説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置の奥行きを大きくすることなく、且つ、原稿保持板を持ち上げ易くした画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿を載置するコンタクトガラスが設けられたスキャナ部本体300と、スキャナ部本体300に回動自在に設けられた自動原稿送り装置400と、の間に原稿を挟み込む圧板開閉式スキャナ3と、該圧板開閉式スキャナ3が載置された画像形成装置本体2と、を有し、画像形成装置本体2の上面に用紙排紙部2aが形成された画像形成装置において、自動原稿送り装置400の前面に、スキャナ部本体300の前面よりも突出するようにして正面側に向けて斜め上方に突出した形状の取っ手部Tを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、FAXなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置本体の上面の用紙排紙部に排出された用紙を視認し易く且つ取り出し易いようにするために、スキャナ部を後方に配置した画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1の画像形成装置の圧板開閉式スキャナでは、原稿保持板とスキャナ部本体との前面とが同程度の位置にされており、原稿保持板を持ち上げ易くするために原稿保持板の先端側は鍔状にされている。この鍔状の部分では原稿を保持することができず、水平面においてコンタクトガラスの位置と抵触していない。また、原稿を載置するコンタクトガラスは一定の大きさが必要である。そのため、どうしても圧板開閉式スキャナの奥行き、ひいては画像形成装置の奥行きが大きくなる。そして、画像形成装置の設置床面積が大きくなる。
奥行きを小さくするには、鍔部をスキャナ部本体の前面から突出させる方法が挙げられるが、このようにすると鍔部の存在により用紙排紙部に排出された用紙の視認性及び取出し性が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、画像形成装置の奥行きを大きくすることなく、且つ、原稿保持板を持ち上げ易くした画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の画像形成装置は、原稿を載置するコンタクトプレートが設けられたスキャナ部本体と、スキャナ部本体に回動自在に設けられた原稿保持板と、の間に原稿を挟み込む圧板開閉式スキャナと、該圧板開閉式スキャナが載置された画像形成装置本体と、を有し、前記原稿保持板の前面には、指を引っ掛けるための凹部を有する取っ手部が形成され、前記取っ手部の正面側前端部は前記スキャナ部本体の前面より前方に突出しており、前記凹部の正面側を向いた突き当たりにある面が、前記圧板開閉式スキャナの正面側から背面側に向けて上方に傾斜した傾斜面を構成していることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記凹部の正面側下端部は前記スキャナ部本体の正面側上端部と同じ位置にあることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記凹部は前記圧板開閉式スキャナの幅方向に亘って形成されていることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、さらに、前記凹部の側端に壁部が起立していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
上記解決する手段としての画像形成装置では、前記原稿保持板の前面には、スキャナ部本体の前面よりも突出するようにして、指を引っ掛けるための凹部の正面側を向いた突き当たりにある面が圧板開閉式スキャナの正面側から背面側に向けて上方に傾斜した傾斜面を構成しているので、画像形成装置の奥行きを大きくすることなく、且つ、原稿保持板を持ち上げ易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す説明図である。
【図2】図2は、画像形成装置の内部の構造を示す説明図である。
【図3】図3は、図1の画像形成装置の側面図である。
【図4】図4は、図1の圧板開閉式スキャナを示す説明図である。
【図5】図5は、本発明の画像形成装置の要部を示す説明図である。
【図6】図6は、本発明の画像形成装置の第2実施形態を示す説明図である。
【図7】図7は、図6の圧板開閉式スキャナを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0008】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の圧板開閉式スキャナの第1実施形態を備える画像形成装置を示している。この画像形成装置は、画像形成装置本体2と、この画像形成装置本体上に搭載された圧板開閉式スキャナ3とを有している。画像形成装置本体2の上面には、印刷された用紙が排出される用紙排紙部2aが形成されている。この圧板開閉式スキャナ3は、スキャナ部本体300と、原稿保持板としても機能する自動原稿送り装置400とを備えている。原稿は自動原稿送り装置400の原稿台30に載置され、自動原稿送り装置400が作動すると原稿が自動原稿送り装置内に送り込まれ、次いで、コンタクトプレートであるコンタクトガラス32(図2記載)上でスキャナ部本体300によってイメージスキャンされた後、原稿排紙部31に排出される。原稿台30に原稿が積み重ねられた場合、原稿は1枚ずつ搬送され、原稿排紙部31に原稿が次々積み重ねられて行く。一方、自動原稿送り装置400を使用しない場合は、自動原稿送り装置400を上方へ回動させて開放し、コンタクトガラス32(図2記載)に原稿を載置し、次いで自動原稿送り装置400を閉じて、原稿を自動原稿送り装置400とスキャナ部本体300との間に挟み込み、スキャナ部本体300で原稿に記載されている画像情報を読み込む。
【0009】
次に、画像形成装置の内部構造について説明する。図2は、複数の像担持体(感光体ともいう)が並行して配設されたタンデム型のカラーレーザー複写機(以下、単に「複写機」という)である。なお、図1の画像形成装置と外観が多少相異するが、基本的構造は同じである。
この複写機は、画像形成装置本体2と圧板開閉式スキャナ3とから構成されている。画像形成装置本体2には、プリンタ部100と、プリンタ部100を載せる給紙装置200とを備えている。圧板開閉式スキャナ3は、プリンタ部100の上に固定されたスキャナ部本体300と、スキャナ部本体300に回動自在に設けられた自動原稿送り装置400とを備えている。
上記プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための4個のプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kからなる画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の部材であることを示している。プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の像担持体の表面にレーザー光を照射する。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、像担持体1の表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像装置4によって現像されてトナー像となる。
【0010】
像担持体1上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の像担持体1の表面にはトナーが残っているため、クリーニング装置によって像担持体1の表面がクリーニングされる。
クリーニング装置によってクリーニングされた像担持体1の表面は、潤滑剤塗布装置を経た後、除電器によって除電される。そして、帯電装置によって一様帯電されて、初期状態に戻る。
【0011】
次に、中間転写ユニット17について説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110やベルトクリーニング装置90を有している。また、中間転写ユニット17は、従動ローラ14、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、及び4個の一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kを有している。
中間転写ベルト110は、従動ローラ14を含む複数のローラによって張架されている。そして、中間転写ベルト110は、モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって無端移動する。
4個の一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kは、それぞれ中間転写ベルト110の内周面に接触するようにして配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kは中間転写ベルト110をその内周面側から像担持体1Y,M,C,Kに向けて押圧して一次転写ニップを形成する。一次転写バイアスの影響により、像担持体1Y,M,C,Kと一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kとの間(一次転写ニップ)に一次転写電界が形成される。
【0012】
Y用の像担持体1Y上に形成されたYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の像担持体1M,C,K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わされる。この重ね合わせにより、中間転写ベルト110上には多重トナー像である4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
中間転写ベルト110上に転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップで用紙に転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、従動ローラ14との間でベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0013】
次に、二次転写装置22について説明する。
中間転写ユニット17の下方には、2個の張架ローラ23によって張架された紙搬送ベルト24を備える二次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくともいずれか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、無端移動する。2個の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された張架ローラ23は、二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟込みにより、中間転写ベルト110と紙搬送ベルト24とが接触して二次転写ニップが形成される。そして、この右側の張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが印加される。この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ベルト110上の4色トナー像をベルト側からこの張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた用紙には、この二次転写電界やニップ圧により4色トナー像が転写される。なお、このように張架ローラ23に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、用紙を非接触で帯電させる帯電チャージャを設けてもよい。
【0014】
複写機本体の下部に設けられた給紙装置200には、複数の用紙を束の状態にして収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に間隔を置いて複数配設されている。給紙カセット44の一番上の用紙には、給紙ローラ42が押し当てられている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の用紙は給紙路46に向けて送り出される。
給紙カセット44から送り出された用紙を受け入れる給紙路46には、複数の搬送ローラ対47と、給紙路46の末端付近に設けられたレジストローラ対49とが設けられている。用紙は、搬送ローラ対47を介してレジストローラ対49に向けて搬送される。レジストローラ対49に向けて搬送された用紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ用紙に二次転写ニップにおいて4色トナー像を転写させることができるタイミングで、用紙を送り出す。これにより、二次転写ニップにおいて、中間転写ベルト110上の4色トナー像が用紙に転写され、フルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された用紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って移動し、次いで紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0015】
定着装置25は、定着ベルト26を2個のローラによって張架させながら無端移動させる装置であるベルトユニットと、定着ベルト26を押圧する加圧ローラ27とを備えている。定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った用紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける2個のローラのうち、加圧ローラ27に押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を備えており、これの発熱によって定着ベルト26を加熱する。加熱された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた用紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が用紙に定着する。
定着装置25内で定着処理が施された用紙は、プリンタ筐体の図中左側板から突設したスタック部57上に排紙されるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために二次転写ニップに戻されるかする。
原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が自動原稿送り装置400の原稿台30上にセットされる。又は、1枚の原稿がコンタクトガラス32上にセットされる。なお、コンタクトプレートとしてコンタクトガラスが用いられているが、ガラスプレートでなく、例えば、アクリルなどのプラスチックシートを用いることも可能である。光透過性があれば、材質は特に限定されない。1枚ずつコンタクトガラス32上にセットする場合、先ず、複写機本体に対して自動原稿送り装置400を上方へ回動させ、コンタクトガラス32を露出させる。この後、コンタクトガラス32に原稿を載置し、次いで自動原稿送り装置400を下方へ回動させてコンタクトガラス32との間に原稿を挟み込む。
【0016】
このようにして原稿がセットされた後、コピースタートスイッチが押下されると、スキャナ部本体300による原稿読取動作がスタートする。但し、自動原稿送り装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、自動原稿送り装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、先ず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光は、第2走行体34内に設けられたミラーで反射し、次いで、結像レンズ35を通過し、最後に読取センサ36に入射する。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
このような原稿読取動作と併行して、各プロセスカートリッジ18Y,M,C,K内の各機器、中間転写ユニット17、二次転写装置22、及び定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各像担持体1Y,M,C,K上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせて転写され、4色トナー像となる。
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、複数の給紙ローラ42のうちの1個が選択的に回転させられ、ペーパーバンク43内に多段に設けられる給紙カセット44のうちの1つから用紙が送り出される。用紙が送り出される際、分離ローラ45で1枚ずつ用紙が分離されて1枚ずつ用紙が給紙路46に進入する。その後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。一方、給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合がある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択的に回転させられ、手差し給紙ローラ50によって用紙が画像形成装置内に送り出される。その際、複数枚の用紙が相互の摩擦力により一体として搬送されようとするが、分離ローラ52があるので、用紙は1枚ずつ搬送されることになる。このようにして1枚ずつ用紙がプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙される。
【0017】
2色以上のトナーからなる多色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての像担持体1Y,M,C,Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の像担持体1Y,M,Cから離間させる。そして、4個の像担持体1Y,M,C,Kのうち、K用の像担持体1Kだけを回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、像担持体1だけでなく、現像装置4の駆動をも停止させる。
本複写機は、複写機内の下記機器の制御を司るCPU等から構成される制御部と、図1に示すように液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される操作表示部28とを備えている。ユーザーは、この操作表示部28に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、片面プリントモード又は両面プリントモードを選択することができる。
【0018】
図3は、図1の画像形成装置の側面図である。図1及び図3から分かるように、原稿保持板である自動原稿送り装置400の前面には、用紙排紙部2aに排出された用紙Pの視認性及び取出し性が損なわれないように、スキャナ部本体300の前面よりも突出するようにして正面側に向けて斜め上方に突出した形状の取っ手部Tが形成されている。このような形状にすれば取っ手部Tを大きくすることができ、把持し易い。また、画像形成装置の奥行きを大きくすることなく、且つ、画像形成装置本体2の上面の用紙排紙部2aに排出された用紙Pの視認性及び取出し性を低下させることなく、原稿保持板である自動原稿送り装置400が持ち上げ易くされている。取っ手部Tは、より具体的には、圧板開閉式スキャナ3の正面側から背面側に向けて下方に傾斜した傾斜面Taを有している。勿論、平面状の傾斜面でなく、湾曲面であったり、階段状であったりしてもよい。取っ手部Tは、用紙排紙部2aに排出された用紙Pの視認性及び取出し性が損なわれないように、スキャナ部本体300の前面よりも突出するようにして正面側に向けて斜め上方に突出した形状であればよく、特に形状は限定されない。
なお、自動原稿送り装置400が閉じた状態にある場合、自動原稿送り装置400を上方に回動させるには、取っ手部Tを把持し、次いで自動原稿送り装置400を掬い上げることによって行う。
【0019】
図4は、圧板開閉式スキャナ3を示している。図に示すように、スキャナ部本体300は略直方体状をしており、近年の装置の小型化・軽量化の要求から厚みが薄くされている。このスキャナ部本体300には、嘴状の自動原稿送り装置400が設けられている。そして、スキャナ部本体300には、前面側上部の角部が面取りされている。より具体的には、図5に示すように、スキャナ部本体300の正面側上部に直線状に傾斜した面が形成されている。この傾斜面300aは正面側に向かうにつれて下降している。勿論、面取り形状は、指を挿入して自動原稿送り装置400を持ち上げ易い形状であればよく、例えば、R状になっていてもよい。また、自動原稿送り装置400の取っ手部Tには指を引っ掛けるための凹部400aが形成されており、傾斜面300aと凹部400aを形成したことにより長尺状の指挿入空間Sが形成されている。凹部400aには、例えば、細かい凹凸を形成するとよい。このようにすると、他の部分との触覚による識別は容易になる。また、自動原稿送り装置400を持ち上げる際の滑止めの機能をも発揮する。
【0020】
スキャナ部本体300の角部の面取りされた部分の側端には、壁部300bが起立している。すなわち、指挿入空間Sの側端には該指挿入空間Sを形成するために、壁部300bが形成されている。同様に、自動原稿送り装置400の凹部400aは、壁部400a1を有している。このように、壁部300b,400a1を形成すると、自動原稿送り装置400を持つための指挿入空間Sの位置を指で触れることで把握することができる。従って、視覚に頼らなくてもよく、視覚障害を持つユーザにとって使い勝手の良いものとなる。また、概ね視覚で位置を確認してから指の感覚に頼って指挿入空間Sに指を挿入し、指を指挿入空間Sの側端側に移動させて側端の位置を確認し、次いで、自動原稿送り装置400を持ち上げ易い位置に、指を配置する操作方法も有効である。すなわち、本実施形態の圧板開閉式スキャナ3は手探りで自動原稿送り装置400を持ち上げることができ、作業性に優れている。特に、原稿保持板の開閉頻度が高い複写作業、FAX作業及びスキャン作業に用いると、有効である。また、車椅子を使用中のユーザにとっては、健常者に比べ作業位置が限定されることが多いが、手探りで好適な位置に指を配置することができるので、力を然程入れずに原稿保持板を持ち上げることができる。そのため、力を入れ難い態勢であっても作業することができる。
【0021】
上述した第1実施形態の画像形成装置では、原稿保持板である自動原稿送り装置400の前面には、用紙排紙部2aに排出された用紙Pの視認性及び取出し性が損なわれないように、スキャナ部本体300の前面よりも突出するようにして正面側に向けて斜め上方に突出した形状の取っ手部Tが形成されているので、画像形成装置の奥行きを大きくすることなく、且つ、画像形成装置本体2の上面の用紙排紙部2aに排出された用紙Pの視認性及び取出し性を低下させることなく、自動原稿送り装置400を持ち上げ易くすることができる。
【0022】
〔第2実施形態〕
図6は、本発明の圧板開閉式スキャナの第2実施形態を備える画像形成装置を示している。この第2実施形態に係る画像形成装置は第1実施形態に係る画像形成装置と比べて、原稿保持板の形態が異なる。第1実施形態では原稿保持板として自動原稿送り装置400を用いた例について説明したが、この第2実施形態では原稿保持板として薄板状の圧板400Aが用いられている。
図7は、図6の圧板開閉式スキャナ3を拡大して示している。この図7の圧板開閉式スキャナ3では、第1実施形態と同様にスキャナ部本体300の正面側上部の角部に面取りが施されている。より具体的には、平面状の傾斜面300aが形成されている。また、圧板400Aの正面側には取っ手部Tが形成されており、この取っ手部Tに凹部400aが形成されている。傾斜面300aと凹部400aを形成したことにより長尺状の指挿入空間S(図5参照)が形成されている。
【0023】
上述した第2実施形態の圧板開閉式スキャナ3では、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、この第2実施形態の圧板開閉式スキャナ3では、圧板400Aが薄いため圧板400Aを持ち上げるための指を挿入する空間を凹部400aのみでは十分に確保することができないが、傾斜面300aが形成された指挿入空間Sが存在するので、薄い圧板400Aを用いた場合であっても容易に指を、指挿入空間Sに挿入することができる。そして、圧板400Aを容易に持ち上げることができる。なお、この第2実施形態で用いられている圧板400Aは幅方向中央に向かうに従い盛り上がるように湾曲しているため、幅方向中央部付近が最も指を挿入し易い。圧板400Aの上面の幅方向中央にはマーク部400bが形成されており、視覚的に中央の位置を把握することができると共に、視覚によらずに指の感覚で中央の位置を把握することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 像担持体
2 画像形成装置本体
2a 用紙排紙部
3 圧板開閉式スキャナ
4 現像装置
14 従動ローラ
15 駆動ローラ
16 二次転写バックアップローラ
17 中間転写ユニット
18 プロセスカートリッジ
20 画像形成ユニット
21 光書込ユニット
22 二次転写装置
23 張架ローラ
24 紙搬送ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 操作表示部
30 原稿台
31 原稿排紙部
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取センサ
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ対
49 レジストローラ対
50 手差し給紙ローラ
51 手差しトレイ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
57 スタック部
62 一次転写バイアスローラ
90 ベルトクリーニング装置
100 プリンタ部
110 中間転写ベルト
200 給紙装置
300 スキャナ部本体
300a 傾斜面
300b 壁部
400 自動原稿送り装置
400A 圧板
400a 凹部
400a1 壁部
400b マーク部
P 用紙
S 指挿入空間
T 取っ手部
Ta 傾斜面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特許第3356172号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置するコンタクトプレートが設けられたスキャナ部本体と、スキャナ部本体に回動自在に設けられた原稿保持板と、の間に原稿を挟み込む圧板開閉式スキャナと、該圧板開閉式スキャナが載置された画像形成装置本体と、を有し、 記原稿保持板の前面には、指を引っ掛けるための凹部を有する取っ手部が形成され、 前記取っ手部の正面側前端部は前記スキャナ部本体の前面より前方に突出しており、 前記凹部の正面側を向いた突き当たりにある面が、前記圧板開閉式スキャナの正面側から背面側に向けて上方に傾斜した傾斜面を構成している ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、 前記凹部の正面側下端部は前記スキャナ部本体の正面側上端部と同じ位置にある ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記凹部は前記圧板開閉式スキャナの幅方向に亘って形成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、 前記凹部の側端に壁部が起立している
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−54371(P2013−54371A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−235518(P2012−235518)
【出願日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【分割の表示】特願2008−31065(P2008−31065)の分割
【原出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】