説明

画像記録システム及び画像記録装置及び画像記録方法及びプログラム

【課題】撮影データの証拠としての信用性を担保する画像記録システムを提供する
【解決手段】画像記録装置10−1、10−2は、常に映像を撮影し、内部に備えるメモリに一定期間の撮影データを登録する。事故が発生すると、画像記録装置10−1は、非常事態の発生を検出して事故発生から前後一定時間の撮影データを記憶し、非常発生信号を送信する。画像記録装置10−2は非常発生信号を受信し、非常発生信号受信から前後一定時間の撮影データを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録システム及び画像記録装置及び画像記録方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事故や犯罪の真相究明は、当事者や目撃者の証言等に基づいて推測することにより判断するのが通例であった。そのため、判断結果の真偽を確認することは非常に困難であった。この困難性を解消する方法として、事故及び犯罪の発生時の状況を撮影し、その撮影データを記録する画像記録装置が開発されている。例えば、特許文献1では、急ブレーキや衝撃を検知して交通事故の発生時の状況を撮影する車載用画像記録システムが開示されている。
【特許文献1】特開平5−294188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような画像記録装置は、当該画像記録装置の管理者が管理する記録媒体に保管される。そのため、管理者が事故や犯罪の当事者である場合、自身に不利益なデータの改竄、削除が行われてしまう可能性がある。したがって、事故や犯罪の当事者が所有する画像記録装置に撮影された撮影データの証拠としての信用性が低くなってしまう。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、撮影データの証拠としての信用性を担保する画像記録システム及び画像記録装置及び画像記録方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する第1の画像記録装置と第2の画像記録装置とを備える画像記録システムであって、前記第1の画像記録装置は、一定期間の映像を撮影する撮影手段と、非常事態の発生を検出し、非常検出信号を出力する非常検出手段と、前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段と、前記非常検出信号を検知し、第2の画像記録装置に自装置が非常事態の発生を検知したことを通知する非常発生信号を送信する信号送信手段と、前記非常検出信号を検知し、前記記憶手段に前記撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させる制御手段と、を備え、前記第2の画像記録装置は、一定期間の映像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段と、前記非常発生信号を受信する信号受信手段と、前記非常発生信号を検知し、当該検知の前後一定時間の撮影データを前記撮影データから読み取って前記記憶手段に記憶させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0005】
また、本発明は、非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する第1の画像記録装置と第2の画像記録装置とを備える画像記録システムにおける画像記録方法であって、前記第1の画像記録装置の撮影手段は、一定期間の映像を撮影し、前記第1の画像記録装置の非常検出手段は、非常事態の発生を検出し、非常検出信号を出力し、前記第1の画像記録装置の信号送信手段は、前記非常検出信号を検知し、第2の画像記録装置に自装置が非常事態の発生を検知したことを通知する非常発生信号を送信し、前記第1の画像記録装置の制御手段は、前記非常検出信号を検知し、記憶手段に前記撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させ、前記第2の画像記録装置の撮影手段は、一定期間の映像を撮影し、前記第2の画像記録装置の信号受信手段は、第1の画像記録装置が非常事態の発生を検知したことを示す非常発生信号を受信し、前記第2の画像記録装置の制御手段は、前記非常発生信号を検知し、当該検知の前後一定時間の撮影データを前記撮影データから読み取って記憶手段に記憶させる、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置であって、一定期間の映像を撮影する撮影手段と、非常事態の発生を検出し、非常検出信号を出力する非常検出手段と、前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段と、前記非常検出信号を検知し、他の画像記録装置に自装置が非常事態の発生を検知したことを通知する非常発生信号を送信する信号送信手段と、前記非常検出信号を検知し、前記記憶手段に前記撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させ、前記信号送信手段に前記非常発生信号の送信命令を出力する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置であって、一定期間の映像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段と、非常事態が発生したことを通知する非常発生信号を受信する信号受信手段と、非常発生信号を検知し、当該検知の前後一定時間の撮影データを前記撮影データから読み取って記憶手段に記憶させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置を用いた画像記録方法であって、撮影手段は、一定期間の映像を撮影し、非常検出手段は、非常事態の発生を検出して非常検出信号を出力し、信号送信手段は、前記非常検出信号を検知し、他の画像記録装置に自装置が非常事態の発生を検知したことを通知する非常発生信号を送信し、制御手段は、前記非常検出信号を検知し、前記記憶手段に前記撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させる、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置を用いた画像記録方法であって、撮影手段は、一定期間の映像を撮影し、信号受信手段は、非常事態が発生したことを通知する非常発生信号を受信し、制御手段は、非常発生信号を検知し、当該検知の前後一定時間の撮影データを前記撮影データから読み取って記憶手段に記憶させる、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置を、一定期間の映像を撮影する撮影手段、非常事態の発生を検出し、非常検出信号を出力する非常検出手段、前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段、他の画像記録装置に自装置が非常事態の発生を検知したことを通知する非常発生信号を送信する信号送信手段、前記非常検出信号を検知し、前記記憶手段に前記撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させ、前記信号送信手段に前記非常発生信号の送信命令を出力する制御手段、として機能させるためのプログラムである。
【0011】
また、本発明は、非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置を、一定期間の映像を撮影する撮影手段、前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段、非常事態が発生したことを通知する非常発生信号を受信する信号受信手段、非常発生信号を検知し、当該検知の前後一定時間の撮影データを前記撮影データから読み取って記憶手段に記憶させる制御手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、事故や犯罪等の非常事態を検出した画像記録装置、すなわち事故や犯罪の当事者の画像記録装置だけでなく、当事者以外の画像記録装置に撮影データを記録させることができるので、当事者の意思による撮影データの改竄を抑制することができる。また、当事者が撮影データを削除しても当事者以外の画像記録装置に撮影データが記録されているため、故意または事故による証拠の消失を防止することができる。
また、当事者の画像記録装置とは異なった方向からの撮影データを得ることができるため、非常事態発生時の状況をより明確にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。第1の実施形態は、画像記録装置を車両に搭載し、ドライブレコーダとして使用する例である。
図1は、本発明の第1の実施形態による画像記録装置の構成を示す概略ブロック図である。
画像記録装置10は、撮影部11(撮影手段)と、非常検出部12(非常検出手段)と、情報取得部13と、記憶部14(記憶手段)と、制御部15(制御手段)と、通信部16(信号送信手段、信号受信手段)と、アンテナ17とを備える。
撮影部11は、常時映像を撮影し、内部に備えるFIFOメモリ(図示せず)に一定期間の撮影データを記憶させる。
非常検出部12は、事故などの非常事態の発生を検出し、非常検出信号を出力する。
情報取得部13は、非常事態発生時の車両情報を取得する。
通信部16は、アンテナ17を介して他の画像記録装置10と通信を行う。
制御部15は、非常検出部12が出力する非常検出信号を検知し、通信部16から他の画像記録装置10に非常発生信号を送信させる。さらに、制御部15は、非常検出部12が出力する非常検出信号または通信部16が受信する非常発生信号を検知し、撮影部11の内部FIFOメモリに記憶されている撮影データから、非常検出信号の検知時の前後一定時間の撮影データを記憶部14に記憶させる。
【0014】
図2は、画像記録装置を搭載した車両が事故に遭遇した状況を表す図である。
他の車両との接触事故を起こした車両、すなわち事故の当事者の車両である車両20−1は、画像記録装置10−1(第1の画像記録装置)を備える。
車両20−1の付近に存在する車両、すなわち第三者の車両である車両20−2は、画像記録装置10−2(第2の画像記録装置)を備える。
画像記録装置10−1、10−2は、上述した画像記録装置10と同一のものである。
【0015】
上述した状況下の画像記録装置10−1、10−2において、撮影部11は、常に映像を撮影し、FIFOメモリに一定期間の撮影データを登録する。
画像記録装置10−1において、非常検出部12は、非常事態の発生を検出し、非常検出信号を出力する。制御部15は、非常検出部12が出力する非常検出信号を検知し、記憶部14に撮影部11のFIFOメモリが記憶する撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させ、通信部16から非常発生信号を送信させる。
一方、画像記録装置10−2において、通信部16は非常発生信号を受信する。制御部15は、受信した非常発生信号を検知し、記憶部14に撮影部11のFIFOメモリが記憶する撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させる。
これにより第三者の画像記録装置10−2に保存される撮影データは、証拠としての信用性を担保する。また、第三者の画像記録装置10−2に撮影データを記録させることができるので、撮影データを改竄しても第三者の撮影データを参照することで改竄したことが明らかになり、当事者が撮影データの改竄を行うことを抑制することができるため、画像記録装置10−1に保存される撮影データも証拠としての信用性を担保する。
【0016】
以下に、図2の状況を例に、第1の実施形態における画像記録装置10−1、10−2の動作を説明する。まず、画像記録装置10−1の動作を説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態における事故の当事者の車両に搭載された画像記録装置の動作を示すシーケンス図である。
まず、画像記録装置10−1の撮影部11は、車両20−1の駆動が開始した時点で撮影を開始する(ステップS1)。すなわち、撮影部11は事故発生時以前に撮影を開始している。撮影部11が撮影した撮影データは、撮影部11が内部に備えるFIFOメモリに一定期間登録する。
事故が発生すると、非常検出部12は、非常事態の発生を検出する(ステップS2)。非常事態の発生の検出は非常検出部12に接続されたセンサの出力に基づいて行う。例えば、非常検出部12が加速度センサに接続され、取得した減速度が所定の減速度を超えた場合、非常事態が発生したと判定する。これは、車両20−1が急ブレーキによって速度を急激に落としたと判断できるためである。また例えば、非常検出部12が圧力センサに接続され、取得した圧力が所定の値を超えた場合、非常事態が発生したと判定する。これは、車両20−1が障害物に衝突したために衝撃を受けたと判断できるためである。
【0017】
非常事態の発生を検出すると、非常検出部12は制御部15に非常検出信号を出力する(ステップS3)。制御部15は非常検出信号を取得すると、通信部16に非常発生信号の送信命令を出力する(ステップS4)。通信部16はアンテナ17を介して非常発生信号を車両20−1の付近に存在する他の画像記録装置10に送信する。非常発生信号の送信命令を出力すると、制御部15は、撮影部11から撮影データの送信命令を送信する(ステップS5)。撮影部11は、制御部15から撮影データの送信命令を受信した時点の前後一定時間の撮影データを制御部15に送信する。そのため、撮影部11が制御部15に撮影データを送信するのは撮影データの送信命令を受信した時点から一定時間の撮影データを取得した後となる。
制御部15は、撮影部11から撮影データを受信すると、情報取得部13に車両情報の送信命令を送信する(ステップS6)。情報取得部13は、車両情報の送信命令を受信すると、車両20−1から車両情報を取得し、制御部15に送信する。ここで車両情報とは、例えばGPS(全地球測位システム:Global Positioning System)から取得する位置情報や、車両の時計から取得する時刻などである。
制御部15は、情報取得部13から車両情報を取得すると、記憶部14に撮影データと車両情報を登録する(ステップS7)。
以上が画像記録装置10−1の動作である。
【0018】
次に、画像記録装置10−2の動作を説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態における第三者の車両に搭載された画像記録装置の動作を示すシーケンス図である。
まず、画像記録装置10−2の撮影部11は、車両20−2の駆動が開始した時点で撮影を開始する(ステップS11)。すなわち、撮影部11は事故発生時以前に撮影を開始している。撮影部11が撮影した撮影データは、撮影部11が内部に備えるFIFOメモリに一定期間登録する。
車両20−2の付近で事故が起き、事故を起こした車両20−1が画像記録装置10−1を備えている場合、画像記録装置10−2の通信部16は画像記録装置10−1から非常発生信号を受信する(ステップS12)。
【0019】
非常発生信号を受信すると、通信部16は制御部15に非常発生信号の受信を通知する(ステップS13)。制御部15は非常検出信号を取得すると、撮影部11に撮影データの送信命令を送信する(ステップS14)。撮影部11は、制御部15から撮影データの送信命令を受信した時点の前後一定時間の撮影データを制御部15に送信する。そのため、撮影部11が制御部15に撮影データを送信するのは撮影データの送信命令を受信した時点から一定時間の撮影データを取得した後となる。ここで、一定時間とは、非常事態の発生前後の様子を把握するのに十分な時間であり、例えば前後30秒程度とすると良い。
制御部15は、撮影部11から撮影データを受信すると、情報取得部13に車両情報の送信命令を送信する(ステップS15)。情報取得部13は、車両情報の送信命令を受信すると、車両20−1から車両情報を取得し、制御部15に送信する。
制御部15は、情報取得部13から車両情報を取得すると、記憶部14に撮影データと車両情報を登録する(ステップS16)。
【0020】
このように、第1の実施形態によれば、事故の当事者の車両20−1の付近に存在する第三者の車両20−2に搭載された画像記録装置10−2の撮影データを保存させる。このとき、車両20−2が車両20−1の方向を向いている場合、画像記録装置10−2に車両20−1の事故の様子を示す撮影データを記録させることができる。これにより、事故の当事者が撮影データを改竄しても第三者の撮影データを参照することで改竄したことが明らかになるため、事故の当事者による撮影データの改竄を抑制することができる。また、当事者が撮影データを削除しても当事者以外の画像記録装置10−2に撮影データが記録されているため、故意または事故による証拠の消失を防止することができる。これにより、画像記録装置10に記録された撮影データの証拠としての信用性が担保される。
また、第三者の画像記録装置10−2には当事者の画像記録装置10−1とは異なった方向からの撮影データが登録されているため、事故発生時の状況をより明確にすることができる。
【0021】
以上、図面を参照してこの発明の第1の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、画像記録装置10にスピーカーやディスプレイを設け、非常事態発生時、非常発生信号受信時、撮影データ記録完了時などに当該スピーカーまたはディスプレイによって利用者にシステムの作動を通知してもよい。
【0022】
なお、本実施形態では画像記録装置10の制御部15は、撮影データを取得した後に車両情報を取得する場合を説明したが、これに限られず、車両情報を取得した後に撮影データを取得しても良い。
また、本実施形態では画像記録装置10の制御部15は、非常発生信号の送信命令を通信部16に送信した後に撮影データ及び車両情報を記憶部14に登録する場合を説明したが、これに限られず、撮影データ及び車両情報の登録後に非常発生信号の送信命令を送信しても良い。
【0023】
なお、本実施形態では、画像記録装置10の非常検出部12がセンサによって非常事態を検出する場合を説明したが、これに限られず、例えば非常検出部12が非常事態発生ボタンを備え、当事者または第三者が当該ボタンを押下することで非常事態の発生を検出してもよい。
【0024】
なお、本実施形態では、1台の事故車両20−1が画像記録装置10−1を備え、もう1台の事故車両は画像記録装置10を備えず、1台の第三者の車両20−2が画像記録装置10−2を備える場合を説明したが、これに限られず、1台以上の事故車両と、1台以上の第三者の車両が画像記録装置10を備える構成であれば同様の効果を得ることができる。
【0025】
なお、本実施形態では、記憶部14に情報取得部13が取得した車両情報を登録する場合を説明したが、これに限られず、記憶部14に撮影データのみを登録しても良い。
【0026】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。第2の実施形態は、画像記録装置を信号機などの設備に搭載し、監視カメラとして使用する例である。事故は信号機付近で発生することが多く、信号機に画像記録装置を搭載することで上方からの撮影が可能となり、事故発生時の情報をより詳細に得ることができる。また、信号機は事故当事者の管理外であるため、撮影データの改竄、消失を防ぐことができる。
図5は、本発明の第2の実施形態による画像記録装置の構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態による画像記録装置110は、第1の実施形態による画像記録装置10の非常検出部12を備えない構成である。その他の処理部は第1の実施形態と同じであるため、同一の符号を用いて説明する。第2の実施形態による画像記録装置110は、信号機などの設備に搭載する監視カメラであり、画像記録装置110は非常発生信号を受信し、撮影データを記録する受信装置として動作する。そのため、自装置の非常事態を検出する必要が無いため、非常検出部12を備える必要が無い。
【0027】
図6は、画像記録装置を搭載した信号機の付近で事故が発生した状況を表す図である。
他の車両との接触事故を起こした車両、すなわち事故の当事者の車両である車両20−1は、画像記録装置10−1を備える。
車両20−1の付近に存在する車両、すなわち第三者の車両である車両20−2は、画像記録装置10−2を備える。
車両20−1の付近に存在する信号機は、画像記録装置110を備える。
画像記録装置10−1、10−2は、第1の実施形態による画像記録装置10と同一のものである。画像記録装置110は、第2の実施形態による画像記録装置110である。
【0028】
以下に、画像記録装置110の動作を説明する。画像記録装置10−1、10−2の動作は第1の実施形態に記載した動作と同じである。
図7は、本発明の第2の実施形態における信号機に搭載された画像記録装置の動作を示すシーケンス図である。
画像記録装置110の撮影部11は、常に撮影を実行している。撮影部11が撮影した撮影データは、撮影部11が内部に備えるFIFOメモリに一定期間登録する。
信号機の付近で事故が起き、事故を起こした車両20−1が画像記録装置10−1を備えている場合、画像記録装置110の通信部16は画像記録装置10−1から非常発生信号を受信する(ステップS111)。
【0029】
非常発生信号を受信すると、通信部16は制御部15に非常発生信号の受信を通知する(ステップS112)。制御部15は非常検出信号を取得すると、撮影部11に撮影データの送信命令を送信する(ステップS113)。撮影部11は、制御部15から撮影データの送信命令を受信した時点の前後一定時間の撮影データを制御部15に送信する。そのため、撮影部11が制御部15に撮影データを送信するのは撮影データの送信命令を受信した時点から一定時間の撮影データを取得した後となる。
制御部15は、撮影部11から撮影データを受信すると、情報取得部13に設備情報の送信命令を送信する(ステップS114)。情報取得部13は、設備情報の送信命令を受信すると、信号機から設備情報を取得し、制御部15に送信する。ここで設備情報とは、例えば設備情報の送信命令を受信した時間を示す時間情報などである。
制御部15は、情報取得部13から設備情報を取得すると、記憶部14に撮影データと設備情報を登録する(ステップS115)。
【0030】
このように、第2の実施形態によれば、信号機に搭載された画像記録装置110に事故の当事者の車両20−1の事故の様子を示す撮影データを記録させることができる。これにより、上方からの撮影が可能となり、事故発生時の情報をより詳細に得ることができる。また、信号機は事故当事者の管理外であるため、撮影データの改竄、消失を防ぐことができる。
【0031】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第3の実施形態について詳しく説明する。第3の実施形態は、画像記録装置を自動販売機などの設備に搭載し、監視カメラとして使用する例である。自動販売機は市街の至るところに設置されているため、犯罪の発生状況を撮影することができる可能性が高い。画像記録装置を動作させるために、非常発生信号送信装置を用いる。
図8は、本発明の第3の実施形態による非常発生信号送信装置の構成を示す概略ブロック図である。
第3の実施形態による非常発生信号送信装置210は、第1の実施形態による画像記録装置10の撮影部11、情報取得部13、記憶部14、制御部15を備えない構成である。その他の処理部は第1の実施形態と同じであるため、同一の符号を用いて説明する。第3の実施形態による非常発生信号送信装置210は、非常事態発生時に非常発生信号を送信し、周囲の画像記録装置に撮影データを記録させるものである。また、非常発生信号送信装置210は人が所持するものであるため、軽量化を図る必要がある。そのため、撮影部11、情報取得部13、記憶部14を備えずに非常発生信号送信装置210は撮影データを記録しない構成とする。
【0032】
図9は、画像記録装置を搭載した自動販売機の付近で犯罪が発生した状況を表す図である。
被害者は、非常発生信号送信装置210を所持する。
被害者の付近に存在する自動販売機30−1〜30−3は、画像記録装置110−1〜110−3を備える。
画像記録装置110−1〜110−3は、第2の実施形態による画像記録装置110と同じものである。
【0033】
被害者は自動販売機に備えられた画像記録装置110−1〜110−3に撮影データを保存させるために、非常発生信号送信装置210の非常ボタンを押下する。非常ボタンが押下されると、非常検出部12は非常事態の発生を検知し、通信部16を介して非常発生信号を送信する。
画像記録装置110−1〜110−3の動作は第2の実施形態による画像記録装置110の動作と同じである。
これにより、画像記録装置110−1〜110−3に犯罪の様子を撮影した撮影データを記録させることができる。
【0034】
このように、第3の実施形態によれば、非常発生信号送信装置210の非常ボタンを押下することで自動販売機に搭載された画像記録装置110に犯罪の様子を示す撮影データを記録させることができる。これにより、犯罪発生時の状況を明確にすることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、非常発生信号送信装置210が非常発生信号を送信する機能のみを有する場合を説明したが、これに限られず、例えば非常発生信号送信装置210を防犯ブザーに実装することで、ブザーを鳴らして犯罪行為の発生を知らしめ、かつ画像記録装置110にその様子を撮影した撮影データを記録させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態による画像記録装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】画像記録装置を搭載した車両が事故に遭遇した状況を表す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における事故の当事者の車両に搭載された画像記録装置の動作を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における第三者の車両に搭載された画像記録装置の動作を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による画像記録装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】画像記録装置を搭載した信号機の付近で事故が発生した状況を表す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における信号機に搭載された画像記録装置の動作を示すシーケンス図である。
【図8】本発明の第3の実施形態による非常発生信号送信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図9】画像記録装置を搭載した自動販売機の付近で犯罪が発生した状況を表す図である。
【符号の説明】
【0037】
10、10−1、10−2…画像記録装置 11…撮影部 12…非常検出部 13…情報取得部 14…記憶部 15…制御部 16…通信部 17…アンテナ 20−1、20−2…車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する第1の画像記録装置と第2の画像記録装置とを備える画像記録システムであって、
前記第1の画像記録装置は、
一定期間の映像を撮影する撮影手段と、
非常事態の発生を検出し、非常検出信号を出力する非常検出手段と、
前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段と、
前記非常検出信号を検知し、第2の画像記録装置に自装置が非常事態の発生を検知したことを通知する非常発生信号を送信する信号送信手段と、
前記非常検出信号を検知し、前記記憶手段に前記撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させる制御手段と、を備え、
前記第2の画像記録装置は、
一定期間の映像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段と、
前記非常発生信号を受信する信号受信手段と、
前記非常発生信号を検知し、当該検知の前後一定時間の撮影データを前記撮影データから読み取って前記記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像記録システム。
【請求項2】
非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する第1の画像記録装置と第2の画像記録装置とを備える画像記録システムにおける画像記録方法であって、
前記第1の画像記録装置の撮影手段は、一定期間の映像を撮影し、
前記第1の画像記録装置の非常検出手段は、非常事態の発生を検出し、非常検出信号を出力し、
前記第1の画像記録装置の信号送信手段は、前記非常検出信号を検知し、第2の画像記録装置に自装置が非常事態の発生を検知したことを通知する非常発生信号を送信し、
前記第1の画像記録装置の制御手段は、前記非常検出信号を検知し、記憶手段に前記撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させ、
前記第2の画像記録装置の撮影手段は、一定期間の映像を撮影し、
前記第2の画像記録装置の信号受信手段は、第1の画像記録装置が非常事態の発生を検知したことを示す非常発生信号を受信し、
前記第2の画像記録装置の制御手段は、前記非常発生信号を検知し、当該検知の前後一定時間の撮影データを前記撮影データから読み取って記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする画像記録方法。
【請求項3】
非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置であって、
一定期間の映像を撮影する撮影手段と、
非常事態の発生を検出し、非常検出信号を出力する非常検出手段と、
前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段と、
前記非常検出信号を検知し、他の画像記録装置に自装置が非常事態の発生を検知したことを通知する非常発生信号を送信する信号送信手段と、
前記非常検出信号を検知し、前記記憶手段に前記撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させ、前記信号送信手段に前記非常発生信号の送信命令を出力する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項4】
非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置であって、
一定期間の映像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段と、
非常事態が発生したことを通知する非常発生信号を受信する信号受信手段と、
非常発生信号を検知し、当該検知の前後一定時間の撮影データを前記撮影データから読み取って記憶手段に記憶させる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項5】
非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置を用いた画像記録方法であって、
撮影手段は、一定期間の映像を撮影し、
非常検出手段は、非常事態の発生を検出して非常検出信号を出力し、
信号送信手段は、前記非常検出信号を検知し、他の画像記録装置に自装置が非常事態の発生を検知したことを通知する非常発生信号を送信し、
制御手段は、前記非常検出信号を検知し、前記記憶手段に前記撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させる、
ことを特徴とする画像記録方法。
【請求項6】
非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置を用いた画像記録方法であって、
撮影手段は、一定期間の映像を撮影し、
信号受信手段は、非常事態が発生したことを通知する非常発生信号を受信し、
制御手段は、非常発生信号を検知し、当該検知の前後一定時間の撮影データを前記撮影データから読み取って記憶手段に記憶させる、
ことを特徴とする画像記録方法。
【請求項7】
非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置を、
一定期間の映像を撮影する撮影手段、
非常事態の発生を検出し、非常検出信号を出力する非常検出手段、
前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段、
他の画像記録装置に自装置が非常事態の発生を検知したことを通知する非常発生信号を送信する信号送信手段、
前記非常検出信号を検知し、前記記憶手段に前記撮影データから当該検知の前後一定時間の撮影データを記憶させ、前記信号送信手段に前記非常発生信号の送信命令を出力する制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
非常事態の発生を検出し、非常事態発生時の撮影データを記録する画像記録装置を、
一定期間の映像を撮影する撮影手段、
前記撮影手段が撮影した撮影データを記憶する記憶手段、
非常事態が発生したことを通知する非常発生信号を受信する信号受信手段、
非常発生信号を検知し、当該検知の前後一定時間の撮影データを前記撮影データから読み取って記憶手段に記憶させる制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−56864(P2010−56864A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219528(P2008−219528)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】