説明

画像表示装置と画像表示装置の駆動方法、画像表示装置を使用する画像表示システム

【課題】残光クロストーク及びフリッカーを抑えた、品質の高い3D画像を視聴できる画像表示装置または画像表示システムを提供する。
【解決手段】本装置は画像表示部の蛍光体の残光が減衰する時間を表す時定数が特定値よりも大きい蛍光体を塗布した色である、赤および緑の画像信号に対して用いる表示用組合せ集合の中で、最後のサブフィールドの維持期間から次のフィールドまでの時間が特定値より小さい場合に画像信号のフィールド周波数を変更するとともに、制御信号発生回路はシャッタ眼鏡の開閉用タイミング信号の周波数を変更して出力することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示パネルに交互に表示される右目用画像と左目用画像とからなる立体画像をシャッタ眼鏡を用いて立体視することができる画像表示装置、画像表示システム、および画像表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型の画像表示装置として、液晶ディスプレイパネルやプラズマディスプレイパネルを用いたテレビジョン装置やモニター装置が、広く普及しつつある。例えば、プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面基板と背面基板との間に多数の放電セルが形成されている。前面基板は、1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極対が前面側のガラス基板上に互いに平行に複数対形成されている。そして、それら表示電極対を覆うように誘電体層および保護層が形成されている。
【0003】
背面基板は、背面側のガラス基板上に複数の平行なデータ電極が形成され、それらデータ電極を覆うように誘電体層が形成され、さらにその上にデータ電極と平行に複数の隔壁が形成されている。そして、誘電体層の表面と隔壁の側面とに蛍光体層が形成されている。
【0004】
そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように、前面基板と背面基板とを対向配置して密封する。密封された内部の放電空間には、例えば分圧比で5%のキセノンを含む放電ガスを封入し、表示電極対とデータ電極とが対向する部分に放電セルを形成する。このような構成のパネルにおいて、各放電セル内でガス放電により紫外線を発生し、この紫外線で赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色の蛍光体を励起発光してカラーの画像表示を行う。
【0005】
パネルを駆動する方法としては一般にサブフィールド法が用いられている。サブフィールド法では、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、それぞれのサブフィールドで各放電セルを発光または非発光にすることにより階調表示を行う。各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。
【0006】
初期化期間では、各走査電極に初期化波形を印加し、各放電セルで初期化放電を発生する初期化動作を行う。これにより、各放電セルにおいて、続く書込み動作のために必要な壁電荷を形成するとともに、書込み放電を安定して発生するためのプライミング粒子(放電を発生させるための励起粒子)を発生する。
【0007】
書込み期間では、走査電極に走査パルスを順次印加するとともに、データ電極には表示すべき画像信号にもとづき選択的に書込みパルスを印加する。これにより、発光を行うべき放電セルの走査電極とデータ電極との間に書込み放電を発生し、その放電セル内に壁電荷を形成する(以下、これらの動作を総称して「書込み」とも記す)。
【0008】
維持期間では、サブフィールド毎に定められた輝度重みにもとづく数の維持パルスを走査電極と維持電極とからなる表示電極対に交互に印加する。これにより、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生し、その放電セルの蛍光体層を発光させる(以下、放電セルを維持放電により発光させることを「点灯」、発光させないことを「非点灯」とも記す)。これにより、各放電セルを、輝度重みに応じた輝度で発光させる。このようにして、パネルの各放電セルを画像信号の階調値に応じた輝度で発光させて、パネルの画像表示領域に画像を表示する。
【0009】
パネルにおける画像表示品質を高める上で重要な要因の1つにコントラストの向上がある。そして、サブフィールド法の1つとして、階調表示に関係しない発光を極力減らしコントラスト比を向上させる駆動方法が開示されている。
【0010】
この駆動方法では、1フィールドを構成する複数のサブフィールドのうち、1つのサブフィールドの初期化期間では全ての放電セルに初期化放電を発生する初期化動作を行う。また、他のサブフィールドの初期化期間では直前のサブフィールドの維持期間で維持放電を発生した放電セルに対して選択的に初期化放電を発生する初期化動作を行う。
【0011】
維持放電を発生しない黒を表示する領域の輝度(以下、「黒輝度」と略記する)は、画像の表示に関係のない発光によって変化する。この発光には、例えば、初期化放電によって生じる発光がある。そして、上述の駆動方法では、黒を表示する領域における発光は全ての放電セルに初期化放電を発生するときの微弱発光だけとなる。これにより、黒輝度を低減してコントラストの高い画像を表示することが可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
近年、立体視が可能な3次元画像(3 Dimensional image:以下「3D画像」と記す)を画像表示面に表示する3D画像表示装置として、プラズマディスプレイ装置や液晶ディスプレイ装置、あるいはEL(Electroluminescence)ディスプレイ装置等を用いることが検討されている。
【0013】
プラズマディスプレイ装置を用いて3D画像を立体視する方法の1つとして、例えば、複数のサブフィールドを、右目用画像を表示するサブフィールド群と左目用画像を表示するサブフィールド群とに分ける方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−242224号公報
【特許文献2】特開2000−112428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
1枚の3D画像は、1枚の右目用画像と1枚の左目用画像とで構成されており、3D画像表示装置に3D画像を表示する際には、画像表示面に右目用画像と左目用画像とを交互に表示する。
【0016】
そのため、3D画像を表示する際は、単位時間(例えば、1秒間)に画像表示面に表示される画像の半分が右目用画像となり、残りの半分が左目用画像となる。従って、1秒間に画像表示面に表示される3D画像の数は、フィールド周波数(1秒間に表示されるフィールドの数)の半分となる。そして、単位時間に画像表示面に表示される画像の数が少なくなると、フリッカーと呼ばれる画像のちらつきが見えやすくなる。
【0017】
3D画像でない画像、すなわち、右目用、左目用の区別がない通常画像(以下、「2D画像」と記す)をパネルに表示する際は、例えば、フィールド周波数が50Hzであれば、1秒間に50枚の画像がパネルに表示される。従って、単位時間にパネルに表示する3D画像の数を2D画像と同じ(例えば、50枚/秒)にするためには、3D画像信号のフィールド周波数を2D画像信号の2倍(例えば、100Hz)に設定する必要がある。
【0018】
一方、3D画像表示装置に表示された3D画像を使用者が観賞する際には、使用者は、シャッタ眼鏡と呼ばれる特殊な眼鏡を用いる。
【0019】
シャッタ眼鏡は、右目用のシャッタと左目用のシャッタとを備えており、シャッタの開閉を制御する制御信号に応じて左右のシャッタが交互に開閉する。この制御信号は、右目用画像を表示するフィールドと左目用画像を表示するフィールドとのそれぞれに同期して左右のシャッタが交互に開閉するように、3D画像表示装置からシャッタ眼鏡に供給される。
【0020】
この制御信号を受けて、シャッタ眼鏡は、画像表示面に右目用画像が表示されている期間は右目用のシャッタを開く(可視光を透過する状態のこと)とともに左目用のシャッタを閉じ(可視光を遮断する状態のこと)、左目用画像が表示されている期間は左目用のシャッタを開くとともに右目用のシャッタを閉じる。これにより、シャッタ眼鏡を通して3D画像を鑑賞する使用者は、右目用画像を右目だけで観測し、左目用画像を左目だけで観測することができるので、画像表示面に表示される3D画像を立体視することができる。
【0021】
このとき、右目で右目用画像を見ているときに、左目用画像が残光として見える場合、3D画像の立体視が困難となる。同様に、左目で左目用画像を見ているときに、右目用画像が残光として見えることも好ましくない。
【0022】
画像表示面の大画面化、高精細度化にともない、画像表示装置における更なる品質向上が望まれており、3D画像表示装置においても、高い品質が望まれている。従って、シャッタ眼鏡を通して3D画像を鑑賞する使用者に、この逆目の残光が見えることは望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、入力された映像信号にもとづいて3D画像または2D画像を表示する画像表示部と、右目用画像信号および左目用画像信号を有する3D画像信号にもとづき、右目用画像信号を表示する右目用フィールドと左目用画像信号を表示する左目用フィールドとを交互に繰り返して画像表示部に3D画像を表示する駆動回路を備え、この駆動回路は画像表示部に右目用フィールドを表示するときにオンとなり左目用フィールドを表示するときにオフとなる右目用タイミング信号と、左目用フィールドを表示するときにオンとなり右目用フィールドを表示するときにオフとなる左目用タイミング信号とを有するシャッタ開閉用タイミング信号と、画像表示部に3D画像を表示するための制御信号とを出力する制御信号発生回路と、3D画像信号のフィールド周波数を変更する映像周波数変換回路とを有し、映像周波数変換回路は、入力された映像信号のフィールド周波数が所定閾値よりも大きい場合は、3D画像信号のフィールド周波数を所定閾値以下に変更して出力し、制御信号発生回路はシャッタ開閉用タイミング信号の周波数を変更して出力することを特徴とする画像表示装置に関するものである。
【0024】
また、本発明はこの画像表示装置に加えて映像周波数変換回路が出力するシャッタ開閉用タイミング信号を受信して右目用シャッタと左目用シャッタの動作を制御するシャッタ眼鏡をさらに備える画像表示システムに関するものである。
【0025】
また、本発明は、上述の入力された映像信号のフィールド周波数が所定閾値よりも大きい場合は、3D画像信号のフィールド周波数を所定閾値以下に変更して出力し、制御信号発生回路はシャッタ開閉用タイミング信号の周波数を変更して出力する映像周波数変換回路の代わりに、入力された映像信号の右目用フィールドと左目用フィールドの時間間隔が所定閾値よりも小さい場合は、3D画像信号のフィールド周波数を所定閾値以下に変更して出力し、制御信号発生回路は前記シャッタ開閉用タイミング信号の周波数を変更して出力する映像周波数変換回路を備える画像表示装置に関するものである。
【0026】
また、本発明は、入力された右目用画像信号および左目用画像信号を有する3D画像信号にもとづき、右目用画像信号を表示する右目用フィールドと左目用画像信号を表示する左目用フィールドとを交互に繰り返して画像表示部に3D画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、右目用フィールドを表示するときにオンとなり左目用フィールドを表示するときにオフとなる右目用タイミング信号と、左目用フィールドを表示するときにオンとなり右目用フィールドを表示するときにオフとなる左目用タイミング信号とを有するシャッタ開閉用タイミング信号を出力するステップと、画像表示部に3D画像を表示するための制御信号を出力するステップと、3D画像信号のフィールド周波数を変更するステップと、入力された3D画像信号のフィールド周波数を検出するステップとを有し、入力された3D画像信号のフィールド周波数が所定閾値よりも大きい場合は、3D画像信号のフィールド周波数を所定閾値以下に変更して出力するとともにシャッタ開閉用タイミング信号の周波数を変更して出力することを特徴とする画像表示装置の駆動方法に関するものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、入力した画像信号の種類やフィールド周波数を適宜に変換する事により、残光クロストーク及びフリッカーを抑えた良質な立体視を可能とする画像を表示でき、また消費電力を低減することができる画像表示装置、画像表示システム、および画像表示装置の駆動方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置に用いるパネルの構造を示す分解斜視図
【図2】同プラズマディスプレイ装置に用いるパネルの電極配列図
【図3】同プラズマディスプレイ装置の回路ブロックおよびプラズマディスプレイシステムの概要を概略的に示す図
【図4】同プラズマディスプレイ装置に用いるパネルの各電極に印加する駆動電圧波形を概略的に示す図
【図5】同プラズマディスプレイ装置に用いるパネルの各電極に印加する駆動電圧波形およびシャッタ眼鏡のシャッタ開閉動作を概略的に示す波形図
【図6】同プラズマディスプレイ装置において、表示する階調値とサブフィールドの組合せを示すコーディングテーブルの一例を示す図
【図7】同プラズマディスプレイ装置において、表示する階調値とサブフィールドの組合せを示すコーディングテーブルの他の例を示す図
【図8】同プラズマディスプレイ装置の映像周波数変換回路の回路ブロックを概略的に示す図
【図9】同映像周波数変換回路の周波数変換部においてフィールド周波数が120Hzの3D画像信号をフィールド周波数が100Hzの3D画像信号に変更するときの例を概略的に示す図
【図10】同映像周波数変換回路の周波数変換部においてフィールド周波数が120Hzの3D画像信号をフィールド周波数が100Hzの3D画像信号に変更するときの重み付け計数の一設定例を概略的に示す図
【図11】本発明の実施の形態1における周波数変換部において2枚の連続する右目用画像から1枚の右目用補間画像を作成するときの動作の一例を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態における画像表示装置および画像表示システムについて説明する。なお、以下では、画像表示装置としてプラズマディスプレイ装置を例に挙げて説明しているが、本発明は、画像表示装置がプラズマディスプレイ装置に限定されるものではない。本発明は、液晶ディスプレイ装置やELディスプレイ装置等、右目用画像と左目用画像とを交互に表示することで画像表示面に3D画像を表示することができる画像表示装置であれば、以下と同様の構成により同様の効果を得ることができる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態の一例であるプラズマディスプレイ装置およびプラズマディスプレイシステムについて、図面を用いて説明する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置に用いるパネル10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面基板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数形成されている。そして、走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。この保護層26は、放電セルにおける放電開始電圧を下げるために、パネルの材料として使用実績があり、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)ガスを封入した場合に2次電子放出係数が大きく耐久性に優れた酸化マグネシウム(MgO)を主成分とする材料で形成されている。
【0032】
背面基板31上にはデータ電極32が複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色(R)に発光する赤蛍光体層35R、緑色(G)に発光する緑蛍光体層35G、および青色(B)に発光する青蛍光体層35Bが設けられている。以下、赤蛍光体層35R、緑蛍光体層35G、青蛍光体層35Bをまとめて蛍光体層35とも記す。
【0033】
本実施の形態においては、青色蛍光体としてBaMgAl1017:Euを用い、緑色蛍光体としてZn2SiO4:Mnを用い、赤色蛍光体として(Y、GD)BO3:Euを用いている。しかし、本発明は蛍光体層35を形成する蛍光体が何ら上述の蛍光体に限定されるものではない。なお、蛍光体の残光が減衰する時間を表す時定数は、蛍光体材料により異なるが、青色蛍光体が1msec以下、緑色蛍光体が5msec〜9msec程度、赤色蛍光体が5msec〜9msec程度である。例えば、本実施の形態において、青蛍光体層35Bの時定数は約0.1msec程度であり、緑蛍光体層35Gおよび赤蛍光体層35Rの時定数は約7msec程度である。なお、この時定数は、放電終了後、放電発生時の発光輝度(ピーク輝度)の10%程度まで残光が減衰するのに要する時間とする。
【0034】
これら前面基板21と背面基板31とを、微小な放電空間を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置する。そして、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着する。そして、その内部の放電空間には、例えばネオンとキセノンの混合ガスを放電ガスとして封入する。
【0035】
放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そして、これらの放電セルで放電を発生し、放電セルの蛍光体層35を発光(放電セルを点灯)することにより、パネル10にカラーの画像を表示する。なお、パネル10においては、表示電極対24が延伸する方向に配列された連続する3つの放電セル、すなわち、赤色(R)に発光する放電セルと、緑色(G)に発光する放電セルと、青色(B)に発光する放電セルの3つの放電セルで1つの画素が構成される。また、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。
【0036】
図2は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置に用いるパネル10の電極配列図である。パネル10には、水平方向(行方向)に延長されたn本の走査電極SC1〜走査電極SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜維持電極SUn(図1の維持電極23)が配列され、垂直方向(列方向)に延長されたm本のデータ電極D1〜データ電極Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成される。すなわち、1対の表示電極対24上には、m個の放電セルが形成され、m/3個の画素が形成される。そして、放電セルは放電空間内にm×n個形成され、m×n個の放電セルが形成された領域がパネル10の画像表示領域となる。例えば、画素数が1920×1080個のパネルでは、m=1920×3となり、n=1080となる。
【0037】
そして、例えば、データ電極Dp(p=3×q−2:qはm/3以下の0を除く整数)を有する放電セルには赤の蛍光体が赤蛍光体層35Rとして塗布され、データ電極Dp+1を有する放電セルには緑の蛍光体が緑蛍光体層35Gとして塗布され、データ電極Dp+2を有する放電セルには青の蛍光体が青蛍光体層35Bとして塗布されている。
【0038】
図3は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置40の回路ブロックおよびプラズマディスプレイシステムの概要を概略的に示す図である。本実施の形態に示すプラズマディスプレイシステムは、プラズマディスプレイ装置40とシャッタ眼鏡50とを構成要素に含む。
【0039】
画像表示装置であるプラズマディスプレイ装置40は、画像表示部であるパネル10と、パネル10を駆動する駆動回路とを備えている。駆動回路は、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、制御信号発生回路45、映像周波数変換回路49および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
【0040】
駆動回路は、3D画像信号にもとづき右目用フィールドと左目用フィールドとを交互に繰り返してパネル10に3D画像を表示する3D駆動と、右目用、左目用の区別がない2D画像信号にもとづきパネル10に2D画像を表示する2D駆動とのいずれかでパネル10を駆動する。また、プラズマディスプレイ装置40は、使用者が使用するシャッタ眼鏡50のシャッタの開閉を制御するシャッタ開閉用タイミング信号をシャッタ眼鏡50に出力するタイミング信号出力部46を備えている。シャッタ眼鏡50は、3D画像をパネル10に表示するときに使用者が使用するものであり、使用者はシャッタ眼鏡50を通してパネル10に映し出される3D画像を観賞することで3D画像を立体視することができる。
【0041】
画像信号処理回路41は、2D画像信号または3D画像信号が入力され、入力された画像信号にもとづき、各放電セルに階調値を割り当てる。そして、その階調値を、サブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データ(発光・非発光をデジタル信号の「1」、「0」に対応させたデータのこと)に変換する。すなわち、画像信号処理回路41は、1フィールド毎の画像信号をサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。
【0042】
画像信号処理回路41に入力される画像信号が、赤の原色信号sigR、緑の原色信号sigG、青の原色信号sigBを含むときには、画像信号処理回路41は、原色信号sigR、原色信号sigG、原色信号sigBにもとづき、各放電セルにR、G、Bの各階調値を割り当てる。また、入力される画像信号が輝度信号(Y信号)および彩度信号(C信号、またはR−Y信号およびB−Y信号、またはu信号およびv信号等)を含むときには、その輝度信号および彩度信号にもとづき原色信号sigR、原色信号sigG、原色信号sigBを算出し、その後、各放電セルにR、G、Bの各階調値(1フィールドで表現される階調値)を割り当てる。そして、各放電セルに割り当てたR、G、Bの階調値を、サブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。
【0043】
また、入力される画像信号が、右目用画像信号と左目用画像信号とを有する立体視用の3D画像信号であり、その3D画像信号をパネル10に表示する際には、右目用画像信号と左目用画像信号とがフィールド毎に交互に画像信号処理回路41に入力される。従って、画像信号処理回路41は、右目用画像信号を右目用画像データに変換し、左目用画像信号を左目用画像データに変換する。
【0044】
制御信号発生回路45は、入力信号にもとづき2D画像信号および3D画像信号のいずれがプラズマディスプレイ装置40に入力されているのかを判別する。そして、その判別結果にもとづき、2D画像または3D画像をパネル10に表示するために、各駆動回路を制御する制御信号を発生する。具体的には、制御信号発生回路45は、入力信号のうちの水平同期信号および垂直同期信号の周波数からプラズマディスプレイ装置40への入力信号が3D画像信号なのか2D画像信号なのかを判断する。例えば、水平同期信号が33.75kHz、垂直同期信号が60Hzであれば入力信号を2D画像信号と判断し、水平同期信号が67.5kHz、垂直同期信号が120Hzであれば入力信号を3D画像信号と判断する。なお、入力信号に2D画像信号と3D画像信号とを判別するための判別信号が付加されているときには、制御信号発生回路45は、その判別信号にもとづき、2D画像信号および3D画像信号のいずれが入力されているのかを判別する構成であってもよい。
【0045】
そして制御信号発生回路45は、水平同期信号および垂直同期信号にもとづき、各回路ブロックの動作を制御する各種の制御信号を発生し、それぞれの回路ブロック(データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、および画像信号処理回路41等)へ供給する。
【0046】
さらに制御信号発生回路45は、3D画像をパネル10に表示する際に、シャッタ眼鏡50のシャッタの開閉を制御するシャッタ開閉用タイミング信号をタイミング信号出力部46に出力する。なお、制御信号発生回路45は、シャッタ眼鏡50のシャッタを開く(可視光を透過する状態にする)ときにはシャッタ開閉用タイミング信号をオン(「1」)にし、シャッタ眼鏡50のシャッタを閉じる(可視光を遮断する状態にする)ときにはシャッタ開閉用タイミング信号をオフ(「0」)にする。シャッタ開閉用タイミング信号は、パネル10に3D画像の右目用画像信号にもとづく右目用フィールドを表示するときにオンとなり、左目用画像信号にもとづく左目用フィールドを表示するときにオフとなる右目用タイミング信号(右目シャッタ開閉用タイミング信号)と、3D画像の左目用画像信号にもとづく左目用フィールドを表示するときにオンとなり、右目用画像信号にもとづく右目用フィールドを表示するときにオフとなる左目用タイミング信号(左目シャッタ開閉用タイミング信号)とからなる。なお、本実施の形態において、水平同期信号および垂直同期信号の周波数は、何ら上述した数値に限定されるものではない。
【0047】
映像周波数変換回路49は、制御信号発生回路45からの情報や画像信号処理回路41での信号処理によるフィールド間の時間間隔などに基づいて画像信号のフィールド周波数を制御する。例えば、入力された画像信号のフィールド周波数が所定のフィールド周波数より大きい、例えば120Hzの3D画像信号のフィールド周波数であった場合、映像周波数変換回路49は、3D画像信号のフィールド周波数や垂直同期信号の周波数を120Hzから100Hzに変更する。ただし、映像周波数変換回路49は、もともとの3D画像信号のフィールド周波数が100Hz以下であった場合、および、パネル10に表示される画像が2D画像であるときには、画像信号および垂直同期信号に変更を加えない。
【0048】
また映像周波数変換回路49は、入力された映像信号の前記右目用フィールドと前記左目用フィールドの時間間隔が所定閾値よりも小さいことを検出したときも入力された画像信号のフィールド周波数や垂直同期信号の周波数を小さくするように変換する。
【0049】
制御信号発生回路45は、映像周波数変換回路49によって周波数が変更された後の垂直同期信号にもとづき、各回路ブロックの動作を制御する各種の制御信号を発生する。例えば、画像信号処理回路41に入力される画像信号(3D画像信号)のフィールド周波数が120Hzであっても、制御信号発生回路45は、シャッタ眼鏡50の左右のシャッタ(左目用シャッタ52Lおよび右目用シャッタ52R)がそれぞれ1秒間に50回ずつ開閉動作を繰り返すように、シャッタ開閉用タイミング信号を生成する(以下、例えば、シャッタ眼鏡50の左右のシャッタがそれぞれ1秒間に50回ずつ開閉動作を繰り返すように生成されたシャッタ開閉用タイミング信号は、「シャッタ開閉用タイミング信号の周波数は50Hzである」と表現する)。
【0050】
ここで、本発明の特徴となる、もともとの3D画像信号のフィールド周波数が120Hzであった場合に、100Hzのフィールド周波数に変更して映像表示を行う理由について説明する。本発明の蛍光体の残光が減衰する時間を表す時定数は先述の通り、青色蛍光体が1msec以下、緑色蛍光体が5msec〜9msec程度、赤色蛍光体が5msec〜9msec程度であり、緑色及び赤色の時定数は大きいのが特徴である。この時定数が小さければ小さいほど、片方の目で見る映像の残光が逆の目の映像に重なる現象(以後、残光クロストークと記す)は軽微になる。例えば時定数が3msec程度であれば、3D画像信号のフィールド周波数が120Hzでもそれぞれの蛍光体の残光による影響は軽微な残光クロストークですみ、良好な立体視が可能となる。
【0051】
その一方で本発明で用いるような7msec程度の時定数の蛍光体の場合には残光クロストークが顕著となって目視され、120Hzの3D画像信号では有効な立体視が困難となる。また、3D画像信号による3D映像を視聴する上でのもう一つの課題となる、単位時間に画像表示面に表示される画像の数が少なくなることによるフリッカーと呼ばれる画像のちらつきも、蛍光体の残光の時定数に影響を受ける。こちらは残光クロストークとは逆に、時定数が大きい方が残光輝度によって軽微となっていく。従って、本発明で用いる、7msec程度の時定数の蛍光体では、100Hzの画像データで視聴しても、フリッカーは軽微となる。
【0052】
以上の通り本実施の形態では、特に視認度の高い緑色及び赤色の蛍光体の残光が減衰する時間を表す時定数が7msec程度の長時定数蛍光体を用い、3D画像信号のフィールド周波数が120Hzであるときに100Hzに変換し、3D画像を鑑賞する使用者に残光クロストーク及びフリッカーを抑えた良質な立体視を提供する。なお、映像周波数変換回路49の詳細については、後述する。
【0053】
走査電極駆動回路43は、初期化波形発生回路、維持パルス発生回路、走査パルス発生回路(いずれも図3には示さず)を備え、制御信号発生回路45から供給される制御信号にもとづいて駆動電圧波形を作成し、走査電極SC1〜走査電極SCnのそれぞれに印加する。初期化波形発生回路は、サブフィールドの初期化期間に制御信号にもとづいて走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する初期化波形を発生する。維持パルス発生回路は、サブフィールド維持期間に、制御信号にもとづいて走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する維持パルスを発生する。走査パルス発生回路は、複数の走査電極駆動IC(走査IC)を備え、サブフィールド書込み期間に、制御信号にもとづいて走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する走査パルスを発生する。
【0054】
維持電極駆動回路44は、維持パルス発生回路、および電圧Ve1、電圧Ve2を発生する回路を備え(図3には示さず)、制御信号発生回路45から供給される制御信号にもとづいて駆動電圧波形を作成し、維持電極SU1〜維持電極SUnのそれぞれに印加する。維持期間では、制御信号にもとづいて維持パルスを発生し、維持電極SU1〜維持電極SUnに印加する。
【0055】
データ電極駆動回路42は、2D画像信号にもとづく画像データ、または、3D画像信号にもとづく右目用画像データおよび左目用画像データを構成するサブフィールド毎のデータを、各データ電極D1〜データ電極Dmに対応する信号に変換する。そして、その信号、および制御信号発生回路45から供給される制御信号にもとづき、各データ電極D1〜データ電極Dmを駆動する。書込み期間では書込みパルスを発生し、各データ電極D1〜データ電極Dmに印加する。
【0056】
タイミング信号出力部46は、LED(Light Emitting DioDe)等の発光素子を有する。そして、シャッタ開閉用タイミング信号を、例えば赤外線の信号に変換してシャッタ眼鏡50に供給する。
【0057】
シャッタ眼鏡50は、タイミング信号出力部46から出力される信号(例えば赤外線の信号)を受信する信号受信部と(図示せず)、右目用シャッタ52Rおよび左目用シャッタ52Lとを有する。右目用シャッタ52Rおよび左目用シャッタ52Lは、それぞれ独立にシャッタの開閉が可能である。そして、シャッタ眼鏡50は、タイミング信号出力部46から供給されるシャッタ開閉用タイミング信号にもとづいて右目用シャッタ52Rおよび左目用シャッタ52Lを開閉する。
【0058】
右目用シャッタ52Rは、右目用タイミング信号がオンのときには開き(可視光を透過し)、オフのときには閉じる(可視光を遮断する)。左目用シャッタ52Lは、左目用タイミング信号がオンのときには開き(可視光を透過し)、オフのときには閉じる(可視光を遮断する)。右目用シャッタ52Rおよび左目用シャッタ52Lは、例えば液晶を用いて構成することができる。ただし、本発明は、シャッタを構成する材料が何ら液晶に限定されるものではなく、可視光の遮断と透過とを高速に切り換えることができるものであればどのようなものであってもかまわない。
【0059】
なお、上述したように、本実施の形態では、もともとの3D画像信号のフィールド周波数に基づき、フィールド周波数に変更を加え、タイミング信号出力部46からシャッタ眼鏡50に供給されるシャッタ開閉用タイミング信号に変更を加える。
【0060】
従って、例えば、もともとの3D画像信号のフィールド周波数が120Hzであった場合においても、パネル10に表示される3D画像は100Hzとなり、タイミング信号出力部46からシャッタ眼鏡50に供給されるシャッタ開閉用タイミング信号は50Hz(あるいはその整数倍)となって、右目用シャッタ52Rおよび左目用シャッタ52Lはそれぞれ1秒間に50回ずつ開閉動作を繰り返す。
【0061】
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作の概要について説明する。本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置40は、サブフィールド法によってパネル10を駆動する。サブフィールド法では、1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドに輝度重みをそれぞれ設定する。従って、各フィールドはそれぞれ複数のサブフィールドを有する。そして、それぞれのサブフィールドは初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。
【0062】
初期化期間では、放電セルに初期化放電を発生し、続く書込み期間における書込み放電に必要な壁電荷を各電極上に形成する初期化動作を行う。書込み期間では、走査電極22に走査パルスを印加するとともにデータ電極32に選択的に書込みパルスを印加し、発光するべき放電セルに選択的に書込み放電を発生して、続く維持期間で維持放電を発生するための壁電荷をその放電セル内に形成する書込み動作を行う。維持期間では、それぞれのサブフィールドに設定された輝度重みに所定の比例定数を乗じた数の維持パルスを走査電極22および維持電極23に交互に印加し、直前の書込み期間に書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生し、その放電セルを発光する維持動作を行う。この比例定数が輝度倍率である。
【0063】
輝度重みとは、各サブフィールドで表示する輝度の大きさの比を表すものであり、各サブフィールドでは輝度重みに応じた数の維持パルスを維持期間に発生する。そのため、例えば、輝度重み「8」のサブフィールドは、輝度重み「1」のサブフィールドの約8倍の輝度で発光し、輝度重み「2」のサブフィールドの約4倍の輝度で発光する。また、例えば、輝度倍率が2倍のとき、輝度重み「2」のサブフィールドの維持期間では、走査電極22と維持電極23とにそれぞれ4回ずつ維持パルスを印加する。そのため、その維持期間で発生する維持パルスの数は8となる。こうして、画像信号に応じた組合わせでサブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御して各サブフィールドを選択的に発光することにより、様々な階調を表示し、画像をパネル10に表示することができる。
【0064】
また、初期化動作には、直前のサブフィールドの動作にかかわらず放電セルに初期化放電を発生する全セル初期化動作と、直前のサブフィールドの書込み期間で書込み放電を発生し維持期間で維持放電を発生した放電セルだけに選択的に初期化放電を発生する選択初期化動作とがある。
【0065】
全セル初期化動作では上昇する上り傾斜波形電圧および下降する下り傾斜波形電圧を走査電極22に印加し、画像表示領域内の全ての放電セルに初期化放電を発生する。そして、複数のサブフィールドのうち、1つのサブフィールドの初期化期間においては全セル初期化動作を行い、他のサブフィールドの初期化期間においては選択初期化動作を行う。以下、全セル初期化動作を行う初期化期間を「全セル初期化期間」と記し、全セル初期化期間を有するサブフィールドを「全セル初期化サブフィールド」と記す。また、選択初期化動作を行う初期化期間を「選択初期化期間」と記し、選択初期化期間を有するサブフィールドを「選択初期化サブフィールド」と記す。
【0066】
そして、本実施の形態では、各フィールドの先頭サブフィールド(フィールドの最初に発生するサブフィールド)のみを全セル初期化サブフィールドとする。すなわち、先頭サブフィールド(サブフィールドSF1)の初期化期間では全セル初期化動作を行い、他のサブフィールドの初期化期間では選択初期化動作を行う。これにより、少なくとも1フィールドに1回は全ての放電セルに初期化放電を発生することができ、全セル初期化動作以降の書込み動作を安定化することができる。また、画像の表示に関係のない発光はサブフィールドSF1における全セル初期化動作の放電にともなう発光のみとなる。従って、維持放電を発生しない黒を表示する領域の輝度である黒輝度は全セル初期化動作における微弱発光だけとなり、パネル10にコントラストの高い画像を表示することが可能となる。
【0067】
なお、本実施の形態は、1フィールドを構成するサブフィールドの数や各サブフィールドの輝度重みが上述した数値に限定されるものではない。また、画像信号等にもとづいてサブフィールド構成を切り換える構成であってもよい。
【0068】
なお、本実施の形態において、プラズマディスプレイ装置40に入力される画像信号は、2D画像信号、または3D画像信号であり、プラズマディスプレイ装置40は、それぞれの画像信号に応じてパネル10を駆動する。まず、2D画像信号がプラズマディスプレイ装置40に入力されたときにパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形を説明する。次に、3D画像信号がプラズマディスプレイ装置40に入力されたときにパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形を説明する。
【0069】
図4は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置に用いるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形を概略的に示す図である。図4には、書込み期間において最初に書込み動作を行う走査電極SC1、書込み期間において最後に書込み動作を行う走査電極SCn、維持電極SU1〜維持電極SUn、およびデータ電極D1〜データ電極Dmのそれぞれに印加する駆動電圧波形を示す。また、以下における走査電極SCi、維持電極SUi、データ電極Dkは、各電極の中から画像データ(サブフィールド毎の発光・非発光を示すデータ)にもとづき選択された電極を表す。サブフィールドSF1とサブフィールドSF2との2つのサブフィールドの駆動電圧波形を示している。サブフィールドSF1は全セル初期化動作を行うサブフィールドであり、サブフィールドSF2は選択初期化動作を行うサブフィールドである。従って、サブフィールドSF1とサブフィールドSF2とでは、初期化期間に走査電極22に印加する駆動電圧の波形形状が異なる。なお、他のサブフィールドにおける駆動電圧波形は、維持期間における維持パルスの発生数が異なる以外はサブフィールドSF2の駆動電圧波形とほぼ同様である。
【0070】
本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置40は、2D画像信号によってパネル10を駆動する際には、1フィールドを8のサブフィールド(サブフィールドSF1、サブフィールドSF2、サブフィールドSF3、サブフィールドSF4、サブフィールドSF5、サブフィールドSF6、サブフィールドSF7、サブフィールドSF8)で構成し、サブフィールドSF1〜サブフィールドSF8の各サブフィールドにそれぞれ「1」、「2」、「4」、「8」、「16」、「32」、「64」、「128」の輝度重みを設定する例を説明する。
【0071】
このように、本実施の形態では、2D画像信号によってパネル10を駆動する際には、フィールドの最初に発生するサブフィールドSF1を輝度重みの最も小さいサブフィールドとし、それ以降は輝度重みが順次大きくなるように各サブフィールドに輝度重みを設定し、フィールドの最後に発生するサブフィールドSF8を輝度重みの最も大きいサブフィールドとする。なお、本実施の形態は、1フィールドを構成するサブフィールドの数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではない。
【0072】
まず、全セル初期化サブフィールドであるサブフィールドSF1について説明する。全セル初期化動作を行うサブフィールドSF1の初期化期間の前半部では、データ電極D1〜データ電極Dm、維持電極SU1〜維持電極SUnには、それぞれ電圧0(V)を印加する。走査電極SC1〜走査電極SCnには、電圧0(V)を印加した後に電圧Vi1を印加し、電圧Vi1から電圧Vi2に向かって緩やかに(例えば、1.3V/μsecの勾配で)上昇する上り傾斜波形電圧(以下、「ランプ電圧L1」と記す)を印加する。電圧Vi1は、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧よりも低い電圧に設定し、電圧Vi2は、放電開始電圧を超える電圧に設定する。
【0073】
このランプ電圧L1が上昇する間に、各放電セルの走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとの間、および走査電極SC1〜走査電極SCnとデータ電極D1〜データ電極Dmとの間に、それぞれ微弱な初期化放電が持続して発生する。そして、走査電極SC1〜走査電極SCn上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極D1〜データ電極Dm上および維持電極SU1〜維持電極SUn上には正の壁電圧が蓄積される。この電極上の壁電圧とは、電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
【0074】
サブフィールドSF1の初期化期間の後半部では、維持電極SU1〜維持電極SUnには正の電圧Ve1を印加し、データ電極D1〜データ電極Dmには電圧0(V)を印加する。走査電極SC1〜走査電極SCnには、電圧Vi3から負の電圧Vi4に向かって緩やかに(例えば、−2.5V/μsecの勾配で)下降する下り傾斜波形電圧(以下、「ランプ電圧L2」と記す)を印加する。電圧Vi3は、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧未満となる電圧に設定し、電圧Vi4は放電開始電圧を超える電圧に設定する。
【0075】
このランプ電圧L2を走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する間に、各放電セルの走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとの間、および走査電極SC1〜走査電極SCnとデータ電極D1〜データ電極Dmとの間に、それぞれ微弱な初期化放電が発生する。そして、走査電極SC1〜走査電極SCn上の負の壁電圧および維持電極SU1〜維持電極SUn上の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜データ電極Dm上の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。
【0076】
以上により、サブフィールドSF1の初期化期間における初期化動作、すなわち、全ての放電セルで初期化放電を発生する全セル初期化動作が終了し、全ての放電セルにおいて、続く書込み動作に必要な壁電荷が各電極上に形成される。
【0077】
続くサブフィールドSF1の書込み期間では、維持電極SU1〜維持電極SUnに電圧Ve1を印加し、走査電極SC1〜走査電極SCnのそれぞれには電圧Vc(Vc=Va+Vscn)を印加する。
【0078】
次に、最初に書込み動作を行う1行目の走査電極SC1に負の電圧Vaの負極性の走査パルスを印加する。そして、データ電極D1〜データ電極Dmのうちの1行目において発光するべき放電セルに対応するデータ電極Dkに正の電圧Vdの正極性の書込みパルスを印加する。電圧Vdの書込みパルスを印加した放電セルのデータ電極Dkと走査電極SC1との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(電圧Vd−電圧Va)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧との差が加算されたものとなる。これによりデータ電極Dkと走査電極SC1との電圧差が放電開始電圧を超え、データ電極Dkと走査電極SC1との間に放電が発生する。
【0079】
これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に発生する放電を引き金にして、データ電極Dkと交差する領域にある維持電極SU1と走査電極SC1との間に放電が発生する。こうして、走査パルスと書込みパルスとが同時に印加された放電セル(発光するべき放電セル)に書込み放電が発生し、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
【0080】
このようにして、1行目の放電セルにおける書込み動作が終了する。なお、書込みパルスを印加しなかったデータ電極32と走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。
【0081】
次に、2行目の走査電極SC2に走査パルスを印加するとともに、2行目に発光するべき放電セルに対応するデータ電極Dkに書込みパルスを印加し、2行目の放電セルにおける書込み動作を行う。
【0082】
以上の書込み動作を、走査電極SC3、走査電極SC4、・・・、走査電極SCnという順番で、n行目の放電セルに至るまで順次行い、サブフィールドSF1の書込み期間が終了する。このようにして、書込み期間では、発光するべき放電セルに選択的に書込み放電を発生し、その放電セルに壁電荷を形成する。
【0083】
続くサブフィールドSF1の維持期間では、まず維持電極SU1〜維持電極SUnにベース電位となる電圧0(V)を印加するとともに走査電極SC1〜走査電極SCnに正の電圧Vsの維持パルスを印加する。この維持パルスの印加により、書込み放電を発生した放電セルでは、走査電極SCiと維持電極SUiとの電圧差が、維持パルスの電圧Vsに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなる。これにより、走査電極SCiと維持電極SUiとの電圧差が放電開始電圧を超え、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が発生する。そして、この放電により発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。また、この放電により、走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらに、データ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。ただし、書込み期間において書込み放電が発生しなかった放電セルでは維持放電は発生しない。
【0084】
続いて、走査電極SC1〜走査電極SCnには電圧0(V)を印加し、維持電極SU1〜維持電極SUnには電圧Vsの維持パルスを印加する。直前に維持放電を発生した放電セルでは、維持電極SUiと走査電極SCiとの電圧差が放電開始電圧を超える。これにより、再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が発生し、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され、走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。
【0085】
以降同様に、走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとに、輝度重みに所定の輝度倍率を乗じた数の維持パルスを交互に印加する。こうして表示電極対24の電極間に電位差を与えることにより、書込み期間において書込み放電を発生した放電セルで維持放電が継続して発生する。そして、維持期間における維持パルスの発生後(維持期間の最後)に、維持電極SU1〜維持電極SUnおよびデータ電極D1〜データ電極Dmには電圧0(V)を印加したまま、ベース電位である電圧0(V)から電圧Versに向かって緩やかに(例えば、約10V/μsecの勾配で)上昇する傾斜波形電圧(以下、「消去ランプ電圧L3」と記す)を走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する。
【0086】
走査電極SC1〜走査電極SCnへ印加する消去ランプ電圧L3が放電開始電圧を超えて上昇する間に、維持放電を発生した放電セルに微弱な放電が持続して発生する。この微弱な放電で発生した荷電粒子は、維持電極SUiと走査電極SCiとの間の電圧差を緩和するように、維持電極SUi上および走査電極SCi上に壁電荷となって蓄積されていく。これにより、データ電極Dk上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCiおよび維持電極SUi上の壁電圧が弱められる。すなわち、放電セル内における不要な壁電荷が消去される。走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する電圧が電圧Versに到達したら、走査電極SC1〜走査電極SCnへの印加電圧を電圧0(V)まで下降する。こうして、サブフィールドSF1の維持期間における維持動作が終了する。以上により、サブフィールドSF1が終了する。
【0087】
選択初期化動作を行うサブフィールドSF2の初期化期間では、サブフィールドSF1における初期化期間の前半部を省略した駆動電圧波形を各電極に印加する選択初期化動作を行う。このサブフィールドSF2の初期化期間では、維持電極SU1〜維持電極SUnには電圧Ve1を、データ電極D1〜データ電極Dmには電圧0(V)を、それぞれ印加する。走査電極SC1〜走査電極SCnには放電開始電圧未満となる電圧(例えば、電圧0(V))から負の電圧Vi4に向かってランプ電圧L2と同じ勾配(例えば、約−2.5V/μsec)で下降する傾斜波形電圧(以下、「ランプ電圧L4」と記す)を印加する。電圧Vi4は、維持電極SU1〜維持電極SUnに対して放電開始電圧を超える電圧に設定する。
【0088】
このランプ電圧L4を走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する間に、直前のサブフィールド(図4では、サブフィールドSF1)の維持期間に維持放電を発生した放電セルでは微弱な初期化放電が発生する。そして、この初期化放電により、走査電極SCi上および維持電極SUi上の壁電圧が弱められる。また、データ電極Dk上には、直前のサブフィールドの維持期間に発生した維持放電によって十分な正の壁電圧が蓄積されているので、この壁電圧の過剰な部分が放電され、データ電極Dk上の壁電圧は書込み動作に適した壁電圧に調整される。一方、直前のサブフィールド(サブフィールドSF1)の維持期間に維持放電を発生しなかった放電セルでは、初期化放電は発生せず、それ以前の壁電圧が保たれる。このように、サブフィールドSF2における初期化動作は、直前のサブフィールドの書込み期間で書込み動作を行った放電セル、すなわち、直前のサブフィールドの維持期間に維持放電を発生した放電セルで選択的に初期化放電を発生する選択初期化動作となる。以上により、サブフィールドSF2の初期化期間における初期化動作、すなわち、選択初期化動作が終了する。
【0089】
続くサブフィールドSF2の書込み期間では、サブフィールドSF1の書込み期間と同様の駆動電圧波形を各電極に印加し、発光するべき放電セルの各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作を行う。さらにその後の維持期間もサブフィールドSF1の維持期間と同様に、輝度重みに応じた数の維持パルスを走査電極SC1〜走査電極SCnと維持電極SU1〜維持電極SUnとに交互に印加し、書込み期間において書込み放電を発生した放電セルに維持放電を発生する。
【0090】
サブフィールドSF3以降の各サブフィールドの初期化期間および書込み期間では、各電極に対してサブフィールドSF2の初期化期間および書込み期間と同様の駆動電圧波形を印加する。また、サブフィールドSF3以降の各サブフィールドの維持期間では、維持期間に発生する維持パルスの数を除き、サブフィールドSF2と同様の駆動電圧波形を各電極に印加する。以上が、本実施の形態においてパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形の概要である。
【0091】
なお、本実施の形態において各電極に印加する電圧値は、例えば、電圧Vi1=145(V)、電圧Vi2=335(V)、電圧Vi3=190(V)、電圧Vi4=−160(V)、電圧Va=−180(V)、電圧Vs=190(V)、電圧Vers=190(V)、電圧Ve1=125(V)、電圧Vd=60(V)に設定している。また、電圧Vcは、負の電圧Va=−180(V)に正の電圧Vscn=145(V)を重畳する(Vc=Va+Vscn)ことで発生することができ、その場合、電圧Vc=−35(V)となる。
【0092】
なお、上述した電圧値や傾斜波形電圧における勾配等の具体的な数値は単なる一例に過ぎず、本発明は、各電圧値や勾配が上述した数値に限定されるものではない。各電圧値や勾配等は、パネルの放電特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等にもとづき最適に設定することが望ましい。
【0093】
次に、3D画像信号がプラズマディスプレイ装置40に入力されたときにパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形を、シャッタ眼鏡50におけるシャッタの開閉動作を交えて説明する。図5は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置40に用いるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形およびシャッタ眼鏡50のシャッタ開閉動作を概略的に示す波形図である。図5には、書込み期間において最初に書込み動作を行う走査電極SC1、書込み期間において最後に書込み動作を行う走査電極SCn、維持電極SU1〜維持電極SUn、およびデータ電極D1〜データ電極Dmのそれぞれに印加する駆動電圧波形を示す。また、図5には、右目用シャッタ52Rおよび左目用シャッタ52Lの開閉動作を示す。
【0094】
3D画像信号は、右目用画像信号と左目用画像信号とをフィールド毎に交互に繰り返す立体視用の画像信号である。そして、プラズマディスプレイ装置40は、3D画像信号が入力されたときには、右目用画像信号を表示する右目用フィールドと、左目用画像信号を表示する左目用フィールドとを交互に繰り返して右目用画像と左目用画像とを交互にパネル10に表示する。例えば、図5に示す2つのフィールドのうち、フィールドF1は右目用フィールドであり、右目用画像信号をパネル10に表示する。フィールドF2は左目用フィールドであり、左目用画像信号をパネル10に表示する。こうして、プラズマディスプレイ装置40は、右目用画像および左目用画像からなる立体視用の3D画像をパネル10に表示する。
【0095】
シャッタ眼鏡50を通してパネル10に表示される3D画像を観賞する使用者には、2フィールドで表示される画像(右目用画像および左目用画像)が1枚の3D画像として認識される。そのため、使用者には、単位時間(例えば、1秒間)にパネル10に表示される3D画像の枚数は、フィールド周波数(映像周波数)の半分の数として観測される。例えば、パネルに表示される3D画像信号のフィールド周波数が50Hzであれば、1秒間にパネル10に表示される右目用画像および左目用画像はそれぞれ25枚ずつとなるため、使用者には、1秒間に25枚の3D画像が観測されることになる。従って、1秒間に50枚の3D画像を表示するためには、フィールド周波数を50Hzの2倍の100Hzに設定しなければならない。
【0096】
このように、3D画像信号のフィールド周波数は、使用者に3D画像の動画像が滑らかに観測されるように通常の2倍(例えば、100Hz)に設定されており、これにより、フィールド周波数が低い画像を表示する際に発生しやすい画像のちらつき(フリッカー)を低減している。そして、使用者は、パネル10に表示される3D画像を、右目用フィールドおよび左目用フィールドに同期して右目用シャッタ52Rおよび左目用シャッタ52Lをそれぞれ独立に開閉するシャッタ眼鏡50を通して観賞する。これにより、使用者は、右目用画像を右目だけで観測し、左目用画像を左目だけで観測することができるので、パネル10に表示される3D画像を立体視することができる。
【0097】
なお、右目用フィールドと左目用フィールドとは、表示する画像信号が異なるだけであり、1つのフィールドを構成するサブフィールドの数、各サブフィールドの輝度重み、サブフィールドの配列等、フィールドの構成は互いに同じである。そこで、以下、「右目用」と「左目用」との区別が必要ない場合には、右目用フィールドおよび左目用フィールドを単にフィールドと略記する。また、右目用画像信号および左目用画像信号を単に画像信号と略記する。また、右目用画像信号および左目用画像信号を単に画像信号と略記する。また、フィールドの構成のことを、サブフィールド構成とも記す。
【0098】
上述したように、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置40は、3D画像信号によってパネル10を駆動する際に、フリッカー(表示画像がちらついて見える現象のこと)を低減するために、フィールド周波数を2D画像信号をパネル10に表示するときの2倍(例えば、100Hz)にしている。そのため、3D画像信号をパネル10に表示する際の1フィールドの期間(例えば、10msec)は2D画像信号をパネル10に表示する際の1フィールドの期間(例えば、20msec)の半分となる。
【0099】
そこで、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置40は、3D画像信号によってパネル10を駆動する際には、2D画像信号によってパネル10を駆動する際よりも1フィールドを構成するサブフィールドの数を少なくする。本実施の形態では、右目用フィールドおよび左目用フィールドをそれぞれ5つのサブフィールド(サブフィールドSF1、サブフィールドSF2、サブフィールドSF3、サブフィールドSF4、サブフィールドSF5)で構成する例を説明する。各サブフィールドは、2D画像信号によってパネル10を駆動するときと同様に、初期化期間、書込み期間、維持期間を有する。そして、サブフィールドSF1の初期化期間では全セル初期化動作を行い、他のサブフィールドの初期化期間では選択初期化動作を行う。
【0100】
また、サブフィールドSF1〜サブフィールドSF5の各サブフィールドはそれぞれ「1」、「69」、「22」、「6」、「2」の輝度重みを有する。このように、本実施の形態では、フィールドの最初に発生するサブフィールドSF1を輝度重みの最も小さい、輝度重み「1」のサブフィールドとし、2番目に発生するサブフィールドSF2をフィールド内で輝度重みの最も大きい、輝度重み「69」のサブフィールドとし、それ以降は輝度重みが順次小さくなるように各サブフィールドに輝度重みを設定する。これは、フィールドの初期に輝度重みが比較的大きいサブフィールドを発生し、次フィールドへの残光の漏れ込みをできるだけ低減して、3D画像信号をパネル10に表示する際のクロストークを抑制するとともに、サブフィールドSF1の維持期間に発生する維持放電によって壁電荷およびプライミング粒子を放電セル内に補充する放電セルの数を増加し、後続のサブフィールドにおける書込み動作の安定化を図るためである。このクロストークとは、右目用画像から左目用画像への発光の漏れ込み、および左目用画像から右目用画像への発光の漏れ込みのことである。
【0101】
なお、蛍光体の残光が減衰する時間を表す時定数は、蛍光体材料により異なるが、本実施の形態において、青蛍光体層35Bの時定数は約0.1msec程度であり、緑蛍光体層35Gおよび赤蛍光体層35Rの時定数は約7msec程度である。なお、この時定数は、放電終了後、放電発生時の発光輝度(ピーク輝度)の10%程度まで残光が減衰するのに要する時間とする。この緑蛍光体層35Gおよび赤蛍光体層35Rの時定数は約7msec程度というのは、残光時定数が大きく、長残光の蛍光体と言える。一方、青蛍光体層35Bの時定数は約0.1msec程度というのは、残光時定数が小さく、短残光の蛍光体と言える。ここで、図5に記す本実施の形態では、フィールドF1における長残光の蛍光体の塗布されたセルが最後に点灯したサブフィールド(例えばサブフィールドSF5)の維持期間の終わりから、フィールドF2における初期化期間の初めまでの期間を、フィールド間の期間として時間Taとして設定する。尚、この最後に点灯するサブフィールドの詳細は後ほど説明する。
【0102】
時間Taでは走査電極SC1〜SCnを0Vに接地し、維持電極SU1〜SUnを電位Ve1に接地する。また、データ電極D1〜Dmを0Vに接地する。この時間TaがフィールドFnとフィールドFn+1の間にある場合、時間TaはフィールドFnの駆動時間によって変化する。発明者は種々の時定数を持つ蛍光体を塗布したディスプレイにて、時間Taを変更して実験を繰り返した結果、最も残光時定数が大きい色の蛍光体の時定数から3msecを減算した時間Taを確保すれば、発明者の主観で、良好な立体視を可能とできた。従って、本実施の形態においては、長残光蛍光体の残光時定数が約7msecであることから、4msecの時間Taを確保する。一方、時間Taが確保できない場合は、フィールド周波数をダウンコンバートし、例えば120Hzのフィールド周波数で時間Taが4msec確保できない場合は、フィールド周波数を100Hzに変換する事で、必ず4msecの時間Taを確保することを特徴としている。また、残光時定数が3msecよりも大きい蛍光体を用いる場合には、本発明を実施することが望ましい。
【0103】
次に、階調を表示する方法について説明する。本実施の形態においては、1フィールドをあらかじめ輝度重みの定められた複数のサブフィールドで構成するとともに、サブフィールドの任意の組合せによる発光パターンの中から複数の発光パターンを選択して実際の画像表示に用いている。この実際の画像表示に用いるサブフィールドの発光パターンを「コーディング」と称する。またコーディングの集合を「コーディングテーブル」と称する。図6と図7に「コーディングテーブル」の一例を示し、階調の表示方法について説明する。
【0104】
図6は第1のコーディングテーブルおよび図7は第2のコーディングテーブルであり、最も左の列に示した数値は表示する階調の値を示し、その右側にはその階調を表示する際に各サブフィールドで放電セルを発光させるか否かを示しており、空欄は非発光、「1」は発光を示している。例えば、第1のコーディングテーブルを用いて階調「3」を表示するためには、サブフィールドSF1およびサブフィールドSF5で放電セルを発光させることを示し、第1のコーディングテーブル及び第2のコーディングテーブルで階調「93」を表示するためには、サブフィールドSF1、サブフィールドSF2、およびサブフィールドSF3で放電セルを発光させることを示している。
【0105】
第1のコーディングテーブルは8通りの階調を表示できるコーディングテーブルであり、階調「1」以上を表示する放電セルでは必ずサブフィールドSF1で発光させるという規則をもったコーディングテーブルである。あるいは同じことであるが、サブフィールドSF1で発光させなかった放電セルではサブフィールドSF2以降でも発光させないという規則をもったコーディングテーブルである。第2のコーディングテーブルは5通りの階調を表示できるコーディングテーブルであり、第1のコーディングテーブル同様に、階調「1」以上を表示する放電セルでは必ずサブフィールドSF1で発光させるという規則をもったコーディングテーブルである。また、第2のコーディングテーブルでは、サブフィールドSF5は全ての階調において点灯しないことを特徴としている。以下、コーディングテーブルを単に「テーブル」と略記し、第1のコーディングテーブルを単に「第1テーブル」と略記し、第2のコーディングテーブルを単に「第2テーブル」と略記する。
【0106】
「第1テーブル」及び「第2テーブル」の違いは、第2のテーブルでは、階調「3」及び階調「101」のような、サブフィールドSF5が点灯する階調を使用しないことである。「第1テーブル」及び「第2テーブル」ともに、テーブルにて記していない階調を表示する場合には、前後の階調を用いてディザや誤差拡散によって表現する。「第2テーブル」では「第1テーブル」よりも発光させる階調パターンが少ない為、このディザや誤差拡散に依存するところが大きく、全体的にノイズ感の増えた表示となる一方、フィールドの後半に位置するサブフィールドSFを点灯させないため、3D表示においては、残光クロストークを軽減することが可能となる。ここで、本実施の形態では、長残光蛍光体を塗布した表示画素がそのフィールドの最後に点灯したサブフィールドから、時間Taを必ず一定期間の間継続させることを特徴とするが、短残光蛍光体を塗布した表示画素が「第1テーブル」に従って階調を表示し、駆動波形上、仮に5SF構成であったとしても、長残光蛍光体を塗布した表示画素が全て、「第2テーブル」に従って階調を表示する場合には、サブフィールドSF4の維持期間の終わりから、次のフィールドのサブフィールドSF1の初期化期間までの時間を4msec確保することを特徴とする。また、短残光蛍光体を塗布した表示画素が「第1テーブル」に従って階調を表示し、長残光蛍光体を塗布した表示画素も「第1テーブル」に従って階調を表示した場合には、サブフィールドSF5の維持期間の終わりから、次のフィールドのサブフィールドSF1の初期化期間までの時間を4msec確保することを特徴とする。これにより、残光クロストークを軽減し、良質な3D立体視が可能となる。
【0107】
本実施の形態は、1フィールドを構成するサブフィールドの数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではない。なお、各サブフィールドにおいて各電極に印加する駆動電圧波形は、維持期間に発生する維持パルス数が異なる以外は2D画像信号をパネル10に表示するときと同様であるので、説明を省略する。
【0108】
シャッタ眼鏡50の右目用シャッタ52Rおよび左目用シャッタ52Lは、タイミング信号出力部46から出力されシャッタ眼鏡50で受信されるシャッタ開閉用タイミング信号(右目シャッタ開閉用タイミング信号および左目シャッタ開閉用タイミング信号)のオン・オフにもとづき、シャッタの開閉動作が制御される。そして、制御信号発生回路45は、プラズマディスプレイ装置40の駆動回路が3D駆動を行っているときは、右目用フィールドがパネル10に表示されている期間は、右目用シャッタ52Rが開くとともに左目用シャッタ52Lが閉じるようにシャッタ開閉用タイミング信号を発生し、左目用フィールドがパネル10に表示されている期間は、左目用シャッタ52Lが開くとともに右目用シャッタ52Rが閉じるようにシャッタ開閉用タイミング信号を発生する。
【0109】
図8は、本発明の実施の形態1における映像周波数変換回路49の回路ブロックを概略的に示す図である。映像周波数変換回路49は、記憶装置61、記憶装置62、ベクトル検出部63、周波数変換部66を有する。
【0110】
記憶装置61は、例えば、読み出し・書込みを任意に行うことができる一般に用いられている半導体記憶装置(DRAM等)で構成され、映像周波数変換回路49に入力される画像信号を時間的に遅延して出力する。この遅延は、3D画像信号のフィールド周波数を変更するときの、後段の回路ブロックにおける時間調整のために行われる。
【0111】
記憶装置62は、例えば、読み出し・書込みを任意に行うことができる一般に用いられている半導体記憶装置(DRAM等)で構成され、映像周波数変換回路49に入力される画像信号を時間的に遅延して出力する。この遅延時間は、記憶装置61における遅延時間に2フィールド期間の時間を加えた時間に等しい。従って、記憶装置62は、記憶装置61から出力される画像信号に対して2フィールドだけ時間的に遅れた画像信号を出力する。これにより、記憶装置61が右目用フィールドの画像信号を出力するときは、記憶装置62はその右目用フィールドの直前の右目用フィールドの画像信号を出力し、記憶装置61が左目用フィールドの画像信号を出力するときは、記憶装置62はその左目用フィールドの直前の左目用フィールドの画像信号を出力する。
【0112】
ベクトル検出部63は、記憶装置61から出力される画像信号と、記憶装置62から出力される画像信号とを用い、動画像領域のベクトル検出を行う。このベクトル検出は、例えば、画像信号処理方法の一つとして一般に知られているパターンマッチングにより行う。すなわち、記憶装置61から出力される画像信号と、記憶装置62から出力される画像信号とを互いに比較することで、時間的に連続する2枚の画像を互いに比較し、動画像領域を検出するとともに、どの動画像領域がどの方向にどれだけ移動するのかを検出する。なお、この時間的に連続する2枚の画像とは、時間的に連続する2枚の右目用画像のことであり、時間的に連続する2枚の左目用画像のことであって、時間的に連続する2つのフィールドのことではない。
【0113】
周波数変換部66は、制御信号発生回路45から送られてくる垂直同期信号、および入力画像信号が2D画像信号か3D画像信号かを判別した結果を表す信号(以下、「2D/3D判別結果」と記す)にもとづき、3D画像信号のフィールド周波数を変更する。フィールド周波数の変更は、ベクトル検出部63における検出結果と、記憶装置61から出力される画像信号と、記憶装置62から出力される画像信号とを用い、時間的に連続する2枚の画像から補間画像を作成することで行う。補間画像とは、時間的に連続する2枚の画像の間に位置する画像のことであり、単位時間(例えば、1秒間)の画像の数を変更するときに発生する画像のことである。
【0114】
具体的には、周波数変換部66は制御信号発生回路45から送られてくる垂直同期信号にもとづきフィールド周波数を判別するとともに、2D/3D判別結果にもとづき画像信号が2D画像信号か3D画像信号かを判別する。そして、画像信号が所定の閾値の100Hzより高い120Hzの3D画像信号であるときには、画像信号のフィールド周波数を所定の閾値以下の周波数、本実施の形態では、100Hzに変更し、周波数変換部66はフィールド周波数を120Hzから100Hzに変更した3D画像信号を発生し、垂直同期信号の周波数も120Hzから100Hzに変更する。ただし、周波数変換部66は、画像信号が2D画像信号であるとき、および100Hz以下の3D画像信号のフィールド周波数のときには、フィールド周波数の変更を行わない。
【0115】
次に、周波数変換部66において、フィールド周波数が120Hzの3D画像信号を100Hzに変更するときの一例を図面を用いて説明する。図9は、本発明の実施の形態1における周波数変換部66においてフィールド周波数が120Hzの3D画像信号をフィールド周波数が100Hzの3D画像信号に変更するときの例を概略的に示す図である。
【0116】
フィールド周波数が120Hzの3D画像信号をフィールド周波数100Hzに変更するときには、12枚の画像(12フィールド)を、10枚の画像(10フィールド)に変換する。従って、図9には、フィールドF1−1からフィールドF1−12までの12枚の画像をフィールドF1’−1からフィールドF1’−10までの10枚の画像に変換する例を示す。すなわち、図9に示す例では、6枚の3D画像を5枚の3D画像に変換する。
【0117】
なお、図9に示すフィールドF1−1は右目用画像A−1(以下、「右A−1」と記す)であり、フィールドF1−2は左目用画像A−1(以下、「左A−1」と記す)であり、フィールドF1−3は右目用画像B−1(以下、「右B−1」と記す)であり、フィールドF1−4は左目用画像B−1(以下、「左B−1」と記す)であり、フィールドF1−5は右目用画像C−1(以下、「右C−1」と記す)であり、フィールドF1−6は左目用画像C−1(以下、「左C−1」と記す)であり、フィールドF1−7は右目用画像D−1(以下、「右D−1」と記す)であり、フィールドF1−8は左目用画像D−1(以下、「左D−1」と記す)であり、フィールドF1−9は右目用画像E−1(以下、「右E−1」と記す)であり、フィールドF1−10は左目用画像E−1(以下、「左E−1」と記す)であり、フィールドF1−11は右目用画像F−1(以下、「右F−1」と記す)であり、フィールドF1−12は左目用画像F−1(以下、「左F−1」と記す)である。
【0118】
そして、本実施の形態における周波数変換部66は、周波数変換後の右目用画像A’−1(右A’−1)から右目用画像E’−1(右E’−1)までの5枚の右目用画像および周波数変換後の左目用画像A’−1(左A’−1)から左目用画像E’−1(左E’−1)までの5枚の左目用画像を、下記の式にもとづき作成する。なお、以下のk11からk18までの各係数は、補間画像を作成する際の重み付け係数である。
【0119】
変換式
右A’−1=右A−1
右B’−1=k11×右B−1+k12×右C−1
右C’−1=k13×右C−1+k14×右D−1
右D’−1=k15×右D−1+k16×右E−1
右E’−1=k17×右E−1+k18×右F−1
左A’−1=左A−1
左B’−1=k11×左B−1+k12×左C−1
左C’−1=k13×左C−1+k14×左D−1
左D’−1=k15×左D−1+k16×左E−1
左E’−1=k17×左E−1+k18×左F−1
次に、k11からk18までの各重み付け係数について図面を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態における周波数変換部66においてフィールド周波数120Hzの3D画像信号をフィールド周波数100Hzの3D画像信号に変更するときの重み付け計数の一設定例を概略的に示す図である。本実施の形態においては、重み付け計数k11からk18までの各係数は、2枚の連続する画像とそれらの画像から作成する補間画像との時間的な距離にもとづき設定する。例えば、図10に示すように、フィールドF1−1の開始時間を時間0.00tとし、フィールドF1−1から12フィールド後のフィールドF2−1の開始時間を時間1.00tとすると、各右目用画像の開始時間は、以下のようになる。
【0120】
右A−1=0.00t
右B−1=0.167t
右C−1=0.33t
右D−1=0.54t
右E−1=0.67t
右F−1=0.835t
次に、周波数変換後のフィールドF1’−1の開始時間を時間0.00tとし、フィールドF1’−1から10フィールド後のフィールドF2’−1の開始時間を時間1.00tとする。そうすると、周波数変換後の各右目用画像の開始時間は、以下のようになる。
【0121】
右A’−1=0.00t
右B’−1=0.2t
右C’−1=0.4t
右D’−1=0.6t
右E’−1=0.8t
以下、右B’−1を作成する際に用いる重み付け計数k11およびk12を例に挙げて、重み付け計数の算出方法を説明する。
【0122】
周波数変換後の右目用画像である右B’−1は、周波数変換前の右目用画像である右B−1および右C−1から作成する。そして、図10に示すように、右B’−1の開始時間は0.2tであり、右B−1の開始時間は0.167tであり、右C−1の開始時間は0.33tである。従って、右C−1の開始時間と右B’−1の開始時間との差は(0.33t−0.2t)であり、右B’−1の開始時間と右B−1の開始時間との差は(0.2t−0.167t)である。従って、右B’−1を作成する際に用いる重み付け計数k11とk12は以下の式のように設定する。
【0123】
k11:k12=(0.33t−0.2t):(0.2t−0.167t)=0.13 t:0.033t=3.94:1
これと同様にして他の重み付け計数を設定すると、以下の様になる。
【0124】
k13:k14=2:1
k15:k16=1.17:1
k17:k18=1:3.7
左目用の補間画像を作成する際の各重み付け計数も、これと同様にして設定する。本実施の形態では、このようにして、各重み付け計数を設定する。
【0125】
次に、フィールドF1−3(右B−1)とフィールドF1−5(右C−1)とから補間画像であるフィールドF1’−3(右B’−1)を作成するときの例を挙げて、重み付け計数にもとづき補間画像を作成する方法を説明する。図11は、本発明の実施の形態における周波数変換部66において2枚の連続する右目用画像から1枚の右目用補間画像を作成するときの動作の一例を概略的に示す図である。
【0126】
図11において、図面90はフィールドF1−3(右B−1)の一例を概略的に示した図面であり、図面91はフィールドF1−5(右C−1)の一例を概略的に示した図面である。図11には、右B−1で画面の左上に表示されたボールが、右C−1では画面の右下に移動する例を示す。また、図面92は、フィールドF1−3とフィールドF1−5とから補間画像を作成する際の演算の一例を概略的に示した図面であり、図面93はフィールドF1−3とフィールドF1−5とから作成された補間画像フィールドF1’−3(右B’−1)の一例を概略的に示した図面である。上述したように、本実施の形態において、補間画像である右B’−1は以下の式で表される。
【0127】
右B’−1=k11×右B−1+k12×右C−1
例えば、重み付け計数k11とk12とが、上述したようにk11:k12=3.94:1であれば、補間画像を作成する際の右B−1の重み付けは3.94であり、右C−1の重み付けは1である。従って、図面90および図面91に示すように、2枚の連続する画像でボールの移動が生じる場合、そのボールの移動を示すベクトルを1:3.94に分け、右B−1のボールの位置から1、右C−1のボールの位置から3.94になる場所にボールが位置する画像を作成する。このようにして、図面93に示す補間画像右B’−1を作成する。
【0128】
他の補間画像も、上述した式および重み付け計数にもとづき、これと同様にして作成する。
【0129】
こうして、本発明によると、特に視認度の高い緑色及び赤色の蛍光体の残光が減衰する時間を表す時定数が7msec程度の長時定数蛍光体を用い、3D画像信号のフィールド周波数が120Hzであるときに、100Hzに変換し、3D画像を鑑賞する使用者に、残光クロストーク及びフリッカーを抑えた良質な立体視を提供する。そして、本実施の形態では、周波数変換部66において、画像信号が2D画像信号であるとき、3D画像信号のフィールド周波数が100Hz以下の場合にはフィールド周波数の変更を行わない。これにより、残光クロストークが元々軽微である場合においては、入力画像信号にもとづく画像をパネル10に表示し、フィールド周波数の変換にかかる消費電力を低減することができる。
【0130】
なお、本実施の形態では、時間的に連続する2枚の画像を比較して動画領域のベクトルを検出し、検出したベクトルおよび2枚の画像と補間画像との時間的な距離に応じて補間画像を作成する構成を説明したが、例えば、2枚の画像と補間画像との時間的な距離に応じた比率で2枚の画像を加算して補間画像を作成し周波数変換する構成、あるいは間引きしてフィールドの数を減らすことで周波数変換する構成であってもよい。
【0131】
なお、図4、図5に示した駆動電圧波形は本発明の実施の形態における一例を示したものに過ぎず、本発明は何らこれらの駆動電圧波形に限定されるものではない。また、図3、図8に示した回路構成も本発明の実施の形態における一例を示したものに過ぎず、本発明は何らこの回路構成に限定されるものではない。
【0132】
なお、図5には、フィールドF1のサブフィールドSF5の最後から続くフィールド2のサブフィールドSF1の開始前までの間に、下り傾斜波形電圧を発生して走査電極SC1〜走査電極SCnに印加する例を示したが、これらの電圧は発生せずともよい。例えば、サブフィールドSF5の終了後からサブフィールドSF1の開始前までの間は、走査電極SC1〜走査電極SCn、維持電極SU1〜維持電極SUn、データ電極D1〜データ電極Dmをともに0(V)に保持する構成であってもよい。
【0133】
なお、本発明の実施の形態においては、2D駆動時においては1つのフィールドを8つのサブフィールドで構成し、3D駆動時においては1つのフィールドを5つのサブフィールドで構成する例を説明した。しかし、本発明は1フィールドを構成するサブフィールドの数が何ら上記の数に限定されるものではない。例えば、サブフィールドの数をより多くすることで、パネル10に表示できる階調の数をさらに増加することができる。
【0134】
また、本発明の実施の形態においては、2D駆動時においてはサブフィールドSF1〜サブフィールドSF8の各サブフィールドの輝度重みを「1」、「2」、「4」、「8」、「16」、「32」、「64」、「128」に設定し、3D駆動時においてはサブフィールドSF1〜サブフィールドSF5の各サブフィールドの輝度重みを「1」、「69」、「22」、「6」、「2」に設定する例を説明した。しかし、各サブフィールドに設定する輝度重みは、何ら上記の数値に限定されるものではなく、階調を決めるサブフィールドの組合わせに冗長性を持たせるものであってもよく、これにより、動画擬似輪郭の発生を抑制したコーディングが可能となる。1フィールドを構成するサブフィールドの数や、各サブフィールドの輝度重み等は、パネル10の特性やプラズマディスプレイ装置40の仕様等に応じて適宜設定すればよい。
【0135】
本発明における実施の形態に示した各回路ブロックは、実施の形態に示した各動作を行う電気回路として構成されてもよく、あるいは、同様の動作をするようにプログラミングされたマイクロコンピュータ等を用いて構成されてもよい。
【0136】
本実施の形態では、1画素をR、G、Bの3色の放電セルで構成する例を説明したが、1画素を4色あるいはそれ以上の色の放電セルで構成するパネルにおいても、本実施の形態に示した構成を適用することは可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0137】
本発明の実施の形態において示した具体的な数値は、画面サイズが50インチ、表示電極対24の数が1024のパネル10の特性にもとづき設定したものであって、単に実施の形態における一例を示したものに過ぎない。本発明はこれらの数値に何ら限定されるものではなく、各数値はパネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等にあわせて最適に設定することが望ましい。また、これらの各数値は、上述した効果を得られる範囲でのばらつきを許容するものとする。また、1フィールドを構成するサブフィールドの数や各サブフィールドの輝度重み等も本発明における実施の形態に示した値に限定されるものではなく、また、画像信号等にもとづいてサブフィールド構成を切り換える構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、3D画像表示装置として使用可能な画像表示装置において、シャッタ眼鏡を通して表示画像を観賞する使用者に対して残光クロストーク及びフリッカーを抑えた、品質の高い3D画像を実現することができるので、画像表示装置や画像表示システム、加えて画像表示装置の駆動方法として有用である。
【符号の説明】
【0139】
10 パネル
21 前面基板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
25,33 誘電体層
26 保護層
31 背面基板
32 データ電極
34 隔壁
35,35R,35G,35B 蛍光体層
40 プラズマディスプレイ装置
41 画像信号処理回路
42 データ電極駆動回路
43 走査電極駆動回路
44 維持電極駆動回路
45 制御信号発生回路
46 タイミング信号出力部
49 映像周波数変換回路
50 シャッタ眼鏡
52R 右目用シャッタ
52L 左目用シャッタ
61,62 記憶装置
63 ベクトル検出部
66 周波数変換部
L1,L2,L4 ランプ電圧
L3 消去ランプ電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像信号にもとづいて3D画像または2D画像を表示する画像表示部と、
右目用画像信号および左目用画像信号を有する3D画像信号にもとづき、前記右目用画像信号を表示する右目用フィールドと前記左目用画像信号を表示する左目用フィールドとを交互に繰り返して画像表示部に3D画像を表示する駆動回路を備え、
前記駆動回路は、
前記画像表示部に前記右目用フィールドを表示するときにオンとなり前記左目用フィールドを表示するときにオフとなる右目用タイミング信号と、前記左目用フィールドを表示するときにオンとなり前記右目用フィールドを表示するときにオフとなる左目用タイミング信号とを有するシャッタ開閉用タイミング信号と前記画像表示部に3D画像を表示するための制御信号とを出力する制御信号発生回路と、前記3D画像信号のフィールド周波数を変更する映像周波数変換回路とを有し、
前記映像周波数変換回路は、入力された映像信号の前記フィールド周波数が所定閾値よりも大きい場合は、前記3D画像信号のフィールド周波数を前記所定閾値以下の周波数に変更して出力し、前記制御信号発生回路は前記シャッタ開閉用タイミング信号の周波数を変更して出力することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記画像表示装置に加え、前記映像周波数変換回路が出力するシャッタ開閉用タイミング信号を受信して右目用シャッタと左目用シャッタの動作を制御するシャッタ眼鏡をさらに備える画像表示システム。
【請求項3】
入力された映像信号にもとづいて3D画像または2D画像を表示する画像表示部と、
右目用画像信号および左目用画像信号を有する3D画像信号にもとづき、前記右目用画像信号を表示する右目用フィールドと前記左目用画像信号を表示する左目用フィールドとを交互に繰り返して画像表示部に3D画像を表示する駆動回路を備え、
前記駆動回路は、
前記画像表示部に前記右目用フィールドを表示するときにオンとなり前記左目用フィールドを表示するときにオフとなる右目用タイミング信号と、前記左目用フィールドを表示するときにオンとなり前記右目用フィールドを表示するときにオフとなる左目用タイミング信号とを有するシャッタ開閉用タイミング信号と前記画像表示部に3D画像を表示するための制御信号とを出力する制御信号発生回路と、前記3D画像信号のフィールド周波数を変更する映像周波数変換回路とを有し、
前記映像周波数変換回路は、入力された映像信号の前記右目用フィールドと前記左目用フィールドの時間間隔が所定閾値よりも小さい場合は、前記3D画像信号のフィールド周波数を前記所定閾値以下に変更して出力し、前記制御信号発生回路は前記シャッタ開閉用タイミング信号の周波数を変更して出力することを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
入力された右目用画像信号および左目用画像信号を有する3D画像信号にもとづき、前記右目用画像信号を表示する右目用フィールドと前記左目用画像信号を表示する左目用フィールドとを交互に繰り返して画像表示部に3D画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、
前記右目用フィールドを表示するときにオンとなり前記左目用フィールドを表示するときにオフとなる右目用タイミング信号と、前記左目用フィールドを表示するときにオンとなり前記右目用フィールドを表示するときにオフとなる左目用タイミング信号とを有するシャッタ開閉用タイミング信号を出力するステップと、
前記画像表示部に3D画像を表示するための制御信号を出力するステップと、
前記3D画像信号のフィールド周波数を変更するステップと、
前記入力された3D画像信号のフィールド周波数を検出するステップとを有し、
前記入力された3D画像信号のフィールド周波数が所定閾値よりも大きい場合は、前記3D画像信号のフィールド周波数を前記所定閾値以下に変更して出力するとともに前記シャッタ開閉用タイミング信号の周波数を変更して出力することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−88741(P2013−88741A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231395(P2011−231395)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】