画像形成装置
【課題】記録紙の端部を機械的に検出する紙端検知構造でありながら、その構造を簡素化してコスト削減に寄与できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】搬送路8の終端寄りに、スイッチバック機構13の変向爪17と、排紙ローラ14と、紙端検知構造を設ける。紙端検知構造は、記録紙の搬送力を受けて傾動する1個のフィラー30と、フィラー30でオン状態とオフ状態に切換えられる排紙センサ31、およびスイッチバックセンサ32を備えている。フィラー30には、排紙センサ31とスイッチバックセンサ32をオン状態とオフ状態に切換える、第1切換片35と第2切換片36を設ける。第1切換片35と第2切換片36は、フィラー軸33の傾動中心回りの異なる位相位置に配置する。
【解決手段】搬送路8の終端寄りに、スイッチバック機構13の変向爪17と、排紙ローラ14と、紙端検知構造を設ける。紙端検知構造は、記録紙の搬送力を受けて傾動する1個のフィラー30と、フィラー30でオン状態とオフ状態に切換えられる排紙センサ31、およびスイッチバックセンサ32を備えている。フィラー30には、排紙センサ31とスイッチバックセンサ32をオン状態とオフ状態に切換える、第1切換片35と第2切換片36を設ける。第1切換片35と第2切換片36は、フィラー軸33の傾動中心回りの異なる位相位置に配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコピー機、プリンターなどの画像形成装置に関し、なかでも記録紙の両面に画像を形成するためのスイッチバック機構と、排紙部の近傍において記録紙の前端の通過と、後端の通過を検知する紙端検知構造を備えている画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関して、スイッチバック機構を備えている画像形成装置は特許文献1に公知である。そこでは、排紙ローラより上流側の搬送路に設けた排紙センサで、記録紙の前端が通過したことを検知している。また、記録紙の両面に画像を形成する際に、記録紙の後端が通過したことをスイッチバックセンサで検知している。排紙センサは、全てのサイズの記録紙が通過したことを検知する必要上、搬送路の中央部分に配置されているのに対して、スイッチバックセンサは、A4サイズの記録紙のみを検知できる位置、すなわち搬送路の幅方向の片側に配置されている。また、排紙センサの出力信号に基づき制御される排紙ローラの駆動タイミングと、スイッチバックセンサの出力信号に基づき制御される変向爪の駆動タイミングとが異なるため、スイッチバックセンサは排紙センサより搬送方向の下流側に配置されている。排紙センサおよびスイッチバックセンサは、いずれも反射型のフォトインタラプタで構成されており、記録紙で反射された検知光の有無で記録紙の前端および後端を検知している。
【0003】
本発明の紙端検知構造は、記録紙の搬送力を受けて変位するフィラーと、フィラーの変位に伴う光量の変化を検知する光センサとで、記録紙の前端および後端の通過を検知するが、この種の紙端検知構造は特許文献2に公知である。そこでは、原稿の搬送路を横切るセンサレバーと、センサレバーに同行して変位する検知フラグと、検知スイッチとで紙端検知構造を構成している。センサレバーと検知フラグとは一体に設けられて傾動可能に支持されており、原稿の搬送力を受けてセンサレバーが傾動するとき、検知フラグがセンサレバーとは逆向きに傾動してレジストセンサと正対し、レジストセンサをオン状態に切換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−330579号公報(段落番号0032〜34、図3)
【特許文献2】特開平08−99770号公報(段落番号0086〜87、図14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の排紙センサおよびスイッチバックセンサは、いずれも反射型のフォトインタラプタで構成されており、非接触状態で記録紙の先端および後端を検知できる。しかし、各センサを搬送路の幅方向の中央と片側とに配置するので、給電リードあるいは検知信号を出力するための出力リードを、各センサごとに配線する必要があり排紙部の構造が煩雑になりやすい。また、記録紙で反射された検知光の有無で記録紙の前端および後端を検知するため、記録紙が透明ないし半透明の紙あるいはフィルムである場合など、紙質の違いによる検知ミスを生じるおそれがある。
【0006】
その点、記録紙の端部をセンサレバーで機械的に検出する特許文献2の紙端検知構造によれば、透明ないし半透明の原稿(または記録紙)であっても、原稿の搬送力でセンサレバーが傾動することで原稿の前端および後端の通過を検知できる。しかし、特許文献2の紙端検知構造では、原稿の前端および後端を検知するときの、センサレバーの傾動タイミングが殆ど同じであるので、1個のセンサレバーのみで排紙ローラとスイッチバック機構の変向爪を制御するのには適さない。特許文献1の紙端検知構造と同様にセンサを2組用意し、フィラーとレジストセンサで構成した各センサを、搬送方向の異なる位置に配置すると、原稿の前端および後端を検知するときの傾動タイミングを異ならせることができる。しかし、排紙部における紙端検知構造が複雑化しコストが嵩んでしまう。
【0007】
本発明の目的は、記録紙の端部を機械的に検出する紙端検知構造でありながら、その構造を簡素化してコスト削減に寄与できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、搬送路8の終端寄りに、記録紙を搬送路8から反転搬送路15へ変向案内するスイッチバック機構13の変向爪17と、記録紙を排紙トレイ7へ向かって送出する排紙ローラ14と、紙端検知構造とが設けられている。紙端検知構造は、記録紙の搬送力を受けて傾動する1個のフィラー30と、フィラー30でオン状態とオフ状態に切換えられる排紙センサ31、およびスイッチバックセンサ32を備えている。フィラー30は、フィラー軸33と、排紙センサ31をオン状態とオフ状態に切換える第1切換片35と、スイッチバックセンサ32をオン状態とオフ状態に切換える第2切換片36とが設けられている。第1切換片35と第2切換片36は、フィラー軸33の傾動中心回りの異なる位相位置に配置してある。
【0009】
第1切換片35および第2切換片36と、排紙センサ31およびスイッチバックセンサ32のそれぞれは、搬送路8の通紙範囲の外の領域に配置されている。
【0010】
フィラー30は、フィラー軸33と、フィラー軸33の一端に設けられて記録紙の搬送力を受けて傾動するセンサアーム34と、フィラー軸33の他端側に軸心方向へ位置ずれした状態で配置される第1切換片35、および第2切換片36とを一体に備えている。フィラー30は復帰ばね38で中立位置に保持されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、1個のフィラー30と、フィラー30でオン状態とオフ状態に切換えられる排紙センサ31およびスイッチバックセンサ32で紙端検知構造を構成して、構造の簡素化を実現した。また、フィラー30に設けた第1切換片35と第2切換片36を、フィラー軸33の傾動中心回りの異なる位相位置に設けて、排紙センサ31とスイッチバックセンサ32がオン・オフに切換わるタイミングを自由に設定できるようにした。これにより、フィラー30を2組設ける場合と同様の検知機能を発揮しながら、紙端検知構造の全体構造を簡素化してコスト削減に寄与できる。また、1個のフィラー30のみで記録紙の前端および後端の検知を行うので、紙端検知構造が占めるスペースを最小限化して機体の小形化とコンパクト化に寄与できる。
【0012】
第1切換片35、第2切換片36、排紙センサ31と、スイッチバックセンサ32を、搬送路8の通紙範囲の外の領域に配置すると、両センサ31・32の給電リードおよび出力リードの配線を一個所に集約して配線構造を簡素化できる。また、排紙センサ31と、スイッチバックセンサ32の点検あるいは調整などのメンテナンス作業を、1個所でまとめて行うことができる。
【0013】
フィラー軸33と、フィラー軸33の一端および他端に設けたセンサアーム34、および第1、第2の切換片35・36を一体に備えるフィラー30によれば、フィラー30の全体構造を簡素化して、フィラー30が占めるスペースを小さくできる。これは、センサアーム34あるいは第1、第2の切換片35・36をフィラー軸33に固定するための構造が不要となるからである。組付け時には、フィラー軸33を軸受37に組むだけで、フィラー30の組付けを終了できるうえ、センサアーム34、および第1、第2の切換片35・36を適正に位置決めできる。また、フィラー30を復帰ばね38で待機位置に保持するので、センサアーム34が搬送方向の下流側へ傾動し、あるいは上流側へ傾動する場合のいずれであっても、記録紙がセンサアーム34を通過した時点で速やかにフィラー30を中立位置へ復帰できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る紙端検知構造を示す平面図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の概略構造を示す概念図である。
【図3】本発明に係る排紙部周辺の構造を示す平面図である。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】図1におけるB−B線断面図である。
【図6】図1におけるC−C線断面図である。
【図7】図1におけるD−D線断面図である。
【図8】フィラーが搬送方向下流側へ傾動した状態を示す縦断側面図である。
【図9】図8の状態における各切換片の傾動状態を示す側面図である。
【図10】フィラーが搬送方向上流側へ傾動した状態を示す縦断側面図である。
【図11】図10の状態における各切換片の傾動状態を示す側面図である。
【図12】変形例に係るフィラーが搬送方向下流側へ傾動した状態の各切換片の傾動状態を示す側面図である。
【図13】変形例に係るフィラーが搬送方向上流側へ傾動した状態の各切換片の傾動状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例) 図1から図11に、本発明に係る画像形成装置をコピー機能とファクシミリ機能とを備えた複合機に適用した実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2において、複合機1は、画像形成部2、および定着器3等が配置された本体部4と、本体部4の上部の画像読取部5などを備えており、本体部4の下側に配置した給紙カセット6と本体部4の上側の排紙トレイ7との間に記録紙の搬送路8を備えている。画像形成部2は搬送路8の下側に配置され、定着器3は画像形成部2の上方に配置されている。画像読取部5の前面には、各種の操作ボタンを備えた操作パネル9が設けられており、画像読取部5の上面には自動原稿搬送装置10が設けられている。本などの綴られた原稿の画像は、画像読取部5の上面のプラテンガラスに載置した状態で読み込むことができ、さらに枚葉状の原稿は自動原稿搬送装置10を通すことにより連続して読み込むことができる。
【0016】
定着器3より下流側の搬送路部分と、画像形成部2より上流側の搬送路部分との間には、片面に画像が形成された記録紙を反転して再度画像形成部2へ搬送するスイッチバック機構13が設けられている。また、搬送路8の終端寄りには、記録紙を排紙トレイ7へ向かって送出する排紙ローラ14と、紙端検知構造とが設けてある。排紙ローラ14および紙端検知構造と、後述する変向爪17などを支持するために、上フレーム23aと下フレーム23bを本体部4のハウジングの上部に設けている(図4参照)。
【0017】
図2に示すように、スイッチバック機構13は、搬送路8の一側に設けられる反転搬送路15と、反転搬送路15の入口16に配置される変向爪17と、反転搬送路15の中途部に設けられる搬送ローラ18などで構成する。図4に示すように変向爪17は、くさび形に形成した板状体を軸19の軸心に沿って一定間隔置きに配置して構成されており、全体が下フレーム23bで支持した軸19の軸心周りに上下方向に傾動できる。変向爪17は、常態において自重で反時計回転方向へ傾動して、搬送路8を遮断し入口16を開放する遮断姿勢(図4に示す状態)になっており、この状態の変向爪17の爪先端は爪受凹部39の内部に入り込んでいる。定着器3から搬送されてきた記録紙は、自己の搬送力で変向爪17を時計回転方向へ押し上げながらくぐり抜ける。記録紙を円滑に搬送するために、変向爪17の下面および上面には、上凹み湾曲面からなる下ガイド面27と、上凸湾曲面からなる上ガイド面28とが形成されている。
【0018】
排紙ローラ14は、下側の駆動ローラ21と、上側の従動ローラ22とで構成する。駆動ローラ21は、シフトフレーム25でローラ軸24を介して回転自在に支持されており、ローラ軸24の後端部に設けた動力機構(図示していない)で回転駆動される。図3に示すように従動ローラ22は、上フレーム23aに組付けたシフトフレーム25で遊転自在に支持されており、駆動ローラ21と共同して記録紙を排紙トレイ7へ向かって送出する。
【0019】
上記のように構成した排紙部には、ユーザの希望に応じて、記録紙を一定枚数ごとに横ずれした状態で送出して、記録紙の部数ごとの分別を容易化するシフト機構を設ける場合と、シフト機構を設けない場合とがある。この実施例の複合機1は、シフト機構が省略してある場合を示しており、そのためシフトフレーム25は、図3に示すように、ばね26でホーム位置に押付けて固定してある。
【0020】
紙端検知構造は、変向爪17と排紙ローラ14との間の搬送路8に配置される1個のフィラー30と、このフィラー30でオン状態とオフ状態に切換えられる排紙センサ31、およびスイッチバックセンサ32とで構成する。図1および図5においてフィラー30は、フィラー軸33と、フィラー軸33の後端に設けられるセンサアーム34と、フィラー軸33の前端において軸心方向へ位置ずれした状態で配置される後方の第1切換片35と、前方の第2切換片36とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。
【0021】
フィラー軸33の前後2個所は、上フレーム23aに設けた軸受37で回転自在に支持してあり、この装着状態におけるセンサアーム34は、搬送路8の前後方向の中央部において、搬送路8を上下方向に横切っている(図4参照)。従って、記録紙が搬送路8に沿って送られてくると、センサアーム34は記録紙の前端に押されて、図8に示すように時計回転方向へ傾動する。また、排紙ローラ14によって記録紙が反転搬送路15へ向かって逆向きに搬送される場合には、センサアーム34は記録紙の後端に押されて、図10に示すように反時計回転方向へ傾動する。記録紙のサイズが大小に異なる場合でも、センサアーム34は左右方向へ傾動する。なお、図3に、搬送可能な最大サイズの記録紙の外形を想像線で示しており、搬送路8の通紙範囲は最大サイズの記録紙の前後幅より僅かに大きく設定されている。
【0022】
フィラー30を中立位置(図4に示す状態)に保持するために、フィラー軸33と上フレーム23aとの間に引っ張りコイル形の復帰ばね38が掛止されている(図5参照)。これにより、記録紙がセンサアーム34を通過するのと同時に、フィラー30を復帰ばね38の付勢力で強制的に中立位置へ復帰操作することができる。フィラー30が中立位置にあるときのセンサアーム34の先端を受入れ、さらに、遮断姿勢に切換わった変向爪17の爪先端を受入れるために、搬送路8の下周壁に爪受凹部39が形成されている(図4参照)。
【0023】
図7に示すように、第1切換片35は、フィラー軸33から垂下する支持腕41と、支持腕41に連続する遮蔽壁42とを有し、フィラー30の傾動に連動して排紙センサ31の光路を遮蔽壁42で遮断し、あるいは光路を開放する。同様に、第2切換片36は、図6に示すように、フィラー軸33から垂下する支持腕43と、支持腕43に連続する遮蔽壁44とを有し、フィラー30の傾動に連動してスイッチバックセンサ32の光路を遮蔽壁44で遮断し、あるいは光路を開放する。
【0024】
排紙センサ31がオン状態に切換わるタイミングと、スイッチバックセンサ32がオン状態に切換わるタイミングとは同じに設定してある。そのために、各センサ31・32の配置位置に対応して第1切換片35と第2切換片36が、フィラー30の傾動中心回りの異なる位相位置に配置されている。詳しくは、図7に示すように、第1切換片35は、フィラー30が中立位置にあるとき、遮蔽壁42の部分円弧状の周縁45の殆どが、フィラー軸33の中心を通る垂直線より搬送方向の下流側に位置するように形成されている。また、第2切換片36は、図6に示すように、フィラー30が中立位置にあるとき、遮蔽壁44の部分円弧状の周縁46の殆どが、フィラー軸33の中心を通る垂直線より搬送方向の上流側に位置するように形成されている。
【0025】
図5に示すように、排紙センサ31は、発光部48と受光部49が隙間を介して対向配置してある光センサからなり、発光部48と受光部49の対向面の間を、第1切換片35の遮蔽壁42が左右方向へ傾動する。同様にスイッチバックセンサ32は、発光部50と受光部51が隙間を介して対向配置してある光センサからなり、発光部50と受光部51の対向面の間を、第2切換片36の遮蔽壁44が左右方向へ傾動する。
【0026】
排紙センサ31およびスイッチバックセンサ32は、下フレーム23bに装着されて、それぞれ搬送路8の通紙範囲の外の領域に配置されている(図3参照)。また、第1切換片35および第2切換片36を含むフィラー30は、上フレーム23aに設けた軸受37で軸支してある。このように、各部材31・32・35・36を上フレーム23aおよび下フレーム23bの前部に集約する状態で配置することにより、両フレーム23a・23bにおける両センサ31・32の給電リードおよび出力リードの配線構造を簡素化することができる。
【0027】
次に紙端検知構造の動作を説明する。記録紙の片面にのみ画像が形成される場合には、変向爪17は遮断姿勢に保持されて、搬送路8と交差している。定着器3で定着処理された記録紙の前端は、変向爪17の下ガイド面27にガイドされながら、変向爪17を押し上げるようにして下流側へ移動し、やがて、センサアーム34に接当する。記録紙の搬送力を受けたフィラー30は、図8に示すように、全体が復帰ばね38の付勢力に抗して時計回転方向へ傾動し、記録紙が通過し終わるまで傾動した状態に維持される。
【0028】
記録紙の前端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けたときの第1切換片35は、図9に示すように時計回転方向へ傾動して、その遮蔽壁42が排紙センサ31の検知光路から退避しており、従って、排紙センサ31はオン状態に切換わる。同様に、第2切換片36は時計回転方向へ傾動して、その遮蔽壁44がスイッチバックセンサ32の検知光路から退避しており、従って、スイッチバックセンサ32はオン状態に切換わる。排紙センサ31のオン信号を受けた制御装置は、記録紙が円滑に通過したと判断して搬送を続行し、記録紙を排紙トレイ7へ送出する。また、排紙センサ31がオン状態に切換わらなかった場合には、搬送路8においてジャムが発生していると判断して搬送を停止し、紙詰まり状態であることを表示する。
【0029】
記録紙の両面に画像が形成される場合には、上記と同様にして排紙ローラ14を回転駆動するが、記録紙の後端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けるのと同時に、フィラー30が中立位置へ復帰する。そのため、第1切換片35は、その遮蔽壁42が排紙センサ31の検知光路を遮断して、排紙センサ31をオフ状態に切換える。同様に、第2切換片36は、その遮蔽壁44がスイッチバックセンサ32の検知光路を遮断して、スイッチバックセンサ32をオフ状態に切換える。このとき、制御装置は、スイッチバックセンサ32からオフ信号を受けるのと同時に、駆動ローラ21の駆動状態を切換えて排紙ローラ14を逆転駆動する。従って、記録紙は図10に示すように変向爪17の上ガイド面28に案内されて反転搬送路15へと送られる。
【0030】
排紙ローラ14で反転搬送路15へ向かって逆向きに搬送された記録紙は、図10に示すようにセンサアーム34に接当して、フィラー30を復帰ばね38の付勢力に抗して反時計回転方向へ傾動させる。記録紙の後端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けたときの第2切換片36は、図11に示すように反時計回転方向へ傾動して、その遮蔽壁44がスイッチバックセンサ32の検知光路から退避しており、従って、スイッチバックセンサ32はオン状態に切換わっている。同様に、第1切換片35は、その遮蔽壁42が排紙センサ31の検知光路から退避しており、従って排紙センサ31はオン状態に切換わっている。しかし、記録紙の前端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けるのと同時に、フィラー30が中立位置へ復帰する。このとき、排紙センサ31およびスイッチバックセンサ32は、それぞれオフ状態に切換わるが、この信号の変化は制御に反映されない。
【0031】
反転搬送路15内に搬送された記録紙は、搬送ローラ18で搬送されたのち、反転搬送路15と搬送路8との合流部を介して再び搬送路8内へ送出され、画像形成部2と定着器3を経て表裏両面に画像が形成された状態となる。以後は、記録紙の片面にのみ画像が形成される場合と同様にして、記録紙が排紙ローラ14で排紙トレイ7へと送出されて一連の作業を終了する。
【0032】
図12および図13は、フィラー30の変形例を示す。そこでは、第1切換片35および第2切換片36の形状を変更して、排紙センサ31がオン状態に切換わるタイミングと、スイッチバックセンサ32がオン状態に切換わるタイミングとを異ならせるようにした。図12は記録紙の前端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けて、排紙ローラ14へ向かって搬送されている状態を示しており、排紙センサ31のみがオン状態に切換わり、スイッチバックセンサ32はオフ状態になっている。図13は記録紙の後端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けて、反転搬送路15へ向かって搬送されている状態を示しており、スイッチバックセンサ32のみがオン状態に切換わり、排紙センサ31はオフ状態になっている。このような各センサ31・32の信号状態の変化をトリガにして、排紙ローラ14を逆転駆動するときの制御を行うことができる。
【0033】
上記の実施例では、排紙センサ31、およびスイッチバックセンサ32を透過型の光センサで構成したが、その必要はなく、反射型の光センサで構成することができる。その場合には、光センサと対向する遮蔽壁42・44の壁面に反射面を形成するとよい。必要があれば、センサアーム34はフィラー軸33の複数個所に設けることができる。
【符号の説明】
【0034】
7 排紙トレイ
8 搬送路
13 スイッチバック機構
14 排紙ローラ
15 反転搬送路
17 変向爪
30 フィラー
31 排紙センサ
32 スイッチバックセンサ
33 フィラー軸
34 センサアーム
35 第1切換片
36 第2切換片
38 復帰ばね
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコピー機、プリンターなどの画像形成装置に関し、なかでも記録紙の両面に画像を形成するためのスイッチバック機構と、排紙部の近傍において記録紙の前端の通過と、後端の通過を検知する紙端検知構造を備えている画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関して、スイッチバック機構を備えている画像形成装置は特許文献1に公知である。そこでは、排紙ローラより上流側の搬送路に設けた排紙センサで、記録紙の前端が通過したことを検知している。また、記録紙の両面に画像を形成する際に、記録紙の後端が通過したことをスイッチバックセンサで検知している。排紙センサは、全てのサイズの記録紙が通過したことを検知する必要上、搬送路の中央部分に配置されているのに対して、スイッチバックセンサは、A4サイズの記録紙のみを検知できる位置、すなわち搬送路の幅方向の片側に配置されている。また、排紙センサの出力信号に基づき制御される排紙ローラの駆動タイミングと、スイッチバックセンサの出力信号に基づき制御される変向爪の駆動タイミングとが異なるため、スイッチバックセンサは排紙センサより搬送方向の下流側に配置されている。排紙センサおよびスイッチバックセンサは、いずれも反射型のフォトインタラプタで構成されており、記録紙で反射された検知光の有無で記録紙の前端および後端を検知している。
【0003】
本発明の紙端検知構造は、記録紙の搬送力を受けて変位するフィラーと、フィラーの変位に伴う光量の変化を検知する光センサとで、記録紙の前端および後端の通過を検知するが、この種の紙端検知構造は特許文献2に公知である。そこでは、原稿の搬送路を横切るセンサレバーと、センサレバーに同行して変位する検知フラグと、検知スイッチとで紙端検知構造を構成している。センサレバーと検知フラグとは一体に設けられて傾動可能に支持されており、原稿の搬送力を受けてセンサレバーが傾動するとき、検知フラグがセンサレバーとは逆向きに傾動してレジストセンサと正対し、レジストセンサをオン状態に切換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−330579号公報(段落番号0032〜34、図3)
【特許文献2】特開平08−99770号公報(段落番号0086〜87、図14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の排紙センサおよびスイッチバックセンサは、いずれも反射型のフォトインタラプタで構成されており、非接触状態で記録紙の先端および後端を検知できる。しかし、各センサを搬送路の幅方向の中央と片側とに配置するので、給電リードあるいは検知信号を出力するための出力リードを、各センサごとに配線する必要があり排紙部の構造が煩雑になりやすい。また、記録紙で反射された検知光の有無で記録紙の前端および後端を検知するため、記録紙が透明ないし半透明の紙あるいはフィルムである場合など、紙質の違いによる検知ミスを生じるおそれがある。
【0006】
その点、記録紙の端部をセンサレバーで機械的に検出する特許文献2の紙端検知構造によれば、透明ないし半透明の原稿(または記録紙)であっても、原稿の搬送力でセンサレバーが傾動することで原稿の前端および後端の通過を検知できる。しかし、特許文献2の紙端検知構造では、原稿の前端および後端を検知するときの、センサレバーの傾動タイミングが殆ど同じであるので、1個のセンサレバーのみで排紙ローラとスイッチバック機構の変向爪を制御するのには適さない。特許文献1の紙端検知構造と同様にセンサを2組用意し、フィラーとレジストセンサで構成した各センサを、搬送方向の異なる位置に配置すると、原稿の前端および後端を検知するときの傾動タイミングを異ならせることができる。しかし、排紙部における紙端検知構造が複雑化しコストが嵩んでしまう。
【0007】
本発明の目的は、記録紙の端部を機械的に検出する紙端検知構造でありながら、その構造を簡素化してコスト削減に寄与できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、搬送路8の終端寄りに、記録紙を搬送路8から反転搬送路15へ変向案内するスイッチバック機構13の変向爪17と、記録紙を排紙トレイ7へ向かって送出する排紙ローラ14と、紙端検知構造とが設けられている。紙端検知構造は、記録紙の搬送力を受けて傾動する1個のフィラー30と、フィラー30でオン状態とオフ状態に切換えられる排紙センサ31、およびスイッチバックセンサ32を備えている。フィラー30は、フィラー軸33と、排紙センサ31をオン状態とオフ状態に切換える第1切換片35と、スイッチバックセンサ32をオン状態とオフ状態に切換える第2切換片36とが設けられている。第1切換片35と第2切換片36は、フィラー軸33の傾動中心回りの異なる位相位置に配置してある。
【0009】
第1切換片35および第2切換片36と、排紙センサ31およびスイッチバックセンサ32のそれぞれは、搬送路8の通紙範囲の外の領域に配置されている。
【0010】
フィラー30は、フィラー軸33と、フィラー軸33の一端に設けられて記録紙の搬送力を受けて傾動するセンサアーム34と、フィラー軸33の他端側に軸心方向へ位置ずれした状態で配置される第1切換片35、および第2切換片36とを一体に備えている。フィラー30は復帰ばね38で中立位置に保持されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、1個のフィラー30と、フィラー30でオン状態とオフ状態に切換えられる排紙センサ31およびスイッチバックセンサ32で紙端検知構造を構成して、構造の簡素化を実現した。また、フィラー30に設けた第1切換片35と第2切換片36を、フィラー軸33の傾動中心回りの異なる位相位置に設けて、排紙センサ31とスイッチバックセンサ32がオン・オフに切換わるタイミングを自由に設定できるようにした。これにより、フィラー30を2組設ける場合と同様の検知機能を発揮しながら、紙端検知構造の全体構造を簡素化してコスト削減に寄与できる。また、1個のフィラー30のみで記録紙の前端および後端の検知を行うので、紙端検知構造が占めるスペースを最小限化して機体の小形化とコンパクト化に寄与できる。
【0012】
第1切換片35、第2切換片36、排紙センサ31と、スイッチバックセンサ32を、搬送路8の通紙範囲の外の領域に配置すると、両センサ31・32の給電リードおよび出力リードの配線を一個所に集約して配線構造を簡素化できる。また、排紙センサ31と、スイッチバックセンサ32の点検あるいは調整などのメンテナンス作業を、1個所でまとめて行うことができる。
【0013】
フィラー軸33と、フィラー軸33の一端および他端に設けたセンサアーム34、および第1、第2の切換片35・36を一体に備えるフィラー30によれば、フィラー30の全体構造を簡素化して、フィラー30が占めるスペースを小さくできる。これは、センサアーム34あるいは第1、第2の切換片35・36をフィラー軸33に固定するための構造が不要となるからである。組付け時には、フィラー軸33を軸受37に組むだけで、フィラー30の組付けを終了できるうえ、センサアーム34、および第1、第2の切換片35・36を適正に位置決めできる。また、フィラー30を復帰ばね38で待機位置に保持するので、センサアーム34が搬送方向の下流側へ傾動し、あるいは上流側へ傾動する場合のいずれであっても、記録紙がセンサアーム34を通過した時点で速やかにフィラー30を中立位置へ復帰できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る紙端検知構造を示す平面図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の概略構造を示す概念図である。
【図3】本発明に係る排紙部周辺の構造を示す平面図である。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】図1におけるB−B線断面図である。
【図6】図1におけるC−C線断面図である。
【図7】図1におけるD−D線断面図である。
【図8】フィラーが搬送方向下流側へ傾動した状態を示す縦断側面図である。
【図9】図8の状態における各切換片の傾動状態を示す側面図である。
【図10】フィラーが搬送方向上流側へ傾動した状態を示す縦断側面図である。
【図11】図10の状態における各切換片の傾動状態を示す側面図である。
【図12】変形例に係るフィラーが搬送方向下流側へ傾動した状態の各切換片の傾動状態を示す側面図である。
【図13】変形例に係るフィラーが搬送方向上流側へ傾動した状態の各切換片の傾動状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例) 図1から図11に、本発明に係る画像形成装置をコピー機能とファクシミリ機能とを備えた複合機に適用した実施例を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2において、複合機1は、画像形成部2、および定着器3等が配置された本体部4と、本体部4の上部の画像読取部5などを備えており、本体部4の下側に配置した給紙カセット6と本体部4の上側の排紙トレイ7との間に記録紙の搬送路8を備えている。画像形成部2は搬送路8の下側に配置され、定着器3は画像形成部2の上方に配置されている。画像読取部5の前面には、各種の操作ボタンを備えた操作パネル9が設けられており、画像読取部5の上面には自動原稿搬送装置10が設けられている。本などの綴られた原稿の画像は、画像読取部5の上面のプラテンガラスに載置した状態で読み込むことができ、さらに枚葉状の原稿は自動原稿搬送装置10を通すことにより連続して読み込むことができる。
【0016】
定着器3より下流側の搬送路部分と、画像形成部2より上流側の搬送路部分との間には、片面に画像が形成された記録紙を反転して再度画像形成部2へ搬送するスイッチバック機構13が設けられている。また、搬送路8の終端寄りには、記録紙を排紙トレイ7へ向かって送出する排紙ローラ14と、紙端検知構造とが設けてある。排紙ローラ14および紙端検知構造と、後述する変向爪17などを支持するために、上フレーム23aと下フレーム23bを本体部4のハウジングの上部に設けている(図4参照)。
【0017】
図2に示すように、スイッチバック機構13は、搬送路8の一側に設けられる反転搬送路15と、反転搬送路15の入口16に配置される変向爪17と、反転搬送路15の中途部に設けられる搬送ローラ18などで構成する。図4に示すように変向爪17は、くさび形に形成した板状体を軸19の軸心に沿って一定間隔置きに配置して構成されており、全体が下フレーム23bで支持した軸19の軸心周りに上下方向に傾動できる。変向爪17は、常態において自重で反時計回転方向へ傾動して、搬送路8を遮断し入口16を開放する遮断姿勢(図4に示す状態)になっており、この状態の変向爪17の爪先端は爪受凹部39の内部に入り込んでいる。定着器3から搬送されてきた記録紙は、自己の搬送力で変向爪17を時計回転方向へ押し上げながらくぐり抜ける。記録紙を円滑に搬送するために、変向爪17の下面および上面には、上凹み湾曲面からなる下ガイド面27と、上凸湾曲面からなる上ガイド面28とが形成されている。
【0018】
排紙ローラ14は、下側の駆動ローラ21と、上側の従動ローラ22とで構成する。駆動ローラ21は、シフトフレーム25でローラ軸24を介して回転自在に支持されており、ローラ軸24の後端部に設けた動力機構(図示していない)で回転駆動される。図3に示すように従動ローラ22は、上フレーム23aに組付けたシフトフレーム25で遊転自在に支持されており、駆動ローラ21と共同して記録紙を排紙トレイ7へ向かって送出する。
【0019】
上記のように構成した排紙部には、ユーザの希望に応じて、記録紙を一定枚数ごとに横ずれした状態で送出して、記録紙の部数ごとの分別を容易化するシフト機構を設ける場合と、シフト機構を設けない場合とがある。この実施例の複合機1は、シフト機構が省略してある場合を示しており、そのためシフトフレーム25は、図3に示すように、ばね26でホーム位置に押付けて固定してある。
【0020】
紙端検知構造は、変向爪17と排紙ローラ14との間の搬送路8に配置される1個のフィラー30と、このフィラー30でオン状態とオフ状態に切換えられる排紙センサ31、およびスイッチバックセンサ32とで構成する。図1および図5においてフィラー30は、フィラー軸33と、フィラー軸33の後端に設けられるセンサアーム34と、フィラー軸33の前端において軸心方向へ位置ずれした状態で配置される後方の第1切換片35と、前方の第2切換片36とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。
【0021】
フィラー軸33の前後2個所は、上フレーム23aに設けた軸受37で回転自在に支持してあり、この装着状態におけるセンサアーム34は、搬送路8の前後方向の中央部において、搬送路8を上下方向に横切っている(図4参照)。従って、記録紙が搬送路8に沿って送られてくると、センサアーム34は記録紙の前端に押されて、図8に示すように時計回転方向へ傾動する。また、排紙ローラ14によって記録紙が反転搬送路15へ向かって逆向きに搬送される場合には、センサアーム34は記録紙の後端に押されて、図10に示すように反時計回転方向へ傾動する。記録紙のサイズが大小に異なる場合でも、センサアーム34は左右方向へ傾動する。なお、図3に、搬送可能な最大サイズの記録紙の外形を想像線で示しており、搬送路8の通紙範囲は最大サイズの記録紙の前後幅より僅かに大きく設定されている。
【0022】
フィラー30を中立位置(図4に示す状態)に保持するために、フィラー軸33と上フレーム23aとの間に引っ張りコイル形の復帰ばね38が掛止されている(図5参照)。これにより、記録紙がセンサアーム34を通過するのと同時に、フィラー30を復帰ばね38の付勢力で強制的に中立位置へ復帰操作することができる。フィラー30が中立位置にあるときのセンサアーム34の先端を受入れ、さらに、遮断姿勢に切換わった変向爪17の爪先端を受入れるために、搬送路8の下周壁に爪受凹部39が形成されている(図4参照)。
【0023】
図7に示すように、第1切換片35は、フィラー軸33から垂下する支持腕41と、支持腕41に連続する遮蔽壁42とを有し、フィラー30の傾動に連動して排紙センサ31の光路を遮蔽壁42で遮断し、あるいは光路を開放する。同様に、第2切換片36は、図6に示すように、フィラー軸33から垂下する支持腕43と、支持腕43に連続する遮蔽壁44とを有し、フィラー30の傾動に連動してスイッチバックセンサ32の光路を遮蔽壁44で遮断し、あるいは光路を開放する。
【0024】
排紙センサ31がオン状態に切換わるタイミングと、スイッチバックセンサ32がオン状態に切換わるタイミングとは同じに設定してある。そのために、各センサ31・32の配置位置に対応して第1切換片35と第2切換片36が、フィラー30の傾動中心回りの異なる位相位置に配置されている。詳しくは、図7に示すように、第1切換片35は、フィラー30が中立位置にあるとき、遮蔽壁42の部分円弧状の周縁45の殆どが、フィラー軸33の中心を通る垂直線より搬送方向の下流側に位置するように形成されている。また、第2切換片36は、図6に示すように、フィラー30が中立位置にあるとき、遮蔽壁44の部分円弧状の周縁46の殆どが、フィラー軸33の中心を通る垂直線より搬送方向の上流側に位置するように形成されている。
【0025】
図5に示すように、排紙センサ31は、発光部48と受光部49が隙間を介して対向配置してある光センサからなり、発光部48と受光部49の対向面の間を、第1切換片35の遮蔽壁42が左右方向へ傾動する。同様にスイッチバックセンサ32は、発光部50と受光部51が隙間を介して対向配置してある光センサからなり、発光部50と受光部51の対向面の間を、第2切換片36の遮蔽壁44が左右方向へ傾動する。
【0026】
排紙センサ31およびスイッチバックセンサ32は、下フレーム23bに装着されて、それぞれ搬送路8の通紙範囲の外の領域に配置されている(図3参照)。また、第1切換片35および第2切換片36を含むフィラー30は、上フレーム23aに設けた軸受37で軸支してある。このように、各部材31・32・35・36を上フレーム23aおよび下フレーム23bの前部に集約する状態で配置することにより、両フレーム23a・23bにおける両センサ31・32の給電リードおよび出力リードの配線構造を簡素化することができる。
【0027】
次に紙端検知構造の動作を説明する。記録紙の片面にのみ画像が形成される場合には、変向爪17は遮断姿勢に保持されて、搬送路8と交差している。定着器3で定着処理された記録紙の前端は、変向爪17の下ガイド面27にガイドされながら、変向爪17を押し上げるようにして下流側へ移動し、やがて、センサアーム34に接当する。記録紙の搬送力を受けたフィラー30は、図8に示すように、全体が復帰ばね38の付勢力に抗して時計回転方向へ傾動し、記録紙が通過し終わるまで傾動した状態に維持される。
【0028】
記録紙の前端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けたときの第1切換片35は、図9に示すように時計回転方向へ傾動して、その遮蔽壁42が排紙センサ31の検知光路から退避しており、従って、排紙センサ31はオン状態に切換わる。同様に、第2切換片36は時計回転方向へ傾動して、その遮蔽壁44がスイッチバックセンサ32の検知光路から退避しており、従って、スイッチバックセンサ32はオン状態に切換わる。排紙センサ31のオン信号を受けた制御装置は、記録紙が円滑に通過したと判断して搬送を続行し、記録紙を排紙トレイ7へ送出する。また、排紙センサ31がオン状態に切換わらなかった場合には、搬送路8においてジャムが発生していると判断して搬送を停止し、紙詰まり状態であることを表示する。
【0029】
記録紙の両面に画像が形成される場合には、上記と同様にして排紙ローラ14を回転駆動するが、記録紙の後端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けるのと同時に、フィラー30が中立位置へ復帰する。そのため、第1切換片35は、その遮蔽壁42が排紙センサ31の検知光路を遮断して、排紙センサ31をオフ状態に切換える。同様に、第2切換片36は、その遮蔽壁44がスイッチバックセンサ32の検知光路を遮断して、スイッチバックセンサ32をオフ状態に切換える。このとき、制御装置は、スイッチバックセンサ32からオフ信号を受けるのと同時に、駆動ローラ21の駆動状態を切換えて排紙ローラ14を逆転駆動する。従って、記録紙は図10に示すように変向爪17の上ガイド面28に案内されて反転搬送路15へと送られる。
【0030】
排紙ローラ14で反転搬送路15へ向かって逆向きに搬送された記録紙は、図10に示すようにセンサアーム34に接当して、フィラー30を復帰ばね38の付勢力に抗して反時計回転方向へ傾動させる。記録紙の後端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けたときの第2切換片36は、図11に示すように反時計回転方向へ傾動して、その遮蔽壁44がスイッチバックセンサ32の検知光路から退避しており、従って、スイッチバックセンサ32はオン状態に切換わっている。同様に、第1切換片35は、その遮蔽壁42が排紙センサ31の検知光路から退避しており、従って排紙センサ31はオン状態に切換わっている。しかし、記録紙の前端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けるのと同時に、フィラー30が中立位置へ復帰する。このとき、排紙センサ31およびスイッチバックセンサ32は、それぞれオフ状態に切換わるが、この信号の変化は制御に反映されない。
【0031】
反転搬送路15内に搬送された記録紙は、搬送ローラ18で搬送されたのち、反転搬送路15と搬送路8との合流部を介して再び搬送路8内へ送出され、画像形成部2と定着器3を経て表裏両面に画像が形成された状態となる。以後は、記録紙の片面にのみ画像が形成される場合と同様にして、記録紙が排紙ローラ14で排紙トレイ7へと送出されて一連の作業を終了する。
【0032】
図12および図13は、フィラー30の変形例を示す。そこでは、第1切換片35および第2切換片36の形状を変更して、排紙センサ31がオン状態に切換わるタイミングと、スイッチバックセンサ32がオン状態に切換わるタイミングとを異ならせるようにした。図12は記録紙の前端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けて、排紙ローラ14へ向かって搬送されている状態を示しており、排紙センサ31のみがオン状態に切換わり、スイッチバックセンサ32はオフ状態になっている。図13は記録紙の後端がセンサアーム34の先端をくぐり抜けて、反転搬送路15へ向かって搬送されている状態を示しており、スイッチバックセンサ32のみがオン状態に切換わり、排紙センサ31はオフ状態になっている。このような各センサ31・32の信号状態の変化をトリガにして、排紙ローラ14を逆転駆動するときの制御を行うことができる。
【0033】
上記の実施例では、排紙センサ31、およびスイッチバックセンサ32を透過型の光センサで構成したが、その必要はなく、反射型の光センサで構成することができる。その場合には、光センサと対向する遮蔽壁42・44の壁面に反射面を形成するとよい。必要があれば、センサアーム34はフィラー軸33の複数個所に設けることができる。
【符号の説明】
【0034】
7 排紙トレイ
8 搬送路
13 スイッチバック機構
14 排紙ローラ
15 反転搬送路
17 変向爪
30 フィラー
31 排紙センサ
32 スイッチバックセンサ
33 フィラー軸
34 センサアーム
35 第1切換片
36 第2切換片
38 復帰ばね
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路の終端寄りに、記録紙を搬送路から反転搬送路へ変向案内するスイッチバック機構の変向爪と、記録紙を排紙トレイへ向かって送出する排紙ローラと、紙端検知構造とが設けられている画像形成装置であって、
前記紙端検知構造は、記録紙の搬送力を受けて傾動する1個のフィラーと、前記フィラーでオン状態とオフ状態に切換えられる排紙センサ、およびスイッチバックセンサを備えており、
前記フィラーは、フィラー軸と、前記排紙センサをオン状態とオフ状態に切換える第1切換片と、前記スイッチバックセンサをオン状態とオフ状態に切換える第2切換片とを備えており、
前記第1切換片と前記第2切換片とが、前記フィラー軸の傾動中心回りの異なる位相位置に配置してあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1切換片および前記第2切換片と、前記排紙センサおよび前記スイッチバックセンサのそれぞれが、前記搬送路の通紙範囲の外の領域に配置されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記フィラーは、フィラー軸と、前記フィラー軸の一端に設けられて記録紙の搬送力を受けて傾動するセンサアームと、前記フィラー軸の他端側に軸心方向へ位置ずれした状態で配置される前記第1切換片、および前記第2切換片とを一体に備えており、
前記フィラーが、復帰ばねで中立位置に保持されている請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項1】
搬送路の終端寄りに、記録紙を搬送路から反転搬送路へ変向案内するスイッチバック機構の変向爪と、記録紙を排紙トレイへ向かって送出する排紙ローラと、紙端検知構造とが設けられている画像形成装置であって、
前記紙端検知構造は、記録紙の搬送力を受けて傾動する1個のフィラーと、前記フィラーでオン状態とオフ状態に切換えられる排紙センサ、およびスイッチバックセンサを備えており、
前記フィラーは、フィラー軸と、前記排紙センサをオン状態とオフ状態に切換える第1切換片と、前記スイッチバックセンサをオン状態とオフ状態に切換える第2切換片とを備えており、
前記第1切換片と前記第2切換片とが、前記フィラー軸の傾動中心回りの異なる位相位置に配置してあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1切換片および前記第2切換片と、前記排紙センサおよび前記スイッチバックセンサのそれぞれが、前記搬送路の通紙範囲の外の領域に配置されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記フィラーは、フィラー軸と、前記フィラー軸の一端に設けられて記録紙の搬送力を受けて傾動するセンサアームと、前記フィラー軸の他端側に軸心方向へ位置ずれした状態で配置される前記第1切換片、および前記第2切換片とを一体に備えており、
前記フィラーが、復帰ばねで中立位置に保持されている請求項1または2に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−43759(P2013−43759A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183604(P2011−183604)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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