説明

画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法、画像検査プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、用紙等の被記録媒体に形成された画像の良否を検査する。
【解決手段】画像形成装置1は、第1プロッタ111aによる画像形成前に、用紙Pの第1面P1を第1検査スキャナ205aで読み取った第1面画像形成前画像データに基づいて、コントローラ201が、第1面P1の画像G1の良否を判定し、第2面P2への第2プロッタ111bによる画像形成前に第2面P2を第2検査スキャナ205bで読み取った第2面画像形成前画像データと第2面元画像データの有無に基づいて第1面画像G1の第2面P2への裏写りの良否を判定する。また、コントローラ201は、第2面画像形成前画像データ、第1面画像G1の有無及び第2面元画像データに基づいて第2面形成予定画像の第1面P1への予想裏写りの良否を判定し、画像形成後の第2面P2を読み取った第2面画像形成後画像データに基づいて第2面P2の画像の良否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法、画像検査プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、用紙等の被記録媒体に形成された画像の良否を検査する画像検査装置、該画像検査装置を搭載する複合装置、複写装置、プリンタ装置等の画像形成装置、画像検査方法、画像検査プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置、複写装置、複合装置等の画像形成装置においては、従来から、用紙、フィルム等の被記録媒体(以下、単に、用紙という。)に画像データに基づいて画像形成を行う場合、画像形成した用紙紙面を読み取って、形成画像の画像データを取得し、形成画像の画像データと画像形成に使用した元画像データを比較して形成画像の良否を判定することが行われている。
【0003】
また、従来、画像形成の検査精度を向上させるために、片面印刷、両面印刷に関わらず、画像形成前後の用紙面を読み取って、形成画像を取得し、形成画像を画像データの画像と比較して、所定の基準に基づいて形成画像の良否を判定するとともに、画像形成前の用紙面の読み取り結果から所定の基準に基づいて用紙の良否を判定する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術にあっては、片面印刷、両面印刷に関わらず、画像形成前後の用紙面を読み取って取得した画像データと元画像データを比較して、所定の基準に基づいて形成画像の良否を判定し、また、画像形成前の用紙面の読み取り結果から所定の基準に基づいて用紙の良否を判定している。すなわち、両面印刷時に、裏写りが濃いと読み難くなることから、裏写りが濃いときに形成画像が不良であると判定する基準によって、片面印刷時においても形成画像の良否を判定している。ところが、実際の画像形成においては、片面印刷と両面印刷とでは、裏写りの濃さによる形成画像の判読し難くさや見難くさの程度が異なる。したがって、用紙や印刷材等の消耗品の節約や機器の劣化防止を図るとともに、画像形成装置の利用性を向上させる上で、改良の必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、片面画像形成と両面画像形成等の画像形成モードに応じて画像の良否を適切に判定する画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法、画像検査プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、第1面と第2面の順に画像形成されるシート状の被記録媒体の該第1面を画像形成後に読み取って、読み取った該第1面画像形成後画像データに基づいて該第1面に形成された第1面画像の良否を判定して、該被記録媒体の第2面への画像形成前に該第2面を読み取って、読み取った該第2面画像形成前画像データと該第2面への画像形成の元となる第2面元画像データの有無に基づいて該第1面画像の該第2面への裏写りの良否を判定する第2面裏写り判定処理を行い、また、該第2面画像形成前画像データ、該第1面画像の有無及び該第2面元画像データに基づいて該第2面に形成される予定の第2面形成予定画像の該第1面への予想裏写りの良否を判定する第1面予想裏写り判定処理を行って、該被記録媒体の第2面への画像形成後における該第2面を読み取って、読み取った該第2面画像形成後画像データに基づいて該被記録媒体の第2面に形成された該第2面画像の良否を判定することを特徴としている。
【0007】
また、本発明は、前記第1面画像裏写り判定及び前記第2面画像予想裏写り判定において、前記被記録媒体の前記第1面及び前記第2面の全体または所定の大きさの領域を判定領域として、該判定領域に形成される画像の濃度に基づいて予め設定した裏写り量を参照して前記裏写りの良否を判定することを特徴としてもよい。
【0008】
さらに、本発明は、前記第1面画像裏写り判定及び前記第2面画像予想裏写り判定において、前記被記録媒体の前記第1面及び前記第2面の全体または所定の大きさの領域を判定領域として、該判定領域において、該第1面と該第2面に画像があるか否かに基づいて判定基準を変更して前記裏写りの良否を判定または該判定を不要とすることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、片面画像形成と両面画像形成等の画像形成モードに応じて画像の良否を適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像形成装置のブロック構成図。
【図2】用紙搬送部の概略構成図。
【図3】検査基準テーブルの一例を示す図。
【図4】裏写り量判定テーブルの一例を示す図。
【図5】第1面と第2面に画像が形成されている状態の用紙の第2面を示す図。
【図6】用紙を搬送している状態の搬送ベルトの部分上面図。
【図7】画像検査処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0012】
図1〜図7は、本発明の画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法、画像検査プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像検査装置、画像形成装置、画像検査方法、画像検査プログラム及び記録媒体の一実施例を適用した画像形成装置1のブロック構成図である。
【0013】
図1において、画像形成装置1は、本体部100と画像検査部200を備えており、画像検査部(画像検査装置)200は、本体部100で用紙Pに形成した画像の良否を検査する。
【0014】
本体部100は、コントローラ101、画像メモリ102、ハードディスク(HDD)103、NIC(Network Interface Card)104、105、スキャナ106、スキャナ補正部107、圧縮処理部108、第1伸張処理部109a、第1プリンタ補正部110a、第1プロッタ111a、第2伸張処理部109b、第2プリンタ補正部110b及び第2プロッタ111b等を備えており、コントローラ101、圧縮処理部108、第1伸張処理部109a及び第2伸張処理部109bは、汎用バス112により接続されている。
【0015】
画像検査部200は、コントローラ201、画像メモリ202、ハードディスク(HDD)203、NIC204、第1検査スキャナ205a、第1スキャナ補正部206a、第1圧縮処理部207a、第2検査スキャナ205b、第2スキャナ補正部206b、第2圧縮処理部207b、第3検査スキャナ205c、第3スキャナ補正部206c及び第3圧縮処理部207c等を備えており、コントローラ201、第1圧縮処理部207a、第2圧縮処理部207b及び第3圧縮処理部207cは、汎用バス208により接続されている。
【0016】
そして、画像形成装置1は、本体部100に、図2に示すような用紙搬送部120を備えており、用紙搬送部120に、画像検査部200の第1検査スキャナ205a、第2検査スキャナ205b、第3検査スキャナ205cが配設されている。用紙搬送部120は、4つのローラ121〜124に無端ベルト状の搬送ベルト125が張り渡されており、図示しない給紙部から用紙(被記録媒体)Pがローラ121側の搬送ベルト125上に送り出されてくる。給紙部は、所定用紙サイズの用紙Pを複数枚収納する給紙カセット、給紙カセット内の用紙P(図1参照)を最上段から1枚ずつ用紙搬送部120へ送り出す送り出し機構等を備えている。
【0017】
用紙搬送部120は、複数のローラ121〜124のうち少なくとも1つのローラ121〜124が図示しない駆動モータによって回転駆動されることによって搬送ベルト125を図2に矢印で示す時計方向に回転駆動させ、搬送ベルト125は、給紙部から送り出されてきた用紙Pを吸着しつつ搬送する。
【0018】
用紙搬送部120には、ローラ121とローラ122の間の搬送ベルト125に近接して第1プロッタ(画像形成手段)112aと第1検査スキャナ(第1読み取り手段)205aが配設され、ローラ123とローラ124の間に、第2検査スキャナ(第2読み取り手段)205b、第2プロッタ(画像形成手段)111b及び第3検査スキャナ(第3読み取り手段)205cが配設されている。
【0019】
まず、本体部100について説明する。コントローラ101は、CPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えており、ROM内には、画像形成装置1としての基本プログラムや画像検査部200での検査結果に応じた画像形成制御処理を制御する画像形成制御プログラム等のプログラム及び必要なシステムデータが格納されている。なお、このプログラムは、その全てまたはいくつかがハードディスク103に格納されていてもよい。コントローラ101は、CPUがROM内のプログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用しつつ画像形成装置1の各部、特に、本体部100の各部を制御して、画像形成装置1としての基本処理を実行するとともに、画像検査部200での検査結果に応じた画像形成制御処理を実行する。
【0020】
NIC104には、外部装置としてのパーソナルコンピュータPCが接続されており、パーソナルコンピュータPCとの間でデータやコマンド(例えば、PDL(Page Description Language:ページ記述言語)で記述された印刷設定等)の授受を行う。
【0021】
スキャナ106は、例えば、CCD(Charge Coupled Device )やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )を利用したイメージスキャナ等が利用されており、原稿を主走査及び副走査して、原稿の画像を所定の解像度で読み取って、2値化してスキャナ補正部107に出力する。
【0022】
スキャナ補正部107は、スキャナ106で読み取った画像データ(デジタルデータ)に対して、画像領域の文字、線画、写真等への分類、原稿画像の地肌画像の除去等の画像処理を施して、圧縮処理部108に出力する。
【0023】
圧縮処理部108は、スキャナ補正後のYMCBk各8bit画像データを圧縮処理して、圧縮後の画像データを、汎用バス112を通して、コントローラ101に送る。なお、汎用バス112の帯域が十分に広く、画像データを蓄積するハードディスク103の容量が大きいときには、圧縮処理部108で画像データを圧縮することなく、非圧縮の状態で画像データを扱ってもよい。
【0024】
コントローラ101は、送られてきたページ単位の画像データをRAMに蓄積し、画像検査に必要な座標を算出して、算出した座標情報、書誌情報及び画像データ等を、NIC105及び画像検査部200のNIC204を通して画像検査部200のコントローラ201に送信するとともに、画像データをハードディスク103に蓄積する。
【0025】
また、画像形成装置1は、パーソナルコンピュータPCから画像データと印刷設定コマンドが送られてくると、該印刷設定コマンドを解析して、画像メモリ102を利用して画像データを印刷可能な状態にページ毎にビットマップ展開して、展開した画像データを圧縮してハードディスク103に蓄積するとともに、画像検査部200で画像検査を行う際に必要な座標を算出して、算出した座標情報、書誌情報及び画像データ等を、NIC105及び画像検査部200のNIC204を通して画像検査部200のコントローラ201に送信する。
【0026】
画像形成装置1は、ハードディスク103に蓄積した画像データをパーソナルコンピュータPCに配信する場合には、ハードディスク103の画像データを、画像メモリ102を利用して、色変換処理、配信のモードに応じた階調変換処理及びJPEG(Joint Picture Engineering Group)やTIFF(Tagged Image File Format)等の汎用画像フォーマットへのフォーマット変換等の画像処理を行い、画像処理後の画像データを、NIC104を介してネットワーク上のパーソナルコンピュータPCに送信する。
【0027】
ハードディスク103は、コントローラ101の制御下で各種データ、特に、画像データや必要なプログラム等を記憶する。
【0028】
画像メモリ102は、コントローラ101が画像データに対して各種画像処理を施す場合に一時画像データを記憶するのに使用される。
【0029】
コントローラ101は、第1プロッタ111aで画像形成する場合、ハードディスク103から第1面(表面)P1用の画像データを読み出して、汎用バス112を介して第1伸張処理部109aに出力し、第1伸張処理部109aは、圧縮処理されている画像データを元のYMCK各8bitの画像データに伸張して、第1プリンタ補正部110aに出力する。
【0030】
第1プリンタ補正部110aは、第1伸張処理部109aから送られてきた画像データに対してγ補正処理、中間調処理等の補正処理を施して、第1プロッタ111aの明暗特性の補正処理や階調数変換処理を行い、第1プロッタ111aに出力する。第1プリンタ補正部110aは、その階調数変換処理において、誤差拡散やディザ処理を用いて各色8bitから2bitへと画像データの変換を行う。
【0031】
第1プロッタ111aは、所定の印刷方式、例えば、電子写真式で、図示しないパーソナルコンピュータPCから受信した画像データやスキャナ106で読み取った画像データ(元画像データ)を、第1プリンタ補正部110aから受け取って、該画像データに基づいて画像を用紙Pの第1面(表面)P1に画像形成出力(印刷出力)する。すなわち、第1プロッタ111aは、電子写真方式で印刷処理を行う場合、図示しないが、電子写真方式で用紙Pに描画データに基づいて印刷処理を行うのに必要な部品、例えば、感光体、光書込部、現像部、帯電部及びクリーニング部等を備えており、画像データ及び制御信号により光書き込み部を動作させて感光体上に静電潜像を形成して、現像部によりトナーを感光体上に供給して現像してトナー画像を形成する。第1プロッタ111aは、給紙部から用紙Pを感光体と転写部との間に給紙して、感光体上のトナー画像を用紙Pの第1面P1に転写させ、トナー画像の転写された用紙Pを定着部に搬送して、定着部で加熱・加圧して用紙Pの第1面P1上のトナー画像を定着させることで、画像形成処理(印刷処理)を行う。
【0032】
また、コントローラ101は、第2プロッタ111bで画像形成する場合、ハードディスク103から第2面(裏面)P2の画像データを読み出して、汎用バス112を介して第2伸張処理部109bに出力し、第2伸張処理部109bは、第1伸張処理部109aと同様に、圧縮処理されている画像データを元のYMCK各8bitの画像データに伸張して、第2プリンタ補正部110bに出力する。
【0033】
第2プリンタ補正部110bは、第1プリンタ補正部110aと同様に、第2伸張処理部109bから送られてきた画像データに対してγ補正処理、中間調処理等の補正処理を施して、第2プロッタ111bの明暗特性の補正処理や階調数変換処理を行い、第2プロッタ112bに出力する。
【0034】
第2プロッタ112bは、第1プリンタ部112aと同様に、所定の印刷方式、例えば、電子写真式で、図示しないパーソナルコンピュータPCから受信した画像データやスキャナ106で読み取った画像データを、第2プリンタ補正部111bから受け取って、該画像データに基づいて画像を用紙Pの第2面(裏面)P2に画像形成出力(印刷出力)する。
【0035】
次に、画像検査部200について説明する。画像検査部200のコントローラ(第1面画像判定手段、第1面画像裏写り判定手段、第2面画像予想裏写り判定手段、第2面画像判定手段)201は、CPU、ROM、RAM等を備えており、ROM内には、画像検査用の基本プログラムや本発明の画像検査方法を実行する画像検査プログラム等のプログラム及び必要なシステムデータが格納されている。なお、このプログラムは、その全てまたはいくつかがハードディスク203に格納されていてもよい。コントローラ201は、CPUがROM内のプログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用しつつ画像検査部200の各部を制御して、画像検査部200としての基本処理を実行するとともに、本発明の画像検査処理を実行する。
【0036】
すなわち、画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の画像検査方法を実行する画像検査プログラムを読み込んでコントローラ201のROMやハードディスク203に導入することで、後述する片面印刷、両面印刷に適切な画像検査を行う画像検査方法を実行する画像検査装置である画像検査部200を搭載する画像形成装置1として構築されている。この画像検査プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0037】
NIC204は、本体部100のNIC105に接続されており、本体部100との間でデータやコマンドの授受を行う。
【0038】
ハードディスク203は、コントローラ201の制御下で各種データ、特に、画像データや必要なプログラム等を記憶する。
【0039】
画像メモリ202は、コントローラ201が画像データに対して各種画像処理を施す場合等に一時画像データを記憶するのに使用される。
【0040】
第1検査スキャナ205aは、例えば、CCDやCMOSを利用したイメージスキャナ等が利用されており、第1プロッタ111aによって出力画像G1の形成された用紙Pの第1面P1を主走査及び副走査して、用紙第1面P1の画像を所定の解像度で読み取って、2値化して第1面画像形成後画像データとして第1スキャナ補正部206aに出力する。
【0041】
第1スキャナ補正部206aは、第1検査スキャナ205aの読み取ったRGBの第1面画像形成後画像データ(デジタルデータ)に対して、フィルタ処理等の画像処理を施し、第1圧縮処理部207aに出力する。
【0042】
第1圧縮処理部207aは、スキャナ補正後のRGB各8bit画像データを圧縮処理して、圧縮後の画像データを、汎用バス208を通して、コントローラ201に送る。なお、汎用バス208の帯域が十分に広く、画像データを蓄積するハードディスク203の容量が大きいときには、第1圧縮処理部207aで画像データを圧縮することなく、非圧縮の状態で画像データを扱ってもよい。
【0043】
第2検査スキャナ205bは、第1検査スキャナ205aと同様の構成であり、第1プロッタ111aによって第1面P1に出力画像G1が形成されて表裏反転された用紙Pの第2面P2を走査して該第2面P2への出力画像G2a(出力画像G1の裏写り画像)を読み取って、2値化してRGBの第2面画像形成前画像データとして第2スキャナ補正部206bに出力する。
【0044】
第2スキャナ補正部206bは、第2検査スキャナ205bの読み取ったRGBの第2面画像形成前画像データ(デジタルデータ)に対して、フィルタ処理等の画像処理を施して、第2圧縮処理部207bに出力する。
【0045】
第2圧縮処理部207bは、スキャナ補正後のRGB各8bit画像データを圧縮処理して、圧縮後の画像データを、汎用バス208を通して、コントローラ201に送る。なお、汎用バス208の帯域が十分に広く、画像データを蓄積するハードディスク203の容量が大きいときには、第2圧縮処理部207bで画像データを圧縮することなく、非圧縮の状態で画像データを扱ってもよい。
【0046】
第3検査スキャナ205cは、第1検査スキャナ205aと同様の構成であり、第1プロッタ111aによって第1面P1に出力画像G1が形成されて表裏反転され第2プロッタ111bによって出力画像G2pが形成された用紙Pの第2面P2を走査して該第2面P2の出力画像G2p(出力画像G1の裏写り画像と第2プロッタ111bによって形成された画像)を読み取って、2値化してRGBの第2面画像形成後画像データとして第3スキャナ補正部206cに出力する。
【0047】
第3スキャナ補正部206cは、第3検査スキャナ205cの読み取ったRGBの第2面画像形成後画像データ(デジタルデータ)に対して、フィルタ処理等の画像処理を施して、第3圧縮処理部207cに出力する。
【0048】
第3圧縮処理部207cは、スキャナ補正後のRGB各8bit画像データを圧縮処理して、圧縮後の画像データを、汎用バス208を通して、コントローラ201に送る。なお、汎用バス208の帯域が十分に広く、画像データを蓄積するハードディスク203の容量が大きいときには、上記同様に、第3圧縮処理部207cで画像データを圧縮することなく、非圧縮の状態で画像データを扱ってもよい。
【0049】
そして、コントローラ201は、第1検査スキャナ205aの読み取った第1プロッタ111aによって画像形成された用紙Pの第1面P1の画像G1、第2検査スキャナ205bの読み取った表裏反転された用紙Pの第2面P2の画像G2a及び第3検査スキャナ205cの読み取った第2プロッタ111bによって画像形成された第2面P2の画像G2pに基づいて、画像検査を行う。
【0050】
そこで、画像形成装置1は、コントローラ201のROMまたはハードディスク203に、図3に示すような検査基準テーブルTb1及び図4に示すような裏写り量判定テーブルTb2を格納している。
【0051】
検査基準テーブルTb1は、用紙Pの第1面P1と第2面P2を、第1検査スキャナ205a、第2検査スキャナ205b及び第3検査スキャナ205cで読み取ったときに、用紙Pの第1面P1に画像がある場合と画像がない場合及び第2面P2に画像がある場合と画像がない場合の組み合わせに対して、それぞれ画像検査基準値を、「1」から「3」の範囲で設定されているテーブルとなっている。すなわち、画像形成装置1においては、用紙Pの第1面P1に画像を形成する第1プロッタ111aと第2面P2に画像を形成する第2プロッタ111bを備えており、これら第1プロッタ111aと第2プロッタ111bの動作によって、用紙Pの第1面P1に画像を形成する場合と画像を形成しない場合及び第2面P2に画像を形成する場合と画像を形成しない場合がある。検査基準テーブルTb1は、これらの第1面P1と第2面P2の画像の有無によって、用紙Pの画像の判読性及び見難さ等の画像評価が異なることを考慮して、画像検査基準値が、「1」から「3」の範囲で設定されている。すなわち、画像形成装置1は、例えば、搬送ベルト125上の用紙Pに、第1プロッタ111aで画像を形成した後、第2プロッタ111bに搬送して第2プロッタ111bによって画像を形成すると、図5に示すように、用紙Pの厚さ等によって、用紙Pを第2面P2から見ると、図5に実線で示すように、用紙Pの第2面P2に第2プロッタ111bで形成された画像G2pだけでなく、図5に一点鎖線で示すように、用紙Pの第1面P1に第1プロッタ111aによって形成された画像G1が透けた状態の画像G2eが、用紙Pの第2面P2側から見えることとなる。したがって、第1面P1の画像G1があるのか否か及び第2面P2の画像G2eがあるのか否かによって、用紙Pを第1面P1及び第2面P2それぞれから見た場合の画像の判読性及び見難さ等の画像評価が異なるため、第1面P1の画像G1があるのか否か及び第2面P2の画像G2eがあるのか否かによって、画像検査基準値を異ならせている。なお、図3において、画像検査基準値「1」〜「3」は、数値が小さいほど検査基準が厳しく、具体的には、第1面P1と第2面P2の両面ともに画像のある場合は、画像検査基準値が厳しい「1」が設定されていて、裏写りの検査を厳しく行う。また、片面だけ画像があるときには、中間の厳しさの画像検査基準値「2」が設定されていて、裏写りの検査を甘く行い、両面ともに画像がないときは、画像検査基準値「3」が設定されていて、裏写りの検査を行わない。
【0052】
また、裏写り量判定テーブルTb2は、画像濃度と用紙品質によって異なる複数の裏写り量∪1〜U4のテーブルとなっている。すなわち、用紙Pに形成された画像の判読性及び見難さ等の画像評価を行う場合、用紙Pに形成されている画像が反対面に裏写りする裏写り量によって異なるが、この裏写り量は、用紙Pの品質(紙種、紙厚等)によって異なるため、複数の用紙品質に対応した裏写り量∪1〜U4を、実際に第1プロッタ111a及び第2プロッタ111bによって画像形成して第1検査スキャナ205a、第2検査スキャナ205b及び第3検査スキャナ205cで読み取った裏写り量を、裏写り量判定テーブルTb2として登録している。この裏写り量の単位は、形成画像と同じ網点面積率であり、裏写り量判定テーブルTb2には、形成画像の網点面積率に応じた裏写り量が網点面積率で登録されている。
【0053】
なお、上記第1検査スキャナ205a、第2検査スキャナ205b及び第3検査スキャナ205cは、図6に示すように、搬送ベルト125上を搬送される用紙Pを読み取るが、読み取った画像データから用紙Pの画像データのみを抽出するには、用紙Pと搬送ベルト125との色の相違を利用する。
【0054】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、用紙Pの第1面P1と第2面P2への画像形成の有無及び用紙Pの品質に応じて画像検査基準値を選択して適切に画像検査を行う。
【0055】
画像形成装置1は、両面印刷機能を備えており、スキャナ106の読み取った画像データまたはパーソナルコンピュータPCから送られてきた画像データに基づいて、印刷設定に応じて、用紙Pの片面または両面に印刷するとともに、画像検査部200で画像検査を行う。すなわち、画像形成装置1は、スキャナ106で読み取って必要な画像処理を施した画像データをハードディスク103に蓄積するとともに、画像検査部200で画像検査を行う際に必要な座標を算出して、算出した座標情報、書誌情報及び画像データ等を、NIC105及び画像検査部200のNIC204を通して画像検査部200のコントローラ201に送信する。また、画像形成装置1は、パーソナルコンピュータPCから画像データと印刷設定コマンドが送られてくると、該印刷設定コマンドを解析して、画像データを画像メモリ102を利用して印刷可能な状態にビットマップ展開して、展開した画像データを圧縮してハードディスク103に蓄積するとともに、画像検査部200で画像検査を行う際に必要な座標を算出して、算出した座標情報、書誌情報及び画像データ等を、NIC105及び画像検査部200のNIC204を通して画像検査部200のコントローラ201に送信する。
【0056】
そして、画像形成装置1は、画像形成時、表面である第1面P1に印刷するために、本体部100のコントローラ101が、ハードディスク103から画像データを読み出して第1伸張処理部109aで伸張して第1プリンタ補正部110aで必要な補正を行った後、第1プロッタ111aに渡す。一方、画像形成装置1は、給紙部から搬送ベルト125上に用紙Pを送り出させ、搬送ベルト125上に送り出されてきた用紙Pを、搬送ベルト125に吸着させて第1プロッタ111aに搬送して、第1プロッタ111aに、第1プリンタ補正部111aから渡された画像データに基づいて、搬送ベルト125で搬送されてきた用紙Pの第1面P1に画像G1を形成させる。
【0057】
画像形成装置1は、図6に示すように、搬送ベルト125によって第1面P1に画像G1の形成された用紙Pを、第1検査スキャナ205aへ搬送させて、画像検査部200の第1検査スキャナ205aによって用紙Pの第1面P1の読み取りを行わせ(ステップS101)、第1検査スキャナ205aの読み取った第1面P1の画像データを第1スキャナ補正部206aでフィルタ処理等の補正を施させて、必要に応じて第1圧縮処理部207aで圧縮してハードディスク203に保管する。
【0058】
次に、コントローラ201は、第1検査スキャナ205aが読み取ってハードディスク203に保管した画像データ(以下、単に、第1読み取り画像データという。)と本体部100から送られてきてハードディスク203に保管されている第1プロッタ111aで印刷するために補正処理を行う前の画像データ(以下、単に、第1元画像データという。)を比較して、第1プロッタ111aによって用紙Pの第1面P1に形成された画像の良否を判定する(ステップS102)。コントローラ201は、この画像検査において、第1読み取り画像データが第1元画像データに対して相違している程度(相違度)が予め設定されている基準相違値を超えていると、不良画像と判断し、相違度が基準相違値内であると、正常画像と判断する。そして、コントローラ201は、不良画像と判断すると、異常画像対応処理、例えば、以降の画像形成処理及び画像検査処理を行うことなく、用紙Pを排出する等の処理を行う。
【0059】
次に、画像形成装置1は、裏写り画像検査処理を行う(ステップS103)。この裏写り画像検査処理においては、画像形成装置1は、搬送ベルト125により第1プロッタ111a及び第1検査スキャナ205aを通過した用紙Pをその表裏を反転させて、第2検査スキャナ205bへ搬送して、第2検査スキャナ205bによって用紙Pの第2面(裏面)P2を読み取らせて、第2検査スキャナ205bの読み取った画像データを第2スキャナ補正部206bで補正した後、第2圧縮処理部207bで必要な圧縮を行ってハードディスク203に蓄積させる(ステップS111)。コントローラ201は、第2検査スキャナ205bの読み取った用紙Pの第2面P2の画像データ(以下、単に、第2読み取り画像データという。)に基づいて、第2プロッタ111bによって画像形成が行われる前における第1面の画像G1の第2面P2への裏写り(裏汚れ)を検査する第2面裏写り検査処理を行い(ステップS112)、次に、第2検査スキャナ205bの読み取った第2面P2の裏写り量から第2面Pに形成される画像G2pの第1面P1への裏写り(裏汚れ)を予測検査する第1面予想裏写り検査処理を行う(ステップS113)。
【0060】
すなわち、ステップS103の裏写り画像検査処理においては、第1面P1から第2面P2への裏写り量を検査する第2面裏写り検査処理(ステップS112)と第2面P2の裏写り量から第2面P2に形成する画像G2pの第1面P1への裏写りを予測検査する第1面予想裏写り検査処理(ステップS113)とを行う。
【0061】
まず、ステップS112の第2面裏写り検査処理について説明する。図5に一点鎖線で示したように、用紙Pの第1面P1に形成された画像G1は、第2面P2に裏写りして画像G2eとなる。そこで、コントローラ201は、第2プロッタ111bによって用紙Pの第2面P2へ画像が形成される前の該用紙Pの第2面P2を、第2検査スキャナ205bに読み取らせ、第1面P1の画像G1の第2面P2への裏写りの画像G2eの裏写り量を測定させて、画像の良否を判定する。この画像の良否の判定については、後で詳細に説明する。
【0062】
次に、ステップS113の第2面P2の裏写り量から第1面P1の裏写り(裏汚れ)を予測検査する第1面予想裏写り検査処理について説明する。この第1面予想裏写り検査処理は、上記画像形成前の第2面P2を第2検査スキャナ205bが読み取った画像G2eと本体部100から送られてきてハードディスク203に格納されている第2面P2の画像データ(プリンタ補正前の画像データ)から、第2面P2に形成する画像G2pの第1面P1への裏写りがどの程度生じるかの裏写り量を予測して画像の良否を判定する。
【0063】
まず、ステップS112の上記第2面裏写り検査処理における裏写り量に基づく画像の良否の判定について説明する。裏写り量は、上述のように、紙種、紙厚等の用紙品質により、規定することができるが、用紙Pの品質は必ずしも一定ではないため、用紙品質による裏写り量を考慮する必要がある。そこで、画像形成装置1は、上述のように、図4に示したような紙種、紙厚等の用紙品質毎に、第1面P1の画像G1の網点面積率に応じて、複数の裏写り量を登録した裏写り量判定テーブルTb2をコントローラ201内のROMまたはハードディスク203に格納して、コントローラ201が、第1面P1の複数領域に網点面積率で画像形成した画像に対応する領域の裏写り量を第2検査スキャナ205bで読み取った第2読み取り画像データに基づいて、該裏写り量判定テーブルTb2から、最適な裏写りテーブルを選択する。
【0064】
そして、コントローラ201は、ステップS112の第2面裏写り検査処理においては、選択した裏写り量判定テーブルTb2を使用して、第2検査スキャナ205bの読み取った裏写り量が、選択した裏裏写り量判定テーブルTb2の基準値よりも小さいと、第1面P1に形成した画像G1が正常であると判定し、第2検査スキャナ205bの読み取った裏写り量が、選択した裏裏写り量判定テーブルTb2の基準値よりも大きいと、第1面P1に形成した画像G1が不良であると判断する。
【0065】
次に、ステップS113の第1面予想裏写り検査処理における裏写り量に基づく画像良否の判定について説明する。コントローラ201は、ステップS112の第2面裏写り検査処理の場合と同様に、裏写り量判定テーブルTb2を選択して、選択した裏写り量判定テーブルTb2を使用して、本体部100から送られてきてハードディスク203に格納されている第2面P2の画像データ(プリンタ補正前の画像データ)に基づいて第2面P2に形成する画像G2pの網点面積率を求めて、該第2面P2の画像G2pの第1面P1への裏写り量を予測する。コントローラ201は、この予測した第2面P2の画像G2pの第1面P1への裏写り量に基づいて第1面予想裏写り検査を行う。すなわち、両面印刷を行う場合、第1面P1と第2面P2の裏写り量は同じであるという特性を利用している。そして、コントローラ201は、第1面裏裏写り検査においては、用紙P毎に定めた画像検査基準値よりも第2読み取り画像データの濃度(裏写り量)が小さいと、形成した第1面P1の画像G1が正常であると判断し、用紙P毎に定めた画像検査基準値よりも第2読み取り画像データの濃度(裏写り量)が大きいと、印刷した第1面P1の画像G1が不良であると判断する。
【0066】
そして、コントローラ201は、ステップS113の第1面予想裏写り検査処理においては、図3に示した検査基準テーブルTb1に示したように、第1面P1と第2面P2の画像の組み合わせに基づいて、画像検査基準値を設定して画像の良否を判定する。
【0067】
すなわち、図3に示したように、第1面P1に画像あり/画像なしの場合の2種類と、第2面P2に画像あり/画像なしの場合の2種類との組み合わせで、4種類の場合があり、以下、この4種類の場合の画像検査について説明する。なお、画像あり/画像なしの判定は、用紙Pのページ単位で行ってもよいし、所定の領域単位で行ってもよい。
【0068】
(A)第1面P1及び第2面P2ともに画像なしの場合
この場合、第1面P1にも第2面P2にも画像が形成されないため、コントローラ201は、画像検査基準値「3」に従って、裏写りの検査を行わない。すなわち、もともと紙面にゴミがあっても、印刷情報がないため、検査の必要性が少ないからである。
【0069】
(B)第1面P1に画像G1があり、第2面P2に画像がない場合
この場合、第1面P1に画像G1があり、第2面P2に画像がないため、コントローラ201は、画像検査基準値「2」という甘い画像検査基準値に従って、単純に裏写りの量で画像の良否を判定する第2面P2の裏写り(裏汚れ)検査を行う。すなわち、第2面P2に画像情報がないため、少々のゴミがあっても気にならないが、裏写りが多いと、前後の用紙Pにインクが付着するおそれがあるため、両面に画像がある場合の裏写りよりも甘い画像検査基準値である「2」で検査する。
【0070】
(C)第1面P1に画像なし、第2面P2に画像ありの場合
この場合、コントローラ201は、第1面P1に画像がないので、第2面P2の裏写り(裏汚れ)の検査を行なわず、第1面P1の裏写り(裏汚れ)を第2面P2に画像形成する画像データ(プリンタ補正前の画像)から予測して画像検査する。すなわち、第1面P1に画像がないので、コントローラ201は、図4に示した裏写り量テーブルTb2を用いて、単純に裏写りを予測した量で画像の良否の検査を行う。具体的には、コントローラ201は、同一ページ内に第1面P1が印刷されていると、第1面P1の印刷されている領域の裏写り量から、裏写り量判定テーブルTb2の裏写り量U1〜U4を選択する。同一ページに第1面P1が印刷されていないときには、前ページの第1面P1の印刷情報等を使用して裏写り量判定テーブルTb2の裏写り量U1〜U4を選択したり、用紙Pの紙種、紙厚等の用紙品質に応じて裏写り量判定テーブルTb2の裏写り量U1〜U4を選択する。
【0071】
(D)第1面P1に画像あり、第2面P2に画像ありの場合
この場合、第1面P1にも、第2面P2にも画像があるので、コントローラ201は、第2面P2の裏写りの検査を、厳しい画像検査基準値「3」に従って、第1面P1の画像G1を考慮して行う。具体的には、第2面P2の裏写りの検査においては、第2面P2に画像があると、画像のある領域は注目部分であるので、コントローラ201は、第2面P2に画像がない場合に比較して、第1面P1の裏写り(裏汚れ)を、画像検査基準値「1」という厳しい画像検査基準値に従って行う。また、第2面P2の画像濃度が濃く用紙Pの印刷可能なトナー量の最大値に近く、第1面P1の画像G1の裏写りが大きいと、印刷可能トナー量を超えてしまうため、コントローラ201は、第2面P2の画像形成に用いるトナー量を考慮して検査する。すなわち、印刷可能トナー量を超えると、電子写真方式の第1プロッタ111a及び第2プロッタ111bでは、機械にダメージを与えてしまい破損してしまうおそれがあり、また、一般的には、印刷可能トナー量を超えると、色が正しく表現できなくなるだけでなく、トナーが用紙Pに載らずに、前後のページに写ってしまうおそれがある等の不具合の発生を未然に防止するために、第2面P2に画像形成する前に第2面P2の裏写り(裏汚れ)の検査を行う。
【0072】
画像形成装置1は、ステップS103の裏写り画像検査処理を終了すると、本体部100のコントローラ101が、ハードディスク103から第2面(裏面)P2の画像データを読み出して、第2伸張処理部109b及び第2プリンタ補正部110bで必要な画像処理を施した画像データを、第2プロッタ112bに送って、第2プロッタ112bに用紙Pの第2面P2へ画像G2pを形成させる。
【0073】
そして、画像検査部200のコントローラ201は、第2プロッタ112bによって用紙Pの第2面P2に画像形成されると、第3検査スキャナ205cに画像形成後(印刷後)の第2面P2を読み取らせ(ステップS104)、第3検査スキャナ205cの読み取った画像G2pの画像データと、第2プロッタ111bで画像形成するのに用いた画像データであって第2プリンタ補正部110bで補正する前に本体部100のコントローラ101から送られてきてハードディスク203に格納されている画像データと、を比較して、画像の検査を行う(ステップS105)。コントローラ201は、第1面P1に画像が形成されていないときには、上記(C)の場合である第1面P1に画像なし、第2面P2に画像ありの場合の画像検査処理と同様に画像検査を行い、第1面P1に画像が形成されているときには、上記(D)の場合である第1面P1に画像あり、第2面P2に画像ありの場合の画像検査処理と同様に行う。なお、第1面に画像があるときには、第1面P1の画像G1の裏写りによる影響があるため、第3検査スキャナ205cの読み取った画像画像データから第2検査スキャナ205bの読み取った画像データを減算して裏写りの影響を排除したり、第2プロッタ111bで形成される前のハードディスク203に蓄積されている画像データ(プリンタ補正前の画像データ)に第2検査スキャナ111bの読み取った画像データ(第1面P1の裏写り画像G2aを読み取った画像データ)を加えて、裏写りの影響を排除して検査を行ってもよい。
【0074】
なお、上記説明においては、画像形成を行うプロッタとして、第1プロッタ111aと第2プロッタ111bの2つ備え、用紙Pの検査用の画像を読み取る検査スキャナとして、第1検査スキャナ205a、第2検査スキャナ205b、第3検査スキャナ205cの3つを備えていて、搬送ベルト125がこれらの第1プロッタ111a、第1検査スキャナ205a、第2検査スキャナ205b、第2プロッタ111b及び第3検査スキャナ205cに用紙Pを順次搬送する場合について説明している。画像検査部を搭載した画像形成装置の構成としては、上記構成に限るものではなく、例えば、画像を形成する画像形成部として、1つのプロッタ、このプロッタを挟んで配設されている前検査スキャナと後検査スキャナの2つの検査スキャナ及び反転搬送機構を備え、用紙Pを給紙部からプロッタに搬送して、プロッタで用紙第1面P1に画像形成して該用紙の第1面P1を後検査スキャナで検査読み取りを行った後、反転搬送機構によって用紙を表裏反転させて前検査スキャナに送って、前検査スキャナによる用紙第2面P2の検査読み取り、プロッタによる用紙第2面P2への画像形成及び後検査スキャナによる用紙第2面P2の検査読み取りを順次行うものであってもよい。
【0075】
また、上記実施例においては、画像形成を行うプロッタ111a、111bが電子写真方式の画像形成手段を用いている場合について説明しているが、画像形成手段としては、電子写真方式のものに限るものではなく、例えば、インク噴射方式のものであってもよい。
【0076】
このように、本実施例の画像形成装置1は、第1面P1と第2面P2の順に画像形成されるシート状の用紙(被記録媒体)Pの該第1面P1を第1プロッタ111aによる画像形成(印刷)後に、画像検査部200の第1検査スキャナ205aによって読み取って、該第1検査スキャナ205aが読み取った該第1面画像形成後画像データに基づいて、コントローラ201が、該第1面P1に形成された第1面画像G1の良否を判定する。さらに、画像形成装置1は、該用紙Pの第2面P2への第2プロッタ111bによる画像形成前に該第2面P2を第2検査スキャナ205bによって読み取って、読み取った該第2面画像形成前画像データと該第2面Pへの画像形成の元となる第2面元画像データの有無に基づいて該第1面画像G1の該第2面P2への裏写りの良否を判定し、該第2面画像形成前画像データ、該第1面画像G1の有無及び該第2面元画像データに基づいて該第2面P2に形成される予定の第2面形成予定画像の該第1面P1への予想裏写りの良否を判定して、該用紙Pの第2面P2への画像形成後における該第2面P2を読み取って、読み取った該第2面画像形成後画像データに基づいて該用紙Pの第2面P2に形成された該第2面画像の良否を判定している。
【0077】
したがって、第1面P1と第2面P2の裏写りによる画像品質の判定を第1面P1及び第2面P2に画像があるか否かを考慮して行うことができ、片面画像形成と両面画像形成の画像形成モードに応じて画像の良否を適切に判定することができる。
【0078】
また、本実施例の画像形成装置1は、画像検査部200のコントローラ201が、第2面裏写り検査処理(第2面裏写り判定処理)及び第1面予想裏写り検査処理(第1面予想裏写り判定処理)において、用紙Pの第1面P1及び第2面P2の全体または所定の大きさの領域を判定領域として、該判定領域に形成される画像の濃度に基づいて予め設定した裏写り量を、裏写り量判定テーブルTb2を参照して決定して、裏写りの良否を判定している。
【0079】
したがって、第1面P1及び第2面P2に形成される画像の濃度を考慮して裏写りによる画像品質を判定することができ、画像良否をより一層適切に判定することができる。
【0080】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、画像検査部200のコントローラ201が、第2面裏写り判定処理及び第1面予想裏写り判定処理において、用紙Pの第1面P1及び第2面P2の全体または所定の大きさの領域を判定領域として、該判定領域において、該第1面P1と該第2面P2に画像があるか否かに基づいて、図3に示した検査基準テーブルTb1を参照して、画像検査基準値(判定基準)を変更して裏写りの良否を判定または該判定を不要としている。
【0081】
したがって、第1面P1と第2面P2の裏写りによる画像品質の判定を第1面P1及び第2面P2に画像があるか否かによって画像検査基準値を設定することで、より一層適切に行うことができ、片面画像形成と両面画像形成等の画像形成モードに応じて画像の良否をより一層適切にかつ速やかに判定することができる。
【0082】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、片面印刷と両面印刷を選択的に行われる画像形成媒体への印刷画像の良否を適切に検査する画像検査装置、該画像検査装置を搭載する画像形成装置、画像検査方法、画像検査プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 画像形成装置
100 本体部
101 コントローラ
102 画像メモリ
103 ハードディスク(HDD)
104、105 NIC
106 スキャナ
107 スキャナ補正部
108 圧縮処理部
109a 第1伸張処理部
110a 第1プリンタ補正部
111a 第1プロッタ
109b 第2伸張処理部
110b 第2プリンタ補正部
111b 第2プロッタ
112 汎用バス
120 用紙搬送部
121〜124 ローラ
125 搬送ベルト
200 画像検査部
201 コントローラ
202 画像メモリ
203 ハードディスク(HDD)
204 NIC
205a 第1検査スキャナ
206a 第1スキャナ補正部
207a 第1圧縮処理部 205b 第2検査スキャナ
206b 第2スキャナ補正部
207b 第2圧縮処理部
205c 第3検査スキャナ
206c 第3スキャナ補正部
207c 第3圧縮処理部
208 汎用バス
P 用紙
P1 第1面
P2 第2面
G1 第1面画像
G2a 第1面裏写り画像
G2p 第2面画像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開2005−205853号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と第2面の順に画像形成されるシート状の被記録媒体の該第1面を画像形成後に読み取って第1面画像形成後画像データを出力する第1読み取り手段と、
前記第1面画像形成後画像データに基づいて前記第1面に形成された第1面画像の良否を判定する第1面画像判定手段と、
前記被記録媒体の第2面への画像形成前に該第2面を読み取って第2面画像形成前画像データを出力する第2読み取り手段と、
前記第2面画像形成前画像データと該第2面への画像形成の元となる第2面元画像データの有無に基づいて前記第1面画像の該第2面への裏写りの良否を判定する第2面裏写り判定手段と、
前記第2面画像形成前画像データ、前記第1面画像の有無及び前記第2面元画像データに基づいて前記第2面に形成される予定の第2面形成予定画像の前記第1面への予想裏写りの良否を判定する第1面予想裏写り判定手段と、
前記被記録媒体の第2面への画像形成後における該第2面を読み取って第2面画像形成後画像データを出力する第3読み取り手段と、
前記第2面画像形成後画像データに基づいて前記被記録媒体の前記第2面に形成された該第2面画像の良否を判定する第2面画像判定手段と、
を備えていることを特徴とする画像検査装置。
【請求項2】
前記第2面裏写り判定手段及び前記第1面予想裏写り判定手段は、
前記被記録媒体の前記第1面及び前記第2面の全体または所定の大きさの領域を判定領域として、該判定領域に形成される画像の濃度に基づいて予め設定した裏写り量を参照して前記裏写りの良否を判定することを特徴とする請求項1記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記第2面裏写り判定手段及び前記第1面予想裏写り判定手段は、
前記被記録媒体の前記第1面及び前記第2面の全体または所定の大きさの領域を判定領域として、該判定領域において、該第1面と該第2面に画像があるか否かに基づいて判定基準を変更して前記裏写りの良否を判定または該判定を不要とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像検査装置。
【請求項4】
被記録媒体の第1面と第2面に画像形成する画像形成手段と、該画像形成手段によって形成される画像の良否を判定する画像検査手段と、を備え、該画像検査手段として、請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像検査装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
第1面と第2面の順に画像形成されるシート状の被記録媒体の該第1面を画像形成後に読み取って第1面画像形成後画像データを出力する第1読み取り処理ステップと、
前記第1面画像形成後画像データに基づいて前記第1面に形成された第1面画像の良否を判定する第1面画像判定処理ステップと、
前記被記録媒体の第2面への画像形成前に該第2面を読み取って第2面画像形成前画像データを出力する第2読み取り処理ステップと、
前記第2面画像形成前画像データと該第2面への画像形成の元となる第2面元画像データの有無に基づいて前記第1面画像の該第2面への裏写りの良否を判定する第2面裏写り判定処理ステップと、
前記第2面画像形成前画像データ、前記第1面画像の有無及び前記第2面元画像データに基づいて前記第2面に形成される予定の第2面形成予定画像の前記第1面への予想裏写りの良否を判定する第1面予想裏写り判定処理ステップと、
前記被記録媒体の第2面への画像形成後における該第2面を読み取って第2面画像形成後画像データを出力する第3読み取り処理ステップと、
前記第2面画像形成後画像データに基づいて前記被記録媒体の前記第2面に形成された該第2面画像の良否を判定する第2面画像判定処理ステップと、
を有していることを特徴とする画像検査方法。
【請求項6】
コンピュータに、
第1面と第2面の順に画像形成されるシート状の被記録媒体の該第1面を画像形成後に読み取って第1面画像形成後画像データを出力する第1読み取り処理と、
前記第1面画像形成後画像データに基づいて前記第1面に形成された第1面画像の良否を判定する第1面画像判定処理と、
前記被記録媒体の第2面への画像形成前に該第2面を読み取って第2面画像形成前画像データを出力する第2読み取り処理と、
前記第2面画像形成前画像データと該第2面への画像形成の元となる第2面元画像データの有無に基づいて前記第1面画像の該第2面への裏写りの良否を判定する第2面裏写り判定処理と、
前記第2面画像形成前画像データ、前記第1面画像の有無及び前記第2面元画像データに基づいて前記第2面に形成される予定の第2面形成予定画像の前記第1面への予想裏写りの良否を判定する第1面予想裏写り判定処理と、
前記被記録媒体の第2面への画像形成後における該第2面を読み取って第2面画像形成後画像データを出力する第3読み取り処理と、
前記第2面画像形成後画像データに基づいて前記被記録媒体の前記第2面に形成された該第2面画像の良否を判定する第2面画像判定処理と、
を実行させることを特徴とする画像検査プログラム。
【請求項7】
請求項6記載の画像検査プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−124813(P2012−124813A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275561(P2010−275561)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】