説明

画像形成装置

【課題】用紙の片寄り補正を精度良く行って印刷品質を向上させることを可能にする。
【解決手段】用紙上に画像を形成する画像形成部と、用紙を搬送する用紙搬送部と、画像形成に備えて前記搬送途中の用紙を通紙交差方向に移動させて用紙の片寄りを補正する片寄り補正部と、搬送途中の用紙の通紙交差方向の位置を測定する用紙位置測定部と、画像形成および片寄り補正部を制御する制御部を備え、制御部は、用紙位置測定部の測定結果を受け、測定結果に応じて片寄り補正部による片寄りの補正を行い、さらに片寄り補正後、再度用紙位置測定部によって測定した測定結果を受け、測定結果に基づく用紙の片寄り量が所定量以上の場合にエラー処理を行うか、以降の片寄り補正における調整量を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙上に画像を形成する画像形成装置に関し、特に画像形成に備えて用紙の通紙交差方向の用紙位置の片寄り補正が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリ、及びこれらの諸機能を備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置においては、画像形成部において、原稿に対応した潜像を感光体に形成し、この潜像にトナーを付与することによって顕像化し、この顕像化されたトナー像を用紙に転写している。この後、用紙のトナー像を定着部で定着して排紙している。
前記用紙は、通常、給紙トレイに収納され、画像形成に際しては、用紙搬送部によって給紙トレイから給紙され、画像形成部に搬送される。また、表面側に画像形成された用紙は、所望により反転搬送部で反転して搬送し、給紙搬送部に環流させることで、裏面側に対し画像形成を行うことができる。
【0003】
なお、給紙トレイに用紙補給する際、用紙通紙交差方向のガイド板の押さえ方が悪かったり、ガイド板自体が耐久的な問題等で緩くなっていたりして、用紙がしっかりと押さえられていないと、給紙トレイ内で用紙が通紙交差方向にずれ、給紙時の片寄りとなって現れる。また、給紙後の搬送中にも、振動や経時的な部品の劣化等によって通紙交差方向にずれ、搬送時の片寄りとなって現れる。
よって、表面レジスト部で補正する片寄りの要因は、給紙時の片寄りと搬送時の片寄りの2つの要因が主となる。
【0004】
上記片寄りに対しては、通紙方向と交差する方向(通紙交差方向)に搬送途中の用紙を移動させて片寄りを補正する片寄り補正機構が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、さらに、片寄り補正の基準となる基準位置を通紙する用紙の平均によって算出する手段も提案されている。特許文献2では、用紙ずれ量が所定より大きければエラー停止するものが提案されている。
さらに、片寄り補正を行う前に片寄り補正部を原点位置と異なる位置で待機して補正を行うもの(特許文献3)、片寄り補正に際し、基準マークを読み取って片寄り補正を行うもの(特許文献4)などが提案されている。
また、特許文献5では、用紙の幅方向の片寄りの検知において、次紙以降で片寄りの補正とともに前記検知結果に応じて幅方向の画像形成位置を移動させる画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−32913号公報
【特許文献2】特開2003−330334号公報
【特許文献3】特開2010−215374号公報
【特許文献4】特開2007−304504号公報
【特許文献5】特開2007−219407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
片寄り補正が行われる従来の画像形成装置では、片寄りの補正によって用紙が意図どおりに移動して片寄りが補正されることを前提としている。しかし、用紙の片寄りの補正に際しては、用紙の紙種や斤量、平滑度などによっては、用紙が目標どおりに移動せず、用紙のすべりなどによって実際の移動量との間でずれが生じることがある。このずれを有した用紙に画像形成を行うと、用紙に対する画像形成位置がずれて画像位置精度が損なわれ、結果として印刷品質を低下させるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、用紙の片寄り補正を精度よく行うことを可能にするとともに、片寄り補正結果を検知して適正な処理を行うことを可能にする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の画像形成装置のうち、第1の本発明は、用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記画像形成に備えて前記搬送途中の用紙を通紙交差方向に移動させて前記用紙の片寄りを補正する片寄り補正部と、
前記搬送途中の用紙の通紙交差方向の位置を測定する用紙位置測定部と、
前記画像形成および前記片寄り補正部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記用紙位置測定部の測定結果を受け、該測定結果に応じて前記片寄り補正部による前記片寄りの補正を行い、さらに前記片寄り補正後、再度、前記用紙位置測定部によって測定した測定結果を受け、該測定結果に基づく前記用紙の片寄り量が所定量以上の場合にエラー処理を行うことを特徴とする。
【0009】
第2の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、前記制御部が、前記エラー処理に際し、当該画像形成装置の停止処理またはエラー処理の対象となった用紙を装置外に排出する排紙処理を行うことを特徴とする。
【0010】
第3の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、前記制御部は、前記エラー処理に際し、前記エラー処理の対象となった用紙に対し、前記測定結果に応じて前記片寄り補正部による再度の片寄りの補正を行うことを特徴とする。
【0011】
上記本発明によれば、一旦片寄り補正後、さらに片寄りの測定を行うことで片寄り量が大きい場合にエラー処理を行って片寄りの大きな用紙にそのまま印刷が行われて製品となるのを回避できる。
エラー処理では、上記したように装置の停止や用紙の排紙処理を行うことができる。排紙処理に際しては、既に画像形成部で形成された画像を用紙に転写した後、当該用紙を排紙するものであってもよい。
また、エラー処理として、再測定の結果に基づいて再度片寄り補正を行っても良い。その結果、片寄り量が十分に小さくなっていれば、通常の画像形成処理を行うことができる。また、再度の片寄り補正によっても片寄り量が十分に小さくなっていなければ、上記した装置の停止や用紙の排紙処理を行うことができる。すなわち、エラー処理では、1つの処理の他に、多段階で処理を行うものであってもよい。多段階で処理を行う場合、判断となる所定の片寄り量を複数設定してもよい。
なお、片寄り補正後の再度の測定は、片寄り補正前に用いた用紙位置測定部によって行ってもよく、また、別途の用紙位置測定部によって測定を行うものであってもよい。
【0012】
第4の本発明の画像形成装置は、前記第3の本発明において、前記制御部は、前記エラー処理の対象となった用紙と該用紙の後続の用紙との搬送間隔と、再度の前記片寄りの補正に要する時間とに基づいて、再度の片寄りの補正の実行判定を行うことを特徴とする。
【0013】
上記本発明によれば、再度の片寄り補正に際し、後続の用紙との関係で間に合うかどうかによって実行するか否かを決定することができる。また、通常の補正では間に合わない場合に、補正量を少なくして間に合うようにすることもできる。
【0014】
第5の本発明の画像形成装置は、前記第1の本発明において、前記制御部は、前記エラー処理に際し、片寄り補正後の前記測定結果に基づく前記用紙の片寄り量に応じて処理内容を決定することを特徴とする。
【0015】
上記本発明によれば、測定された片寄り量の大小に応じてエラー処理の内容を決定することができる。例えば、片寄り量が第1の所定量以上、第2の所定量以下であれば再度の片寄り補正を行い、第2の所定量を超える場合は、装置の停止や排紙処理を行うことができる。
【0016】
第6の本発明の画像形成装置は、用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記画像形成に備えて前記搬送途中の用紙を通紙交差方向に移動させて前記用紙の片寄りを補正する片寄り補正部と、
前記搬送途中の用紙の通紙交差方向の位置を測定する用紙位置測定部と、
前記画像形成および前記片寄り補正部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記用紙位置測定部の測定結果を受け、該測定結果に応じて前記片寄り補正部による前記片寄りの補正を行い、さらに前記片寄り補正後、再度、前記用紙位置測定部によって測定した測定結果を受け、前記片寄り補正部によるその後の前記片寄りの補正の調整量を決定することを特徴とする。
【0017】
上記本発明によれば、一旦片寄り補正後、さらに片寄りの測定を行うことで片寄り補正の誤差を把握することができ、この誤差に応じて片寄り補正の調整量を決定しておくことで、その後に適正な片寄り補正を精度良く行うことを可能にする。
【0018】
第7の本発明の画像形成装置は、前記第6の本発明において、前記制御部は、再度の測定結果に基づく前記用紙の片寄り量が所定量以上の場合に前記調整量の決定を行うことを特徴とする。
【0019】
上記本発明によれば、補正誤差が大きい場合に片寄り補正の調整を行うことで片寄り補正の精度を上げることができる。
【0020】
第8の本発明の画像形成装置は、前記第6または第7の本発明において、前記制御部は、用紙における前記用紙位置測定部の測定結果に応じて前記片寄り補正部による前記片寄りの補正を行った際の補正量と、前記片寄り補正後、再度、前記用紙位置測定部によって測定された前記用紙位置との関係とから前記調整量を決定することを特徴とする。
【0021】
上記本発明によれば、再度の測定によって片寄り補正部による補正誤差を検知することができ、この補正誤差に基づいて調整量を決定することで、以降の片寄り補正を精度良く行うことが可能になる。
【0022】
第9の本発明の画像形成装置は、前記第8の本発明において、前記制御部は、先行した複数の用紙における前記補正量と前記用紙位置との関係の傾向に基づいて前記調整量を決定することを特徴とする。
【0023】
上記本発明によれば、複数の用紙における補正誤差を考慮して、平均値などによって調整量を決定することができる。
【0024】
第10の本発明の画像形成装置は、前記第6〜9のいずれかの本発明において、前記制御部は、前記用紙位置測定部の測定結果に前記調整量を加えて前記片寄り補正部による片寄り補正を行うことを特徴とする。
【0025】
上記本発明によれば、測定結果に対する補正量にさらに調整量を加えて片寄りの補正を行うことで状況に応じた適正な片寄り補正を行うことができる。例えば、片寄り補正部の個体差によって必然的に生じる補正誤差を調整量で調整することができる。また、用紙の種類などに応じて補正誤差が生じる場合、補正誤差を調整量で調整することができる。
調整量を加えた片寄り補正は、エラー処理の対象となった用紙を再度片寄り補正する際に適用するのであってもよく、また、後続の用紙の片寄り補正に適用するものであってもよい。
【0026】
第11の本発明の画像形成装置は、前記第6〜10のいずれかの本発明において、前記制御部は、前記調整量を前記用紙の紙特性に関連付けて記憶しておき、搬送途中の用紙の紙特性に応じて前記調整量を設定し、該調整量を加えて前記用紙に対する前記片寄りの補正を行うことを特徴とする。
【0027】
上記本発明によれば、用紙の種別に応じた調整量を取得して記憶しておき、当該用紙に対しその調整量を適用することで片寄り補正を精度よく行うことができる。
【0028】
第12の本発明の画像形成装置は、前記第10の本発明において、前記紙特性が、紙種、斤量、用紙サイズ、紙の材質および平滑度の1つまたは複数の組み合わせであることを特徴とする。
【0029】
上記本発明によれば用紙の特性に応じて調整量を定めて、より精度の高い片寄り補正を可能にする。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明によれば、片寄り補正後の片寄り量を再度測定するので、以下の効果がある。
1.片寄り量が大きければ、エラー処理として例えば装置停止、排紙処理を行うことで画像ずれの大きいものを排除する。
2.片寄り量が大きければ再度片寄り補正を行うことでズレ量を減らすことができる。
3.後続の紙やその紙種や斤量に対してずれ量を誤差をフィードバックし、その誤差も考慮に入れて1回目の片寄り補正を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置を示す概略図である。
【図2】同じく、画像形成装置の制御ブロックを示す図である。
【図3】同じく、画像中心に対する用紙の片寄り状態を示す図(a)および片寄り補正によって画像中心に用紙中心を合わせた状態を示す図(b)である。
【図4】同じく、片寄り補正後の再度の用紙位置測定結果を示す図である。
【図5】同じく、エラー処理の際の操作部の表示画面を示す図である。
【図6】同じく、エラー処理に際し、再度の片寄り補正を行う際の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態における、片寄り補正後の再度の用紙位置測定でエラー処理を行う手順を示すフローチャートである。
【図8】同じく、エラー処理として再度の片寄り補正を行う手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施形態における、片寄り補正後の再度の用紙位置測定で片寄り補正の調整量を決定し、その後、調整量を加算して片寄り補正を行う手順を示すフローチャートである。
【図10】同じく、決定した調整量を用紙の紙特性と関連付けてデータ記録し、その後、用紙の紙特性に応じて記録された調整量を読み出し、該調整量を加算して片寄り補正を行う手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明の画像形成装置1の機械的構成を示す図であり、以下に説明する。
図1において、10は画像形成部、30は原稿読み取り部である。
原稿読み取り部30では、自動原稿搬送装置(図1では省略)で搬送される原稿、またはプラテン31上に配置された原稿の画像を読み取り、一旦、図示しない画像メモリーなどに記録される。
画像形成部10では、各色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなど)用にそれぞれ用意された感光体11C、11M、11Y、11Kを有し、各感光体11C、11M、11Y、11Kの周線部に帯電器12C、12M、12Y、12K、書き込み部13C、13M、13Y、13K、現像ユニット14C、14M、14Y、14Kが配設されていており、帯電器12C、12M、12Y、12Kによって帯電した感光体11C、11M、11Y、11K表面は、画像メモリーなどに記録された原稿の画像情報に基づいて書き込み部13C、13M、13Y、13Kにより像露光が行われ、感光体11C、11M、11Y、11K表面には潜像が形成される。該潜像は現像ユニット14C、14M、14Y、14Kによって現像がなされてトナー像となる。トナー像は、中間転写ベルト16に転写され、該中間転写ベルト16から二次転写ローラ18によって搬送路22で搬送される用紙に転写される。転写された用紙は定着装置19によって加熱定着されて排紙部に画像形成出力(プリント)がなされる。搬送路22は、本発明の用紙搬送部の一部を構成している。
【0033】
また、画像形成部10では、各感光体に対応して、中間転写ベルト16との接触位置よりも回転方向側かつ帯電器12C、12M、12Y、12Kよりも回転方向逆側で、各感光体11C、11M、11Y、11Kに接触して残留トナーを除去するクリーニング部15C、15M、15Y、15Kが配置されている。また、中間転写ベルト16の用紙転写位置よりも回転方向側かつ各感光体との転写位置よりも回転方向逆側に、該中間転写ベルト16の残留トナーを除去するクリーニング部17が配置されている。
なお、上記した各感光体11C、11M、11Y、11Kは、図示しない駆動モータによって回転駆動され、中間転写ベルト16も同じく図示しない駆動モータによって回転駆動される。
【0034】
また、画像形成装置1には、前記画像形成部10の下方側に、用紙を収納した複数の給紙トレイ21が配置されている。また各給紙トレイ21から画像形成部10に至り、さらに画像形成部10から排紙部に至る搬送路22を有している。
搬送路22は、用紙を給紙し搬送するものであり、本発明の用紙搬送部の一部を構成する。搬送路22では、各給紙トレイ21に収容されている用紙が給紙され、レジストローラ23を経て、二次転写ローラ18に搬送される。二次転写ローラ18では、用紙上に中間転写ベルト16上のカラー画像が転写される。カラー画像が転写された用紙は、定着装置19にて熱と圧力とを加えることにより用紙上のトナー像が定着され、片面モードのフェイスアップでは装置外に排出される。
【0035】
また、画像形成装置1は用紙反転搬送路24を備えており、定着がなされた用紙を定着装置19から用紙反転搬送路24に導いて表裏を反転しフェイスダウンで排出、あるいは両面モードにおいて用紙の両面に画像形成を行うことを可能としている。用紙反転搬送路24は、レジストローラ23の上流側で用紙搬送路22に合流しており、用紙を環流させることができる。
また、画像形成装置1の本体上部には操作部140が設置され、各種の設定入力や表示をおこなうことができる。
【0036】
次に、図2は、本発明の画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。以下に説明する。
画像形成装置1は、主要な構成として、制御ブロック110とスキャナー部130と操作部140とプリンター部150とを有するコピア本体と、LANを通して外部機器2(例えば端末)との間で入出力される画像データーを処理する画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160とを備えている。
【0037】
制御ブロック110はPCIバス112を有しており、PCIバス112は制御ブロック110内でDRAM制御IC111に接続されている。また、制御ブロック110には、画像制御CPU113を備えており、該画像制御CPU113に前記DRAM制御IC111が接続されている。また、画像制御CPU113には、不揮発メモリー115が接続されている。該不揮発メモリー115には、上記画像制御CPU113を動作させるためのプログラムや画像形成装置1の設定データー、プロセス制御パラメーター等、用紙の紙特性による片寄り補正調整量の設定データーなどが格納されている。
画像制御CPU113は、画像形成装置1の全体を制御し、また画像形成装置全体の状態把握を行うものであり、画像形成制御、片寄り補正制御などを行う。すなわち、画像制御CPU113は、本発明の制御部の一部として機能する。
【0038】
前記スキャナー部130は、光学読み取りを行うCCD131と、スキャナー部130全体の制御を行うスキャナー制御部132とを備えている。スキャナー制御部132は、前記画像制御CPU113とシリアル通信可能に接続されており、画像制御CPU113による制御を受ける。なお、スキャナー制御部132は、CPUやこれを動作させるプログラムなどによって構成することができる。前記CCD131で読み取った画像データーは、読み取り処理部116でデーター処理がなされる。読み取り処理部116には、画像データーを圧縮する圧縮IC118が接続されており、該圧縮IC118は、前記したDRAM制御IC111に接続されている。
【0039】
前記操作部140は、タッチパネル式のLCD141と、操作部制御部142とを備えており、上記LCD141と操作部制御部142とが接続され、該操作部制御部142と前記画像制御CPU113とがシリアル通信可能に接続されている。該構成によって操作部140の制御が画像制御CPU113によって行われる。なお、操作部制御部142は、CPUやこれを動作させるプログラムなどによって構成することができる。操作部140では、画像形成装置における設定や動作指令などの動作制御条件の入力が可能となっており、さらに設定内容、機械状態、情報の表示等が可能になっており、上記画像制御CPU113により制御される。この操作部140によって、所定の操作などを行うことができる。
【0040】
また、DRAM制御IC111は、圧縮メモリー120とページメモリー121とからなる画像メモリーに接続されている。該画像メモリーには、前記スキャナー部130で取得した画像データーやLAN50を通して取得した画像データーが格納される。上記のように画像メモリーは、画像データーの記憶領域であり、印刷するジョブの画像データーを格納する。また、上記DRAM制御IC111によって複数のジョブに関する画像データーを画像メモリーに記憶させることができる。すなわち、画像メモリーには予約されたジョブの画像データーの格納も可能である。
【0041】
さらにDRAM制御IC111には、圧縮された画像データーを伸長する伸長IC125が接続されており、該伸長IC125には書き込み処理部126が接続されている。該書き込み処理部126は、プリンター部150のLD152(図1の書き込み部13C、13M、13Y、13Kが相当する)に接続され、該LD152の動作に用いられるデーターの処理を行う。また、プリンター部150は、プリンター部150の全体を制御するプリンター制御部151を備えており、該プリンター制御部151は、前記した画像制御CPU113に接続されて制御を受ける。すなわち、画像制御IC113から与えられるパラメーターに従い、プリント動作の開始/停止を行う。プリンター部150には、前記した画像形成部10、用紙搬送部が含まれており、画像制御CPU113によってその動作の制御がなされる。
【0042】
また、プリンター制御部151には、後処理装置(FNS部)170に備える後処理制御部(FNS制御部)171が接続されている。これにより、後処理装置170の制御を、プリンター制御部151、後処理制御部171を通して画像制御CPU13により行うことができる。なお、プリンター制御部151、後処理制御部171は、CPUやこれを動作させるプログラムなどによって構成することができる。
【0043】
また、前記DRAM制御IC111に接続された前記PCIバス112には、前記した画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160のDRAM制御IC161が接続されている。画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160では、DRAM制御IC161に画像メモリー162が接続されている。また、画像処理手段(プリント&スキャナーコントローラー)160では、前記DRAM制御IC161にコントローラー制御CPU163が接続されており、DRAM制御IC161にLANインターフェース165が接続されている。LANインターフェース165は、前記LAN50に接続されている。
【0044】
次に、上記画像形成装置1の基本的動作について説明する。
先ず、画像形成装置1において画像データーを蓄積する手順について説明する。
スキャナー部130で原稿の画像を読み取り画像データーを生成する場合、スキャナー部130において原稿からCCD131により原稿の画像を光学的に読み取る。この際には、画像制御CPU113から指令を受けるスキャナー制御部132によってCCD131の動作制御を行う。CCD131で読み取られた画像は、読み取り処理部116でデーター処理がなされ、データー処理された画像データーは、圧縮IC118において所定の方法によって圧縮され、DRAM制御IC111を介して圧縮メモリー120に格納される。圧縮メモリー120に格納された画像データーは、画像制御CPU113によってジョブとして管理することができる。
【0045】
画像データーを外部から取得する場合、例えば、端末(PC)2からLAN50を通して送信される画像データーは、LANインターフェース165を介してDRAM制御IC161により画像メモリー162に格納される。画像メモリー162のデーターは、DRAM制御IC161、PCIバス112、DRAM制御IC111を介してページメモリー121に一旦格納される。ページメモリー121に格納されたデーターは、DRAM制御IC111を介して圧縮IC118に順次送られて圧縮処理され、DRAM制御IC111を介して圧縮メモリー120に格納され、上記と同様に画像制御CPU113による管理がなされる。
画像形成装置1で画像出力を行う場合、すなわち複写機やプリンターとして使用する場合、圧縮メモリー120に格納された画像データーをDRAM制御IC111を介して伸長IC125に送出してデーターを伸長し、伸長したデーターを書き込み処理部126に送出し、LD152において各感光体11C、11M、11Y、11Kへの書き込みを行う。
【0046】
また、プリンター部150では、画像制御CPU113の指令を受けたプリンター制御部151によって各部の制御が行われる。画像形成部10では各感光体に書き込まれたトナー像が中間転写ベルト16に転写された後、給紙トレイ21によって供給される用紙に転写され、定着装置19で定着がなされる。画像形成がなされた用紙は、定着搬送ローラ25を経て搬送路22によって後処理装置170へと搬送され、後処理の指定がある場合には後処理がなされ、後処理が不要の場合、そのまま排紙トレイに排紙される。複数の予約ジョブがある場合、上記画像出力が設定順番に従って順次行われる。
また、各感光体11C、11M、11Y、11Kでは、中間転写ベルト16にトナー像が転写された後、各クリーニング部15C、15M、15Y、15Kによって残留トナーが除去される。また、中間転写ベルト16においても同様に、用紙にトナー像が転写された後、クリーニング部17によって残留トナーが除去される。
【0047】
次に、搬送路22上におけるレジストローラ23近傍の構成を図3に基づいて説明する。
搬送路22には、二次転写ローラ18の搬送方向手前側にレジスト部が設けられており、レジスト部は上下に対となるレジストローラ23で構成されている。レジストローラ23では、搬送路22を搬送される用紙Pの先端を当ててループを形成することで用紙の斜行を修正する。レジストローラ23でのループ作成完了後、中間転写ベルト16上の画像に合わせてレジストローラ23を搬送方向に回転駆動し、用紙Pを二次転写ローラ18側へ搬送する。この際にレジストローラ23のすぐ下流側にあるラインセンサ230で用紙Pの端部位置を読み取る。また、レジストローラ23は、用紙Pを挟んで用紙Pを主走査方向(通紙交差方向)に移動(揺動)させることができる。したがって、レジストローラ23は、本発明の片寄り補正部を構成する。レジストローラ23の揺動は、画像制御CPU113で制御される。ただし、本発明としては片寄り補正部の構成がレジストローラ23に限定されるものではない。
【0048】
図3(a)では、レジストローラ23は、中心23aが基準位置HPに位置している。
また、 レジストローラ23の搬送方向直後には、主走査方向に沿ってCCDセンサなどで構成されるラインセンサ230が配置されている。ラインセンサ230は、用紙Pの通紙交差方向端部位置を読み取り、その結果が画像制御CPU113に送信される。ラインセンサ230は、本発明の用紙位置測定部に相当する。
【0049】
なお、図3の(a)は、レジストローラ23に達した用紙Pに片寄り量xで片寄りが生じている状態を示している。
ラインセンサ230では、上記のように搬送される用紙Pの搬送方向に沿った用紙端が測定され、画像制御CPU113に測定結果が送信される。画像制御CPU113では、給紙の際に所定のサイズの用紙を選択しており、搬送中の用紙のサイズは把握されている。そして、画像制御CPU113は、上記用紙サイズとラインセンサ230による測定結果とから用紙中心P0の位置を判定する。また、画像制御CPU113では、中間転写ベルト16上に作像している画像中心G0を設定しており、この例では、画像中心G0は中間転写ベルト16のセンターラインに一致している。画像制御CPU113では前記用紙中心P0と前記画像中心G0との差分を算出する。この差分が用紙の片寄り量xになっている。
【0050】
図3の(b)は、片寄り量xを補正した状態を示している。
画像形成装置では、画像制御CPU113において、上記片寄り量xに基づいて、用紙中心P0が画像中心G0に揃うようにレジストローラ23の揺動量−xを決定し、その後、決定した揺動量−xだけレジストローラ23を基準位置HPから揺動させて用紙Pを補正量−xだけ移動させる。これにより画像中心G0と用紙中心P0とが合致し、レジストローラ23で送られる用紙が二次転写ローラ18へ送り込まれる。こうすることで、用紙Pの主走査方向の片寄りを補正し、画像位置に合わせることができる。また、上記揺動により、レジストローラ23の中心23aは、基準位置HPから距離−xを隔てて位置している。
なお、上記説明では、画像中心G0が中間転写ベルト16のセンターラインに一致するものとして説明したが、該センターラインと異なる位置に画像中心G0を設定するものであってもよい。
【0051】
図4は、レジストローラ23によって上記片寄り量xを揺動によって片寄り補正した後に、再度、ラインセンサ230および画像制御CPU113で用紙Pの用紙端を測定して用紙の片寄り量yを判定した結果である。
本来、レジストローラ23によって適正な片寄り補正が行われていれば、片寄り量は0になるはずであるが、用紙の紙特性などの要因によって適正な片寄り補正が行われず、片寄り補正動作後にも用紙が基準位置からずれている場合がある。この場合のずれ量は、片寄り量yとしてラインセンサ230で検知される。
【0052】
具体的には、揺動動作を行う際に現在の端部位置と揺動を行った後に、変化するはずの端部位置の理論値を計算しておく。揺動動作を完了したら、ラインセンサ230にて用紙Pの端部位置を再度読み取る。
【0053】
(実施形態1)
本発明の一実施形態では、上記で読み取った用紙の端部位置と、前述の理論値(画像位置)とを比較して、そのずれ量が所定量以上の場合にはエラー処理を行う。エラー処理によって片寄り補正の精度を向上させることができる。なお、所定量は寸法で絶対値で示されるものでもよく、また、例えば用紙サイズに対する比率で示されるようなものであってもよい。
不揮発メモリー115には、エラー処理と判定する用紙片寄りの所定値が設定されている。画像制御CPU113では、不揮発メモリー115の所定値を読み出し、前記のずれ量と比較し、ずれ量が所定値以上であればエラー処理を行う。ずれ量が所定値よりも小さければ、そのまま通常の処理(用紙Pの搬送、画像の転写など)を行うことができる。
【0054】
例えばエラー閾値(上記所定値)を0.30mmとし、揺動動作前の端部位置をラインセンサ230の左端からAmm、揺動量をBmmとした場合、揺動動作を完了したときの用紙端部位置の理論値はA+Bmmとなる。揺動動作後に測定した端部位置をCmmとすると、A+B−3≧CまたはA+B+3≦Cの場合には、理論値より0.30mmずれていたことになるのでエラーと判断してエラー処理を行う。エラー閾値である0.30mmはユーザーにより設定可能にしてもよい。
エラー処理としては、例えば、異常停止するか、その紙を別の排出先に排出するなど、正常な出力物として用紙を排出しないような動作である。これにより画像位置精度の低い印刷物を排除することができる。エラー処理の内容はユーザーが指定可能にしてもよい。
なお、上記所定値は、本発明としては特に数値が限定されるものではなく、適宜設定することができる。予め初期設定として記録されているものであってもよく、操作者が適宜の数値を設定するものであってもよい。また、所定値を変更できるようにしてもよく、複数の所定値が使い分けられるものであってもよい。
エラー処理では、上記した装置の停止、用紙の排紙の他、再度の片寄り補正などが挙げられる。また、これらを複合したもの、段階的に行うものであってもよい。
【0055】
なお、エラー処理に際しては、エラーの発生を操作部140に表示して通知することができ、また、その際にエラー処理の内容を表示するようにしても良い。
図5は、エラー処理において、装置を停止して用紙をジャム紙とした旨を操作部140に表示したエラー通知画面1400を示すものである。なお、ジャム紙を操作者の選択によって強制排紙できるように押釦可能な排紙釦1401を設けても良い。
【0056】
次に、エラー処理として再度の片寄り補正を行う場合について図6に基づいて説明する。
この例では、再度の用紙位置の測定結果により算出されたずれ量(補正誤差)と所定値との対比によってエラーであると判定されると、エラー処理として再度の片寄り補正(レジストローラ23の揺動動作)を行う。
ここで揺動動作には移動量[mm]に応じて揺動処理時間が必要になる。揺動に掛かる時間は移動量[mm]÷レジストローラ23の揺動速度である。
揺動動作が可能なリミットは用紙Pの先端が二次転写ローラ18に到達する前までであり、ラインセンサ230から二次転写ローラ18に到達するまでの時間をT、用紙がラインセンサ230に到達してから用紙端部検知に掛かる時間をA、1回目の揺動処理に掛かる時間をB、2回目の用紙端部検知時間に掛かる時間をCとすると、2回目の揺動動作が出来るか否かは、T−A−B−C>「2回目の揺動処理に掛かる時間D」であれば、2回目の揺動動作が可能となる。なお、揺動動作に掛かる時間B、Dはそれぞれの揺動量La、LcからB=La÷レジストローラ230の揺動速度、D=Lc÷レジストローラ230の揺動速度で求められる。
T−A−B−C>Dであれば、2回目の揺動動作を行い、T−A−B−C≦Dであれば揺動動作は行わないように判定することができる。該判定は画像制御CPU113で行うことができる。
Tは主に用紙間隔で決まる。印刷速度が遅い場合には、用紙間隔も長くなるためTが大きくなり、2回目の揺動を行いやすくなる。
【0057】
なお、式中で
T.ラインセンサ230から2次転写ローラ18に到達するまでの時間
A.1回目の用紙端部検知(揺動量La決定)
B.1回目の揺動処理
C.2回目の用紙端部検知(揺動量Lc決定)
である。
再度の片寄り補正を行うことで、片寄りの小さい印刷物、すなわち画像品質に優れた印刷物を得ることができる。
【0058】
次に、片寄り補正後の再度の用紙端部位置の測定に応じてエラー処理を行う手順を図7のフローチャートに基づいて説明する。以下の手順は画像制御CPU113によって実行される。
先ずプリント開始が待機される(ステップs1)。プリント開始されると、用紙がラインセンサ230に到達したか否かの判定がなされる(ステップs2)。用紙がラインセンサ230に到達しなければ(ステップs2、NO)、到達まで待機する。用紙がラインセンサ230に到達すると(ステップs2、YES)、ラインセンサ230で用紙の通紙交差方向端部を測定し、理想値(画像位置)との用紙のずれ(片寄り量)を算出する(ステップs3)。
【0059】
画像制御CPU113では、上記片寄り量から算出される補正量によってレジストローラ23による用紙Pの揺動処理を行う(ステップs4)。揺動処理後、再度、ラインセンサ230によって用紙Pの端部位置を測定し、用紙位置と理想値(画像位置)とのずれ(補正誤差)を算出する(ステップs5)。画像制御CPU113では、不揮発メモリー115に記憶されているエラー閾値(所定値)を読み出し、ずれ(補正誤差)がエラー閾値(所定値)以上であるかを判定する(ステップs6)。ずれ(補正誤差)がエラー閾値(所定値;例えば0.3mm)以上であれば(ステップs6、YES)、エラー処理を行い(ステップs7)、ジョブを終了する。この際のエラー処理としては、装置を停止する。ずれ(補正誤差)がエラー閾値(所定値)以上でなければ(ステップs6、NO)、プリント終了か否か判定し(ステップs8)、プリント終了でなければ(ステップs8、NO)、プリントを継続し(ステップs2へ)、プリント終了であれば(ステップs8、YES)、処理を終了する。
なお、この例ではエラー処理で、装置を停止してすぐにプリント終了する場合を示したが、エラー用紙のみ別トレイなどに排出して処理を継続してもよい。その場合にはエラー用紙の画像を後続の紙に印刷を行い、プリント処理を継続することができる。
【0060】
また、エラー処理では、再度の片寄り補正を行うようにしても良い。以下に、その例を図8のフローチャートに基づいて説明する。以下の手順は画像制御CPU113によって実行される。
先ずプリント開始が待機される(ステップs10)。プリント開始されると、用紙がラインセンサ230に到達したか否かの判定がなされる(ステップs11)。用紙がラインセンサ230に到達しなければ(ステップs11、NO)、到達まで待機する。用紙がラインセンサ230に到達すると(ステップs11、YES)、ラインセンサ230で用紙の通紙交差方向端部を測定し、理想値(画像位置)との用紙のずれ(片寄り量)を算出する(ステップs12)。
【0061】
画像制御CPU113では、上記片寄り量から算出される補正量によってレジストローラ23による用紙Pの揺動処理を行う(ステップs13)。揺動処理後、再度、ラインセンサ230によって用紙Pの端部位置を測定し、用紙位置と理想値(画像位置)とのずれ(補正誤差)を算出する(ステップs14)。画像制御CPU113では、不揮発メモリー115に記憶されているエラー閾値(所定値)を読み出し、ずれ(補正誤差)がエラー閾値(所定値)以上であるか判定する(ステップs15)。ずれ(補正誤差)がエラー閾値(所定値)以上であれば(ステップs15、YES)、再度片寄り補正(再揺動)する時間があるか否か、すなわち後続の用紙が到達するまでに用度を完了できるか否かを判定する(ステップs16)。
【0062】
再揺動する時間がなければエラー処理を行い(ステップs17)、ジョブを終了する。この際のエラー処理としては、装置を停止したり用紙を排紙したりすることができる。再揺動する時間があれば、再度の片寄り補正(揺動処理)を行い(ステップs18)、プリント終了かを判定する(ステップs19)。
ステップs15で、ずれ(補正誤差)がエラー閾値(所定値)以上でなければ(ステップs15、NO)、プリント終了か否か判定する(ステップs19)。
ステップs19で、プリント終了でなければ(ステップs19、NO)、プリントを継続し(ステップs11へ)、プリント終了であれば(ステップs19、YES)、処理を終了する。
この例では、再揺動する時間があるか否かでエラー処理の内容を変更しており、間に合えば再揺動をし、間に合わなければ装置の停止または用紙の排紙を行って片寄り補正の精度を向上させている。
【0063】
(実施形態2)
また、本発明の他の形態では片寄り補正後の用紙位置の測定結果から片寄り補正における調整量を決定し、その後の片寄り補正に該調整量を利用することができる。
片寄り補正後の用紙端部の位置測定によって理論値との差分を記憶しておき、再度の片寄り補正または後続の用紙に対してその差分(調整量)を考慮して一回目の片寄り補正を行う。
片寄り補正後の用紙端部の位置測定の結果、その差(理論値−実測値)が0.10mmだったとする。その場合は実際に揺動した距離が0.10mmほど不足しているため、例えば後続の用紙の1回目の用紙端部の位置測定から算出する片寄り補正量(揺動量)に0.10mm加算して片寄り補正(揺動)を行う。
【0064】
表1は、用紙の片寄り補正後の用紙端部の測定結果と理論値との差分を集計した表である。
表1のように揺動後の端部位置の理論値と実際の揺動後の端部位置との差分を記憶しておき、例えば直近10枚の移動平均の値を調整値としてもよい。
すなわち、揺動後の端部位置の理論値と実際の読取値との差分から10枚の移動平均を取り、それを調整値とすることができる。
用紙の片寄り補正後の用紙位置を確認し、以降の用紙の1回目の片寄り補正量を調整することで1回目の片寄り補正で精度の高い補正ができ、再度の片寄り補正を行う余裕がない場合でも画像ズレの少ない印刷物が得られる。
【0065】
【表1】

【0066】
次に、片寄り補正後の用紙位置を測定して、用紙の斤量やサイズなどの紙特性と関連付けて保存しそれを利用する例について説明する。
上記エラー処理に際し、再度の用紙位置測定結果と理論値との差分を表2に示すように、用紙の斤量及びサイズと関連付けて記憶しておく。表2は、用紙の斤量とサイズと補正値との関連テーブルである。そして、以降に同じ斤量やサイズなどの紙特性が使用された場合には、このテーブルから補正値を取得して1回目の揺動処理に加算する。
すなわち、以降の印刷処理で使用される斤量とサイズに基づいてテーブルから差分(調整値)を取得して、1回目の片寄り補正(揺動処理)に加算して片寄り補正(揺動)を行う。
なお、上記では、紙特性として斤量およびサイズを示したが、これらだけでなく、紙種、材質、光沢度、平滑度などを用いるものであってもよい。また、このテーブル中の値はジョブの実行に伴って逐次更新してもよい。
紙特性に関連付けて調整量を記憶することで、印刷JOBの1枚目から紙特性に応じ片寄り補正を行うことが出来る。
【0067】
【表2】

【0068】
次に、用紙の片寄りの補正後、用紙位置の再測定の結果に基づいて調整量を決定する手順を図9のフローチャートに基づいて説明する。以下の手順は画像制御CPU113によって実行される。
先ずプリント開始が待機される(ステップs20)。プリント開始されると、用紙がラインセンサ230に到達したか否かの判定がなされる(ステップs21)。用紙がラインセンサ230に到達しなければ(ステップs21、NO)、到達まで待機する。用紙がラインセンサ230に到達すると(ステップs21、YES)、ラインセンサ230で用紙の通紙交差方向端部を測定し、理想値(画像位置)との用紙のずれ(片寄り量)を算出し、決定されている調整量を加算して片寄り補正量を設定する(ステップs22)。調整量が決定される前は測定された片寄り量によって片寄り補正量を設定する。
【0069】
画像制御CPU113では、上記片補正量によってレジストローラ23による用紙Pの揺動処理を行う(ステップs23)。揺動処理後、再度、ラインセンサ230によって用紙Pの端部位置を測定し、用紙位置と理想値(画像位置)とのずれ(補正誤差)を算出する(ステップs24)。画像制御CPU113では、再測定値と理想値(画像位置)とのずれ量、すなわち補正誤差を算出し、記憶する(ステップ24)。
画像制御CPU113では、直近の所定枚数の用紙ずれ量を読み出して平均値を算出し、次回の片寄り補正における調整量を決定する(ステップs25)。
【0070】
次いで、プリント終了かを判定し、プリント終了でなければ(ステップs26、NO)、プリントを継続し(ステップs21へ)、プリント終了であれば(ステップs26、YES)、処理を終了する。
【0071】
次に、上記調整量を用紙の紙特性に関連付けてデーターとして記憶し、そのデーターを利用して片寄り補正を行う手順を図10のフローチャートに基づいて説明する。以下の手順は画像制御CPU113によって実行される。
先ずプリント開始が待機される(ステップs30)。プリント開始されると、用紙がラインセンサ230に到達したか否かの判定がなされる(ステップs31)。用紙がラインセンサ230に到達しなければ(ステップs31、NO)、到達まで待機する。用紙がラインセンサ230に到達すると(ステップs31、YES)、ラインセンサ230で用紙の通紙交差方向端部を測定し、理想値(画像位置)との用紙のずれ(片寄り量)を算出する。さらに、紙特性(この例では斤量、サイズ)に応じて記録されている調整量テーブルから、該当する用紙の斤量、サイズに従って調整量を読み出し、該調整量を加算して片寄り補正量を設定する(ステップs32)。調整量の決定前は測定された片寄り量によって片寄り補正量を設定する。なお、用紙の紙特性はジョブを管理する画像制御CPU113で把握されている。
【0072】
画像制御CPU113では、上記片補正量によってレジストローラ23による用紙Pの揺動処理を行う(ステップs33)。揺動処理後、再度、ラインセンサ230によって用紙Pの端部位置を測定し、用紙位置と理想値(画像位置)とのずれ(補正誤差)を算出する(ステップs34)。画像制御CPU113では、前記ずれ量から調整値を算出し、用紙の紙特性に関連付けて調整量テーブルに格納する(ステップ35)。
次いで、プリント終了かを判定し、プリント終了でなければ(ステップs36、NO)、プリントを継続し(ステップs31へ)、プリント終了であれば(ステップs36、YES)、処理を終了する。
なお、上記調整量の決定では、エラー処理の一環として行うものであっても良い。この場合、補正誤差が所定量以上の場合に調整量を決定しても良く、補正誤差が生じたことによって(所定量0超)調整量を決定するものとしてもよい。
【0073】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の説明に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 画像形成装置
10 画像形成部
16 中間転写ベルト
18 二次転写ローラ
21 給紙トレイ
22 搬送路
23 レジストローラ
230ラインセンサ
19 定着装置
113 画像制御CPU
115 不揮発メモリー
140 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記画像形成に備えて前記搬送途中の用紙を通紙交差方向に移動させて前記用紙の片寄りを補正する片寄り補正部と、
前記搬送途中の用紙の通紙交差方向の位置を測定する用紙位置測定部と、
前記画像形成および前記片寄り補正部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記用紙位置測定部の測定結果を受け、該測定結果に応じて前記片寄り補正部による前記片寄りの補正を行い、さらに前記片寄り補正後、再度、前記用紙位置測定部によって測定した測定結果を受け、該測定結果に基づく前記用紙の片寄り量が所定量以上の場合にエラー処理を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記エラー処理に際し、当該画像形成装置の停止処理またはエラー処理の対象となった用紙を装置外に排出する排紙処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記エラー処理に際し、前記エラー処理の対象となった用紙に対し、前記測定結果に応じて前記片寄り補正部による再度の片寄りの補正を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記エラー処理の対象となった用紙と該用紙の後続の用紙との搬送間隔と、再度の前記片寄りの補正に要する時間とに基づいて、再度の片寄りの補正の実行判定を行うことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記エラー処理に際し、片寄り補正後の前記測定結果に基づく前記用紙の片寄り量に応じて処理内容を決定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記画像形成に備えて前記搬送途中の用紙を通紙交差方向に移動させて前記用紙の片寄りを補正する片寄り補正部と、
前記搬送途中の用紙の通紙交差方向の位置を測定する用紙位置測定部と、
前記画像形成および前記片寄り補正部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記用紙位置測定部の測定結果を受け、該測定結果に応じて前記片寄り補正部による前記片寄りの補正を行い、さらに前記片寄り補正後、再度、前記用紙位置測定部によって測定した測定結果を受け、前記片寄り補正部によるその後の前記片寄りの補正の調整量を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、再度の測定結果に基づく前記用紙の片寄り量が所定量以上の場合に前記調整量の決定を行うことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、用紙における前記用紙位置測定部の測定結果に応じて前記片寄り補正部による前記片寄りの補正を行った際の補正量と、前記片寄り補正後、再度、前記用紙位置測定部によって測定された前記用紙位置との関係とから前記調整量を決定することを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、先行した複数の用紙における前記補正量と前記用紙位置との関係の傾向に基づいて前記調整量を決定することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記用紙位置測定部の測定結果に前記調整量を加えて前記片寄り補正部による片寄り補正を行うことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記調整量を前記用紙の紙特性に関連付けて記憶しておき、搬送途中の用紙の紙特性に応じて前記調整量を設定し、該調整量を加えて前記用紙に対する前記片寄りの補正を行うことを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記紙特性が、紙種、斤量、用紙サイズ、紙の材質および平滑度の1つまたは複数の組み合わせであることを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−88627(P2013−88627A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229181(P2011−229181)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】