説明

画像形成装置

【課題】現像バイアスの直流電圧が変化させられた場合に、トナー画像にキャリア付着が発生することを抑制できる画像形成装置を提供することである。
【解決手段】光走査装置6は、画像データに基づいて感光体ドラム4に静電潜像を形成する。現像ローラは、トナー及びキャリアからなる現像剤を担持し、かつ、該トナーを感光体ドラム4に付与して静電潜像を現像する。電圧印加部32は、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを現像ローラに印加する。制御部30は、5kHzの周波数を有する交流電圧の出力を停止させた後に、バイアス電圧の直流電圧を400Vから300Vに変更し、その後、9kHzの周波数を有する交流電圧の出力を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、より特定的には、トナーにより静電潜像を現像する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、磁性キャリア及び非磁性トナーからなる現像剤を現像ローラが担持する。そして、現像ローラは、静電潜像が形成された感光体ドラムに対して非磁性トナーを付与して静電潜像を現像する。このような、画像形成装置では、現像ローラから感光体ドラムへとトナーが移動するための電界が発生するように、現像ローラには現像バイアスが印加されている。
【0003】
また、現像バイアスとして直流電圧が印加されるDC印加方式と、現像バイアスとして直流電圧及び交流電圧が重畳された電圧が印加されるAC印加方式との2種類の方式が存在する。そして、AC印加方式では、DC印加方式に比べて、感光体ドラム表面の静電潜像がより忠実にトナーにより現像されるので、むらがなく滑らかな(すなわち、粒状性が良い)トナー画像が得られる。
【0004】
図10は、AC印加方式における現像バイアスの交流電圧の周波数と粒状性との関係を示したグラフである。横軸は現像バイアスの交流電圧の周波数を示し、縦軸は粒状性を示している。粒状性とは、トナー画像のむらを意味する。粒状性が高くなると、トナー画像にむらが生じる。粒状性は、ハーフトーンのパッチの濃度むらをスキャナにより解析し、人間の視覚に合うように計算することによって得られる。図10では、190lpi,210lpiのスクリーン線数のハーフトーンパッチを用いた。スクリーン線数とは、網点の細かさ(1インチに網点が何個入るか)を意味し、単位はlpi(line per inch)である。画像が文字である場合には、高いスクリーン線数が選択される。一方、画像が写真である場合には、低いスクリーン線数が選択される。
【0005】
図10に示すように、現像バイアスの交流電圧の周波数が高くなると、粒状性は低くなり、トナー画像の画質が向上する。よって、粒状性の観点からは、現像バイアスの交流電圧の周波数は高い方が好ましい。具体的には、スクリーン線数が190lpiであるときには、現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHz以上であれば、むらが視認されることが抑制される。また、スクリーン線数が210lpiであるときには、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHz以上であれば、むらが視認されることが抑制される。
【0006】
図11は、現像バイアスの交流電圧の周波数と端部エッジ濃さとの関係を示したグラフである。横軸は現像バイアスの交流電圧の周波数を示し、縦軸は端部エッジ濃さを示している。端部エッジ濃さとは、トナー画像の主走査方向の端部におけるトナー濃度を意味する。端部エッジ濃さが大きくなると、トナー画像の主走査方向の端部のトナー濃度とトナー画像の主走査方向の中央部のトナー濃度との差(以下、濃度段差と称す)が大きくなり、トナー画像の画質が悪くなる。エッジ濃度は、ハーフトーンのパッチの濃度をスキャナ解析し、ハーフトーンのパッチの中央部の濃度に対するハーフトーンのパッチの端部の濃度が上昇した割合を算出することによって得られる。図11では、190lpi,210lpiのスクリーン線数のハーフトーンパッチを用いた。
【0007】
図11に示すように、現像バイアスの交流電圧の周波数が低くなると、端部エッジ濃さが小さくなり、濃度段差が小さくなるので、トナー画像の画質が向上する。よって、濃度段差の観点からは、現像バイアスの交流電圧の周波数は低い方が好ましい。具体的には、スクリーン線数が190lpiであるときには、現像バイアスの交流電圧の周波数が10kHz以下であれば、濃度段差が視認されることが抑制される。また、スクリーン線数が210lpiであるときには、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHz以下であれば、濃度段差が視認されることが抑制される。
【0008】
以上より、現像バイアスの交流電圧の周波数は、粒状性及び濃度段差を両立させるためには、スクリーン線数に応じて設定されることが好ましいことが分かる。具体的には、スクリーン線数が190lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数は9kHzであればよく、スクリーン線数が210lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数は5kHzであればよい。
【0009】
しかしながら、現像バイアスの交流電圧の周波数を変更すると、以下に説明するように、トナーの消費量の増加及び白ぬき線の形成不良が発生する。図12は、現像バイアスの交流電圧の周波数とベタ画像濃度との関係を示したグラフである。横軸は現像バイアスの交流電圧の周波数を示し、縦軸はベタ画像濃度を示している。図12では、現像バイアスの直流電圧を350V,400Vとした。
【0010】
図12に示すように、現像バイアスの直流電圧を400Vの状態で、現像バイアスの交流電圧の周波数を5kHzから9kHzまで変化させると、ベタ画像濃度が上昇する。そのため、現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzの場合に、トナーの消費量の増加や白ぬき線の形成不良等の問題が発生する。
【0011】
そこで、図12に示すように、現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzの場合には、現像バイアスの直流電圧を350Vに変更する。これにより、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHzである場合のベタ画像濃度と現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzである場合のベタ画像濃度とが等しくなる。すなわち、トナーの消費量の増加や白ぬき線の形成不良等の問題が解消される。
【0012】
ただし、現像バイアスの直流電圧が400Vから350Vに変更されると、現像帯電オフセット電圧が大きくなってしまう。現像帯電オフセット電圧とは、感光体ドラムを帯電させるために帯電器に印加される帯電バイアスと現像バイアスの直流電圧との差である。なお、帯電バイアスは、現像バイアスより高く設定され、例えば、500Vである。現像帯電オフセット電圧が大きくなると、以下に説明するように、トナー画像にキャリア付着が発生しやすくなる。図13は、現像バイアスの交流電圧の周波数と現像帯電オフセット電圧との関係を示したグラフである。横軸は現像バイアスの交流電圧の周波数を示し、縦軸は現像帯電オフセット電圧を示している。
【0013】
現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHzである場合には、現像バイアスの直流電圧が400Vであり、帯電バイアスが500Vであるので、現像帯電オフセット電圧は100Vである。このとき、図13に示すように、トナー画像には、キャリア付着は発生しない。一方、現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzである場合には、現像バイアスの直流電圧が350Vであり、帯電バイアスが500Vであるので、現像帯電オフセット電圧は150Vである。このとき、図13に示すように、トナー画像には、キャリア付着が発生する。
【0014】
そこで、現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzである場合には、帯電バイアスが400Vに設定される。これにより、現像帯電オフセット電圧が50Vとなり、図13に示すように、トナー画像にキャリア付着が発生することが抑制される。
【0015】
しかしながら、現像バイアスの直流電圧の変更と帯電バイアスの変更との順序によっては、トナー画像にキャリア付着が発生するおそれがある。例えば、現像バイアスの交流電圧の周波数を5kHzから9kHzに変更する場合に、現像バイアスの直流電圧の変更を帯電バイアスの変更よりも先に行ったときには、現像バイアスの直流電圧が350Vであり、帯電バイアスが500Vである瞬間が存在する。この場合には、現像帯電オフセット電圧が150Vとなる。その結果、トナー画像にキャリア付着が発生するおそれがある。
【0016】
なお、従来の画像形成装置としては、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置が知られている。該画像形成装置は、現像バイアス印加手段における交流分の負荷電流を検出し、交流電圧発生部から出力される矩形波の交流電圧の周波数と電圧の少なくとも一方を、検出された負荷電流に応じて可変制御している。これにより、現像器に印加される現像バイアスの矩形波形のオーバーシュート及びアンダーシュートを抑制している。しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、現像バイアスの直流電圧を変化させたときにトナー画像にキャリア付着が発生することを抑制することを目的とはしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2002−258588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで、本発明の目的は、現像バイアスの直流電圧が変化させられた場合に、トナー画像にキャリア付着が発生することを抑制できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、潜像担持体と、画像データに基づいて前記潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及びキャリアからなる現像剤を担持し、かつ、該トナーを前記潜像担持体に付与して前記静電潜像を現像する現像剤担持体と、第1の直流電圧と第1の交流電圧とが重畳された現像バイアスを前記現像剤担持体に印加する第1の電圧印加手段と、第1の周波数を有する前記第1の交流電圧の出力の停止を開始した後に、前記第1の直流電圧を第1の電圧値から第2の電圧値に変更し、その後、第2の周波数を有する前記第1の交流電圧の出力を開始させる制御手段と、を備えており、前記制御手段は、連続した複数ページの画像形成を行う際に、前記画像データに基づいてページ毎にスクリーン線数を選択すると共に、選択したスクリーン線数に対応させて前記第1の電圧印加手段の出力を決定すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、現像バイアスの直流電圧が変化させられた場合に、トナー画像にキャリア付着が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】現像装置を上方から透視した図である。
【図3】現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHzから9kHzに変更される際のタイミングチャートである。
【図4】図3のタイミングチャートにおける感光体ドラムの様子を示した図である。
【図5】図3のタイミングチャートにおける感光体ドラムの様子を示した図である。
【図6】現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzから5kHzに変更される際のタイミングチャートである。
【図7】図6のタイミングチャートにおける感光体ドラムの様子を示した図である。
【図8】図6のタイミングチャートにおける感光体ドラムの様子を示した図である。
【図9】連続するページ間で異なるスクリーン線数を選択した場合に、スクリーン線数を変更する際に制御部が行う動作を示したフローチャートである。
【図10】AC印加方式における現像バイアスの交流電圧の周波数と粒状性との関係を示したグラフである。
【図11】現像バイアスの交流電圧の周波数と端部エッジ濃さとの関係を示したグラフである。
【図12】現像バイアスの交流電圧の周波数とベタ画像濃度との関係を示したグラフである。
【図13】現像バイアスの交流電圧の周波数と現像帯電オフセット電圧との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0023】
(画像形成装置の構成)
以下に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成装置1の全体構成を示した図である。
【0024】
画像形成装置1は、電子写真方式によるカラープリンタであって、いわゆるタンデム式で4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の画像を合成するように構成したものである。該画像形成装置1は、スキャナにより読み取った画像データに基づいて、トナー画像を用紙(印刷媒体)Pに形成する機能を有し、図1に示すように、印刷部2、給紙部15、タイミングローラ対19、定着装置20、排紙ローラ対21、排紙トレイ23、制御部30及び電圧印加部32,34を備えている。
【0025】
制御部30は、画像形成装置1の全体を制御し、例えば、CPUにより構成されている。また、制御部30は、連続した複数ページの画像形成を行う際に、連続して入力してくる画像データの画像の種類に応じてページ毎にスクリーン線数を選択する。具体的には、画像が文字である場合には、制御部30は、高いスクリーン線数(例えば、210lpi)を選択する。一方、画像が写真である場合には、制御部30は、低いスクリーン線数(例えば、190lpi)を選択する。制御部30は、例えば、スキャナで読み取った画像を解析することによって画像の種類の識別を行ってもよいし、ユーザが選択した印字モードから推測して画像の種類の識別を行ってもよい。
【0026】
給紙部15は、用紙Pを1枚ずつ供給する役割を果たし、用紙トレイ16及び給紙ローラ17を含んでいる。用紙トレイ16には、印刷前の状態の用紙Pが複数枚重ねて載置される。給紙ローラ17は、用紙トレイ16に載置された用紙Pを1枚ずつ取り出す。タイミングローラ対19は、印刷部2においてトナー画像が用紙Pに2次転写されるように、タイミングを調整しながら用紙Pを搬送する。
【0027】
印刷部2は、給紙部15から供給されてくる用紙Pにトナー画像を形成し、光走査装置6、転写部8(8Y,8M,8C,8K)、中間転写ベルト11、駆動ローラ12、従動ローラ13、2次転写ローラ14、クリーニング装置18、作像部22(22Y,22M,22C,22K)及びトナーボトル24(24Y,24M,24C,24K)を含んでいる。また、作像部22(22Y,22M,22C,22K)は、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)、帯電器5(5Y,5M,5C,5K)、現像装置7(7Y,7M,7C,7K)、クリーナー9(9Y,9M,9C,9K)及びイレーサ10(10Y,10M,10C,10K)を含んでいる。
【0028】
感光体ドラム4は、円筒状をなしており、図1に示すように、時計回りに回転している。感光体ドラム4は、静電潜像を周面において担持する静電潜像担持体として機能する。帯電器5は、感光体ドラム4の周面を負に帯電させるローラである。電圧印加部34は、帯電器5の電位が負となるように帯電バイアスを印加する。具体的には、帯電バイアスは、400V〜500Vの直流電圧である。これにより、感光体ドラム4の周面の電位は、−500V〜−400Vに保たれる。
【0029】
光走査装置6は、制御部30の制御により、感光体ドラム4の周面に対してビームBY,BM,BC,BKを走査する。この際、制御部30は、選択したスクリーン線数に基づいて、光走査装置6の動作を制御する。ビームBY,BM,BC,BKが照射された部分の電位は、0Vに近づく。これにより、感光体ドラム4の周面には静電潜像が形成される。よって、光走査装置6は、制御部30と共に、画像データに基づいて感光体ドラム4に静電潜像を形成する静電潜像形成手段として機能する。
【0030】
現像装置7は、非磁性トナー及び磁性キャリアからなる2成分現像剤を用いて感光体ドラム4に静電潜像に従ったトナー画像を形成する。以下に、現像装置7について図面を参照しながら説明する。図2は、現像装置7を上方から透視した図である。以下では、図2の上下方向を単に左右方向と呼び、図2の左右方向を単に前後方向と呼び、図2の紙面垂直方向を上下方向と呼ぶ。
【0031】
現像装置7は、図2に示すように、本体72、撹拌スクリュー74、供給スクリュー76、現像ローラ78、センサ79及びモータ80を備えている。
【0032】
本体72は、現像剤、撹拌スクリュー74、供給スクリュー76及び現像ローラ78を収容している筐体である。本体72は、前後方向に延在しており、左右方向に隣り合う撹拌空間Sp1及び供給空間Sp2を形成している。撹拌空間Sp1は、本体72において供給空間Sp2よりも左側に設けられている。撹拌空間Sp1と供給空間Sp2とは、前後方向の両端において繋がっている。
【0033】
撹拌スクリュー74は、撹拌空間Sp1内に設けられ、前後方向に延在している。撹拌スクリュー74は、回転させられることにより、現像剤を撹拌しながら後ろ側から前側へと搬送する。これにより、トナーが負に帯電し、キャリアが正に帯電する。撹拌スクリュー74により搬送された現像剤は、撹拌空間Sp1の前側の端部から供給空間Sp2に流入する。
【0034】
供給スクリュー76は、供給空間Sp2内に設けられ、前後方向に延在している。供給スクリュー76は、回転させられることにより、現像剤を前側から後ろ側へと搬送する。そして、供給スクリュー76により搬送された現像剤は、供給空間Sp2の後ろ側の端部から撹拌空間Sp1に流入する。よって、現像剤は、撹拌空間Sp1と供給空間Sp2との間を循環している。
【0035】
現像ローラ78は、供給空間Sp2内に設けられ、前後方向に延在している。これにより、現像ローラ78は、供給スクリュー76と対向している。更に、現像ローラ78は、本体72から露出しており、感光体ドラム4と対向している。現像ローラ78は、磁石を内蔵しており、磁力により磁性キャリアを非磁性トナーと共に吸着して、供給スクリュー76により搬送されてきた現像剤を担持する。
【0036】
センサ79は、本体72に取り付けられており、現像剤の透磁率を検出することで非磁性トナーと磁性トナーとの比率であるトナー濃度を検出する磁気センサである。制御部30は、センサ79が検出したトナー濃度が所定値よりも低い場合には、トナーボトル24から本体72にトナーを補給する。
【0037】
また、現像ローラ78は、トナーを感光体ドラム4に付与して静電潜像を現像する。具体的には、電圧印加部32は、直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスを現像ローラ78に現像ローラ78の周面の電位が負となるように印加している。現像バイアスの直流電圧は、例えば、350V〜400Vである。また、現像バイアスの交流電圧の変動幅は、例えば、1.0kVである。したがって、現像ローラ78の周面の電位は、−400V〜−350Vを中心として1.0kVの幅で変動する。これにより、現像ローラ78の周面の電位は、感光体ドラム4の周面のビームBY,BM,BC,BKが照射された部分の電位(略0V)よりも低く、かつ、感光体ドラム4の周面のビームBY,BM,BC,BKが照射されていない部分の電位(−500V〜−400V)よりも高くなる。現像ローラ78が担持している現像剤の内の非磁性トナーは、負に帯電しているので、感光体ドラム4の周面のビームBY,BM,BC,BKが照射された部分に付着する。これにより、感光体ドラム4の周面には負に帯電したトナー画像が形成される。
【0038】
モータ80は、撹拌スクリュー74、供給スクリュー76及び現像ローラ78を回転させる。
【0039】
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12と従動ローラ13との間に張り渡されており、感光体ドラム4に現像されたトナー画像が1次転写される。
【0040】
転写部8は、中間転写ベルト11の内周面に対向するように配置されており、1次転写電圧を印加されることにより、感光体ドラム4に形成されたトナー画像を中間転写ベルト11に1次転写する。クリーナー9は、1次転写後に感光体ドラム4の周面に残存しているトナーを回収する役割を果たす。イレーサ10は、感光体ドラム4の周面の電荷を除去する。駆動ローラ12は、中間転写ベルト駆動部(図1には記載せず)により回転させられることにより、中間転写ベルト11を矢印αの方向に駆動させる。これにより、中間転写ベルト11は、トナー画像を2次転写ローラ14まで搬送する。
【0041】
2次転写ローラ14は、中間転写ベルト11に接触し、ドラム形状をなしている。以下では、中間転写ベルト11と2次転写ローラ14との間の領域をニップ部Nと称す。2次転写ローラ14には、正のバイアス電圧が印加される。これにより、2次転写ローラ14は、ニップ部Nを通過する用紙Pに対して、中間転写ベルト11が担持しているトナー画像を2次転写する。より詳細には、駆動ローラ12は接地電位に保たれている。また、中間転写ベルト11は、駆動ローラ12に接触しているので、接地電位に近い正の電位に保たれている。そして、2次転写ローラ14には、2次転写ローラ14の電位が駆動ローラ12及び中間転写ベルト11の電位よりも高くなるように、正のバイアス電圧が印加されている。トナー画像は、負に帯電しているので、駆動ローラ12と2次転写ローラ14との間に発生している電界によって、中間転写ベルト11から用紙Pに対して転写される。
【0042】
クリーニング装置18は、中間転写ベルト11に接触しているブレードを有しており、用紙Pへのトナー画像の2次転写後に、中間転写ベルト11に残存しているトナーを除去する。
【0043】
トナー画像が2次転写された用紙Pは、定着装置20に搬送される。定着装置20は、用紙Pに対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナー画像を用紙Pに定着させる。排紙ローラ対21は、用紙Pを排紙トレイ23に出力する。排紙トレイ23には、印刷済みの用紙Pが載置される。
【0044】
以上のように構成された画像形成装置1では、制御部30は、画像データに基づいて現像バイアスの交流電圧の周波数を選択する。より詳細には、スクリーン線数が高くなれば、再現可能な階調段数が少なくなり、解像度が高くなる。そのため、画像が文字である場合には、制御部30は、解像度に優れた高いスクリーン線数(例えば、210lpi)を選択する。一方、画像が写真である場合には、制御部30は、階調段数が多い低いスクリーン線数(例えば、190lpi)を選択する。
【0045】
ただし、スクリーン線数が変更されると、以下に説明するように、粒状性と濃度段差とを両立させることが困難である。表1は、現像バイアスの交流電圧の周波数とスクリーン線数と粒状性との関係を図10のグラフに基づいて作成した表である。表2は、現像バイアスの交流電圧の周波数とスクリーン線数と濃度段差との関係を図11のグラフに基づいて作成した表である。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
表1に示すように、スクリーン線数が210lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHz〜9kHzにおいて、トナー画像にむらが視認されず、粒状性が抑制されていることが分かる。一方、スクリーン線数が190lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHz〜7kHzにおいて、むらが視認され、粒状性が抑制されていないことが分かる。したがって、粒状性の抑制のためには、スクリーン線数が相対的に低い場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が相対的に高い方が好ましいことが分かる。
【0049】
また、表2に示すように、スクリーン線数が190lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHz〜9kHzにおいて、濃度段差が視認されていないことが分かる。一方、スクリーン線数が210lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が7kHz〜9kHzにおいて、濃度段差が視認されていることが分かる。したがって、濃度段差の抑制のためには、スクリーン線数が相対的に高い場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数が相対的に低い方が好ましいことが分かる。
【0050】
以上より、画像形成装置1では、制御部30は、相対的に低いスクリーン線数(190lpi)を選択した場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数として相対的に高い周波数(9kHz)を選択し、相対的に高いスクリーン線数(210lpi)を選択した場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数として相対的に低い周波数(5kHz)を選択する。これにより、画像形成装置1は、粒状性の抑制と濃度段差の抑制との両立を実現している。
【0051】
しかしながら、現像バイアスの交流電圧の周波数を変更すると、前記の通り、トナーの消費量の増加及び白ぬき線の形成不良が発生する。そこで、制御部30は、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHzの場合には、現像バイアスの直流電圧を400Vに設定し、現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzの場合には、現像バイアスの直流電圧を350Vに設定する。これにより、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHzである場合のベタ画像濃度と現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzである場合のベタ画像濃度とが等しくなる。すなわち、トナーの消費量の増加や白ぬき線の形成不良等の問題が解消される。
【0052】
ただし、現像バイアスの直流電圧が400Vから350Vに変更されると、前記の通り、現像帯電オフセット電圧が大きくなってしまう。そこで、制御部30は、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHzである場合には、帯電バイアスを500Vに設定し、現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzである場合には、帯電バイアスを400Vに設定する。これにより、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHzである場合には、現像帯電オフセット電圧が100Vとなり、現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzである場合には、現像帯電オフセット電圧が50Vとなる。よって、図13に示すように、トナー画像にキャリア付着が発生することが抑制される。
【0053】
しかしながら、現像バイアスの直流電圧の変更と帯電バイアスの変更との順序によっては、前記の通り、トナー画像にキャリア付着が発生するおそれがある。
【0054】
そこで、制御部30は、スクリーン線数を210lpi(第1のスクリーン線数)から190lpi(第1のスクリーン線数より低い第2のスクリーン線数)に変更する場合には、5kHz(第1の周波数)の周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に停止させた後に、現像バイアスの直流電圧を400V(第1の電圧値)から350V(第1の電圧値より低い第2の電圧値)に変更し、その後、9kHz(第1の周波数よりも高い第2の周波数)の周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に開始させる。更に、制御部30は、帯電バイアスを400V(第3の電圧値)から500V(第3の電圧値よりも低い第4の電圧値)に変更している。以下に、かかる動作について図面を参照しながら説明する。
【0055】
図3は、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHzから9kHzに変更される際のタイミングチャートである。図4及び図5は、図3のタイミングチャートにおける感光体ドラム4の様子を示した図である。図4及び図5において、先行するページの画像データに対応する静電潜像の後端を後端A1と定義し、これに連続する後続のページの画像データに対応する静電潜像の先端を先端A2と定義する。なお、後端A1及び先端A2は、静電潜像が形成されることにより発生するものであるが、以下では便宜上、感光体ドラム4において、先行の静電潜像の後端が位置する部分を後端A1と定義し、後続の静電潜像の先端が位置する部分を先端A2と定義する。また、帯電器5及び現像ローラ78が設けられている位置をそれぞれ位置X1,X2と定義する。現像バイアスの交流電圧の周波数の変更は、後端A1が位置X1を通過してから先端A2が位置X2を通過するまでの間に行われる。
【0056】
まず、時刻t1(0ms)において、図4(a)に示すように、後端A1が位置X1に到達し、その後、時刻t2(100ms経過時)において、図4(b)に示すように、後端A1が位置X2に到達する。
【0057】
後端A1が位置X2を通過した後、時刻t3(120ms経過時)において、制御部30は、5kHzの周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に停止させる。交流電圧の出力が停止した際に、感光体ドラム4の現像ローラ78と対向している部分を、図4(c)に示すように、部分P1と定義する。
【0058】
時刻t4(170ms経過時)において、制御部30は、帯電バイアスの500Vから400Vへの変更を電圧印加部34に開始させる。帯電バイアスの変更が開始された際に、感光体ドラム4の帯電器5と対向している部分を、図4(d)に示すように、部分P2と定義する。
【0059】
時刻t5(270ms経過時)において、帯電バイアスの500Vから400Vへの変更が完了する。帯電バイアスの変更が完了した際に、感光体ドラム4の帯電器5と対向している部分を、図4(e)に示すように、部分P3と定義する。
【0060】
時刻t6(320ms経過時)において、制御部30は、現像バイアスの直流電圧の400Vから350Vへの変更を電圧印加部32に開始させる。現像バイアスの直流電圧の変更が開始された際に、感光体ドラム4の現像ローラ78と対向している部分を、図5(a)に示すように、部分P4と定義する。部分P4は、部分P2よりも感光体ドラム4の回転方向の上流側に位置している。よって、制御部30は、帯電バイアスの500Vから400Vへの変更を開始したときに感光体ドラム4の帯電器5に対向している部分P2が感光体ドラム4と現像ローラ78とが対向している位置X2を通過した後に、現像バイアスの直流電圧の400Vから350Vへの変更を開始している。
【0061】
時刻t7(420ms経過時)において、現像バイアスの直流電圧の400Vから350Vへの変更が完了する。現像バイアスの直流電圧の変更が完了した際に、感光体ドラム4の現像ローラ78と対向している部分を、図5(b)に示すように、部分P5と定義する。
【0062】
時刻t8(470ms経過時)において、制御部30は、9kHzの周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に開始させる。交流電圧の出力が開始された際に、感光体ドラム4の現像ローラ78と対向している部分を、図5(c)に示すように、部分P6と定義する。
【0063】
時刻t9(490ms経過時)において、図5(d)に示すように、先端A2が位置X1に到達し、その後、時刻t10(560ms経過時)において、図5(e)に示すように、先端A2が位置X2に到達する。以上の動作により、現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHzから9kHzに変更される。
【0064】
次に、現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzから5kHzに変更される際の動作について説明する。制御部30は、スクリーン線数を190lpi(第1のスクリーン線数)から210lpi(第1のスクリーン線数より高い第2のスクリーン線数)に変更する場合には、9kHzの(第1の周波数)周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に停止させた後に、現像バイアスの直流電圧を350V(第1の電圧値)から400V(第1の電圧値より高い第2の電圧値)に変更し、その後、5kHz(第1の周波数より低い第2の周波数)の周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に開始させる。更に、制御部30は、帯電バイアスを400V(第3の電圧値)から500V(第3の電圧値よりも高い第4の電圧値)に変更する。以下に、かかる動作について図面を参照しながら説明する。
【0065】
図6は、現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzから5kHzに変更される際のタイミングチャートである。図7及び図8は、図6のタイミングチャートにおける感光体ドラム4の様子を示した図である。図7及び図8において、先行するページの画像データに対応する静電潜像の後端を後端A1と定義し、これに連続する後続のページの画像データに対応する静電潜像の先端を先端A2と定義する。なお、後端A1及び先端A2は、静電潜像が形成されることにより発生するものであるが、以下では便宜上、感光体ドラム4において、先行の静電潜像の後端が位置する部分を後端A1と定義し、後続の静電潜像の先端が位置する部分を先端A2と定義する。また、帯電器5及び現像ローラ78が設けられている位置をそれぞれ位置X1,X2と定義する。現像バイアスの交流電圧の周波数の変更は、後端A1が位置X1を通過してから先端A2が位置X2を通過するまでの間に行われる。
【0066】
まず、時刻t1(0ms)において、図7(a)に示すように、後端A1が位置X1に到達し、その後、時刻t2(100ms経過時)において、図7(b)に示すように、後端A1が位置X2に到達する。
【0067】
後端A1が位置X2を通過した後、時刻t3(120ms経過時)において、制御部30は、9kHzの周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に停止させる。交流電圧の出力が停止した際に、感光体ドラム4の現像ローラ78と対向している部分を、図7(c)に示すように、部分P1と定義する。
【0068】
時刻t4(270ms経過時)において、制御部30は、帯電バイアスの400Vから500Vへの変更を電圧印加部34に開始させる。帯電バイアスの変更が開始された際に、感光体ドラム4の帯電器5と対向している部分を、図7(d)に示すように、部分P2と定義する。
【0069】
時刻t5(320ms経過時)において、制御部30は、現像バイアスの直流電圧の350Vから400Vへの変更を電圧印加部32に開始させる。現像バイアスの直流電圧の変更が開始された際に、感光体ドラム4の現像ローラ78と対向している部分を、図7(e)に示すように、部分P3と定義する。部分P2は、部分P3よりも感光体ドラム4の回転方向の上流側に位置している。よって、制御部30は、帯電バイアスの400Vから500Vへの変更を開始したときに感光体ドラム4の帯電器5に対向している部分P2が感光体ドラム4と現像ローラ78とが対向している位置X2を通過する前に、現像バイアスの直流電圧の350Vから400Vへの変更を開始している。
【0070】
時刻t6(370ms経過時)において、帯電バイアスの400Vから500Vへの変更が完了する。帯電バイアスの変更が完了した際に、感光体ドラム4の現像ローラ78と対向している部分を、図8(a)に示すように、部分P4と定義する。
【0071】
時刻t7(420ms経過時)において、現像バイアスの直流電圧の350Vから400Vへの変更が完了する。現像バイアスの直流電圧の変更が完了した際に、感光体ドラム4の帯電器5と対向している部分を、図8(b)に示すように、部分P5と定義する。
【0072】
時刻t8(470ms経過時)において、制御部30は、5kHzの周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に開始させる。交流電圧の出力が開始された際に、感光体ドラム4の現像ローラ78と対向している部分を、図8(c)に示すように、部分P6と定義する。
【0073】
時刻t9(490ms経過時)において、図8(d)に示すように、先端A2が位置X1に到達し、その後、時刻t10(610ms経過時)において、図8(e)に示すように、先端A2が位置X2に到達する。以上の動作により、現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzから5kHzに変更される。
【0074】
(画像形成装置の動作)
次に、画像形成装置1の動作について説明する。図9は、連続するページ間で異なるスクリーン線数を選択した場合に、スクリーン線数を変更する際に制御部30が行う動作を示したフローチャートである。
【0075】
まず、本処理は、制御部30が画像データを取得することにより開始される。画像データは、スキャナから出力されてきてもよいし、図示しない記憶部から取得してもよい。
【0076】
制御部30は、取得した後続の画像データに基づいて、スクリーン線数を選択する(ステップS1)。本実施形態では、制御部30は、画像が文字である場合には、スクリーン線数として210lpiを選択する。一方、画像が写真である場合には、スクリーン線数として190lpiを選択する。
【0077】
次に、制御部30は、選択したスクリーン線数が200lpi以上であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2では、制御部30は、選択したスクリーン線数が相対的に高いスクリーン線数(210lpi)であるのか相対的に低いスクリーン線数(190lpi)であるのかを判定している。スクリーン線数が200lpi以上である場合には、本処理はステップS3に進む。スクリーン線数が190lpi以上でない場合には、本処理はステップS10に進む。
【0078】
スクリーン線数が200lpi以上である場合、制御部30は、スクリーン線数が210lpiであると判定し、現在の現像バイアスの交流電圧の周波数が5kHzであるか否かを判定する(ステップS3)。スクリーン線数が210lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数は5kHzである。よって、制御部30は、ステップS3では、先行ページと後続ページとの間での現像バイアスの交流電圧の周波数の変更の要否を判定している。周波数が5kHzでない場合には、本処理はステップS4に進む。周波数が5kHzである場合には、本処理はステップS18に進む。
【0079】
周波数が5kHzでなく現像バイアスの交流電圧の周波数を変更する場合には、制御部30は、図6の時刻t2及び図7(b)に示すように、先行の静電潜像の後端A1が位置X2を通過したか否かの判定を行う(ステップS4)。後端A1が通過した場合には、本処理はステップS5に進む。後端A1が通過していない場合には、本処理はステップS4に戻る。
【0080】
後端A1が通過した場合、制御部30は、図6の時刻t3及び図7(c)に示すように、先行の静電潜像の後端A1が位置X2を通過した後に、9kHzの周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に停止させる(ステップS5)。
【0081】
次に、制御部30は、図6の時刻t4及び図7(d)に示すように、帯電バイアスの400Vから500Vへの変更を電圧印加部34に開始させる(ステップS6)。そして、制御部30は、図6の時刻t5及び図7(e)に示すように、帯電バイアスの400Vから500Vへの変更を開始したときに感光体ドラム4の帯電器5に対向している部分P2が感光体ドラム4と現像ローラ78とが対向している位置X2を通過する前に、現像バイアスの直流電圧の350Vから400Vへの変更を電圧印加部32に開始させる(ステップS7)。
【0082】
次に、制御部30は、図6の時刻t7及び図8(b)に示すように、現像バイアスの直流電圧の変更が終了したか否かを判定する(ステップS8)。現像バイアスの直流電圧の変更が終了した場合には、本処理はステップS9に進む。現像バイアスの直流電圧の変更が終了していない場合には、本処理はステップS8に戻る。
【0083】
現像バイアスの直流電圧の変更が終了した場合、制御部30は、図6の時刻t8及び図8(c)に示すように、5kHzの周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に開始させる(ステップS9)。この後、本処理はステップS18に進む。
【0084】
ステップS2においてスクリーン線数が200lpi以上でない場合、制御部30は、スクリーン線数が190lpiであると判定し、現在の現像バイアスの交流電圧の周波数が9kHzであるか否かを判定する(ステップS10)。スクリーン線数が190lpiである場合には、現像バイアスの交流電圧の周波数は9kHzである。よって、制御部30は、ステップS10では、先行ページと後続ページとの間での現像バイアスの交流電圧の周波数の変更の要否を判定している。周波数が9kHzである場合には、本処理はステップS18に進む。周波数が9kHzでない場合には、本処理はステップS11に進む。
【0085】
周波数が9kHzでなく現像バイアスの交流電圧の周波数を変更する場合には、制御部30は、図3の時刻t2及び図4(b)に示すように、先行の静電潜像の後端A1が位置X2を通過したか否かの判定を行う(ステップS11)。後端A1が通過した場合には、本処理はステップS12に進む。後端A1が通過していない場合には、本処理はステップS11に戻る。
【0086】
後端A1が通過した場合、制御部30は、図3の時刻t3及び図4(c)に示すように、先行の静電潜像の後端A1が位置X2を通過した後に、5kHzの周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に停止させる(ステップS12)。
【0087】
次に、制御部30は、図3の時刻t4及び図4(d)に示すように、帯電バイアスの500Vから400Vへの変更を電圧印加部34に開始させる(ステップS13)。そして、制御部30は、図3の時刻t6及び図5(a)に示すように、帯電バイアスの500Vから400Vへの変更を開始したときに感光体ドラム4の帯電器5に対向している部分P2が感光体ドラム4と現像ローラ78とが対向している位置X2を通過したか否かの判定を行う(ステップS14)。部分P2が位置X2を通過した場合には、本処理はステップS15に進む。部分P2が位置X2を通過していない場合には、本処理はステップS14に戻る。
【0088】
部分P2が位置X2を通過した場合、制御部30は、図3の時刻t6及び図5(a)に示すように、現像バイアスの直流電圧の400Vから350Vへの変更を電圧印加部32に開始させる(ステップS15)。
【0089】
次に、制御部30は、図3の時刻t7及び図5(b)に示すように、現像バイアスの直流電圧の変更が終了したか否かを判定する(ステップS16)。現像バイアスの直流電圧の変更が終了した場合には、本処理はステップS17に進む。現像バイアスの直流電圧の変更が終了していない場合には、本処理はステップS16に戻る。
【0090】
現像バイアスの直流電圧の変更が終了した場合、制御部30は、図3の時刻t8及び図5(c)に示すように、9kHzの周波数を有する現像バイアスの交流電圧の出力を電圧印加部32に開始させる(ステップS17)。この後、本処理はステップS18に進む。
【0091】
前記ステップS18において、制御部30は、次の(後続の)静電潜像の形成を行う(ステップS18)。以上で、スクリーン線数を変更が終了する。
【0092】
(効果)
以上のように構成された画像形成装置1によれば、現像バイアスの直流電圧が変化させられた場合に、トナー画像にキャリア付着が発生することを抑制できる。より詳細には、現像バイアスの直流電圧の変更と帯電バイアスの変更との順序によっては、トナー画像にキャリア付着が発生するおそれがある。例えば、現像バイアスの交流電圧の周波数を5kHzから9kHzに変更する場合に、現像バイアスの直流電圧の変更を帯電バイアスの変更よりも先に行ったときには、現像バイアスの直流電圧が350Vであり、帯電バイアスが500Vである瞬間が存在する。この場合には、現像帯電オフセット電圧が150Vとなる。その結果、図13に示すように、トナー画像にキャリア付着が発生するおそれがある。
【0093】
そこで、画像形成装置1では、制御部30は、5kHzの周波数を有する交流電圧の出力を停止させた後に、現像バイアスの直流電圧を400Vから350Vに変更し、その後、9kHzの周波数を有する交流電圧の出力を開始させている。同様に、制御部30は、9kHzの周波数を有する交流電圧の出力を停止させた後に、現像バイアスの直流電圧を350Vから400Vに変更し、その後、5kHzの周波数を有する交流電圧の出力を開始させている。すなわち、制御部30は、現像バイアスの直流電圧の電圧値の変更時には、現像バイアスの交流電圧を電圧印加部32に印加させていない。図13によれば、現像バイアスの交流電圧の周波数が低くなれば、キャリア付着が発生する現像帯電オフセット電圧が高くなることが分かっている。したがって、現像バイアスの交流電圧の周波数を0kHz(あるいは交流電圧を0V)とすれば、キャリア付着が発生する現像帯電オフセット電圧がきわめて高くなる。よって、現像帯電オフセット電圧が大きくなったとしても、トナー画像にキャリア付着が発生することが抑制される。
【0094】
また、画像形成装置1は、以下の理由によっても、現像バイアスの直流電圧が変化させられた場合に、トナー画像にキャリア付着が発生することを抑制できる。より詳細には、制御部30は、帯電バイアスの500Vから400Vへの変更を開始したときに感光体ドラム4の帯電器5に対向している部分P2(図4(d)参照)が感光体ドラム4と現像ローラ78とが対向している位置X1を通過した後に、現像バイアスの直流電圧の400Vから350Vへの変更を開始する。これにより、感光体ドラム4において、帯電器5により500Vの電圧が印加された部分が、350Vの直流電圧の現像バイアスが印加された現像ローラ78と対向することがない。すなわち、現像帯電オフセット電圧の大きさが抑制される。よって、トナー画像にキャリア付着が発生することが抑制される。
【0095】
また、画像形成装置1は、以下の理由によっても、現像バイアスの直流電圧が変化させられた場合に、トナー画像にキャリア付着が発生することを抑制できる。より詳細には、制御部30は、帯電バイアスの400Vから500Vへの変更を開始したときに感光体ドラム4の帯電器5に対向している部分P2(図7(d)参照)が感光体ドラム4と現像ローラ78とが対向している位置X2を通過する前に、現像バイアスの直流電圧の350Vから400Vへの変更を開始する。これにより、感光体ドラム4において、帯電器5により500Vの電圧が印加された部分が、350Vの直流電圧の現像バイアスが印加された現像ローラ78と対向することがない。すなわち、現像帯電オフセット電圧の大きさが抑制される。よって、トナー画像にキャリア付着が発生することが抑制される。
【0096】
また、画像形成装置1では、現像バイアス及び帯電バイアスの出力を完全に停止することなく、現像バイアスの交流電圧の周波数を変更している。そのため、画像形成装置1では、現像バイアス及び帯電バイアスの出力を完全に停止させた場合に比べて、短時間で現像バイアスの交流電圧の周波数を変更できる。現像バイアスの交流電圧の周波数の変更は、先行の静電潜像の後端A1が位置X1を通過してから後続の静電潜像の先端A2が位置X2を通過するまでの間に行われる。よって、現像バイアスの交流電圧の周波数の変更に要する時間が短くなると、先行の静電潜像の後端A1と後続の静電潜像の先端A2との間隔を小さくできる。その結果、画像形成装置1は、より高速で複数の用紙Pにトナー画像を連続して形成することが可能となる。
【0097】
(その他の実施形態)
なお、本発明に係る画像形成装置は、前記実施形態に係る画像形成装置1に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
【0098】
なお、現像バイアスの直流電圧の電圧値は、350V及び400Vに限らない。また、帯電バイアスの電圧値は、400V及び500Vに限らない。ただし、帯電バイアスの電圧値は、現像バイアスの直流電圧の電圧値以上である。また、スクリーン線数の変更は、制御部30ではなく、プリント出力を行う際に、ユーザの指定により設定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上のように、本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、現像バイアスの直流電圧が変化させられた場合に、トナー画像にキャリア付着が発生することを抑制できる点において優れている。
【符号の説明】
【0100】
1 画像形成装置
4Y,4M,4C,4K 感光体ドラム
6 光走査装置
30 制御部
32,34 電圧印加部
78 現像ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、
画像データに基づいて前記潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
トナー及びキャリアからなる現像剤を担持し、かつ、該トナーを前記潜像担持体に付与して前記静電潜像を現像する現像剤担持体と、
第1の直流電圧と第1の交流電圧とが重畳された現像バイアスを前記現像剤担持体に印加する第1の電圧印加手段と、
第1の周波数を有する前記第1の交流電圧の出力の停止を開始した後に、前記第1の直流電圧を第1の電圧値から第2の電圧値に変更し、その後、第2の周波数を有する前記第1の交流電圧の出力を開始させる制御手段と、
を備えており、
前記制御手段は、連続した複数ページの画像形成を行う際に、前記画像データに基づいてページ毎にスクリーン線数を選択すると共に、選択したスクリーン線数に対応させて前記第1の電圧印加手段の出力を決定すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記画像データに基づいてスクリーン線数を第1のスクリーン線数から該第1のスクリーン線数よりも低い第2のスクリーン線数に変更する場合には、前記第1の周波数を有する前記第1の交流電圧の出力の停止を開始した後に、前記第1の直流電圧を前記第1の電圧値から該第1の電圧値よりも低い前記第2の電圧値に変更し、前記第1の周波数よりも高い前記第2の周波数を有する前記第1の交流電圧の出力を開始させること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記潜像担持体を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段に対して帯電バイアスを印加する第2の電圧印加手段と、
を更に備えており、
前記制御手段は、前記帯電バイアスを第3の電圧値から該第3の電圧値よりも低い第4の電圧値に変更すること、
を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記帯電バイアスの前記第3の電圧値から前記第4の電圧値への変更を開始したときに前記潜像担持体の前記帯電手段に対向している部分が該潜像担持体と前記現像剤担持体とが対向している位置を通過した後に、前記第1の直流電圧の前記第1の電圧値から前記第2の電圧値への変更を開始すること、
を特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記画像データに基づいてスクリーン線数を第1のスクリーン線数から該第1のスクリーン線数よりも高い第2のスクリーン線数に変更する場合には、前記第1の周波数を有する前記第1の交流電圧の出力の停止を開始した後に、前記第1の直流電圧を前記第1の電圧値から該第1の電圧値よりも高い前記第2の電圧値に変更し、前記第1の周波数よりも低い前記第2の周波数を有する前記第1の交流電圧の出力を開始させること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記潜像担持体を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段に対して帯電バイアスを印加する第2の電圧印加手段と、
を更に備えており、
前記制御手段は、前記帯電バイアスを第3の電圧値から該第3の電圧値よりも高い第4の電圧値に変更すること、
を特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記帯電バイアスの前記第3の電圧値から前記第4の電圧値への変更を開始したときに前記潜像担持体の前記帯電手段に対向している部分が該潜像担持体と前記現像剤担持体とが対向している位置を通過する前に、前記第1の直流電圧の前記第1の電圧値から前記第2の電圧値への変更を開始すること、
を特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−25225(P2013−25225A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161897(P2011−161897)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】