説明

画像撮影システム及び画像形成装置

【課題】 煩雑な作業を伴うことなく、撮影対象となる画像を撮影する。
【解決手段】 制御部66が、入力された画像データDから用紙Pに形成された画像Gの幅方向Wの位置を特定し、その位置へ、ボールねじ72が回転することによって、CCDカメラ60を移動させる。このため、操作者が画像Gの位置を把握して、その位置へCCDカメラ60を移動させるという煩雑な作業をすることなく、CCDカメラ60は、自動的に移動し、撮影対象となる画像Gが撮影できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システム及びその画像撮影システムを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムとしては、印刷物上に形成された印刷基準マークをカメラで撮影し、撮影した印刷基準マークと検査用の基準パターンとを比較して、印刷の位置ズレや色ずれを検出するシステムが公知である(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、記録媒体上に印刷されたバーコードや2次元コードを、小型CCDカメラで撮影し、それらのコードが正しく印刷されているか等を評価するシステムが提案されている。
【特許文献1】特開平10−334243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような画像撮影システムにおいては、通常、カメラが撮影できる範囲が限られている。このため、予め、撮影対象となる画像を形成する位置を限定しておくか、撮影対象となる画像が形成される位置を操作者が把握し、その位置へ手動によりカメラを移動するなどの対応が必要であったため、作業が煩わしかった。
【0005】
また、バーコードのように長方形状をした画像の場合は、カメラの向きを変更した方が効率的に撮影できる場合もあるが、その際も手動で、カメラの向きを変更するなどの対応が必要であったため、作業が煩わしかった。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、煩雑な作業を伴うことなく、撮影対象となる画像を撮影できる画像撮影システム及び画像撮影システムを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る画像撮影システムは、搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、前記記録媒体の搬送方向と直交する幅方向に沿って移動可能に支持され、前記記録媒体上に形成された画像を撮影するカメラと、画像データから前記記録媒体上に形成された画像の幅方向の位置を特定する制御部と、前記制御部が特定した位置へ前記カメラを移動させるカメラ移動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、カメラが、撮影対象となる画像が形成された位置へ、記録媒体の搬送方向と直交する幅方向に沿って移動し、その画像を撮影する。その撮影した画像に基づき画像の形成結果を評価する。
【0009】
ここで、本発明の請求項1の構成では、制御部が、画像データから記録媒体上に形成された画像の幅方向の位置を特定し、カメラ移動機構が、その特定した位置へカメラを移動させる。
【0010】
このため、操作者が画像の位置を把握して、その位置へカメラを移動させるという煩雑な作業をすることなく、カメラは自動的に移動し、撮影対象となる画像が撮影できる。
【0011】
本発明の請求項2に係る画像撮影システムは、搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、回動可能に支持され、前記記録媒体上に形成された画像を撮影するカメラと、画像データから前記記録媒体上の画像の形状を特定する制御部と、前記制御部が特定した形状の長手方向と前記カメラの撮影エリアの長手方向とが一致する向きへ前記カメラを回動させるカメラ回動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、カメラが、撮影対象となる画像の形状の長手方向とカメラの撮影エリアの長手方向とが一致する向きへ回動し、その画像を撮影する。その撮影した画像に基づき画像の形成結果を評価する。
【0013】
このため、横に長いバーコードなどの画像を常にカメラの撮影エリアのサイズ内最大に撮影することが可能になり、画像の読み取り精度の向上が期待できる。
【0014】
ここで、本発明の請求項2の構成では、制御部が、画像データから記録媒体上の画像の形状を特定し、カメラ回動機構が、その特定した形状の長手方向とカメラの撮影エリアの長手方向とが一致する向きへカメラを回動させる。
【0015】
このため、操作者が画像の形状を把握して、その形状に応じてカメラを回動させるという煩雑な作業をすることなく、撮影対象となる画像を精度よく撮影できる。
【0016】
本発明の請求項3に係る画像撮影システムは、搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、前記記録媒体上に形成された画像を撮影するカメラと、画像データから前記記録媒体上に形成された画像の幅方向の位置を特定した制御部と、前記制御部が特定した位置に基づき、前記記録媒体上に形成された画像が前記カメラの撮影エリアを通過する位置へ前記記録媒体を幅方向へ移動させる記録媒体移動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、撮影対象となる記録媒体上の画像がカメラの撮影エリアを通過する位置へ、記録媒体が移動し、その画像をカメラが撮影する。その撮影した画像に基づき画像の形成結果を評価する。
【0018】
ここで、本発明の請求項3の構成では、制御部が、画像データから記録媒体上に形成された画像の幅方向の位置を特定し、記録媒体移動機構が、その特定した位置に基づき、記録媒体上に形成された画像がカメラの撮影エリアを通過する位置へ記録媒体を幅方向へ移動させる。
【0019】
このため、操作者が画像の位置を把握して、その位置へカメラを移動させるという煩雑な作業をすることなく、その画像は、自動的にカメラの撮影エリアを通過し、撮影対象となる画像が撮影できる。
【0020】
また、本発明の請求項3の構成では、カメラを移動させないので、記録媒体の搬送路の端部に、撮影対象となる画像があり、カメラが近寄れないような場合でも撮影が可能となる。
【0021】
本発明の請求項4に係る画像撮影システムは、搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、前記記録媒体上に形成された画像を撮影するカメラと、画像データから前記記録媒体上の画像の形状を特定する制御部と、前記制御部が特定した形状の長手方向と前記カメラの撮影エリアの長手方向とが一致する向きへ前記記録媒体を回動させる記録媒体回動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、撮影対象となる画像の形状の長手方向とカメラの撮影エリアの長手方向とが一致する向きへ、記録媒体が回動し、その画像をカメラが撮影する。その撮影した画像に基づき画像の形成結果を評価する。
【0023】
このため、横に長いバーコードなどの画像を常にカメラの撮影エリアのサイズ内最大に撮影することが可能になり、画像の読み取り精度の向上が期待できる。
【0024】
ここで、本発明の請求項4の構成では、制御部が、画像データから記録媒体上に形成された画像の幅方向の位置を特定し、記録媒体回動機構が、その形状の長手方向とカメラの撮影エリアの長手方向とが一致する向きへ記録媒体を回動させる。
【0025】
このため、操作者が画像の形状を把握してその形状に応じてカメラ又は記録媒体を回動させるという煩雑な作業をすることなく、撮影対象となる画像を精度よく撮影できる。
【0026】
また、本発明の請求項4の構成では、カメラを動かさないので、記録媒体の搬送路の端部に、撮影対象となる画像があり、カメラが近寄れないような場合でも撮影が可能となる。
【0027】
本発明の請求項5に係る画像撮影システムは、搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、前記記録媒体上に形成された画像を撮影するカメラと、画像データを反転させて前記カメラが撮影可能な範囲へ画像を形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、カメラが、搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影する。その撮影した画像に基づき画像の形成結果を評価する。
【0029】
ここで、本発明の請求項5の構成では、画像形成部が、画像データを反転させてカメラが撮影可能な範囲へ画像を形成する。
【0030】
このため、操作者が画像の位置を把握してその位置へカメラを移動させるという煩雑な作業をすることなく、その画像は、カメラが撮影可能な範囲へ形成され、撮影対象となる画像が撮影できる。従って、本発明の請求項5の構成によれば、煩雑な作業を伴うことなく、撮影対象となる画像を撮影できる。
【0031】
また、本発明の請求項5の構成では、カメラを移動させないので、記録媒体の搬送路の端部に、撮影対象となる画像があり、カメラが近寄れないような場合でも撮影が可能となる。
【0032】
本発明の請求項6に係る画像撮影システムは、搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、前記記録媒体の幅方向に沿って配置された複数のカメラと、画像データから前記記録媒体上に形成された画像の幅方向の位置を特定し、その位置の撮影が可能な前記カメラを作動させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、記録媒体の幅方向に沿って配置された複数のカメラのうち、画像が形成された記録媒体上の位置の撮影が可能なカメラが作動し、その画像を撮影する。その撮影した画像に基づき画像の形成結果を評価する。
【0034】
ここで、本発明の請求項6の構成では、制御部が、画像データから記録媒体上に形成された画像の幅方向の位置を特定し、その位置の撮影が可能なカメラを作動させる。
【0035】
このため、操作者が画像の位置を把握して、その位置の撮影が可能なカメラを選択するという煩雑な作業をすることなく、カメラが自動的に選択され、撮影対象となる画像が撮影できる。
【0036】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、請求項1〜6のいずれかに1項に記載の画像撮影システムを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、上記構成としたので、煩雑な作業を伴うことなく、撮影対象となる画像を撮影できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、本発明の画像撮影システム及びその画像撮影システムを備えた画像形成装置に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0039】
まず、本発明の画像撮影システムを備えた画像形成装置の全体構成について説明する。図1には、本実施形態に係る画像形成装置の全体概略が示されている。
【0040】
図1に示すように、画像形成装置10は、第1ユニット11、第2ユニット12、第3ユニット13、第4ユニット14から構成されている。第1ユニット11及び第2ユニット12は、それぞれ、用紙Pを積載収容する給紙トレイ16を備えている。
【0041】
給紙トレイ16内の用紙Pは、ピックアップローラ18によって、搬送路20へ送り出される。搬送路20へ送り出された用紙Pは、複数の搬送ローラ22で、用紙Pへ画像を形成する画像形成部24へ挟持搬送される。
【0042】
また、第4ユニット14は、用紙Pを積載収容する2つの給紙トレイ26を備えている。給紙トレイ26内の用紙Pは、ピックアップローラ28によって、搬送路20へ送り出される。搬送路20へ送り出された用紙Pは、複数の搬送ローラ22及び搬送ベルト32で、画像形成部24へ搬送される。
【0043】
画像形成部24は、複数のローラ35で張架され、一方向(図1において反時計方向)へ回転する感光体ベルト34を備えている。感光体ベルト34の下側には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応したプリントエンジン36Y、36M、36C、36Kが設けられている。
【0044】
各プリントエンジン36Y、36M、36C、36Kは、感光体ベルト34の回転方向に沿って、順に配設された帯電器37、露光ヘッド38、現像器39を備えている。
【0045】
感光体ベルト34は、その表面が帯電器37によって略均一に帯電される。感光体ベルト34の帯電面は、露光ヘッド38によって露光され、感光体ベルト34の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。次いで、この静電潜像が現像器39によって現像され、感光体ベルト34の表面にトナー画像が形成される。
【0046】
なお、露光ヘッド38には、制御部66が接続されており(図2参照)、操作者により制御部66へ入力された画像データや、原稿をスキャナで読み取ることで得られた画像データ等が、制御部66から露光ヘッド38に入力され、この画像データに基づく静電潜像を露光ヘッド38は形成する。
【0047】
画像形成部24へ搬送された用紙Pは、感光体ベルト34と転写コロトロン40との間に導入され、転写コロトロン40が、用紙Pの裏面に向けて放電して、トナー電荷と逆極性の電荷を与えて、感光体ベルト34上のトナー画像を用紙Pへ転写する。なお、転写後、感光体ベルト34に残留したトナーは、クリーニング機構42で除去される。
【0048】
トナー画像が転写された用紙Pは、さらに、下流側にある一対定着ローラ44へ搬送され、この定着ローラ44に挟持され、用紙Pへトナー画像が圧着される。
【0049】
トナー画像が圧着された用紙は、さらに下流側へ複数の搬送ローラ22で搬送され、排出ロール46によって、第1ユニット11及び第2ユニット12にそれぞれ設けられたスタッカ48へ排出される。
【0050】
用紙Pの両面へ画像を形成する場合は、定着ローラ44とスタッカ48との間に設けられた反転部50で、片面に画像が形成された用紙Pの裏表が反転されて、搬送ベルト32に送り込まれる。搬送ベルト32に送り込まれた用紙Pは、搬送ベルト32及び複数の搬送ローラ22で、再び画像形成部24へ搬送されて、裏面に画像が形成される。
【0051】
なお、第3ユニット13には、用紙Pを反転させるための反転機構52が設けられている。この反転機構52は、両面に画像が形成された用紙Pの表面を上側にして、スタッカ48に積載したい場合など、用紙Pの裏表の向きを調整したい場合に用いられる。
【0052】
また、第4ユニット14に上部には、用紙Pの一枚又は数枚、試し刷りをした際に、排出される排出トレイ54が設けられている。
【0053】
また、第1ユニット11に上部には、パージトレイ56が配設されており、搬送中に何らかの不具合が発生し、適切な画像形成処理を施すことができず、不要となった用紙Pが排出される。
【0054】
ここで、用紙上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムを構成する画像撮影部について説明する。
【0055】
本実施形態に係る画像撮影部は、用紙P上に形成された画像を撮影して、その撮影した画像を分析することにより、用紙P上に形成された画像の形成結果を評価するものである。具体的には、用紙P上に形成された画像自体が正確に形成されているか、用紙P上の正しい位置に画像が形成されているか、正しい順番で用紙Pに画像が形成されているか等を評価するものである。
【0056】
図1に示すように、本実施形態に係る画像撮影部58は、定着ローラ44と反転部50との間であって、搬送路20の上方に配置されたCCDカメラ60を備えている。
【0057】
このCCDカメラ60は、図2に示すように、レンズ60Aが下方へ向けられ、用紙Pの上面に形成された画像Gを撮影する。撮影対象となる画像Gとしては、バーコード及び2次元コード、その他の文字図形が含まれる。また、給紙トレイ16、26に収容される用紙Pが白紙である場合は、画像形成部24で形成された画像Gのみが対象となるが、プレプリント紙である場合は、画像形成部24で形成された画像G及び、既に形成されていた画像Gの両方が撮影対象に含まれる。
【0058】
CCDカメラ60と搬送路20との間には、用紙Pへ照明光を照射するリング状の照明62が設けられている。この照明62の内周側にある空間を通して、CCDカメラ60は画像Gを撮影する。
【0059】
搬送路20を挟んでCCDカメラ60と反対側、すなわち、搬送路20の下側には、CCDカメラ60に対向して、CCDカメラ60の撮影タイミングを決定するために用いられるセンサ64が配置されている。
【0060】
このセンサ64は、発光部64Aと受光部64Bとを有する反射型センサであり、用紙Pの先端を検知するように構成されている。すなわち、発光部64Aから上方へ光線(例えば、赤外線)を発し、その光線が、搬送される用紙Pで反射するようになると、受光部64Bへ入射する光量が増える。これにより、用紙Pの先端がセンサ64の上方を差し掛かったことを検知する。
【0061】
センサ64には、制御部66が接続され、センサ64が用紙Pの先端を検知すると、その信号が制御部66へ送られる。制御部66は、入力された画像データDに基づき、撮影対象となる画像Gと用紙Pの先端との距離Kを把握し(図4参照)、その距離と搬送ローラ22が用紙Pを搬送する所定の搬送速度とから、撮影対象となる画像GがCCDカメラ60の撮影エリアに到達する時間を割り出す。
【0062】
この到達時間と、センサ64が用紙Pの先端を検知したタイミングとに基づき、撮影対象としての画像GがCCDカメラ60の撮影エリアに到達するタイミングを割り出し、CCDカメラ60の撮影タイミングを決定する。決定した撮影タイミングで撮影するように、制御部66は、CCDカメラ60へ指令を送る。
【0063】
また、CCDカメラ60は、図2、図3に示すように、用紙Pの搬送方向Hと直交する幅方向Wに沿ってスライド移動可能なスライダ(カメラ回動機構)68に、回動可能に支持されている。このスライダ68は、内蔵されたモータによってCCDカメラ60を所定角度回動させることが可能となっている。
【0064】
また、スライダ68は、モータ76の駆動力で自らの軸周りに回転するボールねじ72に螺合している。このボールねじ72は、搬送される用紙P幅以上の長さとされ、用紙Pの幅方向両端側に配置された固定部材70に固定されている。
【0065】
この固定部材70には、スライダ68を貫通して、ボールねじ72の軸方向にスライダ68を案内するガイド棒74が、ボールねじ72に対して平行に固定されている。この構成によれば、CCDカメラ60は、ボールねじ72が回転することにより、スライダ68と一体に、ガイド棒74に沿って、用紙Pの幅方向Wへスライド移動するようになっている。すなわち、本実施形態では、本発明に係るカメラ移動機構は、スライダ68、固定部材70、ボールねじ72、ガイド棒74、モータ76で構成されている。
【0066】
また、制御部66は、操作者により制御部66へ入力された画像データDや、原稿をスキャナで読み取ることで得られた画像データD等から、撮影対象となる画像Gの幅方向Wの位置を特定するように構成されている(図4参照)。制御部66は、その特定した位置へCCDカメラ60が移動するように、ボールねじ72のモータ76の駆動制御を行う。
【0067】
また、制御部66は、操作者により制御部66へ入力された画像データDや、原稿をスキャナで読み取ることで得られた画像データD等から、撮影対象となる画像Gの形状を特定するように構成されている。制御部66は、その形状の長手方向N1とCCDカメラ60の撮影エリアAの長手方向N2とが一致する向きへ、CCDカメラ60が回動するように、スライダ68に内臓されたモータの駆動制御を行う(図5参照)。
【0068】
次に、上記の実施形態について作用を説明する。
【0069】
本実施形態では、給紙トレイ16、26のいずれかから用紙Pが送り出され、画像形成部24に搬送される。画像形成部24で、用紙Pの上面にトナー画像が形成され、そのトナー画像が定着ローラ44で定着される。トナー画像が定着された用紙Pは、定着ローラ44の下流側にある画像撮影部58へ搬送される。
【0070】
一方、制御部66は、入力された画像データから、撮影対象となる画像Gの幅方向Wの位置を特定し(図4参照)、その特定した位置情報に基づき、ボールねじ72のモータ76の駆動制御を行う。これにより、CCDカメラ60は、制御部66に特定された所定の位置に移動する。
【0071】
また、制御部66は、入力された画像データDから撮影対象となる画像Gの形状を特定する。その特定した形状情報に基づき、スライダ68に内臓されたモータの駆動制御を行う。これにより、図5に示すように、画像Gの長手方向N1とCCDカメラ60の撮影エリアの長手方向N2とが一致する向きへ、CCDカメラ60が回動する。
【0072】
このため、横に長いバーコードなどの画像Gを、常にCCDカメラ60の撮影エリアAのサイズ内最大に撮影することが可能になり、画像Gの読み取り精度の向上が期待できる。なお、図5には、回動後のCCDカメラ60を2点鎖線で示している。
【0073】
用紙Pが画像撮影部58へ搬送されると、用紙Pの先端がセンサ64によって検知され、その信号が制御部66に入力される。
【0074】
制御部66は、入力された画像データDに基づき、撮影対象となる画像Gと用紙Pの先端との距離を把握し(図4参照)、その距離と搬送ローラ22が用紙Pを搬送する所定の搬送速度とから、撮影対象となる画像GがCCDカメラ60の撮影エリアに到達する時間を割り出す。
【0075】
その時間と、センサ64が用紙Pの先端を検知してタイミングとから、画像Gがカメラの撮影エリアに到達するタイミングを割り出し、カメラの撮影タイミングを決定する。その撮影タイミングで撮影するように、CCDカメラ60へ指令を送り、CCDカメラ60が画像Gを撮影する。
【0076】
その画像Gを分析することにより、用紙P上に形成された画像G自体が正確に形成されているか、用紙P上の正しい位置に画像Gが形成されているか、正しい順番で用紙Pに画像Gが形成されているか等を評価する。
【0077】
上記のように、本実施形態では、制御部66が、入力された画像データDから用紙Pに形成された画像Gの幅方向Wの位置を特定し、その位置へ、ボールねじ72が回転することによって、CCDカメラ60を移動させる。
【0078】
このため、操作者が画像Gの位置を把握して、その位置へCCDカメラ60を移動させるという煩雑な作業をすることなく、CCDカメラ60は、自動的に移動し、撮影対象となる画像Gが撮影できる。
【0079】
また、本実施形態では、制御部66が、入力された画像データDから用紙Pの画像Gの形状を特定し、その形状の長手方向N1とCCDカメラ60の撮影エリアの長手方向N2とが一致する向きへスライダ68によってCCDカメラ60を回動させる。
【0080】
このため、操作者が画像Gの形状を把握して、その形状に応じてCCDカメラ60を回動させるという煩雑な作業をすることなく、撮影対象となる画像Gを精度よく撮影できる。
〔第1変形例〕
次に、上記実施形態で説明したCCDカメラ60を移動させる構成の変形例を第1変形例として説明をする。
【0081】
上記実施形態では、CCDカメラ60を移動させる構成であってが、第1変形例では、用紙P側を移動させる構成である。
【0082】
図6に示すように、CCDカメラ60は、基体78に固定され、位置不動となっている。用紙Pの幅方向一端側には、用紙Pの幅方向一端部をガイドするガイド部材80(記録媒体移動機構)が、設けられている。ガイド部材80は、図示しない駆動部によって、用紙Pの幅方向Wに沿って移動可能になっている。
【0083】
搬送経路上には、用紙Pの搬送方向に対して斜めに傾けられた複数の搬送ローラ(記録媒体移動機構)82が設けられている。搬送ローラ82は、図示しない駆動部によって回転し、用紙Pをガイド部材80側へ搬送するようになっている。
【0084】
ガイド部材80の駆動部及び搬送ローラ82の駆動部には、制御部66(図6においては図示省略)が接続されている。
【0085】
この制御部66は、操作者により制御部66へ入力された画像データDや、原稿をスキャナで読み取ることで得られた画像データD等から、撮影対象となる画像Gの幅方向Wの位置を特定する(図4参照)。その特定した位置情報に基づき、ガイド部材80の駆動部及び搬送ローラ82の駆動部の駆動制御を行う。
【0086】
これにより、画像Gから用紙Pの幅方向一端までの距離L1とCCDカメラ60(その撮影エリアA)からガイド部材80までの距離L2とが同一となるように、ガイド部材80が、用紙Pの幅方向Wに沿って移動する。それと共に、搬送ローラ82が用紙Pをガイド部材80側へ搬送する。これにより、用紙Pがガイド部材80に当接し、撮影対象となる画像GがCCDカメラ60の撮影エリアAを通過する位置へ、用紙Pがその幅方向Wへ移動する。
【0087】
上記のように、第1変形例の構成によれば、制御部66が、入力された画像データDから用紙P上に形成された画像Gの幅方向Wの位置を特定し、ガイド部材80及び搬送ローラ82が、その特定した位置に基づき、用紙P上に形成された画像GがCCDカメラ60の撮影エリアAを通過する位置へ用紙Pを幅方向Wへ移動させる。
【0088】
このため、操作者が画像Gの位置を把握して、その位置へCCDカメラ60を移動させるという煩雑な作業をすることなく、その画像Gは、自動的にCCDカメラ60の撮影エリアAを通過し、撮影対象となる画像Gが撮影できる。
【0089】
また、第1変形例の構成では、CCDカメラ60を移動させないので、用紙Pの搬送路の端部に、撮影対象となる画像Gがあり、CCDカメラ60が近寄れないような場合でも撮影が可能となる。
〔第2変形例〕
次に、上記実施形態で説明したCCDカメラ60を回動させる構成の変形例を第2変形例として説明する。上記実施形態では、CCDカメラ60を回動させる構成であったが、第2変形例では、用紙P側を回動させる構成である。
【0090】
図7に示すように、第1変形例と同様に、CCDカメラ60は、基体78に固定され、位置不動となっている。
【0091】
用紙Pの幅方向一端側には、用紙Pの幅方向一端部をガイドするガイド部材(記録媒体回動機構)86が、設けられている。ガイド部材86は、図示しない駆動部によって、用紙Pの幅方向Wに沿って移動可能になっている。
【0092】
搬送経路上には、用紙Pの先端の幅方向一端部に当接する突起部(記録媒体回動機構)84が設けられている。突起部84は、図示しない駆動部によって上下動し、搬送路上へ突出する位置と搬送路内に納まる位置との間を移動可能とされている。
【0093】
ガイド部材86の駆動部及び突起部84の駆動部には、制御部66(図7においては図示省略)が接続されている。
【0094】
この制御部66は、操作者により制御部66へ入力された画像データDや、原稿をスキャナで読み取ることで得られた画像データD等から、撮影対象となる画像Gの形状を特定する(図4参照)。その形状の長手方向N1とCCDカメラ60の撮影エリアAの長手方向N2とが一致する向きへ、用紙Pを回動させるように、ガイド部材86の駆動部及び突起部84の駆動部を駆動制御する。
【0095】
これにより、画像Gから用紙Pの先端までの距離L1とCCDカメラ60(その撮影エリアA)からガイド部材86までの距離L2が同一となるように、ガイド部材86が、用紙P幅方向Wに沿って移動する。それと共に、突起部84が搬送上へ突出する。これにより、用紙Pの先端が突起部84に当接して回動し、用紙Pの先端がガイド部材80に当接し、用紙Pの向きが変わる。この用紙Pはガイド部材86にガイドされ、撮影対象となる画像GがCCDカメラ60の撮影エリアAへ搬送される。
【0096】
上記のように、第2変形例の構成によれば、制御部66が、入力された画像データDから用紙P上に形成された画像Gの幅方向Wの位置を特定し、突起部84及びガイド部材86が、その形状の長手方向N1とCCDカメラ60の撮影エリアAの長手方向N2とが一致する向きへPを回動させる。
【0097】
このため、操作者が画像Gの形状を把握して、その形状に応じてCCDカメラ60又は用紙Pを回動させるという煩雑な作業をすることなく、撮影対象となる画像Gを精度よく撮影できる。
【0098】
また、第2変形例の構成では、CCDカメラ60を動かさないので、用紙Pの搬送路の端部に、撮影対象となる画像Gがあり、CCDカメラ60が近寄れないような場合でも撮影が可能となる。
【0099】
なお、この突起部84に替えて、図8に示すように、回転方向が異なる2つの搬送ローラ(記録媒体回動機構)90、88を設ける構成であってもよい。
【0100】
この構成では、搬送ローラ90が用紙Pを搬送方向下流側(図8の矢印B参照)へ搬送する力を付与する一方、搬送ローラ88が用紙Pを搬送方向上流側(図8の矢印C参照)へ搬送する力を付与する。これにより、用紙Pが回動し、用紙Pの先端がガイド部材80に当接し、用紙Pの向きが変わる。
【0101】
〔第3変形例〕
次に、上記実施形態の第3変形例を説明する。
【0102】
上記実施形態では、操作者により制御部66へ入力された画像データや、原稿をスキャナで読み取ることで得られた画像データ等が、制御部66から露光ヘッド38に入力され、この画像データに基づく静電潜像を露光ヘッド38は形成していた。
【0103】
この第3変形例では、画像形成部24の一部を構成する露光ヘッド38は、画像データを反転させて、感光体ベルト34の表面に静電潜像が形成する構成となっている。
【0104】
これより、現像器39によって現像され、感光体ベルト34の表面に形成されるトナー画像は、図9に示すように、反転して、CCDカメラ60が撮影可能な範囲へ形成される。
【0105】
このため、操作者が画像Gの位置を把握してその位置へCCDカメラ60を移動させるという煩雑な作業をすることなく、その画像Gは、CCDカメラ60が撮影可能な範囲へ形成され、撮影対象となる画像Gが撮影できる。
【0106】
また、このように構成することにより、CCDカメラ60の移動幅Eが上記実施形態におけるCCDカメラ60の移動幅の半分で済むようになる。
【0107】
また、第3変形例の構成では、CCDカメラ60を移動させないので、用紙Pの搬送路の端部に、撮影対象となる画像Gがあり、CCDカメラ60が近寄れないような場合でも撮影が可能となる。
【0108】
〔第4変形例〕
次に、上記実施形態で説明した単一のCCDカメラ60を設ける構成の変形例を第4変形例として説明をする。
【0109】
上記実施形態では、単一のCCDカメラを設けた構成であってが、第4変形例は、複数のCCDカメラを設ける構成である。
【0110】
第4変形例では、図10に示すように、複数のCCDカメラ91〜94が用紙P幅方向Wに沿って配置されている。この各CCDカメラ91〜94はそれぞれ、基体95〜98に固定されている。また、各CCDカメラ91〜94には、制御部66が接続されている。
【0111】
この制御部66は、操作者により制御部66へ入力された画像データDや、原稿をスキャナで読み取ることで得られた画像データD等から、撮影対象となる画像Gの幅方向Wの位置を特定する(図4参照)。その特定した位置情報に基づき、その位置の画像Gが撮影可能なCCDカメラ60を選択し、そのCCDカメラ60を作動させる。
【0112】
このため、操作者が画像Gの位置を把握して、その位置の撮影が可能なCCDカメラ60を選択するという煩雑な作業をすることなく、CCDカメラ60が自動的に選択され、撮影対象となる画像Gが撮影できる。
【0113】
なお、本実施形態では、CCDカメラ60及びセンサ64は、定着ローラ44と反転部50との間の搬送路20に配置されていたが、本発明のカメラ及びセンサとしては、搬送路20上の任意の位置に配置することが可能である。
【0114】
画像形成部24で形成された画像Gを撮影する場合には、画像形成部24からスタッカ48の間の搬送路20であればよい。ただし、定着前のトナー画像を撮影する場合は、画像Gの劣化を招く要因となるので、定着後に撮影することが望ましい。
【0115】
また、上記実施の形態では、CCDカメラ60を移動させる機構として、ボールネジ72を用いた移動機構を説明したが、本発明のカメラ移動機構としては、これに限られず、例えば、ベルトを用いてカメラを移動させる機構であってもよく、カメラを移動させる機構であれば構わない。
【0116】
また、上記実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置を用いたが、本発明の画像形成装置としては、画像を形成する方式は問わず、例えば、感熱方式、サイカラー方式、インクジェット方式、静電方式であってもよく、画像が形成される装置であればよい。本発明は、上記の実施の形態に限るものではなく、種々の形態が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る画像撮影部を示す側面図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る画像撮影部を示す上面図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る画像データを示す図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る画像撮影部おいて、CCDカメラを回動させた様子を示す上面図である。
【図6】図6は、本実施形態の第1変形例を示す上面図である。
【図7】図7は、本実施形態の第2変形例を示す上面図である。
【図8】図8は、本実施形態の第2変形例を示す上面図である。
【図9】図9は、本実施形態の第3変形例を示す上面図である。
【図10】図10は、本実施形態の第4変形例を示す上面図である。
【符号の説明】
【0118】
10 画像形成装置
24 画像形成部
58 画像撮影部(画像撮影システム)
60 CCDカメラ(カメラ)
66 制御部
68 スライダ(カメラ移動機構、カメラ回動機構)
70 固定部材(カメラ移動機構)
72 ボールネジ(カメラ移動機構)
74 ガイド棒(カメラ移動機構)
76 モータ(カメラ移動機構)
80 ガイド部材(記録媒体移動機構)
82 搬送ローラ(記録媒体移動機構)
84 突起部(記録媒体回動機構)
86 ガイド部材(記録媒体回動機構)
86 搬送ローラ(記録媒体回動機構)
88 搬送ローラ(記録媒体回動機構)
91 CCDカメラ(カメラ)
A 撮影エリア
D 画像データ
G 画像
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、
前記記録媒体の搬送方向と直交する幅方向に沿って移動可能に支持され、前記記録媒体上に形成された画像を撮影するカメラと、
画像データから前記記録媒体上に形成された画像の幅方向の位置を特定する制御部と、
前記制御部が特定した位置へ前記カメラを移動させるカメラ移動機構と、
を備えたことを特徴とする画像撮影システム。
【請求項2】
搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、
回動可能に支持され、前記記録媒体上に形成された画像を撮影するカメラと、
画像データから前記記録媒体上の画像の形状を特定する制御部と、
前記制御部が特定した形状の長手方向と前記カメラの撮影エリアの長手方向とが一致する向きへ前記カメラを回動させるカメラ回動機構と、
を備えたことを特徴とする画像撮影システム。
【請求項3】
搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、
前記記録媒体上に形成された画像を撮影するカメラと、
画像データから前記記録媒体上に形成された画像の幅方向の位置を特定した制御部と、
前記制御部が特定した位置に基づき、前記記録媒体上に形成された画像が前記カメラの撮影エリアを通過する位置へ前記記録媒体を幅方向へ移動させる記録媒体移動機構と、
を備えたことを特徴とする画像撮影システム。
【請求項4】
搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、
前記記録媒体上に形成された画像を撮影するカメラと、
画像データから前記記録媒体上の画像の形状を特定する制御部と、
前記制御部が特定した形状の長手方向と前記カメラの撮影エリアの長手方向とが一致する向きへ前記記録媒体を回動させる記録媒体回動機構と、
を備えたことを特徴とする画像撮影システム。
【請求項5】
搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、
前記記録媒体上に形成された画像を撮影するカメラと、
画像データを反転させて前記カメラが撮影可能な範囲へ画像を形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像撮影システム。
【請求項6】
搬送される記録媒体上に形成された画像を撮影し、画像の形成結果を評価する画像撮影システムにおいて、
前記記録媒体の幅方向に沿って配置された複数のカメラと、
画像データから前記記録媒体上に形成された画像の幅方向の位置を特定し、その位置の撮影が可能な前記カメラを作動させる制御部と、
を備えたことを特徴とする画像撮影システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像撮影システムを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−60517(P2007−60517A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246075(P2005−246075)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】