画像形成装置
【課題】連続画像形成中の一の画像と次の画像との間に形成される試験用画像による記録材の汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、記録材Pに転写して出力するトナーからなる出力画像を連続して中間転写体40に形成する連続画像形成中に、像担持体40上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段306を有し、制御手段306は、後続して転写部N2を通過する出力画像が記録材Pの一面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を許可し、後続して転写部N2を通過する出力画像が記録材Pの二面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を禁止する構成とする。
【解決手段】画像形成装置100は、記録材Pに転写して出力するトナーからなる出力画像を連続して中間転写体40に形成する連続画像形成中に、像担持体40上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段306を有し、制御手段306は、後続して転写部N2を通過する出力画像が記録材Pの一面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を許可し、後続して転写部N2を通過する出力画像が記録材Pの二面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を禁止する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定のタイングで、試験的にトナーで形成されたパッチ画像(以下、単に「パッチ」ともいう。)の濃度を読み取って、画像形成条件を調整することが行われている。
【0003】
生産性を重視した画像濃度調整として、いわゆる紙間に形成されたパッチ(以下、「紙間パッチ」ともいう。)の濃度を読み取り、プリント中の濃度変動を逐次調整する方法(以下、「紙間濃度調整」という。)が知られている(特許文献1)。尚、紙間とは、複数ページからなるプリントジョブ中の一のページと次のページとの間のタイミング、即ち、連続画像形成中の一の画像と次の画像との間の期間のことをいう。又、ジョブとは、一のプリント命令による単数又は複数の記録材に対する一連の画像形成動作である。
【0004】
ここで、電子写真方式の画像形成装置として、トナー像を中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写した後に、一括して記録材に二次転写する中間転写方式の画像形成装置がある。中間転写体としては、一般に、無端状の中間転写ベルトが用いられる。又、中間転写ベルトから記録材にトナー像を転写させる二次転写手段としては、中間転写ベルトに接触して回転するローラ型の二次転写部材である二次転写ローラが広く用いられている。この中間転写方式の画像形成装置において紙間濃度調整を行う場合、中間転写ベルト上に紙間パッチが形成される。
【0005】
中間転写方式の画像形成装置における紙間濃度調整では、中間転写ベルト上へ転写された紙間パッチが、中間転写ベルトと二次転写ローラとが接触する二次転写部を通過する。そして、その際に、紙間パッチのトナーの一部が二次転写ローラの表面に転移し、二次転写ローラの表面を汚してしまうことが懸念される。二次転写ローラの表面がトナーで汚れると、それがプリント物に付着してしまい、画像品位が低下する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−109219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題に対し、そもそも二次転写ローラを汚さないようにするために、紙間で二次転写ローラを中間転写ベルトから離間させる方法がある。しかし、この方法は、中間転写ベルトに対する二次転写ローラの離間及び当接動作に時間がかかるため、生産性の観点では不利である。
【0008】
又、トナーが通過した後に交番電界を二次転写部に形成して、二次転写ローラに付着したトナーを中間転写ベルトに再転移させることで、二次転写ローラの汚染防止を図る方法がある。しかし、この方法もやはり動作を完了させるために時間を要し、生産性の観点で好ましくない。
【0009】
また、上記課題は、二次転写ローラに限らず、トナー汚れが発生する回転体に関して、いえる。
【0010】
従って、本発明の目的は、連続画像形成中の一の画像と次の画像との間に形成される試験用画像による記録材(プリント物)の汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持可能な像担持体と、回転可能であり転写部において前記像担持体との間で記録材を挟持して搬送しながら前記像担持体から記録材にトナー像を転写させる転写回転体と、一面目にトナー像が転写された記録材をその二面目にトナー像を転写するために前記転写部に搬送する両面搬送手段と、記録材に転写して出力するトナーからなる出力画像を連続して前記像担持体に形成する連続画像形成中に、前記像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段と、前記試験用画像を検出する検出手段と、を有し、前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の一面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を許可し、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を禁止することを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
本発明の他の態様によると、トナー像を担持可能な像担持体と、前記像担持体と接触して回転可能であり記録材を担持して搬送する記録材担持体と、前記像担持体から前記記録材担持体に担持された記録材にトナー像を転写させる転写部材と、一面目にトナー像が転写された記録材をその二面目にトナー像を転写するために前記記録材担持体に担持させる両面搬送手段と、記録材に転写して出力するトナーからなる出力画像を連続して前記像担持体に形成する連続画像形成中に、前記像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段と、前記試験用画像を検出する検出手段と、を有し、前記制御手段は、所定条件に合致する前記画像間領域への前記試験用画像の形成を禁止するようになっており、前記所定条件は、前記像担持体の前記画像間領域に接触する前記記録材担持体上の位置が、前記像担持体と接触した後で且つ1周する間に二面目にトナー像を転写するために前記記録材担持体に担持される記録材と接触することであることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、連続画像形成中の一の画像と次の画像との間に形成される試験用画像による記録材(プリント物)の汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】画像形成装置のシステム構成を説明するための機能ブロック図である。
【図3】画像形成装置が備える濃度センサの模式図である。
【図4】画像形成装置における紙間濃度調整に用いる紙間パッチの配置を示す模式図である。
【図5】画像形成装置における中間転写ベルト上の紙間パッチの模式図である。
【図6】画像形成装置における紙間パッチの配置と記録材(プリント物)の汚れの発生位置を示す模式図である。
【図7】紙間濃度調整のフローチャート図である。
【図8】紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャート図である。
【図9】紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理の一例のフローチャート図である。
【図10】紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理の他の例のフローチャート図である。
【図11】他の紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャート図である。
【図12】他の紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャート図である。
【図13】画像形成装置の他の例の要部の概略構成を示す断面図である。
【図14】画像形成装置の更に他の例の要部の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。ただし、以下の実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲を以下の実施例に限定する趣旨のものではない。
【0016】
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の全体構成を示す断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を利用してフルカラー画像を形成することのできる、中間転写方式を採用したタンデム型のA3サイズ対応のレーザービームプリンターである。
【0017】
画像信号は、画像形成装置100に直接接続されるか若しくはネットワークを介して接続されたホストコンピュータから、プリンタコントローラ302(図2)を介して、画像形成手段としての画像形成部307に送信される。或いは、画像信号は、オペレーションパネル303(図2)上から、プリンタコントローラ302(図2)を介して、画像形成手段としての画像形成部307に送信される。
【0018】
画像形成部307は、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する複数のステーションSY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、各ステーションSY、SM、SC、SKの構成及び動作は、使用する現像剤を除いて実質的に同一である。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかのステーションに係る要素であることを表す符号の添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
【0019】
ステーションSは、トナー像を担持可能な像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光体)、即ち、感光ドラム50を有する。感光ドラム50は、駆動手段としての駆動モータにより図中矢印方向(時計回り)に回転可能とされている。感光ドラム50の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が設けられている。先ず、接触型の帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ52である。次に、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ)51である。次に、現像手段としての現像装置53である。次に、一次転写手段としての回転可能なローラ型の一次転写部材である一次転写ローラ54である。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置55である。帯電ローラ52は、感光ドラム50の表面に接触して回転する。各現像装置53Y、53M、53C、53Kには、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーが収納されている。
【0020】
又、各ステーションSの感光ドラム50と対向するように、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト40が配置されている。上の説明で感光ドラム50が像担持体として機能することを説明したが、この中間転写ベルト40もトナー像を担持可能な像担持体として機能する。また、中間転写ベルト40は、支持部材としての複数のローラとして、駆動ローラ41、テンションローラ42及び従動ローラ43に張架されている。中間転写ベルト40は、駆動ローラ41が駆動手段としての駆動モータによって駆動されることにより、図中矢印方向(反時計回り)に回転可能とされている。上記一次転写ローラ54は、中間転写ベルト40の内周面側において、各ステーションSの感光ドラム50と対向する位置に配置されている。一次転写ローラ54は、中間転写ベルト40を介してして感光ドラム50に押圧され、感光ドラム50と中間転写ベルト40とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1を形成する。又、中間転写ベルト40の外周面側には、駆動ローラ41に対向する位置に、二次転写手段としての回転可能なローラ型の二次転写部材(転写回転体)である二次転写ローラ60が配置されている。二次転写ローラ60は、中間転写ベルト40を介して駆動ローラ41に押圧されており、二次転写ローラ60と中間転写ベルト40とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成する。
【0021】
記録材Pに転写して出力する出力画像の形成動作時には、帯電ローラ52に帯電バイアスとしての直流電圧が印加され、感光ドラム50の表面は一様に帯電される。そして、帯電した感光ドラム50の表面は、露光装置51によって、画像信号に基づいて変調されたレーザー光で走査露光される。これにより、感光ドラム50上に、静電潜像(静電像)が形成される。この静電潜像は、現像装置53によって現像剤としてのトナーで現像される。このとき、現像装置53が備える現像剤担持体としての現像ローラには、現像バイアスとしての直流電圧が印加される。これにより、感光ドラム50の表面にトナー像が形成される。本実施例では、イメージ露光と反転現像により、トナー像が形成される。即ち、一様に帯電した後に露光装置51により露光されて電位の絶対値が低下した感光ドラム50上の画像部に、感光ドラム50の帯電極性(本実施例では負極生)と同極性に帯電したトナーが付着される。
【0022】
例えばフルカラー画像の形成時には、各感光ドラム50Y、50M、50C、50K上に形成された各色のトナー像は、各一次転写部N1において、中間転写ベルト40に順次重ね合わせて一次転写される。このとき、各一次転写ローラ54Y、54M、54C、54Kには、一次転写バイアスとしての直流電圧が印加される。本実施例ではトナーの正規の帯電極性は負極性であり、一次転写バイアスとしては正極性の直流電圧が用いられる。
【0023】
一次転写時に感光ドラム50上に残ったトナーは、ドラムクリーニング装置55により除去される。
【0024】
記録材Pは、給紙ローラ31により給紙され、フィード・リタードローラ対32、搬送ローラ対33により搬送され、駆動が停止されているレジストローラ対34に突き当たるまで搬送される。記録材Pは、レジストローラ対34により斜行が補正された後、所定のタイミングで二次転写部N2へ搬送される。そして、二次転写部N2において、中間転写ベルト40上のトナー像は記録材Pに二次転写される。このとき、二次転写ローラ60には、二次転写バイアスとしての直流電圧が印加される。本実施例では、二次転写バイアスとしては正極性の直流電圧が用いられる。又、本実施例では、二次転写ローラ60は中間転写ベルト40に従動して回転する。このように、二次転写ローラ60は、回転可能であり二次転写部N2において中間転写ベルト40との間で記録材Pを挟持して搬送しながら中間転写ベルト40から記録材Pにトナーを転写させる転写回転体である。
【0025】
尚、記録材Pへの二次転写時には、二次転写ローラ60には、画像形成装置100の使用環境及び各プリントモードに応じて所定の転写電流となる正極性の直流電圧が選択されて印加される。又、連続プリントジョブ中の紙間及びジョブ終了後には、二次転写ローラ60には、負極性の直流バイアスが印加される。これにより、中間転写ベルト40が記録材Pを介さずに直接二次転写ローラ60に当接する場合に、中間転写ベルト40上のトナーが二次転写ローラ60に転移するのを、電気的に押し戻すことで緩和している。
【0026】
二次転写時に中間転写ベルト40上に残ったトナーは、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置44により除去される。
【0027】
トナー像が二次転写された記録材Pは、二次転写ローラ60と中間転写ベルト40とにより、定着手段としての定着器61に搬送される。定着器61では、記録材Pは、定着ローラ62と加圧ローラ63とに狭持されて搬送され、その上へのトナー像の定着が行なわれる。定着器61を通過した記録材Pは、定着排紙ローラ対64、排紙ローラ対65によって搬送され、排紙トレー66上に排出されて積載される。
【0028】
ここで、プリンタコントローラ302(図2)から画像形成部307に両面プリントの命令があった場合には、一面目に画像が形成された記録材Pは、両面搬送手段によって、再度、二次転写部N2へと搬送される。即ち、記録材Pは、排紙ローラ対65で搬送方向が逆転され、図1中の右端の両面プリント用の両面搬送路70を経由して、再び、駆動が停止されているレジストローラ対34に突き当たるまで搬送される。本実施例では、排紙ローラ対65、両面搬送路70などによって両面搬送手段が構成される。画像形成装置の両面プリントにおいては、両面プリントのスループットを確保するために、一面目の画像形成を終えた記録材を両面搬送路に待機させることが一般的である。本実施例の画像形成装置100では、A4サイズの記録材Pを横送りで搬送(記録材Pの短手方向に沿って搬送)して両面プリントする場合に、両面搬送路70に記録材Pを二枚待機させることが可能である。つまり、記録材Pの一面目の画像形成を二枚続けて行った後、記録材Pの二面目の画像形成を二枚続けて行う。その後も同様に、次の記録材Pが搬送されて、一面目の画像形成を二枚続けて行った後、二面目の画像形成を二枚続けて行う。このように両面搬送路70に記録材Pを二枚待機させる構成であれば、紙間を片面プリントの場合と同一にでき、結果として片面プリントと同一のスループットを達成することができる。
【0029】
又、画像形成装置100には、様々な使用環境下でも安定したプリントを可能とするために、各種センサが設置されている。代表的なものとして、メディアセンサ88、温湿度センサ89、濃度兼色ずれセンサ(以下、単に「濃度センサ」という。)90がある。
【0030】
メディアセンサ88は、記録材Pの種類及び/又は表面性を検出するものであってよい。本実施例では、メディアセンサ88は、レジストローラ対34よりも記録材Pの搬送方向の上流に配置され、レジストローラ対34で一旦静止した記録材Pの明度情報や表面粗さ情報を検出する。そして、メディアセンサ88は、記録材Pの平滑度合いを求め、その結果を画像形成装置制御部(以下、「CPU」という。)306(図2)へ返す。これにより、CPU306は記録材Pの種類を判別し、最適なプリントモードを選択する。
【0031】
又、温湿度センサ89は、画像形成装置100の内部及び/又は外部の温度及び/又は湿度を検出するものであってよい。本実施例では、温湿度センサ89は、画像形成装置100の装置本体の前面に向かって左側(図1中の左側)の外装のすぐ内側に配置され、画像形成装置100内や画像形成装置100の周囲の雰囲気温度及び湿度を検出する。一般に、電子写真方式の画像形成装置は、温度及び湿度によって成果物の品位が変化するため、これらの情報に基づいて、帯電バイアスや転写バイアスなどの画像形成条件(プロセス条件)を、適宜、最適な値に変更している。又、濃度センサ90は、各色間の色ずれ及び画像濃度を計測するための光学センサである。濃度センサ90は、中間転写ベルト40の搬送方向(移動方向)と直交する方向(スラスト方向)の2か所に配置されている。本実施例の画像形成装置100は、記録材Pに画像を形成して出力する通常のプリント動作とは別に、画像濃度を調整する濃度調整動作を行う。例えば、画像形成部307の部品の交換や所定枚数(本実施例では1000枚)のプリント毎などの所定のタイミングで、濃度調整動作が行われる。濃度調整動作では、中間転写ベルト40上に形成した複数階調の試験用画像であるパッチを濃度センサ90で読み取り、濃度階調特性の調整を行って、入力信号に対して所望の濃度の出力ができるようにする。
【0032】
本実施例では、CPU306が、中間転写体上の連続する出力画像の間の画像間領域(紙間領域)にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段を構成する。
【0033】
2.画像形成装置の機能ブロック
図2は、画像形成装置100のシステム構成を説明するための機能ブロック図である。プリンタコントローラ302は、ホストコンピュータ301又はオペレーションパネル303と相互に通信が可能となっていると共に、エンジン制御部304と相互に通信が可能となっている。プリンタコントローラ302は、ホストコンピュータ301又はオペレーションパネル303から通常のプリントの画像情報とプリント命令を受け取る。そして、プリンタコントローラ302は、受け取った画像情報を解析してビットデータに変換し、ビデオインターフェイス部305を介して、記録材P毎にプリント予約コマンド、プリント開始コマンド、及びビデオ信号を、エンジン制御部304に送出する。そして、プリンタコントローラ302は、エンジン制御部304へ、ホストコンピュータ301からのプリント命令に従ってプリント予約コマンドを送信し、プリント可能な状態となったタイミングで、エンジン制御部304へプリント開始コマンドを送信する。エンジン制御部304は、プリンタコントローラ302からのプリント開始コマンドを受信後、プリント動作を開始する。
【0034】
具体的には、CPU306が、プリンタコントローラ302からビデオインターフェイス部305を介して受信した情報に基づき、画像形成部307を制御し、指定されたプリント動作を完了させる。又、CPU306は、前述の各種センサの制御、該各種センサを用いた動作の制御を行う役割も担っている。例えば、CPU306は、濃度センサ90を制御する色ずれ・濃度制御部308を制御し、濃度センサ90で検出するための紙間パッチを形成する手段としての役割も果たしている。又、CPU306は、上記のプリント動作時又は濃度調整時に、RAM309又はROM310を参照し、又その情報を更新する。RAM309には、例えば、濃度センサ90の検出結果が格納され、ROM310には、プリントモード毎の画像形成部307の設定値が格納されている。
【0035】
3.紙間パッチ濃度検出手段としての濃度センサの構成
次に、本実施例において連続プリントジョブ中の紙間濃度調整で紙間パッチの濃度を検出する検出手段としての濃度センサ90の構成について説明する。図3は、濃度センサ90の構成を説明するための模式図である。
【0036】
図3に示すように、濃度センサ90は、中間転写ベルト40及び紙間パッチ94に正対する位置に配置されている。濃度センサ90は、発光素子91と、第1、第2の受光素子92a、92bとを有する。本実施例では、発光素子91としての照射用LEDには、赤外光を照射するローム株式会社製 SIR−34ST3Fを使用した。又、本実施例では、第1、第2の受光素子92a、92bとしてのフォトトランジスタには、いずれも赤外光に受光感度を有するローム株式会社製 RPT−37PB3Fを使用した。発光素子91は、中間転写ベルト40の表面に、中間転写ベルト40の鉛直方向から45°の角度で赤外光を照射する。そして、第1、第2の受光素子92a、92bは、上記照射角度に対して、中間転写ベルト40の鉛直方向からそれぞれ0°、−45°の角度に配置されている。第1、第2の受光素子92a、92bは、それぞれ中間転写ベルト40の表面又は中間転写ベルト40上の紙間パッチ94からの乱反射光、正反射光を受光する。このように、乱反射光強度と正反射光強度の両方を検出することにより、高濃度から低濃度までのパッチの濃度を検出することができる。
【0037】
4.紙間パッチの配置
図4は、本実施例における紙間濃度調整に用いる紙間パッチの配置を説明するための模式図である。図1の画像形成装置を上方から見た場合の中間転写ベルト40上における紙間パッチの形成様子を模式的に示したものである。
【0038】
図4に示すように、中間転写ベルト40上に形成された連続プリントジョブ中のN−1個目画像とN個目画像との間の紙間領域(画像間領域)PGに、4個(1色につき1個ずつ)の紙間パッチが形成される。同図に示すように、本実施例では、紙間パッチとして、中間転写ベルト40の搬送方向と直交する方向(スラスト方向)における2か所に2個ずつの紙間パッチが形成される。より詳細には、スラスト方向の一方の端部側にイエローのパッチ(GP−Y)とマゼンタのパッチ(GP−M)が、又他方の端部側にシアンのパッチ(GP−C)とブラックのパッチ(GP−K)が、それぞれ中間転写ベルト40の搬送方向に整列して形成される。
【0039】
各色のパッチは、濃度センサ90の検出スポットがパッチの中央部と重なるように配置されている。又、中間転写ベルト40の搬送方向においては、各色のパッチは、前後の画像間の領域である紙間領域(画像間領域)の長さPGにおいて、次のように配置されている。即ち、N−1個目画像と前方側のパッチ(GP−Y、GP−C)との間隔A、前方側のパッチと後方側のパッチ(GP−M、GP−K)との間隔B、後方側のパッチとN個目画像の先端との間隔Cが、均等となるように配置されている。又、スラスト方向においては、4個の紙間パッチはいずれも、画像形成装置100において使用可能な最大の記録材Pの幅PWの内側に配置されている。これは、本実施例の濃度センサ90が、色ずれ補正用のセンサを兼ねているため、使用可能な最大の記録材の幅PWに対しても色ずれの性能を確保するための配置上の制約があるからである。
【0040】
5.紙間パッチの検出
図5は、本実施例における中間転写ベルト40上の紙間パッチを示す模式図である。Y方向位置と示した方向が、中間転写ベルト40の搬送方向と一致している。斜線部は、濃度センサ90で紙間パッチの濃度を精度よく検出するために必要な被濃度検出領域である。本実施例では、この被濃度検出領域は、中間転写ベルト40の搬送方向の寸法×スラスト方向の寸法が、10mm×10mmである。又、紙間パッチの実際にトナーが載っているパッチトナー領域は、次の点を考慮して、被濃度検出領域よりも十分に大きく設定されている。即ち、濃度センサ90の取り付け精度、中間転写ベルト40のスラスト方向の寄り、中間転写ベルト40の搬送方向における画像形成位置のずれなどである。本実施例では、このパッチトナー領域は、中間転写ベルト40の搬送方向の寸法×スラスト方向の寸法が、12mm×15mmに設定されている。濃度センサ90は、斜線部の被濃度検出領域で複数回にわたりパッチの濃度を検出して検出出力を得て、その検出出力を平均化する。これにより、パッチ内の濃度ムラ及び濃度センサ90自体のランダムノイズをキャンセルし、検出精度を向上することができる。CPU306は、上述のようにして求めた中間転写ベルト40の表面からの正味の正反射光量と、パッチからの正味の正反射光量との比から、パッチの濃度を算出する。
【0041】
6.記録材(プリント物)の汚れ
本実施例では、紙間領域の長さPGは55mmである。一方、本実施例では、二次転写ローラ60の周長は75.4mmである。即ち、本実施例では、紙間領域の長さPGは、二次転写ローラ60の周長よりも短い。そのため、紙間パッチから二次転写ローラ60に付着したトナーが、後続の画像を転写するための記録材Pの裏に再転移し、記録材(プリント物)の汚れ(ここでは、「裏汚れ」ともいう。)となってしまうことがある。
【0042】
本実施例の画像形成装置100では、紙間領域が二次転写部N2を通過する際には二次転写ローラ60に−50Vの負極性(トナーの正規の帯電極性と同極性)の直流電圧を印加する。これにより、中間転写ベルト40が記録材Pを介さずに直接二次転写ローラ60に当接する場合に、中間転写ベルト40上のトナーが二次転写ローラ60に転移することを、電気的に押し戻すことで緩和することができる。しかし、本実施例では、発明が解決しようとする課題の欄で前述したような、交番電界を二次転写部に形成したり、二次転写ローラを離間・当接させたりすることは、生産性の観点からは不利であるため、採用していない。そのため、本実施例では、物理的に二次転写ローラ60に転移するトナーを完全に排除することができない。
【0043】
そこで、本実施例では、紙間パッチを、後述するような、裏汚れが目立たない条件でのみ形成するようにする。そして、本実施例では、プリントジョブ終了後の整理動作(準備動作)である後回転時において、二次転写ローラ60に付着したトナーを中間転写ベルト40に再転移させて除去する清掃工程を設ける方法を採用する。
【0044】
具体的には、後回転時の清掃工程では、負極性と正極性の直流電圧を二次転写ローラ60の1周分ずつ交互に、且つ、絶対値を小さくしながら各3周ずつ、合計6周印加する。例えば、常温常湿環境下では、−3200V、+1200V、―2100V、+800V、−330V、+300Vの順で、直流電圧を印加する。これにより、極性が反転したトナーが存在する場合でも、トナーの帯電特性によらず、二次転写ローラ60から中間転写ベルト40にトナーを再転移さることができる。尚、中間転写ベルト40に再転移されたトナーは、ベルトクリーニング装置44によって除去される。
【0045】
7.紙間濃度調整
7−1.概要
次に、本実施例における紙間濃度調整について説明する。本実施例では、概略、複数ページからなる連続プリントジョブ中に、紙間領域に形成された紙間パッチの濃度を濃度センサ90で検出し、紙間濃度調整手段としてのCPU306がその検出結果により濃度調整を実行する。
【0046】
具体的には、図7のフローチャートを用いて説明する。プリンタコントローラ302からの信号によりプリントジョブが開始された直後、CPU306は、ステップ1においてプリントジョブの残プリント枚数が4枚以上か否かを判断する。ここで、残プリント枚数とは、中間転写ベルト40上に形成すべき画像の個数である。これは、本実施例の画像形成装置100では、部品配置構成上の制約から、残プリント枚数が一定枚数以上の時のみ、紙間濃度調整を実行するように設定されているからである。具体的には、本実施例では、A4サイズの記録材Pを横送りするプリントジョブの場合、4枚以上の連続プリントジョブにおいて紙間濃度調整を実行する。即ち、連続プリントジョブにおける中間転写ベルト40上の1個目の画像と2個目の画像と間の紙間に形成された紙間パッチの濃度を濃度センサ90で検出した時点では、最上流のイエロー用の感光ドラム54Yには、3個目の画像がすでに現像され始めている。そのため、濃度調整情報を反映できるのは4個目の画像以後となるからである。ただし、本実施例では、このような場合に、2個目、3個目の画像については、温湿度センサ89の検出結果、及びRAM309に記憶された各感光ドラム50の寿命記録情報に基づいて、色ずれ・濃度制御部308が濃度変動を予測する。これにより、画像形成装置100の安定化を図っている。なお、この4枚の数値は、最上流のイエロー用のステーションSYの一次転写部N1Yから濃検センサ90による検知部までの距離や各高圧の切り替え時間などの、画像形成装置100の構成やプリントする記録材Pの大きさに依存する値である。従って、この数値に限定されるものではない。
【0047】
CPU306は、ステップ1において残プリント枚数が4枚以上である場合は、ステップ3において後述する紙間パッチ形成可否判断処理を実行する。その後、CPU306は、ステップ4においてRAM309に格納された紙間パッチ形成フラグを確認する。CPU306は、ステップ4において紙間パッチ形成フラグが「1」である場合は、紙間パッチを形成するステップ5以降の処理に移る。ステップ5以降の処理については後述する。
【0048】
7−2.紙間パッチの形成タイミング
ここで、紙間パッチによる記録材Pの裏汚れが顕在化するのを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図るための、紙間パッチの形成条件について説明する。
【0049】
本実施例の画像形成装置100では、調整のリアルタイム性を重視し、各色単一階調のパッチの濃度の検出結果に基づいて画像形成条件の調整を行う。本実施例では、全ての紙間で紙間パッチを形成して濃度検出を行い、画像形成条件を調整することを基本としている。
【0050】
紙間パッチによる記録材Pの裏汚れが顕在化しやすいのは、両面プリントの際の記録材Pの一面目の画像上に二次転写ローラ60上のトナーが付着する条件のときである。つまり、記録材Pの二面目に転写する画像を形成する直前の紙間にパッチが形成されたときである。この条件のときに記録材Pの裏汚れが顕在化しやすい理由は、次のように考えられる。第一に、粉体のトナーが静電気力のみにより紙などの記録材P上に付着する場合と比較して、次の(1)、(2)の理由により、一面目の画像のトナー上に付着するトナーの量が多くなることが挙げられる。
(1)トナー同士の分子間力
(2)定着器を通過した一面目の画像上にトナーと親和性の高いワックスが存在し、トナーが吸着されやすい
【0051】
更に、記録材Pの一面目に形成されたトナーの色によっては、明度の差が人間の目に視認されやすい。つまり、記録材Pの一面目にイエローのベタ画像を形成した後、その記録材Pの二面目の画像を形成する直前の紙間にブラックの紙間パッチを形成するような条件において、トナーの付着量及び視認されやすさの点で、最も記録材Pの裏汚れが顕在化しやすい。本実施例では、裏汚れの抑制にとって最も厳しい条件である、一面目にイエロー画像を形成した後に、二面目の画像の直前の紙間にブラックの紙間パッチを形成する条件において検討した。当該条件で裏汚れの抑制に効果があれば、より裏汚れの目立ちにくい条件においても同等以上の効果が得られる。
【0052】
紙間パッチの形成の可否を判断する最も簡易な方法として、次の方法を用いることができる。即ち、ある紙間の紙間パッチの位置が二次転写部N2を通過してから二次転写ローラ60が所定回数回転(零よりも大きい数の回転)する間に二次転写部N2に到達する出力画像が、記録材Pの一面目に転写する出力画像である場合には、その紙間への紙間パッチの形成を許可する。換言すれば、後続して二次転写部N2を通過する出力画像が記録材Pの一面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を許可する。一方、ある紙間の紙間パッチの位置が二次転写部N2を通過してから二次転写ローラ60が所定回数回転する間に二次転写部N2に到達する出力画像が、記録材Pの二面目に転写する出力画像である場合には、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。換言すれば、後続して二次転写部N2を通過する出力画像が記録材Pの二面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を禁止する。本実施例では、上記所定回数は、紙間パッチから二次転写ローラ60に付着したトナーによる記録材Pの裏汚れが最も顕著となる二次転写ローラ60の一回転とする。但し、二次転写ローラ60の複数回転に渡って、紙間パッチから二次転写ローラ60に付着したトナーによる記録材Pの裏汚れが、許容し得る程度を越えて発生する場合がある。従って、上記所定回数は、記録材Pの裏汚れを十分に抑制し得るように、適宜設定することができる。そして、上述のように、本実施例では紙間の長さが二次転写ローラ60の周長よりも短く、ある紙間の紙間パッチの位置が二次転写部N2を通過してから二次転写ローラ60が一回転する間に二次転写部N2に到達する記録材Pは、その紙間の直後の画像となる。このように、紙間パッチの形成の可否を判断する最も簡易な方法として、本実施例では、ある紙間の直後の画像が記録材Pの二面目に転写する画像である場合には、その紙間における紙間パッチの形成を禁止することができる。
【0053】
本実施例の画像形成装置100では、記録材Pの一面目の画像形成であるか、二面目の画像形成であるかの区別は、CPU306が、記録材Pが両面搬送路70から給紙されたか否かによって判断することができる。そして、二面目の画像形成の直前の紙間では、画像領域をマスクして、紙間パッチの形成を禁止する。この方法によれば、ある記録材Pの一面目に形成した画像がどのようなものであるかに拘わらず、その記録材Pの二面目に形成する画像の直前の紙間では常に紙間パッチの形成を禁止することができる。そのため、記録材Pの一面目に形成した画像情報を保存しておく必要が無く、簡易な制御にすることができる。
【0054】
図8は、図7のフローチャート中のステップ3で実行されるサブルーチンである紙間パッチ形成可否判断処理の一例のフローチャートである。本例では、上述のように紙間の直後の画像が二面目の画像の場合に、常にその紙間への紙間パッチの形成を禁止する。
【0055】
先ず、ステップ3−1において、CPU306は、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「1」にセットする。次に、ステップ3−2において、CPU306は、紙間パッチを形成した直後に形成する画像が記録材Pの一面目に形成する画像であるか、二面目に形成する画像であるかを判断する。これは、紙間パッチの形成候補となっている画像間領域に後続して転写部を通過する出力画像が、記録材Pの一面目の画像か否かの判断に相当する。そして、本実施例では、この判断は、その画像が転写される記録材Pが両面搬送路70を通過して搬送されたか否かによって行う。ステップ3−2において、紙間パッチを形成した直後に形成する画像が記録材Pの一面目に形成する画像の場合は、CPU306は、紙間パッチの形成を行うために、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。一方、ステップ3−2において紙間パッチを形成した直後に形成する画像が記録材Pの二面目に形成する画像の場合には、ステップ3−3において、CPU306は、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。
【0056】
一方、例えば、連続プリントジョブ中の色変動が急激である条件、又は必要な階調数が多い条件では、紙間パッチの形成頻度を高くすることが望まれる。このように、可能な限り記録材Pの二面目の画像形成の直前の紙間にも紙間パッチの形成を行いたい場合がある。この場合には、次の方法を用いることが好ましい。即ち、紙間パッチ通過後に二次転写ローラ60が所定回数回転する間に二次転写部N2に到達する出力画像が二面目の出力画像であり、更にその記録材Pの一面目に転写された出力画像が所定の条件を満たす場合に、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。換言すれば、紙間パッチ通過後に二次転写ローラ60が所定回数回転する間に二次転写部N2に到達する出力画像が二面目の出力画像である場合でも、その記録材Pの一面目に転写された出力画像が一定の条件を満たせば、その紙間への紙間パッチの形成を許可する。この場合、上記一面目に転写された出力画像の全体について、上記所定の条件を満たすか否かを判断してもよい。しかし、より精度よく記録材Pの裏汚れの発生する可能性を予測し、可及的に紙間パッチを形成する頻度を高めるためには、次の方法を用いることが好ましい。即ち、二面目の画像を形成する記録材Pの一面目に形成された画像のうち、裏汚れが顕在化しやすい領域(以下、単に「所定位置」という。)の画像が所定の条件を満たす場合に、その記録材Pの二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止する。この裏汚れが顕在化しやすい所定位置(裏汚れ潜在領域)は、二面目に画像を形成する記録材Pの一面目に形成された画像のうち、紙間パッチが接触した二次転写部N2の位置が接触する位置である。このように、上記一面目に転写された出力画像のうち、紙間の紙間パッチの位置が接触する二次転写ローラ60の位置が接触する位置である所定位置の画像が、上記所定の条件を満たすか否かにより紙間パッチの形成の可否を判断することが好ましい。
【0057】
二面目の画像を形成する記録材Pの一面目に形成された画像が所定条件を満たすか否かは、CPU306が、その一面目の画像の画像情報に基づいて判断することができる。特に、前述のように、裏汚れは一面目のトナーの存在により促進されることから、上記所定条件として、画像のトナー載り量と相関する値を設定することが好ましい。例えば、一面目の出力画像の画像濃度、印字率或いは画像パターンに対応するトナー載り量が、所定の閾値以上の場合に、紙間パッチの形成を禁止することができる。又、上述のように一面目の画像の色(明度)によって裏汚れの視認されやすさが変わることから、上記所定条件として上記トナー載り量の代わりに又はそれに加えて、画像の色を設定することができる。例えば、一面目の出力画像の色が、イエローなどの指定された色の場合に、紙間パッチの形成を禁止することができる。本実施例では、特に、一面目の画像における所定位置の画像濃度に基づいて、紙間パッチの形成の可否を判断するが、上述のように一面目の画像における所定位置の画像の印字率、画像パターン或いは色などを判断基準としても良い。そして、これらの条件は、上述のように、一面目の画像における所定位置について判断することが好ましいが、一面目の画像の全体について平均値などに基づいて判断してもよい。
【0058】
以下に、可及的に紙間パッチの形成頻度を高くすることを可能とする紙間パッチ形成可否判断処理の一例を説明する。ここでは、紙間パッチが二次転写部N2を通過してから二次転写ローラ60が一周した後に、二次転写ローラ60の紙間パッチに該当する位置が接触する位置の一面目の画像のトナー載り量に基づいて、紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0059】
図9は、図7のフローチャート中のステップ3で実行される別のサブルーチンである紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャートである。本例では、上述のように、記録材Pの裏汚れが発生しやすい所定位置における一面目の画像情報に基づいて、各紙間における紙間パッチの形成の可否を判断する。図8の差異のみを以下説明する。
【0060】
図9に示す処理は、二面目の画像を形成する記録材Pの一面目に形成された画像の所定位置の画像濃度が所定値以上であるか否かを判断するステップ3−4を有する点が図8に示す処理と異なる。つまり、本例では、ステップ3−2において、紙間パッチを形成した直後に形成する画像が記録材Pの二面目に形成する画像の場合には、次のような処理となる。即ち、ステップ3−4において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像濃度に応じて、紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0061】
ここで、CPU306は、上記所定位置の画像濃度を、プリンタコントローラ302が受け取った画像情報を基に変換したビットデータと、後述する調整後の濃度階調特性から求める。この画像情報から求まる画像濃度は、実際の記録材P上に形成される画像のトナー載り量と相関する。
【0062】
そして、本実施例では、ステップ3−4において画像濃度が反射濃度(O.D.)0.5相当以上の場合には、CPU306は、ステップ3−3において、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。又、ステップ3−4において画像濃度が反射濃度0.5相当未満の場合には、CPU306は、紙間パッチの形成を行うために、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとし、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。本実施例の画像形成装置では、反射濃度0.5相当の画像濃度は印字率(ベタ画像の濃度レベルを100%とした場合の濃度レベルの比率)50%であった。
【0063】
ここで、各実施例における反射濃度は、反射面に入射する光量をI0、反射面から反射される光量をIとしたとき、下記式で表されるDrの値である。
Dr=Log10(I0/I)
通常、反射面の法線に対して45°の方向から光を当て反射面の垂直方向に反射される光を測定することで求められる。各実施例において、具体的には、反射濃度測定器としてX−Rite製RD−918を用いて測定した値である。特に、各実施例においてパッチ、一面目についての画像の反射濃度は、紙に転写して、定着する前に上記反射濃度測定器で測定した値である。以下の説明においては、CPU306が反射濃度を判定するよう説明を行っていくが、上記反射濃度Drと反射光量Iとの間には一定の関係があり、反射光量Iを直接判断するようしても良い。
【0064】
次に、上述の所定位置の具体的な位置について説明する。
【0065】
図6に示すように、二次転写ローラ60の周長をTCL、N−1個目の画像の後端から前方側のパッチ(GP−Y、GP−C)の前方側エッジまでの距離をAとする。又、前方側のパッチ(GP−Y、GP−C)と後方側のパッチ(GP−M、GP−K)との間隔をB、各パッチの搬送方向の長さをPL、紙間の搬送方向の長さをPGとする。
【0066】
このとき、記録材Pに形成する画像であるN個目の画像の先端から「TCL+A−PG」の位置から、「TCL+A−PG+PL」の位置にかけて、前方側のパッチ(GP−Y、GP−C)の汚れが発生しやすい。又、「TCL+A−PG+PL+B」の位置から、「TCL+A−PG+2PL+B」の位置にかけて、後方側のパッチ(GP−M、GP−K)の汚れが発生しやすい。CPU306は、この汚れの発生しやすい箇所に対応した画像データの画像濃度(画像データの階調値)を解析する。
【0067】
上記の位置に、記録材Pの搬送方向の位置ばらつきを考慮したマージンを加えた領域が、所定位置である。従って、本実施例では、この所定位置における一面目の画像の画像濃度が所定の閾値以上場合には、その記録材Pの二面目の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止する。
【0068】
表1は、一面目の画像の所定位置における画像濃度による、裏汚れの顕在化のしやすさを検証した実験結果を示す。
【0069】
【表1】
【0070】
表1は、紙間パッチがブラック単色、一面目の画像がイエロー単色の場合についての実験結果である。又、中間転写ベルト40上における紙間パッチの反射濃度(O.D.)を0.3とした。そして、紙間パッチが二次転写部N2を通過した後の二次転写ローラ60の1周後における裏汚れレベルを比較した。
【0071】
ここで、紙間パッチの反射濃度の値は、パッチを紙上に通常のプリント動作と同じ条件で転写して紙上でパッチの中央部の濃度を測定した値であり、直後に形成する画像上の裏汚れ箇所での濃度ではない。連続プリント中に紙間濃度調整を行うために濃度の変動を検出するためには、濃度変動の起こりやすい、反射濃度が0.2〜0.6の紙間パッチを形成することが好ましい。ただし、本実施例の画像形成装置100では、紙間パッチの反射濃度が0.3を超えると、二次転写ローラ60上へのトナーの付着量が増加し始め、条件に依らず裏汚れのレベルが許容範囲外となることがわかった。そのため、本実施例では、紙間パッチの反射濃度は0.3とした。
【0072】
記録材Pとしてはキヤノン製 コピー/レーザービームプリンター用紙 CS814 A4サイズを用いた。又、反射濃度測定器としてX−Rite製RD−918を用いた。又、表1に示す画像ランクの評価は、所定位置を目視にて観察して行った。そして、レベル2を裏汚れレベルの許容限界として設定し、全く裏汚れが確認できないレベルをゼロとした。又、表1には、一面目の画像の濃度としては、紙上に転写して紙上で所定位置の中央部の濃度を測定した値と、その画像情報から求めた印字率とを示す。
【0073】
表1の結果から、紙間パッチの濃度が同じであれば、一面目に形成された画像のトナー濃度が高いほど裏汚れのレベルが悪化することがわかる。又、一面目に形成された画像がイエローの場合には、反射濃度が0.5以上のハーフトーンの画像が形成されていると、許容範囲外の裏汚れレベルとなることがわかる。
【0074】
このように、紙間パッチを形成するタイミングを制御することにより、裏汚れを顕在化させずに、生産性、濃度安定性に優れた両面プリントを行うことが可能となる。本実施例の画像形成装置100においては、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止しても濃度安定性への影響は無視できる程度である。しかし、更に高い頻度、例えば、ほぼ全ての紙間で紙間パッチの形成を行う必要がある場合には、一面目に形成された画像の画像情報に基づき、紙間パッチの形成の可否を判断することで、紙間パッチの形成頻度を上げることができる。例えば、上述のように一面目の画像の所定位置に反射濃度が0.5以上のハーフトーンの画像が形成されている場合には、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止することができる。
【0075】
7−3.紙間パッチの検出結果による制御
再度、図7を参照して、ステップ5において、CPU306の制御により、画像形成部307は、中間転写ベルト40上に所定濃度の紙間パッチを形成する。ここで紙間パッチの画像形成条件は、通常の中間転写ベルト40上への画像形成条件と同一とした。ステップ6において、CPU306は、前述のようにして濃度センサ90によって各色のパッチを検出した結果からパッチ濃度を算出する。
【0076】
そして、ステップ7において、CPU306は、紙間パッチの濃度の算出値と理想濃度との差分を計算する。本発明において、この理想濃度の決め方には特に制限はない。例えば、所定濃度を理想値としてROM310に記録しておいても良いし、ジョブ毎にジョブ開始直後の紙間パッチ濃度算出結果を理想値としてRAM309に記録しても良い。本実施例では、ジョブ内の画像濃度の安定性向上を目的として、ジョブ開始直後のパッチ測定結果を理想値とする。ステップ8において、CPU306は、ステップ7で算出した差分に応じた、4個目の画像以後に補正すべき画像形成条件の補正量が決定される。本実施例では、パッチの濃度の差分に比例した画像形成条件の補正を行うが、本発明において濃度補正方法自体は特に制限はない。例えば、中間転写ベルト40に対するパッチからの正反射光量比などを基に算出しても良い。
【0077】
尚、本実施例の画像形成装置100では、ステップ7で計算された理想濃度との差分の全部について、一度に補正しようとする、所謂、比例制御ではなく、突発的な変動の影響を受け難く、目標に漸近する比例・積分制御を用いて、画像形成条件の補正量を決定した。具体的な画像形成条件としては、各色についてRAM309に記憶されている、画像データに対するレーザー/スキャナ発光量テーブルの補正を行った。ただし、帯電バイアスや現像バイアスやその他の画像形成条件を補正してもよい。
【0078】
そして、最終的に、ステップ9において、CPU306は、ステップ8で決定された画像形成条件に従って画像形成部307を制御して、画像形成を実行する。
【0079】
ステップ9の後は、ステップ1に戻り、残プリント枚数が4枚以上か否かの判断が再びなされ、4枚未満となるまで同様の動作が繰り返される。
【0080】
ステップ1において残プリント枚数が4枚未満となった場合は、ステップ2において、CPU306は、プリントジョブ中であるか否かを判断する。そして、ステップ2において、プリントジョブ中の場合はステップ1へ戻り、プリントジョブ中でない場合は終了となる。
【0081】
以上説明したように、本実施例によれば、連続画像形成中の一の画像と次の画像との間に形成される試験用画像による記録材の汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることができる。
【0082】
尚、好ましくは記録材Pの一面目に形成された画像の画像情報に基づいて、二面目に形成する画像の直前の紙間における紙間パッチの形成の可否を判断する。しかし、上述のように、紙間パッチの後続の画像が二面目に形成する画像であるか否かのみにより、紙間パッチの形成の可否を判断しても良い。
【0083】
又、本実施例では、連続プリントジョブ中の紙間領域において紙間濃度調整を行うこととした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、プリントジョブの出力枚数に拘わらずに本実施例と同様にして紙間パッチを形成し、プリントジョブ間の時間が短ければ、直前に行ったプリントジョブ中の紙間パッチの検出結果を用いて濃度調整を行ってもよい。
【0084】
又、本実施例では、一面目の画像がイエロー、紙間パッチがブラックの場合について説明した。しかし、一面目の画像の色と紙間パッチの色との組み合わせによって紙裏汚れの顕在化のしやすさにバラつきはあるものの、本発明の効果は上述の色の組み合わせに限定されるものではない。例えば、一面目の画像の色とトナー載り量とに基づいて紙間パッチの形成の可否を判断することができ、この場合に一面目の画像の色に応じてトナー載り量の閾値を変化させることができる。例えば、一面目の画像が裏汚れの目立ちやすいイエローの画像である場合にはトナー載り量の閾値を相対的に小さくし、その他の色の場合にはトナー載り量の閾値を相対的に大きくすることができる。
【0085】
又、本実施例では図4に示したとおり、1個の紙間に各色1個ずつのパッチを配置して、各色固定階調パッチとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。画像形成装置の濃度変動の傾向が比較的早く、調整のリアルタイム性が必要な場合は、本実施例のように、固定階調のパッチで調整頻度を上げることが望ましい。一方、画像形成装置の濃度変動の傾向が緩やかで、濃度−階調特性全体の安定性をさらに向上させたい場合には、異なる紙間領域に、異なる階調パッチを形成し、複数階調で調整すると良い。又、短期的な濃度変動が周期的に発生しつつ、長期的な濃度変動も発生する場合には、複数の紙間領域における、同一階調パッチの検出結果の平均値を1つの濃度検出結果として扱い、短期的な周期成分を無視できる状態としてから調整すると良い。
【0086】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0087】
本実施例では、紙間パッチ通過後に二次転写ローラ60が所定回数回転する間に二次転写部N2に到達する出力画像が二面目の出力画像であり、更に画像形成装置内に配置された温度又は湿度を検出するセンサの出力が所定の条件を満たす場合に、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。本実施例では、特に、画像形成装置100に設置した環境検知手段としての温湿度検知手段である温湿度センサ89(図2)によって検知された重量絶対湿度の情報に基づき、記録材Pの二面目の画像の直前の紙間における紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0088】
本実施例では、画像形成装置100のハードウェア構成は実施例1と同じであり、紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理(図7のステップ3)が実施例1と異なる。
【0089】
図10は、図7のフローチャート中のステップ3で実行される別のサブルーチンである、本実施例に従う紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャートである。
【0090】
先ず、実施例1と同様のステップ3−1、ステップ3−2が実施される。その後、ステップ3−2において紙間パッチの直後の画像が記録材Pの二面目の画像の場合には、ステップ3−5において、CPU306は、温湿度センサ89が算出する画像形成装置100内外の雰囲気における重量絶対湿度を確認する。そして、その重量絶対湿度が16.0g/kgDA以上の場合には、ステップ3−6において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像情報を確認する。そして、その画像濃度が反射濃度0.3相当以上の場合には、CPU306は、ステップ3−7において、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。又、ステップ3−6において、画像濃度が反射濃度0.3相当未満の場合には、CPU306は、紙間パッチの形成を行うために、紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとし、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。本実施例の画像形成装置では、反射濃度0.3相当の画像濃度は印字率25%であった。
【0091】
一方、ステップ3−5において重量絶対湿度が16.0g/kgDA未満の場合には、ステップ3−8において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像情報を確認する。そして、ここでは高温高湿環境と比較して紙裏汚れが比較的発生しにくいため、画像濃度の閾値を反射濃度0.5相当として上記同様の処理を行う。つまり、その画像濃度が反射濃度0.5相当未満であればRAM309内の紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとする。一方、反射濃度0.5相当以上であればステップ3−9にてRAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットして二面目の画像の直前の紙間パッチの形成を禁止する。
【0092】
表2は、実施例1の表1の場合と同様に、紙間パッチがブラック単色、一面目の画像がイエロー単色、紙間パッチの反射濃度(O.D.)が0.3の場合の、湿度による裏汚れの顕在化のしやすさを検証した実験結果を示す。湿度は、低温低湿環境(重量絶対湿度1.1g/kgDA)、通常環境(重量絶対湿度8.9g/kgDA)、高温高湿環境(重量絶対湿度21.1g/kgDA)とした。記録材P、測定器、評価方法は実施例1の表1の場合と同様である。
【0093】
【表2】
【0094】
表2から、高温高湿環境においては記録材Pの裏汚れが顕在化しやすいことがわかる。その理由は、次のようなトナーの状態の差であると考えられる。即ち、高温高湿環境においては吸湿によって、マクロな質量当たりの電荷量(以下Q/M)が低下し、且つ、ほとんど電荷を有しないか又は逆極性に帯電されたトナー粒子が、他の環境と比較して多く含まれる。これによって、紙間パッチが二次転写部N2を通過した際に二次転写ローラ60に負極性の直流電圧を印加しても、二次転写ローラ60に付着するトナー量を抑制しきれない。その結果、他の環境と比較して、高温高湿環境では、二次転写ローラ60に付着したトナー量が多く、記録材Pの裏汚れとして顕在化しやすい。
【0095】
本実施例では、表2中の画像ランクが3以下となる条件において、二面目の画像を形成する直前の紙間における紙間パッチの形成を許可する。
【0096】
尚、本実施例では、一面目の画像情報と重量絶対湿度に基づいて紙間パッチの形成の可否を判断したが、重量絶対湿度のみに基ついて判断を行っても良い。例えば、重量絶対湿度が所定の閾値以上の場合は、一面目の画像情報によらず、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止することができる。又、本実施例では画像形成装置100の環境情報として重量絶対湿度を検出したが、高温時には相対的に低温時よりも記録材Pの裏汚れが顕在化しやすいといえるので、温度情報のみによって紙間パッチの形成の可否を判断することもできる。
【0097】
以上、本実施例では、画像形成装置100の雰囲気の環境情報の検知結果を用いて紙間パッチの形成タイミングを制御することで、環境に応じた裏汚れの発生可能性を予測して、裏汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることができる。
【0098】
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0099】
本実施例では、紙間パッチ通過後に二次転写ローラが所定回数回転する間に二次転写部に到達する出力画像が二面目の出力画像であり、更に出力画像が転写される記録材Pの種類又は表面性が所定の条件を満たす場合に、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。本実施例では、特に、画像形成装置100に設置した表面性検知手段としてのメディアセンサ88(図2)によって検知された記録材Pの表面状態に基づき、記録材Pの二面目の画像の直前の紙間における紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0100】
本実施例では、画像形成装置のハードウェア構成は実施例1と同じであり、紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理(図7のステップ3)が実施例1と異なる。
【0101】
本実施例では、記録材Pの表面状態として記録材Pの表面粗度(表面性)を、メディアセンサ88(図2)を用いて検知する。本実施例で使用するメディアセンサ88は、記録材Pの表面の凹凸に起因して生じる陰影をCMOSセンサによって撮像した結果に基づいて、表面平滑性の判別を行う。本実施例では、CMOSセンサに読み込まれた映像は8×8ピクセルにデジタル処理され、白黒の二値画像に変換される。平滑な記録材Pを用いると、凹凸が少ないために陰影がほとんど生じず、処理後の画像は均一(ここでは白)となる。一方、表面平滑性が低い記録材Pでは、処理後の画像に占める白画像の比率(白比率)が約50%となる。
【0102】
尚、表面性検知手段としては、例えば記録材Pの表面からの反射光量のバラつき量を測定し、記録材Pの表面の粗さを判断する方式のメディアセンサなどを用いても良い。
【0103】
図11は、図7のフローチャート中のステップ3で実行される別のサブルーチンである、本実施例に従う紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャートである。
【0104】
先ず、実施例1と同様のステップ3−1、ステップ3−2が実施される。その後、ステップ3−2において紙間パッチの直後の画像が記録材Pの二面目の画像の場合には、ステップ3−10において、CPU306は、メディアセンサ88の検知結果を確認する。メディアセンサ88は、プリントジョブ開始後、レジストローラ対34によって静止した記録材Pの表面粗度を検出する。ここでは、表面粗度は、上述のCMOSセンサの撮影像をデジタル処理した画像の白比率である。そして、その白比率が75%以上の場合には、ステップ3−6において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像情報を確認する。そして、その画像濃度が反射濃度0.3相当以上の場合には、CPU306は、ステップ3−7において、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。デジタル画像の白比率が高い高光沢紙では、所定位置の画像濃度が反射濃度0.3相当でも裏汚れが顕著に発生するためである。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。又、ステップ3−6において、画像濃度が反射濃度0.3相当未満の場合には、CPU306は、紙間パッチの形成を行うために、紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとし、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。本実施例の画像形成装置では、反射濃度0.3相当の画像濃度は印字率25%であった。
【0105】
一方、ステップ3−10において、白比率が75%未満の場合には、ステップ3−8において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像情報を確認する。そして、比較的表面が粗い記録材P或いはラフな記録材Pでは、比較的裏汚れが発生し難いため、その画像濃度の閾値を、反射濃度0.5相当として上記同様の処理を行う。つまり、その画像濃度が反射濃度0.5相当未満であればRAM309内の紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとする。一方、反射濃度0.5相当以上であればステップ3−9にてRAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットして二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止する。
【0106】
表3は、実施例1の表1の場合と同様に、紙間パッチがブラック単色、一面目の画像がイエロー単色、紙間パッチの反射濃度(O.D.)が0.3の場合の、記録材Pの表面状態による裏汚れの顕在化のしやすさを検証した実験結果を示す。ここでは、本実施例のメディアセンサ88で判別可能な3種類の記録材Pを用い、裏汚れの目立ちやすさを比較した。表面粗さは、Fox river bond紙が最も粗く、Glossy Presentation Paperが最も平滑である。又、表3中、メディアセンサ88の検出結果の処理後の画像の白画像の比率(白比率)は「W.R.」とした。記録材P、測定器、評価方法は実施例1の表1の場合と同様である。
【0107】
【表3】
【0108】
表3から、特に一面目に形成する画像のトナー量が少ない条件では、表面性がラフな記録材Pほど裏汚れが発生し難く、平滑性の高い記録材Pほど裏汚れが顕在化しやすいことがわかる。これは、同じレベルで二次転写ローラ60上にトナーが付着した場合でも、記録材Pの表面性によって二次転写ローラ60との密着度が異なり、平滑性の高い記録材Pほど物理的なトナー付着量が増加することを示している。一方、一面目に形成された画像のトナー量が多い場合には、記録材Pの表面性が平滑化されるうえ、トナー同士の親和性が高いために、記録材Pの表面状態の差が裏汚れのレベルに反映されなくなる。
【0109】
本実施例では、表3中の画像ランクが3以下となる条件において、二面目の画像の直前の紙間における紙間パッチの形成を許可する。
【0110】
尚、本実施例では、記録材Pの表面状態と一面目の画像情報とに基づいて紙間パッチの形成の可否を判断したが、記録材Pの表面性が平滑な場合には、一面目の画像情報によらず、二面目の画像の直前の紙間での紙間パッチの形成を実施しない構成としても良い。例えば、記録材Pの表面性(表面粗度)を表す上記白比率が所定の閾値以上の場合は、一面目の画像情報によらず、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止することができる。
【0111】
又、本実施例では、メディアセンサ88を有する画像形成装置100について説明したが、同様の判断を画像形成装置100が有するプリントモードを利用して行っても良い。つまり、例えば、種類検知手段としてのCPU306が、プリントモードとしてラフ紙モードが選択された場合には、使用される記録材Pがラフ紙であると判断する。同様に、例えば、CPU306が、プリントモードとして高グロスモードが選択された場合には、使用される記録材Pが表面平滑性の高いグロス紙であると判断する。そして、CPU306は、その判断結果に応じて、上記本実施例と同様にして、紙間パッチの形成の可否を判断することができる。このように、画像形成装置100が、使用する記録材の種類の異なる複数の画像形成モードを有する場合、次のようにして、紙間パッチの形成の可否を判断することができる。即ち、紙間パッチ通過後に二次転写ローラが所定回数回転する間に二次転写部に到達する出力画像が二面目の出力画像であり、更に複数の画像形成モードのうち所定の画像形成モードが選択されている場合に、その紙間への紙間パッチの形成を禁止することができる。
【0112】
以上、本実施例では、記録材Pの種類又は表面性の検知結果を用いて紙間パッチの形成タイミングを制御することで、記録材Pの種類又は表面性に応じた裏汚れの発生可能性を予測して、裏汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることができる。
【0113】
実施例4
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0114】
本実施例では、紙間パッチ通過後に二次転写ローラ60が所定回数回転する間に二次転写部N2に到達する出力画像が二面目の出力画像であり、更に二次転写ローラ60の使用量が所定の条件を満たす場合に、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。本実施例では、特に、画像形成装置100の使用状態としての二次転写ローラ60に対する通紙枚数に基づき、記録材Pの二面目の画像の直前の紙間における紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0115】
本実施例では、画像形成装置のハードウェア構成は実施例1と同じであり、紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理(図7のステップ3)が実施例1と異なる。
【0116】
具体的には、CPU306が、使用状態検知手段としてのカウンタとして機能するRAM309に記憶された二次転写ローラ60に対する通紙枚数に応じて、紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0117】
図12は、図7のフローチャート中のステップ3で実行される別のサブルーチンである、本実施例に従う紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャートである。
【0118】
先ず、実施例1と同様のステップ3−1、ステップ3−2が実施される。その後、ステップ3−2において紙間パッチの直後の画像が記録材Pの二面目の画像の場合には、ステップ3−11において、CPU306は、RAM309に保存された二次転写ローラ60の通紙枚数を読み出す。そして、その二次転写ローラ60の通紙枚数が500枚以下である場合には、ステップ3−12において、CPU306は、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。
【0119】
一方、ステップ3−11において、二次転写ローラ60の通紙枚数が500枚を超える場合には、ステップ3−8において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像情報を確認する。そして、その画像濃度は反射濃度0.5相当以上の場合には、CPU306は、ステップ3−9において、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。又、ステップ3−8において画像濃度が反射濃度0.5相当未満の場合には、CPU306は、紙間パッチの形成を行うために、紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとし、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。本実施例の画像形成装置では、反射濃度0.5相当の画像濃度は印字率50%であった。
【0120】
本実施例では、二次転写ローラ60として、単層の発泡ゴムのローラを用いた。又、本実施例では、中間転写ベルト40として、表面平滑性の高い樹脂ベルトを用いた。中間転写ベルト40の表面平滑性は、画像形成装置100の使用によってもほぼ一定に保たれるが、二次転写ローラ60の表面性は使用開始直後が最も粗く、使用に伴い削れや目詰まりによって平滑性が高くなる傾向にある。紙間パッチが二次転写部N2を通過する際に、負極性のトナーが二次転写ローラ60側に転写されないように電界を形成した場合でも、中間転写ベルト40と二次転写ローラ60との間には速度差が生じる。そのため、トナーは、表面性の粗い二次転写ローラ60側に掻き取られて、二次転写ローラ60上に付着しやすい。つまり、二次転写ローラ60の使用開始直後には、二次転写ローラ60上にトナーが付着しやすく、使用に伴って付着量が減る傾向にある。
【0121】
表4は、実施例1の表1の場合と同様に、紙間パッチがブラック単色、一面目の画像がイエロー単色、紙間パッチの反射濃度(O.D.)が0.3の場合の、二次転写ローラ60の通紙枚数による裏汚れの顕在化のしやすさを検証した実験結果を示す。二次転写ローラ60の通紙枚数は、二次転写ローラ60の使用開始直後、500枚通紙後、1000枚通紙後とした。記録材P、測定器、評価方法は実施例1の表1の場合と同様である。
【0122】
【表4】
【0123】
表4から、二次転写ローラ60の使用開始直後は裏汚れが発生しやすく、使用に伴って裏汚れのレベルが改善することがわかる。1000枚通紙以降は、裏汚れのレベルに大きな変化は無かった。
【0124】
本実施例では、画像ランクが3以下となる条件において、二面目の画像を形成する直前の紙間における紙間パッチの形成を許可する。
【0125】
尚、本実施例では、二次転写ローラ60の通紙枚数と一面目の画像情報とに基づいて紙間パッチの形成の可否を判断したが、二次転写ローラ60の使用開始直後は、一面目の画像によらず裏汚れに対して余裕が無い。従って、二次転写ローラ60の通紙枚数の情報のみに基づいて紙間パッチの形成の可否を判断しても良い。例えば、二次転写ローラ60の通紙枚数が所定の閾値以下の場合は、一面目の画像情報によらず、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止することができる。
【0126】
又、本実施例では、二次転写ローラ60の通紙枚数に基づいて二次転写ローラ60の状態変化を見積もったが、この方法に限定されるものではない。例えば、画像形成装置100の本体の構成に応じて、画像形成装置100の本体の通紙枚数で代用しても良い。或いは、二次転写ローラ60の回転数を用いても良い。二次転写ローラ60の使用量と相関する指標であれば、任意に利用することができる。
【0127】
又、本実施例では、特に、二次転写ローラ60の使用に伴う状態変化が、裏汚れの発生しやすさに与える影響が顕著であるため、二次転写ローラ60の使用量を例として説明した。しかし、画像形成装置100の本体の構成によって、例えば画像形成部の他の要素、例えば、中間転写ベルト40の使用に伴う状態変化が、裏汚れの発生しやすさに与える影響が大きい場合などが考えられる。このような場合には、その要素の使用による状態変化に応じて、紙間パッチの形成タイミングを制御しても良い。
【0128】
以上、本実施例では、画像形成装置100の使用状態の検知結果を用いて紙間パッチの形成タイミングを制御することで、その使用状態に応じた裏汚れの発生可能性を予測して、裏汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることができる。
【0129】
(その他)
本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0130】
上記実施例では、中間転写方式の画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0131】
図13は、本発明を適用し得る他の画像形成装置の要部の概略構成を示す。図13の画像形成装置において、図1に示す画像形成装置100のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。図13の画像形成装置は、感光ドラム50に形成したトナー像を転写ローラ54によって、記録材Pに直接転写させる。図示は省略するが、この画像形成装置は、一面目にトナー像が転写された記録材Pをその二面目にトナー像を転写するために転写部Nに搬送する両面搬送手段を有している。このような画像形成装置において、感光ドラム50上の紙間に紙間パッチを形成し、これを感光ドラム50上で濃度センサ90により検出することで、画像形成条件の制御(濃度調整など)に使用されることがある。そして、上記実施例の画像形成装置100における二次転写ローラ60による記録材Pの裏汚れと同様のメカニズムにより、転写ローラ54による記録材Pの裏汚れが発生することがある。特に、両面プリント時の二面目の画像の転写時の裏汚れが問題となることがある。従って、このような画像形成装置においても、本発明の原理を同様に適用することができる。斯かる画像形成装置では、転写ローラ54が、回転可能であり転写部Nにおいて感光ドラム50との間で記録材Pを挟持して搬送しながら感光ドラム50から記録材Pにトナーを転写させる転写回転体である。
【0132】
そして、この場合、画像形成装置が備える、像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段としてのCPUが、次のようにして紙間パッチの形成タイミングを制御するようにすることができる。即ち、紙間の紙間パッチの位置が転写部Nを通過してから転写ローラ54が所定回数回転する間に転写部Nに到達する出力画像が、記録材Pの一面目に転写する出力画像である場合には、その紙間への紙間パッチの形成を許可する。換言すれば、後続して転写部Nを通過する出力画像が記録材Pの一面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を許可する。一方、紙間の紙間パッチの位置が転写部Nを通過してから転写ローラ54が所定回数回転する間に転写部Nに到達する出力画像が、記録材Pの二面目に転写する出力画像である場合には、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止する。換言すれば、後続して転写部Nを通過する出力画像が記録材Pの二面目に転写する出力画像である画像間領域への試験画像の形成を禁止する。上述の実施例の場合と同様に、一面目の画像情報、環境、記録材Pの種類などにより、試験用画像の形成の可否を判断する条件を更に付加することも可能である。
【0133】
又、図14は、本発明を適用し得る更に他の画像形成装置の要部の概略構成を示す。図14の画像形成装置において、図1に示す画像形成装置100のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。図14の画像形成装置は、直接転写方式を採用したタンデム型の画像形成装置である。この画像形成装置は、感光ドラム50と接触して回転可能であり記録材Pを担持して搬送する記録材担持体201を有する。そして、記録材担持体201に担持された記録材Pに、転写手段としての回転可能なローラ型の転写部材である転写ローラ54によって、感光ドラム1から直接トナー像を転写する。記録材担持体201としては、無端ベルト状の記録材担持ベルトなどが用いられる。例えばフルカラーの画像形成持には、記録材担持体201上に担持された記録材P上に複数色のトナー像が順次重ね合わせるようにして転写される。図示は省略するが、この画像形成装置は、一面目にトナー像が転写された記録材Pをその二面目にトナー像を転写するために記録材担持体201に担持させる両面搬送手段を有している。このような画像形成装置においても、感光ドラム50上の紙間に紙間パッチを形成し、これを感光ドラム50上で又は記録材担持体に転写した後に濃度センサ90により検出することで、画像形成条件の制御(濃度調整、色ずれ補正)に使用されることがある。そして、上記実施例の画像形成装置100における二次転写ローラ60による記録材Pの裏汚れと同様のメカニズムにより、記録材担持体201による記録材Pの裏汚れが発生することがある。特に、両面プリント時の二面目の画像の転写時の裏汚れが問題となることがある。従って、このような画像形成装置においても、本発明の原理を同様に適用することができる。
【0134】
ここで、図14に示すような感光ドラム50から直接記録材Pにトナー像を転写する直接転写方式では、紙間に対して記録材担持体201の周長が非常に大きい場合が多い。従って、記録材担持体201の約半回転乃至一回転後に生じる記録材Pの裏汚れは、紙間の直後の記録材Pの裏汚れになるとは限らない。しかし、記録材Pの裏汚れの発生メカニズムは、上記実施例或いは図13に示す画像形成装置の場合と同様に説明ができる。従って、このような画像形成装置にも、本発明を適用して、同様の効果を得ることができる。斯かる画像形成装置では、記録材担持体201が、回転可能であり転写部Nにおいて感光ドラム50との間で記録材Pを挟持して搬送しながら感光ドラム50から記録材Pにトナーを転写させる転写回転体である。そして、この場合も、画像形成装置が備える制御手段としてのCPUが、図13の画像形成装置について上述したのと同様にして、紙間パッチの形成タイミングを制御するようにすることができる。
【0135】
直接転写方式の画像形成装置への本発明の適用例をより具体的に説明する。例えば、ブラック用のステーションSKにおいて感光ドラム50K上に紙間パッチを形成し、これを感光ドラム50K上で濃度センサ90Kにより検出する場合について考える。感光ドラム50K上に形成されたパッチは、転写ローラ54Kに画像形成時とは逆極性(トナーの正規の帯電極性と同極性)のバイアス(以下、「逆バイアス」ともいう。)が印加されることで、記録材担持体201に転写されることなく転写部NKを通過する。その後、この感光ドラム50K上のパッチは、ドラムクリーニング装置55Kにより感光ドラム50K上から除去されて回収される。しかし、感光ドラム50K上に形成されたパッチのトナーの一部が、物理的に記録材担持体201に付着して、記録材担持体201上のトナー汚れとなることがある。そして、ベルトクリーナレスシステムを採用している場合などには、このトナー汚れが、その後に記録材担持体201に担持される記録材Pの裏面に付着することがある。
【0136】
尚、ベルトクリーナレスシステムとは、記録材担持体201上のトナーを、記録材担持体201のために特別に設けられたクリーニングブレードなどによって除去、回収することなく、ドラムクリーニング装置55に回収するものである。ベルトクリーナレスシステムでは、転写ローラ54への逆バイアスの印加による電気的な作用及び/又は感光ドラム50と記録材担持体201との周速差などによる物理的な作用により、記録材担持体201から感光ドラム50へトナーが転移される。そして、感光ドラム50に転移されたトナーは、ドラムクリーニング装置55により感光ドラム50上から除去されて回収される。記録材担持体201上のトナーは、一つのステーション(例えば最上流のステーション)又は複数のステーションの感光ドラム50に転移させることができる。
【0137】
上述のように、記録材担持体201上のトナー汚れは、記録材担持体201の約半回転乃至一回転後に、記録材担持体201に担持される記録材Pの裏面に付着する。そのため、この記録材Pは、当該トナー汚れの基となった紙間パッチが形成された紙間の直後の画像が転写される記録材Pとは限らない。しかし、上述の実施例の場合と同様に、この記録材担持体201上のトナー汚れの位置に担持されて搬送される記録材Pが、一面目に画像が定着済みの記録材Pである場合には、このトナー汚れが一面目の画像に付着することによる汚れが顕著となりやすい。
【0138】
そこで、この場合、画像形成装置が備える、像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段としてのCPUが、次のようにして紙間パッチの形成タイミングを制御するようにすることができる。即ち、紙間の紙間パッチの位置が転写部NKを通過してから記録材担持体201が所定回数回転する間に、その紙間パッチの位置に接触した記録材担持体201の位置に担持される記録材Pが、二面目にトナー像が転写される記録材Pである場合には、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。この場合の上記所定回数は、典型的には、記録材担持体201上のトナー汚れによる記録材Pの裏汚れが最も顕著となる一回転であるが、これに限定されるものではない。換言すれば、制御手段としてのCPUが、次のような所定条件に合致する画像間領域への試験用画像の形成を禁止するようになっている。即ち、その所定条件とは、像担持体の当該画像間領域に接触する記録材担持体上の位置が、像担持体と接触した後で且つ1周する間に二面目にトナー像を転写するために記録材担持体に担持される記録材と接触することである。一方、紙間の紙間パッチの位置が転写部NKを通過してから記録材担持体201が所定回数回転する間に、その紙間パッチの位置に接触した記録材担持体201の位置に担持される記録材Pが、一面目にトナー像が転写される記録材Pである場合、又はその間に記録材担持体201のその位置に記録材Pが担持されない場合には、その紙間への紙間パッチの形成を許可する。上記同様、この場合の上記所定回数は、典型的には一回転であるが、これに限定されるものではない。換言すれば、制御手段としてのCPUが、次のような所定条件に合致する画像間領域への試験用画像の形成を許可するようになっている。即ち、その所定条件とは、像担持体の当該画像間領域に接触する記録材担持体上の位置が、像担持体と接触した後で且つ1周する間に一面目にトナー像を転写するために記録材担持体に担持される記録材と接触するか又は記録材に接触しないことである。上述の実施例の場合と同様に、一面目の画像情報、環境、記録材Pの種類などにより、試験用画像の形成の可否を判断する条件を更に付加することも可能である。ここで、上述の実施例の場合と同様に一面目の画像の所定位置の画像情報に基づいて試験用画像の形成の可否を判断する場合には、この所定位置は次のようにすればよい。即ち、二面目にトナー像を転写するために記録材担持体201に担持される記録材Pの一面目の画像における、試験用画像に接触した記録材担持体上の位置に接触する位置とする。
【0139】
尚、ここでは、ブラック用のステーションSKにおける紙間パッチについて説明したが、その他のステーションの感光ドラム50への紙間パッチについても、それぞれ上記ブラック用のステーションSKの場合と同様に考えればよい。
【0140】
又、上述の実施例では、紙間パッチが二次転写部を通過してから二次転写ローラが一回転した後に発生する記録材の裏汚れについて説明した。しかし、紙間パッチの濃度や画像形成装置本体の構成によっては記録材の裏汚れが、二次転写ローラの複数回転に渡って発生することもある。本発明は、紙間パッチが二次転写部を通過してから二次転写ローラが一回転した後に発生する記録材の裏汚れについてのみに適用されるものではなく、複数回転した後に発生する記録材の裏汚れについても同様に適用できる。
【0141】
又、上述の実施例では、中間転写ベルトを有し、且つ、二次転写ローラの周長が紙間よりもやや長い構成について説明したが、斯かる構成に限定されるものではない。上述のように、紙裏汚れが二次転写ローラの複数回転に渡って発生することもある。そのため、二次転写ローラの周長が紙間より短い場合でも本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0142】
40 中間転写ベルト
60 二次転写ローラ
88 メディアセンサ
89 温湿度センサ
90 濃度センサ
94 紙間パッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定のタイングで、試験的にトナーで形成されたパッチ画像(以下、単に「パッチ」ともいう。)の濃度を読み取って、画像形成条件を調整することが行われている。
【0003】
生産性を重視した画像濃度調整として、いわゆる紙間に形成されたパッチ(以下、「紙間パッチ」ともいう。)の濃度を読み取り、プリント中の濃度変動を逐次調整する方法(以下、「紙間濃度調整」という。)が知られている(特許文献1)。尚、紙間とは、複数ページからなるプリントジョブ中の一のページと次のページとの間のタイミング、即ち、連続画像形成中の一の画像と次の画像との間の期間のことをいう。又、ジョブとは、一のプリント命令による単数又は複数の記録材に対する一連の画像形成動作である。
【0004】
ここで、電子写真方式の画像形成装置として、トナー像を中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写した後に、一括して記録材に二次転写する中間転写方式の画像形成装置がある。中間転写体としては、一般に、無端状の中間転写ベルトが用いられる。又、中間転写ベルトから記録材にトナー像を転写させる二次転写手段としては、中間転写ベルトに接触して回転するローラ型の二次転写部材である二次転写ローラが広く用いられている。この中間転写方式の画像形成装置において紙間濃度調整を行う場合、中間転写ベルト上に紙間パッチが形成される。
【0005】
中間転写方式の画像形成装置における紙間濃度調整では、中間転写ベルト上へ転写された紙間パッチが、中間転写ベルトと二次転写ローラとが接触する二次転写部を通過する。そして、その際に、紙間パッチのトナーの一部が二次転写ローラの表面に転移し、二次転写ローラの表面を汚してしまうことが懸念される。二次転写ローラの表面がトナーで汚れると、それがプリント物に付着してしまい、画像品位が低下する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−109219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題に対し、そもそも二次転写ローラを汚さないようにするために、紙間で二次転写ローラを中間転写ベルトから離間させる方法がある。しかし、この方法は、中間転写ベルトに対する二次転写ローラの離間及び当接動作に時間がかかるため、生産性の観点では不利である。
【0008】
又、トナーが通過した後に交番電界を二次転写部に形成して、二次転写ローラに付着したトナーを中間転写ベルトに再転移させることで、二次転写ローラの汚染防止を図る方法がある。しかし、この方法もやはり動作を完了させるために時間を要し、生産性の観点で好ましくない。
【0009】
また、上記課題は、二次転写ローラに限らず、トナー汚れが発生する回転体に関して、いえる。
【0010】
従って、本発明の目的は、連続画像形成中の一の画像と次の画像との間に形成される試験用画像による記録材(プリント物)の汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナー像を担持可能な像担持体と、回転可能であり転写部において前記像担持体との間で記録材を挟持して搬送しながら前記像担持体から記録材にトナー像を転写させる転写回転体と、一面目にトナー像が転写された記録材をその二面目にトナー像を転写するために前記転写部に搬送する両面搬送手段と、記録材に転写して出力するトナーからなる出力画像を連続して前記像担持体に形成する連続画像形成中に、前記像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段と、前記試験用画像を検出する検出手段と、を有し、前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の一面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を許可し、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を禁止することを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
本発明の他の態様によると、トナー像を担持可能な像担持体と、前記像担持体と接触して回転可能であり記録材を担持して搬送する記録材担持体と、前記像担持体から前記記録材担持体に担持された記録材にトナー像を転写させる転写部材と、一面目にトナー像が転写された記録材をその二面目にトナー像を転写するために前記記録材担持体に担持させる両面搬送手段と、記録材に転写して出力するトナーからなる出力画像を連続して前記像担持体に形成する連続画像形成中に、前記像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段と、前記試験用画像を検出する検出手段と、を有し、前記制御手段は、所定条件に合致する前記画像間領域への前記試験用画像の形成を禁止するようになっており、前記所定条件は、前記像担持体の前記画像間領域に接触する前記記録材担持体上の位置が、前記像担持体と接触した後で且つ1周する間に二面目にトナー像を転写するために前記記録材担持体に担持される記録材と接触することであることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、連続画像形成中の一の画像と次の画像との間に形成される試験用画像による記録材(プリント物)の汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】画像形成装置のシステム構成を説明するための機能ブロック図である。
【図3】画像形成装置が備える濃度センサの模式図である。
【図4】画像形成装置における紙間濃度調整に用いる紙間パッチの配置を示す模式図である。
【図5】画像形成装置における中間転写ベルト上の紙間パッチの模式図である。
【図6】画像形成装置における紙間パッチの配置と記録材(プリント物)の汚れの発生位置を示す模式図である。
【図7】紙間濃度調整のフローチャート図である。
【図8】紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャート図である。
【図9】紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理の一例のフローチャート図である。
【図10】紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理の他の例のフローチャート図である。
【図11】他の紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャート図である。
【図12】他の紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャート図である。
【図13】画像形成装置の他の例の要部の概略構成を示す断面図である。
【図14】画像形成装置の更に他の例の要部の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。ただし、以下の実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲を以下の実施例に限定する趣旨のものではない。
【0016】
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の全体構成を示す断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を利用してフルカラー画像を形成することのできる、中間転写方式を採用したタンデム型のA3サイズ対応のレーザービームプリンターである。
【0017】
画像信号は、画像形成装置100に直接接続されるか若しくはネットワークを介して接続されたホストコンピュータから、プリンタコントローラ302(図2)を介して、画像形成手段としての画像形成部307に送信される。或いは、画像信号は、オペレーションパネル303(図2)上から、プリンタコントローラ302(図2)を介して、画像形成手段としての画像形成部307に送信される。
【0018】
画像形成部307は、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する複数のステーションSY、SM、SC、SKを有する。本実施例では、各ステーションSY、SM、SC、SKの構成及び動作は、使用する現像剤を除いて実質的に同一である。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかのステーションに係る要素であることを表す符号の添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
【0019】
ステーションSは、トナー像を担持可能な像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光体)、即ち、感光ドラム50を有する。感光ドラム50は、駆動手段としての駆動モータにより図中矢印方向(時計回り)に回転可能とされている。感光ドラム50の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が設けられている。先ず、接触型の帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ52である。次に、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ)51である。次に、現像手段としての現像装置53である。次に、一次転写手段としての回転可能なローラ型の一次転写部材である一次転写ローラ54である。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置55である。帯電ローラ52は、感光ドラム50の表面に接触して回転する。各現像装置53Y、53M、53C、53Kには、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーが収納されている。
【0020】
又、各ステーションSの感光ドラム50と対向するように、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト40が配置されている。上の説明で感光ドラム50が像担持体として機能することを説明したが、この中間転写ベルト40もトナー像を担持可能な像担持体として機能する。また、中間転写ベルト40は、支持部材としての複数のローラとして、駆動ローラ41、テンションローラ42及び従動ローラ43に張架されている。中間転写ベルト40は、駆動ローラ41が駆動手段としての駆動モータによって駆動されることにより、図中矢印方向(反時計回り)に回転可能とされている。上記一次転写ローラ54は、中間転写ベルト40の内周面側において、各ステーションSの感光ドラム50と対向する位置に配置されている。一次転写ローラ54は、中間転写ベルト40を介してして感光ドラム50に押圧され、感光ドラム50と中間転写ベルト40とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)N1を形成する。又、中間転写ベルト40の外周面側には、駆動ローラ41に対向する位置に、二次転写手段としての回転可能なローラ型の二次転写部材(転写回転体)である二次転写ローラ60が配置されている。二次転写ローラ60は、中間転写ベルト40を介して駆動ローラ41に押圧されており、二次転写ローラ60と中間転写ベルト40とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)N2を形成する。
【0021】
記録材Pに転写して出力する出力画像の形成動作時には、帯電ローラ52に帯電バイアスとしての直流電圧が印加され、感光ドラム50の表面は一様に帯電される。そして、帯電した感光ドラム50の表面は、露光装置51によって、画像信号に基づいて変調されたレーザー光で走査露光される。これにより、感光ドラム50上に、静電潜像(静電像)が形成される。この静電潜像は、現像装置53によって現像剤としてのトナーで現像される。このとき、現像装置53が備える現像剤担持体としての現像ローラには、現像バイアスとしての直流電圧が印加される。これにより、感光ドラム50の表面にトナー像が形成される。本実施例では、イメージ露光と反転現像により、トナー像が形成される。即ち、一様に帯電した後に露光装置51により露光されて電位の絶対値が低下した感光ドラム50上の画像部に、感光ドラム50の帯電極性(本実施例では負極生)と同極性に帯電したトナーが付着される。
【0022】
例えばフルカラー画像の形成時には、各感光ドラム50Y、50M、50C、50K上に形成された各色のトナー像は、各一次転写部N1において、中間転写ベルト40に順次重ね合わせて一次転写される。このとき、各一次転写ローラ54Y、54M、54C、54Kには、一次転写バイアスとしての直流電圧が印加される。本実施例ではトナーの正規の帯電極性は負極性であり、一次転写バイアスとしては正極性の直流電圧が用いられる。
【0023】
一次転写時に感光ドラム50上に残ったトナーは、ドラムクリーニング装置55により除去される。
【0024】
記録材Pは、給紙ローラ31により給紙され、フィード・リタードローラ対32、搬送ローラ対33により搬送され、駆動が停止されているレジストローラ対34に突き当たるまで搬送される。記録材Pは、レジストローラ対34により斜行が補正された後、所定のタイミングで二次転写部N2へ搬送される。そして、二次転写部N2において、中間転写ベルト40上のトナー像は記録材Pに二次転写される。このとき、二次転写ローラ60には、二次転写バイアスとしての直流電圧が印加される。本実施例では、二次転写バイアスとしては正極性の直流電圧が用いられる。又、本実施例では、二次転写ローラ60は中間転写ベルト40に従動して回転する。このように、二次転写ローラ60は、回転可能であり二次転写部N2において中間転写ベルト40との間で記録材Pを挟持して搬送しながら中間転写ベルト40から記録材Pにトナーを転写させる転写回転体である。
【0025】
尚、記録材Pへの二次転写時には、二次転写ローラ60には、画像形成装置100の使用環境及び各プリントモードに応じて所定の転写電流となる正極性の直流電圧が選択されて印加される。又、連続プリントジョブ中の紙間及びジョブ終了後には、二次転写ローラ60には、負極性の直流バイアスが印加される。これにより、中間転写ベルト40が記録材Pを介さずに直接二次転写ローラ60に当接する場合に、中間転写ベルト40上のトナーが二次転写ローラ60に転移するのを、電気的に押し戻すことで緩和している。
【0026】
二次転写時に中間転写ベルト40上に残ったトナーは、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置44により除去される。
【0027】
トナー像が二次転写された記録材Pは、二次転写ローラ60と中間転写ベルト40とにより、定着手段としての定着器61に搬送される。定着器61では、記録材Pは、定着ローラ62と加圧ローラ63とに狭持されて搬送され、その上へのトナー像の定着が行なわれる。定着器61を通過した記録材Pは、定着排紙ローラ対64、排紙ローラ対65によって搬送され、排紙トレー66上に排出されて積載される。
【0028】
ここで、プリンタコントローラ302(図2)から画像形成部307に両面プリントの命令があった場合には、一面目に画像が形成された記録材Pは、両面搬送手段によって、再度、二次転写部N2へと搬送される。即ち、記録材Pは、排紙ローラ対65で搬送方向が逆転され、図1中の右端の両面プリント用の両面搬送路70を経由して、再び、駆動が停止されているレジストローラ対34に突き当たるまで搬送される。本実施例では、排紙ローラ対65、両面搬送路70などによって両面搬送手段が構成される。画像形成装置の両面プリントにおいては、両面プリントのスループットを確保するために、一面目の画像形成を終えた記録材を両面搬送路に待機させることが一般的である。本実施例の画像形成装置100では、A4サイズの記録材Pを横送りで搬送(記録材Pの短手方向に沿って搬送)して両面プリントする場合に、両面搬送路70に記録材Pを二枚待機させることが可能である。つまり、記録材Pの一面目の画像形成を二枚続けて行った後、記録材Pの二面目の画像形成を二枚続けて行う。その後も同様に、次の記録材Pが搬送されて、一面目の画像形成を二枚続けて行った後、二面目の画像形成を二枚続けて行う。このように両面搬送路70に記録材Pを二枚待機させる構成であれば、紙間を片面プリントの場合と同一にでき、結果として片面プリントと同一のスループットを達成することができる。
【0029】
又、画像形成装置100には、様々な使用環境下でも安定したプリントを可能とするために、各種センサが設置されている。代表的なものとして、メディアセンサ88、温湿度センサ89、濃度兼色ずれセンサ(以下、単に「濃度センサ」という。)90がある。
【0030】
メディアセンサ88は、記録材Pの種類及び/又は表面性を検出するものであってよい。本実施例では、メディアセンサ88は、レジストローラ対34よりも記録材Pの搬送方向の上流に配置され、レジストローラ対34で一旦静止した記録材Pの明度情報や表面粗さ情報を検出する。そして、メディアセンサ88は、記録材Pの平滑度合いを求め、その結果を画像形成装置制御部(以下、「CPU」という。)306(図2)へ返す。これにより、CPU306は記録材Pの種類を判別し、最適なプリントモードを選択する。
【0031】
又、温湿度センサ89は、画像形成装置100の内部及び/又は外部の温度及び/又は湿度を検出するものであってよい。本実施例では、温湿度センサ89は、画像形成装置100の装置本体の前面に向かって左側(図1中の左側)の外装のすぐ内側に配置され、画像形成装置100内や画像形成装置100の周囲の雰囲気温度及び湿度を検出する。一般に、電子写真方式の画像形成装置は、温度及び湿度によって成果物の品位が変化するため、これらの情報に基づいて、帯電バイアスや転写バイアスなどの画像形成条件(プロセス条件)を、適宜、最適な値に変更している。又、濃度センサ90は、各色間の色ずれ及び画像濃度を計測するための光学センサである。濃度センサ90は、中間転写ベルト40の搬送方向(移動方向)と直交する方向(スラスト方向)の2か所に配置されている。本実施例の画像形成装置100は、記録材Pに画像を形成して出力する通常のプリント動作とは別に、画像濃度を調整する濃度調整動作を行う。例えば、画像形成部307の部品の交換や所定枚数(本実施例では1000枚)のプリント毎などの所定のタイミングで、濃度調整動作が行われる。濃度調整動作では、中間転写ベルト40上に形成した複数階調の試験用画像であるパッチを濃度センサ90で読み取り、濃度階調特性の調整を行って、入力信号に対して所望の濃度の出力ができるようにする。
【0032】
本実施例では、CPU306が、中間転写体上の連続する出力画像の間の画像間領域(紙間領域)にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段を構成する。
【0033】
2.画像形成装置の機能ブロック
図2は、画像形成装置100のシステム構成を説明するための機能ブロック図である。プリンタコントローラ302は、ホストコンピュータ301又はオペレーションパネル303と相互に通信が可能となっていると共に、エンジン制御部304と相互に通信が可能となっている。プリンタコントローラ302は、ホストコンピュータ301又はオペレーションパネル303から通常のプリントの画像情報とプリント命令を受け取る。そして、プリンタコントローラ302は、受け取った画像情報を解析してビットデータに変換し、ビデオインターフェイス部305を介して、記録材P毎にプリント予約コマンド、プリント開始コマンド、及びビデオ信号を、エンジン制御部304に送出する。そして、プリンタコントローラ302は、エンジン制御部304へ、ホストコンピュータ301からのプリント命令に従ってプリント予約コマンドを送信し、プリント可能な状態となったタイミングで、エンジン制御部304へプリント開始コマンドを送信する。エンジン制御部304は、プリンタコントローラ302からのプリント開始コマンドを受信後、プリント動作を開始する。
【0034】
具体的には、CPU306が、プリンタコントローラ302からビデオインターフェイス部305を介して受信した情報に基づき、画像形成部307を制御し、指定されたプリント動作を完了させる。又、CPU306は、前述の各種センサの制御、該各種センサを用いた動作の制御を行う役割も担っている。例えば、CPU306は、濃度センサ90を制御する色ずれ・濃度制御部308を制御し、濃度センサ90で検出するための紙間パッチを形成する手段としての役割も果たしている。又、CPU306は、上記のプリント動作時又は濃度調整時に、RAM309又はROM310を参照し、又その情報を更新する。RAM309には、例えば、濃度センサ90の検出結果が格納され、ROM310には、プリントモード毎の画像形成部307の設定値が格納されている。
【0035】
3.紙間パッチ濃度検出手段としての濃度センサの構成
次に、本実施例において連続プリントジョブ中の紙間濃度調整で紙間パッチの濃度を検出する検出手段としての濃度センサ90の構成について説明する。図3は、濃度センサ90の構成を説明するための模式図である。
【0036】
図3に示すように、濃度センサ90は、中間転写ベルト40及び紙間パッチ94に正対する位置に配置されている。濃度センサ90は、発光素子91と、第1、第2の受光素子92a、92bとを有する。本実施例では、発光素子91としての照射用LEDには、赤外光を照射するローム株式会社製 SIR−34ST3Fを使用した。又、本実施例では、第1、第2の受光素子92a、92bとしてのフォトトランジスタには、いずれも赤外光に受光感度を有するローム株式会社製 RPT−37PB3Fを使用した。発光素子91は、中間転写ベルト40の表面に、中間転写ベルト40の鉛直方向から45°の角度で赤外光を照射する。そして、第1、第2の受光素子92a、92bは、上記照射角度に対して、中間転写ベルト40の鉛直方向からそれぞれ0°、−45°の角度に配置されている。第1、第2の受光素子92a、92bは、それぞれ中間転写ベルト40の表面又は中間転写ベルト40上の紙間パッチ94からの乱反射光、正反射光を受光する。このように、乱反射光強度と正反射光強度の両方を検出することにより、高濃度から低濃度までのパッチの濃度を検出することができる。
【0037】
4.紙間パッチの配置
図4は、本実施例における紙間濃度調整に用いる紙間パッチの配置を説明するための模式図である。図1の画像形成装置を上方から見た場合の中間転写ベルト40上における紙間パッチの形成様子を模式的に示したものである。
【0038】
図4に示すように、中間転写ベルト40上に形成された連続プリントジョブ中のN−1個目画像とN個目画像との間の紙間領域(画像間領域)PGに、4個(1色につき1個ずつ)の紙間パッチが形成される。同図に示すように、本実施例では、紙間パッチとして、中間転写ベルト40の搬送方向と直交する方向(スラスト方向)における2か所に2個ずつの紙間パッチが形成される。より詳細には、スラスト方向の一方の端部側にイエローのパッチ(GP−Y)とマゼンタのパッチ(GP−M)が、又他方の端部側にシアンのパッチ(GP−C)とブラックのパッチ(GP−K)が、それぞれ中間転写ベルト40の搬送方向に整列して形成される。
【0039】
各色のパッチは、濃度センサ90の検出スポットがパッチの中央部と重なるように配置されている。又、中間転写ベルト40の搬送方向においては、各色のパッチは、前後の画像間の領域である紙間領域(画像間領域)の長さPGにおいて、次のように配置されている。即ち、N−1個目画像と前方側のパッチ(GP−Y、GP−C)との間隔A、前方側のパッチと後方側のパッチ(GP−M、GP−K)との間隔B、後方側のパッチとN個目画像の先端との間隔Cが、均等となるように配置されている。又、スラスト方向においては、4個の紙間パッチはいずれも、画像形成装置100において使用可能な最大の記録材Pの幅PWの内側に配置されている。これは、本実施例の濃度センサ90が、色ずれ補正用のセンサを兼ねているため、使用可能な最大の記録材の幅PWに対しても色ずれの性能を確保するための配置上の制約があるからである。
【0040】
5.紙間パッチの検出
図5は、本実施例における中間転写ベルト40上の紙間パッチを示す模式図である。Y方向位置と示した方向が、中間転写ベルト40の搬送方向と一致している。斜線部は、濃度センサ90で紙間パッチの濃度を精度よく検出するために必要な被濃度検出領域である。本実施例では、この被濃度検出領域は、中間転写ベルト40の搬送方向の寸法×スラスト方向の寸法が、10mm×10mmである。又、紙間パッチの実際にトナーが載っているパッチトナー領域は、次の点を考慮して、被濃度検出領域よりも十分に大きく設定されている。即ち、濃度センサ90の取り付け精度、中間転写ベルト40のスラスト方向の寄り、中間転写ベルト40の搬送方向における画像形成位置のずれなどである。本実施例では、このパッチトナー領域は、中間転写ベルト40の搬送方向の寸法×スラスト方向の寸法が、12mm×15mmに設定されている。濃度センサ90は、斜線部の被濃度検出領域で複数回にわたりパッチの濃度を検出して検出出力を得て、その検出出力を平均化する。これにより、パッチ内の濃度ムラ及び濃度センサ90自体のランダムノイズをキャンセルし、検出精度を向上することができる。CPU306は、上述のようにして求めた中間転写ベルト40の表面からの正味の正反射光量と、パッチからの正味の正反射光量との比から、パッチの濃度を算出する。
【0041】
6.記録材(プリント物)の汚れ
本実施例では、紙間領域の長さPGは55mmである。一方、本実施例では、二次転写ローラ60の周長は75.4mmである。即ち、本実施例では、紙間領域の長さPGは、二次転写ローラ60の周長よりも短い。そのため、紙間パッチから二次転写ローラ60に付着したトナーが、後続の画像を転写するための記録材Pの裏に再転移し、記録材(プリント物)の汚れ(ここでは、「裏汚れ」ともいう。)となってしまうことがある。
【0042】
本実施例の画像形成装置100では、紙間領域が二次転写部N2を通過する際には二次転写ローラ60に−50Vの負極性(トナーの正規の帯電極性と同極性)の直流電圧を印加する。これにより、中間転写ベルト40が記録材Pを介さずに直接二次転写ローラ60に当接する場合に、中間転写ベルト40上のトナーが二次転写ローラ60に転移することを、電気的に押し戻すことで緩和することができる。しかし、本実施例では、発明が解決しようとする課題の欄で前述したような、交番電界を二次転写部に形成したり、二次転写ローラを離間・当接させたりすることは、生産性の観点からは不利であるため、採用していない。そのため、本実施例では、物理的に二次転写ローラ60に転移するトナーを完全に排除することができない。
【0043】
そこで、本実施例では、紙間パッチを、後述するような、裏汚れが目立たない条件でのみ形成するようにする。そして、本実施例では、プリントジョブ終了後の整理動作(準備動作)である後回転時において、二次転写ローラ60に付着したトナーを中間転写ベルト40に再転移させて除去する清掃工程を設ける方法を採用する。
【0044】
具体的には、後回転時の清掃工程では、負極性と正極性の直流電圧を二次転写ローラ60の1周分ずつ交互に、且つ、絶対値を小さくしながら各3周ずつ、合計6周印加する。例えば、常温常湿環境下では、−3200V、+1200V、―2100V、+800V、−330V、+300Vの順で、直流電圧を印加する。これにより、極性が反転したトナーが存在する場合でも、トナーの帯電特性によらず、二次転写ローラ60から中間転写ベルト40にトナーを再転移さることができる。尚、中間転写ベルト40に再転移されたトナーは、ベルトクリーニング装置44によって除去される。
【0045】
7.紙間濃度調整
7−1.概要
次に、本実施例における紙間濃度調整について説明する。本実施例では、概略、複数ページからなる連続プリントジョブ中に、紙間領域に形成された紙間パッチの濃度を濃度センサ90で検出し、紙間濃度調整手段としてのCPU306がその検出結果により濃度調整を実行する。
【0046】
具体的には、図7のフローチャートを用いて説明する。プリンタコントローラ302からの信号によりプリントジョブが開始された直後、CPU306は、ステップ1においてプリントジョブの残プリント枚数が4枚以上か否かを判断する。ここで、残プリント枚数とは、中間転写ベルト40上に形成すべき画像の個数である。これは、本実施例の画像形成装置100では、部品配置構成上の制約から、残プリント枚数が一定枚数以上の時のみ、紙間濃度調整を実行するように設定されているからである。具体的には、本実施例では、A4サイズの記録材Pを横送りするプリントジョブの場合、4枚以上の連続プリントジョブにおいて紙間濃度調整を実行する。即ち、連続プリントジョブにおける中間転写ベルト40上の1個目の画像と2個目の画像と間の紙間に形成された紙間パッチの濃度を濃度センサ90で検出した時点では、最上流のイエロー用の感光ドラム54Yには、3個目の画像がすでに現像され始めている。そのため、濃度調整情報を反映できるのは4個目の画像以後となるからである。ただし、本実施例では、このような場合に、2個目、3個目の画像については、温湿度センサ89の検出結果、及びRAM309に記憶された各感光ドラム50の寿命記録情報に基づいて、色ずれ・濃度制御部308が濃度変動を予測する。これにより、画像形成装置100の安定化を図っている。なお、この4枚の数値は、最上流のイエロー用のステーションSYの一次転写部N1Yから濃検センサ90による検知部までの距離や各高圧の切り替え時間などの、画像形成装置100の構成やプリントする記録材Pの大きさに依存する値である。従って、この数値に限定されるものではない。
【0047】
CPU306は、ステップ1において残プリント枚数が4枚以上である場合は、ステップ3において後述する紙間パッチ形成可否判断処理を実行する。その後、CPU306は、ステップ4においてRAM309に格納された紙間パッチ形成フラグを確認する。CPU306は、ステップ4において紙間パッチ形成フラグが「1」である場合は、紙間パッチを形成するステップ5以降の処理に移る。ステップ5以降の処理については後述する。
【0048】
7−2.紙間パッチの形成タイミング
ここで、紙間パッチによる記録材Pの裏汚れが顕在化するのを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図るための、紙間パッチの形成条件について説明する。
【0049】
本実施例の画像形成装置100では、調整のリアルタイム性を重視し、各色単一階調のパッチの濃度の検出結果に基づいて画像形成条件の調整を行う。本実施例では、全ての紙間で紙間パッチを形成して濃度検出を行い、画像形成条件を調整することを基本としている。
【0050】
紙間パッチによる記録材Pの裏汚れが顕在化しやすいのは、両面プリントの際の記録材Pの一面目の画像上に二次転写ローラ60上のトナーが付着する条件のときである。つまり、記録材Pの二面目に転写する画像を形成する直前の紙間にパッチが形成されたときである。この条件のときに記録材Pの裏汚れが顕在化しやすい理由は、次のように考えられる。第一に、粉体のトナーが静電気力のみにより紙などの記録材P上に付着する場合と比較して、次の(1)、(2)の理由により、一面目の画像のトナー上に付着するトナーの量が多くなることが挙げられる。
(1)トナー同士の分子間力
(2)定着器を通過した一面目の画像上にトナーと親和性の高いワックスが存在し、トナーが吸着されやすい
【0051】
更に、記録材Pの一面目に形成されたトナーの色によっては、明度の差が人間の目に視認されやすい。つまり、記録材Pの一面目にイエローのベタ画像を形成した後、その記録材Pの二面目の画像を形成する直前の紙間にブラックの紙間パッチを形成するような条件において、トナーの付着量及び視認されやすさの点で、最も記録材Pの裏汚れが顕在化しやすい。本実施例では、裏汚れの抑制にとって最も厳しい条件である、一面目にイエロー画像を形成した後に、二面目の画像の直前の紙間にブラックの紙間パッチを形成する条件において検討した。当該条件で裏汚れの抑制に効果があれば、より裏汚れの目立ちにくい条件においても同等以上の効果が得られる。
【0052】
紙間パッチの形成の可否を判断する最も簡易な方法として、次の方法を用いることができる。即ち、ある紙間の紙間パッチの位置が二次転写部N2を通過してから二次転写ローラ60が所定回数回転(零よりも大きい数の回転)する間に二次転写部N2に到達する出力画像が、記録材Pの一面目に転写する出力画像である場合には、その紙間への紙間パッチの形成を許可する。換言すれば、後続して二次転写部N2を通過する出力画像が記録材Pの一面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を許可する。一方、ある紙間の紙間パッチの位置が二次転写部N2を通過してから二次転写ローラ60が所定回数回転する間に二次転写部N2に到達する出力画像が、記録材Pの二面目に転写する出力画像である場合には、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。換言すれば、後続して二次転写部N2を通過する出力画像が記録材Pの二面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を禁止する。本実施例では、上記所定回数は、紙間パッチから二次転写ローラ60に付着したトナーによる記録材Pの裏汚れが最も顕著となる二次転写ローラ60の一回転とする。但し、二次転写ローラ60の複数回転に渡って、紙間パッチから二次転写ローラ60に付着したトナーによる記録材Pの裏汚れが、許容し得る程度を越えて発生する場合がある。従って、上記所定回数は、記録材Pの裏汚れを十分に抑制し得るように、適宜設定することができる。そして、上述のように、本実施例では紙間の長さが二次転写ローラ60の周長よりも短く、ある紙間の紙間パッチの位置が二次転写部N2を通過してから二次転写ローラ60が一回転する間に二次転写部N2に到達する記録材Pは、その紙間の直後の画像となる。このように、紙間パッチの形成の可否を判断する最も簡易な方法として、本実施例では、ある紙間の直後の画像が記録材Pの二面目に転写する画像である場合には、その紙間における紙間パッチの形成を禁止することができる。
【0053】
本実施例の画像形成装置100では、記録材Pの一面目の画像形成であるか、二面目の画像形成であるかの区別は、CPU306が、記録材Pが両面搬送路70から給紙されたか否かによって判断することができる。そして、二面目の画像形成の直前の紙間では、画像領域をマスクして、紙間パッチの形成を禁止する。この方法によれば、ある記録材Pの一面目に形成した画像がどのようなものであるかに拘わらず、その記録材Pの二面目に形成する画像の直前の紙間では常に紙間パッチの形成を禁止することができる。そのため、記録材Pの一面目に形成した画像情報を保存しておく必要が無く、簡易な制御にすることができる。
【0054】
図8は、図7のフローチャート中のステップ3で実行されるサブルーチンである紙間パッチ形成可否判断処理の一例のフローチャートである。本例では、上述のように紙間の直後の画像が二面目の画像の場合に、常にその紙間への紙間パッチの形成を禁止する。
【0055】
先ず、ステップ3−1において、CPU306は、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「1」にセットする。次に、ステップ3−2において、CPU306は、紙間パッチを形成した直後に形成する画像が記録材Pの一面目に形成する画像であるか、二面目に形成する画像であるかを判断する。これは、紙間パッチの形成候補となっている画像間領域に後続して転写部を通過する出力画像が、記録材Pの一面目の画像か否かの判断に相当する。そして、本実施例では、この判断は、その画像が転写される記録材Pが両面搬送路70を通過して搬送されたか否かによって行う。ステップ3−2において、紙間パッチを形成した直後に形成する画像が記録材Pの一面目に形成する画像の場合は、CPU306は、紙間パッチの形成を行うために、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。一方、ステップ3−2において紙間パッチを形成した直後に形成する画像が記録材Pの二面目に形成する画像の場合には、ステップ3−3において、CPU306は、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。
【0056】
一方、例えば、連続プリントジョブ中の色変動が急激である条件、又は必要な階調数が多い条件では、紙間パッチの形成頻度を高くすることが望まれる。このように、可能な限り記録材Pの二面目の画像形成の直前の紙間にも紙間パッチの形成を行いたい場合がある。この場合には、次の方法を用いることが好ましい。即ち、紙間パッチ通過後に二次転写ローラ60が所定回数回転する間に二次転写部N2に到達する出力画像が二面目の出力画像であり、更にその記録材Pの一面目に転写された出力画像が所定の条件を満たす場合に、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。換言すれば、紙間パッチ通過後に二次転写ローラ60が所定回数回転する間に二次転写部N2に到達する出力画像が二面目の出力画像である場合でも、その記録材Pの一面目に転写された出力画像が一定の条件を満たせば、その紙間への紙間パッチの形成を許可する。この場合、上記一面目に転写された出力画像の全体について、上記所定の条件を満たすか否かを判断してもよい。しかし、より精度よく記録材Pの裏汚れの発生する可能性を予測し、可及的に紙間パッチを形成する頻度を高めるためには、次の方法を用いることが好ましい。即ち、二面目の画像を形成する記録材Pの一面目に形成された画像のうち、裏汚れが顕在化しやすい領域(以下、単に「所定位置」という。)の画像が所定の条件を満たす場合に、その記録材Pの二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止する。この裏汚れが顕在化しやすい所定位置(裏汚れ潜在領域)は、二面目に画像を形成する記録材Pの一面目に形成された画像のうち、紙間パッチが接触した二次転写部N2の位置が接触する位置である。このように、上記一面目に転写された出力画像のうち、紙間の紙間パッチの位置が接触する二次転写ローラ60の位置が接触する位置である所定位置の画像が、上記所定の条件を満たすか否かにより紙間パッチの形成の可否を判断することが好ましい。
【0057】
二面目の画像を形成する記録材Pの一面目に形成された画像が所定条件を満たすか否かは、CPU306が、その一面目の画像の画像情報に基づいて判断することができる。特に、前述のように、裏汚れは一面目のトナーの存在により促進されることから、上記所定条件として、画像のトナー載り量と相関する値を設定することが好ましい。例えば、一面目の出力画像の画像濃度、印字率或いは画像パターンに対応するトナー載り量が、所定の閾値以上の場合に、紙間パッチの形成を禁止することができる。又、上述のように一面目の画像の色(明度)によって裏汚れの視認されやすさが変わることから、上記所定条件として上記トナー載り量の代わりに又はそれに加えて、画像の色を設定することができる。例えば、一面目の出力画像の色が、イエローなどの指定された色の場合に、紙間パッチの形成を禁止することができる。本実施例では、特に、一面目の画像における所定位置の画像濃度に基づいて、紙間パッチの形成の可否を判断するが、上述のように一面目の画像における所定位置の画像の印字率、画像パターン或いは色などを判断基準としても良い。そして、これらの条件は、上述のように、一面目の画像における所定位置について判断することが好ましいが、一面目の画像の全体について平均値などに基づいて判断してもよい。
【0058】
以下に、可及的に紙間パッチの形成頻度を高くすることを可能とする紙間パッチ形成可否判断処理の一例を説明する。ここでは、紙間パッチが二次転写部N2を通過してから二次転写ローラ60が一周した後に、二次転写ローラ60の紙間パッチに該当する位置が接触する位置の一面目の画像のトナー載り量に基づいて、紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0059】
図9は、図7のフローチャート中のステップ3で実行される別のサブルーチンである紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャートである。本例では、上述のように、記録材Pの裏汚れが発生しやすい所定位置における一面目の画像情報に基づいて、各紙間における紙間パッチの形成の可否を判断する。図8の差異のみを以下説明する。
【0060】
図9に示す処理は、二面目の画像を形成する記録材Pの一面目に形成された画像の所定位置の画像濃度が所定値以上であるか否かを判断するステップ3−4を有する点が図8に示す処理と異なる。つまり、本例では、ステップ3−2において、紙間パッチを形成した直後に形成する画像が記録材Pの二面目に形成する画像の場合には、次のような処理となる。即ち、ステップ3−4において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像濃度に応じて、紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0061】
ここで、CPU306は、上記所定位置の画像濃度を、プリンタコントローラ302が受け取った画像情報を基に変換したビットデータと、後述する調整後の濃度階調特性から求める。この画像情報から求まる画像濃度は、実際の記録材P上に形成される画像のトナー載り量と相関する。
【0062】
そして、本実施例では、ステップ3−4において画像濃度が反射濃度(O.D.)0.5相当以上の場合には、CPU306は、ステップ3−3において、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。又、ステップ3−4において画像濃度が反射濃度0.5相当未満の場合には、CPU306は、紙間パッチの形成を行うために、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとし、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。本実施例の画像形成装置では、反射濃度0.5相当の画像濃度は印字率(ベタ画像の濃度レベルを100%とした場合の濃度レベルの比率)50%であった。
【0063】
ここで、各実施例における反射濃度は、反射面に入射する光量をI0、反射面から反射される光量をIとしたとき、下記式で表されるDrの値である。
Dr=Log10(I0/I)
通常、反射面の法線に対して45°の方向から光を当て反射面の垂直方向に反射される光を測定することで求められる。各実施例において、具体的には、反射濃度測定器としてX−Rite製RD−918を用いて測定した値である。特に、各実施例においてパッチ、一面目についての画像の反射濃度は、紙に転写して、定着する前に上記反射濃度測定器で測定した値である。以下の説明においては、CPU306が反射濃度を判定するよう説明を行っていくが、上記反射濃度Drと反射光量Iとの間には一定の関係があり、反射光量Iを直接判断するようしても良い。
【0064】
次に、上述の所定位置の具体的な位置について説明する。
【0065】
図6に示すように、二次転写ローラ60の周長をTCL、N−1個目の画像の後端から前方側のパッチ(GP−Y、GP−C)の前方側エッジまでの距離をAとする。又、前方側のパッチ(GP−Y、GP−C)と後方側のパッチ(GP−M、GP−K)との間隔をB、各パッチの搬送方向の長さをPL、紙間の搬送方向の長さをPGとする。
【0066】
このとき、記録材Pに形成する画像であるN個目の画像の先端から「TCL+A−PG」の位置から、「TCL+A−PG+PL」の位置にかけて、前方側のパッチ(GP−Y、GP−C)の汚れが発生しやすい。又、「TCL+A−PG+PL+B」の位置から、「TCL+A−PG+2PL+B」の位置にかけて、後方側のパッチ(GP−M、GP−K)の汚れが発生しやすい。CPU306は、この汚れの発生しやすい箇所に対応した画像データの画像濃度(画像データの階調値)を解析する。
【0067】
上記の位置に、記録材Pの搬送方向の位置ばらつきを考慮したマージンを加えた領域が、所定位置である。従って、本実施例では、この所定位置における一面目の画像の画像濃度が所定の閾値以上場合には、その記録材Pの二面目の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止する。
【0068】
表1は、一面目の画像の所定位置における画像濃度による、裏汚れの顕在化のしやすさを検証した実験結果を示す。
【0069】
【表1】
【0070】
表1は、紙間パッチがブラック単色、一面目の画像がイエロー単色の場合についての実験結果である。又、中間転写ベルト40上における紙間パッチの反射濃度(O.D.)を0.3とした。そして、紙間パッチが二次転写部N2を通過した後の二次転写ローラ60の1周後における裏汚れレベルを比較した。
【0071】
ここで、紙間パッチの反射濃度の値は、パッチを紙上に通常のプリント動作と同じ条件で転写して紙上でパッチの中央部の濃度を測定した値であり、直後に形成する画像上の裏汚れ箇所での濃度ではない。連続プリント中に紙間濃度調整を行うために濃度の変動を検出するためには、濃度変動の起こりやすい、反射濃度が0.2〜0.6の紙間パッチを形成することが好ましい。ただし、本実施例の画像形成装置100では、紙間パッチの反射濃度が0.3を超えると、二次転写ローラ60上へのトナーの付着量が増加し始め、条件に依らず裏汚れのレベルが許容範囲外となることがわかった。そのため、本実施例では、紙間パッチの反射濃度は0.3とした。
【0072】
記録材Pとしてはキヤノン製 コピー/レーザービームプリンター用紙 CS814 A4サイズを用いた。又、反射濃度測定器としてX−Rite製RD−918を用いた。又、表1に示す画像ランクの評価は、所定位置を目視にて観察して行った。そして、レベル2を裏汚れレベルの許容限界として設定し、全く裏汚れが確認できないレベルをゼロとした。又、表1には、一面目の画像の濃度としては、紙上に転写して紙上で所定位置の中央部の濃度を測定した値と、その画像情報から求めた印字率とを示す。
【0073】
表1の結果から、紙間パッチの濃度が同じであれば、一面目に形成された画像のトナー濃度が高いほど裏汚れのレベルが悪化することがわかる。又、一面目に形成された画像がイエローの場合には、反射濃度が0.5以上のハーフトーンの画像が形成されていると、許容範囲外の裏汚れレベルとなることがわかる。
【0074】
このように、紙間パッチを形成するタイミングを制御することにより、裏汚れを顕在化させずに、生産性、濃度安定性に優れた両面プリントを行うことが可能となる。本実施例の画像形成装置100においては、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止しても濃度安定性への影響は無視できる程度である。しかし、更に高い頻度、例えば、ほぼ全ての紙間で紙間パッチの形成を行う必要がある場合には、一面目に形成された画像の画像情報に基づき、紙間パッチの形成の可否を判断することで、紙間パッチの形成頻度を上げることができる。例えば、上述のように一面目の画像の所定位置に反射濃度が0.5以上のハーフトーンの画像が形成されている場合には、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止することができる。
【0075】
7−3.紙間パッチの検出結果による制御
再度、図7を参照して、ステップ5において、CPU306の制御により、画像形成部307は、中間転写ベルト40上に所定濃度の紙間パッチを形成する。ここで紙間パッチの画像形成条件は、通常の中間転写ベルト40上への画像形成条件と同一とした。ステップ6において、CPU306は、前述のようにして濃度センサ90によって各色のパッチを検出した結果からパッチ濃度を算出する。
【0076】
そして、ステップ7において、CPU306は、紙間パッチの濃度の算出値と理想濃度との差分を計算する。本発明において、この理想濃度の決め方には特に制限はない。例えば、所定濃度を理想値としてROM310に記録しておいても良いし、ジョブ毎にジョブ開始直後の紙間パッチ濃度算出結果を理想値としてRAM309に記録しても良い。本実施例では、ジョブ内の画像濃度の安定性向上を目的として、ジョブ開始直後のパッチ測定結果を理想値とする。ステップ8において、CPU306は、ステップ7で算出した差分に応じた、4個目の画像以後に補正すべき画像形成条件の補正量が決定される。本実施例では、パッチの濃度の差分に比例した画像形成条件の補正を行うが、本発明において濃度補正方法自体は特に制限はない。例えば、中間転写ベルト40に対するパッチからの正反射光量比などを基に算出しても良い。
【0077】
尚、本実施例の画像形成装置100では、ステップ7で計算された理想濃度との差分の全部について、一度に補正しようとする、所謂、比例制御ではなく、突発的な変動の影響を受け難く、目標に漸近する比例・積分制御を用いて、画像形成条件の補正量を決定した。具体的な画像形成条件としては、各色についてRAM309に記憶されている、画像データに対するレーザー/スキャナ発光量テーブルの補正を行った。ただし、帯電バイアスや現像バイアスやその他の画像形成条件を補正してもよい。
【0078】
そして、最終的に、ステップ9において、CPU306は、ステップ8で決定された画像形成条件に従って画像形成部307を制御して、画像形成を実行する。
【0079】
ステップ9の後は、ステップ1に戻り、残プリント枚数が4枚以上か否かの判断が再びなされ、4枚未満となるまで同様の動作が繰り返される。
【0080】
ステップ1において残プリント枚数が4枚未満となった場合は、ステップ2において、CPU306は、プリントジョブ中であるか否かを判断する。そして、ステップ2において、プリントジョブ中の場合はステップ1へ戻り、プリントジョブ中でない場合は終了となる。
【0081】
以上説明したように、本実施例によれば、連続画像形成中の一の画像と次の画像との間に形成される試験用画像による記録材の汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることができる。
【0082】
尚、好ましくは記録材Pの一面目に形成された画像の画像情報に基づいて、二面目に形成する画像の直前の紙間における紙間パッチの形成の可否を判断する。しかし、上述のように、紙間パッチの後続の画像が二面目に形成する画像であるか否かのみにより、紙間パッチの形成の可否を判断しても良い。
【0083】
又、本実施例では、連続プリントジョブ中の紙間領域において紙間濃度調整を行うこととした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、プリントジョブの出力枚数に拘わらずに本実施例と同様にして紙間パッチを形成し、プリントジョブ間の時間が短ければ、直前に行ったプリントジョブ中の紙間パッチの検出結果を用いて濃度調整を行ってもよい。
【0084】
又、本実施例では、一面目の画像がイエロー、紙間パッチがブラックの場合について説明した。しかし、一面目の画像の色と紙間パッチの色との組み合わせによって紙裏汚れの顕在化のしやすさにバラつきはあるものの、本発明の効果は上述の色の組み合わせに限定されるものではない。例えば、一面目の画像の色とトナー載り量とに基づいて紙間パッチの形成の可否を判断することができ、この場合に一面目の画像の色に応じてトナー載り量の閾値を変化させることができる。例えば、一面目の画像が裏汚れの目立ちやすいイエローの画像である場合にはトナー載り量の閾値を相対的に小さくし、その他の色の場合にはトナー載り量の閾値を相対的に大きくすることができる。
【0085】
又、本実施例では図4に示したとおり、1個の紙間に各色1個ずつのパッチを配置して、各色固定階調パッチとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。画像形成装置の濃度変動の傾向が比較的早く、調整のリアルタイム性が必要な場合は、本実施例のように、固定階調のパッチで調整頻度を上げることが望ましい。一方、画像形成装置の濃度変動の傾向が緩やかで、濃度−階調特性全体の安定性をさらに向上させたい場合には、異なる紙間領域に、異なる階調パッチを形成し、複数階調で調整すると良い。又、短期的な濃度変動が周期的に発生しつつ、長期的な濃度変動も発生する場合には、複数の紙間領域における、同一階調パッチの検出結果の平均値を1つの濃度検出結果として扱い、短期的な周期成分を無視できる状態としてから調整すると良い。
【0086】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0087】
本実施例では、紙間パッチ通過後に二次転写ローラ60が所定回数回転する間に二次転写部N2に到達する出力画像が二面目の出力画像であり、更に画像形成装置内に配置された温度又は湿度を検出するセンサの出力が所定の条件を満たす場合に、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。本実施例では、特に、画像形成装置100に設置した環境検知手段としての温湿度検知手段である温湿度センサ89(図2)によって検知された重量絶対湿度の情報に基づき、記録材Pの二面目の画像の直前の紙間における紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0088】
本実施例では、画像形成装置100のハードウェア構成は実施例1と同じであり、紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理(図7のステップ3)が実施例1と異なる。
【0089】
図10は、図7のフローチャート中のステップ3で実行される別のサブルーチンである、本実施例に従う紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャートである。
【0090】
先ず、実施例1と同様のステップ3−1、ステップ3−2が実施される。その後、ステップ3−2において紙間パッチの直後の画像が記録材Pの二面目の画像の場合には、ステップ3−5において、CPU306は、温湿度センサ89が算出する画像形成装置100内外の雰囲気における重量絶対湿度を確認する。そして、その重量絶対湿度が16.0g/kgDA以上の場合には、ステップ3−6において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像情報を確認する。そして、その画像濃度が反射濃度0.3相当以上の場合には、CPU306は、ステップ3−7において、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。又、ステップ3−6において、画像濃度が反射濃度0.3相当未満の場合には、CPU306は、紙間パッチの形成を行うために、紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとし、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。本実施例の画像形成装置では、反射濃度0.3相当の画像濃度は印字率25%であった。
【0091】
一方、ステップ3−5において重量絶対湿度が16.0g/kgDA未満の場合には、ステップ3−8において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像情報を確認する。そして、ここでは高温高湿環境と比較して紙裏汚れが比較的発生しにくいため、画像濃度の閾値を反射濃度0.5相当として上記同様の処理を行う。つまり、その画像濃度が反射濃度0.5相当未満であればRAM309内の紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとする。一方、反射濃度0.5相当以上であればステップ3−9にてRAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットして二面目の画像の直前の紙間パッチの形成を禁止する。
【0092】
表2は、実施例1の表1の場合と同様に、紙間パッチがブラック単色、一面目の画像がイエロー単色、紙間パッチの反射濃度(O.D.)が0.3の場合の、湿度による裏汚れの顕在化のしやすさを検証した実験結果を示す。湿度は、低温低湿環境(重量絶対湿度1.1g/kgDA)、通常環境(重量絶対湿度8.9g/kgDA)、高温高湿環境(重量絶対湿度21.1g/kgDA)とした。記録材P、測定器、評価方法は実施例1の表1の場合と同様である。
【0093】
【表2】
【0094】
表2から、高温高湿環境においては記録材Pの裏汚れが顕在化しやすいことがわかる。その理由は、次のようなトナーの状態の差であると考えられる。即ち、高温高湿環境においては吸湿によって、マクロな質量当たりの電荷量(以下Q/M)が低下し、且つ、ほとんど電荷を有しないか又は逆極性に帯電されたトナー粒子が、他の環境と比較して多く含まれる。これによって、紙間パッチが二次転写部N2を通過した際に二次転写ローラ60に負極性の直流電圧を印加しても、二次転写ローラ60に付着するトナー量を抑制しきれない。その結果、他の環境と比較して、高温高湿環境では、二次転写ローラ60に付着したトナー量が多く、記録材Pの裏汚れとして顕在化しやすい。
【0095】
本実施例では、表2中の画像ランクが3以下となる条件において、二面目の画像を形成する直前の紙間における紙間パッチの形成を許可する。
【0096】
尚、本実施例では、一面目の画像情報と重量絶対湿度に基づいて紙間パッチの形成の可否を判断したが、重量絶対湿度のみに基ついて判断を行っても良い。例えば、重量絶対湿度が所定の閾値以上の場合は、一面目の画像情報によらず、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止することができる。又、本実施例では画像形成装置100の環境情報として重量絶対湿度を検出したが、高温時には相対的に低温時よりも記録材Pの裏汚れが顕在化しやすいといえるので、温度情報のみによって紙間パッチの形成の可否を判断することもできる。
【0097】
以上、本実施例では、画像形成装置100の雰囲気の環境情報の検知結果を用いて紙間パッチの形成タイミングを制御することで、環境に応じた裏汚れの発生可能性を予測して、裏汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることができる。
【0098】
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0099】
本実施例では、紙間パッチ通過後に二次転写ローラが所定回数回転する間に二次転写部に到達する出力画像が二面目の出力画像であり、更に出力画像が転写される記録材Pの種類又は表面性が所定の条件を満たす場合に、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。本実施例では、特に、画像形成装置100に設置した表面性検知手段としてのメディアセンサ88(図2)によって検知された記録材Pの表面状態に基づき、記録材Pの二面目の画像の直前の紙間における紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0100】
本実施例では、画像形成装置のハードウェア構成は実施例1と同じであり、紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理(図7のステップ3)が実施例1と異なる。
【0101】
本実施例では、記録材Pの表面状態として記録材Pの表面粗度(表面性)を、メディアセンサ88(図2)を用いて検知する。本実施例で使用するメディアセンサ88は、記録材Pの表面の凹凸に起因して生じる陰影をCMOSセンサによって撮像した結果に基づいて、表面平滑性の判別を行う。本実施例では、CMOSセンサに読み込まれた映像は8×8ピクセルにデジタル処理され、白黒の二値画像に変換される。平滑な記録材Pを用いると、凹凸が少ないために陰影がほとんど生じず、処理後の画像は均一(ここでは白)となる。一方、表面平滑性が低い記録材Pでは、処理後の画像に占める白画像の比率(白比率)が約50%となる。
【0102】
尚、表面性検知手段としては、例えば記録材Pの表面からの反射光量のバラつき量を測定し、記録材Pの表面の粗さを判断する方式のメディアセンサなどを用いても良い。
【0103】
図11は、図7のフローチャート中のステップ3で実行される別のサブルーチンである、本実施例に従う紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャートである。
【0104】
先ず、実施例1と同様のステップ3−1、ステップ3−2が実施される。その後、ステップ3−2において紙間パッチの直後の画像が記録材Pの二面目の画像の場合には、ステップ3−10において、CPU306は、メディアセンサ88の検知結果を確認する。メディアセンサ88は、プリントジョブ開始後、レジストローラ対34によって静止した記録材Pの表面粗度を検出する。ここでは、表面粗度は、上述のCMOSセンサの撮影像をデジタル処理した画像の白比率である。そして、その白比率が75%以上の場合には、ステップ3−6において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像情報を確認する。そして、その画像濃度が反射濃度0.3相当以上の場合には、CPU306は、ステップ3−7において、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。デジタル画像の白比率が高い高光沢紙では、所定位置の画像濃度が反射濃度0.3相当でも裏汚れが顕著に発生するためである。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。又、ステップ3−6において、画像濃度が反射濃度0.3相当未満の場合には、CPU306は、紙間パッチの形成を行うために、紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとし、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。本実施例の画像形成装置では、反射濃度0.3相当の画像濃度は印字率25%であった。
【0105】
一方、ステップ3−10において、白比率が75%未満の場合には、ステップ3−8において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像情報を確認する。そして、比較的表面が粗い記録材P或いはラフな記録材Pでは、比較的裏汚れが発生し難いため、その画像濃度の閾値を、反射濃度0.5相当として上記同様の処理を行う。つまり、その画像濃度が反射濃度0.5相当未満であればRAM309内の紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとする。一方、反射濃度0.5相当以上であればステップ3−9にてRAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットして二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止する。
【0106】
表3は、実施例1の表1の場合と同様に、紙間パッチがブラック単色、一面目の画像がイエロー単色、紙間パッチの反射濃度(O.D.)が0.3の場合の、記録材Pの表面状態による裏汚れの顕在化のしやすさを検証した実験結果を示す。ここでは、本実施例のメディアセンサ88で判別可能な3種類の記録材Pを用い、裏汚れの目立ちやすさを比較した。表面粗さは、Fox river bond紙が最も粗く、Glossy Presentation Paperが最も平滑である。又、表3中、メディアセンサ88の検出結果の処理後の画像の白画像の比率(白比率)は「W.R.」とした。記録材P、測定器、評価方法は実施例1の表1の場合と同様である。
【0107】
【表3】
【0108】
表3から、特に一面目に形成する画像のトナー量が少ない条件では、表面性がラフな記録材Pほど裏汚れが発生し難く、平滑性の高い記録材Pほど裏汚れが顕在化しやすいことがわかる。これは、同じレベルで二次転写ローラ60上にトナーが付着した場合でも、記録材Pの表面性によって二次転写ローラ60との密着度が異なり、平滑性の高い記録材Pほど物理的なトナー付着量が増加することを示している。一方、一面目に形成された画像のトナー量が多い場合には、記録材Pの表面性が平滑化されるうえ、トナー同士の親和性が高いために、記録材Pの表面状態の差が裏汚れのレベルに反映されなくなる。
【0109】
本実施例では、表3中の画像ランクが3以下となる条件において、二面目の画像の直前の紙間における紙間パッチの形成を許可する。
【0110】
尚、本実施例では、記録材Pの表面状態と一面目の画像情報とに基づいて紙間パッチの形成の可否を判断したが、記録材Pの表面性が平滑な場合には、一面目の画像情報によらず、二面目の画像の直前の紙間での紙間パッチの形成を実施しない構成としても良い。例えば、記録材Pの表面性(表面粗度)を表す上記白比率が所定の閾値以上の場合は、一面目の画像情報によらず、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止することができる。
【0111】
又、本実施例では、メディアセンサ88を有する画像形成装置100について説明したが、同様の判断を画像形成装置100が有するプリントモードを利用して行っても良い。つまり、例えば、種類検知手段としてのCPU306が、プリントモードとしてラフ紙モードが選択された場合には、使用される記録材Pがラフ紙であると判断する。同様に、例えば、CPU306が、プリントモードとして高グロスモードが選択された場合には、使用される記録材Pが表面平滑性の高いグロス紙であると判断する。そして、CPU306は、その判断結果に応じて、上記本実施例と同様にして、紙間パッチの形成の可否を判断することができる。このように、画像形成装置100が、使用する記録材の種類の異なる複数の画像形成モードを有する場合、次のようにして、紙間パッチの形成の可否を判断することができる。即ち、紙間パッチ通過後に二次転写ローラが所定回数回転する間に二次転写部に到達する出力画像が二面目の出力画像であり、更に複数の画像形成モードのうち所定の画像形成モードが選択されている場合に、その紙間への紙間パッチの形成を禁止することができる。
【0112】
以上、本実施例では、記録材Pの種類又は表面性の検知結果を用いて紙間パッチの形成タイミングを制御することで、記録材Pの種類又は表面性に応じた裏汚れの発生可能性を予測して、裏汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることができる。
【0113】
実施例4
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素については、同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0114】
本実施例では、紙間パッチ通過後に二次転写ローラ60が所定回数回転する間に二次転写部N2に到達する出力画像が二面目の出力画像であり、更に二次転写ローラ60の使用量が所定の条件を満たす場合に、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。本実施例では、特に、画像形成装置100の使用状態としての二次転写ローラ60に対する通紙枚数に基づき、記録材Pの二面目の画像の直前の紙間における紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0115】
本実施例では、画像形成装置のハードウェア構成は実施例1と同じであり、紙間濃度調整における紙間パッチ形成可否判断処理(図7のステップ3)が実施例1と異なる。
【0116】
具体的には、CPU306が、使用状態検知手段としてのカウンタとして機能するRAM309に記憶された二次転写ローラ60に対する通紙枚数に応じて、紙間パッチの形成の可否を判断する。
【0117】
図12は、図7のフローチャート中のステップ3で実行される別のサブルーチンである、本実施例に従う紙間パッチ形成可否判断処理のフローチャートである。
【0118】
先ず、実施例1と同様のステップ3−1、ステップ3−2が実施される。その後、ステップ3−2において紙間パッチの直後の画像が記録材Pの二面目の画像の場合には、ステップ3−11において、CPU306は、RAM309に保存された二次転写ローラ60の通紙枚数を読み出す。そして、その二次転写ローラ60の通紙枚数が500枚以下である場合には、ステップ3−12において、CPU306は、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。
【0119】
一方、ステップ3−11において、二次転写ローラ60の通紙枚数が500枚を超える場合には、ステップ3−8において、CPU306は、その記録材Pの一面目の画像における所定位置の画像情報を確認する。そして、その画像濃度は反射濃度0.5相当以上の場合には、CPU306は、ステップ3−9において、RAM309内の紙間パッチ形成のフラグを「0」にセットする。その後、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。これにより、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成が禁止される。又、ステップ3−8において画像濃度が反射濃度0.5相当未満の場合には、CPU306は、紙間パッチの形成を行うために、紙間パッチ形成のフラグは「1」のままとし、当該サブルーチンを終了して、図7のフローチャートのステップ4に進む。本実施例の画像形成装置では、反射濃度0.5相当の画像濃度は印字率50%であった。
【0120】
本実施例では、二次転写ローラ60として、単層の発泡ゴムのローラを用いた。又、本実施例では、中間転写ベルト40として、表面平滑性の高い樹脂ベルトを用いた。中間転写ベルト40の表面平滑性は、画像形成装置100の使用によってもほぼ一定に保たれるが、二次転写ローラ60の表面性は使用開始直後が最も粗く、使用に伴い削れや目詰まりによって平滑性が高くなる傾向にある。紙間パッチが二次転写部N2を通過する際に、負極性のトナーが二次転写ローラ60側に転写されないように電界を形成した場合でも、中間転写ベルト40と二次転写ローラ60との間には速度差が生じる。そのため、トナーは、表面性の粗い二次転写ローラ60側に掻き取られて、二次転写ローラ60上に付着しやすい。つまり、二次転写ローラ60の使用開始直後には、二次転写ローラ60上にトナーが付着しやすく、使用に伴って付着量が減る傾向にある。
【0121】
表4は、実施例1の表1の場合と同様に、紙間パッチがブラック単色、一面目の画像がイエロー単色、紙間パッチの反射濃度(O.D.)が0.3の場合の、二次転写ローラ60の通紙枚数による裏汚れの顕在化のしやすさを検証した実験結果を示す。二次転写ローラ60の通紙枚数は、二次転写ローラ60の使用開始直後、500枚通紙後、1000枚通紙後とした。記録材P、測定器、評価方法は実施例1の表1の場合と同様である。
【0122】
【表4】
【0123】
表4から、二次転写ローラ60の使用開始直後は裏汚れが発生しやすく、使用に伴って裏汚れのレベルが改善することがわかる。1000枚通紙以降は、裏汚れのレベルに大きな変化は無かった。
【0124】
本実施例では、画像ランクが3以下となる条件において、二面目の画像を形成する直前の紙間における紙間パッチの形成を許可する。
【0125】
尚、本実施例では、二次転写ローラ60の通紙枚数と一面目の画像情報とに基づいて紙間パッチの形成の可否を判断したが、二次転写ローラ60の使用開始直後は、一面目の画像によらず裏汚れに対して余裕が無い。従って、二次転写ローラ60の通紙枚数の情報のみに基づいて紙間パッチの形成の可否を判断しても良い。例えば、二次転写ローラ60の通紙枚数が所定の閾値以下の場合は、一面目の画像情報によらず、二面目の画像の直前の紙間への紙間パッチの形成を禁止することができる。
【0126】
又、本実施例では、二次転写ローラ60の通紙枚数に基づいて二次転写ローラ60の状態変化を見積もったが、この方法に限定されるものではない。例えば、画像形成装置100の本体の構成に応じて、画像形成装置100の本体の通紙枚数で代用しても良い。或いは、二次転写ローラ60の回転数を用いても良い。二次転写ローラ60の使用量と相関する指標であれば、任意に利用することができる。
【0127】
又、本実施例では、特に、二次転写ローラ60の使用に伴う状態変化が、裏汚れの発生しやすさに与える影響が顕著であるため、二次転写ローラ60の使用量を例として説明した。しかし、画像形成装置100の本体の構成によって、例えば画像形成部の他の要素、例えば、中間転写ベルト40の使用に伴う状態変化が、裏汚れの発生しやすさに与える影響が大きい場合などが考えられる。このような場合には、その要素の使用による状態変化に応じて、紙間パッチの形成タイミングを制御しても良い。
【0128】
以上、本実施例では、画像形成装置100の使用状態の検知結果を用いて紙間パッチの形成タイミングを制御することで、その使用状態に応じた裏汚れの発生可能性を予測して、裏汚れを抑制しつつ、生産性、濃度安定性の向上を図ることができる。
【0129】
(その他)
本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0130】
上記実施例では、中間転写方式の画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0131】
図13は、本発明を適用し得る他の画像形成装置の要部の概略構成を示す。図13の画像形成装置において、図1に示す画像形成装置100のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。図13の画像形成装置は、感光ドラム50に形成したトナー像を転写ローラ54によって、記録材Pに直接転写させる。図示は省略するが、この画像形成装置は、一面目にトナー像が転写された記録材Pをその二面目にトナー像を転写するために転写部Nに搬送する両面搬送手段を有している。このような画像形成装置において、感光ドラム50上の紙間に紙間パッチを形成し、これを感光ドラム50上で濃度センサ90により検出することで、画像形成条件の制御(濃度調整など)に使用されることがある。そして、上記実施例の画像形成装置100における二次転写ローラ60による記録材Pの裏汚れと同様のメカニズムにより、転写ローラ54による記録材Pの裏汚れが発生することがある。特に、両面プリント時の二面目の画像の転写時の裏汚れが問題となることがある。従って、このような画像形成装置においても、本発明の原理を同様に適用することができる。斯かる画像形成装置では、転写ローラ54が、回転可能であり転写部Nにおいて感光ドラム50との間で記録材Pを挟持して搬送しながら感光ドラム50から記録材Pにトナーを転写させる転写回転体である。
【0132】
そして、この場合、画像形成装置が備える、像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段としてのCPUが、次のようにして紙間パッチの形成タイミングを制御するようにすることができる。即ち、紙間の紙間パッチの位置が転写部Nを通過してから転写ローラ54が所定回数回転する間に転写部Nに到達する出力画像が、記録材Pの一面目に転写する出力画像である場合には、その紙間への紙間パッチの形成を許可する。換言すれば、後続して転写部Nを通過する出力画像が記録材Pの一面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を許可する。一方、紙間の紙間パッチの位置が転写部Nを通過してから転写ローラ54が所定回数回転する間に転写部Nに到達する出力画像が、記録材Pの二面目に転写する出力画像である場合には、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止する。換言すれば、後続して転写部Nを通過する出力画像が記録材Pの二面目に転写する出力画像である画像間領域への試験画像の形成を禁止する。上述の実施例の場合と同様に、一面目の画像情報、環境、記録材Pの種類などにより、試験用画像の形成の可否を判断する条件を更に付加することも可能である。
【0133】
又、図14は、本発明を適用し得る更に他の画像形成装置の要部の概略構成を示す。図14の画像形成装置において、図1に示す画像形成装置100のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付している。図14の画像形成装置は、直接転写方式を採用したタンデム型の画像形成装置である。この画像形成装置は、感光ドラム50と接触して回転可能であり記録材Pを担持して搬送する記録材担持体201を有する。そして、記録材担持体201に担持された記録材Pに、転写手段としての回転可能なローラ型の転写部材である転写ローラ54によって、感光ドラム1から直接トナー像を転写する。記録材担持体201としては、無端ベルト状の記録材担持ベルトなどが用いられる。例えばフルカラーの画像形成持には、記録材担持体201上に担持された記録材P上に複数色のトナー像が順次重ね合わせるようにして転写される。図示は省略するが、この画像形成装置は、一面目にトナー像が転写された記録材Pをその二面目にトナー像を転写するために記録材担持体201に担持させる両面搬送手段を有している。このような画像形成装置においても、感光ドラム50上の紙間に紙間パッチを形成し、これを感光ドラム50上で又は記録材担持体に転写した後に濃度センサ90により検出することで、画像形成条件の制御(濃度調整、色ずれ補正)に使用されることがある。そして、上記実施例の画像形成装置100における二次転写ローラ60による記録材Pの裏汚れと同様のメカニズムにより、記録材担持体201による記録材Pの裏汚れが発生することがある。特に、両面プリント時の二面目の画像の転写時の裏汚れが問題となることがある。従って、このような画像形成装置においても、本発明の原理を同様に適用することができる。
【0134】
ここで、図14に示すような感光ドラム50から直接記録材Pにトナー像を転写する直接転写方式では、紙間に対して記録材担持体201の周長が非常に大きい場合が多い。従って、記録材担持体201の約半回転乃至一回転後に生じる記録材Pの裏汚れは、紙間の直後の記録材Pの裏汚れになるとは限らない。しかし、記録材Pの裏汚れの発生メカニズムは、上記実施例或いは図13に示す画像形成装置の場合と同様に説明ができる。従って、このような画像形成装置にも、本発明を適用して、同様の効果を得ることができる。斯かる画像形成装置では、記録材担持体201が、回転可能であり転写部Nにおいて感光ドラム50との間で記録材Pを挟持して搬送しながら感光ドラム50から記録材Pにトナーを転写させる転写回転体である。そして、この場合も、画像形成装置が備える制御手段としてのCPUが、図13の画像形成装置について上述したのと同様にして、紙間パッチの形成タイミングを制御するようにすることができる。
【0135】
直接転写方式の画像形成装置への本発明の適用例をより具体的に説明する。例えば、ブラック用のステーションSKにおいて感光ドラム50K上に紙間パッチを形成し、これを感光ドラム50K上で濃度センサ90Kにより検出する場合について考える。感光ドラム50K上に形成されたパッチは、転写ローラ54Kに画像形成時とは逆極性(トナーの正規の帯電極性と同極性)のバイアス(以下、「逆バイアス」ともいう。)が印加されることで、記録材担持体201に転写されることなく転写部NKを通過する。その後、この感光ドラム50K上のパッチは、ドラムクリーニング装置55Kにより感光ドラム50K上から除去されて回収される。しかし、感光ドラム50K上に形成されたパッチのトナーの一部が、物理的に記録材担持体201に付着して、記録材担持体201上のトナー汚れとなることがある。そして、ベルトクリーナレスシステムを採用している場合などには、このトナー汚れが、その後に記録材担持体201に担持される記録材Pの裏面に付着することがある。
【0136】
尚、ベルトクリーナレスシステムとは、記録材担持体201上のトナーを、記録材担持体201のために特別に設けられたクリーニングブレードなどによって除去、回収することなく、ドラムクリーニング装置55に回収するものである。ベルトクリーナレスシステムでは、転写ローラ54への逆バイアスの印加による電気的な作用及び/又は感光ドラム50と記録材担持体201との周速差などによる物理的な作用により、記録材担持体201から感光ドラム50へトナーが転移される。そして、感光ドラム50に転移されたトナーは、ドラムクリーニング装置55により感光ドラム50上から除去されて回収される。記録材担持体201上のトナーは、一つのステーション(例えば最上流のステーション)又は複数のステーションの感光ドラム50に転移させることができる。
【0137】
上述のように、記録材担持体201上のトナー汚れは、記録材担持体201の約半回転乃至一回転後に、記録材担持体201に担持される記録材Pの裏面に付着する。そのため、この記録材Pは、当該トナー汚れの基となった紙間パッチが形成された紙間の直後の画像が転写される記録材Pとは限らない。しかし、上述の実施例の場合と同様に、この記録材担持体201上のトナー汚れの位置に担持されて搬送される記録材Pが、一面目に画像が定着済みの記録材Pである場合には、このトナー汚れが一面目の画像に付着することによる汚れが顕著となりやすい。
【0138】
そこで、この場合、画像形成装置が備える、像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段としてのCPUが、次のようにして紙間パッチの形成タイミングを制御するようにすることができる。即ち、紙間の紙間パッチの位置が転写部NKを通過してから記録材担持体201が所定回数回転する間に、その紙間パッチの位置に接触した記録材担持体201の位置に担持される記録材Pが、二面目にトナー像が転写される記録材Pである場合には、その紙間への紙間パッチの形成を禁止する。この場合の上記所定回数は、典型的には、記録材担持体201上のトナー汚れによる記録材Pの裏汚れが最も顕著となる一回転であるが、これに限定されるものではない。換言すれば、制御手段としてのCPUが、次のような所定条件に合致する画像間領域への試験用画像の形成を禁止するようになっている。即ち、その所定条件とは、像担持体の当該画像間領域に接触する記録材担持体上の位置が、像担持体と接触した後で且つ1周する間に二面目にトナー像を転写するために記録材担持体に担持される記録材と接触することである。一方、紙間の紙間パッチの位置が転写部NKを通過してから記録材担持体201が所定回数回転する間に、その紙間パッチの位置に接触した記録材担持体201の位置に担持される記録材Pが、一面目にトナー像が転写される記録材Pである場合、又はその間に記録材担持体201のその位置に記録材Pが担持されない場合には、その紙間への紙間パッチの形成を許可する。上記同様、この場合の上記所定回数は、典型的には一回転であるが、これに限定されるものではない。換言すれば、制御手段としてのCPUが、次のような所定条件に合致する画像間領域への試験用画像の形成を許可するようになっている。即ち、その所定条件とは、像担持体の当該画像間領域に接触する記録材担持体上の位置が、像担持体と接触した後で且つ1周する間に一面目にトナー像を転写するために記録材担持体に担持される記録材と接触するか又は記録材に接触しないことである。上述の実施例の場合と同様に、一面目の画像情報、環境、記録材Pの種類などにより、試験用画像の形成の可否を判断する条件を更に付加することも可能である。ここで、上述の実施例の場合と同様に一面目の画像の所定位置の画像情報に基づいて試験用画像の形成の可否を判断する場合には、この所定位置は次のようにすればよい。即ち、二面目にトナー像を転写するために記録材担持体201に担持される記録材Pの一面目の画像における、試験用画像に接触した記録材担持体上の位置に接触する位置とする。
【0139】
尚、ここでは、ブラック用のステーションSKにおける紙間パッチについて説明したが、その他のステーションの感光ドラム50への紙間パッチについても、それぞれ上記ブラック用のステーションSKの場合と同様に考えればよい。
【0140】
又、上述の実施例では、紙間パッチが二次転写部を通過してから二次転写ローラが一回転した後に発生する記録材の裏汚れについて説明した。しかし、紙間パッチの濃度や画像形成装置本体の構成によっては記録材の裏汚れが、二次転写ローラの複数回転に渡って発生することもある。本発明は、紙間パッチが二次転写部を通過してから二次転写ローラが一回転した後に発生する記録材の裏汚れについてのみに適用されるものではなく、複数回転した後に発生する記録材の裏汚れについても同様に適用できる。
【0141】
又、上述の実施例では、中間転写ベルトを有し、且つ、二次転写ローラの周長が紙間よりもやや長い構成について説明したが、斯かる構成に限定されるものではない。上述のように、紙裏汚れが二次転写ローラの複数回転に渡って発生することもある。そのため、二次転写ローラの周長が紙間より短い場合でも本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0142】
40 中間転写ベルト
60 二次転写ローラ
88 メディアセンサ
89 温湿度センサ
90 濃度センサ
94 紙間パッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持可能な像担持体と、
回転可能であり転写部において前記像担持体との間で記録材を挟持して搬送しながら前記像担持体から記録材にトナー像を転写させる転写回転体と、
一面目にトナー像が転写された記録材をその二面目にトナー像を転写するために前記転写部に搬送する両面搬送手段と、
記録材に転写して出力するトナーからなる出力画像を連続して前記像担持体に形成する連続画像形成中に、前記像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段と、
前記試験用画像を検出する検出手段と、
を有し、
前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の一面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を許可し、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を禁止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像であり、更にその記録材の一面目に転写された出力画像が所定の条件を満たす場合に、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止すること特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記所定の条件を満たすか否かを、前記一面目に転写された出力画像のうち、前記試験用画像に接触する位置の前記転写回転体が接触する所定位置の画像が、前記所定の条件を満たすか否かにより判断することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の条件として、前記一面目に転写された出力画像のトナー載り量が所定の閾値以上の場合に、前記試験用画像の形成を禁止することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像であり、更に当該画像形成装置内に配置された温度又は湿度を検出するセンサの出力が所定の条件を満たす場合に、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止すること特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像であり、更に出力画像が転写される記録材の種類又は表面性が所定の条件を満たす場合に、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止すること特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置は、使用する記録材の種類が異なる複数の画像形成モードを有し、前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像であり、更に所定の画像形成モードが選択されている場合に、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止すること特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像であり、更に前記転写回転体の使用量が所定の条件を満たす場合に、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止すること特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像間領域の試験用画像の位置が前記転写部を通過してから前記転写回転体が一回転するまでの間に、後続の記録材が前記転写部に到達することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記像担持体は、トナー像が転写される中間転写体、或いは感光ドラムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
トナー像を担持可能な像担持体と、
前記像担持体と接触して回転可能であり記録材を担持して搬送する記録材担持体と、
前記像担持体から前記記録材担持体に担持された記録材にトナー像を転写させる転写部材と、
一面目にトナー像が転写された記録材をその二面目にトナー像を転写するために前記記録材担持体に担持させる両面搬送手段と、
記録材に転写して出力するトナーからなる出力画像を連続して前記像担持体に形成する連続画像形成中に、前記像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段と、
前記試験用画像を検出する検出手段と、
を有し、
前記制御手段は、所定条件に合致する前記画像間領域への前記試験用画像の形成を禁止するようになっており、
前記所定条件は、前記像担持体の前記画像間領域に接触する前記記録材担持体上の位置が、前記像担持体と接触した後で且つ1周する間に二面目にトナー像を転写するために前記記録材担持体に担持される記録材と接触することであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を担持可能な像担持体と、
回転可能であり転写部において前記像担持体との間で記録材を挟持して搬送しながら前記像担持体から記録材にトナー像を転写させる転写回転体と、
一面目にトナー像が転写された記録材をその二面目にトナー像を転写するために前記転写部に搬送する両面搬送手段と、
記録材に転写して出力するトナーからなる出力画像を連続して前記像担持体に形成する連続画像形成中に、前記像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段と、
前記試験用画像を検出する検出手段と、
を有し、
前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の一面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を許可し、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像である画像間領域への試験用画像の形成を禁止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像であり、更にその記録材の一面目に転写された出力画像が所定の条件を満たす場合に、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止すること特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記所定の条件を満たすか否かを、前記一面目に転写された出力画像のうち、前記試験用画像に接触する位置の前記転写回転体が接触する所定位置の画像が、前記所定の条件を満たすか否かにより判断することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の条件として、前記一面目に転写された出力画像のトナー載り量が所定の閾値以上の場合に、前記試験用画像の形成を禁止することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像であり、更に当該画像形成装置内に配置された温度又は湿度を検出するセンサの出力が所定の条件を満たす場合に、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止すること特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像であり、更に出力画像が転写される記録材の種類又は表面性が所定の条件を満たす場合に、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止すること特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置は、使用する記録材の種類が異なる複数の画像形成モードを有し、前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像であり、更に所定の画像形成モードが選択されている場合に、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止すること特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、後続して前記転写部を通過する出力画像が記録材の二面目に転写する出力画像であり、更に前記転写回転体の使用量が所定の条件を満たす場合に、その画像間領域への試験用画像の形成を禁止すること特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像間領域の試験用画像の位置が前記転写部を通過してから前記転写回転体が一回転するまでの間に、後続の記録材が前記転写部に到達することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記像担持体は、トナー像が転写される中間転写体、或いは感光ドラムであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
トナー像を担持可能な像担持体と、
前記像担持体と接触して回転可能であり記録材を担持して搬送する記録材担持体と、
前記像担持体から前記記録材担持体に担持された記録材にトナー像を転写させる転写部材と、
一面目にトナー像が転写された記録材をその二面目にトナー像を転写するために前記記録材担持体に担持させる両面搬送手段と、
記録材に転写して出力するトナーからなる出力画像を連続して前記像担持体に形成する連続画像形成中に、前記像担持体上の連続する出力画像の間の画像間領域にトナーからなる試験用画像を形成する動作を制御する制御手段と、
前記試験用画像を検出する検出手段と、
を有し、
前記制御手段は、所定条件に合致する前記画像間領域への前記試験用画像の形成を禁止するようになっており、
前記所定条件は、前記像担持体の前記画像間領域に接触する前記記録材担持体上の位置が、前記像担持体と接触した後で且つ1周する間に二面目にトナー像を転写するために前記記録材担持体に担持される記録材と接触することであることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−80016(P2013−80016A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218720(P2011−218720)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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