説明

画像形成装置

【課題】シートトレイが揺動可能な構造において、シートサイズによらずに、シートを安定して搬送することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置は、シートが載置されるシートトレイと、シートトレイを揺動可能に支持する装置本体と、揺動するシートトレイ内のシートの一端部が付勢されるピックアップローラを備える。シートトレイは、シートの端部位置を規制するガイド部材と、ガイド部材の移動に連動してシートトレイの揺動支点および重心の少なくとも一方の位置を移動させることで、シートトレイ内のシートからピックアップローラに加わる力がシートサイズに応じて変化するのを抑える抑制機構とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に揺動可能に支持されるシートトレイを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、用紙を収容する給紙トレイを装置本体で揺動可能に支持して、用紙を含めた給紙トレイ全体の重さを利用して給紙トレイ内の用紙をピックアップローラに付勢するものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−116635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、用紙サイズが変わると、給紙トレイ全体の重心位置が変わり、ピックアップローラへの付勢力が変化するので、用紙サイズによっては用紙を良好に搬送することができなくなるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、給紙トレイ(シートトレイ)が揺動可能な構造において、用紙サイズ(シートサイズ)によらずに、用紙(シート)を安定して搬送することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、シートが載置されるシートトレイと、前記シートトレイを揺動可能に支持する装置本体と、前記装置本体のうち前記シートトレイの揺動する一端部の上方に配置され、揺動する前記シートトレイ内のシートの一端部が付勢されるピックアップローラと、を備える。
前記シートトレイは、前記シートトレイの底部に移動可能に設けられ、前記シートの端部位置を規制するガイド部材と、前記ガイド部材の移動に連動して前記シートトレイの揺動支点および重心の少なくとも一方の位置を移動させることで、前記シートトレイ内のシートから前記ピックアップローラに加わる力がシートサイズに応じて変化するのを抑える抑制機構とを備えている。
【0007】
この構成によれば、シートサイズを変えた場合であっても、抑制機構によってシートトレイの揺動支点および重心の少なくとも一方の位置を移動させることでピックアップローラに加わる力が変化するのを抑えることができるので、シートサイズによらずにピックアップローラで安定してシートを搬送することができる。
【0008】
また、前記構成において、前記抑制機構は、前記シートトレイに対して前記シートの搬送方向に移動可能で、かつ、前記揺動支点となる支点部と、シートサイズが小さくなる方向に前記ガイド部材を移動させるときに、前記支点部が前記搬送方向の下流側に移動するように、前記ガイド部材と前記支点部とを連動させる支点連動機構とを備え、前記装置本体に、前記支点部を支持する複数の支持部を設けてもよい。
【0009】
これによれば、支点部の移動によってシートトレイの揺動支点を基準とした重量バランスを変えることができるので、ピックアップローラに加わる力が変化するのを抑えることができる。
【0010】
また、前記構成において、前記支点連動機構は、前記ガイド部材に当接する前記シートの前記搬送方向における中央部に前記支点部が位置するように、前記ガイド部材と前記支点部とを連動させるように構成されているのが望ましい。
【0011】
これによれば、シートサイズが変わっても、各シートの支点部を基準とした重量バランスが釣り合うので、シートの重さを無視することができ、ピックアップローラに加わる力の調整を錘部材などを用いて簡単に行うことができる。また、印字に伴ってシートの数が減っても、支点部を基準とした重量バランスが変わらないので、シートの数の減少に伴ってピックアップローラに加わる力が変化することも抑えることができる。
【0012】
また、前記構成において、前記ガイド部材は、前記シートの搬送方向に移動可能であるとともに、前記シートの搬送方向上流側の端部に当接する上流側ガイドであり、前記支点連動機構は、前記シートトレイに前記搬送方向に沿って形成されたトレイ側ラック部と、前記上流側ガイドに前記搬送方向に沿って形成されたガイド側ラック部と、前記ガイド側ラック部と前記トレイ側ラック部との間に設けられ、各ラック部に噛み合いながら転動する転動ギヤと、前記転動ギヤを回転可能に支持するとともに、前記シートトレイに対して前記搬送方向に移動可能に設けられる移動フレームと、を備え、前記支点部が前記移動フレームに設けられているのが望ましい。
【0013】
これによれば、簡単な構成で、上流側ガイドの移動量と支点部の移動量に差を付けることができる。
【0014】
また、前記構成において、前記上流側ガイドに、錘部材を設け、前記上流側ガイドを搬送方向下流側に移動させると、前記支点部が搬送方向下流側に移動するとともに、前記錘部材が搬送方向下流側に移動するように構成するのが望ましい。
【0015】
支点部を移動させる構造では、シートトレイの形状や構造によっては、支点部の位置を搬送方向下流側に移動させると、シートトレイの支点部よりも搬送方向上流側の部位に対して働く自重による下向きの力が強くなり、ピックアップローラへの付勢力が強くなることがある。しかし、この構成によれば、支点部を搬送方向下流側へ移動させる際には、錘部材も搬送方向下流側に移動するので、搬送方向上流側の部位に働く下向きの力が大きくなりすぎるのを抑制し、ピックアップローラへの付勢力の変化を抑制することができる。
【0016】
また、前記構成において、前記上流側ガイドのうち前記搬送方向下流側の端部に、前記支点部を基準とした前記シートトレイ自体の重量バランスを釣り合わせるための第1錘部材を設け、前記搬送方向上流側の端部に、前記シートトレイ内のシートを前記ピックアップローラに付勢するための第2錘部材を設けるのが望ましい。
【0017】
これによれば、シートサイズが変わっても、第1錘部材によってシートトレイ自体の重量バランスが釣り合うので、ピックアップローラに加わる力が変化するのをより抑えることができる。また、ピックアップローラへの付勢力が第2錘部材の重さに対応した力になるので、第2錘部材の重さを変えるだけで好ましい付勢力を簡単に得ることができる。
【0018】
また、本発明は、揺動支点を変えずに重心の位置のみを移動させてもよい。具体的には、前記構成において、前記抑制機構が、前記シートトレイに対して前記シートの搬送方向に移動可能な錘部材と、シートサイズが小さくなる方向に前記ガイド部材を移動させるときに、前記錘部材が前記搬送方向上流側に移動するように、前記ガイド部材と前記錘部材とを連動させる錘連動機構とを備えるように構成されていてもよい。
【0019】
これによれば、シートサイズの変更に伴うシートトレイ全体の重心位置の変化を、錘部材の移動によって抑えることができるので、ピックアップローラに加わる力が変化するのを抑えることができる。
【0020】
また、前記構成において、前記錘部材は、前記シートトレイの前記搬送方向上流側の端部から前記揺動支点までの範囲内で移動可能に設けられるのが望ましい。
【0021】
これによれば、錘部材が揺動支点を跨いで搬送方向上流側と下流側とに移動可能な構造に比べ、ピックアップローラに加わる力の調整を行いやすいので、構造を簡易化することができる。
【0022】
また、前記構成において、前記錘連動機構は、ラックアンドピニオン機構であるのが望ましい。
【0023】
これによれば、簡易な構成で錘連動機構を構成することができる。
【0024】
また、前記構成において、前記シートトレイは、前記装置本体に対して着脱可能であるのが望ましい。
【0025】
これによれば、ユーザがシートトレイにシートを容易にセットすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、シートトレイが揺動可能な構造において、シートサイズによらずに、シートを安定して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係るカラープリンタを簡略的に示す図である。
【図2】リアガイドおよびサイドガイドをA4サイズの用紙に合わせた状態の給紙トレイを示す斜視図である。
【図3】リアガイドおよびサイドガイドをA5サイズの用紙に合わせた状態の給紙トレイを示す斜視図である。
【図4】リアガイドおよびサイドガイドをA6サイズの用紙に合わせた状態の給紙トレイを示す斜視図である。
【図5】分解した給紙トレイを左斜め上方から見た斜視図である。
【図6】分解した給紙トレイを右斜め下方から見た斜視図である。
【図7】図8のI−I断面図である。
【図8】給紙トレイの一部を破断して示す平面図である。
【図9】リアガイドを図8の状態から後方に移動した状態を示す平面図である。
【図10】A4サイズの用紙を収容した給紙トレイを示す側面図(a)と、断面図(b)である。
【図11】A5サイズの用紙を収容した給紙トレイを示す側面図(a)と、断面図(b)である。
【図12】A6サイズの用紙を収容した給紙トレイを示す側面図(a)と、断面図(b)である。
【図13】重心のみを移動させる形態を示す説明図(a),(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1の概略構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分について詳細に説明する。
【0029】
また、以下の説明において、方向は、カラープリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0030】
図1に示すように、カラープリンタ1は、装置本体10内に、給紙ユニット30と、4つのLEDユニット40と、4つのプロセスカートリッジ50と、転写ユニット60と、定着ユニット70とを備えている。
【0031】
装置本体10の上部には、装置本体10から排出されたシートの一例としての用紙Sが載置される排紙トレイ12が設けられている。
【0032】
給紙ユニット30は、装置本体10内の下部に設けられ、用紙Sが載置されるシートトレイの一例としての給紙トレイ100と、給紙トレイ100から用紙Sを転写位置(中間転写ベルト63と2次転写ローラ65との間)に搬送する給紙機構31とを備えている。
【0033】
給紙トレイ100は、装置本体10に対して着脱可能となっている。これにより、ユーザが給紙トレイ100に用紙Sを容易にセットすることが可能となっている。なお、給紙トレイ100の構造については、後で詳述する。
【0034】
給紙機構31は、給紙トレイ100の後側に設けられ、ピックアップローラ32と、分離ローラ33と、分離パッド34と、一対の紙粉取りローラ35と、一対のレジストローラ36とを備えている。
【0035】
ピックアップローラ32は、給紙トレイ100から用紙Sを送り出すためのローラであり、給紙トレイ100内に積層された用紙Sの搬送方向下流側の端部の上方に配置されている。分離ローラ33および分離パッド34は、ピックアップローラ32から搬送されてくる用紙Sが複数枚重なっている場合に用紙Sを1枚ずつに分離する機構であり、ピックアップローラ32の搬送方向下流側に設けられている。
【0036】
一対の紙粉取りローラ35は、分離ローラ33から搬送されてくる用紙S上の紙粉を除去するローラであり、分離ローラ33の搬送方向下流側に設けられている。一対のレジストローラ36は、紙粉取りローラ35から搬送されてくる用紙Sの先端の位置を揃えて用紙Sを転写位置に送り出すためのローラであり、紙粉取りローラ35よりも搬送方向下流側、かつ、転写位置よりも搬送方向上流側に設けられている。
【0037】
このように構成される給紙ユニット30では、給紙トレイ100内の用紙Sが、ピックアップローラ32および分離ローラ33等によって1枚ずつ分離されて上方へ送られ、一対の紙粉取りローラ35の間を通過する過程で紙粉が除去される。その後、用紙Sは、レジストローラ36に搬送され、当該レジストローラ36によって先端の位置が揃えられた後、転写位置に搬送される。
【0038】
LEDユニット40は、感光ドラム51に対向して配置され、先端に図示しない複数のLEDが感光ドラム51の軸方向に配列されている。LEDユニット40は、画像データに基づいてLEDを明滅させることで、感光ドラム51の表面を露光する。
【0039】
プロセスカートリッジ50は、複数色のトナーに対応して複数設けられ、給紙ユニット30の上方で前後方向に並列されている。プロセスカートリッジ50は、感光ドラム51や、図示や符号を省略する公知の帯電器、現像ローラ、供給ローラ、層厚規制ブレード、トナー収容室などを備えて構成されている。
【0040】
転写ユニット60は、プロセスカートリッジ50の上方に設けられ、駆動ローラ61と、従動ローラ62と、駆動ローラ61および従動ローラ62の間に張設された無端状の中間転写ベルト63と、中間転写ベルト63を介して感光ドラム51と対向配置された4つの1次転写ローラ64と、中間転写ベルト63を介して駆動ローラ61と対向配置された2次転写ローラ65とを備えている。
【0041】
このようなプロセスカートリッジ50および転写ユニット60では、感光ドラム51の表面が、帯電器により一様に帯電された後、LEDユニット40によって露光されることで、感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容室内のトナーは、供給ローラを介して現像ローラの表面に担持される。
【0042】
現像ローラの表面に担持されたトナーは、現像ローラから感光ドラム51上の静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化されて感光ドラム51上にトナー像が形成される。各感光ドラム51上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト63上に順次重ね合わせて転写される。そして、給紙ユニット30から搬送された用紙Sが、中間転写ベルト63と2次転写ローラ65の間の転写位置を通過することで、中間転写ベルト63上のトナー像が用紙Sに転写される。
【0043】
定着ユニット70は、転写ユニット60の後側上方に設けられ、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向配置されて加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72とを備えている。定着ユニット70では、トナー像が転写された用紙Sが、加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過することでトナー像が熱定着される。そして、トナー像が熱定着された用紙Sは、装置本体10の外部に排出されて排紙トレイ12上に載置される。
【0044】
<給紙トレイ周りの構造>
次に、給紙トレイ100周りの構造について詳細に説明する。
図2に示すように、給紙トレイ100は、支点部132Bが装置本体10に回動可能に支持されることで、当該支点部132Bを揺動支点として前後端部が上下に揺動可能となっている。これにより、給紙トレイ100内の用紙S(図1参照)の後端部が、ピックアップローラ32に付勢されるようになっている。
【0045】
支点部132Bは、図3および図4に示すように、給紙トレイ100内の用紙Sのサイズに応じた位置に配置される上流側ガイド(ガイド部材)の一例としてのリアガイド141の前後方向への移動に応じて前後に移動可能となっている。また、リアガイド141には、後述する第1錘部材141D(図6参照)および第2錘部材としての規制壁141Aが設けられており、第1錘部材141Dおよび第2錘部材がリアガイド141とともに前後に移動可能となっている。
【0046】
これにより、給紙トレイ100は、用紙サイズに合わせて移動するリアガイド141の移動に連動して給紙トレイ100の揺動支点および重心の位置を移動させることで、給紙トレイ100内の用紙Sからピックアップローラ32に加わる力が用紙サイズに応じて変化するのを抑えることが可能となっている。詳しくは、以下の通りである。
【0047】
図5に示すように、給紙トレイ100は、略箱状のトレイ本体110と、トレイ本体110の後端に回動可能に設けられる回動フレーム120と、トレイ本体110に前後方向に移動可能に設けられる移動フレーム130と、移動フレーム130に設けられるガイド機構140とを備えている。
【0048】
トレイ本体110は、用紙Sが載置される底壁部111と、底壁部111の前端から上方に延びる前壁部112と、底壁部111の左右の端部から上方に延びる一対の側壁部113とを備え、後方および上方に開口した箱状に形成されている。底壁部111には、後述するリアガイド141を前後に移動可能に支持するスライド用長孔111Aと、後述する一対のサイドガイド143の前後左右の動きを許容するための一対の逃げ孔111Bと、後述する転動ギヤ142に噛み合うトレイ側ラック部111C(図6参照)とが設けられている。
【0049】
スライド用長孔111Aは、底壁部111の前端部の左右方向中央から底壁部111の前後方向の略中央部まで延びるように形成されている。また、スライド用長孔111Aの左右両側には、給紙トレイ100の重量バランスを調整するための複数の円孔111Dが形成されている。より具体的には、支点部132Bが給紙トレイ100の前後方向の中央に配置されたときに、給紙トレイ100自体(用紙Sや後述する錘部材を除く)の支点部132Bを基準とした重量バランスが釣り合うように、適切な位置に円孔111Dが形成されている。
【0050】
一対の逃げ孔111Bは、底壁部111の後部の左右方向外側にそれぞれ矩形状に形成されている。
【0051】
図6に示すように、トレイ側ラック部111Cは、底壁部111から下方に延びた後左右方向内側に延びる断面視L字状に形成されるとともに前後方向(用紙Sの搬送方向)に沿って延びる長尺状の部位であり、その先端部(左右方向内側の端部)にラック歯C1(図7参照)が形成されている。トレイ側ラック部111Cは、左右方向において、各逃げ孔111Bとスライド用長孔111Aとの間に1つずつ設けられている。
【0052】
また、トレイ側ラック部111Cは、その前端部が左右方向から見てスライド用長孔111Aの後端部と重なる位置まで形成されるとともに、その後端部が逃げ孔111Bの後端縁と略同じ位置まで形成されている。なお、トレイ側ラック部111Cの上端部(底壁部111との繋ぎ目)の左右方向内側には、トレイ成形時の型抜き用の孔111Eが形成されている。
【0053】
回動フレーム120は、左右に延びる長尺状の後壁部121と、後壁部121の左右の両端部から前方に延びる一対の側壁部122とを備えており、各側壁部122の内面の前側下部には、左右方向内側に突出する回動軸部122Aが形成されている。回動軸部122Aは、トレイ本体110の側壁部113に形成された支持孔113Aに回動可能に支持されている。
【0054】
そして、回動フレーム120は、図1に示すように、給紙トレイ100を装置本体10に装着したときに、装置本体10(詳しくは、後述するサイドフレーム11)に設けられる係合突起11Bに下側から係合するようになっている。これにより、装置本体10に装着した給紙トレイ100が用紙Sの減少により徐々に図示時計回りに揺動していく場合において、給紙トレイ100の後壁を構成する回動フレーム120が揺動しないので、回動フレーム120(給紙トレイ100の後側部分)がピックアップローラ32に干渉したり、用紙Sの搬送経路を塞ぐのを防止することが可能となっている。
【0055】
なお、図5に示すように、側壁部113の後端部には、他の部分よりも下方に凹んだ逃げ部113Bが形成されている。これにより、給紙トレイ100の揺動によって、側壁部113(給紙トレイ100の後側部分)がピックアップローラ32に干渉するのを防止することが可能となっている。
【0056】
移動フレーム130は、左右に延びる長尺状の下壁部131と、下壁部131の左右の両端部から上方に延びる一対の側壁部132とを備えている。下壁部131の左右方向中央部には、後述する一対の転動ギヤ142を回転可能に支持する一対の支持軸131Aと、後述するサイドガイドギヤ144を回転可能に支持する支持軸131Bとが上方に突出するように形成されている。
【0057】
一対の支持軸131Aは、下壁部131の前側に設けられ、後述するリアガイド141の左右両側に配置されるように左右に所定の間隔を空けて配置されている。支持軸131Bは、下壁部131の後側に設けられ、左右方向において一対の支持軸131Aの間に配置されている。
【0058】
一対の側壁部132の上端部には、左右方向内側に突出してトレイ本体110の一対の側壁部113の上面に係合するフランジ部132Aが形成されている。これにより、移動フレーム130が、トレイ本体110に対して前後方向に移動可能に設けられるようになっている。
【0059】
また、一対の側壁部132の左右方向外側の面の後側上部には、左右方向外側に突出する円柱状の支点部132Bが形成されている。これにより、移動フレーム130とともに支点部132Bが前後に移動可能となっている。より具体的には、リアガイド141をA4サイズの用紙Sに対応した最も後方の位置に配置したときに、支点部132Bが給紙トレイ100の前後方向の中央に配置され(図2参照)、その位置から、用紙サイズが小さくなるにつれ、支点部132Bが後方に移動するようになっている(図3,4参照)。
【0060】
ガイド機構140は、リアガイド141と、一対の転動ギヤ142と、一対のサイドガイド143と、サイドガイドギヤ144とを備えている。
【0061】
リアガイド141は、用紙Sの前端部(搬送方向上流側の端部)に当接して当該前端部の位置を規制する部材であり、トレイ本体110の底壁部111に前後方向へ移動可能に設けられている。具体的に、リアガイド141は、用紙Sの前端部に当接する規制壁141Aと、規制壁141Aの下端から後方に向けて延びるガイド側ラック部141Bとを備えて構成されている。
【0062】
規制壁141Aは、前後方向に直交するとともに左右方向に延びる板状に形成されており、トレイ本体110の底壁部111の上面に沿って前後に移動可能となっている。この規制壁141Aには、給紙トレイ100内の用紙Sをピックアップローラ32に付勢するための図示せぬ第2錘部材が内蔵されている。つまり、本実施形態では、規制壁141A自体が第2錘部材となっている。
【0063】
また、規制壁141Aの下端の中央部には、下方に突出する連結部141Cが形成されている。連結部141Cは、スライド用長孔111Aよりも僅かに小さな幅で形成されており、スライド用長孔111Aを通ってガイド側ラック部141Bに連結されている。なお、規制壁141A、ガイド側ラック部141Bおよび連結部141Cは一体に形成されていてもよいし、それぞれ別体に構成し、接着剤等で接合させてもよい。
【0064】
ガイド側ラック部141Bは、前後方向に沿って延びるとともに上下方向に直交するように形成される長尺の板状の部位であり、トレイ本体110の底壁部111の下面に沿って前後に移動可能となっている。そして、ガイド側ラック部141Bの左右の両端部には、転動ギヤ142に噛み合うラック歯B1(図7参照)が形成されている。
【0065】
また、図6に示すように、ガイド側ラック部141Bの後端部の下面には、支点部132Bを基準とした給紙トレイ100自体の重量バランスを釣り合わせるための第1錘部材141Dが設けられている。
【0066】
これにより、用紙サイズが変わっても、第1錘部材によって給紙トレイ100自体の重量バランスが釣り合うので、ピックアップローラ32に加わる力が変化するのをより抑えることが可能となっている。
【0067】
転動ギヤ142は、図7に示すように、ガイド側ラック部141Bとトレイ側ラック部111Cとの間に設けられ、各ラック部141B,111Cに噛み合いながら転動するように構成されている。具体的に、転動ギヤ142は、ガイド側ラック部141Bに噛み合う第1ギヤ部142Aと、トレイ側ラック部111Cに噛み合う第2ギヤ部142Bと、第1ギヤ部142Aと第2ギヤ部142Bの間に設けられるフランジ部142Cとを備えて構成されている。
【0068】
第1ギヤ部142Aと第2ギヤ部142Bは、同径に形成されており、第1ギヤ部142Aがフランジ部142Cの上側に配置され、第2ギヤ部142Bがフランジ部142Cの下側に配置されている。
【0069】
フランジ部142Cは、第1ギヤ部142Aおよび第2ギヤ部142Bよりも径方向外側に突出するように形成されるリング状のフランジであり、断面視L字状に形成されたトレイ側ラック部111Cの上に載置されている。また、フランジ部142Cによってリアガイド141のガイド側ラック部141Bが下から支持されている。
【0070】
以上のように転動ギヤ142が各ラック部141B,111Cに噛み合うことで、図8および図9に示すように、リアガイド141を前後に移動させると、転動ギヤ142もリアガイド141と同じ方向に移動するようになっている。そして、転動ギヤ142は、前述したように移動フレーム130の支持軸131Aに回転可能に支持されることで移動フレーム130と一体に前後動するようになっているので、リアガイド141を前後に動かすと、支点部132Bがリアガイド141と同じ方向に移動するようになっている。
【0071】
つまり、本実施形態では、転動ギヤ142と各ラック部141B,111Cと移動フレーム130によって、リアガイド141と支点部132Bとを連動させる支点連動機構が構成されている。そして、この支点連動機構によって、リアガイド141を後方(用紙サイズが小さくなる方向)に移動させるときに、支点部132Bが後方(搬送方向の下流側)に移動するようになっている。
【0072】
これにより、支点部132Bの移動によって給紙トレイ100の揺動支点を基準とした重量バランスを変えることができるので、ピックアップローラ32に加わる力が変化するのを抑えることが可能となっている。
【0073】
また、本実施形態では転動ギヤ142の第1ギヤ部142Aと第2ギヤ部142Bが同径であるため、リアガイド141は、転動ギヤ142の移動量の2倍の移動量で移動するようになっている。つまり、転動ギヤ142が1回転したときには、転動ギヤ142がその外径分の距離だけトレイ本体110に対して移動するとともに、リアガイド141が転動ギヤ142に対してその外径分の距離だけ移動する。そのため、トレイ本体110に対するリアガイド141の移動量は、トレイ本体110に対する転動ギヤ142の移動量と、転動ギヤ142に対するリアガイド141の移動量を足した量となるので、転動ギヤ142の移動量に対して2倍の移動量で移動するようになっている。
【0074】
したがって、リアガイド141を前後に動かすと、移動フレーム130に形成された支点部132Bがリアガイド141の移動量の半分の移動量で移動するようになっている。このようにリアガイド141の移動量と支点部132Bの移動量を2:1の比率にすることで、後で詳述するように、リアガイド141を用紙Sのサイズに合わせて移動させると、そのサイズの用紙Sの前後方向の中央部に支点部132Bを移動させることが可能となっている。
【0075】
これにより、用紙サイズが変わっても、各用紙Sの支点部132Bを基準とした重量バランスが釣り合うので、用紙Sの重さを無視することができ、ピックアップローラ32に加わる力の調整を第1錘部材141Dおよび第2錘部材(規制壁141A)用いて簡単に行うことが可能となっている。また、印字に伴って用紙Sの数が減っても、支点部132Bを基準とした用紙Sの重量バランスが変わらないので、用紙Sの数の減少に伴ってピックアップローラ32に加わる力が変化することも抑えることが可能となっている。
【0076】
図5に示すように、サイドガイド143は、用紙Sの左右の端部に当接して当該端部の位置を規制する部材であり、移動フレーム130の下壁部131に左右方向へ移動可能に設けられている。具体的に、サイドガイド143は、用紙Sの左右の端部に当接する規制壁143Aと、規制壁143Aの下端から左右方向内側に向けて延びるラック部143Bとを備えて構成されている。
【0077】
規制壁143Aは、左右方向に直交するとともに前後方向に延びる板状に形成されており、トレイ本体110の底壁部111の逃げ孔111Bから上方に突出して、トレイ本体110内で左右に移動可能となっている。規制壁143Aの下端の中央部には、下方に突出してラック部143Bに連結される連結部143Cが形成されている。
【0078】
ラック部143Bは、左右方向に沿って延びるとともに上下方向に直交するように形成される長尺の板状の部位であり、移動フレーム130の下壁部131に形成される図示せぬガイドリブなどで移動可能に支持されることで、トレイ側ラック部111Cと移動フレーム130の下壁部131の間で左右に移動可能となっている。そして、一対のサイドガイド143の各ラック部143Bは、前後方向で対向するように配置され、対向する側の端部には、サイドガイドギヤ144に噛み合う図示せぬラック歯が形成されている。
【0079】
サイドガイドギヤ144は、各ラック部143Bの間に配置され、各ラック部143Bに噛み合っている。これにより、一方のサイドガイド143の左右の移動に連動して、他方のサイドガイド143を移動させることが可能となっている。
【0080】
また、図2に示すように、装置本体10には、給紙トレイ100の左右両側に配置される一対のサイドフレーム11が設けられ、各サイドフレーム11の上端部には、支持部の一例としての複数の支持凹部11Aが形成されている。支持凹部11Aは、半円状に形成され、給紙トレイ100の支点部132Bを回動可能に支持している。各支持凹部11Aは、用紙サイズに対応して移動する支点部132Bの各位置に対応した位置に形成されている。
【0081】
また、各サイドフレーム11の後側上部には、給紙トレイ100の回動フレーム120に係合する係合突起11Bが左右方向内側に突出するように設けられている。
【0082】
本実施形態では、前述した支点連動機構と支点部132Bとリアガイド141(第2錘部材としての規制壁141Aと第1錘部材141D)とによって、給紙トレイ100内の用紙Sからピックアップローラ32に加わる力が用紙サイズに応じて変化するのを抑える抑制機構が構成されている。そして、この抑制機構では、リアガイド141を後方に移動させると、支点部132Bも後方に移動するとともに、錘部材(141A,141D)も後方に移動するようになっている。
【0083】
これにより、支点部132Bの後方への移動によって給紙トレイ100の支点部132Bよりも前側の部位に対して働く自重による下向きの力が強くなっても、錘部材が支点部132Bと同じ方向に移動するので、給紙トレイ100の前側の部位に働く下向きの力が大きくなりすぎるのを抑制し、ピックアップローラ32への付勢力の変化を抑制することが可能となっている。以下に、抑制機構による作用について、詳細に説明する。
【0084】
<抑制機構の作用>
図10(a),(b)に示すように、A4サイズの用紙Sを給紙トレイ100内にセットした場合には、リアガイド141が最も前方の位置に配置されることで、支点部132Bが給紙トレイ100の前後方向の中央に位置するので、給紙トレイ100自体の重量バランス(支点部132B周りのモーメント)が釣り合う。つまり、下記の式(1)が成り立つ。ここで、図10(b)等では、支点部132Bと力が加わる点を、目立たせるために、丸と十字にて表記している。
【0085】
Wc1・Lc1 = Wc2・Lc2 ・・・ (1)
Wc1:給紙トレイ100の支点部132Bよりも後側の部位の重心に加わる力
Lc1:Wc1の位置から支点部132Bまでの距離
Wc2:給紙トレイ100の支点部132Bよりも前側の部位の重心に加わる力
Lc2:Wc2の位置から支点部132Bまでの距離
【0086】
また、用紙Sの支点部132Bを基準とした重量バランスも、支点部132Bが用紙Sの中央に位置することにより、釣り合っている。さらに、第1錘部材141Dの位置は、支点部132Bに近いため、第1錘部材141Dの重心に加わる力Wr1が支点部132B回りのモーメントに与える影響は少なく、無視することができる。
【0087】
そして、ピックアップローラ32が用紙Sの後端部に位置することから、ピックアップローラ32から支点部132Bまでの距離Lpは、用紙Sの半分の長さLsと略同じであるため、用紙Sからピックアップローラ32に加わる力Pは、支点部132Bから用紙Sの半分の長さLsだけ離れた第2錘部材(規制壁141A)の重心に加わる力Wr2と略同じになる。詳しくは、下記の式(2)が成り立つ。
P = Wr2・Ls/Lp ≒ Wr2 ・・・ (2)
【0088】
以上により、A4サイズの用紙Sを給紙トレイ100内にセットした場合には、用紙Sからピックアップローラ32に加わる力Pを、第2錘部材(規制壁141A)の重心に加わる力Wr2と略同じにすることができる。これにより、ピックアップローラ32への付勢力が第2錘部材の重さと略同じ力になるので、第2錘部材の重さを変えるだけで好ましい付勢力を簡単に得ることができる。
【0089】
図11(a),(b)に示すように、A5サイズの用紙Sを給紙トレイ100内にセットし、リアガイド141をA5サイズに対応した位置に移動させた場合には、支点部132BがA5サイズの用紙Sの中央に対応した位置に移動する。これにより、用紙Sの支点部132Bを基準とした重量バランスが釣り合うこととなる。
【0090】
また、この際、給紙トレイ100自体の重量バランスは、下記の式(3)で表される。
Wc1・Lc1 < Wc2・Lc2 ・・・ (3)
つまり、支点部132Bの移動により、A4サイズのときと比べ、給紙トレイ100の支点部132Bよりも前側の部位が重くなっている。しかし、リアガイド141の移動により、第1錘部材141Dが支点部132Bよりも後方に離れた位置に配置されるので、この第1錘部材141Dによるモーメントが、給紙トレイ100の支点部132Bよりも後側の部位のモーメントに加算され、給紙トレイ100の重量バランスが釣り合うようになっている。
【0091】
つまり、本実施形態では、A5サイズと後述するA6サイズにおいて支点部132Bを基準とした給紙トレイ100の重量バランスが略釣り合うように、第1錘部材141Dの重さや位置(移動量)が設定されている。そのため、第1錘部材141Dと給紙トレイ100自体の重量バランスの関係が下記の式(4)で表されるようになっている。
Wr1・Lr + Wc1・Lc1 ≒ Wc2・Lc2 ・・・ (4)
【0092】
以上により、用紙SがA5サイズのときでも用紙Sと給紙トレイ100の重量バランスが釣り合うので、用紙Sからピックアップローラ32に加わる力Pは、A4サイズのときと同様に、支点部132Bから用紙Sの半分の長さLsだけ離れた第2錘部材(規制壁141A)の重心に加わる力Wr2と略同じになる。つまり、上記の式(2)が成り立つこととなる。
【0093】
図12(a),(b)に示すように、A6サイズの用紙Sを給紙トレイ100内にセットし、リアガイド141をA6サイズに対応した位置に移動させた場合には、支点部132BがA6サイズの用紙Sの中央に対応した位置に移動する。これにより、用紙Sの支点部132Bを基準とした重量バランスが釣り合うこととなる。
【0094】
また、前述したようにA6サイズのときでも、給紙トレイ100の重量バランスが釣り合うように第1錘部材141Dが構成されているので、第1錘部材141Dと給紙トレイ100自体の重量バランスの関係が上記の式(4)を満たすようになっている。
【0095】
以上により、用紙SがA6サイズのときでも用紙Sと給紙トレイ100の重量バランスが釣り合うので、用紙Sからピックアップローラ32に加わる力Pは、A4,A5サイズのときと同様に、支点部132Bから用紙Sの半分の長さLsだけ離れた第2錘部材(規制壁141A)の重心に加わる力Wr2と略同じになる。つまり、上記の式(2)が成り立つこととなる。
【0096】
以上によれば、用紙サイズを変えた場合であっても、抑制機構によって給紙トレイ100の揺動支点および重心の位置を移動させることでピックアップローラ32に加わる力が変化するのを抑えることができるので、用紙サイズによらずにピックアップローラ32で安定して用紙Sを搬送することができる。
【0097】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0098】
前記実施形態では、給紙トレイ100の揺動支点と重心の両方を移動させることでピックアップローラ32に加わる力の変化を抑えることとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば給紙トレイ100の揺動支点のみを移動させてもよい。この構造としては、例えば、前記実施形態の構造から、錘部材を取り除くとともに、リアガイド141の移動量に対する支点部132Bの移動量や給紙トレイ100の形状を適宜変更した構造が挙げられる。なお、リアガイド141の移動量に対する支点部132Bの移動量を変更するには、例えば、前記実施形態における転動ギヤ142の第1ギヤ部142Aと第2ギヤ部142Bの外径(ギヤ比)を変えればよい。
【0099】
また、本発明は、揺動支点を変えずに重心の位置のみを移動させてもよい。具体的には、図13(a),(b)に示すように、例えば、抑制機構200を、給紙トレイ300に対して前後(シートの搬送方向)に移動可能な錘部材210と、リアガイド310と錘部材210とを連動させる錘連動機構220とで構成してもよい。
【0100】
錘連動機構220は、ラックアンドピニオン機構であり、主に、リアガイド310に設けられるガイド側ラック部221と、錘部材210に設けられる錘側ラック部222と、ガイド側ラック部221と錘側ラック部222に噛み合うピニオンギヤ223とを備えている。ガイド側ラック部221は、給紙トレイ300のトレイ本体320に前後に移動可能に設けられ、右側の側面にラック歯が形成されている。
【0101】
錘側ラック部222は、トレイ本体320に前後に移動可能に設けられ、左側の側面にラック歯が形成されている。ピニオンギヤ223は、ガイド側ラック部221と錘側ラック部222との間に配置され、トレイ本体320に回転可能に設けられている。
【0102】
このように錘連動機構220が構成されることによって、後方(用紙サイズが小さくなる方向)にリアガイド310を移動させるときに、錘部材210が前方(搬送方向上流側)に移動するようになっている。これにより、用紙サイズの変更に伴う給紙トレイ300全体の重心位置の変化を、錘部材210の移動によって抑えることができるので、ピックアップローラに加わる力が変化するのを抑えることができる。
【0103】
また、この形態において、トレイ本体320に固定される支点部330に対して、錘部材210は、給紙トレイ300の前端部301から支点部330までの範囲内で移動可能に設けられている。これにより、錘部材210が支点部330を跨いで後側と前側とに移動可能な構造に比べ、ピックアップローラに加わる力の調整を行いやすいので、構造を簡易化することができる。
【0104】
前記実施形態では、ガイド部材としてリアガイド141(上流側ガイド)を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばサイドガイドであってもよい。すなわち、サイドガイドの移動に連動させて給紙トレイの揺動支点および重心の少なくとも一方を移動させてもよい。
【0105】
前記実施形態では、シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Sを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
前記実施形態では、カラープリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 カラープリンタ
10 装置本体
32 ピックアップローラ
100 給紙トレイ
111C トレイ側ラック部
130 移動フレーム
132B 支点部
141 リアガイド
141A 規制壁
141B ガイド側ラック部
141D 第1錘部材
142 転動ギヤ
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが載置されるシートトレイと、
前記シートトレイを揺動可能に支持する装置本体と、
前記装置本体のうち前記シートトレイの揺動する一端部の上方に配置され、揺動する前記シートトレイ内のシートの一端部が付勢されるピックアップローラと、を備える画像形成装置であって、
前記シートトレイは、
前記シートトレイの底部に移動可能に設けられ、前記シートの端部位置を規制するガイド部材と、
前記ガイド部材の移動に連動して前記シートトレイの揺動支点および重心の少なくとも一方の位置を移動させることで、前記シートトレイ内のシートから前記ピックアップローラに加わる力がシートサイズに応じて変化するのを抑える抑制機構とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記抑制機構は、
前記シートトレイに対して前記シートの搬送方向に移動可能で、かつ、前記揺動支点となる支点部と、
シートサイズが小さくなる方向に前記ガイド部材を移動させるときに、前記支点部が前記搬送方向の下流側に移動するように、前記ガイド部材と前記支点部とを連動させる支点連動機構とを備え、
前記装置本体には、
前記支点部を支持する複数の支持部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記支点連動機構は、
前記ガイド部材に当接する前記シートの前記搬送方向における中央部に前記支点部が位置するように、前記ガイド部材と前記支点部とを連動させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記シートの搬送方向に移動可能であるとともに、前記シートの搬送方向上流側の端部に当接する上流側ガイドであり、
前記支点連動機構は、
前記シートトレイに前記搬送方向に沿って形成されたトレイ側ラック部と、
前記上流側ガイドに前記搬送方向に沿って形成されたガイド側ラック部と、
前記ガイド側ラック部と前記トレイ側ラック部との間に設けられ、各ラック部に噛み合いながら転動する転動ギヤと、
前記転動ギヤを回転可能に支持するとともに、前記シートトレイに対して前記搬送方向に移動可能に設けられる移動フレームと、を備え、
前記支点部が前記移動フレームに設けられていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記上流側ガイドには、錘部材が設けられ、
前記上流側ガイドを搬送方向下流側に移動させると、前記支点部が搬送方向下流側に移動するとともに、前記錘部材が搬送方向下流側に移動するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記上流側ガイドのうち前記搬送方向下流側の端部には、前記支点部を基準とした前記シートトレイ自体の重量バランスを釣り合わせるための第1錘部材が設けられ、前記搬送方向上流側の端部には、前記シートトレイ内のシートを前記ピックアップローラに付勢するための第2錘部材が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記抑制機構は、
前記シートトレイに対して前記シートの搬送方向に移動可能な錘部材と、
シートサイズが小さくなる方向に前記ガイド部材を移動させるときに、前記錘部材が前記搬送方向上流側に移動するように、前記ガイド部材と前記錘部材とを連動させる錘連動機構とを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記錘部材は、前記シートトレイの前記搬送方向上流側の端部から前記揺動支点までの範囲内で移動可能に設けられることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記錘連動機構は、ラックアンドピニオン機構であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記シートトレイは、前記装置本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−35674(P2013−35674A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174636(P2011−174636)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】