説明

画像生成装置、画像処理方法、および、プログラム

【課題】ゲーム状況を把握し易くするための画像を、処理負荷を適切に抑えつつ表示できる画像生成装置等を提供する。
【解決手段】複製生成部240は、取得されたオブジェクト情報から、現在の敵キャラクタと同じ形(挙動)となる複製オブジェクトを生成する。オブジェクト配置部250は、視点から敵キャラクタ(対応する敵キャラクタ)までの距離や画角等に基づいて、複製オブジェクトを縮小する。そして、例えば、視界領域(ビューフラスタム)における前方のクリップ面に配置する。輪郭抽出部253は、複製オブジェクトから専用シェーダにより輪郭を抽出して輪郭画像を生成する。そして、画像描画部260は、最前面の輪郭オブジェクトを含む各オブジェクトの画像を描画する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム状況を把握し易くするための画像を、処理負荷を適切に抑えつつ表示することのできる画像生成装置、画像処理方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、3次元表示のアクションゲームやスポーツゲーム等において、ゲーム状況を把握し易くするための画像が各種表示されている。例えば、自キャラクタ(味方キャラクタ)や敵キャラクタの位置等を示すレーダー画面(レーダーマップ)を、ゲーム画像(プレイ中の視界画像)に重ねて表示するなどである。
プレイヤは、このようなレーダー画面から、例えば、敵キャラクタの配置や距離等を認識し、ゲーム画像の表示だけでは把握し難いゲーム全体の状況をとらえることができるようになっている。
【0003】
一例として、サッカーゲームおいて、競技状況に応じて表示範囲等を変化させたレーダー画面(レーダーマップ)を表示するビデオゲーム(ゲームシステム)の技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−128538号公報 (第4−7頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなレーダー画面では、各キャラクタを単純な図形等で表している。そのため、レーダー画面を見たプレイヤは、各キャラクタの位置等については把握できるものの、キャラクタ個々の挙動(どのような動きをしているか等)までを推し量ることはできない。
なお、キャラクタの状態(ステータス等)に応じて、図形の色や形状を変化させたレーダー画面を表示する場合もあるが、単純で面白味に欠けるものであった。また、ステータス等を知り得ても、やはり、キャラクタの挙動までは把握できないのが現状であった。
【0005】
そのため、キャラクタの挙動をプレイヤに知らせるために、レーダー画面にて、キャラクタを模した図形等をキャラクタの動きに合わせて動かす、所謂アニメーション表示を行うことなども考えられる。
しかしながら、複雑なアニメーション表示を行うためには、プリレンダされた(予めレンダリングされた)動画再生と組み合わせたり、動的にテクスチャを生成するといった専用の描画処理を加える必要があった。そして、専用の描画処理を加えることにより、処理負荷が大きくなってしまうという問題があった。
なお、動画再生と組み合わせた場合では、アニメーション表示の内容が限られてしまう(幾つかに固定されてしまう)ため、インタラクティブ性に欠けたものとなってしまうという問題もあった。また、動的にテクスチャを生成する場合でも、要求スペックが高くなりすぎて対応できる機種が限られる(汎用性が低くなる)のと、メモリ容量の制限が更に加わる等の問題があった。
【0006】
そのため、処理負荷を適切に抑えつつ、キャラクタと同じ挙動の画像を表示できるようにする技術が求められていた。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、ゲーム状況を把握し易くするための画像を、処理負荷を適切に抑えつつ表示することのできる画像生成装置、画像処理方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係る画像生成装置は、複製生成部、オブジェクト配置部、輪郭生成部、及び、画像描画部を含んで構成される。
【0009】
まず、複製生成部は、3次元仮想空間内に配置される特定オブジェクト(例えば、敵キャラクタ)から複製オブジェクトを生成する。また、オブジェクト配置部は、生成された当該複製オブジェクトを、少なくとも視点位置から特定オブジェクトまでの距離に基づいて縮小しつつ、視点位置の近傍に配置する。輪郭生成部は、配置された当該複製オブジェクトから、視点位置を基準とした輪郭画像を生成する。そして、画像描画部は、生成された当該輪郭画像と特定オブジェクトとを重ねた表示画像を描画する。
【0010】
このように、複製オブジェクトが縮小されて最前面に配置され、その輪郭が抽出された輪郭画像が敵キャラクタと重ねられたゲーム画像が生成されることになる。この輪郭画像は、常に最前面に表示され、しかも、特定オブジェクトと全く同じ動きをすることになる(重なったまま動くことになる)。そのため、プレイヤは、特定オブジェクトが遮蔽物に隠れて本来見えないような状況であっても、その特定オブジェクトの挙動を輪郭画像から知り得ることができ、ゲーム状況を把握し易くなる。しかも、通常の描画システムに専用の処理を追加する必要がないので、処理負荷を適切に抑えることができる。
この結果、ゲーム状況を把握し易くするための画像を、処理負荷を適切に抑えつつ表示することができる。
【0011】
前記複製生成部は、特定オブジェクトと同一となる複製オブジェクトを生成し、前記オブジェクト配置部は、視点位置を基準とし、視線方向及び画角を含む条件に応じて縮小しつつ、視点位置に対して最前面に複製オブジェクトを配置してもよい。
この場合、特定オブジェクトが配置される仮想空間内の位置が異なっても、描画時にその特定オブジェクトとぴったり重なる(一致する)ように複製オブジェクを配置することができる。
【0012】
前記オブジェクト配置部、前記輪郭生成部、及び、前記画像描画部を、少なくとも描画サイクル毎に制御する描画制御部を更に備えてもよい。
この場合、描画サイクル(例えば、1/60秒毎)に各処理が行われるため、特定オブジェクトの動きと全く同じ動きを輪郭画像にてアニメーション表示することができる。
【0013】
前記オブジェクト配置部は、前記複製生成部により生成された当該複製オブジェクトを、少なくとも視点位置から特定オブジェクトまでの距離に基づいて縮小する縮小部と、縮小された当該複製オブジェクトを視点位置の近傍となる所定位置に配置する配置部と、を備えてもよい。
この場合、特定オブジェクトが配置される仮想空間内の位置が異なっても、描画時にその特定オブジェクトとぴったり重なる(一致する)ように複製オブジェクを配置することができる。
【0014】
本発明の第2の観点に係る画像処理方法は、複製生成ステップ、オブジェクト配置ステップ、輪郭抽出ステップ、及び、画像描画ステップを含んで構成される。
【0015】
まず、複製生成ステップでは、3次元仮想空間内に配置される特定オブジェクト(例えば、敵キャラクタ)から複製オブジェクトを生成する。また、オブジェクト配置ステップでは、生成された当該複製オブジェクトを、少なくとも視点位置から特定オブジェクトまでの距離に基づいて縮小しつつ、視点位置の近傍に配置する。輪郭生成ステップでは、配置された当該複製オブジェクトから、視点位置を基準とした輪郭画像を生成する。そして、画像描画ステップでは、生成された当該輪郭画像と特定オブジェクトとを重ねた表示画像を描画する。
【0016】
このように、複製オブジェクトが縮小されて最前面に配置され、その輪郭が抽出された輪郭画像が敵キャラクタと重ねられたゲーム画像が生成されることになる。この輪郭画像は、常に最前面に表示され、しかも、特定オブジェクトと全く同じ動きをすることになる(重なったまま動くことになる)。そのため、プレイヤは、特定オブジェクトが遮蔽物に隠れて本来見えないような状況であっても、その特定オブジェクトの挙動を輪郭画像から知り得ることができ、ゲーム状況を把握し易くなる。しかも、通常の描画システムに専用の処理を追加する必要がないので、処理負荷を適切に抑えることができる。
この結果、ゲーム状況を把握し易くするための画像を、処理負荷を適切に抑えつつ表示することができる。
【0017】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、コンピュータ(電子機器を含む。)を、上記の画像生成装置として機能させるように構成する。
【0018】
このプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記録媒体に記録することができる。
【0019】
上記プログラムは、当該プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記録媒体は、当該コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ゲーム状況を把握し易くするための画像を、処理負荷を適切に抑えつつ表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム装置に本発明が適用される実施形態を説明するが、各種のコンピュータ、PDA、携帯電話などの情報処理装置においても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素または全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施の形態に係る画像生成装置が実現される典型的なゲーム装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0023】
ゲーム装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェース104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、DVD(Digital Versatile Disk)−ROMドライブ107と、画像処理部108と、音声処理部109と、NIC(Network Interface Card)110と、を備える。
【0024】
なお、ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ107に装着して、ゲーム装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態の画像生成装置が実現される。
【0025】
CPU 101は、ゲーム装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。
【0026】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、ゲーム装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0027】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。
【0028】
インターフェース104を介して接続されたコントローラ105は、ユーザがゲーム実行の際に行う操作入力を受け付ける。たとえば、コントローラ105は、操作入力に従って、文字列(メッセージ)等の入力を受け付ける。
【0029】
インターフェース104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、ゲームの進行状態を示すデータ、チャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。ユーザは、コントローラ105を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0030】
DVD−ROMドライブ107に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ107は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0031】
画像処理部108は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部108が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部108が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部108に接続されるモニタ(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0032】
なお、画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0033】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。フォント情報は、ROM 102に記録されているが、DVD−ROMに記録された専用のフォント情報を利用することも可能である。
【0034】
音声処理部109は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカから出力させる。
【0035】
NIC 110は、ゲーム装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0036】
このほか、ゲーム装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ107に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
また、ユーザからの文字列の編集入力を受け付けるためのキーボードや、各種の位置の指定および選択入力を受け付けるためのマウスなどを接続する形態も採用することができる。
【0037】
また、本実施形態のゲーム装置100にかえて、一般的なコンピュータ(汎用のパーソナルコンピュータ等)を画像生成装置として利用することもできる。たとえば、一般的なコンピュータは、上記ゲーム装置100と同様に、CPU、RAM、ROM、DVD−ROMドライブ、および、NICを備え、ゲーム装置100よりも簡易な機能を備えた画像処理部を備え、外部記憶装置としてハードディスクを有する他、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、磁気テープ等が利用できるようになっている。また、コントローラではなく、キーボードやマウスなどを入力装置として利用する。そして、ゲームプログラムをインストールした後に、そのプログラムを実行させると、画像生成装置として機能する。
【0038】
(画像生成装置の概要構成)
図2は、本実施形態に係る画像生成装置の概要構成を示す模式図である。この画像生成装置は、一例として、プレイヤにより操作されるキャラクタ(自キャラクタ)が敵陣に潜入し、身を隠しつつ諜報活動等を行う三次元のアクションゲームにおいて、敵キャラクタの挙動を表す画像等を生成する装置である。以下、本図を参照して説明する。
【0039】
画像生成装置200は、オブジェクト情報記憶部210と、操作受付部220と、位置管理部230と、複製生成部240と、オブジェクト配置部250と、画像描画部260とを備える。
【0040】
まず、オブジェクト情報記憶部210は、仮想空間内に配置される自キャラクタ(味方キャラクタ)、敵キャラクタ、樹木、及び、建物等のオブジェクトについての情報を記憶する。具体的には、各オブジェクトの3D(3次元)モデルの情報が記憶されている。
なお、敵キャラクタは、後述するレーダー画面に表示される特定オブジェクトとなっている。
そして、RAM 103等が、このようなオブジェクト情報記憶部210として機能しうる。
【0041】
操作受付部220は、プレイヤが操る自キャラクタに対する動作指示等の操作入力を受け付ける。例えば、操作受付部220は、所定方向に移動する、壁等に張り付く、しゃがむ、伏せる等の動作に対応した複数のボタン(一例として、コントローラ105に配置された方向キー,Aボタン,Bボタン,Xボタン,Yボタン等)の何れかがプレイヤにより押下されることによって、主人公キャラクタに向けた操作入力を受け付ける。
なお、コントローラ105がこのような操作受付部220として機能しうる。
【0042】
位置管理部230は、自キャラクタや敵キャラクタといった仮想空間内で位置が変化するオブジェクトの位置情報(現在位置や向き等)を管理する。例えば、自キャラクタは、操作受付部220によって受け付けた移動指示等に従って、仮想空間内の位置や向きが変化するため、位置管理部230にその位置情報が管理される。また、敵キャラクタも所定のロジックに従って適宜移動し、仮想空間内の位置等が変化するため、同様に位置情報が管理される。
なお、RAM 103及びCPU 101が、このような位置管理部230として機能しうる。
【0043】
複製生成部240は、レーダー画面を作成するために、敵キャラクタと全く同じオブジェクトとなる複製オブジェクトを生成する。
具体的に複製生成部240は、オブジェクト情報記憶部210から敵キャラクタのオブジェクト情報を読み出し、複製オブジェクトを生成する。なお、生成された複製オブジェクトは、複製元のオブジェクト(敵キャラクタのオブジェクト)とデータ的にも完全に対応付けられたものとなる。つまり、敵キャラクタが動いた(何らかの動作をした)際には、それと同じ動きが同時に複製オブジェクトにも行われるように対応付けられている。そのため、敵キャラクタの現状(現在の立ち振る舞い)が、そのまま複製オブジェクトの現状と等しくなる。
このような複製オブジェクトを、複製生成部240は、敵キャラクタのオブジェクトから複製して生成する。なお、複製生成部240は、複製を行う際に、例えば、視点位置からの視界領域内に位置するものだけに限って、複製オブジェクトを生成してもよい。
【0044】
オブジェクト配置部250は、複製生成部240により生成された複製オブジェクトを適宜縮小しつつ、視点位置の最も近く(最前面)に配置する。そして、複製オブジェクトから輪郭を抽出する。
具体的にオブジェクト配置部250は、縮小部251と、配置部252と、輪郭抽出部253とを含んでいる。
【0045】
縮小部251は、生成された複製オブジェクトを、視点位置から敵キャラクタまでの距離等に基づいて縮小する。
具体的には、図3(a)に示すように、視点Vから敵キャラクタ(オブジェクト)Ojまでの距離L及び、画角θ等を求める。そして、求めた距離L及び、画角θ等に基づいて、図3(b)に示すように、複製オブジェクトFを縮小する(ここでは、縮小後のものを複製オブジェクトF’で示している)。
なお、後述するように縮小した複製オブジェクトをクリップ面上(視界領域の最前面)に配置する場合には、視点からクリップ面までの距離と、視点から敵キャラクタまでの距離との比率等を加味して複製オブジェクトFを縮小する。
【0046】
配置部252は、縮小部251により縮小された複製オブジェクトを、視点に対して最前面に配置する。
具体的には、図4(a)に示すように、視点Vのすぐ前に複製オブジェクトFを配置したり、または、図4(b)に示すように、視界領域(ビューフラスタム)VFの前方のクリップ面FC上に複製オブジェクトを配置する。
すなわち、配置部252は、表示の際に複製オブジェクトが先頭(最前面)となるように、他のどのオブジェクトよりも視点に近い位置に複製オブジェクトを配置する。
【0047】
輪郭抽出部253は、最前面に配置した複製オブジェクトの輪郭を抽出する。
具体的には、図5(a)に示すように、複製オブジェクトF(縮小後)からシェーダにより輪郭を抽出した輪郭画像(輪郭オブジェクト)Rを生成する。この、輪郭画像Rは、予め定められた色(例えば、蛍光色等)が輪郭に塗られ、その他は透明になっている。
なお、図5(a)に示す輪郭画像Rは一例であり、適宜変更可能である。例えば、輪郭抽出部253は、図5(b)に示すような輪郭画像Rを生成してもよい。この図5(b)に示す輪郭画像Rは、ほぼ透明(半透明)な線にて、複製オブジェクトを簡略的に表している。
【0048】
このように、オブジェクト配置部250は、縮小した複製オブジェクトを、視点に最も近くなるように(遮るものが何もない位置に)配置し、その輪郭を抽出した輪郭画像を生成する。
【0049】
図2に戻って、画像描画部260は、オブジェクト配置部250により配置された輪郭画像を含む視野領域内のオブジェクトを、視点座標系に変換した表示画像を描画する。つまり、輪郭画像と敵キャラクタ(特定オブジェクト)とが重なる状態で、視点座標系に変換した表示画像を描画する。
【0050】
具体的に画像描画部260は、図6に示すような表示画像を描画する。この図では、味方キャラクタMcの画像と、敵キャラクタとなる輪郭画像Rを含んだ表示画像が描画された一例を示している。
図中において、建物Tの背後に敵キャラクタが隠れているが、対応する輪郭画像Rは、建物Tに隠れることなく描画されている。
なお、この輪郭画像Rは、上述した図5(a)等に示すような敵キャラクタ(複製オブジェクトF)から生成したものであるため、敵キャラクタと全く同じ動きをすることになる(重なったまま動くことになる)。
そのため、プレイヤは、このような図6に示す表示画像から、建物T等に隠れた敵キャラクタの挙動も輪郭画像Rから見ることができ、ゲーム状況を把握し易くなる。
そして、画像処理部108が、このような複製生成部240、オブジェクト配置部250、及び、画像描画部260として機能しうる。
【0051】
(画像生成装置の動作)
図7は、上述した構成の画像生成装置200において実行される画像生成処理の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して画像生成装置200の動作について説明する。この画像生成装置は、ゲーム実行中において、描画サイクル毎(例えば、1/60秒毎)に、繰り返し実行される。
【0052】
まず、画像生成装置200は、仮想空間内における各オブジェクトの現在位置等を取得する(ステップS301)。つまり、オブジェクト情報記憶部210及び位置管理部230にて記憶(管理)される情報に基づいて、現在の自キャラクタや敵キャラクタのオブジェクト情報を取得する。
【0053】
画像生成装置200は、敵キャラクタの複製オブジェクトを生成する(ステップS302)。
すなわち、複製生成部240は、取得されたオブジェクト情報から、現在の敵キャラクタの同じ形(挙動)となる複製オブジェクトを生成する。なお、一部の敵キャラクタについて、複製オブジェクトを生成済みであれば、未生成の複製オブジェクトだけを生成するようにしてもよい。また、全ての敵キャラクタについて、複製オブジェクトを生成済みであれば、この処理をスキップするようにしてもよい。
【0054】
画像生成装置200は、複製オブジェクトを縮小しつつ、視点のすぐ前に配置する(ステップS303)。
すなわち、オブジェクト配置部250は、視点から敵キャラクタ(対応する敵キャラクタ)までの距離や画角等に基づいて、複製オブジェクトを縮小する。そして、例えば、視界領域(ビューフラスタム)における前方のクリップ面に配置する。
【0055】
画像生成装置200は、複製オブジェクトから輪郭を抽出する(ステップS304)。
すなわち、輪郭抽出部253は、複製オブジェクトから専用シェーダにより輪郭を抽出した輪郭画像を生成する。
【0056】
そして、画像生成装置200は、最前面の輪郭画像を含む各オブジェクトの画像を描画する(ステップS305)。
すなわち、画像描画部260は、最前面に配置された輪郭画像を含む視野領域内のオブジェクトを、視点座標系に変換した表示画像を描画する。つまり、輪郭画像と敵キャラクタ(特定オブジェクト)とが重なる状態で、視点座標系に変換した表示画像を描画する。
【0057】
このような画像生成処理が、ゲーム中にリアルタイムに実行されるため、縮小されて輪郭が抽出された輪郭画像(複製オブジェクト)が常に最前面に配置され、対応する敵キャラクタと重ねられたゲーム画像が生成されることになる。
輪郭画像は、敵キャラクタを複製した複製オブジェクトから生成されたものであるため、敵キャラクタと全く同じ動きをしている(重なったまま動くことになる)。
そのため、プレイヤは、このような図から、建物等に隠れた敵キャラクタの挙動を輪郭画像から見ることができ、ゲーム状況を把握し易くなる。
【0058】
そして、何より、通常の描画システムに専用の処理を追加する必要がないので、負荷になりにくく、しかも、環境依存等もない。
また、3Dオブジェクトを元にしているので、敵キャラクタのモーション再生等に合わせて、複雑なアニメーションを行うことができる。
また、視点直前の小さな空間を利用しているので、3Dワールド全体の構成に影響を与えることもない。
更に、2Dアイコン等と同様に、ゲーム内の3Dオブジェクトに遮蔽されることなく常に、最前面に表示されているため、プレイヤが有用な情報としていつでも確認することができる。
【0059】
この結果、ゲーム状況を把握し易くするための画像を、処理負荷を適切に抑えつつ表示することができる。
【0060】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、敵キャラクタを特定オブジェクトして、複製オブジェクト(輪郭画像)を生成する場合について説明したが、対象となるオブジェクトは、これに限られず任意である。
例えば、ゲームの視界領域に入っていないオブジェクトから複製オブジェクト(輪郭画像)を生成し、ゲーム等に関連したアニメーション表示を別途行う場合等についても適宜適用可能である。
【0061】
具体的に、ゲーム中に広告用キャラクタ(ゲームには本来登場しないスポンサーのマスコットキャラクタ等)を登場させ、宣伝等を行う場合を一例として、簡単に説明する。
なお、オブジェクト情報記憶部210には、ゲームの開始前に、通信等により得られた広告用キャラクタ(オブジェクト)を記憶しているものとする。また、この広告用キャラクタは、ゲームの制御とは別に、所定のロジックに従って、適宜動作を行うように制御されるものとする。
【0062】
まず、複製生成部240は、オブジェクト情報記憶部210から広告用キャラクタのオブジェクト情報を読み出し、複製オブジェクトを生成する。なお、この複製オブジェクトは、広告用キャラクタ(オブジェクト)とデータ的にも完全に対応付けられたものとなり、広告用キャラクタの動き(ジェスチャ等)が、そのまま複製オブジェクトの動きと等しくなる。
【0063】
また、オブジェクト配置部250は、生成された複製オブジェクトを適宜縮小しつつ、視点位置の最も近く(最前面)に配置する。この場合、元となった広告用キャラクタと重ねる必要がない(広告用キャラクタ自身が視界領域に存在しない)ため、縮小する割合等は予め定められていてもよい。そして、縮小した複製オブジェクトから輪郭を抽出する。つまり、上記と同様に、シェーダにより輪郭を抽出した輪郭画像を生成する。
【0064】
そして、画像描画部260は、オブジェクト配置部250により配置された輪郭画像を含む視野領域内のオブジェクトを、視点座標系に変換した表示画像を描画する。つまり、輪郭画像が最前面に表示された画像を描画する。
これにより、プレイヤは、ゲーム中に輪郭画像によって、広告用キャラクタの動き(ジェスチャ等)による宣伝を見ることができる。
【0065】
以上説明したように、本発明によればゲーム状況を把握し易くするための画像を、処理負荷を適切に抑えつつ表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像生成装置の概要構成を示す模式図である。
【図3】(a),(b)共に、複製オブジェクトを縮小する様子を説明するための模式図である。
【図4】(a),(b)共に、複製オブジェクトを配置する様子について説明するための模式図である。
【図5】(a),(b)共に、輪郭画像を説明するための模式図である。
【図6】具体的なゲーム画像の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
100 ゲーム装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェース
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 DVD−ROMドライブ
108 画像処理部
109 音声処理部
110 NIC
200 画像生成装置
210 オブジェクト情報記憶部
220 操作受付部
230 位置管理部
240 複製生成部
250 オブジェクト配置部
260 画像描画部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元仮想空間内に配置される特定オブジェクトから複製オブジェクトを生成する複製生成部と、
生成された当該複製オブジェクトを、少なくとも視点位置から特定オブジェクトまでの距離に基づいて縮小しつつ、視点位置の近傍に配置するオブジェクト配置部と、
配置された当該複製オブジェクトから、視点位置を基準とした輪郭画像を生成する輪郭生成部と、
生成された当該輪郭画像と特定オブジェクトとを重ねた表示画像を描画する画像描画部と、を備える、
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像生成装置であって、
前記複製生成部は、特定オブジェクトと同一となる複製オブジェクトを生成し、
前記オブジェクト配置部は、視点位置を基準とし、視線方向及び画角を含む条件に応じて縮小しつつ、視点位置に対して最前面に複製オブジェクトを配置する、
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項3】
請求項1,2に記載された画像生成装置であって、
前記オブジェクト配置部、前記輪郭生成部、及び、前記画像描画部を、少なくとも描画サイクル毎に制御する描画制御部を更に備える、
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載された画像生成装置であって、
前記オブジェクト配置部は、
前記複製生成部により生成された当該複製オブジェクトを、少なくとも視点位置から特定オブジェクトまでの距離に基づいて縮小する縮小部と、
縮小された当該複製オブジェクトを視点位置の近傍となる所定位置に配置する配置部と、を備える、
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項5】
3次元仮想空間内に配置される特定オブジェクトから複製オブジェクトを生成する複製生成ステップと、
生成された当該複製オブジェクトを、少なくとも視点位置から特定オブジェクトまでの距離に基づいて縮小しつつ、視点位置の近傍に配置するオブジェクト配置ステップと、
配置された当該複製オブジェクトから、視点位置を基準とした輪郭画像を生成する輪郭生成ステップと、
生成された当該輪郭画像と特定オブジェクトとを重ねた表示画像を描画する画像描画ステップと、を備える、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
3次元仮想空間内に配置される特定オブジェクトから複製オブジェクトを生成する複製生成部、
生成された当該複製オブジェクトを、少なくとも視点位置から特定オブジェクトまでの距離に基づいて縮小しつつ、視点位置の近傍に配置するオブジェクト配置部、
配置された当該複製オブジェクトから、視点位置を基準とした輪郭画像を生成する輪郭生成部、
生成された当該輪郭画像と特定オブジェクトとを重ねた表示画像を描画する画像描画部、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−250813(P2008−250813A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93127(P2007−93127)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】