説明

画像表示装置

【課題】コンピュータグラフィックスによる三次元地図画像と監視カメラ映像とを同じ態様で表示できるとともに、三次元地図画像データを編集できるようにした画像表示装置を得る。
【解決手段】地図データベース16に保存された三次元地図画像データをコンピュータグラフィックスに変換した三次元地図画像と監視カメラ11の撮影した監視映像とを、表示処理部17の制御により表示装置19に同じ態様で表示するとともに、編集処理部18が地図データベース16に保存された三次元地図画像データを複製して表示装置19に表示し、この表示された三次元地図画像データをオペレータが操作することにより、編集を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラントを監視する監視カメラ映像及び三次元地図画像を表示する画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
監視制御システムでは、従来から監視カメラを用いた遠方監視を行なっているが、監視カメラの制御については、監視制御システムのソフトウェアにて監視カメラ映像を見ながら、カメラの旋回・起伏・ズームなどのボタン操作による遠隔操作を行なうことで対応していた。このため、監視したい箇所への監視カメラの移動が面倒であり、また夜間等の映像が判別しにくい状況下での的確な監視カメラ操作が困難であるという問題があった。
また、三次元地図画像表示については、標高メッシュデータやレーザ測量データからコンピュータグラフィックスによる地図画像を生成し、表示を行なう技術はあるが、監視制御システムにおいて、三次元地図画像と監視カメラ映像を連動させた適用は、あまり例が無く、作業者が監視カメラ映像のみを見ながら、平常時との差異を判断する必要があった。
【0003】
また、上記を解決する方法として、特許文献1に、三次元画像と監視カメラの視点を連動させる方法が考案されているが、作業者による三次元画像の編集・加工については行なえない。
監視制御システムにおいては、例えば河川水位の上昇や洪水・氾濫などの仮想的な災害状況や、過去の様々な時点での現地状況と現況の監視カメラ映像との比較を行なうことも重要な要件の一つであり、用途に応じた三次元地図画像の変更機能が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−271993号公報(第6〜7頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の監視制御システムでは、監視カメラによる遠方監視において、監視カメラ映像を見ながらカメラを遠隔監視するため、監視カメラ映像の視認性が悪い場合の操作に配慮がされていなかった。
また、従来の監視制御システムでは、三次元地図画像のような現場の状況を一望できる表示と監視カメラ映像の間には同一性が無かった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、コンピュータグラフィックスによる三次元地図画像と監視カメラ映像とを同じ態様で表示できるとともに、三次元地図画像データを編集できるようにした画像表示装置を得ることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係わる画像表示装置においては、標高メッシュデータ及びレーザ測量データのいずれか一方または両方を読み込み、この読み込んだデータに基づいて三次元地図画像データを生成し、地図データベースに保存する手段、地図データベースに保存された三次元地図画像データを編集する編集手段、及びこの編集手段によって編集された三次元地図画像データに基づいて、コンピュータグラフィックスによる三次元地図画像を表示装置に表示するとともに、監視カメラの撮影した監視映像を、三次元地図画像と同一の態様で同時に表示装置に表示する表示処理手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、以上説明したように、標高メッシュデータ及びレーザ測量データのいずれか一方または両方を読み込み、この読み込んだデータに基づいて三次元地図画像データを生成し、地図データベースに保存する手段、地図データベースに保存された三次元地図画像データを編集する編集手段、及びこの編集手段によって編集された三次元地図画像データに基づいて、コンピュータグラフィックスによる三次元地図画像を表示装置に表示するとともに、監視カメラの撮影した監視映像を、三次元地図画像と同一の態様で同時に表示装置に表示する表示処理手段を備えたので、編集によって作り出した仮想的な状況と現況の差異を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による画像表示装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による画像表示装置の三次元地図画像と監視カメラ映像の表示例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による画像表示装置の三次元地図画像表示と監視カメラ映像の同一態様での表示を行なう動作フローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1による画像表示装置の三次元地図画像の編集・加工操作を行なう動作フローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による画像表示装置の三次元地図画像の編集・加工データ取り込みについて説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図を用いて説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による画像表示装置を示す構成図である。
図1において、画像表示装置を形成する計算機13は、カメラ制御装置12への制御指示を行なうカメラインタフェース14と、三次元地図画像上の操作からカメラ制御量を計算する演算処理部15(演算処理手段)と、三次元地図画像表示及び監視カメラ映像の表示を行なう表示処理部17(表示処理手段)と、表示する三次元地図画像データを保管する記憶領域である地図データベース16と、三次元地図画像の加工・編集を行なう編集処理部18(編集手段)を備えている。
なお、地図データベース16は、記憶装置に形成されている。
【0011】
さらに、計算機13には、三次元地図画像と監視カメラ映像を表示するための表示装置19と、オペレータによる操作入力を行なうためのキーボード20及びポインティングマウス21が接続されている。
また、計算機13には、監視カメラ11の動作を制御するためのカメラ制御装置12がカメラインタフェース14に接続されており、さらに監視カメラ11からの映像を取り込むための映像取込部22が、表示処理部17に接続されている。
【0012】
図2は、この発明の実施の形態1による画像表示装置の三次元地図画像と監視カメラ映像の表示例を示す図である。
図2において、表示装置19で表示される三次元地図画像23と監視カメラ映像24の表示例を示す。
【0013】
図3は、この発明の実施の形態1による画像表示装置の三次元地図画像表示と監視カメラ映像の同一態様での表示を行なう動作フローチャートである。
図4は、この発明の実施の形態1による画像表示装置の三次元地図画像の編集・加工操作を行なう動作フローチャートである。
【0014】
図5は、この発明の実施の形態1による画像表示装置の三次元地図画像の編集・加工データ取り込みについて説明する説明図である。
図5において、13、16、17、19は図1におけるものと同一のものである。図5では、地図データを変換する地図データ変換部52(編集手段)を設け、本システム外で作成した編集・加工用地図データ51を、計算機13の地図データベース16での保存に適した形式に変換する。
【0015】
次に、動作について説明する。
まず、監視カメラ映像の取り込みについて説明する。
監視カメラ1で撮像された監視対象の映像は、映像取込部22を介して、表示処理部17に取り込まれる。表示処理部17は、取り込んだ監視カメラ映像を表示装置19に供給し、監視カメラ映像が表示される。
【0016】
次に、三次元地図画像の表示について説明する。
地図データベース16には、平常時を含む過去の様々な時点で取得した標高メッシュデータやレーザ測量データから生成した三次元地図画像データが保存されており、これらのデータは、表示処理部17によりコンピュータグラフィックスに変換され、表示装置19に供給され、三次元地図画像が表示される。
三次元地図画像は、オペレータが外部入力デバイスのキーボード20、マウス21から移動・回転・拡大・縮小などの操作指示を行なうことで、表示処理部17にて操作指示に基づいたコンピュータグラフィックスに変換され、表示装置19に操作に応じた三次元地図画像が表示される。
図2に、表示装置19における三次元地図画像23と監視カメラ映像24の表示例を示す。
【0017】
次に、三次元地図画像表示と監視カメラ映像が、同一の態様で表示されるように、監視カメラを制御する方法について、図3を用いて説明する。
図3で、オペレータが外部入力デバイスのキーボード20、マウス21から三次元地図画像の移動・回転・拡大・縮小などの操作入力を行なうと(S31)、表示処理部17にて、地図の移動距離、回転角、拡大・縮小率が取得され(S32)、表示処理部17は、これらの値を演算処理部15に供給する。
演算処理部15は、取得した前記の値と監視カメラの動作量が同じ変移量になるように、監視カメラの旋回・起伏・ズーム等の制御量を算出し(S33)、監視カメラ映像が表示可能な範囲であれば(S34)、カメラインタフェース14を介してカメラ制御装置12に、算出した制御量に基づく制御指示を行なう。制御指示を受けたカメラ制御装置12は、指示に基づき、監視カメラ11を動作させる(S35)。
これにより、三次元地図画像表示と監視カメラ映像を一致させることができる。
【0018】
なお、上記の三次元地図画像操作において、監視カメラ映像が表示できない範囲に三次元地図画像の移動・回転・拡大・縮小を行なった場合は、演算処理部15にて制御不可の判定を行い(S34)、表示処理部17に対して、制御不可の応答を送信する。
制御不可応答を受信した表示処理部17は、表示装置19に制御不可表示を行なう(S36)。制御不可表示は、監視カメラ映像24のウインドウ枠を赤くする等で、オペレータが容易に判別できるような表示とする。
【0019】
次に、三次元地図画像の編集・加工を行なう方法について説明する。
第一の方法は、オペレータが、外部入力デバイスのキーボード20、マウス21から三次元地図画像の編集・加工操作を行なうものである。
これについて、図4の動作フローチャートを用いて説明する。
まず、オペレータからの編集・加工操作開始指示(S41)を受けた編集処理部18は、地図データベース16に現在表示している三次元地図画像データを複製(S42)して、編集・加工用の三次元地図画像データを作成し、オペレータからの操作指示(S43)により、編集・加工用の三次元地図画像データを変更(S44)するとともに、表示処理部17に表示変更指示を行なう。
表示変更指示を受けた表示処理部17が、表示変更指示内容をコンピュータグラフィックスに変換し、表示装置19に供給(S45)することで、表示装置19に編集・加工を行なった三次元地図画像が表示される。
【0020】
三次元地図画像の編集・加工を行なう第二の方法は、編集・加工用の地図データファイルを作成し、地図データベース16に直接反映するものである。以下、これについて説明する。
図5において、本システム外で作成した編集・加工用地図データ51を、計算機13に備えている地図データ変換部52にて、地図データベース16の保存に適した形式に変換する。その後、地図データ変換部52は、地図データベース16から、現在表示している三次元地図画像データを取得し、取得した三次元地図画像データと前記の変換した編集・加工用地図データを結合して地図データベース16に保存するとともに、表示処理部17に表示変更処理を行わせるための指示を行う。
表示変更指示を受けた表示処理部17が、表示変更指示内容をコンピュータグラフィックスに変換し、表示装置19に供給することで、表示装置19に、編集・加工を行なった三次元地図画像が表示される。
【0021】
実施の形態1によれば、コンピュータグラフィックスによる三次元地図画像と監視カメラで撮像した監視映像を同一の態様で同時に表示を行なうことで、平常時と現況の差異の把握度を向上することができる。
また、オペレータによる三次元地図画像の移動・回転・拡大・縮小操作を行なった結果、表示される三次元地図画像と視野・視角が同一となるように、監視カメラの旋回・起伏・ズーム等の制御量を計算し、自動制御を行なうことにより、三次元地図画像表示と監視カメラ映像の表示を一致させることで、直感的な監視カメラ制御を可能とし、また夜間等の映像が判別しにくい状況下での監視カメラ制御を容易に行なうことができる。
【0022】
また、平常時を含む過去の様々な時点で取得した標高メッシュデータやレーザ測量データを読み込み、データに応じた三次元地図画像を生成・表示することで、平常時を含む過去の様々な時点での三次元地図画像表示と監視カメラ映像の比較を可能とし、監視対象の状況把握度を向上することができる。
さらに、三次元地図画像を編集・加工を行なうことによって、用途に応じた仮想的な災害状況を容易に作成することができ、また現況の監視カメラ映像と比較することで、仮想的な状況と現況の差異を容易に把握することができる。
【符号の説明】
【0023】
11 監視カメラ、12 カメラ制御装置、13 計算機、14 カメラインタフェース、
15 演算処理部、16 地図データベース、17 表示処理部、18 編集処理部、
19 表示装置、20 キーボード、21 ポインティングマウス、22 映像取込部、
23 三次元地図画像、24 監視カメラ映像、
51 編集・加工用地図データ、52 地図データ変換部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標高メッシュデータ及びレーザ測量データのいずれか一方または両方を読み込み、この読み込んだデータに基づいて三次元地図画像データを生成し、上記地図データベースに保存する手段、
上記地図データベースに保存された三次元地図画像データを編集する編集手段、
及びこの編集手段によって編集された三次元地図画像データに基づいて、コンピュータグラフィックスによる三次元地図画像を表示装置に表示するとともに、監視カメラの撮影した監視映像を、上記三次元地図画像と同一の態様で同時に上記表示装置に表示する表示処理手段を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
上記編集手段は、上記三次元地図画像データを上記表示装置に表示し、この表示された三次元地図画像データをオペレータの操作によって編集する編集処理部を有することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
上記編集手段は、別途作成された編集用の地図データを、上記地図データベースの保存に適した形式に変換するとともに、上記地図データベースに格納された三次元地図画像データと上記変換した地図データを結合して、上記地図データベースに保存する地図データ変換部を有することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
上記表示装置に表示された上記三次元地図画像上で、オペレータによる上記三次元地図画像の移動・回転・拡大・縮小のいずれかを含む操作が行われた場合に、上記表示処理部からの通知を受けて、上記操作後の三次元地図画像と上記監視映像の態様が同じになるように上記監視カメラの制御量を計算する演算処理手段、
及び上記演算処理手段から上記監視カメラの制御量が通知され、この通知された上記監視カメラ制御量に基づいて上記監視カメラを制御するカメラ制御装置を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−186606(P2012−186606A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47534(P2011−47534)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】