説明

画像形成装置

【課題】交流ピーク間電圧の増大によるクリーニングブレードエッジから転写残トナー等のすり抜け、クリーニング不良の発生を防止し、感光体への潤滑剤塗布を安定化して、潤滑剤過剰塗布、潤滑剤塗布不足の発生を防止する画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体3と、感光体3を帯電ローラ11に交流を印加して帯電させる帯電装置10と、感光体3に当接するクリーニングブレード21を備えたクリーニング装置20と、感光体3に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置30とを備え、潤滑剤の塗布量に対応して、非作像時に帯電ローラ11に印加する交流の電圧(Vp−p)を変化させる画像形成装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体表面に潤滑剤を塗布して潤滑剤の薄層を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置における画像形成工程は、光導電現象を利用して像担持体としての感光体上に静電潜像を形成し、この静電潜像に着色したトナー微粒子を、静電気力を利用して付着させて可視像化する工程をいう。
しかし、昨今の複写機、プリンターのカラー化、高速化、高画質化の進展とともに、電子写真方式の画像形成装置では、4連タンデム方式の画像形成装置が主流となってきている。また、環境意識への高まりから、リサイクル、高信頼性、高寿命化もますます重要になってきている。さらに、オフィス環境への配慮から、オゾン発生量、粉塵発生量に関しても、意識が高まっている。
そのために、電子写真方式の画像形成装置では、帯電部材として、オゾン発生量が少ない帯電ローラ方式が採用されるものが多い。さらに、高寿命化を狙って、感光体に微小ギャップをもって、対向する帯電ローラが採用されることもある。
また、高画質化への要求から、帯電ローラに対して、帯電電流が十分に流れ帯電電位が安定する交流電圧を印加するものも多くなってきている。しかしながら、帯電ローラに交流電圧を印加すると、帯電電流により、感光体表面が破壊されてしまうために、感光体表面保護のために、感光体に潤滑剤を塗布することが多くなってきている。また、潤滑剤塗布により、感光体表面摩擦係数を下げてクリーニングブレードエッジの挙動を安定させて、クリーニング性能を向上させることも可能となる。
【0003】
感光体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置としては、一般に、棒状の固形潤滑剤を、圧縮スプリング等でブラシローラに押し付けて、ブラシローラにより潤滑剤を削り取り、感光体表面へと塗布し、可撓性ブレードで薄膜化する機構となっている。
しかしながら、こうした潤滑剤塗布装置では、新しい固形潤滑剤を装着して使用開始直後と、使用し始めて所定時間経過後では、潤滑剤の感光体への塗布量は大きく変化する。これは、固形潤滑剤が新しい場合には、固形潤滑剤を削りかつ塗布する塗布ブラシへの加圧力が大きくなるので、感光体への塗布量が、潤滑剤がある程度消費され潤滑剤塗布量が安定した塗布安定時よりも多くなり、塗布過剰となり、帯電ローラ等が汚れ、帯電不良による縦スジ等が発生する。
【0004】
そこで、特許文献1では、像担持体と、該像担持体に対して接触または近接させて配置された状態で一様帯電可能な帯電手段を備え、一様帯電された像担持体に形成された静電潜像を現像装置により可視像処理した後、可視像とされたトナー像を被転写体に転写した後、前記像担持体表面に残留するトナーをクリーニング装置により除去する手段と、前記像担持体に対して潤滑剤を供給する手段とを具備し、前記帯電手段は、画像形成回数若しくは前記像担持体の回動時間をカウントするカウンタを有し、カウンタ値によって画像形成時と非画像形成時とで印加される交流電圧値の比を制御する制御手段に接続されていることを特徴とする画像形成装置が提案されている。これにより、比較的簡単な制御動作により、帯電手段への負荷を大きくしないで高耐久性が得られる構成を備えた画像形成装置を提供することができる。
また、特許文献2では、像担持体の表面には、粒子形状が立方体状及び/又は直方体状であり、1次粒子の粒径が30nm以上300nm以下である研磨剤と、潤滑剤と、が供給され、研磨剤の供給量をA(μg/cm)、潤滑剤の供給量をB(μg/cm)、帯電部材から像担持体に流れる放電電流量をΔIac(mA)、像担持体のテーバー磨耗量をT(mg)とすると、0.5×ΔIac/T≦A+10B≦5×ΔIac/T、1≦A/B≦20の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置が提案されている。これによって、ブレードクリーニング方式で、潤滑剤を像担持体の表面に供給する画像形成装置において、像担持体の表面に潤滑剤をできるだけ少量で且つ均一に塗布して像担持体表面を潤滑剤で被覆できるようにして、画像流れ、融着等を発生させず、長期的に安定したクリーニングを達成することができる。
また、特許文献3では、被清掃体である像担持体と、交流バイアスが印加される帯電手段と、該像担持体の表面を清掃する弾性ブレードからなるクリーニング手段を有する画像形成装置において、像担持体には潤滑剤が供給され、潤滑剤の供給量が、帯電手段の放電電流量Idisと像担持体の面速度Vとから規定された量で供給されることを特徴とする画像形成装置が提案されている。これによって、像担持体表面に均一塗布された潤滑剤を、使用条件に応じた、適切な潤滑剤入替え量とする事でクリーニングブレードの負荷を適正に維持することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、それらの問題に対して、潤滑剤の感光体への塗布量の変動に対して、帯電部材に印加する交流ピーク間電圧を変化させて、帯電電流により破壊消費される潤滑剤量を制御して、(帯電通過後の)感光体上の潤滑剤量を適正に維持する方法が提案された。
これは、帯電部材に印加される交流ピーク間電圧を大きくするとより多くの帯電電流が流れるため、帯電電流の感光体への攻撃作用が大きくなり、感光体保護のためにより多くの潤滑剤が破壊されて消費されることによる。
しかしながら、この方法では、作像時に交流ピーク間電圧を大きくすると、交流電圧による感光体の振動が大きくなり、クリーニングブレードエッジ挙動が不安定となり、クリーニングブレードエッジからの転写残トナー等のすり抜けが増加したり、クリーニング不良が発生したりすることがある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、交流ピーク間電圧の増大によるクリーニングブレードエッジからの転写残トナー等のすり抜け、クリーニング不良の発生を防止し、感光体への潤滑剤塗布を安定化して、潤滑剤過剰塗布、潤滑剤塗布不足の発生を防止する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成装置では、像担持体と、前記像担持体を帯電部材に交流を印加して帯電させる帯電装置と、前記像担持体に当接するクリーニング部材を備えたクリーニング装置と、前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置と、を備える画像形成装置において、前記潤滑剤の塗布量に対応して、非作像時に前記帯電部材に印加する交流ピーク間電圧(Vp−p)を変化させることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置では、さらに、前記交流ピーク間電圧(Vp−p)は、潤滑剤の塗布量に対応して滑らかに又は段階的に変化させることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置では、さらに、前記潤滑剤塗布装置は、圧縮スプリングにより加圧された棒状の固形潤滑剤を潤滑剤供給ローラで削り取り、像担持体に塗布することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置では、さらに、前記固形潤滑剤を使用して所定の時間経過後における潤滑剤塗布量安定時よりも、潤滑剤塗布量が多いときに非作像時の前記交流ピーク間電圧(Vp−p)を大きくすることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置では、さらに、固形潤滑剤の量を検知する検知手段を搭載し、前記固形潤滑剤を使用する初期には、非作像時の前記交流ピーク間電圧(Vp−p)を前記固形潤滑剤を使用して所定の時間経過後における潤滑剤塗布量安定時より大きくすることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置では、さらに、前記潤滑剤塗布装置が、像担持体の回転方向に対し、クリーニング装置下流に搭載されることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置では、さらに、前記帯電装置は、帯電部材として像担持体に接触させている帯電ローラを搭載することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置では、さらに、前記帯電装置は、帯電部材として像担持体に微小なギャップをもって対向する帯電ローラを搭載することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置では、さらに、前記固形潤滑剤が、少なくとも脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)を含有することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置では、さらに、前記脂肪酸金属塩(A)がステアリン酸亜鉛で、前記無機潤滑剤(B)が窒化ホウ素であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置では、さらに、像担持体と、帯電装置、現像装置、クリーニング装置のうち少なくとも一つを含むプロセスカートリッジを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明の画像形成装置では、非作像時に帯電部材に印加される交流ピーク間電圧を大きくして、より多くの潤滑剤を破壊消費するので、転写残トナー等がすり抜けることがなく、クリーニング不良の発生を防止することが可能となる。更に、作像時に感光体上の過剰潤滑剤が付着して汚れた帯電ローラ表面の潤滑剤に対しても、より大きな交流電圧により大きなクリーニング効果を発揮できるため、潤滑剤塗布過剰による帯電ローラ汚れ、汚れによる帯電不良、縦スジ画像といった問題発生を防止できる。
さらに、非作像時に交流ピーク間電圧を大きくするので、交流ピーク間電圧が大きくなることにより大きくなる帯電音による耳障りな突騒音の発生を抑制できる。
さらに、感光体回転方向に対して、感光体クリーニングの下流側に潤滑剤塗布機構が設けられているので、画像面積率による感光体への潤滑剤供給過不足がなく安定して潤滑剤塗布が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】4つのプロセスカートリッジのうち1つを拡大して、その構成を示す概略図である。
【図3】本発明の画像形成装置がプロセスカートリッジを配置する状態を説明する図である。
【図4】本発明の画像形成装置に用いられる帯電ローラの構成を示す図である。
【図5】本発明の画像形成装置が備える潤滑剤塗布装置の構成と潤滑剤の塗布状況を説明する模式図である。
【図6】本発明の画像形成装置に用いる潤滑剤塗布装置による潤滑剤の塗布状況を示す模式図で、(a)は固形潤滑剤が初期状態における潤滑剤の塗布状況を示す模式図で、(b)は固形潤滑剤が所定の時間経過後の状態における潤滑剤の塗布状況を示す模式図である。
【図7】潤滑剤塗布量と潤滑剤塗布装置の使用時間との関係を示す図である。
【図8】作像時に帯電装置の交流の帯電電圧を大きくした場合の感光体周囲の状態を示す図である。
【図9】潤滑剤塗布量と潤滑剤塗布装置の使用時間との関係及び交流ピーク間電圧を示す図であり、(a)は交流ピーク間電圧を潤滑剤塗布量に対応させて滑らかに変化させ、(b)は交流ピーク間電圧を潤滑剤塗布量に対応させて段階的に変化させている。
【図10】非作像時に帯電装置の交流の帯電電圧を大きくした場合の感光体周囲の状態を示す図である。
【図11】本発明の画像形成装置で、固形潤滑剤の量の検知手段を備えている構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0011】
以下、図を用いて発明の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の構成を示す図である。
ここでは、像担持体として複数の感光体3K、3M、3C、3Yを有する画像形成装置1で説明するが、この形態の画像形成装置1に限定するものではない。さらに、ここでは、それぞれの感光体3K、3M、3C、3Yのトナー量に応じて制御するが、プロセスカートリッジ2がすべて同じ形態であり、各々の構成を限定せずに説明する。
本発明の画像形成装置1は、上の方から、トナー画像を形成する像担持体である感光体3等を有する画像形成部6と、そして、その下に給紙装置60とが配置されている。その他に、画像形成部の上方に、画像が形成された記録部材9を積載する排紙トレイ91が配置されている。
画像形成装置1は、その中央部に画像形成部6が配置されている。画像形成部6では、その内部の略中央に、作像ユニットとしてのプロセスカートリッジ2をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応した4つを並列に転写装置50に沿ってタンデム型に配列している。その転写装置50には、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性材料からなり、中抵抗に調整された基体からなる無端状ベルトで、4つのローラ531、532、533、534に掛け回して支持され、図中矢印A方向に回転駆動する中間転写体である中間転写ベルト51を備えている。
また、4つのプロセスカートリッジの下方には、帯電した各感光体3の表面に各色の画像データに基づいて露光をし、潜像を形成する露光装置4が備えられている。中間転写ベルト51を挟んで、各感光体3と対向する位置には、感光体3上に形成されたトナー像を中間転写ベルト51上に一次転写する一次転写装置として一次転写ローラ52がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ52は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。
【0012】
中間転写ベルト51の支持ローラ532で支持された部分の外側には、二次転写装置として二次転写ローラ54が圧接されている。二次転写ローラ54は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。二次転写ローラ54と中間転写ベルト51との接触部が二次転写部であり、中間転写ベルト51上のトナー像が記録部材9に転写される。
中間転写ベルト51の支持ローラ531で支持された部分の外側には、二次転写後の中間転写ベルト51の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置55が設けられている。
二次転写部の上方には、記録部材9上のトナー像を記録部材9に半永久的に定着させる定着装置70が備えられている。定着装置70は、定着ローラ71と、これに対向し、圧接して配置される、内部にハロゲンヒータを有する加圧ローラ72とから構成されている。この他に、定着ローラ71の代わりに、図示しないが、内部にハロゲンヒータを有する加熱ローラ及び定着ローラに巻き掛けられた無端の定着ベルトを用いても良い。
画像形成装置1の下部には、記録部材9を載積し二次転写部に向けて記録部材9を送り出す給紙装置60が備えられている。
【0013】
図2は、4つのプロセスカートリッジのうち1つを拡大して、その構成を示す概略図である。いずれのプロセスカートリッジでも同様の構成であるので、この図においては、色の区別を示すY、M、C、Kの表示を省略する。
各プロセスカートリッジ2は感光体3を有し、各感光体3の周りには、感光体3表面に電荷を与える帯電装置10、感光体3表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置40、感光体3表面に潤滑剤32を塗布する潤滑剤塗布装置30、トナー像転写後の感光体3表面のクリーニングをするクリーニング装置20がそれぞれ配置されている。
図2に示した各要素を画像形成装置1本体にそれぞれ別個に組み付けてもよいが、感光体3と、帯電装置10、現像装置40、クリーニング装置20、潤滑剤塗布装置30のいずれか1つ以上を一体的に支持していて、画像形成装置1に着脱可能になっている。本実施形態では、少なくとも、感光体3と、潤滑剤塗布装置30とを備えていることにより、セット性、メンテナンス性に優れ、更に、一体化することにより、現像装置、帯電装置10、クリーニング装置等の対感光体3の位置精度が良くなる。
【0014】
図3は、本発明の画像形成装置がプロセスカートリッジを配置する状態を説明する図である。
図3に示すように、ここでは、本発明の画像形成装置1の本体筐体102に設けられている前面カバー103を開放した状態を示している。この前面カバー103を開放することにより、プロセスカートリッジ2と廃トナー回収容器46とが現われ、プロセスカートリッジ2や中間転写ベルト51及び廃トナー回収容器46の交換等やその他のメンテナンスを行うことができる。中間転写ベルト51と支持ローラ531、532、533、534とは、ベルトケース50a内に収納されてとしてユニット化されている。
さらに、この転写装置50のユニット化された一部の下側部分に並列に配置されたプロセスカートリッジ2Y、2M、2C、2Kが設けられている。
【0015】
感光体3は、アモロファスシリコーン、セレン等の金属物質を用いる感光体3、または、有機感光物質を用いる感光体3がある。ここでは、有機感光体で説明する。感光体3としては、導電性支持体上に、フィラー分散した樹脂層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層、その表面にフィラーを分散させた保護層を有する。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れている。
電荷発生層は、電荷発生能を有する顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。結着樹脂としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
また、電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体3を有用に用いることができる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体3を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上、好ましくは10質量%以上、50質量%以下、好ましくは30質量%以下程度が良好である。
【0016】
帯電装置10は、回転するローラを感光体3に接触又は微小の隙間を設けて非接触に対向させるローラ方式である。
図4は、本発明の画像形成装置に用いられる帯電ローラの構成を示す図である。
帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ11を備える。帯電ローラ11は、電源に接続されており、所定の電圧が印加される。帯電ローラ11は、感光体3に対して接触して又は微小な間隙を持って近接して配置される。接触していても、円形形状の断面は、感光体3に近接する部分を有している。感光体3に近接している部分で、放電して、感光体3を帯電させることができる。
【0017】
この帯電ローラ11は、中心に金属製芯金による軸部111、その外側に抵抗調整層112と最外層に表面層113とを有する構造をしている。軸部111は、例えば、直径が8〜20mmのステンレス、アルミニウムの高い剛性と導電性を有している金属製又は1×10Ω・cm以下、好ましくは1×10Ω・cm以下で高い剛性を有する導電性の樹脂等で構成される。
抵抗調整層112は、1×10Ω・cm〜1×10Ω・cmの体積抵抗率で、1〜2mm程度の厚さにすることが好ましい。
表面層113は、1×10Ω・cm〜1×1012Ω・cmの体積抵抗率で、10μm程度の厚さが好ましい。表面層の体積抵抗率は、抵抗調整層112の電気抵抗率より高くすることが好ましい。ここで、帯電ローラ11は、抵抗調整層112と表面層との2層構造で示したが、特にこの構造に限定されるものではなく、単層でも3層であっても良い。
抵抗調整層112は、樹脂組成物を押出成形又は射出成形等により芯金31の周面に設けることで形成される。また、抵抗調整層112が経時で変形し、感光体3と帯電ローラ11との間隙が変化するのを防ぐため、抵抗調整層112のJIS−D硬度は45度以上とする。
抵抗調整層112に用いられる熱可塑性樹脂は、成形後のJIS−D硬度を保持することができれば特に限定するものでないが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)及びその共重合体(AS、ABS等)等の汎用樹脂を用いる方が、成形加工が容易であり好ましい。
電気抵抗の調整のために、高分子型イオン導電剤、カーボンブラック、金属粉等の導電材を用いることができる。
【0018】
帯電ローラ11は、電源に接続されており、所定の電圧が印加される。その電圧は、直流(DC)電圧のみでもよいが、DC電圧に交流(AC)電圧を重畳させた電圧であることが好ましい。AC電圧を印加することにより、感光体3表面をより均一に帯電することができる。本実施形態では、DC電圧にAC電圧を重畳させている。
帯電ローラ11を感光体3に接触させて、感光体3を帯電させるもので、この接触式の帯電装置10は、従来用いられているコロナ帯電方式に比べて、放電生成物の発生量が極めて少ない、印加電圧が低いため電源のコストが小さくなる、電気絶縁の設計が行いやすい等の利点を有している。もちろん、上記のオゾン、窒素酸化物などによる不具合も低減する。
また、帯電ローラ11は、感光体3に対して微小な間隙をもって配設されてもよい。この微小な間隙は、帯電ローラ11の両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体3表面に当接させることで、設定することができる。帯電装置10として、感光体3に微小ギャップをもって対向する帯電ローラを搭載するので、帯電ローラ表面に感光体3からトナー等の汚れが付着しにくく、帯電ローラ汚れが抑制可能で長寿命化が図れる。
スペーサ部材は、帯電ローラ11は、微小な間隙を設けて、感光体3に対して非接触で設けても良い。この場合、帯電ローラ11の両端部にフィルムを巻きつけてスペーサとしている。このスペーサは、感光体3の感光面に接触させ、帯電ローラ11と感光体3の画像領域にある一定の微小ギャップを得るようになっている。印加バイアスは、AC重畳タイプの電圧を印加して、帯電ローラ11と感光体3との微小間隙(ギャップ)に生じる放電により、感光体3を帯電させる。さらに、軸部111をスプリング等で加圧することで、微小ギャップの維持精度が向上する。
さらに、スペーサ部材を帯電ローラ11と一体成型にしてもよい。このとき、ギャップ部分は、少なくともその表面を絶縁体にする。このようにすることにより、ギャップ部分で放電をなくし、ギャップ部分に放電生成物が堆積し、放電生成物の粘着性により、トナーがギャップ部分に固着し、ギャップが広がることがなくなる。
【0019】
現像装置40は、感光体3と対向する位置に、図示しないが内部に磁界発生手段を備える現像ローラ41が配置されている。現像ローラ41の下方には、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像ローラ41へ汲み上げる機構を併せて有する2つの攪拌・搬送スクリュー43、44が備えられている。現像ローラ41によって搬送されるトナーと磁性キャリアからなる現像剤は、規制部材42によって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像ローラ41に担持される。現像ローラ41は、感光体3との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体3の潜像面に供給する。
また、図1に示しているが、未使用のトナーが収納された各色のトナーカートリッジ45Y、45C、45M、45Kが、着脱可能に感光体3上部の空間に収納される。図示しないモーノポンプやエアーポンプなどのトナー搬送手段により、各現像装置40に必要に応じトナーを供給するようになっている。消耗の多いブラックトナー用のトナーカートリッジ45Kを、特に大容量としておくことも可能である。
【0020】
クリーニング装置20は、クリーニングブレード21が感光体3と当接・離間する機構を備え、画像形成装置1本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。クリーニングブレード21をカウンタ方式で、感光体3に当接し、これによって、感光体3上に残留するトナー、汚れとして付着している記録部材9のタルク、カオリン、炭酸カルシウム等の添剤を感光体3から除去してクリーニングする。除去したトナー等は、廃トナー回収コイル22で、廃トナー収納容器46に搬送し、貯留する。
【0021】
図5は、本発明の画像形成装置が備える潤滑剤塗布装置の構成と潤滑剤の塗布状況を説明する模式図である。
感光体3及び潤滑剤塗布装置30を含むプロセスカートリッジ2のうち、潤滑剤塗布装置30が感光体3のクリーニング装置20の下流に設けられていることを表わしている。
潤滑剤塗布装置30は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤32と、固形潤滑剤32に接触して潤滑剤を削り取り、感光体3に塗布する潤滑剤供給ローラ31と、潤滑剤供給ローラ31で塗布された潤滑剤を均す潤滑剤均しブレード34を備える。
また、この潤滑剤塗布装置30は、感光体3の回転方向に対してクリーニング装置20の下流に搭載される。感光体3のクリーニング装置20の上流側に潤滑剤塗布装置30を設けて潤滑剤を塗布すると、画像面積が増加した場合に潤滑剤と感光体3表面との接触面積が減少して、潤滑剤塗布不足になる。したがって、潤滑剤塗布装置30を感光体3の回転方向に対してクリーニング装置20の下流側に配置することによって、画像面積率による感光体3への潤滑剤供給過不足がなく、また、感光体3に残留する未転写トナーの影響を排除し、潤滑剤を長期にわたって安定して塗布することが可能となる。
潤滑剤供給ローラ31は、少なくとも1つは設ける。複数設けても良いが、ここでは、1つの潤滑剤供給ローラ31で説明する。固形潤滑剤32は、直方体状に形成されており、圧縮スプリング33によって、ブラシ状の潤滑剤供給ローラ31側に所定の圧力で付勢されている。固形潤滑剤32は潤滑剤供給ローラ31によって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、圧縮スプリング33で加圧されているために常時潤滑剤供給ローラ31に当接している。潤滑剤供給ローラ31は、回転しながら削り取った潤滑剤を感光体3表面に塗布する。
また、上記潤滑剤供給ローラ31による潤滑剤塗布位置に対して移動方向の下流側の感光体表面に潤滑剤均し手段としての潤滑剤均しブレード34を当接させている。潤滑剤均しブレード34は弾性体である可撓性ブレードであるポリウレタン等の材質から構成されているものであり、感光体3の移動方向に対してトレーリング方向に当接して、薄膜化している。潤滑剤供給ローラ31のブラシ繊維の太さは、3〜8デニールが好ましく、ブラシ繊維の密度は2万〜10万本/inchが好ましい。ブラシ繊維の太さが細すぎると、潤滑剤供給ローラ31が感光体3表面に当接したときに毛倒れを起こしやすくなり、逆にブラシ繊維が太すぎると繊維の密度を高くすることができなくなる。また、ブラシ繊維の密度が低いと感光体3表面に当接するブラシ繊維の本数が少ないため、潤滑剤を均一に塗布することができず、逆にブラシ繊維の密度が高すぎると繊維と繊維の隙間が小さくなり、掻き取った潤滑剤の粉体の付着量が減るため、塗布量が不足してしまう。
そこで、毛倒れを起こりにくくするためのブラシ繊維の太さと、潤滑剤の均一な塗布を効率的に行うことができるブラシ繊維の密度とを有する、上記設定範囲の潤滑剤供給ローラ31とする。
潤滑剤供給ローラ31の回転方向は、図5に示す感光体3の移動方向に対し順方向であることが好ましいが、逆方向に回転してもよい。潤滑剤供給ローラ31は感光体3の回転方向に対して、逆方向に回転することによって、潤滑剤供給ローラ31と感光体3表面との摺擦作用が大きく働き、潤滑剤供給ローラ31の感光体3への潤滑剤塗布が効率的に行われる。潤滑剤均しブレード34は、トレーリング方向から感光体3に当接していることで、潤滑剤を感光体3から掻き落すことが少なく潤滑剤塗布効率がよい。
【0022】
またさらに、この画像形成装置1の潤滑剤は、脂肪酸金属塩(A)と、無機潤滑剤(B)を含有している。
脂肪酸金属塩(A)が、帯電電流により破壊されて、感光体3の表面が破壊されるのを防止すると同時に、帯電電流では破壊されない無機潤滑剤により、潤滑作用が維持されるため、感光体3のクリーニングを良好に維持することが可能となる。
脂肪酸金属塩(A)の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウム及びそれらの混合物があるが、これに限るものではない。また、これらを混合して使用してもよい。本発明においては、中でもステアリン酸亜鉛が特に感光体への成膜性に優れることから、最も好ましく用いられる。
本発明における無機潤滑剤(B)とは、自身が劈開して潤滑する、または、内部滑りを起こす無機化合物のことを指す。具体的な物質例としては、タルク、マイカ、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、カオリン、スメクタイト、ハイドロタルサイト化合物、フッ化カルシウム、グラファイト、板状アルミナ、セリサイト、合成マイカなどがあるがこれに限るものではない。中でも窒化ホウ素は、原子がしっかりと組み合った六角網面が広い間隔で重なり、層間に働く力は弱いファンデルワールス力のみであるため、容易に劈開、潤滑することから、本発明においては最も好ましく用いられる。なお、これらの無機潤滑剤は疎水性付与等の目的で、必要に応じて表面処理がなされていても良い。
本発明の画像形成装置1では脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛の物質であることにより感光体3への成膜性、潤滑性、保護性に優れさらに、無機潤滑剤が窒化ホウ素なので、より潤滑性に優れていて、脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)の両方を塗布又は付着させる工程を行うことでクリーニングに関してさらに大きな効果が得られる。
さらに、固形潤滑剤32が脂肪酸金属塩に無機潤滑剤を含むので、脂肪酸金属塩が、帯電電流により破壊されて、感光体3表面が破壊されるのを防止すると同時に、帯電電流では破壊されない無機潤滑剤により、潤滑作用が、潤滑剤が脂肪酸金属塩単体の場合より、よりよい状態で維持されるため、感光体3のクリーニングをより良好に維持することが可能となる。
【0023】
図6は、本発明の画像形成装置に用いる潤滑剤塗布装置による潤滑剤の塗布状況を示す模式図で、(a)は固形潤滑剤が初期状態における潤滑剤の塗布状況を示す模式図で、(b)は固形潤滑剤が所定の時間経過後の状態における潤滑剤の塗布状況を示す模式図である。
こうした潤滑剤塗布装置30では、図6のように、固形潤滑剤32の感光体3への塗布量は、潤滑剤供給ローラ31のブラシの新旧(ヘタリ)、固形潤滑剤32の使用開始直後又は所定の時間経過後等の状態によって変化する。
(a)は、固形潤滑剤32を使用し始めた初期状態で、固形潤滑剤32が大きいことから圧縮スプリング33によって大きな付勢力で潤滑剤供給ローラ31に付勢されている。それに対して、(b)では、固形潤滑剤32を使用し始めたある所定の時間を経過している状態であることから、固形潤滑剤32が消費され小さくなっている。そのために圧縮スプリング33による付勢力が小さくなり、その状態のまま小さい力で潤滑剤供給ローラ31に付勢されている。
図7は、潤滑剤塗布量と潤滑剤塗布装置の使用時間との関係を示す図である。
例えば、固形潤滑剤32が新しく、圧縮スプリング33による潤滑剤供給ローラへの加圧力が大きい場合(符号A:図6(a)に示している)は、感光体3への潤滑剤の塗布量が、所定の時間経過後で固形潤滑剤32がある程度消費され潤滑剤塗布量が安定した状態の塗布安定時(符号B:図6(b)に示している)よりも多くなり、塗布量が過剰となることを示している。
そのため、帯電ローラ11が汚れ、汚れによりローラ抵抗が増大して、やがて、帯電不良となり、縦スジ画像等が発生する。
【0024】
そこで、帯電ローラ11へ印加する交流ピーク間電圧(Vp−p)を大きくし、帯電電流を大きくすることにより、帯電電流により、破壊消費される潤滑剤量を大きくして、潤滑剤過剰塗布分を余分に破壊消費する画像形成装置が提案された。この提案された画像形成装置によると、感光体3上の過剰な潤滑剤が帯電ローラ11に付着することを防止でき、帯電ローラ11汚れを抑制して、汚れによる帯電不良、スジ画像といった問題発生を防止できる。帯電装置11を通過後の感光体3上に残存する潤滑剤量を適正に維持できる。
しかしながら、この提案された画像形成装置では、作像時に交流ピーク間電圧を大きくするので、交流電圧による感光体3との間で、クリーニングブレード21の振動が大きくなり、エッジ挙動が不安定となり、クリーニングブレード21のエッジからの転写残トナー8等のすり抜けが増加したり、クリーニング不良が発生したりすることがある。
図8は、作像時に帯電装置の交流の帯電電圧を大きくした場合の感光体周囲の状態を示す図である。
【0025】
この問題に対して、本発明の画像形成装置1では、ジョブ間、ジョブエンド時の非作像時に、潤滑剤塗布量が大きい場合の交流ピーク間電圧の増大制御を実施する。これによって、非作像時に感光体3上の過剰な潤滑剤を破壊する。そのため交流ピーク間電圧が大きくなって、クリーニングブレードと、感光体3との間で振動が大きくなり、クリーニングブレード21のエッジの挙動が不安定になっても、非作像時なので、クリーニングブレード21からのトナーのすり抜けが増加したり、クリーニング不良が発生することがない。
そうして、印加する交流ピーク間電圧を大きくして帯電電流を大きくすると、帯電電流により破壊消費される潤滑剤量が多くなり過剰分が破壊消費されることで、感光体3上に過剰な潤滑剤はなくなり、感光体上の過剰な潤滑剤が帯電ローラ11に付着することがなくなり、帯電ローラ11の汚れを抑制することができる。さらに、作像時に感光体3上に過剰分の潤滑剤が付着して汚れた帯電ローラ11表面の潤滑剤に対しても、より大きな交流電圧によるクリーニング効果で、効果的に感光体3表面に戻し、更に、破壊消費することができる。そうして、過剰な潤滑剤による帯電ローラ11の汚れ、汚れによる帯電不良、縦スジ画像の発生等の問題の発生を抑止することができる。
図10は、非作像時に帯電装置の交流の帯電電圧を大きくした場合の感光体周囲の状態を示す図である。
図9は、本発明による、潤滑剤塗布量と潤滑剤塗布装置の使用時間との関係及び非作像時の交流ピーク間電圧を示す図であり、(a)は非作像時の交流ピーク間電圧を潤滑剤塗布量に対応させて滑らかに変化させ、(b)は非作像時の交流ピーク間電圧を潤滑剤塗布量に対応させて段階的に変化させている。
(a)に示すように、固形潤滑剤32が初期状態にあると潤滑剤供給ローラ31への加圧力が大きいことから、潤滑剤塗布量が多くなる。しかし、所定の時間経過後で固形潤滑剤32等がある程度消費され潤滑剤塗布量が安定した状態になる。したがって、帯電装置10における帯電ローラ11に対して、非作像時に印加する交流ピーク間電圧を、潤滑剤塗布量の変化に対応させて滑らかに変化させる。これによって、感光体3上の過剰分の潤滑剤も滑らかに消費されて、過剰分を排除することができる。
また、一方、(b)に示すように、帯電装置10における帯電ローラ11に対して、非作像時に印加する交流ピーク間電圧を、潤滑剤塗布量の変化に対応させて段階的に変化させる。これによって、感光体3上の過剰分の潤滑剤も滑らかに消費されて、同様に、過剰分を排除することができる。
さらに、ジョブエンドの非作像時に交流ピーク間電圧を大きくするので、増大する帯電音の増大タイミングがジョブエンドにずれ、機械作動音が平坦化されて、ジョブ開始時に帯電音が増大する場合に発生するような耳障りな突騒音の発生を抑制できる。
【0026】
図11は、本発明の画像形成装置で、固形潤滑剤の量の検知手段を備えている構成を示す図である。図11では、図10に対して検知手段を備えている場合を示している。
また、本発明の画像形成装置1は、固形潤滑剤32を保持する潤滑剤塗布装置30に固形潤滑剤32の量を検知する潤滑剤量検知手段36をもっている。それにより、固形潤滑剤32の新/旧、すなわち、使用し始める初期状態又は所定の時間使用した経過後を検知して、図9に示すように、交流ピーク間電圧の制御を実施している。
この固形潤滑剤32の量を検知する検知手段36は、対向する発光部と受光部を持ち、発光部からの光を物体が遮るのを受光部で検出することによって、固形潤滑剤32の有無や位置を判定することで固形潤滑剤32の量を検知することができるセンサとしてフォトインタラプタ(Photointerrupter)を用いる。本発明の画像形成装置1では、固形潤滑剤32を保持する枠体39から外へ突き出ている突起の有無を検知手段36により固形潤滑剤32の量を検知する。検知手段36が光を遮断することで固形潤滑剤32の量が多いと判断し、検知手段36が光を検知することで固形潤滑剤32の量が少ないと判断することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 画像形成装置
102 本体筐体
103 前面カバー
2 プロセスカートリッジ
201 枠体
3 感光体
4 露光装置
6 画像形成部
8 トナー
9 記録部材
10 帯電装置
11 帯電ローラ
111 軸部
112 抵抗調整層
113 表面層
20 クリーニング装置
21 クリーニングブレード
22 廃トナー回収ブラシ
30 潤滑剤塗布装置
31 潤滑剤供給ローラ
32 固形潤滑剤
33 圧縮スプリング
34 潤滑剤均しブレード
35 潤滑剤保持部材
36 検知手段
39 枠体
40 現像装置
41 現像ローラ
42 規制部材
43、44 攪拌・搬送スクリュー
45K、45M、45C、45Y トナーカートリッジ
46 廃トナー回収容器
50 転写装置
51 中間転写ベルト
52K、52M、52C、52Y 一次転写手段
531、532、533、534 支持ローラ
54 二次転写手段
55 中間転写ベルトクリーニング装置
59 ユニットケース
60 給紙装置
61 給紙ユニット
62 給紙ローラ
63 レジストローラ
70 定着装置
71 定着ローラ
72 加圧ローラ
90 排紙装置
91 排紙トレイ
92 排紙口
93 排紙ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2010−008998
【特許文献2】特開2009−128842
【特許文献3】特開2010−266811

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体を帯電部材に交流電圧を印加して帯電させる帯電装置と、
前記像担持体に当接するクリーニング部材を備えたクリーニング装置と、
前記像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置と、を備える画像形成装置において、
前記画像形成装置は、
前記潤滑剤の塗布量に対応して、非作像時に前記帯電部材に印加する交流ピーク間電圧(Vp−p)を変化させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記交流ピーク間電圧(Vp−p)を潤滑剤の塗布量に対応して滑らかに又は段階的に変化させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布装置は、圧縮スプリングにより加圧された棒状の固形潤滑剤を潤滑剤供給ローラで削り取り、像担持体に塗布する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記固形潤滑剤を使用して所定の時間経過後における潤滑剤塗布量安定時よりも、潤滑剤塗布量が多いときに非作像時の前記交流ピーク間電圧(Vp−p)を大きくする
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、固形潤滑剤の量を検知する検知手段を搭載し、
前記固形潤滑剤を使用する初期には、非作像時の前記交流ピーク間電圧(Vp−p)を前記固形潤滑剤を使用して所定の時間経過後における潤滑剤塗布量安定時より大きくする
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記潤滑剤塗布装置が、像担持体の回転方向に対し、クリーニング装置下流に搭載される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記帯電装置は、帯電部材として像担持体に接触させている帯電ローラを搭載する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記帯電装置は、帯電部材として像担持体に微小なギャップをもって対向する帯電ローラを搭載する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記固形潤滑剤が、少なくとも脂肪酸金属塩(A)と無機潤滑剤(B)を含有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置において、
前記脂肪酸金属塩(A)がステアリン酸亜鉛で、前記無機潤滑剤(B)が窒化ホウ素である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、像担持体と、帯電装置、現像装置、クリーニング装置のうち少なくとも一つを含むプロセスカートリッジを備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−45006(P2013−45006A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183710(P2011−183710)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】