない場合、同一条件の用紙が載置された他の用紙載置板の有無を判断し、有りと判断した場合には前記他の用紙載置板に対応する給紙ローラーを回転させて給紙を継続することを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。
【請求項３】
前記制御部は、前記同一条件の用紙が載置された他の用紙載置板が無いと判断した場合には、エラー停止して無給紙ＪＡＭの発生をユーザーに報知することを特徴とする請求項２に記載の画像形成装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１３−１０６０８（Ｐ２０１３−１０６０８Ａ）
【公開日】平成２５年１月１７日（２０１３．１．１７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１４４４５１（Ｐ２０１１−１４４４５１）
【出願日】平成２３年６月２９日（２０１１．６．２９）
【出願人】（０００００６１５０）京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年１月１７日（２０１３．１．１７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年６月２９日（２０１１．６．２９）
【出願人】（０００００６１５０）京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Ｆターム（参考）】
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