説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、単一の廃トナー検出センサによって廃トナーの満杯状態を誤ることなく検出すること。
【解決手段】トナー像をトナー像担持体から中間転写体又は用紙上に転写し、該トナー像担持体から廃トナーを除去するようにした画像形成装置。トナー像担持体から除去された廃トナーを集めて収容する廃トナーボックス20と、ボックス20に廃トナーの収容量が一定量に達したときに遮光される位置に配置した光学式の廃トナー検出センサ25と、センサ25からの検出信号を受ける制御手段と、を備えている。制御手段は、廃トナーをボックス20に収集する動作の終了直後にセンサ25から廃トナー検出信号を受けてもボックス20が廃トナーで満杯であると判定することなく、前記収集動作終了から一定時間を経過した後にセンサ25から廃トナー検出信号を受けたときに廃トナーで満杯であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式による画像形成装置では、感光体や中間転写体などのトナー像担持体から除去された廃トナー、あるいは、現像器から除去された廃現像剤を回収する廃トナー回収装置を備えている。回収された廃トナーは廃トナー収容部に収集され、収容部が廃トナーで満杯であるか否かは廃トナー検出センサにて検出するように構成されている。満杯になれば、表示パネル上にその旨を表示(警告)し、ユーザーやオペレーターに収容部内の廃トナーの除去を指示している。
【0003】
ところで、前記廃トナー検出センサは光学式のものが使用されており、収容部に収集された廃トナーは収集直後にあっては収容部内で飛散して浮遊状態にあり、やがて収容部の底部に沈殿する。従って、廃トナーの収集動作の終了直後(例えば、プリント動作の終了直後や画像安定化動作の終了直後)に廃トナーの検出を行うと、光学式のセンサが浮遊状態の廃トナーを検出し、収容部が満杯ではないのに、満杯であると誤検出してしまうおそれがある。
【0004】
特許文献1には、廃トナーボトル内に飛散トナー検知センサを設け、廃トナー満杯検知制御を行う際に、飛散トナー検知センサで飛散トナーを検知している間は、満杯検知センサの入力情報を検知しないようにした画像形成装置が記載されている。しかし、この装置では、飛散トナー検知センサを必要とし、センサの設置個数が増加するという問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−285134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、単一の廃トナー検出センサによって廃トナーの満杯状態を誤ることなく検出できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である画像形成装置は、
トナー像をトナー像担持体から中間転写体又は用紙上に転写し、該トナー像担持体から廃トナーを除去するようにした画像形成装置において、
前記トナー像担持体から除去された廃トナーを集めて収容する廃トナー収容部と、
前記廃トナー収容部に廃トナーの収容量が一定量に達したときに遮光される位置に配置した光学式の廃トナー検出手段と、
前記廃トナー検出手段からの検出信号を受ける制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、廃トナーを前記廃トナー収容部に収集する動作の終了直後に前記廃トナー検出手段から廃トナー検出信号を受けても廃トナー収容部が廃トナーで満杯であると判定することなく、前記収集動作終了から一定時間を経過した後に前記廃トナー検出手段から廃トナー検出信号を受けたときに廃トナーで満杯であると判定すること、
を特徴とする。
【0008】
前記画像形成装置にあっては、収容部内に収集された廃トナーが収容部内で浮遊状態から落ち着いて沈殿した状態のとき、収容部が廃トナーで満杯か否かを判定する。従って、単一の廃トナー検出手段を用いるにも拘わらず、廃トナーの満杯状態を誤ることなく検出できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、単一の廃トナー検出センサによって廃トナーの満杯状態を誤ることなく検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の要部を示す概略構成図である。
【図2】廃トナー収容ボックスを示し、(A)は外観斜視図、(B)は水平断面図である。
【図3】前記画像形成装置の制御部の要部を示すブロック図である。
【図4】前記廃トナーボックスへの廃トナー収集時の説明図であり、(A)は収容量が多い場合を示し、(B)は収容量が少ない場合を示している。
【図5】廃トナーの収集に関する第1の制御手順を示すフローチャート図である。
【図6】廃トナーの収集に関する第2の制御手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示す画像形成装置は、タンデム式のカラー画像形成装置であって、並置された作像ユニット1に含まれる感光体ドラム2のそれぞれ形成されたトナー画像を、矢印A方向に回転する中間転写ベルト10に1次転写して合成し、合成されたトナー画像を2次転写部15にて図示しない用紙上に2次転写するようにしたものである。符号に添付したy,m,c,kは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する部材であることを示している。
【0013】
作像ユニット1は、感光体ドラム2、現像器3を中心に構成され、感光体ドラム2上から除去された廃トナーは搬送パイプ4を通じて、また、現像器3から除去された古いキャリアを含む廃棄現像剤は搬送パイプ5を通じて、それぞれ、図2に示す廃トナー収容部(以下、廃トナーボックス20と称する)に搬送される。
【0014】
また、中間転写ベルト10の直上には、補給用のトナーを収容したトナーボトル16が設置されている。中間転写ベルト10上の残留トナーもクリーニング部11によって除去され、この部分からの廃トナーも廃トナーボックス20に収容される。なお、感光体ドラム2や中間転写ベルト10から除去された廃トナーを廃トナーボックス20へ搬送する機構については、この種の画像形成装置でよく知られている(例えば、特開2010−145812号公報参照)。
【0015】
廃トナーボックス20は、透明な樹脂を素材として直方体形状に成形されており、搬送パイプ27(図4参照)から搬送されてきた廃トナーが上面の開口部21から収容される。ボックス20の一側面上部には外方に突出した検出部22が設けられている。この検出部22の両側にそれぞれ発光部25aと受光部25bからなる廃トナー検出センサ25が設置されている。検出部22は通常は光が透過状態にある。ボックス20内に収集された廃トナーが検出部22にまで蓄積されると(満杯状態となったとき)、センサ25が遮光状態となり、これにてボックス20が廃トナーで満杯となったことが検出される。なお、ボックス20は検出部22が透明な素材で形成されていればよく、全体が透明な素材で形成されている必要はない。
【0016】
前記画像形成装置の制御部40を図3に示す。制御部40は、CPU41を中心として構成され、スキャナ51やコンピュータなどの外部機器52からプリントすべき画像データが送信されてくる。また、CPU41には前記廃トナー検出センサ25からの検出信号などが入力される。さらに、CPU41は画像形成装置を全体的に制御し、表示パネル55への各種表示を指示するとともに、作像ユニット1、中間転写ベルト10などの動作を制御する。
【0017】
ところで、図4に示すように、搬送パイプ27から搬送されてきた廃トナーは、ボックス20内に収集された直後には飛散して浮遊状態にある。図4(A)は既に収容されている廃トナーTaの量が比較的多い場合の浮遊トナーTbを示し、図4(B)は既収容廃トナーTaの量が比較的少ない場合の浮遊トナーTbを示している。この種の浮遊トナーTbは収集動作の直後に発生し、やがてボックス20の底部に沈殿する。
【0018】
図4(B)に示すように、既収容廃トナーTaの量が比較的少ない場合、新たに収集されて飛散した浮遊トナーTbは検出部22に到達することはない。しかし、図4(A)に示すように、既収容廃トナーTaの量が比較的多くなると(満杯に近くなると)、新たに収集されて飛散した浮遊トナーTbが検出部22に到達し、センサ25から廃トナー検出信号が出力されてしまう。即ち、満杯であると誤検出してしまう。
【0019】
以上の誤検出を回避するため、本実施例では、前記CPU41は、廃トナーをボックス20に収集する動作の終了直後に前記センサ25から廃トナー検出信号を受けてもボックス20が廃トナーで満杯であると判定することなく、収集動作終了から一定時間を経過した後にセンサ25から廃トナー検出信号を受けたときに廃トナーで満杯であると判定する。前記収集動作終了直後とは、プリント動作の終了直後、又は、画像安定化動作の終了直後である。画像安定化動作とは、作像ユニット1による作像条件(帯電電圧、現像バイアス、転写電圧など)の最適化制御や、中間転写ベルト10上での各色のトナー画像のずれ調整制御などを意味し、従来周知の制御である。
【0020】
また、CPU41は、前記収集動作終了直後に前記センサ25から廃トナー検出信号を受け、かつ、前記収集動作終了から一定時間を経過した後に前記センサ25から廃トナー検出未検出信号を受けたときは、ボックス20が満杯に近いと判定する。前記一定時間はシステム速度(感光体ドラム2や中間転写ベルト10の回転速度)に応じて変更してもよく、あるいは、連続して画像形成される枚数(1ジョブでのプリント枚数)に応じて変更してもよい。
【0021】
以下に、CPU41による廃トナー収集に関する制御手順の第1例(図5参照)及び第2例(図6参照)を説明する。
【0022】
制御手順の第1例は、図5に示すように、一連のプリント動作が終了すると(ステップS1)、センサ25が廃トナーを検出したか否かを判定し(ステップS2)、検出していなければ、図4(B)に示したようにボックス20の収容量にはまだ余裕があることを意味し、この制御を終了する。ステップS2で廃トナーを検出すれば一定時間の経過を待ち(ステップS3)、再度、センサ25が廃トナーを検出したか否かを判定する(ステップS4)。一定時間とは例えば30秒であり、図4(A)に示す浮遊トナーTbが沈殿するのに要する時間である。ステップS4で廃トナーが検出されることは、センサ25が浮遊トナーTbではなく沈殿している廃トナーTaがセンサ25の検出位置まで達していることを意味する。従って、ここでは、ボックス20が廃トナーで満杯であると判定し(ステップS5)、表示パネル55へ「ボックス20が廃トナーで満杯であり、ボックス20を交換する」ことを警告表示し(ステップS6)、プリントを禁止する(ステップS7)。
【0023】
一方、ステップS4での再度の検出時にセンサ25によって廃トナーが検出されなければ、浮遊トナーがセンサ25よりも下部に沈殿したことを意味する。この場合は、ボックス20が廃トナーで満杯ではないが満杯に近い状態にあり、ここでは、表示パネル55に「満杯に近い状態である」ことを表示し(ステップS8)、新規ボックス20の準備を指示する。
【0024】
ところで、浮遊トナーTbの量は、システム速度や一連のプリント枚数によって変動する。システム速度が速い場合、プリント枚数が多い場合には、浮遊トナーTbの量は多くなり、沈殿するのに時間を要する。そこで、制御手順の第2例では、再度の検出を行うまでの待機時間をシステム速度とプリント枚数に応じて変更するようにした。システム速度の標準を毎分30枚とし、その場合の待機時間を30秒とし、システム速度が標準より早い場合は待機時間を長く設定し、遅い場合は短く設定する。プリント枚数の標準を1ジョブで15枚とし、その場合の待機時間を30秒とし、プリント枚数が標準より多い場合は待機時間を長く設定し、少ない場合は短く設定する。
【0025】
具体的には、図6に示すように、一連のプリント動作が終了すると(ステップS11)、センサ25が廃トナーを検出したか否かを判定し(ステップS12)、検出していなければ、図4(B)に示したようにボックス20の収容量にはまだ余裕があることを意味し、この制御を終了する。ステップS12で廃トナーを検出すれば、システム速度が速いか否か(ステップS13)プリント枚数が多いか否か(ステップS14,S15)を判定する。システム速度が速くかつプリント枚数が多い場合(ステップS13,S14でYES)は、待機時間をT1(例えば50秒)に設定する。システム速度が速くかつプリント枚数が少ない場合(ステップS13でYES、ステップS14でNO)、及び、システム速度が遅くかつプリント枚数が多い場合(ステップS13でNO、ステップS15でYES)は、待機時間をT2(例えば30秒)に設定する。システム速度が遅くかつプリント枚数が少ない場合(ステップS13,S15でNO)は、待機時間をT3(例えば10秒)に設定する。
【0026】
その後、ステップS16,S17,S18で各待機時間T1,T2,T3の経過を待ち、再度、センサ25が廃トナーを検出したか否かを判定する(ステップS19)。ステップS19で廃トナーが検出されることは、センサ25が浮遊トナーTbではなく沈殿している廃トナーTaがセンサ25の検出位置まで達していることを意味する。従って、ここでは、ボックス20が廃トナーで満杯であると判定し(ステップS20)、表示パネル55へ「ボックス20が廃トナーで満杯であり、ボックス20を交換する」ことを警告表示し(ステップS21)、プリントを禁止する(ステップS22)。
【0027】
一方、ステップS19での再度の検出時にセンサ25によって廃トナーが検出されなければ、浮遊トナーがセンサ25よりも下部に沈殿したことを意味する。この場合は、ボックス20が廃トナーで満杯ではないが満杯に近い状態にあり、ここでは、表示パネル55に「満杯に近い状態である」ことを表示し(ステップS23)、新規ボックス20の準備を指示する。
【0028】
なお、本発明に係る画像形成装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0029】
特に、電子写真方式による画像形成部分の構成などは任意であり、モノクロのプリンタであってもよい。また、廃トナー収容部の細部の構成や廃トナー検出手段の配置なども任意である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、単一の廃トナー検出センサによって廃トナーの満杯状態を誤ることなく検出できる点で優れている。
【符号の説明】
【0031】
1…作像ユニット
2…感光体ドラム
10…中間転写ベルト
20…廃トナーボックス
25…廃トナー検出センサ
41…CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像をトナー像担持体から中間転写体又は用紙上に転写し、該トナー像担持体から廃トナーを除去するようにした画像形成装置において、
前記トナー像担持体から除去された廃トナーを集めて収容する廃トナー収容部と、
前記廃トナー収容部に廃トナーの収容量が一定量に達したときに遮光される位置に配置した光学式の廃トナー検出手段と、
前記廃トナー検出手段からの検出信号を受ける制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、廃トナーを前記廃トナー収容部に収集する動作の終了直後に前記廃トナー検出手段から廃トナー検出信号を受けても廃トナー収容部が廃トナーで満杯であると判定することなく、前記収集動作終了から一定時間を経過した後に前記廃トナー検出手段から廃トナー検出信号を受けたときに廃トナーで満杯であると判定すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記収集動作終了直後とは、プリント動作の終了直後であること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記収集動作終了直後とは、画像安定化動作の終了直後であること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記一定時間はシステム速度に応じて変更されること、を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記一定時間は連続して画像形成される枚数に応じて変更されること、を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記収集動作終了直後に前記廃トナー検出手段から廃トナー検出信号を受け、かつ、前記収集動作終了から一定時間を経過した後に前記廃トナー検出手段から廃トナー検出未検出信号を受けたときは、前記廃トナー収容部が満杯に近いと判定すること、を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−37204(P2013−37204A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173550(P2011−173550)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】