説明

画像表示装置、及び、画像表示方法

【課題】ユーザの運転により走行する車両の燃料消費率が適切かどうかをユーザへ直感的に認識させる技術を提供する。
【解決手段】車両に働く加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合のボールが移動する位置をお椀に重畳して表示する。このため、車両に乗車するユーザに働く慣性力の程度を表示することができる。結果、走行させる車両の燃料消費率が適切かどうかをユーザへ直感的に認識させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行状態を示す画像を表示する画像表示装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、走行する車両の燃料消費を悪化させたり環境に悪影響を与える車両の運転(例えば、急発進操作や急ハンドル操作)を抑制させるための表示をする画像表示装置が開発されている。
【0003】
このような画像表示装置は、車両に発生する加速度に基づいて導出した車両の燃料消費状況をインジケータへ表示する。この表示を見ることによって、車両を運転する者(以降、ユーザという)は自らの運転が車両の燃料を効率よく消費させている(以降、エコ運転という)か否かを認識することができる。
【0004】
このような技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−294954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、そのような画像表示装置は一方向のインジケータにおいて加速度の大小を表示するのみであるため、ユーザにとって自らの運転がエコ運転か否かを直感的に認識しにくいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、エコ運転の状況をユーザへ直感的に認識させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、車両に搭載される画像表示装置であって、前記車両の加速度を取得する取得手段と、取得された前記加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合に、前記お椀内において前記ボールが移動する移動位置を導出する導出手段と、前記移動位置に前記ボールの像を重畳した、前記お椀の画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像表示装置において、前記取得手段は、前記車両の速度を更に取得するものであり、前記導出手段は、前記速度が所定の閾値より大きい場合は、前記移動位置を前記お椀の周縁側に補正することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の何れかに記載の画像表示装置において、前記取得手段は、前記車両の速度を更に取得するものであり、前記導出手段は、前記速度が所定の閾値よりも小さい場合は、前記移動位置を前記お椀の中央側に補正することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の画像表示装置において、
前記導出手段は、前記加速度によって前記車両が運転された場合の前記車両の燃料消費率が基準の燃料消費率より高くなる非エコ運転のときは、前記移動位置を前記お椀の周縁に接する位置とすることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像表示装置において、
導出手段によって前記移動位置として前記お椀の周縁に接する位置が導出された場合は、ユーザへ音を出力させる音出力手段、
を更に備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項4に記載の画像表示装置において、前記導出手段は、前記非エコ運転の状態が所定時間を超えて継続する場合は、前記移動位置を前記お椀外の位置とすることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1に記載の画像表示装置において、前記車両がアイドリング状態であるか否かを判定する判定手段、をさらに備え、前記表示手段は、前記車両のアイドリング状態が所定時間を超えて継続する場合は、前記ボールの表示態様を変化させることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、車両において画像を表示する画像表示方法であって、(a)前記車両の加速度を取得する工程と、(b)取得された前記加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合に、前記お椀内において前記ボールが移動する移動位置を導出する工程と、(c)前記移動位置に前記ボールの像を重畳した、前記お椀の画像を表示する工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、車両において画像を表示する画像表示装置であって、前記車両の加速度に関する情報を取得する取得手段と、取得された前記加速度に関する情報に基づいて仮想的な立体物内を移動する指標を表示する表示手段を備え、前記表示制御手段は、前記指標が前記立体物内を移動するように前記加速度に関する情報を変換して前記立体物に対する表示位置を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし9の発明によれば、車両に働く加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合のボールが移動する位置をお椀に重畳して表示する。このため、車両に乗車するユーザに働く慣性力の程度を表示することができる。結果、走行させる車両の燃料消費率が適切かどうかをユーザへ直感的に認識させることができる。
【0018】
また、請求項2の発明によれば、車両の速度が所定の閾値より大きい場合に車両が加速したときの車両の燃料消費率は、車両の速度が所定の閾値より小さい場合に車両が加速したときの燃料消費率よりも悪化するため、前者の場合はボールの移動位置をお椀の周縁側に補正する。このため、ユーザは燃料消費率の状況を直感的に認識できる。
【0019】
また、請求項3の発明によれば、車両の速度が所定の閾値より小さい場合に車両が加速したときの車両の燃料消費率は、車両の速度が所定の閾値より大きい場合に車両が加速したときの燃料消費率よりも悪化しないため、前者の場合はボールの移動位置をお椀の中央側に補正する。このため、ユーザは燃料消費率の状況を直感的に認識できる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、ボールをお椀の周縁の位置へ表示させることによって、ユーザは車両の燃料消費率効率が最大限に低いことを直感的に視認することができる。
【0021】
また、請求項5の発明によれば、ボールBLをお椀BWの周縁の位置へ表示させたことをユーザへ音で知らせることができる。更に、ユーザは車両の燃料消費率効率が最大限に低いことを認識できる。
【0022】
また、請求項6の発明によれば、ボールをお椀の周縁の位置へ表示させる状態が所定時間を超えて継続する場合に、ボールをお椀外の位置へ表示させることによって、ユーザは車両の燃料消費率効率が最大限に低いことが継続していることを直感的に認識できる。
【0023】
また、請求項7の発明によれば、車両のアイドリング状態が所定時間を超えて継続する場合にボールの表示態様を変化させるため、ユーザはボールの位置に係わらず燃料消費率効率が低いことを認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、画像表示装置のシステムブロック図である。
【図2】図2は、画像を示す図である。
【図3】図3は、お椀の画像を示す図である。
【図4】図4は、データマップを示す図である。
【図5】図5は、データマップを示す図である。
【図6】図6は、お椀の画像を示す図である。
【図7】図7は、データマップを示す図である。
【図8】図8は、お椀の画像を示す図である。
【図9】図9は、データマップを示す図である。
【図10】図10は、データマップを示す図である。
【図11】図11は、お椀の画像を示す図である。
【図12】図12は、画像表示装置が実行する制御フローを示す図である。
【図13】図13は、お椀の画像を示す図である。
【図14】図14は、お椀の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の画像表示装置の構成を示す図である。この画像表示装置2は、取得した車両1の加速度に基づいて仮想的な立体物内(例えば、お椀)を移動する指標(例えば、ボール)をディスプレイへ表示する。そして、画像表示装置2は、その表示の際に、その指標が立体物内を移動するように加速度を変換して立体物に対する表示位置を求める。
【0027】
より詳しくは、画像表示装置2は、車両の加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合に、お椀内においてボールが移動する移動位置を導出する処理を実行する。そして、画像表示装置2は、その移動位置にボールの像を重畳したお椀の画像をディスプレイへ表示する処理を実行する。
【0028】
以降において、この処理を実行することにより発揮される機能をエコ走行支援機能という。
【0029】
(画像表示装置の構成)
まず、このような画像表示装置2の構成を図1に基づいて説明する。
【0030】
画像表示装置2は、略立方体の箱体であって車両1の運転席と助手席との間のセンターコンソールに搭載される。そして、画像表示装置2は、スピーカ12、エンジン制御装置14、インスツルメントパネル制御装置15、ステアリング制御装置17、レーダ制御装置18、及び、フロントカメラ19などとケーブルによって電気的に接続される。
【0031】
また、画像表示装置2は、画像処理部3、制御部7、取得部9、出力部10、及び、ディスプレイ11などを備える。
【0032】
画像処理部3は、例えば、ASICなどのハード回路である。画像処理部3は、導出部4、判定部5、及び、表示部6などを備える。
【0033】
導出部4は、車両の加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合に、お椀内においてボールが移動する移動位置を導出する処理を実行する(以降、導出部4が実行するこの処理を導出処理という)。導出処理の詳細については後述する。
【0034】
判定部5は、車両1がアイドリング状態であるかどうかを判定する処理を実行する(以降、判定部5が実行するこの処理を判定処理という)。判定処理の詳細については後述する。
【0035】
表示部6は、導出部4によって導出されたボールの移動位置にボールの像を重畳したお椀の画像をディスプレイ11へ表示する処理を実行する(以降、表示部6が実行するこの処理を表示処理という)。表示処理の詳細については後述する。
【0036】
制御部7は、例えば、マイクロコンピュータなどを備える。マイクロコンピュータは、例えば、CPU、ROM、及び、RAMなどを備える。CPUは、ROMに記憶された種々のプログラムに従って演算処理を行うことで種々の機能を実現させる。また、制御部7は、音出力部8などを備えている。
【0037】
音出力部8は、ボールの移動位置としてお椀の周縁に接する位置が導出部4によって導出された場合にスピーカ12を制御して車室内へ音を出力する処理を実行する(以降、音出力部8が実行するこの処理を音出力処理という)。音出力処理の詳細については後述する。
【0038】
取得部9は、例えば、外部装置と電気的に接続されるインターフェースである。取得部9は、ケーブルを介してエンジン制御装置14などから送信される種々の情報を示す信号を取得する。そして、取得部9はその信号を画像処理部3及び制御部7などへ入力させる。種々の情報を示す信号として、例えば、車両1に発生する加速度に関する情報がある。
【0039】
出力部10は、例えば、外部装置と電気的に接続されるインターフェースである。出力部10は、音出力部8による音出力処理の実行によりスピーカ12を制御する際の信号をスピーカ12へ出力する。
【0040】
ディスプレイ11は、例えば、画像を表示する表示機能とユーザの操作を受け付ける操作機能とを備えたタッチパネルディスプレイである。ディスプレイ11は、画像表示装置2の正面側へその表示面を向けて備わる。
【0041】
スピーカ12は、画像表示装置によって制御され、車室内に音を出力する。スピーカ12は、車両1に備わる複数のドアの車室内側にその出力面を向けて搭載される。
【0042】
加速度センサ13は、画像表示装置2などとケーブルにより電気的に接続される。加速度センサ13は、車両1に発生する加速度を検知し、検知した結果である加速度をケーブルを介して画像表示装置2へ出力する。
【0043】
エンジン制御装置14は、アクセルセンサ及び車速センサなどとケーブルなどにより電気的に接続される。エンジン制御装置14はそれらのセンサが検知した信号に応じてエンジンを制御する。
【0044】
インスツルメントパネル制御装置15は、種々の制御装置及びセンサから受信した種々の信号、即ち、車両の情報をインスツルメントパネルへ表示する制御をする。車両の情報とは、例えば、車速、燃料の残量などである。
【0045】
ステアリング制御装置17は、操舵角センサ16などとケーブルなどにより電気的に接続される。ステアリング制御装置17はそれらのセンサが検知した信号に応じてステアリングモータなどを制御する。
【0046】
レーダ制御装置18は、車両1に搭載されるレーダを制御する。レーダ制御装置18は、例えば、ミリ波レーダを制御して、車両1の前方の物体を検知する。そして、物体を検知する場合に、レーダ制御装置18は車両1と物体との相対距離を検知する。
【0047】
フロントカメラ19は、車両1の前端にあるナンバープレート取付位置の近傍に設けられ、その光軸は車両1の前進方向へ向けられている。フロントカメラ19は撮影した車両1の前方の車外画像を画像表示装置2へ出力する。
【0048】
(お椀の画像)
次に、画像表示装置2が表示するお椀の画像を図2に基づいて説明する。
【0049】
画像表示装置2は、ナビゲーション機能も備えている。ナビゲーション機能がユーザによって既に選択されていた場合において、エコ走行支援機能がユーザによって選択された場合は、画像表示装置2は図2に示すようにディスプレイ11の左半分にナビゲーション画像G1を表示し、その右半分にボールBLの像を重畳したお椀BWの画像G2を表示する。
【0050】
画像表示装置2は、ナビゲーション機能がユーザによって選択されていない場合において、エコ走行支援機能がユーザによって選択された場合は、画像表示装置2はディスプレイ11の全面にボールBLの像を重畳したお椀BWの画像G2を表示する。
【0051】
このお椀BWの画像は、ボールが入ったお椀を上方から見た場合の外観が表される。
【0052】
次に、画像処理部3が備える各部が実行する「導出処理」、「表示処理」、及び「判定処理」、並びに、制御部7が備える音出力部が実行する「音出力処理」の詳細について説明する。
【0053】
(導出処理)
まず、導出部4が実行する導出処理について説明する。エコ走行支援機能がユーザによって選択された場合に、画像表示装置2は、車両1の加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合に、お椀内においてボールが移動する移動位置を導出する処理を実行する。なお、加速度は加速度センサ13によって検知されて出力され、出力された加速度を取得部9を介して導出部4が取得する。
【0054】
その移動位置を導出する方法は次の通りである。
【0055】
まず、お椀内のボールが移動する移動位置は、車両1の状態に応じて導出部4が導出する。車両1の状態とは、例えば、「停車状態」、「加速状態」、「減速状態」及び「旋回状態」である。
【0056】
次に、車両1の状態に応じて導出したそれら移動位置に基づいてボールの移動方向を導出部4が導出する。
【0057】
次に、導出した移動位置を導出部4がお椀画像の適切な位置に補正する。
【0058】
以降において、これら車両1の状態に応じて導出部4が導出するその移動位置を詳細に説明する。
【0059】
(停車状態におけるボール移動位置の導出処理)
まず、導出部4が実行する停車状態におけるボール移動位置の導出処理について説明する。
【0060】
車両1は停車状態であるため車両1に発生する加速度はほぼゼロである。つまり、車両1において速度の変化が発生していないため、お椀内においてボールが移動する移動位置は変わらない。従って、導出部4が導出する移動位置は初期の位置(以降、初期位置という)となる。つまり、お椀の最も低い底(円の中心)にボールが位置する。
【0061】
この初期位置は、図2に示すようにお椀BWの画像の中央の位置CTである。このお椀の中央の位置CTをXY座標で表すとX軸=0、Y軸=0となる。
【0062】
(加速状態におけるボール移動位置の導出処理)
次に、導出部4が実行する加速状態におけるボール移動位置の導出処理について説明する。
【0063】
車両1が走行した際に発生した加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合に、お椀内においてボールが移動する移動位置は、図3に示すように初期位置を基準に加速する方向とは逆の方向の位置へ移動する。
【0064】
この移動位置を次の式に基づいて導出部4が導出する。
【0065】
移動位置=(加速状態の評価点÷非エコ閾値×お椀半径(ドット))
まず、上記式のうち加速状態の評価点とは、車両1が加速する状態に対して評価される点である。その評価点は加速度が大きければ大きいほど大きくなる。換言すると、その評価点が大きければ大きいほど環境に対して悪い評価がされていることになる。なぜならば、加速度が大きいほど車両1は燃料を多く消費するからである。
【0066】
その評価点の導出方法を具体的に説明すると、図4に示す加速度と評価点との相関を示すマップデータに基づいて、取得した車両1の車速と相関のあるその評価点を導出部4が引用する。
【0067】
例えば、加速度が1.1(ms−2)の場合は、評価点は100点となる。また、加速度が0.5(ms−2)の場合は、評価点は40点となる。
【0068】
更に、車両1の加速度だけでは環境に対する評価が適切ではないため、車種ごとに異なる車両の重量やトルクに応じて、その評価点を加点及び減点しても良い。なお、車両の重量やトルクはエンジン制御装置14から取得部9を介して導出部4が取得する。
【0069】
次に、上記式のうち非エコ閾値とは、車速に基づいて設定される値である。
【0070】
その非エコ閾値の導出方法を具体的に説明すると、図5に示す、車速と非エコ閾値との相関を示すマップデータに基づいて、取得した車両1の車速と相関のある非エコ閾値を導出部4が引用する。
【0071】
例えば、車両1の車速が30(km/h)の場合は、非エコ閾値が200に設定される。車両1の車速60(km/h)の場合は、非エコ閾値が150に設定される。逆に、車両1の車速100(km/h)の場合は、非エコ閾値が100に設定される。
【0072】
つまり、車両1が走行する際の速度に応じて非エコ閾値が変化する。例えば、車両1が走行する際の速度が比較的遅い場合は、非エコ閾値は高くなって上記式の計算結果であるその移動位置がお椀の中央側へ補正される。逆に、車両1が走行する際の速度が比較的速い場合は、非エコ閾値は低くなって上記式の計算結果であるその移動位置がお椀の周縁側へ補正される。
【0073】
つまり、走行する車両1の車速が車両1の燃料消費率に影響していることから、車速が遅い場合ほど燃料消費率が良い運転(以降、非エコ運転という)と評価され、車速が速いほど燃料消費率が悪い運転(以降、エコ運転という)と評価される。
【0074】
換言すると、車両1の燃料消費率が基準の燃料消費率よりも大きくなると非エコ運転であると評価される。
【0075】
このような設定がされる理由は、車両1が走行する際の速度が比較的速い場合に加速すると燃料消費率は比較的に悪くなり、その場合には非エコ閾値を低くして車両1の燃料消費率を比較的に悪く評価しても良いからである。逆に、車両1が走行する際の速度が比較的遅い場合に加速すると燃料消費率は比較的に悪くならず、その場合には非エコ閾値を高くして車両1の燃料消費率を比較的に良く評価しても良いからである。
【0076】
以上のように、加速度のみでその評価をするのではなく、車速並びに車種ごとに異なる重量及びトルクをその評価に考慮することによって、その評価が適切に実施される。
【0077】
次に、上記式のうちお椀半径とは、ディスプレイ11に表示させるお椀BWの画像の半径(r)をドット数で表したものである。例えば、お椀BWの画像の半径は300(ドット)である。
【0078】
一例として、その評価点が100点で、非エコ閾値が150の場合において、ボールが移動する移動位置は次のような式によって求められる。
【0079】
100÷150×300=200
つまり、XY座標により説明すると、お椀BWの画像の初期位置をX軸=0、Y軸=0とした場合において、お椀BWの画像のX軸=0、Y軸=−200となる。
【0080】
なお、Y軸の位置を(−)とする理由は、車両1の加速度をお椀へ仮想的に与えた場合は、ボールが移動する方向は加速度が持つ方向に対して逆の方向へ移動するからである。
【0081】
別の例として、その評価点が180点で、非エコ閾値が150の場合において、お椀内においてボールが移動する移動位置は次のような式によって求められる。
【0082】
180÷150×300=360
つまり、XY座標により説明すると、お椀BWの画像の初期位置をX軸=0、Y軸=0とした場合に、お椀内のボールが移動する移動位置としてお椀BWの周縁MGに接する位置、即ち、お椀BW画像のX軸=0、Y軸=−300となる。この場合は、お椀BWの周縁MGに接する位置を限界の位置とするため、上記式により求めた値が300以上の値であったとしても限界の位置を適用する。
【0083】
以上のように、運転される車両1に発生する加速度などに基づいてエコ運転か非エコ運転かが評価され、非エコ運転が評価されたときはボールが移動する移動位置がお椀の周縁に接する位置として導出される。
【0084】
更に、導出部4は車両1に働く加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合のボールが移動する移動位置を導出できる。
【0085】
更に、その移動位置は車両1の燃料消費率が考慮された位置であるため、その移動位置へ表示されたボールBLの像が、お椀BWの画像の周縁MGに近いほど燃料消費率が悪いこと及び自らの運転が非エコ運転であることをユーザは理解できる。
【0086】
(旋回状態におけるボール移動位置の導出処理)
次に、導出部4が実行する旋回状態におけるボール移動位置の導出処理について説明する。
【0087】
車両1が左へ旋回して走行したとする。この場合に車両1に発生する遠心加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合に、お椀内においてボールが移動する移動位置は、図6に示すように初期位置を基準に遠心加速する方向とは逆の方向の位置へ移動する。
【0088】
この移動位置を次の式に基づいて導出部4が導出する。
【0089】
移動位置=(旋回状態の評価点÷非エコ閾値×お椀半径(ドット))
まず、上記式のうち旋回状態の評価点とは、車両1が旋回する状態に対して評価される点である。旋回した際に発生する遠心加速度が大きければ大きいほどその評価点は大きくなる。換言すると、その評価点が大きければ大きいほど環境に対して悪い評価がされることになる。
【0090】
なぜならば、ユーザは車両1を運転中に旋回させる場合は、殆どの場合加速させなくても旋回させられるのに、加速させながら旋回させた場合は車両1の燃料を無駄に消費させて環境を悪化させていると考えられるからである。
【0091】
或いは、大きな遠心加速度が発生した状態で車両1を旋回させている状態とは、タイヤに大きな摩擦を発生させながら車両1を旋回させている状態であり、無駄なエネルギーをタイヤで消費させている状態である。つまり、車両1を旋回させるために無駄な燃料を消費させていると考えられるからである。
【0092】
従って、導出部4は、遠心加速度の大きさに基づけば旋回状態の評価点を適切に導出することができる。
【0093】
その評価点の導出方法を具体的に説明する。その評価点の導出方法は次の式に基づいて導出部4が導出する。
【0094】
旋回状態の評価点=(最小回転半径(m)÷操舵量(%))×速度
上記式に含まれる最小回転半径は、図7に示す車種と最小回転半径とを関連付けたマップデータに基づいて、取得した車両1の車種と関連付けられた最小回転半径を導出部4が引用する。なお、車両1の最小回転半径は取得部9を介してステアリング制御装置17から導出部4が取得する。
【0095】
例えば、車両1の車種が「A」の場合は最小回転半径は4.9となる。また、車両1の車種が「B」の場合は最小回転半径は5.1となり、「C」の場合は最小回転半径は5.3となる。
【0096】
上記式に含まれる操舵量は、取得部9を介してステアリング制御装置17から導出部4が取得する。
【0097】
例えば、ユーザによってステアリングが左へ最大限に操舵された場合に操舵量が(−)100%に設定される。逆に、ユーザによってステアリングが右へ最大限に操舵された場合に操舵量が(+)100%に設定される。なお、ステアリングが中立にされている場合は操舵量が0%として設定される。
【0098】
上記式に含まれる速度は、取得部9を介してインスツルメントパネル制御装置15から導出部4が取得する。
【0099】
例えば、その速度は車両1を走行させる際の平均速度である。
【0100】
上記式へ以上のような値を適用することによって、導出部4は走行する車両1が旋回した際に発生する遠心加速度を導出できる。
【0101】
なお、上記式のうち非エコ閾値及びお椀半径については前述した通りである。
【0102】
一例として、最小回転半径が4.9で、操舵量が−15%で、速度が15km/hで、非エコ閾値が100の場合において、ボールが移動する移動位置は次のような式によって求められる。
【0103】
(4.9÷(−15)×15)÷1/100×300=−220.5
なお、この場合の小数点以下は省略される。
【0104】
つまり、XY座標により説明すると、お椀BWの画像の初期位置をX軸=0、Y軸=0とした場合において、お椀BW画像のX軸=220、Y軸=0となる。
【0105】
なお、X軸の位置を(+)とする理由は、車両1の遠心加速度をお椀へ仮想的に与えた場合は、ボールは加速度が持つ方向に対して逆の方向へ移動するからである。
【0106】
具体的に説明すると、ユーザがステアリングを左方向へ操舵したため操舵量が(−)を示したので、これとは逆の(+)を導出部4が設定する。逆に、ユーザがステアリングを右方向へ操舵した場合は操舵量が(+)を示すので、これとは逆の(−)を導出部4が設定する。
【0107】
別の例として、最小回転半径が4.9で、操舵量が50%で、速度が40km/hで、非エコ閾値が100の場合において、ボールが移動する移動位置は次のような式によって求められる。
【0108】
(4.9÷50×40)÷1/100×300=470.4
つまり、XY座標により説明すると、お椀BWの画像の初期位置をX軸=0、Y軸=0とした場合に、お椀においてボールが移動する移動位置としてお椀BWの画像の周縁MGに接する位置、即ち、お椀BWの画像のX軸=−300、Y軸=0となる。この場合は、お椀BWの画像の周縁MGに接する位置を限界の位置とするため、上記式により求めた値が300以上の値であったとしても限界の位置を適用する。
【0109】
以上のような導出処理を実行することにより、車両1に働く加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合のボールが移動する移動位置を導出部4は導出できる。
【0110】
また、その移動位置は車両1の燃料消費率が考慮された位置であるため、ディスプレイ11においてその移動位置へ表示されたボールBLによって、ユーザはその移動位置がお椀BWの周縁MGに近いほど燃料消費率が悪いことを理解できる。
【0111】
(減速状態におけるボール移動位置の導出処理)
次に、導出部4が実行する減速状態におけるボール移動位置の導出処理について説明する。
【0112】
車両1が走行中に減速したとする。この場合において、車両1が減速した際に発生する加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合に、お椀内においてボールが移動する移動位置は、図8に示すように初期位置を基準に加速する方向とは逆の方向の位置へ移動する。なお、この場合の加速度は減速する際の加速度であるため(−)となる。その加速度は加速度センサ13から取得部9を介して導出部4が取得する。
【0113】
この移動位置を次の式に基づいて導出部4が導出する。
【0114】
移動位置=(減速状態の評価点÷非エコ閾値×お椀半径(ドット))
まず、上記式のうち減速状態の評価点とは、車両1が減速する状態に対して評価される点である。減速した際に発生する加速度が小さければ小さいほどその評価点は大きくなる。換言すると、その評価点が大きければ大きいほど環境に対して悪い評価がされることになる。
【0115】
悪い評価がされるのは次のような理由による。車両1が走行中に減速した際に発生する(−)の加速度が大きい場合とは、殆どの場合はユーザがブレーキを強く踏むことによって、或いは、踏んだアクセルを急に戻すことによって、車両1を急減速させて目的の速度に到達させる場合である。しかしながら、ユーザは車両1を緩やかに減速させてからその目的の速度に到達させれば、急減速させるまでの多量の燃料を無駄にすることは無いのに、その場合には多量の燃料が無駄に消費されて環境を悪化させていると考えられるからである。
【0116】
或いは、減速状態が発生した車両1の状態とは、タイヤに大きな摩擦を発生させている状態であり、無駄なエネルギーをタイヤで消費させている状態である。つまり、車両1を減速させるために無駄な燃料を消費させていると考えられるからである。
【0117】
従って、導出部4は、車両1の走行中に減速した際に発生する加速度に基づけば減速状態の評価点を適切に導出することができる。
【0118】
その評価点の導出方法を具体的に説明する。図9に示す加速度と評価点との相関を示すマップデータに基づいて、取得した車両1の車速と相関のあるその評価点を導出部4が引用する。
【0119】
例えば、加速度が−0.8(ms−2)の場合は、評価点は30点となる。また、加速度が−1.5(ms−2)の場合は、評価点は120点となる。
【0120】
次に、上記式のうち非エコ閾値とは、車両1の前方に存在する物体との相対速度である。なお、この相対速度は車両1とその物体との距離が縮まる際に(+)に設定され、車両1とその物体との距離が開く際に(−)に設定される。
【0121】
その非エコ閾値の導出方法を具体的に説明すると、図10に示す、相対速度と非エコ閾値との相関を示すマップデータに基づいて、取得した車両1とその物体との相対速度と相関のある非エコ閾値を導出部4が引用する。
【0122】
なお、相対速度の取得は次のように行われる。レーダ制御装置18が検知した車両1とその物体との位置関係、並びに、フロントカメラ19が認識した車両1とその物体との位置関係を取得部9を介して導出部4が取得する。そして、導出部4がその位置関係に基づいてその相対速度を導出する。
【0123】
例えば、車両1の相対速度が30(km/h)の場合は、車両1が前方の物体と衝突する虞が大きいため、ユーザに対して比較的に急なブレーキ操作を許容して、走行上の安全を促したい。従って、非エコ閾値が図10に示すように70に設定されるようにして、上記式の計算結果であるその移動位置が比較的にお椀の中央側へ設定されるようにする。
【0124】
逆に、車両1の相対速度が10(km/h)の場合は、車両1が前方の物体と衝突する虞が少ないため、ユーザに対して比較的に急なブレーキ操作をしないように促す。従って、非エコ閾値が図10に示すように50に設定されるようにして、上記式の計算結果であるその移動位置が比較的にお椀の周縁側へ設定されるようにする。
【0125】
以上のように、車両1の状況に応じた非エコ閾値が設定されるため、適切なお椀におけるボールの移動する移動位置が導出される。更に、エコ運転を促しつつ、走行上の安全を促すことができる。
【0126】
なお、上記式のうちお椀半径については前述した通りである。
【0127】
一例として、評価点が30点で非エコ閾値が50となる場合において、ボールが移動する移動位置は次のような式によって求められる。
【0128】
30÷50×300=180
つまり、XY座標により説明すると、お椀BWの画像の初期位置をX軸=0、Y軸=0とした場合において、お椀BW画像のX軸=0、Y軸=180となる。
【0129】
なお、Y軸の位置を(+)とする理由は、車両1の加速度をお椀BWへ仮想的に与えた場合は、ボールは加速度が持つ方向に対して逆の方向へ移動するからである。
【0130】
別の例として、評価点が120点で非エコ閾値が70となる場合において、ボールが移動する移動位置は次のような式によって求められる。
【0131】
120÷70×300=514.2・・・
つまり、XY座標により説明すると、お椀BWの画像の初期位置をX軸=0、Y軸=0とした場合において、お椀BW画像のX軸=0、Y軸=300となる。
【0132】
この場合は、お椀BWの画像の周縁MGに接する位置を限界の位置とするため、上記式により求めた値が300以上の値であったとしても限界の位置を適用する。
【0133】
なお、Y軸の位置を(+)とする理由は、前述した通りである。
【0134】
以上のような導出処理を実行することにより、車両1に働く加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合のボールが移動する移動位置を導出部4は導出できる。
【0135】
また、その移動位置は車両1の燃料消費率が考慮された位置であるため、ユーザはその移動位置がお椀BWの周縁MGに近いほど燃料消費率が悪いことを理解できる。
【0136】
なお、導出部4が導出する上記の移動位置は、初期位置を基準として求めたが過去に導出した移動位置を基準として求めても良い。
【0137】
(ボールの移動方向の導出処理)
次に、導出部4が実行するボールの移動方向の導出処理について説明する。車両1において、「停車状態」、「加速状態」、「減速状態」及び「旋回状態」などの複数の状態が同時に発生する場合がある。例えば、車両1において、「加速状態」と「旋回状態」とが同時に発生する場合がある。また、車両1において、「減速状態」と「旋回状態」とが同時に発生する場合がある。
【0138】
このような場合に、導出したお椀内のボールの初期位置から移動位置までの距離と方向を、初期位置にあるボールに生じたベクトルの量及び方向であると考える。そして、その複数の状態が同時に発生した場合に生じたベクトルを合成しボールに生じる力の方向(以降、移動方向と言う)を導出部4が導出する。
【0139】
ボールの移動方向を導出する方法をより具体的に説明する。車両1の「加速状態」と「旋回状態」とが同時に発生した場合を例にして説明する。
【0140】
例えば、図11に示すように、車両1が「加速状態」である場合に導出されたボールの移動位置P1がX軸=0、Y軸=−300であり、車両1が「旋回状態」である場合に導出されたボールの移動位置P2がX軸=300、Y軸=0である場合は、Y軸の(−)方向へ300の量を持ったベクトルと、X軸の(+)方向へ300の量を持ったベクトルとが発生していると考える。そして、その2つのベクトルを合成すると、(+)方向のX軸と(−)方向のY軸との間の角度である90度を半分にした45度の方向へ420の量を持ったベクトルが導出される。
【0141】
このように導出されたボールの移動方向に基づいて後述する処理が実行されることにより、ディスプレイ11において、お椀BWに重畳させたボールBLを、車両1に発生する加速度とともに車両1に乗車するユーザに働く慣性の方向と同じ方向へ移動するように表示させることができる。
【0142】
(ボールの移動位置の補正処理)
次に、導出部4が実行するボールの移動位置の補正処理について説明する。
【0143】
お椀内のボールの位置がX軸上又はY軸上の何れかの位置である場合には、導出された移動位置がそのまま適用される。
【0144】
しかし、複数の車両1の状態が同時に発生した場合に導出されたお椀内のボールの移動方向へ、その場合に導出されたベクトルの量に応じて、お椀画像のXY座標上の位置を適用すると不具合が発生する虞がある。
【0145】
つまり、前述した例に基づいて説明すると、(+)方向のX軸と(−)方向のY軸との間の角度である90度を半分にした45度の方向へ合成されたベクトルの量である420に応じた、お椀画像のXY座標上の位置は、図11に示す、お椀BWの画像の周縁MGの外側の位置P4になってしまう。
【0146】
そこで、45度の方向において合成されたベクトルの量である420が導出される場合には、ボールBLがお椀BWの画像の周縁MGに接する位置P3へ補正される。
【0147】
つまり、ボールBLがお椀BWの周縁MGと接する位置が最大の移動位置となるように、合成されたベクトルの量で示される移動位置が圧縮して補正される。この圧縮して補正された移動位置が適用される。
【0148】
このように導出されたボールの移動位置が補正されて後述する処理が実行されることにより、お椀BWの画像の適切な位置にボールBLの像が重畳されてディスプレイ11へ表示される。つまり、実際のお椀の形状に応じた位置へボールが位置するように、ボールBLがお椀BWの画像へ重畳されてディスプレイ11へ表示される。
【0149】
(表示処理)
次に、表示部6が実行する表示処理について説明する。導出部4によって導出されたボールの移動位置にボールBLの像を重畳したお椀BWの画像をディスプレイ11へ表示部6が表示する。
【0150】
(判定処理)
次に、判定部5が実行する判定処理について説明する。
【0151】
車両1がアイドリング状態であるか否かをエンジン制御装置14などから取得部9を介して取得した情報に基づいて判定部5が判定する。その情報とは、車速情報、シフトポジション情報、及び、エンジン回転数情報などである。つまり、それら情報に基づいて、車速がゼロ、シフトポジションが「N」若しくは「P」、及び、エンジン回転数が略1000rpmである場合に車両1がアイドリング状態であると判定部5が判定する。
【0152】
(音出力処理)
次に、音出力部8が実行する音出力処理について説明する。
【0153】
導出部4により導出処理によって、ボールBLの像の移動位置としてお椀BWの周縁MGに接する位置が導出された場合に、音出力部8はスピーカを制御して音を出力させる。その音は、例えば、実際に鉄のボールが鉄のお椀の周縁MGに当たったときの音の擬似音である。
【0154】
(制御フロー)
次に、画像表示装置2が実行する制御フローについて説明する。
【0155】
画像表示装置2は、ユーザにより電源が投入されて、エコ走行支援機能を開始させる操作がされた場合に、図12に示す制御フローを所定の周期(例えば、5ms)で実行する。
【0156】
画像表示装置2は、その周期ごとに図12に示す制御フローのステップS1の処理を実行する。
【0157】
まず、導出部4は、前述したボール移動位置の導出処理を実行する(ステップS1)。これにより、車両1の状態に応じたボールの移動位置が導出される。
【0158】
次に、導出部4は、前述したボールの移動方向の導出処理を実行する(ステップS2)。これにより、複数の車両1の状態が同時に発生した場合のボールの移動方向を適切に導出することができる。
【0159】
なお、車両1の状態が複数発生しない場合は、初期位置からステップS1の導出処理によって導出されたボールの移動位置への方向が移動方向として適用される。
【0160】
次に、導出部4は、前述したボール移動位置の補正処理を実行する(ステップS3)。これにより、お椀BWの画像に応じた適切な位置へボールBLを重畳させることができる。
【0161】
次に、導出されたボールの移動位置に基づいてディスプレイ11へボールBLの像を表示させた場合に、ボールBLの像がお椀BWの画像の周縁MGに接するか否かを音出力部8が判定する(ステップS4)。
【0162】
導出されたボールの移動位置に基づいてディスプレイ11へボールBLの像を表示させた場合に、ボールBLの像がお椀BWの画像の周縁MGに接する位置であると判定する場合(ステップS4においてYESの場合)は、音出力部8は前述した音出力処理を実行する(ステップS5)。
【0163】
これにより、ボールBLの像をお椀BWの画像の周縁MGの位置へ表示させたことをユーザへ音で知らせることができる。更に、ユーザは車両の燃料消費率効率が最大限に低いことを認識できる。
【0164】
なお、導出されたボールの移動位置に基づいてディスプレイ11へボールBLの像を表示させた場合に、ボールBLの像がお椀BWの画像の周縁MGに接する位置であると判定しない場合(ステップS4においてNOの場合)は、図12に示す制御フローを終了する(エンド)。
【0165】
次に、導出された移動位置に基づいてボールBLの像を重畳したお椀BWの画像をディスプレイ11を制御して表示部6が表示させる(ステップS5)。この処理の後に制御フローを終了させる(エンド)
以上のような、制御フローを所定の周期(例えば、5ms)で実行することにより、車両1の状態に応じたお椀BWの画像の位置へボールBLの像を重畳させることができる。つまり、画像表示装置2は、お椀BW画像とこれに重畳するボールBLの像を用いて、お椀内のボールが車両1の状態に応じて転がっているようにディスプレイ11へ表示させることができる。
【0166】
このため、ユーザは車両1の加速度を直感的に認識でき、ユーザは、自らの運転が非エコ運転であることを直感的に認識することができる。
【0167】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以降の説明においては、第1の実施の形態と第2の実施の形態とにおいて相違する点を主に説明する。
【0168】
第1の実施の形態において、導出部4は「ユーザによる車両1の運転が非エコ運転のときはお椀内のボールBLの像がお椀BWの画像の周縁MGに接する位置として導出する」と説明した。
【0169】
第2の実施の形態の判断処理においては、ユーザによる車両1の運転が非エコ運転の状態が所定時間を超えて継続する場合、即ち、図13に示すボールBLの像の移動位置P3をお椀BWの画像の周縁MGに接する位置として導出する状態が所定時間を超えて継続する場合は、ボールBLの像の移動位置を図13に示すお椀BWの画像の外側の移動位置P5として導出部4が導出する。
【0170】
例えば1.5秒以上にわたって非エコ運転が継続した場合、または、所定時間に相当する検知回数において非エコ運転が発生した場合は、お椀からボールが放り出されることになる。これは実際にお椀がそこにあるかのようなイメージであり、実際のイメージに近いことでユーザはボールを落とさないようにエコ運転を心掛けるようになる。また、その状態が所定時間にわたって継続する、即ち、タメをもたせることを条件とすることで、ユーザにエコ運転への復帰期間を与えることになる。これにより、ユーザはボールを落とさないように速やかにエコ運転へ復帰させようとする。つまり、エコ運転を促すとともにゲーム感覚でエコ運転を楽しませる効果がある。
【0171】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、以降の説明においては、第1の実施の形態と第3の実施の形態とにおいて相違する点を主に説明する。
【0172】
判定部5が車両1がアイドリング状態が所定時間を超えて継続していると判定した場合に、表示部6はディスプレイ11を制御してお椀内のボールBLの像の表示態様を変化させる。
【0173】
例えば、図14に示すように、表示部6はその場合にディスプレイ11を制御してそのボールBLの像の色を赤色に変化させる。或いは、表示部6はその場合にディスプレイ11を制御してそのボールBLの大きさを変化させる。
【0174】
これにより、車両1が停車状態であっても不必要にアイドリング状態が継続されれば車両1の燃料消費率は悪化するので、そのような状態においてもユーザへ燃料消費率が悪化することを認識させることができる。
【0175】
<変形例>
以上、本発明の第1の実施の形態などについて説明してきたが、この発明は上記の第1の実施の形態などに限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では他の実施形態である変形例について説明する。
【0176】
<変形例1>
上記の第1の実施の形態では、「導出部4がお椀内のボールの像の移動位置を導出して、表示部6がその移動位置へボールBLの像を重畳したお椀BWの画像をディスプレイ11へ表示させる」と説明した。
【0177】
その際には導出されたボールの移動位置に応じてディスプレイ11へ表示するボールBLの像の大きさを表示部6が変化させても良い。ボールの移動位置がお椀BWの画像の中央の位置CTに近いほどボールを比較的小さくし、ボールの移動位置がお椀BWの画像の周縁MGの位置に近いほどボールBLの像を比較的大きくする。
【0178】
このため、画像表示装置2は、ユーザへお椀BWの画像をボールBLの像が転がるように見せることができる。より奥行きのある立体的な表示とすることでユーザは直感的にエコ運転の状況を的確に把握することができる。
【0179】
また、ボールの移動位置へボールBLを表示させる際に、それぞれの移動位置の間を補間すれば、さらにリアルな立体表示が可能となり、ユーザに直感的に分かりやすい表示にすることができる。
【0180】
<変形例2>
上記の第1の実施の形態では、ボールの移動方向の導出処理として、「複数の車両1の走行状態が同時に発生した場合に、発生したベクトルを合成しボールに生じる力の方向、即ち、移動方向を導出部4が導出する」と説明したが次のような構成としても良い。
【0181】
加速度センサ13は、車両1が走行する際に発生した加速度とともにその加速度の方向を検知して、その検知した加速度及びその加速度の方向を画像表示装置2へ出力する。
【0182】
加速度センサ13から出力された加速度及びその加速度の方向を取得部9を介して導出部4が取得する。そして、導出部4は取得したその加速度の方向をボールの移動方向に設定する。
【0183】
これにより、第1の実施の形態と同様の効果を奏させることができる。
【0184】
<変形例3>
上記の第1の実施の形態では、減速状態におけるボール移動位置の導出処理で、「非エコ閾値は、車両1とその物体との相対速度に基づいて設定される」と説明した。
【0185】
そのような相対速度の他に、車両1と信号との相対速度でも良い。或いは、車両1と踏み切りとの相対速度でも良い。
【0186】
<変形例4>
上記の第1の実施の形態では、ボールの移動方向の導出処理で、車両1が「加速状態」である場合に導出されたボールの移動位置P1がX軸=0、Y軸=−300であり、車両1が「旋回状態」である場合に導出されたボールの移動位置P2がX軸=300、Y軸=0である場合について説明した。
【0187】
この場合、それら移動位置は300の上限値ではあるが、導出された元の値が上限値を超える値である場合は、その元の値に基づいてベクトルの合成を行っても良い。
【0188】
これにより、より正確なボールの移動方向が導出される。
【符号の説明】
【0189】
2 画像表示装置
3 画像処理部
4 導出部
5 判定部
6 表示部
7 制御部
13 加速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される画像表示装置であって、
前記車両の加速度を取得する取得手段と、
取得された前記加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合に、前記お椀内において前記ボールが移動する移動位置を導出する導出手段と、
前記移動位置に前記ボールの像を重畳した、前記お椀の画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記取得手段は、前記車両の速度を更に取得するものであり、
前記導出手段は、前記速度が所定の閾値より大きい場合は、前記移動位置を前記お椀の周縁側に補正することを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の何れかに記載の画像表示装置において、
前記取得手段は、前記車両の速度を更に取得するものであり、
前記導出手段は、前記速度が所定の閾値よりも小さい場合は、前記移動位置を前記お椀の中央側に補正することを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の画像表示装置において、
前記導出手段は、前記加速度によって前記車両が運転された場合の前記車両の燃料消費率が基準の燃料消費率より高くなる非エコ運転のときは、前記移動位置を前記お椀の周縁に接する位置とすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像表示装置において、
導出手段によって前記移動位置として前記お椀の周縁に接する位置が導出された場合は、ユーザへ音を出力させる音出力手段、
を更に備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の画像表示装置において、
前記導出手段は、前記非エコ運転の状態が所定時間を超えて継続する場合は、前記移動位置を前記お椀外の位置とすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記車両がアイドリング状態であるか否かを判定する判定手段、
をさらに備え、
前記表示手段は、前記車両のアイドリング状態が所定時間を超えて継続する場合は、前記ボールの表示態様を変化させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
車両において画像を表示する画像表示方法であって、
(a)前記車両の加速度を取得する工程と、
(b)取得された前記加速度をボールが入ったお椀に仮想的に与えた場合に、前記お椀内において前記ボールが移動する移動位置を導出する工程と、
(c)前記移動位置に前記ボールの像を重畳した、前記お椀の画像を表示する工程と、
を備えることを特徴とする画像表示方法。
【請求項9】
車両において画像を表示する画像表示装置であって、
前記車両の加速度に関する情報を取得する取得手段と、
取得された前記加速度に関する情報に基づいて仮想的な立体物内を移動する指標を表示する表示手段を備え、
前記表示制御手段は、前記指標が前記立体物内を移動するように前記加速度に関する情報を変換して前記立体物に対する表示位置を求めることを特徴とする画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−123042(P2012−123042A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271391(P2010−271391)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】