説明

画像形成装置

【課題】ライフサイクルを通して環境負荷を低減できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】本願発明の画像形成装置1は、記録材Pを給紙する給紙部7と、画像データに応じたトナー像を記録材Pに印刷する画像形成部6とを備える。前記画像形成部6の最大通紙幅を、前記給紙部7に収容される最大サイズの記録材Pの長辺寸法Lに対応させる。前記最大サイズの記録材Pを長辺側から前記画像形成部6に進入させるように、前記画像形成部6を前記給紙部7の上方に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、画像形成装置に関するものである。画像形成装置には、複写機、プリンター、ファクシミリ及びこれらの機能を複合的に備えた複合機といった各種のものが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式を採用した画像形成装置は、記録材を給紙する給紙部と、画像データに応じたトナー像を記録材に印刷する画像形成部とを備えている。画像形成部での印刷態様としては、公知の電子写真方式によって、給紙部から給紙された記録材に感光体ドラム上のトナー像を静電的に転写してから、転写後の記録材を定着部に搬送して加熱及び加圧し、トナー像を記録材に定着させるのが一般的である。
【0003】
この種の画像形成装置では、画像形成部の最大通紙幅(記録材の搬送方向と直交する幅方向寸法の最大値)によって、印刷可能な画像の幅寸法が決まる。このため、製造コスト抑制の観点に鑑み、画像形成部の最大通紙幅を、給紙部に収容される最大サイズの記録材の短辺寸法に合わせ、最大サイズの記録材を短辺側から画像形成部に通紙するという構成を採用するのが通常であった(例えば特許文献1及び2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−328334号公報
【特許文献2】特開2005−115084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、地球環境問題への注目度が社会的に高まり、工場における生産活動の及ぼす環境への配慮だけでなく、工業製品のライフサイクル全体で環境負荷を低減することが要請されている。しかし、前記従来の画像形成装置は、製造コスト抑制にのみ着目した構成であり、環境負荷に対する配慮は特になされていない。また、前記従来の構成では、最大サイズの記録材を印刷するにおいて、記録材1枚当りにその長辺寸法分の距離を搬送する時間を必要とするため、単位時間当りの印刷枚数が少なくなる傾向にある。この点、画像形成装置のプロセス速度を速めることも可能だが、そうすると、プロセス速度を速めた分だけ、電力の使用によるエネルギー消費量が増えると共に騒音も大きくなり、環境負荷が大きくなるという問題を招来するのであった。
【0006】
本願発明は、このような現状を改善して、ライフサイクルを通して環境負荷を低減できる画像形成装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る画像形成装置は、記録材を給紙する給紙部と、前記給紙部に収容される最大サイズの記録材の長辺寸法に最大通紙幅を対応させ、且つ、前記最大サイズの記録材を長辺側から進入させるように前記給紙部の上方に配置された画像形成部とを備えているというものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した画像形成装置において、前記画像形成部は、前記給紙部のうち前記最大サイズの記録材における一方の長辺側に対応する長手一側部の上方に配置されているというものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載した画像形成装置において、原稿台に載置される最大サイズの原稿の長辺方向を前記画像形成部の通紙幅方向及び前記給紙部の長辺方向に直交させるように、前記画像形成部の上方に配置された画像読取部と、前記画像読取部と前記画像形成部との間に配置され、印刷済の記録材を排出する排紙貯留部とを更に備えているというものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載した画像形成装置において、前記給紙部のうち前記最大サイズの記録材における一方の短辺側に対応する短手一側部の外側面よりも外側に突出しないように、前記画像読取部の近傍に配置された入力操作用の操作部を更に備えているというものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2から4のうちいずれかに記載した画像形成装置において、前記各部に電力を供給する電源装置と、前記各部の作動全般を司る制御装置とのうち少なくとも一方が、前記給紙部を挟んで前記画像形成部の反対側に配置されているというものである。
【発明の効果】
【0012】
本願の請求項に記載された発明によると、画像形成部の最大通紙幅を、前記給紙部に収容される最大サイズの記録材の長辺寸法に対応させ、前記最大サイズの記録材を長辺側から前記画像形成部に進入させるように、前記画像形成部が給紙部の上方に配置されているから、前記最大サイズの記録材を印刷するにおいて、前記記録材はその短辺寸法に沿って搬送されることになる。このため、記録材を長辺方向に沿って搬送する従来の場合と比べて、画像形成装置のプロセス速度が同じであれば、前記画像形成部等を駆動させる時間を大幅に短くできることになり、電力の使用によるエネルギー消費量を抑制できると共に騒音も低減でき、環境負荷の低減が可能になる。また、同じプロセス速度であれば、印刷処理時間が短辺寸法分の搬送時間で済むため、単位時間当りの印刷枚数も増やせることになる。一方、消費電力が従来と同じであれば、より高速なプロセス速度にでき、画像形成装置の印刷処理能力を向上できる。従って、従来と同じプロセス速度であれば、環境負荷の低減を実現でき、従来と同じ消費電力であれば、画像形成装置の印刷処理能力向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】MFPの外観斜視図である。
【図2】ADFを省略した状態でのMFPの平面図である。
【図3】MFPの右側面図である。
【図4】装置本体の内部構造を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「上下」等)を用いる場合は、図4で紙面に直交する方向を正面視とし、この方向を基準にしている。これらの用語は説明の便宜のために用いたものであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
はじめに、図1−図3を参照しながら、画像形成装置の一例としての複合機1(以下、MFPという)の概要を説明する。MFP1は、コピー機能、スキャナー機能、プリンター機能、ファックス機能といった多くの機能を有するものであり、例えばLANや電話回線といったネットワーク(通信網)を介してのデータ送受信が可能になっている。すなわち、MFP1は、原稿から読み取った画像データをネットワーク経由で他のコンピューターに出力したり、ネットワーク経由で他のコンピューターから画像データを入力して該画像データに基づく印刷を実行したり、FAXデータの送受信をしたりできるものである。
【0016】
MFP1における装置本体2の上部に、スキャナー部3と自動原稿搬送部4(以下、ADFという)とからなる画像読取部5が設けられている。画像読取部5は、スキャナー部3とADF4とを同期して作動させ、ADF4にセットされた原稿1枚ずつから画像を光学的に読み取ることにより、画像データを取得するように構成されている。すなわち、ADF4はスキャナー部3に向けて原稿を1枚ずつ搬送し、スキャナー部3は、原稿が所定の読取位置を通過する際に画像を読み取って、画像データを取得するように構成されている。
【0017】
装置本体2の下部には、記録材Pを収容する給紙部7が設けられている。装置本体2のうち画像読取部5と給紙部7との間には、公知の電子写真方式によって画像データに応じたトナー像を記録材Pに印刷する画像形成部6が設けられている。すなわち、給紙部7の上方に画像形成部6が位置し、画像形成部6の上方に画像読取部5が位置している。給紙部7は記録材Pを1枚ずつ画像形成部6に供給し、画像形成部6は画像読取部5やネットワーク経由で取得された画像データに基づき、記録材P上にトナー像を印刷するように構成されている。装置本体2のうち画像読取部5と画像形成部6との間にある凹みスペースは排紙貯留部8である。画像形成部6にてトナー像が印刷された記録材Pは排紙貯留部8に排出される。
【0018】
装置本体2の正面側(前面側)には、複数のキー(ボタン)を有する操作部としての操作パネル9が設けられている。ユーザーは、操作パネル9の表示画面等を見ながらキー操作をすることによって、MFP1の各種機能の中から選択した機能について設定操作をしたり、MFP1に作業実行を指示したりできる。
【0019】
MFP1はいわゆるA4対応機であり、給紙部7には、最大でA4サイズの記録材Pを、画像形成部6に長辺側から進入する横送りの姿勢で収容することが可能である。この場合、A4横の記録材Pの長辺寸法L(幅寸法)は297mm、短辺寸法N(搬送方向寸法)は210mmである。
【0020】
次に、図4等を参照しながら、装置本体2の内部構造について説明する。装置本体2の上部にある画像読取部5のうちスキャナー部3は、上面側にプラテンガラス12(図2参照)を有する原稿台11と、原稿Dに対して光を照射する光源装置13と、原稿Dからの反射光を画像データに光電変換するイメージセンサー14と、反射光をイメージセンサー14上に結像させる結像レンズ15と、原稿Dからの反射光を順次反射させて結像レンズ15に入射させるミラー群16とを備えている。光源装置13、イメージセンサー14、結像レンズ15及びミラー群16は原稿台11の内部に設けられている。
【0021】
プラテンガラス12上の原稿Pを読み取る場合は、光源装置13から原稿Dに光が照射される。原稿Dから反射した反射光は、ミラー群16で順次反射されて結像レンズ15に入射し、イメージセンサー14上に結像される。イメージセンサー14は、入射光の強さに応じて画素毎に光電変換を実行して、原稿Dの画像に対応した画像信号(RGB信号)を生成し、後述する制御装置42に出力される。
【0022】
原稿台11の上面側にADF4が開閉可能に設けられている。ADF4は、プラテンガラス12上の原稿Pに覆い被さることによって原稿Pをプラテンガラス12に密着させる働きも有する。ADF4は、原稿載置トレイ17と原稿排出トレイ18とを備えている。原稿載置トレイ17に載置された原稿Dを読み取る場合、当該原稿Dは複数のローラー等で構成される原稿搬送機構19によって読取位置に搬送される。このとき、光源装置13から原稿Dの読取位置部分に光が照射され、その反射光がミラー群16及び結像レンズ15を介してイメージセンサー14上に結像される。そして、イメージセンサー14が原稿Dの画像に対応した画像信号(RGB信号)に変換して、当該画像信号を制御装置42に出力する。その後、原稿Dは原稿排出トレイ18に排出される。
【0023】
A4サイズの原稿Dを画像読取部5にて読み取る際は、装置本体2の正面側から見て、原稿Dをその長辺方向が装置本体2の左右方向に沿うようにセットする。すなわち、長辺方向が画像形成部6の通紙幅方向(装置本体2の前後方向)に直交するように、原稿Dをセットすることになる。ADF4における原稿載置トレイ17上の原稿Dは、短辺側から縦送りの姿勢で、装置本体2の左右方向に搬送される。このことから分かるように、画像読取部5の長辺方向は装置本体2の左右方向に沿い、短辺方向は装置本体2の前後方向に沿うことになる。
【0024】
図4に示すように、画像形成部6は、周知の電子写真方式によって、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を記録材Pに転写してから、転写後の記録材Pを定着器28に搬送して加熱及び加圧し、トナー像を記録材Pに定着させるものである。感光体ドラム21の周囲には、その回転方向(図4の反時計方向)に沿って順に、帯電器22、露光器23、現像器24、転写ローラー25、分離器26及びクリーナー27が配置されている。
【0025】
帯電器22は感光体ドラム21の表面を一様に帯電させる。露光器23は感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成させる。現像器24は感光体ドラム21上の静電潜像をトナー像(可視像)に現像する。転写ローラー25は感光体ドラム21上のトナー像を記録材Pに転写させる。感光体ドラム21と転写ローラー25との当接部分が転写位置である。分離器26は感光体ドラム21と記録材Pとを分離させる。クリーナー27は感光体ドラム21上に残った未転写トナーを除去する。なお、感光体ドラム21や転写ローラー25等の最大通紙幅(記録材Pの搬送方向と直交する幅方向寸法の最大値)は、A4横の記録材Pに転写可能なように、A4横の記録材Pの長辺寸法L(=297mm)よりも若干長い。
【0026】
定着器28は、ハロゲンランプ等の定着ヒーターを内蔵した定着ローラーと、定着ローラーに対峙する加圧ローラーとを備えている。定着ローラーと加圧ローラーとの当接部分が定着位置である。制御装置42にて定着ヒーターへの通電が制御され、定着ヒーターが定着に必要な温度に維持される。なお、定着器28の最大通紙幅も、A4横の記録材Pを加熱及び加圧可能なように、A4横の記録材Pの長辺寸法L(=297mm)より若干長い。感光体ドラム21や転写ローラー25等の最大通紙幅、並びに定着器28の最大通紙幅の関係から分かるように、実施形態では、画像形成部6の最大通紙幅がA4横の記録材Pに印刷可能な長さに設定されている。
【0027】
図4に示すように、給紙部7は、記録材Pを収容する複数段の給紙カセット31、各給紙カセット31内の記録材Pを最上層から繰り出す繰り出しローラー32、繰り出された記録材Pを1枚ずつに分離する分離ローラー対33、繰り出された記録材Pを転写位置に送り出すタイミングをとるレジストローラー対34等を備えている。各給紙カセット31内の記録材Pは、対応する繰り出しローラー32及び分離ローラー対33の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、給紙路R1経由で主搬送路R0に向けて送り出される。主搬送路R0は画像形成(印刷)の工程を経る記録材Pの主たる通り道である。給紙路R1は給紙カセット31毎に設けられる。各給紙路R1はレジストローラー対34の搬送上流側で主搬送路R0に合流している。
【0028】
図2に示すように、給紙カセット31の長辺方向は装置本体2の前後方向に沿わせている。A4サイズの記録材Pの長辺方向は、給紙カセット31に収容された状態で装置本体2の前後方向に沿うことになる。従って、A4サイズの記録材Pは、長辺側から横送りの姿勢で画像形成部6に進入することになる。
【0029】
また、図2から分かるように、給紙カセット31の長辺方向は、画像読取部5の長辺方向と直交する位置関係になっている。この点からも明らかなように、装置本体2において画像読取部5を構成する上半部の前後寸法は、給紙カセット31等を内蔵した下半部の前後寸法に比べて短くなっており、平面視で前記上半部の前後には、前記下半部の外形との関係で空きスペースSが形成されている。実施形態では、画像読取部5の近傍である前側の空きスペースSに、操作部としての操作パネル9が、給紙部7のうち装置本体2の左右方向に沿う短手一側部(実施形態では前面部)の外側面よりも外側に突出しないように配置されている(図3参照)。給紙部7の短手一側部は、A4サイズの記録材Pにおける一方の短辺側に対応する部分である。操作パネル9の前端側は装置本体2(給紙部7)の前面より内側に位置し、操作パネル9全体が前側の空きスペースS内に収まっている。
【0030】
図4に示すように、給紙部7の上方に画像形成部6が配置され、画像形成部6の上方に排紙ローラー対36が配置されている。主搬送路R0は、下から上の縦方向に記録材Pを搬送するように構成されている。この場合、画像形成部6は給紙カセット31のうち装置本体2の前後方向に長い長手一側部(実施形態では長手右側部)の上方に配置されている。給紙カセット31の長手一側部は、A4サイズの記録材Pにおける一方の長辺側に対応する部分である。従って、実施形態の画像形成部6は、装置本体2内の右方に片寄って配置されている。画像形成部6だけでなく主搬送路R0、排紙ローラー対36及び循環搬送部37も、装置本体2内の右方に片寄って配置されている。
【0031】
装置本体2における左右方向の一側部(実施形態では右側部)には、外部から所定サイズの記録材Pを給紙可能な手差しトレイ35が設けられている。手差しトレイ35は、装置本体2内にある通常の給紙部7とは別に補助的に設けられたものであり、装置本体2における左右方向の一側部に対して開閉回動可能に取り付けられている。手差しトレイ35上の記録材Pは、ピックアップローラー等の回転駆動によって、最上層のものから1枚ずつ、手差し給紙路R1′経由で主搬送路R0に向けて送り出される。
【0032】
主搬送路R0のうち定着器28よりも下流側には、印刷済の記録材Pを排出する排紙ローラー対36が配置されている。印刷済の記録材Pは、排紙ローラー対36の回転駆動によって排紙貯留部8に排出される。
【0033】
実施形態の装置本体2内には、片面印刷後の記録材Pを表裏反転させて両面印刷するための循環搬送部37が設けられている。循環搬送部37は、片面印刷後の記録材Pを表裏反転させる反転ローラー対と、複数組の両面搬送ローラー対38とを備えている。循環搬送部37では、片面印刷後の記録材Pを表裏反転させ、循環搬送路R2を介して再びレジストローラー対34まで搬送させる。この場合、排紙ローラー対36を正逆回転可能に構成することによって、排紙ローラー対36に反転ローラー対の機能を兼用させている。排紙ローラー対36の正逆回転によって、記録材PをMFP1外に排出したり、スイッチバック(逆送)してMFP1内に戻したりできる。循環搬送路R2の上流側は、主搬送路R0のうち定着器28と排紙ローラー対36との間から分岐している。循環搬送路R2の下流側は、レジストローラー対34の上流側に合流している。
【0034】
装置本体2の各部(例えば画像読取部5、画像形成部6及び給紙部7等)に電力を供給する電源装置41と、前記各部の作動全般を司る制御装置42とのうち少なくとも一方が、給紙部7を挟んで画像形成部6の反対側に配置されている。実施形態では、電源装置41が給紙部7を挟んで画像形成部6の反対側(装置本体2内の左側)に位置している。制御装置42は最上段の給紙カセット31の上方に位置している。なお、電源装置41と制御装置42とが実施形態の逆の配置関係になっていてもよいし、例えば給紙部7を挟んで画像形成部6の反対側(装置本体2内の右側)に、電源装置41と制御装置42とが前後に並んで配置されていてもよい。
【0035】
MFP1による印刷動作を簡単に説明する。MFP1は、開始信号や画像信号等を受信して印刷動作を開始する。片面印刷の場合、給紙部7(給紙カセット31又は手差しトレイ35)から繰り出された記録材Pは、主搬送路R0に沿って画像形成部6に搬送される。画像形成部6では、感光体ドラム21上のトナー像の先端が転写位置に達するタイミングに合わせて、記録材Pがレジストローラー対34にて転写位置に搬送され、感光体ドラム21上のトナー像が記録材Pに転写される。転写後に感光体ドラム21上に残った未転写トナーは、クリーナー27にて掻き取られ、感光体ドラム21上から取り除かれる。片面に未定着トナー像を載せた記録材Pは、定着器28の定着位置を通過する際に加熱及び加圧され、未定着トナー像を定着される。トナー像定着後(片面印刷後)の記録材Pは排紙貯留部8に排出される。両面印刷の場合は、片面印刷後の記録材Pを両面印刷用の循環搬送路R2に搬送して裏返しにし、再び主搬送路R0に戻すことによって、記録材Pの他面にトナー像を転写及び定着させることになる。
【0036】
以上の構成によると、画像データに応じたトナー像を記録材Pに印刷する画像形成部6の最大通紙幅を、給紙部7に収容される最大サイズの記録材Pの長辺寸法Lに対応させ、最大サイズの記録材Pを長辺側から画像形成部6に進入させるように、画像形成部6が給紙部7の上方に配置されているから、最大サイズの記録材Pを印刷するにおいて、記録材Pはその短辺方向に沿って搬送されることになる。このため、記録材Pを長辺方向に沿って搬送する従来の場合と比べて、MFP1のプロセス速度が同じあれば、画像形成部6等を駆動させる時間を大幅に短くできることになり、電力の使用によるエネルギー消費量を抑制できると共に騒音も低減でき、環境負荷の低減が可能になる。また、同じプロセス速度であれば、印刷処理時間が短辺寸法N分の搬送時間で済むため、単位時間当りの印刷枚数も増やせることになる。一方、消費電力が従来と同じであれば、より高速なプロセス速度にでき、MFP1の印刷処理能力を向上できる。従って、従来と同じプロセス速度であれば、ライフサイクルを通して環境負荷の低減を実現でき、従来と同じ消費電力であれば、MFP1の印刷処理能力向上を実現できる。
【0037】
また、原稿台11に載置される最大サイズの原稿Dの長辺方向を、画像形成部6の通紙幅方向及び給紙部7の長辺方向に直交させるように、画像読取部5が画像形成部6の上方に配置されており、画像読取部5と画像形成部6との間に、印刷済の記録材Pを排出する排紙貯留部8が配置されているから、画像読取部5の短辺方向の前後には、給紙部7の長辺方向との関係で空きスペースSが形成されることになる。このため、画像読取部5で排紙貯留部8を覆い隠す範囲を少なくでき、印刷済の記録材Pが排紙貯留部8上にあるかないかを視認し易いのである。
【0038】
更に、ユーザーの入力操作が可能な操作パネル9を備えており、操作パネル9は、給紙部7のうち最大サイズの記録材Pにおける一方の短辺側に対応する短手一側部の外側面よりも外側に突出しないように、画像読取部5の近傍に配置されているから、前記空きスペースSを有効利用して操作パネル9を配置できると共に、MFP1周辺を通る際等に操作パネル9の存在が邪魔にならないのである。
【0039】
しかも、装置本体2内の各部に電力を供給する電源装置41と、装置本体2内の各部5−8の作動全般を司る制御装置42とのうち少なくとも一方が、給紙部7を挟んで画像形成部6の反対側に配置されているから、記録材Pを長辺側から搬送する関係で、給紙部7を挟んで画像形成部6の反対側に形成された余裕スペースを有効利用して、電源装置41や制御装置42を収容できる。その結果、MFP1内部の無駄なスペースを少なくでき、MFP1全体のコンパクト化を図れるのである。
【0040】
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば、画像形成装置としてMFP1を例に説明したが、これに限らず、プリンター等でも構わない。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 MFP(画像形成装置)
2 装置本体
5 画像読取部
6 画像形成部
7 給紙部
8 排紙貯留部
9 操作パネル(操作部)
28 定着器
31 給紙カセット
41 電源装置
42 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材を給紙する給紙部と、
前記給紙部に収容される最大サイズの記録材の長辺寸法に最大通紙幅を対応させ、前記最大サイズの記録材を長辺側から進入させるように前記給紙部の上方に配置された画像形成部
とを備えている、
画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部は、前記給紙部のうち前記最大サイズの記録材における一方の長辺側に対応する長手一側部の上方に配置されている、
請求項1に記載した画像形成装置。
【請求項3】
原稿台に載置される最大サイズの原稿の長辺方向を前記画像形成部の通紙幅方向及び前記給紙部の長辺方向に直交させるように、前記画像形成部の上方に配置された画像読取部と、
前記画像読取部と前記画像形成部との間に配置され、印刷済の記録材を排出する排紙貯留部
とを更に備えている、
請求項2に記載した画像形成装置。
【請求項4】
前記給紙部のうち前記最大サイズの記録材における一方の短辺側に対応する短手一側部の外側面よりも外側に突出しないように、前記画像読取部の近傍に配置された入力操作用の操作部
を更に備えている、
請求項3に記載した画像形成装置。
【請求項5】
前記各部に電力を供給する電源装置と、前記各部の作動全般を司る制御装置とのうち少なくとも一方が、前記給紙部を挟んで前記画像形成部の反対側に配置されている、
請求項2から4のうちいずれかに記載した画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−3355(P2013−3355A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134527(P2011−134527)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】