説明

画像形成装置

【課題】静止状態の搬送位置移動部を用紙が通過することにより発生する用紙の片寄りを抑制する。
【解決手段】制御部は、動作モードが揺動モードである場合には、搬送位置移動部の揺動モータの励磁電流をオンするとともにレジストローラーの揺動量に応じた駆動パルスを電動モーターに出力する揺動処理を行う(S4,S7)。一方、制御部は、動作モードが非揺動モードである場合、搬送位置移動部の揺動モータの励磁電流をオンする非揺動処理を行う(S12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プリンター、複写機などとして電子写真方式の画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、搬送される用紙に片寄りが生じた場合、すなわち、用紙の搬送方向と直交する方向(用紙幅方向)において用紙が規定の搬送基準位置からずれた場合には、用紙に形成される画像が本来の適正位置からずれてしまい、印刷品質の低下に繋がるという虞がある。そのため、画像形成装置は、用紙幅方向に沿って揺動自在に構成された搬送位置移動部を備え、この搬送位置移動部を揺動させることにより用紙の搬送位置を調整する(揺動モード)。例えば、この搬送位置移動部は、電動モーターによって駆動される。
【0003】
例えば特許文献1には、用紙を基準ガイド側に寄せる斜行ローラーと、この斜行ローラーよりも下流側に設けられかつ用紙幅方向に移動可能な搬送位置移動部(搬送ローラー)とを備える画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、斜行ローラーにより用紙を基準ガイドに突き当ててスキュー矯正し、その後、用紙を搬送ローラーでニップし、この搬送ローラーを用紙幅方向に移動させている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、用紙の先端を突き当てて位置決め可能なゲート手段と、このゲート手段の用紙搬送方向の上流側に搬送位置移動部(接離自在なレジストローラー対)とを設けた画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、レジストローラー対が離間した状態でゲート手段による位置決めを行い、位置決め後にレジストローラー対を当接させてゲート手段を開放し、レジストローラー対により所定のタイミングで用紙をゲート手段の下流へ搬送する。そして、画像形成装置は、用紙の片寄り量に応じてレジストローラー対を用紙幅方向に移動させる。この場合、画像形成装置は、用紙の片寄り量に応じてレジストローラー対の移動を駆動するモーターの駆動方式と駆動回転数を切り換えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−189355号公報
【特許文献2】特開2008−24507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述の手法によれば、ユーザーの求める印刷品質が揺動処理を必要としないレベルである場合、省電力の観点又は不具合等により揺動処理を停止させる場合といったように、揺動モードを実行しないことまでは考慮されていない。また、揺動モードを実行しない非揺動モードで画像形成を行った場合には、用紙が搬送位置移動部を通過する際に搬送位置移動部が予期せずに動いてしまい、搬送位置移動部の通過に伴い用紙の片寄りが生じてしまうという問題が予想される。ここで、搬送位置移動部の動きは、機械振動、搬送位置移動部への用紙突入時の衝撃、用紙の傾きが大きい場合での通過といった要因が挙げられる。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、静止状態の搬送位置移動部を用紙が通過することにより発生する用紙の片寄りを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、本発明は、通電により巻線が励磁されることにより動作する電動モーターと、用紙の搬送方向と直行する方向である用紙幅方向に沿って揺動自在に構成されており、電動モーターによって駆動されることにより、搬送される用紙を用紙幅方向に沿って移動させる搬送位置移動部と、電動モーターに対する励磁電流を制御する制御部と、を有する画像形成装置を提供する。この場合、制御部は、切換可能な動作モードとして、搬送位置移動部を揺動させることにより用紙の搬送位置を調整する揺動モードと、当該揺動モードを実行しない非揺動モードとを有し、動作モードが揺動モードである場合、励磁電流をオンするとともに搬送位置移動部の揺動量に応じた駆動パルスを電動モーターに出力する揺動処理を行い、動作モードが非揺動モードである場合、励磁電流をオンする非揺動処理を行う。
【0009】
また、本発明において、制御部は、動作モードが非揺動モードである場合、用紙が搬送位置移動部を通過する通過期間と対応して非揺動処理を行い、通過期間を除く期間では、励磁電流をオフすることが好ましい。
【0010】
また、本発明において、制御部は、用紙の種類に応じて、励磁電流をオンした際に揺動モーターに印加される電圧レベルを可変的に制御することが好ましい。
【0011】
また、本発明において、制御部は、動作モードが揺動モードの場合、用紙が搬送位置移動部を通過する通過期間と対応して揺動処理を行い、通過期間を除く期間では、励磁電流をオフすることが好ましい。
【0012】
また、本発明において、制御部は、用紙の片寄り量に応じて搬送位置移動部を移動させるよりも先行して、予め規定された初期位置に搬送位置移動部を移動させておくことが好ましい。
【0013】
また、本発明において、搬送位置移動部は、用紙の搬送経路において用紙に画像を形成する画像形成位置よりも上流側に配置された一対のレジストローラーであるが好ましい。
【0014】
また、本発明において、制御部は、圧接状態と離間状態との切り換えができる搬送部材に関する用紙の搬送経路における配置構成と、用紙サイズとの関係に基づいて、非揺動モードを動作モードをとして選択することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、非揺動モードでは、励磁電流をオンしていることで、電動モーターに静止トルクが生じている。この静止トルクにより搬送位置移動部の動きが規制されることとなる。これにより、用紙が搬送位置移動部を通過する際に搬送位置移動部が予期せずに動いてしまい、搬送位置移動部の通過に伴い用紙の片寄りが生じてしまうとう事態を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態にかかる画像形成装置を模式的に示す構成図
【図2】レジストローラーを中心とする搬送経路の要部を示す説明図
【図3】レジストローラーの揺動状態を示す説明図
【図4】画像形成装置の制御系を概略的に示すブロック図
【図5】揺動モーターの制御手順を示すフローチャート
【図6】第2の実施形態にかかる画像形成装置における搬送ローラーの構成を模式的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる画像形成装置を模式的に示す構成図である。この画像形成装置は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置であり、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。
【0018】
画像形成装置は、原稿読取装置SC、4組の画像形成部10Y,10M,10C,10K、定着装置50を主体に構成され、これらが一つの筐体内に収められている。
【0019】
原稿読取装置SCは、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部11に入力される。なお、制御部11に入力される画像データとしては、原稿読取装置SCで読み取ったものに限らず、例えば、画像形成装置に接続されたパーソナルコンピューターや他の画像形成装置から受信したものであってもよい。
【0020】
4組の画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンダ(M)の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)の画像を形成する画像形成部10C、ブラック(K)の画像を形成する画像形成部10Kである。
【0021】
画像形成部10Yは、感光体ドラム1Y及びその周辺に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y及びドラムクリーナー5Yで構成されている。同様に、画像形成部10M,10C,10Kは、感光体ドラム1M,1C,1K及びその周辺に配置された帯電部2M,2C,2K、光書込部3M,3C,3K、現像装置4M,4C,4K及びドラムクリーナー5M,5C,5Kで構成されている。
【0022】
感光体ドラム1Y〜1Kは、帯電部2Y〜2Kによりその表面が一様に帯電させられており、光書込部3Yによる走査露光により、感光体ドラム1Y〜1Kには潜像が形成される。さらに、現像装置4Y〜4Kは、トナーで現像することによって感光体ドラム1Y〜1K上の潜像を顕像化する。これにより、各感光体ドラム1Y〜1K上には、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックに対応するトナー画像がそれぞれ形成される。各感光体ドラム1Y〜1K上に形成されたトナー画像は、回転する中間転写ベルト6上の所定位置へと、1次転写ローラー7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写される。
【0023】
中間転写ベルト6上に転写された各カラーよりなるトナー画像は、用紙Pが所定のタイミングで搬送されることにより、転写ローラー9により用紙Pに転写される。
【0024】
用紙搬送部20は、用紙Pを搬送する。用紙Pは給紙トレイ21に収容されており、当該給紙トレイ21に収容された用紙Pは、第1給紙部22により最上面の一枚が取り込まれ、主搬送経路へと送り出される。この主搬送経路において、用紙Pに画像を形成する画像形成位置、本実施形態では、用紙Pにトナー画像を転写する転写位置(すなわち、中間転写ベルト6と2次転写ローラー9とのニップ部)よりも上流側には、中間搬送ローラー23〜25、ループローラー26及びレジストローラー27が配置されている。第1給紙部22から送り出された用紙Pは、中間搬送ローラー23〜25、ループローラー26及びレジストローラー27を含む複数の搬送部材によって搬送されることにより、転写位置へと搬送される。個々の搬送部材は、例えば搬送ローラー対によって構成されている。
【0025】
図2は、レジストローラー27を中心とする用紙Pの搬送経路の要部を示す説明図である。具体的には、給紙トレイ21から給紙された用紙Pは、ループローラー26により搬送されて、回転停止状態のレジストローラー27に突き当たる。そして、ループローラー26が所定時間だけ回転を継続することで、用紙Pにループが形成され、これにより、用紙Pの曲がりを矯正する(スキュー補正)。その後、レジストローラー27は、所定のタイミングで回転を開始して用紙Pの搬送を再開すると、用紙Pの搬送を行いながら後述する揺動処理又は非揺動処理を行い、定着装置50へと用紙Pを搬送する。
【0026】
図3は、レジストローラー27の揺動状態を示す説明図である。レジストローラー27は、用紙幅方向CD(用紙Pの紙面において用紙搬送方向FDと直行する方向)に沿って揺動自在に構成されている。このレジストローラー27には、図示しない動力伝達機構を介して、揺動モーター28の出力軸が連結されている。レジストローラー27は、揺動モーター28によって駆動されることにより、用紙幅方向CDに沿って移動することができる。このため、レジストローラー27は、用紙Pがレジストローラー27を通過する通過期間に合わせて用紙幅方向CDに沿って移動することにより、搬送される用紙Pを用紙幅方向CDに沿って移動させることができる(搬送位置移動部)。これにより、レジストローラー27は、用紙Pの搬送位置を調整することができる。
【0027】
揺動モーター28は、通電により巻線が励磁されることにより動作する電動モーターであり、例えばステッピングモーターである。励磁電流がオンされた場合、揺動モーター28(具体的には、その巻線)には、定常的な電圧が印加され、これにより、静止トルクによって出力軸の回転が阻止された状態となる。また、励磁電流として駆動パルスが入力された場合には、揺動モーター28(具体的には、その巻線)には、パルス状の電圧が印加され、これにより、駆動パルスのパルス数に応じた回転角、かつ、パルス周期に応じた回転速度で揺動モーター28の出力軸が回転する。
【0028】
再び図1に示すように、定着装置50は、未定着な状態のトナー画像を用紙Pに定着する装置であり、例えば、定着ニップ部を形成する一対の定着部材(例えば定着ローラー)と、当該定着部材の一方又は双方を加熱するヒータとで構成されている。この定着装置50は、用紙Pの搬送過程において当該用紙Pが定着ニップ部を通過することより、一対の定着部材による加圧と、定着部材の有する熱との作用を通じて、用紙へのトナー画像の定着が行われる。
【0029】
定着装置50により定着処理が施された用紙Pは、排紙ローラーにより、筐体の外部側面に取り付けられた排紙トレイ29に排出される。また、用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合、用紙表面に対する画像形成を終えた用紙Pは、ガイド部材30により、下方にある反転ローラー31へと搬送される。反転ローラー31は、搬送された用紙Pの後端を挟持した後、逆送することによって用紙Pを反転させて、再給紙搬送経路に送り出す。この再給紙搬送経路へと送り出された用紙Pは、中間搬送ローラー32,33及びプレレジストローラー34を含む複数の搬送部材によって搬送され、これにより、ループローラー26よりも上流側の主搬送経路へと用紙Pを回帰させる。個々の搬送部材は、搬送ローラー対で構成されている。
【0030】
図4は、本実施形態にかかる画像形成装置の制御系を概略的に示すブロック図である。制御部11は、画像形成装置を統合的に制御する機能を担っており、CPU11a、ROMやRAMなどのメモリ11b、補助記憶装置としてのHDD(Hard Disk Drive)11c、通信I/F部11dなどを備えるコンピューターであり、これらの要素はバスを介して相互に接続されている。
【0031】
制御部11は、画像形成装置の各部(例えば、画像形成部10Y〜10K、用紙搬送部20及び定着装置50など)を制御することにより、以下に示す各プロセスを実行し、用紙Pにトナー画像を形成する。
(1)感光体ドラム1Y〜1Kを帯電させる
(2)光書込部3Y〜3Kにより感光体ドラム1Y〜1K上に静電潜像を形成する
(3)形成された静電潜像にトナーを付着させる
(4)感光体ドラム1Y〜1K上のトナー画像を中間転写ベルト6に一次転写させる
(5)用紙搬送部20により用紙Pを搬送する
(6)中間転写ベルト6上のトナー画像を用紙Pに二次転写させる
(7)定着装置50により用紙Pに転写されたトナー画像に定着処理を施す
【0032】
また、本実施形態との関係において、制御部11は、揺動モーター54に対する励磁電流を制御することにより、揺動モーター54の動作状態を制御する。ここで、制御部11は、切換可能な動作モードとして揺動モードと非揺動モードとを有しており、動作モードに応じて揺動モーター54の制御形態を切り換えている。
【0033】
以下、揺動モードの制御概念について説明する。一般に、搬送経路を搬送される用紙Pは、用紙幅方向CDにおける用紙Pの基準位置Cppが、用紙幅方向CDにおける搬送経路上の基準位置(以下「搬送基準位置」という)Cstと一致するように搬送されている(図3参照)。例えば、用紙Pの基準位置は、用紙Pの中心に設定され、搬送基準位置Cstは、用紙幅方向CDにおける搬送経路上の中心に設定されるといった如くである。この場合、画像形成部10Y〜10Kによる画像の形成位置及び搬送基準位置Cstの双方が所定の関係に従って予め設定されることにより、用紙Pと、トナー画像との位置が適切に合致した状態で用紙Pにトナー画像が形成されることとなる。
【0034】
しかしながら、画像形成装置を実際に運転した場合、図3に示すように、用紙幅方向CDにおいて用紙Pの搬送位置に片寄りが発生し、用紙Pの基準位置Cppが搬送基準位置Cstからずれてしまうといった実態が生じ得る。用紙Pの片寄りは、例えば、反転ローラー31及び再給紙搬送路を経由して転写位置へと用紙Pが搬送されたりするといったように、比較的長い距離を用紙Pが搬送されることにより、搬送部材の機械的な誤差などの影響によって生じ得る。また、給紙トレイ21内に収容される用紙Pの初期的な収容状態も、用紙Pの片寄りの要因となり得る。
【0035】
そこで、制御部11は、動作モードとして、揺動モードを備え、レジストローラー27を揺動させることにより用紙Pの搬送位置を調整する。また、制御部11は、揺動モードを動作モードとして選択するのみならず、揺動モードを実行しない非揺動モードを動作モードとして選択することができる。
【0036】
本実施形態において、動作モードの選択はユーザーにより決定される。すなわち、省電力を望んだり、画像品質にこだわらないような場合には、揺動モードを必ずしも実行する必要はない。そこで、ユーザーフレンドリーの観点から、ユーザーによる動作モードの設定を可能とし、制御部11は、ユーザーにより設定された動作モードを選択するようになっている。
【0037】
このような制御を行うために、制御部11には、先端検知センサー35、片寄りセンサー36、レジストセンサー37、中間搬送センサー38、プレレジストセンサー39及び操作部60からの信号が入力されている。
【0038】
先端検知センサー35は、主搬送経路における転写位置とレジストローラー27との間に配置されており、センサーの検出位置(転写位置の所定距離だけ手前の位置)への用紙Pの到達を検出する。先端検知センサー35は、例えば発光素子と受光素子とを有する反射型の光学センサーである。この先端検知センサー35の検出結果は、転写位置へと用紙Pを搬送するタイミングを制御するために用いられる。
【0039】
片寄りセンサー36は、用紙Pの片寄り量を検出する。片寄りセンサー36としては、例えば、複数の受光素子を用紙幅方向CDに沿って直線状に配列したリニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)などを用いることができる。具体的には、片寄りセンサー36は、搬送基準位置Cstから用紙Pの端部までの距離を検知することにより、用紙Pの片寄り方向とともにその片寄り量を検出する。この片寄りセンサー36の検出結果は、揺動処理におけるレジストローラー27の移動量を決定するために用いられる。
【0040】
レジストセンサー37は、主搬送経路におけるレジストローラー27とループローラー26との間に配置されており、センサーの検出位置(レジストローラー27の所定距離だけ手前の位置)への用紙Pの先端の到達を検出する。このレジストセンサー37の検出結果は、レジストローラー27の回転タイミングを制御するために用いられる。
【0041】
中間搬送センサー38は、主搬送経路におけるループローラー26と中間搬送ローラー25との間に配置されており、センサーの検出位置(ループローラー26の所定距離だけ手前の位置)への用紙Pの先端の到達を検出する。一方、プレレジストセンサー39は、再給紙搬送経路におけるプレレジストローラー34と中間搬送ローラー33との間に配置されており、センサーの検出位置(プレレジストローラー34の所定距離だけ手前の位置)への用紙Pの先端の到達を検出する。中間搬送センサー38又はプレレジストセンサー39の検出結果は、ループローラー26の回転タイミングを制御するために用いられる。
【0042】
操作部60は、ユーザーによって設定される種々の情報を制御部11に出力する。操作部60としては、例えば、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネルを用いることができる。かかる操作部60を通じて、ユーザーは、印刷条件、例えば、揺動モード又は非揺動モードの選択、用紙Pの種類(例えば、斤量やサイズ)、画像の濃度などを設定することができる。また、制御部11は、操作部60を制御することにより、当該操作部60を介してユーザーに種々のメッセージを表示することができる。
【0043】
図5は、本実施形態にかかる揺動モーターの制御手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、ジョブの開始指令に伴い、制御部11によって実行される。
【0044】
まず、ステップ1(S1)において、制御部11は、操作部60を通じて設定された印刷条件を読み込む。制御部11は、読み込んだ印刷条件より、動作モードとして揺動モードが選択されているかそれとも非揺動モードが選択されているのかといった情報や、用紙Pの種類を認識することができる。
【0045】
ステップ2(S2)において、制御部11は、動作モードが揺動モードであるか否かを判断する。このステップ2において肯定判定された場合、すなわち、動作モードが揺動モードである場合には、ステップ3(S3)に進む。一方、ステップ2において否定判定された場合、すなわち、動作モードが非揺動モードである場合には、後述するステップ10(S10)に進む。
【0046】
ステップ3において、制御部11は、レジストローラー27に向けて用紙Pが搬送されたか否かを判断する。例えば、制御部11は、レジストセンサー37、若しくは、中間搬送センサー又はプレレジストセンサー39の検出状況から、当該判断を行うことができる。もっとも、かかる判断は、レジストローラー27へと用紙Pが到達する状況を、それよりも前に判断できればよいので、例えば、給紙トレイ21から主搬送経路へと送り出される用紙Pを検出する用紙検知センサ(図示せず)の検出結果を利用することもできる。このステップ3において肯定判定された場合、すなわち、用紙Pが搬送された場合には、ステップ4(S4)に進む。一方、ステップ3において否定判定された場合、すなわち、用紙Pが搬送されていない場合には、再度のステップ3の処理を行う。
【0047】
ステップ4において、制御部11は、揺動モーター28に対する励磁電流をオンする。すなわち、制御部11は、励磁電流をオフからオンに切り換える。この励磁電流のオンに伴い、揺動モーター28には、一定レベルの基準電圧が印加される。
【0048】
ステップ5(S5)において、制御部11は、所定数のパルスを含む駆動パルスを揺動モーター28に出力する。この駆動パルスの出力により、パルス状の電圧が揺動モーター28に印加されると、揺動モーター28の出力軸が所定数だけ回転することにより、レジストローラー27がホームポジションに移動される。
【0049】
レジストローラー27がホームポジションへと移動した後、搬送された用紙Pがレジストローラー27に突き当たると、制御部11は、ループローラー26を所定時間だけ回転を継続させて、用紙Pにループを形成する。そして、制御部11は、所定のタイミングでレジストローラー27の回転を開始して用紙Pの搬送を再開する。
【0050】
ステップ6(S6)において、制御部11は、用紙Pが片寄りセンサー36に到達すると、この片寄りセンサー36を通じて片寄り量を検出する。
【0051】
そして、ステップ7(S7)において、制御部11は検出された片寄り量に基づいて、所定数のパルスを含む駆動パルスを揺動モーター28に出力する。この駆動パルスにより、パルス状の電圧が揺動モーター28に印加されると、揺動モーター28の出力軸が所定数だけ回転することにより、用紙Pの片寄り量に応じてレジストローラー27が移動される。具体的には、制御部11は、片寄り方向と反対方向へ向けて、片寄り量に応じた量だけレジストローラー27を移動させる。この際、レジストローラー27を通過している用紙Pは、レジストローラー27によって挟持された状態にあるため、レジストローラー27の移動にとない用紙Pの搬送位置も移動される。
【0052】
なお、このステップ7を実行する前提として、制御部11は、レジストローラー27よりも上流側に位置する各搬送部材に関して、ローラー対の状態を圧接状態から離間状態へと切り換えておく。かかる切り換えは、少なくとも、揺動モーター28によりレジストローラー27が駆動されている期間において実行されていれば足りる。
【0053】
また、ステップ7の処理を実行する際には、一旦用紙Pの搬送を停止した上で、レジストローラー27を移動させてもよい。しかしながら、本実施形態では、生産性の低下を抑制するために、レジストローラー27による用紙Pの紙送りと並行して、レジストローラー27の用紙幅方向CDの移動を実行している。
【0054】
ステップ8(S8)において、制御部11は、用紙Pの後端がレジストローラー27を通過したか否かを判断する。例えば、制御部11は、用紙Pの搬送速度及びレジストセンサー37の検出結果に基づいて、用紙Pの後端がレジストセンサー37を通過してからの経過時間に基づいて、前述の判断を行うことができる。あるいは、制御部11は、用紙Pのサイズ及び搬送速度並びにレジストセンサー37の検出結果に基づいて、用紙Pの先端がレジストセンサー37を通過してからの経過時間に基づいて、前述の判断を行うことができる。ステップ8において肯定判定された場合、すなわち、用紙Pの後端がレジストローラー27を通過した場合には、ステップ9(S9)に進む。一方、ステップ8において否定判定された場合、すなわち、用紙Pの後端がレジストローラー27を通過していない場合には、再度ステップ8の判断を行う。
【0055】
ステップ9(S9)において、制御部11は、揺動モーター28に対する励磁電流をオフし、本処理を終了する。
【0056】
一方、前述のステップ2の否定判定に続くステップ10において、制御部11は、ステップ3の処理と同様、レジストローラー27へ向けて用紙Pが搬送されたか否かを判断する。このステップ10において肯定判定された場合、すなわち、用紙Pが搬送された場合には、ステップ11(S11)に進む。一方、ステップ10において否定判定された場合、すなわち、用紙Pが搬送されていない場合には、再度のステップ10の処理を行う。
【0057】
ステップ11において、制御部11は、用紙Pの種類、具体的には、斤量又はサイズに基づいて、励磁電流をオンした際に揺動モーター28に印加される電圧レベルを設定する。用紙Pの斤量が大きい程、あるいは、用紙Pのサイズが大きい程、レジストローラー27を通過する際に、用紙Pがレジストローラー27に与える力が大きくなるため、当該力の大きさに合わせて、揺動モーター28による静止トルクを設定することが好ましい。そこで、制御部11は、用紙Pの種類に応じて、揺動モーター28の静止トルク、すなわち、揺動モーター28に印加される電圧レベルを設定する。具体的には、制御部11は、用紙Pの斤量が大きい程、あるいは、用紙Pのサイズが大きい程、揺動モーター28に印加される電圧レベルが大きくなるように、当該電圧レベルを設定する。
【0058】
ステップ12(S12)において、制御部11は、揺動モーター28に対する励磁電流をオンする。この励磁電流のオンに伴い、揺動モーター28には、ステップ11において設定したレベルの電圧が印加される。
【0059】
そして、制御部12は、ステップ12の後、前述したステップ8の処理に移行し、用紙Pの後端がレジストローラー27の通過を判断したことを条件に、揺動モーター28に対する励磁電流をオフし、本処理を終了する。
【0060】
なお、ジョブの指令として複数の用紙Pに対して印刷を行う場合、動作モードに応じて所定の処理を繰り返し実行すればよい。すなわち、動作モードが揺動モードである場合には、最終紙に至るまでステップ6から8までの処理を繰り返し行い、一方、動作モードが揺動モードである場合には、最終紙の後端が通過するまでステップ8までの処理を行えば足りる。
【0061】
このように本実施形態において、制御部11は、動作モードが揺動モードである場合には、励磁電流をオンするとともにレジストローラー27の揺動量に応じた駆動パルスを電動モーターに出力する揺動処理を行う(ステップ4,ステップ7)。一方、制御部11は、動作モードが非揺動モードである場合、励磁電流をオンする非揺動処理を行う(ステップ12)。
【0062】
かかる構成によれば、非揺動モードでは、励磁電流をオンしていることで、揺動モーター28に静止トルクが生じている。この静止トルクによりレジストローラー27の動きが規制されることとなる。これにより、用紙Pがレジストローラー27を通過する際に当該レジストローラー27が予期せずに動いてしまい、レジストローラー27の通過に伴い用紙Pの片寄りが生じてしまうとう事態を抑制することができる。
【0063】
さらに、揺動モードでは、励磁電流をオンし駆動パルスを出力することにより、揺動モーター28の出力軸が所定の回転数だけ回転し、レジストローラー53が用紙幅方向CDに沿って用紙Pの片寄り量に相当する量だけ移動される。その結果、搬送基準位置Cstに合わせて用紙Pの搬送位置が補正される。そのため、搬送基準位置Cstと用紙Pの中心位置Cppとの位置合わせが適切になされ、用紙Pの適切な位置にトナー画像を形成することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態において、制御部11は、動作モードが非揺動モードである場合、用紙Pがレジストローラー27を通過する通過期間と対応して非揺動処理を行い、通過期間を除く期間では励磁電流をオフしている。かかる構成によれば、片寄りが生じ得る通過期間以外では、励磁電流をオフしているため、消費電力が増加するといった事態を抑制することができる。
【0065】
また、制御部11は、用紙Pの種類に応じて、励磁電流をオンした際に揺動モーターに印加される電圧レベルを可変的に制御している(ステップ11)。かかる構成によれば、用紙Pからレジストローラー27に与えられる力に応じて静止トルクを設定することができるので、レジストローラー27の通過に伴う用紙Pの片寄りを適切に抑制することができ、また、不要な電力の消費を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態において、制御部11は、動作モードが揺動モードの場合、用紙Pがレジストローラー27を通過する通過期間と対応して揺動処理を行い、通過期間を除く期間では、励磁電流をオフしている。かかる構成によれば、片寄りが生じ得る通過期間以外では、励磁電流をオフしているため、消費電力が増加するといった事態を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態において、制御部11は、用紙Pの片寄り量に応じてレジストローラー27を移動させる(ステップ7)よりも先行して、予め規定されたホームポジション(初期位置)にレジストローラー27を移動させている(ステップ5)。例えば、用紙Pの片寄りに応じてレジストローラー27を移動させる際に、当該レジストローラー27をホームポジションに移動させ、その後、用紙Pの片寄りに応じてレジストローラー27を移動させるといった手順を踏んだ場合には、用紙Pの搬送を一時的に停止させなければ、一連の手順を実行するだけの時間的な有余がない場合もある。しかしながら、ホームポジションへと事前に移動させておくことで、生産性の低下を抑制することができる。
【0068】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態にかかる画像形成装置について説明する。この第2の実施形態にかかる画像形成装置が第1の実施形態のそれと相違する点は、動作モードの選択を制御部11が自律的に行う点である。なお、第1の実施形態と重複する構成については説明を省略することとし、以下、相違点を中心に説明を行うこととする。
【0069】
第1の実施形態で示すように、用紙Pの片寄り量に合わせてレジストローラー27を移動させる場合には、レジストローラー27よりも上流側の搬送ローラーの状態を圧接状態から離間状態へと切り換えている。この切り換えは、上流側の搬送ローラーが圧接状態のままレジストローラー27を移動させてしまうと、用紙Pに捩れが発生し、印刷品質の低下に繋がる虞があるからである。
【0070】
この場合、上流側の搬送ローラーのすべてについて、圧接状態と離間状体とが切り換え可能であれば問題ないが、スペース的又はコスト的な問題から駆動機構を設けずに、離間状体へと切り換えることができない上流側の搬送ローラーが存在する場合がある。
【0071】
図6は、第2の実施形態にかかる画像形成装置における搬送ローラーの構成を模式的に示す説明図である。例えば、図6に示すように、手差し給紙トレイから用紙Pを搬送する搬送経路に配置された搬送ローラー40や、中間搬送ローラー24よりも上流側の搬送ローラー(中間搬送ローラー23等)は、圧接状態のみのまま離間状態への切り換えができない構成となっている。また、画像形成装置の前段に大容量給紙装置を配置し、この大容量給紙装置から画像形成装置へと用紙Pを給紙する場合も考えられるが、大容量給紙装置において用紙Pを搬送ローラーについても同様である。
【0072】
そこで、本実施形態では、制御部11は、印刷条件に基づいて、動作モードとして揺動モードを選択するか、それとも非揺動モードを選択するかを決定する。具体的には、制御部11は、印刷条件のうち搬送対象となる用紙Pのサイズを特定すると、特定されたサイズと、メモリ11b等に記憶さている上限サイズとを比較する。そして、制御部11は、特定されたサイズが上限サイズ以上の大きい場合には、動作モードとして非揺動モードを選択し、一方、制御部11は、特定されたサイズが上限サイズよりも小さい場合には、動作モードとして揺動モードを選択する。この場合、上限サイズは、機内の搬送構成を考慮した上で、用紙Pの片寄り量に応じてレジストローラー27を移動させた際に、圧接状態と離間状体との切り換えができない搬送ローラーと干渉したままとなる用紙サイズの最小値として設定されている。換言すれば、非揺動モードは、圧接状態と離間状態との切り換えができる搬送部材に関する用紙Pの搬送経路における配置構成と、用紙サイズとの関係に基づいて選択される動作モードである。
【0073】
このように本実施形態によれば、機械的な制約から揺動モードを実行できないシーンを適切に判断することができる。これにより、揺動モードを強制することにより用紙Pが捻れたりするといった事態の発生を抑制することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態にかかる画像形成装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0075】
SC 画像読取装置
10Y〜10K 画像形成部
10M 画像形成部
11 制御部
20 用紙搬送部
21 給紙トレイ
22 第1給紙部
23〜25 中間搬送ローラー
26 ループローラー
27 レジストローラー
28 揺動モーター
29 排紙トレイ
30 ガイド部材
31 反転ローラー
32,33 中間搬送ローラー
34 プレレジストローラー
50 定着装置
60 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により巻線が励磁されることにより動作する電動モーターと、
用紙の搬送方向と直行する方向である用紙幅方向に沿って揺動自在に構成されており、前記電動モーターによって駆動されることにより、搬送される用紙を用紙幅方向に沿って移動させる搬送位置移動部と、
前記電動モーターに対する励磁電流を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
切換可能な動作モードとして、前記搬送位置移動部を揺動させることにより前記用紙の搬送位置を調整する揺動モードと、当該揺動モードを実行しない非揺動モードとを有し、
前記動作モードが前記揺動モードである場合、前記励磁電流をオンするとともに前記搬送位置移動部の揺動量に応じた駆動パルスを電動モーターに出力する揺動処理を行い、
前記動作モードが前記非揺動モードである場合、前記励磁電流をオンする非揺動処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記動作モードが前記非揺動モードである場合、用紙が前記搬送位置移動部を通過する通過期間と対応して前記非揺動処理を行い、前記通過期間を除く期間では、前記励磁電流をオフすることを特徴とする請求項1に記載された画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、用紙の種類に応じて、前記励磁電流をオンした際に前記揺動モーターに印加される電圧レベルを可変的に制御することを特徴とする請求項2に記載された画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記動作モードが前記揺動モードの場合、用紙が前記搬送位置移動部を通過する通過期間と対応して前記揺動処理を行い、前記通過期間を除く期間では、前記励磁電流をオフすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、用紙の片寄り量に応じて前記搬送位置移動部を移動させるよりも先行して、予め規定された初期位置に前記搬送位置移動部を移動させておくことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載された画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送位置移動部は、用紙の搬送経路において用紙に画像を形成する画像形成位置よりも上流側に配置された一対のレジストローラーであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載された画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、圧接状態と離間状態との切り換えができる搬送部材に関する用紙の搬送経路における配置構成と、用紙サイズとの関係に基づいて、前記非揺動モードを前記動作モードをとして選択することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−40010(P2013−40010A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177829(P2011−177829)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】