画像形成装置
【課題】像担持体表面を均一に帯電することができ、かつ、像担持体や帯電ブラシローラの回転トルクの増加による駆動装置の破損を抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】横軸をブラシ長さL、縦軸を帯電ブラシローラ4のブラシ繊維が植毛された表面(軸表面)と感光体表面とのギャップGにすると、図中斜線の1の範囲に入るように、ギャップGを、0.4mm以上、ブラシ長さLを0.6mm以上1.45mm以下、食い込み量W0.1mm以上に設定することで、感光体表面を均一、かつ、安定的に帯電でき、ギヤの破損を抑制できる画像形成装置を得ることができる。
【解決手段】横軸をブラシ長さL、縦軸を帯電ブラシローラ4のブラシ繊維が植毛された表面(軸表面)と感光体表面とのギャップGにすると、図中斜線の1の範囲に入るように、ギャップGを、0.4mm以上、ブラシ長さLを0.6mm以上1.45mm以下、食い込み量W0.1mm以上に設定することで、感光体表面を均一、かつ、安定的に帯電でき、ギヤの破損を抑制できる画像形成装置を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、帯電ブラシローラを感光体の表面に当接させて、帯電ブラシローラのブラシから電荷を放電させることにより、感光体の表面を一様帯電させる画像形成装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1や2に記載の画像形成装置においては、感光体表面を均一に帯電することができないという課題があった。これは、感光体表面が、帯電ブラシローラと接触する領域(帯電領域)を通過する間に、ブラシと十分に接触していない領域があり、その領域は、ブラシから十分に電荷が付与されず、所定の電位まで帯電しない。その結果、感光体表面を均一に帯電することができずないのである。そして、現像工程で、このように所定の帯電電位よりも低い電位の領域に箇所にトナーが付着して画像に微小な黒ポチが形成されてしまうという不具合が発生する。また、ハーフトーン画像形成するべく、ベタ画像の1/2の露光量で静電潜像を形成したとき、静電潜像の電位が均一でなくなりハーフトーン画像のキメが低下するという不具合も発生する。
【0004】
感光体表面を均一に帯電させるには、感光体表面の当接する単位面積当りのブラシ本数を増やして、感光体表面にびっしりとブラシ繊維を接触させることにより、感光体表面を均一に帯電することができる。感光体表面と当接するブラシ本数を増やす方法としては、ブラシ繊維を短くすることが考えられる。これは、ブラシ繊維は、ローラの表面に放射状に植毛されるため、ブラシ繊維が長いと、帯電ブラシローラ回転方向においてブラシ先端間での隙間が大きくなる。その結果、ブラシ繊維が長いと、感光体表面と当接するブラシ本数が減ってしまうのである。一方、ブラシ繊維の長さが短くなると、帯電ブラシローラ回転方向においてブラシ先端間での隙間を小さくすることができ、感光体表面の当接する単位面積当りのブラシ本数を増やすことができ、感光体表面にびっしりとブラシ繊維を接触させることができる。
【0005】
しかし、ブラシ繊維を短くしていくと、所定の食い込み量にしたときの感光体表面とブラシ繊維が植毛された面とのギャップが狭まっていく。そして、ギャップが狭まっていくと、感光体や帯電ブラシローラの回転トルクが上昇して、感光体や帯電ブラシローラを回転駆動するための駆動装置のギヤが破損してしまうという新たな課題が発生した。ギャップが狭まっていくと、感光体や帯電ブラシローラの回転トルクが上昇する理由については、定かではないが、次のような理由で、帯電ブラシローラのトルクが上昇すると考えている。すなわち、ギャップが狭まっていくと、感光体に対するブラシの押圧力が高まり、感光体や帯電ブラシローラの回転トルクが上昇すると考えられる。これは、ギャップが狭まると、ブラシの弾性変形量が多くなり、ブラシの復元力が大きくなるため、感光体に対するブラシの押圧力が高まると考えられる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、像担持体表面を均一に帯電することができ、かつ、像担持体や帯電ブラシローラの回転トルクの増加による駆動装置の破損を抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体と、像担持体の表面に接触して、ブラシから電荷を付与させることにより、像担持体表面を一様帯電させる帯電ブラシローラとを備えた画像形成装置において、前記帯電ブラシローラのブラシ長さをLとし、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップをGとしたとき
0.6mm≦L≦1.45mm、
0.4mm<G
としたことを特徴とするものである。
【0008】
後述する実験結果が示すように、帯電ブラシローラのブラシの長さを、0.6mm以上1.45mm以下とすることにより、像担持体表面を均一に帯電にすることができた。これは、帯電ブラシローラのブラシ長さを1.45mm以下にすることで、像担持体表面を均一に帯電できる程度に像担持体表面に当接するブラシ本数を増やすことができたためと考えられる。また、ブラシ長さが0.6mm未満の帯電ブラシブラシローラが、像担持体表面を均一に帯電できなかった理由について、本発明者らは以下のように考えている。すなわち、ブラシが短くブラシの剛性が強いため、帯電ブラシローラを像担持体に食い込ませたとき、ブラシが十分に撓まず、ブラシが植毛された部分から倒れるように変形したためブラシの先端のみが像担持体表面と接触したと考えられる。上述したように、ブラシは、ローラの表面に放射状に植毛される関係で、どうしても帯電ブラシローラ回転方向においては、ブラシ先端間で隙間ができる。その結果、ブラシの先端のみが像担持体表面と接触する場合は、帯電ブラシローラのブラシをびっしりと隙間なく像担持体に当接させることができず、像担持体表面を均一に帯電できなかったと考えられる。これに対し、ブラシ長さを0.6mm以上にすることにより、ブラシが適度な弾性をもち、帯電ブラシローラを像担持体に食い込ませたとき、ブラシの先端部分が撓んで、ブラシの腹の部分が像担持体表面と当接する。その結果、帯電ブラシローラのブラシをびっしりと隙間なく像担持体に当接させることができ、像担持体表面を均一に帯電できたと考えられる。
また、後述する実験結果が示すように、ブラシの長さが上記0.6mm〜1.45mmのとき、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面と像担持体表面のギャップが、0.4mmを超えると、像担持体や帯電ブラシローラを駆動する駆動装置のギヤに破損が見られなかった。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、像担持体表面を均一に帯電でき、かつ、駆動装置の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタのK用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図3】感光体と帯電ブラシローラとを駆動する駆動装置を示す概略構成図。
【図4】帯電ブラシローラを感光体と連れ回る構成としたプリンタの駆動装置を示す概略構成図。
【図5】静電植毛装置を示す図。
【図6】静電植毛の工程を示す図。
【図7】帯電ブラシローラの部分拡大断面図。
【図8】ブラシ長さとブラシ密度との関係を示す図。
【図9】本実施形態のブラシ長さとギャップとの関係を示すグラフ。
【図10】従来の帯電ブラシローラと感光体との関係を示す図。
【図11】本実施形態の帯電ブラシローラと感光体との関係を示す図。
【図12】本実施形態の帯電ブラシローラのブラシ繊維と感光体表面との関係を示す図。
【図13】感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップを調整するギャップ調整機構400の一実施例を示す概略構成図。
【図14】感光体表面と帯電ブラシローラの軸表面とのギャップを調整するギャップ調整機構の他の実施例を示す概略構成図。
【図15】すきまゲージを用いて感光体表面と帯電ブラシローラの軸表面とのギャップを測定する方法を説明する図。
【図16】レーザ測定器を用いて感光体表面と帯電ブラシローラの軸表面とのギャップを測定する方法を説明する図。
【図17】トルクとギャップとの関係について調べた結果を示すグラフ。
【図18】帯電ブラシローラを強制駆動させたときと、帯電ブラシローラを感光体に連れ回したときとのトルクとギャップとの関係について調べた結果を示すグラフ。
【図19】ブラシ密度を求めるためにCCDにより拡大撮像した帯電ブラシローラを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタ100という)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、プリンタ100を示す概略構成図である。同図において、プリンタ100は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン(以下、K、Y、M、Cと記す)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット1K,Y,M,Cを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のK,Y,M,Cトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのプロセスユニット1Kを例にすると、図2に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体2K、帯電ブラシローラ4K、現像手段たる現像装置5K等を備えている。画像形成ユニットたるプロセスユニット1Kは、プリンタ100本体に対して脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0012】
帯電ブラシローラ4Kには、不図示の帯電電源が接続されており、これによって交流電圧とマイナス極性の直流電圧との重畳による帯電バイアスが印加される。この印加により、帯電ブラシローラ4Kと感光体2Kとの接触部では、ブラシと感光体2Kとの間に放電が発生して、感光体2Kがマイナス極性に一様帯電せしめられる。なお、帯電バイアスは、交流電圧のみ、直流電圧のみでもよい。帯電バイアスを交流電圧にすることにより、感光体表面を均一に帯電することができる。また、帯電バイアスを直流電圧にすることにより、異常放電を抑制することができる。
【0013】
一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、Kトナーを用いる現像装置5KによってKトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。中間転写工程を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーは、帯電領域まで搬送され帯電ブラシローラ4Kに付着する。帯電ブラシローラ4Kに付着したトナーは、所定のタイミングで感光体表面に戻され、現像領域へ搬送され、現像装置に回収される。
【0014】
トナーとしては、シリコンオイルを含有したシリカが外添されたオイル含有トナーを用いるのが好ましい。オイル含有トナーを用いることで、感光体2K表面と帯電ブラシローラ4Kとの摩擦が低減され、全体の回転トルクが軽減され、ピッチムラが抑制される。また、現像領域での摩擦も低減され、ハーフトーン画像のキメを向上することができる。他色のプロセスユニット(1Y,M,C)においても、同様にして感光体(2Y,M,C)上に(Y,M,C)トナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。
【0015】
現像装置5Kは、図示しないKトナーを収容する縦長のホッパ部6Kと、現像部7Kとを有している。ホッパ部6K内には、駆動手段によって回転駆動されるアジテータ8K、これの鉛直方向下方で駆動手段によって回転駆動される撹拌パドル9K、これの鉛直方向で駆動手段によって回転駆動されるトナー供給ローラ10Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のKトナーは、アジテータ8Kや撹拌パドル9Kの回転駆動によって撹拌されながら、自重によってトナー供給ローラ10Kに向けて移動する。トナー供給ローラ10Kは、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部6K内のKトナーをローラ部の表面に付着させながら回転する。
【0016】
現像装置5Kの現像部7K内には、感光体2Kやトナー供給ローラ10Kに当接しながら回転する現像ローラ11Kや、これの表面に先端を当接させる薄層化ブレード12Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のトナー供給ローラ10Kに付着したKトナーは、現像ローラ11Kとトナー供給ローラ10Kとの当接部で現像ローラ11Kの表面に供給される。供給されたKトナーは、現像ローラ11Kの回転に伴って現像ローラ11Kと薄層化ブレード12Kとの当接位置を通過する際に、現像ローラ11Kの表面上での層厚が規制される。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ11Kと感光体2Kとの当接部である現像領域において、感光体2K表面のK用の静電潜像に付着する。この付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像される。
【0017】
図2を用いてK用のプロセスユニット1について説明したが、Y,M,C用のプロセスユニット1Y,M,Cにおいても、同様のプロセスにより、感光体2Y,M,C表面にY,M,Cトナー像が形成される。
【0018】
先に示した図1において、プロセスユニット1K,Y,M,Cの鉛直方向上方には、光書込ユニット70が配設されている。潜像書込装置たる光書込ユニット70は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザ光Lにより、プロセスユニット1K,Y,M,Cにおける感光体2K,Y,M,Cを光走査する。この光走査により、感光体2K,Y,M,C上にK,Y,M,C用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット70は、光源から発したレーザ光Lを、不図示のポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して各感光体2K,Y,M,C上に照射するものである。
【0019】
プロセスユニット1K,Y,M,Cの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト16を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。転写手段たる転写ユニット15は、中間転写ベルト16の他に、中転駆動ローラ18、中転従動ローラ17、4つの一次転写ローラ19K,Y,M,C、二次転写ローラ20、ベルトクリーニング装置21、クリーニングバックアップローラ22などを備えている。
【0020】
中間転写ベルト16は、そのループ内側に配設された中転駆動ローラ18、中転従動ローラ17、クリーニングバックアップローラ22及び4つの一次転写ローラ19K,Y,M,Cによって張架されている。そして、詳細は後述する駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される中転駆動ローラ18の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
【0021】
4つの一次転写ローラ19K,Y,M,Cは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト16を感光体2K,Y,M,Cとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、感光体2K,Y,M,Cとが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。
【0022】
一次転写ローラ19K,Y,M,Cには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ一次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体2K,Y,M,Cの静電潜像と、一次転写ローラ19K,Y,M,Cとの間に転写電界が形成される。なお、一次転写ローラ19K,Y,M,Cに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0023】
K用のプロセスユニット1Kの感光体2K表面に形成されたKトナー像は、感光体2Kの回転に伴って上述のK用の一次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2K上から中間転写ベルト16上に一次転写される。このようにしてKトナー像が一次転写せしめられた中間転写ベルト16は、その無端移動に伴ってY,M,C用の一次転写ニップを通過する際に、感光体2Y,M,C上のY,M,Cトナー像が、Kトナー像上に順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト16上には4色トナー像が形成される。
【0024】
転写ユニット15の二次転写ローラ20は、中間転写ベルト16のループ外側に配設されながら、ループ内側の中転駆動ローラ18との間に中間転写ベルト16を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、二次転写ローラ20とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ20には、図示しない転写バイアス電源によって二次転写バイアスが印加される。この印加により、二次転写ローラ20と、アース接続されている中転駆動ローラ18との間には、二次転写電界が形成される。
【0025】
転写ユニット15の鉛直方向下方には、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット30がプリンタ100の筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット30は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ30aを当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙Pを給紙路31に向けて送り出す。
【0026】
給紙路31の末端付近には、レジストローラ対32が配設されている。このレジストローラ対32は、給紙カセット30から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを上述の二次転写ニップ内で中間転写ベルト16上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを二次転写ニップに向けて送り出す。
【0027】
二次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト16上の4色トナー像は、二次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括二次転写され、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、二次転写ニップを通過すると、二次転写ローラ20や中間転写ベルト16から曲率分離する。そして、転写後搬送路33を経由して、後述する定着装置34に送り込まれる。
【0028】
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト16には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト16のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置21によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト16のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ22は、ベルトクリーニング装置21によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
【0029】
定着装置34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成している。定着装置34内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ34aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化せしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0030】
定着装置34内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路35を経由した後、排紙路36と反転前搬送路41との分岐点にさしかかる。定着後搬送路35の側方には、回動軸42aを中心にして回動駆動される切替爪42が配設されており、その回動によって定着後搬送路35の末端付近を閉鎖したり開放したりする。定着装置34から記録紙Pが送り出されるタイミングでは、切替爪42が実線で示す回動位置で停止して、定着後搬送路35の末端付近を開放している。よって、記録紙Pが定着後搬送路35から排紙路36内に進入して、排紙ローラ対37のローラ間に挟み込まれる。
【0031】
不図示のテンキー等からなる操作部に対する入力操作や、不図示のパーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号などにより、片面プリントモードが設定されている場合には、排紙ローラ対37に挟み込まれた記録紙Pがそのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバー50の上面であるスタック部にスタックされる。
【0032】
一方、両面プリントモードに設定されている場合には、先端側を排紙ローラ対37に挟み込まれながら排紙路36内を搬送される記録紙Pの後端側が定着後搬送路35を通り抜けると、切替爪42が図中点線の位置まで回動して、定着後搬送路35の末端付近が閉鎖されるとともに、排紙路36から反転前搬送路41に向かう通路が切替爪42によって連結される。これとほぼ同時に、排紙ローラ対37が逆回転を開始する。すると、記録紙Pは、今度は後端側を先頭に向けながら搬送されて、反転前搬送路41内に進入する。
【0033】
図1は、プリンタ100を正面側から示している。図紙面に直交する方向の手前側がプリンタ100の前面であり、奥側が後面である。また、プリンタ100の図中右側が右側面、左側が左側面である。プリンタ100の右端部は、ユニット回動軸40aを中心に回動することで筐体本体に対して開閉可能な反転ユニット40になっている。排紙ローラ対37が逆回転すると記録紙Pがこの反転ユニット40の反転前搬送路41内に進入して、鉛直方向上側から下側に向けて搬送される。そして、反転搬送ローラ対43のローラ間を経由した後、半円状に湾曲している反転搬送路44内に進入する。更に、その湾曲形状に沿って搬送されるのに伴って上下面が反転せしめられながら、鉛直方向上側から下側に向けての進行方向も反転して、鉛直方向下側から上側に向けて搬送される。その後、上述した給紙路31内を経て、二次転写ニップに再進入する。そして、もう一方の面にもフルカラー画像が一括二次転写された後、転写後搬送路33、定着装置34、定着後搬送路35、排紙路36、排紙ローラ対37を順次経由して、機外へと排出される。
【0034】
図3は、感光体と帯電ブラシローラ4とを駆動する駆動装置110を示す概略構成図である。各感光体と帯電ブラシローラとを駆動する駆動装置の構成は、同じなので、以下の説明では、色符号を省略する。
図に示すように、帯電ブラシローラ4は、ブラシが感光体2に対して所定量食い込むように装置奥側に設けられた帯電用支持フレーム101cと手前側フレーム101bに回転自在に支持されている。駆動装置110は、駆動モータ111を備えており、駆動モータ111は、装置奥側のフレーム101aに取り付けられている。駆動モータ111のモータ軸111aには、駆動ギヤ112が固定されており、駆動ギヤ112には、感光体2のフランジの外周面に設けられた感光体ギヤ2aが噛み合っている。感光体ギヤ2aには、第1アイドラギヤ113が噛み合っており、第1アイドラギヤ113には、第2アイドラギヤ114が噛み合っている。第2アイドラギヤ114には、帯電ブラシローラ4の軸端部に設けられた帯電ブラシギヤ115と噛み合っている。
【0035】
帯電ブラシローラ4は、駆動モータ111からの駆動力が、駆動ギヤ112、感光体ギヤ2a、2個のアイドラギヤ113,114、帯電ブラシギヤ115を介して、感光体2との接触領域(帯電領域)において、感光体表面移動方向と同方向に回転駆動する。感光体2との接触領域(帯電領域)において、帯電ブラシローラ4を感光体2と同方向に回転させることにより、ブラシストレスを、帯電領域において、帯電ブラシローラ4を感光体2と逆方向に回転させた場合に比べて、抑制することができる。感光体2の表面移動速度(線速)をa、帯電ブラシローラ4の表面移動速度(線速)をbとしたとき、線速比(b/a)が、3以下となるように、駆動装置110の各ギヤを設定する。3以下とすることにより、ブラシストレスを抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、帯電ブラシローラ4を、帯電領域において、感光体2表面移動方向と同方向に回転駆動させているが、帯電ブラシローラ4を、帯電領域において、感光体表面移動方向と逆方向に回転駆動させてもよい。帯電ブラシローラ4を、帯電領域において、感光体表面移動方向と逆方向に回転駆動させることにより、見かけ上ブラシ密度を増加させることができ、感光体表面を均一に帯電させることができる。また、この場合、感光体2の線速aと、帯電ブラシローラ4の線速bとの線速比(b/a)が、2以下となるように駆動装置110の各ギヤを設定して、ブラシストレスを抑制するのが好ましい。
【0037】
また、上述では、帯電ブラシローラ4を駆動装置110により回転駆動しているが、図4に示すように、帯電ブラシローラ4を感光体2と連れ回る構成としてもよい。この場合は、図4に示すように、帯電ブラシローラ4は、手前側フレーム101bと奥側フレーム101aとに軸受を介して回転自在に支持されている。感光体ギヤ2aは、駆動ギヤ112のみに噛み合っている。
【0038】
本実形態の帯電ブラシローラ4は、静電植毛法によりブラシ繊維を帯電ブラシローラ4の軸4aに植毛したものである。
図5は、静電植毛装置200を示す図であり、図6は、静電植毛の工程を示す図であり、図7は、帯電ブラシローラ4の部分拡大断面図である。
図5に示すように、装置200には、電極板201と電極板201に対向して設けられた取り付け治具202とが設けられている。電極板201と取り付け治具202とには、高電圧電源が接続されている。
まず、図6に示すように、取り付け治具202に帯電ブラシローラの軸4aを取り付け、電極板201と対向させる。次に、軸4aの表面に接着剤を所定の膜厚となるように均一に塗布し、接着層4bを形成する。次に、電極板201と取り付け治具202とに高電圧を印加する。すると、取り付け治具202と電極板201、軸4aと電極板201との間に図5に示すよう電気力線が生じる。次に、導電性のブラシ繊維4cを、静電気力により軸4aの接着剤層4bに向けて飛翔させて、軸4aの接着剤層4bに導電性のブラシ繊維4cが植毛される(図6(c))。このとき、ブラシ繊維4cは、図5に示すように、電気力線に沿って飛翔する。帯電ブラシローラの軸4aからは、表面から放射状の電気力線が出ているので、ブラシ繊維4cは、帯電ブラシローラの軸4aに対して法線方向に植毛される。このように、帯電ブラシローラの軸4aにブラシ繊維4cが静電植毛されたら、加熱して接着剤層4bを乾燥させる(図6(d)参照)。そして、余計なブラシ繊維を除去した後(図6(e))、帯電ブラシローラの軸4aを取り付け治具202から取り外す。これにより、軸4aに導電性のブラシ繊維4cが植毛された帯電ブラシローラ4が得られる(図6(f)参照)。
【0039】
このように、静電植毛によりブラシ繊維を植毛することにより、比較的容易でブラシ繊維4cを高密度で植毛することができる。また、植毛させるブラシ繊維4cの太さは、6d(デニール)以下が好ましい。ブラシ太さを6d以下にすることにより、ブラシ密度を高めることができ好ましい。
【0040】
また、導電性のブラシ繊維の素材としては、ナイロン6(登録商標)、ナイロン12(登録商標)、アクリル、ビニロン、ポリエステルなどの樹脂材料を例示することができる。かかる樹脂材料にカーボンや金属微粉などの導電性粒子を分散せしめて導電性を付与する。製造コストとヤング率の低さとを考慮すると、ナイロン樹脂にカーボンを分散させた導電性ブラシ繊維が好ましい。なお、カーボンの分散を繊維の中で偏在させても良い。軸4aの材料としては、SUS303、SUS304、SUS316、SUS416、SUS420、SUS430などのステンレス鋼を例示することができる。また、SUM22、SUM23、SUM23L、SUM24Lなどの快削鋼や、これらをメッキしたものを用いてもよい。これらの材料のうち、コストと安全性(鉛を含まない)を考慮すると、SUM22、SUM23の表面にメッキ処理を施したものが好適である。
【0041】
また、ブラシ繊維4cの長さL(図12参照)は、0.6mm以上、1.45mm以下にするのが好ましい。
図8は、ブラシ長さとブラシ密度との関係を示す図である。ブラシ密度は、図19に示すように、帯電ブラシローラ4の表面を、CCDカメラで拡大撮像し、所定エリア(1mm×1mm)内のブラシの本数をカウントすることで求めた。
図に示すように、感光体表面を均一に帯電するには、ブラシ密度を50本/mm2以上にする必要がある。ブラシ繊維4cの長さLが、1.45mmよりも長いと、静電植毛により植毛したとき、ブラシ密度が、50本/mm2未満となる。これは、ブラシ繊維4cが長いと、軸4aに植毛されたブラシ繊維4cが、他のブラシ繊維が軸表面に静電的に付着するのを阻害してしまい、ブラシ密度を十分に向上させることができない。静電植毛以外の方法で植毛することも考えられるが、帯電ブラシローラ4のコストが高くなってしまい、好ましくない。また、帯電ブラシローラ4の回転方向におけるブラシ先端間の隙間が大きくなり、感光体表面の当接する単位面積当りのブラシ本数が減少する。このように、ブラシ繊維4cの長さLが、1.45mmよりも長いと、静電植毛により植毛したとき、ブラシ密度が50本/mm2未満となるため、感光体表面にブラシ繊維4cが接触していない領域が生じる。この接触していない領域には、帯電ブラシローラのブラシ繊維4cから電荷付与されないため、その領域の帯電量が他の領域の帯電量よりも少なくなる。その結果、感光体表面が均一に帯電できず、この帯電量の低い部分に現像工程でトナーが付着し、画像に微小な黒ポチが生じてしまう。また、感光体表面を均一に帯電できないため、ハーフトーン画像を形成する際にベタ画像を形成する場合の半分の露光量で露光した際の静電潜像の電位が均一でなくなってしまう。その結果、ハーフトーン画像の画像濃度が一定とならず、きめの粗いハーフトーン画像となってしまう。
【0042】
また、図8に示すように、ブラシ繊維4cの長さLが短くなるほど、静電植毛により植毛されるブラシ密度は上昇する。しかしながら、ブラシ繊維4cの長さLが、0.6mmよりも短いと、ブラシの剛性が強すぎ、ブラシ繊維4cがほとんど変形せず、ブラシ繊維4cの先端が感光体表面と接触してしまう。その結果、感光体表面は、ブラシ繊維4cと点接触することになる。帯電ブラシローラ4の表面は、曲率を持つため、表面から法線方向に平行に植毛されたブラシ繊維4cのブラシ回転方向に隣あうブラシとの間には、どうしても隙間が生じてしまう。よって、ブラシ繊維4cが0.6mmよりも短く、感光体表面と先端が接触する場合においても、ブラシ密度が増えたにも係らず、感光体表面にはブラシ繊維と接触しない部分が生じ、感光体表面を均一に帯電することができなくなる。
【0043】
一方、ブラシ繊維の長さLを0.6mm〜1.45mmにすることにより、ブラシ密度を50本/mm2以上にすることができる。また、ブラシ繊維4cが適度に弾性変形して、繊維の腹の部分を感光体表面に接触させることができ、感光体表面に隙間なくブラシ繊維4cを接触させることができる。これにより、感光体表面を均一に帯電することができ、画像に微小な黒ポチが生じるのを抑制することができる。また、感光体表面を均一に帯電できるので、1/2露光後の潜像の電位が均一になり、ハーフトーン画像のきめを細かくすることができる。
【0044】
また、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cが植毛された表面(軸表面)と感光体表面とのギャップG(図12参照)は、0.4mmを超えるように設定し、かつ、感光体2に対する食い込み量W(図12参照)は、0.1mm以上に設定するのが好ましい。帯電ブラシローラ4の軸表面と感光体表面とのギャップが、0.4mm以下になると、駆動装置110にかかるトルクが増大し、駆動装置110のギヤ(駆動ギヤ112、感光体ギヤ2a、2個のアイドラギヤ113、114、帯電ブラシギヤ115)が早期に破損してしまう。また、食い込み量が、0.1mm未満だと、感光体2の振れや帯電ブラシローラ4の振れなどのより、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cが感光体表面から離間する場合があり、安定的に感光体表面を帯電することができない場合があり好ましくない。
【0045】
まとめると、本実施形態においては、図9に示すように、横軸をブラシ長さL、縦軸をギャップGにすると、図中斜線の1の範囲に入るように、ギャップG、ブラシ長さLを設定することで、感光体表面を均一、かつ、安定的に帯電でき、ギヤの破損を抑制できる画像形成装置を得ることができる。一方、図9の2の領域(ギャップG:0.4mm超、食い込み量W:0.1mm以上、ブラシ長さL:1.45mm超)に入るように、ブラシ長さLとギャップGとを設定した場合は、帯電の均一性が得られず、画像に黒ポチが生じたり、ハーフトーン画像のキメが低下したりしてしまう。また、図9の3の領域(ギャップG:0.4mm以下)に設定した場合は、トルクが増大してギヤが破損してしまう。また、図9の4の領域(食い込み量W:0.1mm未満)に入るようにブラシ長さL、ギャップGを設定した場合は、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維が感光体表面から離間する場合があり、安定的に感光体表面を帯電することができない。
【0046】
従来においては、図10に示すように帯電ブラシローラ4の設計上の半径寸法Lb、感光体2の設計上の半径寸法Rb、帯電ブラシローラ4の感光体2に対する狙いの食い込み量Wから、感光体2の軸と帯電ブラシローラ4の軸間距離Jを求め(J=Rb+Lb−W)、求めた軸間距離となるように、フレーム101a,101bに帯電ブラシローラ4の軸4aが回転自在に支持される穴と、感光体2の軸が回転自在に支持される穴と形成し、それら穴に軸受を介して各軸を支持していた。しかし、この場合、感光体2の外径公差、帯電ブラシローラ4の外径公差などの積み上げにより、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維が、感光体2から離間する場合があり、安定した帯電が行えない場合があった。
【0047】
そこで、本実施形態においては、図11に示すように、実際に帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cが植毛された表面(軸表面)と感光体表面とのギャップGを測定し、所望のギャップとなるように、帯電ブラシローラ4、または感光体2を移動できるようにした。本実施形態においては、軸4aに直接ブラシ繊維4cを接着させているので、図12に示すように、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cが植毛された表面は、帯電ブラシローラ4の軸表面となる。また、食い込み量Wは、ブラシの長さL−ギャップGとなる。
【0048】
図13は、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGを調整するギャップ調整機構400の一実施例を示す概略構成図である。
図に示すように、ギャップ調整機構400は、軸を受ける穴が、中心からずれた位置にある偏心軸受401を備えている。帯電ブラシローラ4の軸4aは、この偏心軸受401に軸受けされている。偏心軸受401は、フレーム101の嵌合穴に嵌合されており、嵌合穴の縁には、目盛りが施されている。また、偏心軸受401には、マークMが設けられており、このマークMが、目盛りの中央にくるように偏心軸受401がフレーム101の嵌合穴に嵌合している。偏心軸受401を回転させることにより、帯電ブラシローラ4が、感光体表面に対して接離する方向へ移動して、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面との軸間距離が調整される。
【0049】
図14は、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGを調整するギャップ調整機構400の他の実施例を示す概略構成図である。
この実施例は、図13とは、逆に、感光体の軸2bをギャップ調整機構の偏心軸受402に軸受けし、偏心軸受402を回転させることにより、感光体2を、帯電ブラシローラ4に対して接離する方向へ移動させて、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面との軸間距離を調整するようにしたものである。
【0050】
感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGの測定は、図15に示すように、すきまゲージ303を感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面との間に入れて測定する。または、図16に示すように、レーザ測定器を用いて測定する。具体的には、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGを挟んで、レーザ発信器301とレーザ受信器302とを配置し、レーザ受信器302の出力値に基づいて、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGを測定する。
【0051】
ギャップGを測定したら、予め決められた設定値との差を算出し、図13や図14に示すように、偏心軸受401,402のマークMが、フレーム101に表示された目盛りの算出した差と一致する位置まで、偏心軸受401,402を回転させる。これにより、感光体表面と帯電ブラシローラ4とのギャップGが予め設定された値にすることができる。
【0052】
このように、本実施形態においては、実際にギャップGを測定して帯電ブラシローラ4の軸表面と感光体表面とのギャップGを調整することにより、従来のように寸法公差の積み上げにより、予め設定したギャップGとは異なるギャップになることはない。これにより、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGが、設定値よりも狭くなって、駆動装置にかかるトルクが高まったり、設定値よりも広がって、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cが、感光体表面と接触しなくなったりするのを抑制することができる。
【0053】
次に、本発明者らが行った検証実験について説明する。
検証実験は、帯電ブラシローラ4のブラシ長さL、帯電ブラシローラ4の軸表面と感光体表面とのギャップGをそれぞれ異ならせて、帯電の均一性、安定性および駆動装置のトルクについて調べた。その他の条件は、一般的な画像形成装置の条件で実験を行った。
【0054】
帯電の均一性は、2by2の画像の印刷を行い、印刷された画像に微小な黒ポチがあるか否かで評価した。微小な黒ポチがあった場合は、均一性の評価を×とし、微小な黒ポチが確認されなかった場合は、均一性の評価を○とした。
【0055】
帯電の安定性は、2by2の画像の印刷を行い、印刷された画像に横スジがあるか否かで評価した。横スジ(黒帯)がある場合、安定性の評価を×にし、横スジがない場合は、安定性の評価を○にした。なお、2by2画像とは、2dotの画像部と2dotの非画像部とが交互に存在の画像である。
【0056】
駆動装置110のトルクは、2by2の画像印刷後、駆動装置の各ギヤの状態を確認して評価した。駆動装置のギヤに破損が確認された場合は、評価を×とし、ギヤに破損が確認されなかった場合は、評価を○とした。
【0057】
各実験に用いた帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cは、太さ6d(デニール)以下の導電性繊維であり、静電植毛により軸表面に静電植毛した。また、帯電ブラシローラ4は、駆動装置110により強制駆動した。
【0058】
その検証実験の結果を表1に示す。
【表1】
【0059】
表1に示すように、ブラシ長さが、0.6〜1.45mmのサンプルB,C,D,Fの画像形成装置は、感光体表面を均一に帯電することができ、微小な黒ポチが確認されなかった。一方、ブラシ長さLが1.5mmのサンプルE,Gの画像形成装置は、画像に黒ポチが確認され、感光体表面を均一に帯電することができなかった。これは、ブラシ長さLが、1.5mmと長いため、ブラシ密度が十分でなく、帯電領域においては、ブラシがびっしりと感光体表面と接触しなかったため、感光体表面に十分に電荷が付与されない部分が生じ、その部分にトナーが付着して、黒ポチが生じたと考えられる。
【0060】
また、ブラシ長さLが0.5mmと短い帯電ブラシローラ4を用いたサンプルAの画像形成装置においても、画像に黒ポチが確認され、感光体表面を均一に帯電することができなかった。これは、ブラシ長さLが短く繊維の剛性が高くなりすぎ、ブラシ繊維Lが感光体表面と接触したとき、先端が撓まず、ブラシの先端のみが感光体表面と当接して、ブラシ繊維4cが感光表面に点接触するような形となり、ブラシ繊維4cが、感光体表面と隙間なく接触することができず、感光体表面を均一に帯電することができなかったと考えられる。
【0061】
一方、ブラシ長さLが0.6mm以上、1.45mm以下のサンプルB、C,D、Fの画像形成装置は、いずれも、黒ポチが確認されず、良好な均一性が得られた。このことから、ブラシ長さLを0.6mm以上、1.45mm以下に設定することにより、感光体表面を均一に帯電することができ、黒ポチが抑制された良好な画像を得ることができる。
【0062】
また、表1に示すように、サンプルGの画像形成装置においては、微小な横スジ濃度傾斜が確認された。これは、サンプルGの画像形成装置は、ブラシ繊維4cの長さLが1.5mmで、ギャップGを1.5mmに設定しており、食い込み量Wを0に設定している。このため、感光体2の振れや帯電ブラシローラ4の振れなどにより、ブラシ繊維4cが感光体表面から離間したため、その離間した領域の感光体表面を所定の電位にまで帯電することができず、その結果、その部分にトナーが付着し、画像に微小な横スジ濃度傾斜が生じたと考えられる。一方、食い込み量Wを0.1mm以上に設定したサンプルA〜Fの画像形成装置においては、横スジが確認されなかった。このことから、食い込み量Wを0.1mm以上に設定することにより、感光体表面を安定的に帯電することができ、横スジが抑制された画像を得ることができる。
【0063】
また、表1に示すように、帯電ブラシローラ4の軸表面と、感光体表面とのギャップGを0.4mmに設定したサンプルA、E、Fの画像形成装置においては、ギヤの破損が確認された。一方、ブラシ繊維の長さが1.45mmで、ギャップGが0.45mmとして、食い込み量Wを1.0mmに設定したサンプルDの画像形成装置においては、ギヤの破損は確認されなかった。このことから、食い込み量に関係なく、ギャップGが0.45mm以上で、ギヤの破損が生じないことが確認された。
【0064】
次に、本発明らは、トルクとギャップGとの関係について、さらに検証実験を行なった。具体的には、ブラシ長さL1.5mmの帯電ブラシローラ4を用意して、各ギャップGにおけるモータトルクを調べた。その結果を、図17に示す。
図17に示すように、ギャップGが0.4mm以下(食い込み量0.4mm以下)となると、モータトルクが許容範囲を越えた。このモータトルクの許容範囲は、ギヤが破損するモータのトルク下限値であり、先の実験でギヤの破損が生じた条件のときにトルクゲージでモータトルクを測定したときの値である。このことから、帯電ブラシローラ4の軸表面と感光体表面とのギャップGを、0.4mmを超えるように設定することで、駆動装置にかかるトルクが、ギヤを破損するトルク以下に抑えることができることがわかる。
【0065】
また、図18は、ブラシ長さL:1.5mmの帯電ブラシローラ4を回転駆動させた場合の各ギャップGにおけるモータトルクと、ブラシ長さL:1.5mmの帯電ブラシローラ4を感光体2に連れ回りされた場合の各ギャップGにおけるモータトルクとを調べた図である。
図に示すように、帯電ブラシローラ4を連れ回りさせることで、若干ギャップの下限値に余裕度を持たせることができる。しかし、帯電ブラシローラ4を連れ回りさせる構成では、ある程度、帯電ブラシローラ4を感光体2に食い込ませないと、帯電ブラシローラ4がスリップしてしまい、食い込み量Wに余裕度が低下することがわかる。このことから、ブラシの毛が短く、食い込み量Wが十分にとれない場合は、帯電ブラシローラ4を強制駆動する必要があることがわかる。
【0066】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(1)
感光体などの像担持体と、像担持体の表面に接触して、ブラシから電荷を付与させることにより、像担持体表面を一様帯電させる帯電ブラシローラとを備えたプリンタなどの画像形成装置において、帯電ブラシローラのブラシ長さをLとし、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップをGとしたとき
0.6mm≦L≦1.45mm、
0.4mm<G
とした。
これにより、上述したように、像担持体表面を均一に帯電することができ、黒ポチのない高画質な画像を得ることができ、かつ、ハーフトーン画像のキメを細かくすることができる。また、像担持体や帯電ブラシローラを駆動する駆動装置のギヤの破損を抑制することができる。
【0067】
(2)
また、上記(1)に記載の態様の画像形成装置において、前記像担持体と前記帯電ブラシローラとの接触領域において、前記像担持体表面移動方向と前記帯電ブラシローラの表面移動方向が同方向となるよう前記帯電ブラシローラが回転するよう構成した。
かかる構成を備えることにより、像担持体と帯電ブラシローラとの接触領域において、帯電ブラシローラの表面移動方向を、像担持体表面移動方向と逆方向にする場合に比べて、ブラシのストレスを低減することができる。
【0068】
(3)
上記(2)に記載の態様の画像形成装置において、
前記像担持体の表面移動速度をa、前記帯電ブラシローラの表面移動速度をbしたとき、
(b/a)≦3
とした。
かかる構成にすることにより、ブラシのストレスを低減することができる。
【0069】
(4)
上記(1)に記載の態様の画像形成装置において、前記像担持体と前記帯電ローラブラシとの接触領域において、前記像担持体表面移動方向に対して前記帯電ブラシローラの表面移動方向が逆方向となるよう前記帯電ブラシローラを回転させた。
かかる構成を有することで、感光体表面が、帯電ブラシローラとの接触領域を抜けるまでの間にブラシ繊維と接触する機会が増加する。その結果、見かけ上のブラシ密度が増加し、像担持体表面を均一に帯電することができる。これにより、黒ポチが抑えられた良好な画像が得られるとともに、ハーフトーン画像のキメを細かくすることができる。
【0070】
(5)
上記(4)に記載の態様の画像形成装置において、前記像担持体の表面移動速度をa、前記帯電ブラシローラの表面移動速度をbしたとき、
(b/a)≦2
とした。
これにより、(b/a)が2を超える場合に比べて、ブラシのストレスを低減することができる。
【0071】
(6)
上記(2)に記載の態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラを前記像担持体に連れ回るよう構成した。
かかる構成を備えることにより、先の図18に示すように、帯電ブラシローラを回転駆動させる場合に比べて、駆動装置に加わるトルクを低減することができる。
【0072】
(7)
上記(1)乃至(6)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラのブラシ繊維の太さを6d(デニール)以下にした。
かかる構成を備えることで、ブラシ密度を上げることができ、より一層、像担持体表面を均一に帯電させることができる。これにより、画像に黒ポチが生じるのを抑制することができ、かつ、ハーフトーン画像のキメをより細かくすることができる。
【0073】
(8)
上記(1)乃至(7)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラとして、静電植毛によりブラシ繊維が植毛されたものを用いた。
静電植毛により、ブラシ繊維を植毛することにより、容易にブラシ密度の高い帯電ブラシローラを得ることができる。これにより、安価で、ブラシ密度の高い帯電ブラシローラを用いることになり、装置のコスト高を抑えて、感光体表面を均一に帯電することができる。
【0074】
(9)
上記(1)乃至(8)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラを前記像担持体に対して接離させることで帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップを調整するギャップ調整機構を備えた。これにより、感光体と帯電ブラシローラとの軸表面とのギャップを測定して、最適なギャップとなるように調整することができる。その結果、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面と感光体表面とのギャップを精度よく設定することができる。これにより、ギャップが、適正値よりも狭くなって、駆動装置にかかるトルクが高まったり、適正値よりも広がって、帯電ブラシローラのブラシ繊維が、像担持体表面と接触しなくなったりするのを抑制することができる。
【0075】
(10)
上記(1)乃至(8)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記像担持体を前記帯電ブラシローラに対して接離させることで帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップを調整するギャップ調整機構を備えた。
かかる構成にしても、上記(9)に記載の態様と同様、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面と感光体表面とのギャップを精度よく設定することができる。
【0076】
(11)
上記(1)乃至(10)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラに交流電圧を印加した。
かかる構成にすることにより、像担持体表面を均一に帯電することができる。
【0077】
(12)
上記(1)乃至(11)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラに直流電圧を印加した。
かかる構成とすることで、異常放電の発生を抑制することができ。感光体や帯電ブラシローラの電気的な劣化を抑制することができる。
【0078】
(13)
上記(1)乃至(12)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記像担持体にトナーを付着させて、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段を備え、前記トナーとして、オイル含有トナーを用いた。かかる構成により、現像手段と像担持体との摩擦抵抗を低減することができ、現像工程において、像担持体表面に均一にトナーを付着させることができる。これにより、ハーフトーン画像のキメをより細かくすることができる。また、トナーを帯電ブラシローラに供給する構成にした場合、このオイル含有トナーが潤滑機能を果たし、像担持体と帯電ブラシローラとの間の摩擦抵抗を低減することができ、駆動トルクの増加を抑制することができる。
【0079】
(14)
上記(1)乃至(13)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記像担持体と、前記帯電ブラシローラ、および、前記像担持体にトナーを付着させて、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段の少なくとも一つとを一体に支持し、装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジを備えた。
かかる構成を備えることにより、一度に消耗部品を交換できる。
【符号の説明】
【0080】
1:プロセスユニット
2:感光体
4:帯電ブラシローラ
4a:軸
4b:接着剤層
4c:ブラシ繊維
5:現像装置
101a:奥側フレーム
101b:手前側フレーム
101c:帯電用支持フレーム
110:駆動装置
111:駆動モータ
111a:モータ軸
112:駆動ギヤ
113:第1アイドラギヤ
114:第2アイドラギヤ
115:帯電ブラシギヤ
200:静電植毛装置
201:電極板
202:治具
301:レーザ発信器
302:レーザ受信器
303:すきまゲージ
400:ギャップ調整機構
401,402:偏心軸受
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開2008−52060号公報
【特許文献2】特開2007−193208号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、帯電ブラシローラを感光体の表面に当接させて、帯電ブラシローラのブラシから電荷を放電させることにより、感光体の表面を一様帯電させる画像形成装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1や2に記載の画像形成装置においては、感光体表面を均一に帯電することができないという課題があった。これは、感光体表面が、帯電ブラシローラと接触する領域(帯電領域)を通過する間に、ブラシと十分に接触していない領域があり、その領域は、ブラシから十分に電荷が付与されず、所定の電位まで帯電しない。その結果、感光体表面を均一に帯電することができずないのである。そして、現像工程で、このように所定の帯電電位よりも低い電位の領域に箇所にトナーが付着して画像に微小な黒ポチが形成されてしまうという不具合が発生する。また、ハーフトーン画像形成するべく、ベタ画像の1/2の露光量で静電潜像を形成したとき、静電潜像の電位が均一でなくなりハーフトーン画像のキメが低下するという不具合も発生する。
【0004】
感光体表面を均一に帯電させるには、感光体表面の当接する単位面積当りのブラシ本数を増やして、感光体表面にびっしりとブラシ繊維を接触させることにより、感光体表面を均一に帯電することができる。感光体表面と当接するブラシ本数を増やす方法としては、ブラシ繊維を短くすることが考えられる。これは、ブラシ繊維は、ローラの表面に放射状に植毛されるため、ブラシ繊維が長いと、帯電ブラシローラ回転方向においてブラシ先端間での隙間が大きくなる。その結果、ブラシ繊維が長いと、感光体表面と当接するブラシ本数が減ってしまうのである。一方、ブラシ繊維の長さが短くなると、帯電ブラシローラ回転方向においてブラシ先端間での隙間を小さくすることができ、感光体表面の当接する単位面積当りのブラシ本数を増やすことができ、感光体表面にびっしりとブラシ繊維を接触させることができる。
【0005】
しかし、ブラシ繊維を短くしていくと、所定の食い込み量にしたときの感光体表面とブラシ繊維が植毛された面とのギャップが狭まっていく。そして、ギャップが狭まっていくと、感光体や帯電ブラシローラの回転トルクが上昇して、感光体や帯電ブラシローラを回転駆動するための駆動装置のギヤが破損してしまうという新たな課題が発生した。ギャップが狭まっていくと、感光体や帯電ブラシローラの回転トルクが上昇する理由については、定かではないが、次のような理由で、帯電ブラシローラのトルクが上昇すると考えている。すなわち、ギャップが狭まっていくと、感光体に対するブラシの押圧力が高まり、感光体や帯電ブラシローラの回転トルクが上昇すると考えられる。これは、ギャップが狭まると、ブラシの弾性変形量が多くなり、ブラシの復元力が大きくなるため、感光体に対するブラシの押圧力が高まると考えられる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、像担持体表面を均一に帯電することができ、かつ、像担持体や帯電ブラシローラの回転トルクの増加による駆動装置の破損を抑制することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体と、像担持体の表面に接触して、ブラシから電荷を付与させることにより、像担持体表面を一様帯電させる帯電ブラシローラとを備えた画像形成装置において、前記帯電ブラシローラのブラシ長さをLとし、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップをGとしたとき
0.6mm≦L≦1.45mm、
0.4mm<G
としたことを特徴とするものである。
【0008】
後述する実験結果が示すように、帯電ブラシローラのブラシの長さを、0.6mm以上1.45mm以下とすることにより、像担持体表面を均一に帯電にすることができた。これは、帯電ブラシローラのブラシ長さを1.45mm以下にすることで、像担持体表面を均一に帯電できる程度に像担持体表面に当接するブラシ本数を増やすことができたためと考えられる。また、ブラシ長さが0.6mm未満の帯電ブラシブラシローラが、像担持体表面を均一に帯電できなかった理由について、本発明者らは以下のように考えている。すなわち、ブラシが短くブラシの剛性が強いため、帯電ブラシローラを像担持体に食い込ませたとき、ブラシが十分に撓まず、ブラシが植毛された部分から倒れるように変形したためブラシの先端のみが像担持体表面と接触したと考えられる。上述したように、ブラシは、ローラの表面に放射状に植毛される関係で、どうしても帯電ブラシローラ回転方向においては、ブラシ先端間で隙間ができる。その結果、ブラシの先端のみが像担持体表面と接触する場合は、帯電ブラシローラのブラシをびっしりと隙間なく像担持体に当接させることができず、像担持体表面を均一に帯電できなかったと考えられる。これに対し、ブラシ長さを0.6mm以上にすることにより、ブラシが適度な弾性をもち、帯電ブラシローラを像担持体に食い込ませたとき、ブラシの先端部分が撓んで、ブラシの腹の部分が像担持体表面と当接する。その結果、帯電ブラシローラのブラシをびっしりと隙間なく像担持体に当接させることができ、像担持体表面を均一に帯電できたと考えられる。
また、後述する実験結果が示すように、ブラシの長さが上記0.6mm〜1.45mmのとき、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面と像担持体表面のギャップが、0.4mmを超えると、像担持体や帯電ブラシローラを駆動する駆動装置のギヤに破損が見られなかった。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、像担持体表面を均一に帯電でき、かつ、駆動装置の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】同プリンタのK用のプロセスユニットを示す拡大構成図。
【図3】感光体と帯電ブラシローラとを駆動する駆動装置を示す概略構成図。
【図4】帯電ブラシローラを感光体と連れ回る構成としたプリンタの駆動装置を示す概略構成図。
【図5】静電植毛装置を示す図。
【図6】静電植毛の工程を示す図。
【図7】帯電ブラシローラの部分拡大断面図。
【図8】ブラシ長さとブラシ密度との関係を示す図。
【図9】本実施形態のブラシ長さとギャップとの関係を示すグラフ。
【図10】従来の帯電ブラシローラと感光体との関係を示す図。
【図11】本実施形態の帯電ブラシローラと感光体との関係を示す図。
【図12】本実施形態の帯電ブラシローラのブラシ繊維と感光体表面との関係を示す図。
【図13】感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップを調整するギャップ調整機構400の一実施例を示す概略構成図。
【図14】感光体表面と帯電ブラシローラの軸表面とのギャップを調整するギャップ調整機構の他の実施例を示す概略構成図。
【図15】すきまゲージを用いて感光体表面と帯電ブラシローラの軸表面とのギャップを測定する方法を説明する図。
【図16】レーザ測定器を用いて感光体表面と帯電ブラシローラの軸表面とのギャップを測定する方法を説明する図。
【図17】トルクとギャップとの関係について調べた結果を示すグラフ。
【図18】帯電ブラシローラを強制駆動させたときと、帯電ブラシローラを感光体に連れ回したときとのトルクとギャップとの関係について調べた結果を示すグラフ。
【図19】ブラシ密度を求めるためにCCDにより拡大撮像した帯電ブラシローラを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタ100という)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、プリンタ100を示す概略構成図である。同図において、プリンタ100は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン(以下、K、Y、M、Cと記す)のトナー像を形成するための4つのプロセスユニット1K,Y,M,Cを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のK,Y,M,Cトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するためのプロセスユニット1Kを例にすると、図2に示すように、潜像担持体たるドラム状の感光体2K、帯電ブラシローラ4K、現像手段たる現像装置5K等を備えている。画像形成ユニットたるプロセスユニット1Kは、プリンタ100本体に対して脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0012】
帯電ブラシローラ4Kには、不図示の帯電電源が接続されており、これによって交流電圧とマイナス極性の直流電圧との重畳による帯電バイアスが印加される。この印加により、帯電ブラシローラ4Kと感光体2Kとの接触部では、ブラシと感光体2Kとの間に放電が発生して、感光体2Kがマイナス極性に一様帯電せしめられる。なお、帯電バイアスは、交流電圧のみ、直流電圧のみでもよい。帯電バイアスを交流電圧にすることにより、感光体表面を均一に帯電することができる。また、帯電バイアスを直流電圧にすることにより、異常放電を抑制することができる。
【0013】
一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、Kトナーを用いる現像装置5KによってKトナー像に現像される。そして、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。中間転写工程を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーは、帯電領域まで搬送され帯電ブラシローラ4Kに付着する。帯電ブラシローラ4Kに付着したトナーは、所定のタイミングで感光体表面に戻され、現像領域へ搬送され、現像装置に回収される。
【0014】
トナーとしては、シリコンオイルを含有したシリカが外添されたオイル含有トナーを用いるのが好ましい。オイル含有トナーを用いることで、感光体2K表面と帯電ブラシローラ4Kとの摩擦が低減され、全体の回転トルクが軽減され、ピッチムラが抑制される。また、現像領域での摩擦も低減され、ハーフトーン画像のキメを向上することができる。他色のプロセスユニット(1Y,M,C)においても、同様にして感光体(2Y,M,C)上に(Y,M,C)トナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト16上に中間転写される。
【0015】
現像装置5Kは、図示しないKトナーを収容する縦長のホッパ部6Kと、現像部7Kとを有している。ホッパ部6K内には、駆動手段によって回転駆動されるアジテータ8K、これの鉛直方向下方で駆動手段によって回転駆動される撹拌パドル9K、これの鉛直方向で駆動手段によって回転駆動されるトナー供給ローラ10Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のKトナーは、アジテータ8Kや撹拌パドル9Kの回転駆動によって撹拌されながら、自重によってトナー供給ローラ10Kに向けて移動する。トナー供給ローラ10Kは、金属製の芯金と、これの表面に被覆された発泡樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部6K内のKトナーをローラ部の表面に付着させながら回転する。
【0016】
現像装置5Kの現像部7K内には、感光体2Kやトナー供給ローラ10Kに当接しながら回転する現像ローラ11Kや、これの表面に先端を当接させる薄層化ブレード12Kなどが配設されている。ホッパ部6K内のトナー供給ローラ10Kに付着したKトナーは、現像ローラ11Kとトナー供給ローラ10Kとの当接部で現像ローラ11Kの表面に供給される。供給されたKトナーは、現像ローラ11Kの回転に伴って現像ローラ11Kと薄層化ブレード12Kとの当接位置を通過する際に、現像ローラ11Kの表面上での層厚が規制される。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ11Kと感光体2Kとの当接部である現像領域において、感光体2K表面のK用の静電潜像に付着する。この付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像される。
【0017】
図2を用いてK用のプロセスユニット1について説明したが、Y,M,C用のプロセスユニット1Y,M,Cにおいても、同様のプロセスにより、感光体2Y,M,C表面にY,M,Cトナー像が形成される。
【0018】
先に示した図1において、プロセスユニット1K,Y,M,Cの鉛直方向上方には、光書込ユニット70が配設されている。潜像書込装置たる光書込ユニット70は、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザ光Lにより、プロセスユニット1K,Y,M,Cにおける感光体2K,Y,M,Cを光走査する。この光走査により、感光体2K,Y,M,C上にK,Y,M,C用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット70は、光源から発したレーザ光Lを、不図示のポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して各感光体2K,Y,M,C上に照射するものである。
【0019】
プロセスユニット1K,Y,M,Cの鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト16を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写ユニット15が配設されている。転写手段たる転写ユニット15は、中間転写ベルト16の他に、中転駆動ローラ18、中転従動ローラ17、4つの一次転写ローラ19K,Y,M,C、二次転写ローラ20、ベルトクリーニング装置21、クリーニングバックアップローラ22などを備えている。
【0020】
中間転写ベルト16は、そのループ内側に配設された中転駆動ローラ18、中転従動ローラ17、クリーニングバックアップローラ22及び4つの一次転写ローラ19K,Y,M,Cによって張架されている。そして、詳細は後述する駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される中転駆動ローラ18の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。
【0021】
4つの一次転写ローラ19K,Y,M,Cは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト16を感光体2K,Y,M,Cとの間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、感光体2K,Y,M,Cとが当接するK,Y,M,C用の一次転写ニップが形成されている。
【0022】
一次転写ローラ19K,Y,M,Cには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ一次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体2K,Y,M,Cの静電潜像と、一次転写ローラ19K,Y,M,Cとの間に転写電界が形成される。なお、一次転写ローラ19K,Y,M,Cに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0023】
K用のプロセスユニット1Kの感光体2K表面に形成されたKトナー像は、感光体2Kの回転に伴って上述のK用の一次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2K上から中間転写ベルト16上に一次転写される。このようにしてKトナー像が一次転写せしめられた中間転写ベルト16は、その無端移動に伴ってY,M,C用の一次転写ニップを通過する際に、感光体2Y,M,C上のY,M,Cトナー像が、Kトナー像上に順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト16上には4色トナー像が形成される。
【0024】
転写ユニット15の二次転写ローラ20は、中間転写ベルト16のループ外側に配設されながら、ループ内側の中転駆動ローラ18との間に中間転写ベルト16を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16のおもて面と、二次転写ローラ20とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ20には、図示しない転写バイアス電源によって二次転写バイアスが印加される。この印加により、二次転写ローラ20と、アース接続されている中転駆動ローラ18との間には、二次転写電界が形成される。
【0025】
転写ユニット15の鉛直方向下方には、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット30がプリンタ100の筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。この給紙カセット30は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ30aを当接させており、これを所定のタイミングで図中反時計回り方向に回転させることで、その記録紙Pを給紙路31に向けて送り出す。
【0026】
給紙路31の末端付近には、レジストローラ対32が配設されている。このレジストローラ対32は、給紙カセット30から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを上述の二次転写ニップ内で中間転写ベルト16上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを二次転写ニップに向けて送り出す。
【0027】
二次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト16上の4色トナー像は、二次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括二次転写され、記録紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、二次転写ニップを通過すると、二次転写ローラ20や中間転写ベルト16から曲率分離する。そして、転写後搬送路33を経由して、後述する定着装置34に送り込まれる。
【0028】
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト16には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト16のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置21によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト16のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ22は、ベルトクリーニング装置21によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
【0029】
定着装置34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bとによって定着ニップを形成している。定着装置34内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ34aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化せしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0030】
定着装置34内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路35を経由した後、排紙路36と反転前搬送路41との分岐点にさしかかる。定着後搬送路35の側方には、回動軸42aを中心にして回動駆動される切替爪42が配設されており、その回動によって定着後搬送路35の末端付近を閉鎖したり開放したりする。定着装置34から記録紙Pが送り出されるタイミングでは、切替爪42が実線で示す回動位置で停止して、定着後搬送路35の末端付近を開放している。よって、記録紙Pが定着後搬送路35から排紙路36内に進入して、排紙ローラ対37のローラ間に挟み込まれる。
【0031】
不図示のテンキー等からなる操作部に対する入力操作や、不図示のパーソナルコンピュータ等から送られてくる制御信号などにより、片面プリントモードが設定されている場合には、排紙ローラ対37に挟み込まれた記録紙Pがそのまま機外へと排出される。そして、筐体の上カバー50の上面であるスタック部にスタックされる。
【0032】
一方、両面プリントモードに設定されている場合には、先端側を排紙ローラ対37に挟み込まれながら排紙路36内を搬送される記録紙Pの後端側が定着後搬送路35を通り抜けると、切替爪42が図中点線の位置まで回動して、定着後搬送路35の末端付近が閉鎖されるとともに、排紙路36から反転前搬送路41に向かう通路が切替爪42によって連結される。これとほぼ同時に、排紙ローラ対37が逆回転を開始する。すると、記録紙Pは、今度は後端側を先頭に向けながら搬送されて、反転前搬送路41内に進入する。
【0033】
図1は、プリンタ100を正面側から示している。図紙面に直交する方向の手前側がプリンタ100の前面であり、奥側が後面である。また、プリンタ100の図中右側が右側面、左側が左側面である。プリンタ100の右端部は、ユニット回動軸40aを中心に回動することで筐体本体に対して開閉可能な反転ユニット40になっている。排紙ローラ対37が逆回転すると記録紙Pがこの反転ユニット40の反転前搬送路41内に進入して、鉛直方向上側から下側に向けて搬送される。そして、反転搬送ローラ対43のローラ間を経由した後、半円状に湾曲している反転搬送路44内に進入する。更に、その湾曲形状に沿って搬送されるのに伴って上下面が反転せしめられながら、鉛直方向上側から下側に向けての進行方向も反転して、鉛直方向下側から上側に向けて搬送される。その後、上述した給紙路31内を経て、二次転写ニップに再進入する。そして、もう一方の面にもフルカラー画像が一括二次転写された後、転写後搬送路33、定着装置34、定着後搬送路35、排紙路36、排紙ローラ対37を順次経由して、機外へと排出される。
【0034】
図3は、感光体と帯電ブラシローラ4とを駆動する駆動装置110を示す概略構成図である。各感光体と帯電ブラシローラとを駆動する駆動装置の構成は、同じなので、以下の説明では、色符号を省略する。
図に示すように、帯電ブラシローラ4は、ブラシが感光体2に対して所定量食い込むように装置奥側に設けられた帯電用支持フレーム101cと手前側フレーム101bに回転自在に支持されている。駆動装置110は、駆動モータ111を備えており、駆動モータ111は、装置奥側のフレーム101aに取り付けられている。駆動モータ111のモータ軸111aには、駆動ギヤ112が固定されており、駆動ギヤ112には、感光体2のフランジの外周面に設けられた感光体ギヤ2aが噛み合っている。感光体ギヤ2aには、第1アイドラギヤ113が噛み合っており、第1アイドラギヤ113には、第2アイドラギヤ114が噛み合っている。第2アイドラギヤ114には、帯電ブラシローラ4の軸端部に設けられた帯電ブラシギヤ115と噛み合っている。
【0035】
帯電ブラシローラ4は、駆動モータ111からの駆動力が、駆動ギヤ112、感光体ギヤ2a、2個のアイドラギヤ113,114、帯電ブラシギヤ115を介して、感光体2との接触領域(帯電領域)において、感光体表面移動方向と同方向に回転駆動する。感光体2との接触領域(帯電領域)において、帯電ブラシローラ4を感光体2と同方向に回転させることにより、ブラシストレスを、帯電領域において、帯電ブラシローラ4を感光体2と逆方向に回転させた場合に比べて、抑制することができる。感光体2の表面移動速度(線速)をa、帯電ブラシローラ4の表面移動速度(線速)をbとしたとき、線速比(b/a)が、3以下となるように、駆動装置110の各ギヤを設定する。3以下とすることにより、ブラシストレスを抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、帯電ブラシローラ4を、帯電領域において、感光体2表面移動方向と同方向に回転駆動させているが、帯電ブラシローラ4を、帯電領域において、感光体表面移動方向と逆方向に回転駆動させてもよい。帯電ブラシローラ4を、帯電領域において、感光体表面移動方向と逆方向に回転駆動させることにより、見かけ上ブラシ密度を増加させることができ、感光体表面を均一に帯電させることができる。また、この場合、感光体2の線速aと、帯電ブラシローラ4の線速bとの線速比(b/a)が、2以下となるように駆動装置110の各ギヤを設定して、ブラシストレスを抑制するのが好ましい。
【0037】
また、上述では、帯電ブラシローラ4を駆動装置110により回転駆動しているが、図4に示すように、帯電ブラシローラ4を感光体2と連れ回る構成としてもよい。この場合は、図4に示すように、帯電ブラシローラ4は、手前側フレーム101bと奥側フレーム101aとに軸受を介して回転自在に支持されている。感光体ギヤ2aは、駆動ギヤ112のみに噛み合っている。
【0038】
本実形態の帯電ブラシローラ4は、静電植毛法によりブラシ繊維を帯電ブラシローラ4の軸4aに植毛したものである。
図5は、静電植毛装置200を示す図であり、図6は、静電植毛の工程を示す図であり、図7は、帯電ブラシローラ4の部分拡大断面図である。
図5に示すように、装置200には、電極板201と電極板201に対向して設けられた取り付け治具202とが設けられている。電極板201と取り付け治具202とには、高電圧電源が接続されている。
まず、図6に示すように、取り付け治具202に帯電ブラシローラの軸4aを取り付け、電極板201と対向させる。次に、軸4aの表面に接着剤を所定の膜厚となるように均一に塗布し、接着層4bを形成する。次に、電極板201と取り付け治具202とに高電圧を印加する。すると、取り付け治具202と電極板201、軸4aと電極板201との間に図5に示すよう電気力線が生じる。次に、導電性のブラシ繊維4cを、静電気力により軸4aの接着剤層4bに向けて飛翔させて、軸4aの接着剤層4bに導電性のブラシ繊維4cが植毛される(図6(c))。このとき、ブラシ繊維4cは、図5に示すように、電気力線に沿って飛翔する。帯電ブラシローラの軸4aからは、表面から放射状の電気力線が出ているので、ブラシ繊維4cは、帯電ブラシローラの軸4aに対して法線方向に植毛される。このように、帯電ブラシローラの軸4aにブラシ繊維4cが静電植毛されたら、加熱して接着剤層4bを乾燥させる(図6(d)参照)。そして、余計なブラシ繊維を除去した後(図6(e))、帯電ブラシローラの軸4aを取り付け治具202から取り外す。これにより、軸4aに導電性のブラシ繊維4cが植毛された帯電ブラシローラ4が得られる(図6(f)参照)。
【0039】
このように、静電植毛によりブラシ繊維を植毛することにより、比較的容易でブラシ繊維4cを高密度で植毛することができる。また、植毛させるブラシ繊維4cの太さは、6d(デニール)以下が好ましい。ブラシ太さを6d以下にすることにより、ブラシ密度を高めることができ好ましい。
【0040】
また、導電性のブラシ繊維の素材としては、ナイロン6(登録商標)、ナイロン12(登録商標)、アクリル、ビニロン、ポリエステルなどの樹脂材料を例示することができる。かかる樹脂材料にカーボンや金属微粉などの導電性粒子を分散せしめて導電性を付与する。製造コストとヤング率の低さとを考慮すると、ナイロン樹脂にカーボンを分散させた導電性ブラシ繊維が好ましい。なお、カーボンの分散を繊維の中で偏在させても良い。軸4aの材料としては、SUS303、SUS304、SUS316、SUS416、SUS420、SUS430などのステンレス鋼を例示することができる。また、SUM22、SUM23、SUM23L、SUM24Lなどの快削鋼や、これらをメッキしたものを用いてもよい。これらの材料のうち、コストと安全性(鉛を含まない)を考慮すると、SUM22、SUM23の表面にメッキ処理を施したものが好適である。
【0041】
また、ブラシ繊維4cの長さL(図12参照)は、0.6mm以上、1.45mm以下にするのが好ましい。
図8は、ブラシ長さとブラシ密度との関係を示す図である。ブラシ密度は、図19に示すように、帯電ブラシローラ4の表面を、CCDカメラで拡大撮像し、所定エリア(1mm×1mm)内のブラシの本数をカウントすることで求めた。
図に示すように、感光体表面を均一に帯電するには、ブラシ密度を50本/mm2以上にする必要がある。ブラシ繊維4cの長さLが、1.45mmよりも長いと、静電植毛により植毛したとき、ブラシ密度が、50本/mm2未満となる。これは、ブラシ繊維4cが長いと、軸4aに植毛されたブラシ繊維4cが、他のブラシ繊維が軸表面に静電的に付着するのを阻害してしまい、ブラシ密度を十分に向上させることができない。静電植毛以外の方法で植毛することも考えられるが、帯電ブラシローラ4のコストが高くなってしまい、好ましくない。また、帯電ブラシローラ4の回転方向におけるブラシ先端間の隙間が大きくなり、感光体表面の当接する単位面積当りのブラシ本数が減少する。このように、ブラシ繊維4cの長さLが、1.45mmよりも長いと、静電植毛により植毛したとき、ブラシ密度が50本/mm2未満となるため、感光体表面にブラシ繊維4cが接触していない領域が生じる。この接触していない領域には、帯電ブラシローラのブラシ繊維4cから電荷付与されないため、その領域の帯電量が他の領域の帯電量よりも少なくなる。その結果、感光体表面が均一に帯電できず、この帯電量の低い部分に現像工程でトナーが付着し、画像に微小な黒ポチが生じてしまう。また、感光体表面を均一に帯電できないため、ハーフトーン画像を形成する際にベタ画像を形成する場合の半分の露光量で露光した際の静電潜像の電位が均一でなくなってしまう。その結果、ハーフトーン画像の画像濃度が一定とならず、きめの粗いハーフトーン画像となってしまう。
【0042】
また、図8に示すように、ブラシ繊維4cの長さLが短くなるほど、静電植毛により植毛されるブラシ密度は上昇する。しかしながら、ブラシ繊維4cの長さLが、0.6mmよりも短いと、ブラシの剛性が強すぎ、ブラシ繊維4cがほとんど変形せず、ブラシ繊維4cの先端が感光体表面と接触してしまう。その結果、感光体表面は、ブラシ繊維4cと点接触することになる。帯電ブラシローラ4の表面は、曲率を持つため、表面から法線方向に平行に植毛されたブラシ繊維4cのブラシ回転方向に隣あうブラシとの間には、どうしても隙間が生じてしまう。よって、ブラシ繊維4cが0.6mmよりも短く、感光体表面と先端が接触する場合においても、ブラシ密度が増えたにも係らず、感光体表面にはブラシ繊維と接触しない部分が生じ、感光体表面を均一に帯電することができなくなる。
【0043】
一方、ブラシ繊維の長さLを0.6mm〜1.45mmにすることにより、ブラシ密度を50本/mm2以上にすることができる。また、ブラシ繊維4cが適度に弾性変形して、繊維の腹の部分を感光体表面に接触させることができ、感光体表面に隙間なくブラシ繊維4cを接触させることができる。これにより、感光体表面を均一に帯電することができ、画像に微小な黒ポチが生じるのを抑制することができる。また、感光体表面を均一に帯電できるので、1/2露光後の潜像の電位が均一になり、ハーフトーン画像のきめを細かくすることができる。
【0044】
また、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cが植毛された表面(軸表面)と感光体表面とのギャップG(図12参照)は、0.4mmを超えるように設定し、かつ、感光体2に対する食い込み量W(図12参照)は、0.1mm以上に設定するのが好ましい。帯電ブラシローラ4の軸表面と感光体表面とのギャップが、0.4mm以下になると、駆動装置110にかかるトルクが増大し、駆動装置110のギヤ(駆動ギヤ112、感光体ギヤ2a、2個のアイドラギヤ113、114、帯電ブラシギヤ115)が早期に破損してしまう。また、食い込み量が、0.1mm未満だと、感光体2の振れや帯電ブラシローラ4の振れなどのより、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cが感光体表面から離間する場合があり、安定的に感光体表面を帯電することができない場合があり好ましくない。
【0045】
まとめると、本実施形態においては、図9に示すように、横軸をブラシ長さL、縦軸をギャップGにすると、図中斜線の1の範囲に入るように、ギャップG、ブラシ長さLを設定することで、感光体表面を均一、かつ、安定的に帯電でき、ギヤの破損を抑制できる画像形成装置を得ることができる。一方、図9の2の領域(ギャップG:0.4mm超、食い込み量W:0.1mm以上、ブラシ長さL:1.45mm超)に入るように、ブラシ長さLとギャップGとを設定した場合は、帯電の均一性が得られず、画像に黒ポチが生じたり、ハーフトーン画像のキメが低下したりしてしまう。また、図9の3の領域(ギャップG:0.4mm以下)に設定した場合は、トルクが増大してギヤが破損してしまう。また、図9の4の領域(食い込み量W:0.1mm未満)に入るようにブラシ長さL、ギャップGを設定した場合は、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維が感光体表面から離間する場合があり、安定的に感光体表面を帯電することができない。
【0046】
従来においては、図10に示すように帯電ブラシローラ4の設計上の半径寸法Lb、感光体2の設計上の半径寸法Rb、帯電ブラシローラ4の感光体2に対する狙いの食い込み量Wから、感光体2の軸と帯電ブラシローラ4の軸間距離Jを求め(J=Rb+Lb−W)、求めた軸間距離となるように、フレーム101a,101bに帯電ブラシローラ4の軸4aが回転自在に支持される穴と、感光体2の軸が回転自在に支持される穴と形成し、それら穴に軸受を介して各軸を支持していた。しかし、この場合、感光体2の外径公差、帯電ブラシローラ4の外径公差などの積み上げにより、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維が、感光体2から離間する場合があり、安定した帯電が行えない場合があった。
【0047】
そこで、本実施形態においては、図11に示すように、実際に帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cが植毛された表面(軸表面)と感光体表面とのギャップGを測定し、所望のギャップとなるように、帯電ブラシローラ4、または感光体2を移動できるようにした。本実施形態においては、軸4aに直接ブラシ繊維4cを接着させているので、図12に示すように、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cが植毛された表面は、帯電ブラシローラ4の軸表面となる。また、食い込み量Wは、ブラシの長さL−ギャップGとなる。
【0048】
図13は、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGを調整するギャップ調整機構400の一実施例を示す概略構成図である。
図に示すように、ギャップ調整機構400は、軸を受ける穴が、中心からずれた位置にある偏心軸受401を備えている。帯電ブラシローラ4の軸4aは、この偏心軸受401に軸受けされている。偏心軸受401は、フレーム101の嵌合穴に嵌合されており、嵌合穴の縁には、目盛りが施されている。また、偏心軸受401には、マークMが設けられており、このマークMが、目盛りの中央にくるように偏心軸受401がフレーム101の嵌合穴に嵌合している。偏心軸受401を回転させることにより、帯電ブラシローラ4が、感光体表面に対して接離する方向へ移動して、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面との軸間距離が調整される。
【0049】
図14は、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGを調整するギャップ調整機構400の他の実施例を示す概略構成図である。
この実施例は、図13とは、逆に、感光体の軸2bをギャップ調整機構の偏心軸受402に軸受けし、偏心軸受402を回転させることにより、感光体2を、帯電ブラシローラ4に対して接離する方向へ移動させて、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面との軸間距離を調整するようにしたものである。
【0050】
感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGの測定は、図15に示すように、すきまゲージ303を感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面との間に入れて測定する。または、図16に示すように、レーザ測定器を用いて測定する。具体的には、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGを挟んで、レーザ発信器301とレーザ受信器302とを配置し、レーザ受信器302の出力値に基づいて、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGを測定する。
【0051】
ギャップGを測定したら、予め決められた設定値との差を算出し、図13や図14に示すように、偏心軸受401,402のマークMが、フレーム101に表示された目盛りの算出した差と一致する位置まで、偏心軸受401,402を回転させる。これにより、感光体表面と帯電ブラシローラ4とのギャップGが予め設定された値にすることができる。
【0052】
このように、本実施形態においては、実際にギャップGを測定して帯電ブラシローラ4の軸表面と感光体表面とのギャップGを調整することにより、従来のように寸法公差の積み上げにより、予め設定したギャップGとは異なるギャップになることはない。これにより、感光体表面と帯電ブラシローラ4の軸表面とのギャップGが、設定値よりも狭くなって、駆動装置にかかるトルクが高まったり、設定値よりも広がって、帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cが、感光体表面と接触しなくなったりするのを抑制することができる。
【0053】
次に、本発明者らが行った検証実験について説明する。
検証実験は、帯電ブラシローラ4のブラシ長さL、帯電ブラシローラ4の軸表面と感光体表面とのギャップGをそれぞれ異ならせて、帯電の均一性、安定性および駆動装置のトルクについて調べた。その他の条件は、一般的な画像形成装置の条件で実験を行った。
【0054】
帯電の均一性は、2by2の画像の印刷を行い、印刷された画像に微小な黒ポチがあるか否かで評価した。微小な黒ポチがあった場合は、均一性の評価を×とし、微小な黒ポチが確認されなかった場合は、均一性の評価を○とした。
【0055】
帯電の安定性は、2by2の画像の印刷を行い、印刷された画像に横スジがあるか否かで評価した。横スジ(黒帯)がある場合、安定性の評価を×にし、横スジがない場合は、安定性の評価を○にした。なお、2by2画像とは、2dotの画像部と2dotの非画像部とが交互に存在の画像である。
【0056】
駆動装置110のトルクは、2by2の画像印刷後、駆動装置の各ギヤの状態を確認して評価した。駆動装置のギヤに破損が確認された場合は、評価を×とし、ギヤに破損が確認されなかった場合は、評価を○とした。
【0057】
各実験に用いた帯電ブラシローラ4のブラシ繊維4cは、太さ6d(デニール)以下の導電性繊維であり、静電植毛により軸表面に静電植毛した。また、帯電ブラシローラ4は、駆動装置110により強制駆動した。
【0058】
その検証実験の結果を表1に示す。
【表1】
【0059】
表1に示すように、ブラシ長さが、0.6〜1.45mmのサンプルB,C,D,Fの画像形成装置は、感光体表面を均一に帯電することができ、微小な黒ポチが確認されなかった。一方、ブラシ長さLが1.5mmのサンプルE,Gの画像形成装置は、画像に黒ポチが確認され、感光体表面を均一に帯電することができなかった。これは、ブラシ長さLが、1.5mmと長いため、ブラシ密度が十分でなく、帯電領域においては、ブラシがびっしりと感光体表面と接触しなかったため、感光体表面に十分に電荷が付与されない部分が生じ、その部分にトナーが付着して、黒ポチが生じたと考えられる。
【0060】
また、ブラシ長さLが0.5mmと短い帯電ブラシローラ4を用いたサンプルAの画像形成装置においても、画像に黒ポチが確認され、感光体表面を均一に帯電することができなかった。これは、ブラシ長さLが短く繊維の剛性が高くなりすぎ、ブラシ繊維Lが感光体表面と接触したとき、先端が撓まず、ブラシの先端のみが感光体表面と当接して、ブラシ繊維4cが感光表面に点接触するような形となり、ブラシ繊維4cが、感光体表面と隙間なく接触することができず、感光体表面を均一に帯電することができなかったと考えられる。
【0061】
一方、ブラシ長さLが0.6mm以上、1.45mm以下のサンプルB、C,D、Fの画像形成装置は、いずれも、黒ポチが確認されず、良好な均一性が得られた。このことから、ブラシ長さLを0.6mm以上、1.45mm以下に設定することにより、感光体表面を均一に帯電することができ、黒ポチが抑制された良好な画像を得ることができる。
【0062】
また、表1に示すように、サンプルGの画像形成装置においては、微小な横スジ濃度傾斜が確認された。これは、サンプルGの画像形成装置は、ブラシ繊維4cの長さLが1.5mmで、ギャップGを1.5mmに設定しており、食い込み量Wを0に設定している。このため、感光体2の振れや帯電ブラシローラ4の振れなどにより、ブラシ繊維4cが感光体表面から離間したため、その離間した領域の感光体表面を所定の電位にまで帯電することができず、その結果、その部分にトナーが付着し、画像に微小な横スジ濃度傾斜が生じたと考えられる。一方、食い込み量Wを0.1mm以上に設定したサンプルA〜Fの画像形成装置においては、横スジが確認されなかった。このことから、食い込み量Wを0.1mm以上に設定することにより、感光体表面を安定的に帯電することができ、横スジが抑制された画像を得ることができる。
【0063】
また、表1に示すように、帯電ブラシローラ4の軸表面と、感光体表面とのギャップGを0.4mmに設定したサンプルA、E、Fの画像形成装置においては、ギヤの破損が確認された。一方、ブラシ繊維の長さが1.45mmで、ギャップGが0.45mmとして、食い込み量Wを1.0mmに設定したサンプルDの画像形成装置においては、ギヤの破損は確認されなかった。このことから、食い込み量に関係なく、ギャップGが0.45mm以上で、ギヤの破損が生じないことが確認された。
【0064】
次に、本発明らは、トルクとギャップGとの関係について、さらに検証実験を行なった。具体的には、ブラシ長さL1.5mmの帯電ブラシローラ4を用意して、各ギャップGにおけるモータトルクを調べた。その結果を、図17に示す。
図17に示すように、ギャップGが0.4mm以下(食い込み量0.4mm以下)となると、モータトルクが許容範囲を越えた。このモータトルクの許容範囲は、ギヤが破損するモータのトルク下限値であり、先の実験でギヤの破損が生じた条件のときにトルクゲージでモータトルクを測定したときの値である。このことから、帯電ブラシローラ4の軸表面と感光体表面とのギャップGを、0.4mmを超えるように設定することで、駆動装置にかかるトルクが、ギヤを破損するトルク以下に抑えることができることがわかる。
【0065】
また、図18は、ブラシ長さL:1.5mmの帯電ブラシローラ4を回転駆動させた場合の各ギャップGにおけるモータトルクと、ブラシ長さL:1.5mmの帯電ブラシローラ4を感光体2に連れ回りされた場合の各ギャップGにおけるモータトルクとを調べた図である。
図に示すように、帯電ブラシローラ4を連れ回りさせることで、若干ギャップの下限値に余裕度を持たせることができる。しかし、帯電ブラシローラ4を連れ回りさせる構成では、ある程度、帯電ブラシローラ4を感光体2に食い込ませないと、帯電ブラシローラ4がスリップしてしまい、食い込み量Wに余裕度が低下することがわかる。このことから、ブラシの毛が短く、食い込み量Wが十分にとれない場合は、帯電ブラシローラ4を強制駆動する必要があることがわかる。
【0066】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(1)
感光体などの像担持体と、像担持体の表面に接触して、ブラシから電荷を付与させることにより、像担持体表面を一様帯電させる帯電ブラシローラとを備えたプリンタなどの画像形成装置において、帯電ブラシローラのブラシ長さをLとし、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップをGとしたとき
0.6mm≦L≦1.45mm、
0.4mm<G
とした。
これにより、上述したように、像担持体表面を均一に帯電することができ、黒ポチのない高画質な画像を得ることができ、かつ、ハーフトーン画像のキメを細かくすることができる。また、像担持体や帯電ブラシローラを駆動する駆動装置のギヤの破損を抑制することができる。
【0067】
(2)
また、上記(1)に記載の態様の画像形成装置において、前記像担持体と前記帯電ブラシローラとの接触領域において、前記像担持体表面移動方向と前記帯電ブラシローラの表面移動方向が同方向となるよう前記帯電ブラシローラが回転するよう構成した。
かかる構成を備えることにより、像担持体と帯電ブラシローラとの接触領域において、帯電ブラシローラの表面移動方向を、像担持体表面移動方向と逆方向にする場合に比べて、ブラシのストレスを低減することができる。
【0068】
(3)
上記(2)に記載の態様の画像形成装置において、
前記像担持体の表面移動速度をa、前記帯電ブラシローラの表面移動速度をbしたとき、
(b/a)≦3
とした。
かかる構成にすることにより、ブラシのストレスを低減することができる。
【0069】
(4)
上記(1)に記載の態様の画像形成装置において、前記像担持体と前記帯電ローラブラシとの接触領域において、前記像担持体表面移動方向に対して前記帯電ブラシローラの表面移動方向が逆方向となるよう前記帯電ブラシローラを回転させた。
かかる構成を有することで、感光体表面が、帯電ブラシローラとの接触領域を抜けるまでの間にブラシ繊維と接触する機会が増加する。その結果、見かけ上のブラシ密度が増加し、像担持体表面を均一に帯電することができる。これにより、黒ポチが抑えられた良好な画像が得られるとともに、ハーフトーン画像のキメを細かくすることができる。
【0070】
(5)
上記(4)に記載の態様の画像形成装置において、前記像担持体の表面移動速度をa、前記帯電ブラシローラの表面移動速度をbしたとき、
(b/a)≦2
とした。
これにより、(b/a)が2を超える場合に比べて、ブラシのストレスを低減することができる。
【0071】
(6)
上記(2)に記載の態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラを前記像担持体に連れ回るよう構成した。
かかる構成を備えることにより、先の図18に示すように、帯電ブラシローラを回転駆動させる場合に比べて、駆動装置に加わるトルクを低減することができる。
【0072】
(7)
上記(1)乃至(6)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラのブラシ繊維の太さを6d(デニール)以下にした。
かかる構成を備えることで、ブラシ密度を上げることができ、より一層、像担持体表面を均一に帯電させることができる。これにより、画像に黒ポチが生じるのを抑制することができ、かつ、ハーフトーン画像のキメをより細かくすることができる。
【0073】
(8)
上記(1)乃至(7)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラとして、静電植毛によりブラシ繊維が植毛されたものを用いた。
静電植毛により、ブラシ繊維を植毛することにより、容易にブラシ密度の高い帯電ブラシローラを得ることができる。これにより、安価で、ブラシ密度の高い帯電ブラシローラを用いることになり、装置のコスト高を抑えて、感光体表面を均一に帯電することができる。
【0074】
(9)
上記(1)乃至(8)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラを前記像担持体に対して接離させることで帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップを調整するギャップ調整機構を備えた。これにより、感光体と帯電ブラシローラとの軸表面とのギャップを測定して、最適なギャップとなるように調整することができる。その結果、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面と感光体表面とのギャップを精度よく設定することができる。これにより、ギャップが、適正値よりも狭くなって、駆動装置にかかるトルクが高まったり、適正値よりも広がって、帯電ブラシローラのブラシ繊維が、像担持体表面と接触しなくなったりするのを抑制することができる。
【0075】
(10)
上記(1)乃至(8)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記像担持体を前記帯電ブラシローラに対して接離させることで帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップを調整するギャップ調整機構を備えた。
かかる構成にしても、上記(9)に記載の態様と同様、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面と感光体表面とのギャップを精度よく設定することができる。
【0076】
(11)
上記(1)乃至(10)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラに交流電圧を印加した。
かかる構成にすることにより、像担持体表面を均一に帯電することができる。
【0077】
(12)
上記(1)乃至(11)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記帯電ブラシローラに直流電圧を印加した。
かかる構成とすることで、異常放電の発生を抑制することができ。感光体や帯電ブラシローラの電気的な劣化を抑制することができる。
【0078】
(13)
上記(1)乃至(12)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記像担持体にトナーを付着させて、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段を備え、前記トナーとして、オイル含有トナーを用いた。かかる構成により、現像手段と像担持体との摩擦抵抗を低減することができ、現像工程において、像担持体表面に均一にトナーを付着させることができる。これにより、ハーフトーン画像のキメをより細かくすることができる。また、トナーを帯電ブラシローラに供給する構成にした場合、このオイル含有トナーが潤滑機能を果たし、像担持体と帯電ブラシローラとの間の摩擦抵抗を低減することができ、駆動トルクの増加を抑制することができる。
【0079】
(14)
上記(1)乃至(13)に記載のいずれかの態様の画像形成装置において、前記像担持体と、前記帯電ブラシローラ、および、前記像担持体にトナーを付着させて、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段の少なくとも一つとを一体に支持し、装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジを備えた。
かかる構成を備えることにより、一度に消耗部品を交換できる。
【符号の説明】
【0080】
1:プロセスユニット
2:感光体
4:帯電ブラシローラ
4a:軸
4b:接着剤層
4c:ブラシ繊維
5:現像装置
101a:奥側フレーム
101b:手前側フレーム
101c:帯電用支持フレーム
110:駆動装置
111:駆動モータ
111a:モータ軸
112:駆動ギヤ
113:第1アイドラギヤ
114:第2アイドラギヤ
115:帯電ブラシギヤ
200:静電植毛装置
201:電極板
202:治具
301:レーザ発信器
302:レーザ受信器
303:すきまゲージ
400:ギャップ調整機構
401,402:偏心軸受
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開2008−52060号公報
【特許文献2】特開2007−193208号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
像担持体の表面に接触して、ブラシから電荷を付与させることにより、像担持体表面を一様帯電させる帯電ブラシローラとを備えた画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラのブラシ長さをLとし、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップをGとしたとき
0.6mm≦L≦1.45mm、
0.4mm<G
としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記像担持体と前記帯電ブラシローラとの接触領域において、前記像担持体表面移動方向と前記帯電ブラシローラの表面移動方向が同方向となるよう前記帯電ブラシローラが回転するよう構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
前記像担持体の表面移動速度をa、前記帯電ブラシローラの表面移動速度をbしたとき、
(b/a)≦3
としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1の画像形成装置において、
前記像担持体と前記帯電ローラブラシとの接触領域において、前記像担持体表面移動方向に対して前記帯電ブラシローラの表面移動方向が逆方向となるよう前記帯電ブラシローラを回転させたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
前記像担持体の表面移動速度をa、前記帯電ブラシローラの表面移動速度をbしたとき、
(b/a)≦2
としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2の画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラを前記像担持体に連れ回るよう構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかの画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラのブラシ繊維の太さを6d(デニール)以下にしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかの画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラとして、静電植毛によりブラシ繊維が植毛されたものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラを前記像担持体に対して接離させることで帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップを調整するギャップ調整機構を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、
前記像担持体を前記帯電ブラシローラに対して接離させることで帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップを調整するギャップ調整機構を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれかの画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラに交流電圧を印加したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1乃至11いずれかの画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラに直流電圧を印加したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれかの画像形成装置において、
前記像担持体にトナーを付着させて、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段を備え、
前記トナーとして、オイル含有トナーを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1乃至13いずれかの画像形成装置において、
前記像担持体と、前記帯電ブラシローラ、および、前記像担持体にトナーを付着させて、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段の少なくとも一つとを一体に支持し、装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、
像担持体の表面に接触して、ブラシから電荷を付与させることにより、像担持体表面を一様帯電させる帯電ブラシローラとを備えた画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラのブラシ長さをLとし、帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップをGとしたとき
0.6mm≦L≦1.45mm、
0.4mm<G
としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
前記像担持体と前記帯電ブラシローラとの接触領域において、前記像担持体表面移動方向と前記帯電ブラシローラの表面移動方向が同方向となるよう前記帯電ブラシローラが回転するよう構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
前記像担持体の表面移動速度をa、前記帯電ブラシローラの表面移動速度をbしたとき、
(b/a)≦3
としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1の画像形成装置において、
前記像担持体と前記帯電ローラブラシとの接触領域において、前記像担持体表面移動方向に対して前記帯電ブラシローラの表面移動方向が逆方向となるよう前記帯電ブラシローラを回転させたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
前記像担持体の表面移動速度をa、前記帯電ブラシローラの表面移動速度をbしたとき、
(b/a)≦2
としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2の画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラを前記像担持体に連れ回るよう構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかの画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラのブラシ繊維の太さを6d(デニール)以下にしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかの画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラとして、静電植毛によりブラシ繊維が植毛されたものを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラを前記像担持体に対して接離させることで帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップを調整するギャップ調整機構を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1乃至8いずれかの画像形成装置において、
前記像担持体を前記帯電ブラシローラに対して接離させることで帯電ブラシローラのブラシが植毛された面から像担持体表面までのギャップを調整するギャップ調整機構を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれかの画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラに交流電圧を印加したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1乃至11いずれかの画像形成装置において、
前記帯電ブラシローラに直流電圧を印加したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれかの画像形成装置において、
前記像担持体にトナーを付着させて、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段を備え、
前記トナーとして、オイル含有トナーを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1乃至13いずれかの画像形成装置において、
前記像担持体と、前記帯電ブラシローラ、および、前記像担持体にトナーを付着させて、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段の少なくとも一つとを一体に支持し、装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−15780(P2013−15780A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150382(P2011−150382)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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