画像表示装置
画像表示装置(102)が、プロジェクタ手段(112)と、光源(104)と、光を変調するための少なくとも1つの一次変調器(106)と、一次変調器により変調された光を変調するための補助変調器(110)と、一次変調器により変調された光を補助変調器に中継するための光学手段(108)と、一次変調器および補助変調器を制御するための制御手段(118, 120)とを備え、一次変調器は、第1のピクセルアレイを具備し、補助変調器は、第2のピクセルアレイを具備し、一次変調器の第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルは、制御手段により、第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御され、補助変調器の第2のピクセルアレイにおける各々のピクセルは、制御手段により、第2のピクセルアレイにおける各々の対応するピクセルと第2のピクセルアレイにおける各々の隣接するピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関し、より特定的にいえば、光を変調するための少なくとも2つの変調器を備える画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を変調するための少なくとも2つの変調器を備える画像表示装置は周知である。周知の画像表示装置は、画像の複数の画素を変調するための一次変調器および補助変調器を使用している。このような周知の画像表示装置においては、真の黒色より上の最小の画像の輝度が低減される結果として、投影された画像のコントラストの範囲が拡大され得る。英国特許出願公開第2317290号公報(特許文献1)は、どのようにして画像のコントラストを改善することができるかを示している。
【0003】
フルカラー画像を生成するために、単独のモノクロ用の一次変調器が、カラーシーケンシャル照明(color sequential illumination)方式で使用され得る。しかしながら、このようなタイプのカラーシーケンシャル照明方式は、補助変調器を使用しない限り低減され得ないような時間的なアーチファクト(artifact)を発生させるおそれがある。
【0004】
英国特許出願公開第2396072号公報(特許文献2)においては、赤色光を変調するための第1の一次変調器、緑色光を変調するための第2の一次変調器、および、青色光を変調するための第3の一次変調器が、光学的に補助変調器に中継され、この補助変調器は、画像のコントラストを高めたり画像表示装置のダイナミックレンジを増大させたりするために、上記光をさらに変調するようにした装置が記述されている。さらに、英国特許出願公開第2396072号公報においては、画像のコントラストの増強および画像表示装置のダイナミックレンジの増大が達成されるようにするべく、一次変調器および補助変調器の動作を制御するための方法も記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許出願公開第2317290号公報
【特許文献2】英国特許出願公開第2396072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また一方で、画像表示装置内で使用され、且つ、単一または複数の一次変調器から補助変調器へ画像を中継する機能を有する光学手段に関しても、検討することが必要である。ここで、単一または複数の一次変調器と補助変調器とが同じサイズを有している場合、1の倍率でもって画像が中継されなければならない。好ましくは、この画像は、一次変調器内の各々のピクセルが、補助変調器内の対応するピクセル上に形成されるような形式で中継されるべきである。代替的に、一次変調器内の各々のピクセルが、補助変調器内の対応するピクセルのグループ上に形成されることが可能である。このような構成は、反射型の変調器および透過型の変調器のいずれにも適用される。画像を中継するための屈折システムが使用され得る。そして、これらの屈折システムを設計する際に、分解能、散乱および色補正の観点から当該屈折システムの性能を考慮する必要がある。これらの屈折システムに関しては、妥協がなされなければならない。散乱を減少させ、それゆえに、画像表示装置内の画像のコントラストを低減させるために、屈折素子の数は、最小値のままにしておくことが必要である。しかしながら、一方で、満足のいく分解能および色補正を提供するために、より多くのレンズが必要になる。これによって、何らかの散乱が増大する。さらに、レンズの数を増加させた結果として、満足のいく分解能および色補正を提供するための屈折システムの長さが比較的長くなる。このため、これらの屈折システムは、より高価になる。反射型の光学手段もまた、一次変調器から補助変調器へ光を中継するために使用され得る。反射型の光学手段は、屈折性の光学部品と組み合わせて使用されるカーブミラー(curved mirror)を有する。屈折性の光学部品の数はまた、一次変調器から補助変調器へ画像を中継する際に要求される性能に依存する。それゆえに、屈折性の光学部品の数は、性能の向上に伴って増加する。
【0007】
たとえ、反射型の光学中継手段または透過型の光学中継手段であり得るような光学中継手段が、望ましい性能を付与するように設計された場合であっても、他の要因が、画像表示装置の特性に影響を与えるおそれがある。所定の環境における製造方法および許容誤差によって、望ましい性能を付与することができない。これらの製造方法および許容誤差は、画像表示装置において、例えば、異なる変調器間のミスアラインメント(misalignment)または倍率の誤差として現れる可能性がある。さらに、コストの制限が、光学手段等の設計に影響を与えるおそれがある。これによって、性能が低下するようになる。このため、要求される精度でもって、画像が一次変調器から補助変調器へ中継されないという結果になり得る。これによって、最終的に投影された画像において、干渉縞、ピンぼけ、および光点のぼやけ(light point dimming)等の望ましくない画像アーチファクトが発生するおそれが生じてくる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、前述のような従来技術の問題点を取り除くかまたは軽減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の1つの非限定的な実施態様において、プロジェクタ手段と、光源と、光を変調するための少なくとも1つの一次変調器と、上記一次変調器によって変調された光を変調するための補助変調器と、上記一次変調器によって変調された光を上記補助変調器に中継するための光学手段と、上記一次変調器および上記補助変調器を制御するための制御手段とを備える画像表示装置が提供される。
この画像表示装置において、
上記一次変調器は、第1のピクセルアレイを具備し、且つ、上記補助変調器は、第2のピクセルアレイを具備し、
上記一次変調器の上記第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルは、上記制御手段によって、上記第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御され、
上記補助変調器の上記第2のピクセルアレイにおける各々のピクセルは、上記制御手段によって、上記第2のピクセルアレイにおける各々の対応するピクセルに対するビデオ入力データの関数、および、上記第2のピクセルアレイにおける各々の隣接するピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御されることを特徴としている。
【0010】
上記のように、第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルの関数として一次変調器を制御すると共に、第2のピクセルアレイにおける各々のピクセルの関数、および、第2のピクセルアレイにて選択されたピクセルに隣接するピクセルの関数として補助変調器を制御することは、周知の技術に比べて顕著な改善がなされていることを示している。より特定的にいえば、特に、全体のピクセルアレイの中でほんのわずかなピクセルのみが、明るい完全なオン状態のレベル、または、ほぼ完全にオン状態に近いレベルにて表示されている場合、本発明では、表示される画像の局部的な輝度に関して改善がなされている。これに対し、周知の技術では、何らかのわずかなミスアラインメントによって、輝度が低下した状態で明るい点または明るいピクセルが表示されるという結果が生ずるであろう。このような結果は、フライト・シミュレーション等の幾つかの応用分野において、重要な意味を持つことが可能である。また一方で、このようなミスアラインメントによって、色縁(color fringe)効果や画像のぶれ(blurring)等の他の結果が生ずる可能性がある。本発明では、達成されるべきアラインメント(alignment)の精度が、もはや、製造プロセスにおいて重要な要因とはならないので、本発明はまた、プロジェクタ手段を作製する際に含まれる製造プロセスに有利に貢献する。干渉縞は、その他の目に見えるアーチファクトであって、ここでは著しく軽減されている。
【0011】
本発明の画像表示装置は、一次変調器および前記補助変調器が、透過型の空間光変調器であるような画像表示装置であってよい。代替的に、本発明の画像表示装置は、一次変調器および補助変調器が、反射型の空間光変調器であるような画像表示装置であってよい。
【0012】
本発明の画像表示装置は、一次変調器および補助変調器が、同じタイプの空間変調器であるような画像表示装置であってよい。代替的に、本発明の画像表示装置は、異なるタイプの空間変調器であってよい。
【0013】
本発明の画像表示装置は、第1の波長の光を変調するための第1の一次変調器と、第2の波長の光を変調するための第2の一次変調器と、第3の波長の光を変調するための第3の一次変調器とを備えていてよい。
【0014】
本発明の画像表示装置は、1つの一次変調器または複数の一次変調器が、補助手段に対する選択手段によって結果的に引き起こされる画像における任意の異常を修正するように補償されるような画像表示装置であってよい。
【0015】
本発明に係る光学手段は、屈折性の光学リレーであってよい。代替的に、本発明に係る光学手段は、反射型の光学リレーであってよい。
【0016】
補助変調器の第2のピクセルアレイにおけるピクセルは、完全なオン状態になるか、または、完全なオフ状態になるように制御されることが可能である。
【0017】
以下、幾つかの例に基づいてのみ、且つ、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態(実施例)を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】横方向のコンバージェンス(convergence)誤差を生じさせるような発生し得る特定のタイプのミスアラインメントを示す図である。
【図2】コンバージェンス誤差を生じさせるような過度の倍率のタイプのミスアラインメントを示す図である。
【図3】コンバージェンス誤差を生じさせるような不足している倍率のタイプのミスアラインメントを示す図である。
【図4】コンバージェンス誤差を生じさせるような回転に関するミスアラインメントを示す図である。
【図5】コンバージェンス誤差のない単一のピクセルを示す図である。
【図6】横方向のコンバージェンス誤差を有する単一のピクセルを示す図である。
【図7】隣接するピクセルと共に単一のピクセルを示す図である。
【図8】隣接するピクセルを示すと共に、横方向のコンバージェンス誤差を有する単一のピクセルを示す図である。
【図9】第1および第2の隣接するピクセルと共に単一のピクセルを示す図である。
【図10】第1および第2の隣接するピクセルを示すと共に、横方向のコンバージェンス誤差を有する単一のピクセルを示す図である。
【図11】各々がコンバージェンス誤差を有する複数のピクセルを示す図である。
【図12】各々がコンバージェンス誤差を有する複数のピクセル、および、隣接するピクセルを示す図である。
【図13】光を変調するための2つ以上の変調器を有する周知の装置を概略的に示すブロック図である。
【図14】光を変調するための1つまたは2つ以上の変調器を有する光変調用の本発明の装置を概略的に示すブロック図である。
【図15】補助変調器を示すと共に、どのピクセルが制御されているかを示す図である。
【図16】補助変調器のピクセルの明度(intensity)を示す図である。
【図17】代替的なピクセルの明度を示す図である。
【図18】別の代替的なピクセルの明度を示す図である。
【図19】コンバージェンス誤差を有する1つのピクセルを詳細に示す図である。
【図20】本発明の装置を概略的に示すと共に、1つの一次変調器により一次変調器および補助変調器を制御する様子を示す図である。
【図21】本発明の装置を概略的に示すと共に、2つ以上の一次変調器により一次変調器および補助変調器を制御する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器に中継される際に発生し得るようなピクセルのミスアラインメントを有する装置2の概略的な出力を示す図である。実線のグリッド4は、1つのアレイ内の補助変調器の複数のピクセルを示している。点線6は、光学的に補助変調器上に中継されている一次変調器のピクセルアレイの画像を示している。図1に示す誤差は、「x」方向および「y」方向の両方向における横方向のシフトである。画像のコンバージェンスが正確である場合には、点線のグリッド6は、実線のグリッド4に完全に合致するであろう。
【0020】
図2は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器に中継される際に発生し得るようなピクセルのミスアラインメントを有する装置8の概略的な出力を示す図である。実線のグリッド10は、1つのアレイ内の補助変調器の複数のピクセルを示している。点線12は、光学的に補助変調器上に中継されている一次変調器のピクセルアレイの画像を示している。図2に示す誤差は、倍率に関する誤差である。一次変調器の画像は、補助変調器の画像より大きい。画像のコンバージェンスが正確である場合には、点線のグリッド12は、実線のグリッド10に完全に合致するであろう。
【0021】
図3は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器に中継される際に発生し得るようなピクセルのミスアラインメントを有する装置14の概略的な出力を示す図である。実線のグリッド16は、1つのアレイ内の補助変調器の複数のピクセルを示している。点線18は、光学的に補助変調器上に中継されている一次変調器のピクセルアレイの画像を示している。図2に示す誤差は、倍率に関する誤差である。この場合、一次変調器の画像は、補助変調器の画像より小さい。画像のコンバージェンスが正確である場合には、点線のグリッド18は、実線のグリッド16に完全に合致するであろう。
【0022】
図4は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器に中継される際に発生し得るようなピクセルのミスアラインメントを有する装置20の概略的な出力を示す図である。実線のグリッド22は、1つのアレイ内の補助変調器の複数のピクセルを示している。点線24は、光学的に補助変調器上に中継されている一次変調器のピクセルアレイの画像を示している。図2に示す誤差は、回転に関する誤差である。一次変調器の画像は、補助変調器の画像に対して回転している。画像のコンバージェンスが正確である場合には、点線のグリッド24は、実線のグリッド22に完全に合致するであろう。
【0023】
図5は、一次変調器から送出される単一のピクセル28の画像が正確に形成され、且つ、補助変調器のピクセルアレイ30に正確に合致する場合の装置26の概略的な出力を示す図である。この場合、一次変調器から送出される単一のピクセル28の画像は、オン状態(“on”state)になっており、且つ、光学的に補助変調器上に中継されている。図5の斜線部分は、当該斜線部分が、隣接するピクセルのいずれとも重なり合わないような形でグリッドに合致する。
【0024】
図6は、一次変調器から送出される単一のピクセル34の画像が、補助変調器のピクセルアレイ36に正確に合致しない場合の装置32の概略的な出力を示す図である。この場合も、一次変調器から送出される単一のピクセル34の画像は、オン状態になっており、且つ、光学的に補助変調器上に中継されている。図6の斜線部分の大きさは、補助変調器の対応するピクセルに合致しているが、当該斜線部分の中で、隣接するピクセルと重なり合う部分が存在する。
【0025】
図7は、一次変調器から光学的に中継される単一のピクセル40の画像のエッジが補助変調器のピクセルアレイ42のエッジに合致している状態で、単一のピクセル40の画像が、補助変調器のピクセルアレイ42に正確に合致する場合の装置38の概略的な出力を示す図である。さらに、図7は、一次変調器の単一の選択されたピクセルが補助変調器上に形成される際に、この単一の選択されたピクセルの位置を示している。正確なアラインメント(単一のピクセルの画像が、補助変調器のピクセルアレイに正確に合致すること)は、単一のピクセルの画像が、補助変調器上の対応するピクセルを完全にカバーすることを意味している。図7の斜線部分44は、図示されている一次変調器の単一のピクセル40に対応する補助変調器内のピクセルに直接的に隣接するような補助変調器上の複数のピクセルを示している。
【0026】
図8は、一次変調器から補助変調器のピクセルアレイ50上に形成される単一のピクセル48の画像が、「x」方向および「y」方向の両方向において横方向のミスアラインメントを有する状態で形成されている場合の装置46の概略的な出力を示す図である。単一のピクセル48は、補助変調器内の対応するピクセルに合致しておらず、他のピクセルと重なり合うことが理解されるであろう。補助変調器内の対応するピクセル、および、当該ピクセルに最も近い位置で隣接するピクセルが、斜線部分52によって示されている。単一のピクセル48は、斜線部分52と完全に重なり合うことが理解されるであろう。このような状態は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器上に中継される際に、一次変調器の画像のミスアラインメントが、「x」方向または「y」方向において最大で1つのピクセルの大きさに相当する場合に当てはまるであろう。
【0027】
図9は、一次変調器から光学的に中継される単一のピクセル40の画像のエッジが補助変調器のピクセルアレイ58のエッジに合致している状態で、単一のピクセル56の画像が、補助変調器のピクセルアレイ58に正確に合致する場合の装置54の概略的な出力を示す図である。さらに、図9は、一次変調器の単一の選択されたピクセルが補助変調器上に形成される際に、この単一の選択されたピクセルの位置を示している。正確なアラインメントは、単一のピクセルの画像が、補助変調器上の対応するピクセルを完全にカバーすることを意味している。図9の斜線部分60は、補助変調器上に形成され且つ一次変調器の単一のピクセル56に対応する補助変調器内のピクセルに最も近い位置で隣接するような補助変調器上の複数のピクセルと、上記単一のピクセル56に対応する補助変調器内のピクセルに2番目に近い位置で隣接するような補助変調器上の複数のピクセルとを示している。この場合、「x」方向または「y」方向のいずれかの方向における2つのピクセルのミスアラインメントは、単一のピクセル56が、斜線部分60と重なり合うことを意味しているであろう。補助変調器上の比較的大きな領域が、保証されるべき重なり合いが存在することを確実に保証するように選択され得ることは明らかである。ここで選択されるような隣接するピクセルは、特定の方向において隣接する任意のピクセルの数を含むように拡大され得る。
【0028】
図10は、一次変調器から補助変調器のピクセルアレイ66上に形成される単一のピクセル64の画像が、「x」方向および「y」方向の両方向において横方向のミスアラインメントを有する状態で形成されている場合の装置62の概略的な出力を示す図である。単一のピクセル64は、補助変調器内の対応するピクセルに合致しておらず、他のピクセルと重なり合うことが理解されるであろう。このような重なり合いは、斜線部分68により示されるような補助変調器内のピクセル66に最も近い位置で隣接するピクセル、および、補助変調器内のピクセル66に2番目に近い位置で隣接するピクセルによって、完全にカバーされる。このような状態は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器上に中継される際に、一次変調器の画像のミスアラインメントが、「x」方向または「y」方向において最大で2つのピクセルの大きさに相当する場合に当てはまるであろう。
【0029】
このミスアラインメントが、2つのピクセルの大きさより大きい場合、一次変調器から形成される単一のピクセルと当該ピクセルに隣接するピクセルとが補助変調器上で完全に重なり合うことを保証するために、その次に近い位置で隣接するピクセルが、補助変調器上のウィンドウまたは斜線部分に付加され得る。
【0030】
図11は、一次変調器から補助変調器上に形成される複数のピクセルが、斜線部分72によって示される場合の装置70の概略的な出力を示す図である。一次変調器から光学的に補助変調器上に中継される複数のピクセルの画像は、補助変調器のピクセルアレイ74上の対応する複数のピクセルに合致していない。ここでは、「x」方向および「y」方向の両方向における横方向のミスアラインメントが示されている。
【0031】
図12は、一次変調器から補助変調器上に形成される複数のピクセル78が、太い斜線部分によって示される場合の装置76の概略的な出力を示す図である。補助変調器のピクセルアレイ80上の対応する複数のピクセル、および、当該複数のピクセルに最も近い位置で隣接するピクセルが、斜線部分82によって示されている。この例においては、「x」方向および「y」方向における1つのピクセルの大きさのミスアラインメントを許容し、且つ、一次変調器上の選択された複数のピクセルが補助変調器上に形成される際に、この選択された複数のピクセルと当該複数のピクセルに最も近い位置で隣接するピクセルとの完全な重なり合いを持たせるために、図示されているような最も近い位置で隣接するピクセルが、選択された複数のピクセルの周囲で1つのピクセルの大きさの境界を形成することが理解されるであろう。
【0032】
図13は、光源86が、光を変調するための一次変調器88を照明する場合の周知の装置84を概略的に示すブロック図である。図13の装置では、一次変調器88によって変調された光は、リレー光学手段90を介して補助変調器92に中継される。補助変調器92に中継された光は、投影レンズ94によってスクリーン96上に投影される前に、さらに変調される。このスクリーンは、フロントプロジェクション方式またはリアプロジェクション方式のスクリーンであってよい。ここでは、ビデオ画像データが、ビデオ入力98からコントローラ100に供給される。コントローラ100は、一次変調器88および補助変調器92を制御する。この場合、一次変調器88における各々のピクセルが、当該一次変調器における各々のピクセルに対するビデオ入力データ98の関数として制御され、且つ、補助変調器92における各々のピクセルが、当該補助変調器における各々のピクセルのみに対するビデオ入力データ98の関数として制御されるような形式で、一次変調器88および補助変調器92が制御される。
【0033】
図13のような配置によって得られる結果は、一次変調器の各々のピクセルの画像が光学的に補助変調器上に中継される際に、一次変調器の各々のピクセルの画像が補助変調器の各々の画像と正確に重なり合うことを保証するために、一次変調器88により変調された光が、非常に高精度で補助変調器92に光学的に中継されなければならないということである。このような応用分野にて使用されるマイクロディスプレイ(micro−display)の分解能が増大するにつれて、ピクセルのサイズが減少し、この結果として、アラインメントに対する要求も厳しくなる。このような事態は、液晶およびディジタルのマイクロミラーデバイス(micro−mirror device)等のディスプレイを含む全てのタイプのマイクロディスプレイに当てはまる。小さなサイズのピクセル、例えば、約25μm(ミクロン)より小さなサイズのピクセルを有する任意のマイクロディスプレイに関しても、同じことがいえるであろう。現時点で、ピクセルは、通常、8μmより小さなサイズを有する。
【0034】
図14は、本発明の実施例である装置102を示すブロック図である。図14においては、光源104が、一次変調器106を照明する。この一次変調器106は、透過型もしくは反射型の空間光変調器であってよいし、または、任意の周知の空間光変調器であってよい。図14の一次変調器106は、透過型の変調器として示されている。一次変調器106によって変調された光は、リレー光学手段108を介して補助変調器110に中継される。さらに、補助変調器110によって変調された光は、投影レンズ112を介してスクリーン114に投影される。このスクリーン114は、フロントプロジェクション方式またはリアプロジェクション方式のスクリーンであってよいし、平面状または曲線状であってよい。ここでは、ビデオ入力データ116が、一次変調器106を制御するための制御手段118に入力される。一次変調器106は、ビデオデータ入力の関数として制御される。この関数は、ビデオデータ入力の倍率の関数であってよい。この倍率の倍数は、1、または、1より大きな値、または、1より大きな値であってよい。この倍率はまた、ビデオデータ入力の逆関数であってよい。補助変調器110は、コントローラ120によって制御される。コントローラ120は、補助変調器110の制御に関する情報を供給するためのコントローラ(制御手段)118からビデオ画像データを受け取る。コントローラ120は、一次変調器106内の各々のピクセルに送られる画像データの関数、および、当該ピクセルに隣接する各々のピクセルに送られる画像データの関数として、補助変調器110を制御する。上記のような隣接するピクセルは、最も近い位置で隣接する複数のピクセルを含むことが可能である。これらの複数のピクセルは、上記関数が適用されるピクセルのすぐそばに位置する複数のピクセルである。あるいは、上記のような隣接するピクセルは、全ての方向において幾つかのピクセルを含み得るような2番目に近い位置で隣接する複数のピクセルを含むことが可能である。これらのピクセルは、図7および図9に示されており、明らかに、図示されている範囲を越えて拡大され得る。コントローラ118、120は、一次変調器106および補助変調器110を制御するための制御手段を形成する。
【0035】
本実施例に対して特定され得る最も簡単な例は、一次変調器が、1の倍率の関数であるような1つの関数によって駆動されると共に、補助変調器の対応するピクセルおよび当該ピクセルに隣接するピクセルが、完全なオン状態のレベルにて駆動される場合の例である。前述のように、一次変調器および/または補助変調器は、ディジタルのマイクロミラーデバイスまたはその他の任意のディジタルの光変調器等を含むようなディジタルの光変調器であってよい。ディジタルのマイクロミラーデバイスは、光を変調し且つグレースケールを生成するために、時間的スイッチング技術を使用する。一次変調器および補助変調器のいずれもディジタルのマイクロミラーデバイスであるような画像表示装置においては、通常、対応するピクセルまたはピクセルのグループのタイミングを同期化することが要求されるであろう。しかしながら、前述のような例では、一次変調器がディジタルのマイクロミラーデバイスであり、且つ、補助変調器もディジタルのマイクロミラーデバイスである場合に発生し得る問題点を解消することが可能である。なぜならば、前述のような例では、一次変調器および補助変調器の両方のタイミングを正確に合致させることが要求されないからである。ただし、両方のディジタルの光変調器が、光に対する「ゲート」として動作し、且つ、光が通過すると同時に両方の「ゲート」が開くことを必要とする場合に、正確なアラインメントが要求されるであろう。
【0036】
添付の図面およびテキスト(明細書)は、光源から光を受け取る一次変調器を示しているが、画像表示装置内の一次変調器および補助変調器の位置を逆にして、補助変調器が光源からの光を受け取るようにし得ることも可能である。この場合、制御手段によって変調器に付与される関数は、同じであろう。
【0037】
単一のピクセルにおいて、この単一のピクセルの領域の50%のみが、補助変調器の対応するピクセルと重なり合うことを意味するようなミスアラインメントが生じている場合、ここで開示されている制御システムは、観測用のスクリーンに送信される光を顕著に増加させるであろう。図14は、1つの一次変調器および1つの補助変調器を使用した白黒用の画像表示装置である。カラーホイール(color wheel)を光の経路内に挿入するか、または、カラーシーケンシャル光源を使用した場合、この画像表示装置は、カラープロジェクタにも適しているであろう。
【0038】
図15は、補助変調器のピクセルアレイ124を含む装置122を示す図である。図15の斜線部分126は、補助変調器の9個のピクセルを示している。斜線部分126の中央のピクセルは、ビデオ画像データが取り出される一次変調器のピクセルに対応するピクセルである。
【0039】
その他の8個のピクセルは、基準ピクセル(例えば、中央のピクセル)に最も近い位置で隣接するピクセルである。コントローラは、ビデオ画像データの関数として、これらの9個のピクセルを駆動する。破線128は、ピクセルの明度を示すことが可能な変調器を横切る断面を示している。
【0040】
図16、図17および図18は、破線によって示されるような補助変調器を横切る断面におけるピクセルの強度を示す図である。
【0041】
図16は、8ビットの装置において、全てのピクセルが、最大限の駆動レベル255にて駆動されていることを示している。このような補助変調器に対する制御関数は、基準ピクセルおよび最も近い位置で隣接するピクセルを最高の駆動レベルにて駆動する。このときに、全てのピクセルは、完全なオン状態になる。ここで、基準レベルは、ビデオ画像データが取り出される一次変調器内のピクセルに対応する補助変調器内のピクセルである。
【0042】
図17は、代替的な制御関数を示している。この制御関数では、例えば8ビットの装置において、基準ピクセル、すなわち、一次変調器内のピクセルに対応するピクセルが、最大限の駆動レベル255にて駆動されており、8個の隣接するピクセルが、最高の駆動レベルより低いレベルにて駆動されている。このようなピクセルの駆動レベルは、中央で最高の駆動レベルを有する「シルクハット(top hat)」形のプロフィールを示している。
【0043】
図18は、別の制御関数を示している。この制御関数では、例えば8ビットの装置において、基準ピクセルが、最高の駆動レベルより低いレベルにて駆動されており、8個の隣接するピクセルが、基準ピクセルの駆動レベルよりもさらに低いレベルにて駆動されている。このようなピクセルの駆動レベルもまた、「シルクハット」形のプロフィールを示しているが、中央のピーク値に関しては、最高値255より低いレベルを有している。
【0044】
他の関数もまた、基準ピクセルおよび隣接するピクセルを制御するために使用可能である。各々の隣接するピクセルは、それ自身が基準ピクセルであり、これによって、フルサイズの画像が表示されるタイミング、および、補助変調器に対して計算される制御関数が考慮されなければならないことが理解されるであろう。この制御関数は、当該制御関数が全てのピクセルに付与されたときに生成される関数の積(product)になるであろう。この関数の積は、補助変調器の任意のピクセル、すなわち、基準ピクセルおよび隣接するピクセルに影響を及ぼす。
【0045】
図19は、補助変調器上の3×3のピクセルアレイと、一次変調器の単一のピクセルが補助変調器上に形成される際の一次変調器の単一のピクセルの画像とを拡大して示す拡大図140である。ここでは、横方向のピクセルのミスアラインメントが存在する。正しいアラインメントは、陰影付きのピクセルが、3×3のピクセルアレイの中央のピクセル144に合致することを示すであろう。図示されているような補助変調器内の3×3のピクセルアレイの中央のピクセル144は、一次変調器内の対応するピクセル(この場合、陰影付きのピクセル)の関数、および、補助変調器内の隣接するピクセルの関数として制御される。上記の例において、8個の隣接するピクセルは、一次変調器において当該ピクセルに印加されるような0(ゼロ)のビデオレベルを有する。中央のピクセル144と重なり合う陰影付きのピクセルのほんの一部が、図示されている領域146であることが理解されるであろう。領域148の各々は、隣接するピクセルと重なり合う。隣接するピクセルが最大限のビデオレベル255にて駆動されるような前述の制御関数が使用される場合、一次変調器から送出される光の比較的多くの部分が、スクリーンに到達するという結果になるであろう。前述の記載から明らかなように、光を変調しない空間光変調器においては、複数のピクセル間の領域は小さいので、全ての光がスクリーンに送られることはないであろう。このような領域は、代表的に、変調器の全領域の約10%であるが、10%より大きくしたり小さくしたりすることも可能である。上記の制御方法は、多くの画像において、光のスループット(throughput)が増加するという結果になり、且つ、ミスアラインメントおよびミスコンバージェンス(misconvergence)によって発生する幾つかのアーチファクトを取り除くことができるであろう。したがって、ディスプレイにて表示される黒色レベルが、大幅に低減されたレベルのままになっており、この結果として、このディスプレイにて改善されたコントラストを維持することができるであろう。
【0046】
さらに、ダイナミックレンジを改善すると共に、一次変調器から補助変調器上に形成される画像のミスアラインメントによって発生するアーチファクトを解消するために、より複雑な制御が使用され得る。
【0047】
図20は、1つの一次変調器および1つの補助変調器を備える本発明の装置160を概略的に示す図である。図20においては、一次変調器および補助変調器を制御するための制御手段が、詳細に示されている。任意の色シフト、表示される画像に適用されることを必要とするガンマ(γ)補正、または、要求され得るタイミングの遅れを補正するために、付加的手段が含まれ得る。
【0048】
本実施例においては、周知のカラーシーケンシャル技術を用いて、モノクロ用のビデオデータまたはカラー画像データのいずれか一方が、ルックアップテーブル(LUT:look up table)162に入力される。このルックアップテーブル(LUT)162は、ビデオデータ入力に対してガンマ補正を施すために使用され得る。補正されたビデオ画像データは、フィルタ制御手段164および時間遅延手段170に出力される。フィルタ制御手段164は、1つの関数をビデオ画像データに付与する。この関数は、各々のピクセルおよび各々の隣接するピクセルに対するビデオ画像データの関数である。さらに、フィルタ制御手段164は、フレーム保存手段176を用いて、隣接するピクセルに対するピクセルデータをアクセスして取得する。最も近い位置で隣接するピクセルが考慮されている場合、上記の関数は、各々のピクセルに対するビデオ入力の関数、および、8個の隣接するピクセルに対するビデオ入力の関数である。さらに、フィルタ制御手段164は、補助変調器に対する出力を決定する。この補助変調器に対する出力は、時間遅延手段166を介して出力される。この時間遅延手段166は、一次変調器および補助変調器の正しい同期化を可能にする。フィルタ制御手段164は、各々のピクセルおよび各々の隣接するピクセルの両方に依存する各々のピクセルに対して1つの関数を付与しているので、考慮の対象である隣接するピクセルの数に応じて、わずかな時間的遅れが生ずることが理解されるであろう。特定のピクセルに対する出力は、ビデオ情報の少なくとも次のラインが、フィルタ制御手段により受信されるまで待たなければならない。なぜならば、考慮の対象である各々の隣接するピクセルは、さらに、隣接するピクセルに依存しているからである。時間遅延手段170は、補助変調器172を制御することを目的として、ビデオ画像データを遅延させるために使用される。時間遅延手段170から送出される遅延されたビデオ画像データは、手段168から送出される各々のピクセルに対するピクセル出力画像データと結合され、一次変調器内の各々のピクセルに対する駆動レベルが決定されるようになる。ルックアップテーブル(LUT)174、178は、任意の必要なガンマ補正を行うために使用され得る。
【0049】
前述の実施例は、たった1つの一次変調器と、1つの補助変調器とを有している。しかしながら、画像表示装置は、光源からの光を変調するための2つ以上の一次変調器を有することも可能である。例えば、第1の一次変調器は、赤色光を変調し、第2の一次変調器は、緑色光を変調し、そして、第3の一次変調器は、青色光を変調する。変調された赤色光、緑色光および青色光は、光学的に結合され、さらに、補助変調器によって変調される。カラー画像を生成するために、光を別々の色に分解してから変調し、再度結合することに関して、多くの周知の方法がある。本発明においては、再度結合された光は、補助変調器に中継される。この補助変調器によって、さらなる変調が行われる。1つまたは複数の一次変調器は、透過型または反射型の空間光変調器であってよい。さらに、1つまたは複数の補助変調器は、透過型または反射型の空間光変調器であってよい。1つまたは複数の一次変調器、および、1つまたは複数の補助変調器は、同じタイプの空間変調器であってよいし、あるいは、異なるタイプの空間変調器であってよい。
【0050】
赤色光用の一次変調器、緑色光用の一次変調器および青色光用の一次変調器と、補助変調器とを有する周知の画像表示装置においては、満足のいく画像をスクリーン上に投影するために、個々の変調器を制御するための周知の方法がある。しかしながら、これらの周知の方法は、複数の一次変調器が、各々のピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御され、1つの補助変調器が、各々のピクセルおよび隣接するピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御されるとして開示されている本発明を含んでいない。
【0051】
図21は、複数の一次変調器および1つの補助変調器を備える本発明の装置180を概略的に示す図である。信号のマニピュレーション(manipulation)および複数のビデオデータ入力上の数学的関数を実行するために、複数のルックアップテーブル(LUT)が使用される。ロジックデバイスにて実行される関数のような代替的な手段が、使用され得る。しかしながら、上記の実施例においては、LUTのフレキシビリティ(flexibility)によって、当該LUTを使用することが好ましい。
【0052】
図21の概略的な図は、第1のビデオ入力、第2のビデオ入力および第3のビデオ入力を示している。代表的に、これらの第1、第2および第3のビデオ入力は、それぞれ、赤色ビデオ入力、緑色ビデオ入力および青色ビデオ入力である。シアン、イエローおよびマゼンタ等の他のビデオ入力もよく知られている。さらに、4つ以上のビデオ入力および対応する一次変調器が使用されうる。スクリーン上に投影される最終的なカラー画像を形成するために、複数のビデオ入力が使用される。赤外線ビデオデータ入力チャネル等の他のビデオ入力もよく知られている。
【0053】
第1のビデオデータ入力は、LUT200に入力される。このLUT200は、ビデオ信号内に存在する任意のガンマを調整するために使用され得る。第1のビデオデータ入力はまた、LUT202に入力される。このLUT202もまた、ビデオ信号内に存在する任意のガンマを調整する。これらの個別のLUTを使用することによって、必要に応じてLUT200およびLUT202にて様々な機能が付与されることを可能にするための設計におけるフレキシビリティを提供することが可能になる。LUT200、202の各々に対して、同じ機能を付与することも可能である。LUT220、222は、第2のビデオデータ入力に対して、前述のLUT200、202の場合と同様の動作を行う。LUT240、242は、第3のビデオデータ入力に対して、前述のLUTの場合と同様の動作を繰り返す。LUT202、222および242はまた、第1、第2および第3のビデオデータ入力に対して補正関数を付与するために使用され得る。選択手段182は、第1、第2および第3のビデオデータ入力から有力な信号(dominant signal)を選択するために使用され得る。有力な信号は、通常、数値入力の要求が最も高い信号である。しかしながら、視覚感度または色基準等の他の基準を用いた代替的なスキームが使用され得る。有力な信号は、補助変調器に対する駆動信号を決定するために使用される。制御手段184は、各々のピクセルおよび隣接するピクセルの関数として、制御データを補助変調器に出力する。さらに、制御手段184は、ライン保存手段186を使用して、隣接するピクセルに対するピクセルデータをアクセスして取得する。時間遅延手段196が、制御手段184と補助変調器との間に配置されている。さらに、LUT198が、補助変調器の前段部に配置されている。このLUT198は、必要に応じて補助変調器への出力に対してガンマ補正を施すために使用され得る。
【0054】
制御手段184はまた、LUT204、224および244に対する出力を提供する。これらのLUTは、制御手段184により補助変調器に付与されている任意の関数を補償するために、各々の一次変調器に施されるべき補償を決定する。
【0055】
投影スクリーンに送信される光の量は、一次変調器および補助変調器の両方に依存している。送信された光に対する複数の変調器の効果は、掛け算の効果である。それゆえに、補助変調器は、第1、第2および第3の一次変調器に対する有力な信号の関数として駆動されるので、例えば、表示される画像の輝度および色の観点から正しい特性を維持するために、何らかの補償が必要であり、さらに、引き起こされている可能性がある何らかの異常を補正することが必要である。このような補償は、制御手段184から一次変調器への出力側に配置されている付加的な複数のLUTによって達成される。
【0056】
LUT204、222および244は、それぞれ、第1、第2および第3の一次変調器に対する駆動信号を補償するために使用される。これらのLUTは、制御手段184から出力される駆動関数に逆関数を付与する。LUT204は、乗数手段206に供給される駆動信号に逆関数を付与する。さらに、LUT200によって必要とされる所定のガンマ補正が施されているビデオ入力データは、時間遅延手段210を介して乗数手段206に供給される。この時間遅延手段は、制御手段184によって生ずるような起こり得る時間的遅れを補償するために必要とされる。この制御手段184は、ライン保存手段186から送出されるデータをアクセスしなければならない。乗数手段206は、付加的なLUT208に対する出力を提供する。このLUT208は、必要に応じてビデオデータ出力に対するガンマ補正のためにも使用される。この乗数手段は、ビデオ駆動信号における任意の変動を有効に補償する。このような変動は、逆関数を付与することによって、選択手段182および制御手段184により引き起こされる可能性がある。ここで、逆関数は、補助変調器に対する駆動信号、および、一次変調器に対する駆動信号に付与される関数の逆数である。
【0057】
制御手段はまた、LUT224に対する出力を提供する。このLUT224は、乗数手段226に入力される駆動信号に逆関数を付与する。装置に対する第2のビデオデータ入力は、LUT220にて必要とされる所定のガンマ補正を受ける。さらに、第2のビデオデータ入力は、ライン保存手段186をアクセスする制御手段により引き起こされる任意の時間的遅れを補償するために、必要に応じて時間遅延手段230により付与される時間的遅れを有する。乗数手段226は、LUT224からの出力によって上記の第2のビデオデータ入力を乗算するために使用される。このLUT224はまた、選択手段182および制御手段184により引き起こされる任意の変動を補償する。
【0058】
制御手段はまた、LUT244に対する出力を提供する。このLUT244は、乗数手段246に入力される駆動信号に逆関数を付与する。装置に対する第3のビデオデータ入力は、LUT240にて必要とされる所定のガンマ補正を受ける。さらに、第3のビデオデータ入力は、ライン保存手段186をアクセスする制御手段により引き起こされる任意の時間的遅れを補償するために、必要に応じて時間遅延手段250により付与される時間的遅れを有する。乗数手段246は、LUT244からの出力によって上記の第3のビデオデータ入力を乗算するために使用される。このLUT244はまた、選択手段182および制御手段184により引き起こされる任意の変動を補償する。
【0059】
本実施例では、一次変調器に対する有力な信号を選択する選択手段186によって引き起こされる何らかの異常を補正するための補償手段が設けられているので、複数の一次変調器(ここでは、第1、第2および第3の一次変調器)を有するプロジェクタ手段において、一次変調器が、各々のピクセルに対するビデオ入力の関数として制御され、且つ、補助変調器が、各々のピクセルおよび各々の隣接するピクセルに対するビデオ入力の関数として制御されるような方法が、依然として満足のいく画像を提供することが可能であることが示されている。
【0060】
添付の図面に基づいてこれまで述べた本発明の実施例は、幾つかの例によってのみ説明されているにすぎず、種々の変更がなされ得ることが認識されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関し、より特定的にいえば、光を変調するための少なくとも2つの変調器を備える画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を変調するための少なくとも2つの変調器を備える画像表示装置は周知である。周知の画像表示装置は、画像の複数の画素を変調するための一次変調器および補助変調器を使用している。このような周知の画像表示装置においては、真の黒色より上の最小の画像の輝度が低減される結果として、投影された画像のコントラストの範囲が拡大され得る。英国特許出願公開第2317290号公報(特許文献1)は、どのようにして画像のコントラストを改善することができるかを示している。
【0003】
フルカラー画像を生成するために、単独のモノクロ用の一次変調器が、カラーシーケンシャル照明(color sequential illumination)方式で使用され得る。しかしながら、このようなタイプのカラーシーケンシャル照明方式は、補助変調器を使用しない限り低減され得ないような時間的なアーチファクト(artifact)を発生させるおそれがある。
【0004】
英国特許出願公開第2396072号公報(特許文献2)においては、赤色光を変調するための第1の一次変調器、緑色光を変調するための第2の一次変調器、および、青色光を変調するための第3の一次変調器が、光学的に補助変調器に中継され、この補助変調器は、画像のコントラストを高めたり画像表示装置のダイナミックレンジを増大させたりするために、上記光をさらに変調するようにした装置が記述されている。さらに、英国特許出願公開第2396072号公報においては、画像のコントラストの増強および画像表示装置のダイナミックレンジの増大が達成されるようにするべく、一次変調器および補助変調器の動作を制御するための方法も記述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許出願公開第2317290号公報
【特許文献2】英国特許出願公開第2396072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また一方で、画像表示装置内で使用され、且つ、単一または複数の一次変調器から補助変調器へ画像を中継する機能を有する光学手段に関しても、検討することが必要である。ここで、単一または複数の一次変調器と補助変調器とが同じサイズを有している場合、1の倍率でもって画像が中継されなければならない。好ましくは、この画像は、一次変調器内の各々のピクセルが、補助変調器内の対応するピクセル上に形成されるような形式で中継されるべきである。代替的に、一次変調器内の各々のピクセルが、補助変調器内の対応するピクセルのグループ上に形成されることが可能である。このような構成は、反射型の変調器および透過型の変調器のいずれにも適用される。画像を中継するための屈折システムが使用され得る。そして、これらの屈折システムを設計する際に、分解能、散乱および色補正の観点から当該屈折システムの性能を考慮する必要がある。これらの屈折システムに関しては、妥協がなされなければならない。散乱を減少させ、それゆえに、画像表示装置内の画像のコントラストを低減させるために、屈折素子の数は、最小値のままにしておくことが必要である。しかしながら、一方で、満足のいく分解能および色補正を提供するために、より多くのレンズが必要になる。これによって、何らかの散乱が増大する。さらに、レンズの数を増加させた結果として、満足のいく分解能および色補正を提供するための屈折システムの長さが比較的長くなる。このため、これらの屈折システムは、より高価になる。反射型の光学手段もまた、一次変調器から補助変調器へ光を中継するために使用され得る。反射型の光学手段は、屈折性の光学部品と組み合わせて使用されるカーブミラー(curved mirror)を有する。屈折性の光学部品の数はまた、一次変調器から補助変調器へ画像を中継する際に要求される性能に依存する。それゆえに、屈折性の光学部品の数は、性能の向上に伴って増加する。
【0007】
たとえ、反射型の光学中継手段または透過型の光学中継手段であり得るような光学中継手段が、望ましい性能を付与するように設計された場合であっても、他の要因が、画像表示装置の特性に影響を与えるおそれがある。所定の環境における製造方法および許容誤差によって、望ましい性能を付与することができない。これらの製造方法および許容誤差は、画像表示装置において、例えば、異なる変調器間のミスアラインメント(misalignment)または倍率の誤差として現れる可能性がある。さらに、コストの制限が、光学手段等の設計に影響を与えるおそれがある。これによって、性能が低下するようになる。このため、要求される精度でもって、画像が一次変調器から補助変調器へ中継されないという結果になり得る。これによって、最終的に投影された画像において、干渉縞、ピンぼけ、および光点のぼやけ(light point dimming)等の望ましくない画像アーチファクトが発生するおそれが生じてくる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、前述のような従来技術の問題点を取り除くかまたは軽減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の1つの非限定的な実施態様において、プロジェクタ手段と、光源と、光を変調するための少なくとも1つの一次変調器と、上記一次変調器によって変調された光を変調するための補助変調器と、上記一次変調器によって変調された光を上記補助変調器に中継するための光学手段と、上記一次変調器および上記補助変調器を制御するための制御手段とを備える画像表示装置が提供される。
この画像表示装置において、
上記一次変調器は、第1のピクセルアレイを具備し、且つ、上記補助変調器は、第2のピクセルアレイを具備し、
上記一次変調器の上記第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルは、上記制御手段によって、上記第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御され、
上記補助変調器の上記第2のピクセルアレイにおける各々のピクセルは、上記制御手段によって、上記第2のピクセルアレイにおける各々の対応するピクセルに対するビデオ入力データの関数、および、上記第2のピクセルアレイにおける各々の隣接するピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御されることを特徴としている。
【0010】
上記のように、第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルの関数として一次変調器を制御すると共に、第2のピクセルアレイにおける各々のピクセルの関数、および、第2のピクセルアレイにて選択されたピクセルに隣接するピクセルの関数として補助変調器を制御することは、周知の技術に比べて顕著な改善がなされていることを示している。より特定的にいえば、特に、全体のピクセルアレイの中でほんのわずかなピクセルのみが、明るい完全なオン状態のレベル、または、ほぼ完全にオン状態に近いレベルにて表示されている場合、本発明では、表示される画像の局部的な輝度に関して改善がなされている。これに対し、周知の技術では、何らかのわずかなミスアラインメントによって、輝度が低下した状態で明るい点または明るいピクセルが表示されるという結果が生ずるであろう。このような結果は、フライト・シミュレーション等の幾つかの応用分野において、重要な意味を持つことが可能である。また一方で、このようなミスアラインメントによって、色縁(color fringe)効果や画像のぶれ(blurring)等の他の結果が生ずる可能性がある。本発明では、達成されるべきアラインメント(alignment)の精度が、もはや、製造プロセスにおいて重要な要因とはならないので、本発明はまた、プロジェクタ手段を作製する際に含まれる製造プロセスに有利に貢献する。干渉縞は、その他の目に見えるアーチファクトであって、ここでは著しく軽減されている。
【0011】
本発明の画像表示装置は、一次変調器および前記補助変調器が、透過型の空間光変調器であるような画像表示装置であってよい。代替的に、本発明の画像表示装置は、一次変調器および補助変調器が、反射型の空間光変調器であるような画像表示装置であってよい。
【0012】
本発明の画像表示装置は、一次変調器および補助変調器が、同じタイプの空間変調器であるような画像表示装置であってよい。代替的に、本発明の画像表示装置は、異なるタイプの空間変調器であってよい。
【0013】
本発明の画像表示装置は、第1の波長の光を変調するための第1の一次変調器と、第2の波長の光を変調するための第2の一次変調器と、第3の波長の光を変調するための第3の一次変調器とを備えていてよい。
【0014】
本発明の画像表示装置は、1つの一次変調器または複数の一次変調器が、補助手段に対する選択手段によって結果的に引き起こされる画像における任意の異常を修正するように補償されるような画像表示装置であってよい。
【0015】
本発明に係る光学手段は、屈折性の光学リレーであってよい。代替的に、本発明に係る光学手段は、反射型の光学リレーであってよい。
【0016】
補助変調器の第2のピクセルアレイにおけるピクセルは、完全なオン状態になるか、または、完全なオフ状態になるように制御されることが可能である。
【0017】
以下、幾つかの例に基づいてのみ、且つ、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態(実施例)を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】横方向のコンバージェンス(convergence)誤差を生じさせるような発生し得る特定のタイプのミスアラインメントを示す図である。
【図2】コンバージェンス誤差を生じさせるような過度の倍率のタイプのミスアラインメントを示す図である。
【図3】コンバージェンス誤差を生じさせるような不足している倍率のタイプのミスアラインメントを示す図である。
【図4】コンバージェンス誤差を生じさせるような回転に関するミスアラインメントを示す図である。
【図5】コンバージェンス誤差のない単一のピクセルを示す図である。
【図6】横方向のコンバージェンス誤差を有する単一のピクセルを示す図である。
【図7】隣接するピクセルと共に単一のピクセルを示す図である。
【図8】隣接するピクセルを示すと共に、横方向のコンバージェンス誤差を有する単一のピクセルを示す図である。
【図9】第1および第2の隣接するピクセルと共に単一のピクセルを示す図である。
【図10】第1および第2の隣接するピクセルを示すと共に、横方向のコンバージェンス誤差を有する単一のピクセルを示す図である。
【図11】各々がコンバージェンス誤差を有する複数のピクセルを示す図である。
【図12】各々がコンバージェンス誤差を有する複数のピクセル、および、隣接するピクセルを示す図である。
【図13】光を変調するための2つ以上の変調器を有する周知の装置を概略的に示すブロック図である。
【図14】光を変調するための1つまたは2つ以上の変調器を有する光変調用の本発明の装置を概略的に示すブロック図である。
【図15】補助変調器を示すと共に、どのピクセルが制御されているかを示す図である。
【図16】補助変調器のピクセルの明度(intensity)を示す図である。
【図17】代替的なピクセルの明度を示す図である。
【図18】別の代替的なピクセルの明度を示す図である。
【図19】コンバージェンス誤差を有する1つのピクセルを詳細に示す図である。
【図20】本発明の装置を概略的に示すと共に、1つの一次変調器により一次変調器および補助変調器を制御する様子を示す図である。
【図21】本発明の装置を概略的に示すと共に、2つ以上の一次変調器により一次変調器および補助変調器を制御する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器に中継される際に発生し得るようなピクセルのミスアラインメントを有する装置2の概略的な出力を示す図である。実線のグリッド4は、1つのアレイ内の補助変調器の複数のピクセルを示している。点線6は、光学的に補助変調器上に中継されている一次変調器のピクセルアレイの画像を示している。図1に示す誤差は、「x」方向および「y」方向の両方向における横方向のシフトである。画像のコンバージェンスが正確である場合には、点線のグリッド6は、実線のグリッド4に完全に合致するであろう。
【0020】
図2は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器に中継される際に発生し得るようなピクセルのミスアラインメントを有する装置8の概略的な出力を示す図である。実線のグリッド10は、1つのアレイ内の補助変調器の複数のピクセルを示している。点線12は、光学的に補助変調器上に中継されている一次変調器のピクセルアレイの画像を示している。図2に示す誤差は、倍率に関する誤差である。一次変調器の画像は、補助変調器の画像より大きい。画像のコンバージェンスが正確である場合には、点線のグリッド12は、実線のグリッド10に完全に合致するであろう。
【0021】
図3は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器に中継される際に発生し得るようなピクセルのミスアラインメントを有する装置14の概略的な出力を示す図である。実線のグリッド16は、1つのアレイ内の補助変調器の複数のピクセルを示している。点線18は、光学的に補助変調器上に中継されている一次変調器のピクセルアレイの画像を示している。図2に示す誤差は、倍率に関する誤差である。この場合、一次変調器の画像は、補助変調器の画像より小さい。画像のコンバージェンスが正確である場合には、点線のグリッド18は、実線のグリッド16に完全に合致するであろう。
【0022】
図4は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器に中継される際に発生し得るようなピクセルのミスアラインメントを有する装置20の概略的な出力を示す図である。実線のグリッド22は、1つのアレイ内の補助変調器の複数のピクセルを示している。点線24は、光学的に補助変調器上に中継されている一次変調器のピクセルアレイの画像を示している。図2に示す誤差は、回転に関する誤差である。一次変調器の画像は、補助変調器の画像に対して回転している。画像のコンバージェンスが正確である場合には、点線のグリッド24は、実線のグリッド22に完全に合致するであろう。
【0023】
図5は、一次変調器から送出される単一のピクセル28の画像が正確に形成され、且つ、補助変調器のピクセルアレイ30に正確に合致する場合の装置26の概略的な出力を示す図である。この場合、一次変調器から送出される単一のピクセル28の画像は、オン状態(“on”state)になっており、且つ、光学的に補助変調器上に中継されている。図5の斜線部分は、当該斜線部分が、隣接するピクセルのいずれとも重なり合わないような形でグリッドに合致する。
【0024】
図6は、一次変調器から送出される単一のピクセル34の画像が、補助変調器のピクセルアレイ36に正確に合致しない場合の装置32の概略的な出力を示す図である。この場合も、一次変調器から送出される単一のピクセル34の画像は、オン状態になっており、且つ、光学的に補助変調器上に中継されている。図6の斜線部分の大きさは、補助変調器の対応するピクセルに合致しているが、当該斜線部分の中で、隣接するピクセルと重なり合う部分が存在する。
【0025】
図7は、一次変調器から光学的に中継される単一のピクセル40の画像のエッジが補助変調器のピクセルアレイ42のエッジに合致している状態で、単一のピクセル40の画像が、補助変調器のピクセルアレイ42に正確に合致する場合の装置38の概略的な出力を示す図である。さらに、図7は、一次変調器の単一の選択されたピクセルが補助変調器上に形成される際に、この単一の選択されたピクセルの位置を示している。正確なアラインメント(単一のピクセルの画像が、補助変調器のピクセルアレイに正確に合致すること)は、単一のピクセルの画像が、補助変調器上の対応するピクセルを完全にカバーすることを意味している。図7の斜線部分44は、図示されている一次変調器の単一のピクセル40に対応する補助変調器内のピクセルに直接的に隣接するような補助変調器上の複数のピクセルを示している。
【0026】
図8は、一次変調器から補助変調器のピクセルアレイ50上に形成される単一のピクセル48の画像が、「x」方向および「y」方向の両方向において横方向のミスアラインメントを有する状態で形成されている場合の装置46の概略的な出力を示す図である。単一のピクセル48は、補助変調器内の対応するピクセルに合致しておらず、他のピクセルと重なり合うことが理解されるであろう。補助変調器内の対応するピクセル、および、当該ピクセルに最も近い位置で隣接するピクセルが、斜線部分52によって示されている。単一のピクセル48は、斜線部分52と完全に重なり合うことが理解されるであろう。このような状態は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器上に中継される際に、一次変調器の画像のミスアラインメントが、「x」方向または「y」方向において最大で1つのピクセルの大きさに相当する場合に当てはまるであろう。
【0027】
図9は、一次変調器から光学的に中継される単一のピクセル40の画像のエッジが補助変調器のピクセルアレイ58のエッジに合致している状態で、単一のピクセル56の画像が、補助変調器のピクセルアレイ58に正確に合致する場合の装置54の概略的な出力を示す図である。さらに、図9は、一次変調器の単一の選択されたピクセルが補助変調器上に形成される際に、この単一の選択されたピクセルの位置を示している。正確なアラインメントは、単一のピクセルの画像が、補助変調器上の対応するピクセルを完全にカバーすることを意味している。図9の斜線部分60は、補助変調器上に形成され且つ一次変調器の単一のピクセル56に対応する補助変調器内のピクセルに最も近い位置で隣接するような補助変調器上の複数のピクセルと、上記単一のピクセル56に対応する補助変調器内のピクセルに2番目に近い位置で隣接するような補助変調器上の複数のピクセルとを示している。この場合、「x」方向または「y」方向のいずれかの方向における2つのピクセルのミスアラインメントは、単一のピクセル56が、斜線部分60と重なり合うことを意味しているであろう。補助変調器上の比較的大きな領域が、保証されるべき重なり合いが存在することを確実に保証するように選択され得ることは明らかである。ここで選択されるような隣接するピクセルは、特定の方向において隣接する任意のピクセルの数を含むように拡大され得る。
【0028】
図10は、一次変調器から補助変調器のピクセルアレイ66上に形成される単一のピクセル64の画像が、「x」方向および「y」方向の両方向において横方向のミスアラインメントを有する状態で形成されている場合の装置62の概略的な出力を示す図である。単一のピクセル64は、補助変調器内の対応するピクセルに合致しておらず、他のピクセルと重なり合うことが理解されるであろう。このような重なり合いは、斜線部分68により示されるような補助変調器内のピクセル66に最も近い位置で隣接するピクセル、および、補助変調器内のピクセル66に2番目に近い位置で隣接するピクセルによって、完全にカバーされる。このような状態は、一次変調器の画像が光学的に補助変調器上に中継される際に、一次変調器の画像のミスアラインメントが、「x」方向または「y」方向において最大で2つのピクセルの大きさに相当する場合に当てはまるであろう。
【0029】
このミスアラインメントが、2つのピクセルの大きさより大きい場合、一次変調器から形成される単一のピクセルと当該ピクセルに隣接するピクセルとが補助変調器上で完全に重なり合うことを保証するために、その次に近い位置で隣接するピクセルが、補助変調器上のウィンドウまたは斜線部分に付加され得る。
【0030】
図11は、一次変調器から補助変調器上に形成される複数のピクセルが、斜線部分72によって示される場合の装置70の概略的な出力を示す図である。一次変調器から光学的に補助変調器上に中継される複数のピクセルの画像は、補助変調器のピクセルアレイ74上の対応する複数のピクセルに合致していない。ここでは、「x」方向および「y」方向の両方向における横方向のミスアラインメントが示されている。
【0031】
図12は、一次変調器から補助変調器上に形成される複数のピクセル78が、太い斜線部分によって示される場合の装置76の概略的な出力を示す図である。補助変調器のピクセルアレイ80上の対応する複数のピクセル、および、当該複数のピクセルに最も近い位置で隣接するピクセルが、斜線部分82によって示されている。この例においては、「x」方向および「y」方向における1つのピクセルの大きさのミスアラインメントを許容し、且つ、一次変調器上の選択された複数のピクセルが補助変調器上に形成される際に、この選択された複数のピクセルと当該複数のピクセルに最も近い位置で隣接するピクセルとの完全な重なり合いを持たせるために、図示されているような最も近い位置で隣接するピクセルが、選択された複数のピクセルの周囲で1つのピクセルの大きさの境界を形成することが理解されるであろう。
【0032】
図13は、光源86が、光を変調するための一次変調器88を照明する場合の周知の装置84を概略的に示すブロック図である。図13の装置では、一次変調器88によって変調された光は、リレー光学手段90を介して補助変調器92に中継される。補助変調器92に中継された光は、投影レンズ94によってスクリーン96上に投影される前に、さらに変調される。このスクリーンは、フロントプロジェクション方式またはリアプロジェクション方式のスクリーンであってよい。ここでは、ビデオ画像データが、ビデオ入力98からコントローラ100に供給される。コントローラ100は、一次変調器88および補助変調器92を制御する。この場合、一次変調器88における各々のピクセルが、当該一次変調器における各々のピクセルに対するビデオ入力データ98の関数として制御され、且つ、補助変調器92における各々のピクセルが、当該補助変調器における各々のピクセルのみに対するビデオ入力データ98の関数として制御されるような形式で、一次変調器88および補助変調器92が制御される。
【0033】
図13のような配置によって得られる結果は、一次変調器の各々のピクセルの画像が光学的に補助変調器上に中継される際に、一次変調器の各々のピクセルの画像が補助変調器の各々の画像と正確に重なり合うことを保証するために、一次変調器88により変調された光が、非常に高精度で補助変調器92に光学的に中継されなければならないということである。このような応用分野にて使用されるマイクロディスプレイ(micro−display)の分解能が増大するにつれて、ピクセルのサイズが減少し、この結果として、アラインメントに対する要求も厳しくなる。このような事態は、液晶およびディジタルのマイクロミラーデバイス(micro−mirror device)等のディスプレイを含む全てのタイプのマイクロディスプレイに当てはまる。小さなサイズのピクセル、例えば、約25μm(ミクロン)より小さなサイズのピクセルを有する任意のマイクロディスプレイに関しても、同じことがいえるであろう。現時点で、ピクセルは、通常、8μmより小さなサイズを有する。
【0034】
図14は、本発明の実施例である装置102を示すブロック図である。図14においては、光源104が、一次変調器106を照明する。この一次変調器106は、透過型もしくは反射型の空間光変調器であってよいし、または、任意の周知の空間光変調器であってよい。図14の一次変調器106は、透過型の変調器として示されている。一次変調器106によって変調された光は、リレー光学手段108を介して補助変調器110に中継される。さらに、補助変調器110によって変調された光は、投影レンズ112を介してスクリーン114に投影される。このスクリーン114は、フロントプロジェクション方式またはリアプロジェクション方式のスクリーンであってよいし、平面状または曲線状であってよい。ここでは、ビデオ入力データ116が、一次変調器106を制御するための制御手段118に入力される。一次変調器106は、ビデオデータ入力の関数として制御される。この関数は、ビデオデータ入力の倍率の関数であってよい。この倍率の倍数は、1、または、1より大きな値、または、1より大きな値であってよい。この倍率はまた、ビデオデータ入力の逆関数であってよい。補助変調器110は、コントローラ120によって制御される。コントローラ120は、補助変調器110の制御に関する情報を供給するためのコントローラ(制御手段)118からビデオ画像データを受け取る。コントローラ120は、一次変調器106内の各々のピクセルに送られる画像データの関数、および、当該ピクセルに隣接する各々のピクセルに送られる画像データの関数として、補助変調器110を制御する。上記のような隣接するピクセルは、最も近い位置で隣接する複数のピクセルを含むことが可能である。これらの複数のピクセルは、上記関数が適用されるピクセルのすぐそばに位置する複数のピクセルである。あるいは、上記のような隣接するピクセルは、全ての方向において幾つかのピクセルを含み得るような2番目に近い位置で隣接する複数のピクセルを含むことが可能である。これらのピクセルは、図7および図9に示されており、明らかに、図示されている範囲を越えて拡大され得る。コントローラ118、120は、一次変調器106および補助変調器110を制御するための制御手段を形成する。
【0035】
本実施例に対して特定され得る最も簡単な例は、一次変調器が、1の倍率の関数であるような1つの関数によって駆動されると共に、補助変調器の対応するピクセルおよび当該ピクセルに隣接するピクセルが、完全なオン状態のレベルにて駆動される場合の例である。前述のように、一次変調器および/または補助変調器は、ディジタルのマイクロミラーデバイスまたはその他の任意のディジタルの光変調器等を含むようなディジタルの光変調器であってよい。ディジタルのマイクロミラーデバイスは、光を変調し且つグレースケールを生成するために、時間的スイッチング技術を使用する。一次変調器および補助変調器のいずれもディジタルのマイクロミラーデバイスであるような画像表示装置においては、通常、対応するピクセルまたはピクセルのグループのタイミングを同期化することが要求されるであろう。しかしながら、前述のような例では、一次変調器がディジタルのマイクロミラーデバイスであり、且つ、補助変調器もディジタルのマイクロミラーデバイスである場合に発生し得る問題点を解消することが可能である。なぜならば、前述のような例では、一次変調器および補助変調器の両方のタイミングを正確に合致させることが要求されないからである。ただし、両方のディジタルの光変調器が、光に対する「ゲート」として動作し、且つ、光が通過すると同時に両方の「ゲート」が開くことを必要とする場合に、正確なアラインメントが要求されるであろう。
【0036】
添付の図面およびテキスト(明細書)は、光源から光を受け取る一次変調器を示しているが、画像表示装置内の一次変調器および補助変調器の位置を逆にして、補助変調器が光源からの光を受け取るようにし得ることも可能である。この場合、制御手段によって変調器に付与される関数は、同じであろう。
【0037】
単一のピクセルにおいて、この単一のピクセルの領域の50%のみが、補助変調器の対応するピクセルと重なり合うことを意味するようなミスアラインメントが生じている場合、ここで開示されている制御システムは、観測用のスクリーンに送信される光を顕著に増加させるであろう。図14は、1つの一次変調器および1つの補助変調器を使用した白黒用の画像表示装置である。カラーホイール(color wheel)を光の経路内に挿入するか、または、カラーシーケンシャル光源を使用した場合、この画像表示装置は、カラープロジェクタにも適しているであろう。
【0038】
図15は、補助変調器のピクセルアレイ124を含む装置122を示す図である。図15の斜線部分126は、補助変調器の9個のピクセルを示している。斜線部分126の中央のピクセルは、ビデオ画像データが取り出される一次変調器のピクセルに対応するピクセルである。
【0039】
その他の8個のピクセルは、基準ピクセル(例えば、中央のピクセル)に最も近い位置で隣接するピクセルである。コントローラは、ビデオ画像データの関数として、これらの9個のピクセルを駆動する。破線128は、ピクセルの明度を示すことが可能な変調器を横切る断面を示している。
【0040】
図16、図17および図18は、破線によって示されるような補助変調器を横切る断面におけるピクセルの強度を示す図である。
【0041】
図16は、8ビットの装置において、全てのピクセルが、最大限の駆動レベル255にて駆動されていることを示している。このような補助変調器に対する制御関数は、基準ピクセルおよび最も近い位置で隣接するピクセルを最高の駆動レベルにて駆動する。このときに、全てのピクセルは、完全なオン状態になる。ここで、基準レベルは、ビデオ画像データが取り出される一次変調器内のピクセルに対応する補助変調器内のピクセルである。
【0042】
図17は、代替的な制御関数を示している。この制御関数では、例えば8ビットの装置において、基準ピクセル、すなわち、一次変調器内のピクセルに対応するピクセルが、最大限の駆動レベル255にて駆動されており、8個の隣接するピクセルが、最高の駆動レベルより低いレベルにて駆動されている。このようなピクセルの駆動レベルは、中央で最高の駆動レベルを有する「シルクハット(top hat)」形のプロフィールを示している。
【0043】
図18は、別の制御関数を示している。この制御関数では、例えば8ビットの装置において、基準ピクセルが、最高の駆動レベルより低いレベルにて駆動されており、8個の隣接するピクセルが、基準ピクセルの駆動レベルよりもさらに低いレベルにて駆動されている。このようなピクセルの駆動レベルもまた、「シルクハット」形のプロフィールを示しているが、中央のピーク値に関しては、最高値255より低いレベルを有している。
【0044】
他の関数もまた、基準ピクセルおよび隣接するピクセルを制御するために使用可能である。各々の隣接するピクセルは、それ自身が基準ピクセルであり、これによって、フルサイズの画像が表示されるタイミング、および、補助変調器に対して計算される制御関数が考慮されなければならないことが理解されるであろう。この制御関数は、当該制御関数が全てのピクセルに付与されたときに生成される関数の積(product)になるであろう。この関数の積は、補助変調器の任意のピクセル、すなわち、基準ピクセルおよび隣接するピクセルに影響を及ぼす。
【0045】
図19は、補助変調器上の3×3のピクセルアレイと、一次変調器の単一のピクセルが補助変調器上に形成される際の一次変調器の単一のピクセルの画像とを拡大して示す拡大図140である。ここでは、横方向のピクセルのミスアラインメントが存在する。正しいアラインメントは、陰影付きのピクセルが、3×3のピクセルアレイの中央のピクセル144に合致することを示すであろう。図示されているような補助変調器内の3×3のピクセルアレイの中央のピクセル144は、一次変調器内の対応するピクセル(この場合、陰影付きのピクセル)の関数、および、補助変調器内の隣接するピクセルの関数として制御される。上記の例において、8個の隣接するピクセルは、一次変調器において当該ピクセルに印加されるような0(ゼロ)のビデオレベルを有する。中央のピクセル144と重なり合う陰影付きのピクセルのほんの一部が、図示されている領域146であることが理解されるであろう。領域148の各々は、隣接するピクセルと重なり合う。隣接するピクセルが最大限のビデオレベル255にて駆動されるような前述の制御関数が使用される場合、一次変調器から送出される光の比較的多くの部分が、スクリーンに到達するという結果になるであろう。前述の記載から明らかなように、光を変調しない空間光変調器においては、複数のピクセル間の領域は小さいので、全ての光がスクリーンに送られることはないであろう。このような領域は、代表的に、変調器の全領域の約10%であるが、10%より大きくしたり小さくしたりすることも可能である。上記の制御方法は、多くの画像において、光のスループット(throughput)が増加するという結果になり、且つ、ミスアラインメントおよびミスコンバージェンス(misconvergence)によって発生する幾つかのアーチファクトを取り除くことができるであろう。したがって、ディスプレイにて表示される黒色レベルが、大幅に低減されたレベルのままになっており、この結果として、このディスプレイにて改善されたコントラストを維持することができるであろう。
【0046】
さらに、ダイナミックレンジを改善すると共に、一次変調器から補助変調器上に形成される画像のミスアラインメントによって発生するアーチファクトを解消するために、より複雑な制御が使用され得る。
【0047】
図20は、1つの一次変調器および1つの補助変調器を備える本発明の装置160を概略的に示す図である。図20においては、一次変調器および補助変調器を制御するための制御手段が、詳細に示されている。任意の色シフト、表示される画像に適用されることを必要とするガンマ(γ)補正、または、要求され得るタイミングの遅れを補正するために、付加的手段が含まれ得る。
【0048】
本実施例においては、周知のカラーシーケンシャル技術を用いて、モノクロ用のビデオデータまたはカラー画像データのいずれか一方が、ルックアップテーブル(LUT:look up table)162に入力される。このルックアップテーブル(LUT)162は、ビデオデータ入力に対してガンマ補正を施すために使用され得る。補正されたビデオ画像データは、フィルタ制御手段164および時間遅延手段170に出力される。フィルタ制御手段164は、1つの関数をビデオ画像データに付与する。この関数は、各々のピクセルおよび各々の隣接するピクセルに対するビデオ画像データの関数である。さらに、フィルタ制御手段164は、フレーム保存手段176を用いて、隣接するピクセルに対するピクセルデータをアクセスして取得する。最も近い位置で隣接するピクセルが考慮されている場合、上記の関数は、各々のピクセルに対するビデオ入力の関数、および、8個の隣接するピクセルに対するビデオ入力の関数である。さらに、フィルタ制御手段164は、補助変調器に対する出力を決定する。この補助変調器に対する出力は、時間遅延手段166を介して出力される。この時間遅延手段166は、一次変調器および補助変調器の正しい同期化を可能にする。フィルタ制御手段164は、各々のピクセルおよび各々の隣接するピクセルの両方に依存する各々のピクセルに対して1つの関数を付与しているので、考慮の対象である隣接するピクセルの数に応じて、わずかな時間的遅れが生ずることが理解されるであろう。特定のピクセルに対する出力は、ビデオ情報の少なくとも次のラインが、フィルタ制御手段により受信されるまで待たなければならない。なぜならば、考慮の対象である各々の隣接するピクセルは、さらに、隣接するピクセルに依存しているからである。時間遅延手段170は、補助変調器172を制御することを目的として、ビデオ画像データを遅延させるために使用される。時間遅延手段170から送出される遅延されたビデオ画像データは、手段168から送出される各々のピクセルに対するピクセル出力画像データと結合され、一次変調器内の各々のピクセルに対する駆動レベルが決定されるようになる。ルックアップテーブル(LUT)174、178は、任意の必要なガンマ補正を行うために使用され得る。
【0049】
前述の実施例は、たった1つの一次変調器と、1つの補助変調器とを有している。しかしながら、画像表示装置は、光源からの光を変調するための2つ以上の一次変調器を有することも可能である。例えば、第1の一次変調器は、赤色光を変調し、第2の一次変調器は、緑色光を変調し、そして、第3の一次変調器は、青色光を変調する。変調された赤色光、緑色光および青色光は、光学的に結合され、さらに、補助変調器によって変調される。カラー画像を生成するために、光を別々の色に分解してから変調し、再度結合することに関して、多くの周知の方法がある。本発明においては、再度結合された光は、補助変調器に中継される。この補助変調器によって、さらなる変調が行われる。1つまたは複数の一次変調器は、透過型または反射型の空間光変調器であってよい。さらに、1つまたは複数の補助変調器は、透過型または反射型の空間光変調器であってよい。1つまたは複数の一次変調器、および、1つまたは複数の補助変調器は、同じタイプの空間変調器であってよいし、あるいは、異なるタイプの空間変調器であってよい。
【0050】
赤色光用の一次変調器、緑色光用の一次変調器および青色光用の一次変調器と、補助変調器とを有する周知の画像表示装置においては、満足のいく画像をスクリーン上に投影するために、個々の変調器を制御するための周知の方法がある。しかしながら、これらの周知の方法は、複数の一次変調器が、各々のピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御され、1つの補助変調器が、各々のピクセルおよび隣接するピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御されるとして開示されている本発明を含んでいない。
【0051】
図21は、複数の一次変調器および1つの補助変調器を備える本発明の装置180を概略的に示す図である。信号のマニピュレーション(manipulation)および複数のビデオデータ入力上の数学的関数を実行するために、複数のルックアップテーブル(LUT)が使用される。ロジックデバイスにて実行される関数のような代替的な手段が、使用され得る。しかしながら、上記の実施例においては、LUTのフレキシビリティ(flexibility)によって、当該LUTを使用することが好ましい。
【0052】
図21の概略的な図は、第1のビデオ入力、第2のビデオ入力および第3のビデオ入力を示している。代表的に、これらの第1、第2および第3のビデオ入力は、それぞれ、赤色ビデオ入力、緑色ビデオ入力および青色ビデオ入力である。シアン、イエローおよびマゼンタ等の他のビデオ入力もよく知られている。さらに、4つ以上のビデオ入力および対応する一次変調器が使用されうる。スクリーン上に投影される最終的なカラー画像を形成するために、複数のビデオ入力が使用される。赤外線ビデオデータ入力チャネル等の他のビデオ入力もよく知られている。
【0053】
第1のビデオデータ入力は、LUT200に入力される。このLUT200は、ビデオ信号内に存在する任意のガンマを調整するために使用され得る。第1のビデオデータ入力はまた、LUT202に入力される。このLUT202もまた、ビデオ信号内に存在する任意のガンマを調整する。これらの個別のLUTを使用することによって、必要に応じてLUT200およびLUT202にて様々な機能が付与されることを可能にするための設計におけるフレキシビリティを提供することが可能になる。LUT200、202の各々に対して、同じ機能を付与することも可能である。LUT220、222は、第2のビデオデータ入力に対して、前述のLUT200、202の場合と同様の動作を行う。LUT240、242は、第3のビデオデータ入力に対して、前述のLUTの場合と同様の動作を繰り返す。LUT202、222および242はまた、第1、第2および第3のビデオデータ入力に対して補正関数を付与するために使用され得る。選択手段182は、第1、第2および第3のビデオデータ入力から有力な信号(dominant signal)を選択するために使用され得る。有力な信号は、通常、数値入力の要求が最も高い信号である。しかしながら、視覚感度または色基準等の他の基準を用いた代替的なスキームが使用され得る。有力な信号は、補助変調器に対する駆動信号を決定するために使用される。制御手段184は、各々のピクセルおよび隣接するピクセルの関数として、制御データを補助変調器に出力する。さらに、制御手段184は、ライン保存手段186を使用して、隣接するピクセルに対するピクセルデータをアクセスして取得する。時間遅延手段196が、制御手段184と補助変調器との間に配置されている。さらに、LUT198が、補助変調器の前段部に配置されている。このLUT198は、必要に応じて補助変調器への出力に対してガンマ補正を施すために使用され得る。
【0054】
制御手段184はまた、LUT204、224および244に対する出力を提供する。これらのLUTは、制御手段184により補助変調器に付与されている任意の関数を補償するために、各々の一次変調器に施されるべき補償を決定する。
【0055】
投影スクリーンに送信される光の量は、一次変調器および補助変調器の両方に依存している。送信された光に対する複数の変調器の効果は、掛け算の効果である。それゆえに、補助変調器は、第1、第2および第3の一次変調器に対する有力な信号の関数として駆動されるので、例えば、表示される画像の輝度および色の観点から正しい特性を維持するために、何らかの補償が必要であり、さらに、引き起こされている可能性がある何らかの異常を補正することが必要である。このような補償は、制御手段184から一次変調器への出力側に配置されている付加的な複数のLUTによって達成される。
【0056】
LUT204、222および244は、それぞれ、第1、第2および第3の一次変調器に対する駆動信号を補償するために使用される。これらのLUTは、制御手段184から出力される駆動関数に逆関数を付与する。LUT204は、乗数手段206に供給される駆動信号に逆関数を付与する。さらに、LUT200によって必要とされる所定のガンマ補正が施されているビデオ入力データは、時間遅延手段210を介して乗数手段206に供給される。この時間遅延手段は、制御手段184によって生ずるような起こり得る時間的遅れを補償するために必要とされる。この制御手段184は、ライン保存手段186から送出されるデータをアクセスしなければならない。乗数手段206は、付加的なLUT208に対する出力を提供する。このLUT208は、必要に応じてビデオデータ出力に対するガンマ補正のためにも使用される。この乗数手段は、ビデオ駆動信号における任意の変動を有効に補償する。このような変動は、逆関数を付与することによって、選択手段182および制御手段184により引き起こされる可能性がある。ここで、逆関数は、補助変調器に対する駆動信号、および、一次変調器に対する駆動信号に付与される関数の逆数である。
【0057】
制御手段はまた、LUT224に対する出力を提供する。このLUT224は、乗数手段226に入力される駆動信号に逆関数を付与する。装置に対する第2のビデオデータ入力は、LUT220にて必要とされる所定のガンマ補正を受ける。さらに、第2のビデオデータ入力は、ライン保存手段186をアクセスする制御手段により引き起こされる任意の時間的遅れを補償するために、必要に応じて時間遅延手段230により付与される時間的遅れを有する。乗数手段226は、LUT224からの出力によって上記の第2のビデオデータ入力を乗算するために使用される。このLUT224はまた、選択手段182および制御手段184により引き起こされる任意の変動を補償する。
【0058】
制御手段はまた、LUT244に対する出力を提供する。このLUT244は、乗数手段246に入力される駆動信号に逆関数を付与する。装置に対する第3のビデオデータ入力は、LUT240にて必要とされる所定のガンマ補正を受ける。さらに、第3のビデオデータ入力は、ライン保存手段186をアクセスする制御手段により引き起こされる任意の時間的遅れを補償するために、必要に応じて時間遅延手段250により付与される時間的遅れを有する。乗数手段246は、LUT244からの出力によって上記の第3のビデオデータ入力を乗算するために使用される。このLUT244はまた、選択手段182および制御手段184により引き起こされる任意の変動を補償する。
【0059】
本実施例では、一次変調器に対する有力な信号を選択する選択手段186によって引き起こされる何らかの異常を補正するための補償手段が設けられているので、複数の一次変調器(ここでは、第1、第2および第3の一次変調器)を有するプロジェクタ手段において、一次変調器が、各々のピクセルに対するビデオ入力の関数として制御され、且つ、補助変調器が、各々のピクセルおよび各々の隣接するピクセルに対するビデオ入力の関数として制御されるような方法が、依然として満足のいく画像を提供することが可能であることが示されている。
【0060】
添付の図面に基づいてこれまで述べた本発明の実施例は、幾つかの例によってのみ説明されているにすぎず、種々の変更がなされ得ることが認識されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタ手段と、光源と、光を変調するための少なくとも1つの一次変調器と、前記一次変調器によって変調された光を変調するための補助変調器と、前記一次変調器によって変調された光を前記補助変調器に中継するための光学手段と、前記一次変調器および前記補助変調器を制御するための制御手段とを備える画像表示装置であって、
前記一次変調器は、第1のピクセルアレイを具備し、且つ、前記補助変調器は、第2のピクセルアレイを具備し、
前記一次変調器の前記第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルは、前記制御手段によって、前記第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御され、
前記補助変調器の前記第2のピクセルアレイにおける各々のピクセルは、前記制御手段によって、前記第2のピクセルアレイにおける各々の対応するピクセルに対するビデオ入力データの関数、および、前記第2のピクセルアレイにおける各々の隣接するピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記一次変調器および前記補助変調器は、透過型の空間光変調器である請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記一次変調器および前記補助変調器は、反射型の空間光変調器である請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記一次変調器および前記補助変調器は、同じタイプの空間変調器である請求項1記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記一次変調器および前記補助変調器は、異なるタイプの空間変調器である請求項1記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記画像表示装置が、第1の波長の光を変調するための第1の一次変調器と、第2の波長の光を変調するための第2の一次変調器と、第3の波長の光を変調するための第3の一次変調器とを備える請求項1から5のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
1つの前記一次変調器または複数の前記一次変調器は、前記補助手段に対する選択手段によって結果的に引き起こされる画像における任意の異常を修正するように補償される請求項1から6のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記光学手段は、屈折性の光学リレーである請求項1から7のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記光学手段は、反射型の光学リレーである請求項1から7のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記補助変調器の前記第2のピクセルアレイにおける前記ピクセルが、完全なオン状態になるか、または、完全なオフ状態になるように制御される請求項1から9のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項1】
プロジェクタ手段と、光源と、光を変調するための少なくとも1つの一次変調器と、前記一次変調器によって変調された光を変調するための補助変調器と、前記一次変調器によって変調された光を前記補助変調器に中継するための光学手段と、前記一次変調器および前記補助変調器を制御するための制御手段とを備える画像表示装置であって、
前記一次変調器は、第1のピクセルアレイを具備し、且つ、前記補助変調器は、第2のピクセルアレイを具備し、
前記一次変調器の前記第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルは、前記制御手段によって、前記第1のピクセルアレイにおける各々のピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御され、
前記補助変調器の前記第2のピクセルアレイにおける各々のピクセルは、前記制御手段によって、前記第2のピクセルアレイにおける各々の対応するピクセルに対するビデオ入力データの関数、および、前記第2のピクセルアレイにおける各々の隣接するピクセルに対するビデオ入力データの関数として制御されることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記一次変調器および前記補助変調器は、透過型の空間光変調器である請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記一次変調器および前記補助変調器は、反射型の空間光変調器である請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記一次変調器および前記補助変調器は、同じタイプの空間変調器である請求項1記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記一次変調器および前記補助変調器は、異なるタイプの空間変調器である請求項1記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記画像表示装置が、第1の波長の光を変調するための第1の一次変調器と、第2の波長の光を変調するための第2の一次変調器と、第3の波長の光を変調するための第3の一次変調器とを備える請求項1から5のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
1つの前記一次変調器または複数の前記一次変調器は、前記補助手段に対する選択手段によって結果的に引き起こされる画像における任意の異常を修正するように補償される請求項1から6のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記光学手段は、屈折性の光学リレーである請求項1から7のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記光学手段は、反射型の光学リレーである請求項1から7のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記補助変調器の前記第2のピクセルアレイにおける前記ピクセルが、完全なオン状態になるか、または、完全なオフ状態になるように制御される請求項1から9のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2011−502272(P2011−502272A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528469(P2010−528469)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003176
【国際公開番号】WO2009/047476
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510098146)ロックウェル コリンズ ビジュアル ディスプレイ システムズ リミティド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003176
【国際公開番号】WO2009/047476
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510098146)ロックウェル コリンズ ビジュアル ディスプレイ システムズ リミティド (1)
【Fターム(参考)】
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