画像表示装置
【課題】複数のレーザ光によって画面内の異なる領域を同時に走査しても、表示画像の品位を良好に維持することができる画像表示装置を提供する。
【解決手段】同色の複数のレーザ光を出力する複数の発光素子を持つ光源部と、この光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光を主走査及び副走査する光走査部と、この光走査部によって主走査及び副走査されるレーザ光を受けて画像を表示するスクリーン6と、光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光の強度を、入力される画像データに応じて個々に変調すると共に、光走査部による主走査及び副走査を制御する表示制御部とを有する画像表示装置であって、表示制御部は、1フレームの期間内において、スクリーン6に表示される各画素が、光源部の複数の発光素子の中の複数の発光素子から出力された同色の複数のレーザ光102により重ねて描画されるように制御する。
【解決手段】同色の複数のレーザ光を出力する複数の発光素子を持つ光源部と、この光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光を主走査及び副走査する光走査部と、この光走査部によって主走査及び副走査されるレーザ光を受けて画像を表示するスクリーン6と、光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光の強度を、入力される画像データに応じて個々に変調すると共に、光走査部による主走査及び副走査を制御する表示制御部とを有する画像表示装置であって、表示制御部は、1フレームの期間内において、スクリーン6に表示される各画素が、光源部の複数の発光素子の中の複数の発光素子から出力された同色の複数のレーザ光102により重ねて描画されるように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力画像データに応じて強度変調されるレーザ光をスクリーン上に走査して画像を表示する光走査型の画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクション型の画像表示装置の一つとして、入力画像データに応じて強度変調されたレーザ光をスクリーン上に走査して画像を表示する光走査型の画像表示装置がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、複数本のレーザ光を独立に変調することで、複数の画素を同時に表示する画像表示装置が開示されている。この画像表示装置は、指向性の強いレーザ光を用いてスクリーン上に直接描画するので、鮮明な画像を表示できる。また、レーザ光は理想的な単一波長スペクトル分布を持つため、光走査型の画像表示装置は、色再現性に優れる。さらに、複数のレーザ光によって、画面内の異なる領域を同時に並行して描画することにより、レーザ光の走査速度や変調速度を低減することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平9−134135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のレーザ光によって画面内の異なる領域を同時に並行して描画する画像表示装置では、複数のレーザ光の干渉により、スペックルノイズと呼ばれる画面のムラやギラツキが発生することがあり、この現象が表示画像の品位を低下させるおそれがあるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のレーザ光によって画面内の異なる領域を同時に走査しても、表示画像の品位を良好に維持することができる画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像表示装置は、同色の複数のレーザ光を出力する複数の発光素子を持つ光源部と、前記光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光の照射位置を主走査方向に移動させる主走査及び前記主走査による照射位置を副走査方向に移動させる副走査を行う光走査部と、前記光走査部によって主走査及び副走査されるレーザ光を受けて画像を表示するスクリーンと、前記光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光の強度を、入力される画像データに応じて個々に変調すると共に、前記光走査部による主走査及び副走査を制御する表示制御部とを有し、前記表示制御部は、1フレームの期間内において、前記スクリーンに表示される各画素が、前記光源部の複数の発光素子の中の複数の発光素子から出力された同色の複数のレーザ光により重ねて描画されるように制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レーザ光の干渉によって発生する、スペックルノイズと呼ばれる画面のムラやギラツキを低減し、安定して高品位な画像表示を実現できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の光走査型の画像表示装置の全体の構成を概略的に示す図である。本発明の光走査型の画像表示装置は、例えば、レーザ光を用いた家庭又は業務用の大画面のプロジェクション型画像表示装置である。
【0009】
図1に示される画像表示装置は、同色の複数のレーザ光を出力するように製造された複数の発光素子(すなわち、発光部)を持つ光源部1を有している。図1に示されるように、光源部1は、赤色(R)の複数のレーザ光Lrを出力するアレイ状に配列された複数の発光素子を備えた赤色用のレーザ光源1rと、緑色(G)の複数のレーザ光Lgを出力するアレイ状に配列された複数の発光素子を備えた緑色用のレーザ光源1gと、青色(B)の複数のレーザ光Lbを出力するアレイ状に配列された複数の発光素子を備えた青色用のレーザ光源1bとを含む。また、図1においては、各色のレーザ光源1r,1g,1bの複数の発光素子が、図1が描かれている紙面に平行に並んでいる場合を示しているが、複数の発光素子の配列方向は、図1が描かれている紙面に垂直な方向、又は、斜め方向の場合もある。さらに、図1においては、光源部1がRGB3色のレーザ光源1r,1g,1bからなる場合を示しているが、レーザ光源の数は2以下又は4以上であってもよい。
【0010】
また、図1に示される画像表示装置は、レーザ光源1rからの赤色のレーザ光Lr、レーザ光源1gからの緑色のレーザ光Lg、及びレーザ光源1bからの青色のレーザ光Lbを合成する光合成部2を有している。光合成部2は、レーザ光源1rの発光色に対応した一部の波長でのみに対して高い反射率が得られるよう構成された赤色用ダイクロイックミラー2rと、レーザ光源1gの発光色に対応した一部の波長でのみに対して高い反射率が得られるよう構成された緑色用ダイクロイックミラー2gと、レーザ光源1bの発光色に対応した一部の波長でのみに対して高い反射率が得られるよう構成された青色用ダイクロイックミラー2bとを有し、各色のレーザ光源1r,1g,1bの各発光素子からの3色のレーザ光Lr,Lg,Lbを重ね合わせる。なお、光合成部2の構成は、図1に示されたものに限定されない。また、光合成部2を備えずに、各色のレーザ光源1r,1g,1bからのレーザ光を光走査部4に入射させることも可能である。
【0011】
さらに、図1に示される画像表示装置は、レーザ光を集光させる照射レンズ3と、複数のレーザ光の照射位置を主走査方向Dmに移動させる主走査及び主走査による照射位置を副走査方向Dsに移動させる副走査を行う光走査部4と、投影レンズ5と、光走査部4によって主走査及び副走査されるレーザ光を受けて画像を表示するスクリーン6と、複数のレーザ光の強度を入力される画像データに応じて個々に変調すると共に、光走査部による主走査及び副走査を制御する画像表示コントローラ(表示制御部)7とを有している。
【0012】
図2は、図1に示される画像表示装置における複数のレーザ光の配列(各色のレーザ光を合成した場合)を示す図である。図2において、符号Lr,Lg,Lbが付された丸の列は、副走査方向Dsに並ぶ複数のレーザ光を示している。なお、複数のレーザ光の配列方向は、副走査方向Ds(後述する実施の形態1の場合)に限らず、副走査方向Ds又は主走査方向Dmに対して斜め方向(後述する実施の形態2の場合)、又は、主走査方向Dm(後述する実施の形態3の場合)とすることもできる。
【0013】
図3は、図1に示される画像表示装置における複数のレーザ光の配列(各色のレーザ光を合成しない場合)を示す図である。図3において、符号Lrが付された丸の列は、副走査方向Dsに並ぶ複数の赤色のレーザ光を示し、符号Lgが付された丸の列は、副走査方向Dsに並ぶ複数の緑色のレーザ光を示し、符号Lbが付された丸の列は、副走査方向Dsに並ぶ複数の青色のレーザ光を示している。なお、複数のレーザ光の配列方向は、副走査方向Ds(後述する実施の形態1の場合)に限らず、副走査方向Ds又は主走査方向Dmに対して斜め方向(後述する実施の形態2の場合)、又は、主走査方向Dm(後述する実施の形態3の場合)とすることもできる。
【0014】
実施の形態1.
図4は、本発明の実施の形態1に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。また、図5は、実施の形態1に係る画像表示装置のレーザ光源1rの構成を概略的に示す斜視図である。
【0015】
実施の形態1に係る画像表示装置においては、レーザ光源1rの複数の発光素子101は、スクリーン6上において副走査方向Dsに並ぶ複数の画素を同時に描画するように配列されている。なお、図4には、レーザ光源1rを示しているが、レーザ光源1rと平行に、レーザ光源1g及びレーザ光源1bを配置してもよい。また、光合成部(図1の符号2に相当する構成)を備えることによって、RGB3原色のレーザ光を重ねて照射してもよい。レーザ光源1rとしては、同一基板上に、例えば、80個の発光素子101がアレイ状に等ピッチで配置されたものを用いることができる。ただし、発光素子101の数は、80個に限定されず、80個以外の複数個であってもよい。なお、RGB3色のレーザ光源1r,1g,1b(図4には1rのみを示す)は、同一の発光素子の配列構造を持つ。
【0016】
光走査部4は、微小な回転ミラーを有する。図4において、ROTは、主走査時の光走査部4の回転ミラーの回転方向を示し、AXROTは、主走査時の光走査部4の回転ミラーの回転軸を示し、TILTは、副走査時の光走査部4の回転ミラーの傾斜方向を示し、AXTILTは、副走査時の光走査部4の回転ミラーの傾斜軸(回転軸)を示す。図4に示されるように、光走査部4の微小な回転ミラーは、2軸AXROT及びAXTILTに独立に回転する。微小な回転ミラーのサイズを小さくするために、回転ミラーの反射面が照射レンズ3によるレーザ光の集光点近傍に位置するように、構成されている。光走査部4で走査されたレーザ光は、投影レンズ5を通してスクリーン6上に投影される。画像表示コントローラ7(図1)は、入力画像データ(図示せず)に応じて、レーザ光源1r,1g,1bの発光素子ごとの発光強度を変調すると共に、画像の水平及び垂直同期信号に同期して、レーザ光を主走査方向Dm及び副走査方向Dsに走査させるように光走査部4を制御する。レーザ光源1r,1g,1bから出力されるレーザ光を強度変調しつつ、光走査部4によって主走査方向Dm及び副走査方向Dsに走査することにより、スクリーン6上に画像を直接描画する。
【0017】
図6は、実施の形態1に係る画像表示装置のレーザ光の走査方法を示す説明図である。
【0018】
レーザ光源1r,1g,1bのそれぞれに備えられた複数の発光素子101は、幾何学的に副走査方向Dsに等ピッチで並ぶよう配置されている。このため、主走査時には、複数の発光素子101からの描画スポット102が、副走査方向Dsに並ぶ隣り合った発光素子数と同じライン数の画素列(図6において、水平方向に伸びる実線の矢印)を、同時に描画するように構成されている。すなわち、80個の発光素子を持つレーザ光源を用いた場合には、1度の主走査で、80ラインの画素列(走査線)を同時に描画する。
【0019】
副走査においては、主走査ごとに、前回の主走査に対し副走査方向Dsの画素列で、例えば、2ライン分の移動を行うように調整されている。1回の主走査で80ラインの画素列を描画するのに対して、副走査による移動量は、主走査ごとに2ライン分であるため、78ラインが重複して描画されることになる。このような走査方法で全画面を順次描画すると、各画素列はそれぞれ合計40回、異なる発光素子101から発せられたレーザ光で描画される。ただし、1回の副走査によって移動する距離は、発光素子の数より少ないライン数であれば、2ライン分以外のライン数であってもよい。
【0020】
実施の形態1の走査方式を用いる場合、有効画面内の各主走査方向画素列が、すべて同じ描画回数となるよう、画面外に冗長な主走査線(表示画面として用いられない余分な主走査線)を準備しておく必要がある。
【0021】
また、実施の形態1の走査方法を用いる場合、1度の主走査で複数の画素列を一度に描画し、副走査では主走査ごとに画素列2ライン分ずつ移動するので、主走査回数は、描画画像の全画素列数の概ね半分の回数でよい。それに伴い、光走査部4の可動速度や、各発光素子101の発光強度変調速度が、単一発光素子の光源による走査の場合に比べ低速となり、画像表示装置を容易且つ低コストで製造することが可能になる。
【0022】
さらに、同一画像を異なる発光素子101からの光で複数回重複して描画するので、個々の発光素子101の発光強度を、単一発光素子の光源を用いた場合に比べて、低強度にすることができ、光源の信頼性も向上する。
【0023】
ところで、レーザ光源を用いた画像表示装置では、干渉性の高いレーザ光の干渉によって、スクリーン上で、複雑な明るさ分布や散乱強度の角度分布が生じるため、画面にムラやギラツキが発生して、表示品位を低下させることがある。しかし、レーザ光が高い干渉性を示すのは、単一の発光素子から発せられたレーザ光による干渉の場合である。スペックルと呼ばれる複雑な干渉パターンは、同じ発光素子から発せられた光が、伝播経路に配置された光学素子による屈折のような種々の要因により、光波の波面に乱れが生じ、重なり合う光の位相が揃う特定の向きや位置において、強め合ったり、打ち消し合ったりすることによって生じる。同じ構成に製造された発光素子であっても、異なる発光素子から発せられたレーザ光では、途中の伝播経路が異なるため、光波の波面やその揺らぎも異ったものとなり、干渉によってスクリーン6上に生じる明るさ分布や散乱強度の角度分布は、それぞれ発光素子ごとに異なったパターンになる。
【0024】
異なる発光素子からのレーザ光で、同じ画素を重複して描画した場合、各々の描画ごとにレーザ発光素子が異なるので、描画画素上に発生するムラやギラツキは、描画ごとにパターンの異なるものとなる。また、描画ごとのムラやギラツキパターンは、発光素子が異なるばかりでなく、時間的にも異なるタイミングで発せられた光になっているので、相互に干渉し合うことはない。
【0025】
実施の形態1による光走査方法では、40回にわたって異なる発光素子101から発せられたレーザ光により、同一の画素が描画される。その際、レーザ光の干渉によるムラやギラツキは、異なる発光素子101からの光で繰り返される各描画のたびに、異なったパターンで発生する。視認される画像は、描画ごとに異なるパターンのムラやギラツキが、平均化されたものとなる。すなわち、実施の形態1の光走査方法では、異なるパターンのムラやギラツキが40回重ね合わされることによって平均化され、全体として干渉による画面のムラやギラツキを解消し、滑らかで表示品位の高い描画画像を表示できる。
【0026】
また、レーザ光源の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光は、複数の発光素子の特性バラツキに起因する波長の違いを有する。また、レーザ光源の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光は、複数の発光素子の特性バラツキに起因する偏光状態の違いを有する。このような波長及び変更状態の違いによって、干渉パターンは生じ難い。また、発光素子101ごとに異なる波長や偏光状態を得るために、それぞれの発光素子ごとに僅かに反射特性の異なる共振器ミラーを備える構成、及び/又は偏光状態を変える位相差板を備える構成を採用してもよい。
【0027】
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。また、図8は、実施の形態2に係る画像表示装置のレーザ光源の構成を概略的に示す図である。
【0028】
副走査方向Dsに並ぶ複数の発光素子101のそれぞれは、レーザ光のビーム径と、発光素子101の副走査方向の配列ピッチが、一致していることが望ましい。しかし、上記実施の形態1においては、半導体レーザを同一基板上に複数個集積して製作し、複数の発光素子101を持つ光源とする場合、発光素子間隔は広い方が、発熱密度が低下し光源の冷却が容易になるという理由により、発光素子101間のピッチはレーザ光のビーム径よりも広く取っている。そこで、実施の形態2においては、光源部1全体を主走査方向Dmに対して(又は副走査方向Dsに対して)傾けている。このような方策により、発光素子101の副走査方向の配列ピッチPを、レーザ光のビーム径Bと一致するように配置することができる。
【0029】
なお、実施の形態2において、上記以外の点は、上記実施の形態1の場合と同じである。
【0030】
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。また、図10は、実施の形態3に係る画像表示装置のレーザ光源の構成を概略的に示す図である。
【0031】
実施の形態1では、同一基板上に並ぶ発光素子101を、副走査方向Dsに等間隔で並ぶよう配置し、1回の主走査で、発光素子101の数だけ同時に副走査方向に並ぶ画素列を描画するよう構成していた。これに対し、実施の形態3においては、図10に示すように、発光素子101を主走査方向と平行な方向に並ぶよう配置している。
【0032】
図11は、実施の形態3に係る画像表示装置のレーザ光の走査方法を示す説明図である。
【0033】
図11に示されるように、実施の形態3に係る画像表示装置によれば、1回の主走査に伴って、同一画素を、異なる発光素子からの光で、順次描画する。この場合も、同一画素を異なる発光素子101からの光102で重複描画するので、実施の形態1において説明した理由により、レーザ光の干渉による画像のムラやギラツキを低減することができる。
【0034】
また、実施の形態1の走査方法の場合、複数配置された発光素子101に1つでも欠陥があると、欠陥発光素子によって描画される走査ラインが、他の走査ラインよりも暗くなり、画面にライン状のムラが発生することがあるが、実施の形態3の走査方法の場合、複数配置された発光素子101のうち、いくつかに欠陥があっても、描画画像は、画面全体に若干の明るさ低下が発生するのみで、画面にライン状のムラは発生しない。そのため、光源の信頼性の向上やコストの低減を図ることができる。
【0035】
また、実施の形態1の走査方法では、複数画素列を同時に描画するため、複数画素列分の描画データを画像表示コントローラ内に保持しておく必要があり、メモリの増大によりコストが増加する可能性があるが、実施の形態3の方式では、同画素列の隣接する画素のデータのみを保持すればよいので、重複描画に伴うメモリの増加によるコスト増を最小限に抑えることができる。
【0036】
なお、実施の形態3において、上記以外の点は、上記実施の形態1の場合と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態1乃至3に係る画像表示装置の全体の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1に示される画像表示装置における複数のレーザ光の配列(各色のレーザ光を合成した場合)を示す図である。
【図3】図1に示される画像表示装置における複数のレーザ光の配列(各色のレーザ光を合成しない場合)を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。
【図5】実施の形態1に係る画像表示装置のレーザ光源の構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】実施の形態1に係る画像表示装置のレーザ光の走査方法を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。
【図8】実施の形態2に係る画像表示装置のレーザ光源の構成を概略的に示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。
【図10】実施の形態3に係る画像表示装置のレーザ光源の構成を概略的に示す図である。
【図11】実施の形態3に係る画像表示装置のレーザ光の走査方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 光源部、 1r 赤色用のレーザ光源、 1g 緑色用のレーザ光源、 1b 青色用のレーザ光源、 2 光合成部、 2r 赤色用のダイクロイックミラー、 2g 緑色用のダイクロイックミラー、 2b 青色用のダイクロイックミラー、 3 照射レンズ、 4 光走査部、 5 投射レンズ、 6 スクリーン、 7 画像表示コントローラ(表示制御部)、 101 発光素子、 102 描画光スポット、 Dm 主走査方向、 Ds 副走査方向、 Lr 赤色レーザ光、 Lg 緑色レーザ光、 Lb 青色レーザ光、 ROT 回転ミラーの回転方向、 AXROT 回転ミラーの回転軸、 TILT 回転ミラーの傾斜方向、 AXTILT 回転ミラーの傾斜軸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力画像データに応じて強度変調されるレーザ光をスクリーン上に走査して画像を表示する光走査型の画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクション型の画像表示装置の一つとして、入力画像データに応じて強度変調されたレーザ光をスクリーン上に走査して画像を表示する光走査型の画像表示装置がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、複数本のレーザ光を独立に変調することで、複数の画素を同時に表示する画像表示装置が開示されている。この画像表示装置は、指向性の強いレーザ光を用いてスクリーン上に直接描画するので、鮮明な画像を表示できる。また、レーザ光は理想的な単一波長スペクトル分布を持つため、光走査型の画像表示装置は、色再現性に優れる。さらに、複数のレーザ光によって、画面内の異なる領域を同時に並行して描画することにより、レーザ光の走査速度や変調速度を低減することができる。
【0003】
【特許文献1】特開平9−134135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のレーザ光によって画面内の異なる領域を同時に並行して描画する画像表示装置では、複数のレーザ光の干渉により、スペックルノイズと呼ばれる画面のムラやギラツキが発生することがあり、この現象が表示画像の品位を低下させるおそれがあるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のレーザ光によって画面内の異なる領域を同時に走査しても、表示画像の品位を良好に維持することができる画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像表示装置は、同色の複数のレーザ光を出力する複数の発光素子を持つ光源部と、前記光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光の照射位置を主走査方向に移動させる主走査及び前記主走査による照射位置を副走査方向に移動させる副走査を行う光走査部と、前記光走査部によって主走査及び副走査されるレーザ光を受けて画像を表示するスクリーンと、前記光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光の強度を、入力される画像データに応じて個々に変調すると共に、前記光走査部による主走査及び副走査を制御する表示制御部とを有し、前記表示制御部は、1フレームの期間内において、前記スクリーンに表示される各画素が、前記光源部の複数の発光素子の中の複数の発光素子から出力された同色の複数のレーザ光により重ねて描画されるように制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レーザ光の干渉によって発生する、スペックルノイズと呼ばれる画面のムラやギラツキを低減し、安定して高品位な画像表示を実現できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の光走査型の画像表示装置の全体の構成を概略的に示す図である。本発明の光走査型の画像表示装置は、例えば、レーザ光を用いた家庭又は業務用の大画面のプロジェクション型画像表示装置である。
【0009】
図1に示される画像表示装置は、同色の複数のレーザ光を出力するように製造された複数の発光素子(すなわち、発光部)を持つ光源部1を有している。図1に示されるように、光源部1は、赤色(R)の複数のレーザ光Lrを出力するアレイ状に配列された複数の発光素子を備えた赤色用のレーザ光源1rと、緑色(G)の複数のレーザ光Lgを出力するアレイ状に配列された複数の発光素子を備えた緑色用のレーザ光源1gと、青色(B)の複数のレーザ光Lbを出力するアレイ状に配列された複数の発光素子を備えた青色用のレーザ光源1bとを含む。また、図1においては、各色のレーザ光源1r,1g,1bの複数の発光素子が、図1が描かれている紙面に平行に並んでいる場合を示しているが、複数の発光素子の配列方向は、図1が描かれている紙面に垂直な方向、又は、斜め方向の場合もある。さらに、図1においては、光源部1がRGB3色のレーザ光源1r,1g,1bからなる場合を示しているが、レーザ光源の数は2以下又は4以上であってもよい。
【0010】
また、図1に示される画像表示装置は、レーザ光源1rからの赤色のレーザ光Lr、レーザ光源1gからの緑色のレーザ光Lg、及びレーザ光源1bからの青色のレーザ光Lbを合成する光合成部2を有している。光合成部2は、レーザ光源1rの発光色に対応した一部の波長でのみに対して高い反射率が得られるよう構成された赤色用ダイクロイックミラー2rと、レーザ光源1gの発光色に対応した一部の波長でのみに対して高い反射率が得られるよう構成された緑色用ダイクロイックミラー2gと、レーザ光源1bの発光色に対応した一部の波長でのみに対して高い反射率が得られるよう構成された青色用ダイクロイックミラー2bとを有し、各色のレーザ光源1r,1g,1bの各発光素子からの3色のレーザ光Lr,Lg,Lbを重ね合わせる。なお、光合成部2の構成は、図1に示されたものに限定されない。また、光合成部2を備えずに、各色のレーザ光源1r,1g,1bからのレーザ光を光走査部4に入射させることも可能である。
【0011】
さらに、図1に示される画像表示装置は、レーザ光を集光させる照射レンズ3と、複数のレーザ光の照射位置を主走査方向Dmに移動させる主走査及び主走査による照射位置を副走査方向Dsに移動させる副走査を行う光走査部4と、投影レンズ5と、光走査部4によって主走査及び副走査されるレーザ光を受けて画像を表示するスクリーン6と、複数のレーザ光の強度を入力される画像データに応じて個々に変調すると共に、光走査部による主走査及び副走査を制御する画像表示コントローラ(表示制御部)7とを有している。
【0012】
図2は、図1に示される画像表示装置における複数のレーザ光の配列(各色のレーザ光を合成した場合)を示す図である。図2において、符号Lr,Lg,Lbが付された丸の列は、副走査方向Dsに並ぶ複数のレーザ光を示している。なお、複数のレーザ光の配列方向は、副走査方向Ds(後述する実施の形態1の場合)に限らず、副走査方向Ds又は主走査方向Dmに対して斜め方向(後述する実施の形態2の場合)、又は、主走査方向Dm(後述する実施の形態3の場合)とすることもできる。
【0013】
図3は、図1に示される画像表示装置における複数のレーザ光の配列(各色のレーザ光を合成しない場合)を示す図である。図3において、符号Lrが付された丸の列は、副走査方向Dsに並ぶ複数の赤色のレーザ光を示し、符号Lgが付された丸の列は、副走査方向Dsに並ぶ複数の緑色のレーザ光を示し、符号Lbが付された丸の列は、副走査方向Dsに並ぶ複数の青色のレーザ光を示している。なお、複数のレーザ光の配列方向は、副走査方向Ds(後述する実施の形態1の場合)に限らず、副走査方向Ds又は主走査方向Dmに対して斜め方向(後述する実施の形態2の場合)、又は、主走査方向Dm(後述する実施の形態3の場合)とすることもできる。
【0014】
実施の形態1.
図4は、本発明の実施の形態1に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。また、図5は、実施の形態1に係る画像表示装置のレーザ光源1rの構成を概略的に示す斜視図である。
【0015】
実施の形態1に係る画像表示装置においては、レーザ光源1rの複数の発光素子101は、スクリーン6上において副走査方向Dsに並ぶ複数の画素を同時に描画するように配列されている。なお、図4には、レーザ光源1rを示しているが、レーザ光源1rと平行に、レーザ光源1g及びレーザ光源1bを配置してもよい。また、光合成部(図1の符号2に相当する構成)を備えることによって、RGB3原色のレーザ光を重ねて照射してもよい。レーザ光源1rとしては、同一基板上に、例えば、80個の発光素子101がアレイ状に等ピッチで配置されたものを用いることができる。ただし、発光素子101の数は、80個に限定されず、80個以外の複数個であってもよい。なお、RGB3色のレーザ光源1r,1g,1b(図4には1rのみを示す)は、同一の発光素子の配列構造を持つ。
【0016】
光走査部4は、微小な回転ミラーを有する。図4において、ROTは、主走査時の光走査部4の回転ミラーの回転方向を示し、AXROTは、主走査時の光走査部4の回転ミラーの回転軸を示し、TILTは、副走査時の光走査部4の回転ミラーの傾斜方向を示し、AXTILTは、副走査時の光走査部4の回転ミラーの傾斜軸(回転軸)を示す。図4に示されるように、光走査部4の微小な回転ミラーは、2軸AXROT及びAXTILTに独立に回転する。微小な回転ミラーのサイズを小さくするために、回転ミラーの反射面が照射レンズ3によるレーザ光の集光点近傍に位置するように、構成されている。光走査部4で走査されたレーザ光は、投影レンズ5を通してスクリーン6上に投影される。画像表示コントローラ7(図1)は、入力画像データ(図示せず)に応じて、レーザ光源1r,1g,1bの発光素子ごとの発光強度を変調すると共に、画像の水平及び垂直同期信号に同期して、レーザ光を主走査方向Dm及び副走査方向Dsに走査させるように光走査部4を制御する。レーザ光源1r,1g,1bから出力されるレーザ光を強度変調しつつ、光走査部4によって主走査方向Dm及び副走査方向Dsに走査することにより、スクリーン6上に画像を直接描画する。
【0017】
図6は、実施の形態1に係る画像表示装置のレーザ光の走査方法を示す説明図である。
【0018】
レーザ光源1r,1g,1bのそれぞれに備えられた複数の発光素子101は、幾何学的に副走査方向Dsに等ピッチで並ぶよう配置されている。このため、主走査時には、複数の発光素子101からの描画スポット102が、副走査方向Dsに並ぶ隣り合った発光素子数と同じライン数の画素列(図6において、水平方向に伸びる実線の矢印)を、同時に描画するように構成されている。すなわち、80個の発光素子を持つレーザ光源を用いた場合には、1度の主走査で、80ラインの画素列(走査線)を同時に描画する。
【0019】
副走査においては、主走査ごとに、前回の主走査に対し副走査方向Dsの画素列で、例えば、2ライン分の移動を行うように調整されている。1回の主走査で80ラインの画素列を描画するのに対して、副走査による移動量は、主走査ごとに2ライン分であるため、78ラインが重複して描画されることになる。このような走査方法で全画面を順次描画すると、各画素列はそれぞれ合計40回、異なる発光素子101から発せられたレーザ光で描画される。ただし、1回の副走査によって移動する距離は、発光素子の数より少ないライン数であれば、2ライン分以外のライン数であってもよい。
【0020】
実施の形態1の走査方式を用いる場合、有効画面内の各主走査方向画素列が、すべて同じ描画回数となるよう、画面外に冗長な主走査線(表示画面として用いられない余分な主走査線)を準備しておく必要がある。
【0021】
また、実施の形態1の走査方法を用いる場合、1度の主走査で複数の画素列を一度に描画し、副走査では主走査ごとに画素列2ライン分ずつ移動するので、主走査回数は、描画画像の全画素列数の概ね半分の回数でよい。それに伴い、光走査部4の可動速度や、各発光素子101の発光強度変調速度が、単一発光素子の光源による走査の場合に比べ低速となり、画像表示装置を容易且つ低コストで製造することが可能になる。
【0022】
さらに、同一画像を異なる発光素子101からの光で複数回重複して描画するので、個々の発光素子101の発光強度を、単一発光素子の光源を用いた場合に比べて、低強度にすることができ、光源の信頼性も向上する。
【0023】
ところで、レーザ光源を用いた画像表示装置では、干渉性の高いレーザ光の干渉によって、スクリーン上で、複雑な明るさ分布や散乱強度の角度分布が生じるため、画面にムラやギラツキが発生して、表示品位を低下させることがある。しかし、レーザ光が高い干渉性を示すのは、単一の発光素子から発せられたレーザ光による干渉の場合である。スペックルと呼ばれる複雑な干渉パターンは、同じ発光素子から発せられた光が、伝播経路に配置された光学素子による屈折のような種々の要因により、光波の波面に乱れが生じ、重なり合う光の位相が揃う特定の向きや位置において、強め合ったり、打ち消し合ったりすることによって生じる。同じ構成に製造された発光素子であっても、異なる発光素子から発せられたレーザ光では、途中の伝播経路が異なるため、光波の波面やその揺らぎも異ったものとなり、干渉によってスクリーン6上に生じる明るさ分布や散乱強度の角度分布は、それぞれ発光素子ごとに異なったパターンになる。
【0024】
異なる発光素子からのレーザ光で、同じ画素を重複して描画した場合、各々の描画ごとにレーザ発光素子が異なるので、描画画素上に発生するムラやギラツキは、描画ごとにパターンの異なるものとなる。また、描画ごとのムラやギラツキパターンは、発光素子が異なるばかりでなく、時間的にも異なるタイミングで発せられた光になっているので、相互に干渉し合うことはない。
【0025】
実施の形態1による光走査方法では、40回にわたって異なる発光素子101から発せられたレーザ光により、同一の画素が描画される。その際、レーザ光の干渉によるムラやギラツキは、異なる発光素子101からの光で繰り返される各描画のたびに、異なったパターンで発生する。視認される画像は、描画ごとに異なるパターンのムラやギラツキが、平均化されたものとなる。すなわち、実施の形態1の光走査方法では、異なるパターンのムラやギラツキが40回重ね合わされることによって平均化され、全体として干渉による画面のムラやギラツキを解消し、滑らかで表示品位の高い描画画像を表示できる。
【0026】
また、レーザ光源の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光は、複数の発光素子の特性バラツキに起因する波長の違いを有する。また、レーザ光源の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光は、複数の発光素子の特性バラツキに起因する偏光状態の違いを有する。このような波長及び変更状態の違いによって、干渉パターンは生じ難い。また、発光素子101ごとに異なる波長や偏光状態を得るために、それぞれの発光素子ごとに僅かに反射特性の異なる共振器ミラーを備える構成、及び/又は偏光状態を変える位相差板を備える構成を採用してもよい。
【0027】
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。また、図8は、実施の形態2に係る画像表示装置のレーザ光源の構成を概略的に示す図である。
【0028】
副走査方向Dsに並ぶ複数の発光素子101のそれぞれは、レーザ光のビーム径と、発光素子101の副走査方向の配列ピッチが、一致していることが望ましい。しかし、上記実施の形態1においては、半導体レーザを同一基板上に複数個集積して製作し、複数の発光素子101を持つ光源とする場合、発光素子間隔は広い方が、発熱密度が低下し光源の冷却が容易になるという理由により、発光素子101間のピッチはレーザ光のビーム径よりも広く取っている。そこで、実施の形態2においては、光源部1全体を主走査方向Dmに対して(又は副走査方向Dsに対して)傾けている。このような方策により、発光素子101の副走査方向の配列ピッチPを、レーザ光のビーム径Bと一致するように配置することができる。
【0029】
なお、実施の形態2において、上記以外の点は、上記実施の形態1の場合と同じである。
【0030】
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。また、図10は、実施の形態3に係る画像表示装置のレーザ光源の構成を概略的に示す図である。
【0031】
実施の形態1では、同一基板上に並ぶ発光素子101を、副走査方向Dsに等間隔で並ぶよう配置し、1回の主走査で、発光素子101の数だけ同時に副走査方向に並ぶ画素列を描画するよう構成していた。これに対し、実施の形態3においては、図10に示すように、発光素子101を主走査方向と平行な方向に並ぶよう配置している。
【0032】
図11は、実施の形態3に係る画像表示装置のレーザ光の走査方法を示す説明図である。
【0033】
図11に示されるように、実施の形態3に係る画像表示装置によれば、1回の主走査に伴って、同一画素を、異なる発光素子からの光で、順次描画する。この場合も、同一画素を異なる発光素子101からの光102で重複描画するので、実施の形態1において説明した理由により、レーザ光の干渉による画像のムラやギラツキを低減することができる。
【0034】
また、実施の形態1の走査方法の場合、複数配置された発光素子101に1つでも欠陥があると、欠陥発光素子によって描画される走査ラインが、他の走査ラインよりも暗くなり、画面にライン状のムラが発生することがあるが、実施の形態3の走査方法の場合、複数配置された発光素子101のうち、いくつかに欠陥があっても、描画画像は、画面全体に若干の明るさ低下が発生するのみで、画面にライン状のムラは発生しない。そのため、光源の信頼性の向上やコストの低減を図ることができる。
【0035】
また、実施の形態1の走査方法では、複数画素列を同時に描画するため、複数画素列分の描画データを画像表示コントローラ内に保持しておく必要があり、メモリの増大によりコストが増加する可能性があるが、実施の形態3の方式では、同画素列の隣接する画素のデータのみを保持すればよいので、重複描画に伴うメモリの増加によるコスト増を最小限に抑えることができる。
【0036】
なお、実施の形態3において、上記以外の点は、上記実施の形態1の場合と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態1乃至3に係る画像表示装置の全体の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1に示される画像表示装置における複数のレーザ光の配列(各色のレーザ光を合成した場合)を示す図である。
【図3】図1に示される画像表示装置における複数のレーザ光の配列(各色のレーザ光を合成しない場合)を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。
【図5】実施の形態1に係る画像表示装置のレーザ光源の構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】実施の形態1に係る画像表示装置のレーザ光の走査方法を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。
【図8】実施の形態2に係る画像表示装置のレーザ光源の構成を概略的に示す図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る画像表示装置の構成(レーザ光源は赤色用のみを示す)を概略的に示す図である。
【図10】実施の形態3に係る画像表示装置のレーザ光源の構成を概略的に示す図である。
【図11】実施の形態3に係る画像表示装置のレーザ光の走査方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 光源部、 1r 赤色用のレーザ光源、 1g 緑色用のレーザ光源、 1b 青色用のレーザ光源、 2 光合成部、 2r 赤色用のダイクロイックミラー、 2g 緑色用のダイクロイックミラー、 2b 青色用のダイクロイックミラー、 3 照射レンズ、 4 光走査部、 5 投射レンズ、 6 スクリーン、 7 画像表示コントローラ(表示制御部)、 101 発光素子、 102 描画光スポット、 Dm 主走査方向、 Ds 副走査方向、 Lr 赤色レーザ光、 Lg 緑色レーザ光、 Lb 青色レーザ光、 ROT 回転ミラーの回転方向、 AXROT 回転ミラーの回転軸、 TILT 回転ミラーの傾斜方向、 AXTILT 回転ミラーの傾斜軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同色の複数のレーザ光を出力するよう複数の発光素子を持つ光源部と、
前記光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光の照射位置を主走査方向に移動させる主走査及び前記主走査による照射位置を副走査方向に移動させる副走査を行う光走査部と、
前記光走査部によって主走査及び副走査されるレーザ光を受けて画像を表示するスクリーンと、
前記光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光の強度を、入力される画像データに応じて個々に変調すると共に、前記光走査部による主走査及び副走査を制御する表示制御部とを有し、
前記表示制御部は、1フレームの期間内において、前記スクリーンに表示される各画素が、前記光源部の複数の発光素子の中の複数の発光素子から出力された同色の複数のレーザ光により重ねて描画されるように制御する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記光源部は、互いに異なる色のレーザ光を出力する第1レーザ光源、第2レーザ光源、及び第3レーザ光源を有し、
前記第1レーザ光源、前記第2レーザ光源、及び前記第3レーザ光源のそれぞれは、前記同色の複数のレーザ光を出力するよう複数の発光素子を持つ
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第1レーザ光源、前記第2レーザ光源、及び前記第3レーザ光源のそれぞれから出力されたレーザ光を合成する光合成部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記光源部の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光は、発光素子の特性バラツキに起因する波長の違いを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記光源部の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光に波長の違いを持たせる手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記光源部の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光は、発光素子の特性バラツキに起因する偏光状態の違いを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記光源部の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光に偏光状態の違いを持たせる手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記光源部の複数の発光素子は、前記スクリーン上において副走査方向に並ぶ複数の画素を同時に描画するように配列されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記光源部の複数の発光素子は、前記スクリーン上において副走査方向に対して傾斜した方向に並ぶ複数の画素を同時に描画するように配列されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記光源部の複数の発光素子の副走査方向の配列ピッチは、前記発光素子の開口径と同じになるように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記光源部の複数の発光素子は、前記スクリーン上において主走査方向に並ぶ複数の画素を同時に描画するように配列されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項1】
同色の複数のレーザ光を出力するよう複数の発光素子を持つ光源部と、
前記光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光の照射位置を主走査方向に移動させる主走査及び前記主走査による照射位置を副走査方向に移動させる副走査を行う光走査部と、
前記光走査部によって主走査及び副走査されるレーザ光を受けて画像を表示するスクリーンと、
前記光源部の複数の発光素子からの複数のレーザ光の強度を、入力される画像データに応じて個々に変調すると共に、前記光走査部による主走査及び副走査を制御する表示制御部とを有し、
前記表示制御部は、1フレームの期間内において、前記スクリーンに表示される各画素が、前記光源部の複数の発光素子の中の複数の発光素子から出力された同色の複数のレーザ光により重ねて描画されるように制御する
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記光源部は、互いに異なる色のレーザ光を出力する第1レーザ光源、第2レーザ光源、及び第3レーザ光源を有し、
前記第1レーザ光源、前記第2レーザ光源、及び前記第3レーザ光源のそれぞれは、前記同色の複数のレーザ光を出力するよう複数の発光素子を持つ
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第1レーザ光源、前記第2レーザ光源、及び前記第3レーザ光源のそれぞれから出力されたレーザ光を合成する光合成部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記光源部の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光は、発光素子の特性バラツキに起因する波長の違いを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記光源部の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光に波長の違いを持たせる手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記光源部の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光は、発光素子の特性バラツキに起因する偏光状態の違いを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記光源部の複数の発光素子から出力される同色の複数のレーザ光に偏光状態の違いを持たせる手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記光源部の複数の発光素子は、前記スクリーン上において副走査方向に並ぶ複数の画素を同時に描画するように配列されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記光源部の複数の発光素子は、前記スクリーン上において副走査方向に対して傾斜した方向に並ぶ複数の画素を同時に描画するように配列されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記光源部の複数の発光素子の副走査方向の配列ピッチは、前記発光素子の開口径と同じになるように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記光源部の複数の発光素子は、前記スクリーン上において主走査方向に並ぶ複数の画素を同時に描画するように配列されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−26591(P2008−26591A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199023(P2006−199023)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]