説明

画像形成装置

【課題】二次転写ベルトに隣接する出口ガイド部材がトナーで汚れることを大幅に抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体1M、1Y、1C、1Bkに形成したトナー像を、弾性を有する中間転写ベルト2に一次転写し、一次転写により該弾性中間転写ベルト2に担持したトナー像を少なくもバイアスローラ12及び分離ローラ13に巻き掛けられてなる二次転写ベルト11を介して記録媒体に転写する画像形成装置であって、 二次転写ベルト11に転写したトナーパターンを検知して濃度調整のプロセスコントロールを行う画像形成装置において、二次転写ベルト11の分離ローラ13が導電性ローラであって、該分離ローラ13にトナーと逆極性のバイアスを印加する電源装置21を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体の表面に形成したトナー像を、中間転写ベルトを介して記録媒体に転写する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはその少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される上記形式の画像形成装置は周知である。かかる画像形成装置において、例えば複数の像担持体である感光体にそれぞれ異なる色のトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト上に重ね転写し、二次転写手段を介して例えば用紙等の記録媒体に転写する装置も良く知られている。
【0003】
この種の画像形成装置において、特許文献1には中間転写ベルトとして弾性中間転写ベルトを使用し、中抜け画像の発生を抑え、かつ、凹凸性の高い記録媒体への転写性を高めることが記載されている。しかし、弾性の中間転写ベルトは従来より多く使用されているポリイミド等からなる中間転写ベルトよりも表面光沢度が低いため、中間転写ベルト上にトナーパターンを担持させ、該パターンのトナー濃度を検知して濃度調整するプロセスコントロールが実施することができないという問題があった。
【0004】
また、二次転写手段は転写ローラを用いるのが一般的であるが、二次転写手段として二次転写ベルトを使用し、記録媒体の搬送性、分離性を高め、記録媒体搬送をスピーディに行う技術が既に知られている。そこで、この二次転写ベルトにポリイミドベルト等の表面光沢度のあるものを用いて中間転写ベルト上ではなく二次転写ベルト上で濃度調整のプロセスコントロールを実施することが提案されている。
【0005】
しかし、二次転写ベルト上で濃度調整のプロセスコントロールを実施しようとすると、二次転写ベルトの記録媒体送り方向下流側には記録媒体を案内する出口ガイド部材が設けられておリ、上記プロセスコントロールで使ったトナーがその出口ガイド部材に滞留し、そのトナーが記録媒体の裏面に付着して、その裏面を汚してしまうという問題が発生することがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来の事情に鑑み、二次転写ベルトに隣接する出口ガイド部材がトナーで汚れることを大幅に抑えることができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、像担持体に形成したトナー像を、弾性を有する中間転写ベルトに一次転写し、一次転写により該弾性中間転写ベルトに担持したトナー像を少なくもバイアスローラ及び分離ローラに巻き掛けられてなる二次転写ベルトを介して記録媒体に転写する画像形成装置であって、前記二次転写ベルトに転写したトナーパターンを検知して濃度調整のプロセスコントロールを行う画像形成装置において、前記二次転写ベルトの分離ローラが導電性ローラであって、該分離ローラにトナーと逆極性のバイアスを印加する電源装置を設けたことを特徴とする画像形成装置を提案する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、濃度調整するプロセスコントロールのためのトナーパターンを二次転写ベルト転写して実施する構成であっても、二次転写ベルトに隣接する出口ガイド部材がトナーで汚れてしまうことを大幅に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】その好ましい電界を示す説明図である。
【図3】分離ローラにバイアスを印加した画像形成装置を示す説明図である。
【図4】出口ガイド部材にバイアスを印加した画像形成装置を示す説明図である。
【図5】分離ローラと出口ガイド部材の両方にバイアスを印加した画像形成装置を示す説明図である。
【図6】印加するバイアスのON・OFF時を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施の他の形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図8】分離ローラに印加するバイアスの切り換えを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、電子複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの複合機などとして構成される画像形成装置の一例を示す概略構成図である。ここに示した画像形成装置本体内には、ドラム状に形成された第1乃至第4の感光体1M,1Y,1C,1Bkを有する作像部が配置され、これらの作像部の感光体に対向して、無端ベルトより成る像担持体としての中間転写ベルト2が配置されている。この中間転写ベルト2は、3つのローラ3、4、5とに巻き掛けられ、例えばローラ3が図1における時計方向に駆動されることによって矢印A方向に回転駆動される。
【0011】
図1に示した画像形成装置は、第1乃至第4の4つの感光体1M乃至1Bkを有しているが、感光体の数は4つ以上であってもよい。また、図1に示した画像形成装置は、中間転写ベルト2が2つのローラ3、4。5に巻き掛けられているが、このローラの数は2個以上であればよい。
【0012】
第1乃至第4の感光体1M乃至1Bkは、それぞれ中間転写ベルト2の表面に当接しながら、図1における時計方向に回転駆動される。このとき、第1の感光体1Mは、帯電ローラ6によって所定の極性に帯電され、その帯電面に、図示していない光書き込みユニットから出射した光変調されたレーザビーム7が照射される。これによって第1の感光体1Mに静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像装置8によってマゼンタトナー像として可視像化される。一方、一次転写ローラ9には転写電圧が印加され、これによって感光体1M上のトナー像が矢印方向に回転駆動される中間転写ベルト2の表面に一次転写される。トナー像転写後の感光体1M上に付着する転写残トナーは、クリーニング装置10によって除去される。
【0013】
上述したところと全く同様にして、第2乃至第4の感光体1Y,1C,1Bk上にイエロートナー像、シアントナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成され、その各トナー像がマゼンタトナー像の転写された中間転写ベルト2上に順次重ねて転写され、中間転写ベルト2上に4色の重ねトナー像が担持される。
【0014】
一方、画像形成装置本体1の下部には図示していないが、給紙装置が配置され、この給紙装置から記録媒体(図示せず)が送り出される。送り出された記録媒体は、ローラ5の位置において中間転写ベルト2に対置された二次転写ベルト11との間に給送され、このとき二次転写ベルト11を支持するバイアスローラ12に転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト2上の重ねトナー像が記録媒体に二次転写される。
【0015】
本例の二次転写ベルト11は、バイアスローラ12、分離ローラ13及びテンションローラ14に巻き掛けられ、例えば、分離ローラ13が反時計方向に回転駆動することによって矢印B方向に回転駆動される。そしてバイアスローラ12には転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト2上のトナー像が記録媒体の表面に二次転写される。
【0016】
かくして、重ねトナー像が転写された記録媒体は二次転写ベルト11から分離されて出口ガイド部材15、搬送ベルト16を介して定着装置17に送られる。定着装置17を通過するとき、記録媒体には熱と圧力の作用によって当該記録媒体上のトナー像が定着され、定着後、画像形成装置の排紙部(図示せず)に排出される。
【0017】
本実施の形態の画像形成装置においては、中間転写ベルト2に中抜け画像の発生を抑え、かつ、凹凸性の高い記録媒体への転写性を高めることができる弾性中間転写ベルトを使用している。この弾性中間転写ベルトとしては、基層上にウレタンゴムやシリコンゴムなどから構成される導電性弾性層を形成し、その表面層を保護層としてのフッ素樹脂などで覆うようにして構成されるのが一般的に知られている。なお、導電性弾性層の基材としては、シリコンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン-プロピレン-ジエン-メチレン(EPDM)、ウレタンゴムなどが用いられ、導電性保護層の材料としては、摩擦抵抗の低減、電気特性環境に対する安定性、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性の向上といった目的を達成できるものであれば特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などのフッ素樹脂系ポリマーを、アルコール可溶性ナイロン系、シリコーン樹脂系、シランカプラー、ウレタン樹脂系のエマルションや有機溶剤に溶解・分散した塗料を使用することができる。これら保護層は、ディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどの方法で塗布することにより設けることが可能である。
【0018】
ところで、弾性中間転写ベルトを用いると、ベルトの表面光沢度不足から該ベルトにトナーパターンを担持させ、該パターンのトナー濃度を検知して濃度調整するプロセスコントロールが精度良く実施することができないという問題がある。
【0019】
そこで、本実施の形態では二次転写ベルト11にポリイミドベルト等の表面光沢度のある二次転写ベルトを使用し、この二次転写ベルト上でPセンサ20によってトナー濃度を検知し、その検知情報に基づいてトナー補給等を制御する濃度調整のプロセスコントロールを実施している。
【0020】
しかし、二次転写ベルト11上で濃度調整のプロセスコントロールを実施しようとすると、二次転写ベルト11に近接する出口ガイド部材15に該プロセスコントロールで使ったトナーが滞留し、そのトナーが記録媒体の裏面に付着して、その裏面を汚してしまうという問題が発生することがあることは先に説明した。
【0021】
そこで、本発明では図2に示すように、二次転写ベルト11の分離ローラ13の近傍においてCまたはDで示す電界を作り、出口ガイド部材15に飛散トナーが付着しないように構成している。
【0022】
具体的には、本画像形成装置ではトナーにマイナストナーを用い、二次転写ベルト11の分離ローラ13及び出口ガイド部材15を導電性としている。そして、図3に示す実施形態においては二次転写ベルト11の分離ローラ13に電源装置21を介してトナーと逆極性のバイアスを印加している。これによって、二次転写ベルト11の分離ローラ13近傍には飛散トナーを積極的に二次転写ベルト11側に引き付ける電界Cが作られ、電界Cによって該トナーが出口ガイド部材15に付着することが抑えられる。
【0023】
また、図4に示す実施形態では導電性の出口ガイド部材15に第2の電源装置22を介してトナーと同極性のバイアスを印加し、これによって出口ガイド部材15に飛散トナーが反発する電界Dが作られる。この電界Dが作られることによって飛散トナーは出口ガイド部材15に付着しにくくなり、出口ガイド部材15がトナーで汚れることが抑えられる。
【0024】
さらにまた、図5に示す実施形態では二次転写ベルト11の分離ローラ13に電源装置21を介してトナーと逆極性のバイアスを印加し、出口ガイド部材15に第2の電源装置22を介してトナーと同極性のバイアスを印加するという、図3と図4の両方の構成を持っている。この構成であると、その効力が増大し、飛散トナーの出口ガイド部材15への付着をより強力に抑えている。
【0025】
ところで、分離ローラ13に電源装置21を介してトナーと逆極性のバイアスを印加すると、二次転写ベルト11から記録媒体が分離しづらくなる。また、出口ガイド部材15にトナーと同極性のバイアスを印加すると、記録媒体の搬送性を損なったりする等の恐れがある。
【0026】
そこで、分離ローラ13のバイアス印加と、出口ガイド部材15のバイアス印加は、図6に示すように、Pパターンを作成してそれの濃度を検知する調整パターン転写時に限定する。すなわち、調整パターン転写とトナー像を記録媒体に転写とが同時に行われることがないので、上記したバイアスの印加をON・OFF制御できるようにすることにより、ON時を調整パターン転写時に限り、トナー像転写時はOFFすることによって分離性や搬送性を損なわないように構成している。なお、図3の分離ローラ13にバイアスを印加するだけのもの、図4の出口ガイド部材15にバイアスを印加するだけのものにおいても同様の制御が有効である。
【0027】
また、分離ローラ13へのバイアス印加は記録媒体の分離性を考慮すれば、トナーと同極性のバイアスを印加することが好ましい。そこで、図7に示すように、分離ローラ13に電源装置21を介してトナーと逆極性のバイアス印加と、第3の電源装置23を介してトナーと同極性のバイアスの印加とを選択的に切り換えられるように構成する。そして、図8に示すように、調整パターン転写時には電源装置21をONして第3の電源装置23をOFFし、トナー像転写時は電源装置21をOFFして第3の電源装置23をONするように制御する。このように制御することによって、より記録媒体の二次転写ベルト11からの分離性を良好にすることができる。
【符号の説明】
【0028】
2 中間転写ベルト
11 二次転写ベルト
12 バイアスローラ
13 分離ローラ
20 Pセンサ
21 バイアス電源
22 第2のバイアス電源
23 第3のバイアス電源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2009−251321号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成したトナー像を、弾性を有する中間転写ベルトに一次転写し、一次転写により該弾性中間転写ベルトに担持したトナー像を少なくもバイアスローラ及び分離ローラに巻き掛けられてなる二次転写ベルトを介して記録媒体に転写する画像形成装置であって、
前記二次転写ベルトに転写したトナーパターンを検知して濃度調整のプロセスコントロールを行う画像形成装置において、
前記二次転写ベルトの分離ローラが導電性ローラであって、該分離ローラにトナーと逆極性のバイアスを印加する電源装置を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記分離ローラへのバイアス印加がON・OFF制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、前記分離ローラへのバイアス印加が濃度調整のプロセスコントロールのためのトナーパターンが転写されているときにのみに限定されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
像担持体に形成したトナー像を、弾性を有する中間転写ベルトに一次転写し、一次転写により該弾性中間転写ベルトに担持したトナー像を少なくもバイアスローラ及び分離ローラに巻き掛けられてなる二次転写ベルトを介して記録媒体に転写する画像形成装置であって、
前記二次転写ベルトに転写したトナーパターンを検知して濃度調整のプロセスコントロールを行う画像形成装置において、
前記二次転写ベルトからの記録媒体を受ける導電性の出口ガイド部材と、
該出口ガイド部材にトナーと同極性のバイアスを印加する第2の電源装置とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、前記出口ガイド部材へのバイアス印加がON・OFF制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、前記出口ガイド部材へのバイアス印加が濃度調整のプロセスコントロールのためのトナーパターンが転写されているときにのみに限定されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
像担持体に形成したトナー像を、弾性を有する中間転写ベルトに一次転写し、一次転写により該弾性中間転写ベルトに担持したトナー像を少なくもバイアスローラ及び分離ローラに巻き掛けられる二次転写ベルトを介して記録媒体に転写する画像形成装置であって、
濃度調整のプロセスコントロールをする際、トナーパターンを二次転写ベルトに転写して実行する画像形成装置において、
前記二次転写ベルトの分離ローラが導電性ローラであって、該分離ローラにトナーと逆極性のバイアスを印加する電源装置と、
前記二次転写ベルトからの記録媒体を受ける導電性の出口ガイド部材と、
該出口ガイド部材にトナーと同極性のバイアスを印加する第2の電源装置とを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1または7に記載の画像形成装置において、前記分離ローラにトナーと逆極性のバイアスを印加する電源装置とは別にトナーと同極性のバイアスを印加する第3の電源装置を設け、前記分離ローラには前記電源装置のバイアス印加と前記第3の電源装置のバイアス印加とが切り換え可能であるとともに、濃度調整のプロセスコントロールのためのトナーパターンが転写されているときに前記電源装置により前記分離ローラにバイアスが印加され、記録媒体にトナー像が転写されているときに前記第3の電源装置により前記分離ローラにバイアスが印加されることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−92656(P2013−92656A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234788(P2011−234788)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】