説明

画像材料用支持体

【課題】本発明の目的は、画像材料用支持体に関するものであり、更に述べるならば、本発明は、画像材料用支持体において、耐水性があり、容易に離解可能な樹脂被覆型であり、更には、ブロッキング性に優れた画像材料用支持体を提供することである。
【解決手段】天然パルプを主成分とする紙を基質として、その片面または両面が樹脂層で被覆された画像材料用支持体において、該樹脂層が少なくとも(A)ポリオレフィン樹脂35〜70質量部、(B)粘着付与剤25〜60質量部、(C)エチレン・ビニルアルコール共重合体5〜40質量部の(A)、(B)、(C)合計100質量部からなる樹脂組成物であることを特徴とする画像材料用支持体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像材料用支持体に関するものであり、更に述べるならば、本発明は、画像材料用支持体において、耐水性があり、容易に離解可能な樹脂被覆型であり、更には、ブロッキング性に優れた画像材料用支持体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像材料用支持体としては主に、ハロゲン化銀写真材料用支持体、インクジェット記録材料用支持体、熱移行型熱転写記録受像材料用支持体、感熱記録材料用支持体、感光感熱記録材料用支持体、電子写真記録材料用支持体などが挙げられ、従来、画像材料用支持体のための基質面がフィルム形成性のある樹脂で被覆された樹脂被覆紙型の画像材料用支持体はよく知られている。例えば、ハロゲン化銀写真材料用途の樹脂被覆紙型の写真材料用支持体としては、基質がフィルム形成性のある樹脂、好ましくはポリオレフィン樹脂で被覆された写真材料用支持体についての技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、基質の両面がポリオレフィン樹脂で被覆された写真材料用支持体についての技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、これらに代表されるような樹脂被覆型の画像材料用支持体は、必要に応じて、その一方の画像構成層を設ける側の樹脂層中には、鮮鋭度を付与するために、通常二酸化チタン顔料を含有している。
【0003】
しかしながら、天然パルプを主成分とする基質の両側を樹脂層で被覆した樹脂被覆紙型の画像材料用支持体は、依然としていくつかの重大な問題点を有しており、未だ満足すべき成果は得られていないのが実情である。
【0004】
即ち、樹脂被覆型の画像材料用支持体の樹脂層は、紙と違って生分解性がないため、これらを破棄した場合には、いつまでもそのままの状態で残存し、廃棄ゴミとして、自然環境を害する結果となる。また、このような樹脂被覆型の画像材料用支持体を焼却する場合は、紙に比べて発熱量が大きく、成分如何によっては、焼却炉を傷める事態を招いたり、有毒ガスを発生させることになる。特に、使用済みの樹脂被覆型の画像材料用支持体を古紙として再利用する場合、樹脂層の被膜強度が強すぎるため、古紙をパルプ化する工程において使用される離解機で十分に離解することが出来ない。画像材料用支持体の基質から剥離した樹脂層は、細かく分解されることなく、フィルム状として、または塊状として、完全に分解されることなく残ってしまい、古紙としての再利用を不可能にし、ゴミ処理、森林保護、資源の有効利用などの見地から好ましくない。
【0005】
これらを改良すべく、基質の表面に水性エマルジョンを塗布してなる易離解性加工紙として、スチレン・アクリル共重合物に無機系多孔質剤を混合して生成されたコート剤により表面処理が施されてなる易離解性加工紙の記載があるが、これらの易離解性加工紙は、コート剤がエマルジョンであるために、離解する際に、残存する界面活性剤の影響で発泡が顕著であり、また、長大な乾燥設備が必要となり生産性が悪く、塗布、乾燥後に顕著にカールするため操業が困難になる欠点があり、更に、基質に塗工する際にはどうしても塗布ムラが生じてしまい、均一な塗布面を得ることが出来ず、画像材料用支持体としては不適切であった(例えば、特許文献3参照)。また、特定範囲のガラス転移点を有するアクリル系エマルジョンにワックス系エマルジョンをある一定の範囲で配合した水性エマルジョンを紙表面上に塗布、乾燥することを特徴とする易離解性防湿紙の記載があるが、やはり同様に、画像材料用支持体としては不適切であった(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
また、ホットメルト組成物を用いたものや溶融押し出しラミネーション法による加工方法としては、例えば、基質材上に離解可能なある特定の接着性ホットメルト組成物層(A)を設け、さらにその上に離解可能なある特定の耐水性油性ホットメルト組成物層(B)を設けた易離解性耐水耐油紙の記載があるが、トータルの樹脂塗工量を厚くする場合は十分な離解性が得られず、薄くする場合は、共押し出しを行った場合の各層の幅方向におけるプロファイルの調整が難しくなり、各層の厚みムラが生じ、求める耐水耐油性が幅方向で異なる現象が見られ、面質としても画像材料用支持体としては不十分となった(例えば、特許文献5参照)。
【0007】
更に、ポリオレフィン樹脂、粘着付与剤、相溶化剤、熱可塑性エラストマー、無機フィラーなどの特定の比率からなる樹脂組成物を有する耐水・防湿紙の記載があるが、確かに耐水性は有するものの、離解性という点に関しては、まだまだ不十分であり、ブロッキング性に関しても、耐水・防湿層の上にアクリル系のコート層を設けているが、工程数が増えるため生産性が低下する(例えば、特許文献6〜8参照)。
【特許文献1】特公昭55−12584号公報
【特許文献2】米国特許第3501298号明細書
【特許文献3】特開平6−191553号公報
【特許文献4】特開平6−287890号公報
【特許文献5】特開2003−301399号公報
【特許文献6】特開2001−192510号公報
【特許文献7】特開2002−37934号公報
【特許文献8】特開2002−220494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、画像材料用支持体に関するものであり、更に述べるならば、本発明は、画像材料用支持体において、耐水性があり、容易に離解可能な樹脂被覆型であり、更には、ブロッキング性に優れた画像材料用支持体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の発明を見出した。
即ち、本発明は、天然パルプを主成分とする紙を基質として、その片面または両面が樹脂層で被覆された画像材料用支持体において、該樹脂層が少なくとも(A)ポリオレフィン樹脂35〜70質量部、(B)粘着付与剤25〜60質量部、(C)エチレン・ビニルアルコール共重合体5〜40質量部の(A)、(B)、(C)合計100質量部からなる樹脂組成物であることを特徴とする画像材料用支持体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、耐水性があり、容易に離解可能な樹脂被覆型であり、更には、ブロッキング性に優れた画像材料用支持体を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の目的は、耐水性があり、容易に離解可能な樹脂被覆型であり、更には、ブロッキング性に優れた画像材料用支持体を提供することにあるが、我々が調査したところ、耐水性があり、且つ容易に離解可能であり、更には、ブロッキング性に優れた樹脂層を得るためには、耐水性があり、フィルム成形性に優れたポリオレフィン樹脂から成る強固な網目状のマトリックスの中に、粘着付与剤から成る耐水性のある脆い材料を保持するような構成が有効であるものの、この構成だけでは十分な離解性とブロッキング性の両方の特性を得るためには不十分であり、この構成に加え、更に、樹脂層中の他の材料と相溶性がなく、かつ高い融点を有する材料であるエチレン・ビニルアルコール共重合体を添加することによって、十分な離解性とブロッキング性を得ることが可能となることが判明した。即ち、相溶性がないため、樹脂層中で細かく分散されることで、マトリックス強度が低くなり、十分な離解性が得られるようになる。また、他の材料よりも高い融点の材料を添加することにより、樹脂層全体としての耐熱性が上がるため、十分なブロッキング性が得られるようになる。以上のような機構を基に、検討を重ねた結果、天然パルプを主成分とする紙を基質として、その片面または両面が樹脂層で被覆された画像材料用支持体において、該樹脂層が少なくとも(A)ポリオレフィン樹脂35〜70質量部、(B)粘着付与剤25〜60質量部、(C)エチレン・ビニルアルコール共重合体5〜40質量部の(A)、(B)、(C)合計100質量部からなる樹脂組成物であることを特徴とする画像材料用支持体を用いることで、耐水性があり、容易に離解可能な樹脂被覆型であり、更には、ブロッキング性に優れた画像材料用支持体を提供することができることが判明した。樹脂層中におけるエチレン・ビニルアルコール共重合体の添加量は、5〜40質量部であり、5質量部より少なければ、十分なブロッキング性を得ることが出来ず、40質量部より多ければ十分な離解性が得られなくなる。
【0012】
本発明で用いられる基質は、特に限定されるものではなく、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等を含む機械パルプ、DIP等の古紙パルプを含み、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン等の各種填料、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を含み、酸性または中性もしくはアルカリ性で抄造される。
【0013】
本発明に用いる基質として、塗工紙を用いることも出来、塗工用顔料は、特に限定されるものではなく、例えば、カオリンクレー、デラミネーテッドクレー、焼成クレー、重質炭酸カルシウム、沈降性(軽質)炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク、二酸化チタン等が挙げられる。
【0014】
本発明に係る基質としての塗工紙に接着剤として用いられるラテックスとしては、スチレン・ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、スチレン・酢酸ビニル系共重合体等のビニル系重合体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ感応性あるいはアルカリ非感応性の重合体ラテックス等の共重合体ラテックス等を用いることができる。特に、顔料結合力、作業性、コストの面等を考慮して、スチレン・ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックスが好ましく用いられる。これらのラテックスの平均粒子径は、大きすぎると塗工液の流動性が悪くなるという点から、140nm以下が好ましい。
【0015】
本発明に係る基質としての塗工紙に接着剤として用いられる澱粉として、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉、カゼイン、大豆蛋白などの天然系バインダーなどを併用することができる。
【0016】
さらに、その他一般に使用されている助剤である分散剤、増粘剤、消泡剤、滑剤、染料、pH調整剤、保水剤などを適宜使用しても良い。
【0017】
本発明における塗工組成物は、上記した各成分を秤量し、例えば、コーレス分散機、ケディミルのような分散機などを用いて配合し、容易に調製できる。
【0018】
本発明による塗工組成物を基質に塗被する方法は、エアナイフコーター、各種ブレードコーター、ロールコーター等、あらゆる塗工ヘッドを用いて前記基質の片面あるいは両面に、片面塗工量が絶乾重量で5〜20g/m2の範囲内、好ましくは10〜20g/m2の範囲内で、オンマシン、オフマシンにより一段で、あるいは顔料と接着剤を主成分とする別の塗工組成物を予め下塗りし、その上に前記の塗工組成物を塗被するという、多段により塗工することができる。
【0019】
本発明で用いられる基質の坪量に関しては、特に制限はないが、その坪量は20g/m2〜200g/m2のものが好ましく、50g/m2〜170g/m2のものが更に好ましい。
【0020】
本発明の画像材料用支持体の基質の両面に被覆される樹脂層中に用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン等のホモポリマー、エチレン・ブチレン共重合体などのα−オレフィンの2つ以上から成る共重合体及びこれらの混合物であるが、特に、本発明における他の樹脂との相溶性や離解性の点からポリプロピレン樹脂(以下、PPと略すことがある)が特に好ましい。ポリプロピレン樹脂としては、一般に用いられているポリプロピレン樹脂であれば、特に問題なく使用できる。例えば、比較的結晶性の高いプロピレン単独共重合体のホモタイプのもの、エチレンや1−ブテンなどと共重合されたホモタイプよりも多少結晶性が低くなるランダムコポリマータイプのもの、その他、ブロックコポリマータイプのものなどを自由に選択して使用できる。これらポリプロピレン樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はないが、通常10000〜100000の範囲にあるものが望ましい。分子量が低すぎると樹脂層の強度が保てなくなり、分子量が高すぎると溶融押し出し時の加工性が劣ってくる。メルトフローレート(以下、単にMFRと略す)としては、特に制限はないが、通常1g/10分〜30g/10分の範囲にあるものが望ましい。MFRはその値がこの範囲より小さくても大きくても溶融押し出し時の加工性が劣る傾向にある。樹脂層中におけるポリオレフィン樹脂の割合は、35〜70質量部が好ましく、40〜60質量部が更に好ましい。35質量部よりも少ない場合、溶融押し出し時のフィルム形成が不安定になり、70質量部よりも多い場合は離解性が劣ってくる。
【0021】
本発明の画像材料用支持体の基質の両面に被覆される樹脂層中に用いられるエチレン・ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略すことがある)としては、いわゆる溶融押し出しコーティング法によって被覆するグレードで一般的に用いられているエチレン・ビニルアルコール共重合体であれば、特に問題なく使用できる。エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン含有率は、15モル%〜70モル%の範囲にあるものが望ましい。エチレン含有率が15モル%よりも低い場合、融点と分解温度が近いためオレフィン系樹脂中に細かく分散させることが困難になり、70モル%よりも高い場合、共重合体の融点が低くなるため本発明の目的に添わなくなる。樹脂層中におけるエチレン・ビニルアルコール共重合体の割合は、5〜40質量部が好ましく、10〜40質量部が更に好ましい。5質量部より少なければ、十分なブロッキング性を得ることが出来ず、40質量部より多ければ十分な離解性が得られなくなる。
【0022】
本発明の画像材料用支持体の基質の両面に被覆される樹脂層中に用いられる粘着付与剤としては、一般的に用いられている粘着付与剤であれば問題なく使用できる。粘着付与剤は官能基の有無で分類でき、官能基の有るものでは、ロジン、変性ロジン、及びこれらのエステル化物、フェノール系樹脂、ロジン及びアルキルフェノール変性キシレン樹脂、テルペンフェノール系樹脂などが挙げられ、官能基の無いものとしては、テルペン系樹脂(α及びβピネンの重合体など)、脂肪族系炭化水素樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。本発明で好ましく用いられる粘着付与剤は、フェノール系樹脂、テルペンフェノール系樹脂などが好ましく用いられる。これらの粘着付与剤の軟化点は、80℃〜180℃が好ましく、100℃〜160℃の範囲が更に好ましい。軟化点が80℃より低い場合は樹脂層の粘着性が過剰となり、ブロッキングを生じ易くなり、軟化点が180℃より高い場合は、画像材料用支持体を折り曲げたときに樹脂層が割れやすくなる。樹脂層中における粘着付与剤の割合は、25〜60質量部の範囲が好ましく、30〜55質量部の範囲が更に好ましい。25質量部より少ない場合、離解性が劣り、60質量部より多い場合は、樹脂層の粘着性が強くなり、ブロッキングを生じる恐れがあり、また溶融押し出し時のフィルム成形も劣ってくる。これらの粘着付与剤は、離解性に寄与しているだけではなく、基質への接着力の助長効果も得られる。
【0023】
本発明における画像材料用支持体の樹脂層中には、各種の添加剤を含有せしめることが出来る。特公昭60−3430号、特公昭63−11655号、特公平1−38291号、特公平1−38292号、特開平1−105245号公報等に記載もしくは例示の酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等の白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム等の脂肪族金属塩、特開平1−105245号公報に記載もしくは例示のヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、リン系、硫黄系等の各種酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セリアンブルー、フタロシアニンブルー等のブルー系の顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガンバイオレット等のマゼンタ系の顔料や染料、特開平2−254440号公報に記載もしくは例示の蛍光増白剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組み合わせて含有せしめることができる。それらの添加剤は、樹脂のマスターバッチあるいはコンパウンドとして含有せしめるのが好ましい。
【0024】
また、製造時、及び画像材料用支持体として使用するときの表裏樹脂層表面におけるブロッキングに関しても、特に問題ないが、更に樹脂層に顔料を添加することでよりブロッキングを抑制することが可能となる。
【0025】
本発明の画像材料用支持体の基質の片面から両面に被覆される樹脂層の被覆厚さとしては、9μm〜35μmの範囲が好ましく、15μm〜25μmの範囲が更に好ましい。樹脂層の厚みを厚くすると離解性が劣る傾向が見られ、樹脂層の厚みが薄すぎると加工時にプロファイル調整が困難となったり、十分な耐水性が得られないなどの欠点を生じる場合がある。
【0026】
本発明における画像材料用支持体の基質面に樹脂を被覆する方法としては、走行する基質上に熱可塑性樹脂組成物を溶融押し出し機を用いて、そのスリットダイからフィルム上に流延して被覆する、いわゆる溶融押し出しコーティング法によって被覆するのが好ましい。その際、溶融フィルムの温度は160℃〜280℃であることが好ましい。スリットダイとしては、T型ダイ、L型ダイ、フィシュテイル型ダイのフラットダイが好ましく、スリット開口径は0.1mm〜2mmであることが望ましい。また、樹脂組成物を基質にコーティングする前に、基質にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すのが好ましい。また、特公昭61−42254号公報に記載の如く、基質に接する側の溶融樹脂組成物にオゾン含有ガスを吹きつけた後に走行する基質に樹脂層を被覆するのが好ましい。また、表、裏の樹脂層は逐次、好ましくは連続的に、押し出しコーティングされる、いわゆるタンデム押し出しコーティング方式で基質に被覆されるのが好ましい。また、画像材料用支持体としての表樹脂層面は光沢面、特公昭62−19732号公報に記載の微粗面、マット面あるいは絹目面等に加工することができ、その反対側の裏樹脂層は通常無光沢面に加工するのが好ましい。
【0027】
また、本発明は、画像材料用支持体と画像形成層との接着性を目的として、ゼラチンを主成分とする下引き層を設けることもできる。通常、接着性を改良する方法としては、画像材料用支持体の表面をコロナ放電処理などにより活性化させることで達成されるものの、このような活性化処理は処理の不均一性から画像形成層用塗布液の塗布ムラを引き起こしたり、経時によって活性化が低下してしまう欠点があった。この様な欠点を補う方法としてゼラチンを主成分とする下引き層の塗布が有効となる。画像材料用支持体の表面に下引き層を設けることで、従来疎水性であった表面が親水性となり、その上に画像形成層用塗布液を塗布することで画像材料用支持体との強固な接着性が得られる。また、本発明の画像材料用支持体の表面平滑性は非常に優れたものであるため、下引き層は均一に塗布することが可能であり、その上に設けられる画像形成層用塗布液も均一に塗布することが可能となる。
【0028】
本発明において、好ましく用いられる下引き層のためのゼラチンとしては、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体、例えば二塩基酸の無水物と反応したゼラチンなど各種のものを挙げることができる。また、ゼラチンと併用してポリビニルアルコール、澱粉などのその他の親水性ポリマーを用いることもできる。また、下引き塗液のpHとしては、特に制限はないが、画像材料の保存性の観点からpH8以下が望ましく、pH7以下が更に好ましい。
【0029】
また、下引き層の塗設量としては特に制限はないが、ゼラチンの塗設量として、0.1質量%〜10質量%の水性塗液を1g/m2〜40g/m2塗布するのが良く、画像形成層用塗布液の液付き性及び支持体と画像形成層との接着性の改良効果の点から、固形質量で0.005g/m2〜2.0g/m2の範囲が好ましく、0.01g/m2〜1.0g/m2の範囲が一層好ましく、0.02g/m2〜0.5g/m2の範囲が特に好ましい。
【0030】
また、本発明による画像形成層用塗布液の塗布性の改良効果を顕著にする観点で、下引き層中にゼラチンを加えてアニオン系界面活性あるいはCr(III)イオンまたはAl(III)イオンを含む無機化合物を含有せしめるのが好ましく、それらを併用して含有せしめるのが特に好ましい。本発明において好ましく用いられるアニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンするフォン酸塩、スルフォコハク酸エステル塩などをあげることができるが、液付き性の相乗的な改良効果の点からスルフォコハク酸エステル塩が特に好ましく、その具体例としては、2−エチルヘキシルスルフォコハク酸ナトリウムをあげることができる。アニオン系界面活性剤の下引き層中での塗設量としては、0.01mg/m2〜3mg/m2の範囲が好ましく、0.3mg/m2〜2.5mg/m2の範囲が更に好ましく、0.6mg/m2〜1.5mg/m2の範囲が特に好ましい。
【0031】
本発明において好ましく用いられるCr(III)イオンまたはAl(III)イオンを含む無機化合物としては、クロム明ばん、硫酸クロム、カリ明ばんなどをあげることができるが、液付き性の相乗的な改良効果の点からクロム明ばんが特に好ましい。無機化合物の下引き層中での塗設量(含水塩としての塗設量)としては、0.4mg/m2〜10mg/m2の範囲が好ましく、1.2mg/m2〜10mg/m2の範囲が更に好ましく、2mg/m2〜10mg/m2の範囲が特に好ましい。
【0032】
また、下引き層中には、各種の添加剤を含有せしめることができる。防腐剤として、特開平1−102551号公報に記載もしくは例示のp−ヒドロキシ安息香酸エステル化合物、ベンズイソチアゾロン化合物、イソチアゾロン化合物等、界面活性剤として、アニオン系界面活性剤の他に、サポニン、アルキレンオキサイド系等のノニオン系界面活性剤、特公昭47−9303号公報、米国特許第3589906号明細書等に記載のフルオロ化した界面活性剤、スルフォベタイン系両性界面活性剤、アミノ酸類、アミノアルコールのエステル類等の両性界面活性剤、硬膜剤として、活性ハロゲン化合物、ビニルスルフォン化合物、アジリジン化合物、エポキシ化合物、アクリロイル化合物、イソシアネート化合物等の硬膜剤の他調色剤、蛍光増白剤、マット化剤、カブリ抑制剤あるいは安定剤、pH調節剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0033】
下引き層を画像形成層を設ける側の樹脂層側に設ける方法としては、走行する基質面に樹脂層を被覆した後、巻き取るまでの間に画像形成層を設ける側の樹脂層側に、下引き塗液を塗布・乾燥して下引き層を設ける、いわゆるオンマシン法で行うのが好ましい。また、画像材料用支持体を巻き取ってから、必要に応じて巻き取り貯蔵後、改めて下引き層を設ける、いわゆるオフマシン法で行うこともできる。下引き塗液を塗布する装置としては、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ブレードコーター、スライドホッパーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター及びそれらの組み合わせ等があげられる。下引き層の塗布に際しては塗布に先立ち、樹脂面をコロナ放電処理を施すことの他に火炎処理等のその他の活性化処理を施してもよい。塗布された塗液の乾燥装置としては直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアーループドライヤー、サインカーブエアーフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等各種乾燥装置をあげることができる。また、乾燥条件は任意であるが、一般には40℃〜150℃で数秒〜10分で行われる。
【0034】
本発明における画像材料用支持体の画像形成層を設ける側とは反対の裏樹脂層には、コロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施した後、帯電防止等のために各種のバックコート層を塗設することができる。また、バックコート層には、特公昭52−18020号公報、特公昭57−9059号公報、特公昭57−53940号公報、特公昭58−56859号公報、特開昭59−214849号公報、特開昭58−184144号公報等に記載もしくは例示の無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤等を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0035】
本発明における画像材料用支持体は、各種の写真構成層が塗設されてカラー写真印画紙用、白黒写真印画紙用、写植印画紙用、複写印画紙用、反転写真材料用、銀塩拡散転写法ネガ用及びポジ用、印刷材料用等各種の用途に用いることができる。例えば、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀乳剤層を設けることができる。ハロゲン化銀写真乳剤層にカラーカプラーを含有せしめて、多層ハロゲン化銀カラー写真構成層を設けることができる。また、銀塩拡散転写法用写真構成層を設けることができる。それらの写真構成層の結合剤としては、通常のゼラチンの他に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、多糖類の硫酸エステル化合物などの親水性高分子物質を用いることができる。また、上記の写真構成層には各種の添加剤を含有せしめることができる。例えば、増感色素として、シアニン色素、メロシアニン色素など、化学増感剤として、水溶性金化合物、イオウ化合物など、カブリ防止剤もしくは安定剤として、ヒドロキシ−トリアゾロピリミジン化合物、メルカプト−複素環化合物など、硬膜剤としてホルマリン、ビニルスルフォン化合物、アジリジン化合物など、塗布助剤として、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、スルホコハク酸エステル塩など、汚染防止剤として、ジアルキルハイドロキノン化合物など、そのほか蛍光増白剤、鮮鋭度向上色素、帯電防止剤、pH調整剤、カブらせ剤、更にハロゲン化銀の生成・分散時に水溶性イリジウム、水溶性ロジウム化合物などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0036】
本発明に係る写真材料は、その写真材料に合わせて「写真感光材料と取扱法」(共立出版、宮本五郎著、写真技術講座2)に記載されている様な露光、現像、停止、定着、漂白、安定などの処理を行うことができる。また、多層ハロゲン化銀カラー写真材料は、ベンジルアルコール、タリウム塩、フェニドンなどの現像促進剤を含む現像液で処理してもよいし、ベンジルアルコールを実質的に含まない現像液で処理することもできる。
【0037】
本発明における画像材料用支持体は、各種の熱転写記録受像層が塗設されて各種の熱転写記録受像材料用支持体として用いることができる。それらの熱転写記録受像層に用いられる合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、スチレンアクリレート樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等のエステル結合を有する樹脂、ポリウレタン樹脂等のウレタン結合を有する樹脂、ポリアミド樹脂等のアミド結合を有する樹脂、尿素樹脂等の尿素結合を有する樹脂、その他ポリカプロラクタム樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等があげられる。これらの樹脂に加えて、これらの混合物もしくは共重合体等も使用できる。
【0038】
本発明に係わる熱転写記録受像層中には、上記合成樹脂の他に離型剤、顔料等を加えてもよい。上記離型剤としては、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(R)パウダー等の固形ワックス類、弗素系、リン酸エステル系界面活性剤、シリコーンオイル類等があげられる。これら離型剤の中でシリコーンオイルが最も好ましい。上記シリコーンオイルとしては、油状の物も使用できるが、硬化型のものが好ましい。硬化型のシリコーンオイルとしては、反応硬化型、光硬化型、触媒硬化型等があげられるが、反応硬化型のシリコーンオイルが特に好ましい。反応硬化型シリコーンオイルとしては、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル等があげられる。上記反応性シリコーンオイルの添加量は、受像層中に0.1質量%〜20質量%が好ましい。上記顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の体質顔料が好ましい。また、受像層の厚さとしては、0.5μm〜20μmが好ましく、2μm〜10μmがさらに好ましい。
【0039】
本発明における画像材料用支持体は、バインダー主体のポリマータイプや微粒子顔料主体の空隙タイプの各種のインク受像層が塗設されて各種のインクジェット記録材料用支持体として用いることができる。それらのインク受像中にはインクの乾燥性、画像の鮮鋭性等を向上させる目的で各種のバインダーを含有せしめることができる。それらのバインダーの具体例としては、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体、例えばフタル酸、マレイン酸、フマル酸等の二塩基酸の無水物と反応したゼラチン等の各種のゼラチン、各種ケン化度の通常のポリビニルアルコール、カルボキシ変性、カチオン変性及び両性のポリビニルアルコール及びそれらの誘導体、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジウムハライド、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸メタクリル酸共重合体塩、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、アルキルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体及びそれらの塩、ポリエチレンイミン等の合成ポリマー、スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体ラテックス、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、スチレン・アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系重合体または共重合体のラテックス、塩化ビニリデン系共重合体ラテックス等或はこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性接着剤及びポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニルコーポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系接着剤、特公平3−24906号、特開平3−281383号、特開平6−92011号等の各公報に記載もしくは例示のアルミナゾル、シリカゾル等の無機系バインダー等をあげることができ、これらを単独或は併用して含有せしめることができる。
【0040】
本発明に係わるインクジェット記録材料のインク受像層中には、バインダーの他に各種の添加剤を含有せしめることができる。例えば、界面活性剤として、長鎖アルキルベンゼンスルフォン酸塩、長鎖、好ましくは分岐アルキルスルフォコハク酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、長鎖、好ましくは分岐アルキル基含有フェノールのポリアルキレンオキサイドエーテル、長鎖アルキルアルコールのポリアルキレンオキサイドエーテル等のノニオン系界面活性剤、特公昭47−9303号公報、米国特許3589906号明細書等に記載のフルオロ化した界面活性剤など、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤、ポリマーの硬膜剤として、活性ハロゲン化合物、ビニルスルフォン化合物、アジリジン化合物、エポキシ化合物、アクリロイル化合物、イソシアネート化合物等の硬膜剤、防腐剤として、特開平1−102551号公報に記載もしくは例示のp−ヒドロキシ安息香酸エステル化合物、ベンズイソチアゾロン化合物、イソチアゾロン化合物等、特開昭63−204251号、特開平1−266537号等の各公報に記載もしくは例示の着色顔料、着色染料、蛍光増白剤など、黄変防止剤としてヒドロキシメタンスルフォン酸ソーダ、p−トルエンスルフィン酸ソーダ等、紫外線吸収剤として、ヒドロキシ−ジ−アルキルフェニル基を2位に有するベンゾトリアゾール化合物など、酸化防止剤として、特開平1−105245号公報に記載もしくは例示のポリヒンダードフェノール化合物など、鉛筆加筆剤として、澱粉粒、硫酸バリウム、二酸化珪素等の有機または無機の粒子径0.2μm〜5μmの微粒子、特公平4−1337号公報等に記載もしくは例示のオルガノポリシロキサン化合物、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸、塩酸、リン酸、クエン酸など、オクチルアルコール、シリコン系消泡剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0041】
本発明における画像材料用支持体は、各種の画像形成層が塗設されて各種の電子写真用支持体として用いることができる。それらの画像形成層に用いられる合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニレート樹脂等のエステル結合を有する樹脂、ポリウレタン樹脂等のウレタン結合を有する樹脂、ポリアミド樹脂等のアミド結合を有する樹脂、尿素樹脂等の尿素結合を有する樹脂、その他ポリカプロラクタム樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等があげられる。これらの樹脂に加えて、これらの混合物もしくは共重合体等も使用できる。
【0042】
本発明に係わる画像形成層中には、上記合成樹脂の他に帯電防止剤、顔料等を加えてもよい。帯電防止剤としては特に制限無く、各種帯電防止剤を用いることができる。例えば、脂肪酸塩類、硫酸エステル塩類、脂肪族アミン及び脂肪族アマイドの硫酸塩類、リン酸エステル塩類、スルホン酸塩類、脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類、及びベタイン系両性塩類、イミダゾリン系両性塩類、アラニン系両性塩類などがあげられ、金属酸化物としては、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウムなどをあげることができる。顔料としては、特に制限はないが、各種無機及び有機顔料、例えばクレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、サチンホワイト、プラスチックピグメントなどの一般塗工用顔料を用いることができる。また必要に応じて、離型剤、可塑剤、界面活性剤、染料などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に指定のない限り、すべて質量部および質量%を示す。
【0044】
実施例1〜6および比較例1〜6
LBKP(濾水度330〜440mlcsf)70%、NBKP(濾水度390〜490mlcsf)30%から成る混合パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム(*原紙中灰分で表示)*8部、カオリン化澱粉1.0部、カオリン系ポリアクリルアミド歩留まり向上剤0.03部の配合にてパルプスラリーを調整し、長網抄紙機を用いて坪量70g/m2の原紙を抄造し、ウェットパートのプレス圧を適宜調節しながら、オンラインにより澱粉をサイズプレスして後、乾燥し、さらにソフトカレンダー仕上げ装置を用い、剛性ロールとして外径500mmのチルドロール、弾性ロールとして外径500mmの樹脂ロールにより、線圧180kN/m、温度80℃にてカレンダリング処理を施した。
【0045】
次に、カオリンクレイ70部、重質炭酸カルシウム30部、およびポリアクリル酸系分散剤0.1部からなるスラリーに平均粒子径100nmのスチレンブタジエン系共重合ラテックスバインダー10部、燐酸エステル化澱粉3部、およびポリアミドポリ尿素系樹脂耐水化剤1部を配合した。これを水酸化ナトリウムを用いてpH=9.7とし、固形分濃度64%の塗工液を調整し、上記塗工組成物を、塗工速度1000m/分のブレードコーターを用いて、フェルト面とワイヤー面の塗工量が共に15g/m2、塗工紙の水分値が6.0%になるように塗工した後、ロール表面温度60℃、線圧200kN/m、速度400m/分の条件でスーパーカレンダー処理し、所望する110g/m2の画像材料用支持体の基質を得た。
【0046】
次に、画像構成層を塗設する側とは反対側の基質面(裏面)をコロナ放電処理した後、表1記載の樹脂組成物を樹脂温度200℃で25μmの厚さに基質の走行速度100m/分で溶融押し出しコーティングした。
【0047】
引き続き、基質の表面をコロナ放電処理した後、該表面に裏面と同じ樹脂組成物を樹脂温度を200℃で、樹脂層厚さが25μmの厚さになるように、基質の走行速度100m/分で溶融押し出しコーティングを行った。また、該画像材料用支持体の樹脂層の表面は鏡面に、裏の樹脂層の面質は紙の如きマット面に加工した。
【0048】
以上のようにして得られた画像材料用支持体の離解性、耐水性、ブロッキング性、フィルム成形能の評価方法としては、以下の記載の方法で評価した。
【0049】
[離解性評価]
画像材料用支持体を1cm四方に断裁し、絶乾重量で24g採取し、2000gの水と共に熊谷理機工業製パルプ離解機(JIS P8209に準拠する)を用いて離解作業を行った。次いで、離解後のパルプスラリーを用いて手抄きシートを作製し、以下の基準により離解性の評価を行った。
◎:離解性が非常に良好。
○:離解性が良好。
△:離解に時間がかかるが、実用上問題がない。
×:離解しなく、実用上問題がある。
【0050】
[耐水性の評価]
画像材料用支持体の樹脂層表面に液滴を数滴投下し、30秒放置後、膨潤の程度、液滴の浸透程度を目視評価した。
◎:耐水性が非常に良好。
○:耐水性が良好。
△:離耐水性がやや不良であるが、実用上問題がない。
×:耐水性がなく、実用上問題がある。
【0051】
[ブロッキング性の評価]
ブロッキングは、5cm×5cm片の画像材料用支持体を10枚重ねて、40℃、90%の条件下で、4kN/cm2の荷重を加えて30分放置した後、ブロッキングの発生状況を評価した。
◎:支持体同士が全くくっついていなく、ブロッキング性が非常に良好。
○:支持体同士がくっついているがすぐに剥がれ、ブロッキング性が良好。
△:紙面同士がくっついており剥がすときに音がするが、実用上問題ない。
×:紙面同士が部分的に、あるいは全面に完全にくっついており、剥がれず、実用上問題がある。
【0052】
[フィルム形成性の評価]
フィルム形成性の評価としては、樹脂組成物を樹脂温度200℃にて、20μmの厚みになるように、150m/分の走行速度で基質に溶融押し出しコーティングを施した時の溶融フィルムの安定性を目視評価した。
◎:フィルムの安定性が非常に良く、フィルム形成性が非常に良好。
○:フィルムの安定性が良く、フィルム形成性が良好。
△:フィルムが多少揺れを生じたりするものの、操業上問題がない。
×:操業時に揺れが大きく、フィルム切れを生じることもあり、操業上問題がある。
【0053】
得られた結果を表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
表1から明らかなごとく、EVOHの添加量が多くなるに従って、ブロッキング性が向上していることが判る。EVOHの添加量が、5部より少ない場合は、ブロッキング性に劣り、40部より多い場合は、離解性が劣る結果となった。また、ポリプロピレン樹脂と粘着付与剤に関しては、ポリプロピレン樹脂が35部より少なく、粘着付与剤が60部より多い場合は、フィルム形成性に劣り、ポリプロピレン樹脂が70部より多く、粘着付与剤が25部より少ない場合は、離解性が劣る結果となった。比較例6のように、EVOHの代わりにポリビニルアルコール樹脂を用いた場合、離解性は向上するものの、粘着性が強くなりブロッキング性が劣る結果となった。
【0056】
本発明により、画像材料用支持体において、耐水性があり、容易に離解可能な樹脂被覆型であり、更には、ブロッキング性に優れた画像材料用支持体を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然パルプを主成分とする紙を基質として、その片面または両面が樹脂層で被覆された画像材料用支持体において、該樹脂層が少なくとも(A)ポリオレフィン樹脂35〜70質量部、(B)粘着付与剤25〜60質量部、(C)エチレン・ビニルアルコール共重合体5〜40質量部の(A)、(B)、(C)合計100質量部からなる樹脂組成物であることを特徴とする画像材料用支持体。

【公開番号】特開2006−123333(P2006−123333A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314370(P2004−314370)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】