説明

画像生成装置、画像生成方法、ならびに、プログラム

【課題】仮想空間における環境パラメータの分布を見やすく表示する画像を生成する画像生成装置等を提供する。
【解決手段】画像生成装置201において、パラメータ取得部202は、仮想空間内において、所定の複数の箇所における環境パラメータを取得し、画像生成部203は、取得された環境パラメータに基づいて画像を生成するが、ここで、画像生成部203は、当該仮想空間内の当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられた画像内の位置に、当該箇所における環境パラメータに対応付けられる図形を描画した画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間における環境パラメータの分布を見やすく表示する画像を生成するのに好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゲームにおいて、各種のパラメータをプレイヤーに提示する手法が各種提案されており、そのような技術については、たとえば、以下の文献に開示されている。
【特許文献1】国際公開第03/090887号パンフレット
【0003】
ここで、[特許文献1]には、環境パラメータを検出した後に消費型パラメータに変換し、変換された消費型パラメータの量をメモリに格納するとともにディスプレイ上に表示する技術が開示されている。このほか、敵キャラクターがいる方向や、ゲーム内のミッションをクリアするためのアイテムが存在する方向に、矢印を表示するなどの手法も広く採用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、仮想空間内において環境パラメータがどのように分布・変化しているのかを、プレイヤーにわかりやすく提示したい、との要望は大きい。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するものであって、仮想空間における環境パラメータの分布を見やすく表示する画像を生成するのに好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0007】
本発明の第1の観点に係る画像生成装置は、パラメータ取得部、画像生成部を備え、以下のように構成する。
【0008】
すなわち、パラメータ取得部は、仮想空間内において、所定の複数の箇所における環境パラメータを取得する。
環境パラメータとして最も単純なものは、キャラクターや目的アイテムがいずれの位置に存在するか、であり、存在する場所の環境パラメータの数値を高くする手法である。このほか、環境パラメータとして、キャラクターの存在する位置で生じている音声の音量、熱源から発せられる熱量や温度差、地面の傾斜や高低差、歩く際の地面の抵抗、キャラクターの緊張度、体力、攻撃力、防御力等、各種のパラメータを採用することができる。
【0009】
一方、画像生成部は、取得された環境パラメータに基づいて画像を生成するが、画像生成部は、当該仮想空間内の当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられた画像内の位置に、当該箇所における環境パラメータに対応付けられる図形を描画した画像を生成する。
仮想空間内における複数の箇所のそれぞれと、当該箇所に対応付けられる内の位置との対応付けは、ちょうど、現実世界の地面と地図との対応付けに相当するものであり、仮想空間の縮小略図のような対応付けとしても良いし、たとえば地球表面を平面地図で表示するときのように、何らかのトポロジー的な性質が維持されるような対応付けを採用することもできる。
【0010】
また、環境パラメータに対応付けられる図形としては、環境パラメータの値に応じてその大きさや色、形状を変化させた図形を採用するのが典型的であり、後述するように、生成される画像は動画像として、環境パラメータの値がユーザにとって直観的に把握できるような表示手法を採用することが望ましい。
本発明によれば、仮想空間における環境パラメータの分布を見やすく表示する画像を生成することができる。
【0011】
また、本発明の画像生成装置において、当該仮想空間内の当該所定の複数の箇所は、当該仮想空間内においてプレイヤーが操作するキャラクターの位置を基準に分布するように定められるように構成することができる。
たとえば、仮想空間内におけるキャラクターをプレイヤー(ユーザ)が移動させるゲームでは、当該キャラクターを中心とする「地図」に環境パラメータに対応付けられる図形を表示することで、環境パラメータの分布を提示する。
【0012】
そして、「地図」内に表示される領域としては、所定の範囲を採用するのが一般的であり、キャラクターが移動すると、「地図」として表示される領域も移動する。
本発明によれば、仮想空間における環境パラメータの分布を、ユーザが操作するキャラクターを中心に見やすく表示する画像を生成することができる。
【0013】
また、本発明の画像生成装置において、当該仮想空間内における当該所定の複数の箇所は、当該仮想空間内を区切る複数の区画のいずれか1つに重複なく対応付けられ、パラメータ取得部は、当該仮想空間内における当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられる区画に対して隣接する区画との間で出入りする環境パラメータの出入りの方向を取得し、画像生成部は、当該仮想空間内における当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられた画像内の位置を基準に、当該箇所における環境パラメータの出入りの方向に当該図形を振動させる動画像を、当該画像として生成するように構成することができる。
【0014】
当該複数の区画は、典型的には、仮想空間における地面を格子状に区切る桝目であり、当該区画に対応付けられる箇所は、当該桝目の中心である。
各桝目の環境パラメータが隣接する桝目との間で出入りするような性質のものである場合、たとえば、キャラクター等が発する音声の音量、熱源から発せられる熱量や温度差キャラクターの緊張度等の場合には、その流出・流出の方向や大きさを提示したい場合も多い。
【0015】
そこで、パラメータ取得部は、各区画に対して隣接する区画との間での環境パラメータの出入りの総量と、その方向を取得するのである。
【0016】
本発明における処理は、位置ベクトルrに対して以下のような関係を有するベクトル場E(r)と、そのスカラーポテンシャルV(r)と、湧き出しρ(r)と、の近似値を分析することに相当する。
E(r) = -grad V(r);
ρ(r) = div E(r)
このとき、環境パラメータはV(r)に対応し、環境パラメータの出入りの総量はρ(r)や|E(r)|に対応し、環境パラメータの出入りの方向はE(r)の方向に対応する。
【0017】
そして、環境パラメータの出入りの方向(E(r)の方向に対応。)に、図形を振動させる動画像を生成する。
本発明によれば、仮想空間における環境パラメータの分布によって定まる環境パラメータの移動の方向を見やすく表示する画像を生成することができる。
【0018】
また、本発明の画像生成装置において、画像生成部は、当該仮想空間内における当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられた画像内の位置を基準に、当該箇所における環境パラメータに対応付けられる振幅で、所定の方向に当該図形を振動させる動画像を、当該画像として生成するように構成することができる。
【0019】
本発明は、上記発明の好適実施形態に係るものであり、上記の例でいえば、振動の振幅を環境パラメータの値(V(r)に対応。)や出入りの総量(ρ(r)や|E(r)|に対応。)によって定めるものである。
本発明によれば、仮想空間における環境パラメータの分布の大小の変化を、図形が振動する振幅によって見やすく表示する画像を生成することができる。
【0020】
また、本発明の画像生成装置において、画像生成部は、当該仮想空間内における当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所における環境パラメータに対応付けられる振幅および時間周期のいずれか少なくとも一方で、当該図形の明るさおよび色のいずれか少なくとも一方を変化させる動画像を、当該画像として生成するように構成することができる。
【0021】
本発明は、上記発明の好適実施形態に係るものであり、上記の例でいえば、明滅や色の変化の振幅や時間周期を、環境パラメータの値(V(r)に対応。)や出入りの総量(ρ(r)や|E(r)|に対応。)によって定めるものである。
本発明によれば、仮想空間における環境パラメータの分布の大小の変化を、明るさや色の変化の振幅や時間周期によって見やすく表示する画像を生成することができる。
【0022】
本発明のその他の観点に係る画像生成方法は、パラメータ取得部、画像生成部を有する画像生成装置にて実行され、パラメータ取得工程、画像生成工程を備え、以下のように構成する。
すなわち、パラメータ取得工程では、パラメータ取得部が、仮想空間内において、所定の複数の箇所における環境パラメータを取得する。
一方、画像生成工程では、画像生成部が、取得された環境パラメータに基づいて画像を生成する。
【0023】
さらに、画像生成工程では、当該仮想空間内の当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられた画像内の位置に、当該箇所における環境パラメータに対応付けられる図形を描画した画像を生成する。
【0024】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを上記の画像生成装置として機能させ、コンピュータに上記の画像生成方法を実行させるように構成する。
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、仮想空間における環境パラメータの分布を見やすく表示する画像を生成するのに好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0027】
図1は、プログラムを実行することにより、本発明の画像生成装置の機能を果たす典型的な情報処理装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0028】
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM 102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェイス104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、画像処理部107と、DVD−ROM(Digital Versatile Disc ROM)ドライブ108と、NIC(Network Interface Card)109と、音声処理部110と、マイク111と、を備える。
【0029】
ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ108に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態の画像生成装置が実現される。
【0030】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0031】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0032】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0033】
インターフェイス104を介して接続されたコントローラ105は、ユーザがゲーム実行の際に行う操作入力を受け付ける。
【0034】
インターフェイス104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、ゲーム等のプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、ネットワーク対戦の場合のチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。ユーザは、コントローラ105を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0035】
DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ108は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0036】
画像処理部107は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部107が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部107が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部107に接続されるモニタ(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0037】
画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
【0038】
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0039】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。
【0040】
NIC 109は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェイス(図示せず)により構成される。
【0041】
音声処理部110は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカから出力させる。
【0042】
音声処理部110では、DVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0043】
さらに、情報処理装置100には、インターフェイス104を介してマイク111を接続することができる。この場合、マイク111からのアナログ信号に対しては、適当なサンプリング周波数でA/D変換を行い、PCM形式のディジタル信号として、音声処理部110でのミキシング等の処理ができるようにする。
【0044】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0045】
以上で説明した情報処理装置100は、いわゆる「コンシューマ向けテレビゲーム装置」に相当するものであるが、音声処理や画像処理を行うことが可能であれば、本発明を実現することができる。したがって、携帯電話、携帯ゲーム機器、カラオケ装置、一般的なビジネス用コンピュータなど、種々の計算機上で本発明を実現することが可能である。
【0046】
たとえば、一般的なコンピュータは、上記情報処理装置100と同様に、CPU、RAM、ROM、DVD−ROMドライブ、NIC、音声入力用マイク、音声出力用スピーカ、を備え、情報処理装置100よりも簡易な機能を備えた画像処理部を備え、外部記憶装置としてハードディスクを有する他、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、磁気テープ等が利用できるようになっている。また、コントローラ105ではなく、キーボードやマウスなどを入力装置として利用する。
【0047】
図2は、本発明の実施形態の一つにかかる画像生成装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0048】
本実施形態の画像生成装置201は、パラメータ取得部202、画像生成部203を備える。
【0049】
すなわち、パラメータ取得部202は、仮想空間の所定の複数の箇所における環境パラメータを取得する。
環境パラメータとして最も単純なものは、キャラクターや目的アイテムがいずれの位置に存在するか、であり、存在する場所の環境パラメータの数値を高くする手法である。この場合、当該箇所の位置が、キャラクターや目的アイテムが存在する場所に近ければ近いほど、当該方向の環境パラメータの数値が高くなる。
このほか、環境パラメータとして、キャラクターの存在する場所で生じている音声の音量、熱源から発せられる熱量や温度差、地面の傾斜や高低差、歩く際の地面の抵抗、キャラクターの緊張度、体力、攻撃力、防御力等、各種のパラメータを採用することができる。
【0050】
(環境パラメータの2次元分布)
図3は、仮想世界の中において、環境パラメータの分布の情報を管理する様子を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0051】
本図に示すように、仮想世界の地面301は、x軸方向とy軸方向に分割された2次元の桝目302に区切られている。各桝目302によって表現される区画の中心位置やいずれか定められた隅の頂点等を、当該桝目302の代表点の位置として考える。
【0052】
したがって、仮想世界における座標(p,q)のある時刻の環境パラメータの即値ep,q(t)は、2次元配列e[][]の要素e[p][q]、もしくは、所定の粒度幅D (D≧1)と整数除算を用いて、e[p / D][q / D]に格納することとするのが典型的である。以下では、D = 1として説明する。
【0053】
上記のように、本実施形態では、仮想世界の地面301を格子状の桝目302による区画で区切っているが、当該区画の形状は任意である。たとえば、有限要素法で用いられるように、区画の形状をできるだけ同じ形状の三角形としても良いし、戦術・戦略ボード型シミュレーションゲームで採用されるような正六角形を採用しても良い。
【0054】
さて、プレイヤーが注目しているキャラクターの位置を、座標(x,y)の桝目302とすると、キャラクターからある座標(p,q)への方向(x軸とのなす角θ)は、
θ = arctan〔(q-y)/(p-x)〕;あるいは
cosθ = (p-x)/〔(p-x)2 + (q-y)21/2
sinθ = (q-y)/〔(p-x)2 + (q-y)21/2
のように求めることができる。
【0055】
このような状況下で、敵キャラクターの存在する可能性がある場所を環境パラメータの2次元分布とする手法を考える。
【0056】
最も単純な方法は、座標(i,j)に敵キャラクターがいる場合は、環境パラメータの値ei,jを1とし、そうでない場合は環境パラメータの値ei,jを0とする、という手法である。
【0057】
しかしながら、ゲームによっては、敵キャラクターの所在をある程度の誤差をもって表現したい場合もある。たとえば、敵キャラクターの緊張感を鼓動のような振動で表現し、しかも、その鼓動による緊張感が、雰囲気として周囲に伝搬し、波紋に伝わるような態様を考える。
【0058】
このような態様としては、ある時刻tにおける座標(i,j)の環境パラメータの値ei,j(t)等から、次の時刻t+1における座標(i,j)の環境パラメータの値ei,j(t+1)を求める漸化式を採用する手法を採用することができる。
【0059】
tの時間単位は、たとえば、典型的な情報処理装置100における画面更新の間隔である垂直同期割り込みの間隔(約60分の1秒)とする。
【0060】
すなわち、時刻t+1において座標(i,j)に敵キャラクターkが存在しない場合は、伝搬定数α,β (0≦α,β,α+β≦1)を用いて、
ei,j(t+1) = αei,j(t)
+ (β/4)〔ei-1,j(t) + ei+1,j(t) + ei,j-1(t) + ei,j+1(t)〕
と設定する。なお、eの添字が所定の2次元配列の範囲外となったときは、その値は0とする。
【0061】
αは、環境パラメータのうち、外部に漏れ出ていかない割合、βは、環境パラメータのうち、外部に漏れ出ていく割合である。α>βとするのが典型的である。α+β = 1とすれば、一旦生じた波紋が外に出る(2次元配列の範囲外になる)まで生き残ることとなり、α+β < 1とすれば、次第に減衰していくこととなる。
【0062】
上記の漸化式は、現在位置とその上下左右の位置の環境パラメータの値が、次の瞬間の現在位置の環境パラメータの値を決定する、というものである。
【0063】
このほか、適宜係数を変更することによって、伝搬の方向に偏りを持たせたり、斜めの桝目からも所定の係数によって伝播がありうるような形態を採用しても良い。たとえば、伝搬定数α,β,γ (0≦α,β,γ,α+β+γ≦1)を用いて、
ei,j(t+1) = αei,j(t)
+ (β/4)〔ei-1,j(t) + ei+1,j(t) + ei,j-1(t) + ei,j+1(t)〕
+ (γ/4)〔ei-1,j-1(t) + ei-1,j+1(t) + ei+1,j-1(t) + ei+1,j+1(t)〕
とするような態様である。ここで、α>β>γとするのが典型的である。
【0064】
一方、時刻t+1において座標(i,j)に敵キャラクターkがいる場合は、当該敵キャラクターkの緊張度のパラメータPkと、所定の周期の定数Tとにより、
ei,j(t+1) = Pk〔1+sin((t+1)/T)〕
と設定し、人間の鼓動の周期は1秒に約1回であるから、Tとして60程度を採用すれば、このパラメータを、敵キャラクターの鼓動に対応させることができる。また、緊張度Pkが大きいほど、Tを小さくすることによって、緊張の度合をさらにリアルに表現することもできる。
【0065】
このほか、上記Pk〔1+sin((t+1)/T)〕をαei,j(t)のかわりに利用する、という態様をとることもできる。すなわち、時刻t+1において座標(i,j)に敵キャラクターkがいる場合は、
ei,j(t+1) = Pk〔1+sin((t+1)/T)〕
+ (β/4)〔ei-1,j(t) + ei+1,j(t) + ei,j-1(t) + ei,j+1(t)〕
あるいは
ei,j(t+1) = Pk〔1+sin((t+1)/T)〕
+ (β/4)〔ei-1,j(t) + ei+1,j(t) + ei,j-1(t) + ei,j+1(t)〕
+ (γ/4)〔ei-1,j-1(t) + ei-1,j+1(t) + ei+1,j-1(t) + ei+1,j+1(t)〕
とするような態様である。
【0066】
このほか、振動を表現するための関数として、
Pk〔1+sin((t+1)/T)〕
以外のものを採用することもできる。すなわち、周期Tの振動関数f(・)は、任意のtについて、
f(t + T) = f(t)
を満たすから、この条件を満たすような任意の関数を、上記の関数のかわりに利用することができる。
【0067】
また、上記の例では、振動の変位が負にならないように調整することによって、軌跡点407が基準点404より下になることはないようにしているが、基準点404を含む基準曲線の円周403の高さは適宜設定によって変更が可能であるから、振動の変位の正負に特段の制限はない。
【0068】
なお、時刻t = 0における初期値は、敵キャラクターがいなければ0等、所定の定数とすれば良い。
【0069】
このような環境パラメータの伝搬は、敵キャラクターの存在以外を理由とするものであっても良い。たとえば、「聖なるエネルギーを発するアイテム」「音を発生させる機械」「街のにぎやかさ」「匂い」「他のキャラクターの視線や検知を遮る度合(斥候をテーマとしたゲームにおいて「ベースライン」と呼ばれることがある。)」などのパラメータを環境パラメータとして採用し、「波紋」の発生源として採用しても良い。
【0070】
なお、上記のように、環境パラメータを数値として見た場合に「鼓動」や「波紋」等として見ることができるようなものであっても、表示の際に、「鼓動」や「波紋」等として表現する必要は必ずしもなく、種々の表示手法を採用することができる。そのような表示手法の具体例については、以下に説明する。
【0071】
さて、ei,j(t)を「波紋」のように考える場合には、各桝目における流入・流出の程度を考慮する。図4は、ある桝目302における環境パラメータの出入りの様子を示す模式図である。以下、本図を参照して、上記の4方向に環境パラメータが伝播する場合を例として、説明する。
【0072】
本図(a)には、座標(i,j)における環境パラメータの流入と流出の様子を示す。
【0073】
上記のように、隣接する桝目302からの環境パラメータの流入の量は、それぞれ、
左隣から(β/4)ei-1,j(t)
右隣から(β/4)ei+1,j(t)
上隣から(β/4)ei,j-1(t)
下隣から(β/4)ei,j+1(t)
である。
【0074】
一方、当該桝目302から流出する環境パラメータの量は、
上下左右に(β/4)ei,j(t)
である。
【0075】
したがって、当該桝目302における「流入の総量」fi,j(t)は、
fi,j(t) = (β/4)ei-1,j(t)
+ (β/4)ei+1,j(t)
+ (β/4)ei,j-1(t)
+ (β/4)ei,j+1(t)
- ei,j(t)
である。桝目302に対する流入を表すベクトルvi,j(t)401は、隣接する上下左右の桝目302からの流入を表すベクトル402、403、404、405と、隣接する上下左右の桝目302への流出を表すベクトル406、407、408、409と、の総和となる。本図(b)には、流入ベクトルvi,j(t)と他のベクトルとの関係を示す。
【0076】
この例では、桝目302からの流出はすべての方向に均等であるから、ベクトル406、407、408、409の総和は0であり、したがって、流入ベクトルvi,j(t)401は、隣接する上下左右の桝目302からの流入を表すベクトル402、403、404、405の総和となる。
【0077】
もちろん、桝目302からの流出を均等にしない例では、ベクトル406、407、408、409の総和は必ずしも0とはならない。この場合は、これらについてもベクトル和の計算に含めることとすれば、流入ベクトルvi,j(t)401を求めることができる。
【0078】
なお、仮想世界の地面301における区画の分割には種々の手法がある。したがって、それに応じて、隣接する区画を適宜定め、流入・流出を表す方向のベクトルは区画同士の境界に直交する方向とすれば、区画の形状が任意のものに対応が可能である。また、上述した通り、各境界にて出入りする量は、方向によって異なるものとしても良いし、等しいものとしても良い。異なるものとした場合には、流出を表すベクトルと流入を表すベクトルの総和により、流入ベクトルvi,j(t)401を得ることができる。
【0079】
「流入の総量」(もしくは、この値に、当該桝目302のαei,j(t)やPk〔1+sin(t/T)〕を加算したもの)は、ベクトルAにかかるベクトル場解析におけるdiv Aに相当する量であり、ベクトル401は、ベクトルAに相当すると考えることができる。また、桝目302における値ei,j(t)は、ベクトルAのスカラーポテンシャル-grad Aに相当する、と考えることができる。
【0080】
また、当該桝目302における環境パラメータの即値ei,j(t)の差分
Δei,j(t) = ei,j(t+1) - ei,j(t)
を表示することとしても良い。これもまた、ベクトルAにかかるベクトル場解析におけるdiv Aに相当する量と考えることができる。
【0081】
地面301に係る仮想世界は、現実の物理法則に必ずしもしたがう必要はないが、プレイヤーからすれば、現実の物理法則に即して各種の環境パラメータを見ることができた方が、その分布の理解が容易になる。上記のように、各種の環境パラメータは、ベクトル場(電磁場や流体力学における場等が相当する。)のアナロジーで把握することができるため、プレイヤーの理解度を向上させるのに役立つ。以下では、これらの環境パラメータのうち、スカラー量である
即値ei,j(t);
流入総量fi,j(t);
差分Δei,j(t)
や、ベクトル量である
流入ベクトルvi,j(t)
等を、画像で表現する手法について、説明する。
【0082】
(画像生成)
画像生成部203は、上記のように取得された各種の環境パラメータ、たとえば、
即値ei,j(t);
流入総量fi,j(t);
差分Δei,j(t);
流入ベクトルvi,j(t)
【0083】
に基づいて画像を生成する。
【0084】
そして、当該画像は、仮想世界の地面301における座標(i,j)に対応する位置に、これらの環境パラメータに対応付けられる図形を描画したものである。仮想世界の地面301内における座標(i,j)と、座標(i,j)に対応付けられる内の位置との対応付けは、ちょうど、現実世界の地面と地図との対応付けに相当する。
【0085】
上記のように、プレイヤーが操作するキャラクターの座標は(x,y)であるから、本実施形態では、当該キャラクターの位置を画像の中心に配置するものとすると、所定の表示幅2W (W≧1)と所定の表示高2H (H≧1)を用いて、座標(i,j)に係る環境パラメータは、
x-W≦i≦x+W,y-H≦j≦x+H
である場合、すなわち、キャラクターがいる区画を中心にした幅2W+1、高さ2H+1の長方形領域に含まれるものを表示することとする。
【0086】
このようにすれば、注目するキャラクターの近くの領域の環境パラメータの分布を表現する手法として、最も単純である。なお、以下の説明では、理解を容易にするため、W = H = 2としている。ただし、中心に注目キャラクター位置を配置するのではなく、仮想空間内の所定の領域を表示領域として設定し、注目キャラクターの位置を表す指示標識を、以下で生成される画像に重ねて表示する等の態様を採用しても良い。
【0087】
図5は、ある時刻tにおけるスカラーの環境パラメータを、描画した画像を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0088】
本図(a)では、座標(i,j)に対応する画像内の位置を、所定の正定数A,B,C,Dを用いて、
(A(i-x+W) + B(j-y+H),C(i-x+W) + D(j-y+H)
としている。これはいわゆる一次変換による座標変換で、長方形が平行四辺形に投射されるものである。
【0089】
したがって、仮想世界の地面301の正方形の区画は、本図では平行四辺形に投射され、ちょうど当該仮想世界の斜視図のような体裁となっている。
【0090】
そこで、本図(a)では、仮想世界の地面301において座標(i,j)を含む区画が投射された平行四辺形を上方に、当該スカラーの環境パラメータに対応する長さだけ、スイープさせた図形を、当該座標(i,j)における環境パラメータを表す図形として描画している。
【0091】
このような表現により、環境パラメータを3次元的に棒グラフで表現した後に、当該棒グラフを斜視図にしたような画像が得られる。
【0092】
本図では、棒グラフの棒が不透明に描かれているが、全体の様子を見たい場合には、それぞれを半透明に描画しても良い。
【0093】
また、棒グラフの棒を動画像として表示する場合には、棒グラフの奥から手前に向かって、順次描画される棒の数を増やしていく、という手法も採用することができる。
【0094】
たとえば、本図においては、本図(b)→本図(c)→本図(d)→本図(e)→本図(a)→本図(b)→本図(c)→本図(d)→本図(e)→…の順に順次表示する動画像とするのである。この際、注目するキャラクターが存在する桝目302に相当する棒は、他の棒とは異なる体裁(色彩、明度等)で表示すると、プレイヤーにとって理解しやすいものとなる。
【0095】
また、本図に示す例では、これから棒グラフの棒が現われる「床」には、その旨がわかるように、棒グラフの天井と同じ形状の図形(本図では点線で囲んでいる)を描いている。また、中央の図形は、注目するキャラクターが存在する桝目302に相当するため、強調表示がされている。
【0096】
なおこの場合、動画像の更新時間単位(一コマ分の時間)は、環境パラメータの更新時間単位よりも短くすることが望ましい。このほか、本表示をする場合には、棒グラフの棒が床から上に伸びていき、当該値に到達すると止まるようなアニメーション表示を採用しても良い。
【0097】
図6は、ある時刻tにおけるスカラーの環境パラメータを、他の手法で描画した画像を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0098】
本図(a)に示す例では、仮想世界の地面301の桝目302を上空から見たような、格子状の領域を画像に表現することとし、各格子に囲まれた領域の明度を、第1のスカラーの環境パラメータに対応付けられたものとしている。
【0099】
この際に、明度を周期的に振動させることとし、当該振動の周期を第2のスカラーの環境パラメータに対応付けることで、2種類の環境パラメータを同時にプレイヤーに提示することができる。この際、第1のスカラーの環境パラメータは、明度の振動の振幅に相当することになる。
【0100】
本図(b)に示す例では、仮想空間の地面301との対応付けの配置は本図(a)と同様であるが、図形として円を表示することとし、この円の大きさを、第1のスカラーの環境パラメータに対応付けている。
【0101】
この場合にも、第2の環境パラメータを同時に表示させる手法として、円の大きさを振動するように変化させ、その周期を第2の環境パラメータに対応付ける手法が考えられる。
【0102】
また、これらの例において、振動の周期によって第2の環境パラメータを表示するのではなく、振動の周期を第1の環境パラメータにそのまま対応付けることとしても良い。また、振動の周期を一定とすることとしても良い。
【0103】
本図(b)において振動の周期を一定とすると、環境パラメータが大きいときには円が振動する度合も大きく、隣りの円に触れるようになる。したがって、プレイヤーには、円が隣りの円に触れて振動が伝播するかのように見える。
【0104】
この表示は、「ある区画の環境パラメータが大きいと、ここから隣の区画に伝播する程度も大きい」という上記の環境パラメータのモデルに、よく合致するものである。
【0105】
なお、スカラーの環境パラメータを表示する際には、明度や大きさのみならず、各種の色の成分や彩度、透明度(α値)など、種々の描画可能な属性を対応付けることが可能である。
【0106】
図7は、ベクトルの環境パラメータを提示する画像の一部拡大図であり、図6(b)に類似した手法で、整列された円を用いて環境パラメータを表示する態様に係るもので、ある桝目302に対応する円に注目して図示している。以下、本図を参照して説明する。
【0107】
本図に示される円701の大きさや色は、図6等に示される手法で定めたり振動させたり、定数としたりすることができるが、本図の例では、円701の位置そのものも変化させる。すなわち、当該円701に対応する桝目302におけるベクトル401を含む方向(図4を参照。)に、円701を振動させるのである。
【0108】
本図(a)では、円701は基本位置(円の中心702の位置がベクトル401の始点と一致している。)となっているが、本図(b)では、ベクトル401の方向に少しずれており、本図(c)では、ベクトル401の方向にさらにずれ、以下本図(e)まで続く。
【0109】
そして、本図(a)→本図(b)→本図(c)→本図(d)→本図(e)→本図(a)→本図(b)→本図(c)→本図(d)→本図(e)→…の順に動画のコマを割り当てて、円701が非対称に振動する動画像を生成することにより、ベクトル401の向きを明確に表現することができる。もちろん、適用分野によっては、円701の振動を対称にしても良い。
【0110】
(制御の流れ)
本実施形態に係る画像生成装置201にて実行される処理の詳細は上記の通りであるが、以下では、処理全体の流れについて説明する。図8は、本実施形態における画像生成装置において実行される処理の制御の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0111】
処理が開始されると、CPU 101は、RAM 103に用意された配列e[][]等の環境パラメータ記憶領域を初期化する(ステップS801)。そして、ゲームが終了するまで、以下の処理繰り返す(ステップS802〜ステップS808)。
【0112】
まず、CPU 101は、次に垂直同期割り込みが発生するまで待機する(ステップS803)。この待機の間には、別の処理をコルーチン的に実行しても良い。垂直同期割り込みは、テレビジョン装置の画面などに表示される画像を更新する時間単位であり、約60分の1秒が典型的である。したがって、本処理の繰り返しの一単位に要する時間は、垂直同期割り込みが発生する周期に一致する。
【0113】
次に、今回の繰返しにおいて、環境パラメータの伝播をさせて値を更新するか否かを判定する(ステップS804)。環境パラメータの伝播の処理は、上記の通りであるが、いわゆる差分方程式を解く処理に類似するものであり、計算時間が長いこともある。そこで、適宜間引きをおこなうのである。
【0114】
伝播を行う場合(ステップS804;Yes)、CPU 101は、上記のように、RAM 103に格納される環境パラメータを伝播させて更新し(ステップS805)、ステップS806に進み、行わない場合(ステップS804;No)、そのままステップS806に進む。これにより、RAM 103に環境パラメータが得られるので、CPU 101は、RAM 103と共働して、パラメータ取得部202として機能することとなる。
【0115】
次に、CPU 101は、RAM 103に格納された環境パラメータを参照して画像処理部107に指示を出し、RAM 103内の画像バッファに、上記のような環境パラメータを表示する画像を生成させる(ステップS806)。
【0116】
上記のような振動に基づく動画像表示を行うためには、各桝目302ごとに、現在の位相を保持する領域をRAM 103に確保する。「位相」とは、振動の一周期において現在がどの段階にあるか、を表す量をいい、たとえば、図7(a)〜(e)では、位相が少しずつ増えている、と考えることができる。
【0117】
そして、当該位相に基づいてこの瞬間の画像を生成する。そして、画像が生成された後に、その桝目302の位相に、振動によって表示するスカラーパラメータに所定の定数を乗じた値を加算する。
【0118】
そして、生成された画像を、フレームバッファに転送して(ステップS807)、繰返しを続ける(ステップS808)。
【0119】
したがって、CPU 101は、RAM 103、画像処理部107等と共働して、画像生成部203として機能することとなる。
【0120】
このような処理を行うことにより、仮想世界の地面301に分布する環境パラメータを1つ、もしくは、複数を同時に、桝目302を単位として、注目すべきキャラクターがいる位置を中心位置に、プレイヤーに理解しやすく提示することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
以上説明したように、本発明によれば、仮想空間における環境パラメータの分布を見やすく表示する画像を生成するのに好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】プログラムを実行することにより、本実施形態の画像生成装置として機能する典型的な情報処理装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】本実施形態の画像生成装置の概要構成を示す模式図である。
【図3】仮想世界の中において、環境パラメータの分布の情報を管理する様子を示す説明図である。
【図4】ある桝目における環境パラメータの出入りの様子を示す模式図である。
【図5】ある時刻tにおけるスカラーの環境パラメータを、描画した画像を示す説明図である。
【図6】ある時刻tにおけるスカラーの環境パラメータを、他の手法で描画した画像を示す説明図である。
【図7】ベクトルの環境パラメータを提示する画像の一部拡大図である。
【図8】本実施形態における画像生成装置において実行される処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェイス
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 画像処理部
108 DVD−ROMドライブ
109 NIC
110 音声処理部
111 マイク
201 画像生成装置
202 パラメータ取得部
203 画像生成部
301 仮想世界の地面
302 桝目
401 桝目に対する流入ベクトル
402 隣からの流入ベクトル
403 隣からの流入ベクトル
404 隣からの流入ベクトル
405 隣からの流入ベクトル
406 隣への流出ベクトル
407 隣への流出ベクトル
408 隣への流出ベクトル
409 隣への流出ベクトル
701 円
702 円の中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間内において、所定の複数の箇所における環境パラメータを取得するパラメータ取得部、
前記取得された環境パラメータに基づいて画像を生成する画像生成部
を備える画像生成装置であって、
前記画像生成部は、当該仮想空間内の当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられた画像内の位置に、当該箇所における環境パラメータに対応付けられる図形を描画した画像を生成する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像生成装置であって、
当該仮想空間内の当該所定の複数の箇所は、当該仮想空間内においてプレイヤーが操作するキャラクターの位置を基準に分布するように定められる
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像生成装置であって、
前記当該仮想空間内における当該所定の複数の箇所は、当該仮想空間内を区切る複数の区画のいずれか1つに重複なく対応付けられ、
前記パラメータ取得部は、当該仮想空間内における当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられる区画に対して隣接する区画との間で出入りする環境パラメータの出入りの方向を取得し、
前記画像生成部は、当該仮想空間内における当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられた画像内の位置を基準に、当該箇所における環境パラメータの出入りの方向に当該図形を振動させる動画像を、当該画像として生成する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像生成装置であって、
前記画像生成部は、当該仮想空間内における当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられた画像内の位置を基準に、当該箇所における環境パラメータに対応付けられる振幅で、所定の方向に当該図形を振動させる動画像を、当該画像として生成する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像生成装置であって、
前記画像生成部は、当該仮想空間内における当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所における環境パラメータに対応付けられる振幅および時間周期のいずれか少なくとも一方で、当該図形の明るさおよび色のいずれか少なくとも一方を変化させる動画像を、当該画像として生成する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項6】
パラメータ取得部、画像生成部を有する画像生成装置にて実行される画像生成方法であって、
前記パラメータ取得部が、仮想空間内において、所定の複数の箇所における環境パラメータを取得するパラメータ取得工程、
前記画像生成部が、前記取得された環境パラメータに基づいて画像を生成する画像生成工程
を備え、
前記画像生成工程では、当該仮想空間内の当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられた画像内の位置に、当該箇所における環境パラメータに対応付けられる図形を描画した画像を生成する
ことを特徴とする画像生成方法。
【請求項7】
コンピュータを、
仮想空間内において、所定の複数の箇所における環境パラメータを取得するパラメータ取得部、
前記取得された環境パラメータに基づいて画像を生成する画像生成部
として機能させるプログラムであって、
前記画像生成部は、当該仮想空間内の当該所定の複数の箇所のそれぞれについて、当該箇所に対応付けられた画像内の位置に、当該箇所における環境パラメータに対応付けられる図形を描画した画像を生成する
ように機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−272287(P2007−272287A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93810(P2006−93810)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】